平成十三年東京都議会会議録第十三号

   午後一時一分開議

○議長(三田敏哉君) これより本日の会議を開きます。

○議長(三田敏哉君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(三田敏哉君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 知事より、東京都公安委員会委員の任命の同意について外人事案件九件が提出されました。
 これらを本日の日程に追加いたします。

○議長(三田敏哉君) 昨日に引き続き質問を行います。
 七十一番三原將嗣君。
   〔七十一番三原將嗣君登壇〕

○七十一番(三原將嗣君) 最初に、私は、都議会警察・消防委員会委員長の立場で、知事並びに警視総監にお尋ねをいたします。
 去る八月二十六日、世田谷署の警察官が、出動現場において刃渡り三十センチメートルの大型刃物で刺殺されるという事件がありましたことは、ご承知のとおりでございます。壮烈な殉職を遂げられましたのは、故平田隆志警視でありますが、先日、その公葬に参列をさせていただき、ご遺族や同僚警察官の無念な思いを肌に感じて、心からご冥福をお祈りするとともに、このとうとい死をむだにしてはならないとの決意を持って、誤解を恐れずに発言をさせていただきます。
 現在、警察官が凶悪犯と対峙したときに、けん銃を使用する場合は、警察官職務執行法と警察官けん銃警棒等使用および取扱規範とで、非常に厳しく制限されています。その細部は省略いたしますが、向かってくる凶悪犯を制圧しようという緊急時に、現場の警察官に法律上の構成要件や危害を許容する範囲を考えてからけん銃を使えということは、抽象的には可能であっても、現実的には無理な話であります。まさにやるかやられるかという状況なのですから、規範に定めるような、相手方に警告を発したり威嚇射撃をする余裕は、実際問題としてはほとんどないと思われます。
 こうした手順を正しく踏み、周囲の人たちを退避させ威嚇射撃をしているうちに、故平田隆志さんは、相手の凶器で反撃を受け、致命傷を負いながらも、最後の一発で、みずからの死と引きかえに相手を制圧いたしました。本件に限らず、警察官の受傷事故が多発していることを考えれば、少なくとも凶悪犯や犯罪集団に対しては、警察官のけん銃使用がもっと適切かつ機動的になされるよう、取扱規範を改正すべきであると思います。それこそが多くの都民の声なき声にこたえ、かつ平田さんの殉職に報いる道であると私は信じてやみません。
 このことは、第一線の警察官の士気を高めるためにも、また、取り締まり体制を強化する点からも、極めて重要なことであると思いますが、石原知事並びに野田警視総監の所見を伺います。
 次に、警視庁の発表によれば、東京における殺人、強盗、強姦といった凶悪犯がここ数年増加傾向にあります。また、来日外国人による犯罪も凶悪化、組織化しております。警察当局の必死の努力にもかかわらず、首都東京の治安が悪化する原因は、日本全体の社会情勢にあるとは思いますが、安全で安心して暮らせる東京を取り戻すために、最高責任者である警視総監の決意を伺いたいと思います。
 あわせて知事は、所信表明において、留置所の不足に対応して、民間活力を導入して施設を確保したいと述べておられますけれども、私も同感であります。これを推進する上で法律上の問題点はないのか、どの程度の規模の施設をどう運営させようと知事は考えておられるのか、お聞かせいただいて、次の質問に移ります。
 知事は、東京から日本を変えるという決意を絶えず述べておられますが、その立場から二つのことをお伺いします。
 最初は、保育施設の届け出制のことであります。
 石原知事は、都独自の基準を定めて、認証保育所という制度を始められましたが、まことに時宜を得た政策だと高く評価をいたしております。しかし、それでも東京には認可外の保育所が約千四百カ所もあります。これらの無認可の施設は開設場所を届け出る必要はありません。開設先が十分に把握できるとは限らないのに、東京都は、保育施設の指導監督責任を持っているのであります。
 そこで、ベビーホテルで死亡事故があったこと等を考えれば、この際、東京都の指導監督要綱を抜本的に改正して、その実効が上がるようにすべきであり、その中で開設場所の届け出制を明文化すべきであると思います。この開設の届け出については、私は、昨年から主張してきたところでありますが、福祉局は消極的な態度でありました。ところが、今年になって、神奈川県が、次いで国が届け出を義務づける制度を検討し始めました。
 国の保育行政の壁に風穴をあけた東京都が、なぜ他に先駆けて届け出制を実行できないのでしょうか。知事のあの姿勢が職員に伝わっていないのではないかなと疑いたくなるような気がしますが、福祉局長、いかがでしょうか。
 二つ目は、理容師法、美容師法のことでございます。
 理容所、美容所では、資格のある従業員が常時二人以上働いているところは、特別な資格を持った管理理容師、管理美容師を置くように法律で定めております。これに反すれば、知事はお店の閉鎖命令を出すこともできます。保健所の調査によれば、特別区で約五〇%、市町村部で六〇ないし七〇%が管理者を設置しているそうですが、ひどいところでは三〇%未満の行政区もあるようであります。法律上のみならず、業務上も管理者を置くことが重要だとするなら、区と連携して徹底した行政指導をすべきであります。逆に、業務上、重要な役目がないのではないかというのなら、管理者の設置を廃止するよう国に働きかけるべきですが、衛生局長の所感を伺います。
 以上の二点は大変ささいなことかもしれませんが、アリの穴から堤も崩れるといいます。まさに東京から日本を変える一穴ですから、知事の所感もあわせてお聞かせください。
 次に、商店街対策について伺います。
 昨今、東京の大半の商店街は閑散として、シャッター街とか歯抜け商店街とか呼ばれています。店舗数も昭和五十七年をピークに減少を続け、平成十年の時点でも空き店舗が七千二百件と報告されています。この背景には、長期低迷する景気の悪さ、後継者難、高齢化、大型店の進出といった諸情勢が重なり、商店街の衰退に拍車をかけていると思います。
 東京都は、昨年、産業振興ビジョン二〇〇〇を発表して、商店街活性化への新たな指針と政策目標を出しました。これは、今後、高齢化社会となっていく中でこれに対応した商店街づくりをすべきものだということですが、都の政策や予算にどのように反映されているかを伺います。
 そこで、私も二つの提案をいたします。
 一つは、高齢化社会に対応して徹底した御用聞き専門の商店街といったモデルケースを立ち上げてみてはいかがでしょうか。日本の小売商は、大昔から注文取りと配達で成り立っていたはずですから、商売の原点に立ち返ってみるために実験すべきだと思います。
 もう一つは、空き店舗対策として、高齢者の手によるリサイクルショップのモデル店を都内に五十カ所ぐらい出してみたらどうか、こう提案します。高齢者の雇用と資源の再利用と空き店舗の活用と三重の効果があると思います。
 以上、二つの提案について、産労局長のご意見を伺います。
 次に、衰退する商店街の中で、今一番苦しんでいるのが食肉小売業であります。去る九月十日に、千葉県に狂牛病の疑いの乳牛がいたことが発表されて以来、肉屋さんの牛肉の売り上げは半減しております。その上、学校給食用の牛肉が納入自粛となって、まさに息の根をとめられようとしているのです。この狂牛病関連の動きでは、とりわけ農水省の対応が怠慢であったことは言を待ちません。町の肉屋さんは、農水省に殺されるとまで発言しておられますが、全く同感であります。特にここ数日、風評被害が広がり、安全な食肉まで家庭の食卓に上らない状況といわれ、町の肉屋さんが困るだけではなくて、都民の食生活、ひいては健康管理にまで影響が出かねません。
 東京都の食肉市場における対策は万全であると信じておりますけれども、今日までの対応を中央卸売市場長に伺います。あわせて産労局は、食肉小売業に対し、緊急助成策を打ち出すべきだと思いますが、所見を伺います。
 質問の最後に、道路行政について伺います。
 足立区に都市計画道路補助一三八号線があります。この路線は、今日まで全く事業化の見通しが立っておりませんが、現況道路は幅員七メートルの狭さで、特に綾瀬川にかかる綾瀬新橋は歩道もなく、朝夕のラッシュ時は、車のほかに歩行者や自転車もいっぱいで、極めて危険な状態であります。しかも、平成十七年度には、隣接に常磐新線青井駅の開業と補助一四〇号線道路の開通が予定されています。交通量の増加で綾瀬新橋の危険度はさらに高くなります。
 しかし、都の財政事情から、単独事業化は難しいと承知をしておりますが、国のまちづくり制度を導入する方法等を検討して、大至急一三八号線の道路の事業化を図るべきだ、こう思いますが、建設局長の見解を伺います。
 なお、事業化に当たっては、暫定的に歩行者や自転車が利用できる橋を整備するなど、利用者の安全確保に全力を挙げて努めていただくよう要望しておきます。
 次に、同じく足立区の補助二六一号線について伺います。
 この道路は、舎人新線の開業に合わせて地域の道路網を整え、また、災害時には、舎人公園への避難路の役目を果たす極めて重要な路線であります。昨年十二月に事業認可を得て事業に着手いたしましたが、引き続いて所要事業費を確保し、整備の促進に努めてもらいたいと思いますので、建設局長の決意を伺います。
 また、二六一号線は、東武伊勢崎線竹ノ塚駅の北側で線路と交差し、現在の計画では道路が上を通るオーバーパスとなっています。そこで重要な問題が予想されます。二六一号線がオーバーパスならば、鉄道の高架化は不可能に近いことになります。かつて都市計画局長は、鉄道の高架化は困難と明言しておりますが、現時点での連続立体事業への見通しを伺います。
 しかし、鉄道の高架化が地域住民の念願であることを思えば、二六一号線の計画変更であるとか、赤山街道の拡幅や竹ノ塚駅の再開発等も含めて検討する必要があります。最近、そうした検討会が地元でスタートしたと聞いておりますが、ご承知であれば、ご報告ください。
 そして、今や鉄道の高架化で踏切を解消するのか、二六一号線の高架事業を促進して自動車をそちらに誘導し、駅周辺の再開発でペデストリアンデッキを導入して、人や自転車が踏切の上を自由に通行できるようにするのか、いずれかに決断を迫られていると思います。都市計画局長の確たる答弁を求めて、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 三原將嗣議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、警察官のけん銃の使用についてでありますが、後に警視総監から詳しい実情について説明があると思いますけども、従来、何にせよ、警察官が所持しているけん銃を実際に使用すること自体がニュースになるような社会風潮でありました。それがさらに警察官にとっては心理的な圧迫要因となって、けん銃の使用については、必要以上に慎重になっていた傾向がございます。
 現に、最近は、これは解除されましたけれども、何であろうととにかく、使用する前にもう一回、ためらうべく、けん銃の引き金の横に、ゴムでできた三角の詰め物がありまして、それを外さない限り、撃鉄を起こしてもけん銃は引けないという装置が施されたようでありますが。
 そういうこともありまして、特にこのごろ、しょうけつをきわめ出しました不法入国している外国人の犯罪社会の中で、特に中国系、朝鮮半島系、つまり、北朝鮮と韓国系の犯罪社会の中では、日本の警察官は、まず絶対に撃たない。どんなことがあってもけん銃を撃たないという通説がありました。実は、先般、それに対して、朝鮮半島系の犯罪者に、あるケースで警察官が威嚇射撃をしまして、それが非常に効果があって、彼らには日本の警察官はやはり引き金を引くぞという情報が敷衍したようでありますけども、中国系の犯罪社会では、まだそういう認識が徹底されたかどうか、つまびらかでございません。これは、著名なある警察のOBから最近聞いた事実でございますけど、これはやっぱりゆゆしき問題であると思います。
 先般の世田谷の三軒茶屋での警察官の殉職も、ちょうど何か町で催し物をしておりまして、周りに非常に市民が多かったために、普通の角度で引けずに、空に向かって、しかも、建物の密集しているところでありまして、建物にも毀損を及ぼさないような考慮をしながらの威嚇射撃のうちに、犯人に刺されて、背中を刺した刃物が胸にまで突き出しているという、そういう状況の中で、最後の発砲が犯人をしとめたということでありました。いずれにしろ、ケースによるんでしょうけれども、あの場合でもかなり周りに注意を払って、威嚇射撃のタイミングが、結局ずれて、ご当人の生命にかかわったということだと思います。
 警察官のけん銃の使用は、法令の要件にのっとって、使用すべきときにはちゅうちょすることなく、つまり、適正かつ的確に使用することが重要であると思います。
 次いで、民間活力の導入による留置所の整備でありますが、不法入国している外国人犯罪の著しい増加などから、留置所の増設が喫緊の課題となっておりますが、一方、政府の管轄の拘置所なり、刑務所が、非常にキャパシティーが満杯になりまして、足りなくなりまして、その割を留置場が、代用監獄というんでしょうか、食っているという現況でありますが、いずれにしろ、今後は、留置場の積極的な建設に当たっては、民間活力を積極的に活用し、財政負担を軽減するとともに、留置場不足の現況に照らして、かなり大規模なものを整備する必要があると思っております。
 留置場を民間で整備することに法律上の特段の問題はありませんが、ただ、留置場の管理運営については、留置人の看守は警察官でなければならないという規定、これは国家公安委員会規則などもあります。これも、私は、絶対的なものじゃなくて、可変なものだと思いますけれども、いずれにしろ、公権力の行使に当たるような行為は民間委託になじまないと従来されておりました。しかしながら、施設の清掃や維持補修、その前の建設などについては、民間を活用することが可能であり、積極的に民間にゆだねて、コストも安く、早く、成就していきたいと思っております。
 例えば、外国人の犯罪の容疑者を捕まえましても、尋問に通訳を使いますと、仄聞しますと、十五分間で二千五百円取られる。一時間尋問したら一万円でありまして、切りがない話でありますが、こういうところに商社のOBを、PFIの中で看守以外の職員として、スタッフとして配置するということで、商社マンとしての経験に照らして、スペイン語ならスペイン語、中国なら中国、得意な人が尋問のときに通訳をするというのは、私は、ただでできる話でありますから、先般も商社の責任者にその話をしましたら、簡単なことでありまして、喜んで協力いたしますということでありました。実は、あした、ある商社の代表者が来まして、その話をするつもりでございます。
 次に、東京から日本を変えることについてでありますが、東京は何といっても、日本の社会の中で一番敏感な、しかも最大のセンサーでありまして、日本の社会のいいところ、悪いところが一番敏感に反応されております。でありますから、それを鋭く分析し、指摘し、いかに都民、国民のニーズが考えられていないかという、そういう認識を持ちまして、時代の変化、都民のニーズの変化に即応して、これまでの行政のあり方を大胆に改革していくことが急務だと思っております。既に東京から発信する医療改革、福祉改革などにおいては具体的な成果が上がりつつあると思います。今後とも、お話のような事項も含めて、東京から日本を変えていく、歴史的必然性、蓋然性のもとに日本を変えていくという行政を展開していきたいと思っております。
 その他の質問については警視総監及び関係局長から答弁いたします。
   〔警視総監野田健君登壇〕

○警視総監(野田健君) 初めに、けん銃の使用関係についてお答えいたします。
 近年の犯罪の凶悪化、国際化傾向に伴い、犯人が検挙しようとする警察官に凶器を用いて抵抗する事案が増加し、受傷し、最悪の場合には殉職する危険性が高くなっております。
 犯人の刃物等によって受傷した事案としては、昨年九月に、練馬でピッキングによって事務所に侵入した外国人を逮捕する際に、犯人からバールで反撃されて受傷したもの、本年四月に、八王子の交番で、地理案内中にいきなり牛刀で切りつけられて受傷したものが発生しておりますし、幸い受傷には至っておりませんが、昨年六月には、北区において、マンション一階に侵入した外国人三名が一一〇番で駆けつけた警察官にけん銃を発砲した事案、同じく八月には、新宿区において、不審者がいるとの一一〇番で急行した警察官に対し、左右の手に二丁のけん銃を持って、それを向けてきた際に、激しい抵抗に遭いながらも、発砲を防ぎつつ、制圧、逮捕した事案、同じく十月には、杉並区において、覚せい剤の所持犯人が、逮捕しようとする警察官と格闘の際、けん銃を向け、二回引き金を引いた事案、今年五月には、葛飾区において、バールを隠し持つ犯人を逮捕する際、警察官の顔面に向けてけん銃を構えたため、瞬時に犯人の腕をとり、上空に向けたものの、二発発砲された事案が発生しております。
 交番等に勤務する地域警察官に対する公務執行妨害事案も昨年は三百七十四件と、十年前に比べて八割以上も増加しております。また、今年は既に八月末までに前年同期を五十九件も上回っている状況であります。
 その一方で、第一線警察官においては、けん銃使用の要件が複雑である、あるいは報道や世間の批判が気になる等の理由から、法令上、けん銃を使用することができる状況にあるにもかかわらず、けん銃を使用せず、あるいはちゅうちょするというケースも見受けられております。
 さらに、今回の世田谷警察署の事案は、白昼の商店街であったことから、第三者の危害防止に配慮し、上空に向けた威嚇射撃により制圧しようとしたものの、抵抗が激しく、相手に向けてのけん銃の使用がぎりぎりの段階になってしまい、警察官自身が犯人の凶刃に倒れ、殉職するという大変痛ましい事案となったものであります。我々としても、これを大きな教訓として、今後の各種執行務にさらに確実、強力なものとすることができるようにしていくことが肝要であると考えております。
 また、このような情勢のもと、現在、国家公安委員会と警察庁で、けん銃使用のあり方について、ご指摘の国家公安委員会規則である警察官けん銃警棒等使用および取扱規範の改正を含めて検討中であると承知しております。
 警視庁としては、国家公安委員会と警察庁に対し、第一線現場の実情、意見を十分に説明するとともに、個々の警察官が自信を持ってけん銃を使用すべきときに使用することができるように、けん銃使用要件の周知徹底と判断能力の向上、実戦的な射撃訓練等を強力に推進し、都民の生命、身体等を守り、凶悪化する犯罪に対抗するため、万全の措置を講じてまいる所存であります。
 次に、首都東京の治安についてであります。
 東京の治安情勢は、三K二S一Hと申しておりますが、犯罪の凶悪化、巧妙化、国際化や組織化、スピード化、そして、ハイテク化が一段と進展し、まことに厳しいものがあります。昨年にはピッキングを利用した強・窃盗事件を年間約一万一千件認知し、一昨年より五千件、八〇%強の増加となりました。また、ピッキング関連の昨年一年間における検挙人員は四百四十五人で、そのうち三百二十九人、七三・九%、四人に約三人でありますけれども、これが外国人であり、そのほとんどが中国人でありました。
 警視庁では、昨年九月にピッキング用具使用侵入盗事件総合対策本部を設置するなど、予防、検挙に努め、本年の発生は八月末現在二千六百一件と、昨年同期比五千七百九十二件、約七〇%の減少となっております。
 また、組織犯罪は、来日外国人を中心とした国際犯罪組織と暴力団などの国内犯罪組織とが結びつきを強めて、凶悪かつ巧妙な犯罪を敢行し、都民生活に著しい悪影響を及ぼしております。
 本年は、昨年末に発生した成城警察署管内の上祖師谷三丁目一家四人強盗殺人事件等について懸命の捜査を続けている中で、浅草警察署管内の花川戸二丁目先路上女子大生殺人事件や世田谷警察署管内で発生した警察官殺害事件、新宿歌舞伎町の雑居ビル火災に伴う多数焼死事件など、特異重要事件も相次いで発生しております。加えて、米国における大規模同時多発テロ事件に伴う国際テロ対策など、さまざまな重要課題にも直面しております。
 このような治安情勢に的確に対応するため、警視庁では、各部門がそれぞれの持てる力を最大限に発揮して、捜査や対策等に全力を傾注しておりますほか、九月四日、日本の暴力団と来日外国人犯罪組織の撲滅を目指し、関係所属を集合し、強い指揮、調整を行う警視庁組織犯罪対策本部を新設するとともに、一昨日にはプロジェクトチームとしての警視庁国際テロ対策本部を設置するなど、部門の枠を超えた全庁的な取り組みも鋭意推進しております。
 今後も引き続き、都内の治安情勢に迅速的確に対応した警察活動を警視庁の総力を挙げて展開し、首都東京の治安維持と都民生活の安全確保に最善を尽くしてまいる所存であります。
   〔福祉局長前川燿男君登壇〕

○福祉局長(前川燿男君) 認可外保育施設に対する指導監督についてのご質問にお答えいたします。
 ご指摘の都内約千四百の認可外保育施設のうち、一般の子どもを受け入れている施設は約千百であり、そのうち九割近くは公的な助成を受けております。その他の施設がいわゆるベビーホテルでありまして、約百四十を数えます。
 問題は、このベビーホテルでありますが、その実態把握と指導は困難をきわめるわけでありますけれども、都は従来から、電話帳での調査や区市町村からの情報などをもとに実態の把握に努め、繰り返し立入調査や改善指導を行い、最大限の努力を積み重ねてきた次第であります。
 今必要なのは、実効性があってスピーディーな実態把握と指導を行える仕組みを構築することと考えております。このため、都は、独自に指導内容の厳格化と手続の迅速、明確化、都民への情報提供など、指導監督要綱の見直しを近く行う予定であります。
 お尋ねの届け出の義務化についても、かねてから問題意識は持っておりますが、この見直しの中で、実効性の確保という観点に立って検討してまいります。
   〔衛生局長今村皓一君登壇〕

○衛生局長(今村皓一君) 管理理容師、管理美容師の設置についてのお尋ねがございました。
 この制度は、二人以上の理容師または美容師を置く理容所、美容所の衛生確保を図ることを目的とするものでございます。
 この事務は、平成十一年度までは機関委任事務として全国統一的に対応してまいりましたが、十二年度以降、特別区域は各区、市町村域は都の自治事務となりました。このため、都といたしましては、所管の保健所において管理者設置の指導を行うとともに、資格認定講習会の受講機会の拡大を図るなど、設置率の向上に向けた改善に努めておるところでございます。
 今後とも、各区との連携を図りながら、保健所による指導を充実するなど、制度の適正な運用に努めてまいります。
   〔産業労働局長浪越勝海君登壇〕

○産業労働局長(浪越勝海君) 中小企業対策に対する四点のご質問にお答えいたします。
 まず、高齢化社会における商店街づくりについてですが、商店街が急速に進む高齢化社会に適切に対応していくことは、商店街振興のためにも重要であると認識しております。
 このため、都は、産業振興ビジョンを踏まえ、本年三月、二十一世紀商店街づくり振興プランを策定し、商店街をめぐる新たな環境変化に対応するための戦略を提示したところでございます。今年度は、これに基づき、商店街活性化総合支援事業を実施しており、二十の区市が商店街振興プランの作成を進めているところでございます。
 今後とも、地域の実情に精通した区市町村と連携し、商店街が高齢化社会に対応できるよう支援をしてまいります。
 次に、御用聞き専門商店街についてでありますが、高齢化社会に対応して、商店街が協力し、注文とりと配達をすることは、地域に密着したサービスの一つであると考えます。
 既に、都内の幾つかの商店街においては同様の取り組みを行っており、都としては、これらの事業に対し、これまでも活力ある商店街育成事業や空き店舗活用推進事業などで支援してきたところでございます。
 また、高齢者のリサイクルショップの提案についてですが、空き店舗対策については、従来から都は、空き店舗活用推進事業を通じて、商店街のさまざまな取り組みを支援してきたところでございます。空き店舗を活用した高齢者向けのサービスも既に始められているが、ご提案のリサイクルショップも有意義な事業と考えられます。
 今後とも、御用聞き専門商店街や、地域の実情を踏まえた高齢化社会に対応する商店街の取り組みに対しても積極的に支援してまいります。
 最後に、食肉小売業に対する緊急助成策についてでありますが、現在、都では、最近の売り上げが前年同期と比較して減少しているところを要件とした中小企業制度融資を実施しており、この制度を利用することもできます。
 しかしながら、農林水産省において、国産牛肉の流通量の一時的な減少、販売不振等により、経営維持が困難となる小売業者などに対する緊急融資等の検討を行っているとのことであります。
 都としては、その早急な実現を国に強く求めてまいります。
   〔中央卸売市場長碇山幸夫君登壇〕

○中央卸売市場長(碇山幸夫君) 中央卸売市場におきます、いわゆる狂牛病の対策についてのお尋ねでございます。
 事態発生後、関係局で構成します三局防疫推進会議のもとで、生体検査のより一層の徹底などを図るとともに、生後三十カ月以上の牛の出荷の自粛を要請いたしました。同時に、と畜申請に際しまして、その搬入ルートを厳重にチェックするため、産地、月齢、肥育場所等が明らかとなります、と畜牛育成履歴申告書の提出を求め、搬入牛のより一層の安全性の確保を図ったところでございます。
 その後、国内の複数道県の飼育農家で肉骨粉を用いていた事実が判明したことなど、状況の拡大を踏まえまして、これらの牛が食肉市場に搬入されることがないよう、緊急に措置を講じました。
 さらに、食の安全を確保するためと、ご質問にもありましたような行き過ぎた風評被害の防止を図るため、国の方針に先駆けまして、感染の危険性の有無にかかわらず、すべての牛の脳、目、脊髄、回腸を焼却処分することといたしたものでございます。
 今後とも、消費者に対する安全な食肉の供給に万全を期してまいりたいと考えております。
   〔建設局長山下保博君登壇〕

○建設局長(山下保博君) 道路に関する二つのご質問にお答えいたします。
 綾瀬新橋のかけかえを含む補助一三八号線の事業化についてでございますが、綾瀬新橋をかけかえるためには、綾瀬川の防潮護岸の上を越える必要がございます。このためには、民地と道路に大きく高低差が生じることから、沿道の土地利用状況を勘案し、整備することが重要でございます。
 一方、周辺では、既に補助一四〇号線整備や常磐新線青井駅の設置など、都市基盤整備が進められております。
 こうした状況を踏まえ、今後、国のまちづくり制度などを活用して、補助一三八号線の整備と周辺のまちづくりについて調査を実施する予定でございます。引き続き、地元区と連携の上、事業化に向け努力してまいります。
 次に、補助二六一号線の整備促進についてでございますが、本路線は、足立区北部の交通混雑緩和に寄与するとともに、避難路や延焼遮断帯を形成するなど、防災性の向上にとっても重要な路線でございまして、先生ご指摘のとおり、昨年十二月に事業化したものでございます。
 都財政は、依然として厳しい状況にございますが、引き続き財源確保に努めまして事業を推進してまいります。
   〔都市計画局長木内征司君登壇〕

○都市計画局長(木内征司君) 連続立体交差事業の見通しについてのご質問です。
 竹ノ塚駅付近の連続立体交差化は、鉄道の上部を越えることとなっている補助二六一号線との整合のほか、東武駅ビルの更新や駅西口再開発などのまちづくりとの整合など、解決すべき幾つかの課題があり、現段階で見通しを立てるには至っておりません。
 現在、足立区が主体となった検討会が設置され、交差方式、周辺まちづくり等について検討が行われておりまして、都としては、この動向を踏まえ、鉄道と道路の立体交差化の方向性を見きわめたいというふうに思っております。

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