平成十三年東京都議会会議録第十二号

○副議長(橋本辰二郎君) 六十三番土持正豊君。
   〔六十三番土持正豊君登壇〕

○六十三番(土持正豊君) 私は、都議会公明党を代表して、都政の重要課題について知事並びに関係局長に質問いたします。
 初めに、去る九月十一日のアメリカ合衆国を襲った同時多発テロの犠牲になられた方々に深く哀悼の意を表するとともに、被害者の方々に心よりお見舞いを申し上げます。
 テロは、ひとしく平和を希求する人類総体への挑戦であります。我々も、国際社会と協力し、テロ根絶に全力を挙げるべきであり、それとともに、姉妹都市であるニューヨーク市に対し、できる限り支援を行うべきであります。
 さて、第十六期の東京都議会議員選挙において、私たち都議会公明党は二十三名の議席をいただき、引き続き都政のかなめの党としての役割を与えていただきました。広範な都民の皆様の負託におこたえするため、全力で都政の発展に努める決意を表明して、質問に入ります。
 まず、都が新しく取り組みを開始した重要施策の立案について伺います。
 都は、来年度予算編成において、予算査定に先立って施策の優先順位をつけ、重要施策を選定する方式に切りかえました。時代の変化に即応して重要課題を設定し、めり張りのきいた予算編成を行うことは当然でありますが、他方、重要施策として特別扱いするには、手続の透明性と十分な説明が不可欠であります。
 そこで、以下二点について伺います。
 第一は、重要施策の選定基準であります。
 都庁の膨大な事業の中から重要施策を選定していくためには、例えば国のように、IT、都市再生、環境、少子高齢化、教育、科学技術、地方活性化の重点七分野といった明確な基準が必要と考えます。重要施策の明確な選定基準を示さないままでは、説明責任は果たせません。重要施策の選定基準の基本的な考え方について伺います。
 第二は、バランスのとれた施策の実施についてであります。
 来年度予算は、東京を再生し、都民生活の不安を解消するために真に必要な施策を立案し、果敢に実行することが求められております。しかし、ややもすると、都市再生に向けた国からの後押しもあり、ソフトよりハード中心の施策に偏るのではないかと懸念されるのであります。我が党がかねてから主張してきた福祉、保健、医療、教育といったソフト分野こそ、都の重要施策として積極的に位置づけ、充実していくべきと考えます。所見を伺います。
 次に、行政改革に関連して伺います。
 まず、今年度から本格実施している行政評価についてであります。
 我が党は、行政評価制度のあり方について、これまで、都庁内部の評価にのみゆだねるのではなく、外部の専門家によるチェックが必要と主張してまいりました。
 都は、知事本部が行う第二次評価において、必要に応じて外部の識者等の意見を聞くとしておりますが、既に公表された試行結果の報告書を見る限り、外部識者のコメントは政策評価のみにとどまっており、都民にとっては、なお都庁内部によるお手盛りの評価との懸念をぬぐい切れません。
 都は、今年度から着手した大規模公共事業等の評価制度の構築において、より確固とした外部評価システムを組み込むべきであると考えますが、見解を伺います。
 ところで、今月、都庁改革ビジョンIの実施状況が発表されました。改革案の進展状況はおおむね順調であると評価するものですが、都庁改革アクションプランで強調された職員の意識改革については、どのような進展状況なのか。都庁改革の不可欠の要素が職員の自己改革であることは論をまちません。
 同プランでは十項目の提案がなされておりますが、この点について、知事並びに所管局である総務局長の評価、所感を伺います。
 次に、会計制度について伺います。
 都は、さきに「機能するバランスシート」を作成し、都の資産、負債等のストック状況の全体像を一覧性のある形で示し、都の資金の源泉とその使途を示したということは有意義なことでありますが、住民へのアカウンタビリティーを果たすためには、予算や職員などのコストをどれだけ投入し、どれだけの効果をもたらしたかという側面が明快になる行政コスト計算書、企業会計でいうところの損益計算書の作成が必要となります。
 行政コスト計算書とバランスシートは表裏一体の関係にあり、この双方を機能的に作成するためには、従来の単式簿記ではなく、正規の簿記である複式簿記の導入が必要不可欠であります。欧米では、公会計においても複式簿記が導入され、行政コスト計算書とバランスシートが作成されています。
 特筆すべき点は、欧米では、この行政コスト計算書やバランスシートと行政評価に出てくる政策指標とをリンクさせ、住民と合意の上で設定された政策指標を、どれだけの行政経営資源を使って、どれだけ達成することができたかを明示しているのであります。
 東京都の行財政を有効かつ効率的に運営していくため、複式簿記の導入、行政コスト計算書の作成など、会計制度の抜本的な改革へ知事のリーダーシップを求めるものであります。見解を伺います。
 次に、景気、雇用対策について伺います。
 ことしに入って景気は悪化の度合いを強め、さらにアメリカでのテロ同時多発事件により、その先行きはますます不透明感を増しております。
 こうした中で、株価は日経平均一万円を割るなど低迷を続け、さらなる企業倒産や大量の失業の発生が懸念されております。とりわけ中小企業は、その影響をもろに受けております。構造改革を的確に促進する上からも、景気対策が強く求められるとともに、改革断行に伴って生ずる痛みに適切に対応する雇用セーフティーネットづくり等が緊急不可欠の課題になっております。
 そこで、景気の落ち込みや失業率が五%という厳しい雇用情勢に対応して、都として、今後、景気、雇用対策をどのように進めていくのか、伺います。
 第二に、雇用のミスマッチ対策であります。
 現在、大企業などのリストラが進行しており、中高年の離職者がふえています。中高年の再就職を円滑にするためには、それまでの職業意識を根本的に変える一方で、経歴や能力をフル活用し、場合によっては新たな職業能力の開発を行えるよう支援していくことが重要であります。
 その手法として、キャリアカウンセリングが効果的であるといわれています。このようなキャリアカウンセラーを活用し、積極的に雇用のミスマッチの解消を図るべきでありますが、所見を伺います。
 第三に、中小企業の売掛金を担保とした融資制度の実現であります。
 近年、担保不動産の価値が下落し、長引く不況の中、中小企業は不動産担保に依存した資金の調達が限界に来ております。したがって、売り掛け債権を流動化することができれば、キャッシュフローがふえて、中小企業の経営安定化にもつなげることができます。
 都は、中小企業の売掛金を担保とした融資制度の創設を目指すべきでありますが、所見を伺います。
 第四に、創業支援対策についてであります。
 アメリカでは、起業家育成のための教育機会が充実しており、ニューヨークの図書館などでは、情報機器を入館者に無料で公開したり、起業家支援講座を開くなど、市民に身近な図書館が起業家育成に大きな役割を果たしております。都民にとって身近なところで幅広く起業を支援する仕組みをつくることが、何よりも重要です。
 そこで、都としても、さきに例示した図書館利用などを含め、こうした身近な施設を活用した創業支援を行っていくべきと考えます。所見を伺います。
 次に、都市再生について質問いたします。
 さきに国においては、我が党が主張してきた都市再生本部が設置され、その後、都は、首都再生で生活が変わると主張する知事を先頭に、首都圏再生緊急五カ年十兆円プロジェクトを発表いたしました。この国の方針は、文字どおり、首都東京の再生を図る上から、この上ない好機ととらえるべきであります。
 したがって、この計画の策定と推進に当たっては、あくまで生活者の視点に即し、豊かで潤いのある都民生活の向上を実現させるものとならなければなりません。
 そこで、以下三点にわたって質問いたします。
 まず第一に、このプロジェクト推進のための財源確保の見通しはどうなっているか。国の縦割り行政のもとで、財源調整をめぐる各省庁間のあつれきは大きく、政府部内では、円滑な調整を行うために多大な努力が費やされているとのことであります。
 与党の一員として、私どもも精力的な働きかけを行いますが、都の立場にあっても、知事を先頭に、財源確保を確実なものとするため、これまで以上の懸命な要請を重ねるべきであります。財源確保の見通しについて伺います。
 次に、このプロジェクトの基本的理念について質問いたします。
 大規模プロジェクトは、ともすればハード中心の事業展開に陥る通弊があります。十兆円という緊急投資がハード面のみの施策展開に集中されることは、断じて避けなければなりません。少子高齢社会に適合した福祉、医療、保健、教育など、都民生活に密接不可分な分野についての施策の構築が極めて重要であります。
 また、長期化する不況のもとで必死に経営努力を続ける中小企業への対策や、物づくり機能の集積する東京の産業活性化対策も必要であります。答弁を求めます。
 第三には、首都東京がこれまで抱えてきたまちづくりの課題に対して、的確なアクションプランの策定が求められています。
 防災のまちづくり、踏切の立体化を初めとする渋滞解消策、懸案となっている電線類の地中化促進など、必要とされる公共の事業の分野は多岐にわたっています。景気回復にも大きな効果があるこれらの事業を、着実に具体化すべきであります。所見を伺います。
 次に、福祉改革について伺います。
 我が党の緊急要望にこたえて昨年末に発表された福祉改革推進プランは、東京都が目指す新しい福祉の理念と展望を示すとともに、福祉改革を強力に推進するための数多くの戦略プロジェクトが盛り込まれました。
 我が党は、福祉改革推進プランの確実な実行を望むものであり、そこで、まず心身障害者施設緊急整備三カ年計画の具体化について質問いたします。
 さきの第二回定例会において、我が党は、知的障害者の重度生活寮設置促進のため、NPOを初め民間活力の導入を図るべきであると提案いたしましたが、これに加えて、都独自の事業に関しては、例えば重度身体障害者のグループホームなどについても、多様な民間事業者の参入を促していくべきであります。
 障害者施設緊急整備三カ年計画の着実な達成のため、NPO等の幅広い民間活力を積極的に導入することは、ぜひとも必要であります。所見を伺います。
 次に、子育て支援、特に保育所待機児童ゼロ対策の推進について伺います。
 本年四月時点の都内の待機児童は、七千三百余人であります。例年であれば、半年後の現在は、既に一万人を超えることになります。待機児童対策は、まさに待ったなしの課題であります。
 国も、十四年度中に五万人、十六年度までに十万人、計十五万人の保育所受け入れ児童の増加を閣議決定し、保育所の待機児対策を重要施策として位置づけております。しかし、国の保育所施策は、依然として認可保育所制度中心のものであります。認証保育所のように、多様な事業主体により柔軟な保育が展開できる施策への方向転換が必要と考えます。
 そこで、第一に、認証保育所に対し国の補助制度を設けるよう国に働きかけるべきであると考えますが、都の見解はいかがでしょうか。
 第二に、認証保育所の整備促進のため、区市町村の協力について、都はどのような働きかけを行うおつもりか。
 第三に、現行の保育室は順次B型に移行していくと考えられますが、保育室の中には、職員配置が認証保育所B型の基準を満たしていないなど、移行に当たっての改善が必要なところも存在します。こうした施設に対する移行促進の考え方について見解を求めます。
 知事は、所信表明において、認証保育所を国や他の大都市に対しても、これからの都市型保育の新しい選択肢として、先進的な事例が発信できたと述べています。こうした利用者本位の新しい福祉を他の分野でも進めていくためにも、福祉改革をさらに推進していくべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 次に、介護保険について質問いたします。
 介護保険が昨年四月に実施されて、はや一年半。十月からは保険料の本来額徴収が始まります。さきに発表された国保連の苦情白書では、保険料に関する苦情が第二位となっており、我が党にもさまざまな声が寄せられております。都としても、こうした声を真摯に受けとめるべきと思います。
 都内各自治体でも低所得者対策として、保険料減免や利用料への助成など種々の負担軽減措置を講じております。我が党は、繰り返し低所得者対策についてさまざまな提案をしてまいりました。
 その一環として、さきの第一回定例会予算特別委員会において、国の特別対策、社会福祉法人等による利用者負担の減免措置の活用を図るため、利用者負担の減免の対象となるサービスの種類を拡大すべきであると提案しました。この際、知事より、区市町村の努力に報いるように、都としての支援策をできるだけ早く検討を行っていきたいと積極的な答弁を得たところであります。現在までの検討の結果をご報告いただきたいと思います。
 次に、都立病院の改革についてであります。
 本年七月に、知事の諮問機関である都立病院改革会議の審議の結果が報告されました。報告では、清瀬小児病院、八王子小児病院、梅ヶ丘病院の三院移転統合による小児総合医療センターの設置や、豊島病院と老人医療センターの統合・民営化など、都立病院の再編整備が提言されております。都民が安心して質の高い医療を受けられるよう都立病院を改革していく上で、この報告は貴重な提言でありますが、その一方で、移転統合される病院が存在する地域では、医療機能の低下を懸念する声が強くなっております。
 改革の主眼は、あくまでも都民にとっての高い医療水準と患者サービスの確保であり、あわせて、これまでの地域医療の実質的継続を担保するものでなければなりません。その意味で、地元区市町村や地域住民の声を反映することが大事であります。
 今後、都が策定するマスタープランには、地域の意見を十分に踏まえた上で、何よりも都民が安心できる医療体制とすべきであります。所見を伺います。
 次に、狂牛病対策についてであります。
 千二百万都民を抱える東京都において食肉の安全確保は重要な課題であり、今回の事態発生を受けて、都は、牛海綿状脳症、BSEに関する三局防疫推進会議による対応策の実施に踏み切っていますが、さらに今後、万全の対策を講ずるべきであります。
 国におけるEU並みの検査基準の採用、検査体制の強化、酪農家への損失補償措置等への的確な対応を初め、都のインターネットのホームページの上での狂牛病Q>Aの掲載など、正確な情報提供にも努めるべきでありますが、いかがでしょうか。
 次に、住宅問題について伺います。
 我が党は、これまで若年ファミリー世帯への都営住宅供給を強く訴えてまいりました。また、本年の予算特別委員会でこの問題を取り上げ、住宅局長からは、特定都営住宅を活用し、若年ファミリー世帯を対象とした期限つき入居について検討するとの答弁があり、今回の条例改正に至りました。
 したがって、期限つき入居制度導入については、我が党が主張してきた若年ファミリー世帯の入居枠の拡大が図られるという点では評価しますが、将来、すべての都営住宅に期限つき入居制度を導入するための第一歩であるとすれば、到底認められないのであります。
 確認の意味で質問いたします。
 第一に、知事は今議会の所信表明で、期限つき入居制度を公営住宅で本格的に導入するには法律の改正が必要であると述べました。確かに、都営住宅は都民共通の財産であり、公平な利用が徹底されなければならないことは当然であります。しかし、だからといって、すべての都営住宅に一律に期限つき入居を導入するというのであれば、それは余りにも乱暴であるといわざるを得ません。それ以前に、公平、公正な利用を図る環境整備が、まず必要であります。例えば、三DKの住宅が単身居住に使われている一方で、狭い都営住宅に多子世帯が入居したままという現実が数多く見られます。柔軟な住みかえ制度をつくるべきであります。
 第二に、若年ファミリー世帯への住宅供給の拡大であります。子育て対策の重要な柱は住宅供給であります。期限つき入居制度を含め、ファミリー世帯への住宅供給をさらに拡大すべきであります。首都圏再生プロジェクトの一項目にも盛り込まれている住宅供給は、まさにこの一点に集約し、実行すべきであります。
 第三に、高齢者の居住支援として、民間住宅に入居する際の身元保証制度について、我が党は本年の予算委員会において提案し、実現する運びとなり、さらに国においては、滞納家賃を補償する高齢者の居住の安定確保に関する法律が制定されました。都はこれを受けて、失火、入院費など、補償のメニューを選ぶことができる制度を設けましたが、預託金や利用料を払えない高齢者に対し、預託金の減額や分割払い、あるいは助成制度など、あらゆる支援をしていくべきでありますが、お答えいただきたいと思います。
 第四に、このたび、我が党が推進してきた階段室型都営住宅へのエレベーターの設置事業がモデル事業として世田谷区内で実施され、この十月から供用開始となります。都は今後、階段室型エレベーターの整備に積極的に取り組むべきであります。また、戸数の少ない廊下型都営住宅にも同様のエレベーターを設置し、バリアフリーを推進すべきであります。見解を伺います。
 次に、昨年十二月、都は環境確保条例を策定し、国に先駆けてディーゼル車のPM、すなわち粒子状物質の規制に踏み切りました。したがって、今後の問題は、民間の事業者などから積極的な協力を得るための環境整備であり、その意味で重要なことは、経済的負担の軽減策であります。
 代表的な対象事業者である運送業界の現状は、近年の価格低下で半数以上の事業者が赤字経営に陥り、都の方針に協力したくても経営的に不可能であるという声が数多く寄せられています。都議会は、こうした実情を考慮し、条例制定時に都民、事業者の声を聞き、支援策を講ずることと付帯決議を付し、十分な助成、補助制度の創設を求めてきました。
 これを受けて都は、今定例会の初日に助成制度の詳細を発表しました。新たに酸化触媒や低公害車への買いかえに対する助成を加えたことは評価しますが、しかし、我々は、これで事業者の積極的な協力を促すのに十分であるか否か疑問があります。例えば、東京都トラック協会では、DPFを装着して一万キロや二万キロの走行で装置の性能が低下してしまうのであれば、実用には向かないと心配しています。
 都は、既にDPFの一回目の指定を行いましたが、その耐久性、信頼性についてどのように確認し、認識しているのか。また、装置の保証期間についてはどのように考えているのか。さらに、DPFが早期に機能しなくなり、交換を余儀なくされた場合、再度の助成は可能なのかどうか、答弁をいただきたいと思います。
 また、今回の規制は、他県からの流入車も含め対象が膨大な数に上っており、積極的に事業者の協力を得ることと、公平に規制が行われることが重要であります。そこで、規制に協力したDPF装着車にはステッカーなどを添付すれば、協力車と非協力車の区別が明確となり、普及啓発にも役立つと思いますが、見解はいかがでしょうか。
 一方、国は本年六月、自動車NOxを改正してPMを規制対象としました。そこで問題となるのは、都条例に適合するDPFを装着しても、国のNOxにより車検登録ができない場合が想定されます。都の条例に協力しても、国の法律で車検が取れないのでは、事業者にとっては大問題です。今後、混乱が起きないように、十分な都民、事業者への情報提供あるいは相談等を行うべきであると思いますが、見解はいかがでしょうか。
 次に、産業廃棄物対策について質問いたします。
 本年七月、朝日新聞は全国の都道府県を対象に、来年十二月から規制が厳しくなるダイオキシン排出基準に各地の施設が対応可能かどうかのアンケート調査を行い、その結果、全国で相当数の焼却施設が操業禁止になる可能性が高いと報じています。
 そこで、質問の第一は、都内の産業廃棄物施設の現状と今後の展望です。
 既に実施されているダイオキシン類の濃度規制によって、都内でも相当数の産廃焼却施設が操業を停止しております。さらに、平成十四年十二月から厳しい構造規制が適用されると、施設の休廃止に一層拍車がかかります。都内の焼却施設の現状と今後の見通しを明らかにしていただきたいと思います。
 また、都内では最終処分量全体の七割強を他県に依存しています。ところが、他県においても施設の休廃止が増加すれば、東京の産廃はまさに行き場をなくします。その結果、処理料金の高騰や不法投棄が心配されますが、産廃処理施設の確保に関して都はどのように考えているのか、答弁をいただきたいと思います。
 また、今後、規制が厳しくなり、操業停止から炉の解体に至るケースがふえる場合、ダイオキシン類の大気中への飛散が心配されております。したがって、解体作業に従事する人たちへの安全確保策と、近隣住民を初め周辺環境への影響に万全を期していくべきですが、都はどのような安全対策を検討しているのか、明らかにしていただきたいと思います。
 このような産業廃棄物問題の解決には、今後、都内区市町村との連携、さらに首都圏各自治体との連携の強化が強く要請され、それと同時に、排出者責任の徹底と拡大生産者責任の強化を基本とした循環型社会の構築が不可欠であります。
 環境問題を文明論的課題と位置づける知事は、この産業廃棄物問題の解決にいかなる姿勢で臨んでいかれるのか、スーパーエコタウン構想の実現とも関連づけて、見解をお示しいただきたいと思います。
 次に、教育問題について伺います。
 都教委は、我が党の提言を受け入れ、本年度より、小学校一、二年生と六年生及び中学校三年生の学級編制を弾力化し、少人数クラス編制の取り組みを始めたところであります。
 そこで、申し上げたいことは、学級編制の弾力化の対象学年の拡大でありますが、その早期実施が困難であれば、学力向上の支援策として、例えば、国において検討中の学校いきいきプランにおける非常勤職員配置事業補助制度の活用を図り、あるいは教員養成系の大学生を授業における学習指導の補助として活用するなど、多様な手法を組み合わせることが必要と考えますが、所見を伺います。
 第二に、学校等の安全管理、安全確保策について質問いたします。
 去る六月八日、大阪府池田市で発生した生徒殺傷事件後、我が党は、直ちに知事に児童生徒殺傷再発防止に関する緊急申し入れを行うなど、この課題に全力で対応してまいりました。一方、都においては、学校等の安全管理と非常通報装置整備事業を決定し、都内の小中学校、盲・聾・養護学校、幼稚園、認可保育所、児童館など合計五千七百十六カ所に、本年度中に非常通報装置が設置されることになったと伺っております。
 この方針に対して、区市町村からは、使用・訓練マニュアルの策定、設備の維持管理や更新費用の支援を都に要請しています。これらに都は積極的に対処し、事業の促進に努めるべきであります。また、あわせて、例えば警察官退職者によるスクールポリス制度の創設についても前向きに検討すべきですが、見解はいかがでしょうか。
 第三に、小中学校の完全週休二日制の導入に伴う支援策についてであります。
 平成十四年四月から、この制度の導入によって、子どもが家庭で過ごす時間が増大しています。その一方で、共働きの増加、テレビゲームなどの普及に伴い、子どもの孤立の問題や、社会性が養われにくくなるなどの問題が指摘されています。さらに、少年犯罪も増加傾向にあり、何らかの対応が不可欠であります。
 文部科学省は、来年度予算の概算要求に、休日や放課後における地域活動への助成を盛り込みました。これを受けて、区市町村においては、学校施設を活用した放課後遊び塾事業など、さまざまな事業の検討がなされております。したがって、都においても完全週休二日制に対応した事業の充実を図るとともに、区市町村の事業についても積極的に支援すべきであると思います。所見を伺います。
 次に、文化芸術政策に関連して質問いたします。
 我が党は、本年第二回定例会の代表質問で、東京における芸術文化活動の支援策として、発表の場などを提供する事業を提案いたしました。これに対し、知事は積極的な答弁を行い、その結果、トーキョーワンダーサイト事業が検討されていると聞いております。
 そこで、さらに新進芸術家の育成を図る視点から、芸術の創造にかかわるすべての要素を一カ所に集中させ、多様なエネルギーを融合させてすぐれた芸術文化を創造し得る環境づくりが必要と思います。具体的には、教育学習の場、作品発表の場、画商ビジネスの場、地域のコミュニティ広場、カルチャー教室、アーチストアトリエ、国際交流の場などの幅広く多様な場を創出し、それらが相互に補完し刺激し合って、エネルギッシュでアクティブな文化芸術活動が展開できる芸術複合施設を提案するものでありますが、知事の見解はいかがでしょうか。
 次に、三宅島に対する支援について伺います。
 三宅島の噴火火災による全島民避難は、はや一年が経過いたしました。島民の方々は、長期間にわたる避難生活を強いられ、生計の困難、就職難、コミュニティ分散による不安感の増大など、深刻な事態に直面しています。
 最近実施した避難者へのアンケート調査によると、夜眠れない四二%、気持ちが落ち込む三七%、体調を崩した三三%など、強い不安感をあらわす回答が多く、改めて避難者への手厚い支援策の必要性を示しています。
 そこで、質問をいたします。
 第一に、避難先の自治体によって受けることができるサービスに格差が出てきてはならないということであります。現在、三千六百人の避難者は十七の道県で生活をされています。受け入れ自治体には感謝いたしておりますが、一方で、例えば上下水道料金など公共料金の扱いに格差があることも事実です。避難生活の実情をよく把握し、関係自治体とも協議を交わし、生活支援に格差が出ないよう配慮すべきでありますが、見解はいかがでしょうか。
 第二に、避難者は、長期の避難生活で貯金を取り崩して生活している世帯も多いと聞いております。帰島の見込みが立たない中で、今後、高齢、病弱などにより、一層生活の困窮が予想される避難者に対して具体的な生活支援が不可欠です。そこで、都は国の財政支援も念頭に置き、三宅島火山災害の被災者世帯に対する支援金支給制度を新たに創設すべきであると考えますが、所見はいかがでしょうか。
 第三に、我が党は先日、三宅島げんき農場を視察してまいりました。この三宅島げんき農場は、国の緊急地域雇用特別交付金事業を活用して、都が八王子市内に五月から開園したものであります。そこで働く島民からは、働く場を提供していただき、大変感謝していますと喜びの声が寄せられるとともに、さらに継続して働きたい、働ける場を拡大してほしいとの要望が出されているところであります。
 国は、次期臨時国会に、十六年度までの緊急地域雇用特別交付金の予算を上程する方針であります。これを活用して、来年度も三宅島げんき農場の継続を図るべきであり、河川敷や未利用地を活用して区部にも設置すべきと考えます。また、都立公園での維持作業などに避難者の方々の雇用機会を確保するなど、具体的な雇用対策が必要です。都の見解を伺います。
 次に、東京都は、多摩ニュータウン事業の再構築を進める中で、造成した土地については順次売却を行っています。この残余地について、都は今までの多摩ニュータウンの開発計画と異なった売却を行っているため、高層マンションが建つ予定でなかった地域にまで高層マンションが建設されようとしております。
 近隣の住民からは、こうした突然の高層マンションの建設計画に対し、圧迫感や日照権の問題、さらに交通の問題、学校の問題等から強い反対の声が上がり、現在、都、市、業者、地元住民で協議が行われております。
 多摩ニュータウン地域においては、地域住民から、乱開発に陥らせてはならないとの強い意見もあり、今までの計画的な多摩ニュータウン開発を視野に入れて新たな開発ガイドラインを作成すべきであると思います。積極的な答弁を求めます。
 次に、ビッグレスキュー二〇〇一について伺います。
 本年九月一日、多摩地域直下型の大地震を想定し、米軍横田基地をも会場に含め、大規模な震災訓練を行いました。新たに横田基地を防災の観点から活用した知事の着眼を評価いたします。
 もしも首都圏が大規模震災に見舞われ、甚大な被害が発生すれば、それこそ国の内外から多数の救援の申し出があることは間違いありません。そして、こうした善意を生かし、一人でも多くの被災者を守るために、万全な受け入れ体制と調整機能が不可欠です。その意味で、空港、港湾の果たす役割は重大であり、そこに米軍横田基地まで加わるならば、ますます効果的な受け入れシステムや調整機能、さらに強力な危機管理組織が必要になります。
 そこで、何点か質問いたします。
 まず第一に、今回の訓練で、特に横田基地の活用という点から明らかになった課題は何か、お答えいただきたいと思います。
 次に、警察、消防、そして自衛隊や米軍基地活用など、大変に幅の広い救援活動を展開するためには、災害情報を一元的に管理し、明確な指揮系統のもとで機動的に複数の組織を運営できる機関が不可欠であります。
 現在の東京都の災害対策本部で十分な対応が可能かどうか、実は危惧をいたしております。結論からいうと、我が党は、かねてより主張してきた東京版FEMAを発足させる必要があると考えます。さきのニューヨークのテロ事件でも、米国では連邦危機管理局が重要な役割を果たしています。また、かつてのロス地震の際は、世界にその存在を示しました。国とも連携し、首都圏全体で機能できる危機管理組織の設立について、ワシントンでの知事の体験に照らして見解をお示しいただきたいと思います。
 加えて、災害時に横田基地を活用するのであれば、通常から横田基地サイドと協定を交わし、都と在日米軍との常設窓口の設置、あるいは緊急時の共通マニュアル作成などが必要であると思いますが、あわせて所見を伺います。
 次に、雑居ビル火災事件について伺います。
 去る九月一日の防災の日、新宿歌舞伎町でビル火災が発生し、四十四人もの犠牲者を出す大惨事となりました。間口五メートルほどの小さな雑居ビルで、これほど多くの死者を出した例は過去になく、雑居ビルの構造上の欠陥と防災設備の不備が重なった悲劇であります。現在、消防など関係機関が、火災の原因究明と事件の再発防止のために全力で取り組んでいるところでありますが、以下質問をいたします。
 第一に、今回の事件を契機に、都内の雑居ビルの緊急総点検を実施していると報告されていますが、現時点での点検状況及びその結果を踏まえて、建築基準法、消防法上の見直しのポイント、また再発防止のための教訓について消防庁の見解を伺います。
 第二に、建築物を常時適法な状態に保全する制度として、定期調査報告制度があります。今回の雑居ビルは、この報告を怠っておりました。定期報告がなされない建築物について、罰則の強化、適用を含め一層の指導を行うべきであります。明快な見解を求め、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 土持正豊議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、都の職員の意識改革についてでありますが、この二年間、職員の意識改革を通じて組織を再生することを主眼に置きまして改革を進めてまいりました。その結果、職員に危機意識がかなり浸透し、改善が見られるものの、まだまだスピード感、コスト意識など不十分であります。職員の意識を改革するためには、都政のそれぞれの現場で、困難な課題に創意工夫を凝らしつつ、前向きに取り組むことが必要であると思います。
 今後とも、国を動かし、全国の先駆けとなるような、豊かな発想や果敢な取り組みを都庁内で奨励し、都政の改革を進めていきたいと思っております。
 次いで、会計制度の抜本的な改革についてでありますが、これは本当に私が議員のころからいってきたことでありますけれども、最大のネックは、国の会計年度方式が単年度方式でありまして、これを改良しなければどうにもならないと思うんです。
 会計制度は、ストックやコストの情報を住民に公開し、説明責任を果たすとともに、政策形成からその実施、結果の評価に至る一連のサイクルを通じ、都市経営を進める上で有効な手段であることが要請されております。
 一方、現行の会計制度は、繰り返して申しますが、国の単年度予算主義、単式簿記というものを前提としているために、さまざまな問題が発生し、指摘もされておりますけれども、いずれにしろ、そのためには、改革のためには国の法改正が必要であると思います。そこで、改正までの間、当面できることとして、都としてはバランスシートの作成を指示いたしました。
 これを受けて、本年の三月、中地東京都参与を中心にする専門チームが、「機能するバランスシート」として貸借対照表、行政コスト計算書などを作成し、その活用を提言してくれました。今後、この提言を財政運営に積極的に生かしていきたいと思っております。
 なお、現在、国において地方財務会計制度の見直しの動きがありまして、これを見ながら、今後さらに抜本的な改革に取り組んでいきたいと思っております。
 次いで、首都圏再生緊急五カ年十兆円プロジェクトの財源確保についてでありますが、これは、前の森内閣のときに、与党三党の政調会長からも依頼がありまして、大都市圏を代表して東京都がこういったプロジェクトを提示いたしましたが、私はやはり、このプロジェクトこそ、首都圏再生に向けて、国が最優先で取り組むべき課題であると思います。
 その後、国の都市再生本部が選定した都市再生プロジェクトの成功のためには、国がみずから積極的に事業を展開することとあわせて、法律の改正、財源配分の見直しなどによる国費の重点的、集中的な投入が必要であると思います。
 国の来年度予算の動向は、必ずしも楽観できない状況でありますが、今後とも、国に対してこのプロジェクトの実現を強く要望していきたいと思っております。
 内閣がくるくるかわるものですから、非常にやりにくいんですけれども、いずれにしろ、自民党はかわりましたが、あとの与党二党の政調会長はかわっておりませんから、また公明党の協力も得まして、単に東京のためだけではなくて、日本の再生のために、このプロジェクトをできるだけ高いパーセンテージで実現していきたいと思っております。
 次いで、福祉改革の推進についてでありますが、都はこれまで、福祉改革推進プランに基づいて、民間企業など多様な事業主体を積極的に参入させながら、戦略プロジェクトを中心に都独自の取り組みを実施してまいりました。
 このうち、認証保育所は、認可保育所制度が、国の硬直した規制のもとで、大都市特有の保育ニーズに的確にこたえられていない実態を踏まえて、これを克服するための方策の一つとして創設したものであります。
 今後も、こうした取り組みを、高齢者、障害者、子どもなどすべての福祉分野でさらに徹底して展開することによって、改革を新たな段階に推し進め、引き続き新しい福祉を発信していきたいと思っております。
 次いで、ディーゼル車規制に関連してのステッカーの問題でありますが、条例によるディーゼル車規制は、他県から流入する車も対象としているため、基準に適合した車両の識別は、規制を実施する上で極めて重要であります。
 粒子状物質減少装置をつけた車両にステッカーを張り、外見からも容易に把握できるようにすることは、装置の普及促進の観点からも効果があるので、これは早期に実現したいと思っております。
 次いで、産業廃棄物問題についてでありますが、これは、前に付言しました五年間十兆円の構想の核、柱の一つでもありまして、産業廃棄物問題は、首都圏全体の持続的発展を可能にするためにも重要で、かつまた不可欠な課題であります。
 これからの産業廃棄物対策は、発生自体の抑制と、発生した廃棄物の徹底した再資源化が必要でありまして、このため都は、広域行政の一つとして、首都圏を構成する七都県市で密接な連携を図りながら、スーパーエコタウンの構想の実現など、問題の解決に積極的に取り組んでいきたいと思っております。
 次いで、芸術の創造にかかわるすべての要素を一カ所に集中させた芸術文化複合施設の設置でありますが、これはなかなか難しい・・金目の問題ではなくて、実質的にいろいろな問題があると思います。
 いずれにしろ、東京には、芸術にかかわるいろいろな方々が集まっておられまして、その人たちが刺激を与え合うことが、創造活動を活性化し、ひいては東京の魅力を高めることにもなります。
 発表、交流などが複合的に機能する場は有意義でありまして、都は、既存の庁舎を活用し、展示と交流が行える場として、これは主に視覚芸術、つまり絵画、彫刻、デザイン、アニメといった分野だけでありますが、いずれにしろ、同じジャンルのようで、かなり本質の異なる幾つかの芸術のための場所として、トーキョーワンダーサイトを年内に開設いたします。
 すべての機能を持つ複合施設を新たに開設することにつきましては、その意義や経費負担等に関して、さまざまな考えもありましょうし、一つのご提案として受けとめますが、京都が既に、かなりぜいたくに、一番古い小学校を活用してやっておるんですけれども、これは余りうまくいってないですね。あれも、京都のこういう新しい芸術家たちのヒンターランドの大きさの問題だと思うんですけれども、いずれにしろ、東京こそがこういうことをやりたいなと思って、参考にして眺めてまいりましたが、まず、そのための手だての一つとしてトーキョーワンダーサイトを考えております。
 次いで、東京版FEMAといった、首都圏全体で機能できる危機管理組織の設立についてでありますが、今回のテロ事件に当たって、アメリカ政府は、即座に要人を分散し、その安全を確保しながら的確な指揮をとらせておりました。これは、日ごろのトレーニングもあったのでしょうが、危機に際しての判断、対処の一例として、非常に参考にはなりました。
 ことし七月に、東京都がビッグレスキューの一環として実現しました本部運営訓練、これは図上訓練でありますけれども、これは極めて有効でありまして、非常に得るところがありました。むしろ実際に人を動かした九月一日の演習以上に、今までの体制に、いかにもろい部分があったかということを認識しましたので、そういうものを踏まえて、災害時に司令基地となる各機関の本部が確固として存在し、適切な状況判断を下せるかどうか、検証もできました。これだけ大規模な、複合的な、実践的な訓練はなかったと思っております。
 ということで、この二年間の訓練では、初動態勢の構築や関係機関の連携などの点で、大変大きな成果があったと思っております。
 今後とも、それを踏まえまして、東京だけではなくて、首都圏というものを構成している、つまり首都を構成している東京、神奈川、埼玉、千葉県、そして、そこにある三つの政令指定都市というものをまたいだ防災能力の向上を図る、そのための危機管理体制の充実というものを図っていきたいと思います。
 私、まだFEMAなるものについて精通しておりませんので、今後参考にして、七都県市の首長さんたちにも建言して、そういう体制を組み上げていきたいと思っております。
 次いで、災害時における横田飛行場の活用についてでありますが、今回の訓練で、都は全国に先駆けて米軍基地を活用いたしました。横田飛行場が、災害時の広域輸送拠点として非常に重要な役割を果たすことがよくわかりました。
 都の防災拠点として位置づけまして、たとえこれがアメリカ軍の基地であろうと、今後は、都の防災拠点として位置づけ、発災時において横田飛行場を活用できるよう、具体的な条件について米軍側とも調整を図っていきたいと思っております。
 国に対しては、横田飛行場を初めとする広大な米軍基地を、国策として災害時の活動拠点に組み込むよう強く提案していきたいと思っております。
 今後は、引き続き、最低限の措置としてジョイントユース、軍民共用化の実現と、横田空域及び管制権の返還を働きかけていきたいと思っております。
 これが実現しますと、災害時において、飛行場を含めた横田空域を日本が最大限に活用できることとなりまして、機動性、弾力性が格段に向上するものと思われます。
 なお、その他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) 教育に関します三点の質問にお答え申し上げます。
 まず、学力向上のための支援策についてですが、新学習指導要領においては、みずから学び、みずから考える力を育成するために、基礎的な学力の確実な定着を図ることが重視されております。
 このため、都教育委員会では、平成十三年度より、小中学生を対象に基礎的、基本的な学習内容の定着に関する調査を行いますとともに、国の第七次教職員定数改善計画を踏まえまして、少人数授業のための定数改善を計画的に進めるなど、学習指導の充実を図っているところでございます。
 お話しの大学生を学習指導の補助として活用することにつきましては、子どもたちの学力向上を支援する上で効果が期待できますことから、今後、大学等に働きかけるなど、活用等について具体化を図ってまいります。
 また、学校いきいきプランにつきましては、国の動向を見据えながら検討してまいります。
 次に、学校等の安全管理についてですが、東京都では、さきの大阪の小学校における児童殺傷事件の発生を受けまして、子どもの生命の安全を守るため、設置者である区市町村が一刻も早く非常通報装置を設置することができるよう、設置に要する費用は、緊急的対応として東京都が全額を負担することとしたものでございます。
 都教育委員会としましては、各学校が非常通報装置を適切に活用できるよう、装置の使用マニュアルを作成中でございまして、早急に配布することとしております。
 ご提案のスクールポリスの創設についてですが、これまで都教育委員会では、警視庁との連携によって、非常通報装置を導入するほか、各区市町村に対し、PTAや地域関係者、地元の警察署等との連絡体制の強化など、緊急に対応すべきことを要請してきたところでございまして、各学校では、外来者に対する受け付けの徹底や名札の着用を初めとした具体的な対応を進めております。
 今後とも、各区市町村との情報交換に努めまして、地域の実情に応じた学校の安全管理の徹底を図ってまいります。
 次に、完全学校週五日制に伴う区市町村支援の取り組みについてですが、子どもが自由に使える時間の中で、さまざまな社会体験、自然体験等の体験活動を活発にできるよう、体制を整えていく必要があると考えております。
 都教育委員会では、区市町村などとともに、とうきょう親子ふれあいキャンペーンや、障害のある児童生徒の地域活動のための指導者を養成するモデル講座などを実施してきているところでございます。
 お話しのように、文部科学省では、子ども放課後・週末活動等支援事業を行うこととしておりますことから、都教育委員会としましても、これらの事業を活用して推進協議会を設置するなど体制を整備し、区市町村が行う子どもたちの社会性や規範意識を育て、地域の教育力を高める施策の支援に努めてまいります。
   〔知事本部長田原和道君登壇〕

○知事本部長(田原和道君) まず、重要施策の選定についてでございます。
 首都圏を活性化し、都民要望にこたえられる東京を実現することは都政の急務だと考えておりまして、現在、庁内各局において、そのために必要な施策を重要施策として立案しているところでございます。
 重要施策の選定に当たりましては、第一に、首都圏の再生と都民生活の不安解消、第二に、七都県市など他の自治体との連携、第三に、局間の垣根を越えた課題の解決、第四に、少ない費用で大きい事業効果の発揮ができる、第五に、民間活力の導入による事業運営の効率化などの視点から施策を検討することになると考えております。
 次に、重要施策におけるソフト分野の充実についてでございます。
 首都圏を再生し、都民生活の不安を解消するためには、都市基盤整備などのハード面での施策だけではなく、環境対策や福祉、保健、医療、教育、さらには雇用、産業など、ソフト面を含めた都政全般にわたる課題を視野に入れて施策を検討する必要があります。
 重要施策の選定におきましても、十分、この点につきましては配慮をしてまいります。
 次に、大規模公共事業等の評価制度についてでございます。
 今年度から、大規模公共事業等事前評価制度の試行に着手をしておりますけれども、公共事業は、一たん事業を開始すると中止することが困難なものがございます。こういうことから、さらに客観的な内容としていくことが必要だと考えております。
 今後、今年度の試行結果を踏まえまして、経営的な視点が必要な施設整備事業、それから長期的な負債が見込まれる事業、初期投資が大きい事業などの場合に、外部の有識者の意見を求めて評価を行うなど、制度として、客観性をより高める方策について検討をしてまいります。
 それから、都市再生プロジェクトがハード中心の事業展開になっているのではないかというご質問でございます。
 都民生活に密接不可分な分野や、それから産業活性化対策等への配慮は、都市の再生にとって当然欠かすことができないものであります。ご指摘のような施策についても一層充実をするよう、国と議論、要請をしてまいります。
 最後に、プロジェクトの具体化についてでございます。
 現在、国の都市再生本部が選定をいたしましたプロジェクトについては、各省庁で検討が行われております。都といたしましては、平成十四年度予算に組み込まれるよう働きかけを行っているところでございます。
 基幹的広域防災拠点の整備、連続立体交差事業、電線の地中化等の施策の具体化を図るためには、ご提案の趣旨は、一つの大きな効果的な方法であると考えておりまして、今後、都市再生本部に積極的に要請をしてまいります。
   〔総務局長大関東支夫君登壇〕

○総務局長(大関東支夫君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、職員の意識改革でございます。
 都庁を変えるには、何よりも職員の一人一人が自己改革に取り組み、サービス精神と鋭敏な経営感覚を持つことが必要である、このように考えております。
 そのため、できるだけ都民と接する現場を経験させることや、民間企業での職場体験を実施するなど、各局が実情に応じて取り組んでいるところでございます。
 先般も、三宅島災害対策やカラス対策、あるいはIT部門などに全庁から希望者を募ったところ、たくさんの応募がございました。また、人事考課制度へのチャレンジ目標の導入によりまして、意識の高揚も図られてきております。
 今後とも、改革推進ミーティングを一層活用するなどして、都庁改革にさらに取り組んでいきたいと考えております。
 次に、三宅村民の避難先自治体のサービス格差についてでございます。
 これまでも、三宅島の避難者の基本的な生活支援につきましては、居住地にかかわりなく行ってまいりました。
 今後とも、各自治体が独自に行っている各種サービスにつきましては、必要に応じて協力を要請してまいりますが、その具体策につきましては、一時帰宅事業終了後に三宅村が実施する避難生活の実態調査を踏まえまして対処していきたいと考えております。
 次に、被災世帯に対する支援金支給制度の創設でございます。
 昨年九月の全島避難以来、国及び都は避難による生活困難に配慮して、昨年十二月には被災者生活再建支援法を三カ月前倒しで適用し、支援金を支給いたしました。さらに、都は所得制限により同法の適用除外となった者に対しましても、特別交付を行いました。
 避難生活も足かけ二年と長期化しておりまして、その実情を把握し、必要に応じて国に対して要請してまいります。
 最後に、今回の訓練で、横田飛行場を活用して明らかになった課題でございます。
 横田飛行場が都の防災対策上、極めて有効な拠点であることが確認できました。その結果、地域防災計画に人員、物資の広域輸送拠点として位置づける必要があること、輸送拠点と被災現場を結ぶネットワークを構築し、その効果的な運用を図る必要があること、また、発災時に各防災機関が横田飛行場を初めとする米軍基地を直ちに使用できる枠組みを、あらかじめ用意しておく必要があること等の課題が明らかになっております。
   〔産業労働局長浪越勝海君登壇〕

○産業労働局長(浪越勝海君) 景気対策など六点のご質問にお答えを申し上げます。
 まず、今後の景気雇用対策についてでございますが、景気の低迷と厳しい雇用情勢が続く中で、構造改革に伴う痛みに対応するためにも、中小企業に対する支援と雇用対策は、緊急かつ重要な課題であると考えております。
 このため、今回、国に先駆けて、「緊急雇用・経済 東京プロジェクト」として、中高年齢者に対する緊急職業訓練や林業への緊急雇用、金利の引き下げ、融資条件の緩和による制度融資の拡大、さらには、緊急総合相談窓口の開設などを実施することとしたところでございます。
 今後も、景気動向や雇用情勢等を注視しつつ、適宜効果的な対策を講じてまいります。
 次に、雇用のミスマッチの解消についてでございますが、ご指摘のとおり、求職者の希望と求人の条件が一致しない、いわゆる雇用のミスマッチが雇用促進の大きな障害となっております。
 特に厳しい状況にある中高年離職者について、この解消を図るためには、離職者がこれまでの経歴にこだわることなく、自分の職業能力や適性を確認し、必要に応じて職業能力開発を行い、適職についていくことが重要であります。
 そのために、適切な情報提供と助言を専門的立場から行うキャリアカウンセリングの手法の活用も、一つの有効な手段であると考えております。今後、この手法の具体的な活用について検討をしてまいります。
 次に、売掛金を担保とした融資制度についてでございますが、お話しの融資制度は、現下の厳しい経済情勢のもとで、担保不足から融資を受けることが容易でない中小企業に対し、新たな資金供給を可能とするものであります。
 こうしたことから、都としては、信用保証つきの売掛金債権担保融資の実現に向けて、中小企業信用保険法等の改正をさらに国に働きかけてまいります。
 次に、身近な施設を活用した創業支援についてでありますが、ご指摘のとおり、ニューヨークでは、図書館がビジネス支援機能を持ち、大きな成果を上げております。
 図書館は、ビジネスにも役立つ豊富な情報を蓄積しており、利用者も年間数十万人と多いため、経営相談やTOKYO起業塾など、都のさまざまな支援策と連携させることにより、創業機運の醸成や創業者数の増加を図る上で有効であるものと認識しております。
 今後、関係機関とも協議しながら、お話しの図書館なども含め、身近な施設を活用した創業支援策について検討してまいります。
 次に、三宅島げんき農場についてでありますが、げんき農場は、島民の方々を雇用して、島特産の農産物を生産し、帰島後、速やかに営農が再開できるように開設したものでございます。現在、約六十名の方が働いており、島民の交流、情報交換の場としても役立っております。このため、帰島できるまでの間、げんき農場を継続できるよう努めてまいります。
 また、区部に農場を設けることについては、今後、実施に向け、三宅村と相談してまいります。
 最後に、三宅島避難者の雇用機会の確保についてでありますが、都としては、ことし二月から、都が発注する公共工事の契約に当たって、仕様書に三宅島避難島民の雇用確保に努める旨記載することとしたところでございます。
 これにより、ご指摘の公園の草刈りや清掃等の維持作業を初めとして、七月末現在で、延べ約一千六百人日の就業機会を確保しております。
 さらに、区市町村にも協力を求め、八月からは、緊急地域雇用特別基金を活用した公園の清掃や駐輪場の誘導など二十四事業、延べ約一万人日の就業機会を確保する事業を追加的に実施しているところでございます。
 今後とも、こうしたさまざまな施策の実施と的確な情報提供を通じ、避難者の方々の雇用対策に努めてまいります。
   〔福祉局長前川燿男君登壇〕

○福祉局長(前川燿男君) 福祉に関連して五点のご質問にお答えいたします。
 まず、NPO法人等の民間活力の導入についてでありますが、障害を持つ方が自立して生活していくためには、地域に密着した住まいと活動の場の整備を進めていくことが必要であると考えております。
 整備を進めるためには、ご指摘のとおり、多様な事業者の参入促進を図ることが重要であり、既に本年一月から、知的障害者生活寮の運営主体としてNPO法人を対象とするなどの取り組みを進めております。
 重度知的障害者生活寮と、ご提案の重度身体障害者グループホームにつきましても、NPO法人の参入が可能となるよう、早急に都独自の対応を図ってまいります。
 次に、認証保育所について、まず国への働きかけについてでありますが、この制度は、現行の認可保育所が、長時間保育やゼロ歳児保育など大都市特有の保育ニーズに十分こたえられていないという現状を踏まえ、都独自の制度として創設したものであります。多様な事業者を参入させることにより、事業者の創意工夫を促し、利用者本位のサービスを提供することを目指しております。
 本来であれば、国が認可保育所制度を改善し、事業者が利用者のニーズにこたえて柔軟かつ的確に保育所を運営できるようにすることが必要であると考えております。
 都としては、こうした観点から国に対して働きかけを行ってまいります。
 続いて、認証保育所への区市町村の協力についてでありますが、保育事業の実施主体は区市町村であり、都は、区市町村が地域の保育ニーズを的確に把握し、実情に即したサービスを提供するよう支援を行っていくことが基本となります。
 認証保育所につきましても、こうした考え方に立って、区市町村の理解と取り組みが促進されるよう働きかけを行ってまいりました。幸い、多くの区市町村が高く評価し、事業の実施にも意欲を示しております。
 十月一日時点で十四カ所が設置される見込みであり、今後とも、区市町村がこの事業に一層積極的に取り組むよう働きかけてまいります。
 次に、保育室の認証保育所B型への移行についてでありますが、この制度は、現行の保育室の基準をレベルアップし、サービス水準の向上を図ることによって、安心して子どもを預けられる保育環境の実現を目指そうとするものであります。この制度の創設に当たって、改めて保育室の実態を調査いたしましたが、ほとんどの施設は認証保育所の基準をクリアすることが可能であると考えております。都としては、事業の実施主体である区市町村が積極的に取り組むよう、引き続き働きかけてまいります。
 最後に、介護保険制度における利用者負担の減免措置についてでありますが、この問題につきましては、実施主体である区市町村が工夫を凝らし、国の特別対策を積極的に活用していくことが望ましいと考えており、現在、都道府県として初めての支援策を平成十四年一月から実施する方針で準備を進めております。
 具体的な制度の内容につきましては、ご提案の、対象サービスの種類の拡大を図るべきとの趣旨を踏まえながら、低所得者である都民や広範な事業者にとって、より公平で利用しやすい仕組みにしていきたいと考えております。今後、早期に具体的な実施案を取りまとめてまいります。
   〔衛生局長今村皓一君登壇〕

○衛生局長(今村皓一君) 医療関係についてお答えいたします。
 まず、都立病院改革のマスタープランについてお尋ねがございました。先般、都立病院改革会議の報告をいただいて以来、地元自治体や都民の皆様からも多くのご意見、ご要望が寄せられております。これらのご意見、ご要望におこたえしていくためにも、今後、マスタープランの策定を初め、都立病院改革を進めるに当たっては、インフォームド・コンセントや医療安全対策の充実など、医療サービスのさらなる向上を図ることはもとより、あわせて、都と地元自治体や地域医療機関との役割分担等を踏まえながら、関係者と十分協議を重ねるなどして、都民がいつでも安心して身近な地域で適切な医療を受けられるよう、さまざまな取り組みを行ってまいります。
 次に、いわゆる狂牛病についてでございますが、都としては、関係局で構成する三局防疫推進会議のもと、これまで都内の牛飼育農家に対する立入検査、生体検査の徹底、食肉市場への搬入牛の安全確認等を行ってまいりました。
 その後、狂牛病の発生が確認されたことから、都民の食の安全を確保し、不安を払拭するため、肉骨粉の牛への使用禁止措置や感染牛の排除の徹底など、生産流通各段階における監視体制や検査体制を一層強化しているところでございます。
 また、都民に、より正確な情報提供を行っていくため、ご指摘の点を踏まえ、ホームページの内容の充実や必要に応じた報道発表など、さまざまな取り組みをしてまいります。
   〔住宅局長橋本勲君登壇〕

○住宅局長(橋本勲君) 住宅についての四点のご質問にお答えいたします。
 初めに、都営住宅について公平、公正な利用を図る環境整備が必要であるとのお尋ねでございますが、今回の期限つき入居制度の導入は、都民共有の財産である都営住宅の利用機会の公平の確保を図るとともに、あわせて若年ファミリー世帯の入居を促進することにより、高齢化が進行している都営住宅団地のみならず、周辺地域の活力の維持向上を図ることを目的としたものであり、公平、公正な利用を図る環境整備の一環であります。この制度は、新たに募集する住宅の一部を対象とするものであり、すべての都営住宅に一律に適用されるものとは考えておりません。
 なお、ご指摘の世帯規模と住戸規模とが整合していない場合の住みかえの一層の促進につきましては、重要な課題であると認識しており、制度改正を国に働きかけるなど、新たな仕組みづくりやシステムの改善による事務処理の迅速化を図るなど、積極的に取り組んでまいります。
 次に、子育て対策のための住宅供給についてでございますが、都の首都圏再生緊急五カ年十兆円プロジェクトにおいても、若年層も入れる民間賃貸住宅の供給が取り上げられており、子育てファミリー世帯への住宅供給は重要な課題と考えております。
 都営住宅では、平成十一年から若年ファミリー世帯向け募集を実施しており、今回の期限つき入居制度もこれに資するものであります。
 今後とも、都民住宅や優良民間賃貸住宅等の供給に加え、高齢者世帯とファミリー世帯とが住みかえを行える仕組みづくりなど、ファミリー世帯が安心して子育てをしていける住宅を確保できるよう努めてまいります。
 次に、高齢者が都の新たな身元保証制度を利用するための費用についてでございますが、これらの費用は、基本的には本人の責任において負担すべきものと考えております。しかしながら、入居時に全額を負担することが困難な方もおられることが予想されるため、これらの方々のための支援策として貸付制度について検討し、今回の都独自の身元保証制度が利用しやすいものとなるよう工夫してまいります。
 最後に、階段室型エレベーターの整備についてでございますが、今後、居住者等へのアンケート調査やエレベーターを増築する際の構造的検討などを行った上で、財政状況を踏まえて計画的に設置してまいります。
 また、戸数の少ない廊下型住棟への設置につきましても、費用対効果などを勘案し、今後検討してまいります。
   〔環境局長赤星經昭君登壇〕

○環境局長(赤星經昭君) 五点の質問についてお答えいたします。
 まず、ディーゼル車に装着いたします粒子状物質減少装置の耐久性などについてでございますが、粒子状物質、いわゆるPMを減少いたします装置の指定に当たりましては、装置の性能を示しますPM減少率のほか、信頼性、耐久性、安全性等につきまして、専門家で構成いたします粒子状物質減少装置指定審査会の意見を聞いて検討を行ったところでございます。
 また、装置の保証期間につきましては、通常一年でございますが、今回指定されました装置の一部は、三年の保証期間を設けることとなっております。
 なお、都の粒子状物質減少装置への補助制度は、規制前の先行装着を期待いたしまして、平成十三、十四年度の二カ年の実施を予定したものでございます。
 次に、ディーゼル車規制に関します情報提供についてでございますが、自動車NOxPM法につきましては、今後、政令で具体的な規制内容が定められますが、法律と条例には規制対象物質、規制開始時期、規制を猶予する新車登録からの期間などに違いがございます。今後、都民、事業者に対しまして、インターネットやマスメディアを通じ、積極的な情報提供に努めてまいります。さらに、事業者が条例や法の規制に対応した適切な判断ができますよう、自動車Gメン等を活用いたしまして、個別にきめ細やかな相談指導を行い、十分な周知を図ってまいります。
 次に、都内の産業廃棄物焼却施設の現状と今後の見通しについてでございます。
 現在稼働しております施設は四十三施設で、焼却能力は一日当たり五百二十三トンでございます。本年七月に実施いたしました意向調査では、平成十四年十二月以降の規制強化に伴い、廃止を予定しております施設は十六、減少する焼却能力は六十九トンでございます。また、既に適合済みの施設は八施設、二百八十五トン、改造予定は十一施設、百十六トン、このほか、新たに改築を予定しておりますのは一施設、四十八トンでございます。検討中が八施設、五十三トンございますが、現段階では施設数は大きく減少するものの、処理能力の低下は少ないものと見込まれております。
 次に、産業廃棄物処理施設の確保についてでございますが、産業廃棄物は広域的に処理されております。東京の産業廃棄物の適正処理を確保するためには、首都圏全体として考え、その中で都も一定の役割を担う必要がございます。このため、都は、既存の焼却施設の改造に対する技術指導を強力に進めるなど、引き続き産業廃棄物が適正に処理されるよう取り組んでまいります。
 また、都といたしましては、ごみゼロ型都市の再構築に向けました動きの中で、民間の力を活用し、都内にPCB無害化処理施設や廃プラスチックガス化溶融発電施設等の整備を進めてまいります。
 最後に、焼却炉の解体に伴います解体作業従事者や周辺の住民に対します安全確保についてでございます。
 焼却炉の解体に当たりましては、周辺環境の安全確保が重要であり、本年四月に厚生労働省が定めましたダイオキシン類ばく露防止対策に基づきまして、ばいじんの飛散防止措置や空気中のダイオキシン類濃度の測定等を適切に行う必要がございます。このため、都は、本年七月に対象事業者に対して対策の周知徹底を図りましたが、今後の解体作業に当たりましては、所轄の労働基準監督署等の関係機関とも連携し、周辺環境の安全確保について適切な指導に努めてまいります。
   〔多摩都市整備本部長石河信一君登壇〕

○多摩都市整備本部長(石河信一君) 多摩ニュータウン事業についてでございますが、多摩ニュータウンは事業を始めてから三十五年を経過いたしております。その間、社会経済情勢は大きく変化しております。例えば、少子高齢化の進展によりまして、当初予想しておりました世帯構成員は、三・五人が二・九人に減少しております。
 これらの変化に対応しまして、当初決めた土地利用計画につきましても、学校用地を住宅地に変えたり、中高層住宅地を一戸建てに変更するなどの見直しを行っております。この見直しに当たっては、ニュータウン計画が目指しております良好な居住環境を確保することに努めるとともに、地元市や地域住民への十分な情報提供と調整を行ってまいります。
 また、宅地の民間業者への販売に当たっては、事前に地元住民等に土地利用や住宅戸数などの建築計画についても情報を提供し、合意形成を図る必要があります。このため、ご提案の趣旨を踏まえ、今後とも質の高い居住環境が維持されるよう、地元市との協議を継続し、合意形成を図るルールづくりをしてまいります。
   〔都市計画局長木内征司君登壇〕

○都市計画局長(木内征司君) 雑居ビルにかかわります建築基準行政についての二点のご質問にお答えいたします。
 まず、建築基準法などの見直しについてでございます。現在、いわゆる雑居ビルの緊急安全点検を区や市とともに実施中でございまして、今後、点検結果の分析等を行ってまいります。
 現時点までの検討すべき課題として整理しておりますのは、定期調査報告による建築物の適正な維持管理、階段の防火区画や二以上の避難経路の確保、非常用進入口の維持保全などであります。
 今後は、点検分析結果を踏まえまして、国及び関係機関とも連携して防火、避難規定について検討を進めるとともに、必要に応じて国に法令改正を要請してまいります。
 次に、定期調査報告制度についてでございます。雑居ビルについては、建築物の所有者の報告制度への認識が低いこと、テナントの移動が頻繁で、管理者の特定が容易でないことなどの問題が生じております。このため、報告率が三六%と低く、残念ながら定期調査報告が建築物を常時安全な状態に維持保全する制度として十分に機能しているとはいえない状況にございます。
 このたびの火災を契機として、従来から行ってきた報告の督促に加えて、報告を実施したことを明示させることや、特に問題のある繁華街の雑居ビルを重点的に立入調査するなど、制度の実効性を高めるよう指導を強化し、建築物の安全性向上に努めてまいります。
   〔消防総監杉村哲也君登壇〕

○消防総監(杉村哲也君) ビル火災を契機とした再発防止に向けて、教訓並びに消防法上の見直しポイントについてのお尋ねですが、東京消防庁では、類似火災の再発防止のため、関係機関とともに、都内四千の小規模雑居ビルを対象に緊急特別査察を実施しております。このような小規模雑居ビルは、管理及び使用形態が頻繁に変更されるなど実態把握が困難で、しかも建物の所有者やテナントにあっては防火意識が低く、火災に備えた自主防火管理が十分に行われていない傾向にあります。
 今回の緊急特別査察においても、防火管理や消防用設備等の維持管理など多くの指摘があり、現在、東京消防庁では、学識経験者や関係行政機関の有識者から成る小規模雑居ビル火災安全対策検討委員会を設置し、十一月末を目途に検討を進めているところであります。
 今後、本委員会の検討結果を踏まえ、防火管理や消防用設備等に係る基準のあり方について、必要に応じ、法令改正を国に要望するなど、防火安全対策の充実を図ってまいります。また、総務省消防庁においても同種の委員会が設置されており、東京消防庁からも委員として参画していることから、必要な提言を積極的に行ってまいります。

○副議長(橋本辰二郎君) この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後六時十六分休憩

ページ先頭に戻る