一番 | 谷村 孝彦君 |
二番 | 東村 邦浩君 |
三番 | 中屋 文孝君 |
四番 | 矢島 千秋君 |
五番 | 高橋かずみ君 |
六番 | 山加 朱美君 |
八番 | 後藤 雄一君 |
九番 | 福士 敬子君 |
十番 | 伊沢けい子君 |
十一番 | 大西由紀子君 |
十二番 | 青木 英二君 |
十三番 | 初鹿 明博君 |
十四番 | 山下 太郎君 |
十五番 | 河野百合恵君 |
十六番 | 長橋 桂一君 |
十七番 | 小磯 善彦君 |
十八番 | 野上じゅん子君 |
十九番 | ともとし春久君 |
二十番 | 萩生田光一君 |
二十一番 | 串田 克巳君 |
二十二番 | 小美濃安弘君 |
二十三番 | 吉原 修君 |
二十四番 | 山田 忠昭君 |
二十五番 | 林田 武君 |
二十六番 | 野島 善司君 |
二十七番 | 真鍋よしゆき君 |
二十八番 | 中西 一善君 |
二十九番 | 山口 文江君 |
三十番 | 真木 茂君 |
三十一番 | 花輪ともふみ君 |
三十二番 | 酒井 大史君 |
三十三番 | 清水ひで子君 |
三十四番 | かち佳代子君 |
三十五番 | 小松 恭子君 |
三十六番 | 織田 拓郎君 |
三十七番 | 藤井 一君 |
三十八番 | 東野 秀平君 |
三十九番 | 中嶋 義雄君 |
四十番 | 松原 忠義君 |
四十一番 | 田代ひろし君 |
四十二番 | 三宅 茂樹君 |
四十三番 | 川井しげお君 |
四十四番 | いなば真一君 |
四十五番 | 近藤やよい君 |
四十六番 | 高島なおき君 |
四十七番 | 鈴木 一光君 |
四十八番 | 吉野 利明君 |
四十九番 | 小礒 明君 |
五十番 | 新井美沙子君 |
五十一番 | 相川 博君 |
五十二番 | 樋口ゆうこ君 |
五十三番 | 富田 俊正君 |
五十四番 | 福島 寿一君 |
五十五番 | 大塚 隆朗君 |
五十六番 | 古館 和憲君 |
五十七番 | 松村 友昭君 |
五十八番 | 丸茂 勇夫君 |
五十九番 | 鈴木貫太郎君 |
六十番 | 森田 安孝君 |
六十一番 | 曽雌 久義君 |
六十二番 | 石川 芳昭君 |
六十三番 | 土持 正豊君 |
六十四番 | 倉林 辰雄君 |
六十五番 | 遠藤 衛君 |
六十六番 | 秋田 一郎君 |
六十七番 | 服部ゆくお君 |
六十八番 | 臼井 孝君 |
六十九番 | 北城 貞治君 |
七十番 | 野田 和男君 |
七十一番 | 三原 將嗣君 |
七十二番 | 大西 英男君 |
七十三番 | 宮崎 章君 |
七十四番 | 執印真智子君 |
七十五番 | 馬場 裕子君 |
七十六番 | 西条 庄治君 |
七十七番 | 土屋たかゆき君 |
七十八番 | 河西のぶみ君 |
七十九番 | 中村 明彦君 |
八十番 | 大山とも子君 |
八十一番 | 吉田 信夫君 |
八十二番 | 曽根はじめ君 |
八十三番 | 橋本辰二郎君 |
八十四番 | 大木田 守君 |
八十五番 | 前島信次郎君 |
八十六番 | 桜井良之助君 |
八十七番 | 新藤 義彦君 |
八十八番 | 星野 篤功君 |
八十九番 | 田島 和明君 |
九十番 | 樺山 卓司君 |
九十一番 | 古賀 俊昭君 |
九十二番 | 山崎 孝明君 |
九十三番 | 山本賢太郎君 |
九十四番 | 花川与惣太君 |
九十五番 | 立石 晴康君 |
九十六番 | 清原錬太郎君 |
九十七番 | 小山 敏雄君 |
九十八番 | 大河原雅子君 |
九十九番 | 名取 憲彦君 |
百番 | 藤川 隆則君 |
百一番 | 小林 正則君 |
百二番 | 林 知二君 |
百三番 | 東ひろたか君 |
百四番 | 池田 梅夫君 |
百五番 | 渡辺 康信君 |
百六番 | 木内 良明君 |
百七番 | 石井 義修君 |
百八番 | 中山 秀雄君 |
百九番 | 藤井 富雄君 |
百十一番 | 野村 有信君 |
百十二番 | 比留間敏夫君 |
百十三番 | 松本 文明君 |
百十四番 | 桜井 武君 |
百十五番 | 佐藤 裕彦君 |
百十六番 | 川島 忠一君 |
百十七番 | 矢部 一君 |
百十八番 | 内田 茂君 |
百十九番 | 三田 敏哉君 |
百二十番 | 田中 晃三君 |
百二十一番 | 藤田 愛子君 |
百二十二番 | 尾崎 正一君 |
百二十三番 | 田中 良君 |
百二十四番 | 和田 宗春君 |
百二十五番 | 坂口こうじ君 |
百二十六番 | 木村 陽治君 |
百二十七番 | 秋田かくお君 |
欠席議員(二名)
七番 柿沢 未途君
百十番 大山 均君
知事 | 石原慎太郎君 |
副知事 | 福永 正通君 |
副知事 | 青山 やすし君 |
副知事 | 濱渦 武生君 |
出納長 | 大塚 俊郎君 |
教育長 | 横山 洋吉君 |
知事本部長 | 田原 和道君 |
総務局長 | 大関東支夫君 |
財務局長 | 安樂 進君 |
警視総監 | 野田 健君 |
主税局長 | 安間 謙臣君 |
生活文化局長 | 高橋 信行君 |
都市計画局長 | 木内 征司君 |
環境局長 | 赤星 經昭君 |
福祉局長 | 前川 燿男君 |
健康局長 | 今村 皓一君 |
産業労働局長 | 浪越 勝海君 |
住宅局長 | 橋本 勲君 |
建設局長 | 山下 保博君 |
消防総監 | 杉村 哲也君 |
港湾局長 | 川崎 裕康君 |
交通局長 | 寺内 広壽君 |
水道局長 | 飯嶋 宣雄君 |
下水道局長 | 鈴木 宏君 |
大学管理本部長 | 鎌形 満征君 |
病院経営本部長 | 櫻井 巖君 |
中央卸売市場長 | 碇山 幸夫君 |
選挙管理委員会事務局長 | 南 靖武君 |
人事委員会事務局長 | 高橋 功君 |
地方労働委員会事務局長 | 大久保 隆君 |
監査事務局長 | 中山 弘子君 |
収用委員会事務局長 | 有手 勉君 |
午後一時開会・開議
○議長(三田敏哉君) ただいまから平成十四年第二回東京都議会定例会を開会いたします。
これより本日の会議を開きます。
○議長(三田敏哉君) まず、会議録署名議員の指名を行います。
会議録署名議員は、会議規則第百二十四条の規定により、議長において
五番 高橋かずみ君 及び
六十八番 臼井 孝君
を指名いたします。
○議長(三田敏哉君) この際、議会局の部長に異動がありましたので、紹介いたします。
議事部長稲熊明孝君。
〔部長あいさつ〕
○議長(三田敏哉君) 以上で紹介を終わります。
○議長(三田敏哉君) この際、謹んでご報告申し上げます。
名誉都民中城イマ氏には、去る四月二十九日、また、名誉都民柳家小さん氏には、五月十六日、逝去されました。まことに哀悼痛惜の念にたえません。
ここに生前のご功績をたたえるとともに、故人のご冥福をお祈りし、議会として深甚なる弔意を表します。
○議長(三田敏哉君) 次に、議長部長をして諸般の報告をいたさせます。
○議事部長(稲熊明孝君) 平成十四年六月四日付東京都告示第七百五十二号をもって、知事より、本定例会を招集したとの通知がありました。
また、同日付で、本定例会に提出するため、議案三十二件の送付がありました。
次に、地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した東京都都税条例及び東京都における銀行業等に対する事業税の課税標準等の特例に関する条例の一部を改正する条例の報告及び承認について、依頼がありました。
次に、知事より、平成十四年第一回定例会の会議において同意を得た東京都収用委員会委員及び東京都収用委員会予備委員の任命について、発令したとの通知がありました。
次に、知事より、東京都組織条例の一部改正等に基づく組織の改正による東京都議会説明員の変更について、地方自治法第百二十一条及び会議規則第四十二条の規定に基づき通知がありました。
次に、知事より、平成十三年度東京都一般会計予算外五件の明許繰越について、平成十三年度東京都一般会計予算外一件の事故繰越について及び平成十三年度東京都中央卸売市場会計予算外六件の繰り越しについて、それぞれ報告がありました。
次に、地方自治法第百八十条第一項の規定による議会の指定議決に基づく専決処分について、報告が二件ありました。
内容は、訴えの提起、損害賠償額の決定及び和解に関する報告について、及び警視庁の設置に関する条例の一部を改正する条例外一件の報告についてであります。
次に、監査委員より、平成十三年度工事監査、平成十三年度財政援助団体等監査及び例月出納検査の結果について、それぞれ報告がありました。
また、包括外部監査の結果に基づき知事等が講じた措置の通知内容について、提出がありました。
(別冊参照)
○議長(三田敏哉君) この際、平成十四年四月二十九日付をもちまして藍綬褒章を受章されました方をご紹介いたします。
川島 忠一君
ここに敬意を表し、心からお祝い申し上げます。
〔拍手〕
○議長(三田敏哉君) 次に、文書質問に対する答弁書について申し上げます。
第一回定例会に提出されました文書質問に対する答弁書は、質問趣意書とともに送付いたしておきました。ご了承願います。
〔文書質問趣意書及び答弁書は本号末尾(九ページ)に掲載〕
○議長(三田敏哉君) 次に、先般の組織改正に伴い、異動のありました説明員の方々をご紹介いたします。
健康局長今村皓一君、病院経営本部長櫻井巖君。
〔理事者あいさつ〕
○議長(三田敏哉君) 以上をもって説明員の紹介は終わりました。
○議長(三田敏哉君) 次に、首都移転断固反対総決起集会について申し上げます。
去る五月二十一日、東京国際フォーラムにおいて、東京都議会、東京都及び首都移転に断固反対する会の共催による首都移転断固反対総決起集会を開催いたしました。
本件について、副議長橋本辰二郎君より報告があります。
〔八十三番橋本辰二郎君登壇〕
○八十三番(橋本辰二郎君) 去る五月二十一日に開催されました首都移転断固反対総決起集会につきまして、ご報告を申し上げます。
首都移転について、東京都議会はこれまでも一貫して反対の立場を表明し、行動してまいりました。平成四年六月の決議を皮切りに、現在までに六件の意見書、決議を議決するとともに、この問題に関する動向に即応して、首都移転反対の立場から、国及び国会への要請を行ってまいりました。また、平成十一年九月に発足した首都移転に反対する東京都議会議員連盟には、超党派の都議会議員が多数結集し、精力的な活動を展開してきたところでございます。
こうした中で、国会における移転先候補地の絞り込みの期限とされる本年五月を迎え、この時期をこれまでの活動の重大な節目としてとらえ、広く関係各層、都民の参加を得て、首都移転の白紙撤回を目指し、都議会として総決起集会を開催することとした次第でございます。開催に当たっては、執行機関並びに首都移転に断固反対する会のご協力を得て、実施をいたしました。
総決起集会当日の五月二十一日の来場者数は、予想を大幅に上回り、約三千五百人にも達する大盛況となりました。会場となった東京国際フォーラムは熱気に包まれ、首都移転断固反対の思いのもとに、場内が一つになって集会が進められました。
東京都を代表して、三田都議会議長と石原都知事から首都移転阻止に向けての力強いあいさつがあった後、来賓の皆さんと都内の民間団体代表者の方々から、力強い連帯のごあいさつと白紙撤回に向けた強いご支援の発言をいただきました。
総決起集会の締めくくりとして、首都移転に断固反対する緊急アピールを満場一致で採択し、集会は成功裏に幕を閉じました。
総決起集会の終了後は、三田議長を初めとする会派役員三十名による政府、国会への要請を実施いたしました。緊急アピールを携え、扇国土交通大臣、安倍官房副長官、倉田参議院議長並びに綿貫衆議院議長を相次いで訪問し、首都移転の白紙撤回に向けた取り組みを強く要請いたしました。
また、同じく総決起集会終了後に、都議会議員、都内の区市町村議会議員と集会参加者の皆さんによる総勢約五百人の街頭行動を実施いたしました。
街頭行動は、まず、首都移転反対をデザインしたラッピングバス六台と参加会派の街頭宣伝車四台に分乗して車両デモを行い、続いて、日比谷公園から国会に向けて徒歩による街頭行進を実施しました。
今回の総決起集会は、こうした行動と相まって広く世間に首都移転の不当性をアピールし、都民、国民の多くが知らないうちに国家の一大事が決定されようとしている危うさを訴え、首都移転反対の機運を盛り上げることができたものと考えております。
国会においては、五月中の移転先候補地の絞り込みが断念されましたが、都議会の今回の取り組みが、拙速に結論を求めようとする移転推進の動きに歯どめをかける大きな力となったことを確信するものでございます。
総決起集会に参加された議員各位とご来賓及び都民の皆様の暖かいご支援、ご協力と関係各位のご尽力に深く感謝を申し上げるとともに、今後とも都議会は、首都移転の白紙撤回を目指して活動していくことを改めて宣言をして、報告を終わらせていただきます。
ありがとうございました。(拍手)
○議長(三田敏哉君) 以上をもって首都移転断固反対総決起集会の報告は終わりました。
○議長(三田敏哉君) 会期についてお諮りいたします。
今回の定例会の会期は、本日から六月二十六日までの十六日間といたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(三田敏哉君) ご異議なしと認めます。よって、会期は十六日間と決定いたしました。
○議長(三田敏哉君) この際、知事より発言の申し出がありますので、これを許します。
知事石原慎太郎君。
〔知事石原慎太郎君登壇〕
○知事(石原慎太郎君) 平成十四年第二回都議会定例会の開会に当たり、都政運営に対する所信の一端を申し述べ、都議会の皆様、都民の皆様のご理解とご協力を得たいと思います。
名誉都民である中城イマさんが四月二十九日に、同じく名誉都民である柳家小さん師匠が五月十六日に逝去されました。ここに謹んで哀悼の意を表し、お二人のご冥福を心からお祈りいたします。
冒頭に申し上げます。
東京都の元局長が特別養護老人ホームの補助金申請をめぐる事件で逮捕、起訴されたことにつきましては、重く受けとめており、今後の動向を注意深く見守っていきたいと考えております。今回の件を踏まえ、これまでにも増して補助金の適正な執行を心がけてまいりたいと思います。
それでは次に、東京都の再生に関連して、何点か申し上げます。
かつて、人々は、あすへの希望を求めて集団を形成し、そこから都市が誕生いたしました。都市は、拡大を続けることで人々の希望、期待を充足し、都市自体も発展を続けてまいりました。発展の過程では、どの都市も戦争、災害、疫病など存亡にかかわる局面に遭遇いたしましたが、多くの都市が試練を乗り越え、今日の隆盛を導き出しております。
中でも、東京は、最も輝ける都市の一つでありました。しかし、企業の経営者や政治家など、指導者となるべき層に良心を忘れた行動が目立ち、問題の解決を先送りする風潮が社会に蔓延するにつれ、魅力や活力が消え、今日の東京は日本の縮図として戦後最大の危機に直面しております。
東京は、よくも悪くも我が国の先行指標となる存在であり、東京の再生が軌道に乗ったとき、我が国の再生にも光が差すことになります。国は、東京の再生を国家の再生としてとらえ、重点的に対策を講じるべきであります。
東京を再生させるには、道路、空港、港湾などの基盤整備を初めとして、多岐にわたる取り組みが不可欠でありますが、まずは緊急課題の解決が必要であり、その一つとして土地の有効活用が焦眉の急となっております。
先般成立した都市再生特別措置法は、時間と場所を限定した大胆な措置により、土地利用の側面から都市の再生を促す制度であります。この法律は、民間の力を引き出すことを主眼としており、緊急かつ重点的に整備を進める緊急整備地域が舞台となります。
国は近々、緊急整備地域の第一次指定を行うことになります。その際、首都の顔づくりを行うとの認識のもとに、国際競争力の強化や魅力の向上に大きく寄与できる地域を指定することが大切であります。
東京には、条件の整っている地域が多数存在いたしますが、我が国の近代が凝縮されたまちである東京駅・有楽町駅周辺地域、海の玄関口としての世界への発信拠点となる東京臨海地域、IT先端地区としての発展が期待できる秋葉原・神田地域など、七地域二千四百ヘクタールを先行して指定すべきと思います。そこでは、地域の機能性や快適性を向上させるため、民間のプロジェクトと一緒になって、駅前広場や歩行者専用空間などの施設が整備される必要があると考えております。
国に対しては、直ちに行動を起こし、東京都の見解に沿って地域を指定するよう強く建言をいたします。
東京駅の周辺は風格漂う町並みが形成されておりますが、建物の老朽化が進んでいることから再整備に取り組んでおります。この区域に適用する特例容積率は、別の敷地への容積の移転を認めて土地の高度利用を図る、我が国初の制度であります。都市再生特別措置法に基づく金融支援も活用しながら、東京駅周辺をさらに洗練されたまちに変えていきたいと思います。
南青山一丁目では、都営住宅、民間住宅などの官民の施設を一体的に整備する独自の再生事業が民間の手で始まろうとしております。容積率を大胆に緩和することで床面積を大きくふやすことができ、民間事業者にとって、また、地主である東京都にとっても収益が拡大することになります。ここでは、福祉、医療の人材育成やグループホームの運営も始まる予定であり、都有地に誕生する高層ビルが地域の新しい顔になるものと期待しております。
多摩を含め都内に点在する都営住宅は、敷地を高度利用することで、まとまった面積の事業用地を生み出すことができ、東京の再生にとって大きな財産となり得るものであります。現在、再編整備にあわせて多面的な活用を進めており、新たに木造住宅密集地域の整備に都営住宅の用地を提供することにいたしました。安全上問題の多いこうした地域は、転居用敷地の確保が困難なため整備がおくれておりましたが、高度利用により生み出した都営住宅の用地を活用することで、整備を促進することができると思います。まずは、モデルとなる都営住宅を試行的に選び、民間主導による新しい手法も導入しながら木造住宅密集地域を整備したいと考えております。
また、道路や河川、公園などを管理するために設けている各種の規制を緩和し、民間の活動を側面から支援することも重要であります。
光ファイバーの設置許可に関しては、河川沿いの敷設を認めるほか、占用手続を一部廃止するなど、民間事業者が光ファイバーを利用しやすい環境を用意いたします。
再開発が進む汐留地区では、民間と共同した道路の管理を検討しており、こうした新しい試みを実現させることで、東京の再生に弾みをつけたいと思います。
東京へのアクセスを大きく改善させる羽田空港の再拡張については、この四月、国の検討会で、三つの工法に絞って工期や事業費が示されました。羽田空港の再拡張は極めて重要性の高い国家プロジェクトであり、たとえ東京の発意により始まったものであっても、本来国が責任を持つべき範疇の事業であります。国はこの点を十分認識すべきであり、ようやく動き出した流れをとめることなく、速やかに手続を終わらせ、一日も早く工事に着手することを強力に要求してまいります。
首都移転は、大半の国民にとっておよそ現実味がなく、関心のわかない話題であると思います。しかし、地元への誘致をねらっている一部の国会議員に引きずられ、国はいまだに首都移転を断念しておりません。これまで都議会の皆様とは、首都移転がいかに無益なものかをともに訴えてまいりましたが、議論することを避けたまま移転に向けた手続だけをやみくもに進めるのが、国の手口でありました。
しかし、衆議院の特別委員会は、先月末を期限と定めていながら移転候補地の絞り込みを行うことができませんでした。みずからが決めたスケジュールを守れなかったことは、三カ所の候補地を抱えたこの問題が膠着状態に陥り、これ以上の前進が難しくなった何よりの証左であります。国は、これを潮どきとして、首都移転の問題を考え直すべきであると思います。
国の政治家には、過去の決議にとらわれることなく、我が国の将来を冷静に見通し、首都移転を白紙撤回することを改めて強く要求いたします。
地震国日本では、地域を問わず大地震が発生する可能性が非常に高く、したがって、首都として、災害に対し十全の備えを講じることが求められております。首都圏を構成する七都県市は、この点を十分認識し、共通の課題として災害対策に力を入れております。
首都の場合、万一の際に必要となるのは、首都機能のバックアップであります。首都圏には大規模な会議場が多数そろっており、国会などの代替機能は確保できますが、自治体相互の連絡に使う専用の通信回線が極めて不足しております。災害時における首都圏自治体の機動性、主体性を確保し、十分な連携体制を整えるには、現在の非常用通信網を再構築し、広域的な防災通信ネットワークを形成する必要があります。
自治体が円滑に連携するには、ハード面の整備ばかりではなく、関係者が日ごろから訓練を繰り返し、意思の疎通を図ることが不可欠であります。運営本部の間を結んで行う図上訓練は、さまざまな場面が設定できるため、指揮官の判断能力を養う上で高い効果があり、昨年度から重点的に実施しております。今年度は七都県市にも参加を呼びかけ、ITを活用した図上訓練を実施する予定であります。
このほか、現在、横浜市、埼玉県などを会場にワールドカップサッカー大会が開催中でありまして、東京にも多くの旅行者が訪れていることから、不測の事態に備え、警備、医療面を中心に危機管理体制を強化しております。広域かつ緊急の対応が必要な場合には、関係自治体と速やかに連携する用意も整えております。さらにこの先は、ワールドカップでの対応など、これまでの経験を生かしながら、危機管理全般にわたる首都圏での連携を一層強化したいと考えております。
ことしの三月には、予防から復興までの総合的な震災対策を盛り込んだ事業計画を策定いたしました。こうした対策を複合的、重層的に講じながら、災害対応能力を高めていきたいと思います。
住民の生命と財産を守ることは、中央政府ばかりではなく、地方政府においても最も基本的な役割であります。しかし、災害のみならず、日常生活のさまざまな場面で生命の安危にかかわる事件や事故が多発しており、東京の安全は著しく低下しております。
昨年九月、歌舞伎町で発生したビル火災は、多くの人命を奪い、我が国の安全神話をさらに風化させました。以後、査察を強化するなど安全対策に努めてまいりましたが、現行制度では小規模な雑居ビルに対する安全措置が進まないなど、規制が不十分であり、防火安全対策の充実が急務となっております。避難路を確保し、消防活動を円滑に行う上で必要な規制を強化するため、今定例会に建築安全条例、火災予防条例の改正を提案いたしました。
また、以前には予測されなかった迷惑な行為によって、安寧な生活が脅かされております。例えば逆恨みなどによって、他人につきまとう行為が目立ってふえておりますが、現在の法令では、恋愛感情のもつれを原因とするもの以外は十分に取り締まることができません。街頭にはんらんするピンクビラや落書き、盗撮行為も、罰則が軽微であるため、犯罪を抑止できない状況にあります。
だれもが不安を覚え、不快を感じる迷惑な行為に対しては、厳しく臨むことが当然の姿勢であり、今定例会で迷惑防止条例を改正したいと考えております。
このほか、東京都に登録している貸金業者からの融資をめぐって、都内ばかりではなく、全国からの苦情相談が急激に増加しております。法外な高金利を取り立てたり、不当な紹介手数料を要求するような行為は、到底許されるものではありません。業務の停止や登録の取り消しなど、厳格な処分をかつてない規模で行い、悪質な業者を排除したいと思います。
都民生活の不安を解消するには、社会的不正に目を光らせるとともに、育児や介護、あるいは発病時に安心して頼ることのできる体制を整えることが不可欠であります。
三百六十五日二十四時間、だれに対しても救急医療を行う東京ERは、墨東病院で最初の業務を開始してから半年余り経過いたしました。治療の優先順位をつけるトリアージを行うなど、改善を加えることで運営も軌道に乗ってまいりました。来月には広尾病院で、年内には府中病院でERを開始する予定であります。
他方で、治療中に発生する医療事故が依然として後を絶ちません。医療事故は、医療に対する信頼を大きく低下させるものであり、早急な対策が必要であります。
事故の中には、医療機器の扱い方を原因とする事例が少なからず存在しており、医療の現場と医療機器メーカーが認識を深め、緊密に連携できれば、その多くを未然に防止できるはずであります。
そのため、早い段階から情報を交換し、建設的な議論を行う場として医療機器安全情報ネットワークを構築し、間もなく運用を開始いたします。今後、多くの関係者に声をかけ、ネットワークの参加機関を拡大させたいと考えております。このような仕組みを整えることが、医療の安全性を高めていくことにもなると思います。
一方、福祉の分野においても、新しい取り組みが着実に進んでおります。
昨年度に開始した認証保育所は、早くも八十八カ所を数え、当初の見込みを大きく上回る勢いで増加を続けております。大都市の特性を踏まえた仕組みをつくれば、多くの事業者が参入し、住民に喜ばれるサービスを提供することができます。認証保育所の成功は、この真理を明快に実証いたしました。
高齢者や障害者のグループホームなどに対しても、独自の支援策を講じることで整備を促進したいと考えております。
先週開設した高齢者向けの病院、江東高齢者医療センターでは、隣接する特別養護老人ホームなどと一体となって、医療、看護、介護などさまざまなサービスを複合的に提供いたします。運営に当たっては、効率性を高めるため、民間の力を活用しております。
新しい施設の建設と同時に、今ある施設の必要性を精査することも重要な課題であります。都立の福祉施設の今後のあり方については、現在、有識者を交えて抜本的な改革を検討しており、近く具体的方針を公表する予定であります。
文明がもたらした病の一つとして、地球規模での温暖化が異常な速度で進行しております。砂漠の拡大や生態系の変化など、重大な影響が発生しており、その対策が今後の大きな課題であります。
しかし、肝心の国が煮え切らない対応を続け、見過ごせない状況にあることから、東京都は本年二月、地球温暖化阻止東京作戦を開始いたしました。現在は、シンポジウムを開催するなど、重点的にキャンペーンを展開しております。
七月と八月には、家電販売店等の協力のもとに、省エネルギー型商品の普及拡大を集中的に呼びかける予定であり、事業者、消費者と一体となって温暖化を阻止していきたいと考えております。
さらに、この秋には、東京都が独自に取り組むべき温暖化対策について、基本的な方針を取りまとめる予定であります。
汚染された大気は日々健康を侵していながら、この件に関しても国の取り組みは大きくおくれております。今、最も許しがたい問題は、東京都の強い抗議にもかかわらず、自動車NOx・PM法の適用を大幅に延期したことであります。環境問題の最終的な責任者であり、最も強い権限を握っていながら、環境行政を著しく後退させた点について、国に対し猛省を促すとともに、再度強く抗議をいたします。
国の愚策をしり目に、七都県市では対策を強化しております。東京都、埼玉県、千葉県は、既にディーゼル車を規制する条例を制定しておりますが、神奈川県でも先般、条例化の意向が示されました。三千三百万人が居住する首都圏全域で、ほぼ同一のディーゼル車規制が実施されようとしており、大気汚染の抑止に高い効果が期待できます。今月からは、粒子状物質減少装置の共同指定制度も開始いたしました。
この問題では、広域行政が着実に動き出しており、今後、一層新しいフォーマットを充実させていきたいと思っております。
都民から預託されている公金を守ることは、都民の財産を守ることであり、重要な課題であります。
これまでは、金融機関の選別基準を設けるなど、ペイオフ解禁以降の公金管理対策に取り組んでまいりました。しかし、みずほ銀行のシステム障害によって、公金の支払いや収納の運用リスクについても厳密な管理が必要であることを思い知らされました。
そのため、みずほ銀行が指定金融機関としての安全性を備えているかどうか確認する目的で、先月下旬から、国を上回る体制で東京都独自に臨時の検査を実施しております。このたびの事件は、銀行の最も基本的な機能である決済業務に支障を及ぼした大失態であり、二度と許されないものであります。近く検査結果を公表するとともに、どのような対応が必要か十分吟味し、厳正に対処していきたいと思います。
こうした安全対策を強化し、だれもが安心して社会活動を展開できる仕組みを整えながら、同時に、新しい時代を切り開く政策を積極的に推進いたします。
経済の長期低迷が続く中、産業構造の転換に異論を挟む者はないと思います。しかし、産業界には自発的に変化するほどの強い力はなく、国にも新鮮なアイデアが乏しいため、一向に改革は進みません。
今月二十七日に開業するビジネス支援図書館は、創業や事業の拡大を目指す個人、中小企業経営者に対し、ITを活用して実用的な情報や知識を提供する我が国初の施設であります。
東京には、新しい事業を起こすアイデアや意欲はありながらも、経営のノウハウ、法律上の専門知識を持ち合わせていないため、能力を発揮できない有為な人材が数多く埋もれております。ビジネス支援図書館は、他では入手が困難な情報を豊富に取りそろえ、必要としている専門機関を紹介することで、そうした人たちをソフト面から多角的に支援いたします。
この取り組みは、東京の産業再生に向けた第一歩に過ぎませんが、新しい産業に対する支援策を充実していくことで、事業所の開設率を大きく高めたいと思っております。
新しい産業の育成には、産・学・公の連携もまた不可欠な取り組みであります。多くの機関、多くの分野で研究が続いておりますが、バイオと医療は、具体的な還元が期待できる段階に近づいております。
四月には、企業との交流会を開催したほか、都庁内に常設の相談窓口を設置いたしました。今後、交流会を定期的に開催し、東京都が保有している研究開発の成果を民間企業に積極的に提供したいと思います。
情報提供の充実や投資家の紹介など、連携を一層強化することで、新技術の開発や企業の創業などにつなげていきたいと考えております。
古来より、人類は、物の交流を通じて多くの刺激を得、富を増してきました。四方を海で囲まれた我が国にとって、港は外国との玄関口であり、流行の先端地でもあります。航空網の発達した現代社会においてもなお、港湾は、海外貿易量の実に九九・七%を扱っており、極めて重要な役割を担っております。
しかし、昔ながらの商慣行、国の縦割り行政、ITの立ちおくれなど、さまざまな要因が効率化を阻害し、日本の港はすっかり国際競争力を失ってしまいました。
我が国とは対照的に、国家戦略として高水準のサービスを提供することで確固たる地位を築いているのがシンガポールであります。例えば、東京港では三時間近くかかる通関手続が、シンガポールの場合、わずか十五分間で完了いたします。先般、日本の技術を駆使して多量の貨物を次々と荷さばきしている様子を視察し目の当たりにしまして、非常に無念な思いをいたしました。
港湾ターミナルにおける所要時間の短縮は、コストの削減にも直結し、消費者に対し安い商品を提供することが可能になります。企業の国際競争力を高めることにもなり、港湾物流の効率化は、だれもが求める切実な課題となっております。しかし、国には、多数の利害関係者を束ねる力がないため、問題を解決することができません。
このような現況に対しては、今後、東京がリードオフマンとなって、国や関係者に情報システムの一体化などを強く働きかけることで、早期に効率的な港湾物流を実現させたいと考えております。
今の時代、環境との共生は、都市において欠かすことのできない要素であります。環境に配慮した都市づくりを引き続き推進するため、今定例会に環境影響評価条例の改正を提案しております。
改正案の柱の一つは、全国で初めて、計画段階からのアセスメントを導入することであり、昨年までの試行を踏まえ、東京都の大規模事業を対象に実施したいと考えております。
もう一つの柱は、現行の手続を簡素合理化することであります。これまでの運用から得られた知見を生かし、制度の趣旨を損なうことなく改善が可能な部分については、積極的に見直し、手続期間の短縮や対象規模の変更などを行いたいと思います。
今回は、条例制定後二十年が経過した中で、初めての本格的な改正となります。この改正により、新しい時代にふさわしい良好な都市環境を形成したいと考えております。
ところで、最近の若者を眺めておりますと、みずからの個性をないがしろにしているように見えてなりません。他人と同じ装飾をし、同じ行動をとることで小さな安心を得ているのかもしれませんが、それでは、せっかく持ち合わせているはずの個性や、そこから育つ感性、情念を殺すだけであります。同時に、我慢することができず、社会生活上最低限求められる秩序すら守ることのできない自分勝手な行動がふえております。
これらは皆、結果の平等を重視し、画一的に知識を詰め込むことしかなかった我が国の教育行政がもたらした報いにほかなりません。
現在進めている都立高校改革は、一人一人の生徒が持つ可能性を引き出すため、高校の差別化などを通して教育の現場に個性を吹き込む取り組みであります。
例えば、これからの時代、ITは欠かすことのできない道具であり、遠隔教育や外国との交流、さらには美術や音楽まで、広範囲にわたりITを使用する学校があってしかるべきと思います。
学習になじめない生徒に対しては、基礎的な学力の定着や職業体験に力を入れ、達成感を体得させることも立派な教育になります。また、都民の期待が大きい中高一貫教育校も積極的に設置すべきであると考えます。
平成十五年度から学区制が撤廃され、都立高校は選択と競争の時代を迎えます。学校の経営責任を明確化することが必要であり、改革の実績を上げている学校を重点的に支援し、意欲のある学校が評価される仕組みにしたいと思います。
十月には、こうした内容を盛り込んだ都立高校改革の新しい実施計画を策定することにしており、都民に信頼される魅力ある都立高校を目指してまいります。
一方、設立準備を進めている都立の新大学は、三年後に開校を控え、ことしが骨格を形成する正念場の年となります。
これまで大学は、教員にとって、また学生にとっても、世間から隔離され、安住できる場所でありました。しかし、教育水準を高め、社会への貢献を増していくには、努力をし、実績を残したものが正当に評価される大学としなければなりません。
新しい大学は、法人化することで主体性を高め、さらに、民間の経営感覚を取り入れた機動的な大学にしたいと考えております。そのためには、経営責任と教育研究責任を明確に分離する必要があり、国に対し法令の整備を強く要求してまいります。
法人化の利点を最大限に生かすには、教員人事に業績主義を徹底する必要があります。硬直的な人事を流動性の高いものに改め、すぐれた成果を上げた教員を優遇するなど、競い合いの中から優秀な人材を確保していきたいと考えております。
社会を支えるのは、結局は人の力であります。都立の高校、大学を変えることで、新しい時代を支える人材を一人でも多く輩出していきたいと思っております。
都市の魅力、活力は、さまざまな要素が複雑に絡み合うことで形成されております。とりわけ文化は、まちの個性をつくり出す重要な要素であり、伝統を受け継ぐ心と前衛的な発想とをうまく融合させながら、東京の文化を育てていきたいと考えております。
都立公園、歩行者天国などを利用して、近々開始する予定のヘブンアーチスト事業は、若手のアーチストに公共空間を開放し、芸を磨いてもらう試みであります。この事業が実施されれば、歩行者天国は一層にぎわいを増し、地元商店街の振興にも大きく寄与できると思います。十月には、多くの都民に、東京と世界のアーチストの競演を楽しんでもらいたいと考えております。
また、「アジア舞台芸術祭二〇〇二東京」を八月十八日から開催いたします。これは、演劇、音楽など、アジア各都市の舞台芸術を一堂に集め、競演しながら交流を深める催しで、アジア大都市ネットワーク21の共同事業の一つであります。多くの方々にごらんいただき、アジアの舞台芸術を広く世界に紹介したいと思っております。
昨年開始した重要施策は、重点的に実施すべき優先度の高い施策を予算編成に先立ち選定するものであります。平成十四年度の重要施策では、選定の過程で活発な政策議論を行い、斬新なアイデアを事業化することができたと思います。平成十五年度は、厳しさを増す財政状況を踏まえ、より一層効果の高い事業を中心に厳選する必要があります。近く、重要施策の策定について基本方針を示したいと考えております。
最後に、地方主権について一言申し上げます。
地方分権一括法は、地方自治体や有識者の声に押され、不完全ではありますが、平成十一年に成立いたしました。
残された大きな課題は、自主財源を強化することでありますが、この間、何の変化もなく、地方主権が一向に進まないことに、多くの地方自治体がいら立ちを覚えていると思います。
総務大臣は、先月の経済財政諮問会議で、国から地方への税源移譲を提案いたしました。これは、東京都税制調査会が既に提言している案と軌を一にするものであり、おおむね評価できる内容ではありますが、問題は、いつ実現するかであります。国全体で真剣に議論し、速やかに税源移譲することを強く要求いたしてまいります。
一方、現在係争中の外形標準課税は、財政再建団体への転落が危惧される中で、法律で認められた課税自主権を行使することで生み出した税であります。もちろん、導入に当たっては、さまざまな角度から検討を重ねました。
例えば、一審判決では、法人事業税の応益課税としての性格を否定しておりますが、事業税が行政サービスの対価として課される応益課税であることは既に確立した通説であり、この判決は状況認識に全く欠けるものであります。その上、地方の裁量も極めて限定的に解釈しており、時代の趨勢からもかけ離れた論旨となっております。
東京都の主張は、控訴審の中で詳しく訴えてまいりますが、これは地方主権そのものをかけた裁判であります。歴史の針を逆戻りさせることのないよう、全力を傾け訴訟を闘い抜くつもりですので、都議会の皆様、都民、国民の皆様のご理解、ご支援を心からお願い申し上げます。
私たちは、今、主権の重みを改めて考える必要があると思います。主権は、それが確保されることによって初めて、独立した個体としての自由な意思が保障される、極めて重い存在であります。しかるに、国家の主権を揺るがしかねない事件が立て続けに発生しながら、国の対応は全く危機意識に欠けております。
その一例が北朝鮮の工作船事件であり、工作船を通じて多量の覚せい剤が密輸され、若者の精神と肉体をむしばみ、さらには凶悪犯罪を誘発し、大都市の治安を悪化させているとも指摘されながら、決定的な証拠となり得る沈没船をいまだに引き揚げておりません。
また、瀋陽での総領事館侵入事件では、幾つもの判断ミスを重ね、国民は場当たり的な釈明を聞かされるばかりであります。
国家の主権すら守れない相手に対し、地方の主権を認めさせることは大きな困難が予測されますが、主権を確立しない限り、真の自立は到来いたしません。実績を積み重ねることで国を動かし、地方の主権を獲得したいと思います。
都議会の皆様、都民の皆様の一層のご理解とご協力を心からお願いいたします。
なお、本定例会には、これまで申し上げたものを含め、条例案二十二件、契約案八件など合わせて三十三件の議案を提案しております。よろしくご審議をお願いいたします。
以上をもちまして所信表明を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
○議長(三田敏哉君) 以上をもちまして知事の発言は終わりました。
○六十七番(服部ゆくお君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
本日の会議は、これをもって散会し、明十二日から十七日まで六日間、議案調査のため休会されることを望みます。
○議長(三田敏哉君) お諮りいたします。
ただいまの動議のとおり決定することにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(三田敏哉君) ご異議なしと認めます。よって、本日の会議はこれをもって散会し、明十二日から十七日までの六日間、議案調査のため休会することに決定いたしました。
なお、次回の会議は、六月十八日午後一時に開きます。
本日はこれをもって散会いたします。
午後一時四十五分散会
一四財主議第一〇一号
平成十四年六月三日
東京都知事 石原慎太郎
東京都議会議長 三田 敏哉殿
文書質問に対する答弁書の送付について
平成十四年第一回東京都議会定例会における左記議員の文書質問に対する答弁書を別紙のとおり送付します。
記
河野百合恵議員
清水ひで子議員
坂口こうじ議員
木村陽治議員
提出者 河野百合恵
質問事項
一 林業振興策と住宅支援施策について
一 林業振興策と住宅支援施策について
私は、林業振興策について質問します。
東京都の総面積の三六%、七万九千ヘクタールを森林が占めています。なかでも、多摩地域の森林は五万二千ヘクタールで、東京の総面積の約二四%におよんでいます。多摩の森林保全と林業の振興は都政の重要課題であり、多摩振興にも大きな力となるものです。多摩地域の森林は、戦後植林された人工林が充実期を迎えており、蓄積量は年々増加しています。しかし、国の林業政策の後退・切捨てが林業の衰退をまねいて、多摩の木材は有効利用されず、森林は荒廃の一途をたどっています。
東京の森林を守る林業従事者は、一九九五年で六百八十二人と十年間で八二%に減少しています。森林組合の作業班員の平均年齢は六十三歳で、高齢化と後継者難は深刻です。
多摩地域では、所有面積五ヘクタール未満の森林所有者数は八八%、面積は一六%であり、二十ヘクタール以上の所有者数は三%、所有面積は六五%を占めています。寡少な面積しか所有していない林業家が圧倒的多数です。加えて、輸入外材などの影響による木材価格の低落と循環低下、人件費や造林経費の増加、相続税の負担の重さなどにより、林業経営が困難を極め、森林整備の遅れに重大な影響を及ぼしています。
昨年六月に改正された森林・林業基本法では、「木材産業等の健全な発展」が位置付けられ、地方公共団体の責務として「基本理念にのっとり、森林及び林業に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の区域の自然的経済的社会的条件に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する」としています。
ふりかえって、これまでの東京都の林業施策はどうだったでしょうか。森林再生・林業振興には国の取り組みが欠かせませんが、東京都の林業予算自体が毎年削減され、一九九六年度の六十四億円から二〇〇一年度は二十七億円にまで減っています。これまでのような東京都の姿勢では、森林の保全・林業の振興を進めることはできないのではないでしょうか。
東京の森林を再生するために、今、求められているのは、多摩産材の利用促進と林業を振興することです。多摩の林業にかかわっている業者からは、多摩の木材を循環させることが、森林再生の大きな力になること、同時に、もっと安定した供給体制と需要の拡大が必要であるとの声が強まっています。
こうした状況をふまえて、以下、質問します。
1 長期的見通しをもった森林再生のプランづくりを
今年四月から、東京都農林漁業振興対策審議会では「二十一世紀の東京の森林整備のあり方と林業振興の方向について」という諮問を受けて、答申作りが行なわれると聞いています。その際に重要なのは、関係自治体・森林組合・山林所有者などの参加です。
ここまで荒廃してきた森林の再生には、長期的視点に立った林業従事者の育成などが欠かせません。東京都も多摩の森林再生について、「急峻な斜面や、林道が整備されていない場所も多く、山仕事のプロとしての地元林業従事者の活用が不可欠」と説明してきました。
新年度から「東京の森再生プロジェクト」がスタートすることになり、地元自治体や森林組合は、この事業が長期にわたって実施されれば、人材育成を含めて、長期的な戦略を立てることが可能になると歓迎しています。
四月から予定されている東京都農林漁業振興対策審議会の中間答申、最終答申のまとめにあたっては、公聴会を開催することや審議会として多摩の現地調査を行なうことなど、地元自治体・森林組合・山林所有者などの意見を反映できるように東京都としても努力することを求めます。
また、長期的・総合的視点に立った東京の森林再生のためのプランを策定するよう求めます。見解を伺います。
2 公共施設への多摩産木材の積極的利用について
ア 東京都は一九九八年五月に「東京都木材利用推進連絡会」を設置し、その目的を「森林資源を持続的に利用する都の林業・林産業は、需要の減退と価格の低迷から厳しい状況におかれている。一方、都は社会の持続可能な発展のため、環境への負担ができるだけ少ない『循環社会づくり』を重要な政策課題として位置付け、その推進に取り組んでいる。都の林業・林産業の振興を図るため、庁内関係部局相互の連絡・調整、情報交換を密にし、公共事業における積極的な木材の利用推進」としました。そして、公共土木工事、公共施設への木造化・木質化などを目標にしてきました。
しかしながら、「東京都木材利用推進連絡会」が設置されているにもかかわらず、実際の公共施設整備における木材の利用実態は把握されていません。
東京都の二〇〇二年度予算案を見ると、施設整備費は例えば、福祉費で五百十八億円、教育費で二百十八億円とかなりの予算額になっています。保育園・特別養護老人ホーム・病院・学校・体育館をはじめ、住宅局関連でも、都営住宅のリフォーム、建設などに多くの住宅資材が使われます。
東京都が「木材の利用実態さえ把握していない」という現状を改め、公共施設で多摩産材を積極的に利用促進していくことが求められています。
秋田県では、公共建築物の木造化、内装木質化、並びに公共土木工事への間伐材利用を進めるために県庁内に副知事をトップに各部局長を委員とした県産材利用推進会議を設置しています。宮崎県では、県産材利用推進委員会を設置し、県営事業・補助事業等における木材利用推進や施設の木造化及び木質化の推進を図っています。
「東京都木材利用推進連絡会」が公共施設整備における多摩産材の利用実態をきちんと調査し把握できるようにすること。また、公共施設整備への多摩産材の利用目標値を決め、促進を図ることを求めます。合わせて、見解を伺います。
イ 区市町村への支援策も重要です。埼玉県では、施設整備の内装・外装に県産材利用についての助成を行い、県産材を使用した学校の机・椅子への助成をしています。岡山県も、小・中学校における県産材の利用への補助をしています。
東京都でも、区市町村が施設整備をする際に多摩産材を利用するよう働きかけをし、実際に利用した場合は、木材費の一部を助成することなどの促進策を講じることを提案するものです。所見を伺います。
3 「多摩の森林再生計画」による切捨て間伐について
東京都は二〇〇二年度の重点施策として「東京の森再生プロジェクト」をうちだしました。これまでの産業労働局を中心とした林業施策に加えて、環境局・建設局・水道局の四局がそれぞれ森林再生に取り組む事業です。
環境局の「多摩の森林再生計画」は、今後五十年にわたって多摩の山林一万八千ヘクタールを間伐し森林を守るという事業で、これにより新たな仕組みのもとで広範囲に間伐が行なわれることになります。初年度は九百六十ヘクタールの間伐が予定され三億五千万円の予算が計上されていますが、間伐材の処理費用は含まれていません。環境局の事業が切り捨て間伐となれば、さまざまな問題が発生することが予測されます。
昨年九月の台風十五号による被害状況に見られるように、間伐した材木の置き方に注意しなければ、災害の原因になります。さらに、森林総合研究所は、スギ・ヒノキの材質劣化害虫の一種であるニホンキバチが切り捨て間伐を中心に局所的に多発することがあるとの研究結果を発表しています。放置された間伐材が腐食する時に出るCO2で温暖化現象を加速させるという指摘もあります。
こうした問題の発生を防ぐうえで、間伐材の活用は大切な課題です。間伐材の活用については木質バイオマスが注目されていますが、木材利用は地球温暖化防止に効果があると期待されています。木材を利用することで炭素固定を行なうことができ、さまざまな木製品は「町の中の第二の森林」と言われています。
残念ながら間伐材は、木材流通価格の低迷、搬出コストの問題などから、なかなか利用が進んでいなかったり、切捨てが主になっているのが現状です。
そもそも、これまでの都の事業では、間伐の方法や利用間伐について、森林の荒廃に歯止めをかけるには十分な取り組みとは言えなかったのではないでしょうか。
今後「東京の森再生プロジェクト」として行なわれる間伐には、関係各局の連携はもちろんのこと、地元の自治体・森林組合・山林所有者や利用者を含めて協議会をつくり、「東京の森林再生」に役立つ間伐方法や間伐材の利用の検討を進めるように求めます。見解を伺います。
4 多摩産材活用促進の仕組みづくりについて
多摩の森林の再生や、山林地域の街づくりにあたって、住宅建設の側面から考察していくことは、安心して住める住宅づくりにもつながります。それ故に、個人住宅への多摩産材活用促進の仕組みづくりも大切な課題です。
多摩の木材を積極的に利用した家づくりをすすめる「東京の木で家をつくる」などの取り組みが進んできています。
東京都は昨年十一月に、木材生産者・工務店・設計者・都民が情報を共有できるネットワークとして、住宅局・産業労働局が関わり「東京の木・家づくり協議会」を発足させましたが、東京都としても、「地産地消」の考え方に立って、個人住宅への多摩木材の活用について、足を踏み出すべき時ではないでしょうか。
近年、奥多摩森林組合では、生活協同組合などに多摩の材木を自然乾燥させて出荷できるようになっていて「品質が良い」と喜ばれています。また、檜原村森林組合も内装材を中心にプレカットして出荷しています。それでも、まだ製材機械の稼働状態は五割程度にとどまっています。より良質の(含水率が少ない)木材を供給して行くうえでは「ストックヤードが必要である」との強い要望もあります。
ア 多摩産材の安定的供給のために、東京都がストックヤード設置にむけて支援するように求めます。
イ 大手ハウスメーカーが率先して多摩産材を活用するよう、東京都が働きかけを行なうことを求めます。
ウ 今後、さらに需要を開拓していくためには、家を建てる人・工務店・設計者に多摩産材の良さを知ってもらう必要があります。多摩産材のPRのためには、展示や交流の場などの仕組みづくりが不可欠です。東京都として、具体的にどのような支援策を進めようとしているのか伺います。
以上、三点について答弁を求めます。
5 一九九九年八月の「住まい及び住宅政策に関するアンケート」(住宅局)によると、都民は住宅に関して多くの要望を持っています。
都内には、新耐震基準が施行された一九八一年以前の建物は、四〇%以上あります。また、バリアフリー住宅の割合は五・四%という水準です。都内には、潜在的に住宅リフォーム需要は相当の量があると言えます。
全国各地では、林業振興と住民の住宅支援を結びつけた取り組みが進んでいます。岩手県、三重県、島根県、岡山県、徳島県、愛媛県、高知県などでは地場産材を利用した木造住宅の建設、購入した人に借入金の利子補給や助成などを行なっています。
東京都として、都民が家を新築・リフォームする際、地元工務店が多摩産材を利用して施工した場合、借入金の利子補給や、木材費の一部を補助する制度を設けることを求めます。見解を伺います。
6 現在、東京都では個人住宅に関する相談体制で、建築基準法に関わる問題は都市計画局、有害化学物質の室内汚染などの問題は衛生局か環境局、不動産取引でのトラブル問題になると住宅局の不動産指導、住宅建設資金融資あっせんは住宅局開発調整部など各担当ごとの対応になっています。
二〇〇〇年四月には「住宅の品質確保の促進に関する法律」が施行され、東京都でも有料ではありますが、測定器貸し出し、有害化学物質の室内汚染に関する相談など、住宅局が対応を始めています。
また、室内の化学物質対策については、居住者の健康や住まいについて配慮するために、設計・施工者に指示し、設計や材料選択が適切か建築現場で正しく施工されているか、住宅を購入する際の注意など、都立衛生研究所や衛生局での取り組みが行なわれてきています。しかしながら、まだ個人住宅について総合的に相談にのれる体制は十分とは言えません。
都民の住宅取得などについて、都に総合的な住宅相談窓口を設け、様々なトラブルの解決、新しい住宅の建築相談など、都民の住宅関係の問い合わせにワンストップサービスを提供できるような制度をつくるべきと考えます。答弁を求めます。
質問事項
一 林業振興策と住宅支援施策について
1 農林漁業振興対策審議会のまとめにあたって、公聴会の開催や多摩の現地調査を行うなど、地元自治体、森林組合、山林所有者等の意見を反映できるよう努力すべきであるが、見解を伺う。
また、長期的、総合的視点に立った東京の森林再生のためのプランを策定すべきだが、見解を伺う。
回答
審議会には、地元自治体、森林組合、森林所有者及び学識経験者などにも委員として参画していただくとともに、今回、特に専門的事項を調査、審議するための専門員を委嘱・活用して、地元の意見や専門的意見を十分反映できる体制を整えています。
また、審議会の答申をまとめるにあたっては、中間のまとめを公表し、広く都民の意見を聴く予定にしております。
都としては、長期的かつ総合的な視点に立って、今後対応してまいります。
質問事項
一の2 公共事業における積極的な木材の利用促進について
ア 「東京都木材利用推進連絡会」が公共施設整備における多摩産材の利用実態を調査把握できるようにすべきだが、見解を伺う。また、公共施設整備への多摩産材の利用目標値を決め、促進を図るべきだが見解を伺う。
回答
東京都木材利用推進連絡会は、循環型社会づくりの推進と都の林業・林産業の振興を図るため、庁内関係部局相互の連絡、調整及び情報交換を密にし、公共事業における積極的な木材の利用を推進することを目的に、平成十年度に設置したものです。
この連絡会では、庁内の木材利用実績を毎年調査しており、今後とも、利用実態の把握に努めてまいります。
また、現在、東京都農林漁業振興対策審議会に対し「二十一世紀の東京の森林整備のあり方と林業振興の方向」について諮問しており、その中で、多摩産材利用促進の方策について審議していただいております。
都としては、その答申を踏まえて、公共施設への利用促進策を検討してまいります。
質問事項
一の2のイ 都は、区市町村が施設整備をする際に、多摩産材利用の働きかけをし、実際に利用した場合は、材料費の一部を助成するなど促進策を講じることを提案するが、見解を伺う。
回答
多摩産材の利用拡大を図るためには、都や区市町村が率先して木材を使用することが重要であると考えています。
このため、現在、東京都農林漁業振興対策審議会で「二十一世紀の東京の森林整備のあり方と林業振興の方向」について審議していただいており、多摩産材の利用促進策については、その答申を踏まえて検討してまいります。
質問事項
一の3 今後、「東京の森再生プロジェクト」として行われる間伐には、関係各局の連携はもちろんのこと、地元自治体、森林組合、山林所有者及び利用者を含めて協議会をつくり、「東京の森林再生」に役立つ間伐方法や間伐材の利用の検討を進めるべきだが、見解を伺う。
回答
間伐材については、木材資源活用の観点から、都は、これまでも間伐材の搬出経費の補助や、土木資材、建築資材など幅広い分野での間伐材の活用を進めてきました。
間伐方法等については、地元自治体、森林所有者及び木材流通事業体等で構成され、流域内の森林の整備及び木材の生産、流通の活性化を協議するために設けられた東京都流域林業活性化協議会などの場を活用して検討してまいります。
なお、今年度から実施する「多摩の森林再生事業」につきましては、その具体的方法を地元自治体等と協議しながら行ってまいります。
質問事項
一の4 多摩産材活用促進の仕組みづくりについて
ア 多摩産材の安定的供給のために、都がストックヤード設置にむけて支援をすべきだが、見解を伺う。
回答
多摩産材の安定供給と品質確保のため集荷と製品保管機能を持つ拠点整備は重要であると考えています。
このため、都としては、東京都森林組合が進めている製品の保管及び展示機能を持つストックヤードの整備について支援しております。
質問事項
一の4のイ 大手ハウスメーカーが、率先して多摩産材を活用するよう、都が働きかけるべきだが、見解を伺う。
回答
都は、多摩産材を活用した木造住宅の供給を促進するため、「東京の木・いえづくり協議会」を設立し、都民や住宅の生産に携わる方々(住宅生産業者、木材供給者)への情報提供を行い、多摩産材を使った家づくりの普及を目指しているところです。
今後とも、住宅生産業者等に対して、多摩産材の利用拡大を働きかけてまいります。
質問事項
一の4のウ 多摩産材のPRのためには、展示や交流の場等の仕組みづくりが不可欠であるが、都として具体的にどのように支援するのか、伺う。
回答
都は、多摩産材を活用した木造住宅の供給を促進するため、「東京の木・いえづくり協議会」を設立し、多摩産材を使った家づくりのPRと普及を目指しています。
また、この運動を盛り上げていくために、協議会に参画している「東京の木で家を造る会」や「生活協同組合・消費者住宅センター」などの各団体が進めている生産者と消費者の交流活動についても支援しているところです。
質問事項
一の5 都民が、家を新築・リフォームする際、地元工務店が多摩産材を利用して家を施工した場合、借入金の利子補給や木材費の一部を補助する制度を設けるべきと考える。
見解を伺う。
回答
都においては、今後の民間住宅施策としての個人住宅への利子補給は、木造住宅密集地域での防災性の向上を図るための制度に限定して実施することとしています。
都としては良質な建築資材が市場において活用されることが、必要と考えており、平成十三年十一月に設立された「東京の木・いえづくり協議会」を通じて、良質な多摩産材の普及を関係機関に働きかけていきます。
質問事項
一の6 都民の住宅取得などについて、都に総合的な住宅総合窓口を設度をつくるべきだが、見解を伺う。
回答
都民の住宅取得などに関する様々な問題の解決は、本来、都民の自助努力によるべきものと認識しています。
行政は側面的な支援として相談業務を行うもので、基本的には住民に身近な区市町村の窓口で行うものと考えています。
都においては、不動産トラブルについての弁護士相談をはじめとする専門的な相談を行っています。
これらの相談に際しては区市町村の窓口と連携して、取り組んでいます。
提出者 清水ひで子
質問事項
一 障害のある児童・生徒の完全学校週五日制対応について
一 障害のある児童・生徒の学校週五日制完全実施への対応について
学校週五日制完全実施目前に迫っています。年間学校に通う日にちは二百日、休みは百六十五日と、一年のうち学校での生活が大きく減少し、家庭、地域で過ごす時間が大きく増えることになります。この時間が、こどもたちにとって豊かでよりよいものになるように行政の対応が求められています。
わが党は、二〇〇二年第一回定例会の代表質問、また曽根議員が二〇〇一年第四回定例会の文書質問で、学校週五日制への対応について質問しましたが、私も改めて、特に心身に障害のある児童・生徒の学校五日制への対応について伺います。
1 東京都は、曽根議員の、障害児の休日の過ごし方などの実態調査と関係者との対策の協議を求めた質問に対し、「……環境を整備することは重要なこと。H四年からの学校週五日制実施に伴い、都と区市町村の間でそれぞれの役割分担などについて協議を重ねてきた。」と、回答しました。これは東京都が一九九三年に設置した「心身に障害のある児童・生徒の地域活動促進協議会」での協議を指すとのことですが、この協議会は一九九六年に報告書を出して以降開かれていません。
五年間も開かれていなかったことが、五日制の完全実施にむけた対応の遅れを生んでいるといわねばなりません。
この報告書では、「……報告書は結果的に、課題の整理が中心となっている。心身に障害のあるこどもたちが身近な地域で豊かな活動ができるよう、都と区市町村は、その体制づくりをめざし、今後さらに、民間団体などとの連携を強化するとともに、協議を続けていく。」と述べています。そこで、五日制完全実施にむけて、あらためて「学校週五日制完全実施・心身障害児の地域活動に関する協議会」を、都として再開し、月二回の週五日制のもとでのこの間の取り組みや障害児の実態などを検証し、施策の充実に役立てる必要があるのではないでしょうか。見解を伺います。
2 実際に、障害児と家族、そして、関係者、障害者団体は、学校五日制完全実施を迎えるにあたり、「障害の特質がさまざまあり、休日をゆっくりと休みたいと考える児童、親もあるが、活動の場所を求める児童もたくさんおり、その場所の提供が現在でも不十分な中で、緊急な対応が求められる。」と、行政への対策の強化を望んでいます。
昨年十二月には、八王子市内にある四つの都立心身障害児学校の各学校長、PTA会長でつくっている「学校五日制連絡協議会」が、八王子市市長と教育委員会教育長宛に「八王子市における心身障害児・者に対する社会教育の拡充に関する要望書」を提出しました。その中では、「心身障害児が学校でこれまですごしてきた土曜日が、さらに休日化することになり、地域社会において、児童、生徒が生活していく時間が飛躍的に増えていくことが予測される。こうした時期にそなえ、H四年より都の施策の補助を受け、とり組んできた。しかし、心身障害児童・生徒の通う学校は学区域が広く、学校を主体とした試みは地域とかけ離れたものとなりがちである。地域社会の一員として生活していくことを願っている。」と、市内における社会教育事業の充実やボランティア人材育成、指導者の充実など、市内在住の児童を中心とした活動の場の提供を求めています。
心身障害児学校は都立学校ですが、土曜、日曜が完全休日となれば、ますます身近な地域である区市町村での対策が求められています。都が一九九四年から、障害のあるこどもたちが、地域で豊かに生活できるよう実施してきた「心身に障害のある児童・生徒の地域活動促進事業」は、二十五区市が事業を実施してきました。しかし、都は、二〇〇〇年度で新規受付を中止し、一地区五年間としている二〇〇四年度まで継続している二区市が終了すれば事業が終了することになります。
この事業を八年年度から十二年度まで受けた小平市の団体は、事業の継続を求めて市議会に陳情を提出しました。その中で、「……スイミング実施をせめて月二回は継続したいが、委託が中止されることになれば、会費はもらってもコーチや指導員の謝礼など支払う負担が大きく継続が困難になる。……プールを楽しみにしている多くのこどもたちに大変つらい思いをさせることになる。」と訴えました。市からも何度も都に事業の継続の要求を行ったとのことでした。しかし、五年間という期限を区切っての事業で、東京都としての事業はなくなりました。陳情は市議会で採択され、国の地域活動支援事業である「こどもゆめ基金」を活用して事業が継続されましたが、これも立ち上がりへの支援事業で、支援期間が終われば、再び維持が困難になるのです。
週五日制が完全実施になったもとで、これまで大きな効果があり、引き続き期待もされている「地域活動促進事業」のような事業を発展させ、区市町村の地域活動支援の新たな仕組みをつくる必要があると考えますが、どうでしょうか。
3 障害のあるこどもの地域活動を促進していくためには交流の促進者として、また、理解を地域へ広げていく役割として、ボランティアの役割が重要となっています。そして、そのためにもボランティアの人材・養成、指導者人口の増加が不可欠です。
東京都が二〇〇一年度から実施している指導者養成モデル講座事業は二年目を迎えますが、都の条件では講座受講後のボランティア活動の条件など、区市町村が踏み出せない事例もあります。区市町村が使いやすい事業として実施することが必要だと考えますがどうでしょうか。また、数年で終わるモデル事業では区市町村はやる気がおきません。本格事業として進めていくよう求めるものですが、見解を伺います。
4 経済企画庁の「国民生活選好度調査」(二〇〇〇年)によると、「今後ボランティア活動に参加してみたい」「機会があれば参加してみたい」と回答した人の割合は、合計で六五%であり、週五制にたいして、地域の関心も高まっています。インターネットを通して情報提供、人材確保に大きな期待がもてる環境になっています。
現在、各区市町村で社会福祉協議会がホームページを持ち、ボランティア人材養成・確保のためのPRを実施しているところは十四区七市です。
そこですべての区市町村の社会福祉協議会が独自のホームページを立ち上げられるよう支援の仕組みを検討することが求められるがどうでしょうか。
5 また、当面の施策として、東京都のホームページに、各区市町村のボランティア人材確保の情報を掲載し、支援してはどうでしょうか。
6 また、東京都社会福祉協議会の東京ボランティア・市民活動センターがもっているホームページに区町村のボランティアセンターの情報を掲載したらどうか。伺います。
7 一方で、これまでも実施されてきた、都立学校での事業の充実も重要です。地域生活と社会参加を支援するため、地域在住の障害のある人々に対し、料理教室、音楽教室、スポーツ講座など、学校を開放して行っている「障害者のための都立盲・ろう・養護学校開放事業」は、二〇〇〇年度は三十二校で実施されました。
二〇〇〇年度に、回数が一番多かった八王子盲学校の例を聞くと、理療科を卒業した生徒を中心に申し込みがされる「リハビリテーション教室、鍼灸教室、手技療法講座」は、他の場所ではうけることができない専門的講座が年間十回から十二回開設されてきました。普通科を卒業した生徒や、一般を対象の講座も含めて、大変喜ばれ、関係者は一層の充実を求めています。ところが、二〇〇二年度は、この事業が二〇〇一年度にまでは別々に行われていた「都立学校公開講座」に統合され、一本化されることになっています。予算規模は前年並みとされていますが、実際は総予算として削減され、すでに講座の申し込みを要請した障害児学校で、一部認められなかったとのことです。事業の統合により、障害児学校での講座が後退するようなことがあってはなりません。
「都立学校公開講座」における障害児学校での講座をこれまでと同様以上の規模で確保していくことが大事だと思うがどうでしょうか。また、都立学校公開講座を今後も一層充実、拡充していくことが大事だと思うがどうですか。
8 また、障害者と家族がこれらの事業に参加するためには、何よりも、交通手段の確保が求められています。スクールバスや福祉バスなどの交通手段を土曜日の事業にも確保するべきと考えますがどうでしょうか。
9 以上、障害のある児童・生徒の学校週五日制完全実施への対応について述べてきました。学校五日制への対応を推進するためには、学校、社会教育、障害・児童福祉、青少年担当、コミュニティ施策やNPO・ボランティアなど関係各機関の連携と協力が欠かせません。九六年の「心身に障害のある児童生徒の地域活動促進協議会」報告書でも「推進体制づくり」の東京都の役割として、「都としては、都および区市町村の障害のあるこどもの地域活動を促進していくための関係各機関の連絡会を設置する必要がある」としています。
これを直ちに具体化し、連絡会の設置をするべきではないでしょうか。伺います。
以上
質問事項
一 障害のある児童・生徒の学校週五日制完全実施への対応について
1 障害のある児童・生徒の学校週五日制完全実施に向け、あらためて「心身障害児の地域活動に関する協議会」を再開し、月二回の週五日制のもとでのこの間の取り組みや障害児の実態等を検証し、施策の充実に役立てるべきだが、見解を伺う。
回答
障害のある子供たちが地域で豊かな生活ができるよう環境を整備することは重要なことと考えています。
このため、都教育委員会は、区市町村との連携を図りながら学校週五日制に対応した「心身に障害のある児童・生徒の学校外活動事業」や「心身に障害のある児童・生徒の地域活動促進事業」を実施しているところです。
質問事項
一の2 これまで大きな効果があり、引き続き期待されている「心身障害児・生徒の地域活動促進事業」のような事業を発展させ、区市町村の地域活動支援の新たな仕組みを作るべきだが、見解を伺う。
回答
現在、区市町村においては、「心身に障害のある児童・生徒の地域活動促進事業」が実施され、一定の定着を見ているところです。都教育委員会は、今後、各自治体から要望の多い、心身に障害のある児童・生徒の地域活動を支える人材を育成する事業を行うことで区市町村を支援していきます。
質問事項
一の3 ボランティア指導者養成モデル講座事業は、区市町村が使いやすい事業として実施すべきだが、見解を伺う。また、本格事業として進めるべきだが、見解を伺う。
回答
「障害のある児童・生徒の地域活動のための指導者養成モデル講座事業」は、都教育委員会が障害のある児童・生徒の地域活動を支援するため、都立の盲・ろう・養護学校が有する心身障害教育の専門性を発揮し、区市町村やボランティア団体が主催する社会教育活動や福祉事業と連携・協力して実施しているものです。
当該講座の修了者は、それぞれ区市町村のボランティアとして登録し、継続的な地域活動を行うこととしています。
質問事項
一の4 全ての区市町村の社会福祉協議会がホームページを立ち上げられるよう支援すべきである。見解を伺う。
回答
区市町村社会福祉協議会は、地域福祉の推進を図ることを目的として設置された民間団体であり、その運営は、社会福祉事業の経営者などの参加の下、自律的に行われています。
ホームページの設置・運営についても、それぞれの社会福祉協議会が独自の判断基準に基づいて行うべきものと考えており、既に多くの団体でホームページが開設されています。
質問事項
一の5 当面の施策として、都のホームページに各区市町村のボランティア人材確保の情報を掲載し、支援すべきだが、見解を伺う。
回答
区市町村のボランティア募集等の人材確保情報をホームページに掲載し、地域の住民に提供することは、本来、区市町村や地域のボランティアセンター等がそれぞれの判断に基づき行うべきものと考えています。
なお、都のホームページは、都民の利便性を考慮し、区市町村及び東京ボランティア・市民活動センターとリンクしております。
質問事項
一の6 東京ボランティア・市民活動センターのホームページに、区市町村のボランティアセンターの情報を掲載すべきである。見解を伺う。
回答
東京ボランティア・市民活動センターのホームページは、都内の各ボランティアセンターとリンクしており、ホームページを設置しているセンターについては、直接その情報を収集することが可能となっています。
なお、ホームページの設置は各センターそれぞれの判断で行うべきものですが、都としては設置することが望ましいと考えています。
質問事項
一の7 障害児学校での「都立学校公開講座」をこれまでと同様以上の規模で確保すべきである。また、「都立学校公開講座」を今後も一層充実、拡充していくべきだが、見解を伺う。
回答
障害児学校での「都立学校公開講座」は、有意義であると認識しており、平成十四年度においても、平成十三年度と同規模の講座時間数を確保しています。
今後とも、障害のある都民の幅広い生涯学習ニーズに応えていきます。
質問事項
一の8 スクールバスや福祉バスなどの交通手段を土曜日の事業にも確保すべきだが、見解を伺う。
回答
都立盲・ろう・養護学校の公開講座は、障害のある都民の幅広いニーズに応えるため、都立学校の機能や施設を提供するものですが、講座に参加するための特段の交通手段の確保は、受益者負担の原則から困難であると考えています。
質問事項
一の9 平成八年の「心身に障害のある児童・生徒の地域活動促進協議会」報告書でも提言している「都及び区市町村の障害のある子どもの地域活動を促進していくための関係各機関の連絡協議会」を設置すべきだが、見解を伺う。
回答
区市町村と連携を図りながら、障害のある子供たちの地域活動を促進していくことは、重要なことと考えています。
このため、都と区市町村の社会教育関係者との連絡会などを通じて、関係各機関との連携を図っているところです。
提出者 坂口こうじ
質問事項
一 学校を中心としたコミュニティの再構築について
一 学校を心としたコミュニティの再構築について
今日の日本経済は、少子高齢化、情報化、国際化の進展のなかで、経済活動の停滞、失業者の増大、財政赤字の増大が進行し、極めて憂慮すべき状況にあります。
しかし、グローバルな視点から日本社会を見るならば『世界がもし一〇〇人の村だったら』(If the world were a village of 100 people マガジンハウス)に見られるように、人的にも、物質的にも、経済的にも、これほど恵まれている社会は地球上に極めて少ないのもこれまた現実であります。
勤勉で教育熱心な国民、先進的な技術力、高度な生産力、人生八十年(男七十七歳、女八十三歳)と言われる長寿社会の実現を考えるにつけても、日本人や日本社会の持っている可能性や潜在的なエネルギーは、世界的に見ても極めて高いものがあると言えます。
客観的にみても、主体的にみても、このような素晴らしい日本であればこそ、まさに“災い転じて福となす”、“ピンチはチャンス”の精神で、二十一世紀の日本社会や地域社会の再構築のためのビジョンや戦略を明らかにしていかなければなりません。
そこで以下、『知事施政方針表明』(平成十四年第一回都議会定例会)、『都民生活に関する世論調査』(生活文化局)、『これからの都市社会における中高年世代の社会参加について』(生涯学習審議会)、『TOKYO福祉改革 STEP2』(福祉局)、『東京構想二〇〇〇』(知事本部)などを念頭におきながら「学校を心としたコミュニティの再構築について」伺います。
1 まず最初に、現状の客観的な分析から始めたいと思います。
少子高齢化の中での学校の現状と動向について伺います。
西東京市の合併に至るシミュレーションの中で、明らかになったことは、今後十年間に、市内小学校二十校の内、一学年が一クラスとなる学校数は七校であり、それは全体の約三分の一にも上る。その動向は必然的に、市内中学校(九校)にも波及していくというものでした。
このような傾向は、少子高齢化の真ただ中にある全都の小学校(約一千三百八十校)や、中学校(約六百六十校)にも当てはまるものと考えられますが、以下にその現状と動向について伺います。
ア 第一に、公立小・中学校の統廃合の推移と、学級数・学校数の現状は、どのようになっているのか伺います。
イ 第二に、公立小・中学校における余裕教室の現状と、活用の実態がどのようになっているのか伺います。
ウ 第三に、公立小・中学校における余裕教室等の、今後の他施設への活用策はどのようになっているのか伺います。
エ 第四に、中央区の晴海中学校、マイホームはるみ(特別養護老人ホーム等)、晴海保育園の複合施設について、その建設の経緯、概要、特徴とともに、どのような成果をあげているのか伺います。
以上でほぼ明らかになってくることは、少子高齢化の中で、全都の公立小・中学校には、相当数の余裕教室や、統廃合の検討を避けて通ることのできない数多くの学校の存在であり、また新たな知恵(複合施設)の存在です。
つまり、都内のそれぞれの地域(一等地)に、教育財産(公共財産)としての、土地や建物が数多く存在するということであり、別の表現をするならば、新しい政策を実現するための、重要な要素である「土地」や「建物」は十分ある。今求められているのは、「知恵」であるという現実です。
2 次に、それぞれの地域において高まっている、福祉、防災、NPO等へのニーズについて伺います。
言うまでもなく、都民の都政に対するニーズを的確に把握し、適切に応えていくことが、都政の最大の役割であります。
先に示した、東京都生涯学習審議会「中間のまとめ」(前掲)においても、地域社会における「新しい公共」の創生として、「地域」への関心の高まりと、それを生み出す「地域をつくる学び合い」等を上げていますが、以下これらに関連する内容について伺います。
ア 第一に、『都民生活に関する世論調査』にみる都政への要望、およびライフステージ別要望について、その内容と特徴を伺います。
イ 第二に、地域福祉(高齢者、子育て、障害者)充実のための重点施策は何か、またそれを進めるに当たっての課題(人、物、金、情報等)は何か、伺います。
ウ 第三に、地域防災(防火・防災・救急等)充実のための重点施策は何か、またそれを進めるに当たっての課題(上に同じ)は何か、伺います。
エ 第四に、地域教育(家庭、学校、地域等)充実のための重点施策はなにか、またそれを進めるに当たっての課題(上に同じ)は何か、伺います。
オ 第五に、都内のNPO、NGO、ボランティア団体等の実態はどのようになっているか、その数、内容および課題(上に同じ)は何か、伺います。
3 次に、以上をふまえ「学校を心としたコミュニティの再構築について」伺います。
1の「少子高齢化の中での学校の現状と動向について」で明らかになってきたように、少子化の急激な進展のなかで、今後十年間に小学校が三分の一(約六百校)、中学校の六分の一(約百校)近くが、一クラス以下となる可能性をもっています。
そこで、注目されなければならない大きな課題は、それぞれの地域において、教育活動の拠点として多くの子供達が学び、また歴史や文化を育み、人々が心の故郷としてきた学校が、今存亡の危機を迎えているという現実です。
この現実に直面した自治体にとって、その一つの選択は、学校の統廃合と他の施設への転用、または、売却という選択でありましょう。
もう一つの選択は、学校を教育の場として可能な限り残しながら、新しい時代のニーズ(地域の福祉、防災、NPO等)に応えつつ、これからのコミュニティ再構築の拠点として活用していくという選択であります。
私は、後者の道を可能な限り追求していくこと、つまり限られた財源の中で、地域がもっている教育財産(社会資本)や人的資源を生かし、それぞれの地域のニーズに的確に応えていくことが、これからのコミュニティの再構築にとって、極めて大切であると考えます。
そこで、以下伺います。
ア 第一に、学校の空き教室、空き校舎等を、これからの地域の教育力(学校教育、家庭教育、社会教育の充実)の向上や、コミュニティの再構築にいかに活用していく考えか伺います。
イ 第二に、学校の空き教室、空き校舎等を、これからの地域の福祉力(インフラの充実、サービスの量や質の充実)の向上や、コミュニティの再構築にどのように活用していく考えか伺います。
ウ 第三に、学校の空き教室、空き校舎等を、これからの地域の防災力(インフラの充実、組織や活動)の向上や、コミュニティの再構築にいかに活用していく考えか伺います。
エ 第四に、学校の空き教室、空き校舎等を、これからのNPO、NGOやボランティア活動等の支援策(活動拠点の整備や、活動の活性化)にどのように活用していく考えをお持ちか伺います。
4 最後に、「心の東京革命」と、自助・公助・共助のコミュニティの創造について伺います。
東京には、明治以来、国民皆学制への弛まざる努力の成果として建設され、地域の発展に多大な貢献をしてきた学校があり、それぞれの地域に貴重な公共空間(土地、建物に加えて、歴史・文化的価値、人々の思い出がつまっている)を形成しています。
およそ小学校は、人口約一万人(一キロ平方メートル)に一校、中学校は、人口約二万人(二キロ平方メートル)に一校の割合で設置されています。
しかし、今後約十年の間に、その余力(空き教室、空き校舎等)が急激に増大し、放置しておくならば、統廃合の嵐の中で、地域のコミュニティ自体が崩壊しかねない状況にあります。
このような時であればこそ、起死回生の戦略がなければなりません。
“災い転じて福となす”、“ピンチはチャンス”の発想が大切です。
東京都生涯学習審議会「中間のまとめ」(前掲)では、都の役割として、「地方分権と行政改革の視点をふまえながら、これまでの幅広い生涯学習施策の展開を抜本的に見直し、『新しい公共』を生み出すための『地域をつくる学び合い』の創出を目標とする施策の重点化をする」としているところであります。
さらに、「都は区市町村との十分な協議・調整を行い、区市町村の自主性・自立性に配慮しつつ、これをバックアップし、協力して地域住民の活動を支援していくことが必要である。」としています。
人々が、地域の同一空間のなかで、「顔合わせ、心合わせ、力合わせ」ができる地域環境(インフラ、マインド)を創造し、醸成して行くことは、二十一世紀において東京が取り組まなければならない最大の課題の一つであります。
そこで、これらの内容を踏まえながら、「心の東京革命」と、新しいコミュニティの創造について伺います。
ア 第一に、これらの改革と、東京都が既にさまざまな角度から取り組んでいる「心の東京革命」とは、どのような連携と整合性をはかりながら、その成果を上げようとしているのか伺います。
イ 第二に、ますます厳しくなる財政状況の中で、地域の教育力の向上、福祉力の向上、防災力の向上、NPO活動等の積極的支援を進め、自助・公助・共助の理念に基づく、二十一世紀に相応しいコミュニティを、どのように再構築していく考えか伺い私の文書質問を終わります。
質問事項
一 学校を心としたコミュニティの再構築について
1 学校の現状と動向について
ア 公立小・中学校の統廃合の推移と、学級数、学校数の現状について伺う。
回答
小・中学校の学校数は、平成三年度から平成十二年度末までの十年間で五十六校減少しており、平成十三年度末には、さらに二十三校が減少するなど、学校の統廃合は近年増加する傾向にあります。
この結果、平成十四年度当初には、小学校が一千三百五十四校、中学校が六百五十三校となっています。
また、学校規模についての平成十三年度の状況は、全学年を合わせて六学級以下の小学校は百七十四校で、全体の一三パーセント、同様に、全学年を合わせて三学級以下の中学校は二十七校で全体の四パーセントです。
質問事項
一の1のイ 公立小・中学校における余裕教室の現状と活用の実態について伺う。
回答
平成十三年五月一日現在、公立小・中学校の普通教室の保有数は、小学校一万八千六百九十三教室、中学校七千四百七十三教室、合計二万六千百六十六教室です。
このうち、普通教室として使用されていない教室は、小学校七百九十一教室、中学校三百八十教室の合計一千百七十一教室があります。このなかで、小学校においては六百六教室、中学校においては二百八十八教室が、多目的教室や特別教室などの学校施設として活用されています。これを除く、小学校百八十五教室、中学校九十二教室、合計二百七十七教室の余裕教室は、学校教育に支障のない範囲で他の用途に活用することが可能であり、これまでも社会教育施設、福祉施設、学童保育所等に活用されています。
質問事項
一の1のウ 公立小・中学校における余裕教室の、今後の他施設への活用策についてどのように考えているか伺う。
回答
公立小・中学校における余裕教室は、現在、学校施設に活用されるほか、学校教育に支障のない範囲内で、社会教育施設、福祉施設、学童保育所等に活用されているところです。
公立小・中学校の余裕教室の他施設への活用については、基本的には、設置者である区市町村の判断によるものですが、都教育委員会としても、今後、地域の実情に応じ、生涯学習や福祉のみならず、地域防災のための施設等、より幅広い地域活動の場として活用が図られるよう、施設主管課長会議等を通じて働きかけていきます。
質問事項
一の1のエ 中央区立晴海中学校、マイホームはるみ(特別養護老人ホーム)、晴海保育園の複合施設について、その建設の経緯、概要、特徴、成果について伺う。
回答
中央区立晴海中学校、マイホームはるみ(特別養護老人ホーム)、晴海保育園の複合施設は、福祉施設と教育施設の併設のメリットを生かし、地域に開かれた世代交流型の施設となることを目指して、平成三年に設置されたものです。
建物は、保育園が一階、特別養護老人ホームが地下一階から地上四階まで、中学校が地下一階から地上七階までとなっています。
施設の中央の中庭は、「ふれあい広場」として、世代交流やボランティア活動を通じ、福祉への理解と思いやりの心を育てる場や、地域との交流を深める場として活用されています。
特に、晴海中学校では、「マイホームはるみ」とのふれあいを通じて、思いやり、敬愛心など心の教育を目指した結果、在学中の経験が卒業後も生かされ、福祉の仕事を目指す者や、ボランティア活動を続ける者が出るなど、交流実践の成果が現れていると聞いています。
質問事項
一の2 地域で高まっている、福祉、防災、NPO等へのニーズについて
ア 「都民生活に関する世論調査」にみる都政への要望、及びライフステージ別要望について、内容と特徴について伺う。
回答
平成十三年度「都民生活に関する世論調査」の「都政への要望」では、第一位が「高齢者対策」で、第二位以下は、「医療・衛生対策」、「環境対策」、「防犯対策」と続き、第五位が「学校教育の充実」になっています。「高齢者対策」は、過去五年間連続して第一位を占めています。
また、ライフステージ別に上位五位をみると、家族形成期で「医療・衛生対策」、家族成長前期で「学校教育の充実」がそれぞれ第一位ですが、その他のステージでは、「高齢者対策」が第一位となっています。
質問事項
一の2のイ 地域福祉(高齢者、子育て、障害者)充実のための重点施策は何か、また、それを進めるに当たっての課題(人、物、金、情報等)は、何か伺う。
回答
都の福祉改革は、都民が高齢や障害などで介護などを必要とする状況となっても、家族や地域社会の支えを得ながら、地域の中で自立した生活を続けていけるようにすることを目指すものです。
平成十四年二月に策定した「福祉改革STEP2」においては、このため、
・高齢者福祉分野では、痴呆性高齢者グループホームやケアハウスなどの地域での多様な住まいの整備促進
・子ども家庭福祉分野では、保育所や学童クラブの整備とともに、家庭的養護の拡充
・障害者福祉分野では、知的障害者生活寮や重度身体障害者グループホーム等の整備促進
等を実施していくこととしています。
こうした施策を進めていく上で、それぞれの地域で公有地や既存の公共建物などの物的資源をいかに有効に活用していくかが課題の一つであると考えています。
質問事項
一の2のウ 地域防災(防火、防災、救急等)充実のための重点施策は何か、また、それを進めるに当たっての課題(人、物、金、情報等)は、何か伺う。
回答
地域の防災力を高めていくには、様々な地域で、自助、共助及び公助の考え方に基づき、防災対策に取り組むことが重要です。
そこで、学校などの地域の防災拠点を活用して、行政と町会などとが連携し、初期消火、救出、救護など実践的な防災訓練を推進しているほか、医療面では、被災者自身等で応急処置できる「セルフケアセット」を都立学校に計画的に備蓄しています。
学校などを活用した地域の防災力を高めることが課題であり、都は今後とも、これらの活動が積極的に区市町村で展開されるよう、協力、支援し、広く都民の防災力の向上に努めていきます。
質問事項
一の2のエ 地域教育(家庭、学校、地域等)充実のための重点施策は何か、また、それを進めるに当たっての課題(人、物、金、情報等)は、何か伺う。
回答
いじめや不登校など様々な教育課題を解決していくには、子どもたちの育成に関し、学校・家庭・地域がそれぞれの役割を果たすとともに、互いが連携して、「地域の教育力」の向上に取り組んでいくことが重要です。
このため、都教育委員会では、地域住民が主体となり、地域全体で子どもたちの学校内外での活動を支援する「地域教育サポートネット」を本年度から新たに、四地区でモデル事業として実施していきます。
課題としては、
・学校教育と社会教育の連携
・学校とPTA、青少年育成団体、ボランティアなど、地域における様々な組織や団体間の調整
・調整役としてのコーディネーターの養成
などがあると考えています。
質問事項
一の2のオ 都内のNPO、NGO、ボランティア団体等の実態はどのようになっているのか、その数、内容及び課題(人、物、金、情報等)は、何か伺う。
回答
本年二月に発表した都の市民活動団体基礎調査によると、都内に事務所を持つボランティア団体やNPO法人などの民間非営利組織の数は、約五千五百団体です。
こうした団体の活動分野は、保健・医療・福祉の増進が一番多く、環境の保全、文化・芸術・スポーツの振興など広い範囲に及んでいます。
財政規模についてみると、全体の四割の団体が百万円未満という結果でした。
なお、多くの団体が、活動資金やスタッフの不足、活動の場の確保などの課題を抱えています。
質問事項
一の3 学校を中心としたコミュニティの再構築について
ア 学校の空き教室、空き校舎等を地域の教育力(学校教育、家庭教育、社会教育の充実)の向上や、コミュニティの再構築に、いかに活用するのか伺う。
回答
小・中学校における余裕教室の他施設への活用については、基本的には、設置者である区市町村の判断によるものですが、学校は、地域住民の身近な施設の一つとして、地域のコミュニティ再生に大きな役割を果たしていくものと考えています。
都教育委員会としては、「地域の教育力」の再構築のため、学校と家庭と地域が連携し、一体となって子供たちを育てる仕組みづくりの中で、学校の余裕教室等を拠点とするなど、活用策を検討していきます。
質問事項
一の3のイ 学校の空き教室、空き校舎等を地域の福祉力(インフラの充実、サービスの量や質の充実)の向上や、コミュニティの再構築に、いかに活用するのか伺う。
回答
学校の空き教室、空き校舎などの公的ストックを活用して、各区市町村が主体的に地域における福祉基盤の整備を進めていくことは、意義あることです。
このため、都は、区市町村のこうした取組に対して、各種の整備費補助を行うとともに、福祉改革推進事業において、空き教室等を改修して保育施設や、学童クラブを設置するなどの支援を行っています。
都としては、区市町村におけるこうした先駆的な事例を広く紹介することなどにより、施策の普及を図っています。
今後とも、それぞれの地域特性に応じた各区市町村独自の取組を支援していきます。
質問事項
一の3のウ 学校の空き教室、空き校舎等を活用し、地域の防災行動力を向上させるため、地域住民と一体となった防災訓練を積極的に実施すべきと思うが、見解を伺う。
回答
地域の防災力を高めるためには、実践的な防災訓練を通じて、都民一人一人の防災意識を高めるとともに、防災行動力の向上を図ることが重要です。
このため、都としては、区市町村などと連携し、町会及び自治会並びに防災市民組織など、地域と一体となった防災訓練を積極的に推進しています。
とりわけ、平成十二年度において、東京消防庁が地元消防団と連携し、地域と一体となった出火防止、初期消火、通報、応急救護、避難訓練などを約一万三千二百回行い、このうち学校施設を利用した防災訓練は、約二千六百回となっています。
今後とも、関係機関と連携し、学校施設を活用した防災訓練を実施していきます。
質問事項
一の3のエ 学校の空き教室、空き校舎等をこれからのNPO、NGOやボランティア活動等の支援策(活動拠点の整備や活動の活性化)に、いかに活用するのか伺う。
回答
空き教室や空き校舎などの利用については、NPOの活動の場の充実を図るための有効な手段のひとつであり、中野区など一部の自治体で、空き教室をNPOとの協働方式による福祉施設等として活用する例が見られるようになりました。
都としても、今後、都内外のこうした先進的な取組を積極的に紹介するなど、都教育委員会と連携し、区市町村に対して働きかけていきます。
質問事項
一の4 「心の東京革命」と新しいコミュニティの創造について
ア 「生涯学習審議会中間のまとめ」と「心の東京革命」とは、どのような連携と整合性をはかり、成果を上げようとしているのか、伺う。
回答
「生涯学習審議会中間のまとめ」では、様々な住民の参画を得て、家庭・学校・地域が協働し、地域社会全体で、子どもの「生きる力」を育む地域コミュニティづくりを進めることが肝要であり課題としています。
具体的には、「地域教育サポートネット」の設置が提案され、都教育委員会は、これを地域の教育力の再構築を目指す事業として位置付けて取り組んでいきます。
また、「心の東京革命」は、次代を担う子どもたちに対し、親と大人が責任をもって正義感や倫理観、思いやりの心を育み、人が生きていく上で当然の心得を地域でも伝えていく取組です。
都教育委員会は、「生涯学習審議会中間のまとめ」は基本的には「心の東京革命」と同じ方向であると考えており、連携を図りながら取り組みを進めていきます。
質問事項
一の4のイ 厳しくなる財政状況の中で、地域の教育力の向上、福祉力の向上、防災力の向上、NPO活動等の積極的支援を進め、自助、公助、共助の理念に基づく、二十一世紀に相応しいコミュニティをどのように再構築するのか、伺う。
回答
都民が元気で活躍でき、しかも安心して生活していける地域社会を実現するためには、まず個人の「自助」を基本としつつ、個人や家庭だけでは解決できない場合には、地域や民間が連携して支援する「共助」、更には行政による「公助」を進めていくことが重要です。
東京構想二〇〇〇においても、「個人の自立・自助を基本としつつ、個人・企業・行政などが適切に役割分担をしていくべきこと」を目指すべき行政像として示しています。
都においては、こうした考え方に立って、地域での自立した生活を基本にした福祉施策や自ら生命・財産を守る災害対策を進めるとともに、都民やNPO・企業・行政が連携して自助・共助・公助を推進する仕組みづくりに取り組んでいきます。
提出者 木村陽治
質問事項
一 地域商店会の法人化支援について
一 地域商店会の法人化支援について
地域の商店街は、地域経済に大きな役割を果たすとともに、地域コミュニティの大きな部分を支えています。しかし、その商店街は、シャッター通りという言葉が生まれていることにあらわされるようにかつてない厳しい状況にたたされています。
これまでも、商店街の組織力を強化するための方策として、法人化の促進が図られてきました。商店街振興組合をつくるなどにより法人化することによって、商店街の一体感が強まるのみならず、対外的な信用力が高まり、事業資金の確保や国・都の事業補助の獲得が容易になるからです。
しかし、東京の商店街の組織率は必ずしもよくありません。商店街数二千八百九十五のうち、振興組合として組織されているのは四百十五商店街、共同組合として組織されているのは七十八商店街合わせても一八%程度です。葛飾区で、最も新しくつくられた振興組合は、九三年八月設立ですが、その後九八年四月には別の振興組合が解散しました。一進一退という状況です。
なぜ、商店街の法人化がすすまないのか。
それは、第一に、なんといっても深刻な不況・消費の落ち込みに加えて、大型店の進出などで厳しい経営環境を強いられていることがあげられます。第二に、近年は旧来からあるお店にかわって、コンビニエンス店、フランチャイズ店、チェーン店などの形態をとるお店が増え、商店街としてのまとまりが難しくなっていることに加え、コンビニエンス店などの影響から営業時間が長くなる傾向が強まり、商店主さんたちが地域活動に割く時間のゆとりがなくなっているという構造的な変化があります。そして、第三には、振興組合設立で法人化することのメリットが見えにくくなっていることです。かつては、アーケードの建設や、カラー舗装化、街路灯の設置などが商店街の事業目標とされ、そのための資金を確保するために法人化は有効な手段として認識されましたが、今日では、そのようなハードへの大規模な設備投資をやろうという意欲をもっている商店街は少なく、かつて建設したアーケードなどの設備の老朽化に悩まされている商店街もあるからです。しかし、そのようななかで、商店街の生き残りをかけて新しい模索が始まっていることは重要です。
道路、通りごとにつくられてきた商店街の枠をこえて、若い商店経営者たちが集まり、ポイントカードなどソフト事業を軸に、地域ぐるみ商店街を再編成して再生させようという試みが増えつつあります。葛飾区でも、JR金町駅を中心とする六つの商店街にまたがって新たなポイントカード事業が、この三月から始められましたが、このために特定目的法人である金町カード協同組合が発足しました。また、京成堀切菖蒲園駅を中心に、六つの商店会にまたがる若手の商店主がグルーブ堀切商店街21をつくり、ポイント事業などを中心に堀切地域の活性化を図ろうと活動しています。
いま、こうした新たな組織化への努力を行政が支援することが、きわめて重要になっているのではないでしょうか。
ところが、国や都の施策には商店街の組織化への努力を自明の前提として「法人化したらこのようなメリットがうけられます」というしくみの事業はあるものの、組織化そのものを支援する施策は、各地の商工会議所支部に補助金を出していることをもって間接的に行なっているだけで、実態的にはないに等しいのが現状です。
一方、地域に密着している基礎的自治体では、商店街法人化支援にさまざまな努力が行われています。葛飾区でも法人設立経費の二分の一補助を行なっており、世田谷区では設立経費だけではなく、設立にむけてのイベントへの補助も含めて三カ年の補助事業を行なって、この不況のなかで成果をあげていると聞いています。
そこで伺います。
1 第一に、都として商店街の法人化を支援するための事業を行なうべきではないか、また、区市で行なっている補助事業を都として支援すべきと思うが、どうか。
2 第二に、商店街は法人化することによって、収益がなくとも毎年、法人都民税均等割七万円が課税されるわけですが、これがせっかくたちあがった団体の運営費を重く圧迫しています。活動が地域のコミュニティづくりに貢献していることは明らかであり、収益のある場合は別として、法人都民税均等割は減税または減免措置を講ずべきではないか。こうした優遇措置を講ずることこそ景気対策として最も効果の厚い減税となることは明らかではありませんか。
3 また、未組織商店街にたいする支援は、現在は基金事業でまかなわれていますが、運用益がきびしくなっているもとでは限界があります。そこで、法人商店街を対象としている支援についても、未組織商店街を対象にすることなど拡充するよう求めます。
以上、見解をもとめます。
質問事項
一 地域商店会の法人化支援について
1 地域商店街の組織化への努力を行政が支援することが重要である。商店街の法人化を支援する事業を行うべきである。また、区市で行っている補助事業を支援すべきだが、見解を伺う。
回答
商店街の活性化のためには、構成員が一体となって商店街活動を行うことが重要であり、このため、都としては、商店街の法人化を促進し支援を行ってきました。
今後とも、法人化のメリットを商店街振興組合連合会及び商工会、商工会議所などに周知し、これらを通じた指導とともに、区市と連携をとりながら、商店街の体制整備を支援してまいります。
質問事項
一の2 法人化した商店街に対し、法人都民税均等割は減税または減額措置を講じるべきだが、見解を伺う。
回答
法人都民税均等割は、地域社会の費用について、その構成員である法人に広く負担を求める観点から課されているものであり、活動目的が専ら社会全体の利益の増進に寄与するものと認められる公益法人等に限り、これを免除しているところです。
商店街振興組合等は、組合員が協同して経済事業を行うことを主たる目的とするものであり、免除する対象には当たらないと考えています。
質問事項
一の3 法人商店街を対象としている支援について、未組織商店街も対象にするなど拡充すべきだが、見解を伺う。
回答
都は、都内商店街の実態を踏まえ、未組織商店街に対しても、中小企業振興基金事業により、法人商店街とほぼ同様に、施設整備事業及び各種ソフト事業を実施しているところです。
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