平成十三年東京都議会会議録第十二号

   午後一時一分開議

○議長(三田敏哉君) これより本日の会議を開きます。

○議長(三田敏哉君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(三田敏哉君) まず、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

○議事部長(川島英男君) 知事より、地方自治法第二百四十一条第五項の規定により、平成十二年度東京都区市町村振興基金、東京都土地開発基金及び東京都用品調達基金の運用状況に関する調書等の提出がそれぞれありました。
(別冊参照)

○議長(三田敏哉君) この際、日程の追加について申し上げます。
 知事より、平成十二年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について外一件が提出されました。
 これらを本日の日程に追加いたします。

○議長(三田敏哉君) これより質問に入ります。
 百十三番松本文明君。
   〔百十三番松本文明君登壇〕

○百十三番(松本文明君) 平成十三年第三回東京都議会定例会、今議会は第十六期スタートの議会であります。私は、最初の登壇者として、東京都議会自由民主党を代表する立場で、心なしかの緊張感を持って質問をいたします。
 まず、去る十一日の世界を震撼させた米国の同時多発テロについて申し上げます。
 こうしたテロは、いかなる理由があろうとも絶対に許されるものではありません。犠牲となられたニューヨーク市民を初め日本国民を含む多くの方々に対し、心から哀悼の意を表します。
 我が党は、国際社会が一致団結してこの卑劣で憎むべきテロと戦うことを断固支持いたします。同時に、東京における治安と安全についても全力を挙げて取り組んでまいります。
 また、規模も性格も異なりますが、九月一日未明に、新宿歌舞伎町で四十四人もの方が死亡される火災事故が発生いたしました。お亡くなりになった方々とそのご遺族に深く哀悼の意を表しますとともに、ご冥福をお祈り申し上げます。
 都においては、今後、こうした惨事が二度と起きないよう、関係部局が総力を挙げて対策を講じられることを強く要請するものであります。
 さて、都民の皆様に一言お礼を述べさせていただきます。
 さきの都議選で、我が党は五十五議席、都民の皆様の強いご支援をいただき、引き続き都議会第一党の地位を占めることとなりました。今回の選挙は、投票率が前回に比べ約一〇ポイント上昇し、有権者の注目を集めました。
 この最大の要因は、小泉内閣の登場によって、都民の皆様の政治への関心が一気に高まったことにあります。小泉内閣の誕生については、我が都議会自由民主党が全国に先駆けて主張し、実行した自民党改革への行動の成果だと自負しております。都議会という一地方議会からスタートした我々の行動が、結果としてだれも予想できなかった激流をつくり出しました。
 政治のトップリーダーは、できるだけたくさんの人たちの参加で選ばれなければなりません。この時代の求めに応じた確固とした主張は、都民及び国民の信任を得られるという実感を確認できた選挙でありました。
 また、七月に行われた参議院選においても、我が党は改選数の過半数を獲得することができました。都民の皆様にこの場をおかりして厚く厚く御礼を申し上げます。と同時に、改めて公約の実現に向けて渾身の努力を傾けてまいることをお約束する次第であります。
 さて、国際化の進展や急速な情報化の中にあって、我が国の社会経済システムは、バブル経済時の後遺症を脱し切れず、いまだ呻吟しております。聖域なき構造改革を果敢に遂行することの重要性はいうまでもありませんが、何よりも日本の首都であり、牽引車である東京が直面する危機を克服し、力強い再生を図らなければなりません。
 我が党は、この東京再生について、以下のような三つの基本的考えを持っております。
 第一は、都市の新生であります。
 東京が首都として活力を取り戻すことこそが、唯一我が国再生への道であります。東京から景気を回復させ、国際化、情報化や経済構造の変革への対応など、東京のさらなる潜在力を引き出し、東京から日本を変えていかなければなりません。そのためにも首都機能を一層高め、みずみずしい東京新時代を築いていくべきであります。
 第二は、都市の独立であります。
 地方自治を振興し、地域の活力を培うには、自治体の財源の充実が欠かせません。現在の地方分権は、税財源の移譲がないまま法律が施行され、いわば見切り発車されました。
 東京における国税負担額は、一人当たり百五十一万円であるのに対して、還元額はわずかに十万円、還元率は実に六%にしかすぎません。東京で納められた国税収入の大半は他の道府県に移転されるという税の仕組みを変えていかなければなりません。都市生活者や中小企業者を守り、東京の社会資本整備のおくれを取り戻すためには、弾力的な都市税制を確立する必要があります。
 国と地方との税財源の再配分を含め、根本的な税制度のあり方について、国に強く求めていかなければなりません。
 第三は、都市の安全です。
 災害に対する備え、犯罪に対する備えなど、東京全域の安全性を高め、都民が安心して暮らせる生活環境を整えていかなければなりません。近年の犯罪増加率の上昇、とりわけ凶悪犯の増加は大変憂慮すべき状況であります。犯罪から都民を守るため、都市型犯罪やインターネット犯罪、プライバシーの侵害などの防犯対策を強化しなければなりません。
 以上、我が党は、東京の新生、東京の独立、東京の安全の三点を東京における危機克服の基本理念として、都民の皆様のご理解を求めていく所存であります。
 さて、現下の都政最大関心事の一つは、都市再生プロジェクトであります。知事は、国の都市再生本部の設置に即応し、都市再生プロジェクト東京都推進会議を立ち上げ、首都圏再生緊急五カ年十兆円プロジェクトを提案されました。
 この提案は、我が党の選挙公約であります東京グリーンプログラム21の中で述べております、国際競争力を備えた活力ある東京を目指すための政策と理念を全く同じくするものであります。したがって、我が党は、知事の首都圏再生緊急五カ年十兆円プロジェクト提案を強く支持し、積極果敢な取り組みを期待するものであります。
 国も、この石原提案を受け、都市再生プロジェクトに反映させました。その中には、東京港臨海部における基幹的広域防災拠点の整備、大都市におけるごみゼロ型都市への再構築、都市における保育所待機児童の解消など、都民生活に密接に関係する事業が多数見受けられます。
 これらの事業を確実に実行するためには、まず五カ年十兆円の財政的裏づけが国において保証されなければなりません。第二に、各省庁にまたがる事業においては、事業ごとの責任者が必要であります。しかし、きょう現在、都市再生の財政フレームは全く見えておりません。それぞれの事業責任者の顔も全く不明であります。都市再生プロジェクト実現のための新たな財源措置は行わず、従来どおりの各省の予算要求の中での対応という、陳腐きわまりないこそくなやり方をしようとしているという声さえ聞こえてまいります。これが本当ならば、縦割り行政を排して効率的な都市再生事業を実現すること、首都圏に集中的に国費を投入することによる大きな効果が望めないことになってしまいます。
 知事、小泉総理の都市再生公約の進捗状況について、感想を含め、都民にわかりやすく解説をしてください。
 さらに、プロジェクトの実現を図るためには、広く都民、国民の方々の理解と協力が欠かせません。一昨年、東京体育館で、知事や各会派の都議会議員及び各界の人々が参加して、首都移転に断固反対する国民大集会が開催され成功をおさめました。東京再生、首都圏再生を広く都民、国民に訴え、世論の大きな声として国を動かしていくためには、このような取り組みも必要であります。
 我が党は、知事と都議会が協力して、各界の人々とともに、首都圏再生のために、小泉総理に都市再生公約の実現を求める国民大集会を開催することを提案いたします。知事のご所見を伺います。
 続いて、都市再生の具体的事業の幾つかについて伺います。
 まず、羽田空港の国際化についてお尋ねします。
 去る七月三十一日の首都圏第三空港調査検討会で、国は、羽田空港の拡張と拡張後の国際化の検討を表明しました。これでは国際化が羽田空港の拡張後ということになってしまいます。拡張がいつ実現するか全く見通しが立っていない現在、首都圏の航空需要の切迫に対応することは不可能であります。羽田空港の国際化は直ちに実現すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 さらに、増大する首都圏の国際、国内航空需要に対応するため、空港整備とあわせて空港アクセスの改善も重要な課題であります。
 国は、平成十四年度予算の概算要求で、北総・公団線を延伸する、いわゆる成田B案ルートの整備着手を明らかにしました。これは、成田と羽田の両空港間を六十分台で結ぶものであり、さらには、都営浅草線と結ぶことによって、東京駅接着が実現をするならば、都心と成田空港を約四十分で結ぶ新たなルートができる、こう聞いております。
 この東京駅接着の構想を今後どのように進めていくお考えなのか、お聞かせを願います。
 さて、首都圏の渋滞を解消し、首都の再生を図る上で、首都圏三環状等の広域幹線道路は極めて重要な路線であります。この三環状道路の整備に必要な事業費は約九兆円といわれていますが、一方で、完成による走行時間の短縮等の直接効果は年間約四兆円、さらに、土地の流動化による経済波及効果は約六兆円と試算されており、早急な整備が望まれます。
 一方で、国の行革断行評議会から、日本道路公団を初めとする道路四公団の分割民営化案が提言されました。我が国の構造改革を進めていく上で、特殊法人の見直しは避けて通るわけにはいきません。が、しかし、この案によれば、首都圏三環状道路、特に新規路線となる外環さえも、行政改革、特殊法人改革の名のもとに一律に建設廃止の対象となります。首都の再生に必要な道路は推進すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 また、三環状の一つである中央環状線は、都心部の慢性的な渋滞を改善するだけでなく、副都心相互間のアクセス強化や都心部と羽田空港へのアクセス向上に寄与するなど、首都圏の再生の一役を担う重要な路線であります。
 このような中央環状線の事業効果を発揮させるためには、未着手区間である品川線の一刻も早い整備が不可欠と考えます。所見を伺います。
 ところで、都内には現在千二百カ所以上の踏切があり、このため、交通渋滞の発生が多大な経済損失や社会的ストレスをもたらしています。これまでの連続立体交差事業などの進捗状況を見ますと、すべての踏切を解消するまでには、気の遠くなる歳月が必要となります。私は、都市再生の切り札として、大都市東京の踏切対策に国の集中投資を求めるとともに、都がこの先五十年間で、都内にあるすべての踏切を解消するという強い意思と明確な目標を都民に明らかにすべきと考えます。
 その上で、具体的な計画案と財源の裏づけを伴った事業化プランを今後早急に策定すべきと考えますが、所見を伺います。
 首都圏の再生に早急な道路整備は不可欠です。しかし、多額な事業費を短期間に集中的に投資することは、現下の都財政状況が許しません。そこで、都は、国に対して、事業費の無利子貸付制度の創設を要請しているところであります。が、この制度の実現性、意義及び効果について伺います。
 次に、電線類の地中化事業についてであります。
 ロンドン、パリ、ニューヨークなど、先進主要国の都市では電線類の地中化が進められ、電柱のない風格ある町並みを形成してきたのに比べ、東京には依然として多くの電柱、電線類が乱立し、良好な都市景観の創出、防災、快適な歩行空間の確保などに大きな支障を来しております。
 さらに、地中化のおくれは、情報インフラ整備のおくれに直結しており、東京の国際競争力の低下、日本経済失速の一因ともなっております。
 そこで、これまでの電線類地中化の取り組みとおくれている理由は何なのか、伺います。
 また、今後の整備方針と事業促進の方策を伺います。
 次に、三千三百万電子都市構想について伺います。
 IT革命を東京で実現し、生活や経済を活性化させることが日本再生のために重要と考えます。このためには、大量の情報を安いコストでやりとりできるブロードバンドネットワークを首都圏に整備し、これを産業振興、個性的かつ創造的な教育、だれもが安心して暮らせる医療や福祉などに活用していくことが必要であります。
 国においては、本年一月のIT基本法の成立、国家戦略としてのe-Japan戦略や具体的な行動計画を掲げたe-Japan重点計画の策定などに取り組んでいると聞いております。
 都においても、都市再生の観点から、世界初の三千三百万電子都市を提案されていますが、この構想の実現に向けて、さらに積極的に取り組むべきと考えますが、知事のご所見を伺います。
 国の都市再生本部では、先ごろ、民間都市開発の投資促進の緊急措置として、東京駅周辺や臨海部の豊洲・晴海地区など例示して、民間プロジェクトの支援を打ち出しています。
 このうち、まず東京駅周辺については、赤レンガ駅舎の保存、復元や駅前広場の整備などの課題があります。東京駅周辺を我が国を代表する首都の顔にふさわしい地区とするために、都はどのように支援していく考えなのか、所見を伺います。
 また、臨海部については、とりわけ石川島播磨重工造船所の敷地を含む豊洲一・三丁目地区の土地利用転換を促進し、ウオーターフロント開発のリーディングエリアとしていくべきと考えますが、都はこの開発にどのように取り組んでいくお考えなのか、所見を伺います。
 次に、都市再生のための都市づくりの方策についてであります。
 まず、さまざまな機能が集積し、活発な都市活動が行われている都心部では、高い容積率が都市計画として定められています。しかし、敷地の前面道路が狭隘であったり、道路斜線制限などの形態規制によって、指定容積率を使い切れない例が少なくありません。
 このような現状を踏まえ、指定容積率を十分活用できるような方策が必要だと考えます。所見を伺います。
 また、土地の高度利用を図ろうと思っても、それを実態として困難にしている要因の一つに、日影規制があります。日影規制条例については、地域特性を踏まえて規制を合理化するなど、制度見直しの必要があると考えますが、所見を伺います。
 次に、既成市街地において、土地の合理的な高度利用を実現する制度として、組合による市街地再開発事業があります。民間活力による都市の活性化という点で、極めて効果的な事業でありますが、地権者の合意形成や各種の手続に時間がかかり、事業の完成までに長期間を要します。
 再開発事業の効果をもっとタイムリーに発揮させるために、事業のスピードアップを図れるよう現行制度を見直すべきと考えます。所見を伺います。
 現行の諸制度が、民間都市開発の推進に対して問題となっている例は幾つかあると思います。
 都の環境影響評価制度では、例えば、高さ百メートル以上かつ延べ面積十万平方メートル以上の高層建築物については、すべて対象としています。このため、事業者は、ビルの林立する都心部においても、住宅の多い地域と同じアセスメント手続が必要であるなど、不合理な費用と時間コストを強いられています。
 環境影響評価も必要ですが、都市再生が求められている今、都心部における土地の高度利用や事業のスピードアップ化のため、都内一律のアセス対象要件、調査方法を見直し、条例の内容を抜本的に改めるべきと考えます。所見を伺います。
 次に、花粉症対策についてであります。
 我が党は、自然と人間の共生、ディーゼル車公害ストップをスローガンに、地球温暖化、オゾン層、森林の破壊を防ぐため、地球環境問題解決への積極的な対応を図り、国際社会との協調に取り組んでおります。
 特に、ディーゼル車の排ガスは、大気汚染や発がん性が指摘されているだけでなく、花粉症やアトピー性皮膚炎、シックビル症候群などのアレルギー性疾患との関連も疑われており、その原因究明に全力で取り組むことが必要と考えます。
 全国の花粉症患者の実数については、正式なデータはありませんが、東京都が実施した花粉症患者実態調査では、実にこの十年間で患者数が二倍に増加していることが判明しております。
 都は、首都圏再生緊急五カ年十兆円プロジェクトにおいて、花粉症の発生状況、飛散状況等、精度の高い情報を得るため、国に対し、花粉症等アレルギー対策、五年間で九千億円の花粉症撲滅対策を提案しましたが、都市再生本部の一次、二次の選定プロジェクトにおいてはまだ決定がなされていない。知事の所見を伺います。
 一方、都内の花粉症患者は、実にこの十年間で二倍に増加し、現在都民の五人に一人がスギ花粉症にかかっております。国に要望した花粉症対策事業に早急に取り組んでいく必要があると考えます。
 国は、来年度から杉やヒノキの間伐に乗り出すようですが、都も積極的に杉を伐採し、他の樹木への植えかえなど新たな森林整備に取り組むべきと考えます。所見を伺います。
 次に、財政問題について伺います。
 まず、税収の見通しについてですが、十三年度予算は、十二年度のIT業種を初めとした企業収益の改善を受け、十二年度当初予算に比べ、四千八百億円以上の税収増を見込んでいます。
 しかしながら、世界的なIT不況の影響もあって、今年度第二・四半期の国内総生産は前期に比べ大幅なマイナス成長に転じるなど、日本経済は苦境のさなかにあります。さらに、今年度の年間の成長率もマイナスに転ずる可能性すら報じられております。
 国においては、景気減速による企業収益の悪化などから、十一月に予定する補正予算において、当初予算で計画した税収見積もりも減額せざるを得ないとの判断を固めたと報道されています。都税についても、今後の税収確保の見通しは厳しくなるものと考えざるを得ません。
 そこで、平成十三年度の税収は確保できるのか、その見通しを伺います。
 また、国は、十四年度予算を改革断行予算と位置づけ、国債発行を三十兆円以下に抑制することを目標に掲げるなど、聖域なき徹底的な改革に着手しました。
 一方、都においては、既に財政構造改革に取り組んできており、国に先んじて着実に成果を上げてきてはおりますが、十二年度の決算では三年連続の赤字を計上し、経常収支比率は九五・六%と依然高水準にあります。さらに、一兆円もの隠れ借金を抱えていることや、今後、都債の大量償還時期を迎えることを考え合わせると、都財政再建の道のりは非常に厳しいといわざるを得ません。
 国の構造改革の進展や経済の先行き不透明を勘案すると、財政再建の取り組みは、これから真につらい時期を迎えることになります。財政再建の成否は、今まさに分水嶺に差しかかっているといっても過言ではありません。引き続き、徹底した内部努力や施策の見直しなどによって、財政構造改革を着実に進めていくべきと考えます。十四年度予算編成の基本的な考え方をお述べください。
 次に、行政コストと都民の負担に関する情報の公表について伺います。
 もとより東京都の行政は、納税者たる都民の信託を得て運営されるものであり、限りある財源の中で一体何が真に都民のために必要な施策なのかを正しく判断することが求められます。そのためには、まず具体的な事業に即して租税負担と行政サービス、すなわち負担と受益の関係を明らかにし、都民に判断材料を提示すべきであります。
 行政はつまるところ、多くの都民の負担によって支えられているのであって、だれかが経費を負担しているのであります。そのことを認識せず、行政に求めるだけの都民であってはなりません。
 こうした取り組みを通じて、都庁、都議会、そして何よりも都民がそれぞれ負担とサービスについてのコスト感覚を持てる条件が整うのであって、これにより限りある財源を合理的に配分することが都民参加の中でできると思うのであります。
 そこで、行政コストと都民の負担に関する情報の公表に向けて、なお一層の努力が必要と考えますが、お考え、ご認識を伺うものであります。
 次に、今年度から始めた重要施策の選定と財源措置の両立について伺います。
 首都東京に活力を取り戻し、都民が安心して暮らせるまちをつくり上げるために必要な施策は、時期を逸することなく実施していかなければなりません。
 一方、その財源に目を転じると、税収の動向から見て、都税収入に期待することは危険ですらあります。また、都債という借金で当座をしのぐやり方は既に限界を過ぎております。このような状況にあって、平成十四年度の予算見積もりでは、マイナスシーリングを継続しながら、重要施策の要求は予算、人員とも上限を設けないと聞いております。
 予算編成の実効性を考えた場合、この方針は矛盾するようにも見えます。重要施策についての財源をどのように考えているのか伺います。
 次に、税源移譲について伺います。
 都財政は法人二税に頼る不安定な歳入構造であり、都債残高は都税収入の二倍近い水準にあります。さらに、今後の日本経済の先行きを考え合わせると、首都再生に必要な財源を確保するためには、都税収入や都債に頼るだけでなく、さまざまな工夫を講じることが必要であります。
 例えば、都民の受益と負担がアンバランスとなっている道路特定財源を都市部へ重点配分させたり、国の公共投資を首都再生に振り向けるなど、現行の行財政制度の中でできることは、すぐにでも着手することが必要です。
 しかしながら、一方で、みずからの行財政運営はみずからの財源で賄うことが、みずから判断し、責任をとり得る真の自治体といい得るのであります。その意味では、国から地方への税源移譲は構造改革の根幹であり、税源移譲なくして構造改革なし、地方分権なしともいえます。
 二十一世紀の社会は、都民も企業も行政も、みずからの頭で考え、みずから決定し、行動し、その結果について責任をとる仕組みにしなければなりません。国においても、骨太の方針で、地方への税源移譲について検討する旨、明記されたところであります。
 そこで、改めて、地方分権の一層の推進の観点から、国に対し、戦略的、計画的に税源移譲を強く求める必要があると考えるのでありますが、所見を伺います。
 さて、都市再生を推進する上で、財源配分の不合理を正すことはもとよりのこと、民間活力をそぐような現行の税制度の問題も明らかにし、改善を迫る必要があります。その最たるものが相続税であります。
 東京の地価は、下落しているとはいえ、依然として高い水準にあります。都内の相続税路線価は、平成十三年の平均で一平方メートル当たり約五十万円であり、これは、全国平均の実に三・五倍の高水準となります。一方、相続税は全国一律の制度で課税されます。
 このため、都民の相続税負担は極めて高いものとなっております。都内で相続税の課税対象となるのは死亡者十人に一人、地価の高い都心では六人に一人に上っております。また、都内で納税される相続税額は、全国の納税額の二五%をはるかに超えております。
 高い相続税負担は都民生活に大きな影響を及ぼしておりますし、中小企業は東京の活力の原点でありますが、事業を続ける意思を持ちながら、相続税が払えないため断念せざるを得なかった中小企業は、極めて多数に上ります。
 また、快適で潤いのある都民生活を実現するためには緑が不可欠でありますが、相続税の支払いのため、土地が切り売りされ、貴重な緑が年々減り続けておるのであります。一度失われた緑を復元することは容易ではありません。
 相続税の果たす一定の役割は認めますけれども、こうした問題点を抱える現行の相続税制度をこのまま放置しておくわけにはまいりません。事業を継承する場合や緑地を維持する場合には納税を免除するなど、相続税の軽減を抜本的に図るよう、国に強く強く求めるべきであります。知事の所見を伺います。
 次に、都の重要施策について伺います。
 まず、三宅島の災害対策についてお尋ねします。
 三宅島では、全島民が島外に緊急避難してから一年がたちました。今回の三宅島火山災害は、火山ガスの大量発生という世界的にもまことに希有な災害であり、いまだに帰島はおろか、一時的な帰宅でさえ万全の態勢をしく必要に迫られているのが現状であります。
 帰島できるかどうかは、ひとえに今後の火山活動の鎮静化にかかっています。そこで、現在の火山活動の状況についてご報告を願います。
 また、三宅島島民の方々は厳しい避難生活を余儀なくされており、生活、経済の再建の見通しは立っておりません。こうした中、東京都中小企業災害復旧資金融資の申込期間が平成十三年九月二十八日までとなっております。都として、今後、三宅島の中小企業に対する金融面での支援をどのように行っていこうとされているのか、伺います。
 さらに、被災施設の復旧は、いまだ道半ばであります。引き続き十分な措置を講じるとともに、復興の前提となる航路を維持するため、特別の補助を国に働きかけていくべきと考えます。所見を伺います。
 九月一日の総合防災訓練について伺います。
 都は、昨年に続き、ことしもビッグレスキュー東京と銘打った大規模な防災訓練を実施しました。ことしは、全国で初めて横田基地と赤坂プレスセンターの二カ所の米軍基地を訓練会場に組み入れました。知事がおっしゃるように、横田基地は、羽田空港と同様、広域輸送拠点として重要な意義を持つところであります。
 そこで、今後、横田基地を災害時の広域輸送拠点とするため、国に対してどのようなアプローチをされていくおつもりなのか、伺います。
 また、七月には、自衛隊を初め多くの機関が参加した本部運営訓練が実施されました。この訓練を含め、二年間のビッグレスキューの成果を今後の都の防災対策にどのように生かしていかれるのか、伺います。
 次に、臨海副都心開発について伺います。
 臨海副都心開発をこれからも円滑に進めていくためには、やはり土地を着実に処分し、これまで基盤整備のために投資してきた五千億円を超える膨大な起債の償還を確実に行っていくことが基本であります。
 問題は、一体いつから売却を開始すべきかという点であります。そのタイミングは、土地処分戦略の重要な要素であり、臨海会計の収支への影響も考慮しながらの難しい判断であります。
 そこで、臨海副都心の土地売却のタイミングについて、知事の今日でのお考えを伺います。
 また、バブル時代にもくろんだ開発利益が見込みどおりに上がらないといった状況の中、やはりバブルの発想で計画された施設のグレードをダウンさせるといった、時代の変化に合わせた見直しを行うことは当然だと思うのであります。
 知事のせりふではありませんが、行くも地獄、引くも地獄の事業であります。しかし、これを進めていくことが、首都東京の再生につながると私たちは確信をいたしております。
 知事は、三会計統合に引き続き、事業の大胆な見直しを行う旨ご発言をされております。バブルの清算ともいうべき支出面の見直しの検討はきちんと進んでいるのかどうか、お伺いいたします。
 次に、自動車排ガス対策について伺います。
 知事を先頭として東京都がディーゼル車NO作戦を開始し、自動車排ガス対策で国を動かすと宣言してから、丸二年が経過いたしました。都の取り組みは、排出ガス規制を求める世論を高め、自動車NOx改正の実現、大気汚染防止法に基づく新長期規制の強化と前倒し、低硫黄軽油の供給など、おくれていた国の対策を前に進める上で大きな成果を上げたものと高く評価いたしております。
 しかし、先日発表された平成十二年度の大気汚染実態の調査によれば、都内に三十二カ所ある自動車排出ガス測定局のうち、浮遊粒子状物質の環境基準を達成したのは十局にとどまっております。実際に東京の空気をきれいにするのは、まだまだこれからの課題だといわざるを得ません。
 これまでの国の動きをどう評価し、今後どのように自動車公害対策を進められるのか、知事の認識をお伺いいたします。
 昨年十二月に策定した環境確保条例によるディーゼル車規制は、二年後の平成十五年十月から施行されます。都は、今回、粒子状物質減少装置の第一回指定を行うなど、規制の実施に向けた準備を着々と進めているものと思いますが、都は、今後二年間、どのように規制実施の準備を進めるのか、伺います。
 環境確保条例によるディーゼル車規制の特徴は、規制の対象が、都内の登録車のみならず、都内を走行するすべてのディーゼルトラックやバスなどにまで及ぶことであります。このため、規制の円滑な実施を図るためには、東京のみならず、全国を対象として、広く東京都のディーゼル車規制の内容を周知することが必要不可欠であります。
 都は、どのような方法で全国レベルでの規制の周知を図られるのか、お伺いをいたします。
 次に、観光産業振興について伺います。
 今回発表された観光産業振興プランの素案では、一九九七年には六億人であった国際交流人口が、二〇二〇年には十六億人に達し、その国際観光収入も二百四十兆円に達すると予測されております。このように、観光は世界経済発展に多大な影響を与えるといえます。このため、アメリカ、フランス、シンガポールなどの観光先進国は、観光を重視し、外国人旅行者の誘致の施策を次々と打ち出しています。
 今後、国際交流人口の爆発的な増加が見込まれる中で、まさに知事のおっしゃるように、東京の観光のあり方を見直す時期であると我が党も考えます。改めて、知事の観光に対する認識を伺います。
 また、この素案において、観光を産業という視点に立って国内外の旅行者を誘致することとしたのは、大いに評価すべきことであります。素案では、外国人旅行者数を五年で二百七十七万人から六百万人に倍増するという目標数が掲げられています。この目標数を達成するために、具体的にどう進められようとしているのか、伺います。
 次に、文化の振興は観光にも資すると思いますが、江戸開府四百年を記念するイベントの開催について伺います。
 太田道灌公が江戸の地の将来性に着目し、江戸城を築城して五百年余がたち、さらに二年後の平成十五年には、江戸開府四百年という記念すべき年を迎えます。今日の東京の発展は、道灌公や家康公、その他の先人の経営の努力と我々の祖先の郷土愛のたまものであります。
 そこで、二年後の記念すべきイベントとして、歴史と文化に学び、将来及び未来につながる江戸開府四百年ともいうべき事業を、都が、関係区市町村はもとより、民間各種団体などとも協働して開催することを提案いたします。知事の所見を伺います。
 次に、住宅問題について伺います。
 住宅政策に関しては、去る五月二十二日に、住宅政策審議会から「住宅政策のビッグバン」が答申されました。これは、公平、効率、活力、分権を掲げて都営住宅の抜本的改革を行う一方、民間住宅施策の新たな形成と展開を図るなど、これまでの住宅政策の大転換を求めるものであります。従来からの我が党の主張にも沿うものであります。
 このように、答申で提案のあった新たな施策を迅速に実施に移していることを高く評価するわけでありますが、今後、住宅政策の改革に取り組まれる知事の姿勢をお伺いいたします。
 次に、都営住宅への期限つき入居制度の導入についてであります。
 我が党は、所得が入居基準を超える方が都営住宅に住み続けられている一方、住宅に困っている低額所得の方がなかなか入居できないでいる現状について、不公平ではないかと、これまでもたびたび指摘してまいりました。都営住宅の入居者は、住宅困窮者として都民共有の財産である都営住宅を使用されていることから、より一層、居住者の自助努力を生かすような都営住宅の管理制度が必要と考えます。
 今回提案された条例改正は、期限つき入居制度の本格導入に向けた第一歩であり、全国に先駆けて実施することを我が党は高く評価するとともに、引き続き、法改正の実現に向けた一層の努力を期待するものであります。
 そこで、改めて今回の条例改正の考え方について伺います。
 次に、開かれた福祉の実現についてであります。
 都は、現在、区市町村と連携し、高齢者がケアが必要となった場合、培ってきた人と人とのつながりを断ち切ることなく、地域の中で暮らし続けることができるよう、ケアリビングを進めるとともに、延長保育や休日保育など多様な保育ニーズにこたえていくため、質の高い都市型保育サービスを提供する認証保育所を各地に整備しています。
 障害者福祉の分野でも、障害者施設緊急整備三カ年計画に基づき、地域の中で自立して暮らすことのできる生活寮などの地域生活の場の増設を、目標達成に向け強力に推進しています。
 このように、利用者本位の福祉を目指し、都は、現在、昨年末に策定した福祉改革推進プランに基づき、各種プロジェクトを強力に推進しておりますが、我が党は、全国をリードする福祉改革として、こうした活動を高く評価するものであります。
 しかし、真に都が目指す開かれた福祉を実現し、都民の多様な福祉ニーズにこたえるためには、限られたプロジェクトだけでは十分とはいえないのであります。福祉改革を本格化させるためには、プランで示した理念と展望を発展させ、具体化し、高齢、子ども、障害などの各福祉分野で、トータルの視点を持った、さらなる強力な施策展開を図っていくことが不可欠であると思います。
 今後の福祉改革への取り組みについて、どのようなお考えでいらっしゃるのか、所見を伺います。
 都民が安心して必要なサービスを選択、利用できる福祉を構築するためには、まず何よりも、福祉サービスのインフラ整備を、今までにないペースで迅速に進めなくてはなりません。そのためには、規制緩和による供給主体の多様化が必須の課題です。これまで行政と社会福祉法人に限定されていた供給主体の規制緩和は、遅々として進みません。
 都が本年度から実施した、民間企業による運営を念頭に置いた認証保育所制度のような独自の手法こそ、都民のニーズにも合致し、効率性、柔軟性という面からもすぐれた効果を持つものであります。国を動かし、この制度の全国への波及を強く働きかけるべきと考えます。利用者本位を、徹底した新しい福祉のスタンダードを東京から構築し、発信していくためにも、東京都独自の展開によるサービス供給主体の多様化を推進すべきと考えます。所見を伺います。
 次に、新しい福祉の先駆けとして創設された介護保険制度について伺います。
 介護保険制度が昨年四月に開始されてから、間もなく一年半が経過しようとしております。この十月からは保険料の本来額の徴収が始まるなど、この制度も着実に定着してきております。
 さきの第一回定例会予算特別委員会において、我が党は、低所得の都民の方のために、国の特別対策の一つである社会福祉法人等による利用者負担の減免措置の活用について提案をいたしました。
 その内容は、第一に、事業主体をNPOや民間の営利法人に拡大してはどうか、第二点は、事業主体の負担を軽減してはどうかというものでした。
 これに対し、知事からは、この措置の活用に向けた区市町村の努力に対して、当然、支援策をできるだけ早く検討して積極的に進めたいとのご答弁をいただいております。
 そこで、この都の支援策がいつから実施されるのか、また、事業主体の拡大や負担軽減という我が党の具体的提案に対してどのように対応していただけるのか、伺います。
 次に、都立病院改革について伺います。
 知事は、開かれた医療、安心できる医療、むだのない医療を基本方針とする東京発医療改革を掲げ、その核として都立病院改革に取り組まれております。
 この都立病院改革の一環として、今後の都立病院のあり方について総合的な見地から検討を行うため、有識者等で構成する知事の諮問機関である都立病院改革会議が昨年九月に設置され、今般、知事に対し報告が出されたところであります。
 報告では、都立病院の基本的な役割を、新たに行政的医療として明確にした上で、医療課題の集約化を行いながら、現在の十六の都立病院を再編整備すべきとしています。
 具体的には、例えば清瀬小児病院、八王子小児病院、梅ケ丘病院を統合し、小児の心から体に至る、総合的で高度専門的な医療を提供する小児総合医療センターの整備を初めとして、都立直営病院を八病院とし、他の病院については公社化や民営化へ経営形態の変更等を行うという、実に思い切った内容となっております。
 しかし、こうした改革を進めるに当たって重要なことは、都民にとって総体としての医療サービスの充実に確実につながるものでなくては意味がないということであります。
 そこで、お伺いをいたします。
 都立病院改革会議の報告で示された再編整備を行うことが、都民に対する医療サービスの向上にどのように具体的につながるのか、伺います。
 次に、都立病院改革による医療提供体制の新たな構築についてでありますが、報告書で示された都直営、公社化、民営化による経営に限定すべきではないと考えております。
 ここで提案ですが、地域医療については、地元の自治体も役割を担っていく必要があり、個々の病院が地域医療に果たしていく役割を検討した上で、意欲のある地元自治体に経営を移管していくというのも、一つの手法としてあり得ると考えます。仮に、経営の移管等について地元自治体が意欲を示した場合には、都も前向きに対応すべきと考えますが、ご見解を伺います。
 さらに、この報告を行政としてどのように受けとめ、改革の実現を図っていくのか、知事の決意を伺います。
 次に、就労対策について伺います。
 我が国の経済状況を見るに、バブル経済崩壊後、公共事業や企業への融資の拡大等のさまざまな政策がとられてきましたが、しかし、いまだ景気の回復に至っておりません。特に、米国経済の減速に伴って、我が国の経済も本格的な後退局面になっております。米国の同時多発テロ事件も、景気への不透明感を強めています。今後、あらゆる分野で構造改革が進むと、失業率の悪化は避けられない、こう考えております。この痛みを緩和するためのあらゆる対策をとることが必要です。
 こうした時期に、知事は、我々が主張してきた政策を取り入れ、「緊急雇用・経済 東京プロジェクト」を発表し、国に先駆けて実施していく対策を明らかにされました。このプロジェクトでは、国への緊急提言として、雇用就業対策を充実していくための都への職業紹介事業の許可を最初の項目に掲げております。
 平成十二年度以降、地方分権一括法の施行により、地方事務官制度の廃止とともに、職業紹介に関する事務は国の専管事項として整理されました。しかし、失業者がちまたにあふれている現状では、職業紹介の窓口として、多くの窓口があることが望ましいことはいうまでもありません。都道府県が職業紹介事務を行うことが、今まさに重要なことであります。
 東京都としてどのような認識のもとで、職業紹介事業の許可を国への緊急提言の中に盛り込んだのか、伺います。
 次に、多様な訓練機会の確保についてであります。
 構造改革の進展に伴い、雇用過剰感の極めて高い中高年離職者、特にホワイトカラーの離職者が大量に発生するといわれています。この方々に対して、職業能力開発の機会を提供し、就職ができるようにしていくことは、極めて重要な施策であります。都は、これらの方々に対して、職業能力開発対策を今後どのように進めていかれるのか、伺います。
 また、都内にはさまざまな中小製造業があり、地域ごとに特色のある工場集積を形成し、東京のみならず、国内全体の経済の発展に大きな役割を果たしてまいりました。
 しかしながら、工場立地に関するさまざまな規制や円高による海外移転などにより、工場集積が崩れ始めるとともに、バブル経済崩壊後の景気の低迷や後継者難などの要因により、今や、世界に誇るべき技術力を持った物づくり産業も危機的な状況にあります。このため、これまでの融資や助成での支援だけでなく、工業等制限法などの規制を緩和するなど、幅広い検討、対応を行っていく必要があります。
 今後、こうした規制緩和と助成策の充実といった両面から、物づくり産業の活性化を図っていかなければならないと考えますが、いかがでしょうか。
 また、地域活力の源泉ともいうべき商店街も、大変厳しい状況にあります。これまでも地域に応じた振興策を行ってきてはおりますが、物づくり同様に、時代に合った商店街振興策の新たな仕組みづくりを考えていかなければならないと思います。所見を伺います。
 次に、教育問題について伺います。
 最初に、教科書の採択について伺います。
 我が党は、本年五月、教科書採択に関するアピールを行い、採択権者である教育委員会に対しては、みずからの判断と責任において、公正中立かつ適切に教科書採択をすることなどを要請しました。
 しかしながら、栃木県や和歌山県などにおいて、一部の団体等による組織的な抗議活動が行われ、教科書採択の決定が変更されるなど、教科書の公正な採択を妨害するような状況が発生しました。都立学校の教科書採択に際しても、杉並区、荒川区、国立市などと同様、一部団体による行き過ぎた組織的な抗議活動が行われました。
 我が党は、それぞれの地域の児童生徒に最もふさわしい教科書が、外部からのさまざまな圧力に影響されることなく、各教育委員会の権限と責任において、公正かつ適正に採択されることが必要であると考えています。
 そのためには、こうした一部の団体等の抗議行動等による異常な事態が生じないよう、今回の教科書採択に関連して、脅迫的なものがあったのかどうか、行き過ぎた抗議活動等に関する調査を行い、その実態を明らかにしていく必要があると考えます。教育長のご見解を伺います。
 次に、都立高校改革について伺います。
 児童生徒の学力の低下や学校不適応児の増加、青少年犯罪の低年齢化、凶悪化など、学校教育を取り巻く環境は、近年厳しさを増しております。
 一方、グローバリゼーションが進む中で、日本人としてのアイデンティティーを持ち、二十一世紀を担う個性豊かで創造力に富んだ人材の育成が急務であります。
 都教委においては、平成九年度を計画初年度とする都立高校改革推進計画を定め、現在、第二次の実施計画を着実に推進しているところと聞いておりますが、都立高校を取り巻く環境が揺れ動く中、教育上の新たな課題が浮かび上がってきております。こうした課題を踏まえ、これからの都立高校改革をどう推進していくのか、改めてその基本的な姿勢について伺うものであります。
 ところで、都立高校においては、生徒を直接指導する個々の教職員の能力が適切に生かされてこそ、教育活動は充実していくものと考えます。しかし例えば、進学指導に力のある教員、部活動に指導力を発揮できる教員等が、現状では、学校の特色に応じて適切に配置されているとは必ずしもいえないと考えております。特色ある学校づくりを行っていくためには、適切な人事配置が、まず何より重要であります。
 知事部局でも行っている公募制により、特定分野にすぐれた教員を積極的に見出して人事を行うなど、人事異動について特段の配慮を行うべきと考えますが、見解を伺います。
 さて、学校の特色化の一つとして、進学対策の充実があります。日比谷、戸山、西といった都立のいわゆる名門校では、進学実績において、国立や私立の有力校に大きく水をあけられています。来年度からは週五日制が導入され、平成十五年度からは新しい学習指導要領による授業が始まります。一部の私立高校では、進学対策にさらに力を入れようとしています。一方で、多くの都民は、都立高校においても進学対策を充実させることを望んでいます。日本の将来を担う人材の育成のためにも、進学対策をより重視し、成果を上げるための具体的方策をとるべきと考えます。教育長の所見を伺います。
 次に、大学改革について伺います。
 教育改革は、小中学校や高校の改革だけでなく、教育のターミナルである大学の改革も重要課題であります。国でも、国立大学の独立行政法人化、再編統合による国立大学の大幅削減が進められているとともに、トップ三十大学の重点育成など大学の抜本的構造改革が推進され、各大学はいや応なく生存競争にさらされております。一方、私立大学も、十八歳人口が減少する中、生き残りをかけた厳しい改革に取り組んでおります。
 その中で、都立の大学改革も、組織体制を拡充して強力な取り組みを進めていると聞いておりますが、東京都が設置する大学がどのような教育、研究を行い、社会に貢献していこうとするのかは、大変重要な課題であります。現在策定中の大学改革大綱の中で、知事はどのような改革を取りまとめようとしているのか、まず知事の基本的考え方をお聞かせ願います。
 大学改革には、大学関係者だけではなく、受験生初め都民、産業界など多くの人が強い関心を寄せており、我が党も大きな関心を持ってこれを見守っております。
 国は、国立大学の独立行政法人化について、今月中にも中間報告をまとめるとのことであります。私は、都は国に同調するのではなく、東京にふさわしい大学のあり方を模索し、法人化についても国とは違った形を目指すべきだと思います。むしろ、国に一歩も二歩も先んじ、これをリードする気概を持って、ぜひ新しい大学をつくってほしいと強く要請をするものであります。
 都教委では、現在、二十一世紀の日本を担う人材育成を目指し、高校改革を積極的かつ大胆に推進しておりますが、都立の大学もこれと連動した改革を進めることが重要だと考えます。その意味で、高校との連携をどのように行っていくのか伺います。
 以上、東京を再生させるべく、都政の基本的方針と各分野における施策の主要なものについて質問をしてまいりました。私たちのまち東京は、世界で最も豊かな国の一つ、日本の首都であります。この首都で暮らす東京都民が、世界で最も豊かな都市で暮らしていると、今、実感できているでありましょうか。朝の通勤ラッシュ、雨が降ればどこかで床上浸水がある、あかずの踏切に並ぶ自動車、都民五人当たりに一人の花粉症、こういった状況を見るとき、この国が首都東京の重要性を無視して、この東京に投資をしてこなかったツケが、今、回ってきていると強く感じるのであります。
 私たちは、何としてもこの東京をよみがえらせて、日本の再生につなげていかなければならないと強く思うのであります。強い強い東京の未来への思いを持って、知事の誠意ある答弁に期待をし、私の代表質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 松本文明議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、小泉総理の都市再生公約の進捗状況についてでありますが、要は、結果として、予算としてどういうふうにでき上がるかということだと私は思います。都市の再生のためには、従来の枠組みにとらわれることなく、関係省庁が知恵を出して、相互に協力し合って政策を推進していく必要がありますが、国は平成十四年度の予算の概算要求においても、都市再生を含む重点七分野への予算配分の重点化等を図ることなど、新たな取り組みを一応打ち出しましたが、下手をするとまた従来型の予算編成になる懸念があります。
 実は、ごく近い将来、来週でありましたか、総理大臣が本部長をしております都市再生本部、これは東京都からも幹部として人を送っておりますけれども、そこに、首都圏を再生している七都県市の首長が出席する会議に総理も出るはずでありましたが、急に何か都合がいいとか悪いとかいって出なくなった。これは、別に立て込んだスケジュールがあるわけではありませんし、国会が理由といっても、国会は今、開催中ではありませんから、憶測するに、そこに出席する役人たちが、総理という国の首長と首都圏を構成する首長同士が政治家としてざっくばらんに話し合って、そこでエイヤと物が決まることが非常に煩わしい、相変わらず役人のイニシアチブでこの予算を配分しようという魂胆ではないかなという気がしますので、最近、総理が出席する限られたメンバーの会合に私も出ますから、そこで小泉総理に、必ずこれに出席してもらいたいと、そういうよき事例というものを大都市のためにも示してもらいたいということを申し上げるつもりであります。
 今後、総理が本部長であります都市再生本部がイニシアチブを発揮しまして、各省庁間にまたがる都市再生プロジェクトについての予算の重点化と、めり張りのきいた対応を行っていくよう、引き続き要請し、また牽制もしていきたいと思っております。
 次いで、首都圏再生のための大集会についてでありますが、これはやはり大事なことだと思いますけれども、今内閣の再生のための予算というもののでき上がりを見て、つけるべき注文があれこれ変わってくると思いますから、原則的に予算の結果というものを見て決めたいと思いますけど、いずれにしろ、首都圏が国際競争力を回復し、日本経済を再生させ、引き続き首都機能を担っていくためにも、首都圏の再生を図る基盤整備が不可欠であります。この政治経済の中枢機能が一体となって集積している首都圏を最大限に生かすことが不可欠であります。
 これは、東京だけではなしに、首都圏を構成している七都県市の首長の一致した意見でありまして、ご提案の趣旨については、七都県市の連携を基本として検討していきたいと思っております。
 次いで、羽田空港の国際化についてでありますが、今月四日に、扇国土交通大臣と、羽田の国際化を視野に入れた再拡張の早期実現で合意をいたしました。合意したというか、東京のいうことを国が聞いたということでありますけれども、いずれにしろ、再三申しておりますように、日本といったって、何といっても東京首都圏に来るお客さんが大事でありまして、その空路のアクセスが著しく不便をかこっている。三年たてばパンク。つまりパンクということは、もしきょう、またどこかで大きなテロが起きて、自分の身内がそこで見失われている、その救急に駆けつけようと思っても飛行機に乗れない。どうしても乗りたければ、アメリカで既にやっているように、オークションにかけて、だれかから、特別のお金を払って切符を譲ってもらうということにならざるを得ない状況でありまして、まさに首都圏の国際航空需要は逼迫しております。
 でありますから、一番早い形で完成できる桟橋方式の再拡張を東京都から提言したわけでありますが、それの実現を待たずに、いずれにしろ未使用の枠があるわけでありますから、再拡張の以前に、深夜の便などを考慮することで、羽田の本格的な国際化というものは、あしたにでも私は可能だと思っております。
 これに並行して、再拡張も勘案しながら、旧ターミナル地域周辺での新たなターミナルの建設などに直ちに着手することが、私は必要だと思いますし、それも国に強く要求していきたいと思っております。
 次いで、道路四公団についての行革断行評議会の提言についてでありますが、国民負担が生じないことを念頭に、四公団を一体化し、運営を民営化するという提言は、なかなか妥当なものであると思います。
 これに対して、先週、国土交通省からもいろいろ対案が出されました。いずれにしても、首都圏にとっては外環を初めとする三環状道路のように、必要性や採算性が極めて高い路線までが、この構造改革に引きずられて一律に停止するということは考えられないことでありまして、首都圏の渋滞解消や環状メガロポリスの実現が図れなくなりまして、ひいては首都圏の再生にも著しい支障を来します。
 私は、このアイデアが出たときに、記者会見で、たわけた話である、こういうことを一律にやられると、大きなひずみがかえって生じるぞということを申しましたら、そのいい出し人の一人である猪瀬さんという諮問委員は、決してそういうつもりではないと。自分は大都市の環状線についてまで付言したわけでなくて、単に無用な、非常に経済効率の悪い道路について付言したのであって、おのずとそのプライオリティーは決められるべきだということをいったそうでありますが、新聞にも出ておりました。
 いずれにしろ、本来国の責任で行うべき高速道路の建設について、自治体に過大な負担を求めるなんていうことは極めて問題でありまして、むしろ国費の集中投入によって、首都圏の再生に役立つ道路を優先して整備すべきであると思っております。
 次いで、踏切解消のための基本方針についてでありますが、先般といいましても前内閣のときに、私は森総理を強引に連れ出しまして、当然、国際化される羽田のまさにのど元のボトルネックである京浜急行の、わずか一千メートル足らずのところに十近くある踏切の立体化について、国も国策として前倒しを考えてくれということで、そこで合意を得ましたが、総理大臣がかわっちゃったわけでありますけれども、いずれにしろ、こういう主要な事業である連続立体交差事業については、その国庫補助金の都への配分シェアが一割強にとどまっているわけであります。
 鉄道と道路の立体化は、多額の事業費を必要とするだけではなくて、鉄道の運行を確保しながら工事を行うために、非常に難しいし、時間がかかります。このため、補助金の増額などを国に求めるとともに、地元の自治体や鉄道事業者と連携を図りながら、踏切解消のための中長期目標や立体化の方策を明らかにした基本方針を都としても取りまとめていくつもりでございます。
 次いで、三千三百万、つまり首都圏を構成している大メガロポリスの電子都市化構想についてでありますが、これは皮肉なことに、ビル・ゲイツのような外国人がこれに着目しまして、世界に存在しないこういうメガロポリスを対象にした電化プロジェクトというものを、ある日本人を通じて持ちかけてまいりました。東電もこれに参加しかかっていたんですが、私は、やっぱり外国の大資本がこれを牛耳るということは問題があると思いまして、前々内閣の小渕総理に、国策としてこれを考えようということを申しましてから、森内閣になりましてIT化の法律もできました。
 いずれにしろ、既に警察が掌握しているゴーストップのネットワーク、あるいは東京なら東京で二十三区でほとんど普遍した下水道、その他この他、電柱も含めて、IT化のための社会資本というのは既にほとんど完備しておりますから、国がその気になれば、これは人類史の中で珍しいです、三千三百万というヒンターランドを背景にした電子化というのが行われる。これは、すべての面でシンガポールの十数倍のものでありまして、これができれば、世界が刮目する一種の文明革命というものを日本が遂行できるわけです。
 ということで、先般、副知事も差し向けまして、与党の政調会長たちと、もし補正を組んで首都再生というものを眼目に据えるならば、この問題でこそ国は関心を持って、東京都のみならず首都圏を構成している七都県市と協力すべきであるという主張をいたしました。
 具体的な案については、近日中に予算措置も含めて、私も赴きまして説得するつもりでありますが、いずれにしろ、これは国に任せるだけではなしに、都がイニシアチブをとりまして、都にも多い有識者の知見も得ながら、率先して首都圏の情報戦略を構築し、壮大なプロジェクトを、どうか私たちの目の黒いうちといっても、ごくごく短い単位のスパンで、その余地は十分あるわけでありますから、完成していきたいと思っております。これこそ、また日本の地位が、首都圏というものをてこにして世界の中で持ち上がっていく大きなゆえんになると信じております。
 次いで、環境影響評価制度についてでありますが、これは何十年か前、私が環境庁の大臣をしておりましたときに着手してでき上がったものですが、それを引いて、各自治体もそれなりの条例を加えて評価制度を構えておりますけれども、いずれにしろ、それからはるかに時間がたちまして、いろんな構成要素というものが古くなっていると思います。
 今まで二百件を超える案件を扱ってきましたし、この間、環境影響の調査方法や評価項目についてもさまざまな知見が蓄積されてきましたし、世の中そのものが本質的に変わった部分もあります。
 計画のより早い段階での環境への配慮を求める総合環境アセスメント制度なども導入を図ってまいりましたが、現在、そのテストケースで行っておりますけれども、さらに本格的実施に向けて検討を進めております。こういったものを踏まえて、早期に環境影響評価についての調査方法や評価項目を含めて、制度のあり方を検討していきたいと思っております。
 後にも触れますが、都市の再開発に不可欠な容積率とか建ぺい率とか、その他それを規制しているもろもろの要因そのものも、世の中の流れが変わってきた今、例えば日照権などもそうでありますけれども、外国の例で見れば、日の当たらない部屋の方が家具が狂わないからずっと高いという国もあったりしまして、物の考え方が変わるべき時代に来ていると思います。
 そういうことで、繰り返して申しますけれども、早期に調査方法や評価項目を含めて制度のあり方を検討したいと思っております。
 次いで、十四年度予算編成の基本的な考え方についてでありますが、財政再建はいまだ道半ばにしかありません。加えて、最近の経済環境の急速な悪化を考えますと、より一層の財政構造改革に取り組まなければ、都財政は破綻を免れ得ない事態だと認識しております。
 したがって、十四年度予算編成に当たっては、引き続き財政構造改革を強力に推進することにより、財政再建の取り組みをより一層進める。同時に、首都東京を再生し、都民生活の不安を解消するために、真に必要な施策を立案し、実行していくことが強く求められております。
 このため、予算の編成に当たりましては、重要施策に財源を重点的、効率的に配分するとともに、既存の事業についても積極的にスクラップ・アンド・ビルドを徹底して、その財源を生み出していきたいと思っております。そして、従来の財政再建プラン以上の厳しい内部努力というものを、まず覚悟してかからなければならないと思っております。
 次いで、行政サービスのコストと都民の負担に関する情報の公表についてでありますが、財政構造改革の取り組みを進めるに当たっては、都民の理解と協力が不可欠であります。そのためには、ご指摘のとおり、行政サービスのコストと都民の負担について、わかりやすく説明していくことが重要であると思っております。
 先般、就任して一年目でありましたか、再建団体に転落しまいということで、財政改革推進プランをつくりましたが、並行して、もし我々が土俵を割って、幕内から十両に転落する、再建団体に転落したときに、都が今行っている福祉を含めて、行政というものがナショナルミニマムまで追い込められると、これだけ事態が違ってきますよということをわかりやすく説明するテキストを出しました。あれは都民の方々にも議員さんたちにも非常に好評でありましたが、私はやはり、都民の負担ということについても、これから先、そういうきめの細かい、わかりやすい説明が必要だと思っております。
 これまでもそういう努力をしてまいりましたが、いずれにしろ、福祉や教育などの個別の事業に即して、具体的に明らかにしてまいりましたけれども、なお加えて策を講じて、都民の協力を積極的に得られるような努力をしたいと思っております。
 次いで、十四年度予算の重要施策の財源についてでありますが、確かに、重要施策はやるんだ、しかも財政は切り詰めるんだということは、矛盾して感じられます。しかし、幾つかある行政の案件についても、おのずとプライオリティーがあるわけでありまして、それを慎重に、積極的に見きわめながら、予算の配分をしていこうということであります。
 一応、各局が重要施策を予算要求する際には、シーリングというものを外してよい、考えてよいということをいっておりますけれども、その施策が、局がいってくるように、都政にとってどれほど高い優先順位を持つかということは、最高の幹部が判断することでありまして、いずれにしろ、そういう意欲を削ぐことそのものは行政に差し支えますから、各局を督励しながら、最後は上にいる者たちが合議して、都民にとっての施策の優先順位を決めたいと思っております。
 その前提として、なお厳しい内部努力とスクラップ・アンド・ビルドを行っていくつもりでおります。
 次いで、税源移譲に関する取り組みについてでありますが、繰り返し申してきたことでありますけれども、地方分権一括法という、まことに耳ざわりのいい法律をつくりましたが、行政は、やっぱり予算の裏打ちがなかったら進むものではありませんけれども、肝心の財源、税源というのは、どうやって分与するかは中長期の問題だと。国政のレベルでいうと、中長期というのは・・長期だと成田みたいに四十年たっても飛行場ができない、下手をすると中期でも十年かかる。こんなもの待っていられないんで、東京都は東京なりの努力をしてきたんですが、いずれにしろ、これは国の責任でつくった法律でありますから、裏打ちする税財源の分与というのは、国会議員が頑張って早急に決めるべきものだと思うんです、彼らはそれぞれ地方から出ているんですから。
 いずれにしろ、今年度六月の国の経済財政諮問会議の基本方針においては、税源移譲という言葉は明記はされましたけれども、相変わらず、どれだけのタイムスパンでやるかというのは全然記されていない。国は依然として、法律はつくりましたが、それに伴うべき税財源の分野については、まさに後ろ向きであります。
 実現は決して容易ではありませんが、今後とも都議会のご協力をいただきながら、全国の自治体とも連携を深めて、東京都の税制調査会も活用しながら、国に強く迫っていくつもりでございます。
 また加えて、後にも付言するかもしれませんが、既にある、それぞれ不足しているわけですけれども、国が握ったままの税源の使い方についても、国に一方的に任さずに、やっぱり東京都だけが主張しますとエゴになりますから、首都圏というものを念頭に置いて、複数の自治体が力を合わせて国に強く、もっと有効な税金、財源の使い方というものを示唆すると、そういう試みはこれから必要だと思います。
 次いで、相続税についてでありますが、これはまことにおっしゃるとおりで、私も同感でありまして、日本の相続税というのは世界に例がない。
 私は、議員のときに大蔵省の高官たちと話をしていまして、彼らがいうことに驚いたんですが、彼らにいわせると、私たちは何といっても日本の大蔵省でありますから、自由経済というものは認めます、しかし個人の成功というものは大きな資産を生んで、それがそのまま機械的に相続されていくのは私たちにはどうも納得いかない、三代たったら、三代前の努力が資産としてゼロになる、結果としてゼロになる、それが望ましいと思うという。私は、隣の中共だってソビエトだってそんなことを考えているやつはいないぞ、おまえは一体どこの役人だということでけんかしたんですが、どうも本気で大蔵省はいまだにそれを考えているんじゃないかと思う。
 これは、非常に恐ろしい話でありまして、つまりジャパンドリームというのが生じる可能性が全くないわけでありますから、これはそういう深刻な問題が既に起こっている東京などが、議会を通じてでも声をそろえて、事例を挙げながら、国にこういったものに対する再考を迫っていく必要があると思うんです。
 例えば、私は二年ほど前に知事として改めて行きました大田区の、これは世界に確たるすばらしい開発を技術的にして、すばらしい製品をつくっている、本当に小さな零細企業が、これは世界にそこしかない事業でありますけれども、もう国際的に確々たる名声を得ながらなお、とにかく事業はこれ以上拡張もできないし、まして自分も年をとってきたので、この先、子どもたちに相続ということを考えれば、とてもうちの会社は立っていかないといって、私限りでやめて、子どもたちはほかに就職させようと思っているということを当然のこととしていう。
 これは、彼らにとっても損害でありますが、日本という国力を支えている技術というものを失うことも非常な損害であって、私はそのとき暗然としましたが、そういった事例が現に、非常にゆがんだ相続税の体制下の中に生じているということを、東京などはそういう事例がたくさんあると思いますので、みんなで力を合わせて、こういったものの改革を国に迫っていきたいと思います。
 次いで、横田飛行場を防災拠点とするための国への働きかけでありますが、災害時の被害を最小限に抑えるには、米軍基地といえども、日本の中の外国かもしれませんが、日本の国土には違いないので、私たちはこれを積極的に活用していくのは当然であります。
 今回の総合防災訓練でも、全国に先駆けてそれを行ったわけでありますが、横田飛行場が羽田空港と並んで、災害時の広域輸送拠点として極めて重要な役割を果たすということが今回の訓練でも実証されたと思います。何しろ東京は広うございますから、横田は東京の多摩地域だけでなく、埼玉にも山梨にも非常に近い、非常に有力な拠点であります。
 そして、都の災害拠点として位置づけるために、今後、米軍側とも調整を図っていくとともに、国に対し、国策として広大な米軍基地を災害時の活動拠点として組み込むことを、当然ですけれども、強く提案してまいります。
 今後は、引き続き、最低限の措置として、本来は返還が望ましいんですが、そのプロセスの一つとして、やはり軍民共用の実現と、横田空域及び管制権の返還を国に働きかけてまいります。これが実現すれば、飛行場を含めた横田空域をさらに機動的、弾力的に活用できることになります。
 先般、三多摩を中心としたビッグレスキューのときに小泉総理も来てくれまして、昼食をとっていたんですが、そのまま官邸に帰るというから、僕と飯を食わなくてもいいから少し早目に出て、一っ飛びして五分もかからないんだから、横田の飛行場を見ておいでと。見たことないだろうといったら、見たことないという。それは大概の人は見たことないんで、とにかく総理大臣が自分でヘリコプターに乗って、ここが横田かと認識を持つことが非常に大事だから必ず行けと、そんなライスカレーなんか食わなくていいからすぐ行ってくれといいまして、純ちゃん総理も、わかったというんで飛んでいってくれました。
 そういうことで、私たちは、やはり横田というものの存在の国庫的な意義というものをできるだけ多くの政治家が持ちたいものだなと思っております。
 次いで、臨海副都心の土地売却についてでありますが、開発を着実に進めるためには、これまで長期貸付を原則としてきた土地処分方式を、売却も含めて多様化することで民間企業のニーズに的確に対応するなど、企業進出の可能性を高めることが重要だと思います。現に、既にあそこを借りている企業でも、できるだけ早く完全に、売却してもらって取得したいというニーズが非常にあります。
 民間企業に対する土地売却の時期については、来年の地価公示の結果などを踏まえて、十四年度の早期にも売却を開始することができるように準備を指示いたしました。
 次いで、国の自動車公害対策に対する評価と今後の都の対策についてでありますが、国はともかく遅い。それで少し動き出したけど、まだまだ遅いということであります。
 大気汚染が一向に改善されない最大の原因は、国における粒子状物質などの自動車排出ガス対策の立ちおくれが最大の原因だと思います。国は、都がやりましたディーゼル車対策を後追いする形で、ようやく自動車NOxの改正など規制の強化に乗り出しましたが、まだまだ不十分だと思います。
 何といったって、総理大臣も国の役人も、国会議員も私たちもみんな同じ空気を東京で吸っているわけでありますから、これは我がことであるという認識をぜひとも深刻に持ってもらいたい。本来なら八十まで生きる総理大臣が七十で死ぬかもしれない。東京で吸っている空気のせいだけとはいわないけれども、そういう認識を持つことが、私は政治家として国民に対する思いやりだと思うんです。
 都としては、都民の健康を守るため、環境確保条例に基づきまして都独自の施策を断固として推進し、国の環境政策をも変えていきたいと思っております。これは東京が政治の立場を超えて、都民として国民として、何しろ三千三百万いるんですから、この日本の四分の一の国民というものがこういう問題を先鋭に国に迫るということで、国が動かないわけはないと私は思うんです。それぞれ、その首都圏を構成する国民の代表として頑張ろうではありませんか。
 次いで、観光に対する認識についてでありますが、驚くことに、ご指摘のように、観光を産業という認識を、一向に東京都も国も持ってこなかったんですね。私は運輸大臣のときに観光を所管しましたけど、何で運輸省が所管するんだと非常に奇異に思いましたが、普通だったらこれは通産が所管すべき業務だと私は思うんです。
 いずれにしろ、とにかくこれからは、これを非常に有効な産業と心得て、新しいITというものを開発すると同じように、日本における観光の可能性を開発していきたいと思っております。いずれにしろ、これは今世紀飛躍的に成長の期待できる重要な産業であると思います。
 いずれにしろ、これまで日本にやってきた外国人が四百七十六万、日本から出て外国を眺めに行く日本人が千八百万という、これだけの格差がありまして、いずれにしろ、国際旅行収支に関しては三兆五千億の大幅な赤字になっているわけであります。
 このためにも、東京が先頭に立って政策を転換し、観光資源の開発や外国の観光客の受け入れ体制などの整備に取り組みまして、まさに千客万来の世界都市東京を実現、再生していきたいと思っております。
 次いで、江戸開府四百年を記念する事業についてでありますが、いずれの年をもって四百年の元年と規定するのか、私はわかりませんが、何でもいいんです。とにかく大きなお祭りをやることで人が来てもうかるんだから、とにかくやろうじゃないですか。時代の節目に当たって、過去を振り返り、将来を展望することは、現在の置かれた状況を見直して、今後の進むべき道も示してくれますから、私は大いに結構だと思います。
 現に私は何年か前、映画の用事でパリに行きましたときに、パリの何百年かのアニバーサリーの行事をやっていまして、国だけやパリ市だけではなくて、いろんな企業なりいろんな立場の人たちがうまい形でパリを飾って、みんな浮き浮きしておりましたが、私は、そういうアニバーサリーを、何も東京都だけじゃなしに、地域地域の自治体あるいは企業や関係している組織が、ボランティアも含めて行うことで、二年先だというからまだ間に合うなと。観光も少してこ入れしました、その一つの、三年目の大きな眼目として、やはりこういったものを考えるべきじゃないかと思っております。
 次いで、住宅政策の改革についてでありますが、大きな時代の変化の中で、都の住宅政策も、これまでの型を破る大胆な発想と果敢な取り組みが必要だと思います。
 今回は、都営住宅の抜本的改革の端緒として、期限つき入居制度の導入を行うとともに、あの南青山一丁目の団地、大きな団地ですけれども、この建てかえプロジェクトについても、従来にない、恐らく日本で初めて民間の知恵を、力をかりまして、そういう新しい方式で行っていきたいと思っておりますが、そのとき私申しましたんですけれども、報告では、ここに設ける老人用のグループホームあるいは図書館を、せっかく公共のためにつくるんだから、これはインセンティブとして、許されている容積率を勘案しないだけの話し合いをつけたというから、そんなものじゃ手ぬるいと。民間に相談して、もっと大きな容積率で構わないからやっちまえと。それで、それを国ががたがたいったら、恥かくのは国なんだから、そこで都議会挙げてけんかしようじゃないかと。役人はびくびくするけれども、おれたち政治家が責任を持つから、構わないからやれと。民間に相談して、どこまでだったら採算がとれる、どこまで大きくしたらこの事業は事業としてもうかるぞという採算点を持ってこいと。それを行っちゃうことで国は渋々でも動くに決まっているんだから、それは多分、共産党さんも賛成せざるを得ないでしょう。
 次いで、今後の福祉改革の取り組みについてでありますが、都が目指す福祉改革は、高齢者や障害者などが地域の中で必要なサービスを選択し、可能な限り自立した生活を送ることのできる、真の意味での利用者本位の福祉を東京において実現することであります。
 これまで、福祉改革推進プランに基づきまして、民間企業など多様な事業主体を積極的に参入させながら、戦略プロジェクトを中心に、大都市の特性に即した都独自の取り組みを実施してまいりました。今後もこうした理念を、高齢者、障害者、子どもなどすべての福祉分野でさらに発展、具体化させることによって、改革を新たな段階に推し進めて、引き続き東京から新しい福祉を発信してまいりたいと思っております。先般開所しました駅前の、JRの協力でできました認証保育所についても同じことだと思います。
 次いで、都立病院改革会議の報告についてでありますが、他の地域と比べて、東京は医療インフラというのは非常に充実しているところだと思います。それが非常に過剰にオーバーラップしているところもありまして、そういうものを踏まえて、とにかく今、公立病院が見直しを強いられているときでありますし、これが全国的課題にもなっておりますから、今回の都立病院改革会議の報告でも、都立病院が担うべき役割や、その経営形態を明確にするなど、いち早く東京から全国へ発信する公立病院改革の新しいフォーマットを示していただいたものだと思っております。
 今後、報告内容を十分に尊重しまして、都立病院改革を着実に進めていきたいと思っております。このためにも、年内を目途にマスタープランを策定しまして、具体的な再編整備のスケジュール等を明確にした上で、早期に改革の実現を図っていきたいと思っております。
 該当する地域の方々は、この病院の性格を変えるなとか、これをほかに持っていくなと、いろいろ苦情がありますが、何といったって東京は広いようで狭くて、日ごろは渋滞していますけど、救急車なら早く行けるわけでありまして、私は、要するに、ある医療インフラを、東京というものを全体、鳥瞰図的に眺めて、公平に分散、分布するということが必要だと思います。今度の報告もそういう視点で行われたものと思っております。
 最後に、新たな都立大学のイメージについてでありますけれども、これは、かつて東北大学の学長としてらつ腕を振るわれて、すばらしい改革をされた西澤先生が座長になってやっていただいております。構成委員が非常に熱心な余り、すぐ結論を出す必要はないというので、その議論の中心になっておられる西澤先生が先般も来られまして、ちょっとゆっくりあなたとさしで話したいということで、一時間半ほどいろいろお話を聞きまして、非常に有益でありましたが、西澤座長は、せっかくつくるなら思い切った大学にしようと。ただ、石原さん、新しい大学のあるべきイメージはアメリカ式かイギリス式かと、あえていえばどっちだといわれるので、私も、うーんと詰まったんですけれども、これまた皆さん自身も考えていただきたい。
 西澤先生は、そこで非常に該博な知識を得ながら、かつ人格というものが育成されたすばらしい人物をつくりたいと。一方、アメリカのように、ビジネススクールのような、そこを出ることで、社会に出てもすぐ使える知識を技術として習得できるみたいなアメリカ型の大学もあるが、どっちだといわれまして、私は、焦眉の問題としては、どっちの人物も出てこない今の日本の大学なら、出て、そこで得た知識を技術として使えるようなアメリカ型の、ビジネススクール型のそういう大学がいいんじゃないですかといったら、いや、あなたの意見はあなたの意見として聞きおきましょうと、しかしあとは私たちに任せなさいということで、さらにどういう議論が行われるか、非常に注目して、期待しております。
 その他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) 教育に関します四点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、教科書採択に関する調査についてですが、都教育委員会は、今回の教科書採択に当たりましては、都教委みずからも適正な採択と公正の確保に努めますとともに、区市町村教育委員会等を指導してまいりました。
 お話のような教科書採択に関する各地でのさまざまな抗議活動等の実態を踏まえまして、異例ではございましたが、本年七月十九日、文部科学省から改めて公正確保に関する通知が出されまして、都教委としても、区市町村教育委員会に対し、その周知徹底を図ってきたところでございます。
 都教育委員会は、現在、各区市町村教育委員会に対する要請及び抗議等の実態を把握するための調査を行っているところでございまして、引き続きヒアリング等を通して正確な実態の把握に努めますとともに、今後とも適正かつ公正な教科書採択を推進してまいります。
 次に、これからの都立高校改革の基本姿勢についてですが、学校教育を取り巻く環境が変化する中で、都立高校改革においても新たな課題への取り組みが求められております。とりわけ、お話のような二十一世紀の我が国社会を担う個性豊かで創造力に富んだ人材の育成等は、大きな課題として受けとめております。
 このため、現行の第一次及び第二次実施計画を着実に推進しますとともに、これまでの計画推進の成果を踏まえつつ、中高一貫教育による新しいタイプの学校づくりや、既設高校の改編統合によるさらなる特色化を通して、人材育成などの新たな課題に対応した高校改革を一層推進してまいります。
 次に、特色ある学校づくりと人事異動の関係についてですが、都教育委員会は、特色ある学校づくりに寄与できる人材についても、長期的な視点から計画的な配置に努めてまいりました。また、教員の能力開発と人材の活用を推進するためにも、人事考課制度の成果を人事異動に反映させ、一層の適材適所の配置を図ってまいりたいと考えております。
 ご提案の教員の内部公募制につきましては、特定の分野にすぐれた能力を有する教員を積極的に見出し、活用することによって、教員のモラールアップを図り、学校の活性化を実現できると考えておりますことから、都立高校への早期導入を検討してまいります。
 最後に、進学実績向上のための具体的な方策についてですが、都民の期待にこたえますとともに、有為な人材を育成する上で、進学対策のより一層の充実強化が必要であることはお話のとおりでございます。
 そこで、新たな取り組みとして、過去の進学実績、学力検査問題の自校作成、進学対策の状況等を総合的に勘案した上、当面、日比谷、戸山、西、八王子東の四校を進学指導重点校に指定しまして、生徒の進路希望を実現できるよう、組織的で計画的な進学指導を推進してまいります。
 これらの学校に対しましては、進学実績の顕著な向上を目指すため、指導力のある教員の重点的な配置など、必要な支援を早急に実施してまいります。
 また、指定した重点校における指導方法の改善などの成果につきましては、他校にも提供することにより、都立高校における進学対策のレベルアップに努めてまいります。
   〔都市計画局長木内征司君登壇〕

○都市計画局長(木内征司君) 都市再生に関する具体的なご質問にお答え申し上げます。
 まず、都営浅草線の東京駅接着構想についてでございます。
 東京駅接着及び追い抜き線新設は、いわゆる成田B案ルートの整備とあわせ、主要なターミナルでございます東京駅と成田、羽田の両空港とを結ぶ重要なプロジェクトであるというふうに認識しております。
 この構想の実現を図るには、地元自治体との連携はもとより、整備主体、事業資金、周辺の都市開発との連携、八重洲地下街との調整など、幾多の課題を解決していく必要がございます。このため、近く、国、鉄道事業者などから成る検討の場を立ち上げることとしており、おおむね二カ年で具体的な整備方策を取りまとめてまいります。
 次に、中央環状品川線についてでございます。
 品川線の整備によりまして、中央環状線が全線完成すれば、都心通過を余儀なくされている車が分散されまして、都心環状線などの慢性的な交通渋滞が緩和されます。また、例えば渋谷から羽田空港までの所要時間が現在の半分程度に短縮されるなど、交通の円滑化にも大きな効果が見込まれるところでございます。
 東京都としては、この路線の事業促進のため、先月、都市計画素案に関する地元説明会を開催したところでございまして、引き続き国と連携しつつ、都市計画及び環境影響評価の手続を進めまして、早期事業化に努めてまいります。
 次に、東京駅周辺の整備についてでございます。
 本地区は、首都東京の玄関でございまして、歴史と風格のある都市景観を持つ地区として整備を図ることといたしております。このため、東京都は、新たな都市計画手法である容積率移転制度を導入いたしまして、歴史的な建造物である赤れんが駅舎を保存、復元するとともに、八重洲駅前や丸の内の広場の整備などを促進してまいります。
 また、総合設計制度を拡充いたしまして、民間建築物の建てかえを適切に誘導することにより、行幸通り沿いの景観整備を促進するなど、日本の代表的なビジネスセンターである丸の内の良好な町並みの形成を図ってまいります。
 次に、豊洲一・三丁目地区への取り組みについてでございます。
 本地区は、大規模な造船所の跡地を含む約六十ヘクタールのエリアでありまして、いわばウオーターフロント最大の民間の開発プロジェクトでございます。
 都としては、本地区を、ITや新エネルギーなどの次世代型の産業・業務の拠点とすることや、「ゆりかもめ」の豊洲駅までの延伸に伴って、臨海部への新たな交通結節拠点とすることなどを内容といたします、まちづくり方針を近々公表する予定でございます。今後、これを指針として、事業者を適切に誘導し、ウオーターフロント開発のモデルとなるまちづくりの推進に取り組んでまいります。
 次に、指定容積率の活用方策についてでございます。
 土地の高度利用を図るべき都心部等においては、一般に高い容積率が指定されているわけでございますけれども、敷地ごとに見ますと、ご指摘のような状況も生じ、容積率が十分に活用できない地域が見られます。
 こうした地域におきましては、これまで再開発あるいは地区計画などによりまして、容積率の適切な活用を促してきたところでございますが、全体から見ますれば、いまだ十分といえる状況にはございません。
 今後、地区計画などの施策を一層推進するとともに、敷地単位ではなく、街区単位で建築ルールを定めることにより、土地の有効利用を図ることのできる新たな仕組みを創設したいと考えており、その実現に向け、必要な法改正を国に働きかけるなど、積極的に取り組んでまいります。
 さらに次に、日影規制の問題でございます。
 現行では、日影規制に加えまして高度地区による規制がかけられていること、さらには、原則規制対象外である容積率四〇〇%の地域の一部も規制対象となっているために、土地の高度利用を図ることのできない地域が見られます。このような状況のもとで、都心居住の推進など新たな都市づくりを実現していくためには、日影規制を見直す必要があると考えております。
 今後、都心部など土地の高度利用を促進すべき地域については、地元自治体と調整を図りながら、規制の対象区域からの除外、規制の時間値の見直しなど、日影規制の合理化に取り組んでまいります。
 最後に、再開発事業の促進についてでございます。
 現状の再開発事業におきましては、関係地権者の合意形成に時間を要すること、景気の低迷により保留床の買い手が決まらず、事業採算性が悪化することなど、事業の促進を阻害する要因がさまざまございます。
 このため、東京都としては、地権者の大多数の合意を基本としていた都市計画決定の要件を、事業の重要性、緊急性等により緩和するなど、運用面の改善を図るとともに、保留床を市場性の高い用途に誘導していくことが必要であると考えております。また、地区外転出者等に対する税制面の優遇措置を拡充するなど、事業の迅速性に結びつく制度改善につきましても、国とも連携し、取り組んでまいります。
   〔建設局長山下保博君登壇〕

○建設局長(山下保博君) 三点にわたるご質問にお答えいたします。
 まず、道路特定財源の配分拡大や無利子貸付制度創設の意義及び効果についてでございますが、現在の東京には、慢性的な交通渋滞による経済活動の高コスト化あるいは環境悪化など、大都市特有の問題が山積しておりまして、これらを克服することが、都市を再生するための喫緊の課題となっております。
 そのため、幹線道路の整備や鉄道の連続立体交差事業などを早期に実施する必要がございまして、その財源確保に向け、道路特定財源の配分拡大や無利子貸付制度の創設を国に強く要請しているところでございます。
 この財源確保により、短期集中的に整備を進め、今後十年間で、東京都区部における自動車の平均速度を、現在の約十八キロから十三大都市並みの約二十五キロへ改善し、渋滞の緩和を図るとともに、アイドリングの減少などにより大気汚染物質を二割削減することができると考えております。
 今後とも、交通の円滑化や良好な都市環境の実現を目指し、都議会のご理解と協力をいただきながら、財源確保に向けて努力をしてまいります。
 次に、電線類地中化の進捗についてでございますが、都は、昭和六十一年以来、電線類地中化計画に基づき整備を進めてまいりました。
 平成十二年度末現在、都道における地中化の状況は、対象延長約二千三百キロのうち、約四百八十キロでございまして、地中化率は二一%となっております。欧米諸都市に比べまして低い整備水準にある理由といたしましては、まず、東京では地中化の歴史が非常に浅いということがございます。さらに、事業を進めるに当たりましても膨大な事業費が必要なことや、地下埋設物が大変ふくそうしているというようなことによるものでございます。
 次に、最後でございますが、今後の整備についてでございます。
 電線類の地中化は、良好な都市景観の創出、情報基盤の整備、あるいは防災機能の向上などに寄与する極めて重要な事業でございます。
 東京の再生のためにも、区市とも連携を図りながら、東京の地中化を着実に進めていく必要がございます。整備に当たりましては、業務・商業機能が集積するセンター・コア・エリア、あるいは主要駅周辺地域並びに災害時の緊急輸送路などにおいて優先的に実施してまいります。
 また、事業をより一層推進するため、電線管理者と連携を図り、構造のコンパクト化や工事費の縮減に努めるとともに、国費の大幅な増額を強く求めてまいります。
   〔知事本部長田原和道君登壇〕

○知事本部長(田原和道君) 花粉症等アレルギー対策についてのお尋ねでございます。
 ご指摘のとおり、都が提案いたしました対策は、都市再生本部の第一次、第二次プロジェクトには選定されておりません。花粉症等アレルギー対策につきましては、多くの都民の切実な願いでありますので、都市再生本部のプロジェクトへの選定要請や関係省庁への予算要望を、これからも積極的に行ってまいります。
   〔産業労働局長浪越勝海君登壇〕

○産業労働局長(浪越勝海君) 七点のご質問にお答えいたします。
 まず、スギ花粉症対策としての森林整備についてでございますが、花粉症の原因の一つであるスギ花粉の大量飛散を防止するためには、杉林の手入れを十分行うことは無論ですが、生産林になじまない杉林を広葉樹林に転換したり、花粉の少ない杉苗木の導入を図ることなどの対策が必要と考えています。
 そこで、都は、首都圏再生プロジェクトの一つとして、森林整備を大きな柱とした花粉症対策について、国に強く働きかけるとともに、少しでも都民の苦痛が軽減されるよう、これらの対策に先導的に取り組んでまいります。
 次に、三宅島の中小企業に対する金融支援についてでございますが、被害の甚大さを考慮し、これまで災害前の債務について、その償還猶予と利子補給を行うとともに、貸付期間の全期間を無利子とする東京都災害復旧資金融資を実施してきました。現在、帰島のめどが立たない中で、支援を継続する必要が高いため、借り受け後、一年が経過して十三年度中に元金返済の始まる東京都災害復旧資金融資について、先般の、その据置期間を延長できることとしたところです。
 今後、政府系金融機関の災害復旧貸付の申し込みについて、来年三月までの延長を国に要請するとともに、都制度の申し込みについても、同様の措置を講ずる予定でございます。
 次に、観光産業振興にかかわる外国人旅行者誘致の目標数の達成についてですが、外国人旅行者の増加を図るには、まず旅行者のニーズに応じた多様なマーケティング戦略を立てる必要があります。その上で、海外への効果的なプロモーション活動を行い、東京の魅力を世界に発信すること、東京の魅力を生かした観光資源の開発を行うこと、旅行者を温かく迎えるための受け入れ体制を整備すること、この三つの柱として出しまして、都民、民間事業者、行政が一体となって総合的に施策を推進してまいります。
 次に、都への職業紹介事業の許可についてですが、現在、完全失業率が調査開始以来最悪の五%となり、今後さらに悪化することが懸念されております。
 こうした中、都民の雇用を確保していくためには、国が行う全国一律の雇用対策のみでは不十分であり、都みずからも地域の実情に応じたきめ細かい雇用・就業対策を講じていく必要があると考えています。
 そのため、既存の職業能力開発対策等とあわせて、地域における就業ニーズに対応した職業紹介事業を行うことで、雇用・就業対策の実効性をより向上させるため、現行制度では認められていない、いわゆる職業紹介権の付与を国に求めているものでございます。
 次に、中高年のホワイトカラー離職者等に対する今後の職業能力開発対策についてでございますが、中高年ホワイトカラーなどの多くは一家の家計を支える立場にあり、再就職のために多様な職業訓練の機会を提供していくことは、ご指摘のように、緊急かつ重要な課題でございます。
 現在、都立技術専門校においては、介護サービスやビル管理など、再就職に向けて幅広い訓練を実施しております。これらの訓練に加え、今回、民間委託を活用し、緊急にIT中心の訓練等を二千人規模で実施することといたしたところです。
 さらに、今後は、医療、福祉、環境等の分野においても、就業につながりやすい訓練の充実を図ってまいります。
 次に、物づくり産業の活性化についてでありますが、物づくりは、東京の産業活力の中核であると認識しており、都は、技術、経営、資金面でさまざまな支援を行っているところでございます。
 また、東京の物づくり産業に対しては、工場の新増設や施設面で数多くの規制がなされておりますが、既に所期の目的を果たした工業等制限法については、国に廃止を強く働きかけているところでございます。今後、中小企業振興対策審議会において、規制緩和も含めた議論をしていただきながら、物づくり産業の活性化に向けた新たな支援策を検討してまいります。
 最後に、商店街振興策についてでございますが、商店街は、地域コミュニティの核としての役割を担っていることなどから、都は、これまで、活力ある商店街育成事業や元気を出せ商店街事業など商店街のハード、ソフト両面にわたる事業を積極的に支援してきたところでございます。商店街振興に向けた支援策は、地域の実情に精通した区市町村が主体となって、商店街と緊密な連携をとりながら展開していくことが重要であると認識しております。
 このため、本年三月に策定した二十一世紀商店街づくり振興プランの考え方を踏まえて、区市町村を支援する立場から、ご提案のとおり、時代に合った新たな支援の仕組みづくりを検討してまいります。
   〔主税局長安間謙臣君登壇〕

○主税局長(安間謙臣君) 今年度の税収見通しについてのご質問にお答えいたします。
 八月末の都税収入実績は、銀行業等に対する外形標準課税などの影響もあり、前年同期比八・五%の増、額にして一千五百五十三億円の増と、ほぼ見込みどおりに推移しております。
 しかしながら、アメリカを初めとする世界経済が不透明感を増す中、我が国経済の一層の悪化が懸念されることなどを勘案いたしますと、今後、都税収入の伸び率の低下は避けられないものと考えております。
 いずれにしましても、大きなウエートを占める十一月末の三月決算法人の予定、中間申告状況を見きわめる必要がございます。現時点では、確たることは申し上げられませんが、今後の税収の動向について、十分注意してまいります。
   〔総務局長大関東支夫君登壇〕

○総務局長(大関東支夫君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、三宅島の火山活動の状況についてでございます。
 本年五月に出されました気象庁火山噴火予知連絡会の見解によりますと、火山活動は全体として低下傾向にあり、山ろくに影響するような大きな規模の噴火の可能性は低い。また、火山ガスは、昨年十月に比べ低下傾向が見られる、このようにされております。
 しかし、現在でも火山ガスは、日量一ないし二万トン程度の高い値を保持しておりまして、濃度も一時間値で最高一五ppm、五分値では二〇ppmを記録しております。これは環境基準の百倍以上となっておりまして、今後も警戒が必要であろうと、このように考えております。
 次に、三宅島の復旧対策でございます。火山活動が沈静化した段階で一日も早く島民が帰島できるよう、島内各所に火山ガス防御装置を設置するなど安全対策を施した上で、ライフラインや都道の復旧等を実施してきております。
 このたび、さらに効率的に工事を進めるため、現地災害対策本部を神津島から三宅島に戻しました。これによりまして、泥流対策としての砂防ダム建設や道路復旧などを本格的に進めていきたいと、このように考えております。
 次に、二年間のビッグレスキューの成果でございます。昨年は、警察、消防に加え、多くの自衛隊の参加を得て、実践的な活動を繰り広げ、都民に広く安心感を与えることができたと考えております。ことしは、本部運営訓練と実動訓練を組み合わせて実施し、発災時の判断、指揮能力の向上を図ることができました。
 また、区市町村と連携し、多くの住民やボランティアの参加を得ることができ、自助、共助、公助が一体となった活動が展開できました。この二年間の成果を、都市災害に対するフォーマットとして全国に発信するとともに、訓練により得られた成果を地域防災計画に反映させてまいります。
   〔港湾局長川崎裕康君登壇〕

○港湾局長(川崎裕康君) 三宅島の災害対策並びに臨海副都心開発に関しますご質問にお答えいたします。
 まず、離島の航路補助についてでございますが、伊豆諸島航路の乗客数は、東京都や市長会等による観光支援策などにより徐々に回復しつつあるものの、災害発生以前の水準までには戻っておりません。特に、三宅島への定期航路が復活していないことから、今年度におきましても、昨年度と同程度の欠損額が生ずる見込みであり、離島航路事業者の経営は厳しい状況にあります。
 このため、航路補助につきまして、今年度も災害特例措置をとるよう、現在、国に対して要望活動を行っておりますが、今後も引き続き強く働きかけてまいります。
 次に、臨海副都心開発の支出面の見直しについてでありますが、三会計の統合により、短期的な資金収支を改善し、事業の採算性を確保することができました。しかしながら、現在の我が国の経済状況や将来の起債償還などを考慮しますと、中長期的な資金収支につきましては、引き続き厳しいものがあると認識しています。
 そこで、こうした状況を打破するため、庁内に財政基盤強化策検討委員会を設置し、収支改善の具体策の検討を行っております。
 その中で、臨海会計全体の今後の整備事業や維持管理経費を、多額の開発利益を前提としたグレードの高い都市基盤施設の整備水準を改めるなどの視点から徹底的に見直し、大幅な支出の削減を図ってまいります。
   〔環境局長赤星經昭君登壇〕

○環境局長(赤星經昭君) 都のディーゼル車規制についての二点の質問にお答え申し上げます。
 まず、実施までの今後の取り組みについてでございますが、平成十五年十月に開始されます規制を円滑に実施するためには、低公害車への代替促進や粒子状物質減少装置の普及を図っていくことが不可欠でございます。都は、本年度、新たに設けました補助制度を活用し、天然ガス車の導入や粒子状物質減少装置の装着、低硫黄軽油の供給を促進してまいります。
 また、今後、事業者に対しまして、条例に基づきます自動車環境管理計画書の作成を通じ、規制への的確な対応を指導してまいります。
 次に、ディーゼル車規制の周知方法についてでございますが、条例の規制対象となります都外から流入するディーゼル車は、一日当たり約十八万台ございます。これらに対する規制内容の周知は、極めて重要でございます。都は、これまでもインターネットの活用や、業界団体への説明などによりまして、条例の普及啓発に努めてまいりました。今後、さらに全国的な事業者団体にも協力を求めますとともに、マスメディアなどを通じまして広く規制内容の周知を図ってまいります。
   〔住宅局長橋本勲君登壇〕

○住宅局長(橋本勲君) 都営住宅に期限つき入居制度を導入する条例改正についてでございますが、この制度は、都民共有の財産であります都営住宅について、真に住宅に困窮している都民が広く利用することができるよう、利用機会の公平を確保するために、都が独自に建設した一部の都営住宅に、全国に先駆けて導入するものであります。
 今回の導入を踏まえ、公営住宅法の改正に向け引き続き努力してまいります。
   〔福祉局長前川燿男君登壇〕

○福祉局長(前川燿男君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、福祉サービスの供給主体の多様化についてでございますが、福祉の分野において、質の高いサービスを十分に供給していくためには、お話にもありましたが、NPOや民間企業など多様な事業主体がサービスの提供者として参入し、活発な競い合いを行うことが必要であります。
 都が認証保育所制度を創設をいたしましたのも、株式会社等の参入促進を図り、これにより大都市特有の保育ニーズに的確にこたえることを目的としたものであります。国に対しても強く働きかけ、この制度の理念が全国に広がるよう努力をしてまいります。
 また、今後、すべての福祉分野において、民間参入をさらに促進するための都独自の諸方策の積極的な展開を図り、福祉の世界におけるサービスの競い合いの実現に向け、取り組んでまいります。
 次に、介護保険制度における利用者負担の減免措置についてでございますが、現在、国の特別対策を活用した都道府県として初めての支援策を、平成十四年一月から実施する方針で、準備を進めております。
 具体的な制度の内容につきましては、ご提案の事業主体の拡大や負担軽減を図るべきとの趣旨を踏まえながら、低所得者である都民や広範な事業者にとって、より公平で利用しやすい仕組みにしていきたいと考えております。
 今後、早期に具体的な実施案を取りまとめ、実施主体である区市町村の努力を支援してまいります。
   〔衛生局長今村皓一君登壇〕

○衛生局長(今村皓一君) 都立病院改革について、二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、都民に対する医療サービスの向上についてでありますが、都立病院の再編整備により、その医療機能を整理するとともに、明確な役割分担のもとに他の医療機関と密接に連携することで、都民ニーズに的確に対応した、より質の高い医療を提供することが可能になると考えております。
 さらに、職員の意識改革を推進し、診療に関する説明責任を十分果たすことや、医療安全対策の充実等により、患者サービスの一層の向上につながるものと考えております。
 このように、都立病院の再編整備を初めとする都立病院改革は、都民に対する総体としての医療サービスの充実強化を目指すものであり、東京発医療改革の核となるものと確信しております。
 次に、都立病院の地元自治体への移管等についてでありますが、地域医療の提供に当たっては、地元自治体が果たす役割も極めて重要であることは、ご指摘のとおりであります。今後、都立病院の再編整備を進めていく中で、地元自治体が、地域医療の確保という立場から病院経営に意欲を示した場合、都といたしましても、その意向を十分尊重しながら協議を重ねてまいる所存でございます。
   〔大学管理本部長鎌形満征君登壇〕

○大学管理本部長(鎌形満征君) 都立の大学と高校との連携についてのお尋ねでございますが、今回の都立の大学改革は、高等学校を含む東京における教育改革の一環として行っているものでございまして、高校教育とも積極的に連携を図っていくことが重要であると認識をいたしております。
 そのため、入学に当たりましては、ペーパーテストではかれる学力だけでなく、個性や独創性が豊かで意欲にあふれた学生を受け入れるための多様な入学者選抜制度の導入や、高校生の学問に対する意欲や進路に関する意識の向上に資するため、高校生に対して大学レベルの教育に触れる機会の提供を行うことなどを検討いたしております。
 今後、都立の高校との連携を深め、都立の大学改革を通して、東京の教育全体の改革に貢献をしていきたいと考えております。

○議長(三田敏哉君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時十一分休憩

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