平成十三年東京都議会会議録第三号

○副議長(五十嵐正君) 六十七番三宅茂樹君。
   〔六十七番三宅茂樹君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○六十七番(三宅茂樹君) 初めに、再開発事業についてお伺いします。
 首都東京において、都市の再生を図る上で、再開発事業は重要な役割を果たしてきております。中でも、東京都が進めている約百ヘクタールにも及ぶ亀戸・大島・小松川地区、昨年のビッグレスキュー東京二〇〇〇の会場にもなった白鬚西地区などは、全国でも類を見ない大規模な事業であり、期待される役割も極めて大きなものがあります。
 そこで、安全で快適なまちづくりを望む都民の立場から、都の取り組みについて何点かお伺いします。
 まず、防災拠点として整備を進めている亀戸・大島・小松川地区、白鬚西地区について、どのような整備効果があるのか、具体的な例を挙げてお示しいただきたいと思います。
 次に、これら二地区及びJR北赤羽駅前の再開発事業は、収束段階を迎えており、地域の活力を高め、住民が安心して暮らせるまちづくりという目的を達成しつつあります。しかし、マスコミによれば、これら三地区の事業において、約一千五百億円の欠損が生じると報道されていますが、この原因はどこにあったのか、また、どのように対応していくのかをお伺いします。
 さて、知事は、本定例会において、市街地再開発事業の見直しと再構築に着手するといわれました。都においては、これら三地区のほかにも、新宿副都心周辺の交通渋滞の解消が期待されている北新宿地区や、臨海地域と都心を結ぶ新橋|虎ノ門間の環状第二号線地区についても、既に事業用地の一部を取得していると聞いております。
 そこで伺いますが、両地区の再開発事業の再構築について、どのように進めようとしているのか、所見をお伺いします。
 次に、緑の東京計画についてお伺いします。
 このたび、都が屋上緑化に対する容積率の割り増し制度を導入すると聞いておりますが、その内容はどのようなものとなっているのか、施行の時期を含めてお伺いします。
 国では、今国会において都市緑地保全法を改正し、屋上緑化を推進するための支援策を講じるとしておりますが、その内容はどのようなものになっているのか、また、それについて都はどのように評価しているのか、お伺いします。
 さきの阪神・淡路大震災においては、大規模公園は、避難場所としてだけではなく、応急復旧段階での物資の輸送拠点や、ヘリコプターの臨時離着陸場などとして重要な役割を果たしていました。特に、震災直後は道路輸送も滞るところから、ヘリコプターによる緊急資材機器の空輸が不可欠であり、その臨時離着陸場の確保は重要な課題であります。
 そこで、都立公園が、大型ヘリコプターも含めた離着陸場など救援、復興活動の拠点となるよう早急に整備すべきと考えますが、ご所見をお伺いします。
 次に、小田急線の整備についてお伺いします。
 小田急線下北沢駅付近の連続立体交差化の早期実現を図るため、我が党では、平成十年六月、同年十二月並びに昨年十二月の代表質問を初めとして、これまで、私の一般質問を含め、都議会において重ねて質問を行い、党を挙げて全力で取り組んできたところであります。
 こうしたたび重なる取り組みの成果として、昨日の我が党の代表質問において、下北沢駅付近の連続立体交差事業の前提となる構造形式選定などの取り組み状況について質問したところ、都から、地下方式が最適であると判断しており、地下方式を前提に事業の推進を図っていくとの答弁を得たところであります。
 そこで、連立事業を契機にまちづくりを進め、東京構想二〇〇〇で示された水と緑の創生リングにふさわしい拠点をつくり上げていくべきと考えますが、下北沢のあるべき姿について、都のご所見をお伺いします。
 また、先ほど述べたように、下北沢の拠点性を十分に発揮するためには、小田急線が地下構造になる機会をとらえ、防災機能の向上や歩行者空間の確保、さらには、鉄道とバス、タクシーなどとのアクセスの改善などを図るため、駅前広場や都市計画道路の整備などのまちづくりを、連立事業と一体的かつ計画的に進めるべきであると考えますが、都としてどう取り組むのかお伺いします。
 また、京王井の頭線の敷地を活用して、広場へのアクセス道路を確保することや駐輪場の確保を図るなど、まちづくりに関する地元要望があり、事業の円滑な推進を図るためには、こうした要望に都としてもこたえていくべきと考えますが、このようなまちづくりに対し、都はどのように支援していくのかをお伺いします。
 さらに、連続立体交差化の早期実現を図るためには、まちづくりを含めて、具体的な計画を早期に地域の方々に提示していくことが重要でありますが、地元説明会など、今後の見通しについてお伺いします。
 昭和三十九年の都市計画決定以来、三十有余年の長きにわたり、この事業のために苦しんできた人々がおります。今回、ようやく整備に向けた具体的な取り組みが都から示され、連続立体交差事業が動き出すことは大変喜ばしいことではありますが、その一方では、今度の都市計画変更に伴い、生活設計の変更を余儀なくされる人も出てくることも予想されます。今求められているのは、こうした方々への十分な配慮であり、この点を強く都に要望して、次の質問に移ります。
 次に、違法な屋外広告物への対応についてお伺いします。
 景観は、生活に潤いと快適さをもたらすものであり、都としても、まちづくりを進めるに当たり、積極的に良好な景観の創出に努めるべきであると考えます。
 ところで、違法な捨て看板等が、繁華街だけでなく、住民に身近な住宅地においても、電柱、街路樹等に多く取りつけられるなど、非常に目立つ状況にあります。これらの違法な屋外広告物は、安全な通行の妨げとなり、また、東京の景観を阻害するものであります。違法な捨て看板等をなくすために、行政と民間が共同で取り組むことも有効と考えます。
 そこでお伺いしますが、都内における違法な捨て看板等の屋外広告物について、行政の対応と除却の状況はどのようになっているのか、お伺いします。
 また、最近、不動産業者の違法な捨て看板を目にする機会が多くなってきたように思われます。このような場合、一部の者の違法行為のために、不動産業界全体が悪いイメージでとらえられがちであります。不動産業などの民間団体がまちを美化するために、捨て看板などの違法な屋外広告物をみずから除却する方法はあるのでしょうか、お伺いします。
 捨て看板等の違法な屋外広告物が後を絶たない状況の中で、都は、違反広告物対策にどのように取り組んでいこうとするのか、お伺いします。
 次に、食品の安全確保についてお伺いします。
 昨年夏に発生した加工乳による大規模な食中毒は、これまで築かれてきた食品の安全性に関する消費者の信頼を大きく揺るがすものでした。東京都はその後、これらの事件を教訓にして、営業者の自主的な衛生管理の推進や、HACCP監視体制の強化など積極的な食中毒予防対策を進めてきていますが、都内では、毎年百件前後の食中毒が発生し、二千人以上が被害者となっているのが現状です。抵抗力の弱い乳幼児や児童、高齢者などが利用している学校や病院等の給食施設や、近年のサルモネラ食中毒増加の原因食品として挙げられている卵の取扱施設は、現行の食品衛生法では許可の対象外となっています。
 そこで、これらの施設に対して、新たに届け出制や衛生基準を設けることなどの考え方が、昨年、東京都食品衛生調査会から知事あてに答申されたところであります。
 都は、この答申を受けて、現行の条例に、これまで規制の対象外であった給食施設等の衛生対策を新たに盛り込む食品製造業等取締条例の一部改正を今定例会に提案しています。我が党は、こうした食中毒の被害から都民の命と健康を守る食の安全対策は、緊急かつ重大な課題であることから、今回の条例改正案に盛り込まれた施策を速やかに推進する必要があると考えます。
 そこで、まず条例改正における都の基本的な考え方についてお伺いします。
 また、今回の規制対象となる給食施設は、学校、病院等の大規模な施設から、小規模なボランティアによる福祉給食や無認可保育所まで、さまざまな形態があるのに加えて、調理従事者もプロからアマチュアまで、幅広いものとなっています。
 このような状況では、それぞれの規模に応じた監視指導など、特に小規模施設への弾力的な対応が必要と思いますが、その具体的な取り組み方針について所見をお伺いします。
 さらに、今後、高齢化や核家族化の進展により、地域のニーズとして、福祉給食や認可外保育施設などの小規模な給食施設はふえていくものと思われます。このような施設をどのように把握して的確な指導を行っていくのか、対応方法についてお伺いします。
 次に、商店街対策についてお伺いします。
 先ほど、民主党の田中議員から、元気を出せ商店街事業に対するまことに理不尽な批判があり、驚きを禁じ得ません。この事業の趣旨と目的を全く理解されていないのか、勉強されていないのか、まことに同僚の議員として残念のきわみでございます。
 商店街の弱みのみを指摘をする、このようなことで民主党と名乗っていることも改めて驚きを禁じ得ないところでございます。この事業について、ご理解をしたいと思われれば、どうぞ後ほどお越しください、よくご説明申し上げます。
 私は、責任政党自由民主党の一員として、ただいまから、東京に商店街はなくてはならない存在であるという立場から、この活性策の具体案をお示ししますので、どうぞよくお聞きください。
 組織の活性化のためには、リーダーの資質がいかに大切かは、今の国と東京都を見ればよくご理解いただけると思います。商店街の抱える最大の課題は、リーダーの不足であります。
 世田谷区商店街振興組合連合会においては、商店街のあすを担うリーダーを計画的に養成することとして、マーチャントカレッジ、すなわち商人塾の開催を検討し、その卒業生のうち優秀な者を、必ず商店街の理事長にする未来塾さえ考案されていると聞いております。私は、まさに今後の商店街の活性化のための積極的な取り組みとして、高く評価するものです。
 都は、このような商店街が取り組む次代を担うリーダーの養成について、どう対応していくのか、まずお伺いします。
 次に、現下の事業経営に当たっては、IT、情報技術を有効に活用していくことが避けて通れない現状にあり、商店街にとっても活性化の決め手の一つとして、最大の関心事となっています。
 中でも、POSによりネットワークが形成されている大型店やコンビニエンスストアなどの店舗と過酷な競争を強いられている商店街にとって、消費者動向や市場動向など、経営マネジメントに必要な各種の情報をいかに迅速に収集し分析して、商店街の活性化に結びつけていくかが急務となっております。
 一年前、平成十二年第一回定例都議会において、また、先ほどの答弁でも、知事は、商店街における情報分析の弱さと商店街組織のやる気のなさを指摘し、商店街がやる気を出せば、都でも商品情報のネットワークづくりに乗り出す旨の答弁をいただき、心強い限りでございます。
 昨年の知事の答弁を聞いた世田谷区商店街連合会の若手組合員は、大変なショックを受けるとともに、この答弁を契機として、ホームページ作成やiモード活用研究など、新たな情報戦略事業に取り組み始めました。
 さて、都で実施している商店街実態調査は、三年ごとの実施で速報性に欠け、ドッグイヤー、マウスイヤーといわれる昨今の経済が高速度で激しく変化する時代に、全く利用価値のない調査となっています。
 そこで、商店街の現状に危機感を持つ青年部や若手組合員みずからが積極的に取り組む商店街のIT化を継続的に発展させる事業と、都が実施する商店街実態調査のIT化、さらに、知事が思い描いている商品情報ネットワークを連携させた新たなITネットワークを構築していくことが、都の商店街活性化対策にとり必要不可欠であると考え、提案いたします。
 都は、どのようにお考えか、ぜひご所見をお伺いします。
 各商店街の組織に参加している方々は、厳しい経営環境の中で、絞り出すようにして時間と費用を負担しながら、商店街の一員として、地域社会に必要な公的事業にみずからの仕事を犠牲にしながら取り組んでいます。
 しかし、商店街の中に存在している大企業やコンビニの中には、商店街活動に参加しないばかりか、ルールを無視するケースが目立ってきています。こうしたことは、商店街の活性化を阻害したり、これまで培ってきた結束力を弱体化させる要因ともなり、決して許されない一面を抱えております。
 都は、こうした実態に対し、何らかの措置を講ずべきと考えますが、いかがでしょうか。ご所見をお伺いします。
 ところで、都は、都内三十七の商工会、商工会議所が行っている経営指導員による小規模事業者の経営相談・指導など、いわゆる経営改善普及事業に対して補助金を支出しています。その中で、経営指導員等の人件費は八割弱を占め、十三年度予算案では、約二十四億円が計上されています。元気を出せ商店街事業が七億円でございます。
 商工会議所でこの事業を実施している経営指導員についてですが、具体的な活動がなかなか見えてきません。商店街の知人に聞いても、経営指導員とはほとんど接点がないとのことです。
 さて、経営改善普及事業が小規模事業者に一層役立つようにするためには、経営指導員の資質の向上とともに、指導活動の活性化が必要であります。
 さらに、経営指導員を、例えば商店会の事務、決算書の作成や事業計画書作成、またはIT化に関する相談・指導にも積極的に活用し、商店主の皆さんに真に喜ばれ、顔が見えるよう、経営改善普及事業を早急に見直しする必要があると考えますが、所見を伺います。
 次に、青少年の育成についてお尋ねします。
 都は、十三年度予算に心の東京革命の展開に十四億円を計上し、青少年の心の健全性を取り戻す重大な決意を都民に示したところであります。
 都内では、さまざまな団体が従前よりこの青少年の健全育成に取り組まれておりますが、その中で日本における活動歴八十年の実績を持つボーイスカウト運動があります。ボーイスカウトの教育訓練の中で、キャンプなどの野外活動が重要な位置を占めており、自然の中で自立心を養い、環境や他者に対する思いやりの心をはぐくみ養う絶好の訓練となっています。
 しかし、二十三区内の現況下では、近隣に自然を求めることは困難であり、キャンプのための移動に多大な時間と経費を費やし、交通事故におびえながら実施しているのが実情のようです。
 そこで、都内近隣でのボーイスカウトの教育訓練キャンプなどの野外活動を実現するべく、一部の都立公園内の一画を一切整備することなく、コストをかけないで活用させてはと考えますが、都の所見をお伺いします。
 ボーイスカウト東京連盟理事長が、心の東京革命推進協議会の副会長に就任をしていると聞いておりますが、知事は、このボーイスカウトの活動をどのように思われているのか、最後にお伺いして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 三宅茂樹議員の一般質問にお答えいたします。
 ボーイスカウトの活動についてでありますが、ボーイスカウトに限らず、子どもの育成のためにボランティアとして日々ご努力なさっている方々の功績というのは、本当に社会的に大きなものだと思います。
 ましてボーイスカウトは、結成されてから今日まで、非常に長い間、さまざまな野外活動や社会奉仕活動など、青少年の社会教育にかかわる多岐にわたる活動をしてこられまして、高い評価を得ておられますが、こうしたボーイスカウトの活動は、青少年の自立心の向上や集団でのルールの大切さ、人や自然を思いやる心などを培う上で、大変意義のあるものと思っております。
 現在、東京は、さまざまな団体と協議して心の東京革命に取り組んでおりますけれども、今後もまたこの運動のためにも、ボーイスカウトの皆さんの多大なる貢献というものを期待する次第でございます。
 先般、三宅島の視察のついでと申しましょうか、あちこち島を回りましたときに、今回災害に見舞われてない八丈島、あるいは大島で、ぜひ島を青少年の育成、ボーイスカウトなどのキャンプなどのために積極的に使ってもらいたい、また、そのための勉強を喜んで島もするという申し出がございました。ひとつ、これを念頭に置いて、またボーイスカウトの活動をますます盛んにするようなご援助も願いたいと思います。
 それから、これは質問事項に入っていませんけれども、商店街の活性化でありますけれども、やはり議会と都庁が協力し合って、やっぱり具体的に流通の情報の分析など、どうやってやるかということのプロジェクトチームのようなのをつくって、試行錯誤もあるでしょうけれども、まずそれを活用することが大事だと思いますので、ひとつまた、ご協力を賜りたいと思います。
 その他の質問については、関係局長から答弁いたします。
   〔建設局長古川公毅君登壇〕

○建設局長(古川公毅君) 五点のご質問にお答えいたします。
 再開発事業の整備効果についてですが、亀戸・大島・小松川地区及び白鬚西地区は、小規模な木造住宅や商店、町工場などが混在密集し、道路、公園の整備が立ちおくれるなど、都内でも災害に対して極めて脆弱な地域でした。
 両地区合わせて百五十ヘクタールにも及ぶ再開発の整備効果としては、例えば三十二万人が避難できる四十二ヘクタールの大規模防災公園が整備され、道路を含めると九十ヘクタールのオープンスペースが確保されました。加えて、建物の不燃化率も五%から一〇〇%に改善されるなど、防災性が飛躍的に向上いたしました。
 さらに、リバーフロントの景観に恵まれた一万二千戸の良質な住宅の供給や、都心への交通アクセスの向上に伴い、定住人口が着実に増加し、地域の活力やにぎわいが生まれてきています。
 これら両地区の発展に貢献できるよう、今後とも早期完成に努めてまいります。
 さきの、ただいま申し上げました二地区に赤羽北地区を加えた既施行三地区の事業欠損の原因と今後の対応についてですが、本事業は収束段階を迎え、所期の目的を達成しつつありますが、バブル経済の崩壊による土地や保留床の処分価格の大幅な下落などにより、多額の欠損が避けられない状況にあります。
 今後は、民間特定建築者への敷地処分の促進、民間ノウハウの積極的な活用による保留床の早期処分、事業コストのさらなる縮減など、収支改善に努め、財政負担の軽減を図ります。
 これから事業が本格化する北新宿地区及び環状二号線地区についてですが、新しい発想に立って事業全般を見直し、民間事業者の一層の活用による都負担の軽減、事業箇所の重点化による事業期間の短縮、放射六号線などの周辺都市施設の先行整備による地域の潜在的な活力の早期発現、加えて、組合再開発事業に対する無利子貸付制度の都への適用を国に働きかけるなど、事業の再構築を図ってまいります。
 また、平成十四年度の公営企業会計導入に向け、収支の明確化と効率的、弾力的な事業経営に努めます。
 次に、都立公園が救援・復興活動の拠点となるよう早急に整備すべきとのことですが、都立公園は従来から、応急給水槽の設置や非常照明施設、放送施設の整備など、避難場所としての機能確保に努めてきました。
 阪神・淡路大震災の経験から、大型ヘリコプターの離着陸場となる広場の重要性が増してきています。
 このため、環状七号線の周辺の、例えば城北中央公園などの都立公園に広場を確保するとともに、緊急時に大型ヘリコプターの離着陸ができるよう、都民への周知や管理の方法などを検討し、救援・復興活動拠点としての役割を果たせるよう努めてまいります。
 野外活動のための都立公園の活用についてですが、都立公園では、これまでに水元公園や光が丘公園など四カ所のキャンプ広場を設置して、自然に親しむ機会の少ない都会の少年たちに野外活動と共同生活の場を提供してきました。キャンプ広場を設置していない都立公園においては、野外活動の場を提供するためには、他の公園利用者との調整、少年たちの安全確保、公園周辺環境への影響など、多くの解決すべき課題があります。
 しかし、このような手づくりの野外活動は、心の東京革命が目指す自立心や規律ある生活習慣を一層養うことができるという効果があるので、課題解決に向け、ボーイスカウトなどの関係団体と協議してまいります。
   〔都市計画局長山下保博君登壇〕

○都市計画局長(山下保博君) 九つの質問にお答えいたします。
 まず、屋上緑化に対する容積率割り増し制度についてでございますが、この制度は、ヒートアイランド現象を緩和するための施策の一つとして、事業者が特定街区、総合設計などの都市開発諸制度を活用して屋上を緑化する場合に、緑化面積に相当する建物床面積を容積率として割り増しを行おうとするものでございます。
 施行については、都市緑化施策を強力に推進していく必要があることから、新年度当初の四月から実施してまいります。
 次に、国が予定している屋上緑化の支援策についてでございますが、この支援策は、区市町村の緑の基本計画に定める緑化重点地区内において、屋上などに緑化を行った場合、整備費の三分の一を上限として補助するとともに、緑化施設に係る固定資産税の課税標準を五年間、二分の一に軽減するという内容であると聞いております。
 都といたしましても、こうした支援策は、都市の環境改善に向け、都市緑化を推進していく上で有効であると考えております。
 今後明らかになる具体的な内容を踏まえ、区市町村とともに、この制度の活用に努めてまいりたいと思います。
 次に、下北沢駅周辺のまちづくりのあるべき姿についてでございますが、下北沢駅周辺は、東京構想二〇〇〇で示されております水と緑の創生リングを形成していく上での拠点の一つでございまして、職住近接を図りながら、地域の自立性を高める必要があると考えております。
 そのため、下北沢のよさを生かしつつ、都市基盤とオープンスペースを備えた拠点性の高いまちとして整備する必要があり、今後、連続立体交差事業により、一層高まるポテンシャルを生かしながら、まちづくりの具体化を促進してまいります。
 次に、下北沢における駅前広場や都市計画道路の整備についてでございますが、連続立体交差事業に合わせて駅前広場や補助五四号線の整備を進めていくことは、ご指摘のとおり、拠点性の強化や地域の活性化を促し、連続立体交差事業の整備効果を一層発揮していく上で重要であると認識しております。
 このため、都といたしましては、地元区とともに、駅前広場等の計画につきまして、連続立体交差事業の計画と合わせて地域の方々に示し、理解と協力を得てまいります。
 次に、下北沢駅周辺のまちづくりに対する支援についてでございますが、まちづくりに関するさまざまな地元要望につきましては、地元区が中心となり取り組んでいく必要がございます。
 都といたしましては、連続立体交差事業とあわせて、まちづくりの推進を図るため、関係機関と連携を図りながら、区の取り組みを支援してまいります。
 次に、地元説明会の開催など、今後の見通しについてでございますが、現在、連続立体交差事業及び関連する駅前広場などの都市計画素案の作成に向け、地元区など関係機関と協議を進めておりまして、本年四月を目途に都市計画素案の地元説明会を開催したいと考えております。
 その後、都市計画や環境影響評価の手続を進め、地域の方々の理解と協力を得ながら、早期事業化に向けて取り組んでまいります。
 次に、違法な屋外広告物への対応と除却の状況についてでございますが、違法に放置されているいわゆる捨て看板や、張り紙、張り札の除却につきましては、住民に身近な団体である区市などが行っております。
 都内の平成十一年度におけるこれらの違法な屋外広告物の除却数は、約百三十二万枚となっており、このうち捨て看板は、約二十三万枚となっております。
 次に、民間団体等による捨て看板等の除却についてでございますが、容易に取り外すことができる違法な屋外広告物については、屋外広告物法に基づき、行政による簡易な除却手続が認められております。
 この除却手続につきましては、行政と民間団体等との共同実施、あるいは民間への委託が認められており、新宿区など幾つかの区市においては、このような方法で除却が行われております。
 最後に、違反広告物対策への取り組みについてでございますが、ご指摘のように、捨て看板等、都内における違法な屋外広告物は、後を絶たない状況にございます。
 このため、行政と民間団体とが協力して取り組むことも一つの有効な方法であり、この制度について、より一層の周知に努めてまいります。
 さらに、効果的な解決のためには、現在、一定期間放置されたもののみに認められている簡易除却の制度を、違反であれば直ちに除却できる制度とするよう、国に屋外広告物法の改正を要望しております。
   〔衛生局長今村皓一君登壇〕

○衛生局長(今村皓一君) 食品の安全確保について、三点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、食品製造業等取締条例の改正における都の基本的な考えについてでございます。
 ご指摘のとおり、食品に起因する危害の未然防止は、都政における重大な課題であります。今回の条例改正は、これまで食品衛生法の許可の対象外であった、学校や病院などの給食施設や鶏卵を取り扱う営業を、新たに規制の対象とするものであります。これによりまして、抵抗力の弱い乳幼児や高齢者などが利用することの多い給食施設における食中毒の減少を図るとともに、国際的にも問題となっております、サルモネラに汚染された鶏卵を原因とする食中毒の防止に寄与するものと考えております。
 次に、小規模な給食施設への弾力的な対応についてでございますが、今回定めた規制は、対象となる給食施設の実態を十分に把握した上で、食中毒防止のために不可欠かつ実行可能な衛生対策を内容としたものであります。
 衛生管理運営基準と施設基準の適用に当たっては、施設の規模や運営実態に応じ、衛生上支障のない範囲で調理室の区画の規定を緩和するなど、適切な対応を図ることにより、過度な負担とならないよう配慮してまいります。
 次に、小規模な給食施設の把握と指導についてでありますが、地域におけるボランティアによる小規模な福祉給食などは、これまでも、監視指導などを通じ随時把握してまいりました。
 今後は、広報活動により、条例の趣旨及び届け出制の周知を図るとともに、保健所において、区市町村の福祉担当部署や地域のボランティアセンターなどとの緊密な連携を通じて、施設の把握に努め、給食施設に対する安全指導の徹底を図ってまいります。
   〔労働経済局長浪越勝海君登壇〕

○労働経済局長(浪越勝海君) 商店街対策についての四つのご質問にお答えいたします。
 まず、次代の商店街を担うリーダー養成についてでございますが、商店街が抱えるさまざまな問題をみずから解決し、その活性化を図るためには、ご指摘のとおり、次代を担うリーダーの養成が重要であると認識しております。
 都としては、商店街振興組合連合会が行う研修や、商店街指導員による現地指導への支援、商工指導所による商店街診断などを通じて、意欲のあるリーダーの育成に努めてきたところでございます。
 今後は、お話のありましたような斬新的な取り組みなど、商店街などがみずからリーダーの育成に取り組むことに対し、活力ある商店街育成事業をも活用して、その実効が上がるよう支援してまいります。
 次に、商店街のIT活用についてでございますが、ITの活用は、商店街の活性化にとって重要な戦略の一つと考えており、こうした課題に、商店街の若手組合員を中心としてみずから積極的に取り組むことは、商店街の将来にとって大いに期待されるところでございます。
 今後、このような個々の商店街のIT化を一層促進するために、都内商店街のポータルサイトとしての機能を果たしております東京都商店街振興組合連合会に対し、売れ筋情報や都が持つさまざまな情報などを、各商店街がリアルタイムで活用できるシステムづくりについて、先ほど知事が申し上げましたように、積極的に働きかけてまいります。
 次に、大企業やコンビニエンスストアの商店街活動についてでございますが、商店街に存在する大店舗やコンビニエンスストアなどの一部には、組合に加入しなかったり、商店街活動に消極的な企業があると聞いております。
 都としては、これらの企業においても、地域のコミュニティを支える商業者としての自覚を持ち、商店街活動への積極的な参加がなされることが望ましいと考えております。
 今後とも、商工会議所やチェーンストア協会などに対し協力方を働きかけてまいります。
 最後に、経営指導員の資質の向上及び経営改善普及事業の見直しについてでございますが、経営基盤の脆弱な小規模事業者に対して適切な支援を行い、地域を活性化していくためには、経営指導員の資質の向上が重要であると考えております。このため、経営指導員に対し、平成十年度から実務を重視した研修を行ってきたところでありますが、今後は、実地研修などにより、実践的能力の向上を図ってまいります。
 また、経営改善普及事業についても、商工会議所との間で経営改善普及事業検討会議を設け、小規模事業者の経営革新や地域振興を推進する観点から、事業の見直しを行い、改善を図ってまいります。

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