平成十三年東京都議会会議録第十七号

   午後一時一分開議

○議長(三田敏哉君) これより本日の会議を開きます。

○議長(三田敏哉君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(三田敏哉君) 昨日に引き続き質問を行います。
 七十三番宮崎章君。
   〔七十三番宮崎章君登壇〕

○七十三番(宮崎章君) このたびは、めでたく皇孫殿下がお生まれになり、お名前とご称号が、敬宮愛子様とお決まりになりました。私たち日本国民にとりまして、この上ない喜びでございます。改めて、心からお祝いを申し上げる次第でございます。
 二十一世紀の最初の年にお生まれになった敬宮愛子様は、我が国の輝かしい未来をお築きになるこれからの世代として、お健やかにご成長なされることを祈念してやみません。
 翻って、今日の東京が置かれている状況を見ますと、長引く不況の中で、生活に不安を抱く多くの都民の姿が見えます。大学を卒業した若者は就職難に苦しみ、一家を支える中高年のサラリーマンもリストラに見舞われ、倒産、廃業、人員整理の中で苦しんでおります。また、町を見渡せば、交通渋滞や環境の悪化、犯罪の増加、医療、福祉などさまざまな問題が横たわっております。
 このような危機を乗り越え、将来に希望を持てる世の中にしていくことは、現代に生きる私たちの重要な責任でありますが、二十一世紀の日本、そして世界で活躍する主役は、何といっても若い世代の人たちでございます。
 石原知事は、現状を打破するさまざまな改革にチャレンジしておりますが、現代の若者をどのようにごらんになっているのか、また、若者たちにどのような日本をつくり上げてほしいか、新しい宮殿下のご誕生に当たって、知事の若者像と期待をお聞かせをいただければと存じます。
 次に、東京の農業振興についてお伺いをいたします。
 日本の農業を取り巻く環境は、実に厳しいものがあります。近年、中国産野菜を初めとする輸入農産物の急増が農家を打撃し、セーフガードの本格発動が検討されるなど、我が国の農業生産は大きな脅威にさらされています。
 また、農地や担い手の確保など生産面での課題や、遺伝子組みかえ農産物やいわゆる狂牛病の問題など、食の安全性を求める都民の強い要望は一層高まりを見せております。
 都民にとって、身近で生産される都内産の農産物は、最も安心できる農産物であり、その安定的な生産と供給が望まれるところであります。
 さらに、東京の農業や農地は、緑豊かな空間の形成により、都民に潤いと安らぎをもたらすなど重要な役割を果たしております。
 このような状況の中で、先月二十二日、東京都は、「東京農業振興プラン二〇〇一(素案)」を公表されました。二十一世紀に入り、東京の農業はもとより、我が国の農業が大きな転換期を迎えようとしている今日、東京農業の今後の発展の方向を明らかにしたことは、時宜を得たものと高い評価をしておきたいと思います。
 ところで、知事は過日、MXの「Tokyo Boy」という番組に出演され、東京が開発した豚の「TOKYO・X」や東京シャモの肉、また東京特産の稲城ナシなどを召し上がり、東京でしか食べられないうまいものがたくさんあると称賛されておりました。
 知事が番組で述べたとおり、東京には魅力ある農畜産物が数多くあります。都民にも大変親しまれているわけですが、今後の東京農業や東京ブランド農産物の振興について、知事のお考えをお伺いいたします。
 また、このたび発表された振興プランのタイトルを「新たな可能性を切り拓く東京農業の挑戦」という中に、どのような決意が込められているのでしょうか、お伺いをいたします。
 次に、島しょ地域の水産振興についてお伺いをいたします。
 島しょ地域の水産業では、船団を組んで一度に大量の漁獲をする、他県籍のまき網漁業が大きな問題となっております。この漁業は、農林水産大臣許可により操業していますが、アジ、サバ、カツオなど、許可を得た魚種について島の沿岸漁業と競合するばかりではなく、島の主要魚種でありますキンメダイなどを含めて一網打尽的に漁獲するため、規模の小さな島の沿岸漁業者に深刻な影響が出ております。
 しかし、我が国のほとんどの沿岸地域では、操業禁止区域の設定等の措置が講じられておりますが、都の海域ではこうした措置がとられておらず、大変不公平な状況にあります。こうした操業が続けられていくということは、島の漁業経営ばかりではなく、資源管理上も大きな問題があると考えます。
 知事、ぜひ、操業禁止区域の設定などの措置が講じられるよう、みずから国に働きかけていただきたいと考えますが、所見をお伺いをいたします。
 次に、多摩の市外局番号についてお尋ねをいたします。
 情報化の進展に伴い、情報通信の役割はますます重要となってきております。特に電話は、大部分の家庭にも設置されており、人々の日常生活と切り離せない重要なインフラであるといえます。
 我が党は、多摩地域における市外局番号を重要課題と位置づけ、長年にわたって、一貫してその是正に向けて積極的に取り組んでまいりました。
 現在、住民の活動や生活スタイルは、行政区域の変遷や生活範囲の拡大により、大きく変化しております。本年五月からマイラインが開始され、通信事業者を選択する幅が広がるなど、規制緩和の拡大により、電話を取り巻く状況は目まぐるしく変化をいたしております。
 しかし、三分八・五円の基本料金で電話をかけることができる区域は、昭和三十七年から全く変化しておらず、利用者の利便性、費用負担の面から大きな問題となっております。
 最善の方策として、多摩地域もすべて〇三とすることですが、事業者の大きな負担を伴うことでもあり、早期の実現は困難であると考えます。まずもって解決を目指すべきは、細分化された多摩地域の市外局番による料金の格差を解消することと考えます。
 そこで、まず第一に、多摩地域における市外局番の問題についてどのように認識しているのか、また、どのような対応を考えているのか、お伺いをいたします。
 第二に、この問題は、約四百万人多摩都民が関心を寄せている大きな問題であります。今後、国やNTTから具体的対応を引き出していくためには、多摩の全市町村が一体となり、強力な取り組みを行っていくべきと考えます。
 それを踏まえ、都は、多摩都民の総意を取りまとめて国等に要望するなど、先導的な役割を果たすべきと考えますが、所見をお伺いをいたします。
 最後に、国分寺崖線についてお伺いをいたします。
 新聞報道などに取り上げられているように、国分寺市の真姿の池の近傍でマンション建設が進んでおります。地元では、マンション建設により貴重な湧水がかれたり、湧水量の減少、景観等に影響があるのではないかと苦慮して、現在、国分寺市を初め周辺の住民が、真姿の池の湧水保全のために強力に動き出しております。
 真姿の池は、湧水として東京都で唯一、国の名水百選に選ばれ、たくさんの都民が散策に訪れるなど、潤いと安らぎを与えるとともに、野川の貴重な水源にもなっているものであります。
 湧水の保全については、地元国分寺市が中心的な役割を果たすべきことは当然でありますが、東京都も指導的な立場から自然環境を守るため、国分寺市を十分に支援していくべきと思いますが、ご所見をお伺いし、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 宮崎章議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、現代の若者をどう思うかというご質問でありますが、どうも当節の若い人たちは、昔に比べますと非常に画一的といいますか、それぞれの個性を余り感じさせない傾向にあるような気がいたします。
 私たちの青春時代というのは、物もなく、食べ物も潤沢に回っておらずに、非常に物に対してあこがれをみんなが持っておりましたが、逆にそれが、精神的には非常に豊かな環境というのをはぐくんできたような気がいたします。
 少し以前に、アメリカのある雑誌が、非常に高価なブランドの衣装に、洋服に身を包んだ日本の若者が、渋谷あたりでしょうか、路上に座り込んで歓談している写真を載せまして、横に、世界で一番ぜいたくだが一番哀れな子どもたちというタイトルをつけて紹介していましたけれども、残念ながら、正鵠を得ているような気がしないでもありません。こうした状況に陥ったのは、自分にとって何が一番やりたいことかということがなかなか自分で見つけることができずに、他人と同じになることでしか安心できない若者がふえているせいではないかと思います。
 私の知人に、斎藤環君という非常に優秀な若い精神科医がおりまして、彼の専門は、閉じこもりを研究しておりますけれども、先進国の中で、閉じこもりという傾向の子どもが圧倒的に多いのは日本だそうでありまして、その分析をいろいろやっておりますが、要するに若者たちの身近に、こういう人間になりたいなと意識、無意識に感じ取るような大人が非常にいない。つまり若者の今日の傾向は、私たち大人に責任がむしろあるのではないかという分析をしておりました。
 いずれにしろ、我が国の将来を背負うのは、間違いなく若い世代でありまして、これからの若者に、自分のやりたいことや、これは自分にしかできないという、そういう努力の対象を見つけて、その実現、成就に向かって伸び伸びと個性を発揮して、しかし懸命に取り組んでほしいものだと思いますし、そういうエネルギーこそが国家を支えることにもなると思っております。
 次いで、東京の農業振興についてでありますが、私も、先般もテレビで幾つかの製品を紹介され、実際に賞味しまして、感心をいたしました。とにかく東京の農業は、畜産も含めて、都民に非常に新鮮で安全な農産物を間近なところで生産して供給する場として、非常に重要な存在だと思います。
 これは先般、日本の漁師というおもしろい本を私、見ました中で、その最後の章に、大田区にある漁協のある漁師さんが、同じ江戸前の水産物を収穫している漁師でありますけれども、その人がやはり東京湾のすばらしさについて、プロとして、専門家として淡々と述べているのを読んで強い印象を受けましたが、同じことでありまして、とにかく東京の農業も、この大消費地の間近なところで、いろんな方々がいろんな情報を手に入れながら、いろんな改良を加えて、非常に恵まれた条件で新しい製品を開発、改良していらっしゃる。これは、本当に他の原産地にないような製品がたくさんあるわけでありまして、やっぱりこれをもうちょっと東京も宣伝する必要があるし、これまた一つの観光事業としても大事なことではないかという気がいたします。
 いずれにしろ、先般も、まだやっていますかな、都庁の上の展望台のレストランで、東京のこういう農産物を使った料理を、ある期間お客さんに提供しておりましたが、手を尽くして東京の農産物の個性豊かな、しかも、すばらしい味わいというものを紹介していきたいと思っております。
 次いで、今度は海の問題のまき網漁業でありますが、島しょ地域は、実は私、衆議院時代の選挙区でありまして、島に行くたびに、まき網が、海流がやってくるのど元の南の方でごそっと物をとっていくので、キンメダイとか、あるいはムロアジとかトビウオが全然来なくなったという苦情を聞きまして、私、当時の知事の鈴木さんに食ってかかったんですが、調べてみますと、残念なことに、大分前に、あるお金をまとまってもらって、その操業を島しょの漁民たちが許してしまったんですね。
 これは鈴木善幸さんが、日本の漁師の、漁業の大将でありましたときに、あの人も働いて、主に宮城県と三重県の漁船がその権利を持っているんでしょうか、とにかく大幅に操業して非常に被害を受けていたんですけれども、その契約期間もやっと終わったようでありまして、この間、漁業の関係者が来まして同じ陳情をするので、金をもらった上で、しかも今度はやめろというわけにいかないだろうといったら、いや、その期間が終わりましたという話でありましたので、それを確認した上で、やはり東京の水産業の健全な発展のためには、当然水産資源の適切な管理と持続的な利用が重要でありますから、国にも強く働きかけまして、従来続いていたまき網操業というものは、契約が切れたとするならば、即時停止するように、国の管理を強く求めるつもりでございます。
 その他の質問については、関係局長から答弁いたします。
   〔産業労働局長浪越勝海君登壇〕

○産業労働局長(浪越勝海君) 新しい農業振興プランに込めた決意についてでございますが、東京には、大都市にある有利性を生かした、レストランなどとの直接契約やIT活用による販路拡大、また法人による農業経営や、これまでの農業の枠にとらわれないベンチャー的な取り組みが始まっております。
 さらに、農畜産物の加工、販売や体験農園の開設など、創意と工夫に満ちたさまざまな農業経営が出現してきております。
 こうした新たな農業の展開を推し進め、広範な都民の協力のもと、農業が持つさまざまな可能性を積極的に開拓し、産業として魅力ある東京農業の実現を目指し、新しいプランを策定するものでございます。
   〔総務局長大関東支夫君登壇〕

○総務局長(大関東支夫君) 多摩地域における市外局番について、二点のご質問にお答えいたします。
 多摩地域では、基本通話料金で電話が可能な相手が、〇三地域に比べますと大変少ないこと、それから、一つの行政区域に複数の市外局番が存在するということで、大変利便性が悪いことが問題となってございます。
 これらの課題を整理するために、市町村、NTT及び東京都の実務者から成る検討会を先月設けたわけでございます。
 現在、各市町村では、住民に対し市外局番の状況を説明するとともに、行政区域と市外局番の一致に対する住民要望の把握等を行っております。
 都といたしましては、これらの結果を踏まえて適切な対応を図ってまいります。
 次に、多摩地域の市外局番問題における都の役割でございます。
 この問題の解決に当たりましては、住民の要望、通信事業者の経営上の問題、法律改正などを視野に入れまして、一歩ずつ着実に進めていくことが必要であると考えております。
 都といたしましては、今後、住民や市町村の意向を取りまとめていくとともに、ご提案の趣旨を踏まえ、多摩の市町村と一体となって国や通信事業者に強く働きかけてまいります。
   〔環境局長赤星經昭君登壇〕

○環境局長(赤星經昭君) 真姿の池の湧水の保全についての質問にお答え申し上げます。
 湧水は、自然環境を守る上で重要でございます。東京都はこれまで、国分寺市が湧水を保全するため、真姿の池周辺で実施してまいりました雨水浸透ますの設置事業に対し支援してまいりました。
 お尋ねの件に関しましては、国分寺市に対し助言を行ってきておりますが、今後も、関係局と協力して市の取り組みが円滑に進むように努めてまいります。

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