平成十三年東京都議会会議録第四号

○副議長(五十嵐正君) 九十八番藤川隆則君。
   〔九十八番藤川隆則君登壇〕

○九十八番(藤川隆則君) 私は、都政の大改革の必要性を、新世紀を迎えたという漠然とした情緒的な面からではなく、本能的に強く肌で感じております。
 その観点から、昨年十二月に発表された都庁改革アクションプランにおいて、石原都政がスタートして二年というこの時期に、都政改革の基本的な考え方が明示されたということは、一定の評価をしているところであります。
 さて、このプランの中で、全庁的な行財政システムの改革案が示されておりますが、さきに明らかにされた十三年度の組織改正案は、その流れの中にあるものと受けとめております。トップマネジメントの補佐機能の充実を中心としたこのたびの改革案に、一言私言を述べさせていただきます。
 その第一は、産業政策の展開にかかわる執行体制についてであります。
 バブル崩壊以後、先見性のない国の経済政策のもとに、都内の中小企業者は、相変わらずの閉塞感の中で、資金繰りにもきゅうきゅうとしているというのが、残念ながらその現状であります。都経済の大宗を占める中小企業の活力を取り戻さない限り、東京の経済活力を復興させることが困難であることは共通の認識だと思いますが、今回の組織改正が、急速に進行する産業構造の変化に対応した新たなる施策展開と、事業の再構築を図るための組織として十分なものであると考えているかどうか、お伺いしたいと思います。
 さて、私どもはかねてから、管理型の都政運営から、コスト感覚を重視した経営型の都政運営への転換を急ぐべきだと主張してまいりました。アクションプランで、その点は明らかにされておりますが、PFIの導入は、私たちのそうした主張に沿ったものと高く評価しております。
 私自身、PFIについては、民間資金や企業ノウハウを活用するのみではなく、実施方針の公表や民間事業者の選定方法についても、公共事業の透明性、公平性を高めていくという観点からも期待しております。しかしながら、すべての公共事業にPFIがなじむかといえば、そうではないと思います。その点を含め、PFI導入に関する基本的な考えをお伺いしたいと思います。
 組織は人なりという言葉がありますが、どんなに効果的な執行体制を築いても、そこに在職する職員の意識が変わらなければ、知事がどのように旗を振ろうと、都民の期待にこたえ得る事業執行はできないのではないかと私は危惧しております。行政力の質的向上の必要性であります。
 現在、都の基本方針は、財政再建をなし遂げるため、新規採用職員抑制にあることは十分承知しております。しかし、組織の活性化のため、また知事が常々訴えている新たな発想、斬新なる発想を希求するのであればあるほど、新しい力、新しい空気を吹き込むという観点から、新規採用職員をふやしていくことも考えるべきではないかと思います。まさしく新しいブドウ酒は新しい革袋に入れよと格言にあるとおりであります。
 都の職員にも新再任用制度が導入され、平成十四年度から運用が開始されると聞いております。そうなれば、今後十年間はいわゆる団塊の世代を中心とする大量採用時代の職員が定年退職を迎えるわけですから、それを再任用職員として再採用するとなれば、職場の高齢化は目に見えており、知事のいうスピード重視の都政運営実現にも支障の出ることが懸念されます。財政再建に向けての総定数抑制の方針は方針としても、将来の職員構成を見据えての計画的な採用、若い職員の確保をもあわせて考える必要があると思うのですが、いかがでしょうか、考えをお聞かせいただきたいと思います。
 次に、地方分権とこれからの広域自治体のあり方についてお伺いします。
 昨年四月の地方分権一括法施行や都区制度改革の実施など、分権改革がようやく実施段階を迎えました。私たちの身の回りのことはできる限り私たち自身の判断で処理しようというのが地方分権の根本的な理念であり、そのためには区市町村の事務権限を一層拡充すべきという主張に対し、私は心から賛同するものであります。あわせて、従来、行政が直接提供していたサービスのうち可能なものについては民間企業に任せようとすることや、企業や市民団体、NPOなどとの協働を進めていくことが時代の流れとしてとらえられており、都の都庁改革アクションプランも基本的にはそうした流れに沿ったものとなっていると理解しております。
 一例を挙げますと、介護保険制度は既に区市町村の役割になっており、また、民間企業や市民団体、NPOが介護サービスの提供者として参入してきております。私はこうした動きは歓迎すべきことと思っておりますが、より大きな鳥瞰的視点で見ますと、これからの都道府県のあり方について考えなければならないことが既にあらわれております。介護保険でさまざまなトラブルが起きますと、区市町村は都道府県を飛ばして国と直接やりとりをして解決を図るようになっているとのことであります。何となれば、区市町村の問い合わせに都道府県は明快な回答を示さず、そちらの役割であると身を引くというのであります。したがって、区市町村は直接国に指導を求めることになります。これは全く象徴的な例でありますが、こうした例が広がっていけば、国と区市町村の二層だけで効率的に仕事を進めていけるという主張も聞こえてきております。
 今後、分権が一層推進され、区市町村や企業、市民団体の役割、重要性が増す中で、都自身の役割は一体どうなっていくべきか、考慮すべき点であると思います。都庁改革アクションプランの中では、確かに都の役割を見直すことについても述べられております。都民の暮らしを守り、活動を支える分野に集中させていくこととなっていますが、実際にはこのままどんどん守備範囲を縮小していくということとならないか、基本的なお考え方をお示しいただきたいと思います。
 私は若いころ、アメリカのカリフォルニア州に長期滞在していたことがありますが、あそこの面積はちょうど日本と同じぐらいであります。これが一つの州で、合衆国五十州の一つであります。ところが、我が国は、たかだかアメリカの一つの州くらいの中に何と三千二百余りの自治体がひしめき合っています。おかげで、ちょっと車や電車に乗れば、たちまち隣の市、少し遠くに行けば隣の県というありさまであります。国土が狭いのを嘆いても仕方ありませんが、どうも我が国では、この狭い地面をさらに細かく区切って得々としているかの感があります。
 私たちの日常は、あちらの市で仕事をし、子どもは別の市にある学校に通い、あるいは違う区の町で食事や買い物をして、こっちの市にある我が家で寝るという、いわゆる広域的な生活が当たり前になっています。こうした状況のもとで、それぞれの区市は、住民ニーズにきめ細かくこたえよう、特色あるまちづくりをしようと一生懸命努力しているわけですが、そうした努力や意図に反して、いろいろ非効率的な冗費をもつくり上げているのではないかと思います。
 江戸の昔ならいざ知らず、交通機関や情報通信手段がこれほど発達した今日、狭い区域でちまちまとしたまちづくりを続けているのは不都合な話だと思います。私は、二十一世紀の我が国の自治体のあり方を考えるならば、もっと大きく取りまとめたものとして、効率的サービスや、より一体感のある町並み形成等を目指すべきと考えております。
 行政の長としての石原知事ではなく、政治家石原慎太郎として、新たな自治体像の構築についていかなるお考えを持っているか、お聞かせ願いたいと思います。
 次に、多摩地域の今後の発展を促す立場からお伺いします。
 本年一月、新たな多摩振興のためのビジョンとして、東京構想二〇〇〇に引き続き、仮称多摩の将来像と題する素案が発表されました。この中で、今後の多摩地域を発展させる要因として、貴重な人材や多数の大学、高い産業力、豊かな自然など、地域の個性や独自性が掲げられ、これらを生かしながら今後の多摩の発展を図っていくとしています。
 私も、素案で示されているように、現在の多摩地域は可能性に満ちた地域として飛躍的に発展する時期を迎えており、地域の潜在力を生かしながら多摩に取り組むことが必要であると考えております。特に、多摩地域のかけがえのない豊かな自然は、今後の多摩地域の発展を図る上で最も重要な要因であり、自然を守る、自然を生かす、自然と調和する、この三つの視点は、今後の多摩のまちづくり、地域づくりを進める上で不可欠であると考えております。
 都市の中の自然は、住民生活に潤いや安らぎをもたらすだけではなく、町並みに魅力と風格を醸し出す大きな要因の一つであります。私が改めて申し上げるまでもなく、多摩地域は市街地の中に多くの自然が残されております。身近な丘陵地周辺には里山や谷戸も残されており、湧水や崖線なども含め、まだまだ水や緑の空間が区部に比べれば豊富にあります。しかし、市街化の圧力により、農地の減少や森林の荒廃、湧水の枯渇など、自然の破壊が加速度的に進み、座視できない状況にあることが現実です。
 地域における緑で覆われた割合を示すみどり率を見ましても、この二十年間で何と六%も減少しており、緑が急激に失われつつあります。特に、私の地元であります小金井市のように、区部に引きずられる形で市街化が進んでいる地域では、この問題は深刻であります。一度失われた自然を回復するには長い年月と膨大なコストが必要なことは、改めて指摘するまでもないことであります。昨年十二月に発表された緑の東京計画で今後の緑の保全と創出が提言されておりますが、緑の保全に係る仕組みづくりも含め、今後、多摩地域に残されている自然をどのように保全していこうとしているのか、お聞かせいただきたいと思います。
 手おくれにならないうちに積極的に保全策を展開し、今あるすばらしい多摩地域の自然を損なうことなく次世代に残していくことは、私たちに課せられた重大な責務であると考えております。多摩の振興を図る上で考えなければならないのが、自然を保全した上で、その自然をいかに生かしていくかであると思います。
 石原知事は、昨年の第二定例会において、私の多摩振興にかかわる質問に対し、多摩地域には先端技術産業などが集積されており、大きく発展する可能性がある。また、奥多摩の山並みなどすばらしい自然を総合的に束ねて、東京の中での多摩の発展を図っていく必要があると答弁されましたが、例えば自然を自然のままとして都民の憩いの場として活用していくことは欠かせないコンセプトの一つではあると思いますが、それだけが多摩地域の振興のすべてではないと思います。私は、さらなる多摩地域の活性化を図るには、ただ待つのみではなく、環境負荷の少ない知識集約型の産業集積を東京都の産業政策の柱と位置づけ、戦略的に取り組むことが、多摩地域の自然を生かす上からも重要なことと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 次に、開発と自然環境との調和についてであります。
 現在不便を来している多摩地域の南北方向の交通網は、圏央道や南北道路の整備が進み、ようやく人や物の移動や交流が活発になろうとしております。こうした状況からも、住民生活の利便性を高め、地域の活性化を図ろうとするとき、道路などの都市基盤整備が欠かせないことは十分承知しております。だからといって、やみくもに開発が許されるわけではありません。事業計画を優先する余り、失念しがちになることが、今ある丘陵地や山の自然を壊さず、どう調和を図っていくかという点であります。
 そこで、東京構想二〇〇〇において提唱されている環状メガロポリス構造の実現のための基盤整備として、環状方向の連携や交流強化に向けた広域幹線道路ネットワークの形成についてただしておきたいと思います。
 この広域幹線道路ネットワークを形成する上で、多摩地域の開発が避けては通れないことは明らかです。したがって、事業着手に当たっては自然環境の調和をどう図るかが大きな課題となりますが、どのように対処をしていこうとお考えになっているのか、そのご所見をお伺いしたいと思います。
 次に、新世紀を支える人材の育成という立場から教育問題についてお伺いしたいと思います。
 家庭の教育力、地域の教育力、学校の教育力、それらの教育力が三位一体となってこそ初めて教育効果が遺憾なく発揮されるといわれていることはご承知のことと思います。しかし、まことに残念なことに、おのおのの教育力の低下が、今日の若者が引き起こす諸問題につながっているのではないかと思います。
 中でも私は、地域の教育力の低下が大きな問題であると考えております。少子化の進行ばかりでなく、住宅事情の変化等から、私どもが子どものころには厳然と存在していた地域社会が現在消滅しつつある状況の中にあって、地域の教育力の低下は避けがたいものとなってまいりました。だからといって、このまま手をこまねいていてよいことではありません。学校の教育力、家庭の教育力を高める方策以上に、地域の教育力を高めるため、意識的に取り組む必要があります。
 地域の教育力を高めるには、まずそれを発揮できる場をつくることが必要であります。こう申し上げると大事業のように思えるかもしれませんが、実は簡単なことであります。小中学校のグラウンドを初め学校施設を積極的に開放することによって、それは可能となります。現実に私の地元であります小金井市でも、土、日、祭日の余暇を割いて、熱心に少年軟式野球やサッカーの指導に当たっているお父さん、お母さん方がおられます。これなどは、現状における地域の教育力が発揮されている好例と思います。もし小中学校のグラウンドがもっと大幅に開放されれば、子どもだけでなく、多くの人々が利用するようになることは容易に想像できます。そうなれば、やがてさまざまな関係が生まれ、私たちの子どものころにあったコミュニティが形成されていくことは間違いのないことであると思います。そして、地域の教育力が無理なく発揮できる土壌がつくられていくことが期待できるのであります。
 公立小中学校のグラウンドの開放は、都と区市町村が決断すればすぐにもできることであります。もし大幅に開放することによって起きる不測の事態を懸念するのであれば、それを起こした人の自己責任となることを明示し、対応すればよいだけのことであります。地域の教育力を高めるための方策はほかにも種々考えられますが、可能性のあるところからすぐにでも始めるべきと考えますが、教育長のご所見をお伺いしたいと思います。
 将来の東京を託することのできる人間育成には、家庭、地域、学校のそれぞれの教育力を高めることが重要であり、それが知事の提唱する心の東京革命推進にも直接つながる道であることを申し上げておきます。
 最後に、都立高校のあり方についてお伺いします。
 教育庁によれば、開かれた高校を目指し、地域への施設の開放を進めているとのことですが、現状はどのようになっているのでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。
 以上をもって、少々早目ではありますが、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 藤川隆則議員の一般質問にお答えいたします。
 新しい時代の新たな自治体像の構築についてでありますが、さまざまなアクセスが発展したことで、世界もそうでありますけれども、この国自体も非常に時間的、空間的に狭くなってまいりました。人の行き来そのものの煩雑さをとらえても、つまり、人々の生活が広域化したという結果を生んでいると思います。そういう中で、国と都と、さらに区市町村のかかわりは当然本質的に変わってきたわけでありますけれども、しかし、それがどのようにこれから先、収れんされていくのか、また、いくべきかということはまだまだ定かではありません。
 その一番のバリアは、やはり実質的な中央集権というのがまだ続いているところにあると思います。そういう時代の変化の中で、さきに地方分権一括法もできましたが、繰り返して申していますように、税財源の分与というものが棚上げされているわけでありまして、そういう中途半端な状況の中で、各自治体のかかわりというのはどんどん変質しているわけであります。
 いずれにしろ、人々の生活の広域化に伴って東京圏で発生しているいろいろな問題を解決し、自治体がそれぞれみずからの責任と判断によって主体的に政策を展開する地方主権をしっかりと確立していく必要があると思います。
 今後策定する都政改革ビジョンⅡでは、現行制度にとらわれることなく、広域的な行政課題や住民に身近な行政課題にそれぞれ的確に対応していけるための都県や区市町村のあり方、さらにそのための権限移譲、新しい税財政制度の確立などについて検討を進め、新たな自治体を東京から造形していきたいと思っております。
 カリフォルニアもそうでありましょうけれども、例えば一つのカウンティーの中でも、隣り合った町と町がかなり性格が違って、教育の施設など一つ見ても、非常に進んでいるところと進んでいないところとありますが、あれは好ましくない例かもしれませんけれども、しかし、やはりそれぞれの自治体というものがそれぞれの条件というものを踏まえた個性を持つべきであると思います。それが強く要求される時代にもなってきたと思います。いずれにしろ、東京がイニシアチブをとって、東京圏における新しい地方自治体のあり方というものをつくり出していきたいと思っております。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) 二点の質問にお答え申し上げます。
 まず、小中学校のグラウンドの開放についてですが、地域の教育力を高めるために、学校教育に支障のない範囲で学校のグラウンドを開放することは極めて有効であると考えております。小中学校の施設開放につきましては、第一義的には設置者でございます区市町村が対応すべき問題ですが、都教育委員会としましても、地域社会に開かれた学校づくりの一環として、積極的な施設開放を要請してまいります。
 次に、学校施設の開放についてですが、都立学校の施設を地域に開放しますことは、都有施設の有効活用と都民の生涯学習振興等の観点から、重要なことであると考えております。
 現在、都教育委員会は都立学校において公開講座を全校で実施をしており、体育施設の開放につきましても、平成十三年度には全校実施をする予定でございます。また、会議室や特別教室等の施設を開放します都立学校学習・文化施設開放事業を進めております。
 今後とも、施設開放につきましては学校の意識を高め、施設設備状況や地域ニーズを踏まえて、施設開放の拡大に一層努力してまいります。
   〔労働経済局長浪越勝海君登壇〕

○労働経済局長(浪越勝海君) 二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、労働経済局の組織改正についてでございますが、東京の活力を取り戻すためには、産業構造の変化に対応した施策を展開する組織体制を整備するとともに、組織の簡素効率化を図ることが不可欠でございます。このため、産業政策部を新たに設置することにより、政策形成機能と総合調整機能を強化し、積極的かつ迅速に施策を展開してまいります。
 さらに、観光を新たに産業行政に位置づけるとともに、事業部門の再編統合を行い、今日的課題である創業・ベンチャー支援や就業促進などの施策展開や事業の再構築などを図ってまいります。これらの施策を推進するため、局名を産業労働局に改めます。今後、組織改正の目的を十分達成するよう努めてまいります。
 次に、環境に配慮した産業集積の形成についてでございますが、多摩地域の豊かな空間や良好な自然環境は都民にとって貴重な財産であり、多摩地域の発展を図る上で重要な要因となるものでございます。また、多摩地域には数多くの大学や研究機関が立地しており、情報通信産業やコンテンツ産業などの集積も進んでおります。
 今後とも、こうした多摩の特性を生かし、産・学・公連携を進めるとともに、自然や住環境と調和した産業振興という政策的視点のもと、環境に十分配慮した産業集積の形成を図ってまいります。
   〔総務局長大関東支夫君登壇〕

○総務局長(大関東支夫君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、PFI導入に当たっての基本的な考え方であります。
 ご案内のように、PFIは、民間の資金やノウハウを活用し、より効率的かつ効果的に事業を実施していくための一手法でございます。実際の導入に当たりましては、民間の創意工夫により財政支出の削減が期待できるか否か、より高品質なサービスを都民に提供できるかどうか、そして行政と民間とのリスク分担を明確にすることができるかどうか、こうしたことにより判断していきたいと考えております。
 次に、将来を見据えた職員の採用をすべきではないかというお尋ねがございました。
 今後、職員の大量退職期を迎えることを考慮いたしますと、ご指摘のとおり、組織活力を維持するためには、新規職員の採用をできる限り計画的に行うことが望ましいわけでございます。しかし、現在、財政再建を達成するための内部努力の一環として職員定数の削減に取り組んでいることから、新規採用者数につきましては、引き続き厳しい抑制を行わざるを得ない状況にあると考えております。
 次に、今後の都自身の役割についてでございます。
 IT革命など社会経済環境の変化や地方分権の進展などを踏まえ、複雑化、多様化する都民ニーズや大都市が抱える課題に的確にこたえていくためには、広域的自治体としての都が果たす役割を明確にしていくことが必要でございます。
 そこで、今回策定いたしました都庁改革アクションプランでは、都が果たすべき主な役割といたしまして、都民の暮らしを守り、活動を支えること、このほかに、区市町村の自主性、自立性を支援する、東京圏の魅力と活力を高める、そして多様な主体の活動を総合調整することを掲げたわけでございます。今後は、こうした役割をしっかりと果たし、首都東京の発展と都民生活の向上を図ってまいります。
   〔環境局長中野英則君登壇〕

○環境局長(中野英則君) 多摩地域に残された自然の保全についてでありますが、多摩地域には、山地、丘陵地の緑、農地、市街地の樹林など、特徴のある自然が残されております。こうした自然の特性に合わせ、緑の東京計画においては、里山などの保全地域の指定や農林業の活性化、自然との触れ合いの場としての活用など、市町村と連携しながら施策を展開し、緑を保全していくこととしております。
 また、緑の保全のためには、NPOなど民間の協力が必要であることから、広く都民の力を結集するための仕組みづくりをあわせて進めてまいります。
   〔都市計画局長山下保博君登壇〕

○都市計画局長(山下保博君) 多摩地域の広域幹線道路ネットワークの形成に伴う土地利用転換と自然環境との調和についてでございますが、圏央道や多摩南北道路の整備によりまして、都市間の連携、交流が活発化し、土地利用転換が大きく進むことはご指摘のとおりでございます。
 都は、多摩地域の貴重な自然環境に配慮して、土地利用を適切に誘導し、自立性の高い多摩地域を形成していくことが重要と認識してございます。このため、地元自治体とともに、自然環境と調和した土地利用となるよう、地区計画など地域特性に合わせた都市計画を定め、開発事業者などを適切に指導、誘導していきたいと存じます。

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