平成十三年東京都議会会議録第十六号

   午後一時一分開議

○議長(三田敏哉君) これより本日の会議を開きます。

○議長(三田敏哉君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(三田敏哉君) 次に、知事より、第百八十九号議案の撤回の申し出がありましたので、議事部長をして報告いたさせます。
   〔川島議事部長朗読〕
一三財主議第五一七号
平成十三年十二月六日
         東京都知事 石原慎太郎
東京都議会議長 三田 敏哉殿
   議案の撤回について
 平成十三年第四回東京都議会に提出した左記議案を撤回いたしますので、よろしくお取り計らい願います。
       記
第百八十九号議案 平成十三年度新海面処分場Gブロック西側護岸建設工事(その一)請負契約
 (理由) 仮契約を締結した大成・青木・前田建設共同企業体から、契約を辞退したい旨の申し出があったので、仮契約を解除したため

○議長(三田敏哉君) 本件は、議長において、十二月六日付をもって撤回を許可いたしました。

○議長(三田敏哉君) これより質問に入ります。
 百十二番比留間敏夫君。
   〔百十二番比留間敏夫君登壇〕

○百十二番(比留間敏夫君) このたび、皇太子殿下、同妃殿下には、国民が待ちに待った愛子内親王がご誕生され、心よりお喜びを申し上げます。新しい時代の幕あけにふさわしい慶事であり、国民一同、明るい希望がわいてくる思いがいたします。ご皇室のますますのご繁栄をご祈念いたします。
 さて、平成十三年第四回東京都議会定例会に当たり、私は、東京都議会自由民主党を代表いたしまして、当面する都政の重要課題について質問をいたします。
 現下の厳しい経済状況は、とりわけ中小零細事業者や失業者に大きなダメージを与えています。中小零細事業者は、大企業に比べ、人材の確保、資金調達が脆弱な上、過重な都市税制の影響を受けやすく、そのため、今日のような長期にわたる不況下では極めて深刻な状況にさらされております。どのまちでも、倒産の波が広がり、今や生き延びるのに必死であります。
 もとより、東京の経済を支え、雇用を支え、そして地域を支える中小零細事業者は、東京の存在そのものであるといっても過言ではないというふうに思います。中小零細事業者の崩壊は、そのまま東京の崩壊につながりかねません。
 ところで、本年十月、全国の完全失業率は五・四%と、調査開始以来最悪を更新しております。また、十一月に初めて公表された東京都の完全失業率についても、七月から九月期の平均で五・六%と、同じ時期の全国平均を上回っており、雇用情勢は他の地域と比較しても厳しい状況となっております。
 引き続く倒産、リストラの大波に翻弄され、今や給与を支給するのが精いっぱいで、給与カット、ボーナスなしなどは当然のこととされています。新聞紙上などでも、ローンを抱えた働き盛りの世代の自殺者が目につき、まことに悲しいことであります。
 国においては、こうした厳しい雇用経済問題を打開するために、第一次補正予算を成立させ、さらに、景気浮揚のための総事業費四兆円から成る第二次補正予算の編成を閣議決定しているところであります。
 そこでまず、緊急地域雇用創出特別交付金について伺います。
 第一次補正予算において、小泉内閣が推進している構造改革の中で、優先して雇用のセーフティーネットを整備するために、五千五百億余円の金額が配分されています。特に、全国で五十万人の雇用創出を目標として、三千五百億円の規模で、これまでの緊急地域雇用特別交付金の装いを新たにした緊急地域雇用創出特別交付金が、平成十三年度から十六年度までの事業として設けられております。
 この交付金事業の継続については、我が党の主導により実現されたものであります。新たな交付金制度は、失業した人を、教員補助員や警察支援要員、森林作業員など、公共サービス向けに地方自治体が中心となって雇用することが想定されています。
 そこで、新たな緊急地域雇用創出特別交付金が設けられた意義を都としてどのように認識し、今後、事業を実施するに当たって、どのような決意を持って臨まれるのか、お伺いをいたします。
 次に、新たな交付金は、現行の交付金よりも、一層雇用創出に重点が置かれ、都道府県の事業計画全体で、事業費に占める人件費の割合をおおむね八割以上、失業者の雇い入れ割合をおおむね四分の三以上にといった条件が付されています。これは、実際に事業を実施する際にはかなりの制約になると思われますが、どのような対応を考えていられるのか、伺います。
 次に、中小企業に対する金融対策について伺います。
 近年、担保価値の下落や売り上げの減少から、これまでのように追加融資が受けられない中小企業がふえており、私どものところにも、このままでは年を越せないという悲壮な声が寄せられています。
 先般、都議会において、我々の強い思いを反映させた金融、景気対策の実施を求める決議を受け、知事は、直ちに緊急対策の実施を表明されました。
 そこでまず、金融にかかわる緊急対策の内容について伺います。
 さらに、今回の緊急対策に含まれている売り掛け債権担保融資については、信用保証料のほかに、担保の管理手数料も必要となると聞き及んでおります。せっかくの新制度を生かすためにも、利用する中小企業者の保証料負担に一定の配慮を加える必要があると考えますが、いかがでしょうか。
 ところで、融資制度は、その保証承諾額のシェアがこの四年間で大きく変わり、信用金庫は倍以上にシェアを拡大する一方、都市銀行は大きく落ち込みました。こうした実績をしっかりと把握した上で、制度融資の改善に取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか。
 近年、金融機関等の貸付実績が低下しています。資金需要の低下もあるでしょうが、審査の内容や応接態度、あるいは利用者に対する説明に問題があるのではないかと懸念されているところであります。特に信用保証協会は、中小企業の将来性や、その経営者の手腕を適正に評価し、企業の信用を創造して金融の円滑化に貢献すべき公的機関です。都は、信用保証協会に対してどのように指導されているか、伺います。
 一方、現下の都財政については、平成十二年度は財政再建団体への転落は免れたものの、実質六百七十八億円の赤字となり、赤字は三年連続しております。また、今後は過去に大量発行した都債の償還時期を迎えるとともに、一兆円にも及ぶ隠れ借金があります。加えて経済成長が、今年度のみならず、来年度もマイナス成長が避けられないという見方が強まっており、都税収入を楽観視することはできません。このように、我が国の経済のみならず、都財政も依然として大変厳しい状況にあり、まさに前途多難であると認識をいたしております。
 ところで、先ごろ都は、職員団体との間で、現在実施中の一般職員の給与削減措置を今年度限りで終了することなどを決められたと聞いております。今回の提案に至るまでの経過を見ますと、都は、労使交渉がすべてであり、都民を代表する議会の存在の意識もなく進められてきたといわざるを得ません。我が党は、これからも都民に厳しい負担をお願いしていく以上、職員給与の減額継続なしには、到底都民の理解は得られないと考えます。
 そこでまず、職員の給与改定について伺います。
 冒頭で申し上げましたように、厳しい社会経済状況の中で、なぜ給与削減措置について来年度へ延長されなかったのか、また、都として、厳しい内部努力の姿勢をどう都民に示されていくのか伺います。
 また、職員の給与は、常に住民の監視のもとに置くという趣旨から、地方公務員法により条例で定めることとされております。とりわけ、昨今の極めて深刻な都民生活や中小零細業者の経営悪化等をかんがみれば、給与問題は、都民に対する都政の基本姿勢にかかわるものであり、単に労使関係といった都庁内部の問題として片づけられる性格のものではありません。
 しかるに、今回の給与改正条例案は、今日の厳しい経済、雇用情勢や今後の都財政の動向などを踏まえたものとは到底考えられず、労使関係のこれまでの経緯や職員の心情といったことに重きを置き、都民感情や議会の意向を軽視した、全体としてのバランスを著しく欠くものと思わざるを得ません。所見を伺います。
 我が党としては、今回の職員団体との決着は、世の中を知らない井の中のカワズたちの決着であり、管理職のみに負担を強いることだけでは到底認めることはできません。都民もまた納得するはずがないと確信をしております。
 ところで、新聞報道によりますと、知事は当初、カットをもとに戻したのでは世間に通らないと申されたと伺っております。そうしたなら、今回の措置はいったことに反したことにはなりませんか、改めて見解を伺います。
 いずれにしましても、財政再建に当たって都民の理解を得るため、今後とも職員給与の削減について強く求めてまいります。
 次に、首都移転問題について伺います。
 衆議院の国会等の移転に関する特別委員会は、昨年五月、今後二年を目途に移転先候補地を一カ所に絞り込むと決議し、その二年目に当たる本年六月から、にわかに活動を開始したところであります。六月から、東京都を初め移転先候補地三カ所すべての視察や、関係者と意見交換、そして、さきの都知事の参考人招致と、これに続き、移転先候補地八府県の知事等からの意見聴取など、わずか六カ月の間に矢継ぎ早に審議を行っております。
 これら一連の動きは、単なる移転先候補地の絞り込みの域を超えて、移転の決定に際して行う東京と移転先候補地との比較考量にまで踏み込もうとするものであり、事態は一挙に緊迫した状況となっております。
 このような差し迫った状況を踏まえ、都議会は本定例会初日に、異例ともいえる形で、改めて強く首都移転に反対する決議をし、直ちに首相官邸や国土交通省などへ要請行動を行い、首都移転問題への取り組みの決意を新たにしたところであります。今後、広く各界へ働きかけ、都民、国民の首都移転に反対する大きなうねりを盛り上げていかなければなりません。
 ところで、知事は、先月の参考人招致に際して、推進派が圧倒的多数を占める特別委員会において、比較考量の手続をねじ曲げ、三候補地と東京都の四カ所並立で行おうとするもくろみを見事に撤回させておりますが、いよいよ最終段階を迎えようとする首都移転問題に、今後いかなる決意を持って取り組まれるお考えなのか、ご所見をお聞かせ願います。
 次に、危機管理について何点か伺います。
 米国における同時多発テロ、それに続く炭疽菌を用いた事件は、世界を恐怖の底に陥れました。もし仮に、東京でこのようなテロが起これば、今回の米国の事態が示すように、社会不安の増大や国内の社会経済活動の混乱、さらには世界経済への影響など、そのダメージははかり知れません。今後、想定し得るテロに対して万全の備えを期すことは、東京に課せられた極めて重要な責務であります。
 そこで、テロ対策について伺います。
 まず、首都の治安を守る警視庁に伺います。
 首都東京は、我が国における政治、経済、行政等の中心として、国会、官邸、空港など重要施設を多数抱えております。
 そこで、重要施設の警戒強化やハイジャック防止対策、サイバーテロ対策について伺います。
 また、核、生物、化学兵器といった、いわゆるNBCや爆発物に対してどのような対策を講じているのか伺います。
 先月、東京消防庁において、NBC災害を想定した実践的な消防訓練を行ったと新聞報道されましたが、東京消防庁のNBC災害に備える体制はどうなっているのか、また、米国の同時多発テロ災害の発生に伴って、現在、東京消防庁では体制を強化してテロ災害対策への警戒を実施していると聞いていますが、どのようなことを行っているのか、あわせてお伺いをいたします。
 次に、水道は、最も重要なライフラインであります。このため、これまでも事故や震災などに備えた対策を講じてきたと思いますが、一連のテロ事件を契機とした一層の危機管理が極めて重要と考えます。
 そこで、水道局では、この問題についてどのように取り組まれているのか、具体的に伺います。
 また、浄水場の周囲には、さくが設置されていますが、ろ過池などは何も覆われていない状況にあり、率直に申し上げて、いささかの不安を抱いています。露出している面積は相当な規模であると聞いており、これをふたで覆う覆蓋化をしていくためには、相当の時間と経費が必要だと思います。しかし、都民の安心感を得ていくためには、この覆蓋化がぜひとも必要と考えますが、所見を伺います。
 近年、不法在留外国人の犯罪を初め、犯罪件数の増加が都市住民の大きな脅威となっております。その一方、留置場は増大する被疑者に追いつかず、定員を上回って収容せざるを得ず、その拡充が緊急の課題であります。
 現在、渋谷で大学跡地に相当規模の留置場の整備計画が突然持ち上がり、地域住民に少なからぬ衝撃を与えております。これらの計画を地元住民の方々に理解をいただくにはどのように考えられているのか、所見を伺います。
 次に、狂牛病問題について伺います。
 狂牛病の発生以来、消費者の牛肉に対する不信感は根深いものがあります。そのためには、牛肉の流通ルートが明らかにされ、どの肉も必ず検査を受け、安全が証明されなければなりません。十月十八日以降は、と畜される牛の全頭検査を実施し、危険な肉は市場に出回らない体制が整ったと聞いております。都は、牛肉の安全確保について具体的にどのように取り組まれるのか、改めて伺います。
 次に、税財政問題について伺います。
 まず、日本経済の動向と税収の見通しについて伺います。
 さきに発表された企業の九月中間決算を見ると、日本の代表産業の業績が軒並み悪化している状況にあります。とりわけ、日本の基幹産業ともいえる電機業界の不振ぶりは目を覆うばかりであります。こうした中、政府は十三年度経済見通しにおける実質成長率を、一・七%からマイナス〇・九%に下方修正しました。さらに、来年度もマイナス成長の見込みとしており、我が国経済の先行きに対する懸念は、日増しに強くなっております。
 こうした状況を踏まえ、都政のかじ取りを預かる知事は、今後の日本経済をどのように展望されているのか伺います。
 政府は、国内外の急速な景気悪化を受け、さきの十三年度補正予算において、税収を当初予算から一兆一千億円減額しました。さらに、来年度の税収見通しについても、約四十七兆六千億円になることを明らかにしております。この数字は、今年二月に発表された財政の中期展望における税収見通しを二兆八千億円下方修正するものです。
 一方、都税収入に目を転じてみますと、都の税収構造は、景気の変動を受けやすい法人二税の占める割合が大きいことから、今後の都税収入の動向に大きな懸念を抱かざるを得ません。
 そこで、今年度の都税収入は当初予算どおりの額の確保ができるのか、知事の見解を伺います。
 さらに、知事は十一月に、来年度の都税収入は、今年度予算に比べ、三千億円から四千億円の大幅な落ち込みが懸念されると述べられましたが、改めて来年度の都税収入の見込みを伺います。
 次に、重要施策の選定について伺います。
 来年度の都税収入の見込みが大いに懸念される中、知事は十四年度の重要施策を選定されました。まず、これらの重要施策を、知事はどのような哲学を持って、すなわち東京都をどうしたいがために決められたのか伺います。
 さらに、立案が百九十一事業、選定が百二十五事業と聞きます。厳選したと発表で述べられておりますが、税収減がはっきりする中で、規模が過大なのではないかと考えざるを得ません。この重要施策の選定に当たって、厳しい都財政の状況をどのように考慮されたのか伺います。
 次に、平成十四年度の財政運営について伺います。
 来年度の都税収入の落ち込み額である三千億円から四千億円という額は、財政再建団体転落の線である赤字限度額が十三年度で二千八百億円程度であることを考えれば、大変大きな額といわざるを得ません。財政再建への取り組みはこれまで以上に急務でありますが、厳しい経済環境や税収動向のもとで、知事は、平成十四年度予算の編成も含め、今後の財政運営にどのように取り組まれるのか、基本的な考え方について伺います。
 次に、今定例会に提案された宿泊税と、先月末に公表された観光産業振興プランに関連してお伺いをいたします。
 観光は、二十一世紀には飛躍的な成長が見込まれる重要な産業であります。しかし、これまで東京は、観光の持つ重要性を認識せず、効果的な政策を打ち出すことがありませんでした。観光産業振興プランは、こうした状況を打開するために策定されたものであり、この中には、情報発信、観光資源の開発、受け入れ体制の整備など、具体的な施策が提案されております。
 この観光産業振興プランにおける各種施策を財政面から支えるのが宿泊税であります。この宿泊税は、観光振興を図る施策に要する費用に充てるための法定外目的税であります。そこで、この宿泊税が創設される意義とその目的について、改めてお伺いをいたします。
 一方、宿泊税の導入は、観光振興のための財源を生み出す反面、利用者の負担増やホテル、旅館営業への影響も少なくありません。この宿泊税の導入は、果たして負担を上回る効果が期待できるのでしょうか、伺います。
 また、納税者である利用者への周知はどのようにされるのか、具体的にお示しをいただきたいものであります。
 次に、都市再生の着実な推進について伺います。
 今月四日、総理を本部長とする都市再生本部が開かれ、都市再生の第三次プロジェクトや民間都市開発プロジェクト支援のための制度改革が打ち出されました。これまでの第一次、第二次決定とあわせて、都市再生に向けて国の重点的な取り組みが示されたことになります。しかし、景気の実態を見れば、中小企業の倒産や高水準の失業率を挙げるまでもなく、底なし沼に引き込まれている状況にあるといっても過言ではありません。
 そうした中で、今緊急に取り組まなければならないことは、都市再生を景気回復の起爆剤としていくことです。そのためには、景気が先か、それとも構造改革かといった不毛の議論をしている余裕はないのであります。都市再生のプロジェクトには、国として思い切った財政投入をすべきであり、東京都も積極的に対応していくべきです。
 また、民間プロジェクトを促進し誘導するためには、法制度を抜本的に改善するとともに、手続のスピードアップを図り、民間の創意工夫が生かせるよう、条件を整えることが大切と考えます。東京の再生に向け、知事の取り組みの決意を伺います。
 都市再生に関連して、具体的にお伺いをいたします。
 まず、外環道の整備についてお尋ねをします。
 我が党は、外環については、東京のみならず、首都圏全体にとって必要不可欠な道路であると考えております。党三役を中心として、党本部への要請活動等も行うなど積極的に取り組んでおります。
 このような中で、国においては、日本道路公団等、道路関係四公団について廃止・民営化の方向を示し、また、第三者機関を設置して、高速道路整備計画中の残り区間の建設や、民営化後の経営形態について議論していくこととなりました。しかしながら、国土開発幹線自動車道の中でも重要な東京外郭環状道路は、特殊法人改革の議論にかかわらず、早急に整備が必要であると考えます。改めて知事の見解を伺います。
 外環は、都市部を通過することから事業費が高く、採算性が悪いと批判されておりますが、首都圏の渋滞解消や都市再生に寄与するなど、費用対効果を考えれば、すぐにでもペイできるのではないでしょうか。具体的に外環が整備されたときの、その整備効果について伺います。
 次に、小田急線の連続立体交差事業について伺います。
 この事業は、昭和三十九年の都市計画決定以後、順次事業が進められ、代々木上原駅付近や狛江駅付近が既に完成をしています。
 こうした中、本年十月、世田谷代田駅から喜多見駅間の事業認可処分取り消し事件の一審判決がありました。その判決は、事業認可を取り消すというものであり、都市計画決定や事業の実態に対する認識が不足している不当なものであるといわざるを得ません。今後、裁判及び事業に関して、知事はどのように取り組んでいかれるのか、伺います。
 また、下北沢駅付近の事業化により、小田急線全体の連立事業の整備効果が発揮され、多くの都民の利便性向上に資することになり、事業化は一刻の猶予も許されないと考えます。この下北沢駅付近の計画については、本年四月、二線二層の地下式による素案が地元に示されたところでありますが、今後どのように進められるのか、伺います。
 次に、東京港臨海道路について伺います。
 東京湾岸を東西に結びつける東京港臨海道路は、首都圏湾岸域の重要な路線であります。そのうち、大田区城南島と中央防波堤埋立地を結ぶ第一工区が今年度中に完成する運びとなりました。しかしながら、東京港臨海道路は、残る中央防波堤埋立地から江東区若洲に至る第二工区の完成を待って、初めてその真価を発揮するものであります。
 ぜひとも早期整備を実現していただきたいと思いますが、そのためにも、大幅な国費の導入を図っていくことが重要であります。この課題解決に向けどのように取り組んでいかれるのか、現在までの状況を含め、所見を伺います。
 次に、土地利用の見直しについて伺います。
 都は、都市再生への確かな道筋と題する東京の新しい都市づくりビジョンを発表されました。今後は、このビジョンの実現を通じて東京を再生し、国際競争力のある都市としていくことが求められます。そのためには、土地利用のあり方を見直すことも必要であります。
 都は、本年十月、都市計画審議会に今後の土地利用のあり方を諮問し、審議会では専門的に調査、検討していると聞いています。
 そこでまず、今回の諮問に当たって、都として東京の土地利用の現状をどうとらえ、何が重点課題と認識されているのか、伺います。
 さらに、今後は、国際レベルのビジネス環境の整備や職住近接のための都心居住の実現などが必要となってきます。このような中で、土地利用計画の面からは、今後これらの課題にどのように取り組んでいかれるのか、伺います。
 一方、東京の再生といっても、都心部だけが対象となるのではありません。郊外部においては、在宅介護や二世代、三世代同居が可能となるような、ゆとりのある居住環境をいかに形成していくかという視点も重要です。
 現在多摩地域では、郊外の住宅地には、建ぺい率三〇%、容積率六〇%など厳しい規制がかかっている地域が少なくありません。都市化の進展等を踏まえ、もっと思い切った規制緩和をすべきと考えますが、ご所見を伺います。
 次に、多摩地域の問題に関連して、まとめてお伺いをいたします。
 まず、道路であります。
 多摩地域では、都市計画道路の整備率が四八%と、いまだ半分にも満たない状況であり、特に、東西方向に比べ南北道路の整備がおくれています。その中で、府中所沢線及び調布保谷線の整備について、今後どのように取り組んでいかれるのか、伺います。
 さらに、交差点や幹線道路などで交通渋滞が慢性化しており、日常生活や経済活動に多大な影響を与えています。こうした現状を打開し、多摩地域の魅力を高めるため、どのように多摩地域の道路整備を進めていくのか、伺います。
 次に、首都高の料金体系について伺います。
 中央高速に接続する首都高速道路四号線は、高井戸が終点となっております。多摩地域から都心へ行くためには、中央高速と首都高速の料金を二度払わなければなりません。我が党は、長年にわたり、このような料金体系の改善に向けて取り組んできました。
 そこで、このような料金体系が改善されなかった理由と今後の取り組みについて伺います。
 次に、青果市場の整備についてであります。
 昭和五十八年に、やっと多摩ニュータウン市場が開設したものの、その後の整備は進んでおりません。こうした中で本年四月、東京都卸売市場整備基本方針で、新たな中央卸売市場の整備については長期的な課題とし、当面、整備を見送るとのことでありました。こうした方向は、中央卸売市場の整備を切望してきた多摩都民には受け入れがたいものであります。
 ところで、現在、多摩地域の青果物の流通は、その大半を地方卸売市場が担っております。近年、集荷力のある市場が育っているものの、中央市場と比較をすると、特に施設整備の面でまだまだおくれております。中央市場の整備が当面見送られるとのことであれば、その間、多摩地域の地方卸売市場に対する支援策を大幅に拡充すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、保健サービスの再構築について伺います。
 都は、去る十月下旬、市町村との適切な役割分担に基づき、多摩地域の保健サービスの再構築を進めると発表しました。その内容は、対人保健サービスの新たな事務移譲や保健所政令市制度による権限移譲について市町村と協議を進めること、都保健所を平成十五年度以降、二次保健医療圏ごとに一カ所に再編するとともに、新たな市町村支援のための仕組みづくりを行うこととしています。
 市町村は、平成九年の地域保健法の全面施行に伴い、住民に身近な保健サービスの実施主体として、これまでも最大限の努力をしてきました。また、平成十四年度には、精神保健福祉に関する事務の移譲が予定されております。
 このような状況の中、今回新たに提案された、さらなる事務移譲や都保健所の再編整備は、多摩地域の市町村にとっては大きな影響を与えるものと考えます。都は、なぜこの多摩地域の保健サービスの再構築を実施されるのか、その基本的な考え方を伺います。
 対人保健サービスの事務移譲や保健所政令市制度による権限移譲の実施に当たっては、市町村との十分な協議と合意が不可欠であると考えますが、所見を伺います。
 多摩地域全体の保健サービスを一層充実させるためには、市町村が実施する地域特性に応じたきめ細かな地域保健施策に対し、都の支援が必要であると考えますが、所見を伺います。
 次に、福祉改革の次なる展開について伺います。
 知事は、さきの所信表明演説において、福祉改革推進プランを発展させて、地域での自立と暮らしを支える新しい福祉への転換と福祉分野での規制緩和推進の二つを大きな柱として、都が目指す新しい福祉の将来像の全貌と実現に向けた道筋を都民に示していくことを表明されました。
 これとあわせて、福祉局も「福祉改革 新たな段階」の基本的な考え方を示しております。都の福祉改革が、次なる展開に向けて動き出すことが明らかになったわけであります。
 認証保育所や障害者施設緊急整備三カ年計画など、都の独自性あふれる戦略プロジェクトの実行に甘んじることなく、真の意味での利用者本位の徹底を図るため、福祉改革を一歩先に前進させることは極めて重要であります。
 この取り組みを本物にするために、施策やサービスの充実とあわせて、社会福祉法人に代表されるサービスを提供する側についても、より利用者の立場に立ったサービス供給を実現する方向への改革を同時に進めていくことが重要と考えます。
 福祉改革を次なるステージに進める基本コンセプトとあわせて、現段階でお示しできる具体的内容があれば、これを含め、お考えをお示しください。
 次に、医療提供体制の整備について伺います。
 医療をより効率的で質の高いものにするために、医療提供体制そのものを時代のニーズに応じて改善していくことが必要です。我が党は、都立病院改革会議で示された、高度医療機能の集約化とネットワークの強化により、総体としての医療サービスの向上を図るという考え方を基本的に理解しながらも、住民が求める地域医療の確保等について、かねてから重大な関心を寄せてきたところです。
 さきの第三回定例会においても、都立病院の経営移管について地元の区市町村が意欲を示した場合には、都も前向きに対応すべきことを主張してきたところであります。現在、市町村においては、みずから公立病院を運営するなど、地域医療の確保に大変な努力をしているところであります。
 住民に身近な地域医療の確保に当たって、基礎的自治体の果たすべき役割が大きいことはいうまでもなく、区においても、今後、病院整備等についてより積極的な役割を果たすことが重要と考えますが、所見を伺います。
 次に、ウイルス肝炎対策について伺います。
 全国で二百万人から三百万人、都内では二十万人から三十万人もの多くの方々が、過去に受けた輸血や注射針などにより肝炎ウイルスに感染しているといわれています。その多くが自覚症状もなく、慢性肝炎、肝硬変、肝がんへと進行することがあるため、一刻も早く都民みずからが感染者であるか否かを自覚して、感染していれば早期に治療を受けることができる対策を講じることが、都民の安全確保の上で緊急の課題であると思います。
 今回報告のあった東京都特殊疾病対策協議会報告や東京都新たな感染症対策委員会報告を受けて、都として、どのようにウイルス肝炎総合対策を推進しようと考えているのでしょうか。
 国においても、老人保健法により肝炎ウイルス検査の導入を検討していると聞いています。しかし、スクリーニング検査だけにとどまらず、早期に、しかも質の高い専門医療へ確実につなげていく都独自の取り組みが重要と考えます。具体的にどのような対策を考えているのでしょうか。
 また、協議会報告では、原因が解明され、治療方法もある程度確立されてきたウイルス肝炎は、難病医療費助成の対象として必ずしもなじまないということですが、これまで助成を受けてきた方々について何らかの措置を講じる必要があると考えますが、所見を伺います。
 次に、教育問題について伺います。
 まず、教科書採択問題ですが、都教委はこれまで、教科書採択の適正化に向け区市町村教育委員会に対して、本年二月の教育長通知を初めとしてさまざまな指導を行い、その大幅な改善がなされてきたと聞いております。
 しかしながら、一方で教科書採択に関する新たな問題が生じています。新聞等でも何度も報道されましたが、東京都においても、教科書採択の過程において、一部の団体等がインターネットやファクシミリ等を活用して、教育委員や事務局に対して集中的かつ組織的な働きかけを行い、一部には脅迫とも思えるような行為も見られました。
 第三回定例会の代表質問において我が党は、今回の教科書採択に関連する抗議活動等について実態調査を行う必要があると指摘をし、調査を行っているとの趣旨の答弁がありました。
 そこでまず、都教委は、この間どのような対応をされたのか、伺います。
 我が党は、それぞれの地域の児童生徒に最もふさわしい教科書が、こうした外部からのさまざまな圧力に影響されることなく、各教育委員会の権限と責任において、公正かつ適正に採択されることが必要であると訴えてまいりました。
 都教委は、区市町村教育委員会を適切に指導し、的確に対応していくことが求められております。教育長の所見を伺います。
 次に、大学改革について伺います。
 都内には、国立、私立合わせて二百の大学、短期大学が設置されていますが、大学を取り巻く社会経済状況が急激に変化している中、都立の大学としての存在意義が今ほど問われているときはないと思います。遠山プランに示される我が国の大学、高等教育行政のあり方の抜本的な変革が叫ばれ、方策が着実に実践されつつあります。
 その中で、先般、東京都大学改革大綱が策定され、新しい都立の大学のあり方が明らかにされました。改革の方向性については、これまでの議論の中で有識者からもさまざまな意見が寄せられ、その結果、四つの大学を再編、統合して一つの総合大学を目指し、また、独立行政法人による運営を導入するとしています。
 そこで伺いますが、知事は、この新たな大学の形態と運営のもとに、どのような改革への思いをお持ちなのか、まず、その基本的な考え方をお聞きいたします。
 次に、大綱では、新しい大学における教育改革や社会貢献のあり方を個別具体的に示しておりますが、私は、大胆な改革を実現していくためには、もはや従来の発想の延長では困難ではないかと考えます。社会や都民の期待にこたえ、新たな大学のモデルを東京から発信していくために、全く新しい大学をつくる意識で、教職員が一丸となって取り組んでいく必要があると思います。
 その意味で、改革の大きな柱に運営面の革新を挙げ、全国の自治体に先駆けて独立行政法人化を目指しているところですが、都にふさわしい法人化とは何か、また、そのことによって都立の大学運営が大胆に変わるのか、伺います。
 以上、都政の各分野における施策の主なものについて質問してまいりました。バブル経済崩壊後の十年余にも及ぶ長い不況のトンネルを、新しい世紀の幕あけとともに、何とか抜け出したいというのがこの一年の思いでありました。しかしながら、先行きは依然として不透明であります。
 冒頭に申し上げましたように、今、都民は不況の中で大変苦しんでおります。都民の生活の安定と福祉の向上を責務とする行政の皆様には、こうした都民の苦しみに十分思いをいたし、その身を律し、真に都民の信頼を得られる行政の執行に一層の奮闘をお願いするところです。
 我が党も、東京が日本の首都として再び活力を取り戻し、日本をよみがえらせるべく全力を挙げて邁進することをお誓いし、質問を終わらせていただきます。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 比留間敏夫議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、給与削減措置の今回の取り扱いについてでありますが、給与削減措置についてはかねがね、都財政の状況や社会経済情勢を勘案しますと、給与カットをもとに戻したのでは世間に通らないと考えておりまして、当然、来年度も延長すべく、ぎりぎりまでの労使交渉を行ってまいりました。
 最後は、労使合意がないままに条例提案を強行するという方法もありましたが、都財政が長期にわたって厳しい状況に直面することは確実な見込みでありまして、今後、全庁一丸となって改めて都政の危機に対処していくためには、ここで一たん仕切り直しをすることもやむを得ないと判断し、今後の都財政の状況によって、給与削減措置について再度複合的に協議することを条件に、ごく近い将来での労使合意による解決を最終的に選択いたしました。その際に、さらに複合的な、あるいはさらに厳しい提案をするかもしれません。
 したがって、職員の給与削減措置につきましては、都財政の動向を見た上で、改めて職員団体と協議を開始したいと思っております。
 なお、今後の労使の話し合いを進めるためにも、引き続き内部努力の姿勢を示すことは当然でありまして、その限りで、特別職、管理職については、来年度も給与削減措置を継続することにいたしました。
 今後は、長期的な総人件費抑制が最も重要でありまして、監理団体も含めた執行体制の見直しなどを通して、引き続き職員定数の削減を行うとともに、人事・給与制度の抜本的見直しを進めていきたいと思っております。
 次いで、首都移転問題への取り組みでありますが、首都移転問題は、来年の五月に移転先候補地の絞り込みをするそうで、現在、非常に重要な局面に突入しております。
 先般の衆議院の特別委員会における参考人招致にも参りましたが、その際も、移転費用は二十兆を上回ること、新都市の構造は極めて不合理であること、委員会の構成が従来も極めて公平を欠くものでありまして、深い憂慮の念を抱いていることなどを強く主張いたしました。
 委員の諸君は非常に不満のようでありましたが、前回出席しましたときも、委員長の井上一成君が、本音でありましょうけれども、やはりたまには反対派も呼ばにゃあかんなという述懐をしておりましたが、そういう運営では、私は、やはり決して開かれた委員会とはいえないと思います。
 今後、我々が首都移転の不当性を訴えていかなければ、我が国は取り返しのつかない過ちを犯すことになりかねません。その席上でも、今回の席上でも、自民党の松本委員から、来年には官邸が建て直しを完成する、防衛庁はとっくに市ヶ谷に移った、その他の省庁の庁舎を今建て直しているのに、それと、ここでこの問題を論議することの整合性というのは一体どういうことなのかなという意見の陳述がありましたが、席上、寂として声もありませんでした。
 とにかく我が国の将来を考えて、都民、国民の利益を守るために、あらゆる手だてを講じて、今後も首都移転の白紙撤回を目指していくつもりでございます。
 次いで、日本社会事業大学跡地の利用についてでありますが、ご承知のように、近年の犯罪の増加、とりわけ来日外国人犯罪の増加に伴いまして、東京の治安は致命的に悪化してまいっております。都民の問題意識も、昨年は治安について触れる方が非常に少のうございましたが、ことしは、意識調査をしますと、第三位にまでそれがクローズアップされてまいりました。絶対数が不足している留置場の拡充は治安維持の基礎となるものでありまして、早急な対応が求められております。
 このため、社会事業大学跡地の利用策の一つとして、老朽化した原宿警察署の建てかえにあわせて、相当の規模の留置場を整備したいと考えております。今後、一応の原案をつくった上で、関係者には十分説明をし、地元の理解と協力が得られるよう努力をしていくつもりでございます。
 次いで、今後の日本経済の展望についてでありますが、年頭の施政方針表明において、今後は景気が後退することを覚悟しておくべきだと申し上げたように、我が国の経済は極めて厳しい状況にあるという認識を持たざるを得ません。現に国の税収はダウンしておりまして、政府と公的機関の負債の総額は千兆円を上回るような状況であります。構造改革や景気対策に取り組む国の姿勢を眺めていますと、どうもこのままでは、残念ながら、状況が好転することは極めて難しいのではないかと考えざるを得ません。
 しかし、日本は技術、資金、人材など高い能力を保有しておりまして、国が冷静な状況認識を持ち、能力を十分に発揮する舞台が整えば、経済の再生は十分可能であると思います。
 その一つの証左として、皮肉な話でありますが、先般も、クリントン内閣の財務長官でありましたサマーズが、たしかアスターというアメリカ随一の財閥の代表として日本にやってきました。巷間のうわさでは、東京三菱銀行を買収に来たといううわさまでありました。それぐらいアメリカは、日本のいろいろな不動産を含めての商品というのを買いあさっておりますが、例えば先般、リップルウッドが、ゴルフ場も含めて二千億をかけて造成したシーガイアを、何と百六十五億で買収いたしました。
 しかし、これはどういう採算を考えているか知りませんけれども、いずれにしろ日本の経済が好転するという、そのポテンシャルを見越して、そのときに、つまり買いたたいたものを非常に高値で売る、その利ざやというものをごっそり手中にするという思惑以外の何物でもありません。
 あくまでもその根底には、むしろ日本人以上に、日本経済の持っているポテンシャル、いろいろな可能性というものを、アメリカならアメリカの方が冷静に分析、認識しているという証左だと私は思います。何もそれに寄りかかるつもりはありませんが、しかし、私たち冷静な自己認識を持てば、日本の経済は、思い切った発想で思い切った手を講ずれば、後にも説明いたしますけれども、再生すると私は思っております。
 次いで、今年度の都税収入についてでありますが、現在の経済環境を反映し、急速に企業収益の減少が見られます。今後、都税収入の大半をなす法人二税の伸び悩みが懸念されておりまして、当初予算額の確保は予断を許さない状況にあると、残念ながら考えております。
 次いで、来年度の都税収入の見込みについてでありますが、現在精査中でありまして、詳細については待たなければなりません。低迷を続ける日本経済の先行きを勘案しますと、今年度の予算に比べ、三千億円から四千億円程度の大幅な減収が想定され、非常に厳しい現況であります。
 次いで、今回決めました重要施策選定の哲学についてでありますが、雇用不安、治安の悪化、環境危機、国際競争力の低下など、この首都東京には、我が国全体が直面するさまざまな問題が一番先鋭的にあらわれております。
 財政再建途上であっても、東京が直面する危機を打開するためには、重点的に取り組む政策課題を明示することが必要な責務であると心得ております。
 こうした観点から、今回、予算編成に先立ちまして、首都圏の再生と都民生活の不安解消に向けた六つの政策課題を明らかにした上で、その実現のための重要施策を選定したわけであります。
 次いで、今後の財政運営の基本的考え方についてでありますが、懸念いたしておりましたとおり、景気は悪化を続けていまして、都税収入は大幅な減少が避けられない状況に立ち至っております。より一層の財政構造改革に取り組まなければ、都財政は破綻を免れ得ない事態に直面しております。
 したがって、十四年度予算編成に当たりましては、これまで以上に厳しく歳出額の抑制を図って、財政再建の取り組みをより一層進める考えでおります。同時に、スクラップ・アンド・ビルドの徹底によって、首都圏の再生や都民生活の不安解消のための優先課題に財源を重点的に振り向けまして、めり張りのついた予算を編成していきたいと思っております。
 いずれにしろ、今後厳しさが続くと見込まれる日本経済の動向を踏まえて、入るをはかって出るを制すとの考えをあくまでも基本に、財政再建を一日も早く達成し、東京が直面する危機を打開する取り組みを着実に進めていきたいと思っております。
 次いで、宿泊税についてでありますが、宿泊税は、二十一世紀における観光産業の重要性を踏まえて、観光振興に必要な財源を安定的に確保するために、都が課税自主権を行使して創設するものでありまして、地方主権を確立する上で意義のあるものと考えております。
 ちなみに、観光振興のための予算は、国も都も驚くほど少ないというか、皆無に近い状況でありまして、それをわずかでも高じまして、いろいろ可能性のあります東京の観光というものを産業としてとらえ直し、これを振興していきたいと。その財源の一部としても活用し、内外からの訪問客の増強にそれがつながるように配慮しまして、立ちおくれております東京の観光振興を回転させることが、宿泊税創設の最大の眼目でございます。
 次いで、宿泊税導入の効果についてでありますが、一部の旅館のような組合の方々は、実は対象となる宿屋は非常に少ないんですけれども、かつて皆さんが努力されて、例の料飲税、特別消費税が廃止されました。これは、飲み食いしたときに何%かの税金を払っていたわけですけど、それはそれで大変結構な結果だと思いますが、それをもって観光が促進されるわけではありません。やはり飲食も含めて、観光全体というものをアクセレートするために、いろんな手だてがあるのではないか。それを実現するために、こういう税を導入したいと思っております。
 観光は非常にすそ野が広くて、運輸や宿泊、飲食業などのほかにも多くの産業に経済効果が波及しまして、雇用などの増加をもたらす産業であります。このため、宿泊税を財源として活用し、海外でのシティーセールスキャンペーンの積極的な展開や、各種観光ルートの開発や観光情報センターの整備などの施策を行うことによって、多くの旅行者を東京に誘致していきたいと思っております。こうした旅行者の増加によって、観光の持つ大きな経済波及効果が発揮され、負担を上回る十分な効果が期待できると考えております。
 次いで、都市再生についてでありますが、何といっても、この東京、そしてその東京を中心とした首都圏というのは、日本の国家社会全体の心臓部であり、頭脳部でもあります。心臓や頭脳が損なわれたり停止しますと、人間は容易に死にます。手足がしびれる人もいるでしょうけど、それが生命そのものにいきなりかかわるものでもございませんが、しかし、心臓と頭脳というのは致命的な意味合いを持つわけでありまして、それを再生すること、それは私は国家全体にとっても喫緊な作業であると思っております。
 そのためには、従来の発想を超える取り組みが必要だと思います。このため、国に対しては法律の改正、財源配分の見直しなど新しい制度を導入し、国費を重点的、集中的に投入することを強く要請してきております。しかし、どうも国は、あくまでも現行制度、現行の国家のとらえ方のもとでの予算編成を進めているように思えてなりません。
 今後、都は国に先んじて、都市の再生に有効な民間プロジェクトを支援するために、手続をスピードアップするための取り組みや、高さ制限などの各種規制の必要性、妥当性を検証し、民間の創意工夫を受ける仕組みの整備など、都市再生のための独自の取り組みを進めていきたいと思っておりますし、先般も、私の顧問団と申しましょうか、アドバイザリーボードでそういう意思を披瀝しました。
 特に、都市の再開発について、従来の主に建設省が設けていた規制そのものが陳腐であるという話をしましたら、いかにもそのとおりだと、次官も務めた建設省のOBがいっておりましたし、むしろ我々から眺めていると、この時代に、東京のやり口というのは非常に慎み深過ぎて不満だというから、あなたのいっていることは非常に大事なんですと。現役の官僚たちが何というか知りませんが、そういう点で、東京都が思い切った提案をしたときに、大いに力をかしてくれという話もいたしました。
 次いで、東京外郭環状道路の整備についてでありますが、外環は、首都の渋滞解消や環状メガロポリスの実現に必要不可欠なものでありまして、首都圏の再生にも絶対に必要な条件であります。
 国においても、道路関係公団の民営化の方針が打ち出され、今後、私はかねて総理にもいってきたんですが、内閣にかかわりなく、ある継続性を持った、しかも上に、かつての国鉄の民営化や電電の民営化のときに、土光さんや大槻さんという、まさに非常に骨太な経済人を据えての第三者機関を設置法で設けましたと同じように、そういうものをつくって、そしてそこで、やはり高速道路の整備についての議論がなされ、その重要度や採算性などを考えて、優先順位をつけて、そういう議論にのっとって、道路なら道路の合理的な開発をしてもらいたいということをいっておりました。
 いずれにしろ、国もようやく動き出したようでありまして、そういう道路を含めて特殊法人の合理化、それに並行して、道路は一切つくらぬというわけには決していかないことでありまして、あくまでも冷静な判断によって優先順位をつけ、当然、都市というものはそこでクローズアップされてくるでありましょう。そういう行政をしてもらいたいということを国に要請してまいりましたし、これからも都を代表して行っていきたいと思っております。
 それから、小田急裁判の一審判決についてでありますが、これは司法は司法ということはわかりますけれども、一種の裁定というか、調停を兼ねた司法の判決だと、裁判だと思うんです。
 それを、要するに手続ということだけにこだわって、何というか、社会事業の、まさにご指摘のように、社会的意味合いというものを複合的にほとんどとらえておらず、いかにも技術的なこういう判決を投げ出されても、それはみんな困りますわな、本当に一体どうしたらいいんだということで。
 それで、繰り返して申すこともありませんけれども、連続立体交差事業は、道路交通の円滑化や踏切事故の解消のほか、沿線市街地の更新にも資する重要な事業でありまして、それをひとつ裁判側にも理解していただきたい。
 さきの一審判決では、騒音による環境への影響、事業費に関する検討等について、国及び都の主張が認められていないことから、結果こういうことになったんでしょうけど、控訴審に参加して上級審の判断を仰ぐことにいたします。
 小田急線を初めとする連続立体交差事業への都民の強い期待にこたえまして、一刻も早い完成を目指して、今後とも着実に事業を推進していきたいと思っております。
 最後に、都立大学の改革についての基本的考え方でありますが、都が一方的にこれを左右することのないように、非常にすぐれた有識者を集めていろいろ諮問させていただきました。座長には、東北大学を見事に再生させた西澤学長、今は岩手大学の学長さんですが、それから副座長には、文部省では出色の次官とされていた佐藤さんを据えまして、行ってまいりました。
 これまでの大学は、象牙の塔として閉ざされた存在であったために、どうも社会の期待にこたえることができませんでした。この改革では、社会の流れに機敏に対応できる運営体制の確立をし、教育研究と経営の責任を明確に分離するなど、都独自の公立大学法人化を図ることにいたしました。また、都立としての特色を生かしつつ、四つの大学の資源を結集して一つの総合大学とすることにいたしました。
 教育研究の活性化と社会貢献を目指した新しい大学づくりが、日本の東京における新しい大学づくりが、日本の大学のあり方を変革する起爆剤となることを願っておりますし、教育全体に対し一石を投じることになると確信しております。
 なお、その他の質問につきましては、警視総監、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔警視総監野田健君登壇〕

○警視総監(野田健君) 初めに、重要施設の警戒強化についてお答えいたします。
 警視庁では、九月十一日に発生した米国における同時多発テロ事件を受け、都内における国際テロ対策の万全を図るため、直ちに、米国大使館、米軍横田基地等の米国関連施設を初め、国会、総理大臣官邸等の政府関連施設、東京国際空港等の重要施設に対し、警戒員の増強配置をするなど、警戒警備の強化をいたしました。
 さらに、九月二十五日からは、警視庁国際テロ対策本部を設置し、国際テロの関連情報の収集、ハイジャック、NBCテロ、サイバーテロの未然防止、重要施設の警戒警備の強化等の警備諸対策を総合的に推進し、各種違法行為の防圧検挙を図っております。
 また、十月八日の米国等のアフガニスタン地域に対する軍事行動に伴い、当初から米国等に対して協力支援を表明している我が国に対する国際テロが一段と強く懸念されたことから、機動隊に、警察署から緊急に招集した隊員も加えて、重要施設の警戒を強化いたしました。
 現在も、厳重な警戒を継続して行っておりますが、今後も、都内における不法事案の防圧検挙を徹底するため、国内外の動向を視野に入れ、組織の総力を挙げて警戒警備の万全を期する所存であります。
 次に、ハイジャック防止対策についてであります。
 米国における同時多発テロでは、ハイジャックした民間航空機を道具として使用しており、首都東京においても同種事案が敢行される危険性が否定できないところであります。
 警視庁では、このような事案を防止するため、米国でのテロ事件発生と同時に、東京国際空港当局との連携のもと、同空港の国際線及び国内線の警備体制を強化して、ハイジャック防止を図ってまいりました。
 現在は、東京空港警察署員を出発ゲート等に増強配置するとともに、機動隊員を空港ターミナル等に配置して警戒に当たっております。ハイジャック防止には、搭乗客の機内持ち込み荷物のチェック等が重要でありますことから、航空会社や警備会社に対して、警備員に対する保安検査の教育、指導等を徹底する旨の申し入れを行っております。
 また、都内のヘリポート、飛行場等に対する警戒を強化する一方で、都内の小型航空機の所有者に対し、盗難防止の徹底等の申し入れを行うなど、あらゆる危険性を視野に入れたハイジャック防止対策を強力に推進しているところであります。
 次に、サイバーテロ対策についてであります。
 手段を選ばない、米国における同時多発テロを機に、インフラ機能を担うコンピューターシステムに対するサイバーテロの脅威が現実のものとなりました。サイバーテロについては、現在まで国内での発生はないものの、中央省庁等のホームページ改ざん事件など、萌芽と認められる事案が確認されております。
 警視庁では、平成十一年からサイバーテロ対策担当班を設置し、国内外におけるサイバーテロ事案の調査を進めているほか、サイバーテロの未然防止等のため、都民生活の重要な基盤となっているインフラ企業などの方々と連携協力体制を進め、緊密な意見交換を行っております。
 今回の同時多発テロ事件後の十月には、こうした企業の三十事業所と協力関係をさらに強化するため、サイバーテロ対策協議会を設立しました。
 この協議会では、官民一体となったサイバーテロ対策を推進して、サイバーテロの未然防止、サイバーテロ発生時の被害拡大防止、犯人の迅速な追跡、検挙等を目的として、企業等の方々と活発な意見交換を進めているところであります。
 今後も、関係省庁や関連企業等と緊密な連携を図り、適時適切な情報交換を行うとともに、サイバーテロ発生時における迅速的確な対応ができる体制の確立に努めてまいる所存であります。
 次に、NBCテロ対策及び爆発物対策についてであります。
 まず、核、生物、化学物質を使用するNBCテロについては、平成七年にオウム真理教が、都内で、犯罪史上類を見ない極悪非道な地下鉄サリン事件を引き起こし、大惨事となりました。この事件では、死者十一名、負傷者三千八百余名に達する犠牲者を出し、今なお後遺症が残っている方々もおられます。
 警視庁では、昨年四月、公安部にNBCテロ捜査隊を発足させ、テロ対策に当たっておりますが、米国での炭疽菌事案の報道以来、都内においてもこの種の模倣事案が多発しておりますことから、同捜査隊の体制を強化して、不審物件の検査等、採証活動を徹底するとともに、その処置に当たっております。
 また、拡大防止と撲滅を図るため、捜査本部を設置するなど、懸命な捜査活動を展開し、先般、被疑者を検挙するなどしております。
 今後とも、NBCテロの発生に備え、体制の整備や訓練の強化、研究体制の拡充等により、NBCテロへの対処能力の向上に努めてまいります。
 次に、爆発物対策についてであります。
 爆発物事件の統計をとり始めた平成六年以降、爆発物を使用した事件の認知件数は、全国で三十件、うち都内では、平成七年に発生し、検挙した都庁知事秘書室爆発事件を含めて八件となっております。
 警視庁では、昭和四十六年に過激派による爆弾闘争の激化に対応するため、爆発物の解析を専門とする部隊を発足させ、平成元年には、公安機動捜査隊として、爆発物に対する体制の充実を図っております。同隊は、爆発物の解析を任務とする全国唯一の部隊で、爆弾テロ・ゲリラの発生に際しては、全国の警察本部に対する捜査支援等を行っております。
 来年、日本で開催されるサッカーのワールドカップ大会も視野に入れ、国内で使用されている手製爆弾への対応を初め、海外で発生している爆弾テロの調査を進めて、爆発物の構造、機能、爆薬、処理要領等の研究に努め、爆発物に対する捜査に万全を期する所存であります。
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) 教科書採択に関します二点の質問にお答え申し上げます。
 まず、都教育委員会の実態調査等の対応についてですが、十月から十一月まで、区部及び多摩地域の教育委員会の教科書事務担当者からのヒアリングを実施しまして、各教育委員会に対する要請及び抗議等の実態を把握いたしました。各教育委員会は、その責任と権限を行使し、法令等に基づき、教科書採択が行われたものと認識いたしております。
 しかしながら、一部の採択地区では、教育委員に対する無言あるいは深夜の電話、教育委員会事務局職員に対する誹謗あるいは罵倒するような文書、脅迫まがいとも思えるような電話やファクシミリの送付などがございましたし、また、教科書の採択時に一部団体等が庁舎を囲んだり、庁舎内等でプラカードを掲げる等の行為もございました。
 一方、当教育委員会に寄せられました九千七百件を超える要請等の六割弱が、都外あるいは差出人不明のものであり、半分以上の五千件弱が、同一文面を用いるなど組織的な要請等と思われるものがございました。こうした状況は、各区市町村教育委員会に寄せられました要請等、約九千六百件ですが、ここにおきましても同様の傾向でございました。
 こうした実態は、これまでの教科書採択においては生じなかった事態であり、想定できなかった事態でございました。
 次に、都教育委員会の指導と今後の対応についてですが、お話のとおり、教科書採択は、教育委員会の権限と責任のもとで、公正かつ適正に行われるよう、適切に対応していく必要がございます。
 一部の採択地区で見られたようなさまざまな働きかけや組織的な行動につきましては、教育委員会等への圧力となったり、公正かつ適正な教科書の採択事務に支障を与えかねない事態と受けとめております。
 このような認識に立って、都教育委員会は、各教育委員会が外部からのさまざまな働きかけの影響を受けることなく、今後ともその権限と責任を行使し、教科書が公正かつ適正に採択されるよう、区市町村教育委員会を適切に指導してまいります。
   〔産業労働局長浪越勝海君登壇〕

○産業労働局長(浪越勝海君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、新しい緊急地域雇用創出特別交付金についてでございますが、このたび国が新たな交付金を設けたことは、厳しい雇用失業情勢が続いている中にあって、時宜を得たものであり、交付金の継続を求めた都の提案要求や、さきに決議された都議会の意見書にも沿ったものと考えます。
 今後、都として、現行の交付金事業の経験を生かしつつ、さらなる雇用創出の拡大を図るという新交付金の目的に沿って、適切に事業を推進してまいります。
 次に、新交付金事業の実施に係る条件についてでございますが、現在、都及び区市町村で実施する事業にあわせて、できるだけ多くの失業者の雇用につながるよう計画を取りまとめているところでございます。
 しかし、事業費の中で人件費がおおむね八割以上、失業者の雇用がおおむね四分の三以上という基準を満たすことは、現行の交付金と比較して、その執行において格段に難しいものがあり、ご指摘のように、実際の事業を進めていく上で相当厳しい制約になることが想定されます。
 今後、都としては、これらの点に関して、国に対し強く緩和を求めてまいります。
 次に、緊急の金融対策についてでございますが、この年末を控え、中小企業の景況は極めて深刻な状況にあるため、中小企業制度融資における緊急金融支援対策を早急に実施することとしたところでございます。
 その内容は、一つとして、健全な経営を行いながらも借りかえや追加融資が難しい企業に対しての短期緊急融資、二つとして、売り上げ減少などにより経営状況の厳しい企業への資金供給の増額、三点目として、取引金融機関の破綻等により影響を受ける企業等への融資の金利の引き下げ、四点目として、売り掛け債権を担保とする新たな制度融資の創設、五点目として、従来の返済をできるだけ一本化し、月々の返済負担の軽減を図る弾力的措置の五つの施策でございます。
 次に、売り掛け債権担保融資についてでございますが、現在、都としては、国の保証制度の整備に対応して、迅速に融資が行えるよう準備を進めておりますが、ご指摘のとおり、利用者の負担を軽減する必要があると考えており、信用保証協会に対して、信用保証料の引き下げを強く働きかけてまいります。
 次に、制度融資の改善についてでありますが、経済状況の変化に対応して、融資目標や融資条件を見直すとともに、効率的な資金預託を推し進めることは、極めて大切なことと考えております。
 現在、金融環境を踏まえた一般的な事業資金の量的な確保を工夫する一方で、セーフティーネット型融資や新産業、創業等に対する融資の拡充と、それに伴う預託配分の見直しに取り組んでおります。
 さらに、各金融機関における融資制度ごとの実績をきめ細かく把握をし、一層効率的、重点的な資金預託に努めてまいりたいと考えております。
 最後に、信用保証協会に対する指導についてでございますが、ご指摘のとおり、信用保証協会は、金融の円滑化に貢献すべき公的機関であり、都としても、制度融資における積極的な保証、利用者に対するきめ細かな対応を指導してきたところでございます。
 協会は、従来からも、積極的な保証による中小企業の信用力の拡充や、既往債務の返済に係る条件変更及び据置期間の延長にも、実情に即して機動的に応じているところでございます。
 今後とも、信用の創造や審査の迅速化を促すとともに、利用者の理解と納得が得られるよう、保証否決理由の通知や、苦情、要望への対応体制の整備等を通じた一層の改善を協会に対して強く指導してまいります。
   〔総務局長大関東支夫君登壇〕

○総務局長(大関東支夫君) 職員の給与に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、給与削減措置の延長及び厳しい内部努力の姿勢についてでございます。
 現在実施中の給与削減措置は、二年間の時限的措置ということで実施しているわけでございますが、都財政の状況や社会経済情勢を勘案いたしますと、来年度も延長すべきであると、このような考え方から、ぎりぎりまで労使交渉を行ってまいりました。
 しかし、同時に、人事給与制度見直しなどによる長期的な総人件費抑制策は、より重要でございまして、給与削減も含め、全庁一丸となって、改めて都政の危機に対処していくためには、ここで一たん仕切り直しをすることもやむを得ないと判断いたし、今後、都財政の状況いかんによって給与削減措置について再度協議することを条件に、労使合意による解決を最終的に選択いたしました。
 今回は、社会経済情勢が厳しいことを勘案し、特別職、管理職について引き続き給与削減措置を継続するとともに、これまで長年の懸案でありました一般職員の成績率、いわゆるボーナス査定制度を自治体として初めて導入いたしました。
 今後は、人事給与制度の抜本的見直しに取り組むとともに、平成十五年度までの五千名の職員定数削減計画を確実に実施してまいります。
 次に、今回の条例案についてでございます。
 現下の社会経済情勢や都財政の動向を考えますと、引き続き厳しい内部努力の姿勢を示すことは当然であり、特別職、管理職につきましては、来年度も給与削減措置を継続することといたしました。
 また、一般職員につきましても、都財政の状況いかんによって、給与削減措置を再度協議することを職員団体と確認してございます。
 今後とも、全庁一丸となって厳しい内部努力に取り組むとともに、引き続き、都民の期待にこたえていくためには、健全な労使関係の維持は不可欠であり、そうした中におきまして、最大限都民への姿勢をぎりぎり示せる選択を行ったと考えております。
   〔消防総監杉村哲也君登壇〕

○消防総監(杉村哲也君) 二点のご質問についてお答えいたします。
 まず、NBC災害に備えた体制でございますが、東京消防庁では、放射性物質や生物剤、化学剤など、いわゆるNBC災害に対応する部隊として、化学機動中隊を現在都内に十隊配備しております。
 化学機動中隊は、NBC災害に対応する各種測定器、防護衣等の資器材を装備し、この種の災害に対応しております。特に、地下鉄サリン事件を教訓に、七万種類の化学物質を分析できる質量分析装置を積載し、対応能力の強化を図っております。
 毎年、化学機動中隊の災害対応能力向上を図るため、教育、訓練を実施しておりますが、NBC災害発生時には、特に関係機関との連携が不可欠であることから、先般、医療機関等関係機関の参加を得て、テロによるNBC災害を想定した訓練を実施するとともに、訓練実施後、関係機関を交えて意見交換を行うなど、災害現場での連携確保を図ったところであります。
 次に、テロ災害の発生に備えた体制についてでございますが、東京消防庁では、国及び関係行政機関と連携し、ホットラインを活用した情報収集体制を確立し、テロに関する事前情報への対応や、災害発生時の迅速な初動体制を確立するため、テロ災害対策本部を設置し、全消防署において消防特別警戒を実施しております。
 消防署においては、市区町村や地元関係機関との緊密な情報連絡体制を確立するとともに、ポンプ車等に活動資器材を増強して、有事即応態勢の確保に努めております。
 特に、外国公館、東京国際空港等を管轄する消防署では、特定地域への消防車両の警戒配備の実施、テロ災害に備えた関係施設の警防計画の見直し、幹部職員の増強による署隊本部機能の強化などを行い、一層の有事即応態勢の強化を図っております。
 今後とも、東京消防庁の総力を挙げて、消防特別警戒に万全を期してまいります。
   〔水道局長飯嶋宣雄君登壇〕

○水道局長(飯嶋宣雄君) 危機管理に関する二点のご質問にお答えいたします。
 水道局におけるテロ対策の具体的取り組みについてでございますが、今回のテロ事件発生後、直ちに全施設の緊急点検を実施するとともに、巡回警備の増強や関係機関との連絡体制の強化などを行いました。
 さらに、浄水場への侵入防止対策につきましては、出入り口に加え、周囲さくのすべてを検知できるよう、赤外線式、荷重式などを組み合わせたセンサーを順次増設してまいります。
 また、劇毒物の混入への対策につきましては、直ちに反応する魚類の特性を生かし、これまで、浄水場に取り入れる入り口の地点及び浄水場から送水する大部分の出口の地点に毒物検知水槽を設置しておりますが、今後は、すべての送水系統の安全を確認できるよう整備し、常時監視する体制を強化してまいります。
 次に、浄水場のろ過池などの覆蓋化についてでございますが、ご指摘のとおり、ろ過池などの覆蓋化は、水道水への異物混入を防ぐ上で有効な方策の一つでございます。したがいまして、施設の実態などを踏まえて、早期に覆蓋化についての整備方針を策定し、順次整備してまいります。
 今後とも、水道水の安全確保を図るため、局を挙げて総合的な対策に取り組んでまいります。
   〔衛生局長今村皓一君登壇〕

○衛生局長(今村皓一君) 保健医療について、八点のご質問にお答えいたします。
 まず、牛肉の安全確保についてでございますが、都は、都民の食の安全を確保するため、九月十一日から、脳、脊髄等の特定危険部位についての販売自粛指導を行ってまいりましたが、十月十八日以降、狂牛病検査の東京ルールに基づき、都内のと畜場に入荷するすべての牛を対象にスクリーニング検査を実施し、安全を確認した牛肉のみを市場に流通させる体制を整えました。
 また、全頭検査以前に流通していた牛肉等については、九月末から飲食店等への緊急監視指導を行い、保管されていた特定危険部位について、すべてを焼却させております。
 今後とも、厳密な検査や監視指導を行い、正確な情報を都民に提供するなど、牛肉の安全確保に万全の措置をとってまいります。
 次に、多摩地域の保健サービスの再構築の基本的な考え方についてでございますが、地域保健を取り巻く環境の変化や地方分権の進展に伴い、都と市町村との適切な役割分担を踏まえた新たな地域保健サービス体制の確立が求められております。
 このため、都は、身近な対人保健サービス等について、市町村への事務移譲をさらに進めるとともに、より主体的な施策展開が可能となるよう、支援を充実させてまいります。
 都保健所につきましては、総合的な保健医療戦略の拠点として再編し、広域的、専門的、技術的機能を強化いたします。こうした都と市町村との新たな連携により、真に実のある多摩地域の保健サービス体制を構築してまいります。
 次に、事務移譲や権限移譲に当たっての市町村との協議についてでございますが、市町村への対人保健サービス分野の事務移譲や権限移譲は、地域住民の利便性を向上させるとともに、保健、福祉施策の総合的な推進に資するものであります。これらの事務移譲等を円滑に実施していくためには、ご指摘のとおり、市町村との合意が不可欠であると認識しております。
 今後とも、市長会や町村会と十分に協議を重ね、合意が得られるよう努めてまいります。
 次に、市町村に対する都の支援についてでございますが、さまざまな制度改正により、市町村は、住民に身近なサービスの実施主体として着実に力を備えてきており、住民ニーズに的確に対応した独自のアイデアや創意を生かした施策を実施してきております。
 今後、都は、市町村の自主性、自立性を尊重しながら、各地域の実情に応じた地域保健施策を支援していくために、新たな仕組みを構築し、多摩地域の保健サービスを総体として向上させてまいります。
 次に、病院整備等に果たす区の役割についてでございますが、東京都保健医療計画では、住民に身近な地域医療の確保については、基礎的自治体である区市町村の主体的な取り組みを基本とすることとしております。このため、区市町村では、初期救急医療体制の整備や、かかりつけ医機能の充実などに努めているところであります。
 ご指摘のとおり、今後、病院整備等についても、区が身近な医療を確保するため、さまざまな方策により積極的に取り組んでいくことは重要と考えており、必要に応じて関係区と十分協議してまいりたいと考えております。
 次に、ウイルス肝炎総合対策についてでございます。
 ウイルス肝炎は、医学の進歩等により、早期の治療で完治をも望める疾患となっております。このため、二つの報告書を受け、都民に対する正しい知識の普及啓発に努めるとともに、老人保健法に基づく基本健康診査にあわせて、肝炎ウイルス検査等を実施し、検査に続く医療が円滑にできるように、予防から早期発見、早期治療の一貫した体制づくりを行う必要があると考えております。
 次に、早期に医療に結びつけるための具体的取り組みについてでございますが、都においては、専門医の協力を得ながら、肝炎についての最新医学情報を積極的に医療機関等へ提供するとともに、検査の結果、陽性となった方に対して、肝炎の進行の程度などを判断するため、都独自に精密検査を実施し、早期治療へ結びつけていきたいと考えております。
 このため、地域におけるかかりつけ医、専門医及び関係機関の連携を強めていくなど、ウイルス肝炎の患者が適切な医療を受けられるよう、総合的なウイルス肝炎対策を講じていきたいと考えております。
 終わりに、難病医療費助成の対象についてでございますが、今回のウイルス肝炎対策は、最新の医学的知見を取り入れ、これまでの難病対策としてではなく、新たに感染症対策として、より効果的な体制に再構築しようとするものでございます。
 現在助成をしておる対象者につきましては、ご指摘の点も十分踏まえまして、適切な対応をしていく必要があると考えております。
   〔知事本部長事務代理次長三宅広人君登壇〕

○知事本部長事務代理次長(三宅広人君) 重要施策の選定と都財政の状況についてのご質問にお答えいたします。
 重要施策の立案に際しましては、各局に対して、それぞれ創意工夫により効果的な事業の立案をするよう求めてきたところでございますが、最近の我が国経済は一段と厳しいものになっております。
 今回の重要施策の選定に当たっては、来年度の都税収入が本年度当初予算を大きく下回るという厳しい財政状況を踏まえ、局間の垣根を越えた課題解決、少ない費用で大きな効果、先駆的な取り組みなどの視点から、来年度の都政の骨格となる重要課題の解決に必要となる事業を選定いたしました。
 個別事業の規模と経費につきましては、重要施策以外の事業を合わせた全体の予算編成の中で確定されることとなります。
   〔主税局長安間謙臣君登壇〕

○主税局長(安間謙臣君) 宿泊税の周知についてのご質問にお答えいたします。
 宿泊税を円滑に実施していくためには、納税者であるホテル等の利用者や関係業界の理解と協力を得ることが不可欠であると考えております。
 このため、旅行業界などのご協力をいただきながら、チラシやパンフレットなどを活用して、国内はもとより、海外からの旅行者等にも周知を図るほか、新聞、テレビなどにより幅広くPRに努めてまいります。
   〔都市計画局長木内征司君登壇〕

○都市計画局長(木内征司君) 六点のご質問にお答え申し上げます。
 まず東京外郭環状道路の整備効果についてでございます。
 外環の大泉インターチェンジから東名高速の用賀インターチェンジまで、現在、環状八号線経由で一時間から一時間半要しておりますが、外環が整備されることにより、この走行時間が十二分と大幅に短縮されます。
 また、環状七号線と環状八号線の交通量のうち、二割から三割が外環へ転換可能となりますから、両路線の慢性的な渋滞が緩和され、ひいては都内全体の渋滞解消を図ることができ、あわせて環境改善にも大きく寄与するものでございます。
 これらの結果、時間短縮効果や走行経費節減等の直接効果は、年間約三千億円と見込まれており、投資事業費を五から六年で回収でき、経済効果が非常に大きいものでございます。
 次に、小田急線の下北沢駅付近の連続立体交差化についてでございます。
 この事業は、ボトルネック踏切の解消や沿線地域の活性化を促進する上で重要でございます。また、既に複々線化事業が完成もしくは事業中の世田谷代田駅から和泉多摩川駅間の整備効果を十分に発揮させるためにも、残されたこの下北沢駅付近の早期事業化が必要でございます。
 このため、本年四月に都市計画素案の地元説明会を実施し、それ以降も地域住民との合意形成に努めてまいりました。引き続き、早期の都市計画決定に向けて、都市計画案及び環境影響評価書案を取りまとめ、近くこれを公表してまいります。
 次に、土地利用についての三点のご質問でございます。
 まず、その現状と課題についてでありますが、世界的な都市間競争が激化する中、東京のビジネス機能などの低下が懸念されておりまして、都心における社会的に老朽化したオフィスの建てかえなどを通じて、市街地の機能更新を図る必要がございます。
 また、都心居住の推進、木造住宅密集市街地の整備、良好な町並みの形成、河川や道路なども生かした緑の回復などにより、都市の魅力を高め、質の高い都市空間の形成を図る必要がございます。
 こうした課題に対して、都市再生を強力に推進し、競争力を備えた魅力とにぎわいのある国際都市東京の創造を図ってまいります。
 次に、今後の土地利用の取り組みについてでございます。
 業務、商業、居住、文化など多様な機能が集積した国際的ビジネスセンターの形成を図っていくため、民間の活力を生かせるような制度を整えていく必要がございます。
 このため、さきに公表した都市づくりビジョンでは、街区単位の新たな建築ルールを定めて民間活力を適切に誘導する街区再編プログラムや、日影規制の見直しなど、さまざまな提案を行っているところでございます。
 今後、これらの提案の実現を図るとともに、容積率の移転や割り増しを行う特例容積率制度や、都市開発諸制度などを有効に活用し、土地の高度利用を促進しながら、東京の再生を図ってまいります。
 次に、多摩地域の土地利用についてでございます。
 郊外の住宅地を、高齢社会に対応した三世代同居なども可能となる、ゆとりある居住地域として再生していくことも重要でございます。
 このため、用途地域等について、道路などの都市基盤の整備状況や敷地の規模等を勘案しながら、一定の見直しを行っていくことも必要であり、今後、東京都都市計画審議会における審議を踏まえ、地元市と協議しながら適切に対応してまいります。
 最後に、高速道路の料金問題についてでございます。
 中央道と首都高速道路は、設置主体や管理主体が異なっており、双方を通して利用する場合、料金の割高感があるのも現状でございます。このため、都としては機会をとらえまして、合理的な料金体系の実現を要請してきたところでございます。
 一方、現在、これらの道路の設置管理主体である日本道路公団及び首都高速道路公団などについては、民営化の方針が示され、その経営形態などについて検討が進められているところでございます。
 今後とも、ETCの普及促進といった技術的な手法の活用も含めて、より合理的な料金体系のあり方について論議が必要であろうというふうに思っております。
   〔港湾局長川崎裕康君登壇〕

○港湾局長(川崎裕康君) 東京港臨海道路第二工区整備事業への大幅な国費の導入についてお答えいたします。
 大田区城南島から中防外側を通り、江東区若洲に至るこの道路は、国際物流機能の強化、広域的な首都圏の道路交通の円滑化など、都市再生にとって重要な役割を担っております。
 都は、中防外側から若洲までの事業費約一千四百億円の第二工区について、国が直轄事業として整備するよう要望してきており、これが実現すれば、第一工区では、国の負担率が約一〇%であったのに対して、国の負担率が約六七%となり、大幅な国費の導入が図られることとなります。
 現在、国土交通省は、平成十四年度の新規直轄事業として概算要求しており、都としても、引き続きその実現に向けて国に強く働きかけてまいります。
   〔建設局長山下保博君登壇〕

○建設局長(山下保博君) 道路に関する二つのご質問にお答えいたします。
 まず、府中所沢線及び調布保谷線の整備についてでございますが、両路線は、多摩地域の骨格を形成し、道路交通の円滑化や地域の活性化に不可欠な幹線道路でございまして、車道の両側に十メートルの環境施設帯を設置するなど、質の高い道路として重点的に整備を進めております。
 府中所沢線の府中区間では、地元住民の意向を反映するため、道路予定地内に環境施設帯のモデル整備を行っており、平成十四年度には本格的に工事着手する予定でございます。
 調布保谷線においても、既に事業に着手した調布―三鷹区間で環境施設帯整備検討協議会を設置いたしまして、地域の特性に合った道づくりを関係住民と協働して進めているところでございます。
 また、未着手区間につきましては、今年度に西東京区間を、来年度には三鷹武蔵野区間を事業化し、全線で事業を進めていく予定でございます。
 今後とも、国費の拡大など財源を確保するとともに、地元市と連携を図り、関係住民の理解と協力を得て、両路線の早期整備に努めてまいります。
 次に、多摩地域におきます道路整備についてでございますが、多摩地域では、府中所沢線や調布保谷線などの南北道路を初めとする道路ネットワークを形成するとともに、交差点すいすいプランなどを推進することにより、人、物、情報の流れを円滑化することが大変重要でございます。
 同時に、水と緑が豊かな多摩地域におきましては、道路整備に当たり、ゆとりある歩行空間や緑の空間を積極的に創出するとともに、河川や公園との有機的な結合を図り、さらに魅力を高めていきたいと考えております。
 今後とも、快適な道路環境を創造し、二十一世紀の多摩地域にふさわしい魅力を持った道路づくりを進めてまいります。
   〔中央卸売市場長碇山幸夫君登壇〕

○中央卸売市場長(碇山幸夫君) 多摩地域の青果市場の整備についてでございますが、多摩都民に新鮮な青果物を安定的に供給するために、現在、地方卸売市場が大きな役割を担っていることは、ご指摘のとおりと認識してございます。
 多摩地域の地方卸売市場の整備につきましては、流通環境の変化に対応した施設整備を図れるよう、中核的地方卸売市場制度の活用を図るとともに、お話の東京都地方卸売市場施設整備事業費補助制度の改善に努めるなど、その支援策の一層の拡充に努めてまいります。
   〔福祉局長前川燿男君登壇〕

○福祉局長(前川燿男君) 福祉改革についてのご質問にお答えいたします。
 都が推進しております福祉改革の目標は、高齢者や障害者などが地域の中で可能な限り自立した生活を送ることのできる、真の意味での利用者本位の福祉を実現することでございます。そのため、現在実施している都独自の先駆的取り組みをさらに発展させ、改革を新しい段階に推し進めていく方針でございます。
 具体的には、従来の施設偏重の画一的な福祉を、地域のケアつき住まいを重視する方向に転換することを大きな柱とする考えでございます。来年度から、グループホームなどの整備に取り組む区市町村を用地確保の面から支援する暮らしの福祉インフラ整備事業を開始するなど、新たな施策展開を図ってまいります。
 同時に、ご指摘の福祉サービスの供給面につきましても、これまでの公立や社会福祉法人中心の体制を転換させ、企業など多様な供給主体の参入や、既存の供給主体の改革を進めることによって、サービス競争を推進していくことをもう一つの柱とする考えでございます。
 こうした考え方に基づきまして、高齢者、子ども、障害者など各福祉分野ごとに、さらに施策の具体化を図り、新しい福祉の将来像と、その実現に向けた道筋を早期に取りまとめてまいります。
   〔大学管理本部長鎌形満征君登壇〕

○大学管理本部長(鎌形満征君) 新しい都立の大学にふさわしい法人化についてのお尋ねでございますが、新しい大学におきましては、自主的、自立的な運営を確保する一方におきまして、競争原理に基づく能力・業績主義や企業会計の手法など、民間の経営感覚を導入することを可能にする独立法人化を実現し、これまでの大学運営を大胆に変えていきたいと考えております。
 具体的には、経営責任を明確にする観点から、国立大学の法人化の方向とは異なり、法人経営部門と教育研究部門を分離し、経営部門の責任者を設置者である東京都が選任する方向で検討いたします。
 また、これまで社会から閉鎖的と指摘されてまいりました教員人事につきましても、経営部門もそのプロセスに参加して適正化を図るほか、教育研究に対する評価を徹底するとともに、法人化のメリットを最大限に実現する観点から、教職員の身分の非公務員化についても、積極的に検討してまいります。

○議長(三田敏哉君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後二時五十二分休憩

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