平成十三年東京都議会会議録第十七号

○副議長(橋本辰二郎君) 六十四番倉林辰雄君。
   〔六十四番倉林辰雄君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○六十四番(倉林辰雄君) 都議会自由民主党の倉林辰雄でございます。
 初めに、動物由来感染症の安全対策についてからお伺いをいたしていきます。
 自然環境及び生活環境の変化は、かつて知られていなかった感染症、例えばエボラ出血熱や、再び流行をし始めたレプト・スピラ症等、いわゆる新興・再興感染症の出現をもたらしております。これら感染症の多くは動物に由来するものであります。
 しかし、新興・再興感染症については未知の部分が多く、患者からの問診が不十分な場合は、正確に診断することが困難となり、手おくれとなることがあります。
 そのために、いかにして動物から人への感染を防止するかが重要であります。感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律が平成十一年四月に施行されましたが、その中には、獣医師の届け出に基づき、動物に対する措置を速やかに講ずることで、人への感染の拡大を防止しようとしております。
 そこで、最初に狂牛病についてお伺いをいたします。
 現在、動物由来の感染症のうち、狂牛病を初めO157、炭疽などがあります。特に狂牛病に関して、現在、合計三頭が発見されております。
 食肉検査において最も重要な特定危険部位、すなわち脳、脊髄、眼、回腸遠位部の排除、確認検査は具体的にどう行われているのか、食肉の安全確保が図られているのかも含めてお伺いをいたします。
 また、環境破壊、交通網の発達は、まだ多くの感染症の発生等の危険をはらんでおります。現在、国内では発生報告はありませんが、狂犬病も同様に動物由来の感染症の一つであります。
 そこで、狂犬病の安全対策についてお伺いをいたします。
 特に狂犬病は、海外では、年間四万人から五万人もの人々がとうとい命を落としております。世界じゅうの多くの国が狂犬病発生国であり、我が国においても、狂牛病同様に、流通の国際化に伴う人や動物の移動により、海外から狂犬病が持ち込まれることも決して否定できないのであります。いつどこで発生しても不思議ではないといわざるを得ないのであります。
 早急に私は対応策をとる必要があると思いますが、万一、狂犬病が発生した場合、都の体制はどうなっているのかをお伺いいたします。
 そこで、動物由来感染症の安全対策について伺います。
 それぞれのセクションで動物由来の感染症対策がとられているとは思いますが、都民の生命を守るため、これらの動物由来の感染症についての統一的、一元的な危機管理体制を確立することが急務であると考えますが、どのような対応を考えているのか、お伺いをいたします。
 次に、多摩地域の都市基盤整備の取り組みについてお伺いをいたします。
 私は、質問に入ります前に、石原知事に対しまして、心からお礼と感謝を申し上げたいと思います。それは、昨年十二月議会において、私の地元であります東村山市、東大和市、武蔵村山市の三市の視察をご要請申し上げましたところ、本年、公務多忙の中、浜渦副知事も同行され、足をお運びいただきました。
 石原知事におかれましても、実際に歩かれ、その地域の状況を確認していただいたことで、地元においても、今後の多摩地域への事業推進に特段の目線が向けられるものと、大きな期待を持っております。
 この広い東京全域に平均に施策の展開をすることは大変なことだと、私も十分承知はいたしております。しかしながら、昔より三多摩格差とか多摩内格差とかいわれて久しい中、本質をとらえた一隅を照らすという行政のあり方も、また大切なことではないかと思います。どうか住民の熱い期待と願いをお酌み取りいただければ幸いでございます。
 そこで、三市の地域を実際に視察されて、その率直なご感想を知事よりお聞きいたしたいと思います。
 次に、視察を通して見て、この地域の都市基盤整備の取り組みについて、知事はどのようにお考えになっておられるかもお伺いをいたしたいと思います。
 次に、視察をいただきました多摩都市モノレールについてお伺いをいたします。
 先ほどの質問にもありましたが、多摩都市モノレールの箱根ヶ崎方面の延伸は、多摩地域発展の大きな役割を持つばかりか、延伸部で交通過疎に悩む地域住民の夢と希望そのものであります。それだけに、地域住民はモノレールの一日も早い延伸を願っております。
 都が上北台から箱根ヶ崎間を次期整備路線に決定して以来、沿線地域では、モノレールの受け皿としての区画整理事業も着々と進んでおります。さらには、多摩の将来像二〇〇一の中でも、モノレールの箱根ヶ崎延伸が明記もされております。
 そこでまず、昨年十月に早期事業化を目的に発足した計画調整会議でのこれまでの検討状況と、モノレール延伸の今後の取り組みについてお伺いいたします。
 さて、モノレールの導入空間であります新青梅街道は、また多摩地域の経済、産業活動を支える重要な幹線道路でありますが、現在は、十八メートル幅員の中で車がひしめいております。この交通渋滞を改善することが私は急務であると思います。
 圏央道青梅インターチェンジの利用増と相まって、今後ますます交通需要がふえるものと考えられます。道路交通の円滑化や計画的なまちづくりの推進、さらには沿道環境への配慮の面からも、早期に幅員を三十メートルに変更すべきであります。
 特に、武蔵村山市内では、全体で三百四十八カ所の生産緑地地区が指定されている中で、新青梅街道沿いに四十一カ所の指定がございます。これについては地元市として、将来の新青梅街道拡幅が円滑に進むよう、積極的に地主の方にお願いし、協力をいただいた経過がございます。
 しかし、地権者の方々も既に高齢化いたしております。相続発生時の買い取り要望も強いことから、十八メートルの新青梅街道を早期に三十メートルに拡幅する都市計画手続が必要となっております。
 現在は、拡幅の線が都市計画で決定をされていないため、買い取り要望が出されても、生産緑地地区を地元市が公共用地として取得でき得ないのであります。そのため、土地が転売され、権利関係が複雑になったり、新たな開発行為や建築物が建ってしまうことに相なります。沿線地域でのこうした悪循環が行政不信を招くことにつながるのではと、地元の市では非常に懸念をいたしております。
 こうした状況を未然に防ぐためにも、武蔵村山市と瑞穂町では、道路拡幅の線を都市計画で明らかにしていただけたら、土地開発公社を活用して用地を先行取得し、都が買い戻しを行うまで管理するなど、最大限の協力と対応を考えているとも伺っております。
 ついては、業務核都市相互の交通ネットワークを強化する視点から、上北台から旧国道一六号線と立体交差をする箱根ヶ崎のアンダーパスにかけての新青梅街道拡幅の都市計画変更について、その考え方と今後の予定を伺います。
 この都市計画変更については、知事が視察された際にも、都市計画の決定はお金がかかるわけでもないので早急に実施をしよう、こういうお言葉を承りました。マスコミにも大きく取り上げられております。関係住民に大きな夢と希望をもたらしていただきました。どうぞ知事の熱い思いと英断を支えるような明快なご答弁を、都市計画局長、お願いを申し上げます。
 続いて、村山下貯水池の堤体強化について伺います。
 私はかねてから、ライフラインとしての水道施設の重要性を認識いたしております。震災対策の基本的な考え方や具体的な施策について、この水道局の姿勢を今後も貫いていただきたいと思っております。
 そこで、私の住む東村山市の村山下貯水池堤体強化についても、ぜひ早期に耐震性を推進してもらいたいと思います。現在の検討状況と工事着工の時期についてお伺いをいたします。
 また、村山や山口貯水池は、武蔵野の面影が色濃く残り、都民にとってかけがえのない憩いの場でもあります。しかし、この工事は大規模なため、地元への迷惑や制約は避けて通れないと思いますが、今後、事業を進めるに当たり、地域住民との協調や連携についてどう考えているのか、さらに、工事後の周辺環境が一変するのではないかと心配をいたしております。
 そこで、これらのことに対して、どのように配慮をなされていくのかも伺っておきます。
 次に、市町村合併について伺います。
 全国的に合併論議が高まる中で、都内市町村がこの問題にどう取り組んでいくのか、これは今後の大きな課題であります。国の急激な動きに対し、これを不安視する見方も市町村の中にはあります。
 いうまでもなく、市町村合併は自治体の存立自体の検討であり、あらゆる行政分野について綿密な検討が必要であります。都は、市町村の自主的、主体的な合併の検討に対し、受け皿としてこれを支援する役割をきちんと打ち出す必要があると思います。
 そこで、都は、PRなどこれまでの普及啓発型の取り組みに加えて、全庁的な立場から支援の姿勢を明確に示すべきだと考えますが、所見を伺います。
 次に、東京スタジアムについて伺います。
 このスタジアムには、多摩地域のスポーツの振興、また、多目的に利用できる競技場の拠点としての一千二百万都民の夢が託されております。しかしながら、経営面におきましては、独立採算によって運営をしていかなければならないという厳しい条件も背負っております。
 そこで、会社では先日、我が国の公共施設として初めてのネーミングライツを導入することを決定いたしました。これを導入することにより、長期的に安定した経営基盤を確立し、施設の改善や施設利用に対して一層のサービスの向上を図るとしております。
 この東京スタジアムが、多摩地域のみならず、東京のスポーツ、文化の拠点としての機能を果たしていくためには、会社の経営基盤の安定が不可欠であると考えますが、そのためにどのような経営方針で臨まれるのか。
 また、ネーミングライツによる資金調達については、現下の経済環境を考えると、決して容易なものではないと考えますが、都として、今後、スポーツ施設以外の分野で、この手法を活用していくお考えがあるかをお伺いいたしまして、私の質問を終わります。よろしくお願いします。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 倉林辰雄議員の一般質問にお答えいたします。
 先般、四月、まさに桜の真っ盛りでございましたが、倉林議員の強力な圧力のもとに(笑声)生まれて初めて北多摩に足を運ばせていただきましたが、本当に、知事としても一都民としても、行ってよかったなという気がつくづくいたしました。
 非常に水と緑に恵まれたすばらしい環境にある地域でありまして、この豊かな自然は、都民共有の非常に貴重な財産であること、また、今後の発展の可能性を有する地域であることを改めて感じました。
 このたびの視察を通して見まして、この地域の都市基盤整備の取り組みについてでありますが、南北道路や多摩都市モノレールの整備が、この地域の交通利便性の向上に非常に貢献しているということを再認識いたしました。
 それ以上言質をあれしますと、また予算の問題になりますから、(笑声)しかし、計画としては、やはりそういうものが構えられて結構だと、あのとき申しましたけれども、同じ認識でおります。
 他の質問については、関係局長から答弁いたします。
   〔衛生局長今村皓一君登壇〕

○衛生局長(今村皓一君) 動物由来感染症の安全対策について、三点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、食肉検査における特定危険部位の排除確認についてでございますが、牛の脳や脊髄などの特定危険部位は、と畜場法により、と畜解体作業の工程の中で確実に除去し、焼却処理しなければならないこととなっております。
 都におきましては、食肉衛生検査所のと畜検査員が獣医師としての専門的立場から、特定危険部位の除去について厳密に確認しております。また、焼却についても適正に処理されていることを確認しております。
 今後とも、食肉の安全確保に万全を期すため、特定危険部位の排除の徹底を図ってまいります。
 次に、狂犬病が発生した場合の体制についてでございますが、都内で万一狂犬病が発生した場合には、狂犬病予防法に基づき、犬の移動制限や一斉検診など、具体的な対策を講じることになります。
 一方、狂犬病に罹患し、または、それが疑われる犬にかまれた人に対しては、都内医療機関でワクチン接種を行う体制が整っております。
 今後とも、都は、保健所、動物保護相談センターなどの関係機関の連携体制のもと、迅速かつ適切に対応してまいります。
 次に、動物由来感染症に対する危機管理体制の確立についてでございますが、動物由来感染症への対策は衛生行政の重要な課題でございまして、都はこれまでも、動物の病原体保有状況調査や、パンフレットの作成等による都民への情報提供を行うなど、人への感染予防対策に取り組んでまいりました。
 また、平成十一年五月に策定した東京都衛生局健康危機管理対策基本指針に基づき、動物に由来する感染症が人に発生した場合においても、早期に具体的な対応ができるよう、総合的な危機管理体制を整えております。
 今後とも、都民の生命と健康を守るため万全を期してまいります。
   〔都市計画局長木内征司君登壇〕

○都市計画局長(木内征司君) 二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、多摩都市モノレール延伸の取り組みについてでございます。
 昨年十月に、都、沿線の二市一町及び多摩都市モノレール株式会社で構成する計画調整会議を設置し、以降、最新のデータに基づいた輸送需要や、それに対応した運行計画、さらには適正な規模の施設や設備の計画等について論議を行ってまいりました。
 今後、会社の厳しい経営環境を踏まえつつ、事業の採算性や導入空間の確保策を含め、さまざまな角度から検討を進めてまいります。
 次に、新青梅街道の上北台より西側部分の拡幅についてでございます。
 ご指摘の区間は、幅員十八メートル、四車線で既に整備済みでございます。地元から、交通渋滞の解消、沿線の区画整理事業の推進などを理由に、拡幅の要望が出されていることは重々承知しております。この拡幅については、多摩都市モノレールの延伸と関連が深いことから、同事業についての採算性を踏まえる必要があると考えております。
 したがいまして、都市計画変更については、今後、沿線のまちづくりの動向を見きわめつつ、モノレール事業についての地元市町との役割分担を明確にした上で、関係者間で調整を図ってまいります。
   〔水道局長飯嶋宣雄君登壇〕

○水道局長(飯嶋宣雄君) 村山下貯水池の堤体強化工事についての二点の質問にお答えいたします。
 村山下貯水池堤体強化工事の検討状況についてでございますが、現在、学識経験者等で構成する技術検討委員会に諮りながら検討を進めており、平成十四年一月には工法を決定することとしております。
 また、工事着工の時期は、原水運用上の観点から、現在施工中の山口貯水池の堤体強化工事が完了する平成十四年秋を予定しております。
 なお、堤体強化工法の検討に当たりましては、下流側公園等への影響を最小限にとどめるよう、現堤体敷内での盛り土を基本に考えております。
 次に、地域住民との協調や連携、工事後の環境整備についてでございますが、この工事は大規模かつ広範囲にわたることから、周辺地域の方々に一定の影響が出ることは避けられないと考えております。
 したがいまして、工事を円滑に進めるためには地域の理解と協力を得ることが不可欠でございます。地元関係市との協議や調整を継続しつつ、地域住民に対しては工事の進捗状況など、きめ細かな情報提供を行ってまいります。
 また、工事完成後における貯水池周辺の施設整備につきましては、今後、地域住民の意見や要望を承りながら、都民に親しまれる施設となるよう進めてまいります。
   〔多摩都市整備本部長石河信一君登壇〕

○多摩都市整備本部長(石河信一君) 東京スタジアムの運営についてでございますが、会社は、これまでサッカーやラグビー、アメリカンフットボールなどの試合に加え、コンサート、フリーマーケット、地元市によるサッカー教室、ラグビーフェスタ、スポーツ祭りなどの開催により、利用者の増大を図ってまいりました。
 今後は、さらに会議場や展示場、結婚式場、映画のロケ地などとしての利用も進めまして、一層の収入の確保に努めてまいります。
 また、広告料やテナント料などによる収入の確保にも力を注いでおりますが、このたび、新たに施設の名称に企業の名前やブランド名をつけるネーミングライツを導入することといたしました。これによりまして、経営基盤の一層の安定が図られ、施設の充実によりまして、利用者へのサービスをさらに向上させることができ、多摩地域におけるスポーツ・文化の拠点として、ますます多くの方に利用していただくことができると考えております。
   〔総務局長大関東支夫君登壇〕

○総務局長(大関東支夫君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、市町村合併に対する都の支援の姿勢でございます。
 市町村合併は、基本的には市町村が自主的、主体的に考え、取り組むものであると考えておりますが、都といたしましても、合併機運を醸成し、積極的に合併の検討が行われるよう、さまざまな角度からの支援を行っていく必要がある、このように考えております。
 今後とも、市町村や都民への普及啓発に引き続き努めるとともに、お話の趣旨を踏まえ、合併に関するさまざまな課題に対応する全庁横断組織としての東京都市町村合併支援本部を設置してまいります。
 次に、ネーミングライツについてでございます。
 都の施設へのネーミングライツの導入は、都歳入の確保策として有意義な手法と認識しております。
 行政財産の施設名称は都条例等で定めること、また、施設を使用する都民の理解を得られるかどうかなど、幾つかの課題がございますが、歳入確保のための斬新で有効な手法であると考えておりますので、今後、他施設での導入につきましても検討してまいります。

○議長(三田敏哉君) この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後五時九分休憩

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