平成十三年東京都議会会議録第十二号

   午後六時二十七分開議

○議長(三田敏哉君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 八十一番吉田信夫君。
   〔八十一番吉田信夫君登壇〕

○八十一番(吉田信夫君) 日本共産党都議団を代表して質問します。
 米国で起きた同時多発テロは、多数の市民の生命を奪う憎むべき蛮行であり、厳しく糾弾するとともに、テロの犠牲となった方々、そのご家族、関係者の皆さんに心から哀悼の意を表し、お見舞いを申し上げます。
 日本共産党は、このテロ事件は、米国への攻撃にとどまらず、国際社会全体と世界の法と秩序に対する攻撃であり、野蛮なテロを根絶することは、二十一世紀に人類が地球上で平和に生きていく根本条件の一つとなるものと考え、法と道理にかなった解決を提案しているところです。
 テロ犯罪に対する解決の方法は、容疑者を被害を受けた国に引き渡して裁判にかけることが国際的な諸協定にも明記され、世界で確立されてきた基本ルールとなっています。実際に、二百七十人の犠牲者を出したパンアメリカン機爆破墜落事件では、国連による経済制裁を含む粘り強い対応の結果、九九年にリビア政府が容疑者とされた二人の人物の引き渡しに応じ、裁判が開始されました。
 また、軍事的報復については、国連が武力行使を伴う復仇、すなわち軍事的報復を明確に禁止する宣言を採択するなど、国際法上も法的根拠は認められていません。今回の事件についても、国際連合は法の裁きを受けさせるための共同の緊急行動を呼びかける決議を採択し、二十四日に開催された国連総会では、アナン事務総長が、テロ事件の対応として暴力の道を拒否すること、政治的、経済的な問題は平和的に解決でき、人の生命が犠牲になることを避けることを訴えました。
 武力によらない平和的解決を求める国際世論も広がっています。にもかかわらず、アメリカは軍事報復の準備を世界的規模で進めています。テロ犯罪に対して軍事力で報復することは、テロ根絶に有効でないばかりか、新たな戦争による惨害をもたらし、一層のテロ行為と武力報復の悪循環を生み出す危険にあふれたものです。
 知事、テロ犯罪の容疑者、犯罪行為を組織、支援した者を逮捕し、裁判にかけ、法に照らして厳正に処罰するという法に基づく裁きこそが、この問題の根本解決の道と考えますが、所見を伺います。
 日本政府の対応も問われています。小泉首相は、アメリカの軍事報復を容認するだけでなく、自衛隊による米軍支援の軍事行動を地球規模に広げる新規立法などの支援策を打ち出しました。これは、憲法の平和原則はもちろん、政府のこれまでの憲法解釈さえ踏みにじるものです。
 知事、対米軍事支援先にありきで突き進む小泉内閣の対応は、テロ根絶に有効でないばかりか、日本の進路を決定的に誤らせるものと考えますが、所見を伺います。
 日本共産党は、世界各国に、軍事行動によるものでなく、法に基づく裁きの立場に立つことを要請する書簡を送り、小泉首相に対してもアメリカの軍事報復追随でなく、法と理性に基づいて対応するよう申し入れを行いました。引き続き問題の平和的解決のために力を尽くすものです。
 さきの都議選で、我が党の議席は十五議席にとどまりましたが、福祉復活、介護減免などの切実な都民要求を高く掲げ、七十五万票という自民党に次ぐ得票を獲得しました。この都民の負託にこたえ、公約と都民要求実現のために引き続き全力を尽くすものです。
 その立場から、初めに、今、都政が心を砕かなければならない雇用の問題について伺います。
 不況の深刻化に伴って、雇用情勢は悪化の一途をたどり、完全失業率は記録史上最悪の五%を超えました。仕事につきたいが、とても無理と求職活動をあきらめている潜在失業者を加えると、実に十人に一人以上の人が職につけず、収入の道を閉ざされていることになります。
 もう二年も失業状態です、最近では、精神的にも追い詰められて病院に通っています、セーフティーネットというが、再就職できても、もらえる給与は半分というのが現実です。職を奪われるということは、経済的打撃はいうに及ばず、健康がむしばまれ、子どもたちの生活に暗い影を落とし、時には家庭の崩壊までもたらしかねないのです。
 ところが、小泉首相は、こうした国民の痛みを顧みることなく、大企業のリストラを応援したり、不良債権の早期最終処理で中小企業をつぶそうとする構造改革を推し進めています。こんなことが実行されれば、百万人を超える失業者と二十万社ともいわれる企業倒産に見舞われ、景気が上向くどころか、さらなる不況の悪循環に陥ることは明らかではありませんか。
 実際に、小泉首相の骨太方針に沿って出された大企業のリストラ計画は、主な三十社で十六万人に及んでいます。しかも、日本の主要大企業がため込んだ資金、いわゆる内部留保は百二兆円に及んでおり、経営破綻によるものでも、やむにやまれずというものでもありません。
 こうしたもとで東京都は、「緊急雇用・経済 東京プロジェクト」を実施し、明日から国会が開催され、政府は失業保険給付の延長などを内容とした補正予算を提案すると報道されています。しかし、幾らセーフティーネット対策を講じても、失業者をどんどんつくる政策とワンセットでは、失業問題は解決しません。知事、大量失業を促進する政策そのものを改めるべきと考えますが、どうか。
 また、大企業の本社が集中している東京で解雇規制のルールがつくられれば、全国に波及する効果ははかり知れません。大企業の身勝手なリストラを規制するための条例や企業との協定など、ルールづくりを提案するものですが、あわせて所見を伺います。
 雇用の確保では、学校の先生や介護保険で大きな役割を果たしている常勤ヘルパーなどは、都民要望を実現することにもつながります。悲惨な被害を出した新宿の雑居ビル火災で、その必要性が明らかになった消防署員の増員、とりわけビルの査察を行うための予防要員の増員などは、今すぐにでも実施する必要があると思いますが、見解を伺います。
 生活支援では、我が党がかねてから提案している、雇用保険期間が過ぎたり、長期に職を失っている人などのために、生活つなぎ資金の創設こそ、時宜にかなったものと考えますが、どうか。
 また、現行予算の枠組みの中では、思い切った対策はできません。予備費の活用や補正予算を組むなどして、都民の願いにこたえることが都の責務ではありませんか。それぞれ知事の答弁を求めます。
 以上、幾つかの提案を行いましたが、日本共産党は、この深刻な雇用問題を解決するために、リストラを規制するルールをつくり、新たな失業者をつくらない政策に転換する、仕事を分かち合うワークシェアリングや自治体が独自にできる公的雇用をふやすなど、本腰を入れて雇用をふやす、失業者の生活保障の抜本的拡充という三つの角度から抜本的対策を提案し、その国民的運動を呼びかけているところです。引き続き、不況打開と雇用問題解決のために全力を尽くす決意です。
 次に、知事の都政運営の基本姿勢に関連して伺います。
 今日ほど、深刻な不況と相次ぐ社会保障の改悪のもとで、自治体としてのあり方が鋭く問われているときはありません。ところが、知事は所信表明では、都民の置かれた過酷な現実への思いや痛みを和らげる提案は聞かれず、都民の切実な願いである福祉復活や介護保険について一言も触れませんでした。
 その一方、知事は、日本の再生につながる東京からの再生の実現を都政運営の基本として、外環道路などの幹線道路、都心部の再開発などの巨大プロジェクトを新たな決意で推進していくことを強調しました。しかし、知事のいう東京再生という巨大プロジェクトは、住民追い出しや環境破壊など一極集中の弊害を拡大するだけではなく、今でも八兆円近い借金に苦しむ都財政をさらなる破綻に導く危険の高いものです。
 知事、都民が必要としているのは、大型開発計画中心ではなく、介護基盤や都営住宅、生活道路などの生活に密着した公共事業です。また、浪費とむだの典型である臨海副都心開発の抜本的見直しなど、税金の使い方を切りかえることで、借金依存型の都財政運営からの脱却も可能となるではありませんか。見解を伺います。
 知事はまた、財政再建は道半ばとして、これまで以上に都民施策の切り捨てと負担の増大を迫ることを明らかにしました。この点では、七月末に出された来年度予算編成に関する副知事依命通達は、都民施策については一律一〇%カットを求める一方、大型開発が中心に位置づけられた東京構想二〇〇〇や、都市再生を柱とする重要施策については聖域扱いという態度をとっています、こうした方向は、都民や都民団体の願いとは大きくかけ離れたものといわざるを得ません。
 今、都政に求められていることは、都民の暮らしと痛みに心を寄せ、都民の暮らしと福祉を守るために全力を尽くすことではありませんか。その方向こそ、地方自治法が定めた住民の福祉の増進を図ることを基本とする自治体本来の姿があるのではありませんか。
 知事、自治体が行うべき重要施策は、何よりも都民の暮らしと福祉を守る施策を柱とすべきと考えますが、見解を伺います。
 あわせて、重要施策を考える上で欠かせない幾つかの課題について提案します。
 その第一が、切り捨てられた福祉施策の復活です。小泉内閣が進める改革の痛みは、またしても高齢者の方々に集中的に押し寄せようとしています。七十歳からの老人医療費は、ことしから一割負担となり、受診抑制が深刻な問題となっていますが、来年度以降、さらに七十四歳まで二割負担としていく方針が示されました。負担倍増であり、こんな高齢者いじめは絶対に許せません。それだけに、今改めて、知事、あなたが国の社会保障が充実したなどといって、福祉改革の名で切り捨てた福祉施策をもとに戻すことが緊急の課題となっているのです。
 知事は、国の医療保険制度見直しに対して、必要な医療サービスを国民のだれもが受けられるよう、低所得者に十分配慮するよう政府に提案しています。ところが、都独自の老人医療費助成、マル福は、低所得者に何ら配慮なく、段階的廃止を推進しているのです。既に七万人が対象から外され、白内障の手術をしないで我慢している、医療費を節約するために薬の回数を減らしているなどの事態が現実に起きています。
 シルバーパスは、有料化に伴い、昨年だけで十万六千人も利用者が減りました。杉並区のことしの一斉更新では、一万円パスの利用者は、昨年の五千円パス利用者の六割に激減しています。明らかに五千円から一万円の値上げの影響です。東京新聞には、このシルバーパス値上げに対して、デフレで物価が下がっているときに、高齢者には超インフレ、目玉が飛び出すような負担増に、福祉とは名ばかりとの高齢者の怒りの投書が掲載されました。まさに福祉を守るべき自治体としての役割を東京都が投げ捨てたことへの告発であります。
 知事、シルバーパス、マル福などの福祉切り捨ては直ちにやめて、もとに戻すことを要求するものであります。
 また、高齢者の皆さんから苦情が殺到しているシルバーパスの磁気カード問題は、シルバーパス条例が、提示することでバスに乗車できると規定している原則どおり、機械を通すことを強制しないよう徹底すべきと考えますが、お答えください。
 十月からの介護保険料の全額徴収、すなわち二倍化への引き上げを目前にして、保険料の減免は切実な問題となっています。新しい保険料通知に対する苦情や問い合わせは、私が調べた十七の区だけで一万三千件に及び、多くの高齢者の方々から悲鳴ともいえる声が上がっています。それだけに、住民の切実な実態にこたえて保険料減免に踏み切る自治体が全国的に広がっています。東京二十三区ではこの半年間に倍増し、都内全体で三分の一の二十一自治体、全国の政令都市では、大阪、京都、神戸を初め半数に及びます。
 都として、区市町村を支援する保険料減免制度を実施すること、国に対し、保険料全額徴収を再検討し、負担軽減を図るよう求めること、この二点を強く求めるものであります。
 同時に、重大な問題は、知事が第一回定例会で検討を約束した都としての利用料減免制度が、半年以上も経過しながら、いまだに実現していないばかりか、見通しすら明らかにされていないことであります。知事ご自身が、できるだけ早く検討して積極的に進めていきたいと議会ではっきり答弁しているのです。いつまでに具体案を示し、実施するのか、明確な答弁を求めるものです。
 知事は、福祉改革の先進例として認証保育所を挙げ、利用者から予想以上の好評を博していると述べました。しかし、その第一号の認証保育所は、開設から二カ月になりますが、五十四名定員で利用者は十八名にすぎません。月七万円から八万円を超える保育料の高さに加え、施設は立体駐車場棟の中にあり、玄関の外は排気ガスがこもる環境です。保育室の窓の位置が高く、子どもの目の高さからは外の風景は見えません。もちろん、現在六カ所の認証保育所の状況はそれぞれ違いますが、ここは知事が開所式に出席した、よくご存じの施設です。
 知事、人間形成の土台をつくる大事な時期にある乳幼児が、一日の大半の時間を毎日過ごす環境として、これが望ましいものだと思いますか。
 あわせて、子どもの発達と生活を保障するにふさわしい環境を整えるため、都が責任を持つとともに、保育料負担を軽減するなどの改善を要望しておくものです。
 私は、認証保育所は、保育所待機児の緊急の受け皿や一時保育などの役割は果たし得るものと考えますが、期待を持って見学に来た父母からは、やはり安心できる認可保育所がいいという率直な声が上がっています。知事は、認証保育所は計画を前倒しで促進するといいますが、肝心の認可保育所は新増設の数値目標さえ持っていません。認可保育所の新増設で、いつまでに何人の待機児を解消をするのか、具体的な目標と計画を早急に明らかにし、取り組みを強めるよう求めるものです。
 知事が設置をした都立病院改革会議は、この七月、現在十六の都立病院を八カ所へ、大幅に縮小、削減する方向を提言しました。例えば、八王子、清瀬の小児病院と世田谷の梅ケ丘病院、母子保健院の都内四カ所の小児医療専門病院をすべて統合、廃止し、一カ所に集中しようという方向が示されています。これに対して、地元自治体や住民から一斉に怒りの声が上がっています。
 八王子、清瀬の両市長とも、統合案に対し大きな憤りを感じている、到底承服できないと明言しています。八王子小児病院の存続を求める署名には、八王子市民の五人に一人が名を連ねています。障害のある子どもを持ち、都立小児病院を利用している方は、次のように訴えています。病院がなくなって一番困るのは、入院、通院している子どもたちです。子どもたちに痛みを強いるのが改革でしょうか。
 知事、こうした住民と地元自治体の声をどう受けとめますか。小児救急、小児医療は、相次ぐ医療機関の撤退、小児科医の不足など、危機的状況です。小児救急の患者数はふえ続けており、症状が急変しやすい乳幼児は、とりわけ対応の早さが命であります。どう考えても小児病院の統合、廃止案は道理がありません。小児病院の統合、廃止はきっぱりとやめるべきであります。見解を伺います。
 このほかにも、老人医療センターと豊島病院の統合、民営化を初め、都立病院改革会議の報告書は、改革の名で、都立病院が大きな役割を果たしてきた小児医療や高齢者医療、地域医療の切り捨てを推し進めるものとなっています。知事は、年内に、都としての都立病院改革マスタープランを策定するとしていますが、都立病院のあり方は都民の命と健康に深くかかわる問題であり、改革会議の報告書に多くの疑問や批判が寄せられているのですから、都としての方針は、改めて関係自治体と住民、患者、医療関係者の参加で、時間をかけて検討することが必要であると考えますが、いかがでしょうか。
 東京の病院ベッド数は、この五年間に五千床も減り、都民一人当たりベッド数は全国平均以下です。民間病院では、一日一万円、二万円という差額ベッド料が当たり前になり、患者は重い負担に苦しんでいます。だれでも、どのような病気にかかった場合でも、良質な医療を公平に受けられるようにするという都立病院の役割は一層大きくなっているのであり、縮小、削減や民営化でなく、充実のための改革こそ求められています。我が党は、そのために全力で奮闘することを表明するものであります。
 障害児学校の改善の問題も切実です。東京都は、革新都政時代に障害児の全員就学を掲げて以来、条件整備に努めてきた歴史があります。しかし、財政再建推進プランの実施以降、露骨な切り下げが進められました。障害が一層重くなり、障害が重複する子どもたちが急増しているのに、都の予算はふえず、削られてきました。このため、障害児学校の学級数や教員の数は国基準を大きく下回り、昨年度は百三十四学級、二百四十二人の教員が不足している状況です。
 スクールバスも、一時間以内のコースは知的障害校でわずか二二%、肢体不自由校では九%にすぎません。しかも、都の方針でバスが大型化し、一つのコースが長くなったために、二時間近くも乗っていなければならないケースも生まれています。体が不自由な子どもたちにとって、長時間のバス通学がどれだけ過酷なものであるか、はかり知れません。
 また、教室不足も深刻です。子どもたちの重度重複化や生徒の増加に、学校の増設や施設の改善が追いついていないのが現状です。ある教室では、学習と給食とトイレを一つの教室で賄っていて、先生は、せめて食事は別の部屋でとれるようにしてほしいと訴えられていました。また、教室をカーテンで仕切って、二つのクラスで使っているなどもありました。
 私も直接この目で見て、改めて事態の深刻さに気づかされました。知事、障害児学校の現場を見ていただきたいと思いますが、どうでしょうか。
 また、障害児学校の改善をこそ、重要施策に位置づけるべきと考えますが、あわせて見解を伺います。
 三宅島噴火による全島避難から一年が過ぎ、ようやく一時帰島が一部実現しました。帰島された方の思いは、万感あふれるものがあったと聞きました。その方々の話では、住宅の被害が少なくてほっとした方がいる反面、泥流でほぼ埋め尽くされ、茫然とされた方も少なくありませんでした。いまだに有毒ガスの噴出が続き、本格帰島のめどは立ちにくい状況ですが、それだけに、一年を経た今日の時点での東京都の物心両面からの支援が改めて重要となっています。
 その一つは、生活の支援です。これまでも繰り返して収入の道を閉ざされた島民の皆さんの生活を支える資金の必要を訴えてきましたが、改めて生活調査を行い、実際に役立つ支援を行うこと、とりわけ生活を支えるために継続的な生活資金の支給に踏み出すことが必要です。各種ローンの返済猶予と利息の棚上げなどを関係機関に働きかけることも緊急です。答弁を求めます。
 また、住宅が大きな被害を受けた島民は、帰島後の生活再建ができるのか、心を痛めています。住宅復興のための個人補償制度や公営住宅など、帰島に備えた対策が求められています。また、まず、専門家を派遣して住宅被害調査を行うこと、住宅復興のための制度的な検討を始めることを提案するものです。それぞれ伺います。
 以上、都政が優先して取り組まなければならない課題の幾つかを取り上げました。知事は、財政難を理由にこれらの都民の切実な要望を顧みることなく、福祉、教育、中小企業予算など、次々と切り捨ててきましたが、税金の使い方を切りかえ、都市再生などの大規模開発を抑制することで十分実現可能です。知事が、暮らしと福祉を大切にする地方自治の原点に立ち返ることを強く要望するものです。
 また、知事は、所信表明で、使用料、手数料の見直しを表明されましたが、不況に苦しむ都民の家計を直撃する公共料金の値上げは断じて認められないことを申し述べておきます。
 最後に、石原知事の政治姿勢の問題です。
 我が党は、石原知事就任以降、憲法否定の特定の政治的立場の都政への持ち込みについて厳しく批判してきましたが、この夏、日本の侵略戦争への認識と態度について姿勢が問われる幾つかの重要問題が起きました。
 その第一が、新しい歴史教科書をつくる会主導の歴史教科書の問題です。石原知事が発足以来の賛同者でもあるつくる会の歴史教科書は、日本のアジアへの侵略戦争の誤りを反省し、次の時代への教訓とする立場を自虐史観だと非難し、侵略戦争と植民地化を肯定する立場から作成されたものであります。当然、父母や学校関係者からは、教科書としてふさわしくないという声が上げられ、政府の検定合格にはアジア各国から批判の声が寄せられました。
 これに対して知事は、教育委員の改選に当たって、つくる会の理事である藤岡信勝氏を教育委員に推薦しようとしたことを初め、都教育委員会に対し、教科書を教師や専門家に任せず、教育委員の権限と責任で選ぶように区市町村の教育委員会に強く指導すべきだと要求することまで行いました。また、都内自治体の教育委員を都庁に集めて、同じ内容を知事が直接迫るなど、これまでの教科書採択のあり方を変え、教育委員会の判断だけで行うよう、事あるごとに発言をしてきました。教育長は、こうした知事の意向を受けて、区市町村教委に採択のための資料まで配布しました。教科書採択をめぐり、知事の影がちらつくと指摘されたのも当然であります。
 しかし、採択の結果は、つくる会教科書は東京の区市町村ではどこも選ばれませんでした。全国の市町村でも採択されたところはありません。県段階でも、採択は東京都と愛媛県だけでした。この二つの都県以外の教育委員会は、この教科書の持ち込みにノーの結論を出したのです。それは、まさにつくる会教科書が、戦前の侵略戦争を賛美する内容となっていたからにほかなりません。日本の現代史を語る上で、日本がアジア諸国民に巨大な被害を与えた侵略戦争と植民地支配をきっぱりと反省し、その誤りを清算することは、日本がアジアの中で生きていく上で不可欠のものです。
 ところが、つくる会教科書は、太平洋戦争を大東亜戦争と呼び、その目的を自存自衛、すなわち日本を守る自衛戦争だったということ、アジアの解放にあったということを繰り返し書いています。しかし、これは戦前の軍部の説明の蒸し返しにほかなりません。
 また、大東亜共栄圏という考えが世界に通用しない議論であることは、外務省の日本外交史事典が、大東亜共栄圏について、日本の侵略を合理化するためのイデオロギーとスローガンだと指摘をしていることでも明らかです。こんな教科書を選んだら、子どもたちにゆがんだ歴史を教えることになり、加えて、二十一世紀の日本とアジア諸国、世界との関係を危うくすることになるではありませんか。
 そこで、知事に伺います。
 知事は、都議会で戦争当時への歴史認識を問われた際、植民地支配の事実は認め、遺憾でもあるとは述べましたが、肝心の侵略戦争の事実や、アジアの人々のいやしがたい犠牲には触れませんでした。日本の首都の代表として、侵略戦争の事実を認め、反省の立場を明らかにすることを求めるものですが、どうか。
 また、侵略戦争を賛美する教科書を各学校で使わせるべく運動しているつくる会の賛同者に名を連ねることは、教育行政を含め、都政に責任を負う知事の立場と相入れないものではありませんか。あわせて見解を求めます。
 第二に問われたのは、昨年に続き、終戦記念日の八月十五日に、都知事として靖国神社に参拝した問題です。
 靖国神社は、天皇のための戦死者を英霊として祭るためにつくられた戦争の精神的支柱となった神社であり、戦前はまさしく侵略戦争と軍国主義のシンボルであったのです。一宗教法人となった戦後も、その基本的性格は変わらず、侵略戦争を指導した東条英機を初めA級戦犯まで昭和殉難者として合祀されています。
 このような態度は、都知事が侵略戦争を肯定する立場に立っていることを公然と内外に表明することにほかなりません。それは、アジアの一員として、二十一世紀を、日本そしてその首都である東京が生き抜く上で、大きな障害となりかねないのであります。
 また、そのような靖国神社に知事として参拝するのは、国及びその機関に対して、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならないと定めた憲法二十条三項に違反するものです。
 知事、今後、靖国神社参拝はやめるべきです。答弁を求めて、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 余りばかばかしいんで頭にきた。
 吉田信夫議員の代表質問にお答えいたします。
 この部分は、私のひとり言と聞いていただいて結構ですが、あなた方は、都議会の選挙で惨敗した割には、全然変わらないね。本当に。(拍手)声は随分前に比べて悲しげだったけども、内容は全然変わらぬですなあ。
 まず、同時多発テロへの対処についてでありますが、何の罪もない数千人もの一般市民を巻き添えにした今回の事件は、その犠牲者の数の多さにおいても、これまでのテロと全く異質の行為であって、アメリカが断じるとおり、まさに戦争そのものといって差し支えないと思います。この事件にどう対処するかは、第一義的には、直接攻撃に遭い、一番数多い被害者を出したアメリカ、当事者が、国家の尊厳において考えることだと思います。
 次いで、同時多発テロへの小泉内閣の対応についてでありますが、私、あの事件が起こってからの国会レベルの与野党の議員のテレビその他の議論を聞いておりますと、何と頼りない人たちかなという気がする。つまり、憲法を含めて、既存の法律というものに寄っかかった解釈論だけでありまして、まさしく新しい未曾有の事件が勃発したわけでありますから、それをどう受けとめるかということは、やっぱりその人間の感性というか、想像力の問題というか、そういう点でいえば、みんないかにも鈍感でありまして、本当にこういう人たちに国を左右する問題の選択を任せられないなという気がいたしましたね。
 しかし、それに比べれば、いろんな建言を私たちもしましたけども、小泉内閣は、非常に日本の内閣にしては対処が早かったと思います。これは、新しい事態に新しい法律を設けて対処するというのは、国を預かる人たちの責任でありまして、その点では私は、今回の対応について、これを是といたします。このような状況の中で、小泉内閣は、おおむね正しい選択を行ったと受けとめておりますし、国内の世論も、共産党の支持者は別にして、自衛隊が米軍を支援することについて高い支持を示しておりますな。
 次いで、小泉内閣の雇用対策を改めるべき云々のことでありますが、我が国経済再生のために、不良債権処理を中心とする経済財政構造改革を打ち出し、その中でセーフティーネットの充実を初めとする雇用対策も盛り込んでおります。
 都としても、現在何より必要なことは、東京を核とする首都圏を再生させ、それを我が国の経済危機の克服の起爆剤とすることでありまして、そのためにも、都は、先般、首都圏再生緊急五カ年十兆円プロジェクトを打ち出しまして、その実現を今後も国に対して再三にわたって強く迫っていくつもりでございます。
 ただ、東京がかねていっておりました新しい娯楽空間であるカジノのようなものは、国の法律をまたなかったら実現できませんが、私は、こういう娯楽施設に対するコンセプトを、そろそろ日本人も変えるべきだと思いますし、もしこれが実現すれば、東京だけではなくて、いろんな都道府県で、その規模に応じての新しい雇用が、思った以上に獲得できると思いますけども、それは、最後は国がそれを判断することでありましょう。
 次いで、雇用対策についての補正予算等についてでありますが、現在、政府は、雇用対策を柱とする補正予算の編成を検討しておりまして、今後、国の補正予算の内容を見きわめながら、都の対応を判断していきたいと思っております。
 次いで、今後の公共事業のあり方についてでありますが、公共事業については、これまでも東京都が、事業の緊急性や必要性に応じて、さまざまな都市基盤の整備を進めてきたつもりであります。
 中でも、東京における空港、鉄道、道路などの都市の根幹となる施設の整備は、次の世代に引き継ぐ財産となるものでありまして、産業の活性化や国際競争力の向上はもちろんのこと、生活基盤の質を高める上でも極めて重要なものであります。
 これらのプロジェクトを、そのサイズが大きいということだけで排除する理由は、全く見当たりません。
 厳しい財政状況を踏まえつつ、今後とも、限りのある財源を投資効果の高い事業に重点的に配分し、その着実な整備を進めていきたいと思いますし、国にもそれを強く迫りたいと思います。
 次いで、重要施策についてでありますが、福祉というのは、高齢者や障害者、子どもなどに対する福祉、医療問題という身近な生活の問題だけではなくて、都民全体、国民全体を視野に入れた都市再生、環境問題、産業振興も含めた、あるいは治安、災害対策もそうであります、総合的な概念としてとらえるべきだと私は思います。
 今日の東京を見ますと、まさにこうしたトータルな取り組みが必要であると思います。
 重要施策も、都市基盤整備や環境対策、福祉、医療、教育、さらには産業、雇用、あるいは治安対策など、都政全般にわたって、局の間の壁を越えて、総合的に検討していきたいと思っております。
 福祉施策についてでありますが、私は、利用者本意の新しい福祉の実現を目指して、福祉改革推進プランを策定し、これに基づいて、戦略プロジェクトを中心に、大都市の特性に即した独自の取り組みを実施してきたつもりであります。これらの取り組みをさらに発展、具体化させ、改革を新たな段階に推し進めようというのが現在の状況であります。
 お話の一連の福祉施策の見直しは、こうした福祉改革の前提をなすものとして、昨年度実施し、既に都民の皆様からご理解をいただいているもので、今回の都議会の選挙も、その結果も、それを明かしているものと思っております。したがいまして、この見直しをもとに戻す考えは全くありません。そういう議論そのものが、もはや陳腐であると私は思います。
 それから、私もそのオープニングに参加いたしましたが、北千住の駅前の、JRと保育園経営の私企業の協力を得て発足しました認証保育所ですが、人のやっていることにけちをつけるにしても、実態というものをちゃんと把握して物をいってもらいたい。あなたがいいましたが、今、人が足りなくて、園児が足りなくて困っているんじゃないんだ。定員が五十四人ですけれども、今、百七十四人の、三倍以上の希望者がございまして、その選択に苦労しているんですよ。
 認証保育所は、送り迎えが便利な駅前などに立地しておりまして、良質な保育環境を備えて、先ほど、前の答弁で前川局長も申しましたが、零歳児の保育あるいはほかでやっていない長時間の保育など、大都市特有の保育ニーズに対応するために設置しましたものです。
 お尋ねの認証保育所については、私も実際に出席しましたが、駅前に立地するという利便性を生かしながら、環境にも十分配慮した快適な施設でありまして・・それは入り口は駐車場でしょうよ。しかし、そこで自動車がアイドリングしているわけじゃないし、建物の都合で窓は低いかもしれないけれども、外へ出てごらんなさいよ。低い手すりに支えられた庭があるじゃないですか。その実態も見ないで、要するに、これがですな、ついでに申しますと・・本当にくだらぬことで頭にくるんだよ、こっちは本当に。(笑声)
 その利便性を生かしながら、環境にも十分配慮した快適な施設であります。窓を広くとって、採光も十分でありまして、屋上に遊び場も配置しておりますし、IDカードを利用したセキュリティーシステムもありました。あるいは携帯電話を利用した、親に対する動画配信システムなど、すぐれた保育の環境を実現しております。
 この保育所を利用したいという都民からの希望が、定員の三倍近く寄せられているということをどうぞご認識願いたい。もしこれを前例に踏まえて、この間、JRの松田会長とも話しましたけれども、どんどんやろうということで、そのうちに厚生大臣も見に来るでしょうし、厚生省の役人も来て、おさい銭を上げて帰るかもしれない。そして、四年後の選挙に、あなた方、またハイエナみたいに、おれたちがいってやらしたんだっていわないでもらいたい。(拍手、発言する者多し)
 次いで、小児病院の移転統合に対する地元自治体等の意見についてでありますが、東京発医療改革の核であります都立病院改革の基本的な目的は、都民に対する総体としての医療サービスを充実し、強化しようとするものでありまして、都民全体の医療ニーズを視野に入れた改革なんです。地域、地域の問題じゃないんです。東京は、さっき申しましたように、医療のインフラというのは、他に比べて非常に厚く、充実しておりますから、重複している部分もある。それを解消して、普遍的に都民全体に、つまり、その要望にこたえる体制をとろうというのが、今回の改革案であります。
 都立病院改革を進めるに当たっては、都と地元自治体、地域医療機関等がそれぞれの役割を担い、密接な医療連携の中で、都民が安心できる医療提供体制を確保していくつもりでございます。
 それは地域の方々の不安もあるでしょうけれども、やっぱり、地域には地域の、エゴとは申しませんが、要望もあるでしょうが、しかし、それにこだわっていては、もっとバーズビュー、鳥瞰的に(発言する者あり)うるさいな。鳥瞰的に都の全体の医療を考えることにはならないと思います。
 次いで、盲・聾・養護学校の視察についてでありますが、私は現場主義でありまして、学校の実情を知ることは大切だと思っておりますから、折を見て現場視察をしたいと思っております。
 次いで、盲・聾・養護学校の改善を重要施策に位置づけることについてでありますが、今後、都政全体を視野に置いて重要施策を協議することになりますが、その中で検討いたします。
 さて、私の歴史認識についてでありますが、これはやはり、個人個人の一つの価値観なり、感性なり、情念によったものでありまして、その一つの歴史についていろんな人がいろんな見方をするのは、これは当たり前のことだと思います。そこにこそ、ヤスパースがいった歴史というものの重層性、層が重なってある性格というものがあるのでありまして、私は日本のやった戦争をすべて是ともしないし、すべて非ともしません。そういう意味で、日本のやった戦争も、歴史の一部分として非常に重層的なものでありました。
 例えば、日露戦争をとらえて、あの帝政ロシアのくびきから独立しようと国民をリードした、トルコの国父といわれているケマル・パシャは、日本の近代化というものを非常に評価しました。日清戦争、日露戦争をみずからの範として、国民の勇を鼓した。あるいは私が実際に会って聞きました、二代目の大統領である、エジプトの独立戦争を主導したナセルも、あるいはインドネシアを独立に赴かせた初代の大統領のスカルノさんも、同じことをいいました。私の盟友でありますし、非常に親しい仲でもありますマレーシアのマハティール首相も同じことをいっております。
 次いで、新しい歴史教科書をつくる会の賛同者に名を連ねることの知事の立場についてでありますが、私は、これに参加し、賛同者になったのは、議員をやめて知事になる前でありましたが、かといって、知事になってからその立場を変えるものでは決してございません。いかなる教科書をいかなる人が編さんするのも結構でありますし、私は、気の合った、価値観をともにする仲間でありましたから、彼らに協力をし、彼らに期待しました。
 同時に、ついでに申しますと、最初の原案というものには、私はかなり異を唱えたところもあります。それは一々つまびらかにいたしませんが、いずれにしろ、再校に再校を重ねてでき上がった扶桑社の歴史教科書は、国が決めた正規の手続を経て、つまり、文部省の検定を経て合格したもので、あとはそれぞれの教育委員会が自分のイニシアチブで決めることでありますから(発言する者あり)
それぞれの教科書を採択することについて、それぞれの教育委員会の権限と責任で行われるものでありまして、何ら問題はないと。しかし、一部の反対勢力は、この教科書を編さんした会社に火をつけて、テロを行ったじゃないですか。あなたはそれも是とするんですか。
 それから、最後に靖国参拝についてでありますけれども、私は、靖国神社の参拝は、殊さらそれを外交問題に仕立てる問題ではないと思う。これをまた、要するに、火をつけてあぶって、取り持って、悪い言葉でいえばチクって、日本の恥をかかすような策動をする一部のメディアもあるし、そういう勢力もある。証拠は幾らでもありますよ。向こうの当事者がいっているんだから、いやあ、困ったもんですよ、日本のメディアと。だれとはいわないけれども。
 いずれにしろ、その結果、つまり、これが外交問題にもなりましたが、私は、これはあくまでも日本の文化にかかわる内面的な問題であって、しかも、先ほど申しましたように、いろんな人の歴史観、いろんな人間の価値観があるわけでありますから、靖国の参拝について異論があるのは、私は決して否定もしません。ならば、その人は黙って眺めていればいいじゃないですか、人のやることなんだから。それを外交問題に取り上げ、仕立てたのは、あなた方じゃないか。
 私は公人であり、私人ですよ。東京都知事の石原だって、自分の情念、感情はあるんだ。それを、要するに、それに異論を唱える人間たちに絶対に規制されない。そこに私の人間としての尊厳があるんだから。(発言する者多し、拍手)
 いずれにしろ、垂直な倫理といいますけれども、世代を超え、時代を超えた一つの倫理観というのはあるでしょうが、私はその以前に、人間には、この国を思ってむなしく散っていった、あるいは快く散っていった、そういう先輩がいる。その人たちに敬意を表するということは、人間の時代を超え、世代を超えた情念だ。おれはそれは垂直の情念だと思うんだ。(拍手)それを参拝という形で体現することに異論のある人は、異論を唱えたらいい。私はそれに対する聞き耳は持ちますよ。しかし、それをこういう議場で禁止するとか、やめろとかいうことは、そういうのは僣越というんだ。
   〔発言する者多し、拍手〕
   〔産業労働局長浪越勝海君登壇〕

○産業労働局長(浪越勝海君) 雇用対策に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、解雇規制のルールづくりについてでございますが、雇用、失業情勢が厳しいことは十分承知しているところでございます。
 このような状況下において、大量の離職者が出る場合には、現行の雇用対策法で、企業が事前に公共職業安定所に届け出ることが義務づけられております。また、整理解雇については、必要性や解雇を避けるために努力することなど、いわゆる整理解雇の四要件を満たさなければならないとの判例も確立されております。
 これらの法や判例の内容が遵守されるよう、今後とも啓発に努めてまいります。
 次に、生活つなぎ資金についてでございますが、失業者の生活安定に対する施策は、基本的に国の責任において措置されるべきものと考えております。
 国は、雇用情勢が一層厳しさを増していることから、今月二十日、総合雇用対策を策定しました。その中で、雇用保険制度の枠外にある自営業者及びパート労働者の失業や、雇用保険の求職者給付期限切れにより生計の維持が困難となった失業者の世帯に対し、一定の条件のもとに、新たに生活資金を貸し付ける制度を創設することとしております。
 今後の国の動向を見守ってまいりたい。
   〔消防総監杉村哲也君登壇〕

○消防総監(杉村哲也君) ビルの査察を行うための予防要員についてのお尋ねですが、今回の新宿区歌舞伎町での火災のような小規模雑居ビルでは、建築物所有者やそのビルに入居するテナントが頻繁に変わり、実態把握が困難で、さらには防火管理や消防用設備等の維持管理が適正に行われていないなど、建物関係者の防火意識が低い傾向にあります。
 このため、東京消防庁では、現在、設置している外部の有識者から成る小規模雑居ビル火災安全対策検討委員会の結果を踏まえ、ご指摘の点も含めまして、今後の査察のあり方など、必要な対策について検討してまいります。
   〔福祉局長前川燿男君登壇〕

○福祉局長(前川燿男君) 福祉について四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、シルバーパスの使用方法についてでありますが、シルバーパスについては、従来から利用者の間で、通常のバス共通カードと同じように使用できるようにしてほしいとの要望が強かったのであります。
 こうした声にこたえて、本事業を実施している社団法人東京バス協会が、本年九月の更新時から、磁気カード化して発行している次第であります。
 利用者は、これまでどおりシルバーパスを提示して使用することもでき、都としては、既にその趣旨を現場に徹底するよう指導いたしております。
 次に、介護保険制度につきまして、まず介護保険料の減免についてでありますが、介護保険制度は国民の共同連帯を理念とするものであり、健全な運営のためには、すべての被保険者が保険料を公平に負担することが不可欠であると考えております。
 来月から保険料を本来の額で納めていただくことになりますが、これは、制度の円滑な実施を図るため、国が制度開始以来一年半にわたり実施をしてきた特別対策が終了するためであります。
 また、既に本制度では、低所得者への配慮として、所得に応じた保険料の設定方式などが講じられております。
 したがって、都といたしましては、ご提案のような独自の取り組みや国への要望は考えておりません。
 次に、介護保険制度における利用者負担の減免措置についてでありますが、実施主体である区市町村が工夫を凝らして、国の特別対策を積極的に活用していくことは望ましいと考えており、現在、都道府県として初めての支援策を、平成十四年一月から実施する方針で準備を進めております。今後、早期に具体的な実施案を取りまとめてまいります。
 最後に、保育所の待機児解消についてでありますが、都内の認可保育所の入所児童数は、全体でいいますと、保育所の定員を下回っており、待機児童が発生する原因は、都内全体で見て、認可保育所が不足しているためではなく、年齢や保育時間等の保育内容のミスマッチと地域による需給の不均衡に基づくものであります。例えば、利用者から要望の強い延長保育を行っているのは全体の四割強にすぎず、しかも、一時間を超えて延長しているのは数えるほどしかありません。
 都が認証保育所制度を創設したのは、こうした大都市特有の保育ニーズに柔軟かつ的確にこたえるためであります。
 したがって、待機児の解消のためには、保育の実施主体である区市町村が、受け入れ枠の拡大、定員の弾力化など実情に即した対策を講じるとともに、認可保育所自身が、ゼロ歳児保育、長時間保育などのサービス充実に積極的に取り組んでいただく必要があると考えております。
   〔衛生局長今村皓一君登壇〕

○衛生局長(今村皓一君) 都立病院の統廃合についてお答えいたします。
 まず、小児病院の移転統合についてでございますが、都立病院改革会議の報告における小児総合医療センターの設置は、委員の方々が、小児医療の現状を初め、地元自治体や地域の医療機関との役割分担等について、現地での視察や意見交換を重ねてつぶさに検討を加えた上で、都全体の小児医療の充実を、地域医療連携も含めた上で図る観点から提言されたものであり、都民に対する総体としての医療サービスの向上を図る上で、貴重な提言であると受けとめております。
 次に、都立病院改革のマスタープランについてでございますが、都立病院改革会議の報告は、都立病院が担うべき役割やその経営形態を明確にするなど、東京から全国へ発信する公立病院改革の新しい形を示したものとして、大方の評価をいただいていると認識しております。
 したがって、今後、この報告内容を尊重し、年内を目途にマスタープランを策定して、具体的な再編整備のスケジュール等を明確にした上で、改革の時期を失することなく、早期に実現を図っていかなければならないと考えております。
   〔総務局長大関東支夫君登壇〕

○総務局長(大関東支夫君) 三宅島支援にかかわる二点のご質問にお答えいたします。
 まず、三宅島からの避難者に対する支援策についてでございます。
 昨年九月の全島民避難以来、都は、都営住宅等の提供や就労対策など、長引く避難生活に対する各種の支援対策を実施してまいりました。また、商工業者の既往債務への利子補給、それから農業・漁業特別対策資金への利子補給など、金利負担の軽減も図ってまいりました。
 今後、一時帰宅事業の終了後に三宅村が実施する避難生活の実態調査を踏まえ、必要な措置を検討してまいります。
 次に、三宅島の住宅復興についてでございます。
 被災家屋等につきましては、既に三宅村は現地へ専門職を派遣し、外観上の被害調査を行い、相談窓口についても設置してございます。
 都は、帰島が可能となった場合、住宅に被害を受けた世帯に対し、災害援護資金の貸し付けや、住宅金融公庫による災害復興住宅融資利用への利子補助を行うこととしております。また、自力再建が困難な世帯に対しましては、村が公営住宅を円滑に供給できるよう支援体制を整えてございます。
 今後とも可能な限りの支援を図ってまいります。

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