平成十三年東京都議会会議録第十六号

○副議長(橋本辰二郎君) 百六番木内良明君。
   〔百六番木内良明君登壇〕

○百六番(木内良明君) 私は、都議会公明党を代表して、都政の重要課題について、都知事並びに関係局長に質問をいたします。
 まず、このたび、皇室におかれましては、国民待望の中、敬宮愛子様が誕生されましたことは、まことに喜ばしく、慶賀にたえません。私どもは、天皇、皇后両陛下並びに皇太子、同妃両殿下に対しまして、心からお祝いを申し上げますとともに、敬宮殿下の健やかなご成育を衷心より祈念するものであります。
 さて、二十一世紀の幕あけとなった本年は、国際的には同時多発テロに象徴される激動の時代のスタートとなり、また国内的には、長期化する不況と深刻な雇用実態に加えて、多様化する凶悪犯罪や、狂牛病の発生など、社会不安はいよいよ大きなものとなっています。
 こうした現実を直視するとき、私は、今こそすべての人々が人間の尊厳を保つための人間の安全保障、つまりヒューマンセーフティーネットのこの構築こそ、政治の果たすべき根源的役割であると痛感せざるを得ません。
 都政にあっては、いかなる厳しい財政状況のもとでも、景気、雇用、福祉、教育、環境、都市再生など、喫緊にして都民生活と密接不可分な分野の課題について、今こそ知恵と創意を凝らし、新たな年への第一歩を記さなければなりません。
 このため、都議会公明党は、これまで以上に現場第一主義に徹するとともに、常に生活者の視点を重視する姿勢を貫き、政策実現政党として都民の皆様の負託にこたえていく決意であります。
 以上申し上げた視点から、順次質問いたします。
 最初に、財政問題に関連し、今年度の税収動向について伺います。
 我が国の景気は、失業率が最悪の五・四%、また、輸出、生産ともに大幅に減少するなど、一段と悪化の傾向を示しております。こうした中で特に注目すべきことは、企業の九月期決算で多くの銀行が不良債権処理の拡大、大幅な株式評価損によって、軒並み赤字決算となっていることであります。そこで懸念されるのは、銀行業への外形標準課税が当初見込みどおり確保できるかどうかということであります。
 さらに、今後の景気の先行きについても、米国の景気後退を初め、内外ともに明るさを失っており、今年度の都税確保は大変に困難と思われます。あわせて、率直な見解を求めます。
 次に、来年度の税収見込みについて伺います。
 知事は、過日、来年度の都税収入は、今年度に比べ三千億円から四千億円の減収になるとの予測を示しました。果たしてその減収幅でおさまるのかどうか、疑念があります。例えば、ここに来て導入が現実味を帯びてきた連結納税制度の影響があります。実際に来年度からこの制度が導入されると、法人税で八千億円の減収になると試算され、それがそのまま地方税に影響した場合、法人二税は全国で約四千億円、都への影響額は実に八百億円もの減収となります。このような事例を踏まえて、来年度の税収見込みについて、率直な見解を示していただきたいと思います。
 関連して、小規模住宅用地の都市計画税軽減措置について申し上げます。
 我が党は、昭和六十三年度以来十四年間にわたって継続されている小規模住宅用地の都市計画税軽減措置は、既に制度として定着したと判断しています。したがって、現在の景気状況を勘案して、ぜひとも現行の軽減措置を継続するよう強く求めるものであります。
 次に、宿泊税条例についてであります。
 来年は約四千億円の税収不足が予測される中、大都市東京が課税自主権の行使として宿泊税を創設しようという、そういう方向性は理解するものであります。しかし、我が党は、東京都税制調査会答申にホテル税構想が盛り込まれた段階で、知事が成案を得る場合、幅広い都民のコンセンサスの醸成に努めるべきであると指摘をいたしました。
 そこで、以下質問します。
 第一は、関係業界等のコンセンサス醸成の問題であります。
 この税は、ホテル、旅館等が宿泊客から税を預かり、都に納入する形になるため、実際に税の徴収に協力するホテル、旅館など関係業界のコンセンサスを得ることが極めて重要になります。ところが、現実は、日本観光旅館連盟や国際観光旅館連盟などから、これまで断固反対の申し入れが都議会議長あてに提出されてきた経過と状況があります。
 反対理由としては、宿泊業にのみ課税するのは税の公平原則からして不当である、どのような観光振興に結びつけるのか説明がない、税の使途が広範囲で不明確である、長期不況業種である宿泊業界の活力を欠く、十分な時間をかけ審議し、理解を得られた税制ではない、こういったことなどが挙げられています。都は、こうした関係業界に対し、どう対応されるのか、答弁をいただきたいと思います。
 第二は、税の使い道であります。
 都は、千客万来の世界都市を目指すための観光振興策に充当するとしておりますが、その内容は依然として不明確であります。観光政策の具体的な戦略、戦術を都民の前に公表することが先決であると考えますが、以上二点について知事の所見を伺います。
 次に、首都圏の再生についてであります。
 東京都は、ことし四月、二十一世紀の首都像と圏域づくり戦略を描いた首都圏メガロポリス構想を発表し、六月には、首都圏再生緊急五カ年十兆円プロジェクトを国に対して提案。そして十一月には、石原知事が七都県市首脳会議で、首都圏としての広域的な政策課題についての共同事業と、ディーゼル、産業廃棄物課税を提案し、首都圏という新しいフレームのもとで、意欲的に施策展開に取り組んでいることは評価をさせていただきます。
 我が党も、十一月三十日、七都県市にさいたま市を加えた八都県市の議員が一堂に会して、八都県市サミットを開催しました。八都県市一致して首都機能移転反対の決議を行うとともに、知事の提案を含め、首都圏の抱える課題について幅広く意見交換を行ったところであります。
 そこでは、都市圏域の拡大に伴い、首都圏としての連携の必要性には合意しつつも、具体策になると、例えば、産廃税については、千葉県から、都の案は産廃を出す側の視点はあるが、処理場を多く抱える側の視点がないとの鋭い指摘があり、個別自治体の状況や立場によって、かなりの温度差があることを痛感させられました。
 そこで、以下三点について質問いたします。
 第一に、七都県市首脳会議での都の提案について、今後どう取り組むのか、知事の基本姿勢を示していただきたい。
 第二に、七都県市首脳会議の事務局は、開催自治体の持ち回りとなっていますが、これでは継続性も責任の所在も不明確になりやすくなります。したがって、各自治体から人材を出し合って、事務局の常設化を図るべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 第三に、首都圏が共同で取り組むべき課題は、交通ネットワークや環境問題、防災対応、物流の効率化など多岐にわたっており、今回の提案にとどまるものではないと考えます。今後、いかなるテーマを用意しているのか、知事の見解を求めます。
 なお、我が党の八都県市サミットにおける首都機能移転反対決議に関しては、今月六日、党の国対委員長とともに福田官房長官を通じて小泉総理に強く申し入れを行いました。その際、官房長官からは、この決議を重く受けとめて小泉総理に伝えますという発言がありました。私どもは、今後とも、首都機能移転反対に全力で取り組む決意を表明するものであります。
 次に、今日の最大の課題である中小企業雇用対策についてであります。
 融資への需要が高まる年末を迎えて、中小零細商工業者を取り巻く状況は一段と厳しさを増しています。さきに都議会は、中小零細商工業者への緊急特別支援に関する決議を採択しましたが、さらに我が党は、六日、東京都に対しまして緊急特別支援策の早期実施に関する要請を行いました。内容は、セーフティーネット金融の充実、売り掛け債権担保融資の早期実施、貸し渋りに対応した保証協会の保証引き受けの弾力的運用などであります。これを受けて、都は、早急に制度融資の改善を行うとの発表を翌日行ったことを評価するものであります。
 そこで、この改善措置は速やかに実施されるべきであり、まず、その時期について明らかにしていただきたい。
 また、我が党が提唱し、連立与党も合意した売り掛け債権融資については、新たな制度であり、手続等に混乱が生じないよう、万全の措置を講じるべきであります。所見を伺います。
 続いて、雇用対策についてであります。
 都は、本年七月から九月期における都内の完全失業率は五・六%、失業者数は三十六万人と発表しました。同期の全国の失業率五・〇%と比較しても、東京の雇用情勢は大変厳しい状況にあります。また、来春に卒業を予定している高校生の就職内定率は、九月末現在で三七%であり、これは調査開始以来最悪となりました。こうした中で、国は、新たな緊急雇用対策を中心とした補正予算を成立させました。厳しい雇用情勢を考えると、都においても、緊急かつ積極的に雇用対策に取り組むべきであります。
 そこでまず、国の緊急地域雇用創出特別交付金を活用するに当たって、都は実効ある都民の雇用に結びつけるために、どのように交付金事業を進めていくのか、基本的な方針を示していただきたいと思います。
 第二に、緊急地域雇用創出特別交付金の使途について、国は、事業費に占める人件費割合がおおむね八割以上であること、事業に従事する全労働者に占める新規雇用、つまり失業者の雇用がおおむね四分の三以上であることを条件としています。
 しかし、この交付金は、地方公共団体が、地域のニーズを踏まえ、独自に創意工夫を凝らした事業を実施し、公共部門における緊急かつ臨時的な雇用創出を図ることが目的であり、事業の実施主体である都道府県、市町村に対しては、むしろ弾力的な運用を認めるべきであります。例えば、森林作業員を雇用すれば、必然的に機材、備品が必要とされ、こうしたものも購入できる運用が極めて重要であります。
 さきに触れた公明党八都県市サミットにおいても、この点は出席者から異口同音に訴えられ、福田官房長官を通じての政府へのこの申し入れの際にも、私どもはこのことを強く訴えたところであります。
 したがって、東京都においても、事業の条件緩和、弾力的運用を認めるよう国に求めるべきでありますが、所見を伺います。
 第三は、敗者復活が可能な社会システムづくりについてであります。
 日本の中小企業経営者は、融資を受ける際、自宅や土地などを担保として個人保証を行うため、事実上無限責任を強いられます。会社が倒産すると、経営者はすべての資産を奪われて、再起を図る方策を喪失し、自殺という最悪のケースに至ることも頻繁にあるのであります。アメリカでは、事業に失敗した経営者が再起するための社会システムが確立しているといわれています。
 そこで、東京都は、事業に失敗した人でも経営に再チャレンジ、挑戦し、敗者復活が可能な社会システムを構築するためのプロジェクトを立ち上げて、具体的な検討を開始すべきであると考えますが、所見を伺います。
 次に、教育問題についてであります。
 我が党は、かねてから、学ぶ意欲のある生徒は、だれでも、いつでも、どこでも学べる学校づくりを行うよう提言をしてまいりました。不登校や中途退学者を受け入れるチャレンジスクールや、学校を退学した生徒に再挑戦の機会を提供するトライネットスクールについても、さまざまな提案を行ってまいりました。トライネットスクールに関しては、インターネットと都立高校のネットワークを活用する通信制高校として、十七年度の開校に向けて準備が進められておりまして、大きな成果であると認識しています。
 そこでさらに、学ぶ意欲を持つ子どもの立場に立った学校運営を求めたいと思います。つまり、高校にはなじめないものの、学ぶ意欲はあり、したがって、中退はしたくないという生徒に対して、学期ごとに通信制へ転入できるシステムが必要と思います。教育長の見解を伺います。
 また、二十三区内のある都立高校では、中退率が二〇%を超え、入学時の二百六十六人という生徒数が、一年後には百六十六人に減少したという実例があります。都立高校において、改めて中退者を出さない努力が必要であります。従来であれば、一年生の半ばには中退してしまっていた生徒たちを、カリキュラムに工夫を加えたり、生徒指導の強化を通じて学校につなぎとめていくことができる、いわば全日制版のスーパーチャレンジスクールとでも呼ぶべき学校が必要であると考えますが、所見を伺います。
 次に、都立片浜養護学校についてであります。
 平成十二年度において病気を理由に三十日以上の長期欠席となった小中学生は、全国で六万九千六十六人、東京では三千三百七十一人に上っています。こうした病弱等の児童を受け入れている都立片浜養護学校は、六十年の歴史を有し、近年は、肥満やぜんそく、アトピーなどの病気や、それに起因する不登校の児童生徒の教育に実績を上げ、高い評価を得ています。
 従来から、入院を必要としない病気、病弱の子どもたちに対する教育のその充実が求められていますが、都教育委員会は、このほど、この片浜養護学校を廃止し、久留米養護学校に統合する考えを明らかにしました。高い評価を得ているにもかかわらず、なぜ統合しなければならないのか、理解に苦しみます。所見を伺います。
 第二に、仮に片浜養護学校を平成十四年度末に閉校するとした場合、その最後の年に現在の中学一年生が三年生として在校することになり、この子どもたちは転学しなければなりません。これも一般の都立高校の統廃合の方式に比べると異例であります。慎重な対応を求めるものであります。
 第三に、病気に起因する不登校の児童生徒に対する片浜養護学校の教育実践と成果を、さらに敷衍、発展させる体制づくりが必要であります。また、あわせて、その経験が小中学校の不登校問題の解決にも役立つと考えられます。見解を伺います。
 第四に、関係者の皆様から、入院を必要としない病弱あるいは病気の子どもたちへの教育機関が不足していること、特に高等部段階の子どもに関しては、病弱養護学校高等部が設置されていないため、病気に対する自己管理能力を育てる教育的な取り組みが十分とはいえないという指摘があります。
 そこで、我が党は、久留米養護学校近隣の高等学校と連携するなど、知恵と工夫を凝らして、高等部設置の検討を早急に開始すべきであると具体的に考えているわけであります。所見を伺います。
 医療ケアつき養護学校の設置についてお聞きします。
 重度の肢体不自由児の保護者は、家庭ではもちろん、養護学校にまで随伴して医療ケアを施さなければならず、四六時中心身の休まることのない状況に置かれています。せめて養護学校に行っている間だけでも、医療的ケアを受けられないかという声が、私どものもとに数多く寄せられているのであります。
 現在、肢体不自由児養護学校では看護職員を常駐させていますが、それは緊急時の対応や、保護者の方がやむを得ず随伴できなかった場合の対応が目的で、日常的な医療ケアは行われていません。
 過日、我が党は、全国初の医療ケアつき養護学校として注目されている、北海道の夕張高等養護学校を視察いたしました。同校は、重度の重複障害があり、日常的に医療ケアを必要とするものの、障害が固定しているため、治療の必要のない生徒を対象にしています。日常的に行っている医療ケアは、経管による栄養摂取や、吸引、導尿、吸入、さらに定期的な注射、投薬などとなっており、従来の養護学校ではできなかった医療的ケアを行っています。医療スタッフに関しては、夕張市立総合病院に業務委託をし、婦長以下八名の看護婦が配置されています。
 都においても、こうした医療ケアつき養護学校の設置を具体的に検討すべきであります。十四校の都立肢体不自由児養護学校が、近接する都立、市立の病院と業務委託を交わし、看護婦をローテーションで配置して、日常的な医療的ケアを実施すべきでありますが、都の見解を伺います。
 次に、子育て支援施策についてであります。
 少子化や核家族化、急激な都市化の進行により、家庭と地域の結びつきが弱まり、地域の中での家庭の孤立化、また子育て不安の増大を招いています。その延長線上に、あの痛ましい児童虐待もあります。こうした問題の解決のためには、改めて身近な地域の中で子育て家庭を支え合う仕組みづくりに真剣に取り組んでいかなければなりません。そこで伺います。
 第一は、子ども家庭支援センターの拡充であります。
 何らかの困難な問題を抱えている子育て家庭を支援していくためには、全区市町村において、子ども家庭在宅支援事業を、事業主体者である区市町村と協力し、質、量ともに充実させていく必要があります。東京都として、子ども家庭支援センターの設置促進を図るべきと考えます。見解を求めます。
 第二は、児童虐待への対応であります。
 児童虐待の防止等に関する法律の施行に伴い、複雑、困難な相談が児童相談所に集中しており、児童相談所の充実強化が求められているのであります。ますます深刻化する児童虐待について、総合的に施策を展開するとともに、区市町村と連携した対応策の確立、児童相談所の強化策を一刻も早く実現をすべきであります。
 第三は、里親制度等の充実です。
 被虐待児童の増加など、地域の中で家庭的な養護を必要とする児童がふえているにもかかわらず、養育を引き受ける家庭がなかなかふえていない。また、一般に知られていないのが実情です。里親制度の充実のためには、例えば交通広告なども含めた、幅広い広報活動の一層の充実が必要と考えます。里親がふえない状況を、今どのように都は打開をしようとしているのか、見解を伺います。
 続いて、私立幼稚園保護者負担軽減事業費補助の見直しについて質問をします。
 都内の幼児の幼稚園就園率は約六〇%、公立幼稚園が少ないため、その約九割が私立幼稚園に通園しています。保護者負担軽減事業は、園児急増、幼稚園不足の時代である昭和四十七年度から開始され、現在では父母負担の公私間格差を是正する事業として定着をしているのであります。
 ところが、都は、私立幼稚園の経営費補助拡大を理由として、この保護者負担軽減のための補助単価を引き下げようとしています。都の案によると、見直しの対象となる階層は、まさに若年ファミリー世帯の大半に当たります。今日の経済状況と若年ファミリー世帯の生計の厳しさを考慮すれば、安易な補助削減は避けるべきであります。所見を求めます。
 次に、特殊疾病対策について伺います。
 東京都特殊疾病対策協議会は、十月末に、在宅難病患者への支援のあり方や、難病医療費等助成対象疾病に関する今後の方針など、特殊疾病対策の基本的な方向性について報告書を発表いたしました。
 特殊疾病対策は、事業開始以来三十年が経過し、この間、医学の進歩には目覚ましいものがあります。また、社会状況も大きく変化し、これらの状況を踏まえ、都においては、専門的かつ総合的な検討を行う場として、特殊疾病対策協議会及び新たな感染症対策委員会を発足させました。そして、都民のニーズや関係制度の変化に対応するため、さきの報告書をまとめたことは、時宜を得たものとして理解をするものであります。そこで伺います。
 第一は、新たなウイルス性肝炎の総合対策、そして今後の難病対策についてであります。
 肝臓病、特にB、C型ウイルス肝炎については、診断、治療方法等が大きく進歩し、今日では完全治癒までも期待できる状況となっております。したがって、重篤化した患者のみを対象とした現行の難病対策から脱却し、広くウイルス感染症対策として施策の再構築を行うべきであります。
 肝臓は沈黙の臓器といわれ、自覚症状もないまま慢性肝炎にかかり、肝硬変、肝臓がんに進行してしまうケースも見られます。
 こうした現状を考えれば、肝炎に対する正しい知識の普及啓発や、早期発見から早期治療への一貫した対策の確立が何よりも重要であります。施策の再構築について所見を伺います。
 第二は、難病医療費等助成対象の見直しについてであります。
 疾病ごとの認定基準の見直しに関する提言がなされ、慢性肝炎と肝硬変、ヘパトームについては、難病医療費の助成対象から外すとされていますが、平成十二年度末の認定患者数は、慢性肝炎が二万四千八百八十二人、肝硬変、ヘパトームが六千五百七十七人で、計三万一千四百五十九人に上っております。
 これらの医療費助成対象者の方々にとっては、余りにも突然の提案であり、その影響の大きさからいって、安易に認めるわけにはまいりません。慎重な対応を求めるものであります。
 第三は、在宅難病患者対策事業の再構築であります。
 在宅で人工呼吸器等を使用しながら療養している難病患者が、今、大幅に増加しており、重症であっても在宅療養を行うケースがふえていくことが予想されます。ひとり暮らしであっても安心して療養生活が送れるよう、今こそ在宅重症難病患者に対する支援策の確立が必要です。所見を伺います。
 第四は、難病医療費等助成対象疾病についてであります。
 国が順次対象疾病を拡大している一方で、平成十年度を最後に、東京都単独での助成対象疾病の拡大は行われておりません。しかし、何の助成も受けられず、難病に苦しんでいる人は数多く存在します。報告書で提言されている疾病については、早急に助成対象に加えるべきであります。難病医療費等助成の対象拡大についての所見を求めます。
 次に、住宅政策についてであります。
 先日、新東京都住宅マスタープランの中間まとめが発表され、公営住宅政策に加え、民間住宅施策にまで踏み込んだ新たな考え方が示されました。
 中間まとめに関しては、都営住宅の管理戸数を大幅に削減などという報道もあり、居住者の方々や応募者の間に無用の不安や混乱を生じさせております。
 時代の変化の中で住宅対策が大きな転換点を迎えていることは理解できますが、あくまでも住宅政策の基本は、安全、安心に住み続けられることを保障することであり、都民の居住に関するセーフティーネットとして機能するものでなければ意味がないのであります。
 都営住宅の応募倍率は依然として高く、入居したくても入居できない方が大勢存在していることも事実です。したがって、実態の把握を行わずに、安易に戸数の抑制や縮小を行うべきではないと考えますが、見解はいかがか、お尋ねをいたします。
 次に、中間まとめでは、都営住宅の区市町村への移管が取り上げられています。高齢化が進む中で、福祉施策との連携が重要になり、住民に身近な区市町村への住宅移管の必要性は高まっておりますが、受ける側の区市町村にとっては、財政負担などが明確になっていないことから、無条件に歓迎するという状況にはありません。各自治体への移管がスムーズに行われるための具体的な方策について、財政負担も含め、明らかにしていただきたいと思います。
 次に、地球温暖化対策について伺います。
 東京都における温室効果ガスは、現状で推移すれば、二〇〇一年度に一九九〇年度比で一五%増となり、目標である同比六%削減を実現するためには、二一ポイントの削減が必要になります。これを達成するには、部門別目標など、よりきめ細かな数値目標を掲げて取り組むべきであります。
 部門別エネルギー消費量の推移を見ると、九〇年度から九八年度までに、業務部門、自動車部門ともに二六%増と大幅な伸びを示しています。
 都は十一月に、東京都環境基本計画のあり方についてを発表し、これを受けて本格的な地球温暖化対策への取り組みを実施する運びとなっていますが、この際、増加の著しい部門の削減対策、そして数値目標を明確にすべきであります。見解を伺います。
 次に、温暖化対策の一環として、自然エネルギーの積極的活用について伺います。
 自然エネルギーの弱点は、気象変動によって発電量が安定しないことですが、電力を蓄えることができれば、不安定なエネルギー源でも有効に活用できます。そこで、電力貯蔵型電池の積極的な活用を求めたいと思います。
 年間の電力使用料金が百十億円にも達する都内最大の電力消費者である下水道局は、低廉な夜間電力の有効活用を目的とした大規模電力貯蔵システム、NaS電池を葛西処理場に実用導入すると発表しました。この夜間電力の有効活用は、大きな環境負荷低減効果が期待できます。
 そこで、第一に、葛西処理場に導入する電池の規模及びそれによる地球温暖化ガスの排出抑制効果並びに夜間電力使用による電力料金の縮減予測はどうなっているか。
 第二に、東京都全体としても、経済性や環境保全など多様な効果が期待される電力貯蔵型電池を積極的に取り入れるべきであり、今後の具体的な導入計画を明示すべきですが、いかがでしょうか。
 また、臨海地域における自然エネルギーのリーディングプロジェクトである風力発電、あるいは、将来的な燃料電池活用に向けての水素供給体制整備計画の現状について明らかにしていただきたいと思います。
 なお、東京の島しょ部は、自然エネルギーの宝庫といっても過言ではありません。潮力、地熱、風力、太陽光など、島しょ部のエネルギー需要は自然エネルギーを基本として対応するとの方針を今こそ明確にするべきであると思います。所見を伺います。
 次に、消費者行政について質問します。
 まず第一に、先般、第十七次東京都消費生活対策審議会より消費生活条例改正に関する中間報告が公表され、この報告に対する都民の意見を公募したと聞いています。
 社会経済状況が大きく変化する中で、消費生活に対する都民の関心はどこにあり、また、寄せられた都民の意見を条例改正にどう結びつけていくのか、明らかにしていただきたいと思います。
 第二に、今回の中間報告に向けて、迷惑メールの規制が検討されたとのことであります。迷惑メールは大きな社会問題に発展し、出会い系サイトを初め数多くの問題が指摘されています。また、インターネット取引においても、その匿名性を利用して、成り済ましや雲隠れにより、商品が届かないなどの被害が多いと聞いています。このような従来にない形態の消費者被害に的確に対応する必要があります。
 インターネット取引や迷惑メールについて、どのような取り組みを行い、悪質事業行為を防止しようとしているのか、明らかにしていただきたいと思います。
 第三に、若者をターゲットにしたキャッチセールス、言葉巧みな勧誘で高齢者をだますなど、後を絶たない悪質事業行為に対して厳正な対応が必要と考えます。
 従来に増して悪質かつ巧妙化しているこれら商法に対して、現在は、慎重で厳格な諸手続を何段階も踏んで、公開による意見聴取をした後、初めて事業者に対して改善勧告ができるという体制になっています。この体制を簡素化して、迅速かつ的確に対応できるよう、体制の強化、充実を図るべきと考えます。所見を伺います。
 第四に、消費生活条例が目的とする健康で安全かつ豊かな生活を実現するためには、都の消費者施策を全面的に見直し、相談窓口体制や消費者センター業務のあり方、苦情処理体制の見直しまで含めた施策の再構築が必要であります。所見を求めます。
 長引く不況の中、悪質な貸金業者によって多くの人々が今、被害に遭っています。中には、自己破産をした人にまで執拗に督促の電話をかけたり、ダイレクトメールを送りつけている業者さえあります。現在、東京都知事登録の貸金業者は約六千五百。しかし、その半数以上は、詐欺行為などをして二、三カ月で姿をくらましたり、営業実績の伴わない業者であると聞いております。
 一方、都の相談窓口に寄せられる被害の相談件数は毎月一千件にも上り、窓口の電話は一日じゅう鳴りっぱなしとのことです。都も、年間一千件の立入検査を行っていますが、悪質な業者は所在地、名称を転々と変えるため、なかなか摘発できないのが現状です。
 そこでまず、この都の立入検査を強化するために、貸金業担当課の増員と専門家の配置を強く求めるものでありますが、都の見解を伺います。
 また、貸金業の登録制度は、書類に不備がなければ、申請受理後二カ月以内に登録せざるを得ない仕組みに問題があります。そもそも貸金業者は、手持ち資金がなければ成り立たない事業です。そこで、日弁連が主張しているように、登録時に一千万円の保証金を預け入れるよう制度を改善すべきであります。
 さらに、業者の登録は、営業所所在地の都道府県、または、営業所が都道府県を越えて複数存在する場合は、本店所在地の国の地方財務局で行われます。しかし、業者は全国的に営業を行えるため、監督行政庁の管轄区域以外では取り締まりの目が届きません。これが被害を全国に広げ、摘発を妨げている要因となっています。
 したがって、貸金業者の営業エリアを、指導監督に当たる都道府県あるいは国の財務局の管轄区域に限定する必要があると私は考えます。国に対して現行法の改正を強く働きかけ、また、都の検査体制を強化して、被害を減らすべきであります。都の見解はどうか。
 次に、観光産業の振興について伺います。
 いよいよワールドカップサッカーの開催が迫り、予選の組み合わせも決定しました。東京にも全世界から約五十万人の観光客が訪れると予想されており、首都東京はまさに日本の顔としての役割を果たさなければなりません。
 しかし、東京は、諸外国の首都に比べて観光基盤が未整備であり、受け入れ体制が不十分であり、こうしたケースに観光客が多く訪れた場合、東京のイメージダウンに直結するおそれがあります。
 そこで、来年のワールドカップに備え、インフラ整備や安全対策など、緊急課題について質問いたします。
 第一は、公共サインの改善です。公共交通機関や道路、施設の案内標識、案内書などについては複数の外国語による表記が必要であり、多数の外国人来訪者のためのインフォメーションサービスの整備を行わなければなりません。都の対応を求めます。
 第二は、羽田空港の緊急医療体制の整備です。羽田空港は年間五千万人の利用者がありながら、緊急医療体制は十分に整備されていません。具体的には、羽田空港内には消防署がなく、緊急時でも救急車が到着するまでに時間がかかります。
 そこで、空港内に救急救命の機能を備えた施設を整備し、救急車を配備すべきであります。将来的な医療機関の整備を含め、都の見解をお聞きします。
 またさらに、羽田空港の再拡張、国際化に関連して、現在、羽田空港には国内線に使用できない発着枠があり、これは再拡張に先立って国際線に開放すべきであります。所見を伺います。
 次に、全島避難が続く三宅島の復興対策について伺います。
 昨年八月に大規模噴火をした三宅島の火山活動は、今なお、おさまる気配を見せていません。全島避難解除のめどは一向に立たず、島民は二度目の正月を避難先で迎えなければならないという厳しい状況にあります。
 質問の第一は、島民の最大関心事である帰島のめどについてであります。現在でも雄山からは大量の火山ガスが放出されており、帰島を阻んでいます。したがって、帰島の条件は、火口から放出される火山ガス濃度及び噴出量の低下、そして泥流対策として十六カ所の砂防ダムの完成などが挙げられます。都としては、帰島のめどについてどのように判断しているのか、明らかにされたいのであります。
 第二は、復興計画の策定についてであります。復興に当たっては、降り積もった火山灰の除去が大きな問題です。特に、個人の責任とされる住宅内や庭に堆積した土砂の撤去をどうするのか、個人ではとても無理であり、行政の支援が不可欠です。
 こうした点も含め、帰島後の村民が速やかにもとの生活に戻ることができるよう、帰島に向けての村の復興計画を定めるべきであります。見解を求めるものであります。
 第三は、住宅対策についてであります。帰島後、自分の家に戻り、すぐに生活が開始できなくてはなりません。しかし、個人宅の被害状況は千差万別であり、中には居住することが不可能な家屋も少なくありません。
 そこで、例えば民宿の借り上げや新たな公営住宅の建設により、住宅を確保し、一時的入居を可能にするなどの住宅対策が必要です。所見を伺います。
 第四は、三宅村げんき農場の継続についてです。さきの第三回定例会において我が党は、八王子市にある三宅村げんき農場の継続について指摘し、都からは、帰島できるまでの間、継続できるよう努めるとの答弁がありました。また、過日、我が党がげんき農場を視察した際、農場で働く三宅島の方々から、年間を通じての雇用についての強い要望が出されたのであります。
 そこで、国の緊急地域雇用創出特別交付金を活用し、雇用期間を更新した上で、十四年度もげんき農場事業を継続すべきであります。所見を伺います。
 さらに、我が党は、こうした農場を区部にも設置すべきと提案いたしました。先日、三宅村が事業主体となり、区部において、緑化用苗木や花き、観葉植物の種苗生産を行う農園を開設することが発表されました。
 こうした三宅村の取り組みに対し、積極的に支援をしていくことが重要であります。所見を伺います。
 最後に、職員給与についてであります。
 東京都はこの二年間、一般職員も含め、職員給与の削減措置を講じてきました。ところが、都は、十一月二十日の都労連との交渉の結果、現在実施中の一般職員の給与削減措置については今年度で終了するとの合意に達したと聞いております。
 しかし、給与削減措置が講じられた二年前と比べ、果たして都財政は好転をしたのかどうか、答えは明らかに否であります。大幅な減収予想がなされ、予算も数千億円に及ぶ財源不足が指摘されている状況にあります。
 一般社会においても、中小企業の倒産は戦後最大、失業率も過去最悪、リストラの嵐はおさまる気配を見せず、給与の削減は当たり前という中で、納税者である都民は生活防衛に必死の努力をしているのが昨今であります。
 たとえ二年間の時限的措置だったとはいえ、都職員の給与削減措置が、都の財政危機の出口すら見えない段階でいとも簡単に解除されることに都民の理解と納得が得られるのかどうか、甚だ疑問であります。
 給与削減措置を今年度で終了させる方針とその背景について、知事の見解を伺います。
 以上をもちまして、私の代表質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 木内良明議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、宿泊税についてでありますが、宿泊税を円滑に実施していくためには、ホテル、旅館など関係業者の理解と協力を得ることが不可欠であります。
 これまでも関係業界に対して、税の趣旨等について説明を行うなど協力を要請し、その結果、大勢は既に了解していただいておりますが、おおむねの理解を得たものと考えております。
 引き続き、幅広く関係業界や納税者となる宿泊者の理解を得られるよう、きめ細かく対応していきたいと思っております。
 旅館業界の方々が反対していらっしゃるそのゆえんは、先ほど申しましたが、料飲食税、いわゆる特別消費税ですね、あれをとにかく撤廃させたのにということでありますが、税の目的も性格も違いますし、いずれにしろ、ホテル、旅館問わず、そういう方々の業種も含めて、東京における観光というものの促進のために有効にお金を使おうということでございます。
 この間も、ある人から非常にいいサジェスチョンをもらいましたが、外国人を呼んで、外国語による表示が少ないじゃないかという論もありますが、実は初めて知ったんですけれども、いろいろ世界全体に共通した、言葉じゃなしに、絵の表示が二千種類ぐらいあるそうであります。私たちがたまたま知っているのは、例のアンダーコンストラクション、工事中の、ヘルメットをした男の人がシャベルで土を掘っている絵ぐらいでありまして、ほかはほとんど日本で使われていないようでありますが、これならば、それほどお金もかからずに有効に使える。日本人にとっても、日本人が外国に行ったときの教育にもなりますし、そういった小さくあっても効果のあるようなものに積極的にこういったお金を使いたいなと思っております。
 それから、それもよいが、観光政策の具体化はどうするんだということでありました。観光は非常にすそ野が広く、運輸や宿泊、飲食業などのほかに多くの産業にも経済効果が波及しまして、雇用などの増加をもたらす産業であります。このため、外国人旅行者を五年で倍増しようという目的を掲げまして、観光産業振興プランを関係者や都民の声を取り入れながら策定しました。実現していきたいと思っております。
 今後、宿泊税を財源としても活用し、他の予算も使いまして、海外でのシティーセールスキャンペーンの積極的な展開や各種観光ルートの開発や観光情報センターの整備などの施策を行うことによって、より多くの旅行者を東京に誘致していきたいと思っております。
 外国のお客さんだけではなくて、例えば、今非常に疲弊しております商店街などのお客さんを誘致するために、先般、上野に視察に参りまして、あそこで国際的な大道芸人のページェントをやっておりました。アメリカでは、ある資格を持った、認定をされた人たちが地下鉄の構内で演奏、芸をする、披瀝するメトロアーチストという制度がありますが、私は、日本の地下鉄はいろいろ問題がありますし、むしろ歩行者天国などで、今、道交法がうるさくて、なかなか警察は許してくれませんが、東京都がある資格のある人たちを認定して、そういう人たちに限って、あちこちにある歩行者天国で芸を披瀝し、お客さんを呼び込むというふうな、そういう一つの観光もこれから考えていくべきではないかと思っております。
 次いで、七都県市首脳会議における今後の取り組みについてでありますが、再三申してまいりましたとおり、首都圏の再生は日本の再生そのものでありまして、そのためには、現在、首都圏が抱えている広域的な行政課題を効果的、効率的に解決することが絶対に必要であります。
 今回の提案につきまして、三つほどいたしましたが、各県市の事情からいろいろな意見や反応があるのは承知しておりますが、いずれにしろ、七都県市が連携した取り組みの重要性については認識が一致をいたしました。
 同時に、七都県市の首長が一堂に会して、忌憚のない意見交換を行うことも大変意義が深いことであったと思っております。
 今後、七都県市で十分な議論を重ね、すべての自治体が一つのプロジェクトに参加しなくても、最初は七都県市のうちの五つでやるとか、あるいはそういう形で、やがて全員が参加するような、そういう進め方もあるのではないかと思っております。
 それから、大事なご提言でしたが、やはり、今、持ち回りで主催者を決めてやっておりますけれども、これは非常に能率が悪くて、連絡がなかなかとりにくい。実は、先般申しましたが、今回のアメリカの多発テロを眺めて、アメリカは実に機能的に、いわゆるFEMAですね、フェデラル・エマージェンシー・マネジメント・エージェンシーを活用しまして、あの時点で二千数百機ですか、飛んでいる飛行機を瞬間的に強制的に着陸をさせまして、残っている十一機はマークされて、そのうちの四機がテロだったわけですけれども、そういう機能というもの、やはり国が持つべきですが、なかなか国はテンポが遅くて、せめてこの七都県市に、何といっても首都圏を守るためにそういう組織をつくろうということで、これは大体意見が一致しましたから、そういうものに重ねて、おっしゃっているように、一種の広域行政を行っていくそういうプロジェクトを七都県市の連携で進めていく事務局を常設しなくてはならない。それに首都圏版のFEMAというものを重ねれば、より有効にこの事務局が充実して効果的に運営されていくんじゃないかと思っております。
 次いで、首都圏自治体が共同して取り組む課題についてでありますが、これは、先般ディーゼルに関する課税をどういうふうに分担するか、それとか、産業廃棄物を排出する自治体とそれを受け持って処理する自治体、そういう相互の関係をどう評価して、そこで上がってくる税金をどういうふうに分配するかという提案をいたしました。
 県によって関心の濃淡がありますが、いずれにしろ、こういった首都圏の致命的な問題を、東京は東京で単独でとても解決できませんし、他県に負うている分というものを、すべて上がってくる税収の中から、その県に謝礼として払うような形になるんでしょうが、そういった新しい一種の広域行政というものを実現していくことで、もちろん七都県市から外れるところでも、産廃については負担を負うている自治体がありますから、それはそれで別のケースとして考えるようなシステムを、今、東京で発案しております。
 いずれにしろ、こういったものを少しずつ実現していくことで、道州制などという制度が口にされておりますが、それに対する端緒も一つ確かについていくのではないか、そして同時に、首都圏が着実に再生していくのではないかと思っております。
 次いで、羽田空港の国際化についてでありますが、これはまさに焦眉の問題でありまして、繰り返して申してきましたが、三年弱たちますと、日本の国際線というのはパンクしまして、緊急の用事ができても、非常にお客の込んでいる便には乗れません。既に切符を買っている人に条件をつけて、高いお金をさらに払って、譲ってもらうというオークションをせざるを得なくなります。
 いずれにしろ、現在、東京には、枠がありながら使用されていない時間帯がございまして、この夜間、早朝の時間帯というものを活用しますと、国際線は飛んでくるわけでありまして、これは、一日九十便を国際線としてそこで迎え入れ、送り出しますと、試算しましたところ、雇用の創出は八万七千人、それから経済効果は約一兆五千億ということが見込まれます。
 私も、あそこは選挙区でございましたけれども、羽田が突然成田に移って、国際線が飛んでこなくなりましてから、不思議なことに、大田区のたばこの売り上げが半分になったという、非常に国際線というのは、目に見えるような見えないような大きな効果がありまして、そういう点でも、私たち東京圈全体の活力の維持のためにも、羽田の一刻も早い国際化が必要だと思いますし、そのためのターミナルは、こんなものはたかだか知れている金でありますし、用地もありますから、さっさと私は国がつくるべきだと思っております。また、そういう働きかけをしていきたいと思っております。
 ターミナルができませんと、そういうお客を迎えることができませんが、いずれにしろ再拡張を待つことなく、一刻も早く国際化を進めたいと思っております。
 最後に、給与削減措置をことしで終了させる方針とその背景についてでありますが、結果として、これから組合と話してまいりますけれども、結果として、二年続いてきた四%カットをもとに戻したまま、それで済むなどということは、世間との対比であり得るわけはございません。それは絶対あり得ることじゃございません。それは我々も承知しているし、議会も承知しておりますし、組合も承知している。同じ日本人として、国民として、都民としてわかっていることでありますから、先ほど申しましたように、複合的な対処も含めて、結果として都民の負担というものを軽減する、都民に納得していただく、そういう決着を見ますように、できるだけ短時間に、できれば来年度にも間に合うようにこれから仕切り直しをして話し合いを進めていきたいと思っております。
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) 教育に関します七点の質問にお答え申し上げます。
 まず、学期ごとに通信制高校へ転入できる仕組みづくりについてですが、通信制高校は、定時制高校と同様に勤労青少年や成人に学習の機会を提供するものでございまして、年度途中での通信制高校への転入学につきましては、現状では、在籍生徒数との関係から難しい状況にございます。
 一方で、都教育委員会としましては、ご提案のとおり、学ぶ意欲を持つ生徒に学習の機会を提供することは重要なことと考えておりまして、今後、通信制高校におきましても、学期ごとの転入学者枠の設定によりまして、生徒の進路変更に柔軟に対応することができる仕組みを検討してまいります。
 次に、ご提案の中途退学者をできるだけ出さないスーパーチャレンジスクールについてですが、中途退学者の減少は、生徒一人一人の望ましい人間形成という視点から、都教育委員会としましても、重要な課題と受けとめております。
 中途退学する生徒は、学習面あるいは生活面でさまざまな指導上の課題を抱えている場合が多いという実態がございます。そのため、このような生徒であっても、基礎的な学力が身につき、学ぶことの楽しさを感じることができる特色ある教育課程の編成や、規範意識や基本的生活習慣を身につけさせるための生徒指導を工夫した都立高校のあり方につきまして、現在、検討委員会を設置したところでございまして、来年三月末を目途に最終報告書を取りまとめるべく検討を行っております。
 次に、病弱養護学校の統合の理由でございますが、病弱養護学校は、医療技術の進歩や生活習慣の変化等によりまして、転地療養が必要な結核などから、アレルギー性疾患、肥満等に病類が変化する中で、在籍する児童生徒が減少し、集団生活を通して身につく教育効果が十分に期待できない状況にございます。
 そのため、統合により適正な学校規模を確保し、習熟度別の教科指導や、個々の生徒の病状等に応じた生活指導の一層の充実を図ることとしまして、統合後の学校は、保護者や前籍校との連絡や医療機関との連携がとりやすい、校舎等の教育環境が整備されている久留米養護学校としたものでございます。
 次に、片浜養護学校の閉校時期についてですが、片浜養護学校につきましては、今後、新たな入学、転学の受け入れを行いませんことから、生徒数が減少し、学校の活力を維持することが難しくなっております。
 一方で、病弱の生徒の転学につきましては、環境の変化による病状回復のおくれや、転学が生徒に与える心理的負担を考慮する必要がございます。保護者からも、現在の学校で卒業させたいとの強い要望が出されているところでございます。
 これらのことを総合的に勘案しまして、片浜養護学校の閉校時期につきましては、お話の点も踏まえ、在校生徒が卒業する平成十五年度末も視野に置いて検討してまいります。
 次に、片浜養護学校の教育の継承についてですが、片浜養護学校の教育の特色は、高校進学に向けた適切な進路指導や個々の生徒の病状に応じたきめ細かな生活指導、活発な部活動などでございます。
 久留米養護学校におきましても、これらの取り組みを積極的に進めておりますが、統合による児童生徒数の増の効果を生かしまして、習熟度別の少人数指導による教科学習の充実、個々の生徒に応じた多様な生活指導の展開、部活動等のより一層の充実を図っていくほか、久留米養護学校の特色でございますITを活用した教育活動や地域医療との連携等により、病弱教育の向上を図っていくなど、今後、統合に向けて両校の間で十分調整の上、お互いの学校の特色を継承するよう努めてまいります。
 次に、不登校問題についてですが、お話の、片浜養護学校の子どもたちが互いに協力し合いながら、自然体験や社会体験などを通して自立心や望ましい人間関係をはぐくむなどの実践は、不登校対策としても意義のあることと考えております。
 都教育委員会は、こうした実践の成果については、久留米養護学校の教育活動に生かしてまいりますとともに、不登校児童生徒の指導の一環として、区市町村教育委員会と連携する中で、子どもたちが自然体験を行うアドベンチャースクールの活用や、新しく開設されるユース・プラザでの宿泊体験活動の実施などについて検討してまいります。
 次に、病弱養護学校高等部についてですが、病弱養護学校中等部の在籍生徒の中には、限られた人数ではございますが、高校に進学する学力を持ちながら、引き続き医療的な面で生活規制が必要となるため、通常の高校生活を続けることが困難な生徒がおります。
 こうした生徒に適切な学習の機会を提供する観点から、高等部については、対象となる生徒の見込み数や進路状況等を十分調査し、お話の近隣高校との連携も含めて検討してまいります。
 最後に、都立肢体不自由養護学校における医療的ケアの実施についてですが、障害の程度が重く、日常的に医療的ケアの必要な児童生徒が都立肢体不自由養護学校に通学を希望する場合、医師の診断等とあわせて、保護者の付き添いによる医療的ケアの実施を条件に受け入れているところでございます。
 こうした児童生徒は、みずからの体調を相手に十分伝えることが困難な場合が多く、学校生活だけではなく、家庭生活も通して健康状態を把握し、わずかな変化にも即応して医療的な対応をしなければならず、保護者の付き添いは重要なものでございます。
 都立肢体不自由養護学校において、病院と連携し、日常的な医療的なケアを行うことにつきましては、障害者医療に対応できる適切な医療機関の確保、家庭生活を含めた日々の健康状態の的確な把握、主治医との綿密な連絡体制の確立などの課題がございますことから、今後、養護学校の役割も含めて研究してまいります。
   〔主税局長安間謙臣君登壇〕

○主税局長(安間謙臣君) 税収についての二点のご質問にお答えいたします。
 まず、今年度の都税収入の見通しについてであります。
 我が国経済が一層不透明感を増す中、銀行業の多くが三月期決算に続き九月中間決算で赤字となったのを初め、情報関連産業を中心に幅広い業種で企業収益の悪化が見られるなど、都税の大宗を占める法人二税への影響が懸念されるところであります。このような状況を勘案いたしますと、当初予算の確保は予断を許さないものと考えております。
 次に、来年度の税収見込みについてでありますが、税収に影響を及ぼす連結納税制度を含む国の税制改正や、政府の経済見通し等が公表されていない段階であり、確たることを申し上げる状況にはありませんが、最近の日本経済の動向や企業収益の悪化を勘案いたしますと、来年度の税収は、今年度予算を三千億円から四千億円程度下回る厳しいものになると考えております。
   〔産業労働局長浪越勝海君登壇〕

○産業労働局長(浪越勝海君) 中小企業雇用対策等十一点のご質問にお答えいたします。
 まず、緊急金融支援策の実施時期についてでございますが、現在の厳しい状況を考えると、この年末に中小企業に資金が供給されるよう、一刻も早い対応が重要であると考えます。
 具体的には、まず、景気対策緊急融資の受け付け、経営基盤特別強化資金融資の融資目標額の増額及び環境の変化による資金の金利引き下げについては、あす十二月十二日から実施する予定であります。
 次に、売り掛け債権担保融資については、改正中小企業信用保険法の施行日であります今月の十七日から受け付けが開始できるよう、既に信用保証協会と準備を進めているところでございます。また、複数借入金の一本化については、既に信用保証協会及び金融機関に対し説明するとともに、趣旨の周知徹底、協力を要請したところでございます。
 次に、売り掛け債権担保融資についてでありますが、この制度は、売り掛け債権を担保とした手形借り入れを可能とする新しい保証制度であります。
 その利用に当たっては、売り掛け債権の評価、返済口座の開設、売り掛け先との取引内容、実績を証する書類の提出など、これまでにない特別な手続が必要となります。このため、ご指摘のとおり、導入時の十分な案内が特に重要と考えております。
 都としては、信用保証協会と協力して、十七日の受け付け開始に先立って、昨日から案内パンフレットを作成、配布しており、協会の各窓口はもとより、都の金融相談窓口においても事前の相談に応じているところでございます。
 次に、緊急地域雇用創出特別交付金事業の基本的方針についてでありますが、都としては、現行の交付金事業の経験を生かしつつ、さらに雇用創出の拡大を図るという新交付金の目的に沿って、区市町村とも連携協力して適切に事業を実施してまいります。
 次に、新交付金事業の実施に係る条件緩和についてでありますが、現在、都及び区市町村で実施する事業を合わせて、できるだけ多くの失業者の雇用につながるよう計画を取りまとめております。しかしながら、ご指摘のように、国の基準は、地方公共団体が地域のニーズを踏まえて独自に創意工夫を凝らした事業を進めていく上で、相当厳しい制約になることが想定されます。
 今後、都としては、これらの条件の緩和と弾力的運用について、国に対し強く求めてまいります。
 次に、中小企業の敗者復活が可能な社会システムの検討についてでありますが、優秀な中小企業の経営者が事業に失敗しても、再び能力を発揮し、創業できることは重要なことであると認識しております。本来、全体的な社会システムの構築に当たっては、国の果たす役割が大きいものと考えています。
 しかしながら、都においても、ご指摘の観点も踏まえ、ファンドの創設や債券市場構想の推進など、直接金融の充実や、創業をしやすくするための空き庁舎を利用したオフィス提供等の施策を実施してきているところでございます。
 今後、産業活性化のためにも、局内で研究会を設置し、種々検討を進めていきたいと考えております。
 次に、貸金業に係るご質問の、まず貸金業担当の体制整備についてでありますが、貸金業利用者の被害防止を図るために、悪質な業者の排除は重要な課題であると認識しております。
 苦情相談件数は、十二年度実績で前年度比約六六%増の約七千件であり、相談内容も、不正、悪質なものの解決依頼が多いため、十二年度には専門の指導員を配置するなどして対応するとともに、約一千件の立入検査を実施したところです。
 今年度は、九月末までの半年間で、苦情相談件数は約六千件に達し、このままの傾向が続けば、年間一万件を超えるものと予想されます。今後、より一層の体制整備を図り、立入検査の強化などに対応してまいります。
 次に、貸金業の登録制度についてでありますが、登録の申請はだれでも可能であり、法で定められた欠格条項に該当しない限り貸金業者として登録されます。このようなことから、本年六月、都として初めて、登録制度から許可制度への移行及び監督行政庁に業務改善命令権を付与するよう、国に対し法改正を提案要求したところでございます。
 なお、ご提案の登録時の保証金預託制度については、悪質業者排除のための有効な手段の一つであると考えられるので、都としても種々検討してまいります。
 次に、営業エリアの規制に係る法改正についてでありますが、都内の貸金業者に係る苦情相談が全国から多数寄せられている現状を考慮すると、ご指摘のとおり、営業エリアの規制は被害を減らすには有効であると考えられます。
 一方、現状においては、法制定時には考えられなかったIT化の推進に伴う通信の多様化などにより、利用者が営業所に出向いて契約するという形態がほとんどなくなりつつあり、広域化しております。
 いずれにしても、業者を監督する行政庁の管轄区域と登録業者の営業エリアの不一致等の問題が生じているので、今後、その解決策について検討し、改善策を国へ要望してまいります。
 次に、ワールドカップ開催時のインフォメーションサービスの整備についてでありますが、東京を訪れた外国人旅行者が快適に過ごせるよう、わかりやすい案内を行うことは重要であります。そのため、国際的にも通用している絵文字、いわゆるピクトグラフ等による標識の使用を、交通事業者や施設事業者などに働きかけてまいります。
 また、空港やホテルなどで配布するウエルカムカードは、観光情報、緊急連絡先や施設割引の案内などを複数の外国語により作成することとしております。
 さらに、二十四時間型通訳サービスセンターを開設するとともに、空港や鉄道の主要な乗りかえ駅等には、臨時観光情報センターを開設し、案内サービスの充実に努めてまいります。
 次に、三宅島げんき農場についてでありますが、げんき農場では、島民の皆さんが丹精込めて栽培したアカメイモ、サツマイモなどが収穫され、帰島後の営農再開に向け、種苗を確保しております。
 しかしながら、全島民が島を離れて一年以上が経過した今も、帰島のめどは立っていない状況にあります。このため、げんき農場については、新たな緊急地域雇用創出特別交付金の活用などにより、平成十四年度も、帰島できるまでの間、継続できるよう努めていきたいと考えております。
 また、ご指摘の雇用期間を更新することについては、三宅村と十分相談しながら適切に対応してまいります。
 最後に、三宅村が開設する農園についてでありますが、今月六日に三宅村は、江東区夢の島の旧江東清掃工場跡地に三宅村ゆめ農園を開設することを発表しました。
 村の計画によりますと、平成十四年一月から平成十五年三月までの間、三宅島島民の皆さん約三十名を雇用し、緑化用苗木や観葉植物などの種苗生産を行い、帰島後の島の復興の一助にすることとしております。
 このため、都としても、農業試験場などの職員で支援チームを編成し、栽培計画へのアドバイスや島民の皆さんに対する栽培技術の指導など、積極的に支援してまいります。
   〔福祉局長前川燿男君登壇〕

○福祉局長(前川燿男君) 子育て支援に関して三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、子ども家庭支援センターの設置促進についてでありますが、少子化や核家族化、都市化が進行し、家庭や地域の子育て機能が低下している中で、児童相談所などの専門機関と連携しなから、身近な地域で子育てを支える総合的な相談や支援の仕組みを充実することは重要な課題でございます。
 そのため、都では、こうした地域における相談支援の拠点となる子ども家庭支援センターについて、平成十六年度までにすべての区市町村による設置を実現する計画であり、現在、ほぼ半数で開設をされております。
 今後、計画の確実な達成を目指し、積極的に取り組んでまいります。
 次に、児童虐待への取り組みについてでございますが、児童の虐待については、福祉、保健医療、教育、警察等の機関が、地域社会の中で一体となって迅速かつ総合的に取り組むことが必要でございます。
 そのためには、ご指摘にありましたとおり、一方で、児童相談所の専門的な相談指導機能の強化、他方で、予防、早期発見、早期対応などに大きな役割を果たす区市町村の相談支援機能の充実が重要であります。
 都は、こうした観点から、これまでもさまざまな施策の展開を図ってまいりましたが、今後さらに、児童相談所の改革充実と子ども家庭支援センターの全区市町村における設置の実現など、積極的な取り組みを進める方針でございます。
 最後に、里親制度の充実についてでありますが、さまざまな事情により親と一緒に暮らせない子どもたちは、本来、家庭的な環境の中で愛情に包まれて健やかに養育されることが望ましいのは、当然の事理でございます。特に近年、被虐待児や情緒障害児などのきめ細かなケアを要する子どもがふえており、家庭的な養護の必要性はますます高くなってきております。
 しかしながら、これまでは、戦後の混乱期から一貫して施設による養護が中心となっており、家庭的な養護についての周知や支援が十分ではなかったのが実情であります。
 今後は、養子縁組を目的としない都独自の養育家庭や家庭的な環境の中で養育するグループホームの拡大に向け、養育家庭になっていただく方の年齢基準の緩和や、お話のような広報活動の強化を図ることなどにより、家庭的養護の比重を画期的に高めるよう努めてまいります。
   〔生活文化局長高橋信行君登壇〕

○生活文化局長(高橋信行君) 私立幼稚園行政に関連して一点、それから消費者行政に関連しまして四点についてお答えいたします。
 最初に、私立幼稚園等園児保護者負担軽減事業の補助についてのお尋ねでありますが、保護者の負担軽減を目的とする事業には、幼稚園の経営を支えることを通じて間接的にこの目的を達成します私立幼稚園経常費補助と、それから区市町村を通じての直接的な施策であります保護者負担軽減事業とがございます。このうち、保護者負担軽減事業費補助につきましては、幼稚園の保育料に対する東京の公費負担率が、政令指定都市の中で最も高く、保護者の実負担額は全国でも低い水準に位置しております。
 また、現行制度では所得に応じた負担となっておらず、年収二百九十万を超える世帯に対して一律の補助単価となっております。
 一方では、厳しい都財政の中で、私立幼稚園における預かり保育の充実など、都民の新たな保育ニーズにこたえた施策の展開が求められております。こうした状況から、保護者負担軽減事業につきましては、現行制度の所得制限の上限は維持し、生活保護世帯など一定の所得層にも配慮しつつ、所得の階層に応じた負担の適正化を図る観点から見直しを行おうとするものであります。
 次に、消費生活条例に関する都民意見についてのお尋ねでございますが、携帯電話への迷惑メールを不適正な取引行為として規制することを求める意見が最も多く、そのほか、消費者被害救済のための相談機能や被害者救済委員会の役割の強化、悪質事業者への厳正な対応の迅速化を求める意見などがありました。
 都民は、全体として中間報告の内容について賛同しており、新たな消費者行政施策の積極的な展開に大きな期待が寄せらていると考えております。
 これらの都民意見につきましては、最終答申に反映されるよう、現在、消費生活対策審議会においてご審議をいただいており、その審議結果を踏まえ、条例を改正してまいりたいと思います。
 次に、インターネット取引や迷惑メールへの対応についてのお尋ねでございますが、こうした新たな消費者被害への対応については、その実態把握や規制のための法整備など、いまだ不十分な状況にあります。都は、このような新しい取引形態に先駆的に対応することが必要と考え、不適正な取引行為に該当する場合には、消費生活条例での規制ができるよう、現在、消費生活対策審議会において検討していただいております。
 また、条例改正のみならず、インターネット取引における違法行為の特定や、今後必要な業界への指導や行政措置についても検討を重ねており、インターネット取引の進展によって生ずる消費者トラブルに対し、今後とも積極的かつ迅速に対応していくとともに、国にも関連法の整備を求めてまいりたいと思います。
 三番目に、悪質商法への対応についてのお尋ねでございますが、悪質な事業行為による被害の未然防止と拡大防止のためには、より一層、迅速かつ的確な行政措置が必要であります。
 悪質な事業行為に対しては、今年度から、生活文化局内に特別機動調査班を設置し、事業者名の公表など厳正な行政措置をとるとともに、警視庁との連携強化を図ったところであります。
 また、現在、期間の短縮など機動的な行政措置を講じるため、手続の簡素化、迅速化について消費生活対策審議会において検討をいただいており、今後とも執行体制の一層の充実強化を図ってまいります。
 最後になりますが、都の消費生活施策の見直し、再構築についてのお尋ねでございますが、現在、我が国では規制緩和等の経済構造改革が推進されており、消費者を取り巻く環境は大きく変化しております。
 こうした状況を踏まえ、都においても全面的な消費者施策の見直しを行っておりますが、見直しの視点として、まず、市場における取引ルールが遵守されるための厳格な行政措置の発動や、事業者の情報開示の促進、次に、安全な暮らしを確保するための商品やサービスに対する危害防止対策の確立、そして、消費者被害救済のためのセーフティーネットの構築を三本の柱としております。
 こうしたことから、都の消費生活総合センターの業務につきましても、複雑かつ新たな消費者トラブルに対応するため、専門的な相談処理の強化、被害救済委員会の機動的かつ迅速な運営、区市町村への支援体制の強化を図るなど、都民サービスの一層の向上に努めてまいります。
   〔衛生局長今村皓一君登壇〕

○衛生局長(今村皓一君) 保健医療について、五点のご質問にお答えいたします。
 まず、肝炎に係る施策の再構築についてでありますが、特殊疾病対策協議会及び新たな感染症対策委員会の報告では、B型、C型ウイルス肝炎はもはや難病ではなく、今後は正しい知識の普及啓発、感染防止、ウイルス感染者の発見、医療体制の確保、調査研究など、新たな総合的対策を行うことが効果的であると提言を受けたところであります。
 この提言に基づき、ウイルス肝炎対策につきましては、ご指摘のように、最新の医学的知見を取り入れた早期発見、早期治療のための体制を構築すべきと考えております。
 次に、難病医療費助成の対象についてでございますが、今回のウイルス肝炎対策は、この両報告での提言を受け、予防から治療までの総合的対策を推進していこうとするものであります。
 現在助成している対象者につきましては、ご指摘の点も踏まえ、適切な対応をしてまいる必要があると考えております。
 次に、在宅重症難病患者に対する支援策についてでございますが、さきの報告では、今後の都の役割として、在宅重症難病患者対策を強化し、また、介護保険や障害者施策など、他の制度との効果的、効率的な組み合わせを図り、在宅難病患者に対するサービス体制の基盤を整備する必要があるとの提言をいただいたところでもあります。
 この提言の趣旨を十分考慮して、本年度開始いたしました神経難病医療ネットワークの拡充や、人工呼吸器使用難病患者訪問看護事業の推進など、今後とも施策の充実を図ってまいります。
 次に、難病医療費助成の対象疾病の拡大についてでございますが、対象者が少なく、原因不明で治療方法が未確立で、かつ療養困難な疾患を難病医療費助成の対象とする基本的考え方に基づきまして、慢性肝炎等の施策の再構築にあわせ、報告書で提言されております原発性硬化性胆管炎など、対象疾病の拡大に努力してまいります。
 終わりに、羽田空港の緊急医療体制の整備についてでございますが、ワールドカップ開催期間中は、現在空港内に設置されております二つの診療所と、空港周辺の医療機関や救命救急センター等との連携により、救急医療対応に万全を期してまいります。
 また、将来的な空港内の医療機関の整備につきましては、空港拡張計画の動向等も踏まえながら、空港管理者である国に対して提案するとともに、都として必要な協力をしてまいりたいと考えております。
   〔住宅局長橋本勲君登壇〕

○住宅局長(橋本勲君) 住宅政策に関する三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、都営住宅の管理戸数についてでございますが、今回のマスタープランにおいても、住宅困窮者の住まいの確保は重要な課題と位置づけ、多様な手法により、真に困窮する都民への的確な対応を図ることとしております。
 まず、都営住宅につきましては、将来の人口、世帯の動向などを踏まえますと、今後建てかえやスーパーリフォームなど、現在管理している住宅の活用に重点を移していく必要があると考えております。
 その一方で、福祉やまちづくりとの連携を一層進めるため、区市町村による公営住宅供給を都営住宅の移管も含め推進するとともに、民間住宅の活用を図るなど、住宅の供給方式、供給主体の多様化を図ってまいります。
 こうした施策の推進によって、結果として都営住宅の管理戸数が縮小していくこととなりますが、このことは都全体での住宅困窮者対策の縮小につながるものではなく、むしろ幅広いニーズにこたえることができるものと考えております。
 次に、都営住宅の移管についてでございますが、ご指摘のとおり、今後の住宅政策を展開する上で、住民に身近な区市町村の役割が一層重要となっております。こうしたことから、都は区市町村の住宅施策を支援するため、公営住宅建設への補助を行うとともに、都営住宅の移管を推進しているところでございます。
 移管に当たっては、土地、建物等を原則として無償譲渡するとともに、移管住宅に係る債務を引き継がないこととし、財政的な配慮にも努めております。
 また、各自治体の実情を踏まえた住宅整備が推進されるよう、移管と建てかえを同時に行う建てかえ時都営住宅移管制度の活用を図るなど、円滑な移管に努めてまいります。
 三点目は、三宅村民の帰島に際しての住宅対策についてでございますが、村民の方々が安心して帰島できるよう、三宅村と連携しつつ、住宅の速やかな復旧に向けて適切な支援を行ってまいります。自力再建が困難で、住宅に困窮する方々に対しては、村が公営住宅を円滑に供給できるよう、支援体制を整えております。
 また、住宅の復旧のために帰島する村民の一時的な住宅の確保につきましては、村が民宿等の借り上げを行う場合の財政支援につきまして、引き続き国に要望してまいります。
   〔環境局長赤星經昭君登壇〕

○環境局長(赤星經昭君) 地球温暖化対策についての四点の質問にお答え申し上げます。
 まず、東京におきます温室効果ガスの削減についてでございますが、排出量の増加が著しいオフィスビル等の業務部門については、建築物の省エネルギー設計や事業活動に伴います温室効果ガスの排出削減を事業者に求める制度を来年度から本格実施いたします。
 また、自動車に起因いたします温室効果ガスの削減については、交通需要マネジメントによる交通量の抑制や、自動車環境管理計画書の活用による事業者指導などの取り組みを進めてまいります。
 これらの施策を強力に展開する中で、削減目標の明確化を図り、その達成を目指してまいります。
 次に、電力貯蔵型電池の活用についてでございますが、ナトリウムと硫黄を用いた電池、いわゆるNaS電池のような電力貯蔵型電池は、夜間電力の昼間での利用を可能にするものであり、エネルギー利用の効率化による環境負荷の低減が期待できます。
 東京都におきましては、電力貯蔵設備を、下水道施設全体への拡大を予定しているほか、来年四月、大田区に開校いたします都立つばさ総合高校にも設置することとしております。
 次に、新エネルギーの活用についてでございますが、風力発電に関しましては、現在民間活力を活用いたしました施設整備の実現に向け、事業採算性の検討や関係機関との調整を進めております。
 また、次世代の低公害車でございます燃料電池自動車の普及に向け、東京における走行実験の拠点として、水素供給ステーションの設備を実現するよう検討を進めております。
 最後に、島しょ部での自然エネルギーの活用についてでございますが、八丈島におきましては、風力発電施設及び地熱発電施設が設置され、地域の電力供給に大きな役割を果たしております。
 良好な風況や火山エネルギーなど、島しょの自然条件を生かした自然エネルギー利用の可能性について、今後、コスト面も含め検討を行ってまいります。
   〔下水道局長鈴木宏君〕

○下水道局長(鈴木宏君) 葛西処理場の電力貯蔵型電池についてのご質問にお答えいたします。
 下水道事業は大量の電力を使用しておりまして、その縮減にこれまでも取り組んでまいりましたが、このたび、効率の高いナトリウム硫黄電池、NaS電池を全国で初めて実用導入いたしました。
 この電池の規模でございますが、一千キロワットの出力で約七時間分の電力を貯蔵する容量でございまして、これは一般家庭約七百世帯が一日に使う電力に相当するものでございます。
 次に、温暖化ガスの排出抑制効果でございますが、化石燃料の使用割合が少ない夜間電力を充電いたしまして、昼間に使用することで二酸化炭素を年間約八十六トン削減でき、これは約二十四ヘクタールの森林が持っている効果に匹敵するものでございます。
 また、電力料金の縮減予測でございますが、低廉な夜間電力を使用することで、建設費などを差し引いても、年間二千五百万円程度の縮減効果がございます。
   〔消防総監杉村哲也君登壇〕

○消防総監(杉村哲也君) 羽田空港内への救急車の配備についてですが、沖合展開事業により空港施設が拡充され、空港利用者数も年々増加しております。また、新滑走路の整備も計画されており、ターミナルビルを初めとした空港施設も建設中であることから、救急件数の一層の増大が見込まれます。
 現在、羽田空港の救急要請は、ターミナルビルからが約五〇%を占めており、増加する救急要請に迅速に対応するためには、ビル直近に救急車を配備することが望ましいことから、救急隊常駐施設の整備について、国及び関係機関と協議を進めております。早期具現化に向けて積極的に努力してまいります。
   〔総務局長大関東支夫君登壇〕

○総務局長(大関東支夫君) 三宅島にかかわる二点のご質問にお答えいたします。
 まず、三宅村民の帰島のめどについてでございます。
 ご案内のとおり、帰島に当たりましては、火山ガスと泥流対策が大きな課題となっております。泥流対策につきましては、年度末までに十六の沢で砂防ダム等の整備を予定しており、これら流域では泥流被害が著しく低減されてきております。しかし、火山ガスは相変わらず、噴出量が日量一万から二万トン程度の高い値を示しておりまして、また、二酸化硫黄の濃度も環境基準を大幅に超え、危険な状況に置かれております。
 都といたしましては、今後さらに泥流対策を着実に進めるとともに、火山噴火予知連絡会の検討結果をもとに、帰島のめどを判断してまいります。
 次に、三宅村の復興計画の策定についてでございます。
 三宅島では、いまだ帰島のめどが立っておりませんが、帰島後の復興を目指して、現在三宅村が中心となり、復興計画の策定に向けて取り組んでおります。お話しのように、復興に当たっては、まず、村民が帰島後、速やかにもとの生活に戻れるよう、個人の宅地や家屋に流入した降灰等の土砂を除去することが重要であると認識しております。
 今後、都としましては、村が策定する復興計画について必要な支援を行うとともに、国に対して財政的な支援を強く要望してまいります。

○副議長(橋本辰二郎君) この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後六時十分休憩

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