平成十三年東京都議会会議録第三号

○副議長(五十嵐正君) 六番松原忠義君。
   〔六番松原忠義君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○六番(松原忠義君) ことしの二〇〇一年は、二一〇〇年に向けての百年に一度の年であります。国家百年の大計という言葉がありますが、まさに百年先の日本と東京を見据えて、羽田空港に関する質問をいたしたいと思います。
 私のこの質問が初夢に終わることなく、いずれご検討のたたき台の一つになるようでしたら、まことにありがたいと思います。
 石原知事は、就任以来、首都機能移転断固反対を唱え、そのキャンペーンに奔走されております。もとより、私ども東京都民は絶対反対であると思います。東京都民だけの反対ではエゴになると七都県市と連携をとり、共同戦線をとっていることも大賛成であります。都の調査のとおり、首都機能移転は膨大な税金のむだ遣いであり、景気もよくならず、莫大な赤字国債を抱えているのに、移転に賛成する国会議員の神経が理解できません。
 いうまでもなく、東京は日本の政治、経済、文化の中心であり、世界を牽引する世界代表都市の一つであります。首都機能を移転するということは、世界屈指の主要都市であることを放棄することですから、国益上からも断じて許せるものではありません。
 今、日本にとって必要なことは、東京を日本の顔、世界をリードする、最先端の調和のとれた都市として再生することにあります。首都東京を再生する象徴的な場所はどこかといえば、それは東京湾最後の用地である羽田空港の跡地であると考えます。
 跡地利用については、長年にわたり、国、都、区の三者協で話し合われてきました。そして、跡地利用面積はこれまで二百ヘクタールといわれてきて、地元大田区も跡地利用の計画案をまとめ、都も中間のまとめをしたこともあります。
 しかし、国は昨年暮れに、百ヘクタールは空港関連施設用地として残し、七十七ヘクタールを跡地利用の用地としたいと今までの態度を一変しましたが、私は地元を代表する議員の一人として、到底納得できるものではありません。
 しかし、残念ながら、跡地は国の土地なのですから、国も賛成せざるを得ない案を出さなければならないと思います。その案は何かといえば、首都機能を跡地へ移転したらどうかということです。総理官邸も新しくつくりかえることですし、今の国会議事堂や政府機能はそのままでいいのです。
 ご承知のとおり、今、国会移転には三候補地が挙がっていますが、移転先の決まった候補地だけは喜ぶかもしれませんが、他の日本国じゅうの人々は反対することは明白なことであります。長い間、国会は東京にあるのですから、日本国じゅうで最も交通の便がよくなる羽田に、コンパクトで機能的で、内容の充実した新第二国会を別につくればよいと思います。
 羽田は、北は北海道から南は九州まで、一時間か一時間半で結ばれています。日帰り国会も十分可能になります。そして、私は、国会だけではなく、全国都道府県会館や全国市区町村会館もつくり、そのための会議場や宿泊施設をつくり、さらに全国の物品や産業の取引センターや、文化交流の場もつくったらよいのではないかと考えます。
 ご承知のとおり、全国には約三千三百の地方自治体がありますが、東京で土地を買い、建物を建てれば、すぐ何億円とかかります。一つの地方自治体が一億円出資してつくれば、三千三百億円が集まります。この東京都庁の建設費は約千六百億円だったと聞いていますから、二つできることになります。
 政府機能等のほかに、臨海部に国際研究交流大学村もできますが、私は世界各国の商取引センターをPFIや民間資本でつくったらよいと思います。世界の経済取引が瞬時にしてできます。日本だけではなく、世界の政治経済の中心地を跡地につくることになります。そして、もしスペースがあれば、世界の食ゾーンや文化、芸術、ファッション、スポーツ、最先端医療施設などを、これも民間資本でつくったらよいと思います。
 そして、二〇〇三年に品川まで来る東海道新幹線を羽田空港まで結んでしまえば、さらに便利になります。また、首都圏の物流を担う東京港をより一層充実させることにより、陸・海・空軍ではなくて、陸・海・空の連結ができ、羽田空港地域は、文字どおり日本の玄関、世界の顔となり、東京再生への出発点になることは間違いないと思います。
 私のこのような考えについて、知事はどのような感想を抱かれたかをお尋ねいたします。
 東京構想二〇〇〇を実現していくには、七都県市の緊密な連絡が不可欠であります。特に、東京や首都圏は、日本を牽引する重要な役割を担っており、都、県、市の境界を超えた広域的連携を推し進め、首都圏全体が一体となって活力向上を目指す時代に入っていると思います。
 国は外交、防衛、予算、全国広域行政に徹し、道州制に移行するべき時代に入ってきていると思いますが、知事は道州制についてどのような見解を持っているのか、お尋ねをいたします。
 羽田空港には、国民の二人に一人が利用し、二、三分に一回は離発着しています。一日平均十五万から十六万人が利用し、付近には燃料タンクなどがあります。空港面積は約千二百ヘクタールと、大変大きな面積があります。羽田空港で大事故や大災害が発生したとき、羽田空港の防災対策は大丈夫なのか、非常に心配です。
 まず初めに、空港施設の震災対策はどのようになっているのか、伺います。
 空港の防災対策は国の所管事項ということですが、国に任せ切りではなく、都も積極的に連携をとり、安全で万全な防災対策を講じることを望みます。できれば、機会をとらえて都がイニシアチブをとり、国や地元大田区にも働きかけ、羽田空港や跡地で大規模防災訓練を行うよう要望いたします。
 現在の羽田空港内での消防施設は、蒲田消防署の分署だけです。事故や惨事が起こったとき、今のままで対応できるのでしょうか。しっかりと消防機能を備えた施設をつくるべきだと思いますが、ご所見を伺います。
 羽田空港の交通アクセスについて伺います。
 昨年一月に、羽田空港から江戸川に至る区部周辺部環状公共交通が運輸政策審議会の答申に盛り込まれると同時に、京急空港線と東急多摩川線を短絡する路線を十五年以内に工事に着手する路線として、同じく答申が出されました。地元区としては大変喜んでいますが、十五年というとすぐに来てしまいますが、この答申を受けて、今後どのように取り組もうとなされているか、お尋ねをいたします。
 あわせて、二月一日に、森首相とともに、知事が京浜急行蒲田駅付近の踏切の視察に来られ、森首相から高架化をやりますという言葉を引き出したことは、長年、京浜急行の高架化促進に取り組んできた一人として、大変うれしいことでした。大森町駅と梅屋敷駅との間の京浜急行の連続立体交差事業の未認可区間の今後の見通しについて伺います。
 また、京急蒲田駅については、大変重要な駅施設の改善事業が連続立体交差事業と一体的に実施されることとなっています。すなわち、羽田空港アクセス強化のために必要な駅の二層高架化や空港線の複線化であります。これらの事業は大規模であり、膨大な事業費を必要としますが、この事業についても、あわせて前倒しして実施することが必要となっています。
 そこで、連続立体交差事業の進捗にあわせて、駅施設の改善事業が一体的に進められるよう、都としても支援を行う必要があると考えますが、ご見解を伺います。
 次に、東京湾岸地域の連携強化の観点から、東京港臨海道路の整備促進について伺います。
 東京湾岸地域の連携を図る上で、広域道路ネットワークの強化が必要であります。東京周辺の広域道路ネットワークを見ると、東京湾の部分で環状形態の一部が欠けています。この欠落部を補完する位置にある第二東京湾岸道路は、重要な動脈路線となります。この第二湾岸の一般道路版といえる東京港臨海道路の意義は極めて高く、神奈川・城南地域と千葉・江東地域との連携が格段に向上します。
 東京港臨海道路の第一工区については平成十三年度に完成するようでありますが、第二工区についても速やかに着手すべきであると考えますが、その取り組み姿勢をお伺いいたします。
 昨年十二月の第四定例会で、石原知事は桟橋方式の新滑走路案を発表し、亀井政調会長が十二億円の調査費をつけました。地元の中には埋立方式でもいいのではという意見がありますが、なぜ桟橋方式を提案されたのか、お尋ねをいたします。
 次に、知事が町会、自治会に対しどのような認識を持ち、どのように期待しているのかをお尋ねしたいと思います。
 知事は衆議院議員を二十五年間お務めになられましたが、そのとき、町会や自治会の方々とも接触を多く持たれたと思います。私は町会長をやっています。恐らく都議会議員では私一人かもしれません。町会、自治会は全くの任意団体ですが、各行政機関との結びつきは戦争前からで長く、国、都、区市の各行政と密接につながっております。
 町会、自治会(長)の推薦に基づき委嘱される委員として、各種統計調査員、国勢調査員、工業統計調査員、石油等消費構造統計調査員、事業所・企業統計調査員、商業統計調査員、商工業実態基本調査員、住宅・土地統計調査員、サービス業基本調査員があり、これらは国が企画して、区が実施しています。
 そのほかに、民生委員、児童委員、投票管理者、投票立会人、明るい選挙推進委員、公園管理人、わがまち大田地区推進委員、青少年対策地区委員会委員、体育指導委員、青少年対策委員などを町会、自治会の推進に基づき、委嘱されています。
 そのほか、区報を配布したり、防災市民組織や市民消火隊をつくり、町会、自治会の防災活動に熱心に取り組んでいます。さらに、まちの防犯灯を管理し、日赤の社資募集、共同募金、歳末助け合い運動を行っています。
 そしてさらに、春、秋の交通安全運動や防犯活動で警察に協力し、春、秋の火災予防運動や防災訓練、年末の夜警、歳末警戒で消防や区役所、警察に協力しています。また、瓶、缶、古紙のリサイクル活動、郵便局や税務署との連絡もしています。小中学校の入学、卒業、文化祭、運動会などの行事に参加したり、老人クラブのお世話もしています。
 そのほか、町会独自の新年会、運動会、盆踊り、ラジオ体操、日帰り旅行、忘年会、祭礼、葬儀の手伝い等々、町会、自治会活動は実に多岐にわたっています。
 日曜、祭日もありません。隣人とおつき合いし、町会を愛する町会長や役員の方々の献身的な手助けによって支えられています。そして、幾つかの町会がまとまって地域社会を形成しています。もし町会、自治会というものがなかったら、地域社会というものがなくなってしまうと私は思います。
 日本が戦争で負けたとき、財閥が解体され、公職追放がされましたが、同時に、日本のよき伝統である家族のあり方や町会、自治会のあり方も変更されたように思います。町会は地域社会の原点であり、家庭と同じく、温かい居心地のよい場所でなくてはなりません。東京砂漠で、隣は何をする人ぞではいけないと思います。
 前置きが長くなりましたが、知事にお尋ねいたします。(笑声)知事は、町会、自治会というものをどのように認識し、期待しておられるのかお伺いいたします。
 各区市の区長や市長は、町会、自治会と実に上手に連携をとり、行政を行っていますが、都と町会は遠い存在になっている感がしてなりません。もっと身近に都政を感じてもらうために、例えば、各区市の区長と市長に、知事が月に一度は合同で定例会を持ち、気軽に相互の情報交換をなされ、ともに東京の課題やまちの発展を考える機会を設けられたらよいかと思います。
 各町会、自治会には自前で町内会館を持っているところと、そうでないところがあります。都では、百戸以下の都営住宅はなるべく早く区に移管しようと打ち出してから、もう十数年近くも経過していますが、このようなところを初め、都営住宅の集会室や一階の空き部屋などを町会、自治会の集会室として利用させていただくと大変ありがたいのですが、都の考えをお尋ねいたします。
 次に、産業振興について伺います。
 一部、質問が先ほどとダブりますけれども、何としても商店街を守りたいという気持ちから、あえて質問をさせていただきます。
 私の地元大田区においては、この大変厳しい経営環境にある中で、商店街においても、また、物づくりにたけた町工場においても、懸命な経営努力をしています。こうした商店街や町工場においては、これまで地域コミュニティの形成やまちづくりの大きな推進役を果たすとともに、働く場の提供機能として、その意義は大変大きなものがあり、単に事業の経営のみによる貢献のほかに重要な役割を果たしてきています。
 しかし、経営者の実情を見ますと、例えば、商店主の年齢は平均で六十一・三歳と高齢化し、また廃業を考慮する者が三二%、後継者がいなくて困っている者が九%と、このように約四割の方が高齢化と後継者難で瀕死の状態にあります。これでは、十年もすれば半分、二十年すれば特殊な商店を除いてはなくなってしまうと思われるので、先ほどから質問が相次いでいるのだと思います。
 しかし、こうした状況が進まないよう、都としても、これまで延命の措置として、税の軽減や融資などの対策が図られてきていますが、これらの対策のみでは限界があるものと考えます。
 そこで、産業振興の重要な視点となる小規模、零細商工業者対策関係について、何点か伺います。
 まず、商店街や町工場が地域のまちづくりに果たす役割は、今後もますます重要になってくるものと考えますが、このことに対し、都はどう認識しているのか伺います。
 こうした地域のまちづくりに影響力の強い商店街や町工場の活性化を図る観点から、ITの活用が有効と考えますが、どのように考えているか伺います。
 都は、各種商店街対策を積極的に進め、かなりの成果を得ているものと思います。具体的にどのような事例があるのか、お尋ねをいたします。
 また、商店街は地域コミュニティの中核としての活動が求められているが、まちづくりの中で、地域と商店街との協働による活性化の成功事例はどのようなものがあるのか伺います。
 そして、後継者づくりは、今後のまちの発展や商店街経営と企業の発展にとって、大変重要な課題であります。このことについて、今後どう対応していくのか伺います。
 次は、技能検定場の確保について伺います。
 この件につきましては、前々からの懸案事項となっております。技能検定の実技試験を実施する場所が不足しています。とりわけ、建設業関係の配管、防水、鉄筋組み立てなどの職種では火や水を使い、広い検定場と、自前の工具類を運ぶために広い駐車場が必要であるため、不便ながら越境して、千葉市の千葉ポリテクセンターまで行っているのです。天下の東京都にこのような施設がないのは情けない話です。
 私も、技能検定場として、大田区の産業プラザや都立高校の体育館などが利用できないかといろいろと調べましたが、消防法の制約から困難でした。水道局や下水道局にも、今のところ適切な場所はないようです。
 都の未利用地がうまく使え、専門の検定場が確保できれば、それにこしたことはありません。財政の問題から専門施設の建設は難しいとしても、都立職業高校、都立技術専門校に分散したり、廃校となる都立高校の施設を利用するなどの工夫ができるのではないでしょうか。
 技能検定場の確保について、今後どのように取り組まれるのか、お伺いをいたします。
 次に、中小企業の海外取引支援について伺います。
 中小企業における海外との取引は、国策として、戦後間もなく始まった本格的な輸出振興を経て、為替の変動相場制への移行、貿易黒字などがクローズアップされ、輸出環境は構造的に大きく変貌を遂げてきています。
 そうした状況の中で、都内の中小企業においては、海外に輸出される部品や製品に携わる企業が依然として多く存在しており、環境変化に対応した取引を支援していくことはますます重要な課題であると考えますが、これまで海外取引支援についてどのような対策を講じてきたかを伺います。
 また、輸出取引のリスクを救済するための輸出手形買取損失てん補制度は、昭和二十九年に制度が発足して以来それなりの成果をもたらしてきましたが、その実績がピークどきの十分の一に低下するなど、再検討の必要があると考えますが、どうでしょうか。
 現在、大田区においては、すぐれた技術や製品開発を全世界に情報発信していくための国際コールセンターが開設されるなど、海外取引の活発化に懸命の努力がなされています。
 一方、具体的な取引の成約のためには、製品、技術を目の当たりとするフェース・ツー・フェースの商談も大変重要であり、これなくしては真の取引に至らないのも現実です。
 そこで、都としては、具体的な成約に向けてどう対応しようとしているのか伺います。
 また、先ほどの三宅議員の質問でございますが、ぜひとも商店街に対するプロジェクトチームの検討を要望いたしまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 松原忠義議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、羽田空港の跡地利用についてでありますが、空港は国家の玄関口として、その国の文明を表象する施設でもありまして、まさに羽田空港はその役割を担っていると思います。
 その移転跡地は東京や日本にとって重要な空間でありまして、空港隣接地にふさわしい、あくまでも国家的な利用計画を立てるべきだと思います。どうも私は、ちょっとそこへ新しい国会をつくるには、余りぞっとしないんですけれどもね。(笑声)
 例えば、これは大山さんなんかとやってきたことでもありますけれども、海老取川の向こうに大谷重工の大きな空き地がありましたり、荏原製作所もやがて千葉の方へ移るようでありますから、そうすると、そこにできる跡地などというものは、羽田の敷地の中に何をつくるかとのかかわりで、またいろいろ案が出てくると思いますが、いずれにしろ、国家的な利用計画というものを考えるべきだ。今後、関係者と協力し合って、よりよい利用計画を定めていきたいと思っております。
 それから、道州制についてでありますけれども、明治以来百年を経た現在の四十七都道府県の区割りというものは、本当に近年の社会的変化に対応できなくなっていると思います。
 東京や東京圏を見ましても、市街地が都県を越えて広がる中で、また、東京の昼間人口というのは、他県から来る方々が二百万を超すような数を占めておりますし、その他、ディーゼル車対策や、その他の社会資本整備とか産業廃棄物対策など、広域的な対応をしなければ問題が解決できない形になっております。
 今後策定する東京都政改革ビジョンⅡでは、このような問題にも的確にできるよう、道州制論も視野に入れながら、より機能的な新しい広域的な自治体について検討していきたいと思います。
 自民党が野党に転落しましたときに、私、自民党におりまして、みんな自信なくしてたんで、依頼を受けまして、二十一世紀への橋という新しい政策綱領をつくりました。あれをやってりゃ、自民党は今日まで零落しなかったと思うんですけれども(笑声)どっかへ行っちゃったみたいでありますが、そこでも道州制の問題を割と具体的に披瀝したつもりでございます。
 いずれにしろ、これはやがては実現されなくちゃいけない一つの政治的な課題と心得ております。
 それから、町会、自治会に対する認識と期待についてでありますけれども、私の子どものころは隣組というのがありまして、とんとんとんからりと隣組、格子をあければ顔なじみという、非常に稠密な地域社会というものが身近にございました。
 地域における活動の担い手にもさまざまな主体がありますが、中でも、町会、自治会というのは、世代を超えた親睦や交流に取り組む非常に大切な地域コミュニティのかなめであります。また、防災や環境、教育、福祉などの分野で、都や区市町村と地域住民のパイプ役として、非常に大きな役割を果たしておられます。
 例えば、春、秋の交通週間に、何をしていらっしゃるのかよくわかりませんけれども、テントを張って、顔なじみのおじいちゃん、おばあちゃんが座っているというのも、何かの万が一の体制に備えての、あれはやっぱり一種のほほ笑ましい日本的な光景だと思いますし(笑声)また、外国にはない地域の消防団もあったりしまして、私はそういう点で、町会、自治会というものを核にした地域社会というものをもっと大事にしなくちゃいけないと思っております。
 都政の大事な問題の一つでもあります首都移転反対にも、署名活動や一万人集会への積極的な参加をご協力いただきまして、さらには、東京空襲犠牲者を追悼し平和を祈念する碑の建設募金なども大変町会、自治会に協力をいただいております。
 今後とも、都民一人一人の力が東京を変える推進力となりますように、地域の取りまとめ役であります町会、自治会の活躍に、都としても非常に期待をしております。
 他の質問については、関係局長から答弁いたします。
   〔都市計画局長山下保博君登壇〕

○都市計画局長(山下保博君) 羽田空港に関する四点のご質問にお答えいたします。
 まず羽田空港の空港施設の震災対策についてでございますが、空港ターミナルにつきましては、大量の旅客が利用することや施設の重要性から、耐震性に十分配慮した設計となっております。
 また、滑走路につきましては、昨年供用開始されたB滑走路に、我が国の空港として初めて耐震性強化対策が施され、地震に強い施設となっております。
 こうしたことから、震災時における空港の安全性は十分確保されるとともに、羽田空港は震災時に輸送拠点として活用されることになっております。
 次に、京急空港線と東急多摩川線を短絡する路線についてでございますが、本路線は、京浜急行の大鳥居駅と東急の蒲田駅を連絡する路線として、運輸政策審議会答申第十八号に位置づけられました。現在、国土交通省におきまして都市鉄道調査として検討が行われておりまして、都も鉄道事業者とともにこの調査に参画しております。
 今後、この調査結果や、並行して構想されております区部周辺部環状公共交通の検討状況などを踏まえまして、必要な対応を図ってまいります。
 次に、京急蒲田駅の改善事業に対する支援についてでございますが、京急蒲田駅の改善によりまして、運転間隔の短縮や横浜方面からの乗り継ぎ利便性の向上など、羽田空港へのアクセス機能の強化を図ることは大変重要な問題だと認識しております。
 この観点から、平成十三年度より、駅施設の改善に対して国及び地方公共団体が補助を行います鉄道駅総合改善事業制度を導入することとしております。これにより、京急蒲田駅整備を促進し、羽田空港へのアクセス機能の強化を図ってまいります。
 最後に、羽田空港の桟橋方式による再拡張案についてでございますが、埋立方式などと違いまして、都が提案いたしました桟橋方式は、首都圏の空港容量が絶対的に不足し、危機的状況にある現状におきまして、何よりも早期に建設が可能な案となっております。
 また、小型船の航行ルートを確保できることや東京湾の環境に与える影響が小さくできることなどから、埋立方式に比べてすぐれております。
 今後、羽田空港の再拡張を国が一日も早く正式に決定し、着工するよう強く働きかけてまいります。
   〔消防総監池田春雄君登壇〕

○消防総監(池田春雄君) 羽田空港に対する消防体制についてでございますが、当庁では、過去航空機災害に対して効果的な活動を行ってきたところでございます。また、さらに迅速な活動体制を強化するため、蒲田消防署空港出張所を分署に昇格するとともに、消防力の強化を図ってきたところであります。
 現在、羽田空港内で航空機事故などの災害が発生した場合、大規模災害出場計画等の事前計画に基づき、空港分署はもとより、消防救助機動部隊など周辺消防署所から、大型化学車を初め、救助車、救急車など各種部隊を集結させ、組織的な消火及び救助、救急活動を行うこととしております。
 さらに、航空機事故に備え、地元医師会等、関係する機関と連携した訓練を毎年実施しているところであります。
 一方、現在の空港分署は老朽、狭隘化が著しく、加えて、空港の沖合展開に伴い、地理的にも遠隔になっている状況から、消防施設の充実を図るため、関係機関と折衝を重ねてきたところであります。今後とも、その実現に向けて努力していく所存でございます。
   〔建設局長古川公毅君登壇〕

○建設局長(古川公毅君) 京浜急行線連続立体交差事業の未認可区間の今後の見通しについてですが、都としては、全線約六キロにわたる区間の早期事業完成を図ることが重要と認識しております。そのうち、工程上急がれる環八踏切周辺と京急蒲田駅付近の約四・五キロについて、国と調整の結果、昨年十二月に事業認可を取得しました。
 お尋ねの大森町駅と梅屋敷駅付近の約一・五キロについては、関係機関と調整を図り、平成十三年度には事業認可を取得し、全区間の同時完成を目指します。
   〔港湾局長齋藤哲哉君登壇〕

○港湾局長(齋藤哲哉君) 東京港臨海道路第二工区の整備についてお答え申し上げます。
 ご指摘のように、東京港臨海道路は、東京湾岸の城南地域と江東地域を東西に結びつけ、神奈川から千葉に至る一連の地域の連携を強化するとともに、東京臨海地域の発展や港湾物流の効率化、さらには都心部への交通集中を大幅に緩和し、東京再生に大きく寄与する重要な路線でございます。
 こうした認識のもとに、東京構想二〇〇〇では、東京港臨海道路の第二工区の整備を三カ年推進プランに位置づけており、今後大幅な国費の導入を図り、平成十四年度からの調査、設計の着手を目指して積極的に取り組んでまいります。
   〔住宅局長戸井昌蔵君登壇〕

○住宅局長(戸井昌蔵君) 都営住宅を町会等が集会所として利用することについてのお尋ねでございます。
 都営住宅団地の集会所には、居住者用に建設された集会所と近隣町会も共同利用できる地域開放型集会所の二種類がございます。平成十二年四月からは、既設の居住者の集会所につきましても、団地自治会と近隣町会が覚書を締結した場合については、近隣町会や住民も利用できることといたしました。
 今後とも、地域に開かれた都営住宅となるよう努めていく所存でございます。
   〔労働経済局長浪越勝海君登壇〕

○労働経済局長(浪越勝海君) 産業振興についての何点かのご質問にお答え申し上げます。
 まず、商店街や町工場がまちづくりに果たす役割についてでございますが、商店街や町工場は、地域社会で雇用の場を創出するほか、地域住民の生活の場の提供、地域コミュニティの維持など、地域経済の活力を支える上で重要な役割を担っております。
 また、地域活力の再生、高齢社会への対応、環境問題など今日的課題の解決のために、まちづくりと産業活動の一層の調和が求められております。
 このことを背景に、中心市街地活性化法などいわゆるまちづくり三法も施行されており、商店街や町工場がまちづくりに果たす役割はますます重要になるものと認識しております。
 次に、商店街や町工場のIT活用についてでございますが、ご指摘のとおり、今や商店街や町工場の活性化を図る上でITの活用は有効なものとなっておりますが、その活用状況はいまだ十分でないものと認識しております。
 都はこれまでも、地域情報リーダー養成講座の設置、活力ある商店街育成事業や中小企業振興基金事業などにより、IT導入を積極的に進めてきております。
 今後、これらに加え、新たにものづくりIT融合化支援、商工会連合会へのIT化推進指導員の配置や制度融資における融資対象の拡大など、商店街や町工場などのIT化を積極的に推進してまいります。
 次に、商店街対策における最近の成功事例でございますが、上野中通商店街振興組合においては、大江戸線開通を契機としてモール化によって集客力の向上が図られるとともに、商店街の活性化に寄与するなどの成果を上げております。
 また、戸越銀座・銀六商店街振興組合では、空き店舗を活用した銀六ブランドの開発、販売と、環境負荷の軽減を目指したエコステーションの取り組みによって、商店街のにぎわいの再生と集客力向上が図られております。
 さらには、元気を出せ商店街事業を活用し、大江戸線開通を契機にした各種イベントが麻布十番商店街振興組合など九つの商店街で展開され、新たな集客やにぎわいが創出されております。
 次に、地域と商店街との協働による活性化の事例でございますが、例えば、早稲田大学周辺の七商店街による連合組織において、地域住民の参画を得たリサイクル事業や全国十六商店街をインターネットで連携した宅配事業を展開しているケースがあります。
 また、笹塚、幡ヶ谷の十商店街連合である、ささはたドットこむ実行委員会が、ITを駆使して、地域住民からの意見集約や商店街の商品情報の提供を行っているケースもございます。
 次に、中小企業の後継者づくりについてでありますが、後継者の確保は、ご指摘のとおり、商店や町工場の事業の継続や商店街や町の発展にとって大変重要な課題であると認識しております。
 したがって、都は、商工指導所による各種講習会や研修会などにより後継者の育成に努めるとともに、後継者への円滑な事業継承を図るため、中小企業の事業用資産相続時の負担軽減措置について、国に対して要望してきたところでございます。
 今後とも、これらの取り組みの充実強化を図るとともに、商店街連合会が取り組む商業人塾など後継者育成事業に対し、積極的な支援を行ってまいります。
 次に、技能検定場の確保についてでございますが、ご指摘のように、現在、建築配管業界などから、技能検定の実技試験会場の確保などについて要望が出されております。
 しかし、建築配管などの職種に関して専門の検定場を設置することは、適地の選定、利用効率、管理体制に加え、都の財政事情からも非常に困難な状況でございます。
 都としても、実技試験会場の確保の必要性は十分認識しており、引き続き関係者と連携を密にして、技術専門校に付設した人材開発センターの活用、その他の都の施設を有効利用する可能性等について検討を進めてまいります。
 次に、海外取引に対する支援策についてでありますが、海外取引にかかわる都内中小企業は数多く存在し、東京の産業活力を支える重要な部分を占めています。
 都は、これらの中小企業に対して、海外展示会への参加支援、輸出取引のリスクを救済する保険加入への支援、貿易取引をさらに活発化させるためのバーチャル展示場を設置するなど、支援強化を図ってきたところでございます。
 次に、輸出手形買取損失てん補制度の必要性についてでございますが、本制度の実績がピーク時の十分の一に低下していることや我が国の貿易環境に変化があることは、ご指摘のとおりでございます。
 このため、局内に検討会を設置し、海外取引をめぐる環境変化の状況等を分析していくとともに、海外への情報発信の促進や取引あっせんの拡充など、支援策のあり方や本制度の方向性について早期に検討してまいります。
 最後に、海外取引の成約に向けた対応策についてでございますが、ご指摘のとおり、海外取引の成約のためにはフェース・ツー・フェースの商談が決め手となる場合も多いものと認識しております。
 このため、平成十三年度においても海外展示会事業を展開していく中で新たにミッションを派遣し、現地企業とのコーディネートや進出日系企業によるセミナーの開催などを行い、都内中小企業が真に取引の成約に結びつけられるよう積極的に支援してまいります。

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