平成十三年東京都議会会議録第十三号

○議長(三田敏哉君) 九十五番立石晴康君。
   〔九十五番立石晴康君登壇〕

○九十五番(立石晴康君) 米国中枢部をねらった同時多発テロ事件について、ちょうど私は二年ほど前、ニューヨーク市のBIDについて、同僚矢部議員と二人で同市に行き、調査した際に寄った東京都ニューヨーク事務所は、当時、世界貿易センタービル北側七十九階にあったことを、このニュースを聞いたときにとっさに思い起こしました。同事務所は、昨年の三月末に閉鎖されました。つまり、ハイジャック一番機の激突したビルにあったことになります。また、石原知事ご自身も、ワシントン・ペンタゴンに事件の前日に訪れたと聞き、大変驚きました。
 この米国のニューヨークとワシントンをねらった同時多発テロは、東京都民を含む日本人の多くも犠牲になりました。国際テロリスト集団による卑劣な大量破壊、大量殺人は、世界全人類の共通の敵として、断じて許すことのできない暴挙であります。
 事件の首謀者と見られるイスラム過激派の指導者、オサマ・ビンラディンを中心としたテロ集団の撲滅に向けて、米国を中心に、NATO各国も臨戦態勢を整えています。我が国も、米国の同盟国としてだけでなく、直接被害をこうむった当事国として、テロ撲滅のために行動しなければならないと思います。
 一方では、イスラム過激派グループの日本潜入の可能性も一部報道されており、東京がテロの標的にさらされているという事態も、決して可能性の低いことではありません。
 そこで知事に、米国の同時テロに関連して、これまでの政府の対応や都としてのテロの脅威をどのように受けとめておられるか、ご所見をお伺いいたします。
 悲惨なテロ事件の中で、アメリカ国民の献身的な行動が報道されています。中でも、ピッツバーグに墜落した航空機に乗り合わせた男性乗客の行動には胸を打たれました。この男性は、ハイジャックされた航空機の中で、実家にいる妻と携帯電話で連絡をとり、ニューヨークの大惨事を知りました。そこで、自分たちの航空機が地上の大惨事を防ぐために、みずからの命をかけてテロリストと戦ったということです。
 翻って、我が国の現状を見ると、国民の中に、知事が所信表明でも述べたように、他人に対する無関心や自己中心的な考えが蔓延しているように見受けられます。
 知事は、今回のテロ事件に関して、米国国民の勇気ある行動、献身的な行動を見聞きしておられると思いますが、我が国の社会風潮と対比しての感想をお聞かせください。
 次に、米国中枢部の同時テロでは、巨大な超高層ビル崩壊という想像を絶する破壊で、空前の犠牲者を出しました。東京都としても、災害現場での民間救急車両等の平常時での実地訓練などはぜひ必要と思いますが、所見を伺います。
 次に、教育問題についてお伺いします。
 初めに、ことしの夏は、新しく採用される中学校の教科書採択をめぐって国民的な議論を呼びました。東京都では、石原都知事の指導力のもと、これまで現場の教師に任せていた教科書の選定を、教育委員会が責任を持って選定に当たるという機運が高まったことは、学校教育正常化の一環として高く評価できます。
 しかし、ある区などでは、特定の教科書の採択に反対するグループが、教育委員会の審議会場である区役所を取り囲んで圧力をかけるという光景が見られたと仄聞しました。
 我が党の代表質問でも伺ったところですが、正確な実態の把握に努めるとともに、より正常な雰囲気の中で適正かつ公正な教科書採択が行われるよう、さらに各区市町村教育委員会への指導等に努めていく必要があると思いますが、所見を伺います。
 次に、学校の現場で父母の間に広がっているのが、教師に対する不信感であります。特定のイデオロギーを植えつける偏向教師に加えて、子どもに対するわいせつ行為など、教師の犯罪も増加しています。ある県では、携帯電話で呼び出した女子中学生に手錠をかけて、車から逃げようとした中学生が転落死するという痛ましい事件を引き起こした中学教師もいました。子どもたちの人格形成や進路に重大な影響を及ぼします。そこで、教師の採用には、より慎重な対応が求められます。
 今年度から、新卒者だけでなく、実社会で一定期間実績を積み、人格、見識ともに評価を得ている人を中途採用するといった方法を実施したと聞きましたが、このような人物をより積極的に採用すべきではないかと思いますが、ご所見を伺います。
 花の都フランスはパリ、古都イタリアのローマなど、首都は、文字どおり国の顔であります。低迷する我が国の経済を立て直し、夢と希望に満ちた暮らしを実現していく上で、大都市に政策の目を向けることが大切です。
 小泉内閣は、首都東京を活力と魅力にあふれる都市としてよみがえらせようと、都市再生本部をつくりました。これはまた、知事が進める千客万来の東京の実現として、軌を一にする政策であります。
 そこで、東京再生のためには、まず、海外から人を迎えるための羽田空港、成田空港からの交通アクセスが一層充実していなくてはなりません。
 都市再生本部の第二次プロジェクトの中に、都営浅草線の東京駅八重洲口接着等の整備プロジェクトがあります。都は、この構想の実現に向けて、二カ年ほどかけて具体的整備方策を検討するとしていますが、一日も早い実現を望みながら、このプロジェクトの実現によってどのような整備効果が期待できますか、お伺いいたします。
 次に、名橋といわれる日本橋や、日本橋川の上空を覆う首都高速道路を、近い将来訪れる更新の時期をとらえて地下化し、江戸東京の保存、復活をさせることは、東京の魅力をさらに高めることとして、ぜひとも大切なことであると思います。同時に、将来世代に引き渡す責任も私たちは持っていると考えます。
 都も参加している首都高速道路のあり方検討委員会が本年四月にスタートしましたが、その検討経過をお伺いいたします。
 次に、今の時代、東西を問わず、ツーリストはバスを重要な移動手段として利用しています。東京の場合、主要なターミナルである東京駅周辺に観光バスを駐車するスペースがありません。唯一ある旧都庁の丸の内第二庁舎跡地も、来年三月には廃止すると仄聞しています。
 東京の都市観光の振興を図る意味からも、この場所での駐車場の存続を強く求めるものでありますが、見解を伺います。
 次に、青空と水の都と呼べる首都東京をつくるため、幾つか質問いたします。
 自動車による大気汚染について、知事は積極果敢に諸政策を実施してきましたが、さらに、大気の環境を改善し、きれいな青空を取り戻すため、交通需要マネジメントの推進を図ることによって、交通量そのものの抑制や交通量を平準化していく必要があると考えます。
 都では、昨年二月のTDM東京行動プランを取りまとめ、交通需要マネジメントの各諸施策を進めていると思いますが、その取り組みについてお伺いいたします。
 次に、また一方、水質の浄化についてお伺いします。
 東京の都市活動、都市生活で消費されたほとんどの水は、下水道を利用して、最終的には東京湾に流れ込んでおり、東京の水環境の改善にとって、隅田川を初め東京湾の水質改善は大切であります。
 過日も、マスコミに大きく取り上げられた通称オイルボール、白色固形物が大雨の後に隅田川、お台場に漂着、汚染しているとの報道がありました。また、雨天時放流水が大腸菌等でふだんの百倍から千倍で汚染されていると、海上保安庁、東京都などの合同調査で明らかになったと報道されています。都内では、中央区にある箱崎ポンプ場などが例示されています。
 水質改善を進めるには、合流式下水道の改善が必要です。都では、この下水道の問題にどのように取り組もうとしているのか、お伺いいたします。
 次に、下水道のみならず、東京湾の水質改善のためには、環境政策、河川政策など、都の総力を挙げた総合的取り組みが必要であります。都は、どのように実現していこうと考えているかをお伺いいたします。
 次に、我が党は、都営住宅の建てかえにおいては、民間の創意と工夫を生かすことが重要であるという観点から、南青山一丁目団地建てかえプロジェクトの方向性について、たびたび本会議で取り上げてきました。八月には、このプロジェクトの具体的な事業方針が公表され、このプロジェクトは、国においても都市再生プロジェクトに位置づけられています。
 私は、この取り組みが東京の潜在力を引き出し、活力ある都市の再生に貢献するとともに、都心居住を推進するものと大いに期待しています。
 そこで、南青山一丁目団地建てかえプロジェクトは、都が全国で初めて実施する事業手法によるものとのことでありますが、その意義についてお伺いします。
 次に、都心で居住を続けるためには、住宅のみならず、生活関連施設や福祉施設等が必要であり、中でも、少子高齢社会に向けた保育園や高齢者グループホーム等の整備の仕組みづくりが大切であると考えます。当プロジェクトでの考え方をお伺いいたします。
 次に、都心区においても、若いころは都営住宅に住み、所得がふえて、公社や民間住宅等に移り、年をとってからも住みなれた地域に住み続けられるような仕組みづくりがこれからの住宅行政には必要であると、私は常々主張してきました。
 今後、だれもが住めるような都心居住を実現していくためには、南青山のプロジェクトのように、都営住宅敷地を初め公社住宅敷地などの公有地を活用して、民間の知恵と創意工夫を生かしながら進めていくべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、地下鉄大江戸線勝どき駅出入り口増設の問題です。
 大江戸線は、昨年十二月に全線開業し、駅周辺では民間都市開発プロジェクトの活性化による業務機能の強化、都心居住の進展が図られ、都市再生に大いに寄与しております。特に中央区の勝どき駅付近では、晴海アイランド、トリトンスクエアがこの春オープンし、約四千人が暮らし、二万人が働き、連日数多くの人々が訪れるなどの新たなにぎわいのあるまちとなりました。
 しかし、最寄り駅である勝どき駅では、ラッシュ時にトリトンスクエア出入り口が、周辺居住者の乗車に支障が出るほど混雑しています。今後、勝どき、月島、晴海地区では、大型の都市開発が進行中であり、さらに混雑に拍車がかかることが予想されます。早急に抜本的対策が求められています。都の具体的対応をお聞かせください。
 次に、新交通システム「ゆりかもめ」の延伸です。
 現在の計画は、勝どきで終点になっています。これでは、双方の勝どき駅で、はけ口のない大混乱が起こります。これを解決するには、勝どき駅から新橋駅へ延伸するしかありません。そのことによって、新交通システムは臨海部を一周することができ、ぜひ実現してほしいと考えます。ご所見を伺います。
 以上で質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 立石晴康議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、同時多発テロについてでありますが、これもまた、一つの大きな危機の表象だと思います。
 私、たまたまワシントンにおりましたけども、次の予定地のボストンにもどうも行けそうもないので、ならば、鉄道ででも、二日ぐらいかかって横断して帰ろうかと思ったら、鉄道も一切動かない。グレーハウンドバスも走ってないということで、ニューヨーク、ワシントンという二つの大事な拠点でありますけれども、そのわずか二カ所を突き刺されるだけで、アメリカという非常に機能的な大きな国家社会が、一時ではありましたけれども、へたり込んで麻痺をしてしまったという実感が強くございました。
 これは、アメリカにとっても世界にとっても未曾有のことでありますが、従来、危機管理ということがいわれております。クライシスマネジメントというんでしょうか、このクライシス、危機というのは、ギリシャ語で、もともとはクリースという意味で、本当の意味は、突然状況が変わる、全く新しい事態が起こるということのようでありますが、いずれにしろ、まさにそのとおり新しい事態が勃発したわけです。
 ところが、日本の政府の対応は、日本にしては非常に早かったと思いますが、きょうから始まる国会でも、多分予測されますけれども、今日まで、あの事件発生後、主に国会議員なる諸君がいろいろなところで議論を重ねておりました。与党も野党も含めて、いっていることは全部解釈論でありまして、その中に憲法も入っているわけですけれども、つまり、新しい事態に対して何をするかということよりも、何をしたら何に抵触するかという解釈論ばかりでありまして、私は、その次元ででも、そういう論議はまことにくだらないし、理性的でも理知的でもないし、つまり本当の想像力、発想力がないから、ああいうことになるんだなという気が強くいたしました。
 いずれにしろ、金科玉条とされている憲法にも、その前文には、全世界の国民がひとしく恐怖と欠乏を免れる権利を確認するという、わけのわからない日本語がありますけれども、意味はわかりますが。この前文の理念にもうたわれているように、世界の国民が恐怖から免れるべきである、恐怖の呪縛から解かれるべきであるということを理念としてうたっているわけであります。その後、何条が何をうたっていようが、この前文というものが大前提になっているわけでありまして、私は、政府の今度とった措置というものが憲法に触れるか触れないか、条項の解釈じゃなしに、この前文を読み直せばわかることだと思うんですが、ここでそんな議論をするつもりもございませんけれども、いずれにしろ、大事なことは、危機に臨んで的確にそれを防ぐ、被害を減少させる、その反復をさせないために何をするかということこそ議論されるべきだと私は思います。
 でありますから、東京都は、皆さんの賛同を得て、一部反対の政党もいましたが、去年、ことしと、未曾有の大演習をいたしました。朝日新聞のごときは、銀座に戦車をというわけのわからぬタイトルで、あそこに写真が写っていたのは災害対策用の特殊車両でありまして、自衛隊でありますから、当然、機関銃ですか、何か積んでおりましたが、戦車じゃない。それをわざわざ事実を意識的に誤認して、ああいうキャッチフレーズで反対するということは、つまり、その当事者に、東京に大震災が起こった、危機が起こったときに、それに対処して何をするかという発想力が全く欠けている証左でありまして、本当に噴飯な、反対にもならない反対だったと思います。
 いずれにしろ、今回の危機が起こった際のアメリカ人の、政府も含めての対処でありますが、これは非常に敏速でありました。しかし、あなたがおっしゃるように、アメリカ人と日本人の気質、かたぎの違いというものはそう感じられませんでした。
 神戸の震災でも、行政当事者は非常にぼやぼやしておりまして、殺さなくていい人間を殺しましたが、自衛隊の出動がおくれて。準備している自衛隊に招聘をためらったがために、二千人以上の人が余計に亡くなったということですけれども、しかし、そういう状況下の中でも、市民はよく協力し合って、まさに私たちが日ごろいっている危機のときの自助、共助、公助、特に前段の自助、共助という共同作業は、神戸でも見事に果たしたと思いますし、今日のアメリカでも同じような状況が見られました。
 いずれにしろ、私たち、今後何が起こるかわからないということを強く意識しながら、いろいろな状況要因というのはあるわけでありますから、そういったものをしんしゃくしながら、理性を働かせ、想像力を働かせて、東京にどの種の危機がいつ起こるかということも、当たるか当たらないかは別にして、想定しながら、いつもそのための準備のノウハウというものを蓄えていく必要があると、今回も痛感いたしました。
 なお、その他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) 教育に関します二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、適正かつ公正な教科書採択についてでございますが、教科書採択は、ご指摘のように、外部からの働きかけに採択結果が左右されることのないよう、教育委員会の判断と責任において適正かつ公正に行われるべきものでございます。
 都教育委員会はこれまでも、適正かつ公正な教科書採択を実現するため、文部科学省の通知等に基づき、区市町村教育委員会等に対する指導通知、採択事務の説明会、実態調査の実施等を通じ、その周知徹底を図ってきたところでございます。
 今後とも、各区市町村教育委員会等に対し、適正かつ公正な採択の確保の一層の徹底を図ってまいります。
 次に、社会経験の豊かな者の教員採用についてですが、民間企業等に勤務した経験を有する者を教員として採用し、その多様な社会経験を学級経営や教科の学習等に生かすとともに、学校組織の活性化を図ることは、大変有意義なことと考えております。
 都教育委員会は、民間企業等の勤務経験を有する者を対象として、平成十二年度実施の採用選考から小学校教員に、平成十三年度実施の採用選考からは高等学校の工業科教員に、社会人特別選考枠を設けまして選考を実施してきたところでございます。
 今後は、これら採用者の勤務実績や組織活性化の効果等を見きわめながら、社会人採用制度の充実を図ってまいります。
   〔消防総監杉村哲也君登壇〕

○消防総監(杉村哲也君) 患者等搬送事業者、いわゆる民間救急の実地訓練についてのお尋ねですが、東京消防庁では、大規模地震、風水害等の自然災害、航空機事故、列車事故などの集団救急事故及びテロ災害も含めた大規模災害発生時において、救急車が不足する場合に備え、民間協力の一環として、患者等搬送事業者で組織する東京患者搬送事業者協同組合との間で、傷病者を搬送する協定を締結しております。
 この協定に基づき、東京消防庁では、東京都総合防災訓練や大規模な救助救急演習に参加を要請するなど、実戦的な訓練を推進しております。
 今後、平常時の訓練を通じても、災害活動能力の向上に努めるとともに、平素より患者等搬送事業者の紹介に配慮してまいります。
   〔都市計画局長木内征司君登壇〕

○都市計画局長(木内征司君) 三点のご質問にお答え申し上げます。
 都営浅草線の東京駅接着についてです。
 このプロジェクトは、主要なターミナルである東京駅と成田、羽田の両空港を直結するものであり、首都圏における空港へのアクセス時間の大幅な短縮が可能となり、加えて、周辺市街地の機能更新を促す効果も期待できます。
 一方、このプロジェクトの実現を図るには、地元自治体との連携はもとより、整備主体や事業資金などの課題を解決していくことが必要でございまして、今後、国、鉄道事業者などから成る検討の場を立ち上げまして、整備方策を取りまとめてまいります。
 次に、首都高速道路のあり方委員会についてでございます。
 都は、本年四月に、国や首都高速道路公団とともに、学識経験者などによる委員会を設置いたしまして、都心における首都高速道路の将来ビジョンの検討に着手いたしました。
 これまで開催された二回の委員会では、都心の将来像や日本橋地区における都心環状線の景観などについて討議を行ってきましたが、一方で、特殊法人改革の一環として、首都高速道路公団の経営形態などが論議されております。
 今後、こうした状況の中、長期的な観点も踏まえながら、都心の首都高速道路のあり方を検討してまいります。
 次に、「ゆりかもめ」の新橋への延伸についてでございます。
 現在、有明から豊洲までの区間について、十七年度開業を目途に事業を進めており、その先の勝どきまでの延伸については、十二年一月の運輸政策審議会答申で、二十七年度までに整備に着手することが適当である路線として位置づけられました。
 ご提案の勝どきからの先については、答申に位置づけがなされておらず、今後、さまざまな観点から論議するものと考えております。
   〔財務局長安樂進君登壇〕

○財務局長(安樂進君) 丸の内第二庁舎跡地の駐車場としての利用についてでございますが、駐車場として利用されております丸の内第二庁舎の跡地は、現在進められております大手町、丸の内、有楽町などの東京駅周辺地区における再開発事業を促進していくための事業用地として活用する必要がございます。このために、再開発事業の進捗に合わせて、駐車場としての使用は本年度末で廃止することとしておりました。
 しかし、ご指摘のような観光バスへの影響も考慮し、再開発事業に支障を来さないぎりぎりの時期まで、駐車場としての使用期限を延長することで調整を進めてまいります。
   〔環境局長赤星經昭君登壇〕

○環境局長(赤星經昭君) 環境行政に関します二点の質問にお答えします。
 まず、交通需要マネジメントの取り組みについてでございますが、都では、自動車によります大気汚染や交通渋滞などの改善を図るため、TDM東京行動プランに基づきまして、自動車交通の円滑化や自動車の効率的利用、公共交通への利用転換などの施策を進めております。
 主なものといたしましては、共通乗車カード、パスネットの発行などによる乗りかえ利便性の向上、公共車両優先システムの整備によります路線バス走行速度の向上、また、渋谷地区におきます駐車マネジメントの実験、自動車利用を抑制するためのロードプライシングの検討がございますが、今後とも、交通需要マネジメントの広範な取り組みを推進してまいります。
 次に、東京湾の水質改善への取り組みについてでございますが、都はこれまで、工場、事業場等から排出されます化学的酸素要求量の総量規制や富栄養化対策、下水道の整備、河川のしゅんせつなどに取り組んでまいりました。
 東京湾の水質改善のためには、これらに加えまして、下水道施設の改善等が重要であります。本年八月、関係六局で協議会を設置し、検討を開始いたしました。
 今後、この協議会における検討を軸として、東京湾の水質改善の総合的な取り組みを進めてまいります。
   〔下水道局長鈴木宏君登壇〕

○下水道局長(鈴木宏君) 合流式下水道の改善についてのご質問にお答えいたします。
 区部下水道の多くは、汚水と雨水を一緒に集める合流方式により整備されております。この方式は、下水道の普及に合わせて浸水対策を早期に進められるという長所がある反面、雨天時に一部の下水を河川に放流せざるを得ないシステムでございます。この放流を軽減するための対策といたしまして、幹線管渠の能力増強や雨水の貯留施設の整備を計画的に進めているところでございます。
 しかしながら、これらの整備には相当の期間を要するため、合流改善クイックプランを策定いたしまして、スクリーンの改造等により、お話しのオイルボールなどを下水道から極力流出させないための対策を急ぎ実施しております。
 今後とも、これらの事業に着実に取り組み、隅田川、日本橋川を初め、東京湾の水質改善を進めてまいります。
   〔住宅局長橋本勲君登壇〕

○住宅局長(橋本勲君) 南青山一丁目の都営住宅建てかえプロジェクトに関します三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、このプロジェクトの意義についてでございますが、このプロジェクトは、都営住宅敷地に民間事業者が都営住宅や民間住宅等を一体的に整備し、あわせて福祉施設等を導入することで、都心居住の推進や少子高齢社会などの課題に対応する、先駆的な意義のあるプロジェクトと考えております。
 次に、本プロジェクトにおける福祉施設等の整備についてでございますが、このプロジェクトでは、総合設計制度の適用に際しまして、福祉施設導入に伴う容積率の緩和を図ることなどにより、都心部では導入が難しい高齢者グループホームの整備や駅直近の保育所の拡充整備を行うこととしております。
 最後に、都心居住の実現に向けた公有地の活用などについてでございますが、都心居住を推進するため、都心部の都営住宅等の建てかえに際しましては、今後とも、当プロジェクトの実施状況を踏まえ、地域特性に応じた事業手法により、民間活力の導入に積極的に取り組んでまいります。
   〔交通局長寺内広壽君登壇〕

○交通局長(寺内広壽君) 勝どき駅出入り口の混雑解消の具体的対応についてでございますが、これまで大江戸線は、地域の活性化、新たなまちのにぎわい創出に寄与してまいりましたが、ご指摘の勝どき駅につきましては、駅周辺の開発動向から見て、現状に加え、さらに乗降客がふえていくものと考えられます。
 地元からも、出入り口整備の要望を受けているところであり、今後、地元区と費用負担等基本的事項につきまして、また、道路管理者、地元等と設置位置などについて協議を行い、早期の事業着手に向け、準備を進めてまいります。

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