平成十三年東京都議会会議録第二号

   午後五時二十一分開議

○副議長(五十嵐正君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百七番中山秀雄君。
   〔百七番中山秀雄君登壇〕

○百七番(中山秀雄君) 私は、都議会公明党を代表して、知事並びに関係局長に伺います。
 戦争と革命の世紀といわれた二十世紀から、いよいよ二十一世紀の幕あけとなりましたが、果たして今世紀がどのような世紀に進展していくのか、その未来はあくまでも予測でしかはかりようがありません。
 ただ、一ついえることは、二十一世紀の明るい未来を招くためには、現在の政治が、時代を見据えて、いかなる展望を持って臨むかによって、大きく左右されるのではないでしょうか。
 石原知事は、さきの所信表明演説で、東京と日本と世界の三つの危機を掲げて、東京からの改革を世界に発信する力強いリーダーシップを発揮されましたが、それは、昨今いわれているグローカリゼーション、すなわち、グローバル、地球規模の視点を持ちながら、ローカル、地域に行動することと共通することでもあり、我が党も、こうした知事と同じような認識のもとに、確かなる世紀を開く東京改革に全力を挙げるものであります。
 ところで、三つの危機に対する処方せんは、さまざまに具体化されておりますが、かつて福沢諭吉は、二十世紀の初頭に当たって、独立自尊という信条、信念をしたためたといわれております。
 そこで、知事は、二十一世紀の東京、日本の指導理念を言葉であらわせば、どのように示されるのでしょうか。二十世紀から二十一世紀への分水嶺に立った今、文学者でもある知事に、あえて所信を伺うものであります。
 質問の初めに、去る一月二十六日、JR新大久保駅で起きた、ホームからの転落乗客を救助するため、男性二人がともに犠牲になるという痛ましい事故に対して、心から哀悼の意をささげるとともに、勇気ある二人の行動に、最大の賛辞を惜しまないものであります。
 我が党は、直ちに現場に調査団を派遣する一方、国に対して事故防止等の強化を訴えたところでありますが、都としても、都内全域の鉄道駅の安全性を総点検するとともに、必要な防止策を早急に講ずることを強く要望するものであります。
 次に、財政問題について伺います。
 十三年度の予算案は、昨年導入した外形標準課税、いわゆる銀行課税や、IT関連業種等による収益の改善に伴い、法人二税の大幅な伸びにより、三年ぶりに、前年度を上回る予算となっております。
 このこともあって、知事二年目の予算案について、都は、財政構造改革をさらに進めながら、東京の再生を目指す予算と位置づけをいたしました。それは、我が党のこれまでの主張と軌を一にするものであります。
 しかしながら、一兆円に及ぶ隠れ借金の存在が改めて浮き彫りにされるなど、依然として都財政は厳しい状況にあることには何ら変わりありません。
 加えて、来年度から飛躍的に膨れ上がる都債の償還費、退職手当や、既存の社会資本の維持、更新費等、都財政を圧迫する要因は依然として多いのであります。
 そこで、以下何点か伺います。
 第一は、今後の都税収入の動向についてであります。
 予算案を見ると、確かに今年度の最終補正で、対当初三千六百億円、さらに十三年度で、今年度当初対比で四千八百億円の増収を見込んでおります。特にIT関連業種における収益の改善によって、法人二税の増収が大きく、補正で三千九百億円、十三年度で銀行課税への外形課税分が新たに加わって、四三・九%増の五千五百億円に達しております。
 問題は、十三年度下期以降の動きであります。なぜならば、我が党が懸念するのは、我が国経済の景気動向を見ても、個人消費、鉱工業生産の伸び悩みなどのリスク要因に加え、アメリカ経済の減速傾向など、予断を許さない状況下にあるからであります。
 いうまでもなく、都税の動向に都の財政運営は大きく左右されます。そこで、今後の税収動向及びその前提となる景気の見通しについて伺います。
 第二は、今後の財政運営についてであります。
 昨年、知事は、都財政には八千億円近い隠れ借金があり、これを解消しないことには、財政の健全化とはいえないとの認識を示しました。しかも、十三年度予算案の中で、新たに市街地再開発事業欠損等を含め、隠れ借金の総額が一兆円にも膨れ上がると公表しております。
 我が党は、都がいわゆる隠れ借金を公表したことは、都民の前に財政の実態を示したものであり、財政の透明性を高めたものとして評価をいたしております。しかし、財政再建推進プランでは、十五年度までに六千三百億円の財源不足解消を目標としましたが、隠れ借金については何ら触れておりません。したがって、仮に十五年度で財源不足が解消できたとしても、まだ財政運営は深刻であります。
 我が党は、今回のように都税の増収があった場合などには、この隠れ借金削減のために、その一部を充てることを義務づけるなどの方策をとり、できる限り速やかにこうした状況を解消してこそ、真の意味での財政健全化の達成であると考えます。知事の所見を伺います。
 また、今後の都債の償還は、十八年度までの六年間で、実に総額三兆六千億円に上るのであります。都は、我が党の主張を受け入れ、十三年度当初予算及び十二年度最終補正予算で、減債基金の積み立てを、これまでの二分の一から四分の三に一部復元しております。しかし、今後の都債の実償還額の急増が確実に見込まれている以上、都は減債基金への積み立てを可能な限り早い時期に本来のルールに戻すとともに、隠れ借金である過去の見送り分についても、この際、何らかの措置を講ずるべきであります。所見を伺います。
 十三年度当初予算で、財政再建推進プランにおける目標額の七割に及ぶ財源を確保するなど、都の努力を多とするものですが、これまで触れた二つの要因、つまり、隠れ借金と都債の償還に見られるように、将来の都財政に対する圧迫要因が存在する以上、この際、財政再建推進プランの一日も早い達成を目指し、財政運営に取り組むべきであります。財政構造改革に向けた知事の決意を改めて伺います。
 次に、行政改革についてであります。
 都が行政改革を進め、都民の期待にこたえていく上で、ITは極めて有効な手段であることは論をまちません。我が党は、これまでもスピードとコストを意識した効率的な都政を築き上げるには、IT革命の成果を取り入れた電子都庁を早急に実現すべきと主張してきたところであります。都は昨年来、都庁改革アクションプランを策定し、平成十五年度までの電子都庁の実現化、さらに電子都庁推進計画中間まとめを発表するなど、その積極的な姿勢は評価するものでありますが、電子都庁が単に都庁業務の効率化にとどまらず、どう都民サービスの向上につながるかとの視点が最重要であります。
 そこで、第一に、電子都庁の実現によって、都民や事業者が実感できるメリットは何か、具体的にお示しをいただきたいと思います。
 第二に、電子都庁化を進めるに当たっては、縦割り行政の弊害を払拭すべきであります。都民は各局の業務を知悉しているわけではありません。このため、現在、都庁のホームページからさまざまな情報やサービスを利用する場合、どこにその情報があるかを、各局のホームページに幾つもアクセスしなければなりません。いわばネット上のたらい回しであります。都民の目線に合わせて、欲しい情報がどこにあるかを案内する仕組みを整備すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 第三に、電子都庁の実現により、ワンストップサービス化が期待されておりますが、都と国や区市町村がばらばらであっては、都民にとって効果半減であります。行政の電子化は、国や区市町村とよく連携をとり、都への諸手続も、住民の身近な区市町村の出張所などでも可能となるようすべきであります。コンピューターになじめない方々のためにも、身近な窓口でのワンストップサービスの提供は大切であります。見解を伺います。
 第四に、電子都庁は、事務処理のむだを省き、スピーディーな仕事ぶりを実現することによって、職員定数や行政コストの削減につながらなくてはなりません。失敗したOA化の結果、金食い虫のコンピューターと後悔する経営者の声をよく聞きますが、電子都庁化に際しては、最低限、投資に見合うだけの成果を上げなくてはなりません。どの程度の職員定数削減、行政コストの低減になるのか、具体的にお聞かせをいただきたいと思います。
 なお、行政改革と関連して、女性財団廃止問題については、平成四年七月の財団設立以来、わずか八年半余りでの廃止は、各区市町村における女性センターが普及しつつある中、時代の流れに逆行するのではないかといった懸念の声が上がったのも当然であります。我が党は、こうしたことから、多くの女性団体を初め都民からの真摯な声を聞き、昨年の第四回定例会で、東京女性財団の安易な廃止については反対を主張し、さらに、十三年度の予算原案復活要望の際にも、知事に対し、重ねてその旨求めてきたところであり、改めて都の再考を要望するものであります。
 次に、長期化する不況の中で、企業の廃業率が開業率を上回る傾向が続いており、我が党はこれまで、各分野にわたる有効な創業支援策の重要性を訴えてきたところであります。都はその施策の一環として、昨年十一月、家賃無料の創業支援施設「ベンチャー・SUMIDA」を開設いたしましたが、起業、創業を目指す関係者からは大きな朗報として受けとめられました。
 そこで伺います。厳しい審査を経て入居した企業群の実態と創業活動をどのように掌握しておられるのか。また、創業支援は、単に施設の提供にとどまらず、いわゆるインキュベーター機能としてのソフト面のサポートをもあわせて行うべきと考えます。
 このように、都の創業支援策はようやく芽吹いてまいりましたが、その一つとして、平成十一年の第二回定例会の私の代表質問で提案した、いわゆるスモールオフィス・ホームオフィスのSOHO支援が、今年度、TFTビルにスモールオフィスとして実現したことは、まことに喜ばしいことであります。米国のIT産業の繁栄を支えたのは、こうしたSOHOといわれております。今後のSOHOの位置づけと支援策を改めて伺うものであります。
 次に、雇用実態の改善に向けてのミスマッチ問題についてであります。
 先月末に発表された総務省の平成十二年の労働力調査では、昨年の完全失業率は四・七%であり、この数値は、昭和二十八年以降最悪を記録した平成十一年と同率であり、深刻な雇用状況に依然変わりがないことを示しております。改善されない大きな理由の一つとして、採用側と求職者との相互に求める条件がかみ合わないという、いわゆる雇用のミスマッチを指摘せざるを得ないのであります。したがって、職種、職業能力、年齢等におけるミスマッチによって失業が発生する事態を解決することは、喫緊の課題であります。まず、この点について都の認識を伺います。
 こうしたミスマッチ失業の解消のためには、就業能力の向上や豊富な雇用情報の提供を初めとする有効な施策の展開と同時に、離転職者や新規学卒未就職者等の就業能力の開発への努力が重要と考えますが、いかがでしょうか。
 あわせて、IT化に対応した職業能力開発の強化についても、具体的対応をお尋ねいたします。
 また、求人に関する情報の的確な収集と提供は、雇用のミスマッチ解消に欠かせないものであり、適切な対応が求められております。都は、このための具体的施策を推進すべきであると考えますが、いかがでしょうか。
 次に、都市観光の振興策について伺います。
 都は、さきに作成した東京構想二〇〇〇に「千客万来の世界都市をめざして」というサブタイトルを掲げて、東京の将来像を示しております。東京の国際都市としての地位が、さまざまな要因によって低下する中で、人、物、情報が活発に行き交う千客万来の東京を目指す意図は大いに歓迎するものであり、これに伴って東京が活力と魅力ある都市に再生することを期待するものであります。
 しかし、東京構想二〇〇〇における国内外の人を引きつける多くの人の交流というテーマは、そこに示されている秋葉原など、地域の特性を生かした東京の魅力を向上させることも当然必要でありますが、こうした基盤整備を含めた対策とともに、都として積極的な都市観光を展開することも、千客万来の国際都市東京にふさわしい発展に結びつくのではないでしょうか。
 そこで伺いますが、まず第一に、二十一世紀最大の産業は旅行産業ともいわれ、都市観光がもたらす経済波及効果は、中長期の経済活性化に大きく寄与するものと思われますが、我が国は、フランスや米国など観光先進国に大きくおくれをとっております。こうした現状と国際比較における都への外国人ビジターの推移をまず伺います。
 第二に、諸外国の国際都市では、シティーセールスを活発に展開しており、いかにしてみずからの都市を売り込み、来訪者をふやすかに腐心しております。都として、東京の明確なイメージコンセプトを策定するなど、シティーセールスへの積極的な取り組みが求められます。時あたかも二〇〇二年にはワールドカップが開催されるこの機をとらえて、都としてこの際、東京の何を売り込むのか、具体的なアクションプランを策定すべきと考えますが、あわせて所見を伺います。
 第三に、外国人ビジターが訪れやすい環境整備を急ぐべきであります。東京のまちは、相変わらず街路標示一つをとっても、外国人にはわかりにくいという評価であります。さまざまな表示や案内板等、統一的なデザインや外国人ビジターへのインターネット等を使った情報提供など、受け入れ環境の整備を抜本的に見直す必要があると思います。所見を伺います。
 第四に、こうしたさまざまな施策を展開していく上で、それを先導する組織の強化が必要であります。鳴り物入りでスタートした東京コンベンション・ビジターズビューローも、行政との一体的な取り組みがあってこそ力を発揮できるのであり、今後、都市観光をリードしていく上で、いかにして組織を強化していくつもりなのか、伺います。
 こうした都市観光の面から、臨海副都心の果たす役割は、地理的にも羽田空港に隣接し、東京港とともに世界に向かって開かれる一方、国際研究交流大学村の設置に見られるように、千客万来の都市にふさわしい地域であります。したがって、東京臨海地域を重要な観光資源として、東京の表舞台に立たせるべきではないかと考えます。先ごろ発表された東京ベイエリア21では、水陸両用車の導入や、東京のシンボル整備など、幾つか具体的事業を提案しておりますが、今後、これらの事業を具体化する際、観光振興の視点から事業構想を再編し、仮称でありますが、東京臨海地域観光振興ガイドラインというべきものを策定してはいかがでしょうか。
 また、臨海副都心は、東京ディズニーランドを超える年間三千六百七十万人もの人が訪れており、名実ともに東京の顔ともいえる観光スポットにさらに押し上げるために、その第一歩として、東京臨海地域を総合的に紹介するガイドブックや、外国人ビジターに対して各施設の割引の優遇措置が受けられるウエルカムカードなどを発行し、その有効的な活用方法についてもあわせて検討すべきではないでしょうか。
 以上、二点について前向きの答弁を伺います。
 次に、東京の重要な地場産業である繊維産業の活性化対策について伺います。
 現在、我が国のニット産業など繊維産業は、中国からの輸入急増や消費低迷などの影響を受け、生産が急減し、撚糸、染色、刺しゅう、プリントなど、製品製造に至る関連中小企業がリストラ、倒産、廃業に追い込まれており、日本の繊維産業が長い間築き上げてきた物づくりの技術、文化が消滅のピンチに追い込まれております。
 しかしながら、東京の繊維産業は、大量生産が横行している中にあって、あくまでも消費者の個性に合った、人に感動を与える産業を目指しており、いかに厳しい環境下にあっても、中国からの輸入に関税をかけるような後ろ向きの対策をとるべきではないとしております。そして、その打開策として、消費者ニーズを重視した、製造と販売を一体化させた協業グループを立ち上げ、日本市場のみならず、世界市場へメード・イン・東京の感性豊かなニット製品を発信していこうと、懸命な努力を展開しているのであります。
 国の経済産業省も、こうした危機的状況にある全国の繊維産業を支援するために、十三年度の地場産業活性化補助金として、全国ベースで約十億円の予算を計上したところであります。特に、繊維製品輸入急増対策として、経済環境や需要構造の変化に対処するための新しい技術の進展、新商品開発能力の育成、需要の開拓、人材養成を行うために、昨年三億円の予算を積み増したところであります。既に新潟県や和歌山県では、国の予算を取り込んで、繊維産業の協業化対策への取り組みを開始しているところでありますが、都としても、国の積極的な財政支援に呼応した対策を早急にとるべきであります。
 そこで伺います。第一に、知事は日本の経済、東京の産業を支える中小企業について重大な関心を持ち、さまざまな対策をとっておられますが、東京の重要な地場産業である繊維産業の今日の状況について、知事の認識と対応について伺うとともに、この際、知事自身がぜひとも現地に足を運び、繊維関連の中小企業の実態を視察し、生の声を聞いて対策を検討すべきと願うものでありますが、いかがでしょうか。
 第二に、繊維関連産業については、都としても、今日までさまざまな振興策を図ってきたところでありますが、繊維製品輸入急増対策費三億円を編成した国の経済産業省とも連携し、繊維産業振興のために積極的に支援すべきであります。明快な所見を伺います。
 このように、物づくりは東京の産業活力の中核であり、経済活性化への源泉ともなるべきものでありますが、繊維産業の現状に示されたように、アジア諸国の追い上げや不況の長期化の影響などもあり、年々厳しさを増しております。この実態については、事業所数や倒産件数等の推移など、統計上の数字はありますが、物づくりの仕組みや直面する課題等を十分に把握したものは、残念ながらありません。都は、物づくりの現状に即した実効性ある振興策を進めるため、東京物づくりの実態を把握することが重要であります。所見を伺います。
 次に、多摩地域における産業振興とTAMA産業活性化協議会との連携についてであります。
 東京の多摩地域と神奈川県、埼玉県に及ぶ国道一六号線沿線には、独自の技術や先進性を持つ優秀な中堅、中小企業が多数存在するとともに、九十校に近い大学や公設研究機関が立地し、活発に活動しております。独創性ある企業に大学や研究機関の知的財産を融合させることで、経済活性化への起爆剤となる可能性を大きく秘めた地域といえます。今、この地域には、行政エリアを越えて産・学・公が連携し、米国のシリコンバレーやグレーターワシントンに匹敵する技術先進首都圏地域の創設を目的として、TAMA産業活性化協議会が結成されており、二百七十社に及ぶ企業、二十五の大学、学術機関が参加しております。
 昨年七月に発表された東京都産業振興ビジョンでは、産・学・公連携による技術支援の中で、我が党の指摘どおり、TAMA産業活性化協議会との全面的な連携を目指すとしておりますが、今後どのように連携しようとするのか、伺います。
 また、広域多摩地域以外にも、城南地区と神奈川県の横浜・川崎地区、城北地区と埼玉県の川口地区といったように、多くの企業が行政区域を越えて集積しております。こうした産業集積の実態を踏まえると、都県が共同して施策の展開を図る方が一層効果的と考えられます。産業行政の分野でも広域連携の強化は重要と考えますが、知事の基本的認識について伺います。
 次に、福祉改革についてであります。
 我が党は、厳しい財政状況下にあっても、都民にとって真に必要な福祉、少子化対策、医療、教育等については、一律削減すべきではなく、行政改革によって財源を確保するとともに、あわせて福祉施策の再構築による新たな財源を積極的に予算として計上すべきであると、繰り返し主張してまいりました。また、昨年十二月十八日には、二十一世紀の新たな福祉、少子化対策として、福祉改革に関する緊急提言を知事に提案し、その実現を強く求めたのであります。
 こうした我が党の提案を都は全面的に受け入れて、東京都福祉改革推進プランを策定したのであります。厳しい財政状況の中、知事と関係局の英断を高く評価するものであります。その内容は、施策の見直しにより生み出された財源を有効に活用し、さらに、それに新たな財源を加え、十六年度までの五年間に総額で五千二百億円の経費を投入するというものであり、具体的な施策としては、乳幼児医療費助成制度の就学前までの拡大や、都独自の駅前保育の実施、さらには障害者の親亡き後の対策としての施設整備、高齢者のケアリビングという新たな介護施設の充実など、こうした積極的な施策展開は、東京の福祉、少子化対策を大幅に前進させるものであります。
 そこで、まず第一に、都の目指す福祉改革の意義とその方向性について、知事の所見を伺います。
 第二に、高齢者のための多様な介護つき住まいの確保についてであります。利用者がサービスを選ぶ、この新しい福祉の実現には、まず何よりも選択するに足り得る質の高いサービスを十分に確保することが重要な課題であります。家庭と入所施設との中間的な性格を持つケアハウスやシルバーピア、グループホーム等の介護つき住宅をケアリビングと位置づけた上で、重点的にどう整備していくのか、所見を伺います。
 特に、平成十三年度には、高齢者福祉サービスの必要量の実態調査を行うことになっておりますが、この結果を踏まえて新たな整備目標を示すべきと考えます。
 第三に、元気高齢者対策については、高齢者元気倍増作戦として、インターネットポータルサイト、元気でネットの構築と、シニアパスポート制度の検討を行うことを明らかにしております。我が党の提案を受けたシニアパスポート制度は、高齢者の社会参加に向け、大変に有意義な制度であり、十四年度導入とされておりますが、方針どおり着実に実施すべきであります。さらに、十三年度に構築する元気でネットについては、情報機器の操作にふなれな高齢者が必要な情報にアクセスできなくなるというデジタルデバイドの課題も含め、極めて重要な施策になると考えます。この元気でネットの基本構想を明らかにするとともに、空き店舗を活用したパソコン講習会を開催すべきであります。
 第四に、福祉情報の提供についてであります。
 我が党の主張によって、障害者の親亡き後対策として、三年間で二百カ所の施設緊急整備が盛り込まれましたが、これからの課題は、都民が待ち望むさまざまな施策を都内各地で実現させ、必要とするサービスを選択し、利用することができる環境を地域ごとに進めることであります。
 同時に、利用者である都民が、サービスを選択する際に、必要となる情報に容易にアクセスでき、的確なものを得られるようにすることが重要であります。区市町村を含めた福祉情報の提供についての所見を伺います。
 次に、介護保険についてであります。
 我が党は、さきの本会議において、低所得者に対する介護保険料の軽減対策について質問したところでありますが、その際、現行制度で認められている方式を活用されることは意義があるとの答弁でありました。その意味からいえば、国の特別対策の一つとして、社会福祉法人等の関係者に広く取り組むことが望まれ、既に制度化されている社会福祉法人等による利用者負担の減免措置という仕組みについては、昨年九月の与党三党間での協議で、さらに利用しやすいよう何点かの改善がなされたのであります。
 しかしながら、いまだ都内区市町村では実際にこの減免措置が実施された事実はなく、せっかくの仕組みであるにもかかわらず、これでは宝の持ちぐされであります。
 保険料の抜本的な見直しは、今後の課題として取り組むとしても、当面、制度の枠内で工夫を凝らしながら、真に困っている方々に対する低所得者対策を関係者に周知していくことは極めて重要と考えます。
 こうした観点に立ち、都として、この社会福祉法人等による利用者負担の減免措置について、実施に向けて区市町村との協議を積極的に行うべきと考えます。所見を伺います。
 次に、アレルギー疾患対策についてであります。
 我が党は、アレルギー疾患の原因解明と対策に全力で取り組み、国では昨年、国立相模原病院に全国初の免疫・アレルギー専門の臨床研究センターが設置されたほか、アレルギー研究の拠点整備に対する予算四十億円が計上されるなど、着実に前進しております。
 一方、都においては、平成十年八月に設置された東京都アレルギー性疾患対策検討委員会において、予防、治療、調査研究の各分野にわたる総合的、体系的な取り組み方法について検討がなされ、保健所におけるアレルギー教室、アレルギー疾患ガイドブックの作成、花粉症情報テレホンサービス、ホームページサービスなどに取り組んでおります。
 しかし、都が昨年発表したアレルギー疾患全都実態調査では、三歳児については全体の約四割、対象者の約五人に二人が何らかのアレルギー疾患に苦しんでおり、大変に深刻な現状であります。都の今後の対応と検討委員会の検討結果が集約される時期、そして、その結果を踏まえての取り組み、また国における研究、治療対策との連携も重要と考えますが、以上四点について伺います。
 次に、都立病院に設置する総合救急診療科、いわゆる東京ERについてであります。
 知事は、都立病院改革を東京発の医療改革の柱として位置づけ、特にその第一歩となる東京ERについては、当初の整備予定を一年前倒しして二年で整備することとしました。平成十三年度において墨東病院に東京ERを開設し、広尾病院、府中病院には平成十四年度を目途に設置するとの計画が示されたところであり、知事の並々ならぬ決意を感じるものであります。
 都民の三百六十五日二十四時間の安心を目指すための救急医療の充実は、重要な課題であり、積極的かつスピーディーな対応がなされることは、我が党としても従来から指摘してきたところであり、高く評価するものであります。
 そこで、東京ERの実施により、三病院における現行の救急体制と比べ、都民から見て医療サービスがどのように変わるのか、明らかにすべきであります。
 また、東京ERでは、いつでも、だれでも、さまざまな症状の救急患者に対応するとしています。さまざまな症状となれば、幅広い診療分野に対応できる診療体制の確立が必要であります。東京ERが都民ニーズに的確にこたえていけるよう、医療スタッフの確保等、万全の体制整備を図るべきであります。
 以上、二点について伺います。
 なお、昨年の第四回定例会で、我が党が小児救急医療体制の整備を提案したことに対して、都が今年度早速モデル実施としての事業化に踏み切ったことはまことに喜ばしいことでありますが、具体的にはどのように進めていくつもりなのか。また、二次救急としての今後のあり方とともに、三百六十五日二十四時間、小児科医が対応する体制確立を速やかに具体化すべきであります。所見を伺います。
 次に、ディーゼル車対策についてであります。
 さきの定例会で成立した環境確保条例により、東京の環境向上を目指し、ディーゼル車への本格的な規制が始まります。我が国で先駆的な規制を行う都の決定は、多くの反響を呼び、国の動向にも少なからず影響を与えましたが、国への挑戦を標榜する知事は、国の環境への取り組みについてどう評価しているのか、まず伺います。
 また、ディーゼル車規制など環境行政は隣接県等との連携が不可欠で、埼玉県は都と同様の条例を制定する動きがあると報道されており、この際、都のリーダーシップによって、隣接県との連携を推進すべきであります。
 さらに、DPFについては、価格、性能、耐久性が課題であることは、これまでも指摘してきましたが、都は十三年度予算でDPF装着の推進として約十九億円を計上しており、これによる五千台分の助成は、一台当たり約三十七万円程度となります。二分の一助成ですから、一台当たりの価格を約八十万円と想定していますが、都内のディーゼル車台数に比較すると、助成台数はまだ十分とはいえず、装着する事業者にとっても負担感は消えていません。都はこれらの課題解決に全力を尽くすべきですが、各メーカーの取り組み状況を含め、今後の見通しについて伺います。
 次に、教育問題について質問いたします。
 二月十一日付のある新聞のコラムに次のような記事が掲載されました。「昨年四月、都庁の大会議場で都教育庁の教務主任辞令交付式が行われた。(中略)ところが、演壇に立つ教育長を前に、名前を呼ばれても返事をせず、いすから立ち上がらない主任がかなりいた。それはまだましな方で、聞こえよがしに私語を交わし、新聞や雑誌を読み始めるやからまであらわれる始末。(中略)古い話を持ち出したのは、先月末東京で開かれた日教組の教研集会で同じような場面があったからだ。来賓の都教育長が祝辞を述べると、一部の教員から、帰れ、ヒトラー、などと叫び、祝辞が聞き取れないほどになったのだ」と記されております。
 教務主任を内示され、辞令交付式に出席しながら、返事もせず、私語を交わし、雑誌を読みふけるなどということは、社会人として到底容認しがたい行為であり、そもそも教務主任にふさわしいか否か疑問であります。また、教研集会での騒ぎにしても、教員としての見識が問われます。そのコラムでは最後に、意見が違うなら正々堂々と議論を挑むべきで、相手が気に食わないからといって罵声を上げる教員は、授業を妨害して悦に入る生徒と何ら変わらないと手厳しく結んでおります。まことに恥ずかしい限りであり、厳正な対処を求めたいと思いますが、教育長並びに知事の見解を伺います。
 いわゆる倫理、道徳教育についてお尋ねいたします。
 この問題は、戦中、戦前の反動から、日本人は極めてナイーブになっているといってもよいでしょう。しかし、たび重なる少年犯罪、学級崩壊などを見ていると、改めて時代に即した倫理、道徳教育あるいはモラルに関する教育の必要性を痛感させられます。
 我が党は、大人の側の論理で教育改革を進めるのではなく、まず当事者である児童生徒の忌憚のない意見を聞こうとの趣旨で、全国的に教育対話集会を開催いたしました。東京の会場で興味深かったのは、倫理、道徳教育に関する意見であり、大半の高校生が現在の道徳の授業に興味がなく、意味もないと考えているものの、その必要性は認識し、その上で、校外のその道の第一人者の人から話を聞いてみたいとの真剣な声が上がったことが印象的でした。
 確かに、訓古注釈的な従来の倫理や道徳の授業では、今の高校生には興味がわかないのかもしれません。しかし、どのような分野であれ、その道をきわめた方々の話には、思わず耳を傾けてしまう説得力があり、多くの人生に共通する真実の響きとでもいうべきものが存在します。現在の児童生徒の感受性がいかに変化していても、こうした響きには恐らく共鳴するに違いありません。以前の代表質問でも、学校外の人材による課外授業の提案を行いましたが、今回はより具体的に、課題となっている倫理、道徳の授業にぜひとも外部の人材を招くべきと訴えたいと思いますが、教育庁の見解はいかがでしょうか。
 教育問題の最後に、小中学校のクラス編制の弾力化について再度質問いたします。
 前回質問した際は、明確な答弁がありませんでしたが、このほど文部科学省も、クラス編制における自治体の裁量権を拡大する方針を明らかにいたしました。改めて都教育庁の見解を求めたいと思います。児童生徒の数名の変動でクラスの数が増減してしまう現在の制度を弾力化して、自治体の自主裁量権を拡大し、あわせて学校の判断を生かすべきと考えますが、予算措置を含め答弁を願います。
 次に、住宅政策について伺います。
 都市型住宅として分譲マンションは、都内に六十万戸にも及んでおりますが、老朽化、補修、建てかえ促進が今後の大きな課題として表面化しつつあります。都は、我が党の主張に基づき、国に先駆け、維持管理を中心とする諸政策を展開する一方、我が党の国におけるマンション再生に関する提言をきっかけに、昨年十二月に、マンション管理の適正化の推進に関する法律、いわゆるマンション管理法が制定されました。これにより、安心して都内に住み続けたいというマンション居住者の共通した願いにこたえる第一歩を期すことができたといえます。
 ところが、建設省調査では、建築後二十年を経過したマンション居住者の世帯主の年齢構成が、六十歳以上の方々が約五〇%近くにも及ぶという深刻な問題が明らかになっております。高齢者にとって、分譲マンションの補修、管理や建てかえには多くの経費がかかり、適切な対応を怠ると、今後大きな社会問題になることは間違いありません。
 そこで伺います。第一に、都は、新たな法の趣旨を踏まえ、今後のマンション施策をどのように推進するのか、また、区市町村との役割分担をどのように考えているのか、伺います。
 第二に、これからの課題として、余剰床の売却で建てかえ資金を確保する等価交換方式をとることができないマンション建設がふえるものと思われます。高齢化した居住者が安心して建てかえに参加できるよう、例えば、リバースモーゲージのような、高齢者が自宅を担保に金融機関から融資を受け、安心して住み続けられる仕組みづくりをつくるべきであります。さらに、新たな手法として、例えばエレベーターなどバリアフリー化に必要な施設については、容積率の割り増しを行うなど、都市計画面からの支援を行い、建てかえ促進を図るべきであります。所見を伺います。
 次に、震災対策、特に木造密集地域の整備についてであります。
 東京の木造密集地域は、都心から中央線沿線を中心にして、区部面積の約四〇%を占める広範囲にわたって分布しており、防災上、極めて深刻な課題として、今後その整備促進が東京の震災対策向上の重要なかぎを握っているといっても過言ではありません。
 都としても、防災都市づくり推進計画をもとに、さまざまな手法をもって木造密集地域の整備促進に努めていることは十分に理解をしておりますが、震災時における木造密集地域の脆弱性が招く首都炎上の悪夢を想定したとき、果たして現状のままの計画だけに頼っていていいのだろうかという危惧を抱くものであります。木造密集地域の整備が、複雑な権利関係や居住者の高齢化など、従来いわれてきた理由によってなかなか進まないことは既に周知の事実であり、こうしたさまざまな課題に工夫を重ねて対処することこそ行政の責務であります。
 そこで、木造密集地域の整備の現状と対応を伺うとともに、東京構想二〇〇〇に示された新たな防火地域制度の創設について、具体的な取り組みと、これに伴う効果について伺います。
 また、木造密集地域の整備に当たって、従来の手法を超えた民間との協力によるPFIの導入を提案するものであります。
 さきに述べたように、木造密集地域の整備を進めるに当たっては、さまざまな解決すべき課題を抱えており、行政だけの力では限界もあります。そこで、新たな提案とは、大街区単位にまとめて整備促進を図るコーディネートを民間に委託し、その地域の容積率アップなどのインセンティブを付与することとあわせて、PFIの手法を導入して道路などの公共施設の整備を促進するものであります。もちろん、その前提には、居住者と民間事業者や都、区が一体となって進めることでありますが、これによって、木造密集地域の整備と民間事業者の活性化による経済効果という一石二鳥の役割が期待されます。早急に前向きな検討を進めることを強く求めるものであります。
 次に、都市の骨格をなす道路ネットワークの整備に関連して伺います。
 東京構想二〇〇〇では、増大する交通量に対し、財源上の制約や社会的合意形成の難航などにより、道路ネットワークの整備がおくれていることによって、都心を通過する過剰交通が慢性的な渋滞を引き起こし、自動車の排出ガスによる環境問題の改善が進まない点を指摘し、このためには、いわゆる首都圏三環状道路の整備促進を重点的に行う必要があるとしております。
 この中で、首都圏中央連絡道路と首都高速中央環状線の事業化区間については、供用開始の目標年次を明確に示しておりますが、東京外郭環状道路については、整備指針を述べるにとどまっております。
 そこで、東京外郭環状道路について、第一に、知事は平成十一年の第四回定例会で、自動車専用部の地下化を基本として計画の具体化に取り組んでいくことを明らかにしました。そして、平成十年三月に、東京外郭環状道路とまちづくりに関する連絡会が設置され、幹事会、地元団体との話し合いなどを行い、この間に知事及び国土交通大臣の現地視察も行われたところであります。現状はどのようになっているのか、伺います。
 第二に、この道路の基本計画は、高速道路との連結のためのジャンクション三カ所、幹線道路との連結のためにインターチェンジ五カ所を設置することであります。計画の具体化に向けた第一歩として、地下化を基本とした検討案を取りまとめ、関係機関及び地元団体に提示し、話し合いを進めることが必要と考えます。知事の所見を伺います。
 最後に、三宅島の災害対策についてであります。
 昨年九月の全島避難以来六カ月が経過しようとしています。今月五日、火山噴火予知連絡会は、これまでの気象庁や大学などの観測データを検討した上で、雄山の多量の火山ガス放出は、今後も続くとの見解を明らかにしました。九月以来一日も早い帰島を願いつつ、なれない島外避難を余儀なくされてきた村民の方々にとって、この見解は大変に厳しいものであったと拝察いたします。都を初め国や三宅村、関係防災機関は、火山ガスの危険を避けながら観測やライフライン維持作業に当たっており、村民の方々においても、どうか帰島の希望を失わずに頑張っていただきたいことを切望するものであります。
 我が党は、都内に避難されている村民の方々を訪問し、聞き取り面接による調査を実施しました。その結果、各分野の問題を知ることができましたが、特に住みなれた島を離れた村民の方々にとっては、定期収入の確保が最大の課題の一つであります。目前の三月が雇用保険の期限切れの時期に当たるということもあり、このことは深刻な不安の影を落としているのであります。これまでの緊急雇用対策への努力を多とするものでありますが、既に実績を上げている緊急地域雇用特別基金事業を活用し、雇用機会の創出をさらに拡大すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 また、都が発注する公共事業での雇用促進を図るとともに、国、区市町村にも同様の協力を要請すべきであります。明確な答弁を求めます。
 三宅島では、今なお降雨のたびに火山灰が泥流となり、道路や家屋被害が発生しており、こうした状況の中で防災関係者は観測、調査、復旧作業に当たっており、そのご苦労に思いをいたすとともに、敬意を表するものであります。
 我が党は、昨年の第四回定例会で、防災作業に当たっている方々の神津島から三宅島への往復手段の改善策を提案したところであります。過日、知事は、こうした対応をさらに一歩進め、夜間も島に滞在して観測の強化を図るとともに、泥流対策の推進を図っていくとの方針を発表されましたが、今なお有毒な火山ガスが放出されている現状の中、どのような考え方でこうした対応に踏み切られたのか。また、今後の常駐体制への具体的方針はいかなるものか、お尋ねします。
 以上をもちまして、私の代表質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 中山秀雄議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、二十一世紀の東京、日本の指導理念についてでありますが、これからの時代の政治家の指導理念を一言でいいあらわすのは極めて難しいと思いますけれども、要するに、自分が愛する国家、国民、愛着する郷土、住民のために強い意思と情熱を持って行動することというのが、やはりいつの時代においても変わらぬ政治家としての理念ではないかという気がいたします。
 そして、さらに具体的には、やはりまずみずからを正しく知る。つまり、自分がかかわっている国なり都なり自治体というものに、何が欠け、何が足りているかということを総体的に正確に認識して、その上で初めて真の自立があり得るわけでございます。そしてまた、その自立を達成するために、はっきりした意思の表示というものが必要だと思います。
 次いで、今後の税収動向等についてでありますが、十三年度の税収については、銀行業等に対する外形標準課税の導入などもありまして、一定の増収が見込まれます。しかし、構造改革のおくれなどから、国家全体の景気動向から眺めますと、本格的な景気の回復の兆しがまだなかなか見られないという認識を持っております。さらに、失速を始めたアメリカ経済の影響などを勘案しますと、当面今後の税収に多くを期待することはできないと思います。
 いずれにしても、先般、アメリカの格付会社のムーディーズであるとか、スタンダード・アンド・プアーズなどが、日本の国債の格付をまたさらに下げましたが、これは非常に残念なことであります。国がこういった汚名といいましょうか、評価というものを覆す努力をもっと積極的にすることを期待しておりますし、国全体の経済の動向というのは東京ひとりでどうにもなるものでもございませんが、しかし、その中で、税収というものの見込みを立てながら、東京はやはりソフトランディングというものを目指して、構造改革というものを遂げていきたいと思っております。
 次いで、いわゆる隠れ借金の解消についてでありますが、いわゆる隠れ借金については、減債基金積み立ての一部の見送りや、他会計からの借り入れなど、過去の財源対策などによって生じたものでありまして、累計で、先ほどもご説明いたしましたが、一兆円にも上っております。ご指摘のように、これが解消されなければ、財政の健全化が達成されたとはとてもいえません。そのため今回の税収の増加分の一部を活用して、減債基金積み立ての一部復元など、その削減に取り組んでまいりました。今後も財政構造改革を着実に推進する中で、隠れ借金の解消を計画的に進めるための方策を十分に検討していく必要があると心得ております。
 ただ、隠れ借金の性格からして、これを補てんする義務づけというものはなかなか困難だと思います。しかし、それに近い、極めて積極的な財政措置というものをこれからも立てていく必要があるとは心得ております。
 次いで、減債基金への積み立てについてでありますが、ご指摘のとおり、都債の実償還額は今後急増しまして、これをそのまま放置すると、さまざまな施策の実施に大きな影響を及ぼします。そうした事態を回避するため、減債基金積み立てについては、所要額の四分の三まで復元しましたが、可能な限り早い時期に、本来のルールどおりの積み立てに戻すとともに、これまでの見送り分についても復元し、償還財源を確保していくことは、重要であると心得ております。
 次いで、財政構造改革のさらなる推進についてでありますが、これまで全庁を挙げての取り組みによって、国とは対照的に、都は構造改革の努力が数字の上でも成果となってあらわれていると思います。しかし、財政再建はまだまだ途上でありまして、構造的な赤字体質を転換するまでには至っておりません。巨額の隠れ借金をどのように解消していくかも、まだまだ目途が立っているとは申せません。しかも、経済情勢は決して楽観できるものではありませんし、今後景気が後退することも覚悟しておくべきだと思います。したがって、今後も決して手を休めることなく、財政構造改革に全力で取り組んでいくつもりでございます。
 次いで、繊維産業に対する認識と対応についてでありますが、従来繊維産業というものは、先進国と途上国の間でいつも摩擦を起こしておりまして、日本自身がかつて沖縄返還のころ、佐藤内閣にこの問題が振りかかってきまして、佐藤さんがこれを約束した、しないということで、うそつきなどと呼ばれたこともございますが、いずれにしろ、先進国をキャッチアップしてこようという途上国が、一番簡単といいましょうか、容易に充実できる産業というのは繊維産業ということでありまして、いろんな問題が派生してくるわけであります。
 個人消費の低迷とか、輸入繊維製品の増加などによって、国産の繊維製品の販売額が激減する中で、倒産、転廃業、リストラ等に追い込まれる企業は急増している。こうした繊維産業の置かれている厳しい現況は、十分認識しております。しかし、このような厳しい環境のもとでも、消費者ニーズにきめ細かく対応するために、素材の開発や企画、デザイン能力などの向上によって、製品の付加価値を高めるなど、必死に努力している企業があることも十分承知しております。都としては、そうした企業には今後もできる限りの支援をしていきたいと思っております。
 近い機会に産地をぜひ訪問して、いろいろ実情を、私は現場主義でございますから、現場で聞き取りたいと思っております。
 次いで、産業行政の広域連携についてでありますが、これは極めて現代的な、本質的な問題と認識しております。
 交通機関の発達や情報基盤の整備によって、社会生活が広域化しました。既存の行政の枠組みでは十分解決が図れない問題が、著しく増加しております。
 特に産業面においては、企業活動が広範囲に展開されておりまして、都や県境を越えた産業集積が進んでおります。このため、広域的な視点から、産業振興における自治体連携を進めることが不可欠であると承知しております。
 今後、企業活動や産業集積の実態を踏まえながら、首都圏の関係自治体などと協議し、産業行政の広域的な連携を積極的に進めていきたいと思っております。
 次いで、福祉改革についてでありますが、これまでの福祉は、行政が広範囲にわたってコントロールするものであります。しかし、社会経済状況が大きく変化する中で、都民の福祉への期待にこたえられなくなっております。これを改革し、都民がみずからサービスを選択し、利用できるよう、全国に先駆けて、東京から新しい福祉の体制を実現することが福祉改革であると心得ております。
 一連の福祉施策の見直しは、こうした方向に沿って、負担の公平性などの観点から実施したものでありまして、福祉改革の一環をなすものであります。福祉改革推進プランにおいて、五年間で五千二百億円を上回る財源の集中投入を決定しまして、施策充実の展望を示したのも、見直しにより生まれてきた財源を活用したからであります。
 次いで、ディーゼル車に対する国の取り組みについてでありますが、その前に、環境問題について、国の姿勢についての質問がございました。
 国のスタンスは、環境庁は省には昇格いたしましたけれども、どうもいまだにやはり産業優先とまではいえませんが、産業への気兼ねがしきりでありまして、先般も総理とディーゼル問題の話をしましたときも、当時の運輸、通産と環境庁の三者の合議がなかなかまとまらないという愚痴をこぼしておりましたが、これは総理大臣は権原者でありますから、その決断でどうにでもなることでありますけれども、どうもなかなかそういった思い切った姿勢が示されません。
 大気汚染が改善されない最大の理由は、自動車排出ガス対策の不十分さにありまして、これは国の権限でできることですし、また東京の権限でできないことでありますが、いわゆる軽油の中に含まれている硫黄分というものは、ヨーロッパでは五〇ppmでしかないのに、日本の場合には五〇〇ppmで許容されている。それを改良する技術も十分あるわけですけれども、一向にそういった進展が見られないというのは非常に残念でありますし、その責任は国にあると思います。
 国も、ディーゼル車対策の強化を標榜してはおりますが、どうもその対策は遅くて、現行制度を抜本的に改める考えがうかがわれない、極めて内容も不十分であると思います。
 そういうことで、私は都民の生命と健康を守るために、都独自の規制に断固たる姿勢で取り組みました。国が何といおうが、日本の環境政策を東京からでも変えていきたいと思っております。これは党派も立場も超えた人間の生命、健康の問題でありますから、なぜ国が動かないのか、まあ近々内閣も変わるかもしれませんけれども、その折にはさらにまた強く、これを申し込みたいと思っております。
 次いで、教務主任辞令交付式及び教研集会における、教員の極めて社会常識に欠けた行動についてでありますが、従来、学校の先生というのは、そういうと他の人に失礼かもしれませんが、相対的に、他と比べて知的な人々の職業と心得ておりましたが、今日では全く逆でありまして、どういうわけか、硬直した価値観のせいか何か知りませんが、極めて常識を逸脱した行為が後を絶ちません。こういった相手に対しては、きちっと罰則を構えて、そういったものが適用される人に対しても、発表し、市民の批判を仰ぐ措置が必要じゃないかと私は思います。
 教員は、日本の将来を背負っていく子どもたちに、社会生活の基本ルールを身につけさせる立場にあるわけでありまして、当然それにより高い社会性が求められるわけでありますが、教職にある者が、一部とはいえ、お話しのような社会常識に欠ける行動をとったことは、まことに残念というか情けない、国家社会全体にとって憂うべきことだと思います。
 今後、教育改革を推進するためにも、児童生徒と直接接する教員の資質、能力の向上を厳格に図っていく必要性を、改めて痛感しております。
 次いで、今後の分譲マンション施策についてでありますが、東京における分譲マンションは、都市型の居住体系として定着し、今後ますます拡大していくことが見込まれます。
 都は、これまでマンション管理にかかわる各種支援に努めるとともに、国に対して適正な管理や円滑な建てかえに向けた法制度の創設を要求してもきました。マンション管理法の制定は、良質な住宅ストックを形成する上で、一歩前進として評価しております。
 都は、今後とも区市町村と協力して、適切なマンション管理の一層の推進を図るとともに、建てかえ事業法の早期制定を国に強く求めていきたいと思っております。
 次いで、外郭環状道路の取り組みについてでありますが、地下化というお話がありましたけれども、まさに日本のシビルエンジニアリングは非常にすぐれたものでありまして、その中でも特にトンネルの掘削技術というものは、さきにドーバー海峡を地下で結ぶ、ああいったプロジェクトで証明もされております。
 だから、そういうものを念頭に置きまして、首都圏の慢性的な渋滞解消や、環境問題などを解決する上で、そうした工法による外環の完成は、ぜひとも必要だと思っております。
 計画の具体化を図るために、今後、精力的に住民の方々とも話し合いを進めまして、検討のたたき台となる地下化を含めて、具体的な実現可能な案をできるだけ早く作成して、地元にも示していきたいと思っております。
 なお、その他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) 教育に関します三点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、教務主任辞令交付式などにおける、教員の社会常識に欠ける行動についてでございますが、現在、学校が抱えているもろもろの課題に対応するためには、すべての教員が組織人としての常識を持ち、協力をして課題解決に当たることこそが求められております。
 このため、都教育委員会は、人事考課制度の導入などを通じて、教員の資質向上に全力を尽くしているところでございます。
 また、主任につきましては、学校運営上重要な役割を果たすものでございまして、その職責にふさわしい人材を育成するため、体系的な主任研修を新たに導入し、意識改革を図ってまいります。
 次に、外部の人材を招くことについてでございますが、お話しのように、児童生徒の豊かな人間性を育てる重要な方策の一つとして、その道をきわめた人から、直接、体験や生き方を学ぶことも大切なことと考えております。小中学校では道徳の授業を公開し、地域の人からの身近な話を聞いたり、高等学校では、倫理等の授業で、企業経営者などから話を聞くなどして、道徳的実践力の育成や、自己の生き方について自覚させる指導を行ってまいりました。
 今後は、各界で活躍している卒業生や、生徒にとって魅力ある人などをボランティアとして招き、人間としてのあり方、生き方についての考え方を深めさせるなど、授業の改善を図ってまいります。
 次に、小中学校のクラス編制の弾力化についてですが、平成十三年度から、卒業や進学を控えた小中学校の最終学年への進級時と、集団生活への適応に問題が生じやすい小学校二年への進級時に、前年度の学級を維持できる制度を実施する予定でございます。
 例えば、一学級四十人基準のもとでは、小学校五年のときに児童数八十一名で三学級の学年、そういう学年は、六年への進級時に仮に八十名となる場合、二学級となることになりますが、継続的な指導や学級運営のために、学校が希望し、区市町村教育委員会が特に必要と判断した場合には、クラスを変えずに三学級を維持できるよう、弾力的に運用するものでございます。
 なお、平成十三年度予算案では、これに要する教員の人件費、約二億八千万円を計上いたしております。
   〔総務局長大関東支夫君登壇〕

○総務局長(大関東支夫君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、電子都庁のメリットについてでございます。
 今回進めております電子都庁は、都民が行政サービスを身近なところで、いつでも、容易に受けられることを目指すものでございます。
 具体的には、豊富で迅速な都政情報の提供や、情報交流を推進するとともに、電子申請や電子入札などにより、自宅や会社からの各種申請手続、届け出等を可能としていくものでございます。
 同時に、IT化の視点から抜本的な業務改革を進め、各種申請手続等の見直しや簡素化を図ってまいります。そのことにより、総合的な都政のIT化を進め、保健、医療、福祉などの都民生活に密着した行政サービスの一層の充実を図ってまいります。
 次に、電子化にかかわる区市町村との連携についてでございます。
 行政の電子化に当たりましては、住民の利便性を高める視点が何よりも重要であり、コンピューターになじめない人を含めて、だれもが簡単に手続ができるシステムを構築していく必要がございます。
 このため、現在整備が進められている総合行政ネットワークの活用を図るなど、区市町村と連携し、身近なところで手続が可能となるワンストップサービスの実現に努めてまいります。さらに手続の簡素化、相談窓口の設置等により、自宅からの手続を含め、総合的に利便性を高めてまいります。
 次に、電子都庁の効果についてでございます。
 電子都庁は、IT化による単なる事務改善を超えて、業務の抜本的、根本的な改革を図るとともに、都民サービスの質的向上を目指すものでございます。情報ネットワークを活用した業務知識の共有や、業務の簡素効率化により、内部コストの大幅な削減や、職員の可処分時間の創出を図ることが可能となり、さらにインターネット等の活用により、行政手続等にかかわる都民コストも、劇的な削減が実現できるわけでございます。
 現段階において具体的な削減額を挙げることはできませんが、こうした行政内部や都民コストの削減などにより、社会全体としてのコスト削減が見込まれ、電子都庁への投資に見合った、いわばはかり知れない成果が得られるものと考えております。
 最後に、三宅島の夜間を含めた常駐体制の方針でございます。
 現地では、これまでも有毒な火山ガスが大量に放出される危険な中、島民の一日も早い帰島を願い、復旧作業に当たってまいりました。しかし、神津島から通う方式では、島での作業時間が最長でも五時間程度しか確保できず、正確な火山観測や、効率的な泥流対策が困難な状況にあります。
 そこで、国等の関係機関との連携のもとに、観測や工事の一層の進捗を図るため、防災担当者、火山専門家等、十人から十五人程度による夜間の滞在を試行することといたしました。
 今後、観測を充実し、安全性を確認する中で、建設作業員などの常駐体制を確保し、本格的な復旧作業を実施していきたいと考えております。
   〔政策報道室長安樂進君登壇〕

○政策報道室長(安樂進君) 東京都のホームページの改善についてのお尋ねでございますが、都のホームページは、これまで局別につくられていたため、どの局がどういう事業を所管しているかを知らない都民にとっては、利用しにくいという問題点がございました。
 このため、昨年の十月に全庁のホームページを一元化いたしまして、事項別に検索できるよう、システムを変更し、改善を図ったところであります。しかし、これによっても、もともとホームページに掲載されていない情報にはアクセスができないという問題が残っております。
 そこで、今後は、ホームページに載っていないものも含め、都政情報全般について、その所在を案内する検索システムをできるだけ早く整備し、利用に供したいと考えております。
   〔労働経済局長浪越勝海君登壇〕

○労働経済局長(浪越勝海君) 中小企業対策など、何点かのご質問にお答えいたします。
 創業支援関係で、まず「ベンチャー・SUMIDA」の入居企業の実態と、ソフト面の支援についてでございます。
 入居二十二社のうち、株式会社と有限会社がおのおの六社、個人企業が十社となっており、また、IT関連企業が過半数を占めております。現在、開設後間もないこともあり、職員の巡回や意見交換会などにより、個々の創業活動の実態把握に努めているところでございます。
 ソフト面の支援につきましては、創業を支援するTOKYO起業塾のセミナーや交流会への参加などを呼びかけるとともに、都が長年蓄積してきた経営・技術支援のノウハウや、民間専門家も活用して、入居企業の育成に努めてまいります。
 次に、いわゆるSOHOの位置づけと支援策についてでございますが、廃業率が開業率を上回る経済状況の中で、東京の産業の活性化を図るためには、新たな創業形態の一つであるSOHOに対する支援も、また重要であると認識しております。
 お話しのように、本年度は東京ファッションタウンビルに、スモールオフィスを十五室設置いたしました。今後、都といたしまして、新たにタイム二十四ビルにスモールオフィスを十二室設置することに加え、都が長年蓄積してきた経営・技術支援のノウハウや、民間専門家も活用して、入居企業の育成に努めてまいります。
 次に、雇用のミスマッチについてでございますが、いわゆるミスマッチによる失業率は、厚生労働省の統計によりますと、昨年十一月の失業率四・八%のうち、約四分の三に当たる三・七%と、高い割合を占めております。このように、高どまりにある失業率の改善が進まないことは、都民の生活安定にとって大きな問題であると考えております。
 雇用対策につきましては、昨年四月一日から職業安定行政が国に一元化され、基本的には国が担うこととなっておりますが、都としても、都民の安定した暮らしを実現するため、関係機関とも連携しながら、ミスマッチの解消に向け、積極的に取り組んでまいります。
 次に、雇用のミスマッチ解消のための職業能力開発の強化についてでございますが、ご指摘のとおり、企業の求める能力と求職者本人の能力とのギャップを埋めるための能力開発は、雇用のミスマッチ解消の有効な方策ではございます。
 このため、都はこれまでも、技術専門校などにおいて、離転職者や学卒未就職者を含めた求職者に対して、技術革新や産業構造の変化に対応した職業訓練を推進してまいりました。今後、IT革命に対応したネットワーク構築科やEビジネス関連科目等を新設するなど、時代にマッチした施策展開に積極的に取り組んでまいります。
次に、求人情報の的確な収集と提供についてでございますが、雇用のミスマッチの解消のためには、企業の求人に対するニーズを的確にとらえるとともに、きめ細かな求人情報を提供することが重要であると考えております。
 このため、都が独自に収集する中小企業等の求人情報や、ハローワークなどのさまざまな職業紹介機関と連携した、総合的な雇用関連情報を提供するためのネットワークシステムを、昨年末に開設したところでございます。今後、約三万社を対象に求人開拓を行い、あわせて企業が求める人材ニーズの把握に努め、ミスマッチの解消に取り組んでまいります。
 次に、都市観光関連についてでございます。
 まず、都市観光の現状と外国人ビジターの推移についてでございますが、平成九年における各国の外国人旅行者受け入れ数を見てみますと、第一位がフランスで、六千七百三十一万人、第二位がアメリカで、四千七百七十五万人、第三位がスペインで、四千三百二十五万人であり、日本は世界第三十二位で、四百二十三万人であります。
 都における外国人ビジターの推移は、平成五年には二百三十三万人、平成七年には二百十七万人、平成九年には二百六十四万人となっております。
 次に、東京のシティーセールスのための具体的なアクションプランの策定についてでございますが、二〇〇二年、ワールドカップ開催時には相当数の外国人が訪れることが予想されますことから、東京のイメージアップを図る絶好の機会であると考えております。
 そのため、サッカーファンを受け入れる多様なタイプの宿泊施設や、東京の新しい観光スポットの情報提供、海外へのIT等を活用した広報活動の充実などを図っていく必要がございます。さらに、世界から日本が注目されるこの機会をとらえて、一般の観光客の誘致活動を積極的に展開していくことが重要であると考えます。
 これらを実現していくために、具体的な方策を検討するとともに、早期に策定予定しております、観光産業の振興に関する基本方針の中で明らかにしてまいります。
 次に、外国人ビジターの受け入れ環境の見直しについてでございますが、東京を訪れた外国人にとって快適なまちとしていくためには、歓迎メッセージを伝えるなどの、観光客を温かく迎える仕組みづくり、外国語による応対や外国語標記の促進、旅行者のニーズに合った宿泊施設の整備、緊急医療や災害時に対応した体制整備、交通アクセスのわかりやすい表示や、ITなどを活用した情報提供などを推進することが必要であります。
 今後、関係各局、区市町村、企業との連携を図り、これらの具体的な施策の実現に努めてまいります。
 次に、東京コンベンション・ビジターズビューローの組織強化についてでありますが、この団体は、東京の魅力を内外に発信し、積極的なシティーセールスを展開することによって、コンベンションと観光客を東京に誘致し、地域経済の発展、地域の活性化を図るために設立された団体でございます。
 この目標を実現するためには、より多くの会員の獲得、自主事業の拡充、誘致プロモーション活動を展開するなど、事業実施体制の強化を図っていくことが必要でございます。
 都としても、観光産業を所管する組織の発足を契機に、東京コンベンション・ビジターズビューローと一体となって、より一層の観光産業の振興に取り組んでまいります。
 次に、繊維産業関連ですが、まず国と連携した繊維産業の振興についてであります。
 繊維産業は、都における重要な地場産業の一つであり、これまでも繊維産地活性化基金事業や、繊維地場産業等活性化補助事業など、国の特別対策とも機動的に連携を図りつつ、支援してきたところでございます。
 ご指摘のとおり、繊維産業は、繊維製品の輸入の急増により大変厳しい経営環境にあることから、従来の支援策に加え、さらに中小企業経営革新支援法による支援策を活用するなど、国とも連携を図りながら、英知を集めて対応してまいります。
 次に、東京の物づくりの実態把握についてでありますが、物づくりは東京の産業活力の中核であると認識しており、都はこれまでも、技術、経営、資金面の支援や、工業集積地域の活性化支援などを行ってきたところでございます。
 しかし、現状は、生産の分散化や製造現場における高齢化が進むとともに、企業間の協業や連携が崩れるなど、物づくりの機能が低下しつつあります。こうした状況下で、東京の物づくりを再生していくためには、その実態や施策に対するニーズを把握し、支援策を講じていくことが重要であります。
 今後、より実効性のある施策を進めていくために、東京の物づくりの実態把握に努めてまいります。
 次に、TAMA産業活性化協議会との連携についてでございますが、この協議会は、新産業創造の拠点を目指して設立されたものであり、産・学・公連携による技術支援を進めていくためにも、協議会との連携が重要でございます。
 都は、これまでも協議会に対し、産業技術研究所における交流や、協議会活動への協賛などを通じ、連携を図ってきたところでございます。
 今後は、本年四月に社団化が予定されている協議会に参画するとともに、協議会が進める情報ネットワークや共同研究等への参加により、一層の連携を図ってまいります。
 次に、三宅島災害関係のうち、緊急地域雇用特別基金事業を活用した雇用機会の創出についてでありますが、都としては、三宅村の方々の避難生活が長期化する中で、緊急地域雇用特別基金を活用し、都の公共施設のクリーンアップ事業や、三宅島島外避難者支援要請キャンペーンなどの事業を実施し、約一千人・日の雇用を創出しているところでございます。
 今後は、国や三宅村と十分連携し、民間から多く寄せられている求人を最大限活用して、三宅村の方々の就職促進に努めるとともに、その補完策として、引き続き都内公共施設の樹木の剪定、除草などの基金事業を実施してまいります。
 最後に、都が発注する公共事業による三宅島島民の雇用促進についてでございますが、三宅島避難者の就業については、高齢者を中心に厳しい状況が続いております。このため、都としては、都が発注する工事等に三宅村の方々が積極的に採用されるよう、建設業者等に働きかけてまいります。
 なお、国や区市町村に対しては、既に知事名の文書により、三宅村の方々をさまざまな事業において採用していただくよう要請しており、今後とも適切に対応してまいります。
   〔港湾局長齋藤哲哉君登壇〕

○港湾局長(齋藤哲哉君) 二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、仮称東京臨海地域観光振興ガイドラインの策定についてでございますが、主要な国際都市の多くは、港や河川などの水辺空間を観光資源として活用し、都市の魅力を高めております。
 ご指摘のように、東京臨海地域は新たな東京の観光資源としての潜在力を有しており、この地域を東京の魅力を世界に発信する国際観光の拠点としていくことが重要と考えております。
 今後、都の観光産業の振興に関する基本方針等の策定状況を踏まえ、ご提案の東京臨海地域観光振興ガイドラインともいうべきものを検討してまいります。
 次に、東京臨海地域を紹介するガイドブックやウエルカムカードなどの発行についてでございますが、観光産業を振興するためには、外国人ビジターを初めとした来訪者に対する積極的な情報提供が必要不可欠でございます。とりわけ、ご指摘のあったウエルカムカードについては、国際的にも定着している観光振興策であり、その効果が期待できるものであります。
 臨海副都心を初めとした東京臨海地域を国内外に広くアピールしていくため、ご提案のガイドブックやウエルカムカードなどの発行について、地域の事業者などの協力を得て、その実現を図ってまいります。
   〔福祉局長高齢者施策推進室長兼務前川燿男君登壇〕

○福祉局長高齢者施策推進室長兼務(前川燿男君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、ケアリビングについてでございますが、都が目指す福祉改革の目標は、利用者がニーズに合ったサービスをみずから選べるようにすることでございます。ところが、これまで、介護が必要になった場合の選択肢は、事実上、在宅サービスまたは特別養護老人ホームに限られておりました。福祉改革推進プランでは、自宅と施設との中間的な性格を持つケアハウス、シルバーピア、グループホーム等の介護つき住まいを新たにケアリビングと位置づけ、重点的に整備することといたしました。
 今後、NPO、民間事業者等多様な事業主体の参入が促進されるよう、補助のあり方を検討するとともに、実態調査の結果を踏まえ、新たな整備目標を設定してまいります。
 次に、高齢者元気倍増作戦でございますが、高齢社会を活力あるものとするためには、高齢者に、その知識、経験を生かして元気に活躍していただくことが重要でございます。
 シニアパスポートは、身分証明に、社会参加を促進するさまざまな機能を付加するものであり、今後、平成十四年度の実施に向けて、区市町村とともに検討を行ってまいる考えでございます。
 また、元気でネットは、社会参加に関する情報をインターネット上で容易に収集できるようにするものであり、平成十四年度の運用開始を目指し、準備を進めてまいります。実施に当たっては、地域単位のシステムとのリンクやパソコン講習会等の支援など、区市町村との連携を図ってまいります。
 次に、福祉情報の提供についてでございますが、都民が地域の中でサービスをみずから選択、利用するためには、必要な情報が総合的に提供され、それに容易にアクセスできる環境を整えることが不可欠であると認識をいたしております。
 そのためには、まず、区市町村が中心となって、地域に根差した福祉サービスの状況や特色を、わかりやすい情報として提供していくことが重要でございます。
 都としては、こうした区市町村の取り組みを広域的観点から支援し、補完していく方針でございます。都民のニーズに即した、きめ細かな福祉情報が提供できるよう、区市町村と協力しながら、福祉ITネットワークの構築など具体的な手法を検討してまいります。
 最後に、社会福祉法人等による利用者負担の減免措置についてでございますが、この措置は国の特別対策として講じられたもので、介護保険制度における低所得者対策の有効な手法の一つと認識をいたしております。
 都としては、これまでも区市町村や社会福祉法人にこの措置の活用を呼びかけてまいりましたが、ご指摘のとおり、都内においては、現時点では実施がされておりません。
 今後、本制度が活用されるよう、実施上の課題の解決に向けて、区市町村など関係者と協議をしてまいります。
   〔衛生局長今村皓一君登壇〕

○衛生局長(今村皓一君) 保健医療関係の四点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、アレルギー疾患対策についてでございますが、ご指摘のように、アレルギー疾患が深刻化している現状にかんがみ、都は、今後とも予防、治療、調査研究の各分野にわたる総合的な対策を進めてまいります。
 また、検討委員会からは、今後の対策のあり方について、この三月中にも最終報告をいただく予定であります。この報告を踏まえ、予防対策の一層の強化や、治療、研究の充実に加え、保健婦等の地域保健活動を推進する人材の育成など、具体的な対策に取り組んでまいります。
 さらに、アレルギー疾患対策について検討を行う国の厚生科学審議会に当局の職員を参画させるなど、国の施策との連携も積極的に進めてまいります。
 次に、東京ERの救急医療体制についてでございます。
 東京ERでは、救命救急センターを有する墨東、広尾、府中の都立三病院に、一般診療部門とは独立して機能する救急診療部門を新たに設置し、専任の医師等を配置してまいります。
 このことにより、入院を必要としない軽度の救急患者から、生命の危機を伴う重症の救急患者に至るまで、さまざまな症状の救急患者に、より速やかに対応できる総合的な救急医療体制を確保し、都民への医療サービスの大幅な向上が実現できるものと考えております。
 次に、東京ERの体制整備についてでありますが、東京ERでは、救急患者の大宗を占める内科系、外科系、小児科の疾患に直ちに対応できるよう、それぞれ専任の医師が常駐する診療体制を整備し、また、必要に応じ他の診療科の医師による応援体制を組むことなどにより、さまざまな救急患者に適切に対応していくこととしております。
 そのために、まず、平成十三年度においては、墨東病院でERの体制整備に必要な人員措置を図りました。加えて、今後は専門臨床研修医制度の拡充により、救急専門スタッフを育成するなど、万全の体制づくりに努めてまいります。
 最後に、小児救急医療体制の具体的整備についてのお尋ねでございます。
 初期救急医療につきましては、小児科医師の協力体制や診療施設の現状など地域の実情に即して、小児科医師が救急診療を行うモデル事業を、平成十三年度に都内三地区でまず実施してまいります。また、二次救急医療につきましては、三百六十五日二十四時間、小児科医師が診療を行う固定通年制の施設を確保し、本年四月から実施いたします。
 救急医療は医療の原点であり、万が一、子どもが急病の場合にも、保護者のご要望に十分対応ができるよう、今後とも小児の救急医療体制のさらなる充実に努めてまいります。
   〔環境局長中野英則君登壇〕

○環境局長(中野英則君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、ディーゼル車対策における隣接県との連携についてでありますが、ディーゼル車対策を実効あるものにするためには、ご指摘のとおり、広域的な取り組みが必要であります。埼玉県も、都と共同歩調をとりながら対策を進めることを表明しております。隣接した自治体とともに、条例による規制や低公害な車の普及促進に取り組むことにより、都のディーゼル車対策も一層充実したものになると確信しております。
 今後とも、近隣の自治体との連携を強化し、対策の実効性を高めてまいります。
 次に、DPFの価格低廉化や性能向上等の今後の見通しでありますが、都はこれまでも、DPFの性能試験を行うとともに、メーカーに対し、価格の低廉化や性能の向上を求めてきました。現在、都バスにおける実走行試験を行いながら、汎用性のある装置にするための改良を進めているところであります。
 今後とも、供給体制の整備や価格の低廉化に努め、事業者等の負担軽減を図ってまいります。
   〔住宅局長戸井昌蔵君登壇〕

○住宅局長(戸井昌蔵君) 分譲マンション対策に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、区市町村との役割分担についてでございます。
 都はこれまで、管理アドバイザー制度などにより、区市町村のマンション施策を支援してまいりました。今回のマンション管理法制定によりまして、地方公共団体に住民への情報提供などの努力義務が課せられたことによりまして、住民に身近な自治体の役割がますます重要になるものと認識をしております。
 都は、今後とも区市町村のマンション施策を支援する立場から、統一的な相談マニュアルの整備や情報提供、相談員の育成などに努めてまいります。
 次に、マンションの建てかえに際しての高齢者の居住継続の仕組みづくりについてでございます。
 都といたしましても、重要な課題であると認識しております。現在、国は、収入の少ない高齢者が、住宅金融公庫から融資を受け、月々の返済は利子相当分とし、元金は住宅資産の処分の際に清算する制度を検討しております。都といたしましては、高齢者が安心して事業に参加でき、建てかえも促進されるものと期待しているところでございます。
 今後、公庫と協力して、資産を生かしたこの制度、ご質問のいわゆるリバースモーゲージ手法が積極的に活用される施策を広く検討してまいります。
   〔都市計画局長山下保博君登壇〕

○都市計画局長(山下保博君) 五つのご質問にお答えいたします。
 まず、マンションの建てかえに対する支援についてでございますが、老朽化したマンションの建てかえに当たりましては、高齢者も安心して住み続けられるよう、地域のまちづくりの中で事業化を図っていくことが必要でございます。
 都といたしましては、区市町村とも連携いたしまして、用途別容積型地区計画や総合設計制度など住宅供給に関する容積率割り増し制度が、地域の特性に応じて有効に活用されるよう努めてきたところでございます。
 今後は、こうした制度の一層の活用を図り、老朽マンションの建てかえを促進するとともに、バリアフリー化などに対する容積率の割り増しを行う新たな仕組みの導入に向け、取り組んでまいります。
 次に、木造密集地域の整備についてでございますが、平成九年の防災都市づくり推進計画の策定以降、十一重点地区におきまして、不燃化促進事業や防災生活圏促進事業、木造住宅密集地域整備促進事業に取り組むとともに、街路事業を十七区間、鉄道の連続立体交差事業を二路線で実施してきております。
 今後とも、こうした修復型事業や基盤整備事業をさらに推進してまいります。
 また、これまでの実績を踏まえながら、新たな推進方策や事業主体の多様化などを検討いたしまして、平成十四年度を目途に、防災都市づくり推進計画の見直しに取り組んでまいります。
 次に、新たな防火地域の創設についてでございますが、木造密集地域は、道路が狭い上に小規模な住宅等が多いことから、ほとんどの地域で建築構造の制限の緩い準防火地域に指定されております。しかし、この地域は延焼の危険性が高いことなどから、より防災性を有する市街地へと誘導していく必要がございます。
 このため、現在、東京都都市計画審議会におきまして、現行の準防火地域と防火地域の中間的性格を備えた新たな防火地域制度を創設し、準耐火構造建築物等へと誘導することを、都市づくりビジョンの一環として検討しているところでございます。
 今後、都といたしましては、審議会の答申を踏まえ、この制度の創設を国に働きかけるなど、木造密集地域の再生産の防止に向け努力をしてまいります。
 次に、木造密集地域整備への、いわゆるPFIの導入についてでございますが、木造密集地域を震災に強い市街地へとより強力に再生していくためには、民間の有する資金、人材などを活用するPFIなどの事業手法を適用して、公共施設の整備を進めるとともに、あわせて質の高い市街地整備を誘導していくことが有効であると考えております。
 今後は、防災都市づくり推進計画の見直しに当たりまして、こうした事業手法のあり方や公共部門との役割分担などの課題について検討してまいります。
 最後に、東京外郭環状道路の現状についてでございますが、平成十一年の知事の現地視察を契機といたしまして、昨年四月、三十年ぶりに地元団体との話し合いをスタートさせることができ、これまでに三回の話し合いを行ってまいりました。
 さらに、国におきましては、先ほどございましたが、知事の要請により、昭和四十五年の凍結発言以来初めて、国土交通大臣が現地視察をしたところでございます。また、参議院決算特別委員会におきまして、大臣は、外環の取り組みに対し、積極的な姿勢を示したところでもございます。
 都におきましては、先般の話し合いにおいて提案いたしました、代表者による小規模打ち合わせ会の開催を現在要請しているところでございまして、地元団体との話し合いに努めているところでございます。

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