○議長(渋谷守生君) 七番町田てるよし君。
〔七番町田てるよし君登壇〕
○七番(町田てるよし君) 平成十三年第一回都議会定例会の冒頭、知事はその所信表明におきまして、「ベンチャー・SUMIDA」を視察したその感想の中で、産業再生の曙光を見る思いがいたしました、こう述べられております。まさに曙光ということですから、よい兆しが起こる前ぶれであるという、私も大いに期待をしていきたいと思います。
そして、その後続けて、平成十三年は同様の施設を八王子市と千代田区に設置いたします、ここから将来大きく飛躍を遂げる企業が育ち、収益の一部が東京に還元されることを期待しております、こう述べられておるわけでありますが、この「ベンチャー・SUMIDA」につきましては、昨年十一月にスタートを切って、オフィスを二十二室募集したんですが、何と百七十の応募があって大変好評でありました。これがいよいよ多摩地区で初めて、十三年度、八王子で取り組まれるわけでありますが、実はこの取り組む場所なんですが、旧都立繊維工業試験場のところなんですね。ご存じのように、八王子はかつて地場産業が織物ということで、この繊維工業試験場を中心に、非常に地場の産業として栄えた町でもあったわけです。都議会のかつて議長をやった小山省三氏も、織物組合の理事長という立場で都議会に出て、そして議長職まで勤められ、その後は衆議院議員ということで活動したわけであります。そしてまたこの場所が、JR八王子駅と京王八王子駅のちょうど中間にありまして、両方の駅から歩いて約三分程度で行けるという、まさに八王子の中心街にできるということですから、私も大変大いに期待をしておるわけですが、この多摩地区で初めて八王子に行う支援事業の具体的な内容について、まずお聞きしたいと思います。
次に、平成十二年五月に、都市計画法及び建築基準法が改正がなされ、そして、その中で特に市街化調整区域にございます既存宅地制度が廃止になるという、こういう改正になったんですね。市街化調整区域というのは、ご存じのようにまさに市街化を調整するということですから、家が建たない地域なんですね。家を建ててはいけないという地区なんですが、実はこの線引きが引かれた昭和四十五年のときに、もう既に市街化調整区域になるべきところにあった家については、建てかえだけは認めていきましょうという制度が、実はこの既存宅地の制度だったんです。
ただ、今回の法改正に伴いまして、家の建てかえができなくなるのではないかという、大変そういう不安に駆られている方たちがたくさんおるんですね。都内等にはないと思いますが、周辺部の八王子とか西多摩の方には、かなりこういった地域があるわけで、果たして自分たちの家が今後建てかえられるんだろうかという、こういう不安に駆られておるわけですが、聞くところによりますと、今までいわゆる既存宅地を、確認制度であったのを、今度は条例をきちっと措置をして許可制度に移行をしていこうという、こういうどうも流れであるということなんですね。
そういった面では、今後、市街化調整区域に居住する都民の方たちが不安にならないような形で、東京都はこの既存宅地制度の廃止に伴ってどのように対処をしていくのか、お伺いをしたいと思います。
次に、食品衛生についてお伺いしますが、食品衛生法が改正をされ、第二十八条の二が新設をされました。これは特に大変大きな流れがございまして、今までいわゆる食中毒というものが届け出義務だったんですね。食中毒を起こしたときには届け出をしなければいけませんよ、それでその届け出に基づいて、どういう理由、どういう形の中で食中毒が起きたかということを保健所を中心に調べていくという、こういう制度だったんですが、今後はもう一歩踏み込んだ形で、いわゆる食中毒そのものを予防をしていきましょうという、これがこの食品法改正の大きな一つの流れなんですね。
そして、それを受けて、実は食中毒予防と食品衛生向上のために、新しく食品衛生推進員というものが新設をされました。これは、実は都道府県知事による委嘱を受けて食品衛生推進員に任命されるわけですから、まさに準公務員的な身分の立場の中でそれぞれ指導助言をしていくという、こういったお役なわけであります。ただ、残念ながらまだ制度ができて日が浅いために、実際に食品衛生推進員に委嘱をされまして、法的な講習を一日かけて受けまして、じゃこれから推進員として活動していこうということなんですが、まだまだ日が浅いために、実態としてはまだ活動をしていないというのが実情なんですね。特に、東京都の食中毒を見ますと、大体毎年毎年百件程度起きるんですけれども、年々年々、中毒の患者さんというのがふえておりまして、平成十二年では二千七百名ぐらい食中毒患者が出ている。まあ大規模化してきているという、こういう実態でもあるんですね。
その中で、今回新しくできました制度の、いわゆる食品衛生推進員についてですが、この役割というものはどういうものなのか。そして現在までの活動状況というものをお聞かせ願いたいと思います。
実は、私の地元の八王子にも、この食品衛生推進員の委嘱を受けられた方がかなりおるんですね。例えば食品衛生協会の会長さんとか副会長さんとか、どちらかというと役員の方が委嘱を受けまして、そして講習を受けて、いよいよこれからどういう形で保健所行政に協力していったらいいのか。あるいはまた飲食店への助言や指導をどのようにやっていったらいいのだろうかということで、現在、委嘱は受けたものの、まだ残念ながら模索をしているような状況なんですね。ですから、そういった面では、せっかく食中毒というものの大きな流れが、今までの届け出義務から、いわゆる予防という観点に大きく切りかわってきたわけですから、ぜひこの食品衛生推進員の今後の活動を活性化させることと、また、せっかく委嘱をされて、二百名からの方が委嘱をされておるんですから、効果あるものとしての東京都の取り組みをお伺いしたいと思います。
次に、私学助成でありますけれども、この私学助成というのは、私立学校振興助成法が昭和五十年に議員立法ででき上がりまして、三本の柱から成り立っているわけであります。一つは教育条件の向上、そして私学の経営の健全化、そして三番目として生徒の学費負担の軽減という、この三つの柱で成り立っておるんです。特に、都議会のそれぞれ議員の方は、それぞれ私学の各地区から、予算時期になりますと要望を受けて、期成大会等へも参加されると思いますけれども、ただ、残念ながら、いわゆる私学に対するものが補助金というものの宿命を持っておるんですね。というのは、隣の神奈川県を一例にとりますと、昭和五十年、議員立法で行われたときには、全国四十七都道府県の中の、高校生一人当たりで見ますと、上から四番目の大変高い補助金が出ておったんですね。島根、広島、兵庫に次いで神奈川県が全国で四番目という、こういった高額が出ておったんですが、年々年々この補助金が減ってきまして、最近では平成十一年、何とお隣の神奈川県は四十七番目、全国最下位の補助金しか出ていないという、こういう実態なんですね。
そうした中で、実は東京都のこの私学助成についての考え方があると思うんですが、この都の私学助成の目的と基本的な仕組みというものがどのような形になっておるのか、まずお示し願いたいと思います。
都は、都庁改革アクションプランで、いわゆるいろいろな組織を変えていこうということで、現在この私学助成を担当しております学事部を、総務局から生活文化局への移管ということになっております。これを受けまして、実は私学協会の方や、あるいは父母の会の方たちが、大変、移るということに対して不安に思っておるんですが、いわゆる総務局から生活文化局へ移る理由というのは何なのか、お示ししていただきたいと思います。
私学の運営というのは、主として授業料と私学助成の助成金によって成り立っているわけであります。ですから、一つの柱である助成金が削減されるということは、非常に学校運営に大きな影響が出ることは間違いないですし、ともすると授業料の値上げも考えられるという、こういう流れではないでしょうか。また一方では、生活文化局が行っておる心の東京革命を中心に、いわゆる青少年の健全育成等も取り組んでいるわけですが、私は、今までのただ単にお金を出すだけではなく、私学行政に対しても、もう少し都として幅を広げていくような期待も、局が移ることによってできるんではないのかなという、こんな思いもするわけであります。局が移ることによって、仮に私学助成に対する水準が下がってしまっては困るわけであります。今後私学助成の考え方はどうなのか。そして補助額削減につながらないのか。見解をお伺いいたしまして、私の一般質問を終わります。(拍手)
〔労働経済局長浪越勝海君登壇〕
○労働経済局長(浪越勝海君) 町田てるよし議員の一般質問にお答えを申し上げます。
八王子市に設置する創業支援施設についてでございますが、当施設は、産業技術研究所八王子庁舎のあきスペースを活用して、十五室程度設置する計画となっております。都としては、多摩地域で初めてのものでございまして、現在、早期に開設できるよう鋭意準備を進めているところでございます。
多摩地域は、先端技術産業や大学、研究所が集積するなど、創業支援施設を整備するのにふさわしい条件を備えており、産業活性化に大いに資するものと考えます。
施設の具体的内容につきましては、建物の現状や地元の意見などを勘案して鋭意検討してまいります。
〔都市計画局長山下保博君登壇〕
○都市計画局長(山下保博君) 既存宅地確認制度の廃止に伴う代替措置についてでございますが、この既存宅地確認制度は、市街化調整区域の指定前から居住している方々などに対し、例外的に建築を認める権利保護の制度として機能してまいりました。
今回の都市計画法改正によるこの制度の廃止に伴い、ご指摘のとおり、代替措置が不可欠であると考えております。このため、従来どおり建築指導事務所などの判断で許可できるよう、改正都市計画法に基づく条例の早期制定に向けて取り組んでまいります。
また、条例施行までの期間につきましても、暫定措置をとりまして、スムーズな制度移行を確保してまいります。
〔衛生局長今村皓一君登壇〕
○衛生局長(今村皓一君) 食品衛生推進員制度について、二点のご質問にお答えします。
まず、食品衛生推進員の役割と活動状況についてでございますが、食品衛生推進員は、食品関係営業者の食品衛生の向上に関する自主的な活動を促進するため、食品衛生法で設けられた制度であり、熱意と識見を有する食品関係営業者等に委嘱し、行政の施策に協力して、地域の食品衛生全体の向上を目指すことを役割としております。
その活動内容は、食品衛生推進会議における提言や情報提供、飲食店営業者等への相談、助言、指導、食品衛生講習会の講師などであり、これらの活動は、地域の実情に即した創意工夫により行われております。
次に、食品衛生推進員の活動の活性化等のための都の取り組みについてでございますが、都は、これまでも食品衛生推進員が職務に必要な知識等を習得するための講習会などを実施してまいりました。今年度は、関係団体等の協力を得て、食品衛生推進員の活動方針や具体的な事例を示した食品衛生推進員活動マニュアルを作成するとともに、食品衛生の向上を目的とした自主管理推進のための研究会を開催いたしました。
今後とも、こうした取り組みを行い、食品衛生推進員の活動の一層の活性化に努めてまいります。
〔総務局長大関東支夫君登壇〕
○総務局長(大関東支夫君) 私学助成にかかわる三点のご質問にお答えいたします。
まず、私学助成の目的と仕組みについてでございます。
都の私学助成は、私立学校振興助成法の趣旨を踏まえ、私立学校の教育条件の維持向上、修学上の経済的負担の軽減、私立学校の経営の健全性、この三点を目的としております。
現在、都は、私学助成の基幹的補助である経常費補助の算出に当たり、標準的運営費方式を採用しております。この方法は、公立学校の教育運営費の実績値をもとに、私立学校の教育にかかわる経常的な経費を合理的に算出する方式で、公私格差の是正に効果があるとともに、円滑な学校運営に資する仕組みであると考えております。
次に、学事部の機能を生活文化局へ移管する理由についてでございます。
今回の組織改正では、総務局を区市町村との連絡調整やIT化の推進、人事や文書といった、いわば都の内部管理事務を中心とした機能を担う局といたしました。一方、生活文化局は、都民の幅広い活動を支援する施策を担う局として位置づけてまいりました。
このため、生活文化局においてこれまで進めてきた、青少年の健全育成や都民文化の振興施策などとの連携を図り、私学振興施策を一層充実させることを目的に、学事部を私学部と名称を改め、移管することといたしました。
最後に、今後の私学助成の考え方などについてでございます。
私立学校は、独自の建学の精神及び教育理念に基づく特色ある教育活動を展開しております。そして、東京では、高校生の過半数が私立学校に在学するなど、私立学校が東京の公教育に果たす役割は非常に大きく、その重要性については十分認識しております。担当組織は変わりますが、私学助成が都政の重要課題であることは変わるものではございません。
ご懸念の、私学助成の根幹である経常費補助には、先ほども申し上げましたとおり、公立学校の実績値をもとに算出する標準的運営費方式を採用しておりまして、都として、今後もこの方式を堅持していく考えでございます。
○議長(渋谷守生君) 以上をもって質問は終わりました。
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