平成十三年東京都議会会議録第十七号

   午後五時二十六分開議

○議長(三田敏哉君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 五番高橋かずみ君。
   〔五番高橋かずみ君登壇〕

○五番(高橋かずみ君) 当面する都政の課題について、何点か質問をさせていただきます。都知事並びに関係局長の誠意あるご答弁をお願いいたします。
 最初に、仕事と子育ての両立支援についてお尋ねいたします。
 働く女性が増加し、仕事を持つ女性の割合が五割を超えております。こうした中で、子どもを預けて働きたいが預かってもらえない、産休明けから預けたいが、すぐには見つからないので、職場復帰ができないといった切実な声が数多く聞かれます。
 このような切実な状況に対して、大都市の問題として顕著になっている保育所待機児の解消に向けて、保育所等の受け入れ枠を拡大するとともに、保育ニーズに柔軟かつ的確に対応できる認証保育所制度を本年度から導入したことは高く評価しております。
 しかし、東京の合計特殊出生率は一・○四と、全国の一・三五と比べて極めて低く、少子化がこのまま推移すれば、社会経済の活力の低下を初めとして、さまざまな問題が生じることも予想されます。働きながら安心して子どもを産み育てやすい環境をより一層整備し、仕事と子育ての両立を支援することが重要な課題となっております。
 国は、去る七月、仕事と子育ての両立支援策について閣議決定し、男性の育児休業を奨励するなどの両立ライフへの職場改革や、地域こぞって子育てをなどを施策の基本方針にしております。また、この方針を受けて、子ども看護休暇の創設など、育児・介護休業法の改正が、このたび行われたところであります。
 東京における育児・介護休業制度は、まだ十分に浸透しているといえない状況にあると考えておりますが、今回の法改正の大きなねらいは、育児休業制度等の一層の活用が図られることにあると仄聞しております。
 そこで、まずは、都における育児休業制度の整備状況と利用状況についてお伺いいたします。
 また、制度の整備や利用の促進が一層必要と考えますが、今後どのような取り組みを進めていくのか、お伺いいたします。
 次に、ファミリー・サポート・センターについてお尋ねいたします。
 東京においては、通勤時間が長い、核家族が多数を占めるなど、仕事と育児の両立を困難にしている状況が見受けられます。そのため、地域で子育てを支援する会員組織であるファミリー・サポート・センターの役割が高まっており、非常に重要な施策と考えます。
 そこで、平成十三年度のファミリー・サポート・センターの設置状況と、設置の促進に向けた対応策はどのようになっているのか、お伺いいたします。
 次に、西武池袋線の連続立体交差事業についてお尋ねいたします。
 鉄道の連続立体交差事業は、東京の都市再生に資する都市基盤整備事業の一つであり、踏切による交通渋滞の解消や、安全で快適なまちづくりの形成に寄与する大変重要な事業であります。
 西武池袋線については、本年三月に目白通りと鉄道の交差を従来と逆に切りかえる、いわゆる逆立体化工事が行われたところであり、関係者の長年にわたる努力の結果、桜台駅から練馬高野台駅付近の事業がほぼ収束の段階を迎えております。これにより、既に十九カ所の踏切が除却され、交通のボトルネックの解消や、分断されていた市街地の一体的な発展に大きく貢献するところとなっております。
 これに続く石神井公園駅以西についてでありますが、踏切解消や地域の活性化を図り、さらに連携を深めるために、将来的には保谷駅までの連続立体交差化が必要と考えます。しかしながら、現在事業中の線増連続立体交差事業は、石神井公園駅に接続して初めて事業効果が発揮されるものであり、当面、大泉学園駅までの立体化が必要と考えております。
 そこで、まず、石神井公園駅付近の踏切が現在どのような状況になっているのか、また、石神井公園駅周辺のまちづくりの進捗状況がどのようになっているのか、お伺いいたします。
 次に、これまで外環道路の都市計画との整合を図る必要があることを理由に事業が進まないという状況が続いてきましたが、外環道路を地下式とする方針を明らかにした現在、大泉学園駅までの連続立体交差化の今後の取り組みを明確にすべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 次に、都営地下鉄大江戸線の光が丘から大泉学園町方面への延伸についてお尋ねいたします。
 都営地下鉄大江戸線が全線開業しまして、本日、十二月十二日でちょうど一周年を迎えたわけであります。この間、利用者も着実に増加し、交通不便地域の解消や、沿線のまちづくりに寄与し始めていることは、都民にとって大きな喜びであります。
 しかし、練馬区の北西部に位置する高松、土支田、大泉町、大泉学園町などの地域は、依然として西武池袋線と東武東上線に挟まれた交通不便地域となっております。
 大江戸線の大泉学園町方面への延伸は、昨年出された国の運輸政策審議会の第十八号答申で、二○一五年までに整備着手すべき路線として位置づけられております。この延伸については、これまで導入空間となる補助二三○号線の整備が前提であるとされ、都施行の土地区画整理事業と街路事業によって整備するものとして、現況測量など事業化に向けた取り組みが行われてきたわけであります。
 このうち、補助二三○号線関連の土地区画整理事業の現状と、東京都及び地元練馬区との連携など、今後の事業推進に向けての見通しについて、まずお伺いいたします。
 また、先ほども申しましたように、大江戸線環状部完成の次は大泉学園町方面への延伸が実現できるものと地域の住民は待ち望んでおります。都は、この地下鉄大江戸線の大泉学園町への延伸の実現に向けた準備を開始すべきと考えますが、事業化に向けての今後の取り組みについて、あわせてお伺いいたします。
 次に、東京外郭環状道路についてお尋ねいたします。
東京外郭環状道路については、私の住む大泉と三郷の区間が平成六年に完成し、三郷から湾岸道路までの区間が平成十九年度供用に向け事業中でありますが、大泉から先の東名高速までの区間は、昭和四十一年の都市計画決定以来、いまだ事業が進んでおりません。
 このため、大泉インターチェンジ周辺では、通過交通が狭い生活道路に入り込み、自動車の増加や交通渋滞の発生により、生活環境が脅かされております。このような状況を改善する意味でも、一刻も早い事業の実施が待たれております。
 昨年の四月には地元の反対団体等との話し合いがスタートし、六月から七月にかけては外環計画のたたき台の説明会の開催など、事業化に向けての取り組みが行われてきました。たたき台の公表や賛成、反対を問わない幅広い住民への情報提供など、PI的手法による取り組みを開始したことについては大変意義があり、外環の促進のためには、このような取り組みを今後も継続すべきと考えます。
 外環などの広域的な根幹的な幹線道路の計画は、一般的に沿道住民の合意形成に長期間を要しているのが現状であります。このため、国土交通省は、道路計画合意形成研究会を設置し、この十月には望ましい合意形成のプロセスのあり方について提言がなされました。この提言を受け、早速、外環については、学識経験者から構成される第三者機関である東京環状道路有識者委員会を設置したと仄聞しております。
 外環計画を進める上で、この有識者委員会はどのような位置づけなのか、お伺いいたします。
 一方、地元との合意形成を進めることも非常に重要なことであります。都と国は、これまで七団体との話し合いを平成十二年より行っておりますが、本年五月の大臣発言にあった原点からの話し合いの場を早期に設け、反対派のみならず、賛成の団体を交えた話し合いを行うべきと考えます。
 外環の整備に当たっては、多方面からの意見を反映することが必要であり、今後、住民などの意見を聞きながら、一日も早く計画を具体化すべきと考えますが、その取り組みについて知事のご所見をお伺いいたします。
 最後に、環状第八号線の整備についてお尋ねいたします。
東京がこれからも魅力と活力にあふれた都市であり続けるためには、広範な都市活動や都民生活を支える基幹的な施設として幹線道路の整備をさらに進め、道路ネットワークの形成により自動車交通を分散させ、著しい渋滞箇所を解消することが急務であると考えます。
 また、私の消防団員としての二十一年の経験から、幹線道路の渋滞は万が一のときの災害活動の大きな障害になると危惧しております。しかし、現実は交通需要の増大に道路の整備が追いつかず、都内では今日でも交通渋滞が多発する状況は完全には解消されておりません。
 現在整備が進められている環状第八号線は、区部の最も外側を通る環状線であり、東京の大動脈としての道路ネットワークの形成にとって極めて重要であると認識しております。
 地元練馬区では、区内に関越自動車道、外環道の都内における入り口である大泉インターを抱え、慢性的に交通渋滞が発生しております。このため、練馬区においては、南北交通の利便性向上の点からも、環状第八号線の早期全線開通が待ち望まれております。
 そこで、環状第八号線の現在の整備状況並びに今後の予定についてお伺いいたします。
 現在事業中の箇所は、これまで道路がなかったところに新たに道路を整備するものであり、地域からは、道路が学区域を横断することから、児童の通学に対する不安や、環境に対する配慮を求めていると仄聞しております。このため、整備に当たっては、地元の声によく耳を傾けながら進める必要があると考えます。
 そこで、沿道への配慮などはどのように考えているのかお伺いし、私の一般質問を終わらせていただきます。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 高橋かずみ議員の一般質問にお答えいたします。
 外環の取り組みについてでありますが、外環は、首都圏の渋滞解消や環状メガロポリスの実現に必要不可欠なものでありまして、首都圏の再生にも大きく寄与するものだと思います。しかし、非常に現況はお寒い限りでありまして、パリやロンドンは一○○%近く完備しておりますが、東京の場合にはやっと過半に達したという程度のことであります。
 この外環の整備を速やかに進めるためにも、計画の早い段階から、できるだけ幅の広い意見を聞くことが重要であると思っております。
 都としましても、早期整備に向け、地元との対話を進めるなど、国とともにさらに積極的に取り組んでいきたいと思っております。
 他の質問については関係局長から答弁いたします。
   〔産業労働局長浪越勝海君登壇〕

○産業労働局長(浪越勝海君) 仕事と子育ての両立支援についてお答えを申し上げます。
 まず、育児休業制度についてでありますが、この制度は仕事と子育ての両立に寄与するもので、都は国と協調して、労働セミナー、職場改善訪問、各種情報の提供など、その普及啓発に努めてきたところでございます。
 しかし、昨年度、都が実施した子どものいる従業員のアンケート調査では、所属する企業に制度があると答えた人は約七割、また制度があると答えた人のうち、制度を利用したことがあるのは、女性では約五割、男性では一割以下にとどまっています。
 このため、都はこれまでの施策に加えて、両立支援優良企業を都のホームページで紹介するなど、引き続き制度の普及と利用促進に積極的に取り組んでまいります。
 次に、ファミリー・サポート・センターについてでありますが、都としては、地域での子育ての相互援助組織として重要な役割を果たすものと考え、運営費補助や設置促進会議の開催など、設置促進に努めてきたところです。
 その結果、平成十三年度に新たに十一区市町で設置され、現在合計三十カ所となっています。
 今後とも、ご指摘の点も踏まえ、さまざまな機会をとらえ、多くの区市町村に設置されるよう積極的に働きかけてまいります。
   〔建設局長山下保博君登壇〕

○建設局長(山下保博君) 五つのご質問にお答えいたします。
 まず、石神井公園駅付近の踏切の状況及び周辺のまちづくりの進捗についてでございますが、練馬高野台駅から大泉学園駅間には、富士街道など都道の踏切二カ所を含む十カ所の踏切がございます。このうち、一時間に四十分以上遮断しているなど、いわゆるボトルネック踏切は九カ所ございまして、交通渋滞の原因となっております。
 また、連続立体交差事業と連携して進めるまちづくりにつきましては、石神井公園駅北口では再開発事業が平成十四年の完成を目途に施行中でございます。南口周辺では練馬区と地域住民がまちづくり協議会を設立し、意見交換をしながらまちづくりの具体化に向けて検討を進めております。
 都といたしましては、現在、連続立体交差事業とまちづくりとの整合を図るよう、地元区との調整に取り組んでいるところでございます。
 次に、大泉学園駅までの連続立体交差化の今後の取り組みについてでございますが、当該区間には沿線のまちづくりとの整合性や、外環を初め関連する道路との計画の調整などの課題がございまして、関係者間で協議を進めているところでございます。
 今後、まちづくりや関連する道路の進捗、財源確保の見通しなどを踏まえながら、国、地元区、鉄道事業者など関係機関と調整を図り、地元住民の理解と協力を得て、早期事業化に向けて努力してまいります。
 次に、補助第二三〇号線関連の区画整理事業についてでございますが、都は厳しい財政の中で、地元機運の高まりを踏まえ、早期にまちづくりを進めるため、練馬区が主体となって取り組むことを提案しているところでございます。
 現在、区施行の区画整理の範囲や、都としての技術的な指導などの支援策について、区と協議をしているところでございます。
 この事業は、大江戸線の導入空間ともなる補助第二三〇号線の整備及び土支田地区のまちづくりという観点から重要でございまして、区との連携をより一層強めてまいりたいと存じます。
 次に、環状第八号線の整備状況と今後の予定についてでございますが、羽田空港から北区岩淵町に至る本路線は、都心に流入する通過交通を分散し、区部の交通渋滞を解消する重要な骨格幹線道路でございます。
 本年度末には、板橋区小豆沢地区の工事が完了することにより、全体として三十九キロ、八七%が完成いたします。現在、練馬区及び板橋区内の約六キロの区間で事業を進めておりまして、既に用地については九四%取得しております。
 また、工事につきましては、練馬区南田中及び北町でのトンネルや、目白通りを越える陸橋工事などを実施しているところでございます。
 今後とも、地元関係者の理解と協力を得て、平成十七年度の全線開通を目指し、全力を挙げて取り組んでまいります。
 最後に、環八整備に当たっての沿道への配慮についてでございますが、環状八号線の整備を円滑に進めるためには、地域の方々の理解と協力が不可欠でございます。
 整備に当たりましては、低騒音舗装の採用、緑豊かな歩道の設置など、環境への配慮が必要なことはもちろんでございますが、小学校の通学路などについて地元の意向を反映していく必要がございます。
 このため、地元区やPTAと連携を密にするとともに、南田中と北町の二カ所に設置するインフォメーションセンターを活用するなど、地域の方々に親しまれる道路づくりを進めてまいります。
   〔交通局長寺内広壽君登壇〕

○交通局長(寺内広壽君) 大江戸線の大泉学園町方面への延伸についてのお尋ねでございますが、交通局はこれまで地質調査を実施するとともに、地元練馬区が主催するまちづくり懇談会に参加してまいりました。
 また、補助二三〇号線道路の地下利用につきまして、国土交通省所管の地下空間利用計画に位置づけるなど、許可取得のための諸準備を進めてまいりました。
 今後も、導入空間確保の状況等を踏まえ、地元区や関係機関と一体となって、事業化についての検討を引き続き進めてまいります。
   〔都市計画局長木内征司君登壇〕

○都市計画局長(木内征司君) 外環に関する有識者委員会についてのご質問をいただきました。
 東京環状道路有識者委員会は、公正、中立な立場から、外環の計画に関する情報の公開や意見の把握といった合意形成のプロセスについて、さらには計画の必要性、計画策定に当たって配慮すべき事項等につきまして審議し、評価、助言いただくために、過日、国と共同で設置したものでございます。

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