平成十三年東京都議会会議録第十三号

○議長(三田敏哉君) 九十一番古賀俊昭君。
   〔九十一番古賀俊昭君登壇〕

○九十一番(古賀俊昭君) 世界を震撼させた去る九月十一日の米中枢同時テロについて、ブッシュ米大統領は同日、これは戦争だと声明を出しました。
 テロは、これまで、規模の大小にかかわらず、戦争とは区別されてきました。本来、戦争は、国家対国家が交戦資格を有する正規軍をもって戦火を交えるものという前提がありました。国際法も、この概念に基づきつくられています。
 このたびのテロは、戦争の概念が大きく転換したことを示しました。この大事件は、従来の考え方に立てば、戦争ではない。犯行者が国家ではないからです。だが、我々の目撃した大惨事は、まさに戦争そのものであります。
 このような、戦争ではないが実は戦争である、戦争のような、実は戦争でないという事態を、アザー・ザン・ウオーと呼んでいます。OTW、今の日本には、これに該当する言葉もなければ、これに備える研究も、組織も存在しません。我々は、従来の戦争に対処するだけでは、国家は国民も体制も守り切れない現実があることに気づくべきであります。
 一たん先端科学技術を手中におさめれば、一国家を優にしのぐ攻撃力を、非政府組織、非国家組織が所有する時代に我々はいるのです。こうしたテロ組織は、国境に関係なく、世界じゅうを戦場として、ごくごくわずかの人員で、国家の政治、経済の中枢を破壊させることが可能です。
 我々は、世界で初めて非政府組織によるオウムサリン事件に見舞われています。この不特定多数の人たちをねらった卑劣な毒ガステロの攻撃に対して、政府がとった対応策は、鉄道駅構内のごみ箱を半年間撤去させたことだけでした。
 不審船は領海を侵犯し、かつ日本人が拉致される。我が国でも、既にOTWは起きているのです。この国は、どんな目に遭ったら、テロリストを国家、国民の敵とみなすのでしょうか。
 石原知事は、所信表明において、ワシントンで事件に遭遇し、首都の知事として強い衝撃を受け、多く教訓を得たと述べました。この悪夢としかいいようのないテロについて、知事の所見と教訓について少し具体的に教えていただきたい。
 私は、ここで石原知事に提案とお願いをします。
 今回のテロでは、発生直後に現場に駆けつけたニューヨーク市の警察、消防署員の約三百五十名も犠牲になったと伝えられています。ミズーリ州の消防当局は、殉職者を追悼するブロンズ像をニューヨーク市に寄贈し、それには、運命によっては命を落とすこともと、消防士の気概を示す文章が刻まれています。市民は、花束やろうそくを手向けて、追悼、感謝の気持ちをあらわしています。
 この東京にも、同様に、生命の危険と隣り合わせの任務を遂行している人たちがいます。警察官や消防官として公務についている人たちです。
 去る八月二十六日、世田谷の路上で、大型ナイフを持った男の凶行によって、通報で駆けつけた警察官の方が刺殺されました。
 こうした旺盛な責任感のもと、身の危険を顧みず、任務遂行中にその職に殉じたみたまをお祭りした慰霊施設が日本武道館の横に設けられています。彌生慰霊堂がそれです。ここには、警視庁七百九十九柱、東京消防庁四百六十三柱、警防団千二百二十八柱など、合祀者二千五百三柱が祭られており、毎年、日本近代警察の礎を築いた川路利良大警視の祥月に当たる十月に慰霊祭が斎行されています。私たちは、東京の長い歴史の中に、かかるとうとい献身と、遺族の深い悲しみがあったことを忘れるべきではありません。
 私が知事にお願いしたいのは、この慰霊式への参列です。殉職された方々の功績を顕彰し、最愛の肉親を失ったご家族を慰め、励ます、そして警察、消防の任に当たる職員の自覚と士気の高揚を図る上からも有意義だと信じるからです。
 警視総監にも要望があります。
 もともとこの彌生慰霊堂は、創建当時明治十八年には彌生神社と命名され、大東亜戦争後にGHQの神道指令によって彌生廟と改められましたが、戦前戦後を通じて、合祀、慰霊祭は神道祭式に変化なく、昭和四十七年の連合赤軍浅間山荘事件で殉職した警察官の合祀祭も神道祭式で行われました。
 ところが、昭和五十八年に無宗教方式に変更されました。私は、我が国の伝統を踏まえた形式について再検討すべきであると思います。要望を述べておきます。
 次に、多摩都市モノレールの経営安定化についてです。
 多摩都市モノレールは、平成十二年一月、多摩地域を南北に結ぶ初めての公共交通機関として、多摩センターから上北台駅間、延長十六キロメートルが全線開業しました。
 今年度、四月からの第一・四半期は一日十万人を超える利用者を数え、目標の一日十一万六千人まであと一息のところまでこぎつけており、多摩の新しい交通手段として、地域の発展に資するとともに、都民の足としても定着しています。
 しかし、巨額の初期投資を必要とする事業の性格から、青息吐息の経営状態が続き、経営の早期安定化が最大の課題となっています。現に平成十二年度の決算では、三十六億五千万円の損失を計上しています。もちろん多摩都市モノレール株式会社みずからの経営努力は当然ですが、沿線五市でも、資金の貸し付けや固定資産税の二分の一減免等の支援を行っています。
 これに加えて、昨年四月から路線バスの車体広告が解禁となり、大幅な広告収入増を生み、都バスの収支状況の改善に寄与していることから、多摩都市モノレールに関しても、新たな増収策の一つとして期待が高まり、屋外広告物条例施行規則の改正内容に関心が集まっていました。
 ところが、本年三月に東京都広告物審議会から最終答申が行われ、これを踏まえて、去る八月に示された規則改正案の内容は、鉄道についても車体広告を解禁するが、面積は車体各面ごとに十分の一を上限とするもので、バスの屋根を含めて全面積の十分の三と比べて、大変厳しい基準となっています。
 石原知事の肝いりで昨年解禁となった都バスの車体広告は、経営収支の改善にいかなる効果をもたらしたのか、お答えください。
 また、鉄道の車体利用広告がバスと比べて厳しい基準となっている理由と、決定までの経緯、そして、新規則の施行予定はいつなのか、伺います。
 続いて、現在、多摩都市モノレールでは、多摩動物公園の動物、キリンやコアラを描いた車両を運行しています。都を代表する公共施設の広告であり、沿線の、特に子どもたちにも親しまれています。
 この車体広告は十分の一の基準を超えていると思います。このまま残そうとすれば、キリンの首を切断しなければなりません。(笑声)このような地域になじんだ広告は、引き続き表示できるように配慮すべきであると考えますが、見解を伺います。
 要望を述べておきます。
 先行実施したバスの車体広告が、たまたま一部手直しが必要になったからといって、地表を走るバスや電車と違い、地上十メートルから二十二メートルの高い場所を走行するモノレールがバス以下の一〇%の基準では、広告が小さく、見劣りするのは論をまたないではありませんか。「羹(あつもの)に懲りて膾(なます)を吹く」では困るのです。
 多摩都市モノレールの経営の安定は、非常に重要な課題です。次期整備路線の上北台―箱根ヶ埼駅間の事業化も、現路線の経営の健全化が前提となっているからです。経営改善策の一つである車体広告が今後十分に活用できるよう、特段の配慮を要望します。
 次に、多摩川の水環境についてです。
 これまで多摩のまちづくりは、二十三区との格差是正の視点から取り組まれ、例えば三多摩格差八課題の一つである下水道も、平成十二年度末で、水洗化率で、普及率は八七・八%となりました。
 私自身も、日野市の下水道事業を促進するため、流域下水道の浅川処理場の建設や、流域下水道幹線として日野幹線を整備するなど、下水道の整備普及に力を注いでまいりました。
 しかしながら、日野市はまだ普及率は六七・七%で、多摩地域の平均を大きく下回っており、今でも、豊田駅前、日野駅前周辺をくみ取りの車が走り回っています。この原因は、平成九年まで二十四年間続いた共産党市長の怠慢と能力の欠如によるものですが、今日、健全市政に転換させて二期目を務める馬場市長は、意欲的に普及促進に取り組んでおり、私も協力してまいりますので、都の一層の支援をお願いをしたい。
 自然の魅力にあふれた多摩地域では、より充実した水環境の保全と回復に向けた施策の組み立てが重要です。
 都は、本年八月、自立と連携を基本理念に、今後十五年間を目標に据えた基本構想を策定いたしました。この中で、豊かな自然や広大な河川空間を有する多摩川を活用していくと述べてありますので、これに関し伺います。
 本年三月に、多摩川について、国は水質汚濁に係る生活環境の保全に関する環境基準の水域類型の指定を見直し、環境基準を従来より厳しくしました。具体的には、多摩川中流域では、フナやコイがすめる水質のC類型から、アユがすめるB類型へ、また、下流域でもD類型からB類型へと引き上げられ、水質が着実に改善されていることが証明されています。
 多摩川の中流域では、多摩川の水量の半分近くを下水処理水が占めていると仄聞しています。ふだん多摩川が、小作、羽村両取水堰から大量の水を取り入れているにもかかわらず一定の水量を保っているのは、下水処理場から処理水の貢献があるからであります。実際に、多摩川両岸には都の下水処理場六カ所が建設されています。
 多摩川の水辺空間をより快適にしていくため、これらの処理場から多摩川に放流されている処理水の水質改善がかぎを握っているのです。この点について都の施策展開はどうなっているのか、伺います。
 最後に、多摩ニュータウンについてです。
 多摩ニュータウンは、都施行の新住宅市街地開発事業により造成工事が約九六%まで進み、収束段階にあります。そして、今や人口十九万人という、調布市や渋谷区にも匹敵する都市が形成され、また、開発利益により京王線や小田急線が延伸されるなど、高い水準の都市基盤の整備も、豊かな緑の中で進められてきました。
 今後、都は、地元市を中心として、まちづくりの最後の総仕上げに向けて着実に取り組んでいかなければなりません。
 こうした中で、本年五月、青山副知事と地元四市長、そして都市基盤整備公団理事が一堂に会し、多摩ニュータウンの今後のあり方などを話し合う多摩ニュータウンサミットが開催されました。このサミットでは、引き続き都の積極的な支援を求める声が上がっていましたが、今後都は、この多摩ニュータウンのまちづくりにどのように関与し取り組んでいくのか、伺います。
 また、多摩ニュータウンの中でも、西部地区の拠点である京王相模原線の南大沢駅周辺は、昨年秋のアウトレット・モールの開業とも相まって、にぎわいのあるまちが形成されつつあります。
 ところが、このまちづくりの一翼を担ってきた都の監理団体である株式会社多摩ニュータウン開発センターは、平成六年度から債務超過となり、多額の累積損失を抱え、結局、金融機関との再建策についての協議も不調に終わり、経営破綻に陥りました。
 現在、会社は通常どおり営業していますが、同時に民事再生手続が進められており、この関連で、今定例会に都の八十五億円の債権放棄を内容とした議案が提出されています。
 今回の手続は、都が問題を先送りせず抜本的な改革に着手した点で、評価できるものであります。が、多額の都の債権放棄を含めた措置を講じている以上、会社再生計画の失敗は許されません。万が一にも会社が破産となれば、地域住民の日々の生活に極めて大きな影響を与えることは明白であります。
 そこで伺いますが、この会社が多摩ニュータウン開発の中で担った役割と会社再建のための具体的な方策について、明確な答弁を求め、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 古賀俊昭議員の一般質問にお答えいたします。
 今回の同時多発テロについての所感でありますが、これはまさしくアメリカにとって大きな危機が瞬間的に到来したわけでありまして、先ほどの答弁で申しましたが、危機、クライシステラー、ギリシャ語が原語だそうで、クリース、つまり、突然事態が変わるという意味だそうでありますが、私たち、こういう出来事の背景にどういうものが複合的にあるかということを冷静に分析して、これを何と呼ぶかという、そのための新しいコンセプト、概念というものを自分で持つべきだと思います。
 私はこれはやはり戦争だと思います。というのは、私は正月にスイスのダボスの会議に招かれて行きまして、私自身三つほどのセッションに出ましたが、最終日に行われた、みんなが一番注目したセッションは、パレスチナのアラファト議長と、非常にアラブに好意的だったといわれる、シモン・ペレスという以前の首相との対談でありました。
 聞いておりまして私が感じたのは、最後に際どい話のところまでいきますと、両方とも肩をすくめて、それぞれの身内の過激派が何をするかはもう抑制できないといって、論がそこでフェードアウトしてしまう。
 私、そのときに強く感じたのは、専門家が指摘している、当然イスラエルは核兵器を開発して、それを運ぶミサイルを所有しておりますね。一方アラブも、どの程度のミサイルを所有しているか知りませんが、いずれにしろ化学兵器も開発し、あるいは購入し、特に専門家が注目しているのは、ソビエト時代にソビエトが開発したスーツケースに入る簡単な原爆が、二十五個ですか生産され、そのうち四つか五つ行方不明で、これはだれが買ったかということですけど、大体その憶測もついている。
 その憶測を踏まえてのはらはらするようなハリウッド映画が幾つもありますが、いずれにしろ、そういうものが行使されるという恐怖というものがお互いに働いて、それが抑止力として働いて、従来だったら、今度の新しい首相が就任した後の出来事をつないでいきますと、それはイスラエル側ですが、私は当然、過去に三度あった戦争と同じ、第四次中東戦争が始まらなくてはならないと思いますが、それが始まるべくして始まらないでいるというのは、つまり、彼らが持っている非常に危険な多量殺りく型の兵器というものが抑止力として働いている。
 つまり、その抑止力というものが、今日、形を変えた形で、あの同時多発テロというものを一種の代理戦争として勃発させたと、私はそう思いますし、その分析はそう間違いじゃないと思います。ということならば、これが今後も一種の代理の暴力行為として反復される懸念というのは優にあると思う。また、そう想定することが、私は国を預かる政治家たちの当然の想像力の所産でなくてはならないと思いますけれども。
 いずれにしろ、私がたまたまワシントンにおりまして目撃したことは、三機の飛行機がああいう自爆を行い、そしてペンタゴンと貿易センタービルという、非常に中枢の経済機能を持っているビルディングが破壊されました。
 四機目の飛行機がいるということでしたけど、これがフィラデルフィアですか墜落しましたけど、正式な発表はありませんが、これは恐らくワシントンのホワイトハウスかキャピタルを目指していて、空軍によって撃墜されたらしい。それは発表は正式にされないでしょうし、また証拠もないでしょうが、ただ墜落するだけで、あれだけの大きな飛行機があんなに粉々に飛び散って地上に落ちてくるわけはない。
 そうすると、やっぱり、もしもそれが本来のターゲットに命中していたとしたなら、これはホワイトハウスの場合には、瞬間的に国家の機能は麻痺すると思いますし、キャピタルにしても、なお象徴的に――貿易センタービルが爆撃されるよりも、もっと象徴的な出来事になったでありましょう。いずれにしろ、あの貿易センタービル・ツインタワーとワシントンのペンタゴンが巨大なジェット機によって、しかもペンタゴンというのはわずか五階建ての建物ですから、これをあれだけの大きな旅客機で命中するということはなかなか難しいですよ、小型飛行機と違って。それをあえて行い、しかも成功した。その意志と暴力行為の精度というのは非常に高いものだと私は思いました。
 それで感じたことは、とにかく三日か四日、アメリカは完全に麻痺しました。わずか二カ所を痛撃されることで、アメリカはとにかくすべてのアクセスが動かなくなりましたから。完全に麻痺して、あれだけ大きな機能的な国家がへたり込んで、麻痺してしびれたまま、当分動かなかった。そういう状況というものは非常にやっぱり恐ろしいというか、アメリカ人にとって未曾有のものでありまして、私たちはある意味でいいもの、恐ろしいものを見たなという印象が非常に強かったのですけれども。
 そして、それに対するいろいろ認識が広がっていきますと、これは第二の真珠湾だということをいい出した人がいた。私は、あのハドソン研究所のハーマン・カーンが創設した――ハーマン・カーンが知己だったもので、そういう縁もありまして、呼ばれていろいろ、その手引きでワシントンの領事に会いましたし、会う予定でしたが、私は、ですから、そこですぐ、向こうの政治家や政府を陰で動かしているというんでしょうか、影響力を持っているハドソン研究所の幹部に申しましたけど、これはやっぱりパールハーバーじゃないと。君らこれは何に酷似しているかといったら、あなた方が広島、長崎に落とした原爆と全く同じ性格のもので、これは非常に無慈悲な、本当に未曾有の残虐な行為であって、それは決して真珠湾攻撃ではない、本質的には原爆投下と同じものだと。ただ、これを行った人間が今度は違ったと、被害者がアメリカになっただけの話であります、という認識を私は述べましたら、まあ苦笑いで相手は聞いておりました。
 いずれにしろ、だれがどうしようと、現実にこういう出来事が起こった。これはやっぱり私たちは、新しいタイプの出来事として、それをどういう呼称で呼ぶかは別にして、これからこれがまた優にあり得る事件として起こったという認識を持たなければ、これに対する正確な、効果のある対処はできないと思います。
 今、大体国会周辺でやっている議論というのは、先ほど申しましたが、これは憲法に妥当するかしないか、政府の今度とった新法は何であるかかんであるかという議論ばかりでありまして、私は余り憲法を評価しませんけれども、国家の基本法となっておりますが、あの前文、恐らく皆さん覚えていらっしゃらないでしょうけど、非常に奇矯な醜い日本語で書かれています。ある意味では間違いの日本語ですけど。下手な英文和訳のような日本語であります。
 前文のその中に、我々は、世界のすべての国民がひとしく恐怖と欠乏を免れる権利を確認する、というおかしな文章。まあ意味はわかります。つまり、これはまさしく、世界に到来した新しい恐怖でありまして、それを免れようとする努力を私たちは憲法の前文で確認しているんですから。アメリカもその努力をするでしょう、NATOもするでしょう。また日本も、ある場合には、犠牲に供される可能性は優にあるし。
 現に、相手は違うけど、北鮮のテロ行為によって横田めぐみさんは十歳でかどわかされて、十年以上抑留されている。警察庁の認識では、百五十人以上の日本人が南米やヨーロッパで拉致されたまま北鮮に人質としてとめられて、日本の政府はそれを取り戻すために、米は送ったことがあるけれども、何らそれ以上の努力をしなかった。こんな不思議な国はないですな。アメリカ人にその話をすると、うそだろうと、専門家までが否定するけど、それは日本の警察庁が挙げている数字ですよ。
 そういう現実というものが私たちの周辺にあるということを、私たちは厳しく冷静に認識する必要があるし、そしてまた新しい恐怖が到来したという、そういう事実認識を正確に持った上で、私たちはこれに対処する措置を講じるべきだと思う。
 私は、そういう意味で、今度の政府のとった措置は、日本の政府にしたら速くやったなという感じがしますよ。まあそのために私もある力をかしましたし、新しい情報もある人を通じて入れましたし、あとは政府の決めることでありますから。しかし、私は、これから多分国会で繰り返される議論に比べれば、はるかに今回の政府の措置は実質的で、日本の国益を保持するために有効な具体的な案だと思っております。
 ちょっと長くなりました。せっかく皆さんいろいろ関心がおありだと思いますから。とにかくこの際、あの醜い日本語で綴られた憲法の前文を読み直してみようじゃないですか。書かれているんだ。我々は、すべての世界の国民がひとしく恐怖と欠乏を免れる権利を持つことを確認する、です。
 私たち、アメリカごとじゃなしに私ごととしても、やっぱりこの新しい恐怖の到来というのを冷静にとらえる必要があるのじゃないでしょうか。
 その他の質問については、関係局長からお答えいたします。
   〔交通局長寺内広壽君登壇〕

○交通局長(寺内広壽君) 昨年から新たに導入いたしました車体利用広告が、都バスの経営収支にもたらしました効果についてのお尋ねでございますが、平成十二年度決算におきましては、その広告料収入は約六億円でありますが、従前の車体広告板の収入が減少することから、これを差し引きますと、約四億円の増収となり、バス事業にとって貴重な財源が確保されたものと考えております。
   〔都市計画局長木内征司君登壇〕

○都市計画局長(木内征司君) 車体利用広告についての二点のご質問にお答えします。
 まず、電車広告についてです。車体の類型に応じた規制の緩和をするに当たっては、交通安全や景観に配慮する必要があると思います。そうした配慮を加えた上で、電車について、昨年四月の路線バスに続き、十月中旬から規制の緩和を行う予定でございます。
 なお、電車は表示可能面積が広く、景観に対する影響も大きいことや、近隣県市の規定とのバランスも考慮し、東京都広告物審議会の議を経て、バスと比較して、面積割合を限定することといたしました。
 次に、多摩都市モノレールの車体利用広告についてでございます。
 ご指摘の動物をデザインした広告は、公益性も高く、営利を目的としないことから、屋外広告物条例に基づき特例で許可したものであり、沿線住民からも親しまれ、デザイン的にも優れていると評価されております。
 モノレールも含め、電車の車体利用広告については、十月に規則を改正することとしておりまして、その中で非営利的なものや、自治体が表示する地域振興的な広告などについては、一般の広告よりも表示面積の規制を緩和することとしており、現在の広告についても、引き続き表示できるものでございます。
   〔下水道局長鈴木宏君登壇〕

○下水道局長(鈴木宏君) 多摩川における下水処理水の水質改善についてのご質問にお答えいたします。
 お話しのように、多摩川の中流域では、河川水量の五五%を下水処理水が占めております。多摩川の水質を改善していくためには、未整備地域の早期解消とともに、下水の高度処理を一層推進する必要がございます。このため、北多摩二号、南多摩、八王子の三処理場に加えまして、本年度中に、浅川及び多摩川上流処理場におきましても、高度処理施設を一部稼働させてまいります。
 また、合流式下水道で整備されている地域におきましては、雨水貯留池の整備を行い、雨天時の河川への放流水につきましても改善していくこととしております。
 今後とも、下水処理水の水質改善を進め、多摩川の水環境の保全に努めてまいります。
   〔多摩都市整備本部長石河信一君登壇〕

○多摩都市整備本部長(石河信一君) 多摩ニュータウンのまちづくりについてでございますが、多摩ニュータウンは、今まで行われてきました道路や公園などの基盤整備によりまして、住む、働く、学ぶ、憩うという四つの機能を持った新しいまちを形成する条件が整っております。
 今後、都といたしましては、残った宅地の販売を進めていくことになりますが、販売に当たりましては、地元市の意欲と自主性を尊重したまちづくりができるように、例えばIT関連企業やベンチャー企業などの立地誘導に配慮してまいります。
 また、販売前の土地を貸し付けることによりまして、土地の有効利用とあわせまして、まちの活性化や利便性の向上を図ってまいります。
 さらに、四市にまたがっておりますニュータウンの住民の一体感を高めるために、インターネットを活用した生活情報システムの構築や、図書館などの公共施設を相互に利用できるようにするなど、地元市を中心とする地域連携の取り組みを積極的に支援してまいります。
 次に、株式会社多摩ニュータウン開発センターについてでございますが、この会社は、多摩ニュータウンの事業を推進するために、昭和六十三年に設立されたものでございます。京王相模原線の南大沢駅前にビルを建設いたしまして、そこに、住民の生活に欠かすことのできないスーパーマーケットや銀行、診療所等を誘致して入居させております。
 今日では南大沢駅前周辺は多くの商店が進出しておりまして、にぎわいを見せております。これによりまして、住民の生活の利便性は格段に向上しております。
 しかしながら、開業当時の平成四年には、居住人口も少なく、その後の社会経済情勢の変化もありまして、一度入居した主要テナントの相次ぐ退去などによりまして、賃料収入が大幅に減少いたしまして、債務超過の状態が継続しておりまして、このままでは自主的な再建が困難なことから、今回、民事再生手続に踏み切ったものでございます。
 今後、会社は、再生計画に基づきまして負債を圧縮し、それと合わせて、優良テナントを誘致し、また経費の削減に努めることにより、再建に取り組んでいくことになります。
 都といたしましても、宅地販売を促進いたしまして、まちのポテンシャルを高めることにより、会社の再建を支援してまいります。

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