平成十三年東京都議会会議録第四号

○副議長(五十嵐正君) 二十一番田代ひろし君。
   〔二十一番田代ひろし君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○二十一番(田代ひろし君) 東京都は、平成十二年九月以来、知事を先頭に、全庁的な取り組みとして不正軽油撲滅作戦を展開してきましたが、これについて何点か伺います。
 環境確保条例がいよいよ四月一日から施行されますが、現在市場に流通している重機用燃料も、本条例の対象として、四月一日からは販売、使用が禁止されるのでしょうか。また、禁止されるならば、現在販売している事業所などへの周知は徹底されているのでしょうか。四月一日の条例施行まで残すところ約一カ月、細部を規定する規則はいまだに公表されておりません。与えられた時間は決して十分とはいえません。
 また、先月十五日、都は、ガソリンスタンド経営者を地方税法違反で地検に告発しましたが、現在もまちでは、一般よりかなり低い価格で軽油を販売している、限りなくグレーな事業所も見受けられ、不正軽油撲滅の道のりはまだまだこれからの感が否めません。撲滅作戦の進展状況と、これからの取り組みはどうなっているのでしょうか、お尋ねいたします。
 次に、消費者行政について伺います。
 昨年、都内の消費生活センターには、九万件を超える消費者からの相談が寄せられました。中でも、訪問販売、キャッチセールス、マルチまがい商法などの契約に関するトラブルがふえ続けており、事業者の行為も悪質化、巧妙化し、クレジットの利用により、その被害も高額化、深刻化している実態が明らかになっています。
 これまでも都は、消費生活センターにおける被害救済や業者指導などの対応を行ってきましたが、事業者名の公表などの厳しい処分はほとんどとられておりません。現在、全庁を挙げて不正軽油撲滅作戦が展開中ですが、私は、消費者に対する悪質商法についても、Gメンを設置するなど、総力を挙げた撲滅作戦が展開されるべきと考えます。ご所見を伺います。
 電子商取引の急速な拡大、遺伝子組みかえ食品などの登場、措置から契約という福祉サービスの変化など、現在消費者が抱える問題の様相は大きく変容し、商品に対して一層高い安全性を求める消費者の声がますます大きくなっております。
 そこで、このような社会経済状況の変化に即応した新たな消費者行政の展開が不可欠と考えますが、ご所見を伺います。
 二月八日、教育長は、教科書採択に関する通知の中で、教育委員会はその設立の理念に立ち返り、しっかりとその職務を果たすことを求めました。
 私は、このことが、長い目で見たとき、必ずや我が国の教育にとって画期的な分水嶺になるものと確信しております。と申しますのは、教育委員には、教育のかなめである教科書の採択に際して、今のような、ややもすると無責任で歪曲された手順を廃し、情報公開の理念に基づき、新学習指導要領に沿った最良の教科書を選ぶ責任があるにもかかわらず、ともすると、その職が、首長選挙の論功行賞の結果としてやりとりをされたり、特別な名誉職として自画自賛する風潮がまれに散見されることに、強い憤りを感じていたからであります。
 そこで、本通知に対する知事の所見をお伺いいたします。
 次に、臨海副都心の未利用地を利用した青少年の情操教育に関して、何点か提案させていただきます。
 臨海地域は、現在都内でも最も脚光を浴び、活気に満ちた場所です。昨年は約三千六百七十万人がこの臨海地域を訪れ、特に若者や地方からの観光客、修学旅行者などに人気が高く、外国の方々の姿も数多く見られます。しかし、まだ臨海副都心にはかなり多くの未利用地があると伺っています。
 そこで、私は、その未利用地を利用した、仮称マイスターフェスティバル、鉄人大会の開催を提案します。
 我が国には昔から、一生を通じてすぐれた作品を生み出すことに真摯に取り組む人々を、親方、職人さん気質、名人などと呼び、尊敬する風潮がありました。しかし、残念ながら最近では、人々がみずからの手とわざによって物をつくり出す作業を見たり聞いたりすることが大変少なくなり、今の青少年は、幾多の困難をみずからの創意工夫によって克服し、物をつくり出したときに得られる喜びや感動に思いをはせたり、想像する環境にあるとは到底いえないのであります。
 そこで、全国のさまざまな物づくりのプロ、親方といわれる方々に呼びかけ、ふだんから鍛錬されたプロのわざを披露していただいたり、時には見学者に参加してもらい、ある素材から一つの製品ができるまでのプロセスを見せて、物づくりの大切さを学んでもらうと同時に、その楽しさを味わえるようなイベントを、試しに、ベイエリアの一角で短期間開催するのはいかがでしょうか。
 私は、ものつくり大学は、一連のKSD事件の関連で報道されることが多いため、大学設立の理念自体はすぐれたものであるにもかかわらず、正当な評価が得られていないような印象を持っており、まことに残念に思っております。私は、このイベントを、人類にとって最も基本的な作業である物つくりが正しく評価、とうとばれる、かつての美風を取り戻す契機にしたいと考えます。
 本イベントの開催に当たっては、隣接する海辺を利用して、簡単な浮き橋や立ち網を架設し、広目の釣り堀をつくり、養殖の魚で十分ですので、放流し、そこで釣れた魚を調理し、食する場を設ければ、ナイフ一つ満足に扱うこともできず、もちろん魚をおろすことすら知らず、魚は切り身のまま泳いでいると思い込んでいる現在の青少年にとっても、貴重な体験となるでしょう。
 この一連のイベントは、心の東京革命の中で提唱されている体験学習の一環としての、トライ>チャレンジキャンペーンやアドベンチャースクールの趣旨にも沿うものと考えております。
 また、本イベントに参加することを、社会科見学などの課外授業の一環と位置づければ、教育上の効果も大いに上がることは間違いありません。
 私は、現在のように景気が落ち込んでいるときだからこそ、人々の夢や希望をかなえることができる何らかの施策を、ボランティアの方々の協力やPFIの手法を使って廉価な予算で打ち出すことが、東京の活力と自信を取り戻す確かな道と確信しております。知事のご所見を伺います。
 次に、先日、知事の施政方針演説にもお話がございましたが、JR新大久保駅で一月二十六日の夜、ホームから転落した男性を助けようとして、横浜市緑区のカメラマン、関根史郎さん、四十七歳と、荒川区東日暮里の日本語学校生の李秀賢さん、二十六歳が電車にはねられて死亡するという事故がありました。月命日に合わせ、知事からは見舞金が贈られたとのことですが、深く哀悼の意を表し、心からご冥福をお祈り申し上げます。
 この事故が報道された後、みずからの危険を顧みず人命を救助する人のニュースが続けて伝えられております。亡くなられたお二人の勇気ある行動が、日本人の心をいかに大きく揺さぶったか、よくわかります。単独太平洋横断や、前人未到の極地制覇、無血革命の成功なども英雄的行為ですが、日常にも英雄的行為は存在するのです。
 少し前のことですが、平成十一年十一月の新聞に、次のような事故の記事が載っております。
 二十二日午後一時四十五分ごろ、埼玉県狭山市の入間川河川敷に、航空自衛隊入間基地所属のT33Aジェット練習機が墜落、炎上したが、付近住民にはけがはなく、事故機は墜落の際、東京電力の高圧線を切断し、都内や埼玉県内で約八十万世帯が最高で約四時間にわたり停電。各地で鉄道や信号機が停止するなどした。
 近くの住民らの話を総合すると、同機は、河川敷の上空付近でガーンという爆発音をさせて左翼の先端から火を噴き、機体が炎に包まれた。その後、両翼を揺らしながら、住宅地への落下を避けるように河川敷に落下した。
 新聞の表題に大きく、「空自機墜落 高圧線切断」とあった事故です。航空自衛隊訓練飛行の空域の是非はあえて別の機会に譲りますが、事故当時たまたまその近くを通りかかった、狭山ヶ丘高等学校の小川義男校長が、「卒業生へおくるメッセージ」と題して、学校通信の中に、この事故を題材にした文章を寄せられており、その内容が、本事故の記事を読んだとき私自身が感じたものと大変似通っており、非常に印象的でした。
 ここで、その要点を簡単に紹介させていただきたいと思います。学校通信には、次のように書かれておりました。
 事故現場に立ち寄ると、既に付近は閉鎖されており、それほど遠くないあたりに白煙が立ち上るのが見えました。見上げると、高圧線がかなり広範囲にわたって切断されており、何カ所にもわたって、長くぼさぼさになった高圧線が鉄塔からぶら下がっているさまは、まさに鬼気迫るものがありました。
 聞くと、操縦していた二人は助からなかったそうです。二佐と三佐といいますから、相当地位が高く、かつ飛行時間も長い、熟練パイロットだといえます。二人とも脱出を試みたのですが、高度が足りなく、パラシュート半開きの状態で地面に激突し、命を失った模様です。
 以前、本校の卒業生が、防衛大学合格後、航空コースを選ぶというのを聞いて、あんな危ないものに乗るなと私がとめたことがあります。彼の答えはこうでした。校長先生、ジェット戦闘機は旅客機より何十倍も安全なのです。万一の場合、しっかりとした脱出装置がついており、座席ごと空中に打ち出されるのですから、墜落して死ぬようなことは絶対ありません。
 その安全な戦闘機に乗りながら、この二人の高級将校はなぜ死ななくてはならなかったのでしょうか。それは、彼らが十分な高度での脱出をみずから選ばなかったからです。恐らく、もう百メートル上空で脱出装置を作動させていれば、彼らは確実にみずからの命を救うことができたのです。四十七歳と四十八歳といいますから、家族にとりかけがえのない、とうとい父親であったでしょう。それなのに、なぜ彼らはあえて死を選んだのでしょうか。
 実は、あの墜落現場である入間川の河川敷は、その近くに家屋や学校が密集している場所で、柏原の高級住宅地は手を伸ばせば届くような近距離ですし、柏原小学校、中学校、西武学園文理高等学校もすぐそばにあります。
 百メートル上空で脱出すれば、彼らは確実に助かったでしょうが、その場合、残された機体が民家や学校に激突し、甚大な被害が起きる危険がありました。そこで彼らは、自分が助からないことを覚悟した上で、高圧線にぶつかるような超低空で河川敷に接近し、他人に被害が及ばないことが確実になった段階で、万一の可能性にかけて脱出装置を作動させたのです。
 死の瞬間、彼らの脳裏をよぎったものは、家族、奥さんや子どもさんの顔でしょうか。それとも、民家や学校を巻き添えにせずに済んだという安堵感でしょうか。
 他人の命と自分の命の二者択一を迫られたとき、迷わず他人を選ぶ、この犠牲的精神の何と崇高なことでしょう。私は、恐らく皆さんも同じコースを選ぶと思います。私も必ずそうするでしょう。実は、人間は、神の手によって、そのようにつくられているのです。
 人間はすべてエゴイストであるというふうに、人間を矮小化、つまり、実存以上に小さく卑しいものにおとしめようとする文化が、今日専らです。しかし、そうではありません。人間は本来、気高く偉大なものなのです。火災の際、逃げおくれている人があると知れば、消防士は、みずからの危険を忘れて猛火の中に飛び込んでいくではありませんか。母は我が子のために、父は家族のために命を投げ出して戦います。これが人間の本来の姿なのです。その愛の対象を、家族から友人へ、友人から国家へと拡大していった人々を我々は英雄と呼ぶのです。
 あのジェット機は、学校の真上をすれすれに飛んで河川敷に飛び込んでいきましたと、西武学園文理高等学校の佐藤秀樹校長は、パイロットの犠牲的精神に感動しつつ語っておられました。
 しかし、新聞は、この将校たちの崇高な精神に対して、一言半句の褒め言葉も発しておりません。彼らは、ただもう、自衛隊がまた事故を起こしたと騒ぎ立てるばかりなのです。防衛庁長官の言動も我慢がなりません。彼は、事故を陳謝することのみに終始していました。その言葉には、死者に対するいたわりの心が少しもありません。
 防衛庁の責任者が陳謝することは、それはもう当然です。国民に対してばかりか、大切な隊員の命をも失ったのですから。しかし、陳謝の折に、大臣はせめて一言、以上のとおり大変申しわけないが、隊員が、国民の生命、財産を守るため、みずからの命を犠牲にしたことはわかってやっていただきたい、自衛隊に反発を抱かれる方もあるかもしれないが、私にとり彼らはかわいい部下なので、このことをつけ加えさせてもらいたいくらいのことがいえなかったのでしょうか。
 隊員は命を捨てて国民を守っているのに、みずからの政治生命ばかりを大切にする最近の政治家の精神的貧しさが、ここには集中的にあらわれています。まことに残念なことであると思います。このような政治家、マスメディアが、人間の矮小化をさらに加速し、英雄なき国家、エゴイストのひしめく国家をつくり出しているのです。
 人は、他人のために尽くすときに最大の生きがいを感じる生き物です。他人のために生きることは、各人にとり自己実現にほかならないのです。
 小川校長は、学校通信の最後のところで、次のようにメッセージを送っております。
 国家や社会にとり有用な人物になるために、皆さんはこの学校で学んでいます。そのような人材を育てたいと思うからこそ、私も全力を尽くしているのです。受験勉強で精神的に参ることもあるでしょうが、これは自分のためだけではなく公のためである、そう思ったとき、また新しいエネルギーがわいてくるのではないでしょうか、と結ばれております。
 現在では、英雄という言葉が、ともすると軍国主義に結びつけられたり、自己中心的な行為と誤解されがちですが、英雄とは、家族から友人へ、友人から国家へと愛の対象を広げ、その対象のために尽くすことに最大の生きがいを感じる者であるという理解を、これからの青少年に求めていかなくてはならないと思います。知事のご所見を伺い、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 田代ひろし議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、教科書採択の適正化についてでありますが、先般の施政方針で述べましたとおり、我が国の歴史や文化を尊重し、国際社会の中で日本の未来を担う人材を育成するために、教科書は非常に重要な役割を果たしているはずであります。
 その教科書の採択権限を持つ、実際に持っている教育委員会は、その責任の重要性を十分に認識し、その権限を実施すべきであります。
 区市町村教育委員会の中には、実質的な採択行為を下部機関に任せてしまうなど、改善すべき実態があります。その結果、教科書がごく限られた一部の人たちの手で採択されるという、非常に悪い弊害を生んでおります。
 都教育委員会は、二月八日、教科書の採択に当たって改善すべき事項を指摘し、区市町村教育委員会に改めて通知いたしました。
 たまたま前後して、区長さん、それから、次の日には市町村の首長さんたちとの会合が都庁舎でございました。その際、それぞれの自治体の首長として、自分が任命した教育長、そしてその下にある教育委員会が当然の責任を、市民の負託を負いながら確実に実行するよう、首長としても十分にサポートしてもらいたいということを申しました。
 ことしは、新学習指導要領に基づく最初の教科書採択の年でありまして、都教育委員会として、今後とも教科書の適正かつ公正な採択が透明性を持ってなされるよう、区市町村教育委員会をなお強く指導していくべきと考えております。
 次いで、臨海副都心の未処分地を、物づくりの大切さを学ぶ場として活用することについてでありますが、大変結構なアイデアだと思います。
 私も子どものころ、学校の通学、特に帰り道、畳屋さんが畳をつくっていたり、あるいは工事場で大工さんが巧みにかんなやのみを使って物を削るのを、飽かずに仲間と一緒に眺めたことがございますが、いずれにしろ、物づくりは産業の基本をなすものと、最も大切にされなくてはならないと思います。
 子どもたちに物づくりの大切さを学ぶ機会を設けることは、情操教育としても非常に有益だと思います。臨海副都心の未処分地をそうした目的に沿って暫定的に活用していくことは、非常にすぐれたアイデアだと思います。
 次いで、次代を担う青少年に伝えるべき人間としての志についてでありますが、今、田代議員が引かれた二つの事例というのは、まさにその典型だと思います。
 私、以前、亡くなった三島由紀夫さんと最後の対談をしましたときに、人間は何のために死ねるかというのが話題になりました。そのときに、人間にとって最高の美徳は何だろうかという質問を編集者がしまして、三島さんが、答える前に二人で紙に書いて出し合おうということで、一種の入れ札をいたしましたら、期せずして二人とも自己犠牲と書きました。私の考え方も、三島さんの考え方も、決して間違っていないと思います。
 先般の新大久保のあの崇高な行為、それから、今おっしゃった入間の航空自衛隊の事故であの二人のパイロットが払った自己犠牲、これは軍人としても崇高な使命の遂行として私は高く評価いたしますし、あの新大久保の、転落した人を救おうとしてみずから命まで絶った二人にしても、人間として最高の行為、最高の責任というものを果たされた。それがゆえに日本人に強い感動を改めて与えたと私は思っております。
 いずれにしろ、みずからの死をいとわずに他人の生命を守るという、こうした勇気ある行為、つまり自己犠牲は、今日、大方の日本人が失ってしまった、人間としての究極の理念の姿であると思います。
 自己中心型の生き方が蔓延して、他者を思いやる気持ちが失われつつある現代社会に、こうした自己犠牲は大きな一石を投じるものでありまして、私たちが子どもにしっかりと教えて、伝えていかなくてはならない人間の志だと思います。
 他の質問については、関係局長から答弁いたします。
   〔環境局長中野英則君登壇〕

○環境局長(中野英則君) 環境確保条例の燃料規制についてでありますが、本年四月以降、販売や使用が禁止される燃料は、重油や重油混和燃料に加えまして、硫黄分が多い燃料、また燃焼性が十分でない燃料など、軽油の規格を満たさず、かつ大気汚染の原因となる物質の発生量が多い燃料でありまして、近日中に規則を公布する予定でございます。
 現在流通しております重機用燃料の中には、規制の適用を受けるものがございます。
 また、規制の内容につきましては、既に広報紙等で周知しておりまして、関係事業者等へも説明してきているところでありますが、今後は、燃料性状などにつきましても一層の周知徹底に努めてまいります。
   〔主税局長大塚俊郎君登壇〕

○主税局長(大塚俊郎君) 不正軽油撲滅作戦の進展状況についてでございますが、昨年九月から、主税局を中心に都を挙げて、大気環境を改善するため、多面的な作戦を展開してまいりました。
 作戦の遂行に当たりましては、アウトローの介在、広域かつ複雑な流通経路、末端ユーザーが容易に使用し得るなどの軽油をめぐる状況があり、この取り組みを困難なものとしております。
 不正軽油を撲滅するためには、製造、販売に携わる事業者だけでなく、都民一人一人が、自分たちの環境を守るためにそれを許さないという強い意識と認識とを持つことが大切であります。
 このため、区市町村及び関係団体に対しては、作戦開始後直ちに、東京都の取り組みについて理解と協力をお願いするとともに、各種広報媒体を通し、PR等を積み重ねてきたところであります。
 この結果、現在、都民の大きな反応に加え、それぞれ独自に具体的な取り組みを行うなどの動きが出ております。
 今後とも、区市町村を初め各関係団体と連携しながら、都民の幅広い支持と協力を得るための努力を行ってまいります。
 なお、東京都石油商業組合、東京建設業協会など民間五団体から成る不正軽油撲滅推進協議会の場で、近々、不正軽油をつくらない、売らない、使わないという趣旨を盛り込んだ不正軽油撲滅東京宣言を採択し、これを公にする予定であります。
   〔生活文化局長高橋信行君登壇〕

○生活文化局長(高橋信行君) 消費者行政について、二点お答えいたします。
 まず最初に、悪質商法への対応でございますが、ご指摘のとおり、悪質な事業行為が年々増加し、その手口もますます巧妙化しております。
 こうした状況に対応するため、悪質事業者情報を的確に把握するとともに、庁内関係部所及び警視庁等と連携し、迅速な事業者指導が行えるよう、新たに機動的チームを編成するなど、新年度から体制を強化したいと思います。
 消費者被害の拡大を未然に防止するため、都民への情報提供をより積極的に行うとともに、とりわけ悪質で被害が拡大するおそれがある場合は、営業停止、事業者名の公表等、厳正な対応を行っていくつもりであります。
 次に、新たな消費者行政の展開についてでありますが、規制緩和の一層の進展、IT革命や生命工学の発展などに伴い、都民の消費生活を取り巻く環境は大きく変化しております。
 そのため、不適正事業者の摘発の強化、遺伝子組みかえ食品への都独自マークの表示、電子商取引による消費者被害情報の提供や事業者指導など、新たな課題に早急に取り組んでまいります。
 今後、さらに施策の総点検を行い、公正な取引環境の維持と、商品、サービスの安全確保を柱として、時代の要請にこたえた消費者行政を構築してまいります。

○議長(渋谷守生君) 先ほどの十四番くぼた光君の質問に対し、住宅局長より発言の申し出がありますので、これを許します。
   〔住宅局長戸井昌蔵君登壇〕

○住宅局長(戸井昌蔵君) 先ほど、くぼた先生のご質問に、二点、ちょっと答弁漏れがございましたので、答弁させていただきます。失礼いたします。
 それは、分譲マンションの劣化診断等についてでございます。東京都におきましては、マンション改良工事助成事業により、マンションの修繕工事のほか、給排水管などの劣化診断も利子補給の対象としているところでございます。この事業は、管理組合の関心が高く、これまでも年間おおむね三千戸を超える実績がございます。
 なお、無利子化につきましては、他の融資制度とのバランスや負担の公平性の観点から、適切でないと考えております。
 なお、今後、対象戸数の増加につきましては、今後の実施状況を見ながら判断してまいりたいと考えております。
 それから、もう一点でございますけれども、実情の把握についてでございますが、マンションの適切な管理を維持するためには、都民に身近な区市町村による実情の把握が重要でございます。このため、昨年度、東京都は分譲マンションの実態調査に対する補助制度を創設し、区市町村を支援しているところでございます。
 都といたしましても、この調査結果を参考にし、分譲マンション施策を推進してまいります。

○議長(渋谷守生君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時八分休憩

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