平成十三年東京都議会会議録第八号

   午後三時四十二分開議

○副議長(五十嵐正君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 六十一番石川芳昭君。
   〔六十一番石川芳昭君登壇〕

○六十一番(石川芳昭君) 私は、都議会公明党を代表して、都政の重要課題について、知事並びに関係局長に質問いたします。
 国政ではさきに、国民の強い期待を担う、改革を標榜する小泉内閣が発足いたしました。まさに、我が国を取り巻く閉塞感を打ち破って、政治や経済の活性化を図ってほしいという国民の強い期待のあらわれによるものであります。その小泉総理は、所信表明演説でも、我が党が主張してきた循環型社会の形成、バリアフリー社会の実現、保育所の待機児ゼロ政策を表明し、国民の目線に沿った政策へシフトされることが大いに期待されております。
 また、先日のハンセン病に対する熊本地裁の判決についても、我が党の控訴断念の強い要請を小泉総理が受け入れたことは、政策決定を従来の官僚主導から政治主導に改めようとする強い決意が伝わってきます。これまでの法や制度のしがらみを乗り越え、法の論理より人の心、人の道に重点を置いた政治主導の行動のあらわれが、小泉総理を動かしたものと考えます。
 我が党は、与党の一翼を担う立場から、構造改革や国民の目線に立ったさまざまな政策展開を行っていくことを表明し、以下質問に入ります。
 まず第一に、都の予算編成作業の見直しについて伺います。
 都は、予算編成作業に先立ち、政策会議で重要な施策を選定する仕組みを設け、首都再生などにつながる新規事業や政策の実現を目指すこととしています。しかしながら、財源にも限度があり、重要施策の実現に向けた知事の強い意気込みを感じますが、どのように対応されるのか、考え方を伺います。
 第二に、知事は、国の活性化のため首都再生が最も重要として、首都圏再生緊急五カ年十兆円プロジェクトを国に提出しました。我が党も先日、「人が栄える街へ 東京改革十カ年プラン」を発表し、ビジネスセンター都市、IT都市、文化芸術都市、教育都市及び循環都市を目指す政策を発表し、東京の再生に全力で取り組んでいるところです。
 こうした我が党のプランを都はどのように受けとめているのか。また、都としても率先して首都再生のアイデアを国に提案していくべきと考えます。知事の所見を伺います。
 第三に、都は財政再建を着実に進めているものの、隠れ借金が存在するなど、都財政はまだまだ盤石なものになったわけではありません。さらに、最近の景気動向は足踏み状態から弱含みに転じており、景気減速への警戒感が強まっています。
 そこで、最近のこうした動向を踏まえ、都財政を取り巻く状況認識と財政構造改革に取り組む基本的考え方について伺います。
 次に、東京の活性化策について伺います。
 第一に、物づくりの再生についてであります。
 東京には、高度な技術力を持つ中小企業が数多く集積して多様な物づくりが展開されています。しかし、近年、物づくり機能が失われつつあり、この結果、東京の物づくりの地位の低下が危惧される状況となっています。さらに、後継者不足や技術者の高齢化等も憂慮されています。我が党は、産業活力の活性化と新たな産業シーズの創出のため、東京の物づくり機能の再生を強く訴えてきました。この際、物づくりの実態について、数字のみにとどまらず仕組みやネットワークを含め調査すべきですが、明快な所見を伺います。
 第二に、雇用のミスマッチ解消についてであります。
 依然厳しい雇用情勢が続いていますが、仕事を求める人と人材を求める企業とが適切にかみ合わないミスマッチが生じ、これによる失業が全体の三分の二を占めているという指摘もあります。
 我が党のミスマッチ対策の提案に対して、都はこれまで、平成十三年度に約三万社を対象に求人開拓を行い、あわせて企業の求める人材ニーズの把握に努める方針を明らかにしています。早急にこの施策の実施を行うべきであります。実施時期と調査の概要についても明らかにしていただきたい。
 第三に、商店街振興についてであります。
 都が本年三月に策定した二十一世紀商店街づくり振興プランでは、我が党の主張を反映して、今後の商店街振興対策は、地域の特性と実情に精通した区市町村が主体となって推進することが必要であるとして、区市町村みずからが商店街振興プランを策定することを求めています。
 区市町村の振興プラン策定を推進するために、都の強力な支援が必要です。したがって、都は、今年度、振興プランを策定する区市町村に対して、計画策定に要する経費を補助する商店街活性化総合支援事業を積極的に推進すべきと考えますが、いかがでしょうか。あわせて、区市町村の現在の取り組み状況についても明らかにしていただきたい。
 次に、親亡き後の施設整備について伺います。
 昨年末、都が発表した福祉改革推進プランでは、我が党が強く主張してきた親亡き後の施策に対して、財源を集中的に投入し、障害者のための入所施設や通所施設、生活寮などを三カ年で二百カ所整備することとしており、その早急な整備が期待されています。
 そこで伺います。
 第一に、知的障害者の重度生活寮の設置・運営主体は、社会福祉法人や公益法人等となっていますが、今後、NPOや民間活力の導入により設置促進を図るべきと考えます。所見を伺います。
 第二に、知的障害者生活寮についてですが、知的障害者が生活寮を利用して地域生活へ移行することを考える際、新しい生活に不安を感ずる場合が少なくないと思います。都は、生活寮等を利用して地域の中で生活したいと考える知的障害者を支援していく必要があると思いますが、所見を伺います。
 第三に、島しょ地区で障害者施設を整備しようとする場合には、その厳しい地理的、物理的条件によりさまざまな困難が伴います。さらに、島の高齢化率は極めて高く、高齢者施策、障害者施策が一体となった対応が不可欠であり、特別の配慮も必要です。
 相次ぐ災害やそれに伴う風評をはねのけ、厳しい条件を克服しながら、島しょ地域の町村が独自の福祉施策を展開しようとする場合、都として積極的に支援すべきと思いますが、所見を伺います。
 次に、子育て支援について伺います。
 駅前保育、ゼロ歳児保育、延長保育、夜間保育など、保育の多様なニーズにこたえるため、我が党の要望を受けて、都が独自に認証保育という形で制度化したことについて、高く評価するものです。
 そこで、都が全国に先駆けて制度化した認証保育所と、これまでの認可保育所との相違点及び効果について伺います。
 また、今年度予定されている十カ所の認証保育所については、相当数の申請が予想されますが、その場合、事業者や区市町村の熱意にぜひともこたえるべきであります。都の積極的な取り組みを伺います。
 昨今、保育サービスについては、共働きではなく、家庭にいる主婦からもサービスを利用したいとの声が強まっております。こうしたニーズに対して都はどうこたえていくのか。さらに、福祉改革の一層の推進に向けて、福祉分野でのさらなる規制緩和や民間企業の参入が必要と考えますが、所見を伺います。
 なお、社会福祉法人などによる介護保険の減免制度については、我が党が第一回定例会で、その実施を強く要望したところでありますが、今後、この制度が活用されるよう、実施上の課題解決を含め、区市町村など関係者との協議を重ねるなど、精力的な努力を進めるよう強く要請しておきます。
 次に、教育問題について伺います。
 都は、不登校や中途退学者がやり直しのできるチャレンジスクールをふやしていく方針ですが、受け入れには限界があることから、我が党は、本年の第一回定例会で、インターネットなどを活用し、意欲のある生徒すべてを受け入れるセーフティーネット的な学校制度の創設を提言いたしました。これに対し教育長は、通信制高校における実施を具体的に検討していく方針を示しました。その検討に際して、幾つか提言したいと思います。
 第一は、物づくりや農業などの教育は、生徒の関心も高く、個性や能力を伸ばすとともに、思いやりや社会貢献をとうとぶ心の教育にも大きな効果を上げると考えます。したがって、通信制高校においても、物づくりや農業教育について学べる多様な学習システムをつくってはどうかと考えますが、所見を伺います。
 第二は、通信制高校がセーフティーネットとしての役割を十分に果たすためには、転入生の受け入れを容易にすることが重要です。また、通信制で学んだ生徒が他の全日制や定時制の高校へ転学することは、いろいろな制約があって難しいと承知はしていますが、何とか転学が容易にできる通信制高校をつくれないものでしょうか。もしできるならば、いつごろを目途に実施できるのかを含めて伺います。
 次に、学校現場における健全な環境づくりについてであります。
 都教育委員会は、これまで、児童生徒の健康づくり基本計画に基づき、学校保健委員会を活用し、家庭や地域社会と連携した心と体の健康づくりを進めていますが、残念なことに、同委員会のあり方については、地域ごと、学校ごとに活動の有無と内容に差異があることが指摘されています。都教育委員会は、今後、学校医、学校歯科医、学校薬剤師及び関係者の協力を得て、学校保健委員会等の一層の推進を図るべきと考えますが、いかがでしょうか。
 学校における環境衛生については、学校保健法並びに学校環境衛生の基準に基づき、学校薬剤師の方々の長い間の貢献によって、プールや飲料水の衛生状態、照明環境、空気などの検査が実施され、その維持管理が図られてきた歴史がありますが、近年、シックスクールの指摘など、新たな課題も提起されています。教育委員会においては、学校薬剤師等の協力を得ながら、これらの新たな課題に対する基準を定めるとともに、環境衛生の充実をさらに図っていくべきと考えます。所見を伺います。
 また、学校薬剤師を構成員とする学校薬剤師会は、これまで約六十年以上にわたって学校環境衛生の維持管理に貢献しております。最近の有害化学物質の問題など、新たな学校環境問題の解決のためには、学校薬剤師会の役割は一層大きくなるものと考えられます。教育長の認識と見解を伺います。
 次に、高齢者住宅対策について伺います。
 現在、ひとり暮らしの高齢者が民間アパートに入居を希望しても、家主が不安を持ち、断られるケースが多く見受けられるなど、高齢者の住宅問題は深刻であります。このような状況の中、本年四月六日、高齢者の居住の安定確保に関する法律が公布されました。高齢者の住宅問題は、福祉など他の分野と密接な関係を持っていることから、この法律の施行に当たっては、区市町村も含め、庁内一丸となって、高齢者が安心して居住できるよう早急な取り組みが必要と考えますが、所見を伺います。
 また、新法の制定を機に、都として、新たな高齢者の身元保証制度の創設など、高齢者住宅対策への取り組みを一層進めていくことが必要と考えます。今後、都は高齢者の居住支援をどのように行っていくのか、伺います。
 次に、文化・芸術の振興策についてであります。
 文化・芸術の中心である東京には、芸術家やアーチストを目指し大勢の若者が集まってきますが、発表の場が非常に少ないことが悩みになっています。そこで我が党は、さきに芸術文化振興基本法案を発表するとともに、東京改革十カ年プランでも、文化・芸術の振興を具体的に提言したところであります。
 昨日交通局は、都営地下鉄大江戸線の構内を活用して、音楽専門学校で学ぶ学生の協力のもと、ミュージカル、レビューやゴスペルコーラス、ジャズ演奏などを行ったと聞いております。外国の例をとっても、パリでは、市内のメトロ構内をアーチストに開放してミニコンサートなどを開いており、市民、観光客から好評を得るとともに、若いアーチストたちの貴重な自己表現、アピールの場になっているそうであります。そのほか、ニューヨークでもこうした例が見られます。
 交通局は、大江戸線のPR、利用客の増大を図る意図からの企画立案であったと思いますが、私はこうした企画をさらに敷衍、拡大して、都内、首都圏に居住する数多くの文化・芸術を志す人々の支援策として、発表の場、あるいはパフォーマンスの場を提供する事業を実施すべきであると提案したいのであります。所見を伺います。
 次に、羽田空港の国際化について伺います。
 第一に、羽田空港の再拡張については、昨年秋にC滑走路と平行する東京都の案が示されました。また、ことしの三月には、国からB滑走路との平行案が出されたところであります。今後、国は、羽田空港の再拡張案を、B滑走路と平行する国の案をベースに検討を進めると聞いています。このことについて都はどのように考えているのか、伺います。
 第二に、本年二月から羽田空港の深夜、早朝の時間帯を使って国際チャーター便が、ハワイ、グアム、サイパン、韓国に飛んでいます。しかし、現在週二便の運航であり、余りにも少なく、都民の要望に十分こたえているものとはいえません。そこで、今後、国際旅客チャーター便の拡充を進めていくべきと考えますが、都はどのように取り組むのか、伺います。
 第三に、羽田空港の国際化は、国際定期便就航を一日も早く実現させることであります。ワールドカップ開催まであと一年となり、羽田―金浦空港間のシャトル便就航など課題はありますが、国際便就航に対する知事の決意を改めて伺います。
 次に、三宅島の火山災害対策について伺います。
 三宅島の火山活動が始まり、約一年が経過しました。島民の方々は島外での不自由な避難生活を余儀なくされ、我が党は、被災者生活再建支援法の適用や災害復旧資金融資の無利子化などの支援策を推進してきたところであります。今後も、避難生活に対する援助と、現地での災害復旧活動を強力に進め、一日も早く島民の皆様が元気に帰島できるよう支援すべきであります。
 先月、三宅村が発表した生活実態アンケート調査によると、三割の世帯が生活が苦しい、特に自営業者では五割の世帯が苦しいと回答しています。各世帯とも収入が減少している中、借入金の返済や医療費、交通費、光熱費の増大などの支出が大きな負担になっています。また、四割の世帯が仕事を探しており、多くの人が今後の生活に不安を抱いていることが明らかになりました。
 そこで伺います。
 第一に、三宅島避難者がこれらの不安を解消できるよう、都は早急に新たな支援策を実施すべきですが、所見を伺います。
 第二に、我が党の積極的な取り組みにより、被災者生活再建支援法が適用され、昨年末より最高百万円の支給が開始されました。しかし、前年の収入によっては適用されない人や、購入できる品目に制限があるなど、せっかくの制度にも不十分な点がありますが、こうした問題点についての対応を伺います。
 第三に、三宅島では、噴出した大量の火山灰による泥流が家屋や道路を損壊する被害が生じています。雨が降るたびに発生する泥流は家屋と道路を押し流し、全壊家屋は既に三十戸を超えています。この被災した住宅の再建は帰島後の第一の課題であり、住宅再建に対する支援が重要であります。今後の都の取り組み方針を伺います。
 次に、スギ花粉症発生抑制対策についてであります。
 アレルギー性疾患については、幼児の四〇%、成人の三人に一人が発症しているなどの実態があり、さきに公明党が行ったアレルギー性疾患対策を求める署名では、千四百万人を超える署名が集まり、国民的な関心の高さと要請の強さが顕在化しています。
 スギ花粉症についても、その患者数が年々増加傾向にあるものの、発生メカニズムについては大気汚染等との関連性を指摘する報告もあり、解明されてはいませんが、基本的なスギ花粉の発生を抑制する対策が重要な課題ともいわれています。こうした状況のもと、過日、都林業試験場においては花粉の抑制効果についての研究成果を発表しており、関係者への朗報となっています。その研究成果の概要についてご報告願います。また、実用化と有効活用に向けた早急な対策を講ずるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 さらに、実用化に向けては、スギ花粉の発生を量的に抑制していくために、既存の人工林全体を対象にした対策も必要と思われます。都は、森林・林業施策面から、中長期的なスギ花粉対策を進めるべきと考えます。所見を伺います。
 次に、多摩の林業振興についてであります。
 現在通常国会に上程されている林業基本法の一部を改正する法律案は、森林に対する国民の需要が多様化する中、今後の林政の指針として、新たに森林の多面的な機能の発揮に向けた森林整備の推進を掲げるとともに、林業の健全な発展を基本理念として、林業基本法を改正し、森林・林業基本法とするものとされています。
 我が党はこれまでも、多摩地域における林業及び関連産業分野の活性化を強く訴えてきたところでありますが、この新しい基本法の成立を前提として、都は、この法の目的に沿った多摩の林業の振興策への新たな具体的展開を期すべきと考えます。所見を伺い、代表質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 石川芳昭議員の質問にお答えいたします。
 まず、重要施策の選定についてでありますが、今日最も必要なことは、この首都東京を再生して、都民の要望にこたえられる東京を実現することでありまして、そのためにこそ重要な、必要な施策を確実に実行していかなければならないと思います。
 従来は、ややもしますと、財政危機を意識する余りに、新しい施策の立案や既定事業の再構築を行おうというような積極的な気概が薄れがちでありました。
 これからの施策の選定に当たっては、首都圏の再生や都民生活の不安解消といった視点から、重要施策について複合的に活発に議論し、その上で施策の優先順位をつけまして、限られた予算と人員を効果的に手当てしていくことが必要であると思っております。こうした考えから、まず、予算編成の前に幹部の間で複合的にラインをまたいで重要施策の選定をしていこうということで、この仕組みを構えました。
 次いで、公明党提案の、「人が栄える街へ 東京改革十カ年プラン」を含めての首都再生についてでありますが、公明党の東京改革十カ年プランは、いろいろ啓示的な、暗示的なことがございました。にわかにできるものとできないものがございますけれども、いずれにしろ首都東京を真摯に再生しようとする一つの考え方として参考にさせていただきます。
 いずれにしろ、政府も新しい意識のもとに、ともかく首都、大都市というものを再生しようということで、日本を再生させようというスタンスを決めたようでありますが、今後、総理大臣を本部長とする都市再生本部が、この東京都の建言を入れまして、プロジェクトを強力に推進し、首都圏を早急に再生するように期待をしております。
 次いで、都財政の状況認識についてでありますが、先ほども白井議員の質問にもお答えしましたように、まだまだ非常にいろいろな問題を都の財政は抱えておりますし、国全体の景気の先行きが不透明でありまして、同時に、東京都にも多額の隠れ借金が存在するなど、非常に厳しい状況に依然としてございます。
 こういう中で、十二年度決算においても、三年連続の赤字は避けられない状況でありまして、現況のまま財政再建の歩みをとめますと、毎年二千億から三千億円の赤字が発生して、財政構造は悪化の一途をたどることになります。
 繰り返して申しますが、この都債の償還額の推移というものは非常に重要でありまして、来年度にはことしの倍、さらに倍近く、それから十五年度には八千億という数字が推定されていて、これは非常に大きな要因であると思いますし、こういうものを勘案しながら、東京の財政の健全化、そのための構造改革を推進して、ともかく財源の不足を早急に解決するとともに、施策のスクラップ・アンド・ビルドも徹底していきたいと思っております。
 次いで、この東京における文化芸術活動を行っている若い人たちへの支援策でありますが、これは大変ありがたい提言でありまして、おっしゃるように、パリとかニューヨークでは、地下鉄の構内を使って、そこで行きすがる乗客たちに、あるアミューズメントを提供しようと。しかも、そのために審査をしまして、ニューヨークでは、メトロアーチストという、称号というんでしょうか、一つのクオリフィケーション、資格を与えられているようでありますが、東京もこういったものを取り入れようと思って、近々、現状を視察に生活文化局のスタッフを派遣するつもりでおりますが、これまでも、都としましても、庭園美術館でのコンサートや、都道地下通路のギャラリー、あるいは都庁の庁舎からこの議会棟にやってまいります途中の、あの壁面を利用したトーキョーワンダーウォールなど、新しい、東京にひしめいております新進の、野心に満ちた芸術家たちに場所を与えようと思っております。また、近々、教育庁が持っておりますある建物を整理し直しまして、そこに、もうちょっと規模の大きなファインアートのための施設というものを提供していきたいと思っております。
 先般、私、京都と北九州のそれぞれの市が、既存の建物を廃物利用しまして行っている試みを見てまいりました。京都の場合には、ちょっと規模が大き過ぎて、なかなか東京はあそこまでいきませんが、どちらかというと北九州の方がはるかに成功して、アクティブにやっておりますし、むしろ国際的に名前が知られてきまして、九州でありますけれども、北九州市でありますけれども、そこにいろいろな外国のアーチストも関心を持って集まっているというような現象がございます。
 せっかく東京にたくさんの可能性があるわけですから、ご提言のように、そういう人たちを東京から育てていくという試みを積極的にしていきたいと思います。
 次いで、羽田の国際化についてでありますけれども、ワールドカップを日本全体がどうとらえているか、このごろいろいろな催し物が世界じゅうにありますから、日本でそれが行われようが行われまいが、国民にとってどういう印象を持つか、一々定かにしませんけれども、しかし、私は恐らく、共同主催でありますけれども、日本と韓国でワールドカップが行われることは当分この先ないと思います。
 政府も、どうもこの受け取り方が、最初の東京オリンピックと違って、割とのんびりといいますか、関心があるようなないような、森内閣のときにも、私たちが関心を持っております横田なども、これをきっかけに共同使用して、あの期間中せめても、日本と韓国の間のシャトル便をまず横田に――羽田も結構でありますけれども、そこで日本がまず一つイニシアルをつけるということも必要だと思いましたが、敵もさる者でありまして、アメリカは突然、その動向を察知してか、ワールドカップが行われる寸前から、あそこを五十年貸与できるような滑走路に直す工事を始めるそうであります。金を出すのは日本の政府で、私はどうもわけがわからないんで、森内閣にこれを少し延ばさせたらどうだということをいいましたが、いろいろなことで忙しかったですから、森内閣も。また、あのワールドカップの主催の委員長をしている那須さんにもこのことを申し上げたんですが、余り積極的な動きがございませんでした。
 非常に残念でありますけれども、横田がそういうことになってしまったんならば、やっぱり、羽田という都市に近い飛行場というものを、これをきっかけに、国際線というものに対する、活用する水口をつけていかなくちゃならないと思っております。
 いずれにしろ、繰り返して申してまいりましたが、三年先には日本の国際線はパンクします。つまり、あした、急用ができてアメリカへ行こう、どこへ行こうと思っても、国際線に乗れない。どうしても行かなければならない場合には、オークションにかけて、べらぼうな金を払って切符を獲得しなかったら、飛行機に乗れないという状況が来るのに、今日まで政府はこの問題について動きがございませんでしたので、やむを得ず、東京は謀議して、東京の案を出しました。たちまち、国の政府はメンツがあるんですか、次の案を出してまいりました。
 いずれにしろ、縦になろうが横になろうが、新しい滑走路ができるのは好ましいことでありますが、後で局長も答弁すると思いますけれども、私は、東京湾の実情からして、東京の案しかないと思っておりますが、今後は、国会における審議、それから専門家を集めた審議会が、どちらが妥当かということをとにかく検討して、いずれにしろ、三年先に間に合うように、日本の工法をもち、技術をもったらできることでありますから、速やかに羽田に新しい滑走路を敷設するということが、私は国家の責任だと思って、実現にこぎつけるまで国を突き上げていきたいと思っております。ひとつまたいろいろお力をかしていただきたい。
 なお、その他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) 教育に関します五点の質問にお答え申し上げます。
 まず、通信制高校生徒の多様な学習システムについてでございますが、通信制高校におきましては、自宅での学習を基本に、レポート提出による添削指導やスクーリングによる面接指導等を行っておりますが、生徒が専門高校等、他の学校の授業を受けられるようにしますことは、工業や農業などの科目を学習する機会を確保しますとともに、教員や生徒との触れ合いや交流を図ることができるなど、ご指摘のような教育的効果が期待できるものと考えております。
 こうした観点から、学校間連携など、通信制高校における多様な学習機会の確保が図れるように努めてまいります。
 次に、全日制及び定時制の高校と通信制高校との相互間の転学についてですが、学ぶ意欲のある生徒に多様な教育機会を確保するために、異なる課程相互間の転学を容易化していくことは有意義なことと考えられますが、ご指摘のように、転学の時期や修得単位数などの制約があるため、現実にはさまざまな困難がございます。
 このため、平成十七年度実施を目途に、時期や単位数の扱いを弾力化しまして、希望に応じ、転学することが可能となるような、新しいタイプの通信制高校について検討を進めているところでございます。
 次に、学校保健委員会等の推進についてですが、学校には、学校保健法によりまして、学校医、学校歯科医及び学校薬剤師を配置をして、児童生徒の健康診断や健康相談等を実施し、専門的立場からの助言等を行っております。
 また、都教育委員会としましても、保護者や学校医等も参画します学校保健委員会等の活動を通じた児童生徒の健康づくりを重視しておりまして、現在、東京都学校保健審議会で、その活性化について審議を行っているところでございます。
 今後とも、学校医等の一層の協力を得まして、学校保健委員会等の活動の充実を図りますとともに、児童生徒の日常的な健康状態を的確に把握し、地域や家庭と緊密に連携協力した健康づくりをさらに推進してまいります。
 次に、学校環境衛生の充実についてですが、都教育委員会は、国の基準に加えまして、化学物質による空気汚染なども考慮した基準を定めておりまして、学校薬剤師等とも協力をして、学校環境衛生の専門的な意見を十分に踏まえながら、環境衛生の充実に努めているところでございます。
 なお、現在、文部科学省では、教室等の空気環境中の化学物質濃度の基準化を含めた見直しを行っておりますが、都教育委員会としましても、その動向を踏まえまして適切に対応してまいります。
 最後に、学校薬剤師会の役割についてですが、学校環境衛生の維持管理につきましては、学校薬剤師等と協力をして充実を図っておりますが、新たな環境衛生問題を解決するためには、学校薬剤師に対する研修や情報提供などを実施しております学校薬剤師会の果たす役割は大きいものと考えております。
 都教育委員会としましては、今後とも、学校薬剤師会を初め関係団体と一層の連携協力を図りながら、学校の環境衛生の充実に努めてまいります。
   〔産業労働局長浪越勝海君登壇〕

○産業労働局長(浪越勝海君) 東京の活性化策など五点の質問にお答えを申し上げます。
 まず、物づくりの実態調査についてですが、東京の物づくりは、生産の分散化や製造現場における高齢化が進むとともに、企業間の協業や連携が崩れるなど、その機能が低下しつつあると認識しております。したがって、東京の物づくりを再生するためには、こうした実態やニーズに即した施策が必要であると考えており、まず東京の物づくりの実態を調査してまいります。
 次に、求人開拓及び人材ニーズの把握についてですが、本事業は、現実に動いている雇用情勢を素早く把握して提供することにねらいがあり、雇用吸収力の高い情報通信分野などの産業を中心とした企業、約三万社を対象に求人開拓を行うものでございます。このため、収集した情報については、インターネット上のホームページ「TOKYOはたらくネット」に逐次掲載し、都民に広く求人情報を提供していくこととしております。
 なお、この調査については、既に準備に取りかかっており、七月から実施する予定でございます。
 次に、商店街活性化総合支援事業についてですが、商店街の振興のためには、区市町村が、地域の特性と実情に応じて、さまざまな施策を積極的に展開していくことが重要であります。このため、都は、区市町村みずからが取り組む商店街振興プランの策定を支援する商店街活性化総合支援事業を今年度から実施し、希望するすべての区市町村の計画づくりを二カ年に分けて支援していくこととしております。
 区市町村の取り組み状況ですが、現時点では、新たにプランを策定するところが十五区七市、既存の計画を見直すところが四区一市となっております。
 次に、スギ花粉の抑制対策についてですが、今回、林業試験場が行った研究では、杉の苗木に農作物の発芽を抑えるマレイン酸を注入する方法で、花粉の発生量が大幅に抑制できるとの成果が得られました。
 今後は、実際に植林されている杉を対象に、薬品の注入量や材質への影響などの各種試験を行い、実用化に向け、精力的に検討を進めてまいります。
 また、スギ花粉の中長期的対策としては、花粉の少ない品種の普及を図るとともに、広葉樹林への転換を行うなど、関係団体との連携を図りながら、花粉の発生量の抑制に努めてまいります。
 最後に、林業振興策についてですが、都はこれまで、間伐の促進や林道整備を初め、木材の安定供給に向けた流通体制の整備、広範な木材利用の促進など、多摩地域の実情に合った林業振興施策を実施してきたところです。
 現在、国会に上程されている基本法案では、林業振興に加え、水資源の涵養など、森林の持つ多面的機能を重視すべきこととしております。
 都は、今後、この法案の審議状況を注視していくとともに、森林の多面的機能をより生かした多摩地域の新しい森林、林業のあり方を検討してまいります。
   〔福祉局長前川燿男君登壇〕

○福祉局長(前川燿男君) 八点のご質問にお答えいたします。
 まず、重度生活寮の設置促進についてでございますが、障害を持つ方が地域の中で自立して生活をしていくためには、生活寮など地域に密着した居住の場を整備していくことが重要でございます。
 都は、一般生活寮の運営主体として、本年一月からNPO法人も対象といたしました。お尋ねの重度生活寮につきましても、代替要員の確保などバックアップ体制の整備を前提として、NPO法人の参入を積極的に検討してまいります。
 次に、知的障害者に対する支援についてでございますが、知的障害者の地域における居住の場として、生活寮は重要な役割を担っておりますが、ご指摘のとおり、入寮に際し、生活面の不安を抱えている場合が少なくありません。このため、都は、今年度、知的障害者が地域において社会生活を行う力を身につけられるよう、自立に向けた生活援助プログラムの策定を初め、利用者の指導訓練などを行う体験型生活寮をモデル実施することといたしました。
 今後とも、知的障害者が安心して地域の生活寮で暮らしていけるよう、支援を図ってまいります。
 次に、島しょ地域への支援についてでございますが、島しょ地域におきましては、ご指摘のとおり、町村が主体的に福祉施策を実施していく上で、地理的要因などさまざまな事情によって、特別な困難が伴うと承知をいたしております。
 こうした困難を克服し、地域の実情に応じた福祉施策を講じていくことは、都民福祉の充実のためにも望ましいものと考えております。
 都は、島の特性に応じたそれぞれの町村の独自性ある取り組みを、福祉改革の観点に立って、包括補助などを通じ、積極的に支援をしてまいります。
 次に、認証保育所につきまして、まずその効果等でございますが、この制度は、民間企業等の参入を促進し、利用者の選択の幅を広げることによって、これまで認可保育所が十分対応し切れなかった大都市特有のさまざまな保育ニーズに、柔軟かつ的確にこたえようとするものでございます。
 認可保育所と比較して、駅前での設置、全施設でのゼロ歳児保育の実施、十三時間以上の開所、保育所と利用者との直接契約制などを主な特徴といたしております。
 認証保育所制度の推進によって、利用者本位の質の高いサービスを効率的に提供し、都の保育サービス全体のレベルアップを図ることができると考えております。
 次に、その認証保育所の設置の取り組みについてでありますが、事業の早期実施を目指し、先月、実施要綱を策定し、区市町村に通知をいたしますとともに、事業者に対する説明会を開催いたしました。延べ二日間にわたって行った説明会では、さまざまな分野から多くの事業者が参加をされ、予想を上回る盛況を見せた次第でございます。
 福祉改革推進プランでは、平成十六年度までに都市型駅前保育所を五十カ所設置することといたしております。
 今年度の取り組みに当たりましても、都民の切実な保育ニーズにこたえるため、今後、具体的な申請の状況も見ながら、事業者や区市町村の熱意を生かせるよう努力をしてまいりたいと考えております。
 続いて、保育サービスの利用者についてでありますが、子育てと仕事を両立をさせたいという都民の切実な願いにこたえるため、都は、区市町村と協力をしながら認証保育所制度の創設など、保育施策の充実に努めております。
 これに加えて、保護者の疾病、育児疲れなどに対応する一時保育、ショートステイ、トワイライトステイなどの在宅サービスにつきましても、拡充を図っております。
 今後とも、こうした観点から利用者サービスの向上に努めてまいります。
 次に、福祉改革の推進についてでございますが、都が目指す福祉改革は、地域の中で必要なサービスを利用者がみずから選択できる、真の意味での利用者本位の福祉を実現することでございます。そのためには、これまでほとんど競争のなかった福祉の世界においても、民間企業を初めとする多様な事業者が、相互の競い合いを通じて、よりよいサービスの提供を目指していくことが必要であると考えております。
 今後とも、都は、福祉改革の推進に向け、国への働きかけも含め、一層の規制緩和に努めてまいります。
 最後に、被災者生活再建支援法についてでありますが、三宅島の方々に対する生活再建支援金の支給につきましては、昨年十二月一日から実施をし、国制度の支給対象とならない世帯で、避難により収入を失った方々につきましても、都として独自の支援金を支給することといたしました。
 これまでに、支給を希望する対象世帯はすべて支援金を受給しており、今後とも、本制度の適切な運用について、村や国と協議をしながら対応してまいります。
   〔住宅局長戸井昌蔵君登壇〕

○住宅局長(戸井昌蔵君) 高齢者住宅対策について二点のご質問にお答えいたします。
 まず、取り組み体制についてでありますが、これまでも、バリアフリー化の推進やシルバーピアの供給など、福祉施策や区市町村と連携して取り組んでまいりました。
 このたび制定されました高齢者の居住の安定確保に関する法律によりまして、高齢者が賃貸住宅に円滑に入居できるよう、高齢者向け住宅の登録や滞納家賃の債務保証などを内容とする新たな制度が創設されることとなりました。
 今後の高齢者の住宅対策につきましては、ご指摘のとおり、これまで以上に関係機関との連携が重要と考えており、今月中に連絡協議会を発足させ、具体的な取り組みを早急に進めてまいります。
 次に、居住支援についてでありますが、これまでも、東京都防災・建築まちづくりセンターと区が共同して、あんしん住宅制度によりまして、家賃保証や緊急通報支援等の居住支援を行ってまいりました。新たな法律により創設されることとなりました債務保証などの仕組みにつきましては、この制度に組み込むことを考えております。さらに、高齢者の身元保証の具体的な内容や仕組みの整備につきましても、あわせて検討してまいります。
 これらの新たな居住支援の方策が早期に実現できるよう、関係機関による連絡協議会において精力的に取り組んでまいります。
   〔都市計画局長山下保博君登壇〕

○都市計画局長(山下保博君) 羽田空港関係の二つのご質問にお答えいたします。
 羽田空港の再拡張についてでございますが、都がC滑走路平行案を提案したことによりまして、国はB滑走路平行案を出してまいりました。今後、国は、B滑走路平行案が船舶の航行に与える影響について検討を行うと聞いております。
 都といたしましては、国の案は、東京港の港湾機能に対して大きな支障を及ぼすだけでなく、多摩川や新海面処分場にも影響を与えるものと考えており、提案したC滑走路平行案が最良と考えております。
 いずれにいたしましても、このままでは首都圏の空港容量が、国際線で四年後、国内線で七年後に限界に達することが明らかでございまして、羽田空港の再拡張を早期に実現することが何よりも重要でございます。
 都といたしましては、この実現に向けて、引き続き国に強く働きかけてまいります。
 次に、羽田空港におきます国際チャーター便の拡充についてでございますが、国際チャーター便については、現在、国が実施している税関や出入国審査、検疫の体制の理由から、週二便に限定されております。
 都といたしましては、引き続き、これらの体制の強化について提案要求など、あらゆる機会をとらえて国に求めてまいります。
 また、羽田空港は、他の国内空港の運用時間との関係から、朝六時から八時半までの到着枠並びに夜八時半から十一時までの出発枠が十分活用されておりません。そのため、これらの枠を活用したチャーター便の拡充につきましても、引き続き国に強く求めてまいります。
   〔総務局長大関東支夫君登壇〕

○総務局長(大関東支夫君) 三宅島にかかわります二点のご質問にお答えいたします。
 まず、三宅島避難者への新たな支援策についてでございます。
 昨年九月の全島避難以来、東京都は村民に対しまして、都営住宅等の提供、生活必需品の支給、緊急就労対策及び上下水道料金の減免などの支援を実施してまいりました。また、五月には、八王子に開園いたしました、げんき農場での村民の雇用や、商工業者等の既往債務に対する利子補給など、村民の長期化する避難生活への支援に取り組んでおります。
 今回、三宅村が実施いたしましたアンケートにつきましては、さらに具体的な支援ニーズの調査、分析を進めているところでございます。
 都といたしましては、今後とも、村や国等の関係機関と連携し、必要な支援を行ってまいります。
 次に、被災した住宅再建への支援についてでございます。
 大規模災害により被災いたしました住宅再建支援につきましては、都は、国民の相互扶助を基本とした災害共済制度の創設を国に対して働きかけてきておりまして、これまでも国等において検討が重ねられております。
 三宅島への帰島が可能になった場合、都は、住宅に被害を受けた世帯に対しまして、災害援助資金の貸し付けや、住宅金融公庫による災害復興住宅融資の利用への利子補給等により、再建を支援することといたしまして、自力再建が困難な世帯に対しましては、村が公営住宅を円滑に供給できるよう支援体制を整えております。
 今後とも、可能な限りの支援を行ってまいります。

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