平成十四年東京都議会会議録第四号

○議長(三田敏哉君) 四十三番川井しげお君。
   〔四十三番川井しげお君登壇〕

○四十三番(川井しげお君) まず最初に、緑の東京計画、公園整備計画についてお聞きをいたします。
 平成十二年十二月に出された緑の東京計画には、五十年後における東京の緑の望ましい将来像を見据えて、平成十三年から二十七年までの十五年間に取り組むべき緑づくりの目標と、施策の方向や推進策などを明らかにするとありますが、東京都には、配置バランスを考えた公園整備計画を持っていないと私は考えております。
 現在、東京の緑、そして公園の分布状況を見ると、環状六号線から環状七号線に囲まれる地域がドーナツ状態にすっぽり抜けております。また、この地域は住宅密集地で、屋上緑化ができるような大きなビルも余りなく、大きな公園等の既存ストックもない地域であります。
 東京都の人口一人当たりの公園保有面積の目標数値は七平米でありますが、この地域に位置する豊島区が〇・六八、中野区が一・〇八、荒川区が一・四九、目黒区が一・六八平米と、東京都の現状五・六平米にはるかに届かないのであります。東京全体で七十八の都立公園がありますが、豊島、中野、目黒には一つもありません。
 緑の東京計画の中では、都は区市町村の役割をうたっておりますが、千代田区の一人当たり四十七・二三、武蔵村山の十七・一三、江戸川区の十一・四七平米と、〇・六八の豊島区と同じ役割を押しつけるのはいささか無理ではないでしょうか。公園建設を誘発するような補助金等の支援をするとか、柔軟な対応はできないものでしょうか。
 環状六号線から環状七号線に囲まれたこの住宅密集地域の公園建設について、今後、東京都がどのような努力をしようとしているのか、お聞かせを願いたい。
 そして、緑が、大地が人に与える安らぎ、豊かさ、いやし、多くの影響が挙げられます。
 ネズミの繁殖を、木と鉄、コンクリート、それぞれの箱で試みたところ、木以外の箱ではストレスがたまり、粗暴になり、我が子さえかみ殺してしまったり、雄の繁殖行為を拒んだりするそうです。また、生まれた子どもだけをそれぞれの箱で育ててみても、木以外の箱では育たないようであります。自然に近いほどよいということです。人においても、同様なことがいえるような気がしてなりません。
 住宅であれ都市であれ、緑や大地を自然に近い状態で配置できるか、その潤いを与えられるか。防災的にも大事な緑、そして公園。環状六号線から環状七号線で囲まれる地域で生活する都民には、五十年たっても与えられない、殺伐とした砂漠化したまちでの生活に、東京都は打つすべがなく、都市計画局、建設局、そして総務局区政課、それぞれ責任を転嫁し合っている姿は寂しく感じております。
 知事の感想をお聞かせ願いたい。
 次に、道路計画についてお聞きをします。
 石原知事がしかけた都市再生プロジェクト本部で、昨年十二月四日に第三次決定が発表されました。
 その中で、密集市街地の緊急整備が挙げられ、東京において、密集市街地全体を大きく貫く緑のオープンスペース機能を持つ連続した骨格軸を形成する、このため、環状六号線、環状七号線の間の未整備都市計画道路や、これに連なる公園や沿道市街地等の整備を集中的に実施するとしております。
 そこで、方南通りを見てみると、この条件にぴったり当てはまります。新宿西口から都庁、そして中央公園、中野区に入り、東京大学附属高等学校、国立の海洋研、そして、中野通りと交差してしばらく行くと、営団地下鉄の車庫、広町住宅、そして環七と交差し、右折すると立正佼成会の敷地、少し行くと、青梅街道と交差したところに蚕糸の森、青梅街道を左折して真っすぐ行くと気象研の跡地、幅二十メートル以上の道路に、防災上避難でき得るオープンスペースが等間隔で位置する練馬、杉並、中野、渋谷、新宿、五区にわたる大避難帯となり、東京でもめったにない、防災上重要な避難道路となります。
 しかしながら、拡幅計画は中野通りまでが二次前期となっておりますが、中野通りから環七までわずかな部分がどのような時期になるのか、全く見えてきておりません。二次前期工事が十五年まで延びたわけでありますが、十六年からの次期事業の検討が始まるときかと思います。方南通りの中野通りから環七までの区間を早期に着工すべきと考えますが、ご見解をお聞かせ願いたい。
 次に、慢性的渋滞通りで全国にも有名な補助二六号、中野通りは、防災上重要な道路でもあります。この拡幅計画についての決意とご見解をお聞かせ願いたいと思います。
 次に、手数料についてお伺いします。
 第二庁舎の三階南側に行くと、建設業者提出書類等の閲覧席が十八席あります。午前九時から午後四時半まで行っております。
 そして、午前中は、一カ月に百社以上閲覧する、データバンクを初めとする大口事業者としてあるようです。そして、午後からその他としているわけですが、どう見ても業者の方々ばかりのようであります。
 受付の方に聞くと、非常勤職員二人とアルバイトと計三人で毎日対応しているとのことであります。業者のために人を雇い、十八席ものスペースを与える。
 他にも、不動産関係の指導課、そこで宅地建物取引業者の書類の閲覧を行っています。そして、一日百八名、年間二万九千五百名の方々が閲覧するのを、非常勤職員四人で毎日対応しております。
 二十三区を調べてみると、住民基本台帳の閲覧では、渋谷、新宿、中野では、三十分につき千円取っております。他区でも、多少の前後があるが、横並びのようであります。
 仮にこの計算でいきますと、二カ所だけで年間六千二百四十万にもなるのです。こうした実態を踏まえれば、これらについて閲覧手数料を取るべきと考えますが、それぞれの局長に所見をお伺いします。
 あわせて、この二つにとどまらず、閲覧件数が多く、対応する職員が張りついており、閲覧コーナーを設けていながら無料となっているようなものについて調査し、適切な手数料を徴収すべきと考えますが、財務局長の所見をお伺いいたします。
 次に、スーパーリフォームについてお聞きいたします。
 現在、昭和三十年代に建てた都営住宅の建てかえを行っていますが、年間三千戸のスピードであり、そして、三十年代建設の都営住宅は、まだ三万九千戸残っております。これだけでも十三年間かかります。
 加えて、昭和四十年代前半に建設した住宅が七万戸あります。その四十年代前半の住宅の半分を、今後十八年かけてスーパーリフォームする計画でありますが、スーパーリフォームでは建物の耐用年数を延ばすことはできません。建てかえの約半分の費用をかけて、すぐにまた建てかえなければならない時期を迎えてしまいます。もう一度考え直す時期ではないでしょうか。
 例えば、一般住宅の天井の高さは二メートル四〇から二メートル七〇であるのに対して、四十年代前半に建てた公営住宅は、おおむね二メートル二〇しかありません。スーパーリフォームをすることによって、天井をより低く、圧迫感の強い建物にしております。そこで生活している人々にどんな影響を与えるのか、恐ろしく思います。
 こんなごまかし行政はやめて、思い切った施策をひとつ打ち出そうではありませんか。三十年代、そして四十年代前半に建設した約十一万戸の団地を、民間の方々にプロジェクトチームをつくっていただき、見てもらってはどうでしょうか。
 現在の団地に与えられた建ぺい率、そして容積率の中でどの程度余裕があるのか、そして、その余裕を生かし、民間の方々が事業の計画を立てることができるのか、東京都は、住宅の戸数、緑のオープンスペース、確保したい条件を示し、それ以上の容積を利用し、採算のある計画ができるかということであります。
 東京都は一銭も出さずに建てかえ、土地については五十年契約での賃貸でよいのです。ちょうど建てかえ時期に契約が切れることによって、そのときの社会情勢や都の財政状況でもう一度判断できるポイントを残しておくことが大事なのです。
 建てかえ時期が来ている十一万戸の都営住宅、四十年かけて建てかえる、こんなことから逃げて、妥協の産物であるスーパーリフォームではなく、民間プロジェクトチームに力をかりて、例えば三万戸は採算が合う、二万戸は総合計画の中で容積を緩和してくれれば採算が合う、三万戸については東京都が三分の一ぐらいの予算をつければ、四万戸については今までどおり東京都が独自でというような判断をもらう。任せることによって、四十年かかったものを十年で仕上げる、これは大きな経済刺激にもなるかと思います。
 知事のご見解をお聞かせ願いたいと思います。
 最後に、知事の政治姿勢について、関連してお伺いをします。
 知事の三年間の実績は、まさに目覚ましいものであります。全国初の取り組みとしても、中小企業債券市場、ディーゼル車NO作戦、不正軽油撲滅作戦、外形標準課税、宿泊税の導入、東京ERなど、国に対して提案し、実現したものも、緊急五カ年十兆円プロジェクト、土地収用法の改正、羽田空港の再拡張など、そして、その他としても、心の東京革命、空き庁舎を利用した起業・創業支援、東京ロケーションボックス、アニメフェア21の開催、都立高校の学区制の撤廃。
 このような知事は、圧倒的な存在感があり、世間から大きな注目を集めている。当然のことながら、有名人である知事に対し、さまざまな立場の人が、さまざまな角度から評論や人物評価を行っています。
 その中に、的を得たもの、的外れなもの、いろいろあると思っておりますが、私は、ある例えが非常に印象に残っております。
 それは、最近、都庁OBが歴代の知事について、例えていえば、前の知事は庶民、そして、その前の鈴木知事は武家、そして、その前の美濃部知事は公家、そして、現石原知事に対して織田信長と称しております。また、違う方は、文章であらわすならば、散文的である、わかりやすいが不安が伴う。
 しかし、この二人とも、石原知事に対しての期待感と都政再興の夢を託しながら、ちょっぴりの不安感をのぞかせているように私は受けとめました。このちょっぴりの不安感は、先ほど述べた圧倒的な存在感ではないだろうか。
 この発言を知事はどのように受けとめるのか、率直な知事の感想をお伺いしたいと思います。
 私は、知事にますますの活躍を期待しております。マンモス組織都庁のトップとして、十八万職員を掌握し、東京を変えていくことを心からお願いし、質問を終了させていただきます。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 川井しげお議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、各局間の、議員から見られてのやりとりの不本意さ、もどかしさということでありますが、その所管局間の争いもそうでありますし、また、所管局間の、これはうちの管轄じゃないという責任回避も往々見られることでありまして、これはともに好ましくない官僚制度の一つの特質だと思います。
 具体的な事例があれば、私なり副知事なり、あるいは特別秘書に積極的におっしゃっていただきたいなと。
 いたずらなライン化というものを防ぐということを私、前からいっておりますし、また、今回の予算編成についても、関係の各局を一堂に会して、非常に局長間で激しいやりとりも、議論を私も聴取して参考にしましたが、そういう切磋琢磨というのは、往々ないがしろにされるのが官僚制度の特徴でありまして、これはやはり議員の方々が時に応じて指摘し、理事者にも忠告して、私たちの責任でそれを淘汰していきたいと思っております。
 次いで、都営住宅の建てかえの問題でありますけれども、例えば、今、超一等地の青山一丁目に都営住宅があります。これは民間に委嘱して、PFIという方式で建てかえております。
 そのときにも、当事者が、都の役人が非常に誇らしげに、あそこにつくるグループホームと小さな図書館に関しては、インセンティブとして、既存の容積率外の容積として確保したというので、私は、そんなことでは甘ったるいだろうと。ああいう超一等地に、民間に物を頼むなら、民間のベースで考えて、例えば今の容積率だと、二十五階建てのものが四十階になれば、場所も場所ですし、はるかに営利の上でも見込みが立つはずだし、そういうものもあわせて、あるいは国の容積率を無視してでも、民間の発想で出させてこいということをいいました。
 同時に、この間、建設省の次官含めて幹部とほかの問題で会ったとき、そのときいいましたら、向こうも承知しておりまして、どうも東京都は、割とそういうところは穏やかでつつましいですなと。どこまで本気か知りませんが、皮肉をいうぐらい、そういうやりとりがありましたけれども、そういうものも含めて、おっしゃるように、もうもはやぼろぼろになってきた都営住宅というものを、今日の状況の中で、土地の性格にもよるでしょうけれども、建てかえるときに、容積率も増して、それで民間の力を加えて、おっしゃるように、よりよいものを、より住みやすいものをつくっていくということはまさに現代的な発想ですし、もうそういう時代に来ていると思いますし、国もそれを拒否するいわれはないと思いますし、また、それは責任を持って私が押し切ってでも実現していきたいと思っております。
 それから、私の政治姿勢でありますが、肝心のお話のときメモが入ってきて、そっちに気をとられていたんですけれども、前半のときは聞きました。
 私は、とても織田信長なんかじゃございません、それは。織田信長は、人間五十年といって五十前に死にましたけれども、私はもうよわい五十を過ぎまして、馬齢を重ねておりますが、しかし、やるべき改革は、だれがこの場所に座ろうとやらなくちゃいけないと思いますし、それが政治家の責任感だと思います。
 それから、私のいっていることが散文的だと。私は散文家でありまして、詩人じゃございませんから、詩人のように抽象的に美しいことをいっても行政は成り立たないんで、きめの細かい散文的な行政というものを、皆さんと力を合わせながらやっていきたいと思っております。
 他の質問については、担当局長が答弁いたします。
   〔都市計画局長木内征司君登壇〕

○都市計画局長(木内征司君) 公園整備などについてのご質問にお答えします。
 まず、環六と環七間の地域での公園整備についてでございます。
 この地域では木造住宅密集地域が広がっており、安全性の確保や環境の向上に向けた取り組みが必要でございます。
 今後、防災公園街区整備事業や緑化重点地区総合整備事業など、国の補助制度も活用し、地元区とともに緑の拡充に努めてまいります。
 次に、補助六二号線、方南通りについてでございます。
 本路線は、防災都市づくり推進計画で主要延焼遮断帯に位置づけられており、その整備により、地域の防災性の向上にも寄与するものと認識しております。
 しかし、お尋ねの区間は、計画幅員二十メートルのうち約十五メートルの現道があり、平成十五年度までに優先的に着手する路線を示した事業化計画において、予定路線に選定されておりません。
 事業化計画につきましては、平成十五年度末に改定を予定しておりますが、その中で未着手路線について、渋滞解消や防災上などの観点から、緊急性、必要性を十分調査検討し、事業効果の高いものを次期計画に反映してまいります。
 次に、補助二六号線、中野通りについてでございます。
 本路線は、環状六号線と七号線の間に位置する環状方向の道路であり、現在、四カ所、三・三キロメートルについて事業中でございます。この路線の整備により、地域の交通環境改善に寄与するとともに、地域の防災性向上にも資するものと考えております。
 今後、新たに事業化計画を策定するに当たりましては、先ほどご答弁申し上げましたように、事業効果の高い区間を計画に反映してまいります。
 次に、建設業者の提出書類の閲覧に関してのご質問です。
 この閲覧は、建設業法に基づき、建設業者の施工実績、経営内容等に関する情報を、建設工事の注文者などに提供し、適切な建設業者の選定の利便を図り、ひいては建設業の健全な育成にも寄与することを目的としております。
 閲覧に伴う手数料については、国の電子申請の動向や閲覧の利用実態などを勘案し、今後、関係部局と十分協議の上、検討してまいります。
   〔住宅局長橋本勲君登壇〕

○住宅局長(橋本勲君) 住宅行政に関します二点のご質問にお答えいたします。
 まず、宅地建物取引業法に定めます業者名簿等の閲覧についてでございますが、この閲覧は、業務の適正な運営や取引の公正の確保及び購入者の利益保護等を目的としたものでございます。
 閲覧手数料は、これまで国や他府県と同様、無料といたしてまいりましたが、その徴収につきましては、国や他団体、なお、今後の電子申請等の動向を踏まえつつ、今後、ご趣旨を十分踏まえた上で、関係部局と十分協議の上、検討してまいります。
 次に、スーパーリフォーム事業についてでございますが、この事業は、既存ストックの有効活用や、バリアフリー化の促進を図る観点から、昭和四十年代に大量に建設した都営住宅につきまして、住宅内部を抜本的に改善し、長期間の使用に耐え得る住宅として再生するものでございます。
 建てかえ事業は、現在、昭和三十年代以前に建設した住宅を対象としており、四十年代建設の住宅の建てかえに着手するまでには相当の期間を要すること、また、四十年代に大量に建設いたしました住宅の建てかえ事業の平準化を図る必要があることなどから、スーパーリフォーム事業を実施しております。
 今後とも、既存住宅ストックの有効活用を図るため、費用対効果等を十分検証しつつ、ご提案に適切に対応してまいります。
   〔財務局長安樂進君登壇〕

○財務局長(安樂進君) 閲覧手数料についてのお尋ねでありますが、東京都が行っている閲覧事務につきましては、条例に基づき閲覧手数料を徴収しているのが大部分であります。
 無料となっているものは、事務の性格上、本来的に手数料の徴収になじまないものを除きますと、以前機関委任事務であったもので、無料が継続されているものであると思われます。
 しかしながら、このほかにも、社会経済状況の変化に合わせまして、有料、無料の十分な検討がなされないままに現在に至っているものがあることも考えられますので、今回ご指摘のあったケースも含めまして、無料となっている閲覧事務につきましては、今後、皆の調査を行いまして、漏れなく把握したいと思います。その上で、受益者負担の基本的な考え方に基づきまして、このまま無料のままでいいのか、有料にする必要があるのかどうか、検討していきたいと思います。

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