平成十三年東京都議会会議録第二号

○副議長(五十嵐正君) 百二十二番嶋田実君。
   〔百二十二番嶋田実君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○百二十二番(嶋田実君) 私は、都議会民主党を代表し、当面する都政の主要課題について、知事並びに関係局長に質問をいたします。
 初めに、先月二十六日夜、JR新大久保駅で、ホームから転落をした男性を救助しようとして亡くなられました韓国の李秀賢さんと日本の関根史郎さんに対し、深く哀悼の意を表したいと思います。
 みずからの危険を顧みずに人命救助に当たったお二人の行為は、私たちに改めて人間の尊厳の大切さを教えてくれました。心からご冥福をお祈りいたします。
 このとうとい犠牲的行為の一方で、我が国には、アメリカ海軍の原子力潜水艦の無謀な緊急浮上によって、宇和島水産高校の実習船「えひめ丸」が沈没させられたにもかかわらず、これを単なる事故としか認識できず、のんびりゴルフに興じていたという総理大臣を、今なお抱えている現実があります。
 また、KSDを舞台に、自民党の政治家と旧労働省の官僚たちが、中小企業経営者の方々から預かったお金に群がり、政・官・業癒着のパイプを使って巨額の利益を得ていたという、極めて悪質な行為が明らかになっています。
 さらに、外務省の松尾克彦元室長は、外務省で確認しただけでも五千万余りの官房機密費や外交機密費を流用し、競走馬の他にもゴルフ会員権やマンションを購入していました。国家の機密費を私資し、首相官邸も外務省もそれを放置していたのであります。
 知事は、さきの施政方針で、危機の中にあって、危機を自覚していないところに本当の危機が潜んでいるとされました。現下のこれらの問題についてどのようにお考えか、見解を伺います。
 また、私は、国会において、その真相と責任を徹底的に明らかにするように求めるとともに、捜査当局に対しても、KSD事件や機密費流用について、いかなる圧力にも屈することなく真相を解明されるよう強く求めるものであります。
 次に、平成十三年度予算案について伺います。
 平成十三年度の一般会計の予算規模は、企業収益の改善や銀行業等に対する外形標準課税の導入などによる法人二税の大幅な伸びを反映して、前年度と比べ三・六%増の六兆二千六十億円となっています。しかし、政策的経費である一般歳出は四兆四千八百四十七億円で、前年度と比べ〇・三%増と、ほぼ横ばいであります。これは、ピーク時である平成四年度の一般歳出に比べて一兆六千六百二十六億円、二七%も低い水準であります。投資的経費で見ても、平成十三年度予算案では七千百四十七億円となっており、平成四年度に比べて一兆二千八百四十六億円、六四%減になっています。
 国が、一般会計において前年度比マイナス二・七%、八十二兆六千五百二十四億円としたとはいえ、一般歳出をプラス一・二%、四十八兆六千五百八十九億円に伸ばし、しかも、その財源の三四・三%、二十八兆三千百八十億円を、国の借金である国債に頼っているのとは大きな違いです。
 私は、日本経済の再生のために国家予算を投じることに対して、反対するものではありませんが、財政構造改革なきばらまき予算は、この国を破綻させかねないと大きな危惧を持つものであります。
 まず、石原知事は、今の政府の予算編成と財政運営についてどのようにお考えかを伺いたいと思います。
 今回の東京都予算案は、今述べましたように、依然厳しい予算案となっていますが、それでも、一般財源ベースでの財源確保の状況は、徴税努力や外形標準課税の導入で歳入確保策が前進した反面、内部努力は三百四十億円程度、施策の見直し、再構築では四百二十億円程度と、十二年度予算と比べて大きくペースダウンをしています。その結果、歳入の伸びが見込まれるにもかかわらず、一千五百億円程度の臨時的な財源対策を余儀なくされています。
 しかも、今後の都財政は、都債のみならず、いわゆる隠れ借金の存在や、多摩ニュータウン事業や東京都が施行している市街地再開発事業でも見込まれている資金不足、そして、後ほど述べます臨海副都心開発事業の展開いかんでは、さらに多額の資金不足を生じることになります。さらに、少子高齢化社会対策や社会資本の整備更新に要する費用など、歳出増を迫る要因がメジロ押しであり、今後も厳しい財政運営を強いられることになります。石原知事は今後の財政運営についてどのようにお考えか、見解を伺います。
 東京都は、昨年末に、都政改革ビジョンⅠをまとめ、電子都庁の推進や組織の見直しなどの当面の都政改革プランを示し、また、平成十三年度には行政評価制度を本格的に実施するとしています。私たちは、今後の財政運営において、これらを積極的に活用しながら、より一層の内部努力や施策の見直し、再構築に取り組んでいく必要があると考えますが、所見を伺います。
 また、この都政改革ビジョンⅠは、東京都の基本的役割から職員の自己改革まで、広範な問題意識のもとにそれぞれの改革策を示したものであり、特に第1部では、自治・分権型社会を担う行政のあり方と都政の守備範囲を明確に打ち出しており、私たちの基本的スタンスと重なるものであります。
 さらに第2部では、我が党が主張している、公共部門の効率化や透明性の向上のために導入される民間企業的な手法であるニューパブリックマネジメントの視点から、民営化、外部委託、PFIなどへの取り組みについて踏み込んで明確にしており、率直に評価をするものであります。
 しかし、例えば新たな手法として掲げた民営方式などを採用するに当たっては、都民から、行政の責任放棄ととられてはいけないと考えます。行政がなすべきことは、行政が責任を持って的確に実施していくことが重要であります。
 そこで、民間活力を都政に導入するに当たり、東京都としての責任のあり方をどう考えるのか、知事の所見を伺います。
 さて、情報技術関連業種を中心とした企業収益の改善に一息つく間もなく、アメリカ経済の減速が顕在化し、日本経済も複合デフレ定着の懸念が出てきています。政府の月例経済報告も、景気の改善はそのテンポがより緩やかになっているとし、自律的回復の動きは続いているとしながらも、景気判断を三カ月ぶりに下方修正しています。
 東京都も、景気の先行きは不透明として、法人二税の伸びを低く抑えていますが、十三年度一千四百十六億円と見込んだ外形標準課税分は、十四年度は一千億円程度になるとともに、郵便貯金の満期もピークを過ぎるため、都民税利子割の大幅な減収が見込まれます。
 東京都税制調査会は、昨年末の答申で、地方税財政制度の改革案を打ち出すとともに、大型ディーゼル車高速道路利用税、産業廃棄物税、ホテル税、パチンコ税を東京都にふさわしい法定外税としました。
 石原知事は、これらの法定外税をどう評価し、今後どのようにされようとお考えか、所見を伺います。
 次に、教育に関して何点か伺いたいと思います。
 知事は、さきの施政方針において、区市町村教育委員会の教科書採択事務にかかわる東京都教育委員会通知に触れられました。
 この採択事務の対象となる教科書は、学習指導要領に基づき文部省が検定を行った教科書であり、この教科書の採択権者は、各区市町村教育委員会であります。都道府県の教育委員会は、適切な指導、助言または援助を行わなければならないとされていますが、これは、あくまで採択の適正な実施を図るためであり、区市町村の自治権への介入が認められているわけではありません。各区市町村教育委員会は、あくまでみずからの責任において、適切に教科書を採択しなければなりません。
 今回の通知について、一部には、ある特定の教科書の採択を強要するものとの意見もありますが、決してそのようなものではないし、そうあってはならないと考えるものですが、教育長の見解を伺います。
 さて、これからの時代には、専門的知識を持った人材が、ますます求められるようになります。しかも、その専門的知識は、日々刻々と陳腐化し、常に新たな知識を吸収していかなければ、社会の進歩に対応していくことができません。これまでのように、ただ決められた知識を詰め込むような教育だけではなく、各学校が知恵と工夫を凝らし、継続して学ぶ力をつける教育機会の提供が期待されています。
 アメリカでは、チャータースクールといって、教員や保護者などの提案によって、独自の理念に基づく教育を行うことが許可された学校が、公的な補助を受けて運営されています。日本でも、チャータースクールの導入に向けた取り組みが始まっており、東京都においても、現行制度にとらわれない新たな教育システムの導入に積極的に取り組んでいくべきと考えます。
 しかし、これまで、本来は単なる指針であった学習指導要領を、法的拘束力のあるものとして学校現場を拘束してきたため、現場はこの要領をこなすのに精いっぱいで、継続して学ぶ力をつけるために知恵と工夫を凝らす余裕がなくなっています。私は、学習指導要領についても、もっと弾力的に取り扱い、学校現場にもっと知恵と工夫を促すべきと考えますが、見解を伺います。
 また、今の東京では、後期中等教育を受ける都民の半分強が都立へ、半分弱が私立高校に通っています。同じ都民でありながら、後期中等教育を受けるための負担に大きな格差があります。私は、このような現状に対して、東京都としても何らかの抜本的な解決策を示さなければならないと考えます。
 私は、例えば、都立高校の管理運営を私学法人並みに自由化し、一方で、私学の土地、施設を定期借地、借家し、その管理運営を私学法人に任せるなど、私立高校と都立高校を同じ土俵に乗せ、その上で、教育を受ける権利を保障する教育券を都民に交付するというバウチャー制度の導入を検討すべきだと考えます。
 都民は、この教育券を行使することによって、公立、私立を問わず同額の公費負担を得て、高校を選択することができるようになります。このようなバウチャー制度の導入について、どのようにお考えか、見解を伺います。
 次に、都立の大学について伺います。
 先日、東京都は、大学改革基本方針をまとめられましたが、これからの大学は、人材育成と学術研究に加えて、いかに社会に貢献するのか、その成果がますます問われることになります。こうした要請にこたえていくためには、大学の教授陣の能力をフルに活用し、生かしていくための意思決定を行う機関が必要であります。
 この方針でも、平成十三年度に大学の運営に第三者の意見を反映させていくための外部識者から成る運営監理委員会を設置するとしていますが、私は、単に意見反映にとどまらない意思決定機関、大学の管理運営について、教授陣と車の両輪を担う理事会機能を設けるべきと考えますが、見解を伺います。
 また、今の日本は、情報技術分野にとどまらず、あらゆる分野で知識労働者が不足しています。学生に対する教育のみならず、社会人のリカレント教育、リフレッシュ教育も求められています。そして、知識労働のための有能な人材を大勢育てるためだけではなく、一流のリーダーを大勢育てるためにも、大勢の人間に最高の教育を与えることが不可欠となっています。
 都立の大学が、これらの需要にこたえるには、その施設の容量に限界がありますが、インターネット上にバーチャル大学を開設するならば、その限界を大きく超えて教育を提供することができます。実験、実習に、土曜、日曜日、春、夏、冬の休みの期間を活用するならば、施設の稼働率も飛躍的に高めることができ、教授陣の生産性も上げることができます。私は、こうしたバーチャル大学の開設をも検討すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、男女平等参画施策の推進について伺います。
 国の省庁再編に伴って、各省の局が削減された中で、一つだけ新たに誕生した局があります。それは旧総理府の室から格上げされた内閣府の男女共同参画局であります。
 翻って、東京都の組織再編では、生活文化局から女性青少年部がなくなり、男女平等施策は、生活文化局総務部内での取り組みになるとされています。
 このような例を出すまでもなく、これまでの石原知事の言動や行動から、知事は男女平等施策に無理解ではないかという懸念が広がっています。このたびの女性財団の廃止についても、男女平等施策をどのように推進するのかといった中身の議論を超えて、財団廃止イコール施策の後退という認識になっています。石原知事は、このような誤解を解くためにも、男女平等施策推進の姿勢をもっと鮮明にすべきと考えますが、見解を伺います。
 今も触れましたが、東京都は、さきの都政改革ビジョンⅠにおいて、東京女性財団を十二年度で廃止するとしました。しかし、多くの関係団体には、事前の十分な協議もなく唐突に発表されたことから、強い批判が出ています。
 今回の方針は、これまで財団が実施してきた事業は都が直接実施した方がよいということなのでありますが、では、これまでの財団の八年間は何だったのか、団体活用のメリットが十分に発揮されていない具体的な原因は何なのか、まず伺いたいと思います。
 私は、かねてより、監理団体に対する行政の丸抱え、過剰な関与が団体を窒息させ、団体活用のメリットを十分に発揮させていないのではないか、もっと結果責任をとらせるべきだと考えてきました。今回の女性財団の廃止の方針は、東京都丸抱えの最悪の結果といわざるを得ません。
 しかし、それだけで事態が解決するわけではありません。私は、この際、財団廃止を一たん凍結し、財団運営に民間の資金や人材、経営ノウハウなどを活用するため、女性団体や男女平等参画社会の推進に努めている団体、個人に広く呼びかけ、財団の現状を改革するための協力を求めていくべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 次に、東京のまちづくりと環境政策について伺います。
 二十一世紀は、環境の世紀といわれています。環境汚染は、地域においても、また地球規模でも、これまで以上に大きな問題となり、環境への取り組みは二十一世紀の重要なテーマとなることでしょう。
 自動車公害対策では、ディーゼル車や不正軽油などの個別単体規制にとどまらず、道路のネットワークをどうするべきか、交通需要をどのように抑制していくべきかといった取り組みも始まっています。このように道路行政や物流対策などの施策に環境の視点を取り組んでいくことは、大変重要であると考えます。
 そこで、私は、地域からの環境負荷を構造的に低減していくために、道路や物流に限らず、産業政策や港湾政策、河川政策など、あらゆる施策において、いわゆる環境行政の内部化を求めるものであります。二十一世紀の環境行政の取り組みについて、石原知事の見解を伺います。
 まちづくりの分野においては、平成十二年に都市計画法が改正され、都市計画基準に、自然的環境の整備または保全に配慮しなければならない旨が新たに規定され、東京都においても、環境に配慮した取り組みが期待されています。
 現在、東京都は都市づくりビジョンの策定を進めておりますが、都市づくりにおける環境配慮を実際に進めるためには、ただ単に、抽象的に環境的視点の導入をうたうだけでは不十分であります。
 ヒートアイランド問題を例にとれば、その抜本的な対策として、東京湾からの風を都心部に導き入れるための風の道の確保が必要であり、臨海部や都心部の開発プロジェクトは、こうした風の道を阻害しないように配慮していく必要があります。
 今後策定する都市づくりビジョンにおいては、このような自然を生かした施策を明確に規定するなど、抽象的な環境的視点の提唱にとどまらない、より踏み込んだ方針を打ち出すべきと考えますが、見解を伺います。
 ヒートアイランド現象の緩和を図るために、都は屋上緑化を推進していますが、これとともに重視すべき施策として、東京の都市のあり方を、水と調和する親水性のものにすることが挙げられます。道路や駐車場、公園や学校の校庭までがコンクリートやアスファルトで覆われ、降った雨が地面に浸透しない構造となってしまったことが、東京のヒートアイランド化の大きな原因であると考えるわけであります。
 既に、東京の歩道を浸透性舗装にするなど一定の努力は行われていますが、ヒートアイランド現象の進行の度合いを考えるとき、駐車場や学校、公園の舗装をはがして土に戻すこと、車道も含めて親水性や保水性の舗装を行うなど、一歩踏み込んだ対策が必要と考えますが、見解を伺います。
 石原知事の都市づくりでは、外郭環状道路などの首都圏三環状の整備が強調されがちで、ハード重視のイメージが先行していますが、私は、これら道路の整備によって都内交通量の軽減が図られるという、環境的側面からの成果を期待するものであります。
 その上で、私は、幹線道路の整備や自動車交通量の抑制を図った上で、自動車公害の深刻な地域、既に供用している環状七号線や環状八号線では車線を減らし、また環状六号線では拡幅整備の中において、沿道の緑化を図り、あわせて自転車道や歩道を整備していくべきと考えますが、見解を伺います。
 河川行政においても、これまでの治水を重視した姿勢から、環境に配慮した取り組みが進みつつあります。平成九年の河川環境の整備と保全を法の目的に加えた河川法の改正は、今後の河川行政の大きな方針転換であり、東京の河川が自然豊かな空間になることを大いに期待しているものであります。
 昨年十二月に、旧建設省の河川審議会は、河川がはんらんすることを前提に、これまでの河川改修から、洪水に強いまちづくりを進める方針に転換し、コンクリート三面張りに象徴される河川の人工化をやめ、自然な河川の性質と機能を尊重した河川行政を進めることを打ち出しました。
 私たちも、水辺が生態系を取り戻す大きな役割を果たすものとしておりますし、平成十年三月に策定された東京都水環境保全計画でも、何もしないことが自然の保全と人々に魅力的な場を提供する場合もあるので、これも選択肢として検討の対象とすると、重点施策の一つと位置づけています。
 私は、これからの河川行政においては、生態系に配慮した水辺の再生、創造に取り組んでいくとともに、可能な河川については既設の護岸を撤去し、自然豊かな河川の再生を図るべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、東京都のエネルギー政策について伺います。
 この間、米国カリフォルニア州における停電が都市機能を麻痺させ、大きな社会問題となっております。カリフォルニア州の事態は、持続可能な都市の発展を実現する上で、いかにエネルギー政策が重要であるかを、改めて示したものであると思います。
 二十世紀までは、都市の発展を支えてきたのは、石油に代表される化石燃料でした。しかし、化石燃料がやがて枯渇することは明らかであり、二十一世紀の都市エネルギーのあり方は、これまでとは異なったものにならなければなりません。
 新しい都市エネルギー政策を考えるとき、最も重要なのは、エネルギー需要の増大をあるがままに認めるのではなく、適切に消費の抑制を進めることであると思います。
 まず最初に、石原知事に、省エネルギー型都市づくりについての見解を伺います。
 一大電力消費地である東京では、省エネルギー施策についてもなかなか進んでおりませんが、もう一つの大きな問題は、化石燃料にかわるべき新エネルギーの普及においても、立ちおくれていることであります。もっとも、新エネルギーの開発が立ちおくれているのは東京だけの問題ではなく、日本全体に共通する状況であります。
 風力発電を例にとれば、世界で最も進んでいるドイツが既に四千五百メガワットという発電量に達しているのに対して、日本はその十分の一以下の低水準にとどまっているのであります。風力だけでなく、太陽光発電やバイオマスといった自然エネルギーに関しても、その活用は極めて初歩的な段階にとどまっております。
 大量の電力を消費し、これまでその供給のほとんどを他の地域に依存してきた東京都であるからこそ、取り組みの遅い国に先んじて、風力発電など新エネルギーの普及に取り組むべきではないでしょうか。見解を伺います。
 さまざまな新エネルギーの中で、特に注目に値するものとして、バイオマスがあります。バイオマスは、生物を原料としたエネルギー資源のことで、石油や石炭などの化石燃料ではなく、木材、下水の汚泥、家畜のふん尿や稲わら、生ごみなどからつくられる生物燃料のことであります。
 バイオマスの最大のメリットは、化石燃料とは異なり、自然のサイクルや私たちの日常生活の結果として生み出される廃棄物からつくられるものであるため、その供給に制限がない、いわば永久資源であるということであります。
 バイオマスの中でも、間伐材や製材廃材、解体廃材、街路樹を剪定した枝などを原料とする木質バイオマスは、林業の活性化にも寄与するものとして注目をされております。産業振興の観点からも、木質バイオの開発と利用を進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
 最後に、臨海部のまちづくりについて伺います。
 二月十六日に、東京ベイエリア21が発表されました。東京港の埋め立ては、古くは江戸時代の日比谷の入り江から始まったように、もはや東京港に接する土地で、埋立地でない土地はありません。しかし、物流機能が中心であった時代は植生のなかった地域も、ここ十数年のまちづくりによって、海上公園を初め都民が水辺に親しめる空間が整備されてきました。
 一方で、東京港内には、羽田沖の大規模な人工浅場はもとより自然の干潟も見られます。葛西沖の三枚洲では、大規模な自然の浅場にカモが飛来したり、アサリがとれたりするそうであります。京浜島周辺や羽田空港の多摩川側にも、自然の干潟が点在しています。
 私は、東京港に残された自然の干潟を保全するとともに、都民が陸地からも水辺に接することができ、かつ生態系に配慮した水辺を創出していくなど、東京港全体を視野に入れた自然環境への取り組みが必要であると考えますが、見解を伺います。
 東京港では、現在、中央防波堤外側及び新海面処分場、豊州・晴海の水際線、有明北地区での埋め立てが進んでおり、今後も日の出ふ頭での埋め立てが予定されています。しかし、これらの埋め立ては、可能なものについては見直し、あるいは延命化をしていく必要があります。
 既に私たちは、中央防波堤内側については、動植物と触れ合える森林公園にすべきと主張してきました。一方で、ベイエリア21では、中央防波堤外側を含めた約一千ヘクタールにも及ぶ地域について、大規模な海上公園だけではなく、環境関連産業や高機能複合物流空間といった三つの例が示され、保留地的な観点からも、その利用時期や方向性を検討していくとしています。
 私たちは、東京港を仮に埋め立てるのであっても、その後の土地利用については、自然環境に極力配慮する必要があると考えますが、中央防波堤内側の土地利用も含めて、今後の土地利用のあり方について伺います。
 ベイエリア21の策定目的は、臨海会計、埋立会計、羽田沖会計の三会計を統合し、臨海会計を救済するためのものだともいわれています。
 臨海副都心開発事業会計は、十二年度末には、企業債の未償還残額が五千百八十五億円、他会計からの借入金が三千六百三十億円となり、借金額は合計八千八百十五億円となる見込みであります。
 これに対して港湾局は、用地の四分の一を売却し、残り四分の三を長期貸付にするなど土地処分を着実に実施すれば、これらの借金は全部返済でき、長期収支は均衡すると説明をされました。しかし、これまで港湾局における長期収支見込みがいかに甘いものであったかを考えれば、大胆な改革なくして長期収支が均衡するとは考えられません。
 石原知事も、施政方針で、臨海副都心開発を負の遺産と位置づけ、三会計統合は、あくまでも収支を改善させるための一つの手法であり、今後も大胆な改革を行っていくと述べています。
 そこで、私は、具体的な改革案の検討に早急に着手するとともに、それを踏まえた臨海開発の長期収支試算を、できるだけ早い時期に都民に明示すべきと考えますが、見解を伺います。
 私たちは、臨海開発をただ批判していれば事足りるという立場には立ちません。しかし、臨海会計が統合され、一時の資金繰りを免れたからといって、臨海開発が抱えた根本的な問題を先送りするようなことがあってはならないと考えます。
 港湾局は、一月に事業者の誘致促進策を示しましたが、今後は港湾局にとどまらず、全庁を挙げた誘致活動が求められています。また、基盤整備についても、臨海高速鉄道や「ゆりかもめ」の延伸を確実に実現するとともに、国庫補助の導入やPFIの活用など、さまざまな工夫により収支の改善に努めるなど、将来、その負担が都民のものとならないように、絶えず取り組んでいく必要があります。今後の会計健全化に向けての決意を伺います。
 会計の健全化に向けては、第三者機関による見直しも有効であります。この間、包括的外部監査が都立大学や病院会計等で実施され、都営地下鉄については、かなり大胆な案を示すに至りました。私は、臨海副都心開発についても、包括的外部監査を実施するなど外部の専門家の知恵を活用し、会計の健全化を図っていくべきと考えますが、見解を伺います。
 以上で、都議会民主党を代表しての質問を終わり、そして東京都議会本会議議事堂での最後の私の質問とさせていただきます。
 知事並びに教育長、関係局長の誠意ある答弁をお願いいたします。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 嶋田実議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、現下の我が国の国政にかかわる問題についてのご質問でございますが、最近、とにかく国政にかかわる実に忌まわしい問題が、次々起こっております。一体どうしてこういうことなのかということですが、こういう問題が起こる根源的な原因は、国の政治家あるいは官僚の無責任というか、非責任体質にあるといわざるを得ない。多くの政治家に、国家の経綸に対する責任感が非常に希薄になりまして、最近は、そもそも国に対する責任を感じることすらない政治家がふえているように思いますし、また官僚にしても、かつて厚生省の次官が、いわば老人を食い物にして蓄財するとか、非常に忌まわしい事件がありましたが、これに対する国民の反応も非常に怒りに満ちたものでありますけれども、しかし、残念ながらこういう事件が後を絶たない。いいかえれば、保身のための、その場、その場の場当たりの状況主義というものが、ばっこしているといわざるを得ないと思います。
 せめて東京都では、そういったものに対する反省も含めて、日本全体の政治というものを正していくために、私たち、私なりの努力をしなくちゃいけないと思っております。
 次いで、国家の財政に対する所見でありますが、ご指摘のように、歳入の三分の一以上を国債の発行に頼って、国税収入の八倍に近い国債残高を抱えている国家の財政のかじ取りは、残念ながら破綻しているとしかいい得ない。スタンダード・プアーズやムーディーズといったアメリカの格付会社が、先般も日本の国債の格を下げましたが、私たち、こういう現実を直視して、抜本的な改革というものをしなくちゃいけないと思います。
 例えば、首都機能移転問題であるとか整備新幹線への対応などを見るまでもなく、投資効果と費用の検証が全く欠落しておるとしかいいようがない。財政構造改革への真摯な意欲が全くうかがえません。
 こうした危機的状況を招いたのは、先ほど申しましたように、政治家の非責任という体質だと思いますが、いずれにしろ、痛みを伴う決断ができなくなったために、事を殊さらに回避するという姿勢が繰り返されているわけでありまして、場合によっては、国民に我慢を訴える、ある意味でストイシズムを説くような政治家が国をリードしなくてはならないと思っております。
 次いで、今後の財政運営についてでありますが、減債基金の積立不足など、いわゆる隠れ借金の存在や、都債の償還、さらには社会資本の整備、更新など、今後、都財政を圧迫するいろいろな要因がありまして、都財政は依然として厳しい状況にあります。
 そのため、今後も引き続き、財政再建推進プランに掲げた目標の確実な達成を図るとともに、将来の財政負担の増大に備えた財政基盤の強化など、さらに財政構造改革を推進していく必要があると心得ております。
 次いで、今後の内部努力や施策の見直し、再構築への取り組みについてでありますが、十三年度予算においては、財政再建推進プランの前半の到達点として、引き続き徹底した内部努力や施策の見直し、再構築などを行い、財政構造改革に積極的に取り組んだつもりでございます。
 しかしながら、財政再建はまだ道半ばでありまして、構造的な赤字体質を転換するまでには至っておりませんし、巨額の隠れ借金をどのように今後解消していくかも、確かなめどが立っておりません。
 したがって、ご指摘の、都政改革ビジョンⅠで示した取り組みを着実に実施するとともに、行政評価制度なども活用しながら、今後も決して手を休めることなく、財政構造改革に取り組んでいきたいと思っております。
 次いで、民間活力あるいは民間資本の導入に当たっての都の責任についてでありますが、複雑化、多様化する都民ニーズに的確にこたえていくには、行政の限られた経営資源を有効に活用するとともに、民間の技術やノウハウを活用することが肝要だと思います。
 私も、就任してわずかしかたっておりませんが、やはり国にしても、都にしても、官庁というものに欠けているのは、金利感覚と保険、保証の感覚でありまして、これは、とても民間では通用しない感覚で大事な税金が運用されている。これをやはり、反省を説いても切りがございませんし、時間もかかりますから、やはり、これから民間の方法なり民間の活力というものを導入することで、行政を都民の負託にこたえるような合理的なものにしていくことができると思います。
 いずれにしろ、都民の暮らしを守り、活動を支えるなど、都が責任を持ってサービスを確保すべき分野については、今後とも、都みずから事業を実施していくつもりでありますが、しかし、こうした分野であってもなお、民間の活力あるいは手法を導入することで、より効果的、効率的な都民サービスの提供が可能だと思いますし、そういう場合には、民営方法や、あるいはPFI等による事業を実施していきたいと思っております。
 次いで、法定外税についてでありますが、昨年、東京都税制調査会から提言をいただきました四つの法定外税は、いずれもこれ、税収が目的というよりも、むしろ環境問題であるとか観光の推進とか、都の掲げている政策課題に焦点を当てた構想でありまして、既に幾つかについては、実施を前提として準備を進めておりますが、しかし、結果として大衆課税というような印象を与えないような、そういう形にならないような配慮が必要だと。今後、さらに、技術的な問題については検討を深めて、十三年度中に条例の提案をしたいと考えております。
 次いで、男女平等施策推進についてでありますが、男女は決して等質のものではありませんけれども、あくまでも平等でありまして、個人が社会のあらゆる分野で能力を十分に発揮できることは、男に限らず女に限らずでありますが、社会のダイナミックな運営のために不可欠なことであると思います。
 都は昨年、東京都男女平等参画基本条例を制定し、また東京構想二〇〇〇においても、男女平等参画を推進することを明らかにしております。
 今後は、雇用の分野における参画の促進等、現在の重要課題への具体的対応を盛り込んだ行動計画を平成十三年中に策定し、男女平等参画社会の実現に取り組んでいきたいと思っております。
 次いで、女性財団の廃止についてでありますが、これは決して、廃止すなわち女性問題に対する対処の後退ということではございません。そういうくくられ方は、いかにも短絡的でありまして、女性財団は、先ほども繰り返して申しましたが、自立した組織として、その存続が困難でありまして、また、男女平等参画の新たな段階に対応して、行政が責任を持って施策を推進する必要があるということから、事業を直営化し、廃止することにいたしました。
 これは、繰り返して申しますが、とにかく、基本財産のうち百万円は都以外のお金を仰いでいますけれども、財団を設立するために必要な三億円は全額都からの支出であり、しかも、年間年間の運用の費用というものの九八%を都から仰いでいる、専従の職員はすべて都から出向しているという、これはまことに甘ったれた話でありまして、私は世間で通用しないと思いますね、これは。
 でありますから、要するに、女性の自立、自主ということを説かれるならば、理念を掲げられるならば、どういうメンバーで構成されているか知りませんけれども、やはり財政努力というものをご自分でなさったらどうかと、それが私は常識だと思います。
 しかしながら、財団の廃止についてはさまざまな意見があることも承知しておりますから、今後も関係者で十分議論を尽くしていただきたい。
 そのために、来年度以内に結論を出すという形でのタイムアローアンスを提供しておりますけれども、いずれにしろ、財団事業の直営化は四月より実施いたします。その方が効率も上がると思います。
 そして、今後の財団のあり方については、基本的には、財団みずからが、みずからの自助努力というものを自分で勘案されまして、その存在を含めて根本的に見直し、十三年度以内に結論を出していただきたいと思っております。
 次いで、二十一世紀の環境行政の取り組みについてでありますが、効率性優先の経済成長と資源の多量消費を続けてきた結果、人類は、地球規模での環境の危機に直面しております。
 健全な循環というものを大前提にして、物質不滅の法則というものを、私たち子どものころ習いましたが、それがあり得ないということを、エントロピーの発見が明かしているわけでありまして、私たちは、そういう新しい論理というものを事実として受けとめて、環境問題を真剣に考える必要があると思います。
 世界有数の大都市として、文明の便益を享受してきた東京には、大気汚染、温暖化、有害化学物質のはんらんなど、環境の危機が集約的にあらわれておりまして、都市としての存立の基盤が脅かされかねない事態にあります。
 経済性との五分五分のトレードオフを前提としたままでは、もはや環境の再生をなし遂げることはできません。従来の価値観を大胆に転換して、環境の視点に立った都市政策を展開することによって、東京を持続可能な都市によみがえらせていきたいと思っております。
 次いで、省エネルギー型都市づくりについてでありますが、都市生活における利便性、快適性は、多量のエネルギーの消費を必要といたします。
 しかし、資源の有限性の認識とともに、環境負荷の低減が強く叫ばれております今日、そのあり方の見直しが迫られております。
 こうした観点から、環境確保条例においては、大規模事業所に、省資源・省エネルギーの取り組みを義務づけました。
 今後とも、効果的、効率的なエネルギー使用を徹底して、地球環境との調和を基本とした省エネルギー型都市づくりを心がけていきたいと思っております。
 次いで、臨海副都心開発について、外部専門家の知恵を活用することについてでありますが、これまで、外部監査人による包括外部監査や、経営や会計の専門家の助言を得た監理団体総点検などを行いましたことで、都政の重要課題の改革に向けて大きな成果を得ました。
 やはり外部監査というのは、世間の常識というものを踏まえた厳しい監査でありまして、私たちは真摯にこのアドバイスに耳を傾けなくてはいけないと思います。
 臨海副都心開発は、東京再生の起爆剤として、東京の活力を生み出す重要な事業ではありますが、現在、非常に厳しい経済環境のもとにございます。
 こうしたことから、この開発を今後とも着実に推進していく上で、外部の専門家の知恵も大いに活用し、事業の収入及び支出の両面にわたる見直しを徹底的に行いまして、大胆な改革に取り組んでいかないと、これは都民の不信を買うだけであります。そう心得ております。
 なお、その他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) 教育に関します五点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、教科書採択に関する通知についてでございますが、教科書の採択に当たりましては、平成二年三月二十日付の文部省初等中等教育局長の指導通知の内容に基づき、これまで都教育委員会の行ってきた指導などと、区市町村教育委員会の改善を要する実態を踏まえまして、採択の適正な実施を図るために、その改善を求めたものでございます。
 その趣旨は、各区市町村教育委員会がみずからの責任と判断で教科書の採択に当たることの重要性と、その際の留意点を示したものでございます。
 特に、来年度は、新学習指導要領に基づき発行される小中学校の教科書を同時に採択しますことから、この時期に改めて通知をし、指導の徹底を図ったものでございます。
 次に、学習指導要領の弾力的な取り扱いについてですが、新学習指導要領では、みずから学ぶ力を育てる総合的な学習の時間を初め、異なる教科の内容を組み合わせた指導や、柔軟な授業時間の設定など、学習内容や子どもの実態に応じて校長の裁量で教育課程の編成を弾力的に取り扱うことが可能となっております。都教育委員会は、二十一世紀を担う人材の育成を目指し、各学校が新学習指導要領に基づき創意工夫して教育活動を展開できるよう支援してまいります。
 次に、バウチャー制度の導入についてですが、バウチャー制度は、アメリカなどで義務教育に導入が試みられておりますが、導入そのものについての意見の対立や、多くの課題が提起されていると承知しております。我が国の現行教育制度においては導入は困難でありますが、都立高校における経営努力がより一層求められているところでございまして、バウチャー制度のねらいの一つでございます公立高校への適切な競争原理の導入については、今後とも推進していく所存でございます。
 次に、都立の大学に理事会機能を設けることについてですが、先般策定しました東京都大学改革基本方針において、大学運営の透明性を向上させ、第三者の意見を反映させるため、平成十三年度に運営監理委員会を設置することといたします。また、基本方針では、大学の経営と教育研究につきまして、その責任の所在を明確化し、大学の機動的な経営体制を確立すること、さらには、都立の大学にふさわしい法人化を目指すことを明らかにしたところでございます。ご指摘の理事会機能につきましても、経営責任の明確化の観点から、今後この法人化を検討する中で具体化を図ってまいりたいと考えております。
 最後に、都立の大学でバーチャル大学を開設することについてですが、国の大学審議会におきまして、昨年十一月の答申、グローバル化時代に求められる高等教育の在り方について、その中で、インターネット等の情報通信技術を活用した形態の授業について、一定の範囲内で正規の単位として位置づけるよう提言が行われました。この提言を受けまして、今年度中に、大学設置基準等の改正が行われる見込みでございます。
 こうした状況を踏まえまして、都におきましても、今後の大学改革の取り組みの中で、インターネットを活用した授業形態や都民に対する多様な学習機会の提供などのあり方について検討してまいります。
   〔生活文化局長高橋信行君登壇〕

○生活文化局長(高橋信行君) 東京女性財団のこれまでの活動の評価などについてでありますが、当財団は、これまで、研究、研修、情報提供、相談等の事業を行い、男女平等の社会的風土づくりに時代の状況の中で一定の成果を上げてまいりました。しかしながら、一方では、これまでも監理団体経営評価において、財務面、事業面、組織面等で一層の努力を必要とするとの指摘があり、そのための改善を促してきたところであります。
 今般の監理団体総点検の中では、全団体をゼロベースで見直すという方針のもとで、改めて組織経営という観点から見ますと、民間の資金や人材の活用という団体のメリットの発揮が困難であると判断し、また、家庭内暴力等への対応の充実という点からも、財団より事業の直営化がふさわしいものと評価をしたものでございます。
   〔都市計画局長山下保博君登壇〕

○都市計画局長(山下保博君) 都市づくりビジョンにおきます環境への配慮についてのご質問でございますが、東京の新しい都市づくりビジョンは、来月に予定されております東京都都市計画審議会の答申を受けまして、本年秋の策定を目指しておりますが、審議会の答申素案では、都市づくりにおける環境への配慮の必要性が明記されております。
 都といたしましても、都市づくりにおきまして、風や水の流れなど自然を生かすことが重要であると認識しております。このため、都市づくりビジョンの策定に当たりましては、河川や公園緑地、市街地のオープンスペースなどを取り込んだ水と緑のネットワークの形成を図るなど、環境にも十分配慮してまいります。
   〔環境局長中野英則君登壇〕

○環境局長(中野英則君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、ヒートアイランド現象の緩和についてでありますが、ヒートアイランド現象は、人工排熱の増大とともに、都市化による舗装面の拡大や緑の減少が主要な原因となっております。この現象の緩和を図るため、省エネルギー施策の徹底に加え、道路、駐車場等における透水性舗装の一層の拡大、公園における緑の保水機能の活用など、雨水浸透の働きを大切にした都市づくりを推進してまいります。
 次に、新エネルギーの普及についてでありますが、地球環境保全のためには、化石燃料の消費量を削減することが求められており、今後、風力や太陽光などの自然の力を利用した新エネルギーの普及の拡大が必要であります。新エネルギーには解決すべき課題もありますが、今後、その普及に向けた施策の方向につきまして、今年度中に改定を予定しております環境基本計画の中で明らかにしてまいります。
   〔建設局長古川公毅君登壇〕

○建設局長(古川公毅君) 環境に配慮した幹線道路の整備についてですが、ご指摘のように、首都圏三環状を初めとする幹線道路ネットワークの整備により、環状七号線や環状八号線の交通量は適度に分散され、環境面の効果があるものと認識しております。今後、三環状などの整備促進を図る中で、可能な箇所から幅員構成を見直すことにより、緑化を進めるなど、ゆとりある歩行者空間の確保に努めてまいります。
 また、中央環状新宿線とあわせて整備する環状六号線については、総幅員が四十メートルあることを生かして、緑豊かな広幅員の歩道や自転車道を設置いたします。
 自然豊かな河川の再生についてですが、河川改修に当たっては、都民の生命と財産を守るための護岸や調節池などの治水施設の整備に加え、隅田川のスーパー堤防など親水性の向上にも努めてきました。
 さらに、河川が本来有している自然を一層生かした潤いのある水辺空間の創出にも取り組んでおります。例えば、落合川や空堀川では、河川敷が広く余裕のある箇所において、コンクリートによる護岸整備にかえ、緑豊かでなだらかな川岸を整備したり、平井川では、魚など生き物の生息に配慮した瀬やふちのある川づくりを進めております。
 今後とも、さまざまな工夫を凝らし、安全で自然豊かな河川の再生に努めてまいります。
   〔労働経済局長浪越勝海君登壇〕

○労働経済局長(浪越勝海君) 産業振興としての木質バイオマスの利用についてでございますが、林業を取り巻く経営環境が厳しい中、未利用となっている間伐材や製材廃材を木質バイオマスとして利用することは、林業の活性化に大きく寄与するものと考えております。また、化石燃料に頼らないエネルギーの確保の面からも有効であると考えます。このため都としては、木質バイオマス利用とその事業化について、平成十三年度から調査研究に着手してまいります。
   〔港湾局長齋藤哲哉君登壇〕

○港湾局長(齋藤哲哉君) 臨海部のまちづくりについての四点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、東京港全体を視野に入れた自然環境への取り組みについてでございますが、東京臨海地域においては、これまでも自然環境に配慮して護岸や海上公園の整備などに努めてまいりました。今回策定した東京ベイエリア21では、東京臨海地域の特色である多様な水域を生かし、良好な都市環境を創出することを重要な柱として掲げております。今後、この地域の総合的、一体的な再編整備を進めるに当たっては、こうした観点から、水生生物の生息に配慮した護岸の整備や運河沿いの緑化を進めるなど、自然環境の保全、回復や親水空間の確保に一層努めてまいります。
 次に、中央防波堤内側地区を含む埋立地の今後の土地利用のあり方についてでございます。
 中央防波堤内側・外側地区及び現在埋め立て中の新海面処分場は、総面積が約千ヘクタールと広大であり、全体の土地利用が可能となるまでには相当長期間を要します。今後、この地区については、大規模海浜公園の整備など、自然環境の保全、回復に配慮するとともに、社会経済状況の変化に応じた多様な機能がバランスよく配置された土地利用を図ってまいります。
 次に、臨海副都心開発の具体的な改革案の検討と長期収支試算についてでございます。
 臨海副都心開発を今後とも着実に進めていくためには、今日の社会経済環境を踏まえ、支出の削減を徹底するとともに、土地処分収入の確保に努めるなど、一層の改革に取り組む必要があると考えております。既に、その一部は事業者誘致促進策として着手しておりますが、さらに今後、関係局による協議・検討機関を設置し、財政基盤強化のためのあらゆる対策を検討していくこととしております。
 なお、その際には、先ほどの知事答弁にもございましたように、外部の専門家の知恵もおかりしていきたいと考えております。
 こうした検討を踏まえ、三会計統合後の長期収支を試算し、できるだけ早期に都民に明らかにしてまいります。
 最後に、臨海副都心開発の会計健全化についてでございますが、臨海副都心開発は、これまでも、道路、公園等の地域内都市基盤を開発者負担により整備するなど、開発利益の還元方式により進めることで極力都民負担を抑制してまいりました。今日、長引く景気低迷など厳しい財政状況にありますが、東京再生のためには、この開発を着実に進めていく必要があります。このため、ご指摘の国庫補助の拡大や事業費の縮減など、財政基盤を強化するためのあらゆる対策を早期に講じ、極力都民負担をふやすことのないよう努めてまいります。

○六十七番(三宅茂樹君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこの程度にとどめ、散会されることを望みます。

○議長(渋谷守生君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(渋谷守生君) ご異議なしと認め、さよう決定いたします。
 明日は、午後一時より会議を開きます。
 念のため申し上げます。
 ただいまご着席の方々には改めてご通知いたしませんから、さようご了承願います。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後八時八分散会

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