平成十三年東京都議会会議録第三号

○議長(渋谷守生君) 二十二番川井しげお君。
   〔二十二番川井しげお君登壇〕

○二十二番(川井しげお君) 東京都議会自民党の一員として、そして良識ある都民の代表としてご質問をさせていただきます。
 西武新宿線の連続立体交差事業について、まず質問をいたします。
 中野区内だけで、わずか五キロメートルほどの区間に二十の踏切が存在しております。このうち、ラッシュ時間に、一時間に四十分以上踏切がおりているのは十七カ所あり、まさにあかずの踏切の連続であります。新都心、そして都庁舎からわずか二キロメートルのところに、あかずの踏切が連続して多くある。首都東京、世界に誇れる国際都市東京として恥ずかしい限りであります。
 西武新宿線については、過去に一部地下化が決定、普通列車を除く急行だけ、上石神井から新宿まで地下化の計画があり、都市計画決定までしたが、事業延伸された経緯があります。また、その後、中野区と地域住民の話し合いの場として意見交換会も持たれ、中野通りをアンダーパスにする立体交差案が中野区から地元に打診されたが、地元の理解が得られず、説明会自体が中断しております。
 幸い、本年二月十六日に、都側から建設局長を座長、そして都市計画局長を副座長、ほか関係部長など、そして西武鉄道側からも専務と常務などが委員となる、西武新宿線についての検討委員会ができたことは大変ありがたく思っております。ぜひ前向きに、国も力を注いでいる連続立体交差事業でありますので、西武側に対して強い働きかけをお願いしたい。
 特に、地元では高架を期待する人が多いようでありますので、すべての道路から踏切をなくすためにも、連続立体高架を強く要望しながら、以下三点についてお聞きいたします。
 まず、検討委員会をつくる東京都の目的をお伺いいたします。次に、今回つくられた検討委員会の性格をお聞かせ願いたいと思います。そして最後に、この検討会で結論を出す時期、およそいつごろまでと考えているのか、お聞かせ願いたいと思います。
 次に、世界に誇れる国際都市東京、東京港についてお聞きします。
 知事は、今回の施政方針表明で、新しいフォーマットの造形において、古来マルコポーロ時代より、人、物の交流は新しい文明へのアクセスとして重要な役割を果たしてまいりました、国際化が進む今日、空港は国家の玄関口として、その国の文明を象徴する施設であります、そして東京がその地位をシンガポールや香港を初めとするアジア諸国に脅かされているのは、我が国の航空政策のおくれで、国の戦略性の欠如を示す典型的な事例としておりますが、私も全くそのとおりと考えております。国が、首都東京のインフラ整備を国の最も重要な施策と認識していたならば、アジアの窓口は日本であり、世界の三極の一角を間違いなく担っていたであろうと考えております。
 そこで、世界に誇れる国際都市東京を考えるとき、もう一方の玄関口である東京港に目をやってみたい。
 東京港も日本を代表するメーンポートではありますが、近年、躍進目覚ましいシンガポール、香港、そして台湾の高雄を初めとするアジア諸港と比べると、そのコスト、サービス面で大きくおくれをとっている。特にシンガポールでは、最新の設備と情報技術を駆使した荷役サービスなど、非常に効率的な運営がなされ、大きく水をあけられたようであります。
 アジア諸国が国を挙げて、中核となる港湾の近代化や競争力向上に力を注いできたのに対し、我が国では、中核となる港湾に対する重点的投資を行わず、地方港湾にまで一律的な補助を行ってきたことや、我が国独特の港湾荷役のさまざまな仕組みや慣行を温存してきた保護行政など、国の政策に大きな原因があったことは厳然たる事実であります。
 我が国の危機を打開するためには、他港とも連携しながら、アジア諸港とも伍していける港湾物流の効率化に向け、国に対して港湾行政の大胆な政策転換を強く求めるなど、積極的な働きかけを行うべきと考えるが、ご所見をお伺いいたします。
 二十一世紀、東京が世界都市として、また、日本がアジアのリーダーとして確固たる役割を果たしていくためには、海上物流においても、東京港が全世界とアジアをつなぐ海の窓口として、さらに発展していくことが不可欠であると考えております。開港六十周年を迎えた東京港が、今後どのような基本的な戦略でアジアの有力な諸港と戦っていくのか、お伺いします。
 これからの物流は、必要なものを、必要な場所に、必要な量だけ、必要なときに、必要な状態で届けることが大事だと思われます。消費者ニーズに対応した物流の実現のためには、東京港の競争力の向上のみならず、総合物流施策、いわゆる陸・海・空の輸送モードを複合的に結びつけるとともに、インターネット等の情報技術を駆使した高度な機能が必要であると考えますが、そのためには具体的にどのような取り組みを進めていこうとしているのか、ご所見をお伺いしたいと思います。
 この項の最後に、国の重い腰を上げさせるには大変なパワーが必要だと考えております。そこで、知事の意気込みをお聞かせ願いたいと思います。
 次に、都市づくり、新しい都市づくりの中での商店街についてお聞きをいたします。
 知事から諮問を受けて、社会経済情勢の変化を踏まえた東京の新しい都市づくりのあり方として、現在、東京都都市計画審議会では、五十年先の東京のあるべき姿を描く努力をしているわけでありますが、その答申素案の中でも余り見えてこない商店街の位置づけと存続についてお伺いいたします。
 これから十年たったら、まちから商店街がなくなってしまう、残るのは大型スーパーとコンビニと、そしてたばこ屋さんの自動販売機ぐらいだという声さえ聞こえてくる今日であります。
 人々が生活するまちを想像するとき、住宅があり、緑があり、学校があり、公園があり、商店街があり、その地域の商店街に、幼子が母に手を引かれ買い物をする。母親の姿を通して無意識のうちにまちを見る、生活を感じる、人の温かさ、人のつながりを知る。気軽に声をかける八百屋のお兄ちゃん、そんな商店街がなくなる。一店舗ずつシャッターがおりていき、しもた屋になる、百円パーキングにかわっていく、近隣商店の用途指定の利点を生かさんと建て売り業者が飛びつき、一軒ずつ電気が消えていく状態は、東京のあちらこちらに見られる風景ではないかと思います。
 健康で安心して暮らせる都市、人に優しい都市、多様な住み方や生き方が選択できる都市、外国人を含め、だれにでも住みやすい東京を実現するとき、歩いて生活できる範囲に必要な施設として、まちづくりや地域づくりに、そして都市計画の核として商店街を位置づけていかなければならないのではないでしょうか。
 そこでお伺いします。素案にある都市づくりの理念として都心居住の推進を図る中で、商店街の位置づけをどのようにお考えなのか、ご所見をお聞かせ願いたいと思います。
 私は、東京の商店街の多くは既に末期的状況にあると考えております。生活圏に一つの公的施設に近い考え方で、戦略を持って対応していかなければならないと思います。すべての商店街に一律に、元気を出せで七億、空き店舗で一億、活性化で十億といった労経局が所管する商工振興費で面倒を見るといったことだけで、商店街を救済したり生き残りを図ることはできないかと思っております。
 例えば、まちで生活する人々の利便性のために橋をかける、五十億、隧道を掘る、五百億のようなときには、どこにどのような施設をつくるのか、あらかじめ計画を立てて行っているわけであります。商店街についても、一つの行政区の中で市民が生活するのに幾つ必要なのか、どの場所に必要なのか、どこにどのようにつくるのか、あるいは残すのかといった計画を立てる必要があるのではないでしょうか。
 さらに、地域のまちをつくる上で、商店街には駐車場があり、駐輪場があり、配送センターがあり、情報機器を生かした御用聞きセンター、地域コミュニティの空間づくりとして小劇場があってもよい、また、ミニ図書館があってもよい、そして介護相談所があってもよいのではないでしょうか。
 無論、現在ある商店街を二分の一あるいは三分の一にしなければならない計画かもしれませんが、あえて提案していかなければ、東京のまちから、駅前の商店街以外は、まちに必要な、そこで生活する人々の必要な商店街は残していけないのではないかと思います。当然、切り捨てられる商店、商店街に対するセーフティーネットを張るべきものと考えます。残す、つくる、商店街に移転するときに、行政としてどうバックアップしていけるのかなど、努力が必要であろうと考えます。
 夢のような話かもしれませんが、そのくらいの外科的手術が今必要ではないでしょうか。時期をずらしては手術もできなくなってしまいます。それと同時に、強いリーダーシップを持った石原知事でしかでき得ないことかと思っております。知事のご所見をお伺いしたいと思います。
 次に、商店街が地域から必要とされる商店街に生まれ変わっていくには、力ある、やる気のあるリーダーの育成に尽きると考えております。労経局での具体的な施策をお聞かせ願いたい。
 現在のままで放置した場合、東京の商店街の行き着くところは、局長、あなたが想像したままにお話をいただきたいと思います。
 最後に、労経局で、残すべき商店街のために現況どのように対処していこうとしているのか、今後の基本的な考え方をお伺いをいたしたいと思います。
 次に、公益と私権を通して、放五、外環についてお聞きをいたします。
 昨年十月、日の出町にあるごみ処分場用地取得にかかわる代執行が大きなニュースとして取り上げられた。公益と私権のあり方が社会的に大きな議論になったわけであります。用地の取得に当たっては、処分組合は十分誠意を尽くし、時間をかけてきております。今回の一連の手続についても、説明をすれば都民の方々も十分理解をしていただけるものと考えております。
 東京が活力を維持し、世界での地位を確保しながら、都民が快適な生活を送り続けるためには、公益と私権についてしっかりした議論を行い、その上で着実に社会資本の整備を進めるべきであると考えております。
 そこで、道路の整備、とりわけ放射五号線と外郭環状道路の整備についてお伺いをいたします。
 都市の骨格を形成する放射五号と外郭環状道路の二つの道路は、過去に一部都民の反対を受け、長期にわたり事業化がされていなかった。しかし、最近、事業化に向けた動きがあることは、渋滞対策や健全なまちづくりの観点から、これは大変喜ばしいことだと思っております。
 まず、放射五号線は、都心と多摩地域を結ぶ重要な路線であります。しかし、杉並から三鷹にかけて、わずか一・八キロメートルが未整備であるため、交通のボトルネックになっております。また、当該区間の周辺には、多摩地域と区部を結ぶ四車線道路は甲州街道に限られているため、混雑が厳しい状況にあります。
 このことにより、付近の生活道路に通過交通が進入あるいは逃げていく、このために老人や子どもが危険にさらされております。また、事故の件数も他の地域に比べてひときわ多いと聞いております。このような状況は一刻も早く解決すべきであり、このままの状態を容認し続けることは、都政にかかわる一人として、都民に対して申しわけないことだと思う次第であります。
 そこで、未整備区間の周辺の現状はどのようなものか、まずお伺いをします。
 この未整備区間について、全国初の総合環境アセスメントの試行が行われている。計画段階から都民の意見を聞きながら事業を実施するこの制度を評価しております。しかし、こうした公益性が高く、一刻も早い開通が望まれる路線にもかかわらず、その手続過程の中で、整備の白紙撤回を求めるなど、多様な意見があるようであります。総合環境アセスメントの手続の中で十分な議論がなされており、社会経済の観点からも、手続後は早期の事業化が望まれております。
 今後、都はどのように放射五号線の整備を行っていくのか、所見をお伺いをいたします。
 次に、東京外郭環状道路については、昭和四十一年に都市計画決定されて以来、沿線住民の反対により、三十年以上も事業が凍結されたままの状態にあります。
 そういった中で、都が現行の高架方式から地下を基本に計画検討を行うことになっております。本年の一月には、知事の要請に応じて、国土交通大臣が現地視察するなど、凍結解除に向けての動きが出てきております。
 現在、外環は、大泉以南から整備されていないため、都心部には一日当たり十四万台の通過交通が流れ込み、交通渋滞の発生や排気ガス等による環境悪化、さらには多大な経済的な損失をもたらしている。このように、外環は、一部の住民の反対により事業が進まず、結果として多くの都民が不利益をこうむっているのであります。
 そこでお伺いをします。外環の現状はどうなっているのか。そして次に、外環が整備されることにより、交通渋滞の解消や環境の改善など、多くの効果が期待されておりますが、具体的に時間短縮の経済効果がどのくらいあるのか、お伺いをいたします。
 現計画の高架化を変更し、地下化を提案しているが、地下化の実現に向け、国と協力してどのように進めていくのか、具体的にお知らせをいただきたい。
 最後に、高齢化社会における住宅対策についてお伺いします。
 平成十一年には、都内で百三十七名のとうとい生命が火災によって失われました。そのうち、自損を除きますと、六十五歳以上の高齢者が五十七名となっており、五三・九%に達しております。平成十二年でも百二十二人のとうとい生命を失い、うち、自損を除きますと、六十五歳以上の高齢者が六〇%弱の割合を占めております。高齢者の方々の逃げおくれる悲惨な事故が起きております。
 アメリカ合衆国では、住宅用火災報知機の義務化などによる普及で、住宅火災での死者が十七年間で四〇%減少したそうです。東京においても、これからますます高齢化を迎えるに当たり、住宅火災から貴重な命を守るため、住宅防火を担当している消防庁として、住宅用の火災警報器や住宅用スプリンクラーなど、住宅防火機器設置の法制化を国に働きかける努力が必要だと思います。
 特に、高齢者、障害者などの災害に弱い立場の方々の住宅、施設に対する法制化が強く望まれていると思いますが、ご所見をお伺いをいたします。
 単価的にも、水道直結型住宅用スプリンクラーのような安価で施工性にすぐれた自動消火設備が開発されているように聞いております。あるいは指定基準で規定した制度を助ける形で、高齢者や障害者に対して補助制度の充実を強く要望していかなければならないと思います。
 特に、現在の補助対象となっている自動消火装置は、その部屋を消火するためではなく、ガスコンロだけの消火目的でありますので、放火を除く最も出火原因として多いたばこの火、石油のストーブなどには一切対応できない消火装置でありますので、住宅用スプリンクラーを補助対象に含めるべきであると考えますので、そのご所見をお伺いをいたします。
 都の施設、例えば痴呆性高齢者グループホームや都営住宅でシルバーピアを設置する際、あるいは高齢者や障害者を優先して募集するポイント募集等の入居時などに、率先して住宅用火災報知機や住宅用スプリンクラーの設置ができないか、ご所見をお伺いをいたします。
 以上をもちまして私のすべての質問を終わらせていただきますので、積極的なご答弁を期待をいたしますので、よろしくお願いを申し上げます。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 川井しげお議員の一般質問にお答えいたします。
 国の港湾政策の転換を求める件についてでありますが、おっしゃるとおり、東京港は、首都圏四千万近い人口の生活と産業を支える重要な機能を持っております。海はございませんけれども、東京湾、東京港というのは、埼玉県のためのものでもあるわけでありまして、そういう意味合いを十分意識しながら、今後その役割を果たさせていくために、何といっても国際競争力を維持していくことが必要でございます。しかし、東京港などの重要な港湾への重点的投資を行ってきませんでした国の政策が、今日の国際競争力の低下を招いてしまったと思います。
 そこで、国に対して、東京港を中心にした東京湾という貴重な閉鎖水域というものをもっと重要視して、国家の戦略のためにもこれをより積極的に活用する、そういう政策の提言も東京からし、また協力も強く求めていきたいと思っております。
 いずれにしろ、先般、江戸川でありますか、近くを視察したときに、この河口のどちら側か、まっすぐ南側、線を引いて、右が東京の海で左が千葉県の海だというそういう水域の県境というのは全くもう無意味になってきていると思います。東京湾全体を国家のために活用する、そういう視点で国にもこれから建言をしていきたいと思っております。
 次いで、商店街と都市づくりについてでございますが、まちの構造も変わってきましたし、国民の生活様式も大分変質してまいりました。その中で、結果として商店街、どんどんどんどん立ちおくれ、淘汰されていくというのが今日的な現象でありますけれども、いずれにしろ、その地域のコミュニティとしての、何というんでしょうか、交流の場でもあった商店街がだんだん消えていくというのは非常に悲しいことでもありますし、地域にとっても好ましいことじゃないと思います。その中で、新しい時代に対応した魅力のある商店街づくりに取り組んでいるところもあり、また、半ばあきらめているところもあるわけでありますが、努力をしているところには、その努力が報われるような政策が必要だと思います。
 都市づくりにおいても、魅力とにぎわいのある商店街の実現を目指して、地域が主体となって取り組む、その支援をしていきたいと思っておりますが、何度か申し上げたことでありますけれども、例えば、商店街の流通というものを都商連なら都商連、どれだけ権威があり能力があるかわかりませんが、たびたび議員のころからも建言したんですけれども、例えば、イトーヨーカ堂のような見事な流通の分析をして、何時にどの商店街でどういう製品が売れるかということを分析してかかる必要があると思うんです。で、それによって、それを供給する運搬体制なども、確立するその意欲があるならば、東京都もそれを助けるのにやぶさかでございませんが、どうも各商店街は非常に危機感を持っておりますけれども、それを束ねる都の都商連というんでしょうか、随分何度も物をいったんですけれども、いつものれんに腕押しでありまして、反応がない。その間、時間が経過して今日の惨状になったわけでありますけれども、私も知事に就任しまして、都商連の人たちとも改めて話をしたいと思います。
 先般、イトーヨーカ堂のオーナーであります伊藤さんと話をしたときに、それはあなたにとっても非常に大事なノウハウだろうけど、それひとつ提供してくれないか。いや、大したことありません、喜んで協力しますという言葉もありましたが、肝心の力をかりるべき立場にある商店街の方が、そこまでの意欲がないならこれはもう自滅しかないわけでありまして、そこら辺のところ、やっぱり各地域におられる議員の方々は商店街の声を育てて、それを束ねた形で東京が乗り出すという形が望ましいんじゃないかと思います。
 他の質問については、関係局長から答弁いたします。
   〔建設局長古川公毅君登壇〕

○建設局長(古川公毅君) 五点お答え申し上げます。
 まず、西武新宿線検討会の目的についてですが、西武新宿駅から上石神井駅に至る区間の複々線化計画は、都市計画決定後、その事業化が延期されています。このため、中野通りなどの在来線の踏切は、渋滞緩和が図られず、依然としてボトルネック踏切が解消されない状況にあります。検討会では、複々線化計画を踏まえつつ、踏切渋滞解消に向けた対策について検討いたします。
 検討会の性格についてですが、西武新宿線の踏切渋滞解消に向けた対策について、東京都と西武鉄道とが率直な意見交換の場として設置したものです。
 検討会で結論を出す時期についてですが、複々線化計画を踏まえつつ、道路と鉄道との立体交差化の調査検討を連携して開始したところであり、結論を出す時期については協議の推移を見て判断することとなります。
 次に、放射五号線の未整備区間周辺の現状ですが、本路線は、千代田区半蔵門を起点とし、東八道路に至る延長十五キロの幹線道路であり、杉並区から三鷹市にかけての一・八キロの区間が唯一未整備です。このため、抜け道となっている人見街道や区境通りに多くの車が流入するとともに、甲州街道では慢性的な渋滞を招いています。中でも、幅員八メートルの区境道路には、一日二万台もの車が通行しており、東京都平均の三倍もの交通事故が発生しています。
 放射五号線の整備に向けた取り組みですが、本路線の区間内には玉川上水が含まれることから、総合環境アセスメントを試行しています。この手続の中で、計画の早い段階から複数の案を示し、都民の意見を聴く会や説明会などを通して、多くの地元の方々と話し合いを進めてきました。
 現在、総合アセス試行審査会において答申の取りまとめが行われており、その結果を踏まえて基本計画を策定し、地元の理解と協力を得ながら事業化を図ってまいります。
   〔港湾局長齋藤哲哉君登壇〕

○港湾局長(齋藤哲哉君) 東京港の位置づけに関する三点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、国の港湾政策の転換を求めることについてでございますが、我が国の港湾は、躍進を続けるアジア諸港との比較において、相対的に国際競争力が低下をしております。
 この背景には、国際的に海上物流の効率化が求められる中で、我が国では、全国千以上の港湾に分散投資をしてきたことや、港湾の運営においてさまざまな規制が温存されてきたことによって、サービスやコストの面で大きく立ちおくれていることがございます。
 そこで、都は、国内の主要な国際港湾と連携し、国際競争力を重視する観点から、東京港など中枢国際港湾への重点投資や港湾サービスに関するさらなる規制緩和の推進を、国に対して強力に働きかけてまいります。
 次に、東京港の国際競争力を高めるための基本戦略についてでございますが、東京港は、二十一世紀も引き続き、我が国はもとよりアジアの経済発展を支える国際物流の一大拠点として機能していく必要があります。そこで、東京港が世界の主要航路と直結する国際港湾としての地位を揺るぎないものにしていくことが重要だと考えております。
 このためには、東京ベイエリア21でも述べておりますように、コンテナふ頭の高規格化、三百六十五日二十四時間フルオープン化の実現や、トータルコストの削減など、港湾サービスの拡充などにより、アジアの有力諸港にまさるという気概を持って、国際競争力のある港づくりを目指してまいります。
 次に、東京港における総合物流施策への取り組みについてでございますが、東京臨海地域は、陸、海、空の交通の結節点であり、物流のポテンシャルが極めて高い地域でございます。
 東京港の物流拠点としての役割を総合的に高めるためには、ご指摘のとおり、多様な輸送モードを複合的に結びつけるとともに、ITを活用して、物流の効率化を図る高機能複合物流空間を確保していく必要がございます。
 このため、コンテナふ頭背後の既存倉庫群において、新たな機能を備えた物流センターへのリニューアルについて、企業への取り組みを促進していくほか、港湾地域における光ファイバー網を構築することも検討してまいりたいと考えます。
 また、将来的には、中央防波堤外側埋立地等に新たな物流産業の立地と育成を図っていきたいと考えております。
   〔都市計画局長山下保博君登壇〕

○都市計画局長(山下保博君) 四つのご質問にお答えいたします。
 まず、都市づくりにおける都心居住と商店街の位置づけについてでございますが、都民が豊かでゆとりある暮らしを実現するためには、東京圏全体を視野に入れた大きな都市の骨格づくりに取り組む一方で、都心居住の場でもある身近な生活圏において、魅力あるまちをきめ細かく配置していくことも必要でございます。
 今後、この生活圏のまちづくりを進める上では、商店街を中心として、健康、文化、福祉など、生活の質の向上につながる諸機能を集積させていくことが重要であると考えております。
 こうした商店街は、都市に住まう人にとって、生活の核となる重要な都市の装置の一つでもあると認識しておりまして、都市計画の面からも十分な配慮を行ってまいります。
 次に、外郭環状道路の住民との話し合いについての現状でございますが、昭和四十五年以来、三十年間凍結されている外郭環状道路は、平成十一年の知事の現地視察を契機として、昨年四月、地元団体との話し合いがスタートし、これまで三回の話し合いを行ってまいりました。
 先般の話し合いにおきまして、代表者による小規模な打合会の設置を提案し、現在その開催を要請しているところでございます。
 次に、外環整備の効果についてでございますが、外環の関越道大泉インターチェンジから東名高速用賀インターチェンジまでが完成いたしますと、時間短縮や燃料費などの軽減によりまして、その経済効果は年間約三千億円と推計されております。
 また、同区間の所要時間は、現在一時間以上要しているものが約十二分に短縮されると見込まれるなど、移動時間の短縮効果や、そのほか周辺道路の混雑緩和に寄与するなど、大きな効果が期待されております。
 最後に、外環の実現に向けた取り組みについてでございますが、現在、都から要請している代表者による打合会を開催し、これまでに提起された諸課題について十分議論を尽くしていきたいというふうに考えております。
 また、その後、地下を基本とした検討のたたき台となる案をできるだけ早く地元に示していきたいと思っております。
 都といたしましては、今後とも、計画の具体化を図るため、国も交えて地元との話し合いを精力的に進めてまいります。
   〔労働経済局長浪越勝海君登壇〕

○労働経済局長(浪越勝海君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、商店街リーダーの育成についてでございますが、商店街の活性化や地域と一体となったまちづくりを進める上で、商店街リーダーの育成は、ご指摘のとおり、極めて重要な課題でございます。
 現在、都においては、活力ある商店街育成事業や中小企業振興基金の活性化事業により、商店街リーダーの育成を支援できることとなっております。
 今後、これらの事業の活用を区市町村と一体となって積極的に進めるとともに、モデル的な事例について広く紹介し、その普及に努めてまいります。
 次に、商店街が現在のまま放置された場合に想定されます状況についてでございますが、商店街を取り巻く状況は、長引く消費の低迷、情報化の急速な進展、経営者の高齢化、後継者難等により、極めて厳しいと認識しております。このような状況に対応できない商店街は、活力が損なわれて衰退していくことが懸念されます。
 しかしながら、このような大変厳しい状況下でも、創意工夫を凝らし、主体的に意欲を持って活性化に取り組んでいる元気な商店街も数多く存在しております。何件かの商店街を回って、私が受けた感想を事例の一つとして申し上げますと、元気があり、活況を呈している商店街か否かの見分け方につきましては、店頭に若者が、特に女性が多く立っているか否かでわかります。若い人が多い商店街は活気がございます。このこと一つからしても、後継者問題の重要さがわかりました。
 このようなことからして、今のまま放置しておきますと、今後、商店街の間での格差が一層拡大していくことが懸念されます。
 最後に、商店街振興の今後の基本的な考え方についてでございますが、商店街が地域コミュニティの核として機能し、その役割を十分果たすためには、まず、商店街自身が自主的、自立的に課題の解決に取り組むことが不可欠でございます。
 このため、都としては、今後の商店街のあるべき姿と戦略の方向性を示すこととしており、少しでも多くの商店街において、各種の意欲的な取り組みがなされることを期待しております。
 また、このような意欲的な商店街に対しましては、地域の実情に精通しております区市町村との強固な連携のもとに積極的に支援してまいります。
   〔消防総監池田春雄君登壇〕

○消防総監(池田春雄君) 住宅用防火機器の設置についてでございますけれども、当庁では、建物火災による死者の多くが住宅火災であり、火災による高齢者等の死者の増加が懸念されることから、平成四年に火災予防条例の中に住宅防火対策に関する規定を設け、高齢者等の人命の安全確保などを重点に推進してきたところであります。
 さらに、昨年からは、住宅火災による高齢者等のとうとい命を守るため、各消防署ごとに住宅防火等推進協議会を設置し、住宅用火災警報器等の設置普及キャンペーンを積極的に実施しているところであります。
 今後、さらに一層効果的な住宅防火対策を推進してまいります。
   〔福祉局長高齢者施策推進室長兼務前川燿男君登壇〕

○福祉局長高齢者施策推進室長兼務(前川燿男君) 住宅用スプリンクラー等につきまして、二点のご質問にお答えいたします。
 まず、その設置補助についてでございますが、住宅用スプリンクラーは、高齢者を火災から守る上で有効でありますが、家屋の構造上設置が困難な場合があり、また、設置費が比較的高額であるなど、普及していく上での課題もございます。
 今後、都が実施している火災安全システム事業の実施主体である区市町村とともに、課題への対応を検討してまいりたいと存じます。
 次に、住宅用スプリンクラー等の痴呆性高齢者グループホームへの設置についてでございますが、痴呆性高齢者グループホームにおきましては、火災発生時における緊急対応がとりわけ重要でございます。このため、整備主体である事業者に対して、住宅用スプリンクラーなど適切な火災安全機器を設置をするよう、都として指導してまいりたいと存じます。
   〔住宅局長戸井昌蔵君登壇〕

○住宅局長(戸井昌蔵君) 都営住宅における火災への安全対策についてのご質問にお答え申し上げます。
 火災報知機につきましては、現在、シルバーピア、車いす向け住宅及び六階以上の住宅には建設時に設置しているところでございます。その他の都営住宅につきましては、入居後、高齢者や障害者世帯からの申し出に基づき、住宅設備等改善事業によりまして対応しているところでございます。
 なお、住宅用スプリンクラーの設置につきましては、民間住宅への普及状況、コスト、財政状況等を総合的に勘案し、今後検討してまいります。

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