平成十四年東京都議会会議録第八号

   午後一時開議

○議長(三田敏哉君) これより本日の会議を開きます。

○議長(三田敏哉君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(三田敏哉君) これより質問に入ります。
 九十一番古賀俊昭君。
   〔九十一番古賀俊昭君登壇〕

○九十一番(古賀俊昭君) 平成十四年第二回都議会定例会に当たり、私は、東京都議会自由民主党を代表して、現下の都政の重要課題について質問をいたします。
 質問の前に、都政にかかわる三つの懸案について申し上げます。
 まず、銀行業に対する外形標準課税訴訟ですが、去る三月の一審判決では、事業税を応能原則に基づく税であるとするなど、数々の誤りがあります。特に問題とすべきは、知事や主税局長の説明を受けて都議会議員が判断を誤った、あるいは誤った認識を抱いて、慎重かつ専門的な検討を経ないまま違法な条例の制定に至ったと、都議会を侮辱するような表現が見受けられることであります。
 我々は、行政の恩恵を受けながら事業税の負担を免れている銀行業に応分の負担を求めるため、合憲、適法な条例を十分審議を尽くした上で可決したものであり、判決の指摘はまことにもって承服しがたいものです。
 我が党は、地方自治体の課税自主権を確保するために、勝訴するまで全力を注いでまいります。
 次に、首都移転問題についてであります。
 我が党は、都民への訴えかけはもとより、各県連や、暗愚で頭の不自由な国会議員への働きかけなど、あらゆる手だてを講じて、国会における移転問題を包囲、粉砕する活動を繰り広げてまいりました。
 去る五月二十一日には、当初の予定を大幅に上回る三千余名が参加した総決起大会も敢行し、首都移転という希代の愚行の息の根をとめるべく、我々、移転反対の不退転の決意を全国に示したところであります。
 このような取り組みが功を奏し、候補地の絞り込み期限とされていた先月末、衆議院の国会等の移転に関する特別委員会は機能不全に陥り、候補地の選定を断念するという事態にまで追い込んだのであります。
 今、我が国がなすべきことは、二十兆円もの巨費を投じる壮大なむだ遣いと、大規模な自然破壊をもたらす首都移転の亡霊を打ち払い、日本の牽引車である首都圏の再生に力を注ぐことであります。
 我が党は、今後とも、国会における首都移転問題の白紙撤回が実現されるまで、引き続き強力にかつ執拗に阻止活動を展開してまいります。
 三つ目は、今般のみずほ銀行の業務混乱についてであります。
 私どもは、さきの第一回定例会において、指定金融機関の指定に関し付帯決議を付して、みずほ銀行の指定に賛成しました。しかるに、今回の不祥事は、東京都の信頼を損なったばかりでなく、世界に対し、日本の金融全般に対する信頼をも失わせる結果となったことは、言語道断であります。みずほ銀行は、世界有数の金融機関として、また、都の公金を取り扱う指定金融機関の役割を改めて自覚すべきです。
 東京都は、国の金融庁の検査体制を上回る陣容で臨時検査を行いましたが、我が党は、その検査結果を速やかに都民の前に明らかにすることを強く要請し、みずほ銀行に対し、検査結果に基づいた的確な措置を求めるものです。
 それでは、質問に入ります。
 まず、ながら条例について、あえて、緊急な課題として冒頭に伺います。
 私は、本年第一回都議会定例会の予算特別委員会の総括質疑において、職員団体のための職員の行為の制限の特例に関する条例、いわゆるながら条例を取り上げました。今をさかのぼること三十六年前、昭和四十一年の社会党が都議会第一党の時代、都職労の議会工作がまんまと功を奏し、東龍太郎知事提案の原案を、地方公務員法で定められた人事委員会の意見も聞かないまま、職員組合の主張どおりに改悪してしまった、条例制定時の経緯や議会審議の状況を総括した上で、質疑を行いました。
 ながら条例については、私が改めて説明するまでもなく、職員が勤務時間中に給与を受けながら組合活動を行うための根拠となる、極めて重要な条例です。勤務時間中の組合活動は、地方公務員法で定められた職務専念義務の例外として認められていますが、都の条例は、適法な交渉に加えて、旧自治省の条例準則では規定していない、職員団体の大会や執行委員会等の準備行為についても条例化していることから、国立市立第二小学校で最初に発覚したごとく、この大甘の条例すら守らず、給料をもらいながらの無届けの違法な組合活動が都内の多くの公立小中学校で堂々と行われていた問題を初め、共産党系組合の教室不法占拠などの職務規律の乱れの問題が生じてきたことについては、さきの予算特別委員会で私が指摘したとおりです。
 また、同委員会での私の質問によって、平成十三年に都庁全体で、ながら条例により職務専念義務を免除した総時間数が約七十五万時間、これを給与に換算した場合には、推定約十九億七千万円に上ることについても明らかになりました。仮に旧自治省の準則どおりに条例を制定していたとすれば、当然この準備行為は給与が支給されないことになり、支払われた金額約二十億円は、都民のための施策に回すことができた税金ということになります。
 私は、現下の深刻な社会経済状況のもと、都財政の健全化に向け、都民の皆さんの理解と納得が得られる都政運営を行っていくために、この勤務時間内の組合活動を正常化することは、まずもって取り組まなければならない最優先課題と考えます。
 いろいろ申し上げましたが、私がいいたいのは、給与を受けながら勤務時間内に組合活動を行うことは、例外中の例外として厳格に運用すべきであり、要するに、ながら条例第二条第一号から「及びその準備」の六文字を削除すべきか否かの一点に集約される、極めて明快な問題だということです。
 これに対し、第一回定例会で総務局長は、東京都を取り巻く社会状況が変化している中、都民の理解が得られるよう、私の指摘の趣旨を踏まえ、今後とも時間内組合活動の見直しに取り組んでいくと答弁されました。
 この問題について、我が党は、都議会の審議の場を通して、今後とも引き続きその動向に注目し、もし都側の対応が鈍い場合には、我々が既に準備を終えている条例改正案の議員提案を、友党とともに早期決断いたします。
 そこで伺いますが、第一回定例会終了後二カ月が経過しましたが、この間のながら条例見直しについての取り組みはどうなっているのか。また、今後、勤務時間内組合活動の見直しについてどのように取り組んでいくつもりなのか。三十六年間の長きにわたって職員組合の横暴と不正を許してきた悪慣行を改めるときが今来たのです。諸悪の根源を、もう見て見ぬふりは許されません。条例所管局長である総務局長の所見をただします。
 次いで、都市再生について質問いたします。
 本年三月二十九日に都市再生特別措置法が成立し、六月一日に施行されました。この法律の施行に伴い、内閣総理大臣を本部長とする都市再生本部が、法律に基づく機関として改めて設置されました。さらに、今後、国は、都市再生基本方針を決定するとともに、都市再生の拠点となる都市再生緊急整備地域を政令で指定するとしています。
 もとより、我が党は、首都東京を、新しい時代にふさわしい豊かで快適な都市として、また、経済活力に満ちあふれた世界都市として再生することが、我が国の再生に大きく貢献すると、再三再四訴えてまいりました。
 知事も同様に、首都圏には、我が国が抱えるさまざまな危機の本質が日本の縮図として先鋭的にあらわれているとして、都市再生の重要性を訴え、昨年、首都圏再生五カ年十兆円計画を提言しました。
 申し上げるまでもなく、東京は我が国の首都として、急速に進む国際化、情報化の中で、世界的な都市間競争に対応しながらも、低迷する我が国の経済を牽引し、さらに、都民のための生活環境の改善や福祉の向上を図るため、元気で魅力的なまちづくりを行っていかなければなりません。
 この法律では、都市再生緊急整備地域を、都市の再生の拠点として、都市開発事業等を通じて緊急かつ重点的に市街地の整備を推進すべき地域と定義していますが、先駆的な都市開発事業が数多く見込まれる東京においては、積極的に地域指定に取り組むことが必要であります。
 知事は、所信表明において、東京駅・有楽町駅周辺地域など七地域を指定すべきと述べましたが、都市再生緊急整備地域指定に当たって、知事の基本的な考え方を伺います。
 次は、これからいよいよ本格化する環状第二号線地区の再開発事業について伺います。
 環状二号線は、都市の骨格を形成するとともに、汐留地区など都心部と臨海部とを結ぶ重要な道路として位置づけられており、早期完成が求められています。環状第二号線地区再開発事業は、この環状二号線の虎ノ門から新橋までの区間を整備する、極めて重要な事業であります。
 そこで、まず、本再開発事業の都市再生に果たす役割について伺います。
 次に、平成十年の都市計画決定以降、都は精力的に、地元の方々を初め関係機関との調整を進めていると思いますが、現在の事業の進捗状況と今後の計画について伺います。
 さて、思い起こせば、環状二号線の虎ノ門から新橋までの部分は、いわゆるマッカーサー道路と呼ばれ、終戦直後の昭和二十一年に都市計画決定されて以降、五十年以上経過してもなお完成に至らない道路であります。平成七年、立体道路制度を活用した再開発手法を導入することで、ようやく事業化の運びとなったという長い歴史があります。
 我が党は、事業の早期完成を強く希望するものですが、一方では、現在の低迷している経済環境など、再開発をめぐる社会経済状況は大変厳しいものがあります。
 そこで、最後に、こうした状況を踏まえ、知事のいう速度重視という観点から、本再開発事業を今後どのように進めていくのか、その取り組みについて伺います。
 次に、都市再生の拠点としての都営住宅や、その敷地の活用について伺います。
 先日、都営南青山一丁目団地建てかえ計画の事業予定者が決まったとの発表がありました。民間の自由な発想による、都心の一等地にふさわしい先例となる重要な計画と聞いています。
 そこで、まず、今回選定された事業予定者の提案の特色を伺います。
 東京の再生のため、都心部におけるこうした取り組みは、南青山だけで終わらせることなく、これに続く第二弾、第三弾を積極的に進めていくことが必要であると思いますが、今後の取り組みについて伺います。
 さて、これまで、都営住宅の再編整備による大規模な計画は、どうしても都心部に集中する傾向にあります。それだけ必要性もあり可能性の高い土地であることは事実ですが、一方、多摩地域においても、地域再生の核となるような立地の大規模な都営住宅が存在しており、都営住宅の再編整備が果たすべき役割は大変大きいものがあります。
 そこで、多摩地域も視野に入れた都営住宅全体の再編整備への取り組みについて伺います。
 あわせて、都営住宅の市区町村への移管を積極的に進めるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 今述べましたように、都市再生特別措置法が施行され、民間の活力を生かした大規模な計画が動き出そうとしていますが、こういった流れの中で、特定の計画だけでなく、日常の都市施設の整備や管理に当たっても、都市再生の視点から、民間の力のさらなる活用や規制緩和は、今後ますます重要になってくると考えられます。
 建設局では、五月下旬に、見直すべき規制や民間活力の活用などについて検討し、計画を策定して具体的に行動していくと発表していますが、これは、我が党が訴えている施策と軌を一にした取り組みであり、時宜を得たものとして、都としても積極的に進めるべきであります。
 まず、建設局の民活、規制緩和推進への取り組みの考え方、重点課題、今後の予定はどうなっているか伺います。
 次に、都市再生の一環として電子都市を構築していくためには、道路や河川を利用した情報通信網などの早急な整備促進が必要であります。このため、現在のさまざまな規制の緩和が不可欠ですが、建設局ではどのように取り組むのか、その内容と効果について伺います。
 さらに、道路整備は、沿道のまちづくりや地域の活性化に大きく寄与するものであり、都市再生に向け、民間企業の行う再開発事業や沿道の土地利用の高度化を支援していくことが必要と思いますが、民活、規制緩和ではどのように考えているのか、主な施策とその効果について伺います。
 次に、環境影響評価制度の改正について伺います。
 激化する都市間競争を勝ち抜き、我が国経済を牽引するため、東京の再生を何としてもやり遂げなければなりません。幸いなことに、その強力な後ろ盾となる都市再生特別措置法が成立し、都は先ごろ、都市再生の拠点として重点的に市街地整備を推進する都市再生緊急整備地域として、東京駅・有楽町駅周辺など七地域を指定するよう、国に提案しました。十年間という期限つきですが、民間活力を精いっぱい引き出すとともに、行政も、財政や都市計画手法等により、できる限り民間を支援していくものです。
 そうした状況を踏まえ、都は、本定例会に環境影響評価条例の改正案を提案しています。改正案の内容は、都市計画との連携を一層強化するなど、従来に比べ画期的な内容となっています。
 改正の意義は二点あります。
 第一は、計画段階の環境影響評価を導入することにより、複数の計画案の比較を行うことを通し、環境に配慮した開発の実施を可能にすることであり、都市再生を目指す東京のまちづくりに、新たな政策手法ともいうべきものができたことであります。
 第二は、従来からの事業評価制度の改革を行うことです。その際、特に考慮すべきは、そもそも環境影響評価が対象とする環境とは何かということであります。
 このことにより、多摩地域など、自然の豊かな場所で開発が行われる場合には、貴重な動植物への影響などを綿密に調査し、人と自然の生態系との共生を図るべきことは当然です。
 しかしながら、既に土地の高度利用が相当進んだ市街地で高層建築物をつくるような場合に、守るべき都市環境として挙げられてきた日照、電波障害、騒音などの問題は、人と自然の共生には全くかかわりのない問題です。これらは人対人の問題であり、近隣関係の問題として対応が可能なものです。まちづくりの中でしっかりとした取り決めさえできていれば、あえて環境影響評価が扱う必要のないものであります。評価の実施により現在の環境を保全するというだけでは、市街地の環境はよくなりません。
 知事が進めようとする、東京の置かれている状況を改革しようとの思いと行動は、我々のそれと同一のものであり、その意味で、今回の条例改正を高く評価するものであります。
 そもそも今回の改正は、東京都独自の環境影響評価制度の改正であって、都が二十数年にわたるまちづくりにおける環境影響評価と都市計画との協働作業を通じて得た経験と知見の集約の反映でなければなりません。
 また、改正の議論は、自治体の本来事務である環境影響評価とまちづくりを踏まえたものでなければならず、都市再生のために急遽つじつま合わせをしたというようなものであってはならないのです。その意味で、この条例改正は、今後の東京のまちづくりに重要な意味を持つものです。
 そこで、何点か伺います。
 まず、都の環境影響評価制度は、都が他県に先駆けて二十数年にわたり実施してきており、その間に蓄積された知見や経験等はかなりのものになると思いますが、それらは今回の改正にどのように生かされているのか。
 また、環境影響評価制度が適用になった地域においては、例えば、高層建築物が建ったことで、環境や経済効率、安全性、快適性といった点がどう改善されたのか。環境影響評価制度で何が守られ、何が守られなかったのかというところまで検証することが必要ではないかと思います。見解を伺います。
 東京の活性化に向けた切り札として推進されている都市再生事業計画のような、都市の安全性を高め、災害に強いまちづくりを推進していくことが、今ぜひ必要です。そのことにより、東京の都市としての魅力を高め、経済、社会の活力を増強すれば、ひいては東京の地位が盤石なものとなります。このことは、首都移転問題に決着をつける上でも欠かせません。
 したがって、都市としての安全性、快適性、効率性等が特に期待されるような地域については、環境影響評価制度の適用を弾力的に行うべきです。また、地権者等の合意形成がなされている場合には、地域や民間の自由な発想や要望を実現できるような手だてを講じるべきではないか。あわせて伺います。
 さきの一定で、我が党の松本幹事長は、環境影響評価制度と都市計画について迅速な事務処理をただしました。そもそも両者は対立する概念ではなく、連携して、まちづくりの促進や都市問題の解決に役立てていくものだと確信しています。
 今日、都市の活力の回復と都市環境の再生は、東京のまちづくりにおける最大の課題です。しかし、国も地方も財政は憂慮すべき状況にあります。こうした中でのまちづくりは、民間の資本はもちろんのこと、知恵や経験を活用せざるを得ません。そのため、都市再生特別措置法では、緊急整備地域について、都市計画法等における各種の規制緩和措置や支援策を掲げて民間参入を促しています。
 都は、今回、こうした現下の課題を解決するため、新たな制度の創設を受けて、緊急整備地域の指定など、大胆な施策を進めようとしています。これらの施策は、現時点では先駆的な意義を持つものですが、今後の経済環境、社会環境の変化には予見しがたいものがあります。
 また、緊急整備地域の指定は十年間で終了すること、加えて、都が国に要請した七つの指定地域と同様に、東京の都市再生にとって不可欠な地域も多く、それらの地域の再開発の効果も少なくないことから、今後、都独自の制度の創設など、民間活力を一層有効に生かすための柔軟かつ機動的な都市再生施策を講ずることが必要ではないかと思いますが、所見を求めます。
 さて、都政にとって依然として緊急かつ重要な課題の一つが、財政再建であります。
 知事は、さきの予算特別委員会における我が党の質疑の中で、税源移譲など抜本的な地方税財政制度の見直しが進んでいないこと、都税収入が計画策定時の見通しに比べて大幅に下回っていることなどが、財政再建を阻害している大きな要因であることを明らかにしています。
 一方、国において、地方税財政制度の見直しについて、税源移譲を初め、論議が活発化しています。先日、片山総務大臣から、所得税、消費税の一部、五・五兆円を地方税とすることとあわせ、国庫負担金の整理合理化などを行う試案が示されました。小泉総理も、地方行財政改革について積極的な指示を行うなど、これまでにない具体的な動きになっています。
 都としては、こうした動きを逃さず、地方税財政制度の改革実現を積極的に働きかけるべきであります。また、その際には、国から地方への縦の税財源配分にとどまらず、膨大な行政需要を抱える東京都のような大都市に対する配分にも十分配慮することが重要であります。
 地方税財政制度の改革実現に向けての知事の所見と決意を伺います。
 次に、都民生活の安全性と快適な生活を確保するための方策について伺います。
 まず、福祉の改革のさらなる推進についてでありますが、これまでの福祉においては、ともすると、特別養護老人施設や障害者の入所施設などの大規模施設の整備が重視されてきました。しかし、人間としての本来の暮らし方という根本に立ち返ってみると、地域において住み続けられ、かつ家庭的な雰囲気できめ細やかな介護を受けられる基盤を充実させることが、福祉行政の目指すべき姿であります。
 こうした意味から、さきに都が策定した福祉改革の方針の中で、これまでの重装備施設偏重の画一的な福祉施策から、家庭的共同生活の場など地域の福祉の住まいを重視した施策への転換を大きく打ち出したことは、大変意義あるものと受けとめています。
 同時に、税財源の効果的な執行という観点からも、多額の補助金を支出し、豪華な特別養護老人施設を多数つくるよりも、良質の住まいを地域の中に数多く整備する方が望ましいことはいうまでもありません。その際大切なことは、この大きな施策の転換は、住民に身近な市区町村がみずから積極的に取り組んでこそ実現できるものです。
 現在、市区町村は、今年度末を目途に介護保険事業計画の改定作業を進めており、都も、これらを踏まえて支援計画を策定することとなっていますが、こうした中で、都としても市区町村と認識を共有し、家庭的共同生活の場など、地域の福祉の住まいの位置づけを明確にすべきと考えますが、所見を伺います。
 市区町村が福祉を中心的に担うことが当たり前となっている現在、都に求められているのは、市区町村の実情に応じた積極的な支援を行うことであります。そのためには、例えば小規模な宅地の活用や既存施設の改修、大規模な再開発時の整備など、多様な地域の福祉の住まいの手法を市区町村に対して提案し、それぞれにきめ細やかな支援策を講じる必要があると考えますが、いかがでしょうか。
 一方、事業の担い手として、民間の力を活用することも重要です。
 このためには、認証保育所制度の創設によって、民間主体の保育所整備が飛躍的に進んだことでも明らかになったように、民間企業の参入促進を図るための抜本的な規制緩和策が必要です。
 高齢者の家庭的共同生活の場を確保する事業については、民間企業の参入が期待できますが、さまざまな面で優遇されている社会福祉法人などに比べ、障壁があることも事実です。民間企業の参入促進のための条件整備を積極的に行っていくことが重要ですが、所見を伺います。
 次に、福祉のまちづくりの視点から、高齢者や障害者等に配慮した道路施設の改善について伺います。
 現在、新たに整備する東京都の公共施設については、高齢者や障害者等、だれもが安心して利用できるように配慮することが求められています。
 しかし、駅構内での利用者の移動のための障害の除去は徐々に進められていますが、駅周辺道路施設においては、階段等の段差が残るなど、障害除去対策が十分にとられておりません。
 そこで、都庁の表玄関である新宿西口広場での取り組みについて伺います。
 次に、多摩地域の保健対策の向上を図る観点から、保健行政の再構築について伺います。
 東京都は、昨年十月、多摩地域の保健行政の再構築を発表し、今後、市町村への事務移譲、保健所政令市への権限移譲を進め、都の保健所は、広域的、専門的、技術的保健行政の拠点として、二次保健医療圏ごとに一カ所、再編していくこととしました。
 住民の利便性の向上、市町村による保健、福祉施策の一体的実施、保健所の機能強化といった改革のねらいは、地方分権の流れも踏まえたものであります。しかし、市町村には、都の保健所が再編されれば、多摩地域の保健行政が低下するのではないかといった懸念が一部にあります。
 先日、改めて、東京都市長会から、保健所再編整備案の再検討を求めるという要請が、都知事あて提出されました。保健所再編は、基本的には都の組織上の問題でありますが、保健医療という市民生活に直接関連する問題については、市町村の意見を十分聴取の上、策定すべきとの意見であります。
 このような市長会の意見に対し、検討会を設置したとのことですが、今後の具体的な対応について伺います。
 次に、この再構築を推進していくためには、都が、市町村との適切な役割分担の上に立って、その広域的、専門的、技術的役割を十分に発揮して、多摩地域の保健行政を総体として向上させていくという姿勢を、都民や市町村に明確に示していかなければなりません。
 そこで、多摩地域の保健所を再編していくに当たり、その機能を一層強化すべきと考えますが、所見を伺います。
 さらに、市町村主体の保健行政への流れが加速する中で、今後は、都が広域的な立場から市町村の取り組みを支援していくことがますます重要となります。
 昨年発表した方針の中で、保健所再編とあわせ、地域保健行政の新たな支援の仕組みづくりを構築すると言及していますが、市町村に対しどのような支援策を実施するのか伺います。
 次に、雑居建物対策について伺います。
 昨年九月、新宿歌舞伎町では、いわゆる雑居建物の火災が発生し、四十四名という多数のとうとい人命が失われました。ホテルニュージャパン火災の死者三十三名を上回る、都内における戦後最大の惨事となってしまいました。
 小規模な雑居建物については、現在の建築基準法では、複数の階段の設置が義務づけられていないなど、火災時の安全面で盲点となっています。
 そこでお尋ねしますが、昨年の火災を受けて、小規模雑居建物など建築物の避難時の安全性を確保するため、これまで都では、建築行政の立場からどのように取り組んできたのでしょうか、伺います。
 本定例会には、東京都建築安全条例の改正が提案されていますが、火災時における避難の安全性はどのように高められることになるのかお答えください。
 一方、小規模雑居建物の安全対策については、消防行政の面からも充実が必要です。昨年の火災を受けてどのように取り組みを行ったのか、また、今回の改正予定の火災予防条例ではどのような面が強化されるのか、あわせて伺います。
 小規模な雑居建物は、繁華街を初め都内に多数あります。改正条例が適用される新しい建物だけでなく、既存の建物を含めて対策の効果を上げていくことが重要です。今後、建築物の安全の確保について、どのように実効あるものにしていくか伺います。
 次に、男女平等教育についてお尋ねします。
 皆さんは、「ももからうまれたももこちゃん」という話をご存じでしょうか。これは、来年春から使われる一橋出版の高校の家庭科教科書「家庭基礎」に出ています。日本の昔話や物語を攻撃する、いわゆる男女平等教育の教科書が登場したのです。男らしさ、女らしさを描いたものを、幼いころ読んではいけないというのです。
 過激な性差解消の活動に文部科学省も完全に汚染されており、この二月に発行の、同省委託で作成された子育て支援冊子では、女の子のひな祭りや男の子のこいのぼりまで否定的に書かれているありさまです。これを放置すれば、日本人の生き方や美意識、そして家族のきずなは崩壊するしかありません。
 ここでは、男女混合名簿の件について伺いますが、男女平等教育に当たっては、両性の区別を正しく意識できるよう、学問的立場から説きながら、男性、女性の協力の方法や役割について考える視点こそ必要です。男女の違いを否定することには無理があるのです。
 現在導入が進む、男女を一まとめにする男女混合名簿は、各市区町村教育委員会の判断を尊重すべきです。都教委は、男女混合名簿について、今日までいかなる議論を行ったのか。今後は、その是非を含めて慎重に議論を重ねられたいが、見解を求めます。
 次に、国立市の教育問題をお聞きいたします。
 平成十二年の国立第二小学校卒業式における校長土下座事件以降、東京都教育委員会は、国立市教育委員会に対して、学校教育の正常化に向けた改善策を示し、指導助言に努めたということになっています。都教委として、国立の改善状況についてどう認識しているのか伺います。
 新聞でも報道されましたが、国立第五小学校の四十四歳の男性教員は、昨年度、担任する五年生の児童に、日常的に足でける、児童を抱き上げて背中から落とすなどの暴力、暴言、恣意的な差別等の人権侵害行為を繰り返しています。
 漢字の試験では、現代のヒーローは○○先生、何々先生に反逆する悪いやつだ、神様仏様○○先生と出題しています。常識的に考えて、教員が自分の名前を試験問題にするとは通常の社会人では考えられません。だれしも、その知的教養水準と人格を疑うものです。
 同校の別の五十代の女性教員は、指導力不足から学級崩壊を起こしています。児童にこじきというあだ名をつける。遅刻、早退、欠勤が多く、授業中に生協の申込書を書いている。授業中に天気が悪くなると、布団をしまいに自宅に帰る等々。そして、これを問題視した父母たちの集まりに、夫とおぼしき人物が同席して威圧を加えることなど、正常化とはほど遠い現実にあるのです。
 問題なのは、こうした不良教員が今も教壇に立っていることです。速やかに教育現場から排除すべきであり、その仕組みが必要です。教育委員会の見解を伺います。
 次に、杉並区の民間人校長問題です。
 杉並区が予定している人物については、我が党は、少なからざる疑念を持たざるを得ません。この人は既に、足立区第十一中学校で昨年度、社会科教員と協力して、よのなか科の授業を行っています。さまざまな講師を招くのが特徴です。
 差異と差別を考える授業では、講師として、性転換手術はしていないが、女装しているときだけ女性を生きると決断した、女装家を名乗る女装した男性を登場させています。今度は、この授業を受けて、「どこまでイジくるヒトのカラダ」となっています。
 この人は、口頭で、援助交際で、だれも人を傷つけなければいいと思う人、手を挙げなさいと生徒に質問しています。援助交際の是非を語らず、あたかも、だれにも迷惑をかけなければ自己判断で行ってもよいといわんばかりに扱っているのです。
 最後の授業は自殺の問題で、ここでは、呼ばれた講師は、最初に、人を殺してはいけないというルールを持っている社会は、歴史上、世界のどこにも、実は一つもないんですと説明しています。そして、軍人や死刑執行人は人を殺すことを仕事としている人で、それがどこの社会にもあることが、そのあかしだというのです。
 この人の授業は、大人と同じ責任を果たせない中学生に、自己決定のみを至上のものとする異様なものであり、そこには親の存在が全く希薄です。これは、授業のおもしろさとは完全に別の問題として判断しなければなりません。
 改めてこの人の公立中学校校長就任に危惧を表明するものですが、都教委は、この足立十一中で行われた授業についてどのように評定しているのか、答弁を求めます。
 また、この民間人校長採用問題に関し、制度面の整備や進め方についてどのように対応を考えているのか伺います。
 次に、都立高校改革について伺います。
 都教育委員会は、都立高等学校改革の総仕上げとして、今年度新たな実施計画を策定する予定と聞いています。新実施計画の基本的考え方と、今後設置する新しい形態の学校や既設学校の改革に関しての考え方について伺います。
 平成十五年度からは、我々の主張どおり、学区制が廃止され、都立高校も選択と競争の時代を迎えます。実施計画には、学校経営充実の視点が不可欠です。
 都立高校は、旧来の経営姿勢を改め、それぞれが自律的に学校の個性化、特色化を図るとともに、その内容を都民に周知し、改革を推進する必要があると考えますが、所見を伺います。
 今後の都立高校に対する都教育委員会の支援や指導についても、学校の自律的な改革の実績を評価する必要があります。成果が期待できる学校に重点的に支援を行うとともに、問題のある学校に対しては的確な指導を行うべきですが、見解を伺います。
 次いで、安易な外国語、片仮名語使用について質問いたします。
 日本語が危殆に瀕しています。原因は、日本人の感性が急降下で衰退しているからです。肉体や知能が訓練や勉学によって鍛えられるのと同様に、感性も養う努力が必要ですが、日本人は、これをみずから放棄して恬としているのです。
 ユネスコの発表によると、世界には約六千ものさまざまな言語がありますが、そのうちの半分の三千が今、消滅の瀬戸際にあるというのです。もしかすると、我々の日本語も早晩消え行く側に数えられるのではと、危惧を抱かざるを得ない現象が余りにも目立ちます。
 その一つが、意味不明の片仮名語や外国語の行政における大乱発であります。
 さきに住宅局発行の東京都住宅マスタープラン(二〇〇一―二〇一五)を開いてみると、否、開いてみなくても、まず表題からしてマスタープラン、しかも、年表記はキリスト教暦となっています。住宅局長にキリスト教徒かと尋ねましたら、違うといいます。我が国には法律で決められた元号があるのですから、役所はこれを尊重すべきです。
 本文には、アフォーダブル住宅、SI住宅、コーポラティブハウジング、コレクティブハウジング、ゼロエミッション、マルチハビテーション、片仮名語が大放出されています。さっぱりわかりません。
 しかし、これに驚いてはいけません。福祉局は、先ごろ、TOKYO福祉改革STEP2を出しました。東京がローマ字で、ステップは英語表記です。一瞬、英語圏の外国人に向けての広報資料かと見まがうばかりです。都民に対して情報を伝えるとき、意味が明確で理解されなければ、これこそ税金のむだ遣いです。
 その昔、徳川慶喜のフランス語の個人教授を務め、軍人勅諭を起草したことでも有名な、日本近代哲学の父、西周は、哲学という訳語をつくり、また、法曹界の先駆者として明治の近代国家建設に大きく貢献した津田真道は、民法という学術語を定めました。皆さんが得意の演説は、ご存じの福沢諭吉が、スピーチの訳語として誕生させたものです。
 都庁の皆さん、どうしてアメリカをまねるんですか。なぜそんなに片仮名語が好きなんですか。ぜひ、先人に倣って、安直な造語づくりは慎み、外国語はできるだけ日本語の適切な言葉を当てる努力をすべきであります。
 日本語を知っていれば、古今東西の文学作品から哲学書、自然科学の文献まで読めるのです。お茶の水女子大の数学者、藤原正彦教授は、母国語がすべての知的活動の基礎、小学校では、一に国語、二に国語、三、四がなくて五に算数と強調しています。あるいは渡辺守章東大名誉教授は、フランス語講義の初日、新入生に向かい、まず日本語をしっかり勉強してくださいから始めたそうです。
 確かに、近代化とはすなわち西欧化でありますが、土台には、和魂洋才の和魂がなければ、自国文化の基軸をゆがめてしまうのです。
 どこの国でも自国の言葉を大事にするものですが、石原知事、今の都庁の文書の実態は、先ほど述べたとおりです。戦後教育に毒されて日本語の感性を喪失したのか、はたまた未発達なのか、奇妙な片仮名語と外国語が都庁に蔓延しています。
 私は、会話については、同音異義語の多い日本語の場合、外国語使用は、ある程度意思の正確な伝達には有効だと認めますが、文書は表意文字の漢字と、仮名であらわすわけですから、可能な限り控えるべきだといっているのです。
 大作家石原慎太郎として、あなたは、この実態を見て、違和感と嫌悪感を覚えませんか。日本語の現状とあわせてご高見をぜひ賜りたい。
 警視総監にも同様の質問をいたします。
 今定例会に警視庁の設置に関する条例改正案が提案されていますが、その中には、警察手帳の形状の変更があります。警察手帳をアメリカFBI仕様に改めると同時に、表紙に英語でPOLICE、そして警視庁と、これは漢字で表記するというものです。
 警察は、国家主権を構成する組織として、法律でその名称を警察と規定しています。その職務遂行、公権力行使に当たり、唯一、身分を証明する手帳に、俗称、あだ名を記すのはいかなる理由からなのか。
 四年に一度の蹴球世界大会での暴徒対策として新たな機動隊の装備が発表された折にも、透明盾にPOLICEと大書されていました。さらに最近、街角の交番に、ローマ字でKOBANと表記の看板が散見されるようになりました。警察が、太平楽を並べて、上辺の体裁だけの今の社会風潮に踊らされて、正義や法秩序を決然と守り抜く気概が薄れてきた象徴のように見受けられるのです。
 今日の日本は、いわゆる人権屋のばっこもあって、途上国の犯罪者の絶好の獲物となっています。仮に捕まっても、もともと罪は軽いし、余罪の追及も、黙秘すればそれまでで、密入国もひっきりなく、一度捕まっても再入国の繰り返し。都民は、頼もしい警察の取り締まりを期待しています。多分、POLICE、これを決めたいわゆる偉い人は、来日外国人もふえ、これこそ国際化の一環だと胸を張るでしょう。
 しかし、英語でPOLICEと書かなくても、防石盾に「警」一文字が、また、警察手帳に「警察」と書かれていれば、外国人がたとえ読めなくも、その画数の多い、複雑に見える字の形から、日本の正義を守る無双の勇士に、特に悪事をたくらむ者に対しては、その心胆を寒からしめるくらいの凛とした正気と姿勢を伝えるくらいの意気込みを持ってほしいのです。
 みずからをPOLICEなどと軽々しい表記にすることが、精強であるべき組織を、旺盛であるべき士気を自縄自縛することの愚かさから目を覚ますべきです。
 警視総監、あなたは、首都の守り、治安の闘士四万の最高指揮官として、この伝統ある警察手帳の変更に違和感を抱きませんか。その存念を吐露されたい。
 次いで、江戸開府四百年につきお尋ねいたします。
 東京は、江戸開府以来四百年にわたって、世界に冠たる文化を築いてきました。印象派の巨匠モネなどにも影響を与えた浮世絵や、近代劇にはない斬新な様式美と高い舞台技術を有する歌舞伎など、世界的な評価を確立しているものも数多くあります。
 この伝統的な文化の蓄積をきちんと継承し、現代に生かしていくことが、我々の独自性を確立するためにも大切であります。我が党が提案した江戸開府四百年事業は、その意味で非常に重要な意義があるのです。
 去る六月十三日には、東京商工会議所が中心になって、江戸開府四百年事業推進協議会が設立されました。そこで、今回設立された推進組織の役割と今後の都の取り組みについて説明してください。
 次は、中小企業金融対策についてです。
 昨年は、長引く不況の中で、中小企業を取り巻く金融環境は、過去最悪のものとなりました。我が党は、こうした事態を深く憂慮し、昨年十二月に党要望をまとめる一方、第四回定例会では緊急特別支援決議を提案、採択するなど、金融支援について多方面にわたって精力的に取り組みました。そして、融資枠の拡大、金利負担軽減措置、さらには狂牛病特別融資の実施など、有効な金融支援策を講じることができました。
 最近は報道でも、各種の経済指標は景気の底打ちを示唆するものが多くなりましたが、それを実感できる中小企業は極めて少ないのが実態です。依然として厳しい資金繰りに追われているのです。
 そこで伺いますが、今年度、中小企業に対する金融支援について、どのように取り組んでいるのでしょうか。
 事業所の大多数を占める中小企業の活力なくして、社会の活力を高めることはできません。しかしながら、大企業に対しては、債務の棒引きや公金による資本注入など、企業再生の手だてがとられていますが、中小企業に対しては、再生の支援策がほとんど用意されておりません。
 不況にあえぎながら、実力のある中小企業の再生への挑戦を金融面からも支援する、新たな融資制度を構築していくべきです。そして、その実現までの間は、現行制度の運用の中で、知恵を絞って見直しを図るべきと考えますが、所見はいかがでしょうか。
 次に、悪質貸金業者に対する取り締まり強化についてです。
 他社を紹介するなどと持ちかけ、多額の紹介料を払い込ませたり、法定利率を超える高金利を請求するなど、詐欺や不当な取り立てによる被害は、都内のみならず、全国各地に拡散しています。都の登録業者であることが、善良な消費者を結果としてだますことになっており、非常にゆゆしき事態であります。
 私ども都議会は、さきの第一回定例会において、貸金業の規制に関する法律の改正の意見書を採択し、国に提出しました。
 しかし、都は、この深刻な事態を目前にして、でき得る限り対策を講ずる義務があります。悪質貸金業者への対策を具体的にどのように行っているのか。また、被害を未然に防ぐには、迅速かつ厳正な処分や処罰を行うべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、情報技術を活用した港湾物流の刷新について伺います。
 港湾は、国民生活と産業を支える物流拠点として極めて重要な役割を担っています。しかしながら、東京港を初め、我が国の港湾は、シンガポールや釜山などの諸港と比較して、経費や通関時間等の面で国際的におくれをとり、近年、相対的な地位を低下させております。
 我が国港湾の競争力強化を目指すには、港湾施設整備の充実とともに、通関時間の短縮や経費削減等の改善を図ることが急務です。
 知事は、所信表明の中でも、日本の技術による情報技術を積極的に活用したシンガポール港を見て、悔しい思いをしたと述べましたが、まず、情報技術による港湾物流の効率化について、知事の所見を伺います。
 次に、先進的なシンガポールの状況に比較して、我が国の港湾物流における情報技術化がなぜ進まないのか、その阻害要因と打開策について、都がどのように考えているか伺います。
 次は、有事法制について知事に伺います。
 有事法制の研究は、昭和三十八年の三矢研究に始まり、その後、昭和五十二年、福田内閣時代に三原防衛庁長官の指示により、翌年、防衛庁における有事法制の研究についてという見解を公表して再開しましたが、この間約四十年、我が国は、いざ鎌倉というときに備えがないまま、歳月のみ流れてしまいました。
 国家の非常事態である有事が絶対に起こり得ないと断定できない以上、早急に有事法制が整備されなければ、我が国に対する武力攻撃が発生した場合、国民及び国家の主権を迅速、適切に守ることはできません。
 有事の際における国民の生命、身体及び財産の保護などの規定がないために、国民の基本的人権をめぐって、いたずらな混乱が生じかねません。有事法制の根本は平和と独立を守ることであり、国が当然備えていなければならないものです。
 有事の際の法制として、現在国会で審議されている武力攻撃事態対処関連法案について、石原知事はどのように認識し、評価していますか。持論を展開してください。
 武力攻撃事態対処法の成立後二年以内を目標として、国民の生命、身体及び財産の保護等に関する法制の整備がなされることになっています。一連の法制が整備されますと、住民の生命、身体及び財産を守る観点から、住民に身近な地方公共団体は、有事の際に、当然大きな役割が期待されます。
 国会での審議でも、総務大臣は、今後、個別の法制を整備していく中で、地方自治体の意見を公式、非公式に集約して法案に生かすと明言しました。だれよりも国政に影響力のある知事として、積極的に発言されることを願うものです。
 そもそも地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを目的としており、有事の際には、当然、国や自衛隊と連携して、住民の生命、身体及び財産を積極的に守る責務があります。有事、すなわち戦時、すなわち武力攻撃事態における地方公共団体の役割について、石原知事はどのようにお考えか、所見を伺います。
 次に、靖国神社の参拝について伺います。
 本年は、サンフランシスコ講和条約が発効して五十年の節目の年でありますが、日本が主権を回復したとされているにもかかわらず、今、我が国は、独立主権国家のていをなしていません。主権国家としての国民の自覚と誇りを再生させる軸となるのが靖国神社であり、また、反靖国裁判に対処するためにも、ご遺族や国民、そして都民の期待にこたえて、ことしも八月十五日に靖国神社に堂々と参拝していただきたいと切望するものですが、いかがでしょうか。
 政府は、北京や韓国の顔色をうかがい、靖国神社にかわる国立戦没者追悼施設の建設という、靖国神社否定の論議をしています。分祀問題を含め、既に決着のついた議論の蒸し返しは、英霊や遺族の思いを踏みにじるものです。この憂慮すべき政府構想について、石原知事はいかなる見解をお持ちでしょうか、伺います。
 結びに、一言述べておきます。
 世相は今、外務省在外公館での主権放棄の大失態、国会議員の収賄や秘書給与流用事件、食品会社の相次ぐ偽装表示に狂牛病、そして銀行の業務混乱、果ては、国税局長が脱税で、大阪高検の公安部長は詐欺容疑で逮捕されるなど、我が国のたがは、繁栄の中ですっかり緩んでしまいました。
 背景に共通するのは、公の精神と愛国心の衰微であります。国家の衰退の要因は、外敵によらず内部にあると、歴史家は常々私たちに警告を発しているのです。我が党はこうした危機感を内に秘め、日本と東京の再生のため、渾身の力を払うことをお約束をいたします。
 以上、日本保守主義再生の先頭に立つ東京都議会自由民主党の決意を表明して、私の代表質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 古賀俊昭議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、都市再生緊急整備地域についてでありますが、この再生法は、三年前の小渕内閣の時代から、東京からの主張として、やはり都市というものをもう少し力点を置いて行政の対象に据えて、経済再生のためにも、費用対効果から見ても効率のある手段と思うから、大都市に対する認識というものを持ち直してもらいたいという東京の主張がようやく通りまして、小泉内閣になって形ができました。それにのっとっての地域指定に当たっては、首都の顔づくりに資する有力な民間プロジェクトの促進にねらいを絞りまして、緊急、かつ重点的に市街地の整備を図り、国際競争力の強化や都市の魅力づくりを通じて都市再生を目指すことが必要と考えております。
 東京の主張そのものが通って、第一次としては七つの地域が対象に事業が行われていくと思います。
 いずれにしろ、都市再生緊急整備地域が単なるプロジェクトの寄せ集めとなりませんように、大所高所からの視点に立つとともに、それぞれのプロジェクトが引き金となって周辺地域に誘発効果を持ち、面的なつながりの中で都市再生の効果を発揮することを期待して、このたび、国に具体的な建言をいたしました。
 次いで、都営住宅の再編整備等についてでありますが、都営住宅の建てかえに際しましては、敷地の高度利用により生み出した用地を有効に活用しまして、地域の活力を高め、東京を再生させることは極めて重要であると思っております。これは都心部のみならず、多摩地域においても当然、大規模な団地であります、例えば東村山本町団地についても、再編整備の郊外型のモデルプロジェクトとして取り組んでいくつもりでございます。
 今後とも、都内全域で、地域特性を踏まえながら、積極的に再編整備を進めていきたいと思っております。
 都営住宅の区市町村への移管につきましては、地域に根差した住宅政策があくまでも必要でありまして、今後も一層積極的に推進していきたいと思っております。
 次いで、環境影響評価条例の改正についてでありますが、どうも概観しまして日本は非常に、主要な、必要とされるプロジェクトの展開が外国に比べていかにも遅い。金も時間もかかり過ぎる恨みがございます。その一つの要因として、やはりアセスメントは必要でありますけれども、そのアセスメントの作業が非常に時間がかかり、また、ある部分重複もしておりまして、非常にむだが多い気がいたします。
 例えば、先般、私も出席しまして、まあ、東京からいい出したことでありますけれど、羽田の沖合再展開のプロジェクトについて、政府の扇国交大臣と相手方の局長、こちらの局長と合議しましたときに、原則的には意見は一致したんですが、国の官僚がアセスメントだけでも三年かかるということをいい出したら、むしろ扇大臣が、そんなことないわよ、もう羽田は前に埋め立てやって拡張したのが、そのときの資料があるでしょうと。そんなもん重複して調べ直す必要はないんじゃないかということをいいまして、さすがといって私は賛意を表したんですけれども、そういうしなくてもいい仕事をだらだらだらだらする通弊がありまして、いずれにしろ、環境影響評価というものは必要な手だてでありますが、やや時間がかかり過ぎる。それを簡略化し、合理化し、都民のニーズにもこたえていこうというつもりで、今回、そういう視点からも改正を試みているわけであります。
 その一つの柱としても、東京は全国で初めて計画段階からのアセスメントも実施することにいたしておりますし、またさらにもう一つの柱として、これまでの、要するにおっしゃるとおり、運用から得られた知見を羽田の例、扇大臣の指摘にありましたように、そういった知見を生かして、制度の趣旨を損なうこともなく改善が可能な部分については、積極的に見直し、手続期間の短縮や対象規模の変更を行っていくつもりでございます。
 都心等における近年の高層建築物には、空き地や緑地の確保、あるいは省エネルギー対策等にも積極的に取り組んだ例も見られまして、環境に配慮した都市づくりの一翼を担っていると思います。今後とも、環境影響評価条例や、さまざまな都市づくりの手法を活用して、良好な環境の保全や創出に努めていきたいと思っております。
 次いで、地域の特性を考慮した環境影響評価制度のあり方についてでありますが、東京の活力、ひいては日本の活力を再生するために、都市再生をスピード感を持って進めることは重要な課題だと思います。同時に、良好な環境を確保していくことも東京都の責任でもあります。
 これらの視点を踏まえて、都市機能の高度化を図るべく、都心等の特定の地域においては規模要件の見直しなどの措置を盛り込んでまいります。今後とも、新しい時代にふさわしい良好な都市環境の形成を目指して、民間の自由な発想力や活力を積極的に引き出していくよう手だてを尽くしてまいります。
 例えば、もう既に決まりましたが、南青山一丁目のあの都営住宅の建て直しなども、最初は国が決めた容積率に気兼ねした案しか東京都自身は出しておりませんでしたので、私は、構わないから国の規制を無視していいと。こんな時代だし、私が責任を持って説得するからということで、恐らくそこに手を染めようとしている民間の業者はそれなりの採算で、例えば今の容積率でいうと三十階しか建たない建物を四十五階建てれば、十分採算とれるしというような計算ができるはずだから、二つの案を出させなさいということで、出させました。そして、建設省の方でこれをのみまして、今さら既存の容積率が規制として横行する時代じゃないと思うということで東京の案が通りましたが、結局、民間の意向というものをしんしゃくしてやれということで基本的な発想を変えさせましたところ、何とまあ、東京都が地主として上がる収益というものが倍の見込みになりました。
 そういう盲点が随分あると思いますので、環境影響評価と相まって、合理的な手続で決定したプロジェクトはできるだけ早く、安く、効果のある形で推進していきたいと思っております。
 次いで、民間活力を生かすための都市再生政策についてでありますが、民間に存在する資金や知恵などの活力を引き出しまして、都市再生に向けるには、今後、優良な民間プロジェクトの促進にねらいを絞って、その熟度などを踏まえつつ、二次以降の緊急整備地域の指定に向け、東京としても早急に検討を進めていくつもりでございます。
 また、今後の社会経済の変化によって、新たに東京の都市再生に重要な役割を担う地域が生ずることも考えられます。そうした場合には、都市計画制度や環境影響評価制度を含め、民間活力を一層有効に生かすための施策についていろいろ工夫を講じていきたいと思っております。
 次いで、地方税財政制度の改革についてでありますが、ご承知のように、地方分権一括法は施行はされましたが、肝心の地方の税財源の分与というのは棚上げでありまして、先送りにされたまま、しかもご丁寧に、これは中長期の問題であるという添え書きがあるわけでありまして、国の行政を眺めてみますと、長期というと、五十年たっても成田のごとく完成しないんじゃないかという節がございますが、いずれにしろ、この先送りの状態のままですね、都が財政再建を推進していく上でも大きな障害となっております。
 改革に当たりましては、地方分権の確立に向け、地方交付税や国庫支出金に依存する現行の制度を抜本的に改め、思い切った地方への税源移譲を図ることが必要であると思います。
 また、その際には、ご指摘のとおり、地域間の税源配分について、首都圏の再生や環境対策など膨大な行政需要を抱える東京都などの大都市に十分配慮すべきと考えております。
 例えば、田中内閣時代に決まりました目的税として設置されたガソリン税は、この東京を含む七都県市首都圏の売り上げを見ますと、全国の四分の一、二五%を占めているのに、その税金が幾ら首都圏のために、ハイウエーの建設へ戻ってきているかというと、その半分にも満たない、全売り上げの一二%でしかない。こういったゆがみというものは、やはり行政の主体者、国の行政の主体者が、大都市というものの社会工学的な意味合いというものをきちっと踏まえて、税金の分与ということでも均等な、公平なシェアを大都市に与えるべきだと。そういう発想を、今からでも遅くないので取り戻してもらいたいと思っています。
 ようやく国も重い腰を上げたような、上げないような感じでありますが、いずれにしろ、都の税調が既に指摘してきたことを、今の片山大臣もいい出したようでありますけど、これをきっかけにも、抜本的な地方税財政制度の改革の速やかな実現を目指して、引き続き都議会のご支援を得ながら国に働きかけていきたいと思っております。
 次いで、安易な外国語や片仮名の使用についてでありますが、全くそのご指摘のとおり、私もいささかうんざりしております。
 片仮名で表現する必要のないものが非常に多いんですが、外来語の中にも、もう日本語として既に定着しているものもありますけれども、要は程度の問題でありまして、いかにも、とにかくわけのわからぬ片仮名がはんらんしている。
 この間も、都庁のある部局が持ってまいりました資料の中に、色についてエコカラーと書いてある。一体何色のことだといったら、緑ですというから、私は何で緑をエコカラーと呼ぶのかわかりませんが、確かに木々は緑でしょうけれども、しかし水は水で青いんですから、エコロジーに関する色がエコカラーと呼んで、これが緑、緑をエコカラーと規定することそのものがおかしいと思うし、この間、シンガポールに参りまして、いろいろ向こうのブリーフィングを受けているときに、モジュールという言葉、私、聞いたような言葉なんですけれども、わからないので聞きましたら、周りのスタッフがわからない。同行した唐津一教授に、これどういう意味ですかといったら、これは実に明瞭に、ああ、これは積み木だよと。私はヒントを得て、なるほどこれは幾つかの積み木を立体的に組み合わせてユニットのことね、そうそう、そのとおりということですが、それならもっとほかに、まだ積み木の方がいいやすいんで、これをモジュールといって、わかったようなわからないような会話を進めていることも、随分、ちょっと危険な話じゃないかなという気がいたします。
 いずれにしろ、フランスはアカデミーが非常にしっかりしておりまして、有名な例でありますけれども、カクテルという言葉をフランス語として認めるのに十五年議論をしましたが、まあ、これもですね、いささか長きに失したのかもしれませんけど、私はやっぱり守るべきものは守らなきゃいけない、防ぐものは防がなくちゃいけない。こういうわけのわかんない言葉のはんらんで、日本語の非常に微妙な、高度な、日本的な、何というんでしょうか、感度というものが失われて、結局、私たち、どこの国かわかんないような言葉を片言まじりで話すようでは、本当に子孫に悔いを残すことになるんじゃないかという気がいたします。
 次いで、IT化による港湾物流の効率化でありますけれども、先般も、あるものにも書きましたが、シンガポールに行っていろいろ教えられるところがありました。ただ、同行した東京のアドバイザーをしていただいている、秋葉原の問題で非常にお世話になっている唐津一教授、皆さんご存じの、これは松下電器の技術の体系をつくった担当の重役さんの一人でありましたけれども、今は東海大学の研究所の主任教授をしておられますが、実は唐津先生が、そのシンガポールのITのシステムそのものをつくってあげた。それから時がたって行ってみると、唐津さんが苦笑いしながら、いいとこ全部つまみ食いされちゃったなあ、石原さん、要するに私たちがいったこと、やったことは間違いじゃなかったってことだけはわかりましたけど、しかし、それにしてもみんな我々が考えたことですよと。
 ソフトもハードもですね、特にハードは全部日本製でありまして、港湾の作業に限らず、教育もそうでありますし、東京が今実験に向けようと試みているロードプライシングにしろ、あるいは非常に、最初の機械は少し高くとも、コストが抜群に安い、しかも機械そのものの生命が長いゴーストップの信号に、日本人がつくったダイオードを使ってやる信号標は、まあ、聞きますと、地方の田舎の県というと申しわけないけど、小さな県は、県が支出する電力費の三分の一は信号灯の電力だそうでありまして、これがもう十分の一ぐらいになるということでありますが、こういったものをシンガポールはいち早くアダプトしてやっている。
 まあ、全部つまり日本製ということで、私たち、口惜しいというか、唖然とした思いで帰ってまいりましたが、特に港湾は、日本のような海運国が、今では完全に後塵を拝している。しかも、シンガポールが年間扱っているコンテナの数は七千万とか八千万でありまして、そのうちトレーラーで陸揚げされて、シナに運ばれ、さらにちょっと先のマレーシアに運び込まれるコンテナの数は本当にわずかなもので、扱っているものの〇・一%にも満たない。あとは全部あそこで荷さばきして、口銭取って進めている。日本では五時間かかる通関が、向こうではもう七分で行われている。どんどんどんどん仕事が進んで、何でこれを日本でできないのかなあと。できるはずです、それは。東京湾でもできますし、場合によったら、荷さばきだけだったら沖縄でやったっていいんです。
 結局、いろんな問題がありますけども、国の役人が新しい技術体系に無知なのと、もう一つは、やっぱり港湾事業に、要するになかなか厄介な方々が絡んでいらっしゃる節もありましてですね、そういうものは手つけられずに、今日、日本の港湾というのは衰退の一路をたどっているということであります。
 反省すべきものはしてですね、国がその気になれば、私たちはこの東京湾という有益な閉鎖水域を有効に使って、ここでシンガポールの荷物の半分以上は取り戻すことができるんじゃないかと思いますけども、まあこれは東京ひとりでばたばたしてやるもんでもありません。先般、あるところで土屋知事にも会いまして、ひとつ首都圏全体で考えようじゃないかという話をいたしました。
 次いで、有事法制についてでありますが、これはご記憶にあると思いますけども、橋本・クリントン時代に、台湾で李登輝総統が初めて開かれた形の大統領選挙に出たときに、中国政府が非常にこれを嫌いまして、牽制するためにミサイルの発射実験を行いました。実際やりました。そのときに、何と誤射と称して、高雄の沖合の台湾の領海、もう一つは日本の領海、つまり与那国島の海域に一発ずつ、間違ってミサイルがそれたという形で撃ち込む計画を立てた。これをアメリカのDIAが察知しまして、強く抗議をし、実際にこういう誤射と称する正確な威嚇射撃をするならば、台湾海峡に原子力空母を入れるぞということで、二杯の原子力空母が、一つは日本から急行、一つはインド洋から来た。そういういたずらの威嚇射撃は阻止はされたんですが、いずれにしろ、指摘した公海での撃ち込みの射撃はしました。
 このときに、クリントンはダブルスタンダードで中国とつき合っておりましたが、やはりアジア全体の近い将来にとって、こういう軍事拡張の威をかりて他国を牽制する中国の進み方というのは非常に好ましくないということで、アメリカはもっと積極的な姿勢で中国に臨むぞというときに、日本がどういう形で、より積極的な協力をするかということで、突然サンタモニカで会談が行われて、あの新しいガイドラインができた。
 そのときに、周辺という言葉が出ました。そして、当の橋本総理も含めて、ほとんどの自民党の政治家は、周辺には台湾は入らないといって逃げた。私の知る限り、一番しっかりしたのは官房長官の梶山静六君でありまして、彼が、地図見たってわかるじゃないかと。与那国通って晴れたら台湾が見えるんで、一番日本に近い周辺というのはまず台湾だといって、何かうやむやになったんですけども、そういういきさつがありました。それを踏まえて、小泉内閣になって、こういった有事法制というものが、より確かな形で造形されようとしているわけでありますが。
 まあ、今回も各知事が出席して意見の述べ合いをしましたけども、結論から先に申し上げますと、私は何度かのアンケートにも答えましたが、東京が何であろうと、日本あっての東京でありまして、国家あっての地方でありまして、地方自治体というものは、つまり国の一部でしかないんで、もしこういったものが実際に始動するような段階では、私は、無条件で国に協力しますということを申しました。ほかの知事さんはちょっと姿勢が違うようでありますが。
 有事がどういう形で到来するかわかりませんけども、自治体がそれぞれの、いい意味のエゴもあるでしょう。それを建前に国に条件をつけるつけないのいとまがないような有事っていうものは十分あり得るわけなんです。
 ただ、私そのとき申しましたのは、有事というものを、外国が軍隊を構えて日本の領土、領海を侵犯してくるというふうに、もう単純にくくらないでもらいたい。現に日本には、膨大な数のですね、要するに不法入国者がいます。
 それから、さきに、自爆して沈んだ不審船が頻繁にやってきて、日本の領土の中でも我が同胞を拉致して去りました。警察庁の調べでは、公開はされておりませんけど、状況証拠っていうものだけを踏まえれば、百人に近い邦人が、南米とかヨーロッパでも拉致されて帰ってこない。この事態は、私はまさに有事だと思いますね。
 それから、総計、日本に十五トンもの覚醒剤や麻薬が運び込まれてる。その主なる国は北朝鮮でしょう、全部とはいいませんけど。そういったものを運び込む工作船が先般も侵犯してきてですね、しかも日本の保安庁にスティンガーミサイル、戦車を打ち壊すミサイルを発射して、幸い当たりませんでしたが、逃亡して、証拠隠滅するために自沈した。政府はその引き揚げに随分手間取っていますけども。
 私は、これを今日における現代の戦争、有事と心得ずに、ほかにどういう有事が私たちに身近にこれから起こるんですかと聞きましたら、政府から回答がありませんでしたが、いずれにしろ、時間的、空間的に世界が狭くなり、いろんな技術が進んだ中で、私たちはもう既に多くの危険に身がさらされているんです。
 とにかく警察が、どこか五十キロ、百キロの膨大な量の覚醒剤を挙げても、末端価格に全然響いてないぐらい、つまり総量十数トンのそういう好ましくないものが日本に持ち込まれ、私たちの若い子弟の精神も肉体も蝕み、それが凶悪な、今までなかった形の犯罪を誘発している。
 これは、あるところでもいいましたが、私は、現代のアヘン戦争だと思います。政府はですね、それをどうとらえるのかということをいったら、寂として答えがありませんでしたが、いずれにしろ、既に私たちが許容した自衛のための軍隊である自衛隊があるわけでありまして、これがいかに合理的に稼働するかっていうことの法体系が全然なかったんですから。
 よく私、自民党時代に冗談いったもんです。もし敵が攻めてきて、どっかの松林に自衛隊がざんごうを掘って通ろうと思ったら、地主が来て、役所に行って許可とってもらってきて、これはうちの私有地だといわれたら、ざんごう掘れないと。そういうばかな議論がありましたけども。
 そんなことがないように、有事法制をきちっと整えるということは遅きに失したわけでありますが、しかし、いろいろと不備の点もございます。
 特にですね、国民の生命等の保護などについての必要な法整備というのは二年かかってやるというのはどうもわからないので、こんなもんさっさとやったらいいと思うんですけどね。それを要するに前後左右ばらばらに出すから、いろんな疑義があるんでしょうが。
 いずれにしろ、私は、日本が非常に大きな勢力によって侵犯されたときに、東京都として何をするかといったら、これは挙げて、要するに、無条件で国に協力する以外にないと思いますし、それが非難されるなら、私はいつでも知事辞めます。
 それから、大体のことを申し上げましたが、次いで靖国神社の参拝についてであります。
 その前に、私はですね、靖国神社にかわる施設の必要というのはないと思いますね。靖国を好まない人はお参りされなきゃいいんで、死者を弔うにですね、自分のそれぞれの家でされたらいいし、産土に参られたらいいし、お寺に参ったってよろしい、ということです。
 私は、ご質問ありましたが、ささやかな問題でありますけれども、今年の八月十五日にも靖国はお参りさせていただきます。どこかやじがありますが、それじゃ総理大臣になれないって、なれないで結構であります。
 ただ申し上げたいのはですね、昭和二十七年に――諸君に、若い連中に聞いてもらいたい。昭和二十七年にサンフランシスコ講和条約が締結された。それまでは日本は、国際法上は戦争状態が続いていたんです。それを終結するためにですね、サンフランシスコ講和条約が結ばれた。
 その前に行われた東京裁判というのは、ある意味で――その前にですね、これで断罪されて絞首刑にされた方々は、つまり戦争が続いている、法的には続いている間にそういう目に遭った人でありまして、法的にはこれは戦死者なんですね。いいかえればですね、ある人にいわせれば、敵国に殺された戦死者。あるいは名誉のある戦死者という人もいますが、いずれにしろ、それが正式な法的の解釈であります。
 あの裁判そのものは、ご記憶にあるかもしれませんけれども、最初の冒頭、日本のA級戦犯のために弁護に立ったイギリスとオーストラリアの将校、これは弁護士の資格を持った将校が軍服のまま陳述しましたが、この裁判に正当性があるんだろうか。これはジュネーブ協定違反をとがめるための裁判なら、私たちも同じことをしたではないか。広島、長崎の原爆はジュネーブ協定違反にならないのか。あのじゅうたん爆撃で、一夜にして東京の下町で数万の人を殺したあの爆撃、あれは何度も繰り返したけれども、軍部の中に、空軍本部の中にも反対する人がいたが、ルメイという空軍司令官が、日本は汚いから焼いた方がいいんだといって、あの爆撃を敢行した。そして、数万の人が一晩で死んだ。
 こういう事実というものを私たちは踏まえながら、かつ、この裁判を正当と主張できるんだろうかといったら、ウェッブ裁判長が慌てて阻止しまして、それで一回休廷した後で再開されたんですが、その後の二人の弁護人の陳述は、日本語に訳されずに、戦犯自身も、それから傍聴した日本人も、通訳なしに聞かされた。そして、裁判が終結した後、その冒頭の二人の弁護陳述というのは削除されました。そして、処刑された十数人の人たちの遺骨はついに帰ってこなかった。東京湾かどこかに捨てられたんでしょう。
 そういう非常に偏った裁判というもので、しかも、あそこにはB級、C級の方は当然合祀されているんですよ。しかし、A級が後になって合祀されたということで、けしかる、けしからぬといいますけれども、A、B、Cというランクはだれがつけたんですか。敗者を一方的に裁く勝者がつけたランクキング以外にないじゃないですか。なぜB、Cがよくて、Aだけがいけないんですか。
 これは、いってみると、私たち日本人の内面的な問題でありまして、それを歴史というものを踏まえながら、その解釈もいろいろあるでしょうけれども、私は、要するに、あの靖国神社という、遠くは明治の維新の倒れた志士たちから、あるいは、あの太平洋戦争の直後ですよ、戦闘が一応正式に終結したのに、北方四島をかすめ取ったソビエトが攻めてきて、最後にあそこで、もう私は死にます、本土の皆さん、お健やかにといって、電話の取り次ぎを終えて、あそこで凌辱され、殺害された交換手たちも祭られているわけですな。これを、つまり、A級戦犯が合祀されているということをもって、その正当性というものを、外国が否定するいわれはないし、否定されるいわれもないし、私はそういう自覚を持っておりますから、総理大臣になろうがなるまいが、八月十五日に参拝をさせていただきます。(拍手)
   〔警視総監野田健君登壇〕

○警視総監(野田健君) 警察手帳の形状変更についてお答えいたします。
 このたびの形状変更は、平成十二年八月、国家公安委員会に設けられました警察刷新会議の警察刷新に関する緊急提言を受けて策定された警察改革要綱に基づき、全国一斉に行われるものであります。
 この手帳は、二つ折りの縦型で、警察官の氏名や顔写真をわかりやすくしているほか、金色の日章を中央に配して、漢字で都道府県警察名、東京は「警視庁」と表記し、さらにアルファベットで「POLICE」、ポリスと表記した記章がついております。
 警察手帳は、相手方に提示することにより、職務執行の円滑化及び責任の所在の明確化を図るという行政目的のために定められた装備品でありますが、国際化に伴って、来日外国人による犯罪が激増し、凶悪化、組織化が進展している状況のもとで、外国人を含め、多くの人にわかるようにしたものと承知しております。
 新しい警察手帳は、十月一日から携帯が開始されますが、我々は旺盛なる使命感と確固たる信念を堅持しつつ、今後も首都の治安維持と都民生活の安全確保のため、職務に邁進していく覚悟であります。
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) 教育に関します八点の質問にお答え申し上げます。
 まず、男女混合名簿の導入についてですが、都教育委員会は、学校教育において人権教育の推進に努めますとともに、平成十二年四月施行の東京都男女平等参画基本条例に基づきまして、性別にかかわりなく個人として尊重される、男女両性の本質的平等の理念を児童生徒に理解させ、その具現化を図るよう、努めてきたところでございます。
 また、平成十三年七月に東京都男女平等参画審議会答申が出されまして、出席簿等の名簿において、男女に順序をつけるような取り扱いをしないために、都内の学校における男女混合名簿の導入を推進することが、東京都に求める取り組みの方向として示されました。
 出席簿につきましては、各学校長の権限と責任において行われるものでございますが、都教育委員会は、この答申を受けまして、出席簿の取り扱いによって児童生徒に男子優先の固定観念を植えつけることのないよう十分配慮することが大切であると考え、男女混合名簿に関する啓発、指導を行ってきたところでございます。
 ただ、各学校におきましては、健康診断であるとか、あるいは保健体育の授業など、さまざまな指導の場面がございまして、その実態に応じた名簿を作成する必要がありますことから、都教育委員会としましては、すべての名簿を一律に取り扱うような指導は行っておりません。
 次に、国立市の改善状況についてですが、平成十四年三月に国立市教育委員会より、教育課程の編成、実施の適正化や、組織的な学校の運営につきまして、最終報告があったところでございますが、都教育委員会からの指摘事項に関しましては、卒業式等における国旗・国歌の適正実施や、道徳授業地区公開講座の全校実施など、おおむね改善されていると考えております。
 しかし、ご指摘のように、一部の学校では、体罰などの不適切な指導を行う教員や、指導力不足教員などの課題もいまだ残されていると認識しております。
 こうした課題のある教員への対応についてですが、国立市教育委員会は、都教育委員会が示しました改善計画に基づきまして、指導主事による授業観察や授業計画の提出を求めるなど、引き続き指導を重ねております。また、体罰を行った教員には、厳正な処分を行ったところでございます。
 人事面におきましても、課題のある教員が一部の学校におりますことから、国立市教育委員会と連携のもと、異動の促進を図りますとともに、指導力不足と認定できる教員につきましては、厳正に対処してまいります。
 次いで、足立区立第十一中学校の授業についての評定でございますが、都教育委員会としましては、ご指摘の授業については、区立中学校で行われたものでございますため、区教育委員会に確認をしましたところ、選択社会科の授業において、差異と差別を考える、世の中と人の命などのテーマの授業において、ゲストティーチャ―として招かれたものでございますが、生徒は特別講師の話を真剣に聞いておりまして、授業そのものについては、特段の問題はなかったと聞いております。
 都教育委員会は、今後とも、授業を行うに当たりましては、学習指導要領の趣旨を踏まえまして、学校の実態や児童生徒の発達段階を十分考慮し、学校の教育計画に基づきまして、児童生徒の期待や保護者からの信頼にこたえられる授業を展開するよう、指導してまいります。
 次に、小中学校への民間人校長の採用についてですが、これは義務教育でありますことや、子どもの心身の発達上重要な時期にありますことなどから、都立高校に民間人校長を採用する場合と比べて、より慎重な対応が必要であると考えております。このため、設置者でございます杉並区教育委員会と綿密な連携を図りながら、都区の役割分担や任用方法等について、現在検討しているところでございます。
 次に、都立高校改革推進計画の新たな実施計画についてでございますが、これまでの都立高校改革の総仕上げとなる計画として策定することとしておりまして、都民に信頼される魅力ある都立高校の実現を目指し、経済、社会のグローバル化など、新たな課題に対応する学校の設置を行っていくほか、学校経営の充実についても、計画の重要な柱といたしております。
 新しい形態の学校につきましては、我が国の将来を担う、各分野のリーダーたり得る人材の育成を目指す中高一貫教育校の本格的な展開を図っていくほか、生産から流通、消費までを総合的に学習する産業高校や、全定併置校の解消を目指す昼夜間定時制高校の設置などを進めてまいりたいと考えております。
 また、既設校につきましても、進学指導に重点を置く学校や、IT教育推進のモデル校となる学校、基礎的な学力の定着を図る学校、職業体験に力を入れる学校など、それぞれの学校ごとに、生徒の実態や都民のニーズを踏まえた特色ある教育活動を展開し、その活性化を図ってまいります。
 次に、都立高校が自律的に個性化、特色化を図ることについてでございますが、都民に信頼され魅力ある都立高校を実現するためには、学校がみずから改革に取り組むことが重要でございます。そのため、平成十三年度から、モデル校を設置をしまして、学校の主体性のもとに、数値目標を掲げて、計画、実施、評価を行うマネジメントサイクルの仕組みを導入したスクールプランを作成してまいりました。
 今後、このスクールプランを発展させました学校経営計画を、平成十五年度から全校で作成して公表することとしまして、都民の期待にこたえる学校づくりに取り組んでまいります。
 また、学校が作成する計画及びその取り組み状況などを評価する仕組みを確立しまして、学校を支援、指導していきますとともに、学校別の評価の内容を、平成十六年度を目途に都民に公表していく予定でございます。
 最後に、学校への支援及び指導についてでございますが、都教育委員会としましては、都民に選ばれるような魅力ある都立高校づくりを進めるため、例えば、生徒みずからが考える力をつける総合的な学習の時間で成果を上げている学校や、部活動により学校の活力を高めた学校など、先導的な取り組みを行っている学校を選定しまして、人事、施設設備、予算、カリキュラムの編成などの面で重点的に支援してまいりますが、この重点支援校の取り組み努力を紹介することによりまして、他の学校の自律的な改革を促し、都立高校全体の個性化、特色化を推進してまいります。
 一方、課題のある学校には、校長への指導はもとよりですが、教員に対しまして、他校の成功した実践例の紹介や模範となる授業を見学させるなど、改善に向けて指導助言を行ってまいります。
   〔総務局長大関東支夫君登壇〕

○総務局長(大関東支夫君) いわゆるながら条例見直しに向けた取り組みについてでございます。
 都政を取り巻く社会経済状況が大きく変化する中、時間内組合活動につきましては、都民の理解と納得が得られるものにしていかなければならないことは当然でございます。
 都におきましては、この三月以降、時間内組合活動のあり方につきまして、鋭意検討を行った上で、ながら条例の改正を視野に入れた時間内組合活動の見直しにつきまして、既に職員団体に提案を行っております。
 今後とも、職員団体と精力的に協議を重ね、適切な見直しが実現できるよう、全力を挙げて取り組んでまいります。
   〔建設局長山下保博君登壇〕

○建設局長(山下保博君) 七つのご質問にお答え申し上げます。
 まず、環状第二号線市街地再開発事業が都市再生に果たす役割についてでございますけれども、首都東京の再生を進めるためには、都市の魅力と国際競争力を高めるとともに、民間の力を既成市街地に振り向け、新たな需要を喚起することが重要でございます。
 本事業による環状二号線の整備は、臨海部への交通アクセスを改善し、新橋・虎ノ門地区の潜在的活力を高め、周辺の民間開発を誘導するなど、都市再生の起爆剤となるものでございます。
 次に、本事業の進捗状況と今後の計画についてでございますが、平成十年の都市計画決定以降、事業の仕組みや進め方について説明会などを実施し、住民の理解と協力を得るとともに、地区面積八ヘクタールの約一割に当たる事業用地の先行取得を行ってまいりました。
 このたび、事業の着手に先立ち、今定例会に施行規程を提案したところでございます。この秋には、事業計画を決定し、権利者の生活再建にかかわる調整をさらに進めるとともに、本格的な用地取得を開始してまいります。
 次に、事業の進め方についてでございますが、今般、事業の迅速化を図る観点から、新たな事業協力者制度を設け、事業の初期段階から、民間の豊富な知識と経験を活用することといたしました。
 この事業協力者には、ビルの付加価値を高める企画提案や、権利者の生活再建などについて協力を求め、住民の合意形成を促進するわけでございます。
 加えて、再開発ビルの建設に当たりましても、民間特定建築者制度を積極的に活用するなど、事業のスピードアップを図ってまいります。
 次に、民活・規制緩和推進への取り組みの考え方などについてでございますが、東京の魅力を高め、活性化させていくため、道路や河川、公園などの都市基盤の整備とその適切な管理について、都民の視点に立って見直し、施設を管理するための規制を緩和すること、民間と共同で取り組める事業を明らかにすること、この二つの観点から検討しているところでございます。
 五月に発表いたしました中間のまとめでは、活力に満ちた都市とするため、まちづくり、電子都市構築、高齢社会への対応、企業活動などの活性化を取り上げるとともに、魅力ある都市とするために、都市のにぎわい、水、緑の保全、創出、利便性の向上を、民活・規制緩和の重点課題といたしました。
 七月までに計画をまとめ、東京を新しい時代にふさわしい都市に再生していくため、局を挙げて民活・規制緩和に取り組んでまいります。
 次に、電子都市構築に向けた取り組みについてでございますが、光ケーブル通信網を早期に整備するためには、道路や河川を利用した通信基盤整備を支援することも重要であると考えております。このため、光ケーブルにつきましては、例えば横断歩道橋や橋梁への取りつけ、河川管理用通路への敷設を認めていくこと、また、既設ケーブルの一部譲渡についての占用手続を簡略化すること、さらには電線共同溝を小型化し、地中化を促進していくことなどといたしました。
 これらの施策を実施することにより、敷設費用の低減や手続の迅速化が図られます。
 今後、関係局や関係機関と連携し、光ケーブル通信網の整備を支援してまいります。
 次に、道路整備における民活・規制緩和の施策でございますが、まちづくりに資する優良な民間開発を支援するため、関連する都市計画道路の新規事業化の時期や整備区間を開発に合わせて設定し、道路整備を機動的、重点的に実施することといたしました。
 また、地元自治体と連携を図り、誘導容積型の地区計画を積極的に活用し、沿道で将来の用途地域や容積率を適用した建築を可能とすることにより、関係地権者の生活再建の要望にこたえることといたしました。
 こうした施策により、民間開発の促進や土地利用の高度化を道路整備に合わせて実現し、良好な都市空間の形成に寄与すると考えております。
 今後とも、規制の見直しや民間活力の活用など、継続的に取り組んでまいります。
 最後に、新宿駅西口での福祉のまちづくりへの取り組みについてでございますが、都はこれまでも、高齢者や障害者などだれもが利用しやすいよう、道路施設の改善に努めてまいりました。
 お尋ねの西口広場につきましては、地元区や鉄道、バス事業者などで構成する協議会を設け、利用者の利便性向上を図る方策について検討を重ね、これまでに階段のスロープ化や点字ブロックの設置を行ってまいりました。さらに、広場の構造が三層となっていることから、今年度、各層を結ぶエレベーターを新たに三基設置することといたしました。
 今後とも、国や地元区市など関係機関や住民の理解と協力を得ながら、駅周辺道路施設の改善に努めてまいります。
   〔住宅局長橋本勲君登壇〕

○住宅局長(橋本勲君) 住宅政策に関します二点のご質問にお答えいたします。
 まず、南青山一丁目団地建てかえ計画の事業予定者の提案についてでございますが、都心部にふさわしく、容積率緩和を十分活用しまして、敷地の高度利用を図ることにより、都心居住の推進に貢献するとともに、地域の新しい顔ともなるすぐれた計画でございます。
 良質な民間住宅を初め、都営住宅、保育所、図書館、グループホームなど、多様な施設の一体的な整備に加え、福祉、医療の人材育成を行う医療福祉系大学院も設置しまして、地域福祉との連携も考慮しているものでございます。
 また、地代収入の面におきましても、都にとって財政的に十分寄与する提案となっております。
 民間の知恵を集めた都市再生の先駆けとなるものでございまして、今後の都心部における都営住宅の再編整備のモデルともなるものとして、高く評価しております。
 次に、民間活力を活用した都心部の都営住宅の建てかえについてでございますが、南青山一丁目に引き続き、港区の港南四丁目団地の建てかえにおきましても、敷地を高度利用することにより、用地を創出し、民間事業者を活用いたしまして、中堅所得層向けの民間住宅などを供給し、都心居住を推進することとしております。
 民間活力を活用したこのような取り組みをさらに進めるため、引き続き、都心部の建てかえ予定団地において、事業化に向けた準備を行っているところでございます。
   〔福祉局長前川燿男君登壇〕

○福祉局長(前川燿男君) 福祉行政に関して三点のご質問にお答えいたします。
 まず、介護保険事業支援計画における地域の福祉の住まいの位置づけについてでありますが、高齢者が生き生きと自立して生活していくためには、ご指摘のありましたとおり、地域の中で、お話しの家庭的な共同生活の場、いわゆるグループホームなどの整備を積極的に進めていくことが重要でございます。
 このため、都は、現在進めている福祉改革の取り組みにおきまして、独自の施策を講じながら、グループホームなどの整備を強力に推進していく方針を明らかにしており、市区町村と協力しながら、その実現に向けて努力していく考えでございます。
 現在策定中の介護保険事業支援計画におきましても、グループホームなどの整備につきまして、市区町村と共同して取り組む重要な事業と位置づけてまいります。
 次に、地域における福祉の住まいづくりの支援についてでありますが、ただいまお答えいたしましたとおり、この課題は、住民に身近な市区町村が積極的に取り組んでいただいてこそ、進んでいくものと考えております。
 こうした観点から、都は今年度、市街地の未利用地等を有効に活用して、福祉の住まいを整備していく新たな助成制度を創設いたしましたが、実施に当たっては、市区町村と相談しながら、例えば、市街地に残された小規模民有地の活用、社員寮等の既存建物の改修、再開発計画との一体的整備など、それぞれの地域の実情に即した多様な手法を駆使して、高齢者や障害者のための共同生活の場づくりを進めていく方針でございます。
 こうしたきめ細やかな支援を行うことによりまして、地域における福祉の住まいづくりに積極的に取り組んでまいります。
 最後に、いわゆるグループホームへの民間企業の参入促進についてでありますが、グループホームにつきましては、先ほどお答え申し上げましたとおり、今後、大幅に増設を図っていく方針でありますが、国は、民間企業への整備費補助を行っていないなど、実質的に参入障壁が存在しているのも事実でございます。
 民間企業の参入を促進するためには、こうした規制の緩和が必要であり、都は今年度から、独自に民間企業に対する整備費補助を実施することといたしました。また、これとあわせて、新たに民間企業等からの相談に応じる窓口を開設しており、不動産物件の情報を提供する仕組みづくりにも着手をいたしております。
 今後とも、民間企業の参入をさらに促進するための取り組みを積極的に展開してまいります。
   〔健康局長今村皓一君登壇〕

○健康局長(今村皓一君) 多摩地域の保健所に関連いたしまして、三点の質問にお答えいたします。
 まず、保健行政に関する検討会でありますが、保健所は住民の保健衛生に深くかかわる施設であることから、その再編については、市町村の理解を得ながら進める必要があると認識しております。
 このため、保健行政の現状や今後のあり方について、市町村と意見交換し、検討を行うための多摩地域保健サービス検討会を設置し、今月中にも開催する予定であります。
 この検討会において、都と市町村との役割分担、今後の都の保健所機能等について、市町村に十分説明をし、意見を聞き、秋ごろに中間のまとめを行う予定としております。
 次に、保健所の機能強化についてでございますが、今後の都の保健所は、二次保健医療圏における保健医療の拠点として、広域的、専門的、技術的な機能の強化を図っていく必要があると考えております。
 具体的には、地域の健康課題等の解決を目指す、保健医療に係る包括的な計画の策定などの企画調整機能、地域における健康被害の発生予防や拡大防止に中心的な役割を果たす健康危機管理機能、市町村主体の保健行政を支援する市町村支援機能などに重点化し、新しい時代にふさわしい総合的な保健医療戦略の地域拠点として、機能を強化してまいります。
 市町村に対する支援策についてでありますが、保健行政の再構築の大きな柱として、市町村が行うきめ細かな地域保健施策を都が支援する新たな仕組みについて、考え方をお示しいたしました。
 その内容といたしましては、市町村の自主性、自立性を尊重しつつ、地域の実情や特性に応じた保健施策を充実させる取り組みに対し、都として総合的に支援していく仕組みを考えております。
 今後、市町村の意見も承りながら、多摩地域総体の保健行政の向上に寄与するような支援策を構築してまいりたいと考えております。
   〔都市計画局長木内征司君登壇〕

○都市計画局長(木内征司君) 小規模雑居ビルの安全対策についての三点のご質問にお答えします。
 まず、この間の取り組みについてでございます。
 昨年九月の火災後直ちに、都と区、市で、対象となります約二千八百棟のビルについて緊急安全対策を実施し、建築基準法上不適合であったものなどについて、所有者や管理者に対して指導を行い、改善、是正を図ってまいりました。
 また、とりわけ問題の多い風俗店などの営業許可に際しましては、警察、消防、食品衛生部局などと連携体制を強化することにより、情報を共有化し、必要な是正指導を速やかに行えるようにいたしました。
 さらに、避難規定に関する基準を見直し、本定例会に建築安全条例の改正を提案いたしておるところでございます。
 次に、条例改正による避難安全性の向上についてでございます。
 風俗店や飲食店のある小規模雑居ビルについては、建築基準法上、避難施設の設置に関する規定が十分とはいえない状況にございました。このため、建築基準法の改正を待たずに、原則として二方向の避難を確保するとの考えに基づき、避難階段やバルコニーなどの設置を義務づけるよう条例を改正することによって、小規模雑居ビルの安全性を高めてまいりたいというふうに考えております。
 次に、建築物の安全確保についてでございますが、今回の条例改正により、新築や改築だけではなく、既存ビルにあっても、増築や大規模な模様がえ、用途変更を行う際には、新築と同様に規制の対象となり、避難施設の設置が義務づけられます。
 また、関係機関との連携体制を強化し、避難施設の設置を促進していくとともに、ビルの所有者、管理者に義務づけている定期報告の制度を活用し、条例改正の趣旨を周知するなど、避難安全性の確保に努めてまいります。
   〔消防総監杉村哲也君登壇〕

○消防総監(杉村哲也君) 雑居ビルの安全対策へのこれまでの取り組みについてでありますが、雑居ビルの出火防止や人命危険を排除するために緊急特別査察を実施いたしました。
 また、有識者から成る検討委員会を設置し、その結果に基づき、総務省消防庁に対して所要の要望をしたところ、消防法が改正され、本年四月に公布されました。
 また、警視庁、都市計画局などと連絡協議会を設置し、合同立入検査を実施するなどの対応が図られました。
 次に、改正を予定している火災予防条例についてでありますが、改正された消防法では、階段等の避難施設の管理者に適正な維持管理責任が規定されましたが、これに加えて、今回の条例改正案では、避難施設等の安全性をさらに強化するために、何人に対しても避難施設に火災の予防や避難に支障となる物件、例えばロッカー、ビールケース、ごみ等を置くことを禁止する。また、防火設備及び消防用設備等の作動、機能に支障となる内装、広告板等を設ける行為を禁止するなどの規定を整備することとしております。
 今後は、改正された消防法とともに、火災予防条例を厳正かつ的確に執行してまいります。
   〔生活文化局長高橋信行君登壇〕

○生活文化局長(高橋信行君) 江戸開府四百年事業の推進組織についてでありますが、来年は江戸に幕府ができてから四百年となりますが、この節目の年は、東京の魅力を再発見し、内外にアピールする絶好の機会であります。
 このたび、東京商工会議所が中心となって、地域、民間団体等の活動を盛り上げ、その推進役となる推進協議会を立ち上げました。今後、協議会が中心となって、事業の掘り起こしや、共同の広報等を行う予定となっております。
 都といたしましても、この協議会への参画、区市町村との連携、各局の既存事業の活用など、できる限りの支援を行い、各方面と協力して、文化、観光、産業の振興を図り、これからの東京の活性化につなげていきたいと考えております。
   〔産業労働局長浪越勝海君登壇〕

○産業労働局長(浪越勝海君) 中小企業金融及び貸金業対策に関する四点のご質問にお答えを申し上げます。
 まず、今年度の中小企業に対する金融支援についてですが、中小企業を取り巻く金融状況が依然として極めて厳しいことを認識しております。そこで、今年度の制度融資の目標額については、一千九百億円増額し、一兆五千億円と設定したところであり、五月末時点で、対前年同期比一二〇%の融資を実行しているところでございます。
 また、融資条件をより自由に設定でき、資金調達しやすい自律経営振興融資を新たに創設するなど、中小企業の要望に沿った改善にも努めております。
 さらに、これら融資制度を紹介する新たなチラシを三十万部作成し、各金融機関の窓口に備えるなど、周知の徹底と利用の促進を図っているところでございます。
 次に、中小企業の再生への支援についてでございますが、ご指摘のとおり、中小企業の再生は社会の活力に欠かせないものと考えております。そこで、中小企業に対する金融面における再生支援策については、その経営実態などの把握に努めるとともに、新しい制度融資の創設も含め、国への提案要求も視野に入れながら、検討を進めているところでございます。
 また、今後、現行制度の運用においても、金融機関や保証協会と連携を図りながら、借入金の一本化を促進するなど、さらにさまざまな工夫を凝らしてまいります。
 次に、悪質な貸金業者への対策についてでありますが、近年急増している違法、不当な貸金業者の行為については、極めて遺憾なことであります。そこで、昨年十二月より、産業労働局のホームページにおいて、利用者が被害に遭わないよう注意喚起し、業者の登録情報が検索できるようにしたほか、本年四月には、貸金業者関係の人員を大幅に増員し、通常の立入検査に加え、新たに特別検査に取り組むなど、検査体制を強化したところでございます。
 今後は、消費生活総合センターと協力し、広範な情報収集に努めるとともに、国及び警視庁と連携し、指導監督を強化してまいります。
 最後に、悪質な業者に対する処分や処罰についてでありますが、被害を未然に防止するためにも、迅速かつ厳正な処分を行うことは非常に重要であり、大きな抑止力が働くものと認識しております。
 新しい執行体制のもとで、これまで苦情の多い業者のデータ分析等を行い、行政処分の準備を重ねてきたところです。その結果、本日六月十八日、まず、新宿区内にある悪質な貸金業者に対し、貸金業規制法に基づき、九十日間の業務の停止を命ずる行政処分を行ったところでございます。これを皮切りに、警視庁の摘発にも協力しながら、今後とも引き続き厳格な行政処分を行い、悪質な業者を排除してまいります。
   〔港湾局長川崎裕康君登壇〕

○港湾局長(川崎裕康君) 我が国の港湾物流IT化の阻害要因とその打開策でございますが、日本とシンガポールの港湾では、通関制度や取扱貨物の性格が異なるなど、単純な比較はできませんが、我が国における港湾のIT化は、国の関係機関、港湾管理者、荷主、船会社などが個別にシステムを開発してきたため、相互に連携できないなど、効率化の面で多くの問題点を抱えております。
 これを打開するためには、官民一体となった港湾物流の情報網を構築する必要があります。そこで、東京都が国や民間事業者、他の主要港に呼びかけ、港湾のIT化検討会を本年七月に発足させ、港湾物流のIT化を全国レベルで推進していくこととしたところであります。

○議長(三田敏哉君) この際、議事の都合により、暫時休憩いたします。
   午後二時五十九分休憩

ページ先頭に戻る