平成十三年東京都議会会議録第十三号

○副議長(橋本辰二郎君) 九番福士敬子さん。
   〔九番福士敬子君登壇〕

○九番(福士敬子君) 財政の構造改革を進める取り組みの中で、知事は新たな都債の発行を抑制する方針を打ち出されています。この借金に頼らない財政運営を進めるという知事のお考えは、大変結構なことであると思います。そして、十二年度は都税の増収もあって、知事の方針は達成されました。
 では、十三年度はどうなのか。国においては、既に先月末、財務次官が、景気が下振れており、今年度税収見積もりを下回ることは避けがたいとの見解を示し、減収額は七、八千億円とも、一兆円ともいわれています。
 都税についても、昨日のご答弁のように、伸び率の低下と言葉を飾っても、結局、当初予算割れになることには違いありません。そのとき、知事はどのように対応されるおつもりでしょうか。
 ここで過去の対応を見てみると、平成三年度から十二年度までの十年間で、都税の決算が当初予算を上回ったのは八年度と十二年度のわずか二年にすぎず、あとは軒並み減収となっています。都はこうした事態に対し、平成九年度の一年を除き、すべて減収補てん債という新たな借金で歳入の不足を補ってきました。この結果、この間に発行した減収補てん債は合計一兆五千億円にも上り、その償還が今後の都財政と後年度の事業を圧迫することは、議論の余地のないところです。
 もちろん、都債は国と違っていわゆる赤字債ではありませんし、年度間の財源調整がその役割の一つであることも承知しています。過去の対応が一概に誤りだったというつもりはありません。しかし、少なくとも今は状況が違います。税収の伸びを安易に期待できない今、何としてもこれ以上借金をふやさないようにすべきです。
 知事は年度後半の財政運営に当たって、まず都税の収入の見込みを常に把握するとともに、予想される減収に対しては、減収補てん債で補うのではなく、歳出の削減に全力で取り組み、歳入に見合った執行に努めるべきであると考えます。
 歳入超過のときにだけ柔軟性を発揮した前倒しなどの対応を行うのではなく、長期低迷期における収入減のときにこそ、真に柔軟な対応と政治的解決策が問われます。例えば交通、道路事業において路線の競合などをチェックし、早急に必要と思えるもの以外を一時凍結する、また、景気対策のための公共事業が大きな効果を望めないことが明らかになりつつある中、知事がこれまでにもされたように、収支の見込めない公共事業に関する支出を思い切ってカットするといった対応を行うべきです。
 こうした取り組みは、最終補正予算が議会に提案される時期となっては、もはや手おくれであると思いますので、あえて今定例会でお尋ねをし、ご所見を伺います。
   〔財務局長安樂進君登壇〕

○財務局長(安樂進君) 福士敬子議員の一般質問にお答えいたします。
 十三年度の財政運営についてでありますが、十三年度予算につきましては、まだ年度半ばでもあり、現時点においては、都議会の議決を受け、都民に対する約束でもある歳出予算に盛られたハード、ソフトの各分野にわたる各種施策を確実に執行していくことが、第一義的に重要であると考えております。
 一方、景気のさらなる悪化が懸念されておりますが、今年度の都税収入の見込みは、昨日も主税局長が答弁申し上げましたが、十一月末の申告状況を見る必要があり、税収の増減も規模も明らかでない現在の段階で、直ちに歳出予算の削減について論ずるのは、時期が早いのではないかというふうに思っております。
 いずれにいたしましても、今後、税収の動向を十分見きわめながら、適切な対応を図ってまいりたいと思います。
   〔九番福士敬子君登壇〕

○九番(福士敬子君) 今のご答弁、赤字積み増しへの危機感がないようですが、ご自身が退任後の都政は関係がないというのでしょうか。適切な財政運営とは何なのか、もう一度お答えをいただきたいと思います。
 以上。
   〔財務局長安樂進君登壇〕

○財務局長(安樂進君) ただいまも申し上げましたけれども、現在の段階については、まだ議論の時期ではないというふうに思っております。
 実際に税収の減が明らかになったという仮定のもとでのお話だったと思いますが、そういう場合にとる手法は、選択肢が幾つもあるというふうに思うんです。それは、これまでのように予算を完全に執行するということで、いろいろな形の財源を確保する、そういう努力も必要だと思いますし、一方、そういう範囲内で賄えないという場合であっても、歳出の抑制等によって執行していくといういろんな選択肢があると思います。そういう中で議論すべきものと。現在はまだデータ不足であるというふうに思います。

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