平成十三年東京都議会会議録第十二号

○議長(三田敏哉君) 百二十一番藤田愛子さん。
   〔百二十一番藤田愛子君登壇〕

○百二十一番(藤田愛子君) 去る九月十一日にニューヨークとワシントンで起きた同時多発テロは、瞬時に多くのとうとい命を奪い、世界じゅうの市民を恐怖に陥れました。これらのテロ行為は決して許されるものではなく、怒りを禁じ得ません。多くの犠牲となられた方々に、深く哀悼の意を表します。
 世界には今なお、民族や宗教の対立による争いが続いていますが、暴力と報復の連鎖を人類の英知で断ち切り、国家を超えた平和と共生を求めていきたいというふうに思います。
 今回のアメリカの惨事に関連して、知事の訪問内容については、外交機密であるので明らかにしないと報道されておりました。地方自治に外交機密があるとは思えませんが、訪問の目的に従った成果について、都民に十分な説明責任を果たされる必要があることを、一言申し上げておきます。
 さて、私たち生活者ネットワークは、今夏の都議選で六人の候補者を立て、全員の当選を果たしました。きょう初めての代表質問に立つことができ、今後の地域活動や議会活動における責任の重さを感ぜざるを得ません。
 私たちは、自治と分権、情報公開と市民参画を目指していますが、各地で始まっている自治基本条例に見られるように、生活の中にある問題を他者に任せず、地域で暮らす一人一人が豊かな地域社会をつくるために主体的に考え、地域コミュニティを柱にしながら提案し、参画することを保障する政治が、今まさに求められています。オルタナティブな提案の中に新しい公共を見出そうとする市民の動きを、私たちは応援していきたいと考えています。
 まず初めに、都の政治行政スタイルについて伺います。
 私は、石原知事が当選後初めての定例会で、結論だけでなく、検討経過や少数意見及び異論も報告するよう職員に発言されたことに注目しているというふうに申し上げました。これまでの行政の政策決定は、審議会や懇談会の答申を受け、実施計画というプロセスでつくられてきましたが、結論だけを都民に示すのではなく、施策や計画等の検討経過における複数案、代替案を公開すべきです。政策形成過程に当たっては、知事と異なる意見や少数意見をどのように尊重していくのか、知事の基本姿勢を伺います。
 また、情報公開の観点からすれば、今回の教科書選定については、地域の保護者、特に障害児をお持ちの保護者や教職員の思いとはかけ離れた決定であったことは否めません。教育委員会は独立行政委員会であるといっているにもかかわらず、知事は、基礎自治体の教育委員の会合で、教育委員は自分の意見に責任を持つようにと発言されました。そうであるならば、教科書選定のための教育委員会を非公開にする必要はなかったはずです。子どもや教師という当事者が選定に関与できない状況であるならば、なおのこと、教科書選定の教育委員会を公開にすべきと考えます。教育長にお尋ねをいたします。
 さて、都の財政再建については、事前事後の政策評価をし、徹底した施策の見直しをした上で、構造改革を進めなければなりません。地方分権改革の中で積み残された問題の一つに、国と地方の公共事業のあり方があります。画一的に不必要な公共事業をばらまき、本年三月補正でもわかるように、地方自治体の一般会計にも当たる補正予算がつけられます。自治体は財政困難な折、少しでも国の予算がつけばということで、これに乗るわけですが、結局は国、地方の借金をさらに膨らませ、次世代へのツケを大きくするだけの状況をつくり出しています。今こそ地方自治体の側から第二ラウンドの分権改革を迫る必要がありますが、いかがでしょうか。
 また、財源の充当に関していえば、投資的経費は一般財源が少ないように見えますが、実は三三・二%を占める都債は、返済するときは一般財源からです。また、一二・二%を占めるその他の特定財源には、基金からの繰入金も含まれており、これは過去に一般財源を積み立てたものです。投資的経費といえども、トータルでは七割を現在と過去と未来の一般財源で賄っていることになるのです。
 このため、福祉などの予算が多い経常経費、とりわけ、補助費や扶助費を圧迫することになります。しかも、今後、平成十四年から都債償還額が約五千五百億円から七千七百億円となり、都財政を圧迫していく状況が続きます。
 今後の起債額を一定程度に抑え込むため、起債制限条例の制定を積極的に検討すべきです。起債限度額については、最高でも三千億円以下に絞り込まなければ、借金体質を変えることができないと考えます。起債の制限をどのように実現するのか、伺います。
 環境省の「地球温暖化の日本への影響二〇〇一」は、過去五十年間の温暖化の大部分が人間活動に起因し、また、この百年の温暖化傾向は異常であり、自然起因の現象とは認められないと報告しています。温暖化は、ここ十五年で年〇・二度Cと、生態系の適応から見て危険と見られる速さで進行しており、世界各地で自然環境への影響が見られます。
 あらゆる人間活動が集積している大都市東京は、存在そのものが元凶ともなり、環境への負荷が少ない持続的な発展が可能な東京をつくるための施策、例えば、今回策定されようとしている大規模な建築物の環境配慮指針など、効果が期待されます。
 東京構想二〇〇〇では、二〇一〇年におけるCO2出量を、一九九〇年比六%削減することを政策指標として掲げています。国の温暖化対策については、アメリカの顔をうかがい、国際的な責務を果たしていません。国に発言力のある知事なら、東京から国の責務を迫るとともに、国に先駆けた施策をすべきと考えますが、見解を伺います。
 知事は、二十世紀を支配した発想の行き詰まりを指摘し、経済成長優先から、地球環境保全へと価値観を転換することの重要性を述べられました。この観点からすれば、都市再生は、多くの都民は、例えば二十世紀後半の緑や水辺、地域社会のコミュニティの回復を期待していました。しかし、提案された都市再生は、これまでの公共事業の延長ではないでしょうか。都市再生の基本には、環境優先と地域コミュニティを位置づけるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 従来型の公共事業のすべてを否定するつもりはありませんが、道路については、環境アセスメント制度がなかった三十年以上も前に計画決定がされたものが少なくなく、住民からも不要と認定された道路さえ出ています。不要な計画道路を廃止し、必要な道路は、環境悪化を招かないように計画の見直しをしてから事業を行うなど、明言すべきだと思います。
 また、都が昨年発表した環境白書では、ロンドンの環状道路がかえって交通量をふやすことにつながった、つまり、誘発交通を増加させたことを紹介しています。地球環境保全の観点から、環状道路より、まず徒歩や自転車の利用空間を快適にすることや、公共交通の混雑緩和、利便性向上に力を注ぐべきと考えますが、ご意見を伺います。
 新農業基本法では、東京の農業に代表される都市農業が国の農業政策に位置づき、都市住民の需要に即した農業生産の振興を図ることが課題とされました。都市農業を、東京に欠かせない環境保全型の産業として位置づける必要があると思います。
 都市の農地は、新鮮で安全な農産物を供給するだけでなく、ヒートアイランド現象対策として、農地等裸地による蒸散効果や、防災、地下水の涵養など多面的な機能を有し、今ある農地は、都民の貴重な財産です。また、地場野菜は、学校給食などを通じて子どもたちに大きな教育効果を与えます。地場流通をもとに、農業者と都市住民のパートナーシップで、農業のある豊かなまちづくりが望まれます。
 今後も東京の農家が安定した農業経営を続けていくためには、農業者の高齢化や後継者不足を解決しなければなりません。東京の農業生産を将来にわたって持続可能なものとして確立していくための一つの方策として、東京に住む多様な人材を農業の担い手として活用していく農業ヘルパー育成事業についてのお考えをお伺いいたします。
 都市再生を考えるとき、そこに日々暮らす人々の存在が不可欠です。イギリスでは、サッチャー元首相による行政改革で、富める地域と荒廃する地域との格差は広がり、貧富の差も激しくなってしまいました。九〇年代に入ってからは、この格差を是正し、コミュニティを活性化させるためのさまざまな施策が打ち出されました。
 その一つが、地域に根差したNPOとのパートナーシップによる事業に予算をつけた包括的まちづくり予算、SRBです。その予算措置の基準は、地域の人たちの参加がどれだけ得られるか、地域のパートナーシップができているか、そしてその事業が、雇用も含めて地域にどれだけの活気をもたらすかというもので、縦割り行政を廃し、包括的なニーズに対応できるようになっています。都市再生が今後の都の重要施策であるなら、市民の力を引き出せるように、SRBを参考にした包括的まちづくり予算を創設すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 都は、八月に社会貢献団体との協働の指針を出しましたが、今後に期待するところです。しかし、日本のNPOは活動基盤が脆弱であり、事業収入への依存度が高いという現状があります。法人税における収益事業の税率等、早急にNPOの意見を聞き、実効性のある税制度に改めるよう、国に強く求める必要があると思いますが、いかがでしょうか。
 また、都では、働く意欲のある人が就業しやすい社会の実現に向け、就業意欲のある女性や高齢者、障害者等の雇用機会を拡大していくため、ワーカーズコレクティブを初めとする多様な働き方の理解を進め、普及する努力をされています。しかし、まだ一般的には認知度が低く、働き方の選択肢の一つとしてとらえられるには至っていません。
 ワーカーズコレクティブは、雇用、被雇用という関係を見直し、一人一人が出資し、対等な立場で自己決定して、責任を持つ働き方です。その働き方のために、NPO法人の対象にはなりませんが、経済効率優先で見落とされてきた、地域の生活を充実させるために必要な物やサービスを提供しており、その公益性を考えれば、NPOの概念に含まれるものであると思います。
 NPOと同じく、家事援助や介護、保育等の分野において、利用者の立場に立ってサービスを提供しているワーカーズを、協働の対象として事業委託を進めるとともに、ワーカーズコレクティブが法人格を取得し、社会の中に位置づくために法律がつくられることが望ましいと考えています。多様な働き方の一つの形態である、ワーカーズコレクティブの制度化についての見解を伺います。
 次に、医療と福祉について伺います。
 真に行政が担うべき医療とは何か、望ましい病院の経営形態は何かという議論を、原点にまでさかのぼって積み重ねられたことは、病院といえども、公立である限り、常に行政改革を進めていかなければならず、評価をするところです。
 しかし、子どもを育てた経験からいえば、地域の小児科医の数が足りず、また、休日、夜間の対応が悪かったりで、夜中、あちこちの医者を回らなければならないのが実態です。小児がぐあいが悪くなるのは、えてして休日や夜間が多く、救急医療は病院の小児科に頼っています。
 このような中で、今回の都立病院改革では、三つの小児病院を統合して、府中に新たな高度医療を集中させる小児病院をつくるというものです。地域の親にとってみれば、実質頼りになる小児科が減ってしまうことに変わりはありません。常に、都民に知らされるときは決定事項のみです。改革に当たって、採算が合わず、緊急性の高い小児医療をどのように確保し、都民合意をどのように図るか、見解を伺います。
 間もなく、約千九百例に上る東京の児童相談所の事例を分析した、全国初の虐待白書が出されるように聞いています。子どもの権利侵害の最たるものとして、しつけと称して繰り返し行われる虐待事件で、幼い命が奪われる事件が後を絶ちません。
 この虐待に関しては、原因究明とこれを取り除くこと、また、親子分離後の関係修復のあり方を解決しなければなりません。
 少子化であるにもかかわらず、養護施設等で生活する、いわゆる社会的養護児童の数は、逆にふえ続けています。
 しかし、日本では、養護が必要な子どもの九割以上が施設に入所しており、里親委託を中心に考えている欧米に比べ、明らかな施設偏重の現状があります。子育ての社会化のための具体的な課題として、子どもたちにとっての最善の選択を可能にするためには、より家庭的な養護を提供できるシステムへの転換が必要です。里親制度の普及啓発と支援策を総合的に検討するなど、地域の中で家庭的な養護の担い手をふやす、思い切った施策の方向転換を図る時期にあると考えますが、いかがでしょうか。
 最後に、痴呆性高齢者対策についてです。
 グループホームについては、大型施設から地域型、家庭型ということで、有効な施策とされています。しかし、国も都も積極的な整備方針を示しながら、整備が進まないのが現状です。個人住宅の寄附があっても、すべて個室を準備する必要があるなど、規制が多過ぎます。
 最近では、介護関連事業者による、企業のあいた福利厚生施設の有効利用が進められています。これらの運営をNPOが担うことも十分可能なことであり、それぞれの法人や企業の特質を生かして、グループホームの整備を積極的に進めるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 以上をもって生活者ネットワークの代表質問を終わりますが、積極的なご答弁をよろしくお願いをいたします。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 藤田愛子議員の代表質問にお答えいたします。
 政策形成に当たっての基本姿勢についてでありますが、多くの官公庁に共通する通弊で、かねてから改めるべきものと考えていることの一つは、非常に中央集権的な、よらしむべし、知らしむべからずというお上意識と、ライン化のもたらしたセクショナリズムだと思うのです。
 この弊害を破るためにも、政策や計画の立案に当たっては、途中の段階で素案を積極的に披瀝して、議会や都民の意見を広く求めてきたつもりでございます。また、内部で意思を決定する過程でも、所管の垣根を取り払って、かんかんがくがくの議論を重ねることを心がけてまいりましたし、思い切って、前ではなし、横に跳ぶような奇抜なアイデアも、遠慮なく提案をするように訴えてまいりました。これまでの経験でも、少数意見の中にこそ、きらりと光るアイデア、まさに生活者ネットワークのような、きらりと光るアイデアが多く含まれていたと考えます。
 今後も、さまざまな意見に耳を傾けることで、よりよい政策を実現していきたいと思っております。
 次いで、公共事業に関する分権改革でありますが、これまでのような全国画一的な公共事業のあり方を見直して、三環状道路の整備や羽田空港の再拡張など都市再生プロジェクト、それが国の利益につながる、そういうプロジェクトに、国が責任を持って重点的に、集中的に投資することが必要だと思いますし、かねて、国にもそう申してまいりました。さらに、地方自治体がみずからの判断と財源によって公共事業を実施できるように税財政制度を抜本的に見直すべきであり、それを国に対しても強く要望していくつもりでございます。
 また、各地域における国の直轄事業の構造そのものが非常に矛盾がありまして、例えば、都なら都の中にある国道のどこを優先的に直すかということは、国が決めるのですね、東京都の意見を聞かずに。それでいて、決めたものは半分とにかく裏負担ということで東京都が持てという、こういう一方的な公共事業のメカニズムは、私は一刻も早く変えるべきだと思います。また、それを要求をしてまいっております。
 次いで、我が国の地球温暖化対策についてでありますが、地球温暖化対策は、人類の存在そのものが問われている、そういう歴史的認識をもって臨むべき喫緊の課題だと思います。
 日本の政府の地球温暖化に対する取り組みは、そうした文明論的な、つまり根本的な認識を欠いておりまして、極めて不十分で物足りないというか、危険なものでさえあると思います。
 都は、既に国に先駆けて、建築物の省エネルギー設計や事業活動に伴う温室効果ガスの排出抑制を事業者に求める制度を条例化しております。
 こういった制度も大いに活用しながら、都は都で地球温暖化対策を強力に実行するとともに、国が温室効果ガスの排出抑制に対する責任を果たすように、今後とも強く働きかけていきたいと思っております。
 さきにも引用いたしましたが、開高健君の、たとえ地球があした滅びるとも、君はきょうリンゴの木を植えるという、非常に美しい言葉がありますが、やはり一人一人が一本ずつ、自分の手でリンゴの木を植えていくという、きめの細かい対処というものの集積が、私はひょっとしたらこの地球を、人間を救うかもしれないと期待しております。
 次いで、都市再生における環境保全の位置づけについてでありますが、首都圏においては、活発な都市活動に伴う環境悪化が、住民の健康や生活環境に非常に重大な、深刻な影響を及ぼしております。
 東京都は、首都圏再生緊急五カ年十兆円プロジェクトの中でも、例えば花粉症などのアレルギー対策や、交通渋滞解消のための三環状道路の整備など、環境を重視した施策を国に提言してまいりました。やっと今回、環境庁も花粉症などのアレルギーの原因究明の予算要求をするようになったわけでありますが、だれとはいいませんけれども、一年ほど前に、環境庁の首脳が、東京が頑張ってくれるから大変ありがたいという言葉をどこかでいっていまして、私は聞きとがめまして、逆じゃないかと。おまえさんたちが先にやるのが肝要なんであって、東京をまねて環境庁が動くのじゃしようがないよといったのですが、まあそれでも動き出したので、少しはましだと思いますけれども、いずれにしろ、こういう東京都の引く引き金が国を発進させる、そういう試み、これは何といっても一番鋭敏なセンサーであります東京の環境問題について、これからも心がけていきたいと思っております。
 今後も、都民の健康を守り、首都圏を再生するためのこれらの施策の重要性を、国に飽かずに強く訴えていきたいと思っております。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) 教育委員会の会議の公開についてですが、都教育委員会は、都民に積極的に情報提供を行うとともに、教育行政に関する理解と協力を得る観点から、原則として、教育委員会の会議を公開いたしております。
 しかしながら、お話しの教科書採択につきましては、当時の諸情勢を総合的に勘案し、公正かつ適切な判断をするため、全員一致で会議を非公開とすることが決定されたものでございます。
 一方で、都教育委員会としましては、採択の審議の終了後、直ちに採択結果と審議の概要を公表しますとともに、会議録につきましては、ホームページ等において、速やかに公開いたしたところでございます。
   〔財務局長安樂進君登壇〕

○財務局長(安樂進君) 都債の増加を抑制する方策についてのお尋ねでございますが、都債の償還額は、平成十五年度には八千億近くに達し、その後も高い水準が続くと見込まれるため、都債の発行を抑制し、将来の財政負担を軽減することが、財政構造改革の重要な課題の一つとなっております。
 しかし、一方において、東京の再生や都民生活の向上のために真に必要な都市基盤の整備を進めるためには、場合によっては、大規模な事業費を時期を失うことなく計上しなければならないことも予想され、このような場合は、特定の年度に一般財源の負担が集中することを避け、世代間の負担の公平を図るために、都債の積極的な活用を図ることが必要になることが考えられます。
 したがいまして、都債は、基本的にはそのときどきの財政状況を踏まえ、弾力的に措置できるようにしておくことが肝要であり、ご提案のような、条例による制限は必ずしも適切ではないというふうに考えております。
 しかし、繰り返しになりますが、現在は財政再建が喫緊の課題であり、不要不急な投資的事業の見直しにより、都債の抑制に努めていくことが、現時点でのとるべき対応と考えております。
   〔都市計画局長木内征司君登壇〕

○都市計画局長(木内征司君) 交通基盤の整備についてのご質問にお答えします。
 東京は、諸外国の都市と比べまして、交通インフラ、とりわけ環状方向の道路整備が十分ではなく、多大な経済損失や都市環境の悪化を招いている状況にございます。このため、外環を初めとした環状方向の道路を整備し、機能的な道路ネットワークの早期整備を目指す必要がございます。
 また、これとあわせまして、自転車、歩行者空間を中心とする身近な地域の交通環境の改善を図るとともに、地下鉄など公共交通ネットワークの強化や利便性の向上にも取り組んでまいります。
   〔産業労働局長浪越勝海君登壇〕

○産業労働局長(浪越勝海君) 二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、農業の担い手についてでございますが、東京の農業は、新鮮な農産物の供給とともに、緑や防災空間、潤いの場の提供など、都民生活に大きく貢献をしております。こうした東京の農業を支える農家が、安定した経営を継続していくためには、多様な担い手を育成していくことが重要であると考えております。
 このため、現在策定中の農業振興プランにおいても、農業に意欲と関心のある都民を、農業ヘルパーや援農ボランティアとして養成していくことを盛り込んでいきたいと考えております。
 次に、ワーカーズコレクティブについてでございますが、都民のライフスタイルや就業に関する価値観が多様化する中で、ワーカーズコレクティブなどを含めた新しい働き方が増加しています。都としては、こうした新しい就業形態について、まず、幅広い認知と議論の場をつくることが重要であると考えています。
 このため、現在、さまざまな事例の収集や、実際に従事している方を講師とするセミナーの開催などを行っています。
 今後とも、こうした取り組みを通じて、都民がさらに理解と認識を深められるよう努めてまいります。
   〔生活文化局長高橋信行君登壇〕

○生活文化局長(高橋信行君) SRB、日本語訳にしますと、包括的地域再生予算とも申すべきものの創設についての提案でございますが、SRBは、イギリスで採用されている、コミュニティの参加が重視される国庫補助制度で、実施されるプロジェクトには何らかの形でNPOが参加していると聞いておりますが、社会貢献活動団体との協働の推進をしている都としては、参考とすべき制度と考えております。
 しかし、包括的地域再生予算の創設は、イギリスと日本との都市事情の相違もあると考えられ、また、その効果という点についても、広い角度からの議論が必要であると考えられます。イギリスでのSRBの運用実態も含め、今後、研究をしてまいりたいと思います。
 次に、NPOへの税制優遇にかかわる問題でありますが、近年、NPOの活動が活発化しているものの、多くのNPOにおいては、その活動基盤が脆弱であることが、各種の調査結果からも指摘されているところであります。
 また、税制面においては、公益法人と比較したNPOに対する法人税などの軽減措置の必要性について、従来から議論があったところであります。
 都は、こうした状況を踏まえながら、認定NPO法人への活動支援のため、法人税法の一部改正を国に提案要求しているところであります。
 今後とも、ご指摘の趣旨を踏まえ、機会あるごとに、国に対し税制の改正を要請していきたいと思います。
   〔衛生局長今村皓一君登壇〕

○衛生局長(今村皓一君) 都立病院改革における小児医療等の課題についてお尋ねがございました。
 移転統合の対象となる都立小児病院がこれまで実態として担ってきた地域医療については、地元自治体や地域の医療機関との役割分担を踏まえながら、関係機関と協力して、地域住民が安心できる医療提供体制を確保するために、さまざまな取り組みを行ってまいりたいと考えております。
 また、改革を進めるに当たっては、都民に対する総体としての医療サービスの向上という改革の目的や、都立病院が本来果たすべき役割等について、関係者に十分説明を行い、理解を得てまいりたいと考えております。
   〔福祉局長前川燿男君登壇〕

○福祉局長(前川燿男君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、子どもの社会的養護のあり方についてでありますが、社会的な養護を必要とする児童は、本来、家庭的環境の中で愛情に包まれながら成長することが望ましいのは、ご指摘のとおりであります。また、今日、被虐待児、情緒障害児など、個々の実情に応じたきめ細かなケアを必要とする児童がふえているのも、事実でございます。
 こうした観点から、これまでの施設養護のあり方を見直すとともに、お尋ねの里親についても、大幅な拡充を図ることが必要と考えております。
 今後、幅広い都民の理解と参加を得ながら、家庭的養護の充実に全力を挙げて取り組んでまいります。
 次に、痴呆性高齢者グループホームの整備についてでありますが、高齢者が生き生きと自立して生活していくためには、地域の中でみずからに合った住まいと介護のあり方を選択できるよう、施設、在宅サービスの充実を図ることが重要でございます。痴呆性高齢者グループホームについても、こうした観点から、積極的に整備を進めていく方針であります。
 お尋ねの事業主体の多様化については、既に国に先駆けて、NPO法人への整備費補助などを実施しておりますが、今後さらにさまざまな事業主体が参入できるよう、条件整備に努めてまいります。

○六十七番(服部ゆくお君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議は、これをもって散会されることを望みます。

○議長(三田敏哉君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(三田敏哉君) ご異議なしと認め、さよう決定いたします。
 明日は、午後一時より会議を開きます。
 念のため、申し上げます。
 ただいまご着席の方々には改めてご通知いたしませんから、さようご了承願います。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後七時五十七分散会

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