平成十三年東京都議会会議録第十六号

○議長(三田敏哉君) 二十九番山口文江さん。
   〔二十九番山口文江君登壇〕

○二十九番(山口文江君) 都議会生活者ネットワークを代表し、今回初めて質問させていただきます。
 私は、市民型福祉活動を通じて、市民の自治を地域に実現していくために活動してきました。そうした立場を大切にして、これからの議会活動を進めていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 まず最初に、宿泊税について伺います。
 地方分権一括法が施行されてから一年半がたちますが、真の分権をかち取る税源の移譲が議論の俎上にも上っていません。景気が悪く、国の財政が悪化しているときに、税の移譲はできないとの間違った認識が、地方分権を阻害している状況です。
 今回提案された宿泊税、いわゆるホテル税は、その税収を観光振興等に還元する目的税としており、税収見込みは十五億円とのことです。観光振興にかかわる予算要求は約二十六億円とされていますが、税収の使途や事前の評価を踏まえたその事業の効果について、はっきりしません。見解をお示しください。
 また、千客万来の東京を目指して、観光を産業と位置づけ、観光振興プランが策定されていますが、国の外郭団体である国際観光振興会による観光振興によっても、日本への観光客がふえないのは、行政が主導することに無理があるからではないでしょうか。本来、行政が進めるべきは、ゲートウエーとしての空港や周辺の道路整備や、だれでもが自由に周遊できるバリアフリーのまちづくりの整備です。
 東京が住みやすいまちであれば、在留外国人の口からおのずと自国の人々に東京の魅力が語られることでしょう。都の役割とされている観光ルートの開発やツアー商品の作成などは、まさに民間企業の役割であると思います。官民の役割分担を明確にすべきと考えますが、いかがでしょうか。
 さて、NPO法が制定されてから現在までで、NPO法人を取得した団体数は東京で千二百八に及びます。今後NPO法人の数はますますふえていくことが予想されます。そのすそ野には法人格を取得しない多様なNPOも数多く存在し、これまで行政にお任せにしていた公共の分野で、公益的活動をみずから担おうとする市民意識の高まりを示しています。こうした状況の中でNPO活動へのさまざまな支援、例えばNPO活動における相談や、スタッフ、役員研修などを望む声も高くなっています。
 飯田橋の東京ボランティア・市民活動センターがNPOと協力し、市民活動支援を行っていますが、都におけるNPO支援策は十分であるとはいえない現状があります。飯田橋センターの機能強化をさらに進めていく必要があると考えますが、いかがでしょうか。
 また、NPO法人の取得には、都庁まで足を運ばなければならず、特に多摩地域等の方々は、その往復に要する時間だけでも相当な負担になっている現状があります。NPO法人の取得も多摩地域で可能となることが理想ですが、せめて、活動の拠点として多摩地域に既存施設を活用し、NPOの運営によるNPOセンターを開設していくことが必要であると考えます。これを強く要望しておきます。
 次に、現在検討されている都立図書館の機能再編についてお尋ねします。現在の中央、日比谷、多摩図書館の三館独立体制の運営を、中央図書館を中央館とし、日比谷、多摩を分館とし、各図書館機能の大幅な見直しを図るというものです。これまで都立図書館は、来館者へのサービスと市区町村の図書館のバックアップという二つの役割を果たしてきました。特に、区市町村との連携で築き上げたバックアップ体制は全国のモデルともされ、市区町村立図書館を支える図書館として、大変すぐれた活動を展開してきました。東京の後退は、全国にも大きな影響を及ぼすことにもつながります。
 高齢化、情報化、グローバル化など、時代の変化に対応するため、図書館機能を充実していくことが都民のニーズにこたえることだと考えますが、教育長に伺います。
 都立図書館は、市区町村との協力で都民への図書サービスを提供してきました。しかし、都の内部だけで再編計画をつくるというやり方は、市民参加が重要視されている都政のあり方に反するといわざるを得ません。早急にこれまでの検討過程を明らかにし、市区町村関係者や利用者の参加で再編計画を立てていく必要があると考えますが、見解を伺います。
 また、今後都立図書館として、市区町村立図書館のバックアップ機能やリサーチ機能などは強化すべきと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、化学物質の健康影響についてお尋ねします。
 この七月、厚生労働省は、室内空気汚染に係るガイドラインとして、新たな三物質を加えた、室内化学物質の室内濃度指針値及び標準的測定方法等について、を発表しました。しかし、都民に身近な室内環境や食品などに含まれる化学物質対策へのおくれは深刻であり、次世代に取り返しのつかない結果をもたらすおそれを禁じ得ません。
 本年六月、私たち生活者ネットワークの質問に対し、知事から、国の対策を待つのではなく、東京は独自基準を設ける旨の答弁がありました。毎日の生活の中で、私たちは数多くの化学物質にさらされ、特に抵抗力や耐性が弱く、細胞の発達段階にある子どもたちへの健康影響ははかり知れず、早急な対策が必要です。
 平成十四年度重要施策に、化学物質の子どもガイドラインの策定として、将来世代へのリスク対策を国に先んじて講じるという知事の決意を感じているところです。重要施策に選定された知事のお考えを伺います。
 かねて指摘してきましたように、子どもたちの健康については、住まいに次いで長時間生活する学校の環境改善対策が急がれます。昭和三十年代に開校した小中学校では、順次校舎の建てかえ計画が進んでいます。校舎の新築、改築の際には、材料などに含まれる化学物質に留意し、シックスクールなどの健康被害が起こらない環境にすることはもちろん、完成後の施設使用や教材等の選定に関して必要な対策を講じるよう、学校関係者、事業者への指導を都の責任で行うべきと考えます。
 都が現在検討中の、住宅設計時の、居住者の健康や住まいの衛生・環境配慮ガイドラインづくりの中には、こうした考えを生かしていくべきと考えますが、いかがですか。
 また、多摩地域の保健所機能の再構築に伴う仮称新基幹型保健所では、生活環境に関する分野として、室内環境保健対策やアレルギー性疾患対策に積極的に取り組むこととしています。
 現代の東京で新たな健康不安を抱えながら暮らす都民にとって、事業者や行政が示した情報が生活する上でどういう意味を持つものなのか、どのように対応すればよいのかということを理解、行動する、いわゆる化学物質リテラシーを身につけることが求められています。迅速かつ適切な対策を講じるために、これまでの保健所で行ってきた環境監視等の経験の蓄積を生かし、さらに専門性を高め、都独自のアドバイザリーチームを構成して、都民の化学物質リテラシーの向上を支援することを、都の政策の軸に位置づけるべきではないでしょうか。
 次に、廃棄物対策についてですが、昨年、循環型社会形成推進基本法を初めとする、いわゆる食品リサイクル法など関連六法案が、廃棄物の発生抑制などに向け、整備されました。循環型社会形成推進基本法には、拡大生産者責任が盛り込まれていますが、責任が明確にされておらず、拡大生産者責任の確立にはほど遠いといわざるを得ません。
 拡大生産者責任とは、従来、一般消費者等に販売された製品の処理について、通常、一般廃棄物として自治体が処理していたものを、メーカー等事業者側に責任を課すという考え方です。先日出された東京都廃棄物審議会の答申、東京都廃棄物処理計画に、施策の推進方策の一つに拡大生産者責任が明記されたことは評価のできることですが、都としてどのように進めていくのか、お伺いいたします。
 また、廃棄物問題が深刻化する中、食品廃棄物についてもリサイクルが必要です。ことし五月に施行された食品リサイクル法では、食品関連事業者を対象に、食品の売れ残りや食べ残し、または食品の製造過程において発生する食品廃棄物の年間排出量が、基準目標に基づく再利用などが義務づけられました。しかし、食品廃棄物が百トン以上の事業者には、勧告、命令、なおかつ罰則規定が設けられているものの、都内に多くある百トン未満の事業者には罰則がなく、法の枠内だけでは食品廃棄物の排出量の削減はできません。より実効性のあるものとしていくためには、都としては、市区町村と連携し、都民や中小の食品関連事業者に食品リサイクルを促進するための対策が必要であると考えますが、見解を伺います。
 次に、九月に日本で初めて狂牛病が確認されて以来、過日、三頭目が発見され、消費者の不安は増すばかりです。対応の説明が二転三転するなど、事実上の責任を放棄してきた農水省や厚生労働省の責任は犯罪的です。未然防止の観点から、まず何より、消費者の選択には、牛の誕生にさかのぼって、食品の素姓に関する情報が明らかである必要があります。いわゆる家畜個体情報管理システム、トレーサビリティーシステムの確立です。しかし、国で検討しているシステムは、牛の誕生地から、と畜場までの範囲であり、EUで稼働している小売から生産地までの範囲とするシステムに比べ、はるかに見劣りします。しかも、情報内容も牛の登記証などにすぎず、飼料や肥育方法についての生産者の努力を反映し、消費者の選択に資するものとなっておりません。こうしたシステムの改善を強く国に求めるべきと考えますが、見解を伺います。
 小売店で肉の安全性がわかれば、消費拡大につながると考えます。と場から小売段階まで、食品衛生の視点で日常的に事業者指導を行う立場にある東京都は、事業者団体との協議や協定等によって、トレーサビリティーのシステムを拡充し、国に先駆けた情報システムをつくることが可能であると考えます。消費者が安心できる食品衛生に関する情報が速やかに提供されるシステムをつくることが必要と考えますが、見解を伺います。
 一頭目が発見されてから、国の両省の対立に国民は翻弄され続けました。これからは、消費者の自主的な選択の視点からの組み立てが必要と考えます。国においても、消費者の立場に立った食品安全基本法を制定し、消費者の権利という視点に立つ総合性を、食品安全庁などとして構築する必要があります。
 こうした国の動きをつくり出すためにも、都において、予防原則と市民参画で委員会を設置し、食品安全基本条例の制定が必要であり、総合的な食品安全行政の確立が急務であると考えますが、いかがでしょうか。
 次に、知事も視察されたグループホームについて伺います。
 知事は、所信表明の中で、大規模施設から地域での暮らしを支える福祉へと、施策の中心を転換することを明らかにしました。そして、地域の基盤となるケアつきの住まいであるグループホームの増設を目指し、積極的に取り組むことを示されたことを高く評価いたします。
 高齢者自身にとっては、住みなれた家や地域で最期まで過ごしたいと思う反面、ひとり暮らしへの不安から、施設への入所を選択する人が多いのも事実です。特に痴呆の場合、家族や近隣との関係を考えると、在宅で暮らし続けることは難しいと考えられます。さりとて大型施設では、個々人のペースやプライバシーを守ることにも限界があり、施設と在宅の中間的なグループホームに期待が寄せられています。
 しかし、介護保険に位置づいているにもかかわらず、都内にはいまだわずか三十六カ所しかなく、地域に活用できる土地や建物があっても、運営したいと意志を持つ人たちへ情報をつなぐ仕組みがありません。地域の資産を生かし、設置促進を図るには、多様な事業者の参入を図る独自制度をつくる必要があると考えますが、いかがでしょうか。
 また、グループホームは住まいであることから、家賃や光熱費、食費などは利用者負担が原則となります。しかし、東京のような地価の高い大都市では、家賃負担が大きくなり、結果として高齢者の利用促進の妨げとなっています。
 整備補助については、NPOへの対象拡大など、徐々に制度の充実が図られていますが、これだけでは急速な普及は望めません。地域の福祉の核となる区市町村の積極的協力を促すことや、また、緊急措置としてさらなる設置促進策の充実が必要であると考えますが、いかがでしょうか。
 最後に、都市計画問題について一言申し添えます。
 国立に建築中の高層マンションについての行政訴訟の判決が出され、都が是正命令を出さないのは違法であることを確認した画期的なものとして、新聞に取り上げられました。知事もかねてより、東京の都市計画はなっていないとおっしゃっています。都が違法建築部分に除去命令を出し、検査済み証を交付せず、景観を守ることが、新しい都市計画行政の第一歩であると思います。ぜひ再考し、控訴中止の英断を下すよう求めて、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 山口文江議員の代表質問にお答えいたします。
 宿泊税導入による観光振興事業の効果についてでありますが、観光は、直接、間接、極めて波及効果の高い産業でありまして、それゆえに、観光を従来の文化事業と異なって産業と位置づけて、東京も努力するつもりになりましたが、おっしゃるとおり、これを行政というものの担い手の官僚や役人が仕切って効果があるわけが、私はないと思います。それはやっぱり、旅の魅力とか観光資源の価値というものは、あくまでも人間の感性、感覚に訴えるものでありまして、それを行政が一律に仕切ることはとてもできないと思いますが、しかし、日本全体で眺めますと、観光というものが産業としてとらえられていなかったために、実にずさんで、すべき最低限の条件整備なども行われておりませんので、せめてそれだけは東京が着手していこうということで、あとは、おっしゃるとおり、民間の力に負うて、感覚に負うて、つまり、より多くの人たちが納得してくれるような体制をとりたいと思っているわけであります。
 いずれにしろ、今回の宿泊税の用途というものは、予算もごくごく限られたものでありまして、何といっても、民間の観光に対する、何というんでしょうか、関心、それに啓発されてくるアイデアというものに火をつけるためのものでありまして、その先は、行政はむしろ後ろに控えて、それを積極的にバックアップしていくということになるのではないかと思います。
 次いで、化学物質の子どもガイドラインの策定についてでありますが、化学物質は世代を超えて人間に非常に深刻な影響を与えるものでありまして、特に子供たちへの健康影響というものは憶測の域を出ず、どういう結果がもたらされるか、それを見きわめるとき私たちはいないわけでありますから、非常に危惧されるものがあります。
 私は、現況をいろいろ眺めておりますと、自分の孫なども眺めて、現代っ子というのは、決して我々ほど健康に過ごせずに、長生きもしないんじゃないかという気が強くいたします。例えば、東京に住んでいる幼いお子さんたち、乳幼児などのアトピーとかアレルギーの多さ、その他この他。それから、調べてみましても、これは私自身も国会議員として責任があるんでしょうが、国のこういったものに対する環境基準というのは恐ろしいほどずさんでありまして、先進国の中で一番とにかく基準値が高いというんですか、低いというんですか、考えられない危険なところになった。
 端的な話、日本ほどお金があり、モータリゼーションも進んでいて、何で、つまり、ディーゼルエンジンという、非常に強烈で、力もあり、ガソリンエンジンに比べて利用度の高いエンジンの燃料が、そこに含まれている硫黄分一つにしても、ヨーロッパの十倍という形で放置されてきたのは、本当に想像がつかない。しかも、自由化ということで、めちゃくちゃな不正な経営がばっこしている。それを国が一向にとにかく構わないということ、本当にここに生息する人間として信じられないぐらいずさんなものでありまして、ゆえに、今回、とにかく子どもが健やかに成長して、未来に希望の持てる社会をつくることを政策の課題としまして、その中で、化学物質の子どものためのガイドラインの策定を重要な施策の事業として選定したわけであります。
 だれかがやらなくちゃいけないことで、それが先鞭をつければ、世論が動き、国もやがては積極的に乗り出してこれると思いますし、いずれにしろ、都は、今後とも国に先駆けて、子どもたちへの化学物質対策に積極的に取り組んでいきたいと思っております。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) 都立図書館に関します三点の質問にお答え申し上げます。
 まず、都立図書館を充実して、都民ニーズにこたえることについてですが、都教育委員会としましては、時代の変化に対応し、その機能を充実することは、都立図書館においても必要であると考えております。このため、都立図書館を取り巻く環境の変化や、収蔵能力の逼迫などの現状を踏まえますとともに、区市町村との役割分担を明確にし、都民ニーズに的確にこたえる新しい都立図書館のあり方を検討する必要があることから、現在、都立図書館あり方検討会を設置しまして、都立図書館の役割、機能、体制などについて、幅広く検討を行っているところでございます。
 次に、都立図書館の再編計画への区市町村関係者等の参加についてですが、都立図書館あり方検討会の中間のまとめ及びその後の検討状況につきまして、現在、公募した都民を含む外部委員により構成される都立図書館協議会や区市町村などの関係者に説明し、幅広くご意見を伺っているところでございます。
 今後とも、関係者の理解が得られるよう努めながら、都立図書館のサービスの向上や効率的な運営のあり方について検討し、取りまとめてまいります。
 最後に、区市町村立図書館へのバックアップ機能などを強化することについてですが、地域住民の情報ニーズに応じた直接サービスは、第一義的には区市町村立図書館の役割であると考えておりますが、一方で、区市町村立図書館に対する図書の貸し出しなどのさまざまな支援や、利用者等に対する高度で専門的なレファレンスサービスの提供などは、府県行政としての都立図書館の重要な役割であると認識いたしております。
 今後とも、区市町村立図書館との役割分担などを踏まえながら、利用者サービスの向上を図ってまいります。
   〔産業労働局長浪越勝海君登壇〕

○産業労働局長(浪越勝海君) 三点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、観光振興に係る官民の役割分担についてでありますが、観光を産業として振興するためには、行政だけではなく、観光関連事業者など民間の役割が大きいと考えております。
 観光産業振興プランでは、外国人旅行者誘致のための具体策を提示し、その実現のために、六〇ページから六二ページにかけ、また六五ページから七二ページにかけて、都と国、区市町村、民間事業者、関係団体、都民のそれぞれの役割分担を明確に示すとともに、推進体制を構築して、施策の展開を図っていくこととしたところでございます。
 次に、食品リサイクル等の対策についてでありますが、食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律、いわゆる食品リサイクル法は、食品の製造、流通、消費の各段階で、消費者、事業者や国、地方公共団体などが一体となって、食品廃棄物の発生の抑制などに努めることにより、環境に負荷の少ない循環型社会の構築を目指すものであります。
 都としては、国や区市町村と連携をとりながら、消費者と食品関連事業者に対して、食品の購入や調理、製造技術の改善を働きかけ、食品廃棄物の発生抑制と再生利用及び減量に努めてまいります。
 最後に、家畜個体情報管理システムについてでありますが、このシステムは、いわゆる狂牛病の発生に伴い、牛の出生地や移動状況などのデータを整理し、迅速な防疫対策を講じるために、国において導入が検討されているものであります。
 しかしながら、飼料や飼育方法などの情報が盛り込まれていないため、都としては、こうした牛の生産情報も確認できるシステムとなるよう、今後とも国へ要望してまいります。
   〔生活文化局長高橋信行君登壇〕

○生活文化局長(高橋信行君) 最初に、東京ボランティア・市民活動センターの機能強化についてでありますが、東京ボランティア・市民活動センターは、平成十年の開設以来、都の補助を受け、各団体の活動に関する情報提供を初め、NPO法に関する相談対応、活動や交流の場の提供など、幅広い支援活動を行っております。
 しかし、都や国の調査によると、NPOを取り巻く活動環境は必ずしも十分とはいえない状況であり、特にマネジメント面でのさまざまな課題を抱えておるということでございます。
 このような課題の解決に資するため、新たに会計、税務などの実務的な知識を持った人材の紹介や、運営管理能力の向上を図るためのセミナーの開催など、活動基盤の強化のための取り組みを進め、センターを中心とした支援機能の充実を図ってまいります。
 次に、消費者の立場に立った総合的な食品安全行政についてのお尋ねでありますが、都は、都民の健康かつ安全な消費生活を守るため、消費生活条例に基づき、各種施策に取り組んでおるところでございます。
 食品の安全につきましては、関係各局が横断的に連携するため、食品安全確保対策にかかる基本方針を定め、食品の製造、流通から消費に至るまでの各段階において対策を講じております。これまでも、大腸菌O157や、遺伝子組みかえ食品など、さまざまな問題について対策を進めてまいりました。
 このたびの牛海綿状脳症の問題についても、都民生活に重大な影響を及ぼすことから、関係局間で緊密に連絡調整を行うとともに、都民に情報提供を行ってきたところであります。
 今後とも、食品の安全確保を初め、都民の消費生活を守るために、総合的に施策を進めてまいります。
   〔衛生局長今村皓一君登壇〕

○衛生局長(今村皓一君) 保健衛生について、三点のご質問にお答えいたします。
 まず、居住者の健康や住まいの衛生について配慮するためのガイドラインについてでございますが、このガイドラインは、住宅の計画、設計段階から健康に配慮した住宅をつくるために、室内の化学物質対策などについて、都民を初め、関係者に必要な情報が提供できるものを検討しております。
 学校などにおける活用につきましては、関係局で構成する居室内の有害化学物質に関する連絡会議等を通じまして、情報を提供してまいります。
 次に、化学物質による健康不安に対する都民への支援についてでございますが、これまでも、都民から寄せられる室内の化学物質にかかわるさまざまな相談に適切に対応してきたところであります。
 今後とも、各分野に専門的な知識を有する職員が協力し、関係機関とも連携を図りながら、情報提供や相談体制の充実等に努めてまいります。
 次に、狂牛病について、消費者が安心できる情報提供についてでございますが、十月十八日以降、全国のと畜場に入荷するすべての牛に対し、スクリーニング検査を行っており、安全が確認された牛肉のみが市場に流通するシステムとなっており、したがいまして、現在、都内に流通している牛肉はすべて安全なものであります。
 こうした情報を含め、牛肉の安全性については、今後とも、適宜、報道機関等への情報提供を行っていくほか、多くの都民から利用されている狂牛病のホームページをさらに充実させることや、情報誌などを活用した情報提供、都民とのコミュニケーションを通じた普及啓発に努めてまいります。
   〔環境局長赤星經昭君登壇〕

○環境局長(赤星經昭君) 廃棄物に対する拡大生産者責任についてのご質問にお答え申し上げます。
 廃棄物の発生抑制やリサイクルの促進のためには、先日の廃棄物審議会答申にもございますように、拡大生産者責任を強化していく必要があると認識しております。
 このため、今後とも、国に対して、リサイクル関連法の改正、整備などを要求していきますとともに、東京都といたしましても、事業者による自己回収等について関係業界に積極的に働きかけ、新たな仕組みづくりを促進し、拡大生産者責任の具体化を目指してまいります。
   〔福祉局長前川燿男君登壇〕

○福祉局長(前川燿男君) グループホームにつきまして、二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、その設置促進に向けた独自施策についてでありますが、地域での自立を支える利用者本位の新しい福祉を実現するためには、高齢者や障害者が地域で安心して暮らし続けられるよう、グループホームの大幅な増設を図ることが重要な課題であります。
 痴呆の症状のある高齢者を対象としたグループホームについても、都はこれまでも、国庫補助に加えて、独自にNPO等が既存の建物を改修して設置する場合にも整備費の補助を行ってまいりましたが、来年度からはさらに、民間企業に対する整備費補助を新たに実施する方針であります。
 こうした取り組みを通じて、介護保険の実施主体である区市町村と連携し、多様な事業者の参入を積極的に促進してまいります。
 次に、グループホームのさらなる設置促進策についてでありますが、高齢者や障害者のためのグループホームの設置促進を図る上で、地価水準を反映した利用者の家賃負担の高さなどが都における普及の大きなネックになっているのは、ご指摘のとおりでございます。一方、都内の市街地には、小規模民有地などがまだ利用されないまま散在しているのが現状でございます。
 こうした状況を打開するため、都は、来年度から時限を定め、区市町村と連携して、特別推進地区を指定し、小規模の民有地等を高齢者や障害者の生活の場の整備に活用するための新たな仕組みを構築する方針であります。これにより、利用者負担の軽減が図られるとともに、NPOなど多様な事業者の参入が容易になるものと考えております。

○六十七番(服部ゆくお君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。

○議長(三田敏哉君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(三田敏哉君) ご異議なしと認め、さよう決定いたします。
 明日は、午後一時より会議を開きます。
 念のため申し上げます。
 ただいまご着席の方々には改めてご通知いたしませんから、さようご了承願います。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後八時二分散会

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