平成十三年東京都議会会議録第二号

   午後一時開議

○議長(渋谷守生君) これより本日の会議を開きます。

○議長(渋谷守生君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(渋谷守生君) これより質問に入ります。
 百十三番佐藤裕彦君。
   〔百十三番佐藤裕彦君登壇〕

○百十三番(佐藤裕彦君) 二十一世紀初頭の平成十三年第一回東京都議会定例会に当たり、自由民主党を代表して最初の質問をさせていただきますことは、まことに光栄の至りであります。
 我が国経済は、政府の懸命なる景気対策にもかかわらず、改善の方向が感じられません。何とか上昇気流に乗せようと、先ごろ、日銀は、公定歩合の緊急利下げを行うとともに、新型の貸出制度を創設し、また、与党三党も、証券市場の活性化策などを提言いたしました。引き続き景気に軸足を置き、本格的な回復軌道に乗せていくことが極めて重要であると考えるものであります。
 一方、こうしたさなか、現在の国政は目を覆いたくなるような混乱に陥り、国民の政治不信を日々増幅させております。KSD疑惑、外務省機密費流用事件、実習船「えひめ丸」沈没事故とその後の政府の対応の混乱等々、私たちの忍耐も限度に来ております。
 私ども東京都議会自由民主党は、こうした国政の現状に対し、自由民主党本部に、二月六日には、KSD疑惑、これは議員をやめたとか、金は返したというだけでは済まない問題だと思いますが、及び外務省機密費流用事件の徹底解明を、また、十六日には、自民党総裁選挙の前倒しなどを申し入れ、国民の信頼を回復するための行動を起こしております。
 特に、「えひめ丸」事件については、全容が明らかになるにつれ、アメリカ原潜のずさんさに、驚きを超えあきれ果てざるを得ません。政府は毅然とした態度をとるべきであります。
 また、ロシアや中国、韓国の領土をめぐる動向や、北朝鮮による日本人拉致疑惑など国家主権に対しても同様であります。
 知事もよく引用されるトインビーは、「歴史の研究」の中で、国家の滅亡原因は自己決定能力の欠如にあると喝破をいたしております。戦争が終わって五十年以上もたつのに、自主憲法も制定できず、外交問題もかくの状況では、トインビーの予言が不気味に胸に迫る思いがいたします。
 私どもは、国民の批判を真摯に受けとめ、決して責任を放棄したり、転嫁したりすることはいたしません。私どもは、必ずや都民の負託にこたえ、自由民主党を再生させていく覚悟であります。
 さて、東京は、我が国を牽引する首都の役割を果たしていくために、活力を大きく高め、躍動していくことが求められています。そのためには、時代を先取りした行政運営を行っていくことが不可欠であり、行財政システムの転換をさらに強力に進めていく必要があります。
 この四月で三年目を迎えられる石原知事は、柔軟な発想と強力なリーダーシップを発揮され、職員の意識改革や財政構造改革を果敢に進められております。その成果は、財政再建推進プランの着実な実行や内部努力の徹底、東京構想二〇〇〇・三カ年計画の一〇〇%事業化などに明確に示されております。
 我が党も、都民生活の安定と充実、そして東京の再生を図るため、全力を尽くす所存であります。
 まず初めに、知事の基本的な政治姿勢についてお伺いをいたします。
 知事は、施政方針において、高度な文明社会を生きる我々に、三つの危機が迫っていると警鐘を鳴らされました。
 とりわけ第二の危機である日本の危機は、憂国の念にたえない知事の心情が発露されたものであると受けとめており、針路の定まらない国家を憂う我々の気持ちと軌を一にするものであります。
 また、第三の地球の危機は、現在の社会のゆがみを指摘したもので、これらの危機を打開するには、自己を厳しく律した自律型文明社会の中で、従来の価値観を転換する必要があると発言されました。
 このような知事の危機意識及びその対応については、時宜を得た共感できる内容であり、我が党は強く共感を覚え、高く評価するものであります。
 その一方で、東京が直接実行できることは限られるといわれておりますが、このような制約条件のもとで、知事はどのようにして行動を、これは明治維新に匹敵する内容が求められる、こう思いますが、この東京で起こそうとされているのでしょうか、お伺いをいたします。
 現下の都財政は、辛うじて財政再建団体への転落を回避したものの、七兆円を超える都債残高や二年連続の実質収支赤字など、依然として厳しい状況にあります。
 こうした財政状況にあって、十二年度に引き続き厳しい職員給与削減の継続や、職員定数のさらなる削減などの内部努力が行われたのは、当然であります。
 また、危機的な財政状況にあっても、東京の再生により、都民の方々一人一人が希望や夢を持ち続けられるような輝かしい社会をつくり上げていくことが我々の責務でもあり、今後も、引き続き都市基盤整備の促進や少子高齢社会への対応、景気対策、環境対策、防災などの都政の重要課題に対し、その克服に向けて、努力を惜しむことがみじんもあってはなりません。
 この観点から、新しい時代にふさわしい施策への再構築や歳入確保努力など、財政構造改革の引き続く実行がますます重要となることはいうまでもありません。
 平成十三年度予算は、財政再建推進プランの前半を区切る時期にあって、財政構造改革を本格的な軌道に乗せるという重要な役割を果たすべきものであると同時に、石原知事にとっては二回目の予算編成であり、ディーゼル車対策など都政の緊急課題に果敢にチャレンジした予算と推察されます。
 また、福祉について、我が党は、東京を初めとする我が国全体が、世界に類例を見ないほどの超高齢社会を迎えるに当たり、特に喫緊の課題である福祉改革の推進の緊急提言を、昨年末、知事に行いました。
 これに対し、知事は、我々の意を酌み取っていただき、例えば、心身障害者施設の緊急整備や乳幼児医療費助成制度の就学前児童までの対象拡大、さらには、東部療育センターの建設等全面的に受けとめられ、本定例会への十三年度予算案の提案となっていることは高く評価をするところであります。
 そこでまず、十三年度予算編成に対する知事の基本的な考え方をお伺いいたします。
 また、知事も出席された世界経済フォーラム年次総会、いわゆるダボス会議の開催直前に、アメリカのゴールドマン・サックスの副会長が、日本政府の経済に関する所信に対し、日本人はグラフを逆さに読んでいるのではないかなどと痛烈な批判をいったことに象徴されるように、世界の主要国から日本経済への不信が渦巻いております。
 日本経済がいまだバブル崩壊後の低迷を克服し得ないのは、国全体を挙げて取り組むべき課題でありますが、日本経済が回復し、世界で再び信任を得るためにも、日本の首都として、東京がこの新しい世紀においても活力を高め、躍動し続けることが必要であります。知事のおっしゃる東京の再生が日本の再生にもつながるということは、我が党としても全く同感であります。
 我が党は、さきの第四回都議会定例会の代表質問においても、幸いにも都税収入の増加が見込まれることから、首都東京の再生のために、真に必要な骨太な事業を選び、必要な財源を長期的視点に立ってあらかじめ担保し、その事業を推進していくべきであると主張したところでありますが、十三年度予算でどのように対応されたのかを伺います。
 知事は、予算原案の記者会見の中で、今回の予算のできばえを、殊勲賞も敢闘賞もとれないと評しておられました。これは、厳しい財政状況に加えて、先行き不透明な景気動向の中で、今後も厳しい財政運営が続く見方を示したものと受けとめております。
 確かに、今回の税収増は、景気の本格的回復によるものというより、特例的な要因によるものであり、中小企業や都民の実感としては、いまだに不況感が強い状況にあります。それにしても、大手銀行に対する外形標準課税による増収が含まれているとはいえ、四千八百億円もの増収とは大変な額といえます。
 そこで、今回の税収増の具体的な要因は何なのか、また、今後の税収見通しについてお伺いをいたします。
 平成十三年度予算においては、前年度に引き続き財政再建推進プランに基づく財政構造改革の着実な取り組みが行われてきた結果、十二年度と十三年度の二年間で、目標額の約七割のおおむね四千四百億円の財源を確保したとのことであります。こうした数字を見れば、財政再建に向けた取り組みは着実に進んでおり、我が党としても、これまでの努力に対して敬意を表するものであります。
 一方、振り返って、国や他団体の動向を見れば、十三年度末には、国、地方を通じた長期債務残高が約六百六十六兆円、国内総生産の一・三倍、約三割も上回る状態となっており、長期金利の上昇等、経済への悪影響が懸念される状況にもなってきております。まさに、国として財政構造改革の必要性が叫ばれているが、その実行がなかなかできない状況と申しますか、国に実行する気がないともいえます。
 このように、財政構造改革に対する取り組みの面では、都は、国よりも一歩も二歩も進んでいるといえます。それゆえに、今後も、引き続き東京が頑張って財政再建を実現し、二十一世紀の日本の輝かしい未来を開いていくという意気込みを示していくことが必要なのではないでしょうか。それがまさに我が東京都議会自由民主党が目指しているところであります。
 このような知事並びに我が党の姿勢に対し、一部会派は、ひたすら過去の施策にしがみつき、日本の大局を見通す見地を失っております。一つの象徴的な例示が福祉改革であります。
 我が党も、都も、利用者指向の開かれた福祉の実現に向け、福祉改革に積極的に取り組んでおります。時代の要請にこたえられる福祉を実現するためには、発想を転換し、行政として未来を見据えなければなりません。
 旧態依然とした過去の施策を勇気を持って改め、都民ニーズに的確に対応した施策を打って出る。この福祉改革のように、改革することが未来を保障することになるのであります。このことはまた、都の内部における改革においても同様であります。
 十三年度予算において、財政構造改革の視点から、新たな取り組みに着手しているものもあると考えられますが、具体的にお示しをいただきたい。
 東京都は、このように着実に財政構造改革を進めておりますが、しかし、この手綱を緩めてはいけません。というのも、財政再建に向けた取り組みを進めるに当たって、景気の先行きが不透明であるとともに、知事は、都財政を圧迫するさまざまな要因が存在するといっているのであります。
 具体的には、減債基金積み立ての一部見送りや他会計からの借り入れなど、過去の財源対策などによる、いわゆる隠れ借金の存在が、累計約一兆円、都債の今後償還経費の急増により、十三年度から十八年度までの六年間の累計で三兆六千億円に上るなど、膨大な後年度負担経費が都財政を待ち構えているのであります。
 とりわけ隠れ借金については、財政当局はもとより、知事ご自身の発言を通じて広く都民もその存在を承知できたところであり、もはやこの問題を先送りすることは許されません。今後、この隠れ借金を初めとする都財政の圧迫要因に対して、財政再建推進プランの中で、改めてその計画的な解消や将来への備えをいかにして行っていくのかを明らかにすべきと考えますが、知事のご所見をお伺いをいたします。
 以上のように、都財政をめぐる社会経済環境は、引き続き厳しい状況にはありますが、財政再建と首都東京の再生という二つの目標を実現させることが、現下の都政運営で強く求められているのであります。そのためには、何よりも知事の強いリーダーシップが必要不可欠であり、我々もそのための協力は惜しむものではありません。
 首都東京から日本を変えるという意気込みで、東京都がその範を示すためにも、財政再建の達成に向けて、財政構造改革のさらなる推進に対する知事の決意をお伺いをいたします。
 次に、行政改革についてお伺いをいたします。
 我が党は、都は、常に時代を先取りした行政運営を行っていくことが不可欠であり、時代の変化に機敏に対応できるような行政体質の転換に直ちに取り組むとともに、中長期的な視点で東京の将来像をしっかりと見据えた改革についても、その道筋を明らかにするべきであると主張してまいりました。
 このような状況の中、これからの都の行政運営の基本指針となる都庁改革アクションプランを策定、発表されたのは、まさに時宜を得たものと考えます。特に、当面取り組むべき具体的な改革策を二百十五項目示したこと、中長期的視点から取り組む改革、いわゆる都政改革ビジョンⅡの方向性を明らかにしたことは高く評価するところであります。
 そこで、このアクションプランについて何点かお尋ねをいたします。
 都は、鈴木知事時代以来、その時々に応じて数次の行政改革に取り組んでまいりましたが、今回の新たな行政改革のねらいと特徴は何か、改めてお伺いをいたします。
 また、今回の行政改革は、当面の都庁改革と中長期的な視点での改革の二段階に分けて取り組んでいくということですが、これは、我が党が常々主張してきたことと合致いたしております。
 中長期的視点からの改革である都政改革ビジョンⅡでは、非常に壮大な構想が取りまとめられるものと大きな期待をしております。
 しかしながら、壮大であればあるほど、影響も大きいものであります。間違っても、ひとりよがりの構想を示すことのないよう、検討に当たっては、区市町村はもちろん、私たち都議会とも十分に議論を重ねていくべきであると考えます。
 そこでお伺いいたしますが、都政改革ビジョンⅡの検討は、どのような手順、方法で進めていくのでありましょうか。
 次に、行政評価制度についてお伺いをいたします。
 来年度からの行政評価制度の本格実施では、試行と同様、評価の実施対象を絞り、重点的に行うといたしておりますが、こうしたことで、膨大な都の施策、事業を見直していくことができるのか、所見を伺います。
 次に、組織について伺います。
 アクションプランには、組織の見直しに係る項目として、局の存廃にかかわるような大きなことから、出先事業所の課にかかわるようなことまで、極めて多彩な事項が盛り込まれておりますが、いま一つ全体として、どういう体制をつくることを目指したのかがわかりにくいように思われます。
 そこでお伺いしますが、今回、アクションプランで示された組織の見直しは、どのような執行体制を目指して行ったものでしょうか、知事のお考えを伺います。
 次に、監理団体についてお伺いをいたします。
 都では、昨年十一月に、監理団体改革実施計画を発表し、これまでにない監理団体の抜本的な見直しに取りかかりました。今後は、この計画を、各団体がいかに確実に実行するかが重要だと考えます。そのためには、各団体の業績を適正に評価し、経営改善へのインセンティブを高める必要があると考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 今回のアクションプランで示された改革策は、いずれもこれまでの取り組みよりも一歩も二歩も踏み込んだものであります。今日の財政危機を克服し、さまざまな分野で東京をよみがえらせるためには、ぜひとも最後まで改革をなし遂げなくてはならないと考えますが、アクションプランで掲げた改革を実効性あるものとするためにどのように取り組んでいくのか、知事の決意をお伺いいたします。
 次に、東京の新しい都市づくりに対する基本認識についてお伺いをいたします。
 現在、東京都都市計画審議会において、社会経済情勢の変化を踏まえた東京の新しい都市づくりのあり方について審議をされていますが、去る二月十四日には答申素案が明らかになり、三月には答申予定と聞いております。
 また、都は、この答申を踏まえ、本年秋に東京の新しい都市づくりビジョンを策定するとしていますが、この都市づくりビジョンの策定によって、首都にふさわしい東京の都市づくりが可能となるのか、知事のご見解をお伺いいたします。
 次に、昨年五月に改正都市計画法が施行され、今後、新たに都市計画マスタープランを策定すると聞いています。
 この都市計画マスタープランは、東京の新しい都市づくりビジョンを踏まえて策定すべきものと考えます。また、策定に当たっては、区市町村のまちづくりの方針などを十分に反映させることが重要と考えますが、こうした視点を踏まえ、その役割及び内容についてお伺いをいたします。
 次に、道路整備についてお伺いをいたします。
 近年、国際的競争力の低下や都市としての魅力の喪失など、東京は、国際的に見ても地盤沈下が進んでおります。
 特に、慢性的な交通渋滞は、大きな経済的損失をもたらすだけでなく、自動車排出ガスによる大気汚染が都民の健康をも損ねており、都民の安全が脅かされています。そのため、喫緊の重要課題として、渋滞対策に取り組んでいく必要があると考えています。
 渋滞は、東京圏の高コスト構造にも起因しており、その対策は、東京圏の都市構造の問題として取り組む必要があります。
 特に、首都圏三環状道路については、その整備が完了した段階では、圏央道内側の主要渋滞ポイントはおおむね解消し、一年に約四兆円の経済的効果があるといわれております。そこで、首都圏三環状道路の整備について伺います。
 初めに外環について、先月十六日には、知事のご努力により扇国土交通大臣の現地視察が実現し、石原知事とともに三鷹市や武蔵野市の外環予定地を視察されました。
 この視察は、今後の外環の整備へ向け、大きな転換となると考えますが、都の今後の取り組みについてお伺いをいたします。
 次に、首都高速中央環状線について、現在、東側が供用されており、北側と西側の路線である王子線及び新宿線は事業中であります。しかし、唯一、南側の路線である品川線については、全く整備のめどが立っていない状況にあります。
 そこで、品川線の整備について、都の積極的な取り組みが必要であると考えていますが、ご所見をお伺いいたします。
 また、首都圏中央連絡道路は、多摩地域における周辺道路の渋滞緩和、人々の行動範囲の拡大やまちづくりにも貢献することが期待される道路であり、早期の整備が望まれるところであります。
 そこで、圏央道の都内区間の供用予定についてお伺いをいたします。
 また、東京湾岸道路や第二東京湾岸道路等、東京臨海地域の広域幹線道路の整備は、この地域が広域交通のかなめに位置していることから、東京圏の渋滞解消に資するとともに、東京臨海地域の再編を支える路線でもあります。特に、東京湾岸道路である国道三五七号線については、東京港トンネルの整備がいまだ進んでおりません。
 この区間の整備は、渋滞対策だけでなく、臨海地域の連携強化や羽田空港へのアクセスの改善のためにも早期整備が不可欠と考えますが、今後の都の取り組みについてお伺いをいたします。
 次に、首都圏三環状道路とあわせて、東京の骨格を形成し、健全な都市の発展と都民生活を支える道路の整備について、何点かお伺いをいたします。
 昨年十一月に、OECDは、日本における都市政策審査を行い、日本のさまざまな都市問題には、投資効果の観点から、都市への投資拡大によって取り組むべきであるなどの勧告を行いました。東京での道路整備の投資効果は、年間約二百億円の経済効果がある環状八号線井荻トンネルを例にとるまでもなく、地方都市に比べ、非常に高いことが実証されています。
 と同時に、都政の重要課題の一つである慢性的な交通渋滞を解消し環境改善を図り、都民生活を守っていくためには、道路整備をスピーディーに進めることが不可欠であります。例えば、国の高速道路網は、今世紀初頭には完成すると聞いておりますが、そのとき、都の骨格幹線道路の整備は、現在の進捗状況のままとすると、七割程度が限界と予想されております。
 特に、幹線道路のネットワーク網の早期完成を図るため、都民の理解と協力に加え、思い切った多額の資金の投入が必要であると考えますが、ご見解をお伺いいたします。
 さらに、本格的な少子高齢化の到来が叫ばれている中、幹線道路の重点整備とあわせ、子どもから高齢者までだれもが使いやすく、また環境に配慮した質の高い道路が求められております。
 そこで、二十一世紀には、道路の整備に際し、具体的にどのような質の向上を図っていくのか、お伺いをします。
 また、都内には、数多くのあかずの踏切、いわゆるボトルネック踏切が存在し、交通渋滞の大きな原因となっており、幹線道路のネットワーク網の早期整備とともに、都の重要課題であります。
 国土交通省は、全国に約千カ所あるあかずの踏切の解消を目指し、踏切道改良促進法の改正を検討中であり、東京、大阪、名古屋の三大都市圏にその九割が集中している、あかずの踏切の約半分を、今後十年間で改良させる計画と聞いております。
 都内には、緊急的に対処すべきボトルネック踏切はどのくらいあり、また、都が重点的に解消すべきものは幾つあるのかをお伺いします。
 都では、従来より、まちづくりに大変大きな効果を発揮する連続立体交差事業を進めてきております。
 その中で、小田急線の梅ヶ丘から喜多見間の連続立体交差事業が順調に進められ、目に見えて事業効果が発揮されているにもかかわらず、下北沢駅付近についてはいまだ放置されたままになっております。
 この下北沢駅付近の連続立体交差事業を早期に進めるべきと考えますが、事業化及び関連するまちづくり計画の具体化を図る上で前提となる構造形式の選定など、現在の取り組み状況についてお伺いをいたします。
 先日、石原知事は、森総理大臣とともに、京浜急行蒲田駅付近の環状八号線に残された最後の踏切を視察されました。慢性的な交通渋滞の状況を踏まえ、踏切を解消するため、知事が早期の連続立体交差事業の実現を働きかけ、総理からも、この事業を前倒ししましょうとの発言があったと聞いておりますが、今後の取り組みについてお伺いをいたします。
 従来の連続立体交差事業に加え、来年度は、新規事業として、事業の進め方の工夫等により、短期間に踏切解消を図る踏切すいすい事業を国に先駆けて創設したことは、時を得た石原知事のクリーンヒットであり、敬意を表するものであります。
 そこで、この踏切すいすい事業の内容と今後の進め方についてお伺いをいたします。
 次に、航空政策についてお伺いをいたします。
 昨年発表された航空政策基本方針の中で、米軍の管理する横田空域が首都圏の空域の大きな部分を占めていることが示されました。しかし、どのくらいの人がこの空域の存在をわかっていたでありましょうか。大部分の人が何も意識をせず、旅行していたのではないでしょうか。
 横田空域が都心から新潟県、伊豆半島まで及び、首都圏の空域の効率的な利用の妨げになっている以上、積極的に返還を働きかけることは、石原知事だけでなく、都議会にとっても重要な課題であり、自由民主党としても協力を惜しむものではありません。
 そこで伺いますが、横田空域の存在は、我が国にどのような影響を与えているのでありましょうか。
 また、知事は、横田空域について積極的に発言をされております。今後、その返還に向けてどのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。
 次に、羽田空港の再拡張については、昨年十月、都案が発表され、さらに十二月の航空政策基本方針の中でもその詳細が出されたことから、多くの関係者からさまざまな意見が出されております。しかし、これら意見の多くは、これまで行われてきたことを前提に、みずからの立場を頑固に守ろうとするものではないでしょうか。二十一世紀の日本を考えたとき、新しい発想で物を進めるという柔軟さが求められております。
 そこで、再度確認をいたしますが、今回、都の提案した再拡張案は、基本的にどのような点に着目して検討されたものでありましょうか。
 また、国の首都圏第三空港調査検討会では、国土交通省案とも呼ばれる、B滑走路と平行な滑走路を建設する案も出されましたが、この案に対してどのような見解をお持ちなのか、お伺いをいたします。
 羽田空港を有効活用するという点から、今後ともさまざまな再拡張案が出されることも考えられます。都としては、都民にとって望ましい形で羽田空港の有効活用がなされるよう検討を行うべきと考えますが、知事のお考えをお伺いいたします。
 次に、防災対策についてお伺いをいたします。
 まず、三宅島復旧対策について伺います。
 三宅島雄山の火山活動に伴い、村民の全島避難は六カ月を迎えようとしております。二月五日の火山噴火予知連絡会では、多量の火山ガスを放出するなど、活動は今後も続くと考えられるとの統一見解が発表されたところであります。
 全島避難からはや半年、村民の皆様におかれましては、今後の先行きが一層見えなくなっており、さぞや不安な日々をお過ごしのことと拝察いたします。心よりお見舞いを再度申し上げる次第であります。
 そこで、三宅島の復旧に向けた今後の取り組みについてどのようなお考えか、お伺いをいたします。
 また、避難が長期化し、多くの避難者が今なお就業から取り残されている現状においては、都が発注する公共事業も活用するなど、都として、さらにもう一段のきめ細かい就業対策を講じる必要があると考えます。
 そこで、今後都は、就業対策としてどのような具体策を行うのか、お伺いをいたします。
 先月、エルサルバドル、さらにはインド西部で相次いで大きな地震が発生し、被災した諸都市では甚大な被害が発生いたしました。被災者の方々が一刻も早く立ち直られることを心から祈るとともに、これらの地震によって破壊された被災地の状況を見るにつけ、改めて地震の恐ろしさを痛感いたしました。
 我が東京においても、大地震に備え、平時から防災都市づくりを進めることの重要性や復興に対する備えをあらかじめ用意しておくことの大切さについて強く再認識したところであります。
 さて、東京都は、現在の厳しい財政下においても、都市防災不燃化促進事業や木造住宅密集地域整備促進事業など各種防災都市づくり事業に懸命に取り組んでおりますが、今般、防災都市づくり推進計画の見直しに着手し、さらに施策が推進されることに大きな期待を寄せております。
 私は、延焼の危険性の極めて高い木造住宅密集地域の抜本的解消を図り、震災に強い都市づくりを早急に進めるべきと考えますが、今回の防災都市づくり推進計画の見直しの基本的な考え方は何か、今後、具体的にどう取り組むのかの二点についてお伺いをいたします。
 また、震災後の都市復興像を描いた震災復興グランドデザインの策定を進めているところですが、このグランドデザインの実現手段として、私権制限を含めた法的課題の検討を行っていると聞いております。大きな被災を受けた後の復興には、抜本的な都市改造が不可欠であり、そのためには、私権の制限は避けて通れない課題であると認識しております。
 そこで、現在までの検討状況とその具体的な内容、さらに、今後どのようにして都民の理解を得ていくのかをお伺いいたします。
 次に、多摩地域の振興についてお伺いをいたします。
 首都東京の再生に向けて、今、その一翼を担う多摩地域の役割はますます重要となってきています。
 現在、多摩地域は、三百九十万の人口を擁し、公共交通や市街地の整備が進む中で住民生活の利便性が向上し、あるいはIT関連を初めとした産業の成長など、大きく発展する時期を迎えております。また、地方分権の時代の中で、各市町村が自主性、独立性を向上させながら、地域の個性や独自性を生かした意欲的なまちづくりへの取り組みが始まっております。
 このような状況の中で、都は、先月十八日に、「多摩の将来像」、仮称でありますけれども、素案を発表いたしました。
 多摩地域の現状を踏まえ、今後どのように多摩地域の振興を図っていくのか、知事のご所見をお伺いいたします。
 一方、これまで都は、多摩振興のために、さまざまな施策や財政支援を行ってきました。
 その中でも、市町村振興交付金、調整交付金は、市町村の行政格差の解消などのための財政補完制度として大きな役割を果たしてきております。そのため、我が党は、平成十三年度予算において両交付金の増額を強く復活要望し、その結果、それぞれ百億円、百四十億円となり、前年度予算を十億円以上上回る予算額となったところであります。
 現在の厳しい都財政のもとにおいて、知事が多摩振興の重要性を深く認識されたことに、我が党は高く評価するところであります。
 活力と魅力にあふれた多摩地域を創造していくために、今後の両交付金の果たす役割についてご所見を伺います。
 現在、政府においては、市町村合併により現在の自治体数約三千二百を千にするという目標を、昨年十二月の行政改革大綱に盛り込むなど、市町村合併を積極的に進めているところであります。
 こうした状況の中で、東京都は、本年一月に、市町村合併に関する検討指針を策定し、公表しましたが、この検討指針の策定の趣旨について、改めてお伺いをいたします。
 また、広域的団体として、都は、市町村合併に今後どのように取り組んでいくのか、あわせて見解を伺います。
 次に、多摩地域の核都市の育成整備について伺います。
 平成十一年の第五次首都圏基本計画では、これまでの八王子市、立川市、青梅市に加え、新たに多摩市と町田市が業務核都市に位置づけられました。
 一方、これまで多摩地域の拠点として育成整備を図ってきた「多摩の心(しん)」の名称が「核都市」に変更されました。
 これらの核都市は、近県の都市とともに核都市連携都市軸を形成し、東京圏メガロポリス構造の重要な要素となるとされています。
 都は、今回の核都市へ名称変更したことを契機に、今後、核都市における都市づくりを具体的にどのように展開されるのかをお伺いいたします。
 一方、東京の人口は、少子化が進み、二〇一〇年をピークに減少が見込まれております。今後は、原則として市街地の拡大を抑制しながら、多摩地域においては、核都市を中心とする職住バランスのとれた機能集約型の独自性ある地域づくりを進めていくことが強く求められます。
 とりわけ、核都市の一つである多摩ニュータウンは、公園面積は区部の二倍以上であり、一人当たり約十一平方メートルにもなっております。このような都心では考えられない緑豊かな環境を生かし、あわせてにぎわいのある良好なまちへ誘導していくことこそ、核都市の育成に不可欠であります。都としても、核都市育成の観点から、潜在的ストックを抱えた広域連携拠点の整備に、積極的にかかわっていくべきであります。
 今後、都は多摩ニュータウンのまちづくりをどのように進めていくのか、お伺いをいたします。
 次に、国民体育大会について伺います。
 今般、東京都体育協会から、平成二十五年国体の東京都開催について、都議会招致決議の要請がありました。
 国民体育大会は、スポーツの普及やスポーツ精神の高揚を通じて、青少年に対して大きな教育的効果を及ぼすだけでなく、健康の増進、さらには地域文化の発展にも寄与し、地域コミュニティの醸成と地域の活性化に多大な効果をもたらすものであります。
 多摩地域発展のため、多摩において国体を開催することは住民の長年の念願であり、我が党はこれまで、幾度となく多摩国体の開催を求めてきたところであります。
 そこでまず、国体の多摩開催について、知事の基本的認識をお伺いいたします。
 国体は、戦後のスポーツの振興と国民の健康の向上に大きな役割を果たしてきましたが、他方では、大会運営に当たり、経費の増大など幾つかの問題も指摘されております。国体開催に当たり、どのような大会運営を目指していくのかをお伺いいたします。
 次に、住宅問題についてお伺いをいたします。
 今、都政のさまざまな局面で民活の導入が進められており、これまで、公営住宅が地方自治体により供給されてきましたが、今後は民間による供給も必要ではないかと思います。都民住宅や高齢者向け優良賃貸住宅においては、既に、民間による建設、管理の供給方式が定着をしておりますが、公営住宅においても、この民設民営方式を導入するべきと考えますが、ご所見をお伺いをいたします。
 次に、さきの第四回定例会で、我が党は、特に都心地域での都営住宅の建てかえに当たっては民間活力の活用が重要であると主張し、都営南青山一丁目団地の建てかえでは、民間の知恵と工夫を活用しながら、新しい手法により、国際都市東京にふさわしい都市コンプレックスの形成を図るという答弁を得たところであります。
 そこで伺います。このプロジェクトにおいて、民間活力は具体的にどのように生かされるのか、お示しをいただきたいと思います。
 次に、福祉改革についてお伺いをいたします。
 これまでの行政を中心としたシステムを改め、新しい風を吹き込み、新世紀にふさわしい開かれた福祉を築いていくため、都は、福祉改革推進プランを策定、発表いたしました。
 このプランは、我が党がこれまで主張してきたとおり、都が目指す新しい福祉の理念と展望をわかりやすく示すとともに、福祉改革の実現に向けた具体的施策展開を明らかにするなど、その充実した内容とともに大きく評価できるものであります。
 戦後五十余年もの間、根本的な見直しが行われず拡充されてきた福祉システムを、その根本から改めようとする福祉改革という取り組みは、都政にとってまさに大事業であります。
 そこで、このプランが示す福祉改革の意義と今後の進め方について、この基本的な考え方をまずお伺いをいたします。
 福祉改革を進める上で一つの大きなテーマは、多様なサービス供給主体の福祉事業への参入促進であります。
 これまで、福祉サービスの供給は、行政と社会福祉法人がその中心を占め、運営が硬直的、非効率的であるばかりでなく、事業者間のサービス競争がほとんど行われない状況にありました。しかし、ニーズが多様化、高度化した現在、事業者が互いに切磋琢磨し、創意工夫によりみずからのサービスを向上させ、効率的に質の高いサービスを提供していくことは、新しい福祉を築いていくためにも不可欠な条件であります。
 このため、規制緩和や参入支援方策を講じることなどにより、株式会社やNPOを初め多様な事業者を福祉分野に参入させることが、福祉改革を推進する上での行政の重要な課題の一つとなります。
 現在、保育事業への株式会社の参入や、グループホーム事業へのNPOの参入などが少しずつ進められていますが、今後、さらに、施設運営などにも多様な供給主体の参入を図っていくべきと考えます。都として、その課題に対して具体的にはどのように臨んでいかれようとしているのか、ご所見をお伺いをいたします。
 今後、福祉改革実現のためのさまざまな取り組みを推進していく上で重要な視点の一つとなることは、地域の特色と独自の発想を生かすということであります。社会が成熟化し、福祉ニーズも多様化、高度化するということは、すなわち、これまでのような紋切り型で一律の対応では、都民ニーズに十分にこたえることができなくなるからであります。地域の特性に十分配慮し、そこに根差した力を生かすことによって、きめ細かなサービス提供を行っていかなくてはなりません。
 このような地域の特色を生かしたきめ細かな取り組みを支援するため、我が党が提唱した包括補助「がんばろう!東京福祉」が本年度に新たに創設され、既に各区市町村で、独自性あるさまざまな取り組みが始まっているところであります。
 この制度については、我が党の主張にこたえる形で、十三年度から総額七十五億円に予算が拡充される方針となりました。しかし、この「がんばろう!東京福祉」が福祉改革のための大きな原動力となるためには、その予算額だけでなく、内容の充実を図ることも忘れてはなりません。
 現在の制度でもさまざまな工夫が施されているようでありますが、より区市町村の自発的な取り組みを評価し、積極的に支援をする仕組みとすることが重要と考えます。福祉改革を先導する他の施策とも有機的な連携を図り、特色ある取り組みを、この「がんばろう!東京福祉」を活用することにより、都として積極的に支援していくべきと考えますが、ご所見をお伺いをいたします。
 次に、介護保険についてお伺いをいたします。
 介護保険法が昨年の四月に施行されてから、早いもので間もなく一年が経過しますが、都内においても、約二十万人の高齢者の方が要介護認定を受け、新たに参入した営利法人を含む多様な事業者による介護サービスを受けながら、自立に向けて懸命に生活をされておられます。
 私が行った、昨年の第三回定例会での、五年後の制度見直しを待たず、全国自治体の先頭を切って、国に対して具体的な改善を提案すべきとの代表質問に対する答弁にあった取り組みが、十三年度予算案の中に盛り込まれており、その成果に大いに期待するものであります。
 そこで、改めて、制度がスタートして一年が経過しようとする今、介護保険事業の現状と課題について、都としてどのように認識されているのかを伺います。
 将来に向けた改善のための取り組みとともに、介護基盤の整備も極めて重要であります。ホームヘルプサービスのように計画達成状況が全国一というものもあれば、残念ながら、介護療養型医療施設整備では大幅におくれており、東京都介護保険事業支援計画にある整備計画数の約三八%にとどまっていると聞いております。
 私がある病院の先生から伺った話では、一般の病院が介護療養型医療施設となるためには、患者一人当たりの病室面積をふやしたり、機能訓練室や食堂などの施設を整備しなければならず、特に、特別区内の病院では、増築せずに転換しようとすると、ベット数を大幅に減らさざるを得ないとのことでありました。
 このことは、病院経営にも影響を及ぼし、また、ただでさえ足りないといわれている、高齢者が療養するためのベット数が減少するという問題が生じます。
 また、既設の特別養護老人ホームにおいても同じような問題があると聞いております。
 そこで、介護療養型医療施設などにおいて、高齢者が安心して療養できるベット数を確保するために、容積率などの建築規制の緩和ができないものか、ご所見をお伺いをいたします。
 あわせて、農地を活用して、特別養護老人ホーム等介護保険施設を整備する場合には、農地転用の許可手続が必要とされておりますが、農用地区域内農地や第一種農地及び市街化調整区域内の甲種農地については厳しい規制がかけられています。このような農地転用にかかわる許可基準の緩和についても、国に働きかけるよう要望をいたします。
 また、施設整備を計画的に進めていくためには、介護療養型医療施設に転換しようとしている病院に対しても、施設整備の補助をさらに充実すべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 ところで、都内の区市町村の中には、介護保険料、利用料について、独自に減免策を実施したところもあると聞いております。本当に必要な低所得者対策は講じるべきでありますものの、安易な軽減策は実施すべきじゃないと考えますが、都としての低所得者対策についての見解を伺います。
 次に、路上生活者、いわゆるホームレス問題について伺います。
 長引く景気低迷の中、ホームレスは一向に減る傾向にありません。公園にブルーのテントがふえ、子どもを安心して遊ばせることができない、こんな苦情もたびたび聞くようになっております。
 こうしたホームレス問題を考える際には、基本は本人の自立の覚悟と努力であるということをきちんと押さえなければなりません。その上で、本人だけでは解決し得ない課題について、行政の支援を検討することが重要と考えます。
 また同時に、ホームレスといっても、その苦境に至った事由も、本人の意識もさまざまであるということも十分に踏まえることが大切であります。こうした実態を十分に踏まえず、イメージや感情だけで対応を考えては、あるべき基本的方向を見失いかねません。まず何よりも実態を十分に把握し、地に足のついた議論を行って、ホームレス対策を考えていくべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 次に、硫黄島における戦没者の遺骨収集について伺います。
 硫黄島は、大東亞戦争における日米の一大激戦地であり、陸軍、海軍、軍属などの日本人戦没者は二万人以上になります。戦後、硫黄島の戦没者の遺骨収集が始まりましたが、今日に至るまで、八千柱強の遺骨しか収集できておりません。同じく国内の激戦地である沖縄では、既にほとんどの、九九%以上の遺骨が収集されているのに比べて、硫黄島はいまだ戦没者の四割と、大きく立ちおくれており、祖国の発展と民族の隆昌を願いつつ、とうとい犠牲となられた英霊に対し、余りにも遺憾きわまるものがあります。
 戦闘停止から五十六年が経過し、戦没者の遺族も、高齢化は年々その極へと進んでおります。遺族の皆さんにとっては、遺骨が収集されないと、みずからの戦後も終わらないという思いであり、一日も早くすべての遺骨が収集されることを強く望んでおられます。
 国は、平成十一年度から三年間の間に、集中的に硫黄島の遺骨収集を進めることにしており、十二年度も、二次にわたり硫黄島に遺骨収集団を派遣しているところであります。しかし、関係者の努力によって、二次で延べ六十日以上の作業を行っても、百六十柱強の遺骨しか収集できておりません。
 遺骨収集は遅々として進まない状況でありますが、一方で、高齢化著しい遺族の切なる願いを考えますと、硫黄島にまだなお眠る戦没者の遺骨を、何としてでも可能な限り早期に収集する必要があります。
 また、硫黄島の遺骨収集がなかなか進まない原因の一つとして、大東亞戦争当時の不発弾が島内の至るところにあり、その処理が進まないために、遺骨収集のための掘削ができないと聞いております。都内の島の一つである硫黄島に今なお不発弾が多く存在することは、東京都としても重大な問題であります。
 そこで、今後、国の責任で、より強化した体制をとり、ぜひとも早急に硫黄島の遺骨収集を行っていくとともに、不発弾処理を促進するよう強く国に働きかけを行っていくべきと考えますが、知事のご見解をお伺いをいたします。
 次に、都立病院改革についてお伺いをいたします。
 知事は、昨年六月の記者会見において、東京発の医療改革を発表し、その核として、都立病院改革を挙げています。九月には、医療関係者、学識経験者及び都民代表などで構成される都立病院改革会議を立ち上げ、本年夏の報告に向けて精力的に検討されていると聞いています。
 そこで、何点かお伺いをいたします。
 都立病院改革会議においては、都立病院の担うべき役割や医療機能の見直しと、都立病院全体の再編整備を主なテーマとして検討がなされていると認識しています。
 去る二月二十二日には、検討経過として一定の考え方が示されました。その内容を見ますと、まず都立病院の役割については、現在は、一般医療機関では取り組みにくい高度医療、専門医療、行政対応が必要な医療を、都の全域を対象として都民に適正に提供することを役割としていますが、今後は、行政的医療を主体に医療サービスを提供していくとされております。この新たな行政的医療と、従来の高度医療、専門医療、行政対応が必要な医療とはどのような違いがあるのかをお伺いをいたします。
 次に、効率的な医療提供体制の確立については、各都立病院で重複している医療機能を集約し、整理統合していくべきとの方向性が示されていますが、医療機能の集約化によって、各都立病院が特定の医療分野に特化され、地域の住民や医療機関から遠い存在になってしまうのではないかと危惧されます。集約化によってどのような効果が期待されるのか、また、都民サービスの低下につながることはないのか、お伺いをいたします。
 都立病院改革は、結果として都民サービスの向上につながるものでなければならないと考えています。昨年十二月に公表された都政モニターアンケート結果にもあるとおり、都民の都立病院に対する信頼と期待の大きさには揺るぎないものがあります。この結果に慢心することなく、効率的な経営への努力や、医療サービスの向上に向けて不断に取り組み、都民の信頼と期待にこたえていかなければなりません。都立病院改革に向けての基本的考え方について最後にお伺いして、この件については質問を終わります。
 次に、IT化への取り組みについてお伺いをいたします。
 中小企業者や働く人々にとって、今や、情報技術を駆使していくことは必要不可欠となっています。こうしたITへの取り組みに、都として積極的な支援を行っていくことが、東京の産業の再生を図るために大変重要であると考えます。
 近年の情報通信技術の著しい発展は、個人やビジネスにおける利便性を向上させているばかりでなく、電子商取引が活発化していくなど、経済社会システムを大きく変革させ始めています。
 今日、あらゆる産業分野において世界規模の競争が激化しており、個々の企業にとっては、ITによる企業活動の強化が、国際競争力のみならず、日常の取引を高める上で必要不可欠のものであります。しかし、中小零細な企業の中には、急速なITの進展に対応することが困難で、デジタルデバイドと呼ばれる情報格差によって、一層困難な状況に追い込まれるところが出てくる可能性も懸念をされているところであります。
 東京の産業の活性化には、まず第一に、こうしたデジタルデバイドを未然に防止し、都内の中小企業が急激なIT化の波に対応していくための支援策を講じる必要があります。
 そして第二に、IT化を武器に、中小企業が新たな経営戦略や事業展開を進め、高度な競争力を身につけ、発展していく道筋を示していかねばならないと考えます。
 都は、こうした分野での中小企業に対する効果的な支援策を早急に実施すべきであります。
 また、急速なIT化の進展は、働く人々にとっても、パソコン操作等にかかわる実践的な職業能力が求められております。そこで、今後、中小企業に対するIT化対応の支援や、働く人々のIT職業能力の習得機会を拡大する必要があると考えますが、ご所見をお伺いをいたします。
 次に、観光産業の振興についてお伺いをいたします。
 二十一世紀は観光の時代といわれております。国際化の急速な進展とともに、世界各国の人々の交流し合う時代の到来であります。特に、経済成長が著しいアジア地域の人々の観光やビジネスなどの移動がさらに活発化されることが予測されています。
 世界の観光先進国では、人々の交流を活発化させ、都市の活力を発展させる原動力となる観光の振興に力を入れております。観光は、関連する産業のすそ野が広く、東京の活性化のために、観光産業の振興を図ることは重要なことであります。
 このたび、東京都が観光を産業の視点から見直し、産業を所管する局に移すこととしたことは、非常に意義のあることであります。十三年度以降、東京の活性化という視点から、観光産業の振興にどのように取り組んでいくのか、ご所見を伺います。
 次に、築地市場の豊洲移転についてお伺いをいたします。
 平成十二年第四回定例会において、我が党が、二十一世紀にふさわしい市場とするためには移転して整備をするべきだと、こうお伺いしたのに対し、知事は、築地市場の現況を考えると、現在地での再整備はとても困難であり、現在、卸売市場審議会において、築地市場のあり方について検討していただいているが、早急にこれに対応していきたいとのご答弁をされました。
 その後、十二月末には、東京都卸売市場審議会では、現在地では、物流効率化や、衛生、環境対策の強化を実現し、将来の流通構造の変化にも対応していくことは困難であり、早急に移転整備について検討する必要があるとの中間報告を発表しております。
 今回の知事の施政方針においては、二十一世紀の中核を担う市場への再生を目指した場合、移転による抜本的な整備が必要であり、このため、豊洲地区を新しい市場の候補地とし、今後関係者と本格的な協議を進めていくと述べられております。
 そこでお伺いいたしますが、今回の施政方針に述べられていることは、豊洲への移転に取り組む決意と受けとめてよいか、知事のご所見をお伺いをいたします。
 さて、これまでも知事は、環状二号線と晴海通りの早期整備について、さまざまなご努力をされているところであります。このことは、築地市場の移転整備にとって重要であるだけでなく、ベイエリア全体の発展、ひいては東京再生の足がかりにもなると考えています。ついては、環状二号線と晴海通りの早期整備に一層積極的に取り組まれるよう期待しておりますが、ご所見をお伺いをいたします。
 現在の築地市場は、開設以来六十五年の長い歴史を持ち、築地ブランドで全国に通用する大きな力を持っております。これも、築地市場に関連するさまざまな人々の尽力のたまものであり、築地市場の移転に当たっては、豊洲地区の地権者はいうに及ばす、地元区である中央区、移転先である江東区、さらにはまた、場外市場を含めた関係者にも十分に十分に配慮した上、積極的に豊洲への移転を進める必要があると思いますが、ご所見をお伺いをいたします。
 次に、青少年の健全育成について伺います。
 二十一世紀がスタートしました。この新しい世紀が、希望に満ちた、人々に夢を与える時代であってほしいと心から願うものであります。そして、この時代をつくり、支え、担っていくのは、今の青少年であります。
 しかし、青少年をめぐる問題はますます深刻化しております。新世紀の幕あけを飾る記念すべき成人式が、心ない一部の若者の行動により、混乱の中で式典が進められたと大きく報道されました。また、相変わらず青少年による凶悪な事件の報道も後を絶ちません。
 こうした問題の根底には、家庭での親と子のきずなの喪失、学校生活や友達関係の悩みごとなど、さまざまな要因が複雑に絡まり合っていると思われますが、昨今の青少年を取り巻く社会環境、中でも、一部商業主義に走るメディアによる有害情報のはんらんに起因している面も大きいといわざるを得ません。
 今期の青少年問題協議会には、こうした我が党の主張を踏まえ、メディアを中心とした社会環境の変化と青少年の健全育成について諮問し、昨年十二月には、成人向け雑誌等の効果的な規制のあり方などを内容とする中間答申が知事に提出されております。本第一回定例会に、この答申に基づき、青少年健全育成条例の一部改正が提案されておりますが、まず、今回の条例改正の趣旨についてお伺いをいたします。
 次に、これまでの性と残虐性に加え、今回、著しく自殺もしくは犯罪を誘発し、青少年の健全な成長を阻害するおそれのあると認められるものを不健全図書に指定できるとの改正を行うとのことですが、その理由についてお伺いをいたします。
 また、最近では、私たちにとって最も身近な小売店として定着したコンビニエンスストアでの、有害な雑誌、漫画等のはんらんも目に余るものがあります。コンビニは、青少年にとっても、毎日、学校や塾帰りに友達と立ち寄る、たまり場のような役割を果たしており、その数も、都内だけでも約五千を超えております。それだけに、今回の改正で導入を予定している、コンビニなどでの成人向け雑誌の区分陳列は、判断力の未成熟な青少年に対し、性の商品化による悪影響を及ぼすことを防ぐ意味で極めて大切なルールだと考えます。適切な区分陳列の実施が求められますが、その方策についてお伺いをいたします。
 もとより、青少年を有害な情報から守る取り組みは、こうした条例による規制だけでは限界があり、都民の協力、関係業界の自主規制とが相互に連携を持ちつつ展開されて初めて、効果的な推進が期待できるものと考えます。青少年の健全育成に有害な情報について、知事の基本的なお考えをお伺いをいたします。
 次に、男女平等施策について伺います。
 都は、昨年、全国に先駆け男女平等参画基本条例を制定し、政府も昨年十二月、男女共同参画基本計画を策定し、男女共同参画社会の実現に向け大きく踏み出しました。男女平等参画をめぐる社会状況が新たな段階を迎え、都は、十三年四月から女性財団事業を直営化することといたしました。しかし、残念ながら、直営化後の施策展開がいまだはっきりと見えてきません。
 こうしたことから、都の男女平等施策が大きく後退するのではないかと心配する声さえ出ております。このような誤解を解くためにも、男女平等参画のための行動計画を早急に策定し、積極的な施策展開を図るべきと考えますが、計画策定についての基本的なお考えをお伺いいたします。
 働く場や生活の場において男女平等施策を推進していくためには、行政がしっかりと責任を持つ分野と、企業やNPOなど民間の自主的な活動にゆだねる分野を明確に分け、行政と民間がそれぞれ連携をしていくことがますます重要になると考えます。もし仮に財団事業を直営化するとしたら、新たな民間との連携方策についてどのように取り組んでいくのか、ご所見をお伺いします。
 このような新しいステージに立って男女平等施策の充実を図ろうとしている中で、女性財団の廃止をめぐって、都側と財団の意見が対立した状況が続いています。我が党は、男女平等施策についての新たな展開が見えない中で、このまま財団廃止を強行すれば、全国をリードしてきた東京の男女平等施策の推進にも大きなマイナスを招きかねないと危惧をいたしております。監理団体総点検は評価するものですが、女性財団のあり方については、早急に結論を出すのでなく、関係者間でしっかりと議論を行った上で、その存廃を含め、改めて根本から見直すべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 次に、文化振興について伺います。
 都は、国内外の人を引きつける千客万来の世界都市を目指すとしています。これを実現するためには、東京が十分な魅力を備え、また、訪れるたびに魅力を増していることが重要であります。
 都市が魅力を高めていくには、交通の利便性を高めたり、緑をふやしていく取り組みもさることながら、それ以上に重要なこととして、その都市ならではの文化が魅力的であることが大切であります。パリやローマは、世界に通用する文化を持っています。世界に通用するという点で、東京の文化の現状と今後のあり方についてご所見を伺います。
 申し上げるまでもなく、パリやローマは、長い歴史を背景とした文化を誇っていますが、それだけではなく、パリなどは、近現代のヨーロッパ絵画芸術が花咲いた都市でもあります。東京においても、個性的で魅力ある文化が発展するためには、古きをたずね、新しきを知ることも必要ではないでしょうか。文化の担い手は、もとより、都内で活躍する芸術家、団体を初めとする都民の方々であり、行政は、こうした人々をさまざまな形で支援していく立場にあるのはいうまでもありません。
 都は、昨年十二月に文化施策の新しい考え方を発表しましたが、今後、特にどこに重点を置いて施策を進めていくのか、お伺いをいたします。
 次に、去る二月九日に、都は、東京都大学改革基本方針を公表しました。この基本方針に基づく都立の大学改革についてお伺いをいたします。
 東京には、国立、私立合わせて二百近い大学、短大があり、十八歳人口の減少が進み、需要を供給が上回るような状況の中で、都立の大学は、世界を代表する大都市であり、日本の首都である東京都が設置するにふさわしい大学として、その存在意義を内外に示す必要があると考えます。
 そのためには、大学として教育や研究の質を高めていくことはもちろん重要でありますが、東京都が設置する大学としては、東京を中心として世界で広く活躍できる人材の育成や、世界の大都市が抱える問題に対して、東京からその解決策を発信していくことで存在感を示すことこそが必要と考えます。そのことを通じて都民や都内の産業界などに貢献し、信頼される大学とならねばなりません。
 今必要なことは、ここまでの間、都立としての存在価値を都民に十分に示すことができなかった反省に立ち、その本来の使命に立ち返る必要があります。そのため、都立の高等教育を東京の都市政策の中で明確に位置づけ、都立の大学として真に必要な分野に教育や研究を特化し、大学の運営全般にわたる改革を戦略的かつ大胆に進めるべきと考えますが、これについての知事のご所見をお伺いいたします。
 今後、大学を改革することで教育全体のあり方を変えるには、やはり大学が、そもそも教育機関であることをきちんと再認識をして、学生の教育に責任を持って当たっていくことが必要です。そのためには、一人一人の教員が教育の重要性を認識し、将来の東京、日本のリーダーを自分たちが養成していくという気概を持って、これに真摯に取り組まねばなりません。
 一方で、現状では、研究についても、自分の専門分野に閉じこもって、社会との関係を認識していない者も多いと聞いております。東京都として、大学改革を進める中で、教育や研究の質をどのようにして高め、また、そのために教員の意識をどのように改革していくつもりなのか、その仕組みづくりについてお伺いをいたします。
 また、今回の方針は、大学に関するさまざまな事項を網羅している一方で、その具体策の大部分は夏の大綱に先送りされるなど、現状では、実施の担保は必ずしも明確ではありません。既に多くの私立大学や国立大学では具体的な改革が進められており、都立の大学の改革は大きなおくれをとっている状況にあります。大学が、教授会を中心とした自治という殻の中に身を置いて自己改革を怠ってきたともいえ、この反省の上で改革が行われなければなりません。
 改革を進めるためには、行政だけではなく、大学が危機感を持ってこれに取り組むことこそが必要であります。今後、改革の具体策をどのようにつくり、実のある成果を実現していくのか、進め方についてお伺いをいたします。
 最後に、都立大学は、五十年を超える歴史があり、都立で唯一の総合大学として、今回の大学改革の中心的立場に立つことになると考えます。都立大学が変われば、他の大学の改革にも大きく影響していくものと思います。こうした観点からも、都立大学が大学改革をリードしていくべきと考えます。
 基本方針を受けて、現場の大学を預かる立場からどのように改革を進めていくのか、決意のほどをお伺いいたします。
 以上、二十一世紀の東京を再生させるべく、都政の基本的方針と各分野における事業展開の主要なものについて質問をしてまいりました。
 知事は、施政方針表明の中で、東京や我が国が直面する危機的状況を繰り返し訴え、打開の方策として、価値観の転換の必要性を強調されております。そして、東京こそ、その持てる力を十分に発揮し、努力を傾けることが、国家や世界に貢献をするといわれました。その意気込みは、新しいフォーマットの造形、行政体制の改新など、言葉の端々にほとばしっております。
 我が党は、この施政方針表明を知事の政治宣言と受けとめ、東京再生、日本再生に向け、石原知事に全面的に協力をし、知事とともに身を挺して歩んでまいる所存であります。
 社会経済状況が激しく変化する今日、国政と同様、都政においても、政治の果たす役割はますます重要になってきております。その中で、ことし六月には都議会議員選挙が行われます。我が党にとっては、大寒波の中での改選であることは十二分に承知いたしております。自由民主党の一員として、国政の混乱を早期に解決し、国民の負託にこたえる政治を行っていく決意を、改めて都民の皆様に表明するものであります。
 そして、東京都議会自由民主党は、都民に信頼される都政のために、誠心誠意努力してまいりますことをお誓い申し上げ、私の代表質問を終わります。長時間どうもありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 佐藤裕彦議員の代表質問にお答えいたします。
 最初に、明治維新にも匹敵する行動をこの東京でどう起こしていくかというご質問でありますけれども、私自身としても、自分が預かることになった東京を変えることで日本を変えたいと決意をして、行動も開始いたしました。どうも国に、非常に他国に類のない力を持ちながら、日本という国家としての戦略が余りはっきり見えませんので、日本の心臓部であり頭脳部である東京が、国にかわってさまざまな提案をしていきたいと思っております。
 例えば、国家の存亡に深くかかわる空からのアクセスである空港でありますけれども、後ほど申しますが、もうこれが破綻状況になることが目に見えていて、それに対する案というものが一向に講じられてきませんでしたので、東京からああいう形の提言もいたしましたし、大気汚染に関しましても、東京に住み、あるいは東京にやってくる方々が痛感していらっしゃる、他の地域と比べて非常に濃度の濃い汚染というものを、これは何も東京だけでありませんが、しかし、変えようとしても、いろいろな規制といいましょうか、国が動かない部分もありますが、いずれにしろ、東京は、新しい文明社会の誕生に向けて、合理性を失った考え方や古いシステムというものを打ち破る突破口になりたいと思っております。
 しかし、東京がいかに国の心臓部であり頭脳部であると申しましても、人間の体は何もその二つだけでできているわけでありませんで、国全体が機能しなければなりませんが、どうも現況の政府に、大都市も含めて、国家というものを掌握する認識というものがありません。
 ですから、特に東京に限らず、大都市に先鋭的にあらわれている非常に厄介な事象、環境問題にしても、非人間的な状況というものを突破するための、非常にバリアになります規制というものが幾つもありまして、これがなかなか解除されないというところに東京なりの悩みがありますし、限界もあると思いますが、いずれにしろ、私が口酸く申していることでありますけれども、都民なり国民が支持してくれる方策ならば、これはあえて国の構えている規制と抵触しても行ったらいいと、そこで訴訟を起こしても、敗れることで、私たちは実は政府に対する文明批判を行えると思いますから、あえてそういう覚悟で行こうじゃないかということを、みんなに申し合わせております。
 次いで、十三年度予算編成の基本的考え方でありますが、十三年度予算は、財政再建推進プランの前半の到達点として、その着実な実行を図ろうということで、まず、財政構造改革を確実に進める中で、首都東京の再生を目指す予算と位置づけ、第一に、財政再建推進プランに基づき、引き続き、みずから厳しい内部努力を実施するとともに、すべての施策について聖域なく見直しを行う。第二は、財政構造改革を進める中、首都東京の再生を目指すための施策を厳選して、確実な実行を図るということで、この二点を基本として編成をいたしました。
 次いで、首都東京の再生に向けたもろもろの対応についてでありますが、十三年度予算では、ディーゼル車対策や秋葉原地区の開発、都市型の駅前の保育所の創設など、あるいは東京ERもそうでありますが、東京構想二〇〇〇とその三カ年の推進プランで掲げました事業について必要な財源を確保し、その確実な予算化を図ったわけでございます。
 次いで、税収についての認識でありますけれども、ご指摘のように、ゴールドマン・サックス副会長のケネス・カーチスが、日本の政府は、統計の読み方、グラフを逆さに読んでいるんじゃないかという口幅ったいことを申しました。しかし、この男は、実はかつてブンデスバンク、ドイツ銀行の幹部をしておって、そのときは、日本売りという言葉が、日本人の口から発して日本ではやりそうになったときに、それは非常に間違った認識だという形で、ある意味で高い日本の評価をした男でありますが、この人物が、会社の籍はかえましたけれども、そこで副会長として非常に痛烈な日本批判をしました。
 彼がかねがね指摘していた、日本の金融機関が多く抱えている厄介な問題点というものがまさに当たったことで、この人物がクローズアップされたわけですけれども、その同じ人物が、今日、この状況の中で、日本の経済見通しについてかなり辛らつな批評を加えたということを、私たちは決して聞き逃してはならないと思います。そういう、すべて彼のいうことが正当とは思いませんが、しかし、第三者から冷静に眺めて、日本の経済動向というものは、決して安閑として過ごすものではないと。
 ゆえにも、今回の税の増収は、十三年度より始まる銀行業に対する外形標準課税や、あるいはIT関連業種を中心にした一部の企業の好業績やリストラ効果によるものであります。しかし、依然として本格的な景気の回復が見られない現況の中で、とりわけ昨年後半から失速を始めたアメリカの経済の影響などを勘案しますと、当面、今後の税収の増加はそう強くは期待できないと思います。現に、アメリカの内部での批判で、ITという、要するに物事の効率、能率だけを商品とした産業というものが、これほどアメリカの好景気の大きなポーションを支えているということは、非常に不健全な危険な徴候だという自己批判がございました。
 果たせるかな、その部分の活力の失速によって、アメリカの経済全体が傾いてきたわけでありますが、これは同時に日本でもいえることでありまして、特に東京のような大都会、中心地で、IT産業というものの活性化というものが幾分の増収をもたらしましたけれども、しかし、同じような現象が、日本全体の経済の中で、IT部門に関して起こる可能性はございます。決して、やってくる年度年度の税の増収について、楽観は許すまいということでございます。
 次いで、財政構造改革の新しい取り組みについてでありますが、十三年度予算においては、財政再建推進プランの前半の到達点として、引き続き、徹底した内部努力や施策の見直し、再構築などを行い、財政構造改革に積極的に取り組んだつもりでございます。
 とりわけ、利用者本位の開かれた福祉をこの東京からつくり出し、築いていくために、福祉改革推進プランに基づき重点的に財源を配分するとともに、事業収支の悪化した多摩ニュータウンの開発事業や市街地再開発事業については、問題の先送りをせずに、事業の見直しとその再構築に着手するなど、新たな取り組みを行っていきたいと思っております。
 次いで、都財政の圧迫要因への対応についてでありますが、減債基金の積立不足など、いわゆる隠れ借金の存在や、都債の償還、さらに社会資本の整備、更新など、今後、都財政を圧迫するさまざまな要因が顕在しておりまして、都財政は依然として厳しい状況にございます。
 そのため、今後も、引き続き財政再建推進プランに掲げた目標の確実な達成を図るとともに、将来の財政負担の増大に備えた財政基盤の強化など、さらに財政構造改革を推進していく必要があると思います。
 今後、ご指摘の隠れ借金の解消など、計画的に進めるための方策を、財政再建推進プランを実行していく中で、さらに真剣に検討していく必要があると考えております。
 ちなみに、隠れ借金の内容を大まかに申しますと、十一年度決算の実質収支赤字八百八十一億円、減債基金の積立不足四千億円、中央卸売市場会計等からの借入金二千七百億円で、ほぼ一兆円という隠れた借金があるわけであります。
 次いで、財政構造改革のさらなる推進についてでありますが、これまでの全庁挙げての取り組みによって、既に所信表明に申しましたように、国とは対照的に、都は、構造改革の努力が数字の上でも成果となってあらわれていると思います。しかし、財政再建はまだまだ道半ばでありまして、構造的な赤字体質を転換するまでには到底至っておりません。巨額な隠れ借金をどのように解消していくかも、まだめどが立っておりません。
 しかしながら、経済情勢は決して楽観できるものではなく、今後は、景気がまた後退することも覚悟しておくべきだと思います。
 国では、どんなつもりの、どんなランディングを考えているかわかりませんが、このままでいくと、恐らく死者というか大けが人というか、そういったものが頻出するような気がいたしますけれども、東京都は、そういう事態を避けるべく、今後も手を決して休めることなく、財政構造改革に全力で取り組んでいきたいと思っております。
 次いで、行政改革のねらいと特徴についてでありますが、これまで取り組んできた行政改革は、現行制度を前提に、組織や定数の見直しなど効率的な執行体制の確保を主眼といたしております。今回の行政改革は、これまでの取り組みを継続しつつ、東京の将来像を見据えた都政のあるべき姿を示し、それにふさわしい質の高いサービスを効果的に都民に提供できる都政をつくり上げることをねらいといたしております。
 そこで、直ちに取り組むべき当面の改革と、制度改革を視野に入れた中長期的視点での改革とを区分し、段階的に取り組んでいくつもりでおります。
 国の政府のように、省庁の数が減っても役人の総数が変わらないというような改革ではしようがないわけでありまして、そういうものも念頭に入れて、都なりの改革というものを行っていきたいと思っております。
 次いで、今回の組織の見直しについてでありますが、都庁改革アクションプランで示した組織改正は、今後の行財政運営の基本であります東京構想二〇〇〇の内容を踏まえ、効率的、効果的な執行体制を整備するために、都庁組織全般にわたって見直しを行ったものであります。
 具体的には、トップマネジメント補佐機能の強化や、保健、医療、福祉の連携、産業政策の充実、IT化の推進など、今後の行政課題に的確に対応した執行体制を整備したいと思っております。
 ライン化が徹底し過ぎて、政府の中に政府があるようなことでは困るわけでありまして、やはりきちっとした組織の中で、それが複合的にかみ合って有効な行政を行っていく、そういう体制を整備したいと思っております。
 次いで、行政改革にかける決意についてでありますが、行政改革の推進は、東京の牽引力の低下や都民の生活不安など、東京の危機を乗り越えるためにも、必ずなし遂げなければならない課題であります。
 昨年末に策定した都庁改革アクションプランでは、執行体制や仕事の進め方など、全庁的な行財政システムを中心に、十五年度までの改革策を具体的に明らかにいたしました。
 行政改革は、実行してこそ意味があると認識しておりまして、私は、改革をとにかくやり抜くという強い意思を持って、今日の都庁の危機を乗り越えるためにも、全庁を挙げて改革に取り組んでいきたいと思っております。
 次いで、首都としてふさわしい都市づくり、まちづくりについてでありますが、国際的な都市間競争が激化しまして、今では、人や企業が都市を選ぶ時代を迎えている中で、東京は、世界の中枢都市として揺るぎのない存在感を示し続けることが重要だと思います。
 このため、就任早々、社会経済情勢の変化を踏まえた東京の新しい都市づくりのあり方について、都市計画審議会にも諮問しまして、近々答申を得る予定でありますが、この答申を受けて、年内に策定する東京の新しい都市づくりビジョンにおいて、国家的な課題でもあります東京再生の道筋を明らかにし、首都東京にふさわしいまちづくりを実現していきたいと思っております。
 次いで、外環の今後の取り組みについてでありますが、首都圏の慢性的な渋滞解消や環境問題などを解決する上で、外環はぜひとも必要な路線であります。
 計画の具体化を図るために、とにかくまず凍結解除が必要でありまして、これを早期に国に要請してまいりたいと――もう既に要請しておりますが、それにしても、なかなか結論が出ない、遅い。とにかく、そのためにも、地元との話し合いをさらに精力的に進めて、検討のたたき台となる案をできるだけ早く地元に示したいと思っております。
 次いで、幹線道路の早期整備のための資金投入についてでありますが、東京の魅力と活力を高めることが日本経済を活性化させるものでありまして、私は、さまざまな機会に、東京の都市基盤整備の必要性について政府にも主張してまいりました。
 現在の投資配分を前提とすれば、おおむね十五年後には、全国の整備計画中の高速道路が全線開通するが、東京の骨格幹線道路は三十年以上かかります、このままでいきますと。都の道路整備のスピードアップには、現況に合わない国の制度やルールを変えさせて、東京への国費の大幅な投入が不可欠であると思っております。
 このため、短期間に集中投資が可能となる資金調達方法、例えば国費の無利子貸付制度の創設などを、先般、国に申し込みましたが、前例がないということで、当時の建設省は非常に困惑しておりましたけれども、しかし、前例がないということでやめるわけにいきませんで、新しい前例をつくることですべての物事が前へ進むわけでありますから、今後とも、東京の危機を克服するためにも、都民の先頭に立って政府を動かす、そういう努力をしていきたいと思っております。
 次いで、ご指摘の横田空域の存在による影響でありますが、一都八県にまたがる広大な空域が米軍の管制下にありまして、東京の西の空に大きく立ちはだかっております。
 (模型を示す)東京空港から西に向かう民間機のほとんどが、この横田の――横田の空域というのは、この濃いグレーのゾーンですけれども、これは、ごらんになってわかるように、羽田の二倍以上あります。しかも、その北は、何と、私知りませんでしたが、こういう、下田という新潟県のまちにまで及んでおりまして、とにかく、羽田空港から西へ向かう、あるいは西から羽田にやってくる飛行機が非常に不自然な飛行を余儀なくされているために、本来なら、これは幹線道路でありますから、八車線、十車線で走らせるべきところを、この部分、やっとこの間削ってもらったんですけれども、それでもなお、とにかく細々とした、いってみると二車線で通行しなくちゃいけない、こういう航空路そのものの過密化を招いております。
 また、航空路の新設や複線化が困難となっているなど、我が国の自主的な、かつ効率的な運用の妨げにもなっております。
 先般のニアミスなどは、実はこれが、もし羽田にアプローチする、あるいは羽田を立って西に向かうこの航空路が八車線、十車線だったら、ああいう正面衝突の危険はなかったはずなんです。それを二車線で走らされているから、ああいう事態が起こったわけでありまして、もちろん管制官のミスはありますけれども……。
 つまり、私たちは、そういう危険というものを、知りませんでしょうけれども、日々、この存在によって味わわされている。私は、やはりこの空域、膨大な空域というものを日本の管制官が管制すべきだと思いますし、最初にジョイントユースということを申しましたが、やがて全面返還されるべきであります。
 いずれにしろ、先般のニアミスで、死者さえ出ませんでしたが、けが人が出ました。これは、もし死者が出たら、この存在はもっと明晰になったと思いますが、いずれにしろ、あの程度の事故で済みましたけれども、しかし、潜在的にこの横田の管制区域があるということで、いかに東京にやってくる人たちが、国際線でも国内線でも、要らざる危険を強いられているかということを、ひとつぜひご認識願いたい。
 それから、横田空域の返還に向けた取り組みについてでありますが、自国の中の広大な空域を外国に委ねていることは、独立国家としてやや異常であります。先般、フランクフルト空港が全面返還されました、アメリカから。その経緯を調べに、東京都の高瀬参与に赴いてもらいましたが、ドイツ側の当事者が、東京の事情を聞いて、何、日本という国では、首都の中に丸々米国の基地が五十年たってもあるのかといってたまげていたそうでありますけれども、しかし(発言する者あり)いや、あなた方は何もしなかったじゃないか、今まで。
 この横田基地には、私も見ましたが、かつては、フェンスの看板に、この基地の地籍はカリフォルニアであると書いてあった。恐らくバンデンバーグ基地の分所ということでありましょう。これはちょっと問題になりかけて、向こうも取り下げましたけれども、いずれにしろ、こういった異常な事態というものが依然としてあるということを国民や政治家が知らないという状況は、実はまことに憂うべき事態だと思います。
 我が国の空の安全を守るとともに、自主的かつ効率的な運用の確保のためには、横田空域の返還が不可欠であります。そのために、私は、横田空域の問題について、さまざまな機会をとらえ、国民や政府に対して強く訴えていきたいと思っております。
 さらには、全面返還が実現するような努力もしたいと思っております。
 ともかく、必要に応じて関係自治体などとも連携しながら、先ほどの立体図にありましたこういう認識をきちっと持って、お互いに持ち合わせることで、アメリカに働きかけ――幸い、新しいアメリカ政権の中に私の古い知己が何人かおりまして、こういった人のつてで、外務省はなかなか動かぬでしょうけれども、まず東京都が動いて、功績は外務省がとり、国家がとったらいいわけでありますけれども、とにかく当事者として、東京都を代表して、首都圏を代表して、最初の交渉に当たりたいと思っております。
 羽田空港の有効活用についてでありますが、首都圏の空港容量が切迫した状況において、首都圏第三空港建設に向けた国の動きはほとんどございません。首都圏の空港機能充実のためには、再拡張など羽田空港の有効活用を早期に実現する必要があります。
 都としては、都の再拡張案が最良のものと考えております。運輸省は何かメンツを構えて、わけのわからぬ次の案を出してきましたが、あれは、どう考えても実現不可能でありまして、私は、やはり東京が出した案が最良だと思いますが、いずれにしろ、今後、羽田空港の再拡張を国が一日も早く正式に決定し、着工するように強く訴えてまいります。
 たびたび申していることですけれども、このままでいきますと、日本の国際線は全国的に四年間でパンク、国内線も七年間でパンクするということは、具体的に申しますとどういうことかというと、急用ができてアメリカに行こうと思っても、飛行機に乗れないんですよ、需要が多過ぎて。そこでどういうことになるかというと、アメリカが今やっているみたいにオークションになりまして、そして競りにかけて、規定の料金よりも多額のお金を払って行かざるを得ない、そういう状況が目に見えているのに、空港が不整備であるということは、これはやっぱり国家の責任でありますが、せめてそれを部分的に負担して、東京都が解決の先鞭をつけていきたいと思っております。
 今後の多摩地域の振興についてでありますが、現在、多摩地域は、いわゆる三多摩格差がかなりの部分で解消してきている中で、豊かな自然環境や豊富な人材、先端技術産業などの集積によりまして、魅力的で発展の可能性に満ちた地域となりつつあります。現に周辺の人間の環状方向での動きも非常に顕著でありまして、これは新しい可能性というものを暗示していると思います。
 こうした状況を踏まえ、多摩地域は、区部との対比ではなく、みずからの個性や独自性を伸ばしながら新たな発展を目指していくことが必要でありまして、そのためのビジョンとして多摩の将来像素案を取りまとめた次第であります。
 今後、活力と魅力に満ちた多摩、その実現に向けて、市町村と協働、連携しつつ、環状方向のネットワークを視野に入れながら、都市基盤の整備や新たな産業振興などに積極的に取り組んでまいります。
 次いで、国民体育大会の多摩開催についてでありますが、これまで多摩地域での開催要望があったことは承知しております。東京再生の一環として、また、千客万来の都市東京を創造するためにも、国体の開催は非常に意義のあるものと思います。
 国体を開催することは、青少年のスポーツ活動を活発にし、青少年に夢と希望を与え、郷土意識を培うとともに、多摩地域の振興のみならず、都全体の活性化にも寄与するものと思います。ほかの県と違って、国体で東京へ行くなら、ついでにほかのことをしよう、ほかのものを見よう、そういう需要もあると思いますので、ぜひ実現したいものだと思います。
 次いで、公営住宅への民設民営方式の導入についてでありますが、東京構想二〇〇〇において、都営住宅制度の抜本的な改革を掲げました。その一環として、都営住宅の再編整備を進めることとしており、その際、民間活力の活用が極めて重大であります。
 ご指摘のように、高齢者向け優良賃貸住宅などには、既に民設民営方式が導入されていることもありまして、他の自治体と連携を図りながら、公営住宅についてもこうした制度が活用できるように、国に働きかけていきたいと思います。
 次いで、福祉改革についてでありますが、これまでの福祉は、行政が広範囲にわたってコントロールし、利用者によるサービス選択も事業者同士の競争も、事実上ないに等しい領域でありました。
 このシステムは、歴史的には一定の役割を果たしてきましたが、社会経済状況が大きく変化する中で、都民の福祉への期待にこたえられなくなっております。これを改革し、都民がみずからサービスを選択、利用できるよう、全国に先駆けて東京から新しい福祉を実現することが福祉改革であると考えております。
 例えば、新しい福祉のパターンとして、JRなどとも協力しながら駅前の託児所を設ける、これはいろいろ規制がありまして、厚生省は余り好ましくないような姿勢を示しておりますが、これはいいことなんだから、やればよろしいんでありまして、実現したいと思っております。
 福祉改革推進プランに基づきまして、区市町村と連携しながら、限られた財源を集中的に投入して、戦略的な取り組みを確実に実行していきたいと思っております。
 次いで、介護保険制度の現況と課題についてでありますが、介護保険制度は、ここまで大きな混乱もなく、おおむね順調に運営されておりまして、また、都民の理解も着実に深まっていると認識しております。しかし、重要な役割を担う介護支援専門員への支援など、解決すべき幾つかの課題も生じていることは事実でございます。
 新年度早々、幅広い分野からの参画を得た「東京の介護保険を育む会」を設置して、都民にとってより使いやすくわかりやすい制度になるように、積極的に取り組んでいきたいと思っております。
 次いで、硫黄島の戦没者の遺骨収集でありますが、私、たびたび硫黄島に行っておりますけれども、戦争中と今と、どっちが地熱が高くなったか低くなったかわかりませんが、ああいう状況の中で、非常にもろい土質の中の長いざんごう、部分的に崩れておりますけれども、完璧な遺骨の収集は、ますます時間とともに難しくなっていると思いますが、いずれにしろ、依然として遺骨の収集が四割程度にとどまっている。
 東京都は、国に対する提案要求において、遺骨収集が早期に完了するよう、特段の措置を行うように要求もしてまいりました。硫黄島で亡くなられた二万余の方々を慰霊して、遺族の方々の戦後を一日も早く終わらせることが重要でありまして、遺骨収集を初めとする手だてを尽くすことを国に対して要求していきたいと思います。
 例えば、遺骨収集のほかに、あそこに――まあ、こういうと、いろいろ抵抗があるでしょうが、例えば靖国神社の分社をつくるとか、あるいは千鳥ヶ渕にある戦没者のあの碑の分社をつくるとか、そういった形で象徴的に、硫黄島全体を一つの戦争のモニュメントとして祭って慰霊する、そういう象徴的なモニュメントをつくることもよいんじゃないかと思っております。(「時代おくれだ」と呼ぶ者あり)時代おくれといったって、あなた、戦争の記憶というのはまだ残っているんだよ。
 都立病院改革の基本的考え方についてでありますが、何よりも私が主張している東京発の医療改革の三つの方針であります、開かれた医療、安心できる医療、むだのない医療を、都立病院改革全体を貫く理念としてしっかりと位置づけ、取り組んでいきたいと思っております。
 病院運営における経営力の強化、都民に対する医療サービスの向上という視点を重視しまして、改革を進め、都民の信頼と期待にこたえる都立病院といたしたいと思っております。
 次いで、今後の観光産業振興への取り組みについてでありますが、東京を再生していくためには、関連する産業のすそ野が広く、かつ経済波及効果の大きい観光を新たに産業としてとらえ、振興していくことが急務であると思います。
 このため、いわゆる名所旧跡だけではなくて、国際的なコンベンションやイベント、例えば、ことし世界で初めて行います国際的なアニメフェアなど、それから、スポーツ、ショッピング、ファッションや芸術に加えて、すぐれた物づくり技術の集積や個性的な町並みなど、いわば都市そのものが観光資源であり、東京の魅力のある資源として幅広くとらえる必要があると思います。
 今後、これらの観点を踏まえた基本方針を早期に策定し、具体的な施策の検討に全庁的に取り組んでいきたいと思っております。
 次いで、築地市場の豊洲移転でありますが、現在の築地市場は、まことに狭く、古く、危なく、二十一世紀の中核を担う市場への再生を目指すには、移転による抜本的な整備が必要であると認識しております。
 このたび、豊洲地区を移転の候補地として、地権者であります東京ガスと、移転に関する具体的な問題について協議することに合意いたしました。今後、築地市場の豊洲移転に全力を尽くしてまいりたいと思います。
 なお、移転に当たっての関係者への配慮でございますが、築地市場の豊洲地区への移転に当たっては、地権者との協議、関係区、関係業界、場外市場への配慮も重要であると認識しております。
 次いで、青少年の健全育成と有害な情報についてでありますが、昨今の青少年を取り巻く有害情報のはんらんは度を超えておりまして、青少年の人間性さえ損ないかねないことから、条例による規制の強化もやむを得ないと考えております。
 しかし、インターネットなどが普及して、こうした状況がますます加速化することも予測されまして、新たな情報メディアへの対応とともに、情報に対する青少年自身の主体性、自律性を高めていくことも大切であると思います。
 今後、青少年問題協議会において、メディア社会の進展と青少年施策のあり方について幅広く議論していただく予定でありまして、その結果を踏まえ、新たな時代に対応した施策を適切に進めていきたいと思っております。
 次いで、東京女性財団のあり方でありますが、この女性財団は、基本財産のうち百万円を除いて、ほぼ全額が東京の出資であります。ちなみに、財団に必要な三億円全部東京の出資であります。それから、運営費の九八%も都の出資です。さらに、常勤職員のすべてが都からの派遣職員でありまして、どうも眺めたところ、世間に比べて、これが自立した組織として体をなしているとはいいがたく、監理団体総点検の結果、その存続は困難であると判定いたしました。
 皆さんそれぞれ選挙がありまして、女性に対する意識から、この問題についてはなかなか積極的に発言されにくいと思います。しかし、まさにこれはおんぶ日傘、おんぶにだっこの財団でありまして、これは世間では、私、通らないと思いますな。
 また、男女平等参画の新たな段階に対応するため、行政として責任を持って施策を推進していく必要があることから、財団事業を直営化することにいたしました。
 しかしながら、財団の廃止については、さまざまなご意見があることは承知しておりますから、今後、関係者で十分議論を尽くすことも必要であると思います。したがって、財団事業の直営化は四月より実施しますが、今後の財団のあり方については、基本的には財団みずからが、その存廃を含めて根本から見直し、十三年度内に結論を出していただきたいと思っております。
 今般、この問題についても、非常に適切な指摘をしてくださっております外部監査人に意見を伺いましたが、まあ、やっぱりちょっと甘ったれているんじゃないかと。こんなものは世間で通らないというのが常識ではないかと思います。
 それから、東京の文化の現況と今後のあり方についてでありますが、東京には芸術文化の創造にかかわる多くの人材が集まっておりまして、伝統芸能の上演から最先端のディジタル技術による映像や音楽の創作まで、さまざまな活動が展開され、その舞台となる官民の文化施設も十分整備されております。
 このように文化を発展させる多様な要素があるにもかかわらず、残念ながら東京は文化的な特徴がいまだ明確でなく、文化都市として独自の存在感を示し得ているとは申せません。東京が、世界的な都市として新しい世紀をリードしていくためには、東京独自の文化を生み出せる状況を行政がつくり、世界に発信することが必要であると思っております。
 次いで、都立の大学の運営全般にわたる改革についてでありますが、これまでの都立の大学は、象牙の塔という言葉に表象されるように、都民、社会から、あるいは行政から離れた存在でありまして、見直しが余りなされてきませんでした。
 東京都大学改革基本方針では、都市問題への取り組みや産業への貢献を中心に重点化を図り、教育や研究のあり方を抜本的に改革したいと思います。
 第三者の意見や評価が大学運営に反映される仕組みを来年度早期に導入し、学生にも世間にも人気のある大学につくり直したいと思っております。
 都立の大学にふさわしい法人化の実現と四大学の再編統合を目指すが、その具体的なあり方は、現況にとらわれることなく、白紙の状況から考えていくことにいたします。
 これらの改革によって、都民や学生にとって十分に魅力ある大学に生まれ変わらせていきたいと思っております。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁をいたします。
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) 三点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、国民体育大会の大会運営についてでございますが、多摩地域を中心としました国体の開催に当たりましては、日本体育協会の国体簡素化に関する基本的な考え方を踏まえまして、公立の体育施設だけではなく、大学や民間企業等のスポーツ施設を総合的に活用するなど、大会の簡素化に取り組んでまいります。
 また、NPO法人等の地域スポーツクラブやボランティア組織、オフィシャルスポンサー等、民間の発想と行動力を取り入れ、効率的、効果的な運営に努めてまいります。
 次に、大学改革に当たりまして、教育や研究の質の向上、教員の意識改革のための仕組みづくりについてでございますが、今回の基本方針では、大学の教員が教育に責任を持つとともに、授業方法や学習指導等の改善に組織的に取り組み、その質を高めていくほか、大学が行う教育や研究の成果につきまして、第三者による評価システムを導入し、その結果を教員の処遇に反映するなど、成果主義を導入することで改革を進めてまいります。
 また、外部の有識者による運営監理委員会を平成十三年度の早期に発足させまして、教員の意識改革について、評価システムとあわせ、外部からの厳しい目を通すことで進めてまいります。
 次に、改革の具体策の策定と実現に向けた進め方についてですが、今回の基本方針は、大学を改革するに当たり、基本理念と方向性を示したものでございまして、今後、夏までに、改革の具体策とその実現のためのスケジュールを盛り込んだ東京都大学改革大綱を策定することといたしております。
 実のある改革とするためには、ご指摘のとおり、大学がみずからの問題として改革に取り組んでいく必要がありますことから、先般、関係局長と各大学の学長から成る検討組織を立ち上げたところでございまして、今後、第三者の意見も取り入れながら、改革の具体化を図ってまいります。
   〔総務局長大関東支夫君登壇〕

○総務局長(大関東支夫君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、都政改革ビジョンⅡの検討方法についてでございます。
 東京及び東京圏における生活の広域化等の現状や不十分な地方分権など、自治制度を取り巻く問題を整理した上で、四月には専管組織を設け、早急に具体的な検討に入りたいと考えております。
 今後、都議会や区市町村、都民、企業など、各方面の意見も取り入れながら、広範かつ真摯な議論を重ね、今回の都庁改革アクションプランで掲げた、東京圏の自治体のあり方、大都市行政のあり方、国との関係の整理、税財政制度のあり方などの課題につきまして検討を深めてまいります。
 次に、行政評価制度についてでございます。
 来年度から本格実施に入る行政評価制度では、成果重視の視点に立ち、都政の重要課題を毎年、緊急性、必要性に応じて選定し、重点的に評価を行ってまいります。また、その他の事業につきましても、おのおのの事業所管部署がみずから事業を徹底して点検する自己検証システムを導入し、検証を行ってまいります。
 これら両者を連携させることによりまして、全庁を挙げて施策、事業の実効ある不断の見直しに取り組んでまいります。
 次に、監理団体の評価についてでございます。
 新しい経営評価制度では、団体みずからが経営目標を明確にした上で、その達成度を評価する方法に改め、それによって評価結果が団体の経営改善に確実に反映される制度としてまいります。
 同時に、経営目標の達成度から役員の業績を評価し、業績に応じた報酬が支給される仕組みを導入することにより、経営改善へのインセンティブを高めてまいります。
 次に、三宅島の復旧に向けた取り組みについてでございます。
 全島避難から六カ月を迎える三宅島は、いまだに有毒な火山ガスが大量に放出されている状況にございます。こうした中におきましても、東京都は、一日も早い島民の帰島を目指して、神津島を拠点に三宅島に上陸し、ライフライン維持等の作業を行っております。
 一方で、泥流による道路、家屋等への被害も続いております。これらの被害を食いとめ、一日も早い復旧を実現するためには、火山観測の一層の強化と泥流対策の砂防工事などを進める必要がございます。
 このため、今後、国や関係機関の協力も得て、火山ガス等に万全の安全対策をとった上で、三月中をめどに試行的に夜間も島にとどまって、その進捗を図ってまいります。そして、その後の本格的な復興につなげてまいりたいと、このように考えております。
 次に、市町村振興交付金、調整交付金についてでございます。
 この両交付金は、都内市町村に対する包括的な財政補完制度として、これまで、市町村の行政水準の向上や均衡ある発展などに大きな役割を果たしてまいりました。市町村を取り巻く厳しい財政環境が続く中で、この両交付金については、今後、こうした役割に加え、地方分権の進展に伴う新たな行政課題にも対応するなど、多摩、島しょ地域の振興のために極めて重要であると、このように認識しております。
 最後に、市町村合併についてでございます。
 市町村合併は、住民の意思を尊重しながら、合併機運の高まりのもとで、市町村みずからが自主的、主体的に考え、取り組んでいくことが必要であると考えております。そのため、合併に関するさまざまな情報を都民や市町村に提供するとともに、都内市町村が合併を検討する際に活用できるよう、今回、市町村合併に関する検討指針を策定いたしました。
 今後、都は広域的団体として、本指針を活用して市町村や都民の中で合併に関する検討が活発に行われるよう積極的に働きかけていくとともに、合併に向けた市町村の取り組みに対しまして、さまざまな支援策を検討してまいります。
   〔都市計画局長山下保博君登壇〕

○都市計画局長(山下保博君) 幾つかのご質問にお答えいたします。
 まず、都市計画マスタープランについてでございますが、このマスタープランは、都市計画の目標並びに土地利用、都市施設、市街地開発事業等の主要な都市計画の決定方針を一体的かつ総合的に定めるものでございます。
 その策定に当たりましては、東京の新しい都市づくりビジョンを踏まえるとともに、区市町村のマスタープランを反映させるなど、区市町村とも連携を図ってまいります。これにより、個別の都市計画を政策的に誘導し、首都東京の再生に努めてまいります。
 次に、中央環状品川線の整備に対する都の取り組みについてでございますが、首都高速三号線から高速湾岸線に至る品川線が整備されることにより、中央環状線がすべて完成し、都心部を中心とした交通渋滞の緩和に大きな効果が発揮されます。
 このため、都は、計画の具体化に向け、環状六号線や目黒川の地下など、公共空間を最大限に活用する方向で、ルートや構造などを検討しているところでございます。
 今後、早期整備の実現に向けまして、同路線の都市計画手続を進めるなど、積極的に取り組んでまいります。
 圏央道の都内区間の供用予定についてでございますが、圏央道は、青梅インターチェンジから中央道との八王子ジャンクション間につきましては平成十四年度、それから、八王子ジャンクションから国道二〇号線間につきましては平成十五年度の供用を目標に、国及び日本道路公団において整備が進められてきたところでございます。
 しかしながら、多摩地域の発展や交通混雑の早期緩和のため、都と地元区市町が連携いたしまして整備促進を強く要望してきた結果、青梅インターチェンジから日の出インターチェンジ間につきましては、当初の目標を一年間前倒しし、平成十三年度中に供用することとなりました。
 次に、東京港トンネルの整備に対する都の取り組みについてでございますが、国道三五七号東京港トンネル部は、都内の渡河部では唯一の未整備区間でございまして、この整備は、臨海地域の交通渋滞の緩和とともに、羽田空港へのアクセス改善や臨海地域の連携強化に大きく寄与いたします。
 このため、都は知事を先頭に、国に対し整備促進の要望を重ねてまいりました。その結果、先般、国と都から成る検討会が設置され、具体的な検討を開始いたしました。さらに、平成十三年度からは整備に向けた調査を実施する予定でございます。
 今後、国と連携を図りながら、東京港トンネルが早期に整備されるよう努力をしてまいります。
 次に、小田急線下北沢駅付近の連続立体交差事業に対する取り組みについてでございますが、当該区間における踏切渋滞や地域分断の解消を図るためには、鉄道の立体化が不可欠であることから、東京構想二〇〇〇の三カ年推進プランにも位置づけられたところでございます。
 お尋ねの構造形式につきましては、交差する井の頭線などの諸条件を考慮し、総合的に検討した結果、地下方式で整備する案が最適であると判断しております。
 今後は、地下方式を前提とし、地元区等関係機関と協議を行い、連続立体交差事業の推進を図ってまいります。
 次に、羽田空港の都の再拡張案の着目点についてでございますが、首都圏の空港容量が絶対的に足りないという危機的状況にあることから、早期に建設できることが最大の着目点でございます。
 その立案に際しましては、東京港の第一航路の機能や小型船の航路の確保など、港湾機能との共存を図ること、東京湾の環境を悪化させないこと、空港周辺地域に対する騒音の影響が少ないことなどに留意して検討を行いました。
 次に、同じく羽田空港の国が提案しておりますB滑走路平行案についてでございますが、本案につきましては、東京港の港湾機能との共存を図る上で多くの問題がございます。
 例えば、新しい滑走路の進入表面や進入灯が、コンテナ船等大型船舶が航行する第一航路の機能に支障を及ぼすおそれがあること、あるいは、沖合を航行する小型船舶の航行ルートや安全の確保を図ることができるのかなどの問題がございます。加えて、多摩川の流れを阻害しないのか、新海面処分場に影響を及ぼさないのか、東京湾の環境悪化を生じさせることはないのかなど、検討を要する課題もございます。
 次に、防災都市づくり推進計画についてでございますが、見直しに当たっての基本的な考え方といたしましては、幹線道路など延焼遮断帯の形成をより早期に実現すること、次に、木造密集地域の防災性の向上を図るため、より効果的な手法を活用するなど一層の整備を進めること、さらには、自助、共助の考え方に基づき、都民などとの連携をより強化した防災都市づくりを進めることの三点が重要と考えております。
 また、その具体的な取り組みについてでございますが、まず、防災上優先的に整備すべき地域等につきまして、地域危険度等市街地状況の最新の調査結果を反映して見直す必要があります。あわせまして、新たな防火地域制度などの手法の創設、あるいは民間活力の導入など多様な事業主体の参加、さらには、地方分権の進展を踏まえた適切な役割分担のあり方などの整備方策の検討を行いまして、平成十四年度を目途に改定をしてまいります。
 次に、震災復興グランドデザインについてでございますが、震災後におきまして被災を繰り返さない都市、環境の良好な都市として迅速な復興を図るためには、建築制限や土地利用規制の強化、新たな事業制度の創設などが必要でございます。
 現在、学識経験者を含めた検討組織におきまして、新たな私権制限を含む法的課題等につきまして、鋭意検討を進めているところでございまして、これらの提言も踏まえ、近く震災復興グランドデザインを公表する予定でございます。
 また、その実効性を確保するためには、復興のためのまちづくりについて、都民と認識を共有することが重要でございまして、防災訓練などの機会を通じて周知を図り、都民の理解を得てまいります。
 次に、多摩地域の核都市における都市づくりについてでございますが、これまでの多摩の心しんの育成整備は、都市の拡大成長が続く中で、都心部への過度の業務機能の集中を抑制し、分散させる政策の一つとして進められてまいりました。
 このたびの核都市への変更は、社会経済情勢が安定成熟型へと変化する中で、神奈川、埼玉などの隣接県や核都市相互間の交流、連携を重視し、業務のみならず、商業、文化など、多様な機能の集積を進め、職と住のバランスのとれた自立性の高い拠点として整備を図っていくものでございます。
 最後に、介護療養型医療施設などの建築規制の緩和についてでございますが、介護療養型医療施設などの設置基準では、一般の病院と比較いたしまして、廊下、病室などを著しく大きくすることが求められておりまして、建てかえの際、従来のベッド数が確保されなくなるなど、施設整備に当たってご指摘のような問題があることは承知しております。
 都といたしましては、今後、こうした施設の増改築が進められるよう、容積率など建築規制の緩和措置の検討を行い、ベッド数の確保などといった社会的ニーズにこたえてまいりたいと存じます。
   〔建設局長古川公毅君登壇〕

○建設局長(古川公毅君) 五点にわたりお答えいたします。
 まず、二十一世紀の道路整備についてですが、道路は都民生活や都市活動を支える基本的な都市施設であり、時代の変化を的確にとらえ、道路ネットワークの整備を推進する必要があります。具体的には、ゆとりある歩行空間や緑の空間を創出し、少子高齢化に対応したバリアフリー化、歩道と分離した自転車道の設置、IT化に対応した電線類の地中化などを積極的に実施してまいります。
 現在事業中の環状六号線山手通りや調布保谷線では、広幅員の歩道や環境施設帯の中でこれらの施策を実施し、二十一世紀の首都東京にふさわしい風格と魅力を持った、利用しやすい道路を整備してまいります。
 ボトルネック踏切についてですが、都内には、一時間に四十分以上遮断されているなど、道路交通を阻害しているボトルネック踏切が、全国で千ありますけれども、その四割に当たる三百六十カ所が都内にあります。このうち幹線道路の整備に関連して重点的に解消すべき踏切は百六十六カ所です。
 現在、JR中央線や小田急線など八路線で連続立体交差事業を推進し、踏切解消に向け、積極的に取り組んでいます。その他のボトルネック踏切につきましても、鉄道事業者と連携して、踏切施設の改良を進めます。
 京浜急行蒲田駅付近の連続立体交差事業の今後の取り組みについてですが、本事業は、羽田空港へのアクセス向上に役立つとともに、環八や第一京浜など二十八カ所の踏切を解消し、交通の円滑化、地域分断の解消、安全性の向上などに寄与する極めて重要な事業です。
 先日、石原知事は、森総理大臣と現地視察の際、早期の立体化の実現を求め、総理からは、この事業を前倒ししようとの発言がありました。これを受け、早速国に対して強く前倒しを働きかけたところです。
 事業の実施に当たっては、集中的な用地取得や工期短縮の工夫を行い、地元区、鉄道事業者と緊密に連携するとともに、関係住民の理解と協力を得ながら、高架構造の仮線による平成十七年度の環八踏切の解消と、二十六年度の全体事業の完成を極力短縮し、前倒しするよう、一層努めてまいります。
 踏切すいすい事業についてですが、踏切すいすい事業は、新しい発想で、交通渋滞の原因となっているボトルネック踏切を、大幅な用地取得を伴わず、仮設構造物などにより立体化し、比較的少ない事業費で短期間に踏切渋滞を解消するものです。
 平成十三年度は、京浜急行線の環八踏切、京王線の鶴川街道踏切及び小田急線の新宿駅付近踏切の三カ所で事業を進めます。事業の実施に当たっては、工法上の創意工夫を凝らすとともに、地元の理解と協力を得ながら、早期に事業効果が発揮できるよう努めます。
 最後に、環状二号線並びに晴海通りについてですが、環状二号線と晴海通りの整備は、臨海地域全体の発展はもとより、市場移転にとっても重要です。そのため、晴海通りの晴豊一号橋は既に工事中であり、環状二号線の東雲二号橋は平成十三年度から着工する予定です。
 今後とも、短期間に集中投資が可能となる資金調達方法、例えば国費の無利子貸付制度の創設を国に強く働きかけるなど、多大な事業費の確保を図ることにより、早期整備に努めてまいります。
   〔労働経済局長浪越勝海君登壇〕

○労働経済局長(浪越勝海君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、三宅村避難者の就業対策についてでございますが、避難生活が長期化する中で、働く意欲がありながら仕事につけない方々には、これまで以上にきめ細かな支援策が必要と考えております。
 このため、都といたしましては、今月中旬から、避難者が多く住んでいる地域での巡回職業相談会を三カ所で開催いたしました。さらに、都が発注する公共事業に三宅村の方々が積極的に採用されるよう、建設業者などに働きかけてまいります。
 今後とも、国や三宅村とも密接な連携をとりながら、避難者の方々の就業ニーズを的確に把握し、きめ細かな対策を講じてまいります。
 次に、中小企業のIT化支援や働く人々のIT職業能力の向上支援についてでございますが、東京の産業活性化を図るためには、IT化に意欲的に取り組む中小企業や働く人々を支援していくことが重要と認識しております。
 都は、これまでも、地域ITリーダーの養成や技術専門校のOA関連科目の設置により、人材を育成するとともに、技術、経営、資金面から中小企業のIT化対応を支援してまいりました。
 今後、取り組みがおくれている業界を対象としたIT化促進支援事業やEビジネス関連の訓練科目の設置など、新たな施策の展開を図り、中小企業のIT化対応と働く人々のIT職業能力の向上を支援してまいります。
   〔多摩都市整備本部長田原和道君登壇〕

○多摩都市整備本部長(田原和道君) 多摩ニュータウンのまちづくりについてのご質問でございます。
 これからの多摩ニュータウンでは、東京圏における核都市の一つとして、大学や先端産業等による産・学・公の連携を強化するとともに、恵まれた環境を生かし、にぎわいのある地域づくりを進めていくことが重要であります。
 このため、都といたしましては、研究開発機能を持ったハイテク産業や情報産業等をさらに積極的に誘致をしてまいりたいと考えております。
 また、昨年十二月に地元四市、都市基盤整備公団とともに立ち上げました多摩ニュータウンまちづくり検討会の場も活用しながら、多様なビジネスや地域活動を支援するとともに、人、物、情報が交流する複合拠点の育成に努めてまいります。
   〔住宅局長戸井昌蔵君登壇〕

○住宅局長(戸井昌蔵君) 南青山一丁目団地建てかえプロジェクトにおける民間活力の活用についてお答えいたします。
 このプロジェクトは、民間事業者による都営住宅と民間施設との一体的整備という、都営住宅建設事業としては初めての手法を用いまして、立地にふさわしい多様な機能を効率的に整備しようというものでございます。
 具体的には、定期借地権制度を活用して、事業者に敷地を貸し付け、その事業者が住宅、保育園、図書館、商業施設などから成る複合施設を建設し、都は、施設の完成後に住宅の一部を都営住宅として供給するものでございます。
 来年度中に事業者の公募及び選定を行い、平成十四年度当初に事業契約を行う予定でございます。
   〔福祉局長高齢者施策推進室長兼務前川燿男君登壇〕

○福祉局長高齢者施策推進室長兼務(前川燿男君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、福祉改革につきまして、多様な事業主体の参入促進についてでございますが、福祉改革推進プランにおきましては、事業者が互いに競い合うことにより、社会全体としてサービスの向上を実現することを目指しております。
 新たに創設する都独自の認証保育所制度や高齢者の介護つき住まいを整備するケアリビング事業を着実に実施をし、株式会社を含む多様な事業主体の参入を促進していく方針でございます。
 また、民間参入にハードルがある高齢者施設の運営や障害者福祉サービスの分野においても、参入拡大に向けての検討を進めてまいります。
 こうした取り組みを推進し、多様化、高度化した利用者ニーズにこたえられる開かれた福祉の実現に向け、全力を挙げてまいります。
 次に、包括補助制度の活用についてでございますが、福祉改革を確実に推進していくためには、区市町村がみずからの発想に基づき、地域の中で積極的に取り組んでいただくことが何としても必要でございます。
 都としても、こうした特色ある取り組みを積極的に支援をしていく方針であり、この三月には、本年度の先進的な事例を紹介し、区市町村相互の交流を深める目的で、先進事例集の発行であるとか、成果発表会を開催する予定でございます。
 また、認証保育所の整備や心身障害者のための施設の整備など、福祉改革推進プランの戦略プロジェクトの推進を図る見地から、包括補助の補助方式につきましては、さまざまに工夫を凝らしてまいります。
 次に、介護保険における低所得者対策についてでございますが、介護保険制度におきましては、すべての被保険者が公平に保険料を負担するとともに、利用者が費用の一部を負担することが制度の健全かつ円滑な運営のために不可欠であると認識をいたしております。
 既に制度上、所得に応じた保険料の設定方式や、利用者負担が著しく高額とならないための仕組みが設けられているほか、保健料率などの弾力化や特別対策としての利用者負担の減免も可能とされております。保険者である区市町村等が、制度の根幹は堅持しつつ、真に必要な場合には工夫を凝らし、これらを活用することは意義のあることと考えております。
 最後に、ホームレス問題についてでございますが、現実に即した有効なホームレス対策を進めていくためには、ご指摘のように、その実態を十分に把握することが前提となります。都ではこれまで、毎年二回、二十三区内の路上生活者の概数調査を行っておりますが、昨年、これとは別に、約一千人に対する聞き取り調査を実施いたしました。これらの調査結果に基づきまして、できるだけ早期に東京のホームレス白書ともいうべきものを作成し、その実態を明らかにしてまいります。
   〔衛生局長今村皓一君登壇〕

○衛生局長(今村皓一君) 保健医療に関する三点のご質問にお答えいたします。
 まず、介護療養型医療施設の整備についてでありますが、ご指摘のように、介護基盤の充実を図るためには、既存の医療施設から介護療養型医療施設への転換を積極的に進めていくことが重要であります。
 このため、都では、平成十年度から三カ年にわたり、介護療養型医療施設を含む療養型病床群への整備費の補助を実施し、促進に努めてまいりました。
 今後、さらに計画的な施設整備を行うため、平成十三年度から新たに、介護保険が適用となる医療施設に重点的に補助を行う介護療養型医療施設整備事業を創設し、より一層転換を誘導、促進してまいります。
 次に、都立病院改革における新たな行政的医療という考え方についてお尋ねでございます。
 今回、外部の有識者で構成いたします都立病院改革会議で示された検討経過は、今後の議論を進めるに当たっての基本的考え方としてまとめられたものであります。この検討経過では、都民ニーズや時代の変化により的確に対応するために、都立病院の担うべき医療として、感染症医療など法令等に基づき対応が求められる医療、難病医療など社会的要請から特に対策を講じなければならない医療、そして、エイズ医療など新たな医療課題に対して先導的に取り組む必要がある医療の三つの柱に整理し、これらを新たに行政的医療として位置づけております。
 また、医療機能の集約化についてでございますが、都立病院改革会議の議論では、医療機能を集約化することにより、各病院の専門性が高まり、特色も明らかになるとされております。その結果、都民が求める高度な医療により適切に対応できるようになるとともに、人的配置や設備投資において、各病院の役割に応じた効率的な医療提供体制の整備が可能になるとしております。
 あわせて、従来からの地域医療機関との機能連携に加え、都立病院間の連携を強化することにより、さまざまな疾患に対応できる医療提供体制を整備することが可能となり、都民への医療サービスの向上につながるものとしております。
 改革会議では、本年夏に予定しております報告に向けて、さらに検討を深めていくこととしております。
   〔生活文化局長高橋信行君登壇〕

○生活文化局長(高橋信行君) 青少年健全育成条例に関連して三点、男女平等施策に関連しまして二点、それから文化について一点、合計六点についてお答えいたします。
 最初に、今回の青少年健全育成条例の改正の趣旨についてでありますが、近年、露骨な性表現や暴力表現など、青少年に有害な情報が多く見られ、目に余るものがあります。このため、昨年提出されました東京都青少年問題協議会の中間答申を踏まえ、条例改正の提案を行おうとするものであります。
 主な改正内容は、自殺や犯罪を不健全図書類の指定事由に追加すること、書店やコンビニエンスストアなどに対し、区分陳列規制を設けること、及び自動販売機の設置の際の届け出制などを導入することであります。
 次に、不健全図書類の指定事由に自殺、犯罪を追加する理由についてでありますが、近年、自殺や犯罪の手段、方法等を詳述した図書類が相当量出版されております。こうした図書類は判断力の未成熟な青少年に大きな影響を与え、自殺や犯罪を著しく誘発するおそれもあります。このため、不健全図書類の指定事由に自殺や犯罪を追加し、青少年への販売規制等をしようとするものであります。
 なお、こうした規制は、自殺や犯罪はいけないという大人からのメッセージを伝える効果もあると考えております。
 次に、区分陳列の適切な実施のための方策についてでありますが、区分陳列は、青少年が不健全な図書類に接しないようにするために大変有効な手段であると考えております。これを適切に実施するため、不健全指定図書類だけでなく、広く自主規制団体等が青少年の健全な成長を阻害するおそれがあると認め、発行者がその旨を表示した図書類も区分陳列の対象とし、また、違反に対しては罰則や勧告の制度を設け、実効性の確保を図ろうとするものであります。
 今後、リーフレットや事業者向け研修用ビデオを作成、配布するなどして、関係業界等への周知、指導を積極的に行い、区分陳列の徹底を図っていきたいと考えております。
 次に、男女平等参画のための行動計画策定の基本的な考え方についてでありますが、都は、平成十二年三月、全国に先駆け東京都男女平等参画基本条例を制定し、男女平等参画社会の実現に向け、新たなスタートを切ったところであります。
 平成十三年中の策定を目途としております今回の行動計画は、これまでの成果の上に参画の促進や性別による権利侵害の禁止という新たな視点を加え、現下の重要課題である企業における参画の促進や家庭内等における暴力等に関する具体的な施策を盛り込んだものとしていく考えであります。
 また、都民や事業者にともに取り組んでいくことを要請し、今後、この計画に基づいて男女平等参画を積極的に推進してまいりたいと考えております。
 次に、直営化後の民間との連携方策についてでありますが、都はこれまで、ウィメンズプラザの管理運営を東京女性財団に委託し、設置条例や都の方針に沿って場の提供や情報の提供等を行い、利用者等と意見交換を図りながら、都民活動の支援に努めてきたところであります。
 今後は、直営化を契機として、家庭内等における暴力に関する相談の充実など、行政としての取り組みを強化するとともに、男女平等参画に関する情報提供や活動助成などを通じて、NPO等民間との連携を図っていきます。
 また、プラザの運営に当たっても、利用者との連絡会やインターネット等を活用して、都民との意見交換を図ってまいります。
 次に、今後、どこに重点を置いて文化施策を進めていくかについてでありますが、東京が世界的な文化都市となるためには、文化の創造の芽を育てる環境の整備や、江戸、東京の伝統文化の継承、発展などを図り、文化発信力が強化される状況をつくること、二番目に、市民や企業が文化支援活動を行いやすくし、文化を支える基盤のすそ野を広げること、三番目に、都立文化施設の発信拠点機能を強化するため、企画運営機能を充実させることなどが重要だと考えております。
 こうした施策を進めるに当たりましては、芸術文化活動にかかわる団体や専門家との間で、行政の役割、施策のあり方等について論議を深め、民間団体、企業等とも力を合わせて、豊かで魅力ある東京の文化を育てるための支援の仕組みづくりを進めていく必要があろうかと考えております。
   〔都立大学事務局長川崎裕康君登壇〕

○都立大学事務局長(川崎裕康君) 大学改革基本方針を受けて都立大学ではどのように改革を進めていくかについてでございますが、大学を取り巻く社会経済状況等が大きく変化している中で、都立大学は、都民の期待などに十分にこたえていないとの指摘もあり、新たな時代にふさわしい大学を目指し、大学自身が厳しく自己改革していかなければならないと考えております。
 今後は、大学改革基本方針に沿って、大胆な学部教育の改革を初め、都立四大学全体の改革をリードするような積極的な取り組みを行うことにより、本年夏の大学改革大綱策定に向け、教育庁や他の大学とも十分連携をとりながら、改革の中心的役割を担ってまいります。

○議長(渋谷守生君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時二十九分休憩

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