平成十四年東京都議会会議録第八号

○副議長(橋本辰二郎君) 六十一番曽雌久義君。
   〔六十一番曽雌久義君登壇〕

○六十一番(曽雌久義君) 私は、都議会公明党を代表し、都政の重要課題について知事並びに関係局長に質問いたします。
 ワールドカップでは、日韓両国が史上初めて決勝トーナメントに進み、残念ながら日本は、先ほど初戦でトルコに惜敗いたしましたが、五月三十一日の開幕以来、予想を超える歴史的勝利の連続で、日本は大きな熱気に包まれました。長引く不況で自信を失った日本に、再びエネルギーがよみがえってきたようで、心強く感じます。このエネルギーを維持し、日本と東京の再生へとつなげていく施策の展開こそ、都政に携わる我々の責務と痛感する次第であります。都議会公明党は、引き続き都政の課題に全力で挑戦していく決意であります。
 そこでまず、今回のワールドカップにおける日本の活躍と国内の盛り上がりに関して、知事の感想、あるいは思いを伺いたいと思います。
 さて、過日、大田区京浜島の火災現場で殉職された酒井俊明消防司令長の消防葬が営まれました。故人は、日航機羽田沖墜落事故、阪神・淡路大震災、そして、さきの新宿雑居ビル火災などで先頭を切って救助に当たってきた特別救助隊の隊長であり、壮烈な殉職の様子を聞くにつれ、胸が詰まり、惜しむべき人材を失ったことに無念さが募ります。まさに、使命感に燃えた公務員の模範とすべき四十七年のとうといご生涯でありました。心からご冥福をお祈り申し上げます。
 初めに、首都機能移転問題について伺います。
 五月二十一日、東京都議会、東京都、首都移転に断固反対する会が主催して、首都移転断固反対総決起集会を開催、終了後は国会周辺での街頭行動、政府や衆参両院議長に対する要請行動を展開しました。
 その後、衆議院の特別委員会は、五月末という期限内に候補地を絞り込めず、与野党国対委員長会談では、候補地選定の先送りと衆院議長のもとに協議機関を設置することで合意したと伝えられております。
 マスコミでは、こうした経緯から実質的凍結と報じているところであります。これは、都議会並びに広範な都民の運動が実を結んだものと評価できますが、なお衆議院の特別委員会は存続しており、首都機能移転の息の根がとまったわけではありません。国会の首都機能移転決議の白紙撤回まで油断することなく、知事と議会が一体となって運動を継続すべきであります。改めて、知事の決意を伺います。
 次に、地方税財政制度について伺います。
 地方分権を推進するためには、地方税の充実を図ることが何よりも重要であります。去る五月二十一日の経済財政諮問会議において、地方自治を所管する片山総務大臣は、国から地方への具体的な税源移譲試案、つまり地方消費税の拡大、所得税から個人住民税への振りかえなど、合計五兆五千億円規模の税源移譲案を示しました。これまで、とかく総論の域を出なかった論議から、税源移譲の原資にまで踏み込んだ具体案に発展したことは大きな意義があり、我が党は片山試案を評価するものであります。
 しかしながら、この片山試案については、早速、財務省を初め関係者から反論が出される一方、小泉総理からは、六月七日の経済財政諮問会議で、国庫補助負担金、地方交付税、税源移譲を含む税源配分について検討し、一年以内に結論を出すとの指示が出されるなど、ここに来て第二次分権改革論議が盛り上がってまいりました。
 地方分権の旗振り役である所管大臣みずからが具体案を示したことは、旧自治省以来初めてのことであり、画期的であります。我が党は、六月十二日、直ちに片山総務大臣と面談し、地方分権に向けた税財源移譲に関する申し入れを行い、今回の片山試案の早期実現に向け、不退転の決意で取り組むよう強く申し入れを行いました。これに対し片山大臣は、ぜひ応援していただきたい、一年やそこらで実現できるものではないかもしれないが、道筋だけはきちんとつけて、必ず実現できるようにしたいと語っておりました。
 そこで、知事に伺います。
 こうした税源移譲の国の動向に対し、知事は所信表明で都税調の提言と軌を一にしており、評価できるとの発言をされました。今後は、その発言を踏まえ、知事も行動を起こすべきであります。片山大臣も、石原知事が応援してくれるなら心強いと期待を寄せておりました。
 地方自治のリーダーとして、この税源移譲の流れをより確実なものとするために、最終取りまとめが予定されている今月二十一日の経済財政諮問会議の前に、知事自身が小泉総理、片山総務大臣に直接会って、地方への税源移譲の早期実現を強くアピールすべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 次に、今定例会の焦点となっている環境影響評価条例の改正について伺います。
 今回の改正案について我が党は、総合アセスの実現の一里塚として、都の事業に限ったとはいえ、計画アセスを導入したことは評価いたします。また、スピーディーな都市再生を図るため、アセス手続の一部を合理化したことも理解いたします。その上で何点か伺います。
 第一は、今回の改正は、昭和五十六年の条例制定以来の大幅改正であります。しかし、それにしては、条例案提出に至る経過が余りにも唐突といわざるを得ません。都の環境影響評価審議会から答申が出されたのが四月四日、議会側に改正案の説明があったのは、本定例会開会の直前であります。議会が議論を深めるためには時間が必要であります。まして条例制定以来の大改正というならば、開会直前まで議会への説明が全くないことは、極めて異例のことといわざるを得ません。今回の改正案提出までの都庁内での手続、並びに議会への事前説明に至る時間的経緯などを具体的に示し、明らかにすべきであります。所見を伺います。
 第二に、首都東京の都市としての魅力と国際競争力を高め、都市再開発を推進することは、まさに喫緊の課題であります。そのためには、都市再生の重要な担い手として、民間事業者の役割に着目し、民間資金の活用、各種規制の緩和と各種手続の短縮化等、スピードを重視した取り組みが求められています。
 しかし一方で、たとえ民間の事業であれ、環境への影響など、住民には大きな不安があります。民間事業への計画アセスは、当分の間、見送る方針とのことですが、それならばなおのこと、開発に伴う住民不安には丁寧に答えるべきであり、そもそも住民をいたずらに不安に陥れるような開発は避けるべきであります。所見を伺います。
 第三に、今回、高層建築物の対象規模の要件緩和に踏み切ったことは、環境対策については既に多くの実績があり、蓄積された信頼と知見を生かして取り組むことが可能であるということから行われたものと理解しております。
 したがって、規制緩和を行っても、必要な環境対策は従来の経験を生かし、間違いなく実施されることが重要であります。規制緩和対象地域を早急に明らかにするとともに、環境対策の実施を担保できる仕組みについても明確にすべきであります。所見を伺います。
 いずれにしても、この問題は極めて重要であり、議会としては、環境局、都市計画局両局の連合の審査を行うほどの姿勢で取り組むべきと考えます。
 次に、同じく今定例会の重要条例案である、いわゆる迷惑防止条例改正案について申し上げます。
 我が党は、社会の安寧と秩序を守り、都民生活の安全を確保するため、本条例の改正案を上程された当局の努力を多とするものであります。とりわけ暴走族等の落書き、ピンクビラの配布、盗撮等の罰則を引き上げることは、時宜にかなったものとして大いに評価するものであります。
 一方、改正案における五条の二については、各方面から慎重に審議を求める声が寄せられており、したがって、今後さらに時間をかけて内容を精査すべきであります。
 次に、中小企業の融資制度について伺います。
 現在、中小企業経営者は、景気低迷の中、資金繰り難と金融機関による貸し渋り及び貸しはがし等の苦境に直面いたしております。
 そこで都は、中小企業の健全な経営が維持できるよう、中小企業の専門金融機関である信用金庫や信用組合等を活用し、中小企業関係団体からも要請が強い無担保無保証人による融資制度を創設するよう国に働きかけるべきであります。
 具体的には、公的保証制度は融資額に応じて弾力的に適用できるなど、金融機関、信用保証協会ともにリスクを負う仕組みを工夫すべきであると考えますが、所見を伺います。
 融資制度に関連して、いわゆるペイオフに伴う制度融資の預託金の保全管理について伺います。
 制度融資を実施するに当たって、都は、無利子の資金を七十余の金融機関に預託しています。ちなみに平成十四年、当年度規模では約二千三百億円となっていますが、過去の預託分も含めると約五千億円といわれています。こうした資金も、来年四月からの完全ペイオフに伴い、預け入れ金融機関が破綻をするとペイオフの対象となり、回収できないことになります。
 中小企業対策が重要な施策であることを考慮し、制度融資にかかわる預託金についてはペイオフの対象外とするよう、国に強く要請をすべきと考えます。所見を伺います。
 中小企業に関連して、ものづくり教育について伺います。
 二十一世紀においても、すばらしい製品を生み出すものづくり産業が、東京のみならず日本の経済力の源泉であります。その意味で、ものづくりを支える人材の育成が必要であります。
 一方、日本青年研究所の二十一世紀の夢に関する調査報告書によれば、若者が将来つきたい職業として先端技術者を選んだ比率は、アメリカや中国と比べて日本は大変に低くなっております。将来を担う若者が、ものづくりへの関心が低いということは大きな問題であります。そのため、これからは教育の場で科学に関心を持ち、ものづくりに従事したいという子どもたちを、都のあらゆる資源を活用して育てることが重要と考えます。
 そこで都は、総合的な学習時間の中で、ものづくり現場の訪問や、ものづくり体験学習を行う教育庁と、ものづくりに挑む人材を育成するための資源を持つ産業労働局が連携して、具体的な施策を進めるべきと考えます。所見を伺います。
 次に、福祉施策について伺います。
 第一は、障害者雇用についてであります。
 失業率が五%を超える厳しい雇用情勢の中、不況のしわ寄せを一身に受けるのは障害者であります。厚生労働省の調べでは、雇用保険に加入資格のある労働者のうち、企業を解雇された障害者の数が、昨年度、全国で過去最高の四千十七人に達し、対前年度比で約一・六倍と急増しております。
 厳しい雇用状況のもとでは、現行の障害者雇用促進法に頼るだけでは不十分であります。企業の障害者雇用が進まない現状を打破するためには、障害者を雇用することのメリットを強調できるシステムが必要であります。
 例えば、大阪府においては二○○三年度から企業の障害者雇用への貢献度をポイント化して格付をし、総合点の上位の企業を公開し、表彰すると聞いております。都においても、障害者の雇用促進につながる制度を設けるべきであります。所見を伺います。
 さらには、離職した障害者が再就職するためには、就業に関する相談や職業能力開発、職場開拓が不可欠であります。とりわけ知的障害者については、職場に付き添い、仕事の手順を覚えるための支援や、企業側に障害者への接し方を教えるジョブコーチの仕組みが有効であります。国においては、今年度からジョブコーチの制度が導入される予定であり、ジョブコーチの活躍によって、企業における障害者への理解が進み、雇用促進につながると考えられます。ぜひともこの制度を活用すべきであります。所見を伺います。
 あわせて、都においては、独自に区市町村障害者就労援助モデル事業を実施し、就労支援と生活支援を行うとしていますが、モデル事業ではなくて、早期に本格実施すべきと考えます。所見を伺います。
 次に、支援費制度について伺います。
 来年度から、障害者分野は措置制度から契約制度に移行します。サービスを受ける障害者とサービスを提供する事業者、施設が対等の関係になり、障害者がメニューを選択できる点は施策の前進といえます。しかし、措置から契約へという仕組みの変更に際して、国の政策決定のおくれから情報不足による影響が深刻であり、現在、措置制度のもとでサービスを利用している障害者の不安の種になっています。
 支援費制度とはどういうものか、そして、これまでとどう変わるのか等について、東京都は区市町村と連携して、きめ細かに情報提供を行うべきであります。所見を伺います。
 また、支援費制度においては、利用者自身がサービスを選択することになります。都は、心身障害者施設緊急整備三カ年計画などにより、サービスの量の拡大に努めていますが、サービスを選択する際の判断材料となる情報がどのように入手できるのか、いまだ明確ではありません。福祉改革STEP2では、情報総合ネットワークを構築するとありますが、あくまでも視覚障害者や肢体不自由者の方が手軽に利用でき、サービスを選択できるシステムにすべきであります。所見を伺います。
 ところで、去る五月、公明党を初め超党派の議員が立法化を進めてきた身体障害者補助犬法が成立し、障害者の自立と社会参加に向けて大きな一歩が踏み出されました。これまで、我が国における介助犬、盲導犬、聴導犬などの補助犬を取り巻く現状は、盲導犬について道路交通法等に規定があるのみで、その他の補助犬については社会的認知、受け入れが進まず、補助犬を同伴する障害者は大きな困難を抱えてきました。
 この法律では、補助犬の公的認定制度を初め、公共施設や交通機関及び不特定多数が利用する施設での受け入れ義務を規定するなど、諸外国にも前例のない画期的な内容となっており、我が党としても大いに評価をするものであります。
 しかし、法律ができたからといって、すぐに補助犬の利用と受け入れが進むわけではありません。本年十月一日に法律が施行されるまでの間、法の趣旨、内容が十分に周知されるよう、各種施設の管理者はもとより、都民全体に対して積極的な普及啓発に努めるべきであります。所見を伺います。
 第二は、子ども家庭福祉についてであります。
 子どもを取り巻く問題を解決するためには、子どもの健全育成と子育てを支える総合的なシステムを身近な地域につくることが重要であり、その役割を担うのが区市町村に設置される子ども家庭支援センターであります。
 このセンターは、現在三十六カ所設置されていますが、今後、全区市町村への設置を目指すとともに、センターの果たすべき機能の充実を図るために、従来の実例集の発行に加え、効果的な支援を講じるべきであります。所見を伺います。
 また、子育て支援策の充実も重要であります。都は認証保育所制度の普及促進など、新しい保育サービスを充実させておりますが、こうした保育所とともに、短い時間や一時的な夜間保育など、臨機応変に保育ニーズにこたえ、地域で子育てを助け合うことも重要であると考えます。そうした機能を果たすのがファミリー・サポート・センターですが、昨年度末の整備状況は、都内で三十区市にとどまっています。都は今後、センターの整備を目指す区市町村に対し支援を行うべきであります。所見を伺います。
 次に、福祉のまちづくりについて伺います。
 東京都で福祉のまちづくり条例が施行され、国においてハートビル法や交通バリアフリー法が制定されて以来、駅のエレベーターやエスカレーターの設置は格段に進み、またノンステップバスも大幅に導入され、福祉のまちづくりは着実に進展しております。
 しかし、駅やバス停から一歩まちの中に入ると、高齢者や障害者にとっていまだ移動に不自由な状況があります。歩道の段差を解消することももちろん重要ですが、有効な移動手段が確保されないと、商店街での買い物も、医者へ行くにも歩くしかなく、足腰が弱っている高齢者や障害を持つ方々には大きな負担となります。駅、停留所はいわば点であり、鉄道やバスはその点を結ぶ線であります。その点と線が整備されても、いわば面である町の中を自由に移動できなければ、高齢者や障害者は外出を楽しむことはできません。結局は家に引きこもることとなり、痴呆にもつながります。
 こうしたことから、EUでは、高齢者がまちの中を自由に移動できること、すなわちタウンモビリティーを高齢者対策の基本に置いています。
 例えば、中心市街地への自動車の乗り入れを禁止し、その一方で市街地の中での電動スクーターによる移動手段の確保等の試みが行われています。これをイギリスではショッピングモビリティーと呼び、既に二十三年の歴史を重ねております。スーパーマーケットでは専用のカートが用意され、そのまま銀行へも出入りができ、ATMも利用できるように配慮されています。
 高齢化が急速に進んでいる我が国においても、このタウンモビリティーの視点が不可欠であります。都の見解と現在の取り組み状況を明らかにしていただきたいのであります。
 第二は、まちのバリアフリー化促進への支援策についてであります。
 タウンモビリティーの導入を妨げている要因は、何といってもまちのバリアフリー化のおくれであります。都においてもバリアフリー化に取り組んでいますが、いまだ駅前広場や公共施設周辺、歩道など限られた地域、いわば部分の整備にとどまっているのが現状であります。地域の総合的なバリアフリー化を促進するための財政面も含めた支援策が必要と考えます。所見を伺います。
 第三に、既存建築物のバリアフリー化についてであります。
 公共空間だけでなく、商店街や映画館、劇場などの人の出入りが多い公共的建築物のバリアフリー化が進まなければ意味がありません。特に、高齢者や障害者が利用する可能性が高い商店や銀行、郵便局などのバリアフリー化が強く求められています。したがって、既存建築物のバリアフリー化を促進するためのガイドラインをつくるなど、具体的な方策が求められています。所見を伺います。
 第四は、推進体制の整備についてであります。
 都は、バリアフリーの支援策として、高齢者いきいき事業では、区市町村のコミュニティバスに対して支援を行っており、さらに、活力ある商店街事業では、商店街がタウンモビリティーを実施する場合の導入経費の助成を行っています。ところが、現状では、これらの事業がばらばらに行われています。区市町村との連絡会も、年に数回開催されるのみであると聞いております。
 東京で、まちのバリアフリー化とタウンモビリティーの導入を促進するには、関係局との横断的な調整や、区市町村との実質的な協議の場を確保することが重要であります。所見を伺います。
 次に、医療の安全確保について伺います。
 医療の現場では、冷やりとしたり、はっとした事例をインシデント、患者さんにわずかでも悪い結果が生じた事例をアクシデントと呼んでいます。医療事故を未然に防止し、医療の安全性を確保するには、こうした事例を多数収集、分析し、事故予防対策につなげていくことが極めて重要であります。
 東京都は今年五月末に、都立病院のインシデント・アクシデント・レポートの集計結果を、公立病院としては全国で初めて公表いたしましたが、この集計結果の評価をまず明らかにしていただきたいのであります。
 せっかくの貴重なデータも、活用されて初めて意味があります。都立病院では既に医療事故予防マニュアルを作成しているところですが、例えば、今回の集計結果をさらに調査、分析し、その内容を医療事故予防マニュアルの改定版に反映させるなど、医療事故予防対策に積極的に活用していくべきであります。所見を伺います。
 次に、エイズ対策について伺います。
 東京都が平成十四年三月に発表したAIDS患者・HIV感染者の動向によれば、平成十三年の患者、感染者数は三百七十六人で、過去最多と報告されております。また、国レベルの平成十三年エイズ発生動向年報によると、都からの患者、感染者の報告件数が全体の約四割を占めております。
 こうした都内におけるエイズ患者、HIV感染者数の発生状況にもかかわらず、都が平成十三年一月に発表した、健康に関する世論調査の結果からは、エイズに関する都民の関心の低下が読み取れます。これは、今後、感染が急拡大する危険性が非常に高いことを意味します。したがって、改めて意識啓発を図り、感染拡大防止策の確立が不可欠であります。所見を伺います。
 平成十三年の発生動向内訳によると、HIV感染者は、二十代の若者が三分の一以上を占め、青少年への適切な予防啓発の重要性が高まっています。そのための方策として、我が党は、エイズ・ピア・エデュケーションを提案いたしました。都は、平成十三年度において新規に東京都エイズ・ピア・エデュケーション事業を開始し、大きな実績と効果を上げております。この事業の充実強化をさらに図るべきであります。所見を伺います。
 次に、補助金の適正執行について伺います。
 前福祉局長が補助金適正化法違反の疑いでさいたま地検に逮捕、起訴された事件は、補助金交付手続のあり方を問うものとして、都庁全体に大きな衝撃を与えました。都政の信頼回復と再発防止の観点から、以下、質問します。
 事件の真相解明については、現在、さいたま地検で捜査中であり、その捜査結果を待たなければなりませんが、知事も所信表明の冒頭で、今回の事件を重く受けとめ、補助金の適正な執行を心がけると述べており、都としても、補助金全体の問題と受けとめ、早急な対応を図るべきであります。
 現在、福祉局では委員会を設置し、早急に結果を取りまとめる予定と聞いております。また、全庁にわたる自己監察の実施、行政監察室による特別監察の実施、監査委員による随時監査の実施、さらに、全庁レベルの連絡・検討組織を設置したところでありますが、重要なことは、このような不祥事を二度と起こさないための、全庁にわたる補助金交付の再点検と選定過程の透明化、そしてチェック体制の強化であります。現時点の検討経過と都の見解を伺います。
 この事件に関連し、同様に公平性、透明性が求められている、公共工事など入札事務について伺います。
 国においても与党三党から、国や地方自治体などが発注する公共事業の入札に関連し、発注者側である官僚の不正行為を排除する目的で、官製談合防止法が衆議院に上程されたところであります。
 従来、政治と金をめぐる一連の事件から、あっせん利得処罰法の強化や入札干渉罪の創設が議論されてきました。このように、受注業者や政治家、さらに国会議員秘書を取り締まる法律は整備されつつありますが、発注者側を規制する法律はないのであります。
 国の法案では、官製談合に関与した場合に責任を問う対象者の範囲を、国や地方自治体の職員だけでなく、特殊法人の職員にも拡大しております。これを参考にして、監理団体を含めた全庁的な点検と、都の職員が不祥事に巻き込まれないよう、官製談合防止のルールづくりが急務であります。所見を伺います。
 関連して、電子入札について伺います。
 公共事業の入札に関連した不祥事が続発し、国や自治体は、公共事業の透明性や競争性の一層の向上を目指し、こぞって電子入札への移行を図っています。IT化の進捗により、この流れが加速することは間違いないと考えます。
 そこで第一に、電子入札制度の導入により公共性、競争性が向上するといわれていますが、不祥事防止を含め具体的な効果を明らかにし、またあわせて、都の導入に向けてのプログラムを示していただきたいのであります。特に、都の登録業者、納入業者等についてはどのような手続を考えているのか、見解を求めます。
 第二に、電子入札制度の一番の課題は、本人を確認するための電子認証であります。この本人確認を間違えれば、重大な過失となります。国土交通省のシステムでは、国土交通省の指定する帝国データバンクが発行するICカードの電子認証書が必要です。ところが、これを取得するのに年間四万五千円もの料金がかかります。都のシステムにおいても電子認証書は必需品であります。したがって、中小企業の負担を軽減する意味で、国の認証システムとの共用を検討すべきと考えます。あわせて、都のシステムの具体的な中身を明らかにすべきであります。見解を求めます。
 第三に、国土交通省の例で見ると、電子入札に応札するには、企業に相当の負担がかかります。先ほどの電子認証書の取得に四万五千円、パソコンの購入費に二十万円程度、電子認証カードを読み込むためのICカードリーダーが約二万円、専用のソフトに千円などが挙げられます。都の登録業者の九〇%は中小企業者であります。負担は決して軽くありません。企業の負担を極力軽くするようなシステムを工夫すべきであります。所見を伺います。
 次に、学校週五日制について伺います。
 家庭での学習時間の減少、読書離れなど、学びからの逃避傾向にある現代の子どもたちに、学ぶ喜びを感じさせ、人類共有の知恵を身につけさせていくことが、教育の果たす大きな役割であります。平成十四年度より移行期間を経て、小学校、中学校、都立高校の学校週五日制が始まりました。学校を離れた地域社会でのさまざまな体験活動により、人間性あふれ、生きる力に満ちた子どもの育成を図ることが強調されています。
 学校週五日制を受けて、国は、全国に約千百のモデル地域を指定して、放課後や週末に、地域住民やNPOなどの協力を得て、小中学生を対象に、学校では学べない知識や体験を身につけるための事業を実施しております。東京都もこの事業を大いに活用していくべきであります。教育長の見解を求めます。
 一方、学習内容の削減により、学力の低下を危惧する声がふえております。区によっては土曜日に補習授業を行うところもあり、都立高校では、全日制課程二百一校のうち六十九校が休日講習を実施している状況であります。学校週五日制に伴う学力問題について、都教委は一定の方針を示すべきであると考えますが、見解を求めます。
 いずれにせよ、学校週五日制をめぐってはさまざまな問題が噴出し、一種の混乱状況を呈しています。したがって、一つ一つの問題点を整理し、その対応策を明確にしていくことが重要であります。小中学校だからといって区市町村の教育委員会に任せるだけでなく、情報の収集や各区市町村の連絡調整役など、都教委の果たすべき役割はあります。所見を伺います。
 次に、都立高校改革についてであります。
 初めに、都立高校におけるIT化の現状は、平成十三年度に実施した文部科学省の調査によれば、教育用コンピューター整備の進捗率は全国でも下位であり、ネットワーク環境等のインフラの整備が喫緊の課題であります。一方、学校教育におけるIT活用の効果として、わかりやすい授業の実現、課題解決型の教育や学校運営の実施、障害のある児童生徒の学習手段の広がりなどが期待されています。
 そこで、授業におけるIT活用を一層進めるため、校内LAN、教師用ノート型パソコン、プロジェクター等のIT関連機器を計画的に整備し、体系的に都立高校におけるIT教育を推進すべきであります。所見を伺います。
 次に、第三次都立高校改革実施計画の策定についてであります。
 この計画は、都民に信頼される魅力ある都立高校の実現を目指すものであり、我が党が提案してきたエンカレッジスクールの創設なども含まれており、一定の評価をするものであります。しかし、最も重要なことは、改革に直接携わる学校現場の教職員の意識改革と資質の向上であります。第三次都立高校改革実施計画においては、ぜひとも学校総体の意識改革と教員の資質向上を実現するためのプログラムを盛り込むべきであります。所見を伺います。
 次に、都立学校の耐震補強対策についてであります。
 予測される大地震から児童生徒の安全を確保するため、震災対策を着実に進める必要があります。都教育委員会では、耐震性に問題がある都立学校六十九校について、平成二十年度を目途に補強工事を完了させる計画でしたが、我が党は、その前倒しを強く求めてきました。このほど、この計画の見直しに着手したと仄聞していますが、方針を明らかにしていただきたい。
 また、耐震補強計画を前倒しするにしても、それまでの間は、耐震性に問題のある校舎を利用することになります。補強工事を施すまでの間、児童生徒や保護者の不安を解消するための対策が必要であります。同様の問題は、都内の多くの小中学校にも存在します。小中学校も含め、都教委の所見を伺うものであります。
 次に、文化・芸術の振興について伺います。
 我が党は、平成十三年第二回定例会で、都内・首都圏に居住する数多くの文化・芸術を志す人々の支援策として、発表の場あるいはパフォーマンスの場を提供する事業を実施すベきと提案いたしました。これに対し、都は今年度より、都立公園や都の公共施設空間などを利用してパフォーマンスの場を提供する、ヘブンアーティスト事業をスタートさせました。これに対して、限られた期間にもかかわらず、多数の応募者があったと聞いていますが、これは関係者の期待の高さを物語っております。
 そこで、今回の募集状況などを分析して、提供する場所や募集期間など、拡大を図るべきと考えます。所見を伺います。
 次に、食品の安全確保に関して伺います。
 昨年のBSE問題に端を発して、食肉の表示偽装事件など、食の安全が脅かされる事件が相次いでおります。食品が国境を越えて流通している中で、こうした事件を未然に防止し、都民・消費者の不安に的確にこたえていくためには、なお一層の監視、指導を徹底することが重要であります。都においては、これまでも調査、監視体制を充実させてきたところですが、今後さらに体制を強化し、それら結果を都民に迅速に情報提供していくべきと考えますが、所見を伺います。
 一方、国においては、食品安全を担う新執行組織を発足させることが決定しました。食品関連法規を抜本的に改正するために、既に包括的法案の検討や食品表示の改正作業にも着手しています。したがって、都においても、国に先行する取り組みが必要であります。
 現在、都の食品衛生行政は、食品衛生調査会、消費生活対策審議会、食品保健懇話会で審議、検討が行われていますが、今後は、調査、審議を幅広く行うため、既存調査審議機関の機能を整理再編し、食品安全に関する強力で新たな提案などができるようにすべきと考えます。所見を伺います。
 最後に、三宅島噴火災害対策について伺います。
 三宅島においては、火山性ガスは減少傾向にあるものの、いまだ多量の放出が続いており、村民の避難生活はさらに続くものと考えられます。三宅島では、災害復興基本構想並びに計画を策定するなど、早期の災害復旧と復興に向けて着実に準備を進めております。島民の避難生活を支援し、一日も早い帰島実現に向けての取り組みが重要であります。
 去る五月十六日に開催された衆議院災害対策特別委員会において、三宅島噴火災害についての質疑が行われ、その際、三宅島噴火災害対策に関する件が決議されました。この決議に沿って、次の二点について質問いたします。
 第一は、生活支援策の充実についてであります。
 三宅島村民は、島を離れて間もなく二年になろうとしており、避難生活は、生計の困難、コミュニティの分散など、ますます厳しい状況となっております。特に生活困窮者等に対しては、生活保護法の弾力的運用を国に要請するなど、都としても対策を講じるべきであります。所見を伺います。
 第二は、短期滞在施設の整備についてであります。
 都は、三宅村と協力して村民の一時帰宅を行い、この四月からは、週一回、日帰り帰宅を実施しております。その際に、村民が被害状況の把握や財産に対する保全措置などを行うとすれば、島に滞在する時間の延長がどうしても必要となります。大量のガスが噴出する中での長時間の滞在となれば、ガス対策を十分に施した退避用施設が必要となってまいります。したがって、都は、村民が一時帰島した際に退避と短期滞在ができる施設を早急に整備すべきであります。所見を伺います。
 以上をもちまして私の代表質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 曽雌久義議員の代表質問にお答えいたします。
 最初に、ワールドカップの印象であります。
 その前に、議運理事会のいきなお計らいに感謝いたしますが、結果は、無念残念でございました。
 どうもやっぱりちょっと最後の詰めが、日本はよろず甘いような気がいたしますね。日本の持っているいろいろな意味でのポテンシャル、力はあるんだということをサッカーチームが示してくれたのは結構なんですけれども、やっぱり試合は勝たなくちゃなりませんから、そこが一つ残念でございました。
 次いで、首都移転の問題についてでありますが、これまでもさまざまな活動を展開してまいりました。議会の協力も得て、この首都移転の不当性を強く訴えてきましたが、その中で、明言したように、五月中に候補地を一つに絞って、それで、その上で東京との比較考量をするというんですけど、どこかへ行ってしまって、いまだに、どういう結論を出すのか、その方式も定かでございません。議長の下に設置されることになっている協議機関がいまだに設置されませんで、先行きは依然として不透明であります。
 小泉総理も先回、どういう会合でですか、記者団の質問に答えまして、自分の在任中は首都移転を考えないというようなことをいっていたそうですけれども、小泉総理の唱えていることは、構造改革と経済再生でありまして、その二つの大眼目に合致しないからやめたということであります。これは、小泉さんの在任中に構造改革果たして一〇〇%、経済再生も一〇〇%できるかどうかわかりませんが、いずれにしろ、現総理も、みずから主唱する構造改革と経済再生のためにはならないがゆえに――変な話だけど、総理自身はもともと移転論者だそうでありますが、現実には、首都移転は自分の在任中は行わないということで、これまたわかったようなわからないような話ですが、いずれにしろ、我々は総力を挙げてこの愚かなプロジェクトは阻止しなくてはならないと思っております。
 次いで、税源移譲の早期実現についてでありますが、前に申しましたように、これは、まさに皆さんにも参加していただいて運営しております都の税務調査会の建言どおりのことを、片山大臣も口にしました。
 ただ、外形標準課税というのは、いうに易しく行うに難しくて、特に東京が行ったものとは大分違いまして、これは前から、通産、大蔵が非常に反対したものでありますが、それが突然また焦点にはなっているようですけれども、果たして、どの時点でどういう形で実現するか、まだまだおぼつかないところがございますが、いずれにしろ、ご指摘のように、時をとらえ場所をとらえて、総理にも、担当の大臣にも、直接建言を続けていきたいと思っております。
 次いで、特定の地域における環境対策についてでありますが、今回の環境影響評価制度の改正において、高層建築物の規模の見直し等の対象となる特定の地域は、都心、副都心、都市計画法に規定する高層住居誘導地区及び都市再生特別措置法に規定する都市再生緊急整備地域を予定しております。
 改正によって対象外となる高層建築物であろうとも、やはりアセスメント制度の適用の有無にかかわらず、電波障害、日影、風害については、引き続き、先ほど申しました都市計画や建築行政の手続において、環境への配慮を十分強く指導していくつもりでございます。
 また、同様に、環境確保条例に基づきまして、工事中の騒音、振動等についても、規制指導するつもりでございます。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) 教育に関します七点の質問にお答え申し上げます。
 まず、ものづくりにかかわる体験学習などの施策の推進についてでございますが、子どもたちが、ものづくりの体験を通して、科学的な見方や考え方を習得し、生活と技術とのかかわりについて理解を深め、望ましい職業観、倫理観を身につけていくことは、極めて重要なことでございます。
 多くの学校では、総合的な学習の時間や特別活動等におきまして、企業との連携のもとに、ものづくりの体験や就業体験の実施など、ものづくりに関する教育を推進しております。具体的には、中学校の総合的な学習の時間におきまして、地域のものづくりの技能者、技術者の協力を得て、木工製品や金属加工製品を製作したり、地域の伝統工芸品づくりを行うなどの体験学習を行っております。
 今後とも、都教育委員会としましては、産業労働局と連携を図りながら、技術専門校の指導員を講師とする、ものづくり体験学習を実施したり、職場体験学習の事例の中に、新たにものづくりに関する内容を取り入れた啓発資料を作成、配布したりするなど、ものづくりに関する教育を一層推進してまいります。
 次に、学校週五日制を受けた国の事業の活用についてでございますが、都教育委員会としましては、子どもたちが主体的に生きる力を身につけるために、多様な体験活動等を充実することが必要であると認識いたしております。
 ご指摘のように、国は、子ども放課後・週末活動等支援事業を今年度から始めたところでございまして、都教育委員会としましても、この事業を活用して、青少年育成団体やNPOの関係者の参加を得て推進協議会等を設置し、みずからモデル事業を実施しますとともに、体験活動の機会や活動プログラムの情報提供を行うなど、区市町村が実施するモデル事業の支援に努めてまいります。
 次に、学力問題についてですが、これからの児童生徒に求められる学力は、知識の量のみではなく、みずから学ぶ意欲、思考力、判断力、表現力などを含めたものとして考える必要がございます。
 そうしたことから、新学習指導要領は、基礎的、基本的な内容の確実な定着や、みずから学び、みずから考える力などの、生きる力をはぐくむことをねらいとしているところでございまして、このねらいに基づき、教育課程を適正に編成、実施することにより、児童生徒に確かな学力を身につけさせることができるものと考えております。
 都教育委員会としましては、これまでも、教育課程説明会や教員研修等を通して、これらの趣旨の徹底を図ってきたところでございますが、今後とも区市町村教育委員会と連携しまして、各学校が、新学習指導要領のもとで、基礎的、基本的な学力の向上を図るよう支援してまいります。
 次に、学校週五日制に対応した区市町村への支援についてでございますが、都教育委員会は、これまで独自に、小中学校における基礎的、基本的な学力の定着度を調査しますとともに、習熟度別学習等の少人数授業のための定数改善を図ってまいりましたが、今年度から、これに加えまして、小中学校において、大学生をティーチングアシスタントとして学習指導の補助に活用するモデル事業を実施しております。
 また、区市町村教育委員会等を対象に、教育課程の編成状況についての調査や、確かな学力向上のための特色ある取り組みについての情報交換を行ってまいりました。
 さらに、学校外の子どもの活動を支援するため、平成十二年度に、完全学校週五日制対応行動プランを策定いたしまして、さまざまな体験活動の機会と場の充実に努めるとともに、活動の実態等の情報提供に取り組んできたところでございます。
 今後とも、広域的な立場から、学校週五日制に対応した区市町村支援の充実に努めてまいります。
 次に、ITを活用した教育の推進についてですが、学校教育におけるITの活用は、児童生徒の学習意欲を高め、学習への主体的な取り組みを促進するなどの効果が期待できます。
 都教育委員会は、現在、都立学校におきまして、日常的にITを活用した教育を行うため、校内LAN、教師用ノートパソコン、プロジェクター等の整備計画の策定に向けて検討を進めているところでございます。
 また、本年秋に都立高校改革推進計画の新実施計画を策定する際に、都立高校の中から、ITを活用した教育推進校を指定しまして、パソコン教室だけではなく、普通教室でも、すべての教科でITを積極的に活用した教育を行うことを検討いたしております。
 今後、IT活用能力の向上を図る教員研修や、IT専門家の派遣などを実施しまして、ITを活用した教育を体系的に推進してまいります。
 次に、学校全体の意識改革についてでございますが、都立高校の改革推進に当たりましては、生徒の教育に直接携わる教員の意識改革と資質向上を図ることが何よりも大切であると考えております。
 現在、都教育委員会は、人事考課制度や学校運営連絡協議会における外部評価の導入、教員の社会体験研修や進学対策のための教科研修の実施等、教員の意識改革や資質能力の向上のための取り組みを行っておりますが、こうした取り組みを充実をし、本年秋に策定予定の新実施計画に、教員の意識改革と資質向上を一層図るための施策とともに、都立高校が自律的に改革を進めるため、計画、実施、評価を行うマネジメントサイクルの仕組みを導入した学校経営計画を策定する一方、学校の財務状況を明らかにするバランスシートを作成し、都民に公表することを盛り込んでいく予定でございます。
 さらに、校長の経営方針に基づき、学校の自律的な運営が可能となるよう、校長の裁量が発揮できる弾力的な予算執行の仕組みの導入についても検討してまいります。
 最後に、都立学校の耐震補強計画の見直しと児童生徒や保護者への対応についてですが、都教育委員会は、耐震性に問題のある学校の補強工事を計画的に進め、平成二十年度の完了を目指してまいりましたが、今回、事の緊急性にかんがみ、盲・聾・養護学校を優先とした上で、平成十八年度までに完了させるよう見直しを行ったものでございます。
 また、耐震性に問題のある学校に対しましては、避難誘導体制の見直しや書庫等の転倒防止策などの再点検、災害発生時における連絡体制の再確認を徹底したところでございまして、これを受けまして、各学校におきましては、児童生徒や保護者に対し、校舎等の状況や震災対策の取り組みについての説明会を開催しているところでございまして、今後さらに、都立学校の震災対策についての保護者向けリーフレットを作成し、配布する予定でございます。
 また、小中学校におきましては、設置者でございます区市町村が国の助成制度を活用して、適切に対応していくよう、指導助言をしますとともに、学校の震災対策がより一層促進されるよう、国に対しまして助成制度の拡充を強力に働きかけてまいります。
   〔環境局長赤星經昭君登壇〕

○環境局長(赤星經昭君) 環境影響評価条例改正案提出の経緯についてお答え申し上げます。
 まず、計画段階環境影響評価制度につきましては、平成五年に検討を開始いたしました。都市計画道路におきます制度の試行や、環境影響評価審議会での検討、また早期導入を求める多くの声にこたえまして、今回条例改正の提案に至ったものでございます。手続及び対象規模につきましては、これまで二十年の実績に基づく知見を整理し、見直したものでございます。
 また、都市再生特別措置法が、本年三月に制定、六月に施行されました。同法に基づきます民間事業者の都市計画提案は六カ月以内に処理されることになり、さらに、都市再生緊急整備地域が七月にも指定される見込みとなりました。この都市計画提案の環境影響を適切に評価するため、アセスメント手続を都市計画手続に先行して実施するための改正も緊急に行う必要に迫られました。
 このような状況のもと、都議会第一回定例会におきます質疑、都民、関係団体の意見を踏まえますとともに、条例の内容及び高層建築物の規模、特定の地域の範囲等、規則に及ぶ事項につきましても、全力を挙げて考え方を整理し、庁内での議論を積み重ねてまいりました。しかし、関係条文も多数に及び、それらの調整にも時間を要し、直前の提案に至ったものでございます。都議会への説明が、ご指摘のように直前になりましたことは、まことに申しわけなく思います。ご理解のほどをよろしくお願い申し上げます。
   〔都市計画局長木内征司君登壇〕

○都市計画局長(木内征司君) 二つの質問にお答えします。
 まず、都市開発と地域住民への配慮についてのお尋ねでございます。
 これまで、特定街区など都市開発諸制度の運用におきまして、緑地や広場の確保など、地域環境の改善に努めてまいりました。また、高層建築物に伴って発生する電波障害などの問題については、建築指導行政の一環として、事業者にその対応を義務づけ、近隣関係住民への説明や関係者間の協議を促すことにより、調整が図られてきたところでございます。
 今後とも、住民の声を聞きつつ、良好な地域環境の形成を目指し、都市開発を進めてまいります。
 次に、既存建築物のバリアフリー化についてでございます。
 現在、国会で審議中のいわゆるハートビル法の改正案では、デパート、病院などの特定建築物についてバリアフリー化が義務づけられ、また既存建築物であっても、新たに出入り口の修繕、模様がえを行う場合には、努力義務が課されることになります。
 都といたしましては、昨年七月から既存建築物に新たにエレベーターを設置する場合などに、容積率を緩和することとしたところでございます。また、小規模な既存店舗等についても、事業者団体などと協力し、段差解消等のハード対策と、人的介助等のソフト対策を含むガイドラインの策定に既に着手しております。
   〔産業労働局長浪越勝海君登壇〕

○産業労働局長(浪越勝海君) 中小企業対策及び障害者雇用等に関します六点のご質問にお答えを申し上げます。
 まず、金融機関にもリスクを求める新たな無担保無保証人による融資制度の創設についてでございますが、現行の無担保無保証人融資制度について、昨年十一月に融資限度額の引き上げを行うなど、一層の利用促進に努めているところでございます。
 お尋ねの新たな融資制度の創設については、中小企業の返済能力、資金需要の実態、リスクを負担することについての各金融機関等の意向などを把握しながら、さまざまな角度からの十分な検討を行わなければなりません。その結果を踏まえ、国への提案要求を行うことも含めた幅広い検討が必要であると考えています。
 次に、中小企業制度融資預託金の保護についてでございますが、中小企業対策の推進に当たっては、今後とも資金供給を担う制度融資の安定的な運営が欠かせないと考えています。そのためには、平成十五年四月からのペイオフ完全実施に向け、金融機関の破綻危険性を回避するとともに、中小企業が利用しやすいように、なるべく多くの金融機関に預託するという二つの要件を満たすことが必要であります。
 現在、普通預金での預託を実施しておりますが、預託金をペイオフの対象外とするなど、抜本的な保護策を講じるよう、国へ提案要求してまいります。
 次に、ものづくりを支える人材の育成についてでありますが、ものづくりの大切さを次代を担う若者に伝えていくことは、東京の産業の維持、発展のために重要であります。これまでも、高度熟練技能の継承を目的として、大田技術専門校で、東京ものづくり名工塾大田を開塾したり、小学生を対象とした夏休み工作教室を実施するなど、ものづくりの体験実習を行ってきたところでございます。本年度は、立川技術専門校でも名工塾を実施するほか、新たにものづくり教育支援プログラムとして、子ども技能塾や工業高校生向け実習講座を開設することとしました。
 これらのことを通じて、より一層、ものづくりを支える人材の育成に努めてまいります。
 次に、障害者の雇用の促進についてでありますが、障害者の雇用対策は、基本的には国の役割でありますが、都としても、地域の重要な課題と受けとめ、雇用の場を広く確保するため、さまざまな取り組みを行ってきました。
 既に、指名競争入札に際し、障害者多数雇用企業を優先指名できる制度や、第三セクター方式による重度障害者雇用モデル企業の育成などを推進しているところです。さらに、今年度は、国が新たに設けた地域求職活動援助事業を活用し、地域の企業と協働した職場体験実習や、合同就職面接会などの就職支援を開始します。
 今後とも、国はもとより関係機関とも密接に連携を図りつつ、障害者雇用の促進に一層努めてまいります。
 次に、ジョブコーチについてでございますが、障害者の雇用促進を図るためには、職場適応や職場定着をきめ細かく支援していくことが重要であります。このため、人的支援を行う制度として、今年度から国においてジョブコーチ事業が開始されることとなっています。
 都としても、この事業が、特に知的障害者や精神障害者の就労支援に有効であり、その活用を通じて企業の障害者雇用に対する理解も一層深まると考えており、企業等に対し、制度の普及に努めてまいります。
 最後に、ファミリー・サポート・センターについてでございますが、ファミリー・サポート・センターは、地域での子育ての相互援助組織として重要な役割を果たすものと考えています。都はこれまで、運営費補助やアドバイザー研修会の開催、区市町村に対する助言指導などにより、設置促進に努めてきたところでございます。
 お話しの三十区市に加え、平成十四年度に新たに六区市での設置を予定しており、今後ともさまざまな機会をとらえ、多くの区市町村に設置されるよう積極的に働きかけてまいります。
   〔福祉局長前川燿男君登壇〕

○福祉局長(前川燿男君) 福祉行政につきまして、九点のご質問にお答えを申し上げます。
 まず、区市町村障害者就労援助モデル事業についてでありますが、この事業は、障害者の就労機会を拡大するとともに、障害者の方々が安心して働き続けられるよう、区市町村に就労支援と生活支援のための担当者を配置し、就労と日常生活に関する相談、助言、指導などの支援を一体的に提供するものであり、平成十三年度末現在、七カ所においてモデル事業として実施をいたしております。今後、早期の本格実施を目指し、事業の効果的、効率的な実施方法等についての検証を行いながら、平成十六年度までに二十カ所への拡大を図ってまいります。
 次に、支援費制度に関する情報提供についてでありますが、支援費制度とは、これまでの行政による措置制度にかえて、利用者が事業者と対等に契約を結び、サービスを利用するという利用者本位の新しい仕組みでございます。
 お話のとおり、利用者が制度の趣旨や仕組みを十分に理解し、安心して利用できるよう、きめ細かな情報提供が求められております。都としては、これまでも「広報東京都」等を通じ情報提供に努めてまいりましたが、今後とも、制度の利用の仕方等について、実際に支援費を支給する区市町村とも協力しながら、障害の特性に配慮したわかりやすい広報活動を行ってまいります。
 また、都独自に事業者情報システムを構築し、利用者や区市町村に対し、事業者の情報をきめ細かく提供することで、利用者の選択に役立ててまいりたいと考えております。
 同じく、障害者の方々への福祉情報の提供についてでありますが、都は、現在、福祉情報を総合的、一体的に提供する福祉情報総合ネットワークの構築を進めておりますが、この仕組みが障害者の方々にとって有効に機能するためには、必要な情報を容易に入手できる具体的な手だてを講じることが、ご指摘のとおり不可欠でございます。
 こうした観点から、システムの開発に当たりましては、視覚障害者の方々のため、音声によってホームページの文字の聞き取りができる機能や、自分に合った文字の色や大きさを選べる機能を、肢体不自由者の方々のためには、ワンタッチで操作できる方式をそれぞれ採用し、障害者の方々が容易に情報にアクセスできるよう工夫を行っていく方針でございます。
 今後、平成十五年度の本格実施に向け、システム開発完了後できるだけ早い時期に、障害者の方々に実際に使っていただく試行を実施してまいります。
 次に、身体障害者補助犬法についてでありますが、この法律は盲導犬、介助犬及び聴導犬を身体障害者補助犬として明確に法に位置づけるとともに、障害者の方々がこれらを同伴して利用する場合、各種施設に受け入れを義務づけるなど、ご指摘のとおり、障害者の自立と社会参加を促進する上で重要な意義を有するものでございます。
 今後、都としても、法の趣旨、内容について都民の理解を深めるため、「広報東京都」への掲載を初め、ホームページによる情報提供など、さまざまな広報媒体を通じ、積極的な普及啓発に努めてまいりたいと考えております。
 次に、子ども家庭支援センターについてでありますが、都は、地域の子育てを支える都独自の総合的な拠点として、子ども家庭支援センターを全区市町村に設置する方針であり、運営経費の補助に加え、児童虐待防止ネットワーク事業などへの支援を行っております。現在、三十六カ所設置、運営されておりますが、センターの機能充実のためには、そこで働く職員の幅広い知識の涵養や実践的なケースワーク能力の向上など、専門家としての力量を高めることが課題となっております。
 このため都は、ご指摘がありました相談事例集の発行あるいは児童相談所との事例検討会の開催等に加え、今年度から新たに児童相談所との人事交流、都における専門研修への参加、派遣研修生の受け入れなどを実施してまいる方針でございます。
 次に、タウンモビリティーについてのお尋ねでございますが、いわゆるタウンモビリティーとは、高齢者や障害者の方々が、市街地で車いすや電動三輪車等、電動スクーター等を借りて、介助者に付き添ってもらい、買い物などをするシステムを指しておりますが、これまで国内では岡山市や松山市、武蔵野市などで実験的に取り組んだ例がございます。高齢者や障害者の方々が商店街などで自由に行動し、社会参加できる仕組みとして有意義であると考えております。
 関連して、地域の総合的なバリアフリー化についてでございますが、ご指摘がありましたように、地域におけるバリアフリー化につきましては、駅や公共施設だけでなく、面的な整備を進めることが重要であり、都は、平成十年度から区市町村を支援する福祉のまちづくり地域支援事業を実施いたしております。
 さらに、福祉改革の一環として、五カ年にわたるバリアフリー化緊急整備事業を計画化し、この中で、この地域支援事業につきましては大幅に予算を増額し、重点的、集中的に取り組んでおります。今後とも、区市町村との連携を密にしながら、地域単位の総合的なバリアフリー化を積極的に推進してまいります。
 関連して、バリアフリー化とタウンモビリティーの導入の促進についてでございますが、いわゆるタウンモビリティーを導入するためには、自宅からバス停、駅周辺までの移動経路や商店街の街路、駐車場など、地域単位でバリアフリー化が実現されていることが望ましいわけであります。また、地域の商店街など、地域住民の方々の自発的な取り組みが必要でございます。
 ご指摘がありましたとおり、両事業とも都の支援策が用意されており、これらを組み合わせることで総合的な取り組みが可能であります。関係局との連携や区市町村との協働に努め、総合的な福祉のまちづくりを推進していきたいと考えております。
 最後に、三宅島避難島民の方々に対する生活支援についてでありますが、三宅島島民の方々は避難が長期化する中、就労努力を基本に多くの世帯で自立した生活を営まれており、東京都もこれまで住宅の無償提供を初め、自立への努力を支える種々の支援策を実施してまいりました。
 この二月には、支援の万全を期すため、都として訪問調査を実施いたしましたが、それによれば、生活に困窮する世帯が、高齢者世帯を中心に三百世帯程度あるものと推計をされております。
 ご指摘ありましたとおり、こうした困窮世帯への支援が重要な課題であり、都としては、災害保護の観点から、帰島後の生活再建に備えて、できる限り多額の預貯金の保有を認めながら、生活保護の積極的な適用を進めてまいりたいと考えております。
 既に三宅村とも協力をして、災害保護の趣旨の周知徹底に努めるとともに、預貯金の保有枠の拡大を国に対して要望をいたしました。また、今月に入って生活に困窮していると想定される全世帯を対象に、都職員を動員した特別相談を実施したところであり、これに加え、近日中に三宅支庁とも連携し、保護事務を担当するケースワーカーを増強する予定でございます。
 今後とも、これらの結果を踏まえてきめ細かな生活支援に努めてまいります。
   〔病院経営本部長櫻井巖君登壇〕

○病院経営本部長(櫻井巖君) 医療の安全確保に関する二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、都立病院のインシデント・アクシデント・レポートの集計結果に対する評価についてでございます。
 この制度は、幅広くリスクの傾向等を把握することを目的としているため、各都立病院から多くの報告があり、全国の公立病院で初めて公表した今回のレポートの総数は、一年間で約一万四千五百件に上ってございます。このことは、各都立病院におきまして、ささいな事例であっても積極的に報告し、その分析を通じて事故予防活動に取り組むという姿勢が、職員の間に定着してきたあらわれであると認識してございます。一方、レポートには、職員の不注意に起因する事例や、場合によっては事故につながりかねないヒヤリ・ハット事例もあり、引き続き医療事故防止に向け、真摯かつ不断に取り組んでまいります。
 次に、このレポートの活用についてでございます。
 今回の集計結果を踏まえ、ご指摘の医療事故予防マニュアルの改定や医療従事者の研修の強化など、都立病院全体のリスク傾向に対応した効果的な医療事故予防対策の一層の充実を図ることによりまして、東京発の医療改革が掲げている安心できる医療を強力に推進し、都立病院に対する都民の信頼確保に万全を期してまいります。
   〔健康局長今村皓一君登壇〕

○健康局長(今村皓一君) 保健医療に関連して四点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、エイズに対する都民への意識啓発についてでございますが、感染急拡大という事態を受けて、この状況を正しく認識し、感染拡大をみずからの問題として考えていただくことが重要と考えております。
 このため、本年度の事業計画は、HIV感染急拡大の防止を主要課題として策定をしており、従来の普及啓発事業に加えて、近隣県や政令指定都市と連携した新たなキャンペーンの実施を予定しております。また、感染者の増加傾向が見られる青少年などに重点を置いた、きめ細かな感染拡大防止策についても、早急に検討を進めてまいります。
 次に、エイズ・ピア・エデュケーションについてでありますが、昨年度は高校、短期大学等八校で延べ十一回実施し、延べ九百二十四名が受講いたしました。受講した青少年がエイズをみずからの問題としてとらえ、また予防行動への動機づけの機会となるなど、この事業の高い効果が示唆されております。
 このため、今年度は多様なプログラムの実例を取り入れたマニュアルを作成し、民間ボランティア団体等がみずから効果的に予防に取り組むことができるよう、エイズ・ピア・エデュケーション事業の充実強化を図ってまいります。
 次に、食品に対する監視体制と情報提供についてでございますが、都は食の安全、安心を確保するため、本年二月の食肉表示偽装事件に対しては、健康局と生活文化局が連携して、立入調査を実施するとともに、現在違反が多発している中国産農産物等の輸入食品についても、都と区が協力いたしまして、重点的な監視、指導を実施しております。また、それらの結果等につきましては、その都度、報道機関等を通して迅速な公表を行っております。
 今後とも、都民の食生活の安全を確保するため、迅速かつ効率的な監視、指導や情報提供に努めてまいります。
 次に、食品にかかわる調査審議機関についてでありますが、食品衛生調査会及び消費生活対策審議会は、その時々の重要課題について専門的立場から審議を行い、行政の指針となる答申を行ってきております。また、食品保健懇話会については、消費者とのリスクコミュニケーションの場として、大きな役割を果たしております。
 昨今、食品の安全性に対する信頼を揺るがす事件が続発しているところでもあり、今後、ご指摘のように、各調査審議機関の情報連絡を一層密にするとともに、これら機関の機能を積極的に活用いたしまして、都民の食の安全に対する信頼を確保してまいりたいと考えております。
   〔総務局長大関東支夫君登壇〕

○総務局長(大関東支夫君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、特別養護老人ホームの補助金にかかわる事件についてでございます。今回の事件につきましては、東京都といたしまして大変重く受けとめておりまして、補助金の適正な執行を確保する上で、選定過程の透明性やチェック機能の充実が重要であるという、ご指摘のとおりだと考えております。
 現在、全庁を挙げて補助金関係事務の点検を実施し、問題点の洗い出しや改善策の検討に着手しております。各局の自己監察、行政監察室の特別監察、監査委員の随時監査等につきましては、七月末までには終了することとなっておりまして、これらの結果を踏まえた上で、補助金執行の一層の適正化に向け、透明性の確保、それからチェック機能の実効性、服務管理の徹底等の観点から、都としての具体的な改善策を取りまとめ、速やかに実施に移していきたいと考えております。
   〔財務局長安樂進君登壇〕

○財務局長(安樂進君) 契約に関する四点の質問にお答えいたします。
 初めに、官製談合防止のルールづくりについてでありますが、現在、国会で審議中の法案にいう官製談合とは、職員が予定価格などの入札・契約情報を特定の者に教えたりして、談合に関与することをいうとされております。
 東京都では、従来から談合の起こりにくい制度の整備に努めてきたところであり、本年四月からは、工事の全入札案件について予定価格を事前公表することとしております。さらに、談合の温床となる可能性のある入札参加者がお互いに接触する機会をなくすため、現場説明会の廃止や、入札前に入札参加者の名前を公表することをやめるなど、制度全般にわたって改善を行ったところであります。
 今後は、ご指摘の点を踏まえまして、共同企業体に発注する工事契約における自主結成方式の拡大や、談合を行った事業者、関係者への罰則の強化、さらに設計コンペなどによる契約相手方の決定過程の情報公開など、入札・契約事務にかかわる不正行為の防止のため、制度の整備に引き続き努めてまいります。
 次に、電子入札の導入による具体的な効果についてでありますが、電子入札は業者登録から入札までの一連の手続をインターネットによって行うもので、一々来庁する手間なども省けることなどから、業者の利便性が格段に向上すると考えております。また、入札参加者の拡大により競争性が向上し、落札価格の低下が期待できます。さらに、入札に関する業者間の接触が最小限に制約されることなどから、談合などの不祥事が起こる機会が大幅に減少すると考えております。
 電子入札導入の今後の予定でありますが、十月から、物品関係の入札参加の資格申請をインターネットによって行います。十二月からは、これを工事関係にも広げてまいります。その際、パソコンにふなれな人や、さまざまなトラブルの解決を支援するために相談窓口を設ける予定であります。本年度後半からは、電子入札の実証試験を行った上で、平成十五年度の早い時期に、財務局が発注する大規模工事について電子入札を実施し、平成十六年度には各局が発注する工事に実施範囲を拡大してまいります。
 次に、国の認証システムとの共用についてでありますが、電子入札は人と人が対面することなく、すべてインターネットを通じて入札手続を行うため、本人を確認するための電子認証が不可欠となっております。現在稼働している国土交通省の認証システムは、認証業者が帝国データバンクの一社に限定されているために、利用料金が独占的になり、高いという批判が出ております。
 今後は、認証業務に参入する企業がふえ、料金も競争になっていくと思われますので、東京都のシステムをつくるに当たりましては、安い認証業者の選択が可能となるように、検討を現在進めているところであります。
 また、国の認証システムを東京都が共用できれば、利用者は新たに認証を取得する必要がなくなりますので、現在、システムの共用を国と協議しておりまして、近く結論が得られる予定であります。
 いずれにいたしましても、七月末をめどに具体的なシステムの内容を決定したいと考えております。
 最後になりますが、電子入札に参加する企業の負担についてでありますが、電子入札が導入され、軌道に乗った暁には、一連の手続がインターネットによって行えるようになり、業者の負担は大きく軽減されると考えております。しかし、システムを導入した当初は、予測できないトラブルや、ふなれな作業などによりまして、利用者に無用な負担がかかることが予想されますので、なるべくそういうことのないように、また、使用するパソコンなども余分な経費のかからない一般的、汎用的なもので済むように、わかりやすく簡便なシステムの設計を心がけてまいります。
   〔総務局長大関東支夫君登壇〕

○総務局長(大関東支夫君) 答弁漏れがございました。イエローカードで申しわけありません。
 三宅島一時帰島の際の退避や短期滞在のための施設の整備についてでございます。
 お話のように、村民が島に残してきた住宅等の財産を保全したいというお気持ち、これは十分承知しているわけでございます。しかし、いまだガスが大量に放出されている状況で、村民が島に滞在するとなりますと、お話のような短期滞在等のためのクリーンハウスの整備が必要となってまいります。
 この施設の整備に当たりましては、帰島後も避難施設として利用できる、ある程度恒久的なものが効果的と考えておりまして、現在、活動火山特別措置法に基づく避難施設として今年度中に整備できるよう、国と協議中でございます。
   〔生活文化局長高橋信行君登壇〕

○生活文化局長(高橋信行君) ヘブンアーチストについてでありますが、ヘブンアーチストは、次代を担う若手アーチストが、都立公園や広場、都営地下鉄、歩行者天国などの公共空間を舞台としてパフォーマンスや音楽演奏を行い、文化の創造に挑戦するもので、この事業を通じまして、商店街のにぎわいなど地域の活性化、また、東京のまちから芸術文化が育っていくことを目的としております。
 先般、募集を行いましたところ、音楽部門、パフォーマンス部門、合わせて約六百五十組の応募があり、芸術活動を行う人たちの強い意欲を示すものと受けとめております。
 今後、さらに多くのアーチストの参加を図るため、本年度の実施状況を踏まえ、募集期間や活動場所の拡大について検討してまいりたいと思っております。

○副議長(橋本辰二郎君) この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後八時十八分休憩

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