平成十三年東京都議会会議録第十七号

○議長(三田敏哉君) 二十七番真鍋よしゆき君。
   〔二十七番真鍋よしゆき君登壇〕

○二十七番(真鍋よしゆき君) 石原都政は、知事の強力なリーダーシップのもと、財政危機克服に向けて懸命に努力を続け、歳出の削減を着実に進めてきました。中でも、知事を初めとして特別職、管理職の給与、期末手当の削減、そして、とりわけ注目されたのが職員給与四%削減でありました。
 我々議会も、五年前より報酬の五%カットを続けており、期末手当の削減を行うなど、歳出を少しでも抑える努力をしており、車の両輪である行政、議会ががっちりとスクラムを組んで都政が運営されています。
 この石原都政の姿勢は、これまでともすれば、民間の血のにじむような努力に比べ、公の内部努力の不徹底に批判的であり、行政、政治不信を抱いていた都民に、石原都政は信ずるに足る都政であるとの思いを強く印象づけております。
 この都民の信頼の上に立つ石原都政であればこそ、多くの先駆的政策の実行が可能であり、新たな負担を伴う政策も、多くの都民の支持を得て実現できたのです。それだけに、職員給与削減の打ち切りは都民に大きな失望を与え、今後の都政運営に深刻な影響をもたらすと考えます。
 そこで、今、率直に思う私の意見を申し上げます。
 この事態を打開するためには、昨日、知事が答弁された、複合的な対処も含めて都民の負担を軽減する、都民に納得していただく決着の具体的内容を明らかにすること。さもなくば、その条例案を一たん取り下げることだと考えます。ぜひともお考えをいただきたいと思います。
 次に、昨日も多くの質問がありました宿泊税についてお尋ねします。
 宿泊税は、観光振興に必要な財源を確保するため、ホテル等の宿泊客を対象に課税する税であるとされています。
 ところで、民間の調査によりますと、東京を訪れた宿泊客が飲食、ショッピングなどを含め、一日に消費する額は平均約三万円。これには合わせて五%の消費税がかかります。つまり宿泊客は、現行税制のもとで、一日平均千五百円の負担をしていることになります。宿泊税は、一泊一万円以上を支払う比較的担税力のある人が対象とはいえ、このように既に一定の負担をしている者に新たな税負担を求めるものであります。
 また、現行税制のもとでは、宿泊者が負担した千五百円のうち、都税として入るのは五分の一の三百円ですが、国と地方の税源配分の見直しがなされ、都税分がふえることになれば、その一部を観光振興に充てることも可能になります。もちろん、都が国に対し税源移譲を強く求めていること、また、その実現がなかなか容易でないことは私も承知しておりますが、簡素な税制という視点も見落としてはならないと思います。
 観光産業の重要性は認識しておりますが、知事があえて今、既に一定の負担をしているホテル等の宿泊者に対し新たな負担を求めることとした理由を改めてお伺いいたします。
 次に、都区財政調整についてお尋ねします。
 国と地方の関係を見直し、自治体が自立的な行財政運営ができるようにしていかなければならないことはいうまでもなく、この実現に向け、全力を傾けなければなりません。また一方、内なる地方分権の実現が都区制度改革であります。
 昨年四月の都区制度改革によって、特別区は基礎的自治体として位置づけられるとともに、特別区の行財政運営にとって非常に大きなウエートを占めている都区財政調整制度についても、特別区の財政運営に支障を来さないよう改正されました。
 今後、この新しくなった財調制度をいかに適切に運用していくことができるかが、今回の都区制度改革の成否を占うポイントであると思います。特に、今回の都区制度改革の中で特別区に移管された清掃事業は、住民の日常生活に欠くことのできない事業であり、特別区を基礎的自治体として位置づける上でも極めて重要なものでありました。
 このため、必要な経費が改めて財調算定されたわけでありますが、この算定をめぐっては都区間でさまざまな議論がありました。清掃事業移管後一年がたった今、清掃事業を今後も円滑に進めていくためには、清掃費が適正に算定されていたかどうかが大変重要であります。
 この清掃費について、都区双方で算定内容を検証したとのことですが、その結果はどのようなものであったのか、また、その結果を今後どのように財調算定に反映していくのか、伺います。
 私は、清掃事業を初めとする個別具体的な課題について、財調算定などの運用の改善を図っていくことはもちろんのこととして、都と特別区の関係という点においては、都区の役割分担を踏まえた大都市事務のあり方について、早急に検討していく必要があると考えます。
 基礎的な地方公共団体として位置づけられた特別区が、その力を発揮し、住民サービスの向上を図るためにも、大都市事務や、それを踏まえた財源配分のあり方を明らかにすることこそが、都区双方が全力を挙げて整理すべき重要な課題であり、都としても、できるだけ早いうちから、ぜひともその検討に取り組んでいただきたいということをここで強く申し上げておきます。
 次に、都市計画について何点か質問いたします。
 都市計画決定されている道路、公園、あるいは土地区画整理事業などには長期間未着手となっている計画も多くあり、未整備な都市計画を全体的に見直す時期に来ていると考えます。そこで、そのためには都市計画の各分野別の検証が必要と考え、都市計画道路と土地区画整理事業についてお尋ねいたします。
 都は、平成三年度に区部における都市計画道路の第二次事業化計画を策定し、その中で、おおむね十年間に優先して整備する路線として前期事業化予定路線を定め、公表しました。しかし、前期事業化路線二百十九カ所中、平成十二年度末現在で百二十九カ所、五九%が着手または完成となっているのにすぎず、前期事業化期間の最終年度も、平成十二年から平成十五年と三年間延伸されています。区部全体の都市計画道路完成率も五六%にとどまっており、前期事業化路線に位置づけられた路線ですら、まだ多くの未着手路線があります。
 確かに第二次事業化計画はバブル期に策定されたもので、計画どおり事業が進まなかったこともあったと思いますが、見逃せないことは、道路橋梁整備事業費が、平成四年度に比較すると、平成十三年度は約七割も削減されており、その間、都の一般会計は一割の落ち込みであったことからも、道路橋梁整備費の落ち込みは際立って大きいといえます。
 未着手の都市計画道路にかかわる住民は長期間建築制限を受けており、前期事業化路線ですら、いつ道路が整備されるか見通しがつかないものが多い状況では、事業着手を前提に生活設計を立てている人々にとっては、期待を大きく損なうものであります。
 そこでまず、都は事業化計画をどのようなものと位置づけているのか、改めて伺います。
 また、現在、都では平成十六年度を計画の初年度とする新たな事業化計画の策定作業に向けて準備を進めていると聞いておりますが、新たな区部の事業化計画は、第二次事業化計画の反省も踏まえ、地権者の生活設計に十分対応できる、責任の持てる計画にするべきであると考えますが、都の見解を伺います。
 土地区画整理事業については、見直しガイドライン案も作成されたと聞いています。そこで、周辺区部における区画整理事業の今後についてお尋ねします。
 周辺区部における区画整理事業の未着手区域については、区域が広大であることや、地域の実情に相違があることなどから、これまでの区域を一体的に整備する方針を見直すことや、区画整理の対象地区を特定し、重点的に実施することなどの取り組みが必要です。また、地域によっては一定の整備水準に達しており、区画整理事業以外の手法も検討すべきだと思います。どのようにお考えなのか、お伺いします。
 また、区画整理事業を進めるに当たって、地元の方々が、自分の住む地区はどのような土地利用が可能で、生活設計をどのようにするのかがあらかじめ判断できれば、将来に対する不安も除かれ、円滑な事業推進につながるものと考えます。そのためには、事業完了後の土地利用を明確にすることが必要であり、事業計画の決定や変更の段階から用途地域等の変更手続との連携を図るなど、区画整理事業に関する諸手続の合理化、迅速化を図るべきと思いますが、都の対応を伺います。
 次に、外郭環状道路の整備についてお尋ねします。
 これまでも、機会あるたびにこの必要性を訴えてまいりましたし、都も並々ならぬ決意で取り組んでいることは十分承知しております。そこで、外環の整備に向け、住民との合意形成を図りながら、都市計画変更や環境評価の手続に一日も早く着手すべきだと考えますが、今後の取り組みについてお伺いします。
 本年四月、外環計画のたたき台が公表され、その後、地元説明会等が開催されています。この説明会の中でも、住民からは、大気、騒音、地下水といった、環境に対する懸念や調査などについてのたくさんの意見が出されています。
 地元の不安を解消し、さらには計画を進めるためには、地域環境に最大限配慮すべきであり、環境や地下水、地形、地質、交通状況などの現況調査を優先して行うべきと考えますが、都の所見を伺います。
 最後に、オウム真理教(現アレフ)対策についてお尋ねいたします。
 本年、第一回定例会でも質問をさせていただきましたが、世田谷区でも、昨年十二月の十九日、大量の信者が入居して以来、地域住民の不安は募るばかりであります。石原知事も答弁で、破防法適用を見送った当時の国の対応に強い疑問を投げかけておられましたが、まさしく地下鉄サリン事件など残虐なテロ行為を行った団体が、その指示をした教祖の説法テープを今も聞き、団体活動を続けられることに強い憤りを感じます。
 テロに対して、国連も、また我が国の国会においても、テロを撲滅する旨の強い意思を表明している中で、去る十二月五日、ロシアの極東ウラジオストク裁判所での、オウム真理教のロシア人信徒の初公判が開かれた情報が飛び込んできました。
 ロシアの検察側は、被告らがオウム真理教の教祖を奪還するため、東京の皇居爆破を初め、各地で連続爆破テロを計画していたことを明らかにしたもので、被告らは、昨年三月来日し、現場の下見も済ませ、テロ計画実行直前の同年七月、ロシアの保安当局に逮捕されたとのことです。未遂に終わったとはいえ、見過ごすことのできない事件であり、この計画の背景、資金源等を徹底的に洗い出し、断固たる処置を行うべきであります。
 東京都も、オウム真理教対策として、国への働きかけなどを行うなど、さまざまな対応をされていると伺いますが、その内容はどのようなものなのか改めてお尋ねし、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 真鍋よしゆき議員の一般質問にお答えいたします。
 宿泊税についてでありますが、時間的、空間的に世界が狭くなりまして、平和が維持されるならば、二十一世紀に飛躍的な成長の見込まれる産業が、私は観光だと思います。それゆえにも、いろいろ既に持っております東京の魅力を宣伝し、さらにそれを造成し、東京における観光の振興を図ることが東京の再生のためにも不可欠であると思います。
 ということで、大衆課税にならないよう免税点や負担額に十分配慮しつつ、つまり一万円以上の、一万五千円までの宿泊料を払われる方には百円、一万五千円以上の宿泊料を払われる方には二百円と、外国ではこの事例はたくさんございますけれども、そういう形でホテル等の宿泊者に一定の負担をいただくことにいたしました。
 そういうことで、今後、この財源を活用して、海外でのシティーセールスも含めまして、きのうも質問がございましたが、あくまでも行政のできる限りの最低限の手だてを講じていくための財源として、この税をお願いしたいと思っております。
 他の質問については、関係局長から答えます。
   〔総務局長大関東支夫君登壇〕

○総務局長(大関東支夫君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都区財政調整における清掃費に関する検証結果でございます。
 平成十二年度の実績を踏まえて検証を行いましたところ、廃棄物処理手数料など、一部の経費については改善すべき点があったわけでございます。それ以外につきましては、清掃経費総体といたしますと、適正に算定されていることが確認できました。
 今後も、清掃事業を円滑に実施できるよう、特別区との協議の中で算定内容の改善を図ってまいります。
 次に、アレフ、いわゆるオウム真理教対策でございます。
 都は、平成十一年七月、庁内にオウム真理教対策連絡会議を設置いたしまして、公共施設の使用制限など二十三項目にわたる具体的対応策を決めまして、これを着実に実施してきております。また、国に対しましても、教団の早期解散など、既存の法律の活用を含めた実効性ある法的規制措置の整備等、必要な対策を講じるよう強く要望しております。
 今後とも、国、関係自治体、関係機関と緊密な連携を図り、住民の方々の不安解消のため、適切に対応してまいります。
   〔都市計画局長木内征司君登壇〕

○都市計画局長(木内征司君) 六点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、区部における都市計画道路の事業化計画についてでございます。
 現行の計画では、都市機能の確保などを目標に、関連する諸計画などを総合的に勘案いたしまして、平成三年度からおおむね十カ年間に優先的に着手または完成する路線を事業化予定路線として選定しております。
 事業化計画は、計画的、効率的な都市計画道路網の形成に資するとともに、都民に対し、優先的に整備する路線を示す役割を目指したものでございます。
 次に、新たな事業化計画についてでございます。
 現行計画策定以降、社会経済情勢が大きく変化している中、計画の改定が必要であることから、今年度より、その検討を始めております。改定に当たりましては、道路整備による渋滞解消の効果や防災性の向上などを考慮した事業の必要性や優先度、都と区の役割分担の見直し、さらには、長期未着手路線に係る建築制限の取り扱いなどを十分調査検討する必要があると考えております。
 今後、都市づくりビジョンなどの将来構想を勘案しつつ、十五年度末の策定を目指してまいります。
 次に、周辺区部における土地区画整理事業についてでございます。
 いわゆる土地区画整理事業を施行すべき区域におきましては、既に一定の整備がなされた地域とともに、歴史的経緯の中で区画整理が未着手となっている地域も多く存在いたします。
 このため、東京都は、それら区域の市街地を整備する上でのガイドラインを現在策定中でございます。この中で、未着手の地域について、市街化の状況に応じて重点的に事業を実施する地区、地区計画など他の整備手法を適用する地区、そして、事実上整備済みとみなす地区に区分する考えでございます。
 今年度末には、このガイドラインを公表する予定でございまして、その以降、区がこれに基づき市街地の整備を進めてまいります。
 次に、区画整理事業と用途地域についてでございます。
 区画整理事業の推進に当たっては、できる限り早い段階から将来の土地利用を明確にし、地権者が容易に今後の生活設計を描けるようにすることが必要でございます。
 今後、道路等の基盤の整備状況に応じて容積率を適用できる誘導容積型地区計画を一層活用し、事業の進捗に合わせて用途地域の変更を行うなど、土地区画整理事業の円滑な実施に努めてまいります。
 次に、外郭環状道路の今後の取り組みについてでございます。
 外環は、首都圏の再生や環状メガロポリスの構築に向け、ぜひとも必要な道路であり、既に埼玉区間は平成四年に完成し、千葉区間も十九年度完成を目指して事業中でございます。
 お尋ねの東京区間については、本年四月、地下案のたたき台を公表し、沿線区市で十回にわたり地元住民への説明会を開催し、さまざまな意見を伺ってきたところであります。同時に、地元団体とも話し合いを数多く重ねてきたところでございます。
 今後とも、計画の具体化に向け、広く合意形成に努めてまいります。
 終わりに、外環の現況調査についてであります。
 外環の計画地は、住宅地や商店街など既成市街地であるとともに、自然環境が残されている地域でもあります。計画を具体化する際には、地域環境の保全に十分配慮することとしており、現況調査は不可欠でございます。
 今後、関係者間で協議を進める中で、必要な調査について、事業者である国と調整してまいります。

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