平成十三年東京都議会会議録第八号

   午後一時一分開議

○議長(渋谷守生君) これより本日の会議を開きます。

○議長(渋谷守生君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(渋谷守生君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 知事より、東京都出納長の選任の同意について外人事案件四件が提出されました。
 これらを本日の日程に追加いたします。

○議長(渋谷守生君) これより質問に入ります。
 百十一番白井威君。
   〔百十一番白井威君登壇〕

○百十一番(白井威君) 去る五月十五日、宮内庁から皇太子妃雅子様のご懐妊が発表されました。国民のだれもが待ち望んでいた、二十一世紀の幕あけにふさわしいうれしいニュースです。心からお祝い申し上げるとともに、今後もつつがなくお過ごしになられ、お喜びの日を迎えられることをお祈り申し上げます。
 さて、本定例会は、我々第十五期都議会議員にとって最後の定例会であります。私は、東京都議会自由民主党を代表して、これまで歩んできた都政を振り返り、今後の都政を展望しつつ、都政が直面する課題について質問をしてまいりたいと思います。
 我が党は、四年前、元気な東京、そして開かれた都政を訴え、都議会第一党としての大きな責務を都民から託されました。顧みますと、二十一世紀の幕あけを挟んだこの四年間は、都政にとっても大変動きの激しい四年間でありました。
 前半二年間の青島都政は、我々の反対を押し切って行った世界都市博覧会中止以降、都政の停滞のみを残して去りました。
 その後を受けた石原知事は、東京が直面していた財政再建団体転落寸前の危機の重大さへの認識とスピードの重視を都政運営の基本姿勢として、まず、就任早々の七月に財政再建推進プランを策定し、十一月には東京が直面する危機を乗り切るため、危機突破・戦略プランを明らかにしました。
 知事は、この間、東京を再生させるとの強い信念とリーダーシップのもと、国や銀行などの反対を押し切っての外形標準課税の導入や、全国で最も厳しい職員給与削減、監理団体の見直し、さらに、都民の健康を守るため、だれもなし得なかったディーゼル車対策などの環境革命の全面展開や福祉改革等、画期的な事業に取り組んでおります。また、昨年十二月には石原都政の長期構想ともいうべき東京構想二〇〇〇を作成し、首都再生に向けた基本的な方向を明らかにしました。
 我が党も、基本的には、東京から日本を変えるとのかねてからの考え方に立ち、知事とともに都民生活の向上に力を注いでまいりました。
 一方、昨年来のKSD疑惑、外務省機密費流用事件等の政府・自民党批判に対して、我が都議会自民党は、政党の終えんと消滅にまみえることになるのではないかと強い危機感を持ち、都民、国民の政治不信を回復するための行動を起こしました。
 我が党は、まず、総裁選挙の規定を改め、総裁選の前倒しと党改革の断行を党本部に求めました。聞き入れられなければ全員離党をも辞さずという覚悟で、幹事長以下、まさに政治生命をかけて党本部に改革を迫り、行動しました。それは、都民、国民の皆様の意志を総裁選に反映するために、公正でクリーンな総裁選挙の実施と、自民党をよみがえらせ、政党政治の復活を訴えることでありました。
 この我々の行動は、一地方支部の要請にもかかわらず、マスコミにも大きく取り上げられ、国民的関心を呼び、瞬く間に全国の道府県連にも波及し、党本部を動かすことができました。
 こうして総裁予備選挙が実施され、石橋湛山首相以来四十五年ぶりに都市型首相として小泉内閣が誕生いたしました。先週のある新聞の世論調査によれば、小泉内閣への国民の支持率は八〇%に上り、共産党支持層からも七〇%という圧倒的な支持を得ております。
 小泉総理は、ハンセン氏病訴訟に対する政治家としての的確な英断をされたように、これまでの官主導を打ち破り、国民の視点に立った政治展開を進めつつあります。また、小泉内閣は、この一カ月間に、地方から大都市に重点配分するための道路特定財源の見直し、地方交付税の配分見直し、特殊法人改革等への取り組みを明らかにし、聖域を設けない、血を流す構造改革を進めつつあります。
 さらに、緊急経済対策の一環として、五月八日、ほぼ就任と同時に、都市の魅力と国際競争力を高めるため都市再生本部を設置しました。広域循環都市、安全都市の形成などを重点的に進める都市再生と土地の流動化のための規制緩和など、都市重視の姿勢を鮮明にしております。
 我が東京都議会自由民主党も、本年一月の定例会で、東京の危機を克服するため、世界有数の大メガロポリスの再生、東京の独立、そして都市の安全という三点の基本理念を踏まえ、財政構造改革のもとに、施策事業の見直し、さらなる内部努力、税財政制度の改善等、東京から日本を変えていく決意で、これからも引き続き全力を挙げて取り組む所存であります。
 それでは、都政が直面する課題について質問してまいります。
 まず、首都及び首都圏の再生について伺います。
 首都東京は、今日、国際的な激しい都市間競争にさらされており、万一東京がこの競争に敗れたならば、それは日本の衰退につながりかねないと考えます。
 このため、石原知事がかねてから主張していた、首都圏の再生なくして日本の再生はないとの主張に沿った形で、小泉内閣は国民の期待を担って、都市再生本部を発足させました。都市再生本部の第一回の会合、五月十八日では、小泉首相は、二十一世紀における我が国の活力の源泉である都市について、その魅力と国際競争力を高めることが内政上の重要課題と考えていると述べております。
 この都市再生本部に、石原知事は、局長級一名を含む三名の幹部職員を再生本部事務局に派遣するなど、全面的に力を入れてこの本部に協力する体制をとっております。
 そこでまず、知事は、この都市再生本部にどのような期待を持っているのか、お伺いします。
 次に、これまで知事は、政府・与党の要望に応じて、首都圏再生のための政策を提言されてきました。また、今回、都に都市再生プロジェクト東京都推進会議を設けて、都を挙げて都市再生の検討を行い、国に意見を反映させていくとの体制をとったところであります。
 新聞報道によれば、去る五月二十三日、小泉総理と会談をされたようでありますが、この件についてどのような内容の話をされたのか、お伺いをいたします。
 我が党は、首都の再生に向けて、骨太のグランドデザインが不可欠との見地から、行革特別委員会等の場において、東京構想二〇〇〇についても積極的に意見表明をしてまいりました。さらに、都議選に向けて、東京グリーンプログラム21を策定したところでありますが、国に対して今後も独自に働きかけを強め、二〇〇一年が都市再生元年となるよう、全力を挙げて取り組んでいくものであります。都市再生、首都再生に向けての知事の決意をお伺いいたします。
 次に、首都東京は、交通渋滞や通勤混雑、大気汚染など、さまざまな課題を抱えています。こうした課題の解決には、広域的な視点に立ち、七都県市が連携して取り組んでいくことが必要であります。
 私は、都がリーダーシップを発揮しながら首都圏全体の圏域づくりを着実に進めていくべきであるとの観点に立って、首都圏の今後の都市づくりの進め方について伺います。
 まず、東京都は、この四月に首都圏メガロポリス構想を公表しましたが、この構想策定のねらいと主な考え方についてお伺いします。
 次に、首都圏メガロポリスにおける情報ネットワーク構想について伺います。
 バブルの崩壊後、国民はいまだに将来への希望を見出せない状況であります。こうした危機を突破し、我が国の再生を図るには、経済、文化の中枢を担っている首都圏の持つ潜在能力を生かし、二十一世紀にふさわしい魅力と活力に満ちた都市へと再生することが重要となっております。
 都の首都圏メガロポリス構想は、一自治体だけの行政施策の展開にとどまらず、広域連携のもとに、首都圏三千三百万人の集積のメリットを生かした情報ネットワークの構築を提言しています。これは、IT革命の成果を生かしたタイムリーな首都圏再生の構想であり、高く評価するものであります。
 そこで伺います。
 まず第一に、都は、首都圏メガロポリス構想の中で、三千三百万人を擁する東京を中心とした首都圏に、世界最大規模の情報ネットワークを構築するとしていますが、そのねらいは何かお伺いをします。
 第二に、ITによって地域全体の活性化を図るためには、情報ネットワークが十分に機能し、有効に活用されることが必要であります。そのために、国や七都県市、区市町村、さらには、住民、企業、NPO等との連携が必要と考えますが、いかがでしょうか。
 東京再生、ひいては我が国の活性化にとって重要なアプローチの一つに、物流の構造改革があります。厳しい国際競争に長年さらされてきた我が国の製造業部門は、生産性の向上に向けたたゆまぬ努力を続け、世界に冠たる地位を築いてまいりました。これに比べて流通部門は、国際競争の荒波から守られてきた結果、非効率性が温存され、我が国の高コスト構造の主要な要因の一つとなっていると指摘されているのは、周知のとおりであります。
 このことは、四十年前に二〇%程度であった流通マージン率が、今や四〇%を大きく上回っていることが如実に示しております。この物流の効率化を大胆に進めなければ、東京の再生もあり得ないとさえいわれております。
 そのためには、規制緩和はもとより、物流のスピードアップを支えるインフラの整備が必要な条件となります。とりわけ大量の貨物が集積する港湾と内陸部を結ぶアクセスの改善は急務であります。最近、国土交通省においても、港湾や空港と道路との連携に重点を置いた政策への転換を志向しつつあります。また、石原知事が強調されている東京湾岸の提携強化を進めていく上からも、極めて重要な位置づけを有するものであります。
 以上の観点から、都としても、臨海部におけるアクセス整備を東京再生に向けた重要施策として位置づけ、積極的に事業推進を図るべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
 次に、次年度の施策の選択と予算編成の流れについて伺います。
 これまで、東京都の予算編成は、夏に予算編成についての通達が出てから各局が予算要求を行い、その予算要求案を査定して原案ができるという流れでありました。来年度からは、重要施策の基本方針を決めるとともに、あらかじめ重要施策を政策会議で選定してから予算査定に入ることになったと聞きました。
 知事は、昨日の所信表明で、財政再建の歩みをとめれば、毎年度二千億円から三千億円の赤字が発生し、財政構造は悪化の一途をたどるといわれ、このため、引き続きの構造改革や施策のスクラップ・アンド・ビルドを徹底するといわれています。また、最近の都庁では、財政危機を過剰に意識し、新しい施策を生み出したり、前衛的な気概が失われようとしているといわれました。
 知事は、首都再生を最優先に取り組むとしております。この実現のため、ただいま各局から重要施策についてのヒアリングをやっていると聞いていますが、重要施策の選定に当たって、どのような考え方や方針で臨もうとしているのか、知事にお伺いをいたします。
 予算は一年間の都の施策をあらわすものであり、編成される知事と、審議、議決する議会とが、それぞれ役割を果たすべきものであることはいうまでもありません。知事は、これまでも、都議会とは車の両輪であり、議会とは十分に相談をして事に当たりたいと話されておりました。
 もちろん、予算の提案権が知事に専属することは十分承知しております。今後とも、引き続き議会における議論に耳を傾け、議会の意向を十分に踏まえながら予算編成作業に当たっていくべきと考えますが、知事の考え方をお伺いします。
 次は、財政問題について伺います。
 我が国経済は、依然として明るさが見えません。完全失業率を見ましても、依然として高水準にあり、また、設備投資においても鈍化の兆しも見られ、景気の先行きはまだまだ不透明感があります。
 国は、これまで、景気の回復を最優先の課題とし、積極的な財政金融政策を進めてきました。この努力により、一定の成果を上げてはおりますが、一方では、国、地方を合わせた平成十三年度末の長期債務残高が約六百六十六兆円に上るなど、日本経済への悪影響が懸念されております。
 知事は、こうした国の財政について、さきの第一回定例会の予算特別委員会における我が党の宮崎委員の質問に対し、非常に不健全な財政状況と答弁されました。
 こうした中で、小泉新内閣は、財政構造改革の実現に向けて、歳出の徹底した見直しを行うこととし、来年度の国債発行額を三十兆円以下に抑えるとともに、将来的にはプライマリーバランスの均衡を目指すとしております。
 一方、東京都においては、冒頭触れました財政再建推進プランに基づき、職員給与のカットなどの内部努力の断行や、銀行業等に対する外形標準課税の導入などを実施するとともに、徹底した歳入歳出の両面にわたる見直しを実施してまいりました。
 その結果、国の十三年度予算における国債依存度が三四・三%となっているのに対し、都の起債依存度は五・八%と大きく改善されているなど、都の構造改革は着実に進展しております。
 こうして見ますと、小泉内閣の掲げる財政構造改革は、まさに石原知事の財政再建推進プランの考え方と軌を一にしているように思われます。
 そこでまず、国の財政構造改革について知事はどのような所見を持っているのか、お伺いします。
 次に、都財政の状況について伺います。
 さきの定例会で議決された平成十三年度予算において、財政再建推進プランの財源確保目標額の七割を達成いたしました。しかしながら、減債基金の積立不足などの一兆円に上る隠れ借金の存在も明らかになりました。
 また、今後の都債の償還、さらには、社会資本の維持更新など、都財政は依然として厳しい状況であります。加えて、国の財政構造改革や不良債権処理、税収の伸び悩みなど、厳しい側面も予想されます。
 こうした状況にあって、さきに石原知事が国に提言した首都圏再生緊急五カ年十兆円プロジェクトなど、首都東京の再生を果たすために必要な事業を着実に進めていく必要があります。そのためには、まず財政構造改革を着実に進め、財政基盤を強化していくことが大切であると考えます。
 こうした点を踏まえ、知事の今任期の折り返し点における、これまでの財政再建の取り組みや今後の都財政の状況についてどのように認識しているかをお伺いします。
 次に、きれいな空がよみがえり、自然と人間が共生できる世界一の環境首都東京の創造を目指す我が党の重要な政策目標の一つである環境政策について伺います。
 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)がこの四月に発表した新たな地球温暖化予測は、温暖化の速度が従来考えられていたよりもはるかに速いことを示しました。今こそ、化石燃料の大量消費に支えられてきた従来の都市文明のあり方を問い直し、持続的発展が可能な新たな社会経済システムを確立すべきときであります。
 しかし、環境と調和する新たな社会経済システムへの転換は、決して容易なことではありません。アメリカが、本年三月に京都で行われた地球温暖化の国際会議で取り決められた京都議定書の批准を放棄する考えを表明したことも、二十一世紀を環境の世紀にするという目標を、単なるスローガンではなく、現実のものとすることがいかに難しいかを示したものであります。
 石原知事は、東京の環境問題の焦点である大気汚染に取り組むため、知事就任直後からディーゼル車NO作戦に取り組み、国と産業界を動かす大きな成果を上げられました。世界都市東京において、地球環境と調和する新たな都市文明をいかに築いていくのか、この困難な課題への挑戦に関しても、ディーゼル車対策と同様、都民が石原知事のリーダーシップに寄せる期待には大きなものがあります。
 地球環境の保全に率先して貢献し、世界に誇れる環境政策を先駆的に提起していく東京、すなわち環境首都東京を築いていくため、どのような環境施策を展開していくのか、知事の基本認識を伺います。
 地球全体の温暖化とともに、都市の中心部が高温化していく、いわゆるヒートアイランド現象も、東京が直面する大きな環境問題であります。ヒートアイランド現象は、緑の喪失によって加速されておりますが、それだけでなく、都市中心部に大量の自動車交通や業務機能が集中するという都市構造自体にも大きな原因があります。最近の研究では、平成十一年の夏に杉並区や練馬区などで起こった集中豪雨もヒートアイランドが原因になっていたといわれており、都市防災の面からも早急な対策の強化が求められています。
 都は、昨年から屋上緑化に力を入れていますが、ヒートアイランド対策に本格的に取り組むためには、これにとどまらず、自動車交通の抑制、環境に配慮した都市づくりなどの視点をも含めた総合的な対策を進める必要があると考えますが、所見を伺います。
 経済大国日本の拠点として発展してきた東京は、エネルギーを大量に消費しており、東京は地球に大きな環境負荷を与えています。その意味で、東京が行う環境負荷低減の取り組みは、地球温暖化の解決に直結する重要な取り組みといえます。
 東京が行うべき環境負荷低減の取り組みとしては、まず、オフィスや家庭でのエネルギー消費の抑制と効率化がありますが、もう一つ重視すべきものとして、太陽光やバイオマス、風力などのいわゆる自然エネルギーの利用促進があります。自然エネルギーの開発は我が国でも近年急速に進んでおり、政府の総合資源エネルギー調査会は、現在、その導入目標を大幅に引き上げようとしております。
 こうした自然エネルギーは、環境に優しいという点だけでなく、エネルギーの消費の現場において、またはその近傍でつくり出すことが可能な分散型エネルギーであるという側面からも注目をされております。その意味では、震災時など防災に強い都市構造への転換という観点からも、また、より長期的には、エネルギー供給における過度の地方依存の是正という観点からも、東京は率先して自然エネルギーの導入を図るべきものと考えます。都の所見をお伺いをいたします。
 次は、東京における緑の保全と回復について伺います。
 都は、昨年の十二月に緑の東京計画を策定し、今後の緑づくりの目標と施策の方向や推進策を示しました。東京のような巨大都市においても、生活の中に自然との結びつきを取り戻していくことが重要であります。また、緑には、都市の温暖化を防ぐとともに、延焼防止などの防災上の役割も果たすなど、さまざまな機能があるといわれています。最近では、身近な生き物の生息の場としても注目を集めていますが、より一層、緑づくりのための新しい取り組みを行っていく必要があります。
 雑木林や、一見自然のままの姿に見える森林について見ても、下草刈りや枝打ちなどを行わなければ、多くの生物が豊かに息づく自然として守ることはできません。緑に親しみ、緑を守るために汗を流したいという希望を持っている都民や、緑を守り育てる活動を行っている団体も数多くあります。事業者や都民の間からボランティアを募り、幅広い民間の力を結集して緑の保全を進めるべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
 緑の東京計画では、総合的かつ体系的に施策を展開するとしていますが、緑に関する部門は幾つかの局に分かれ、個別に施策を実施しているのが実情であります。肝心なことは、緑行政を効果的に推進するために、民間の力の結集とともに、産業政策や都市計画の観点なども含め、総合的な緑づくりに取り組んでいくことであります。こうした観点からも、可能な限りの緑行政の一元化を進めていくべきと考えますが、お伺いをいたします。
 次に、東京発の医療改革について伺います。
 近年、医療機関における事故の続発や患者に対する情報提供不足などから、都民の医療に対する信頼感は大きく揺らいでおります。都では、こうした事態に対して、石原知事が、医療の抜本的な改革が必要であるとして、東京発の医療改革を打ち出し、都立病院へのERの設置や小児の救急医療体制の整備など、三百六十五日二十四時間の安心を保障できる医療体制の整備を精力的に進めていることについて、私ども自民党も高く評価しております。
 特に、私は、東京発の医療改革のもう一つの柱である患者中心の医療の実現が、この改革の重要なポイントであると考えます。そういった意味で、患者の声相談窓口がこの五月に開設され、患者中心の視点からの具体的な取り組みが開始されてきたことに大いに期待しているところであります。
 そこで、まず、伺いますが、患者の声相談窓口が開設されてからおよそ一カ月が経過いたしましたが、この間の都民の反響はどうだったでしょうか。また、都はこのことをどのように評価しているのか、お伺いをいたします。
 さて、患者中心の医療を実現していくために、都立病院においても、さまざまな改革の取り組みが行われております。
 その中で、さきの予算特別委員会でも質問を行った患者の権利章典について、改めて伺います。
 この患者の権利章典は、都立病院を運営していくに当たって守るべき倫理的な規範として、患者が受診する際の権利を明らかにするものであるとのことでしたが、その内容を患者にとって真に意味のあるものにするためには、患者側の意見を反映させたものにしていくことが重要であると考えます。
 現在、衛生局の倫理委員会において検討しているとのことですが、策定に当たっては、患者の声や意見をどのように反映させていこうとしているのかをお伺いいたします。
 また、患者の権利章典は、ことしの夏には策定されるとのことでありますが、今後、具体的にどのように活用していこうと考えているのかをお伺いいたします。
 次に、福祉施策について伺います。
 本格的な少子高齢化社会を迎え、新世紀に相ふさわしい利用者本位、都民本位の新しい福祉を構築する福祉改革の実現が都政にとっての重要課題となっております。
 東京都は、昨年十二月に福祉改革推進プランを策定し、ことしはまさに本格軌道に乗せる年であります。この改革を進めていくためには、改革プランに掲げた諸事業の着実な実現はもちろんのことですが、その理念をさらに発展、定着させる新たな取り組みを積極的に実施していく必要があります。
 特に、お仕着せの一律の制度に縛られることなく、地域の特性や力、創意工夫を生かしたさまざまな福祉サービス中から自分のライフスタイルに合ったものを選択できるよう、地域において福祉インフラの整備を進めることが重要であります。
 介護保険制度下の高齢者へのサービスや障害者へのサービスの質と量の拡充、子どもを取り巻く施策の見直しなど、都が率先して取り組まなければならないさまざまな課題があります。
 そこで、首都東京から改革の息吹を全国に発信していく必要があると考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 また、身近な地域における福祉サービスの供給基盤を整備していく上では、我が党の提案により昨年度に創設された弾力的な包括補助制度、「がんばろう!東京福祉」が、区市町村の創意工夫を生かせる極めて有効な制度であります。
 今年度は二年目を迎えますが、我が党の強い要望により、新福祉局分として、昨年度の六十億円から七十五億円に大幅に増額、充実され、いわば本格実施となります。
 この弾力的な包括補助制度を積極的に活用し、区市町村と力を携えながら、地域に根差した新しい福祉づくりを強力に推進することが不可欠と考えますが、取り組みに向けた決意をお伺いいたします。
 次に、三宅島の噴火災害対策について伺います。
 三宅島火山活動に伴う災害発生から間もなく一年がたちます。三千八百人もの全村民が島外に避難してから既に九カ月、なれない都会で長期間の避難生活を送る三宅村民の方々に心からお見舞いを申し上げます。また、国や都、防災機関などの長期にわたる取り組みに深く感謝申し上げます。
 昨夏の激烈な地震活動が深いつめ跡を残した神津島や新島など、復興に向けた取り組みが力強く進んでおります。この状況を見るにつけ、三宅島の火山活動がおさまり、一日も早く村民が帰島して、生活再建、復興に取り組めるよう強く願うものであります。
 さて、三宅島は、今なお山頂から一日当たり二万トンから三万トンの有毒な亜硫酸ガスを放出しているが、こうした活動は世界の火山でも類例を見ないとのことであります。
 先月二十八日の国の火山噴火予知連絡会では、火山活動は全体として低下傾向にあるが、大量の火山ガスを放出する活動は今後も続くと考えられるという統一見解が示されました。
 そこで、まず、三宅島火山活動の現状と今後の見通しについてお伺いをいたします。
 次に、三宅島現地では、泥流による道路や家屋の被害を防止する工事の効率を向上させるため、五月四日から夜間常駐の試行が開始されました。
 宿舎に火山ガスから身を守る設備を施し、万一のための救出態勢を整備するなどして、危険な条件下で島の復旧に取り組まれる都庁職員や防災機関の方々の献身的ともいえる姿勢に深く敬意を表します。
 この夜間常駐の取り組み状況と、それを踏まえた今後の復旧に向けた方針についてお伺いをいたします。
 また、我が党は、昨年の第三回定例会において、一連の地震、噴火災害により乗客数が激減している離島航路について、その確保を図るため、国に対して所要の措置をとるよう要望すべきである旨の質問をいたしました。国においては、都の要望を受け、災害特例として補助金の増額交付などの措置をとるに至ったわけであります。
 三宅島島民の全島避難が続いている現在、離島航路事業者においては、昨年にも増して大幅な欠損額が生じる見込みであると聞いております。島民にとって生活の足である離島航路を確保するために、国に対して引き続き特別の措置をとるよう要望していくべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
 神津島では、神津島港や三浦漁港などにおいて、地盤が五十センチ以上も隆起しているとのことであり、その結果、泊地などの水深も浅くなり、漁船等の出入りに重大な支障が生じているとのことであります。
 船舶の航行の安全を確保し、島しょの重要な産業である漁業の振興を図るためにも、速やかな対応が求められると考えられますが、所見をお伺いいたします。
 東京都においても、直下地震がいつ発生しても不思議ではないといわれております。これまで東京都では、厳しい財政下においても、地震災害を最小限に食いとめるため、木造住宅密集地域を中心に、各種の防災都市づくり事業への取り組みが見られます。
 さらに、このたび、震災後の東京の復興まちづくりを提案する震災復興グランドデザインを公表しました。こうした意欲的な取り組みは高く評価するものであります。
 そこで、震災復興グランドデザインとは、どのようなねらいを持った計画なのかをお伺いいたします。
 また、震災復興グランドデザインで示された抜本的な都市改造を内容とする計画の実効性を確保する必要があります。そのために、どのような課題があり、それに対しどう取り組んでいくのかをお伺いいたします。
 震災という非常事態にあって、円滑かつ計画的に復興を図るためには、この震災復興グランドデザインに対する都民の理解を深めるとともに、国へ強く働きかけていく必要があります。そのため、グランドデザイン実現に向けての知事の決意をお伺いいたします。
 次に、都市防災に欠かせない課題として、都市型水害対策があります。
 本年も梅雨のシーズンに入り、大雨による水害が心配される季節を迎えました。昨年九月に東海地方を襲った集中豪雨は、名古屋気象台の観測によると、総雨量五六七ミリ、時間雨量で九三ミリに達する記録的大豪雨となり、各地に甚大な被害をもたらしました。もし東京に同程度の大雨が降った場合、これを上回る水害となる危険性があります。
 このような豪雨からの被害を防止するためには、ハード対策としての治水施設の整備のほか、住民への雨量、河川水位情報の速やかな提供などソフト対策も大切と考えられますが、具体的な方策についてお伺いをいたします。
 また、環境対策のところでも述べましたが、路面からの水の蒸散による冷却効果によるヒートアイランド現象の緩和と、都市型の集中豪雨を防ぐ道路の透水性舗装についてお尋ねをいたします。
 現在、区部全体に対する道路面積は、二十三区の一五%、都心三区では二三%の大きな割合を占めております。
 歩道における透水性舗装の歴史は比較的古く、都道においては、既に昭和四十八年ごろから全国に先駆けて実施されてきていますが、最近、新たに車道においても試験的に実施されたと聞いております。
 防災対策のみならず、ヒートアイランド対策にも有効に働くものとして、歩道の三倍近い面積を有する車道において透水性舗装を本格的に導入していくべきと考えられますが、今後の取り組みについてお伺いをいたします。
 次に、公共事業の着実な実施を行うための土地収用法の改正についてでございますが、昨年十月の二ツ塚処分場の行政代執行では、収用委員会手続は平均百八十日程度のところ、この事件は約千日かかり、また、当該百四十坪の土地に対する補償金総額五千七百万円の支払いのために約七億円の費用を要しております。
 この例に見られるように、現行の土地収用法には、時代にそぐわない問題が多く含まれております。
 現在、圏央道を初めとした環状道路の早期建設が喫緊の課題となっておりますが、圏央道あきる野地区と裏高尾地区においては、事業反対を目的とした大規模な借地トラスト、立ち木トラストが組織的に行われており、事業の大幅なおくれが懸念されるところであります。
 国は、我々の法改正提案要求に対し、不合理な点を是正した改正法案を、三月二日、今通常国会に上程しました。しかしながら、その後、審議に上がることなく、危機感を覚えた我が党では、小泉総理に要請するなど、土地収用法の今国会での成立に努めているところであります。
 改正法の実現に向け、今後どのように取り組んでいくのか、知事のお考えをお伺いいたします。
 また、今回の法改正の必要性はどのようなところにあるのか、具体的にお答えをいただきたいと思います。
 次に、商店街の振興についてお伺いをいたします。
 昨今の商店街を取り巻く環境は厳しく、不況による消費の低迷、ライフスタイルの変化、大型店などの競争など、時代の変化に伴う課題に直面しております。
 こうした状況を背景に、多くの商店街が売り上げの減少、経営難や後継者の不在などによる廃業、それに伴う空き店舗の発生など、厳しい状況に陥っております。
 大型店は、低価格で夜遅くまで買い物ができるお店はありがたい存在であり、むやみに規制すべきではないという考えの党の方もあります。
 我が党は、商店街が地域からなくなったとき困るのは、商店主だけではなく、地域の生活者や消費者であります。さらに、祭りやイベントなどの伝統文化の継承も困難になるなど、その影響は大きなものがあると考えます。
 我が党の提案により、平成十年度に創設した元気を出せ商店街事業は、平成十二年度までの三カ年で延べ二千五百余の商店街がこの事業に取り組み、売り上げが増加した、商店街のにぎわいを取り戻せた、近隣住民とのコミュニケーションが深まったなどなど、商店街から多くの成果が報告され、好評を得ていると聞いております。
 都は、本年三月末に二十一世紀商店街振興プランを策定しましたが、この中で、今後、商店街が取り組むべき戦略と支援の方向性が示されております。これについて、都の基本的な考え方をお伺いいたします。
 十三年度の補助事業で、プランで示されている戦略に主体的に取り組む予定の商店街がありましたら、その事例についてお伺いをいたします。
 また、プランで示されているような戦略に主体的に取り組む商店街に対して、都としてどのように支援していくつもりか、考えをお伺いいたします。
 次に、東京の農業振興について伺います。
 東京の農業は、生産機能はもとより、環境、防災、教育など多様な機能を果たしており、都民の期待は大きく、農業、農地の重要性に対する認識が年々深まってきております。
 高い税負担に加え、担い手の不足や農産物価格の低迷など厳しい経営環境が続いている東京農業の振興には、東京という地域の特性に合った振興策を推進していくことが重要と考えます。
 東京農業の中核ともいえる都市農業を守り、多様な機能を発揮させるためにも、総合的、計画的な農業振興策を進める必要があると考えますが、新しい農業振興プランの策定を踏まえて、今後、東京の農業振興をどのように進めていくのか、お伺いをいたします。
 次に、心の東京革命についてお伺いをいたします。
 三軒茶屋駅で、この四月二十八日深夜、銀行員が少年四人に殴られ死亡した事件など、青少年にまつわる事件は、人を殺すまで殴ってしまうという人間としての常識を超えた行為であり、集団心理などといったものでは到底説明できない危機的な現象であります。
 かつての地域には餓鬼大将がいて、一つの子ども社会を形成し、ちょっとしたけんかなどを通して、人の痛みや加減というものを自然に学ぶことができました。また、異なる年齢の子どもの交流などを通じて、小さい子どもをかばったり、小動物をかわいがるなど、他人を思いやる気持ちも育っていったのではないでしょうか。
 最近の子どもたちは、一人っ子で兄弟げんかもできず、テレビゲームでバーチャルの戦闘ゲームで育っております。今回の事件に直結しているとはいい切れませんが、底流につながりが感じられ、日本の将来を考えると背筋が寒くなります。
 東京都が提唱した心の東京革命は、こういった危機的な状況を、手おくれにならない今のうちに、都民一人一人の行動を喚起し、地域が一体となって取り組むことにより解決していこうとする運動と思われます。
 この運動を推進していくには都民一人一人の行動が大切であり、そのためには、地域の草の根的な活動を育てることが重要であります。今後、地域で心の東京革命を具体的に展開する方策が必要と考えますが、所見をお伺いいたします。
 また、都職員にも、来庁者への声かけ運動やボランティア活動への参加を呼びかけたと聞いておりますが、あわせて、地域の大人が子どもの育成に真剣に取り組むよう、さらに機運を高める必要があります。
 ついては、草の根的な活動を積極的に進める一方で、都民の心に訴えるインパクトのある普及啓発も重要と思いますが、所見をお伺いいたします。
 次に、教科書採択についてお伺いをいたします。
 今日、学校教育における最も根源的な教材である教科書の検定及び採択に当たって、国の内外から憂慮すべきさまざまな動きがあります。
 一つは、アジアの近隣諸国からの我が国検定制度への批判ともいうべき、検定合格後の教科書に対する修正要求であります。
 いま一つは、現在進められている教科書採択をめぐって、一部の団体が一部の教科書を採択させないことを目的としたさまざまな運動を展開しているところであります。これらは、教育に対する明らかな政治的介入であります。
 いうまでもなく、教科書は、法令に基づく検定制度に従って、厳正な審査を経て合格したものであります。この検定に合格した教科書については、採択権者である各教育委員会が、その権限と責任を自覚し、公正かつ適正な採択を行っていく必要があると考えます。
 こうした中で、都教育委員会は本年二月八日、教育長名で、区市町村教育委員会教育長に対して、教科書採択事務の改善についてを通知しました。今日問われている教科書採択の適正化について、具体的な改善の方向がわかりやすく示されており、その内容について高く評価をするものであります。
 そこで、この通知を出した目的とその内容について改めてお伺いをいたします。
 現在、各区市町村教育委員会等で教科書の採択事務が進められているところでありますが、今後、公正かつ適正な採択の実現に向けて、都教育委員会としてどのように対応していくのか、教育長の決意も含めて、お伺いをいたします。
 さて、私は、平成元年から三期十二年、都議を務めてまいりましたが、この間、南多摩地域はさまざまな面で大きく変貌をいたしました。多摩ニュータウン事業の開発を初め、地域を支える基盤整備においても、多摩川中流部架橋における府中四谷橋の開通や、多摩川原橋の拡幅工事が着実に進展する中、目をみはるものがあります。
 この間の関係者の献身的な努力に感謝を申し上げますが、二、三気になることがございますので、お尋ねをいたします。
 一つは、JR南武線の連続立体交差事業についてであります。
 昨今、幹線道路の踏切については、交通渋滞の大きな原因となっていることから、都民の関心も高く、都議会においても再三議論されてきたところであります。
 多摩地域においても、三鷹―立川間、あるいはまた京王線調布駅周辺、また、南武線稲城地域内等々計画がありますが、なかなか実現に至っておりません。
 幸い、こうした中で、稲城市域では、鶴川街道や府中街道の渋滞対策のため、平成四年より南武線連立事業が進められているわけでございますが、用地取得の関係で事業がおくれるのではと心配しております。そこで、事業のスケジュールについてお伺いをいたします。
 次に、川崎街道の拡幅についてお伺いをいたします。
 川崎街道の拡幅に必要とする米軍用地の返還は、私が都議会議員として全精力を傾注した課題の一つであります。これも、関係者の並々ならぬご努力により、道路用地として基地の一部が返還され、結果として、東京における米軍基地の縮小にも寄与できたわけであります。
 住民の期待の大きい川崎街道の拡幅はいつ完成するのか、その完成時期についてお伺いをいたします。
 これで私の代表質問は終わりますが、四年間の任期もあと一カ月余り、平成元年から三期十二年都議会議員を務め、この定例会が最後の議会となります。私も、都議会議員の一人として、及ばずながら、都政の発展、とりわけ多摩地域の発展、振興に努めさせていただいてきたと自負をさせていただいております。
 この十二年間を振り返りますと、バブルの崩壊から失われた十年と呼ばれる時期が続き、現在に至っております。この間、社会の価値観も政治、経済も大きく変化してまいりました。低迷する現在の経済状況の中で、都政に求められている都民からの要望は、ますます複雑多様化、高度化してきております。
 我々都議会議員の役割は、この都民の声を真摯に受けとめ、実感として、安全で安心して生活できる社会の形成に努力することにあると思われます。
 私は、今期で都議会を去りますが、皆様におかれましては、この原点に立って、都政の発展に努力を重ねられることを強くお願い申し上げます。また、都議選へ出馬を予定されておられる議員の皆様方のご健闘を心からお祈りを申し上げ、本議席においでの各議員の皆様方が、全員が再びこの議場においでくださることを深くご祈念を申し上げます。本当に長い間お世話になり、ありがとうございました。
 以上で私の代表質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 白井威議員の質問にお答えいたします。
 まず、都市再生本部への期待についてでありますが、これは、森前内閣のときに東京からも強く申し込みまして、その下地となりますヒアリングを何回かやりました。
 それを受けて、今度の小泉内閣で正式に政府の機関として発足したわけでありますけれども、今、最優先で取り組むべき課題は、国家にとっても、私はやはり首都圏の活力を復元させることだと思います。
 このために、国が緊急に取り組むべき事業として、前内閣のときに、与党三党の政調の方から依頼もございまして、五カ年で十兆円のプロジェクトを建言いたしました。
 これが、これから先、この内閣でどういうふうに実現していくか、まだつまびらかにいたしておりませんが、そうすべく東京からも働きかけるつもりでありますけれども、いずれにしろ、今後、総理大臣を本部長とする都市再生本部が、都の建言も受け入れまして、とにかくプロジェクトを強力に推進し、東京のみならず、首都圏を構成しているこのメガロポリスを早急に再生するように期待をしておるところでございます。
 何といいましても、東京を中心としたメガロポリスは、日本の心臓部であり頭脳部でもあるわけでありますから、人間の体にもいろいろな部分がありますけれども、ここが病んでいるということは、やはり国家にとって非常に大きな負担になると思いますので、そういうふうに我々が建言しましたプロジェクトを、早急にこの機関が責任を持って実現していくことを望んでおります。
 それから、さきの小泉総理との会談についてでありますけれども、所信でも述べましたとおり、既に、東京から与党三党に提案しました十兆円のプロジェクトなど、その他、首都圏の再生のための幾つかの方策を建言もいたしました。
 就任早々で小泉さんも大分高ぶっておりまして、全部頭へ入ったかどうかわかりませんが、いずれにしろ、焦点を浴びています道路財源にしましても、これをいたずらに一般化することで、またわけのわからぬ社会資本に振り向けられるよりも、私は、この五カ年の十兆円プロジェクトの中にも一つ大きなアイテムとして申しましたが、長期の無利子の、要するに道路財源としての貸し付けというものをぜひ実現してもらいたいと思っております。
 政府の方は、一部、前例がないということをいっておりますけれども、前例がないことをやるのが実は改革でありまして、そうしなければ進歩がないということも強く総理に申しました。
 それから、次いで、都市再生、首都再生に向けての決意でありますけれども、繰り返して申してまいりましたが、首都圏には、この日本という国家社会が抱えているいろいろな危機の本質が、日本の縮図として先鋭的にあらわれております。その首都圏を再生することこそが、日本の再生への早道であると信じております。
 ゆえにも、投資効果の高い経済対策が求められている今、首都圏に集中的に投資を行うことが、首都圏の再生とともに日本全体の景気浮揚につながると思っております。
 そのためにも、首都圏を構成している七都県市と協力しながら、国とも連携を深め、協同して首都圏の再生に取り組んでいきたいと思っております。
 次いで、予算編成についてでありますが、今度、システムを変えたといいましょうか、もともと行政というものはそうなくちゃいけないと思いますし、いずれにしろ、初めに財源ありきでは困るのでありまして、議会との協調、討議をしながら、東京にとっての最も優先順位の高い政策は何であるか、新しいものであり、既存のものであり、そういうことをしんしゃくしながら、そのためにこそ予算を編成していくべきだと思っておりまして、今日、最も必要なことは、首都東京を再生して、都民の要望にこたえられる東京を実現することでありまして、そのためにこそ重要な施策を確実に実行していかなくてはならないと思います。
 そのためにも、予算査定に先立って、重要な施策について活発に議論をし、その上で、それらの施策に優先順位をつけまして、限られた財源、限られた予算で、それを人員を配置して実現していく努力をする必要があると思っております。
 このために、今回、重要施策選定の仕組みを新たに導入いたしましたが、その過程でも、当然議会の意見を十分にお聞きしながら、今後の予算編成に当たって真摯な議論を積み重ねることで、有効な予算を編成し、それを遂行していきたいと思っております。
 次いで、国の財政構造改革についてでありますけれども、これは立場からいって、東京都からとやかくいうべきものではありませんが、しかし、やはり国家は国家でありまして、その動向いかんによって、地方自治体も大きな影響を受けているわけであります。
 再三申してまいりましたが、国の財政そのものは、従来、非常に不健全な状況にありまして、今回新内閣が、構造改革なくして日本の再生はないと断言して、新規国債発行を三十兆円以下に抑制するとの方針のもとに、これまで聖域とされてきたいろいろな予算財源――道路財源もそうでありますし、また、地方交付税制度などにも抜本的な見直しを行うということは、その姿勢はいかにも大変結構ですし、評価すべきものだと思います。
 要は、これから実際に具体的に、何をどうやるかということでありまして、都は、別に功を殊さら誇るわけではありませんが、皆さんのご協力のもとに、既に国に先駆けて、聖域のない施策の徹底した見直しを進めてまいりましたし、財政構造改革にも取り組んでまいりました。国に対して、都市再生への取り組みや地方への財源移譲などを初めとする財政制度の抜本的な改革が早期に実現するよう、引き続き強く申し込んでいくつもりでございます。
 先般も、総理との会談の中で、東京都は全国に先駆けて非常に厳しい歳費のカットをしているが、その直後に、前内閣は人事院の勧告を、全く閣議でうのみにそのまま採択をしました。こういう姿勢というものを改めないと、国民はとにかく納得しませんぞということを申し上げましたが、総理も全くだとうなずいておりましたけれども、その他この他、やはり構造改革というのは非常に抽象的な呼称でありまして、何を具体的にどうするかということを相当本気で考えないと、国家そのものが、財政的にもたがが緩んだまま、ばらばらになってしまいかねない現況であると思っております。
 伏魔殿ともされている特殊法人なども、ようやく俎上にのってきているようでありますけれども、例えば宇宙開発のようなプロジェクトに、不思議なことにそういうプロジェクトに原価計算というものを一切してこなかった。また、あってもそれを表明しなかった。素人に何がわかるかということで、かかるものはかかるんだという形で、こういう特殊法人が非常にむだな税金というものを乱費していたということは否めませんので、こういったものもきちっと会計基準を方程式として決めて、やっぱり監督をしないと、結局、ざるで水をすくうことになるぞということも私は申したつもりでありますが、あとは政府が、どこまで本気で具体的に何をやるかということだと思います。
 次いで、財政再建と今後の財政状況についてでありますが、東京都の財政再建は、就任以来変わらぬ最重要課題の一つでありまして、この間も、職員の給与の削減や外形標準課税などの導入も実現しまして、財源不足を圧縮するなど、一定の成果をおさめることができたと思いますが、しかしながら、十二年度決算においても、三年連続の赤字は避けられない状況であります。現状のまま財政再建の歩みをとめれば、毎年二千億から三千億円の赤字が発生し、財政構造は当然悪化の一途をたどることにもなります。
 また、ちなみに、非常に問題の多い、重要な課題であります都債の償還額の推移を予測しましても、十三年度は三千二百億程度で済みましたが、十四年度になりますと約倍近い五千六百億、十五年度には何と八千億を超す、そういうお金が必要とされるわけでありまして、こういったものをやはり十分に踏まえながら、今後の財政再建というものを考えていかなくてはならないし、また、そのためのひとつご協力を、皆さんにもお願いしたいと思っております。
 ともかく、引き続き財政構造改革を推進して、財源不足を早期に解消するとともに、施策のスクラップ・アンド・ビルドを徹底することが不可欠でありまして、財政再建が達成できるよう、さらなる努力を重ねていきたいと思っております。
 次いで、東京における今後の環境政策の展開についてでありますが、先般も国際機関が温暖化に関して第三次報告を出しました。これは第二次報告と、はるかに数字がはね上がっておりまして、百年もすると、最悪六度近い平均気温が上昇する。こういうことになりますと、極海の北極、南極の氷も解けて水位が上がり、太平洋では埋没する国家もありますし、日本も三分の一以上の砂浜が消滅するという恐ろしい状況が、当然予測されます。
 そういった状況というのは節々にございまして、先般もある専門誌が、別に科学に限らず、世の識者とされるいわゆる専門家の方々に、多岐にわたってアンケートを出しました。その結果、いろいろ非常におもしろい、興味深い、印象的なデータをそろえておりましたが、一番私たちにとって身近な、この地球の環境が悪化していく中で、人類は果たしてあと何年生きられるかという、非常に端的な恐ろしい質問に対して、何と識者の八割の方々が、どう考えてもこのままでいくと五、六十年しか人間は生きられないという回答をしているのは、私は、決してこけおどかしじゃなしに、私たちは真摯に受けとめて、行政に携わる者、立法に携わる者は考えなくちゃいけない問題だと思っております。
 つまり、人間の存在そのものが問われている状況まで、環境問題というのは悪化してきている。そういう歴史的な認識を持ちながら、お互いに東京という大きな舞台の中での環境問題、これはわずかに、世界に比べれば一部の部分でしかありませんけれども、しかし、それを預かる者として、東京における環境に関する責任というものを果たしていかなくてはならないと思っております。
 自動車公害対策のみならず、温暖化を阻止するさまざまな施策というものを、東京が率先して一つのパターンをつくり、先進国の一つである日本の首都の東京から発信していかなきゃならないと思っております。
 次いで、震災復興グランドデザインについてでありますが、首都東京が大震災に見舞われた場合、国の内外から迅速かつ計画的な復興が求められます。そのために、東京の復興まちづくりのあり方を、あらかじめ震災復興グランドデザインとして提案をいたしました。
 この提案をもとに、国に対して新たな事業制度の創設など、必要な法制度の早期整備を要請してまいります。近隣自治体とも連携し、首都東京の迅速な復興に向けた体制づくりを行っていきたいと思っております。それにかかわって、私権の制限などの規制に対する都民の理解と協力を得ていきたいと思っております。
 次いで、土地収用法の改正についてでありますが、現行の土地収用法は、トラスト等多数の当事者の場合を想定しておらずに、現に二ツ塚処分場の例に見るように、何とそれが分細されることで、はがき一枚の面積しかない土地の所有者が千数百名に及びまして、それに一々連絡をとり、理解を得るために、時間、コストと労力を、極めて膨大な量を要しまして、そしてかつ、膨大な税金のむだ遣いをせざるを得ませんでした。
 正当なプロセスを経て決められた事業については、それを速やかに実施し、公共の利益を早期に実現することこそ、新しい公共事業のあり方だと思っております。
 現に、圏央道の裏高尾地区でも、二千名を超える立ち木トラストがありまして、整備のおくれが懸念されております。二ツ塚処分場や圏央道のような事態は、全国至るところで発生するおそれがあります。
 私からの提案を受けまして、森内閣でこれが正式に受けとめられ、今内閣の、現国会で改正法案が上程をされておりまして、今国会の場での成立を強く望んでおります。
 一部の有力野党に、この問題について正当な理解が得られていない節がありましたので、人をやりまして説得もして、理解をしていただきましたし、先般、濱渦副知事を国会に派遣しまして、衆参の与党の幹部たちに同じ申し入れを重ねていたしました。
 つい最近、先日ですが、参議院の幹部からも、参議院は責任を持って行うし、恐らく今国会中で成立をするでしょう、させたいものだ、ぜひその努力をいたしますという返事をいただきましたので、大いに期待をしております。
 なお、その他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) 教科書採択に関します二点の質問にお答え申し上げます。
 まず、教科書採択にかかわります教育長通知の目的及び内容ですが、昨年の四月の都区制度改革によりまして、教科書採択事務が特別区教育委員会に移管されたことに伴いまして、昨年及び本年、区並びに市の教育委員会のヒアリングを実施いたしました。
 この中で、教科書採択事務につきまして、一部適正な事務処理がなされていない、こういうことが明らかになりましたことから、改善に向けまして指導を行いますとともに、その徹底を図るために、本年二月八日、教育長名で教科書採択事務の改善についてを通知したところでございます。
 この通知は、新学習指導要領の全面実施に伴いまして、平成十四年度から使用されます小中学校の新しい教科書の採択事務の適正化に当たって、区市町村教育委員会における採択事務の一層の改善を図ることを目的としたものでございますとともに、都教育委員会みずからも改善に取り組むことを明らかにし、各区市町村教育委員会に改善を要請したものでございます。
 この通知の内容につきましては、専門的な教科書研究の充実や採択手続の適正化、さらに開かれた採択の推進を図るために、新学習指導要領に示されました各教科、分野の目標等を最もよく踏まえている教科書を採択するなどの観点から、教科書の専門的な調査研究を行うことなどにつきまして、具体的な留意点を示したものでございます。
 次に、公正かつ適正な教科書採択に向けた都教育委員会としての対応についてでございますが、都教育委員会は、これまでも教科書採択事務の改善に向け、区市町村教育委員会への指導を適宜行ってまいりました。現時点で教科書採択要綱等の制定状況などを見ますと、改善が進んでいると認識をいたしております。
 都教育委員会としましては、本年四月、東京都教科用図書選定審議会を設置して、教科書採択方針及び教科書調査研究資料等の作成を諮問し、現在、答申を受けた教科書採択方針に基づき、新しい教科書の調査研究を行っているところでございます。
 この教科書調査研究資料について審議会から答申を受け次第、教科書の調査研究を指導、支援するため、区市町村教育委員会等に資料を配布するなど、今後とも教科書採択の適正化について、最大限努力してまいる所存でございます。
   〔都市計画局長山下保博君登壇〕

○都市計画局長(山下保博君) 五点にわたりますご質問にお答えいたします。
 まず、首都圏メガロポリス構想のねらいについてでございますが、このたび、都が策定いたしました首都圏メガロポリス構想は、首都圏メガロポリスの再生を図り、首都を担い続けられるよう、七都県市による将来整備構想の確立と、その実現を目指すものでございます。
 本構想では、二十一世紀の首都像を示すとともに、圏域づくり戦略として、集積のメリットを生かした環状メガロポリス構造の構築と、交通、防災、環境など、十三項目にわたります広域連携戦略の必要性を明らかにいたしました。
 今後は、関係県市や国に積極的に働きかけまして、理解を得て、連携しながら構想の実現に取り組んでまいります。
 次に、首都圏メガロポリス構想におきます情報ネットワーク構築のねらいについてでございますが、IT革命が急速に進行する中、首都圏メガロポリスの再生を図るためには、超高速インターネット網の整備促進や広域的な行政情報ネットワークの構築などによりまして、約三千三百万人の集積を生かした電子都市を実現していく必要がございます。
 その結果、電子商取引による企業の事業拡大や多様な情報やサービスの流通が、世界的な規模で可能となります。これにより、首都圏メガロポリスのアジアや世界における情報のかなめとしての機能を高め、産業の生産性や人々の生活の質の向上を図ることを目指してまいります。
 次に、臨海部におきますアクセス改善についてでございますが、東京港や羽田空港が立地する東京の臨海部は、首都圏の大消費地を支える物流拠点としても重要な役割を担っております。しかしながら、交通インフラの整備が不十分なため、渋滞による時間的、経済的損失が生じるなど、物流の効率化が妨げられており、これを改善することが首都圏の再生にとって極めて重要な課題でございます。
 このため、都心と臨海地域のアクセスを強化する環状二号線や晴海通りなどの整備を進めます。さらに、東京湾ウオーターフロント都市軸をつなぐ広域的な交通ネットワークの充実を図るため、東京港臨海道路の整備を進めるとともに、国道三五七号線の東京港トンネルの早期整備を国に働きかけてまいります。
 次に、震災復興グランドデザイン策定のねらいについてでございますが、都におきましては、これまでも防災都市づくり推進計画に基づき、地震に強いまちづくりに取り組んでまいりました。
 しかし、今、仮に東京区部直下型地震が発生した場合、焼失面積が九千六百ヘクタールにも及ぶ甚大な被害が生じると想定されております。
 このたび発表いたしましたグランドデザインは、被災後の抜本的な市街地改造を内容とする広域復興計画の基本的な考え方を明らかにしたものでございます。これをあらかじめ都民に示しまして、認識を共有していくことによりまして、被災を繰り返さない迅速かつ計画的な都市づくりに備えておくこととしております。
 最後に、そのための課題と今後の取り組みについてでございますが、震災復興グランドデザインの実効性を確保するための課題といたしましては、新たな法制度の整備を初めといたしまして、国、区市、近隣県市及び民間との役割分担や連携、さらには膨大な事業量に対する財源の確保などが挙げられます。
 今後、本グランドデザインを都市復興マニュアルに盛り込んでいくことにしておりますが、その中で、都と区市の役割分担を一層明確化するとともに、七都県市の協力体制の構築に向けた検討を行ってまいります。
 さらに、敷地面積の最低限規制や買収型の土地区画整理事業など、法制度の整備や財源の確保などにつきましても、国に積極的に働きかけを行ってまいります。
   〔総務局長大関東支夫君登壇〕

○総務局長(大関東支夫君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、情報ネットワークの活用についてでございます。
 首都圏メガロポリスを、IT革命の成果を取り入れた電脳メガロポリスともいうべき魅力ある圏域とするためには、住民、企業、行政等との幅広い連携が不可欠だ、このように認識しております。
 このため、都といたしましては、ITを活用した新たな交流の場を設ける等、住民、企業、NPO等が主役となって、情報ネットワークを活用する仕組みづくりを進め、地域の活性化を図ってまいります。また、こうした施策を推進するため、区市町村や近隣県市、さらに国にも働きかけ、積極的に連携していきます。
 次に、三宅島火山活動の現状と今後の見通しについてでございます。
 昨年の九月以降、三宅島の火山活動は大規模な噴火もなく、比較的安定して推移しております。六月三日には小規模な噴火があり、一部に一、二ミリ程度の降灰がありましたが、火山活動は落ちついている、このように考えております。
 また、先月開催されました国の火山噴火予知連絡会におきましては、山ろく部にまで被害を及ぼすような噴火の可能性は低いと考えられる、このような統一見解が示されました。
 しかし、火山ガスの放出につきましては、低下の兆しは見られますが、今なお一日当たり二万から三万トンものガスが観測されておりまして、今後も引き続き警戒が必要である、このように考えております。
 最後に、現在実施しております夜間常駐の取り組み状況と、今後の復旧方針についてでございます。
 都、それから三宅村及び防災機関職員によります三宅島夜間常駐は、関係機関の協力を得まして、現地での作業態勢の確立を初め、夜間における避難訓練、生活上の課題などの検証等、順調に当初の目的を果たしてきております。
 今後は、火山噴火予知連絡会の統一見解も踏まえ、火山ガス対策に重点を置き、島内各所に必要な火山ガス防御装置を設置し、現地での態勢の拡充強化を図り、三宅島の復旧作業を精力的に実施してまいります。
   〔環境局長中野英則君登壇〕

○環境局長(中野英則君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、ヒートアイランド現象への総合的な取り組みについてでありますが、ヒートアイランド現象は、都市化による緑の減少、人工排熱の増大など、環境配慮が十分でなかったこれまでの都市づくりの結果として生じてきております。
 この現象の緩和を図るため、都は屋上緑化の推進に加え、建築物環境配慮制度など、新たな対策に着手してきました。
 今後は、東京湾からの海風など自然の冷却機能の活用や道路緑化による緑の軸の形成など、都市づくりの面からも対策の一層の強化に努めてまいります。
 次に、自然エネルギーの導入についてでありますが、風力発電や太陽光発電などは、環境負荷の小さい再生可能なエネルギーとして、近年、我が国においても急速に開発が進みつつあります。
 これらの自然エネルギーは、東京においても大きな可能性を有しており、二酸化炭素排出量の削減、エネルギー自給率の向上等の観点から、導入を進めることが重要な課題であると考えております。
 このため、先日、庁内にプロジェクトチームを設置し、臨海地域での風力発電の実現など、自然エネルギーの導入について、立地や事業運営の方法などの検討を開始したところであります。
 次に、緑の保全における都民との連携についてでありますが、都はこれまでも、ボランティアグループの活動を促進する自然ふれあい事業や緑の保全活動リーダーの養成などを行い、都民参加の緑づくりに努めてまいりました。
 今後は、都民主体の緑づくりを推進する観点から、ボランティアの登録、あっせん、活動の場の紹介、さらには指導者の育成、認定など、施策の一層の充実を図り、都民や事業者と広く協働して、緑の保全を進めてまいります。
 最後に、緑行政の一元化についてでありますが、都市と自然とが調和した緑豊かな東京を実現する上で、緑行政の総合的、体系的取り組みは重要であります。
 このため、都は昨年十二月に緑の東京計画を策定して、緑に関する施策をまちづくりや産業政策等と連携して進めてきております。また、平成十四年度には、自然公園や鳥獣保護などの事務を自然環境部門として統合することになりました。
 これらを契機として、緑行政の一層効果的、効率的な展開に努めてまいります。
   〔衛生局長今村皓一君登壇〕

○衛生局長(今村皓一君) 医療改革について、三点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、患者の声相談窓口についてでございますが、この窓口を開設した五月七日以来、一日平均五十件以上、多い日には二百件を超える相談が寄せられております。病気に関する不安を訴えるものや医療機関の対応に関する意見や要望など、さまざまな内容の相談がございます。
 患者の声相談窓口では、個別にアドバイスをしたり、必要に応じて相談内容を医療機関に伝えて適切な対応を促すなど、都民と医療機関との信頼関係を築くパイプ役を果たしており、患者中心の医療を推進していく上で大きな意義があると考えております。
 次に、患者の権利章典についてでございますが、患者の権利章典への患者の意見の反映については、現在、その検討を行っている専門委員会に、患者の視点からの医療の実現に向けて積極的に活動をしておりますNPOの代表等の外部委員にもご参加を賜っております。
 さらに、具体的な検討に当たりましては、都立病院の患者を対象としたアンケート調査を実施し、その結果も参考としながら議論するなど、可能な限り患者の声や意見を反映するよう努めております。
 また、患者の権利章典の具体的な活用については、今後、患者にとって安心できる医療、信頼できる医療の実現に向けて、患者の権利章典を病院職員に周知徹底することはもとより、リーフレットやホームページの活用など、あらゆる機会を通じて、都民や他の医療機関にもPRしていく予定でございます。
 こうした取り組みを通じて、医療従事者全体の意識改革を進めるとともに、積極的に情報発信をしていくことにより、東京発の医療改革を推進してまいります。
   〔福祉局長前川燿男君登壇〕

○福祉局長(前川燿男君) 福祉改革に関して二点のご質問にお答えいたします。
 まず、福祉改革の推進についてでありますが、都が目指す福祉改革は、地域の中で必要なサービスを利用者がみずから選択できる、真の意味での利用者本位の福祉をあらゆる分野で実現することであります。
 昨年末に策定した東京都福祉改革推進プランにおきましては、改革の理念と大きな方向、これを実行するための十二の戦略プロジェクトをお示しいたしました。
 今年度は、福祉改革を本格軌道に乗せる年であり、プランに掲げたこれらのプロジェクトを着実に実行するとともに、改革を前進させるための新たな取り組みを行う必要があると考えております。
 今後とも、お話のように、東京から新しい福祉を全国に発信していく決意で、改革の推進に全力を挙げてまいります。
 次に、包括補助制度についてでございますが、福祉改革を推進していくためには、区市町村がみずからの発想に基づき、地域の中で積極的に取り組んでいただくことが必要であります。本制度は、区市町村の創意工夫を支援するために、極めて有効かつ重要な制度であると考えております。
 昨年度は、創設初年度にもかかわらず、各区市町村において積極的な取り組みをいただき、地域に根差した多彩な事業展開が図られております。
 今後とも、本制度を積極的に活用し、区市町村の特色ある事業を支援し、利用者本位の新しい福祉の実現に向け、全力を傾注してまいります。
   〔港湾局長齋藤哲哉君登壇〕

○港湾局長(齋藤哲哉君) 三宅島等の噴火災害対策についての二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、離島航路の確保についてでありますが、伊豆諸島航路においては、三宅島への定期航路の再開がおくれていることなどから、今年度においても乗客数は回復できず、昨年度と同様、大幅な欠損額が生じる見通しであり、離島航路事業者の経営は依然として厳しい状態にございます。
 離島航路は、島民の生活を支える貴重な足であり、その確保を図ることが必要であります。このため、国に対して、航路補助について、昨年度と同様に災害特例など特段の措置をとるよう、さまざまな機会をとらえて要望してまいります。
 次に、神津島の隆起についてでありますが、おおむね五十数センチ地盤が隆起したことにより、港湾、漁港の泊地の水深が浅くなり、最近ではその利用に支障が生じていることは十分承知をしております。
 今後、早急に神津島港と三浦漁港の泊地のしゅんせつなど必要な対策を行い、港湾、漁港の機能の早期回復に努めてまいります。
   〔建設局長古川公毅君登壇〕

○建設局長(古川公毅君) 都市基盤整備に関する五点のご質問にお答えいたします。
 まず、集中豪雨の被害防止のソフト対策についてですが、昨年七月より、地下空間の浸水対策として、地下街の管理者などに対して、豪雨時の雨量や河川水位などの刻々の情報を、NTTの一斉同時ファクスを使い、希望者に伝達するサービスを実施しております。利用者からは、迅速な水防対応が可能になったと好評を得ております。
 さらに、これらの情報をインターネットにより、広く都民に提供するため、電子都庁推進計画に基づき、平成十四年度からの運用を目指して準備中です。
 また、洪水時に住民が的確かつ迅速に避難できるよう、浸水被害予想の情報や避難場所を図示した洪水ハザードマップを、関係部局及び地元区と連携して神田川をモデルとして作成中です。九月の台風期を目途に公表する予定です。
 次に、透水性舗装についてですが、透水性舗装は、都市のヒートアイランド現象の緩和や都市型水害の軽減に有効と考えています。
 このため、都では従来から進めてきた歩道における透水性舗装に加え、昨年度、世田谷通りで初めて車道にも導入し、現在、雨水の浸透量や路面の温度低下などの効果について検証しております。
 今年度も、ヒートアイランド現象の影響を受けている杉並区や、内水被害が発生している西東京市など四カ所で試行的に実施するとともに、設計、施工についてのマニュアルを整備するなど、区市町村とも連携を図りながら、車道での透水性舗装の本格的な実施に努めてまいります。
 また、土地収用法の改正の必要性についてですが、現行の土地収用制度は、補償金の支払いを持参払いによるものとしているため、もともと地権者でなかった者が事業反対のためトラスト等で多数当事者になる場合、膨大な税金のむだ遣いを生んでいます。
 二ツ塚処分場の場合、最後に残された百四十坪の土地に二千八百名の共有者がおり、多くは、はがき一枚分程度の持ち分で、一人当たりの補償金は二百五十円程度でした。関係権利者への補償金総額五千七百万円の支払いのために、北海道、沖縄、さらにはアメリカやフランスにまで出張するなど、約七億円の経費を要しました。このため、関係二十七市町から九十名の職員を六カ月にわたり従事させる必要がありました。
 補償金の支払いに当たった職員は、繰り返し居留守を使われたり、また権利者に会えた場合にも、トラスト運動のマニュアルを持ち出してきて、受け取るとも受け取らないともいえないといわれたり、我々の目的は、期限内に補償金の払い渡しが終わらないようにして、時間切れで土地の収用ができず、工事をできなくすることだとはっきりいわれたりしました。
 また、事業が進められている圏央道の裏高尾地区においては、事業反対のため、立ち木に名札をつける方法により、二千名を超える立ち木トラストが行われております。現行制度では、それぞれの立ち木所有者に補償金を持参して支払わなければなりません。
 こうした事態は首都圏のみでなく、全国各地で起こるおそれがあります。現行法の不合理を排し、補償金の支払いを現金書留でもよいことに改めることなど、今国会における土地収用法の改正を強く期待いたします。
 さらに、JR南武線の連続立体交差事業についてですが、本事業は、川崎市境から府中市境までの四・三キロを連続的に高架化し、鶴川街道、府中街道等の多摩川を渡る重要な幹線道路の渋滞解消を図るとともに、矢野口駅周辺など三地区の区画整理事業によるまちづくりに寄与するもので、二つの区間に分けて事業を実施しております。
 矢野口駅付近二・一キロの区間は、必要な用地をおおむね確保しており、本年七月一日に上り線を仮線に切りかえた後、順次工事を進め、平成十七年度までに高架化を完成し、八カ所の踏切を除去する予定です。
 稲城長沼駅付近から南多摩駅付近二・二キロの区間は、用地の六六%を確保しており、引き続き用地の取得を進めるとともに、まちづくりと連携しながら、早期の工事着手に努めます。
 最後に、川崎街道についてですが、川崎街道の拡幅に必要不可欠な米軍用地は、都議会のご支援を得て積極的に取り組んできた結果、昨年十二月に返還されました。
 現在、事業中の延長二・四キロの区間については、広幅員の歩道を備えた四車線化の工事を進めており、稲城市内の一・九キロは本年四月に交通開放を行いました。残る多摩市内の〇・五キロについても本年十月には完成し、全線の供用を開始いたします。
   〔産業労働局長浪越勝海君登壇〕

○産業労働局長(浪越勝海君) 商店街振興など四点のご質問にお答えいたします。
 まず、商店街が取り組むべき戦略と支援の方向性についてですが、地域、コミュニティの核としての新しい商店街の振興を図る観点から、本年三月末に、その基本となる商店街振興プランを策定したところであり、商店街は、地域における出会いと交流、新しい結びつきの場としてのいわゆるプラットホームの役割を担うべきものと考えています。
 商店街の活力は、このプラットホームを舞台にして生み出されるものであり、プランはそのきっかけとなる八つの戦略を提示したものでございます。
 今後、新しい商店街づくりに取り組む意欲ある商店街や区市町村の自主的、自立的な事業活動を、柔軟かつ迅速に支援してまいります。
 次に、プランで示した戦略に取り組む商店街の事例についてでございますが、一つとして、次世代の商店街活動を担う人材の育成を目指す世田谷区のマーチャントカレッジ、また、ソーラーシステムや、大気中の汚染物質である窒素化合物を分解除去する光触媒を用いた壁面などを導入して、環境に配慮した会館の建設を目指す中板橋商店街、さらには、商店会とNPOがプロジェクトチームを立ち上げ、空き店舗を活用して、高齢者向けのさまざまな事業の提供を目指す立川市のエルロード商店会などの事例がございます。
 次に、商店街への支援についてですが、商店街振興に向けた支援策は、地域の実情に精通した区市町村が主体となって、商店街と緊密な連携をとりながら展開していくことが重要であると考えております。
 この観点から、プランで示した戦略に積極的に取り組む商店街の事業を初めとして、区市町村の自主的かつ計画的な取り組みを支援してまいります。
 最後に、今後の農業振興についてでございますが、東京の農業の振興を図るためには、地域特性を生かした魅力ある産業としていくことが、まず何よりも重要であります。
 このため、付加価値の高い東京ブランド農産物の開発普及、大消費地を抱える有利性を最大限に活用した意欲的な農業経営の育成、さらには、都市地域の農地が持つ多面的な機能を一層発揮させていくことなどが必要と考えております。
 このような観点から、現在、農業振興プランの改定を進めており、今後はプランに基づく総合的、計画的な農業振興施策を推進してまいります。
   〔生活文化局長高橋信行君登壇〕

○生活文化局長(高橋信行君) 地域で心の東京革命を展開する方策についてでありますが、心の東京革命を推進するためには、家庭、学校、地域等のあらゆる場で、都民一人一人が子どもの育成に積極的にかかわっていくことが大切であります。
 地域のつながりが希薄になっている今日、特に、地域の教育力を高めていくことが求められており、ご指摘のように、親や地域の大人が連携協力した草の根的な活動を育てていくことが重要であります。
 このため、心の東京革命推進協議会に参加しているさまざまな団体との地域での取り組みの連携を図るほか、地域ぐるみで行われている年齢の異なる子どもたちの交流活動など、他の模範となる取り組みをモデルとして指定し、その内容や成果を生かして、都内の隅々まで活動を広めていくつもりであります。
 また、心の東京革命推進協議会が地域活動を支える人材をアドバイザーとして数多く養成し、地域で若い親を集めて子育てのコツを教えたり、草の根的な活動をしている方々との情報交換を行うなど、民間レベルの具体的な活動が動き始めております。
 今後、区市町村などとも連携し、積極的に地域での活動を促進してまいりたいと思います。
 次に、心の東京革命の普及についてでありますが、心の東京革命推進のためには、一過性でない継続的な事業を進める仕組みづくりがこれから重要となりますが、一方では、いまだ心の東京革命の意義について理解が必ずしも十分浸透していない面もあり、ご指摘のような普及啓発を引き続き実施していく必要があると考えます。
 既に本年三月からは、家族ふれあいの日を設定し、多くの企業や団体が参加する社会全体の取り組みとして、さまざまな事業を実施しております。この秋には、子どもたちが昔遊びなどを体験できる催しやシンポジウムなどを三カ月間集中的に実施する大キャンペーンを展開することにより、心の東京革命への関心をさらに呼び起こしてまいります。

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