一番 | 織田 拓郎君 |
二番 | 中嶋 義雄君 |
三番 | 羽曽部 力君 |
四番 | 服部ゆくお君 |
五番 | 真鍋よしゆき君 |
六番 | 松原 忠義君 |
七番 | 町田てるよし君 |
九番 | 大西由紀子君 |
十一番 | 林 知二君 |
十二番 | 福士 敬子君 |
十三番 | 山本 信君 |
十四番 | くぼた 光君 |
十六番 | 木内 良明君 |
十七番 | 藤井 一君 |
十八番 | 東野 秀平君 |
十九番 | 原 環君 |
二十番 | 中西 一善君 |
二十一番 | 田代ひろし君 |
二十二番 | 川井しげお君 |
二十三番 | いなば真一君 |
二十四番 | 近藤やよい君 |
二十六番 | 藤田十四三君 |
二十七番 | 大河原雅子君 |
二十九番 | 土屋たかゆき君 |
三十番 | 竹下 友康君 |
三十一番 | 田中 智子君 |
三十二番 | 浅川 修一君 |
三十三番 | 清水ひで子君 |
三十四番 | 吉田 信夫君 |
三十五番 | かち佳代子君 |
三十六番 | 鈴木貫太郎君 |
三十七番 | 森田 安孝君 |
三十八番 | 谷口 卓三君 |
三十九番 | 今井 悦豊君 |
四十一番 | 高島なおき君 |
四十二番 | 鈴木 一光君 |
四十三番 | 小礒 明君 |
四十四番 | 倉林 辰雄君 |
四十五番 | 遠藤 衛君 |
四十六番 | 野田 和男君 |
四十七番 | 三原 將嗣君 |
四十八番 | 樺山 卓司君 |
四十九番 | 藤田 愛子君 |
五十一番 | 和田 宗春君 |
五十二番 | 西条 庄治君 |
五十三番 | 馬場 裕子君 |
五十四番 | 藤岡 智明君 |
五十五番 | 古館 和憲君 |
五十六番 | 小竹ひろ子君 |
五十七番 | 小松 恭子君 |
五十八番 | 前沢 延浩君 |
五十九番 | 大木田 守君 |
六十番 | 曽雌 久義君 |
六十一番 | 石川 芳昭君 |
六十二番 | 白井 常信君 |
六十三番 | 前島信次郎君 |
六十四番 | 大西 英男君 |
六十五番 | 田島 和明君 |
六十六番 | 吉住 弘君 |
六十七番 | 三宅 茂樹君 |
六十八番 | 古賀 俊昭君 |
六十九番 | 吉野 利明君 |
七十番 | 比留間敏夫君 |
七十一番 | 星野 篤功君 |
七十二番 | 山本賢太郎君 |
七十三番 | 松本 文明君 |
七十四番 | 沢西きよお君 |
七十五番 | 坂口こうじ君 |
七十六番 | 田中 良君 |
七十七番 | 寺山 智雄君 |
七十八番 | 大山とも子君 |
七十九番 | 曽根はじめ君 |
八十番 | たぞえ民夫君 |
八十一番 | 松村 友昭君 |
八十二番 | 丸茂 勇夫君 |
八十三番 | 五十嵐 正君 |
八十四番 | 石井 義修君 |
八十五番 | 萩谷 勝彦君 |
八十六番 | 桜井良之助君 |
八十七番 | 田村 市郎君 |
八十八番 | 花川与惣太君 |
八十九番 | 新藤 義彦君 |
九十番 | 野村 有信君 |
九十一番 | 宮崎 章君 |
九十二番 | 井口 秀男君 |
九十三番 | 藤沢 志光君 |
九十四番 | 立石 晴康君 |
九十五番 | 清原錬太郎君 |
九十六番 | 小山 敏雄君 |
九十七番 | 大山 均君 |
九十八番 | 藤川 隆則君 |
九十九番 | 河合秀二郎君 |
百番 | 尾崎 正一君 |
百一番 | 東ひろたか君 |
百二番 | 野村 友子君 |
百三番 | 池田 梅夫君 |
百四番 | 村松みえ子君 |
百五番 | 植木こうじ君 |
百六番 | 土持 正豊君 |
百七番 | 中山 秀雄君 |
百八番 | 橋本辰二郎君 |
百九番 | 藤井 富雄君 |
百十番 | 桜井 武君 |
百十一番 | 白井 威君 |
百十二番 | 山崎 孝明君 |
百十三番 | 佐藤 裕彦君 |
百十四番 | 川島 忠一君 |
百十五番 | 矢部 一君 |
百十六番 | 内田 茂君 |
百十八番 | 渋谷 守生君 |
百十九番 | 田中 晃三君 |
百二十番 | 奥山 則男君 |
百二十一番 | 三浦 政勝君 |
百二十二番 | 嶋田 実君 |
百二十三番 | 小林 正則君 |
百二十四番 | 西田ミヨ子君 |
百二十五番 | 渡辺 康信君 |
百二十六番 | 木村 陽治君 |
百二十七番 | 秋田かくお君 |
欠席議員(一名)
百十七番 三田 敏哉君
欠員
八番 十番 十五番
二十五番 二十八番 四十番
五十番
知事 | 石原慎太郎君 |
副知事 | 福永 正通君 |
副知事 | 青山やすし君 |
副知事 | 浜渦 武生君 |
出納長 | 佐々木克己君 |
教育長 | 横山 洋吉君 |
政策報道室長 | 安樂 進君 |
総務局長 | 大関東支夫君 |
財務局長 | 木内 征司君 |
警視総監 | 野田 健君 |
主税局長 | 大塚 俊郎君 |
生活文化局長 | 高橋 信行君 |
都市計画局長 | 山下 保博君 |
環境局長 | 中野 英則君 |
福祉局長高齢者施策推進室長兼務 | 前川 燿男君 |
衛生局長 | 今村 皓一君 |
労働経済局長 | 浪越 勝海君 |
住宅局長 | 戸井 昌蔵君 |
消防総監 | 池田 春雄君 |
建設局長 | 古川 公毅君 |
港湾局長 | 齋藤 哲哉君 |
交通局長 | 寺内 広壽君 |
水道局長 | 赤川 正和君 |
下水道局長 | 横山 博一君 |
都立大学事務局長 | 川崎 裕康君 |
多摩都市整備本部長 | 田原 和道君 |
中央卸売市場長 | 大矢 實君 |
選挙管理委員会事務局長 | 南 靖武君 |
人事委員会事務局長 | 中山 弘子君 |
地方労働委員会事務局長 | 歩田 勲夫君 |
監査事務局長 | 久保田康治君 |
収用委員会事務局長 | 安間 謙臣君 |
二月二十一日議事日程第一号
第一 第一号議案
平成十三年度東京都一般会計予算
第二 第二号議案
平成十三年度東京都特別区財政調整会計予算
第三 第三号議案
平成十三年度東京都地方消費税清算会計予算
第四 第四号議案
平成十三年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計予算
第五 第五号議案
平成十三年度東京都母子福祉貸付資金会計予算
第六 第六号議案
平成十三年度東京都心身障害者扶養年金会計予算
第七 第七号議案
平成十三年度東京都中小企業設備導入等資金会計予算
第八 第八号議案
平成十三年度東京都農業改良資金助成会計予算
第九 第九号議案
平成十三年度東京都林業改善資金助成会計予算
第十 第十号議案
平成十三年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計予算
第十一 第十一号議案
平成十三年度東京都と場会計予算
第十二 第十二号議案
平成十三年度東京都都営住宅等保証金会計予算
第十三 第十三号議案
平成十三年度東京都都市開発資金会計予算
第十四 第十四号議案
平成十三年度東京都用地会計予算
第十五 第十五号議案
平成十三年度東京都公債費会計予算
第十六 第十六号議案
平成十三年度東京都新住宅市街地開発事業会計予算
第十七 第十七号議案
平成十三年度東京都多摩ニュータウン事業会計予算
第十八 第十八号議案
平成十三年度東京都市街地再開発事業会計予算
第十九 第十九号議案
平成十三年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算
第二十 第二十号議案
平成十三年度東京都病院会計予算
第二十一 第二十一号議案
平成十三年度東京都中央卸売市場会計予算
第二十二 第二十二号議案
平成十三年度東京都臨海地域開発事業会計予算
第二十三 第二十三号議案
平成十三年度東京都港湾事業会計予算
第二十四 第二十四号議案
平成十三年度東京都交通事業会計予算
第二十五 第二十五号議案
平成十三年度東京都高速電車事業会計予算
第二十六 第二十六号議案
平成十三年度東京都電気事業会計予算
第二十七 第二十七号議案
平成十三年度東京都水道事業会計予算
第二十八 第二十八号議案
平成十三年度東京都工業用水道事業会計予算
第二十九 第二十九号議案
平成十三年度東京都下水道事業会計予算
第三十 第三十号議案
東京都情報通信技術講習推進基金条例
第三十一 第三十一号議案
東京都情報公開条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例
第三十二 第三十二号議案
東京都組織条例の一部を改正する条例
第三十三 第三十三号議案
東京都職員定数条例の一部を改正する条例
第三十四 第三十四号議案
職員の再任用に関する条例
第三十五 第三十五号議案
職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
第三十六 第三十六号議案
職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例
第三十七 第三十七号議案
職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第三十八 第三十八号議案
職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
第三十九 第三十九号議案
非常勤職員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第四十 第四十号議案
外国の地方公共団体の機関等に派遣される職員の処遇等に関する条例の一部を改正する条例
第四十一 第四十一号議案
東京都職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第四十二 第四十二号議案
都と特別区及び特別区相互間の財政調整に関する条例の一部を改正する条例
第四十三 第四十三号議案
特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第四十四 第四十四号議案
市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第四十五 第四十五号議案
東京都区市町村振興基金条例の一部を改正する条例
第四十六 第四十六号議案
東京都育英資金貸付条例の一部を改正する条例
第四十七 第四十七号議案
東京都政務調査費の交付に関する条例
第四十八 第四十八号議案
東京都多摩ニュータウン事業会計条例
第四十九 第四十九号議案
東京都地方公営企業の設置等に関する条例の一部を改正する条例
第五十 第五十号議案
東京都都税条例の一部を改正する条例
第五十一 第五十一号議案
東京都都税事務所設置条例の一部を改正する条例
第五十二 第五十二号議案
東京都収入証紙条例の一部を改正する条例
第五十三 第五十三号議案
東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例
第五十四 第五十四号議案
学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例
第五十五 第五十五号議案
学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
第五十六 第五十六号議案
学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第五十七 第五十七号議案
都立学校等に勤務する講師の報酬等に関する条例の一部を改正する条例
第五十八 第五十八号議案
義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置に関する条例の一部を改正する条例
第五十九 第五十九号議案
学校職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第六十 第六十号議案
東京都教育委員会職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第六十一 第六十一号議案
東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
第六十二 第六十二号議案
東京都立高等学校の寄宿舎使用料徴収条例の一部を改正する条例
第六十三 第六十三号議案
東京都立大学条例の一部を改正する条例
第六十四 第六十四号議案
東京都都市計画局関係手数料条例の一部を改正する条例
第六十五 第六十五号議案
東京都景観条例の一部を改正する条例
第六十六 第六十六号議案
東京都廃棄物条例の一部を改正する条例
第六十七 第六十七号議案
東京都保育士試験手数料条例の一部を改正する条例
第六十八 第六十八号議案
東京都児童福祉施設条例の一部を改正する条例
第六十九 第六十九号議案
東京都身体障害者更生援護施設条例の一部を改正する条例
第七十 第七十号議案
東京都社会事業学校条例を廃止する条例
第七十一 第七十一号議案
東京都高等保育学院条例を廃止する条例
第七十二 第七十二号議案
東京都保育士修学資金貸付条例を廃止する条例
第七十三 第七十三号議案
東京都公益質屋施設の処分に関する条例を廃止する条例
第七十四 第七十四号議案
東京都立養護老人ホーム条例の一部を改正する条例
第七十五 第七十五号議案
東京都衛生局関係手数料条例の一部を改正する条例
第七十六 第七十六号議案
食品製造業等取締条例の一部を改正する条例
第七十七 第七十七号議案
東京都ふぐの取扱い規制条例の一部を改正する条例
第七十八 第七十八号議案
東京都労働経済局関係手数料条例の一部を改正する条例
第七十九 第七十九号議案
東京都立技術専門校条例の一部を改正する条例
第八十 第八十号議案
東京都立食品技術センター条例の一部を改正する条例
第八十一 第八十一号議案
東京都輸出手形買取損失てん補条例の一部を改正する条例
第八十二 第八十二号議案
東京都大規模小売店舗立地審議会条例の一部を改正する条例
第八十三 第八十三号議案
東京都飼料検定条例の一部を改正する条例
第八十四 第八十四号議案
東京都中央卸売市場条例の一部を改正する条例
第八十五 第八十五号議案
東京都海上公園条例の一部を改正する条例
第八十六 第八十六号議案
東京都営住宅条例等の一部を改正する条例
第八十七 第八十七号議案
東京都小笠原住宅条例の一部を改正する条例
第八十八 第八十八号議案
公共事業の施行に伴う移転資金貸付条例の一部を改正する条例
第八十九 第八十九号議案
東京都市計画事業亀戸・大島・小松川第二地区第一種市街地再開発事業施行規程等の一部を改正する条例
第九十 第九十号議案
東京都市計画事業四葉二丁目付近土地区画整理事業施行規程等の一部を改正する条例
第九十一 第九十一号議案
東京都市計画池袋二丁目付近土地区画整理事業施行規程を廃止する条例
第九十二 第九十二号議案
東京都公営企業職員の給与の種類及び基準に関する条例の一部を改正する条例
第九十三 第九十三号議案
東京都公営企業職員の結核休養に関する条例の一部を改正する条例
第九十四 第九十四号議案
東京都下水道条例の一部を改正する条例
第九十五 第九十五号議案
警視庁警察署協議会の設置に関する条例
第九十六 第九十六号議案
警視庁の設置に関する条例の一部を改正する条例
第九十七 第九十七号議案
警視庁職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第九十八 第九十八号議案
警視庁関係手数料条例の一部を改正する条例
第九十九 第九十九号議案
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例及び東京都テレホンクラブ等営業及びデートクラブ営業の規制に関する条例の一部を改正する条例
第百 第百号議案
東京消防庁職員定数条例の一部を改正する条例
第百一 第百一号議案
東京都消防関係手数料条例の一部を改正する条例
第百二 第百二号議案
東京消防庁職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第百三 第百三号議案
都立世田谷地区単位制高等学校(十二)建設工事請負契約
第百四 第百四号議案
都営住宅十二H―三〇一東(町屋六丁目)工事請負契約
第百五 第百五号議案
都営住宅十二H―一〇一北(東大和向原)工事請負契約
第百六 第百六号議案
平成十二年度新海面処分場Gブロック西側護岸地盤改良工事(その二)請負契約
第百七 第百七号議案
包括外部監査契約の締結について
第百八 第百八号議案
土地の売払いについて
第百九 第百九号議案
土地の売払いについて
第百十 第百十号議案
平成十三年度内に締結する輸出手形買取損失てん補契約に基づいて成立するてん補対象金額の総額について
第百十一 第百十一号議案
債務弁済協定調停申立事件に関する調停について
第百十二 第百十二号議案
多摩川流域下水道南多摩処理区の建設に要する費用の関係市の負担について
第百十三 第百十三号議案
平成十二年度の連続立体交差事業の実施に伴う費用の関係特別区・市の負担の変更について
第百十四 第百十四号議案
平成十三年度の連続立体交差事業の実施に伴う費用の関係特別区・市の負担について
第百十五 第百十五号議案
一級河川の指定の廃止に関する意見について
第百十六 第百十六号議案
平成十二年度東京都一般会計補正予算(第二号)
第百十七 第百十七号議案
平成十二年度東京都特別区財政調整会計補正予算(第一号)
第百十八 第百十八号議案
平成十二年度東京都公債費会計補正予算(第一号)
第百十九 第百十九号議案
平成十二年度東京都新住宅市街地開発事業会計補正予算(第一号)
第百二十 第百二十号議案
平成十二年度東京都市街地再開発事業会計補正予算(第一号)
午後一時開会・開議
○議長(渋谷守生君) ただいまから平成十三年第一回東京都議会定例会を開会いたします。
これより本日の会議を開きます。
○議長(渋谷守生君) まず、会議録署名議員の指名を行います。
会議録署名議員は、会議規則第百二十四条の規定により、議長において
十三番 山本 信君 及び
七十二番 山本賢太郎君
を指名いたします。
○議長(渋谷守生君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。
○議事部長(會田紳次君) 平成十三年二月十四日付東京都告示第百十八号をもって、知事より、本定例会を招集したとの通知がありました。
また、同日付で、本定例会に提出するため、議案百二十件の送付がありました。
次に、知事及び各行政委員会より、平成十三年中における東京都議会説明員及び説明員の委任について、地方自治法第百二十一条及び東京都議会会議規則第四十二条の規定に基づき、それぞれ通知がありました。
次に、知事より、平成十二年第四回定例会の会議において同意を得た東京都教育委員会委員及び東京都固定資産評価審査委員会委員の任命について、発令したとの通知がありました。
次に、東京都包括外部監査人より、平成十三年二月九日付で、平成十二年度包括外部監査報告書その二の提出がありました。
次に、知事より、地方自治法第百八十条第一項の規定による議会の指定議決に基づく専決処分について、報告が二件ありました。
内容は、訴えの提起、損害賠償額の決定及び和解に関する報告について並びに東京都高等学校・大学等進学奨励事業に係る貸付金の償還免除に関する報告についてであります。
最後に、監査委員より、平成十二年度各会計財務監査、平成十一年度執行分、平成十二年度行政監査及び例月出納検査の結果について、それぞれ報告がありました。
(別冊参照)
○議長(渋谷守生君) 次に、文書質問に対する答弁書について申し上げます。
平成十二年第四回定例会に提出されました、大西由紀子さん、福士敬子さん、藤田十四三君、三原將嗣君、和田宗春君及び坂口こうじ君の文書質問に対する答弁書は、質問趣意書とともに送付いたしておきました。ご了承願います。
〔文書質問趣意書及び答弁書は本号末尾に掲載〕
○議長(渋谷守生君) 次に、閉会中の議員の辞職について申し上げます。
去る二月二十日付をもって、新宿区選出山崎泰君より、議員を辞職したい旨、届け出がありました。
本件は、地方自治法第百二十六条ただし書きの規定により、議長において、同日付をもって辞職を許可いたしました。
○議長(渋谷守生君) 次に、閉会中の行財政改革基本問題特別委員の辞任及び選任について申し上げます。
去る一月四日付をもって、山崎泰君より辞任願が提出されましたので、委員会条例第十一条第一項ただし書きの規定により、議長において、同日付をもってこれを許可いたしましたので、ご報告いたします。
なお、ただいまご報告いたしました特別委員の辞任に伴い、欠員を補充する必要が生じましたので、委員会条例第五条第四項の規定により、議長において、同日付をもって三浦政勝君を指名いたしました。
お諮りいたします。
本件は、議長の指名のとおり承認することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(渋谷守生君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、議長指名のとおり承認することに決定いたしました。
○議長(渋谷守生君) 会期についてお諮りいたします。
今回の定例会の会期は、本日から三月二十九日までの三十七日間といたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(渋谷守生君) ご異議なしと認めます。よって、会期は三十七日間と決定いたしました。
○議長(渋谷守生君) この際、知事より、平成十三年度施政方針について発言の申し出がありますので、これを許します。
知事石原慎太郎君。
〔知事石原慎太郎君登壇〕
○知事(石原慎太郎君) 二十一世紀の幕をあける平成十三年第一回都議会定例会の開会に当たり、ことし一年の施政方針を申し述べ、都議会の皆様、都民の皆様のご理解とご協力を得たいと思います。
初めに、JR新大久保駅での勇気ある行為について申し上げます。
一月二十六日、関根史郎さんと李秀賢さんは、ホームから転落した男性を救うため線路内におり、命を落とされました。人の危難を救おうとした勇気ある行為が、無念の結果をもたらしたことはまことに痛ましく、深く哀悼の意を表し、心からご冥福をお祈りいたします。
この正月、私は、新世紀の到来を非常に複雑な思いで迎えました。我々は次の世代に一体何を引き継ぐことができるのか、この先の展望に思いをめぐらすとき、新しい世紀の訪れを喜ぶ気持ちよりも、今を生きる政治家として、責任の重さを強く感じました。
高度な文明社会の中で生きる我々は、現在、三つの重大な危機に直面しております。
第一の危機は、東京の危機であります。
住民の安全は、最優先で守るべき行政の基本課題であります。しかし、汚染された大気の中で健康がむしばまれ、凶悪犯罪の増加や都市型災害の危険性により、安全神話は過去のものとなりつつあります。経済活動や産業活動に目を向けると、バブルの後遺症から抜け出せないまま、大型倒産や雇用不安が続き、東京の活力は著しく低下しております。また、自己中心的な考え方が広く社会に蔓延し、これまでであればだれもが当然に守ってきた基本的なルールが崩壊しかけております。通勤ラッシュや交通渋滞は改善が進まず、大都市活動を支える交通基盤を整備するには、莫大な投資が必要であります。
東京は、世界都市としての地位が揺らぎ、国際競争力をますます失う危機に直面しております。
第二の危機は、日本の危機であります。
昨年十二月、アメリカ国家情報会議(NIC)は、二〇一五年の時点で、日本は、アメリカ、EUと並んで世界の三極を構成することが困難になるとの予測を発表いたしました。さらに、構造改革のおくれにより、アジアにおけるリーダーとしての地位を失うとも示唆しております。これが現在の日本の客観的な姿であり、我々は、世界の中で、これまで築き上げてきた地位から転落する危機に瀕しております。
このような状況を招いたのは、政治、経済の指導者に、いつの間にか責任感がなくなり、痛みを伴う決断ができなくなったためであります。危機にあって、何ら抜本的改革を行うことなく問題の先送りを繰り返す間に、国際社会からは、自己決定のできない国、国家のアイデンティティーを失った国とみなされるようになりつつあります。
第三の危機は、地球の危機であります。
人類は、三万年に及ぶ歴史を通じ進歩を続けてきました。特に、工業化をなし遂げたこの二百年余りの間、高度な文明社会を形成し、便利で豊かな生活を当たり前のものとして享受するようになりました。しかしそれは、四億年をかけて地球がつくり出したエネルギー資源を猛烈なスピードで消費することにより成り立っている社会であります。今や、オゾン層の破壊、砂漠化の進行、異常気象の頻発など地球環境は大きく狂い始め、我々の行く末に暗い影を投げかけております。
豊かさの代償として地球の寿命を大幅に縮めているのが、今日の実態であります。自己制御できないほど高度に発達した文明を持ったがゆえに、人類はみずから滅亡に向かって転げ落ちてしまう、皮肉な危険と対峙していることを直視する必要があります。
一昔前、我々のだれもが、二十一世紀は希望に満ちた輝かしい世紀になるものと夢見ておりました。しかし、現実は、非常に危うい状況の中で新世紀への船出を迎えることになりました。このまま事態を放置すれば、今世紀の終わりには、東京も、日本も、地球上の人類も、消えて存在しなくなる懸念すらあります。二十一世紀は、人類の存亡をかけた世紀であることを肝に銘じる必要があると思います。
このような状況を打開していくには、まず、変革を阻もうとする旧弊を打ち破ることが必要であります。二十一世紀において人類存続の足かせとなる最大の弊害は、資源の浪費に痛痒を感じない大量消費型の社会、高度成長のみを至上のものと考える社会であります。
長い年月をかけて構築されたこれまでのシステムを清算するには、非常に大きなエネルギーを必要といたします。しかし、みずからの存在をかけて生き残るためには、避けて通れない過程であり、その苦難を乗り越えてこそ、初めてその先に、新しい文明社会の光が見えてくるのです。
人類が目指すべき新しい社会は、地球と共存しながら合理的成長を持続する自律型文明社会であり、それは、脱産業革命とも呼ぶべき環境革命を通じて成立いたします。
基本となるのは、従来の価値観の転換と環境の視点に立った技術革新であり、地球環境との調和であります。その中で我が国が果たすべき役割は、足るを知る心と節度をわきまえた行動を世界共通の認識として広めることであります。
そのためには、まず、西洋社会に追いつき追い越すということを最大の目的としてきたこれまでの考え方と決別する必要があります。同時に、地理的、文化的、歴史的にアジアの一員であることを十分自覚し、アジアに軸足を置くことを内外に明確に示すことが必要となります。アジアとの交流を深めることでこそ、新しい文明の受け皿となる生活スタイルを編み出すこともできると思います。
これからの日本は、アジア諸国との連携を深めることで初めて、三極構造を維持し、アメリカ、EUと対等なパートナーとしての関係を築くことが可能となり、また、世界への発信力を持つこともできます。
このような社会を造形していく上で、東京が直接実行できることは限られております。しかし東京は、みずからが変わることにより日本を変えることを決意し、行動を開始いたしました。東京が渾身の力を込めた一石を投じれば、それが日本を変え、世界にも影響を及ぼす大きなうねりになっていくと確信しております。
これから先、東京から日本へ、さらに世界へと変革の輪を広げる気概を持って、時代を先取りする政策に取り組んでまいります。多くの国家や都市、そこで生活する人々が、物質的な充足以外に高い価値を認めようとしない中、東京が行動を起こす意味は決して小さくはありません。東京が持てる力を十全に発揮し、国家のため、世界のため、あらゆる努力を傾けること、それが世界都市である東京の責務であり、都民が生き残ること、ひいては人類が生き残ることにもつながってまいります。
新しい文明社会の誕生に向け、近代文明を超克するスクラップ・アンド・ビルドを行い、合理性を失った考え方や古いシステムを断ち切る先鞭をつけます。
就任以来、私は、危機意識の徹底とスピードの重視を都政運営の基本としてまいりました。今後も、この二点を根底に置きながら、さらに三つの具体的課題を機軸に据えて、都政運営に当たってまいります。
第一は、広く国にも地方にも通用する新しい行政のフォーマットを東京で造形することであります。
古来マルコポーロの時代より、人、物の交流は、新しい文明へのアクセスとして重要な役割を果たしてまいりました。国際化が進む今日、空港は、国家の玄関口として、その国の文明を表象する施設であります。
東京は、アジアにおける国際金融センターとしての地位をシンガポールや香港に脅かされつつありますが、東京近郊に、もしもう一つ国際空港が存在していれば、このような事態は決して生じなかったはずであります。航空政策のおくれが経済に大きな影響を及ぼしており、これは、我が国の戦略性の欠如を示す典型的な事例であります。
東京圏の空港容量は、国際線ではわずか五年、国内線もあと十年以内には限界に達することが明らかでありながら、首都圏第三空港の建設に向けた国の動きは非常におくれております。昨年末、東京都が羽田空港の再拡張を提案したことで、国はようやく動きを見せ、来年春までに複数の候補地を選定する予定のようであります。しかし、切迫した現況においては、そのような悠長な考え方では、ますます国際社会から取り残されてしまいます。一日も早く羽田空港の再拡張を正式に決定し、工事に着手すべきであることを強く訴えてまいります。
先月、焼津市上空で起きた航空機のニアミスは、一歩間違えば史上空前の大惨事となるところでありました。今回の事件では、東京の西の空に大きく立ちはだかる見えない壁、すなわち横田空域の存在を見逃すことができません。横田空域は、戦後、米軍の管理下にあり、ごく一部のルートを除き、民間機が通過することは許されておりません。このため、東京から西へ向かう航空機は、極めて不自然な飛行を余儀なくされております。国民の空の安全を守るため、横田空域を含む横田飛行場の返還を引き続き強く求めてまいります。
たとえ国の専管事項であろうと、都民のみならず、国家、国民のためになることであれば、今後も、具体的な問題提起をこの東京から次々と行っていきたいと思います。
災害時の危機管理も、国の対応がおくれている分野であります。万一の場合の備えとして防災訓練は欠かせないものですが、関係機関が緊密に連携した大規模な訓練は、これまでほとんど行われておりませんでした。
東京都は、昨年九月、国にも参加を呼びかけ、史上最大規模の防災訓練を実施いたしました。ことしは、九月一日に、昨年の訓練からさらに改良を加えた総合防災訓練を多摩地区で実施いたします。そこでは、地域に密着した区市町村が主体となり、自衛隊、警察、消防など関係機関と住民が多数加わった、より実践的な訓練を行います。また新たに、災害対策関係者の判断、指揮、調整能力の向上を目指して、本部運営のための訓練も事前に実施いたします。この二年間をかけた防災訓練を通じて、危機管理の一つの処方せんが確立できるものと考えております。
こうした東京独自の発想による政策を幾つも積み上げることで、新しい行政のフォーマットをつくり上げていきたいと思っております。
第二は、前世紀から持ち越した莫大な負の遺産を清算することであります。
膨らむ一方の財政赤字、いまだ解消しない不良債権、一向に進展しない規制緩和など、我が国には難題が山積しておりますが、とりわけ東京に深く関連する負の遺産は、首都移転問題であります。
衆議院の特別委員会は、昨年五月、二年後を目途に移転先候補地を絞り込むことを抜き打ち的に決議しており、このままでは、ことしは絞り込み作業が本格化することになります。移転反対の声が高まっているにもかかわらず、国は、国民の疑問に何ら答えることなく、一方的に手続を進めようとしております。我々は、このような国の暴走を一刻も早く阻止する必要があります。
国は、首都移転と国政全般の改革を車の両輪と称し、国政を改革するには、その受け皿となる首都を移転する必要があると論じております。これは、全く本末転倒した詭弁であり、国政を改革できないみずからの無為無策を覆い隠すために、首都移転を使っているとしか考えられません。
例えば、情報技術、ITに関しては、五年以内に世界の最先端国家となることを目標に掲げております。この目標を実現する最善の方策は、政策の重点化により東京を最先端の電子都市に変身させ、IT立国の拠点とすることであります。しかし、技術力はありながら決断力がないために、思い切ったIT戦略を実行できず、我が国は沈むばかりであります。
今後は、首都東京圏を構成し、三千三百万の人口を抱える七都県市が共同して、都市機能の分散策や直下型地震への対応策などを検討し、首都移転の代案ともなる具体的な国土利用のあり方を国民に示したいと考えております。その上で、広く意見を集約し、都議会の皆様とも一致団結しながら、首都移転の白紙撤回、すなわち国会等の移転に関する法律の廃止へ、国を追い込んでまいりたいと思います。よろしくご協力をお願いいたします。
東京都には、社会情勢の見通しを誤ったため、採算の悪化した事業がたくさん残されております。将来にわたって責任ある都政運営を行っていくためには、そうした問題を包み隠さず都民に明らかにすることが、何よりも重要であります。その上で、最も効果的な解決策を提示し、強い決意を持って実行すること、それが託された使命であると考えております。
多摩ニュータウン事業や白鬚西地区などの市街地再開発事業については、もはや巨額の欠損の発生が避けられないと判断し、事業の見直しと再構築に着手いたします。
地価の低迷が続く中、臨海副都心開発事業会計は、財政基盤を強化することが喫緊の課題であり、埋立事業会計、羽田沖埋立事業会計と統合いたします。これは、あくまでも収支を改善させるための一つの手法であり、今後も大胆な改革を行ってまいります。
第三は、ただいま申し上げた二つの方針を進めていく基盤を新しく構築することであります。
昨年末に策定した都政改革ビジョンⅠでは、執行体制や仕事の進め方など全庁的な行財政システムを中心に、十五年度までの改革策を具体的に示しました。この四月からは、トップマネジメント補佐機能の強化や産業政策の充実など、現下の行政課題に迅速に対応する新しい体制をスタートさせます。
IT化の促進は、時代の必然であります。しかし大切なことは、行政改革の手段としてITを十分に活用することであります。いたずらにIT化を叫ぶ声に振り回されることなく、基盤整備や職員の意識改革を確実に進め、三年後に電子都庁を実現いたします。
都庁の改革と並び、監理団体の改革も重要な柱であります。進行管理を専門に担当する組織や外部の専門家を活用しながら、監理団体が継続して改革に取り組むよう、厳しく目を光らせてまいります。
交通機関や情報基盤が飛躍的に整備され、地域間のつながりが緊密化しているにもかかわらず、都道府県の枠組みは、戦後、全く変わっておりません。しかし、市街地が都県境を超えて広がる中で、ディーゼル車対策や社会資本整備、産業廃棄物対策など、広域化しなければ効果的な解決を図ることのできない問題が著しく増加しております。現行の国家体制と地方自治制度がもはや十分に機能していないことは、我が国の現状が明確に示しております。
近く策定に着手する都政改革ビジョンⅡでは、東京圏における自治体のあり方について、地方自治制度の根幹にまで踏み込んだ検討を行います。国から地方への真の分権、すなわち財源を伴った権限移譲についても具体策を提言いたします。こうした取り組みを通じて、地方主権が確立し、住民の声に柔軟、迅速に対応できる体制が実現するものと考えております。
今後、都議会の皆様とも幅広く議論を重ねながら、これからの地方自治のあり方を考え、問題提起してまいります。
一方、基礎的自治体である区市町村においても、現行の行政区域の見直しは避けられないものと考えます。過日策定した市町村合併に関する検討指針は、合併に関する考え方と情報を都民、市町村に示したものであります。
合併は、あくまでも区市町村が住民の意向を踏まえて自主的に行うものですが、地方主権のさらなる充実のために、積極的に行動されることを要望しておきたいと思います。
東京が先駆的な政策を打ち出し、内外へメッセージを発信していくためには、財政を早期に立て直し、みずからの足元を固める必要があります。
一昨年の夏に財政再建推進プランを策定して以降、東京都は、全国で最も厳しい職員給与の削減など、懸命の取り組みを続けております。十三年度には、このプランの前半の到達点となりますが、八兆円に迫る都債残高を抱えるなど、都財政は、依然として厳しい状況に置かれております。
今後の経済情勢も、決して楽観できるものではありません。政府は、時代おくれで効果の少ない公共投資を繰り返すだけであり、このような手法が景気の回復に何の力もないことは、この十年の経過が端的に証明しております。また、アメリカ経済は、効果的な金融政策にも支えられ、長く繁栄を続けてまいりましたが、昨年後半から、急激に失速を始めております。我が国にも、この先、輸出、株価、設備投資など多くの点で影響があらわれてくるものと思われます。このほか、個人消費の伸び悩み、住宅投資の減少なども見込まれることから、今後は、景気が後退することを覚悟しておくべきであり、いたずらな楽観論を展開することは禁物であります。
都政にとって、十二年度、十三年度の税収に増加が見込まれる点は、数少ない明るい材料でもあります。しかし、私には、構造改革に赤信号がともることのないよう、最悪の事態をも想定しながらシナリオをかく責任があります。税収の増加は、あくまでも一時的な現象であるとの認識に立ち、財政構造改革を確実に進めてまいりたいと思います。
同時に、東京の都市機能を妨げ、都民生活に多大な影響を及ぼす問題については、いかに財政が逼迫していても、集中的に財源を投入し、早期の解決に力を注ぐ必要があります。
そこで、十三年度は、第一に、財政再建推進プランに基づき、引き続き、みずから厳しい内部努力を実施するとともに、すべての施策について聖域なく見直しを行うこと、第二に、財政構造改革を進める中、首都東京の再生を目指すための施策を厳選し確実な実行を図ること、この二点を基本として予算編成に臨みました。
この基本方針に基づき、職員定数については千二百七十九人を削減し、監理団体においても四百七十人の職員を削減いたします。
こうした内部努力や外形標準課税の導入などにより、十三年度では、二千百億円の新たな財源を確保することができました。しかしなお千四百億円を超える財源が不足し、減債基金の積み立ての一部先送りなど、臨時的な財源対策に頼らざるを得ませんでした。
十三年度予算の規模は、三年ぶりに増加には転じましたが、その多くは公債費の伸びなどによるものであります。国のように総花的に予算をばらまくのではなく、濃淡をつけ、都市整備、環境、福祉を重点化することで、実質的な歳出を前年並みに抑制した堅実な予算といたしました。
また、十二年度最終補正予算では、都税収入の増加を財源として、隠れ借金の一部を削減いたしました。
歳入の三分の一以上を国債の発行に頼り、国税収入の八倍近い国債残高を抱えている国家財政に比べ都財政は、起債依存度も都債残高も、国の四分の一以下の水準におさまっております。国とは対照的に東京都は、構造改革の努力が数字の上でも成果となってあらわれております。
しかし、財政再建は、まだまだ道半ばでしかありません。構造的な赤字体質を転換するまでには至っておらず、巨額の隠れ借金をどのように解消していくかも、めどが立っておりません。
行く手には多くの難問が待ち受けておりますが、今後も決して手を休めることなく、構造改革に取り組んでまいります。皆様のご理解とご協力をお願いいたします。
国が頼りにならない中で、このままでは、東京は、国家とともに溶けてなくなってしまいかねません。東京は、国に先んじて、今ある危機から自力で再生する必要があります。
昨年末に策定した東京構想二〇〇〇では、五十年先を展望した東京の望ましい姿を描くとともに、今後三年間で重点的に取り組む事業も示しました。十三年度は、この三カ年の推進プランの確実な実行を図りながら、急を要する事案についても緻密に対応してまいりたいと思います。
近代社会発展の過程で、環境問題は複雑化、深刻化してまいりました。以前から続く水質汚濁、大気汚染などの公害に加え、今日では、温暖化の進展など、地球全体に影響の及ぶ問題が発生しております。今や、地球への負荷をどこまで抑制できるかが問われる時代となっております。
抜本的な地球環境対策は、国が責任を持つべきことでありますが、東京都も、温暖化対策やフロン対策など、地球との調和に結びつく事業を積極的に推進しております。また、都会のヒートアイランド現象を緩和するために、屋上緑化の推進や道路の透水舗装などに取り組んでおります。このほかにも、都市の活動には多大なエネルギーを必要とすることから、燃料電池、太陽光発電など、エネルギーの新たなあり方を考えてまいりたいと思います。
これから先、環境問題に対処するには、都庁全体で取り組む体制を構築することが不可欠であります。年内に策定する環境基本計画では、地球環境対策にも目を向けながら、総合的な対策を明らかにいたします。
ディーゼル車の排気ガスは、都民の生命と健康を直接脅かしており、その削減は、一刻の猶予も許されない課題であります。東京都は、発生源対策、交通量の抑制など、多面的に施策を展開しております。
不正軽油撲滅作戦は、単に税収を確保するためだけではなくて、環境問題にも対処するため開始いたしました。非常に大規模な作戦であり、全庁を挙げて横断的に取り組んでおります。また、広く社会に問題提起して、都民と協働する土壌をつくり、大きな世論を形成することで、個別の利益を代表する圧力に対抗しております。
ディーゼル車などからの抜き取り検査では、何と一割を超える不正が発見され、取り組みの必要性を裏づける結果があらわれております。脱税の疑いがある業者に対しては、今後も摘発に向けた調査を続けてまいりますが、特に悪質な業者については、秩序犯としての強制調査を実施し、過日、東京地方検察庁へ告発いたしました。ここまで徹底した措置は、全国でも初めての事例となりますが、このような悪質な行為を放置することは行政の責任を放棄することになると考え、断固たる対応を指令いたしました。
今後も、悪質なケースには厳しく対処しながら、この問題に対する意識を一層喚起することで、不正軽油の使用を撲滅し、大気汚染を抑制していきたいと考えております。
昨年末に制定した環境確保条例に基づき、都内では、十五年十月から、基準を満たさないディーゼル車の走行を禁止いたします。規制に先立ち、今後二年間で、微粒子を除去する装置の装着に対する助成、低公害車等を購入する際の低利融資のあっせんなど、排気ガスの削減に向けた誘導策を集中的に実施いたします。
これまでの福祉は、行政を中心とする閉ざされた世界で展開されてきたため、行き詰まりを見せ始めております。行政が一律にサービスを提供する従来のシステムは、柔軟性や効率性の面で限界に達しており、今後は、多様な民間事業者が競争を通じてサービスを提供することが求められております。
行政は、施設の整備、利用者保護の仕組みづくりなどのほか、企業やNPOの参入を促し、質と量の両面において高い水準のサービスを確保する必要があります。しかし、国は、規制緩和のスピードがまことに遅く、民間の参入にさまざまなハードルを設けております。
都は、国に先駆けた独自の施策を展開し、利用者本位の開かれた福祉をこの東京から築いていくため、福祉改革推進プランに基づき、十三年度予算において重点的に財源を配分いたしました。
子どもの送り迎えに便利な駅前保育所は、住民の要望が強いにもかかわらず、国の認可基準では事業として採算が合わないことから、これまで設置が進みませんでした。このため、企業経営を可能にする東京独自の認証保育所制度を創設し、駅前保育所の設置を促進してまいります。
高齢者の福祉、医療の複合施設として、来年の開設を目指し建設を進めている高齢者専門病院については、独立採算の導入も視野に入れ、公募により運営事業者を選定いたします。
一方、心身障害者に対しては、十五年度に予定されている、措置から契約への制度の移行に備えて、今後三年間で、生活寮、グループホーム、授産施設など、地域での生活や活動の場を重点的に拡大いたします。さらに、精神障害者の自立と社会参加を促進するため、社会復帰施設の整備を積極的に推進してまいります。
このほか、重症心身障害児施設が存在しない区部の東部地域に、十七年度の開設を目指し、東部療育センターを新設いたします。
総合救急診療を行う東京ERは、この秋、第一弾として、墨東病院で開始いたします。子育て世代から大きな期待を寄せられている小児救急については、小児科医が三百六十五日二十四時間対応する体制を確保してまいります。
戦後の日本は、どのような人材を育成するのか明確な方針がなく、加えて、結果の平等を偏重する考え方に引きずられ、画一化された、およそおもしろみのない教育しか行われてきませんでした。
今や、四則演算が満足にできず、我が国の歴史も正確に知らないまま義務教育を終了する生徒がふえるなど、基礎学力の低下が懸念される状況となっております。世界を舞台に活躍し得る個性や創造力を伸ばすための教育も、全く不十分なままであります。そればかりか、他人への思いやりや規範意識など、社会人としての基本的な心得を持たない若者たちがふえております。
教育は、人間が人間らしく存在するための全人格を形成する、極めて重要な場であります。また、人間が備えている感性と情念を育てる場でもあります。これからは、家庭や地域を含め社会全体で人材を育成することが必要であり、東京都は、崩壊しかけている教育体制の再構築を積極的に進めております。
教科書を見れば、その国の教育がわかります。我が国の歴史や文化を尊重しながら、国際社会の中で日本の未来を担う人材を育成する上で、教科書は、特に重要な役割を果たしております。複数の教科書の中から、より適切な教科書を採択することは、教育委員会が果たすべき責任の中でも最も大切なことの一つであります。しかし、教育委員会は、実質的な採択行為を下部機関に任せてしまうなど、重責を果たしているとは到底思えない実態であります。
今まで放置されていたこのような状況を改善するため、過日、東京都の教育委員会は、区市町村の教育委員会に対し、教科書の採択に当たって改善すべき事項を指摘し、通知いたしました。
ことしは、新学習指導要領に基づく最初の教科書採択の年でもあります。区市町村の教育委員会は、教科書の持つ重みを十二分に認識すべきであります。東京都教育委員会の指導のもとに、みずからの責任において適切に教科書を採択し、採択後は、速やかにその経緯等を住民に公表して、採択事務の透明性を高めていくべきであると考えます。
先般発表した大学改革基本方針は、都立の大学が、人材育成と学術研究の両面で大きな存在感を持つとともに、東京の発展に貢献し、都民に開かれた知的共有財産となるべきことを明らかにいたしました。再編・統合や経営責任の明確化など大学経営のあり方も含め、今後広範に議論を重ね、この夏取りまとめる大学改革大綱の中で、大学が生まれ変わるための具体策を明確にいたします。
昨年の十月に発足した心の東京革命推進協議会には、六十余りの各種団体、企業が加入していただいており、幅広い都民運動が進みつつあります。来月から、家族ふれあいの日を開始し、あわせて、子どもとともにまちをきれいにする統一的行動も展開いたします。これが、社会貢献の喜びを体験する機会になることを期待しております。
世界から見た東京のすぐれた長所の一つは、良好な治安にありました。しかし最近では、殺人、強盗など凶悪犯罪や、来日外国人による犯罪が著しく増加しております。とりわけ、来日外国人の犯罪者グループは、国内の犯罪組織と結びつきを強めながら、銃器、薬物の密輸入、ピッキング用具を使用した侵入窃盗など、悪質な犯罪を引き起こしております。
犯罪が凶悪化、複雑化し、治安に対する都民の不安が広がる中、いかに都民を守っていくかが、大きな課題となっております。
このため、東京都は、十三年度予算において、ピッキング対策を講じるなど、最近増加している新たな犯罪に対し、的確な予防と取り締まりを進めてまいります。
今後、警察との連携を一層深めながら、東京の治安の強化に取り組んでまいります。
国際的な都市間競争が激しさを増す中、これからの東京は、政策の誘導により、魅力と刺激に満ちた都市づくりを体系的に進めていくことが必要であります。行政だけでなく、都市に住み、働く住民や企業においても、公共性の重視、地域との調和など責任ある行動が求められます。
この秋に策定する、東京の新しい都市づくりビジョンでは、今後の都市づくりの戦略や新たな仕組みを示し、国家的な重要課題でもある都市再生への道筋を明らかにいたします。
近年の副都心の整備に伴い、業務機能は分散化が進んでおりますが、一方、都心部は、老朽化した施設が目立ち始め、地盤沈下を来しております。日本の心臓部ともいうべき都心の重要性をもう一度認識し、首都にふさわしい風格とにぎわいのある国際ビジネス街としての再生を行いたいと考えております。首都東京の顔である東京駅丸の内広場や行幸通りの再整備は、都心再生の一つの取り組みでもあります。
古くから電気街として発達し、東京の中でも、すぐれた個性と世界的な知名度を持つ秋葉原は、現在、区画整理を積極的に進めております。私は、我が国のIT拠点として、秋葉原を先鋭的なまちにつくり上げ、これからの地区開発のモデルにしていきたいと思っております。今後、民間企業の提案にも耳を傾けながら、世界の情報が集まり、新しいビジネスや技術が生まれ育つ、先端産業の集積地にしたいと考えております。
築地市場は、首都圏の基幹市場として、都民の生鮮食料品の安定供給に大きく貢献をしております。しかし、現在の築地市場は、老朽化が著しく、二十一世紀の中核を担う市場への再生を目指した場合、移転による抜本的な整備が必要であると考えます。そのため、豊洲地区を新しい市場の候補地とし、今後、関係者と本格的な協議を進めてまいります。
都市基盤の整備は、未来につながる財産を築く極めて重要な領域であり、厳しい財政状況の中でも、投資効果の高い事業は着実に推進する必要があります。
慢性的な道路の渋滞は、多大な経済損失と環境悪化を引き起こしており、広域幹線道路の整備促進とボトルネックの解消が、有効な改善策となります。
外環道は、先月の国土交通大臣の現地視察をきっかけに、整備促進の機運が熟してまいりました。国に対しては、一日も早く計画の凍結を解除するよう、強く要請いたします。東京都では、実現に向け、地元との話をさらに精力的に進めてまいります。首都高速中央環状線についても、品川線の計画を早期に具体化し、圏央道とあわせ、三環状道路の完成に向けて積極的に取り組んでいきたいと思います。
また、ボトルネックの原因となっている踏切を早期に解消するため、従来の連続立体交差事業に加え、工法上の工夫により緊急的に立体交差を実現する、踏切すいすい事業を開始いたします。京浜急行線では、羽田空港へ間近につながる環状八号線を初め二十八カ所の踏切について、工期を短縮し、解消したいと考えております。先日、現地を視察した総理大臣からも、強い賛同の意が示されました。
さらに、来年度から三年間で、渋滞が激しい幹線道路を対象に、違法駐車の取り締まりの強化、荷さばきのスペースの確保など、路上駐車対策を集中的に講じてまいります。
アジアは、今世紀、世界で最も発展を遂げる可能性を持っておりますが、そのためには、日本が中心となり、社会的、経済的に連帯と協力を深めることが不可欠であります。
現在進めているアジア大都市ネットワーク21は、アジアの各都市が、物づくりなど実践的な課題を通して信頼関係を高める、有力な機会となります。この秋に東京で開催する第一回会議では、具体的な共同事業を決定いたします。
二十一世紀には、情報の収集、発信力がますます重要性を高めてまいります。東京の魅力を世界に発信し、広く浸透させることは、都市の活性化に直結いたします。
我が国のアニメ産業は、世界市場の六割を占め、その多くが東京に集積しておりますが、近年は、海外の企業が力をつけていることから、一層の市場拡大と競争力の強化に努める必要があります。このため、新世紀東京国際アニメフェア21を十三年度に東京で開催し、新しい文化産業として振興を図るとともに、東京のアニメを世界に発信してまいります。
また、映画やテレビなどを通して東京の魅力を広く伝えるため、撮影の許可や相談に関する総合窓口、東京ロケーションボックスを設置し、東京を舞台とした映像の制作を積極的に支援いたします。
第二回となるローン担保証券は、二千五百社を超える参加の申し込みを受け、来月、総額三百三十億円の債券を発行いたします。今回は公募方式による販売を実施し、広く一般の投資家からも資金を調達することで、直接金融に近づけたいと考えております。
先日、空き庁舎を利用した新たな創業支援施設「ベンチャー・SUMIDA」を視察いたしました。斬新なアイデアを持つ起業家の活躍に接し、産業再生の曙光を見る思いがいたしました。多くの入居希望者があり、新たな産業を育成する手法として期待できることから、十三年度には、同様の施設を八王子市と千代田区に設置いたします。ここから、将来大きく飛躍を遂げる企業が育ち、収益の一部が東京都に還元されることを期待しております。
高層ビルが林立する都心から、美しい山並みを誇る奥多摩の山々、洋々たる海原に包まれた小笠原まで、東京には実にさまざまな顔があります。これからの多摩・島しょの発展のためには、区部との同一性を志向するのではなく、相互に競い合いながら、それぞれの地域が持つ豊かな個性、特性を磨いていくことこそが重要であります。
近年、多摩は、神奈川県、埼玉など環状方向の人の動きが増加しており、独自の発展も見え始めております。今後は、核となる都市を中心に広く交流、連携しながら、自立した地域を形成し、東京圏のバランスのとれた発展に寄与していくことが必要であります。
また、先日策定した多摩の将来像素案は、こうした認識のもと、活力と魅力にあふれた多摩を創造するため、環状方向の道路整備や特色を生かした産業の振興など、重点的な取り組みを明らかにいたしました。
独立採算により運営される東京スタジアムは、来月開業いたします。Jリーグ二チームの本拠地として、スポーツ振興の舞台となるのはもちろんのこと、地域の交流の場や文化活動の拠点として、多くの方々に利用されることを期待しております。
島しょについては、観光客が減少している伊豆諸島を中心に、PRやアクセスの向上などの振興策を講じたいと思います。また、被災した三宅島、新島、神津島においては、引き続き、道路や産業の復旧、復興に向けた取り組みを推進いたします。
特に、避難生活が長期化している三宅島の方々に対しては、都営住宅を継続して提供するほか、教育、就労などの生活支援に力を尽くしてまいります。国に対しても、補助制度の新設を初めとする復旧対策の強化をさらに求めてまいります。
ことしは、都民から負託を受けた任期の折り返しの年となります。
これまで、私は、東京や我が国が直面している危機的状況を繰り返し訴え続けてまいりました。しかしなお、国の政治家の大半は、危機の本質に気づいていないように思われてなりません。危機の中にあって、危機を自覚していないところに、本当の危機が潜んでおります。
日本人は、本来、危機を克服する知恵と勇気を持ち合わせております。我々の祖先は、幾多の国難に直面してきましたが、その都度、信じられないような力を発揮して危機を乗り越え、さらに飛躍のばねとしてまいりました。
問題は、我々が、窮地に立っている現実にいつ目覚め、強い意志を持っていつ行動を起こし始めるかであります。多くの国民が危機に立ち向かうようになるまで、引き続き、東京からのメッセージを発信してまいりたいと思います。
東京は、G7の一員であるカナダを上回るGDPを有しております。この東京がメッセージを発信することが、いかに重要で大きな意味を持っているか、二年間の経験を通じて、強く実感いたしました。
東京都の働きかけにより、国も少しずつ動き出しております。紛れもなく、東京が腰の重い国を動かしていると思います。
この先、国を変え、さらに世界をも動かす起爆剤となるためにも、東京は、一刻も早く危機から脱出し、いい意味で強くなることが必要であります。幸い、この間の取り組みにより、変化の胎動は確実なものとなっております。これまでのメッセージが決して空虚なお題目で終わることのないよう、再生に向けた政策を一つ一つ堅実に実行してまいりたいと思っております。
国に多くを期待できない以上、二十一世紀における新たな道筋を東京から示すことは、我々東京の政治家の役割であり、また責任でもあります。これは、首都東京でしかなし得ない仕事であるといっても過言ではありません。新しい文明社会の中で、地球と共生する世界をつくり上げていくため、全力を尽くしたいと考えております。
都議会の皆様、都民の皆様の一層のご理解とご協力を心からお願いいたします。
なお、本定例会には、予算案三十四件、条例案七十三件、契約案四件など、合わせて百二十件の議案を提案しております。よろしくご審議をお願い申し上げます。
以上をもちまして、私の施政方針表明を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
○議長(渋谷守生君) 以上をもって知事の発言は終わりました。
○議長(渋谷守生君) 次に、警視総監より、都内の治安状況について発言の申し出がありますので、これを許します。
警視総監野田健君。
〔警視総監野田健君登壇〕
○警視総監(野田健君) 都内の治安状況についてご報告いたします。
まず初めに、東京都議会の皆様には、平素から警視庁の運営の各般にわたって格別のご高配を賜っているところであり、厚く御礼を申し上げます。
昨年は、香淳皇后が崩御され大喪儀がとり行われましたほか、故小渕恵三前総理の葬儀、九州・沖縄サミット、そしてロシア、韓国及び中国首脳の来日と、重要な国家的行事が相次ぎましたが、警視庁は、その総力を挙げて、これらの行事に伴う警備を完遂いたしました。
また、新島・神津島近海地震及び三宅島雄山の噴火に際しては、直ちに部隊を投入して救護や避難誘導等の災害警備活動に当たるとともに、不自由な避難生活を余儀なくされている三宅島の皆様に対して、その心情に配慮したさまざまな支援を行ってまいりました。火山活動の一日も早い終息を祈りつつ、東京都災害対策本部との緊密な連携のもとに、引き続き各種の対策を講じてまいります。
この間に都内では、犯罪の凶悪化、国際化、巧妙化そして組織化、スピード化、さらにハイテク化が一段と進展し、死傷者多数の地下鉄事故が発生したほか、交通人身事故も増加するなど、極めて厳しい状況に直面いたしました。警視庁では、都民の皆様のご理解とご協力のもとに、これらの課題に全力で取り組み、首都東京の治安維持と都民生活の安全確保に努めてまいりました。
以下、その状況についてご説明申し上げます。
第一は、犯罪捜査活動についてであります。
昨年中の都内における刑法犯の認知件数は二十九万一千三百七十一件で、前年を八・七%上回り、過去最多の件数を記録いたしました。その内訳を見ますと、殺人や窃盗のうちのひったくり、自動販売機荒らしなどを除き、ほぼすべての罪種にわたって認知件数が増加しております。
当庁では、凶悪犯、重要窃盗犯等を重点として強力な捜査活動を展開し、昨年は、重要凶悪事件二十七件につき、特別捜査本部を開設して懸命の捜査を進めました。その結果、特別捜査本部事件について、昨年中に開設数の六三%に当たる十七件を検挙し、さらに本年に入り三件を検挙いたしました。また、殺人事件全体では、百三十八件、百六十七人を検挙して、検挙率九一・四%を確保いたしました。
しかしながら、年末に至り、現金輸送車を襲ったけん銃使用の強盗殺人事件、住宅内で一家四人が殺害される強盗殺人事件が立て続けに発生いたしました。全力を投じてこれら未解決事件の捜査を進め、一刻も早く犯人を逮捕して、都民の不安感の解消に努めてまいります。
また、昨年は、時代の要請に的確にこたえるという観点から、各部門の特性を生かした多角的な捜査活動の推進に力を注いでまいりました。
まず、贈収賄、企業犯罪等の主要知能犯や金融・不良債権関連事犯等、あるいは宗教法人「法の華三法行」代表者らによる大規模な組織的詐欺事件の検挙、弁護士五人を逮捕した悪質整理屋グループの解体等を推進いたしました。
交通部門では、大手自動車製造販売会社の組織的リコール隠しに絡む道路運送車両法違反事件を検挙したほか、過労運転、過積載等に起因する重大交通事故の捜査を通じ、背後に潜む事業者や法人等の刑事責任を追及して、安全軽視の風潮に一石を投ずることができました。
さらに公安部門では、在日ロシア大使館づき武官が絡んだ自衛隊法違反事件や北朝鮮工作員の検挙等を通じて、対日有害活動の実態を解明したほか、「よど号」ハイジャック事件被疑者、ハーグのフランス大使館占拠事件で手配中の日本赤軍最高幹部奥平房子らの逮捕などがありました。
また、急増するハイテク犯罪に対処するため、昨年二月にハイテク犯罪対策総合センターを新設し、各種ハイテク犯罪の防止対策とあわせて捜査を進めた結果、不正アクセス事件、インターネット利用の詐欺、名誉毀損など、前年を大幅に上回る百六件を検挙いたしました。
以上のような各種の捜査活動を通じて、昨年は、刑法犯全体で、七万六千五百八十五件、四万六千五百六十二人を検挙いたしました。認知に対する検挙率は前年を下回りましたが、重点を志向した捜査活動を推進した結果、逮捕した被疑者の留置状況では、昨年一年間の留置延べ人員が十年前の二・六倍、過去最多の約八十六万人に上ったのであります。なお、その二五・三%、すなわち四人に一人が外国人でありました。
今後とも、各部門それぞれの特性を余すところなく発揮し、時代の要請に応じた強靱で柔軟な捜査体制の確立を図るとともに、被害者の支援に配意し、また関係者の基本的人権を十分に確保しつつ、あらゆる犯罪の適切な検挙、解決に努めてまいります。
第二は、組織犯罪対策についてであります。
まず、国際組織犯罪について申し上げます。
来日外国人の刑法犯検挙人員が増加を続ける中で、昨年は、殺人、強盗等の凶悪犯の検挙総人員の約一割に当たる九十八人が来日外国人でありました。しかも、その犯行の八割近くは日本人を対象とした凶悪犯罪であり、凶悪化した来日外国人犯罪者がターゲットを日本人へとシフトさせている実態がうかがわれるのであります。
また、ピッキングと呼ばれる小型用具でドアの錠前を開く手口の侵入窃盗被害が急増し、昨年は、前年の二倍に迫る一万一千八十九件を認知いたしました。当庁では、こうしたピッキングによる侵入窃盗及びこれから派生した強盗等の犯罪で、昨年中四百四十五人を検挙いたしましたが、その七割を超える三百二十人が、密入国、不法残留等の中国人でありました。
特に最近のピッキング事犯では、中国人グループが日本人を手先に使い、車の運転や見張り役のほか、奪った通帳、カード等による預金の引き出しや商品の詐取、盗品の換金処分等を担当させる例が目立ち、国内外の犯罪者、犯罪組織同士が結びつきを強めているものと認められます。
こうした実態から、当庁では、国際組織犯罪の撲滅を当面最重要の課題に据えて、昨年十一月に国際組織犯罪特別捜査隊を正式に発足させ、その体制を抜本的に拡大強化するなど、強力な取り締まりの推進に向けて、陣形を整えたところであります。引き続き、国際組織犯罪特別対策推進本部の統轄下に、各署及び関係各所属の総力を結集するとともに、全国警察及び関係各機関、外国治安機関等との連携を強化して、諸対策を推進する決意であります。
次に、暴力団対策について申し上げます。
都内の暴力団は、約六百五十の組織と一万六千人余の勢力を保持しておりますが、山口組と在京暴力団との対立を軸に、依然緊張が続いており、昨年は、暴力団によるけん銃発砲事件九件が発生し、暴力団員等五人が殺害されたのであります。また、暴力団は、その資金源を求めてさまざまな手段を講じており、その過程で犯罪を繰り返しています。また、さきに申し上げたとおり、一部では国際犯罪組織との結びつきを強めており、十分な警戒が必要であります。
当庁では、昨年中も山口組を最重点として取り締まりの徹底を図り、山口組の構成員等九百八十四人を含む約六千五百人の暴力団員を検挙するとともに、暴力団等保有の六十二丁を含む百二十八丁のけん銃を押収いたしました。
薬物事犯では、暴力団のほか、これと結託するイラン人の、最近ではさらに中国人等の犯罪組織の暗躍が目立っており、昨年は、中国ルート、北朝鮮ルートの摘発等により、覚せい剤、大麻等各種の薬物、総計約三百キログラムを押収し、三千二百五十人を検挙いたしました。
銃器や薬物乱用のない社会を実現するため、引き続き、東京都銃器対策推進本部との連携による総合的な銃器対策や、薬物乱用の防止に関する広報啓発活動等を積極的に展開してまいります。
暴力団対策法の運用に関しては、松葉会及び國粹会の第三回の指定を終え、指定暴力団五団体合計約五千二百人を中心に動向把握を徹底して、中止命令二百九十五件、再発防止命令十一件を発出いたしました。
また、暴力団追放運動推進都民センターとの連携により、暴力団組織の解散と組事務所の撤去等を進めたほか、東京証券取引所の新興企業市場「マザーズ」に上場する会社の会長と暴力団幹部らによる暴力行為等処罰法違反事件を解明し、同人らを逮捕して、証券市場からの暴力団一掃を図ったのであります。
今後は、都民への暴力団情報の提供を一層充実させるなど、暴力団排除活動推進体制の強化に努めて、暴力団の存在しない、安心して住める東京の実現を目指してまいります。
第三は、少年非行対策についてであります。
昨年は、夢の島緑道公園内で発生した強盗殺人事件で十四歳と十五歳の少年らを検挙したほか、新宿歌舞伎町のビデオ店爆破事件、渋谷駅前の雑踏で通行人八人を金属バットで襲った連続傷害事件など、少年による特異な凶悪事件の発生が目立ちました。また、暴走族による傷害致死事件、路上殺人事件等が連続して発生いたしました。
当庁では、少年の特性に配慮しつつ、これらの犯罪について厳正に捜査を遂行するとともに、非行助長集団の実態把握及び補導活動を徹底して、昨年は、約一万五千人の非行少年を補導し、暴走族十四グループを解体させました。
また、心の東京革命と連動した親と子の悩み電話相談や非行防止教室、少年に対する一声運動を初め、規範意識の醸成や有害環境の浄化等を幅広く展開しております。
本年も、これらの非行防止対策を積極的に推進するとともに、児童福祉法や一昨年十一月に施行された児童買春、児童ポルノ法の適正な運用により、少年の福祉を害し、その健全な成長を阻む悪質事犯の検挙に努めてまいります。
第四は、警備情勢についてであります。
極左暴力集団は、中核派が世田谷区内で運輸省幹部宅車両爆破事件を引き起こしたのを初め、昨年は、全国で六件、うち都内で四件の凶悪なテロ、ゲリラ事件を敢行いたしました。また、主流、反主流両派の対立が続く革労協では、凄惨な内ゲバの応酬が続いており、都内で三件の内ゲバ事件が発生し、活動家二名が惨殺されました。さらに、革労協反主流派が拠点を置く明治大学では、学園祭の中止をめぐって革労協から批判されていた学生部長が、通勤途上に襲撃を受けて重傷を負うという卑劣な事件が発生し、当庁では、重点的な捜査を進めるとともに、警戒措置を徹底して続発防止に努めております。
一方、右翼は、自主憲法制定の主張を基軸としつつ、北朝鮮による日本人拉致問題など内外の諸問題に反応して、政府や関係機関等に対する抗議、要請行動を展開しており、なお警戒を要するところであります。
当庁では、都民をも巻き添えにしかねないテロ、ゲリラ及び内ゲバ等の凶悪な事件に対する取り締まりを徹底し、昨年は、極左各派の活動家合計五十六人、右翼関係者百八十五人を検挙し、本年も引き続いてこの種事案の防圧、検挙に努めております。
次に、オウム真理教が改称した「アレフ」でありますが、昨年末現在、全国で約千六百五十人の信者を擁しており、都内には、約六百五十人の信者が居住し、六カ所の主要施設と十一の関連企業があるものと見ております。同教団は、表面的な活動こそ控えておりますが、反社会的な本質には変化がなく、水面下での組織の再構築と拡大をもくろんでいるところがうかがわれます。特に昨年九月以降は、教団最高幹部が都内に転入したことに伴い、各転入先周辺で信者等が絡むトラブルが続いているほか、本年一月には、信者が集団で居住する世田谷区内のマンションにけん銃弾が撃ち込まれるという事件が発生いたしました。
当庁では、不法行為を絶対に見過ごさないとの方針を立て、教団の動向を注視しておりますが、今後とも、関係機関や自治体等と緊密な連携を保ちつつ、警戒措置を講じるなどして、都民の不安感の軽減を図ってまいります。
第五は、交通対策についてであります。
昨年、東京では、若者の事故の激増を背景に交通事故死者が二年連続して増加し、五年ぶりに四百人を超えるなど、交通情勢は一段と厳しさを増しております。
この緊急事態を受けて、当庁では、昨年秋の全国交通安全運動に引き続いて、悪質・危険性、迷惑性の高い違反の取り締まり等を重点とした特別対策を展開するとともに、関係自治体や都民各層の幅広いご協力を得て、交通安全思想及びマナーの普及向上等に努めてまいりました。その結果、本年に入り、一月中の交通事故死者数が昨年比で大幅に減少するなどの好転の兆しがあらわれ、「限りなき「0ゼロ」への挑戦 二〇〇一」をスローガンとして、引き続き諸対策を進めることとしております。
ところで、二十一世紀にふさわしい安全で快適な交通社会にするためには、交通の「安全」、「円滑」及び「公害等の防止」という、道路交通法が目的とする三つの観点のうち、従来以上に交通の円滑に重点を置き、円滑、快適に走行するがゆえに騒音や排気ガスが減少し、質の高い交通の安全が実現するという、調和のとれた対策を講じていく必要があると考えております。
既に、交通の流れをよくする信号の現示調整、道路標識、標示の整理、改良や、規制そのものの見直しにまで踏み込んだきめ細かな対策を進めているほか、機動力を生かした渋滞解消活動、迷惑性の高い駐車違反や快適な交通流を阻害する乱暴な走行の徹底した取り締まり、適切な交通情報の提供等を推進しております。これらに加えて、昨年、各警察署に配備した公害取り締まり検問車の活用や、さらにTDM・交通需要マネジメントの検討、ITの活用等にも積極的に取り組み、施策のレベルアップを図っていくこととしております。
第六に、地域と都民の視点に立った諸活動について申し上げます。
初めに、交番等を基盤とする地域安全活動についてであります。
交番及び駐在所は、その活動が第一線の警察活動を支える原動力であるばかりでなく、地域の安全、安心のよりどころとして、その重要性が増しており、当庁では、交番所長、交番相談員の配置や都市型駐在所の増設など、人と施設の両面から、交番や駐在所の機能強化を図っております。
また、運用面では、ピッキング事犯やひったくりを初め、都民の身近に発生する犯罪や事故を防止し、安全で明るく住みよいまちをつくるために、ピッキングに強い錠の普及や「ワンドア、ツーロック」を呼びかけるなど、防犯教室、防犯広報等の諸活動を積極的に推進しております。今後とも、自治体その他の関係機関や地域の住民各層と一体となり、これら対策の拡充を図ってまいります。
次は、相談業務についてであります。
都民から警察に寄せられる相談は、数の増加と内容の多様化が顕著であります。そこで、昨年四月に、相談の受理とその処理に関するシステムを大幅に改めるとともに、当庁本部の生活安全相談センターや警察署の相談受理体制を強化して、相談の一つ一つについて、迅速で的確な対応を徹底するよう努めております。
特にストーカー相談については、昨年十一月、ストーカー規制法の施行と同時に警視庁ストーカー対策室を設置し、被害者の保護を期して、防止対策及び悪質事犯の取り締まりを進めており、本年一月末までに百七十六件の相談を受理するとともに、新法に基づき三人を検挙したほか、十六人に対し警告を行い、法の適正な執行に努めております。
また、犯罪等の被害に遭われた方々に対し、当庁では、事件直後からの付き添い支援や診断書費用の公負担などを進め、支援施策の拡充を図っておりますが、昨年四月に被害者支援都民センターが設立され、当庁の犯罪被害者ホットラインに加えて、同センターの電話相談、面接相談が利用できるようになりました。今後とも、同センターや各警察署被害者支援ネットワークの連携をさらに強め、被害者の個別の要望に即した支援に努めてまいります。
次に、昨年第三回定例会で制定いただきました、いわゆるぼったくり防止条例は、十二月十日から運用を開始し、指定区域を管轄する各警察署を中心に指導、取り締まりを徹底した結果、悪質店舗そのものが大幅に減少し、被害も激減しております。
当庁では、今回のケースを貴重な教訓として、法令の間隙をねらう悪質な事案を的確に防止、規制するための条例を、今後とも必要に応じて積極的に提案してまいりたいと考えております。
以上、都内の治安状況について申し上げましたが、東京都公安委員会及び警視庁では、昨年十二月の警察法の一部改正を受けて、公安委員会の機能の充実、地域の意向を反映した警察署業務運営の確立、都民の要望、相談等への的確な対応、そして、新たな時代にふさわしい警視庁の確立を骨子とした業務全般に及ぶ改革に着手したところであります。
ただいまご説明申し上げましたとおり、治安情勢は一段と厳しさを増しており、その中にあって、首都東京の治安維持及び都民生活の安全確保という重大な使命を全うするためにも、不退転の決意をもって、この警視庁改革に取り組んでまいります。
東京都議会の皆様には、警察活動を取り巻く諸般の状況及び本改革の趣旨についてご理解をいただき、今後とも、一層のご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げまして、私の治安状況報告を終わらせていただきます。
どうもありがとうございました。(拍手)
○議長(渋谷守生君) 以上をもって警視総監の発言は終わりました。
○議長(渋谷守生君) 次に、監査委員より、監査結果の報告について発言の申し出がありますので、これを許します。
監査委員矢部一君。
〔百十五番矢部一君登壇〕
○百十五番(矢部一君) 監査委員を代表いたしまして、過去一年間における監査結果の概要について、ご報告申し上げます。
昨年の都政は、引き続く深刻な財政危機の中、財政再建推進プランに基づき、内部努力や施策の見直し、さらには行財政制度の改革等のさまざまな取り組みを、全庁を挙げて実施してまいりました。
また、都は、電子都庁化を標榜し、東京構想二〇〇〇をまとめ、二十一世紀の前半を視野に入れた将来のビジョンを明らかにするとともに、具体的な施策や政策の目標値等を都民に向けて発表し、少子化、高齢化や情報ネットワーク社会への対応に向け、積極的に施策を展開していくことといたしております。
私たち監査委員は、このような都政を取り巻く状況を念頭に置いて、都の各種事務事業が適切な規模、内容をもって効率的、効果的に運営され、その目的の達成度に留意しつつ、予算が適正かつ効率的に執行されているかについて、各種監査を実施してまいりました。
その結果、予算及び各種事務事業は、全体としては適正に執行されているものの、各局や公営企業、出資団体における事業運営状況等に関して、なお一部に是正改善すべき事項が見受けられましたので、合計百六十二件の指摘をするとともに、三十一件の改善・要望等の意見を表明した次第であります。
以下、具体的な事例を挙げながら、監査種別ごとにご報告申し上げます。
初めに財務監査について申し上げます。
財務監査は、財務に関する事務の執行及び経営に関する事業の管理について、年一回定例的に実施するものであります。平成十一年度執行分については、本庁の百五十二部及び三百四カ所の事業所を対象とし、また、重点監査事項といたしまして、経費の節減とともに環境マネジメントの視点をも踏まえて、印刷物作成経費を設定して、実施いたしました。
その結果、十九局に対し、合わせて七十八件の指摘をするとともに、九件の改善・要望等の意見を付しております。さらに、IT化の進展とともにプリンターで処理すべきもの、コピーで処理すべきもの、印刷で処理すべきもの、CD―ROM化すべきもの等、今後検討の余地があることを付記しておきたいと思います。
まず、重点監査事項につきましては、部内の複写機でコピーした方が経済的であるにもかかわらず印刷を行っているもの、あるいは、印刷原稿の誤りにより再度印刷を行っているものなど、不経済な支出が行われているもの、印刷物については、再生紙を使用すべきこと等の基本方針が示されているにもかかわらず、これが守られていないなど、印刷物の作成が適切に行われていないもの二十九件を指摘いたしました。
次に、収入関係につきましては、固定資産税、都市計画税を減免していた二件の家屋について、減免の適用対象とならなくなった後も減免し続け、その額が合計二百八十五万余円に達していたものなど、都税等の収入確保に適切を欠くもの十六件を指摘いたしました。
支出・契約関係につきましては、所有施設の下水道料金に関し、集中冷房設備用としての冷却塔から蒸発する水の相当分を申告すれば下水道料金が軽減されるにもかかわらず、申告を行わず過大に支払っているものなど、事務処理に適切を欠くものや、経済性、効率性の面で問題のある業務運営が行われているもの、合わせて二十一件を指摘いたしました。
また、財産の管理等につきましては、雨水貯留槽に集水した雨水をトイレ洗浄水として活用することとしていたものが、雨水を全く利用していないもの、取得した財産の価額が誤って台帳に記載されているものなど、十二件を指摘いたしております。
さらに、特定の相手方と二十七件の特命随意契約を締結しているが、特命とする理由に乏しいことから契約方法の見直しを検討するよう求めたものなど、合わせて九件の改善・要望等の意見を付しております。
次に、随時監査について申し上げます。
随時監査は、社会動向や都政の状況に即応した機動的な監査を行っていく必要性から、定期的な監査とは別に随時実施するもので、平成十一年度においては、貸付金の管理と、特別区へ移管される清掃事業、の二件について監査を実施いたしました。その結果、貸付金の管理については、育英資金貸付条例に基づく奨学金の貸し付けについて、期限までに返済されていない金額が多額になっているにもかかわらず、連帯保証人に対し返済の請求を行った事例が見受けられないものなど十六件を指摘したほか、意見・要望事項を一件付しております。
また、特別区へ移管される清掃事業については、公有財産の管理や工事の施行方法の選定等に係る問題点を七件指摘し、早急に解決を図り、事務移管が円滑に行われることを求めました。
次に、工事監査について申し上げます。
工事監査は、都の施行している工事について、技術面を主眼にして定期的に実施しているものであります。今回ご報告いたしますのは平成十一年度第三回工事監査分で、四百六十二件、千九百六十億余円の工事を対象として監査いたしました。
その結果、新海面処分場Cブロック南側護岸建設工事における一部の積算で、単価の適用を誤ったため積算額が約四百二十四万円過大となっているものなど三件を指摘いたしております。
以上、財務監査、随時監査及び工事監査について述べてまいりましたが、これらの監査において指摘した収入不足や不経済支出の金額を合計いたしますと、三千五百五十二万円となっております。
これらの指摘事項については、各局において、早急に是正改善するよう求めているところであります。
次に、行政監査について申し上げます。
行政監査は、特定の事務事業がその目的を十分に達成しているか、効率的な事業運営が行われているかなどを主眼として、都の事務の執行について監査しているものでございます。
平成十二年度においては、二回目の試みとして、前年度に引き続き、全庁的に横断して実施されている事業をテーマとすることとし、東京都監理団体への委託事業についてを対象に、委託の効果、委託に当たっての都の責任のあり方等の観点から監査を行いました。
その結果、スポーツ体育施設における健康体力相談等の委託について、事業に要する直接経費が利用料金に比べ多大なものとなっていたり、利用実積が低調となっているなどの実態が認められたもの、管理委託されている障害者施設での個人情報の保護について、受託団体との間で何らの取り決めもなく、必要な措置を行っておらず、利用者台帳の管理が不適切な状況が見受けられたものなど二十五件を指摘するとともに、事業を受託している団体がその事業を再委託している事例において、局が委託している金額と団体が再委託している金額との差が高額になっていることから、委託契約のあり方について検討するよう求めたものなど四件の意見・要望事項を付し、現在の厳しい財政状況を踏まえ、適正かつ効果的、効率的な事業の推進に努めるよう求めております。
続いて財政援助団体等監査について申し上げます。
財政援助団体等監査は、都が補助金等の財政援助を行っている団体、資本金の四分の一以上を出資している団体などが、財政援助等の目的に沿って、事業を適正かつ効率的に執行しているかどうか、また、団体の所管局が団体への指導監督を適切に行っているかどうかを主眼として実施いたしているものでございます。今回は、平成十一年度の後半に実施いたしました、百七十五の団体及びその所管局に対する監査についてご報告いたします。
主な指摘事例を挙げますと、私立学校経常費補助において、雇用契約書、出勤簿等の記録がない職員を本務事務職員として申請しており、その結果、補助金額が過大となっているもの、特別養護老人ホームに在宅複合型施設及び老人訪問看護ステーションを併設するとして補助を受けている法人が、補助申請等とは異なる目的外の使用をしており、施設の原状回復等必要な措置を講じる必要があるものなど、一部の団体及び所管局に十八件の指摘をするとともに、補助事業に係る事務処理の方法や出資団体の経営状況等に関して、三件の意見・要望事項を付しております。
次に、平成十一年度決算審査について申し上げます。
決算審査は、歳入歳出決算書等について、知事からの依頼を受け、決算計数に誤りはないか、予算執行が法令に従って効率的に行われているかなどを主眼に置いて、審査を行うものであります。
審査の結果、出納長所属各会計については、出資に関する権利二百五十六億余円が財産に関する調書に登載されていないなど、十五件の誤りを認めましたが、これを除いたほかの計数については誤りのないことを確認いたしました。
また、普通会計の執行状況全般について、実質収支では二年連続して赤字になるとともに、経常収支比率も一〇〇%を超えてさらに財政の硬直化が進行するなど厳しいものとなっていることから、さらなる施策の見直しや内部努力の徹底、税収構造の安定化など財政構造改革をより積極的に推進し、自主的な財政再建に向け、なお一層努力する必要があるなどの意見を付しました。
さらに、個別事業について、土地処分収入の収入率が低調な相原小山開発事業について、処分方法の見直しを図り、より一層土地処分の促進に努めるよう求めるなど、八事業について意見を付しました。
公営企業各会計については、審査に付された決算諸表は、当該会計の経営成績及び財政状態を適正に表示していることを確認いたしましたが、臨海副都心開発事業会計について、累積赤字が多額で経営が厳しいものとなっていることから、経営の健全化に向けて、より一層効率的な事業運営に努めるよう求めるなど、五会計について意見を付しました。
最後に、住民監査請求について申し上げます。
住民監査請求は、住民が執行機関や職員による財務会計上の行為に違法又は不当な行為があると認めるとき、監査委員に監査を求め、必要な措置を講ずることを請求するものでありますが、この一年間に二十二件を処理いたしました。
請求内容の内訳は、職員の給与や工事費などの公金支出に関するもの十九件、そのほか三件となっております。
その結果は、違法、不当とする請求人の主張には理由がないことから棄却したもの十三件、地方自治法に定められている住民監査請求の要件を欠いていることから、監査を実施せず却下したもの八件、請求人の主張に理由があることを認めて、措置すべき事項を執行機関に勧告したものが一件であります。
その一件は、国立市立小中学校の教職員が適正な手続をとらずに時間内組合活動を行っているとして、当該時間分の給与の返還を求めた請求について、この事実を認め、損害補てんのための必要な措置を講ずるよう勧告したものであります。
以上、監査結果について述べてまいりましたが、執行部局においては、これら監査結果に十分留意し、今後の事務の適正かつ効率的な執行に一段の努力を望むところであります。
なお、平成十年度及び平成十一年度に実施した監査の結果に基づいて、知事等の執行機関に措置を求めていた二百四十五件のうち二百三十九件について、知事等から措置を講じた旨、通知がありました。
現在、都は、危機的な財政状況に対処しつつ、少子化・高齢化社会、環境問題等のさまざまな課題の解決に向けた努力を重ねるとともに、将来を見据え、そのあるべき姿に即した質の高いサービスを提供できる体制をつくり上げるため、全庁的な改革に取り組んでおります。
私たち監査委員といたしましても、外部監査制度や行政評価の導入という、監査委員監査を取り巻く環境の変化に対応するため、咋年の七月にまとめられました「都における監査委員監査のあり方について」とする報告に基づき、これを今後の監査のあり方についての方針といたしていくことといたしました。この報告の内容も踏まえて、新年度から監査の方式を大きく見直していきたいと考えております。都における行財政運営の適正性を確保するという監査委員監査の基本的な使命を果たすために、都民が都政に求める期待に対応して、監査も変わる必要があるものと考えております。今後とも、都民の期待にこたえるべく、監査業務の遂行に万全を期してまいる所存でございます。
以上をもちまして監査結果のご報告とさせていただきます。(拍手)
○議長(渋谷守生君) 以上をもって監査委員の発言は終わりました。
○六十七番(三宅茂樹君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
本日の会議はこの程度をもって散会し、明二十二日から二十六日まで五日間、議案調査のため休会されることを望みます。
○議長(渋谷守生君) お諮りいたします。
ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(渋谷守生君) ご異議なしと認めます。よって、本日の会議はこの程度をもって散会し、明二十二日から二十六日まで五日間、議案調査のため休会することに決定いたしました。
なお、次回の会議は、二月二十七日午後一時に開きます。
本日はこれをもって散会いたします。
午後二時二十四分散会
一二財主議第六八四号
平成十三年二月十三日
東京都知事 石原慎太郎
東京都議会議長 渋谷 守生殿
文書質問に対する答弁書の送付について
平成十二年第四回東京都議会定例会における左記議員の文書質問に対する答弁書を別紙のとおり送付します。
記
大西由紀子議員
福士敬子議員
藤田十四三議員
三原將嗣議員
和田宗春議員
坂口こうじ議員
提出者 大西由紀子
質問事項
一 廃棄物処理施設について
二 旅券事務について
一 廃棄物処理施設について
最近の各種のダイオキシン調査によっても、欧米に比べて我が国における、ダイオキシン汚染は深刻なものとなっており、その対策は急務であると考えます。
このような中で、ダイオキシンを排出する恐れのある、清掃工場や廃棄物処理施設などについては、国基準ばかりでなく国際基準の早期達成をめざして、あらゆる対策を講じる必要があることはいうまでもありません。この中で、既存の施設の建て替えや増改築など施設の解体のプロセスでダイオキシンなどの有害物質が飛散することによって、周辺環境への影響は当然想定されるものです。
こうした施設の解体に関わる、労働安全衛生上の対策要綱などが国において整備されたことは当然ですが、これに伴い解体費用について従前の経費より大幅に増加することが想定される事態となりました。今回、国立市が設置した清掃工場について老朽化に伴い近隣三市と広域処理を実施することになったため、平成十一年三月に稼働を終了し、解体することになったが、その解体の費用については、従来の経費見積もりを大幅増で想定せざるを得ず、深刻な自治体の財政負担問題となっております。このような問題は、都内、そして全国にあっても当然問題化が予想されます。しかしながら、こうした解体費用については、現行国の補助金の対象ではなく、全くもってこの費用増加分については、自治体が背負うものとなっており、こうした事態が放置されるならば、ダイオキシン対策の遅れにつながりかねません。そこで以下質問致します。
1 この廃棄物処理施設の解体工事などに関わって整備されたダイオキシン類による健康障害防止対策の内容を伺います。
2 都として、この対策が都内の諸廃棄物処理施設の解体等の与える影響をどのように把握しているか、伺います。
3 国に対して、補助を要請すべきと考えます。都として、今後の対応を含め、見解を伺います。
二 旅券事務について
今日、都民の多くが海外渡航する機会が多くなり、旅券申請に関わる利便性の向上を求める声があります。
このような都民の要望に応え、様々な工夫をされていると考えますが、このような利便性の向上によって、私たちの個人情報の保護などについて、問題が生じることがあってはならないと考えます。
そこで以下の事項について質問致します。
1 日曜日や夜間など、旅券事務に関わる都民にとっての利便性の向上がめざされていますが、今後についての都の考え方を伺います。
2 現状でも、旅券事務について、都民の利便性をはかるため、事務の委託を行っていると聞いていますが、現行はどのような事務が委託されているのでしょうか。そして、個人情報の保護については、どのような基準と対策をもっているのでしょうか、伺います。
3 今後、申請や交付などについて、委託の拡大が検討されていると聞きます。これらの事務に関連して、当然戸籍や住民票など個人のプライバシーに関わる資料が、流出される可能性があります。むろん委託契約などにおいて、防止策を盛り込むとはいえ、法に拘束された公務員と異なると聞きます。どのように事故対策や個人情報の保護策を検討されているか、伺います。
以上
質問事項
一 廃棄物処理施設について
1 廃棄物処理施設の解体工事などに関わり、整備されたダイオキシン類による健康障害防止対策の内容を伺う。
回答
労働省は、平成十二年九月に、廃棄物焼却施設解体工事におけるダイオキシン類による健康障害防止対策を取りまとめました。その内容は、事業者から労働基準監督署への解体工事計画の事前届出、解体設備のダイオキシン類汚染の事前調査、作業中のダイオキシン類環境測定、解体作業における適切な保護具の使用などを定めたものとなっています。
質問事項
一の2 都は、この対策が都内の諸廃棄物処理施設の解体等に与える影響をどう把握しているのか、伺う。
回答
清掃工場の解体工事においては、この防止対策に基づき、ダイオキシン類調査、汚染物の除去、化学防護服等を使用しての作業、作業時の粉じん発生防止措置、排気・排水処理などを行うことが必要となり、工事期間の長期化と工事費用の増大が想定されます。
質問事項
一の3 廃棄物処理施設の解体等の費用補助を、国に対し要請すべきだが、今後の対応を含め、見解を伺う。
回答
この防止対策に基づく解体工事は、区市町村に大きな財政負担を与えることから、現在、全国衛生部長会においてその経費を補助対象とするよう国に要望する予定です。都としても、今後、国に要望していきます。
質問事項
二 旅券事務について
1 日曜日や夜間など、旅券事務に関わる都民にとっての、利便性の向上が目指されているが、今後の都の考えを伺う。
回答
旅券の申請受付は、月曜日から金曜日の午前九時から午後四時三十分まで実施しています。また、旅券の交付は、月曜日から木曜日の午前九時から午後六時三十分、金曜日の午前九時から午後四時三十分まで実施しています。
平成十三年度からは、都民サービスの向上を図るため、月曜日から木曜日までの交付時間をさらに一時間延長するとともに、日曜日にも午前九時から午後四時三十分まで交付を行います。
質問事項
二の2 都民の利便性向上のため、旅券事務の委託を行っているが、それはどのようなものか、伺う。また、個人情報の保護については、どんな基準と対策を持っているのか。併せて伺う。
回答
現在、旅券事務の中で委託しているのは、旅券の作成及び交付の業務です。
旅券の作成業務とは、主として申請書のデータ入力であり、これらについては、専門的技術を要するため、業務委託により効率的な処理を行っています。
また、交付業務とは、本人確認のうえ、旅券を交付する業務で、現在、新宿本課と有楽町分室で全日、池袋分室と立川分室では夜間延長時に委託で行っています。
次に、個人情報の保護については、業務上知り得た個人情報の全てを対象として、委託契約の中で守秘義務を課しています。また、申請に際して提出される戸籍、住民票等の個人情報に関わる書類は、職員が責任をもって保管しています。
質問事項
二の3 申請や交付などについて、委託の拡大が検討されているが、個人のプライバシーに関する資料が流出するおそれがある。事故対策や、個人情報の保護をどのように検討しているのか、伺う。
回答
旅券事務は個人情報を扱うことから、委託化に当たっては、個人のプライバシーに関する資料の取り扱いには特段の注意を払う必要があります。
このため、委託する業務について、事故対策やプライバシー保護に重点を置いた、作業手順の見直しを行います。また、資料管理の強化や、委託職員への研修の徹底に努め、万全を図ります。
提出者 福士敬子
質問事項
一 「東京都人権施策推進指針」と同性愛者の人権
二 入場拒否問題と外国人の人権
三 「こどもへの攻撃」からこどもを守る取り組み
四 日の出町で行われた東京都の行政代執行
五 電子都庁の実現(IT化)
六 東京都総合環境アセスメント試行と放射五号線
七 「監理団体改革実施計画」における財団法人東京女性財団と株式会社東京スタジアム
八 竣工した「東京スタジアム」と第三セクター「株式会社東京スタジアム」
一 「東京都人権施策推進指針」と同性愛者の人権
東京都は本年十一月、「東京都人権施策推進指針」を発表した。本「指針」については、六月段階で発表された「骨子」で同性愛者の人権が削除され、大きな問題となった。発表された「指針」においては、「同性愛者の人権」について明記されたことについては評価できるが、記述内容は「様々な問題が提起されている」という不十分なものである。
都内には多くの同性愛者が在住し、本年二月に発生した「新木場ゲイバッシング殺人事件」を始め、多くの人権侵害が存在している。同性愛者の人権については、本「指針」の記述に基づき、より積極的な立場から施策化を行う必要があると考える。
以上の立場より、次の質問を行う。
1 「東京都人権施策推進指針」には、「同性愛者をめぐって、さまざまな問題が提起されている」とあるが、東京都は同性愛者をめぐって、具体的にどのような問題が提起されていると認識しているか。また、その中には、当然、人権上の問題も多く含まれると考えるべきであるが、いかがか。
2 東京都は、六月の「人権施策推進のための指針」骨子の発表以降七月三十一日までの期間、骨子に関する意見募集を行った。この結果は十一月二十一日、「指針」公表とともに発表されたが、「同性愛者の人権」を再記述するよう求めたコメントが何通あったかは明記されていなかった。「同性愛者の人権」を再記述するよう求めたコメントが何通あったかを明らかにされたい。
3 本年七月の定例都議会において、東京都は「同性愛者に関していろいろな状況が生じていることは知っており、必要に応じて啓発などの措置をとっている」と答弁しているが、都が同性愛について人権の問題として触れた都民向け啓発・教育資材にはどのようなものがあり、どのような内容の記述が盛り込まれているかを伺う。
4 一九九七年十月の文教委員会において、都は「同性愛者については、性教育を進める中で、発達段階に応じ、関連する内容の指導を行っている」との答弁をしたが、都が同性愛者の人権に関する教育について、行ってきた具体的な取り組みを伺う。
5 東京都の各種相談機関の相談員等に対し、同性愛関連の知識・情報に関する研修は行われているのか。その有無について伺う。
二 入場拒否問題と外国人の人権
東京都には、人種、国籍などを理由に居住者の入場を拒否するなど、差別行為を日常的に平然と行っている多数の民間施設が存在している。そのような施設の中には、誰もが利用する喫茶店やホテルが含まれており、東京に暮らす外国籍の人はいうにおよばず、その家族、友人、同僚までもが直接的な人権侵害を訴えている。
また、これらの施設には「外国人、お断り」、「中国人入場不可」というような、人道的に許されない排他的な掲示がされており、通勤、通学途中の住民や内外の観光客、ビジネスマンなどの目に触れやすいものも確認されている。
朝日新聞は一九九五年当時、新宿区だけでも数十件の差別的な看板があったと伝えており、永年にわたって放置されてきたこの種の差別行為が、観光や貿易はもちろん、外交や国民の人権意識にまで悪い影響を与えつづけていることを指摘している。
日本政府は一九九六年に国連の「人種差別撤廃条約」を批准しており、東京都も政府と同様、あらゆる形態の人種差別を撤廃する努力を行う義務を負っている。公然と外国人の入場を拒否するこの種の差別行為は、条約が禁じている人種差別に該当することに疑問の余地はなく、憲法第十四条に違反している疑いもある。東京都はこれらの差別的な掲示はもちろん、外国人の入場を差別する実態をただちに調査し、早急に対策を講じる責務があると考える。
以上の立場より、次の質問を行う。
1 東京都は「外国人、お断り」の看板を掲げるなどして人種や国籍で入場を拒否する民間施設の存在を把握しているか。それはどのような人種や国籍を対象とした、どのような形態の差別行為であるか。
2 このような違反行為を行っている民間施設に対してこれまでどのような対策を講じてきたか、開始年度、各年度の件数、頻度などがわかるようにお答えいただきたい。また、経営者に対する注意や啓発が行われてきたのであれば、具体的に事例とその対策の内容を説明されたい。
3 差別行為を行っている民間施設に対し、これからどのような対策を講じる計画でいるか。対策の日程、内容など詳細をお答えいただきたい。
三 「こどもへの攻撃」からこどもを守る取り組み
今日、こどもへの虐待は、身体的なも
の、精神的なもの、性的なものは言うに及ばず、大人が適切な安全の配慮を欠いている「ネグレクト」なども視野に入れて対策する必要が指摘されている。子供をとりまく社会環境に注目して、これに特化した総合的な対策であるCAP(Child Assault Prevention)と呼ばれるプログラムを東京で提唱し、展開している市民団体の活動が評価されているが、行政側では教育庁、警視庁などが連携しながら応じていくという「タテ割り」状態が続いている。
これについての学校の取り組みには濃淡があるといわれており、保護者や市民団体は危機感を拭い去ることができないでいる。警視庁では学校の要請にもとづいて対応する体制にあり、昨年は学校の要請に応えるかたちで年間五百五十カ所の講習を実施した実績があるが、小学校、中学校、高等学校等をあわせて五百五十カ所であるということ、そのテーマが薬物問題など広い範囲にわたっているなど、十分に対策されている状況とはいいがたい。
保護者や市民団体の目の届かない地域、学校の取り組みが薄い地域での対応の遅れが危惧されるところである。
以上の立場より、次の質問を行う。
1 現在、子供の安全について、東京都全体の水準を高めるため、身体的虐待、精神的虐待、性的虐待、ネグレクトの防止について、どのような取り組みを行っているか、伺う。
2 教育現場の判断を尊重することは大事であることを考慮しても、子供を預かる教育現場として、子ども自身がさまざまな攻撃から身を守るため、たとえば自己訓練を行うなど、実践的な力を身に付けることが必要と考えるが、所見を伺う。
3 市民の手によるCAPの活動を知っているか。どのように評価し、位置づけているか。
4 このような「子どもへの攻撃」から子供を守ることについて、今後、教育庁としてどのように取り組んでいく計画か。
四 日の出町で行われた東京都の行政代執行
本年十月十日、日の出町大字玉の内で行われた東京都による行政代執行は、女性や子供が半数を占める地権者らを、民間警備会社の若いガードマンが取り囲み、その外側をさらに大きな警備会社のガードマンが取り囲み、その外側を処分組合の職員が取り囲んだうえで、その後方で都財務局の部長と課長が目を背けているというありさまであった。
話し合いを求める住民に対して紋切り型の退去通告を繰り返し、危険を訴える声を無視して重機を人に近づけると、それに符節を合わせて多数のガードマンがフェンスごと住民を押しながら前進していくという、身体に対する物理的で直接的な攻撃を行使しながら執行されたことは、都政の過去においても例のない強攻さである。ニヤニヤ笑いながら住民の身体に手をかけはじめた若いガードマンに危険を感じた住民が、やむなく退去を決めたことによって、かろうじて負傷者を出さずに済んだというのが事実である。
また、都は執行初日の十日から、住民と行動をともにしている報道関係者を逮捕すると何度も拡声器で叫び、威力によって現場から報道関係者を排除したことも、民主社会のルールを無視した、なりふりかまわぬ行政執行を象徴している。
この事件は、ごみ処分場を目的とした全国初の強制収用としてすでに名高いが、行政にあってはならない手段で行われた強制的な土地収用として、いまだ糾すべき点が数多く残されている。
以上の立場より、次の質問を行う。
1 東京都が本年十月十日から日の出町大字玉の内地区で執行した行政代執行は、どのような根拠に基づくものと認識しているか。
2 本代執行の場合は、どのような法的義務を代執行する手続きであったか。
3 本代執行において、東京都が「代執行」しうる場所はどこか。その地番を問う。
4 都が代執行に動員した責任者の氏名、職員数を明らかにせよ。都庁職員については局ごとの内訳、そのほか警視庁、消防庁など参加した人員、車両、重機・機械の種類と数、航空機など全容を述べよ。また、執行補助者の氏名、団体、人数を明らかにせよ。
5 代執行にあたった都の職員のなかに、処分組合の経験者がいればその役職と人数を明らかにせよ。
6 執行補助者について、取り交わした契約の相手、契約の日時、契約の内容、契約価額を明らかにせよ。
7 代執行の当日には、現地に多数のガードマンがいたことが明らかになっている。このガードマンの法的立場はなにか。また、東京都とどのような関係にあったのか。ガードマンは東京都の指揮で行動していたのか。そうでないとするならば、東京都の職員の眼前に展開し、職員と協力して執行を行ったガードマンは、誰の求めに応じて行動していたと認識しているか。
8 十月十日の代執行開始以後において、代執行の対象地に至る、対象地外の通路が封鎖されており、地権者や三多摩地区の市議会議員団も立ち入りを拒否されていた事実がある。この封鎖は東京都が行ったものか。その法的な根拠はどこにあるのか。
9 代執行を行うにあたっては、執行責任者は証票を携帯し、要求があるときにはいつでもこれを呈示しなければならないが、これは確実に履行されたか。
10 十月十日の代執行開始以後、執行責任者が通路入り口において証票の呈示を拒否した事実はなかったか。
11 行政代執行において、人に対する実力の行使は許されるのか。その法的根拠はどこにあるか。
12 十月十一日、執行責任者の指揮のもと、ガードマンをして地権者らを取り囲み、実力行使によって敷地内から排除しようとしていたが、これは許される行為か。収用にあたり、ガードマンが住民の身体に手をかけた責任はどこにあると考えているか。その根拠はどこにあるのか。
13 若い民間のアルバイト警備員を楯にして、パワーショベルを意図的に住民に近づけて工事を行ったことを危険とは思わなかったのか。
14 重機の作業に対して住民は何度も危険を訴えていたが、その声を無視して危険な工事を強行したのは誰の指示によるものか。その法的な根拠と正当性をどこに求めているのか。
15 政策報道室の職員を収用の日に現場で目撃したとの証言があるが、政策報道室の職員が現地にいた事実はあるか。あるとすれば何の目的でいたのか。
16 携帯ビデオ・カメラを用いて撮影している都の若い職員がいたが、そのようなビデオ・カメラは何台用意してあったのか。
17 そのほか据え置き式の大きなビデオ・カメラがあったが、それは何台用意してあったのか。これらのビデオ・カメラによる映像記録はどこが保管し、何に用いるのか。
18 代執行の執行補助者として、代執行の請求をなした土地収用法上の起業者たる三多摩地域廃棄物広域処分組合を使用したと聞いているが、それは事実か。
19 地権者と対立関係にある処分組合を執行補助者として使うことは法的に問題はないか。代執行を執り行う行政庁である東京都の中立性を損なうことにならないか。
20 行政代執行法によると、「他の手段によってその履行を確保することが困難であり、かつその不履行を放置することが著しく公益に反すると認められるとき」(第二条)はじめて代執行が許されるとある。東京都は「他の手段」の有無について、いつ、どのような会議で、なにを検討したのか。地権者との話し合いの場を設けるなど、任意に明け渡しを受ける努力を行ったか。また、「不履行を放置すること」がどのような「公益」に「著しく」反すると判断したのか。
21 現在においても、地権者と処分組合などとの裁判が継続中であり、代執行して物件を移転した対象土地は、何ら改変されることなく推移している。この現状を見るとき、代執行を急ぐ必要性がどこにあったのか。
22 代執行の背景となった谷戸沢処分場について、東京都は直接に安全性を確認したのか。それはいつのことか。
23 代執行に反対した住民運動に対して、都知事は「ちゃちな反対運動」だと発言したことが報じられた。ガードマンと、ガードマンの後方にいた都の職員の実力行使で排除された住民運動は、本年の「多田謡子人権賞」を受賞したが、都は住民運動を行政のなかでどのように認識し、位置づけているか。
24 本年六月に成立施行された循環型社会形成推進基本法に基づいて、地方公共団体としてどのような政策、施策を立案、準備しているか。
五 電子都庁の実現(IT化)
高度情報通信ネットワーク社会形成基本法関連で設置されたIT基本戦略会議では、電子政府の実現にむけて推進すべき方策として、
1、行政(国・地方公共団体)内部の電子化
2、官民接点のオンライン化
3、行政情報のインターネット公開、利用促進
4、地方公共団体の取組み支援
5、規制・制度の改革
6、調達方式の見直し
の六項目をあげている。
行政内部の電子化、行政情報の電子化は、情報流通の費用と時間を劇的に低下させ、密度の高い情報のやり取りを容易にするため、行政サービスの向上につながるものであると考えられている。
しかし、その実現には適正なネットワークインフラの整備や厳重なセキュリティ管理などが必要となる。
都庁の電子化においても、インフラ整備にあたっては、電子申請などを視野にいれた全体計画をもとにする必要があり、全体計画の無いままに部分的なインフラ整備を行うことは無駄な投資を行うことにもなりかねない。また、一般公開される情報と個人情報等外部に絶対に漏れてはならない情報を分離して扱うことができるシステムを構築する必要があると考えられる。
以上の立場より、つぎの質問を行う。
1 東京都における電子申請受け付けおよび審査の電子化に関して、どのような全体計画があり、初年度の電子化に関する予算請求によって、全体計画のうちどの部分が実現されるかを伺う。
2 今後何年度までにどの程度の電子申請受け付けおよび審査の電子化を行う予定であるか、実施計画をあわせて伺う。
3 電子申請の受け付けや都庁内部でのペーパーレス化を行うにあたって、改正が必要となる法令の改正手続きの進捗状況について、何年度までに完了する予定か、伺う。
4 行政で扱う情報には、都民に対する一般広報、都民の個人情報、入札予定価格情報など、異なる性格をもつ情報が含まれる。これらの情報を単一のサーバで扱うことはセキュリティ上好ましくない。
このため、質の異なる情報を扱う場合には、あらかじめ情報をいくつかに分類し、それぞれ異なるサーバ、異なるインフラを経由することが提案されている。
これをふまえて、都庁の電子化を行う場合、情報の性格によって処理を行うサーバを分けることを予定しているか、複数のサーバ運営を予定している場合、各サーバで扱う情報をどのように分類するか、各サーバ間のネットワーク接続はどのような構成になるか、全体計画について伺う。
5 初年度の予算請求で実現される部分がネットワークインフラ全体計画のどの部分に該当するかを伺う。
6 それぞれの情報に対する職員・電子申請の関係者・一般都民など、情報にアクセスを行う者のアクセス権がどのように設定されるかを伺う。
7 電子化のメリットとしては、ペーパーレス化、行政サービスのスピードアップ等が考えられているが、一般のオフィスでは過去、OA機器の導入によって、かえって書類のプリントアウトの量が増えた事例も報告されており、IT化に関してはこうした問題が起きることを避ける必要がある。
都庁のIT化にあたっては、どのような項目が達成目標として定められ、その達成率をどのような指標で表すか、伺う。
8 都庁職員の情報リテラシー教育について、どのようなスケジュールで職員教育を行うか、伺う。
9 効率的な情報リテラシー教育には、先進学習基盤協議会等で検討がなされているe-Learningが適しているといった報告があるが、こうした電子的な学習システムの導入を検討しているか否かについて伺う。電子的な学習システムを用いない場合、どのような教育システムを用いるか、伺う。
六 東京都総合環境アセスメント試行と放射五号線
都市計画道路「放射第五号線・三鷹三・二・二号線」は、東京都総合環境アセスメント制度の試行対象となっている計画である。
総合アセスメント制度は、より環境に配慮したまちづくりの推進に寄与するため、計画の早い段階から環境影響評価の手続きを行うもので、わが国でもはじめての制度であり、社会的な影響も大きい。
このため、東京都総合環境アセスメント制度の試行にあたっては、正確な環境評価手続を行う必要がある。
以上の立場より、次の質問を行う。
1 道路の整備を行った際の交通量予測には様々なファクターが関係する。
混雑緩和を目的に道路や駐車場など交通施設整備を行うと、それまで自動車を使っていなかった交通需要が自動車に流れたり、沿線に新たに商業施設が建設されたりすることにより、新たな交通需要を誘発して結局混雑緩和にはつながらないという議論も土木計画学分野でなされている。
本アセスメントにおいては交通量を一日四万八千台と見積もっているが、その算定結果の内訳に関して以下のファクターをどのように見積もっているか伺う。
1 現交通量・・東八道路から中本宿通りを経由して中央高速下に至る交通量
2 甲州街道他からの流入量・・現在他のルートを利用している自動車が道路整備にともない放射五号線にルート変更する交通量
3 現在自動車を使用していない人たちの道路整備による自動車使用・・現在バスや鉄道等公共交通機関を用いている人が道路整備によって自動車を用いるようになることによって発生する交通量
4 道路整備にともない沿線が開発されることによる新たな需要・・道路整備に伴い、東八道路沿線を含め沿線に新たな施設が建設されることによって発生する交通量
2 前項に関連して、用途地域変更等に関して伺う。精度の高いアセスメントを行う際には、周辺の開発計画を考慮しなければいけない。
正確な交通量予測を行うために、今後、アセスメントを行うにあたって、区と連携を密にして、用途地域変更や開発計画などに関する情報を得る体制を整備すべきと考えるが、所見を伺う。
3 総合環境アセスメントでは、地域特性の把握に関する調査のうち「都市と自然が調和した豊かな環境」に関する予測・評価の項目として、
1、植物、動物・・・現存植生や動物相等の状況を調査する
2、生態系 ・・・地域の生態系を代表する生物種を選定し、その生息空間等の状況を調査する
3、緑、水辺 ・・・緑や水辺の利用実体や利用の難易度等レクリエーション活動等に関する状況について調査する
このようにあるが、この調査項目に関して実地調査が行われたか、行われた場合はその調査時期と期間について伺う。
4 前項に関連して、玉川上水と重複する道路予定地にはどういう種類の植生および動物がどの程度見られるか、定量的な結果について伺う。
5 希少植物の群落と芝生では面積が同じでも価値が同じとはいえないように、緑地帯は量だけではなく質で評価する必要がある。代替として緑地帯を整備する場合には量だけではなく質についても考慮する必要があるが、総合環境アセスメントでは植生の質についてどのような評価を行ったかについて伺う。また、代替として緑地帯を整備する場合、緑地帯にどの程度まで同一種類の植物を整備できるか、伺う。
6 総合環境アセスメントでは、地域特性の把握に関する調査のうち「都市と自然が調和した豊かな環境」に関する予測・評価の項目として、史跡・文化財に関する調査項目があげられている。
この史跡・文化財に関する現況調査の結果について伺う。
ア 放射五号線と玉川上水が重なる部分のうち、当時の素掘りの状況をとどめている部分の割合はどの程度あるのか。またその場所はどこか。
イ 重点的に保存すべきポイントはどこか。計画案は保存ポイントに影響を与えない形になっているか。
七 「監理団体改革実施計画」における財団法人東京女性財団と株式会社東京スタジアム
二〇〇〇年二月に発表された「東京都監理団体総点検のための基本指針」(以下、基本指針)は、判断の基準を合理的な指標に求め、改革に先だってこれを明らかにした点が評価されている。それをうけて作成された「監理団体改革実施計画」は、基本指針に示した「ものさし」をいかに現実の改革に結び付けたか、その関係が明瞭に説明するものでなければならない。
遺憾ながら「監理団体改革実施計画」では、第1章に「設立趣旨にさかのぼった見なおし」として基本指針の「基本的考え方」を拡大し、基本指針の中心である合理的な判断基準の適用をまたずに統廃合を結論づけてしまっている。いうまでもなく、第2章以降の「基本指針に沿った見なおし」はただの添え物であり、一律のシーリングのほかには何らの指針も役だってはいない疑いを濃厚に漂わせた内容となっている。
そこで具体的な例をあげて、以下のことを質問する。
1 二〇〇〇年二月の「東京都監理団体総点検のための基本指針」は、監理団体改革に先だって合理的な判断の指標を表明し、もって改革の公平性に資することを目的に作成されたものと理解していたがそうではなかったのか。
2 基本指針という以上、「設立趣旨にさかのぼった見なおし」は基本指針に基づいて吟味した結果に、設立趣旨を斟酌したものであるべきだと考える。しかし、「監理団体改革実施計画」においては「基本指針に沿った見なおし」とは無関係に「設立趣旨にさかのぼった見なおし」が行われており、合理的で公平な根拠はどこにも見えない。この両者の関係は重要であるが、それを説明する資料、台帳はあるか。あれば明らかにせよ。
3 「監理団体改革実施計画」の第三ページに「財団法人東京女性財団の廃止」とあるが、独立法人である財団の決定をまたずに都が「廃止」といいきることができる根拠はこの時点でどこにあったのか。ないとしたら記述が不正確ではないのか。
4 財団法人東京女性財団が都の直営に近い組織・経営状況である原因は、むしろ人事と資金の両面において自主運営をうながす努力を怠った東京都にある。会議室の貸し賃を運用させ、段階的に固有職員の比率を増やすなどして、自立をうながすことに何ら問題はないはずだが、基本指針に沿ってこれをしないのはなぜか。
5 財団法人東京女性財団を廃止するとしながら「基本指針に沿った改善事項」に何も記述されていない。「設立趣旨にさかのぼった見なおし」が基本指針に基づいて吟味した結果に設立趣旨を斟酌したものであるならば、この事項を欠いた報告はあり得ない。「基本指針1」で「取り組む」とした「評価結果に基づいた統廃合計画の検討」が行われたのであれば、なぜ「基本指針に沿った改善事項」に記述がないのか。この事項を欠くということは「基本指針に沿った見なおし」をしないで「設立趣旨にさかのぼった見なおし」のみで廃止を決めたということか。
6 「基本指針1」で「取り組む」とした「総合評価」の「点数制」を実施した結果をすべての監理団体について明らかにされたい。
7 「基本指針1」で「取り組む」とした「評価指標」の「ウェイト付け」を実施した結果をすべての監理団体について明らかにされたい。
8 「監理団体改革実施計画」の九三ページにある株式会社東京スタジアムの見直し結果には、「スタジアム及び関連施設の建設は計画どおり竣工し、予定どおり進捗している」と記述されている。二〇〇〇年三月、東京スタジアムは建設計画をまとめた「武蔵野の森競技場基本計画書」(平成七年十二月)の内容を変更し、陸上トラックの整備をしないで球技専用の競技場として開場することを発表した。東京スタジアムの買い取りが決定されたのは、それに先立つ一九九九年九月の政策会議においてであり、巨額の税金を投入して救済することを決定した運営方針の変更の後に、さらにスタジアムの生命ともいえるフィールドの仕様変更をしたのである。株式会社東京スタジアムの定款は、事業の第一の目的として「総合陸上競技場建設および管理運営」をうたっており、陸上トラックの整備をしないでスタートすることとの矛盾は、制度的にも手続的にも、覆い隠せないものとなっている。しかも、開業初年度の経営予測は、九九年九月の時点で税引後四千万円の赤字といっていたものが、二〇〇〇年十二月の委員会答弁では四億一千六百万の赤字と大幅に下方修正された。その差額は三億七千万を超えており、売上予測の四四パーセントに相当する見込みちがいである。これらの問題はすでに建設住宅委員会で明らかになっているが、どうして「建設は計画どおり」でないものが「予定どおりに進捗している」といえるのか。建設の側面からも、経営の側面からも、計画も予定も猫の目のように変わっており、「監理団体改革実施計画」の記述はまったくの誤りである。訂正すべきであると考えるがどうか。
八 竣工した「東京スタジアム」と第三セクター「株式会社東京スタジアム」
寄附されるはずだった東京スタジアムを東京都が二百四十八億円を支払って買い取る案件が、このたびの第四回定例会に上程された。開業するまえから経営難を予測して巨額の公金を投入するという異例の救済策であり、実質的には第三セクターの破綻処理であるこの事例においては、何に対していくら救済するのかを厳格に見極めること。救済決定から一年を経て、営業活動を中心とした経営努力が具体的に進んでいるかに都民の関心が集まっている。
ことし三月、東京スタジアムは建設計画をまとめた「武蔵野の森競技場基本計画書」(平成七年十二月)の内容を変更し、陸上トラックの整備をしないで球技専用競技場として開場することを発表した。東京スタジアムの買い取りが決定されたのは、それに先立つ一九九九年夏の政策会議においてであり、その時点と現在とでは建設されたスタジアムの仕様が大きく異なっていることになる。買い取りの方針を決めた後になって、買い取るスタジアムがその生命ともいえるフィールドの仕様を変更するという事態になっているのである。株式会社東京スタジアムは、その定款上の目的として「総合陸上競技場の管理運営」を第一に掲げる会社であり、スタジアムの開業時点から陸上トラックを欠いているということは極めて重大な問題である。
また、平成二十五年に東京スタジアムが多摩国体のメイン会場になるとされているが、その際には球技専用競技場を改修し、陸上トラックを整備しなければならないことが明らかである。このたび陸上トラックが整備できなかった責任が、東京都が補助競技場の整備を遅らせて第一種公認陸上競技場の指定を受けられなくなったことにあるのなら、改修費は東京都が負担することになるし、球技専用競技場としたのが営業上の要請であれば、第三セクターの株式会社東京スタジアムが負担すべきものである。
このように、改修費用を第三セクターと東京都のどちらが負担するかは大きな問題だが、多摩都市整備本部は去る十二月十一日の建設住宅委員会の答弁において「諸々の事項が決定してから検討することになる」などと問題を先送りしている。これによって買い取りの対象がきわめて不正確かつ曖昧になり、経済的な追加支援は行わないとした買い取りの条件が、早くも有名無実のものとなっている。
しかも、問題の仕様変更は議会に諮られることなく、仕様を変更したことによる買い取り金額への影響も明らかにしないまま、あたかも九九年九月に方針を変更した時点のスタジアムが完成したかのように議会で取り扱われている。
以上の立場より、次の質問を行う。
1 買い取りを決定した九九年九月の政策会議において、陸上トラックを欠く点において建設計画書と異なる仕様となった東京スタジアムを買い取ることは明らかになっていたのか。なぜ仕様変更が明らかになった時点で報告がなかったのか。
2 現場関係者によると、陸上トラックの設置を中止したのは九九の十月から年末にかけての決定であったというが、翌年の三月まで議会に何も知らせなかったのはなぜか。また、その三月についても、第一回定例会の会期中には何も説明せず、委員会の終了後に各議員に紙一枚の簡略な通告をしたのはなぜか。
3 陸上トラックの整備を中止して球技専用競技場とすることの意思決定は、実際にはいつの政策会議に図られたのか。その際、陸上トラックの整備とその費用について、どのような話し合いが行われたのか。仕様変更の責任の所在はどこにあるという認識だったのか伺う。
4 株式会社東京スタジアムの定款には、設立の目的のもっとも重要なものとして「総合陸上競技場の建設・運営」が掲げてある。したがって、陸上トラックを整備しないまま開場することは「会社の基礎ないし営業に根本的変動を生ずる事項」に該当する重要な経営方針の変更であり、また、重要なスタジアム建築の仕様変更であることは疑いない。この二点の問題は、その後どのような議題として株主総会に諮られ決定されたのか。そのことは当然、議会に報告されるべきであるが、それが行われなかったのはどのような認識、理由によるものか。
5 株主総会でどう決議されたのか、定款とのねじれを今後どのように治癒していくのか、系統だった報告がなされないまま買い取り議案が上程されるのは手続き上も問題である。買い取る建築物の詳細を説明した資料がないまま買い取りを決議することになるが、「武蔵野の森競技場基本計画書」と異なるものを買い取ることができる根拠についても明らかにせよ。
6 都は昨年の当会派の質問に対して、金額の内訳はなく一括で取り扱っていると答弁しているが、そうであればこの仕様変更は二四八億円を超える案件の内容変更にほかならない。「武蔵野の森競技場基本計画書」の仕様変更について議会に諮らないでよいことの根拠を示されたい。
7 九九年の第三回定例会における文書質問で、多摩都市整備本部は買い取り時点で内訳を明らかにすることを約束した。よって、当時と同じ質問をここで繰りかえす。買い取りの対象は東京スタジアムのどの部分にあたるのか、基本計画書に示された個々の構造物ごとに内訳の金額を示してほしい。このたび設計変更されたフィールド部分については、当初の計画との金額の増減がわかるように示されたい。
8 定款の目的はいうにおよばず、国体の開催が視野にあることからも、陸上トラックの整備はいずれ行わなければならないものである。とすると、現在の状態を法的にどのように理解するのかが問題になる。陸上トラックが未整備であるかぎり、買い取りにおける公金投入の反対給付は、不完全の状態が継続するということを意味するのか。それとも、都は球技専用競技場に仕様変更されたものを買い取ったことになるのか。法的な関係を定款の目的との整合にも言及して、厳密に整理し、説明してほしい。また、その関係を明瞭に担保する手続きが、どのような文書になっているのか。文書がないとしたら、いつまでに、どのような手続きをする予定でいるのか伺う。
9 九九年九月の決定において、買い取りの条件として今後の追加的な経済支援を行わないことを都民に約束したと理解しているが、それでよいか。
10 九九年九月の方針変更の利点として、「将来的な都の財政負担が明確になる」ことをあげているが、将来、確実に発生する、陸上トラックを整備するための改修費用について、本年十二月十一日の建設住宅委員会では、費用の額も、株式会社東京スタジアムと東京都のどちらが負担するのかも「明確に」答弁していない。国体の開催や五万人規模のスタジアムである点を考えると、第一種公認競技場として陸上トラックを整備するのは当然であるが、その負担は相当な金額になることが推察される。都は、スタジアムを買い取るにあたって、将来、確実に発生する費用の負担関係が明確でない事態をどのような理由で許容しているのか。
11 巨額な財政負担となる陸上トラックの改修費用を、都は概ねいくらと見積もっているか。その金額は株式会社東京スタジアムの売上高に占める割合として、重大な影響を及ぼす金額であると考えるが、そのような認識はあるか。
12 陸上トラックの改修費用は、球技専用競技場に特化することを選択した株式会社東京スタジアムの経営事情を重視するなら株式会社東京スタジアムが負担するべきものであり、東京都教育庁が補助競技場の整備を中止したことに原因を求めれば、都教育庁が負担するものという理解も成り立つ。改修費用は誰が負担すべきものと考えているか。関係各市に負担が及ぶ可能性があるのか。「将来的な都の財政負担」を「明確」にされたい。
13 買い取りの前提として都は、株式会社東京スタジアムに対する追加的な経済支援は行わないものと理解していたが、実際に都が関係市に交付した「確認書」では、「運営の支援」は行わないという文言になって範囲が狭まっている。その「運営の支援」とは何か、何をもって「運営」とし、どのような形態の「支援」を意味しているのか定義し、適用範囲についての解釈を明らかにせよ。
14 陸上トラックの改修費用を都が負担することが、この「運営の支援」にあたるかどうかの解釈を明らかにしてほしい。本年十二月十一日の建設住宅委員会では「話しが具体化した時点で、都と会社との間で、別途協議する」という答弁があったが、都が発行した文書の意味を「都と会社との間で」協議するとはどういうことか。「確認書」を受け取った関係各市は、「運営の支援」がそのような意味であることを承知しているのか。陸上トラックの改修費用が「運営の支援」にあたるか否かについて、速やかに関係市に連絡すべきであるがその予定はあるか。
15 土地、建物など主要な営業財産のほとんどを東京都が提供し、もはや第三セクターとはいえない会社に経営を独占させる積極的な理由はなにか。五万人の観衆を集めるスポーツ・イベントの経済効果は一般に数百億円の規模であるが、それを百億の会社が単独で営業できるということにも無理がある。よい企画を持ちこんだ企業、大きなイベントを成約できる企業に運営を任せるなど、競争があってこその民間活力であると考えるが、そのような抜本的な改革をしないのはなぜか。
16 東京スタジアムの営業は、株式会社東京スタジアムの専務を筆頭とする現場職員が孤軍奮闘してきたように見うけられる。昨年十一月十八日の建設・住宅委員会で開業初年度は税引後利益で四千万円の赤字であると報告したにもかかわらず、本年十二月十一日の建設住宅委員会の答弁では四億一千六百万円の赤字に下方修正されている。どこがどれだけ違ってきたのか、勘定科目をあげながら、相殺をせずに詳細がわかるように、三億七千万円を超える差額の内訳を明らかにしてほしい。また、この二つの試算が作成されたのがいつであるのか、それぞれ明らかにされたい。
17 東京都は昨年の十二月の本会議で「会社の収支を試算した結果、健全な経営が可能である」と答弁している。その結果が三億七千万円を超える下方修正ということだが、社長が陣頭に立ってもなお困難な状況であると一年前から指摘していたにもかかわらずこれを放置し、「片手間」でやってきた株式会社東京スタジアム社長の責任は重大である。すでに生じているこの経営責任に対して東京都はどのように副知事である社長に責任を問うのか。
18 第一種公認競技場であることの条件が教育庁所管の補助競技場と第三セクターのスタジアムとに跨っているかたちになっているが、三セクがする東京スタジアムとその周辺設備との関係はどのように整理されているのか。その都度、都と第三セクターとで話し合っていくというのは、とても健全な株式会社のあり方とはいえない。このたびのような足並みがそろわない事態は問題である。なんらかの文書でルールを定めるなど、このような構造的な齟齬を克服する仕組みを工夫する必要があると考えるがどうか。
以上
質問事項
一 「東京都人権施策推進指針」と同性愛者の人権
1 「指針」には、「同性愛者をめぐって、さまざまな問題が提起されている」とあるが、都は、同性愛者をめぐって、具体的にどんな問題が提起されていると認識しているのか。また、その中には、人権上の問題も多く含まれると考えるが、所見を伺う。
回答
報道機関が実施した世論調査によれば、約七割の人々が同性愛を理解できない、あるいは容認できないとされています。
また、同性愛者をめぐっては、就職、賃貸住宅への入居及び施設の利用、殺人事件の報道などを通じて差別や偏見があるとの問題が提起されています。
質問事項
一の2 「人権施策推進のための指針」骨子の発表以降、骨子に関する意見募集を行ったが、「同性愛者の人権」を再記述するよう求めたコメントは、何通あったか、伺う。
回答
指針骨子に対する都民の意見・要望書の数は、七百四十六通であり、これを指針骨子の各章ごとに分類すると延べで、二千三十一件となります。意見等の表現は一様ではありませんが、その内容・趣旨を斟酌してまとめると、同性愛者の人権を採り上げることを求める意見は、おおむね五百件となっています。
質問事項
一の3 本年七月の都議会において、都は「同性愛者に関し、必要に応じて啓発などの措置をとっている」と答弁したが、同性愛者について、人権の問題として触れた都民向け啓発・教育資材には、どんなものがあり、どんな内容の記述が盛り込まれているのか、伺う。
回答
都が発行している「みんなの人権」及び「ティーンズ・ノート」で、人間の性愛については、異性を愛する人が多数であるが、同性愛・両性愛の人もいること、人間の性のあり方についての理解を深めることなどについて記述しています。
また、「広報東京都」の人権週間特集でも同性愛者について触れています。
質問事項
一の4 一九九七年十月の文教委員会において、都は「同性愛者については、性教育を進める中で、発達段階に応じ、関連する内容の指導を行っている」との答弁をしたが、都が同性愛者の人権に関する教育について、行ってきた具体的な取り組みを伺う。
回答
性教育は、人格の完成を目指し、人間尊重、男女平等の精神を基盤に、性にかかわる一人ひとりの意識や違いを認めていくという基本的な考え方に立って行われています。
このような性教育を進める中で、同性愛に関する教育については、発達段階に応じて関連する内容の指導を行っています。
また現在、教育庁内において、性教育のプログラムの見直しを行っている中で、その在り方を検討しています。
質問事項
一の5 都の各種相談機関の相談員等に対する同性愛関連の知識・情報に関する研修の有無について、伺う。
回答
平成十一年度の同性愛に関連する研修の実施状況については、人権の重要性を認識しながら適切な保健・医療サービスを提供できるよう、衛生局がエイズに関する相談のための研修の中で、保健所職員等に対して、同性愛に関する正しい知識の普及を図っています。
質問事項
二 入場拒否問題と外国人の人権
1 都は、「外国人、お断り」の看板を掲げるなどして、人種や国籍で入場を拒否する民間施設の存在を把握しているのか。また、それはどんな人種や国籍を対象とした、どんな形態の差別行為か。併せて伺う。
回答
外国人の入場を拒否する民間施設の存在につきましては、新聞報道などにより承知していますが、実態につきましては把握していません。
質問事項
二の2 違反行為を行っている民間施設に対し、これまで講じてきた対策を、開始年度、年度別件数、頻度などを伺う。また、経営者に対する注意や啓発が行われたのであれば、具体的事例とその内容についても、併せて伺う。
回答
外国人の入場を拒否する民間施設につきましては、実態を把握しておらず、特段の対応はしてきていません。
外国人の人権に関する問題につきましては、啓発行事の実施、啓発冊子の発行及びメディアを活用し、広く都民を対象として啓発を行っています。
質問事項
二の3 差別行為を行っている民間施設に対し、これからどんな対策を講じるのか。日程、内容を伺う。
回答
地域の国際化を進め、外国人と共生した社会をつくるため、今後とも区市町村や民間団体と連携を図りながら、さまざまな機会をとらえ、国際理解に関する啓発に努めてまいります。
外国人の人権に関する問題につきましては、啓発冊子「みんなの人権」、「外国人の声にも耳をかたむけて」、広報東京都「人権週間特集」等によって、引き続き啓発を行ってまいります。
また、個別の相談に関しましては、法務局、区市町村及び関係局と十分連絡をとりながら、その内容に応じて対応を検討してまいります。
なお、現在、国の人権擁護推進審議会で、人権侵害の場合における救済のあり方について審議を進めていることから、その動向も注視してまいります。
質問事項
三 「こどもへの攻撃」からこどもを守る取り組み
1 現在、子どもの安全について、都全体の水準を高めるため、身体的虐待、精神的虐待、性的虐待、ネグレクトの防止について、どのような取組みを行っているか、伺う。
回答
子どもの虐待の防止については、「虐待防止マニュアル」(福祉局作成)を学校へ配布し、教職員に対して虐待の発見と対応について、指導してきたところです。
また、「児童虐待防止法」の施行を踏まえ、昨年の十二月、教員研修資料「児童虐待―虐待への早期発見と対応―」を作成し、校内研修で活用を図るため、すべての教職員に配布し、虐待防止の徹底を図ったところです。
今後とも、教職員一人ひとりが自覚と責任をもって、幼児・児童・生徒の状況を把握することや相談できる雰囲気を醸成し、虐待の早期発見・早期対応や子どもの心のケアを図り、虐待防止に努めるよう指導していきます。
質問事項
三の2 子どもを預かる教育現場として、子ども自身がさまざまな攻撃から身を守るため、たとえば自己訓練を行うなど、実践的な力を身に付けることが必要と考えるが、所見を伺う。
回答
発育・発達途上にある子どもたちが、性被害をはじめさまざまな暴力や攻撃から自分自身を守る実践的な能力や態度を身に付けることは、大切なことであると認識しています。
また、自分を攻撃から守るとともに、自分を大切にした行動選択ができる子どもを育てるため、授業や保健指導等において、ロールプレイングやディベート等の体験的な学習を取り入れ、実践力を身に付けるよう指導していきます。
質問事項
三の3 市民の手によるCAPの活動を知っているか。どのように評価し、位置づけているか、伺う。
回答
子どもが自分自身を守る力を身につけることで暴力を防止することを目的としたこうした活動が、主に市民グループによって広められ、地域によっては、母親の自主グループやPTAの講座などに取り上げられていることは承知しています。
質問事項
三の4 このような「子どもへの攻撃」から子どもを守ることについて、今後、教育庁としてどう取り組んでいくのか、伺う。
回答
都教育委員会は、今後とも初任者研修や現職研修等で教員の指導力の向上を図り、子ども自身が虐待やいじめ、暴力や性被害から自分を守る能力や実践力を身に付けられるようにしていきます。また、各学校においても校内研修を通じて、虐待防止に関する保護者等への啓発や虐待の早期発見及び通告、虐待等を受けた子どもの心のケアなどを適切に行うよう、今後とも指導していきます。
質問事項
四 日の出町で行われた東京都の行政代執行
1 都が、日の出町大字玉の内地区で執行した行政代執行は、どんな根拠に基づくものと認識しているか、所見を伺う。
回答
本代執行は、土地収用法及び行政代執行法に基づき実施したものです。
質問事項
四の2 本代執行の場合、どんな法的義務を代執行する手続きだったか、伺う。
回答
本代執行は、東京都収用委員会裁決による移転義務等を履行しない元地権者に代わって、実施したものです。
質問事項
四の3 本代執行において、都が「代執行」しうる場所はどこか。その地番を伺う。
回答
東京都西多摩郡日の出町大字大久野字玉ノ内七五八五番及び七五八七番です。
質問事項
四の4 都が代執行に動員した責任者の氏名、職員数を伺う。都庁職員については、局ごとの内訳、そのほか警視庁、消防庁など参加した人員、車両、重機・機械の種類と数、航空機など全容も伺う。
また、執行補助者の氏名、団体、人数も併せて伺う。
回答
執行責任者は、橋本剛、菊地睦郎及び弓野昇の三名です。
執行者側は、財務局職員二十五名、執行補助者は、東京都三多摩地域廃棄物広域処分組合の職員二十五名及び作業者三百五十名です。
重機は、クレーン、ブルドーザなど十七台、機械は、投光器二十灯などです。
そのほか、警視庁は職員二百名、車両二十六台、ヘリコプター一機です。
質問事項
四の5 代執行にあたった都の職員のなかに、処分組合の経験者がいればその役職と人数を伺う。
回答
代執行に当たった都職員で、処分組合に勤務していた者はおりません。
質問事項
四の6 執行補助者について、取り交わした契約の相手、日時、内容、価額を伺う。
回答
都は、本代執行に当たり、処分組合と「行政代執行行為委託契約」を締結しています。
委託契約の契約日は平成十二年八月十七日、内容は収用土地上にある立木等の物件の撤去等で、委託料は約三千百万円です。
質問事項
四の7 代執行の当日、現地に多数のガードマンがいたが、このガードマンの法的立場を伺う。
また、都とどんな関係にあったのか。都の指揮で動いていたのか。そうでないとすれば、誰の求めに応じて行動したのか、併せて伺う。
回答
本代執行において、ガードマンは、都の指揮により、物件の移転作業エリアの確保及び事故防止等の作業に当たりました。
質問事項
四の8 代執行開始以降、対象地に至る対象地外の通路が封鎖されたが、これは都が行ったものか。
また、その法的根拠も併せて伺う。
回答
本代執行において、都が通路を封鎖した事実はありません。
質問事項
四の9 代執行を行うにあたり、代執行者は証票を携帯し、要求があるときは呈示しなければならないが、これは確実に履行されたのか。
回答
代執行の具体的作業に入るに当たり、執行責任者本人であることを示す「執行責任者証」を呈示しました。
質問事項
四の10 代執行以後、執行責任者が通路入口において、証票の呈示を拒否した事実はなかったか、伺う。
回答
本代執行において、執行責任者本人であることを証する「執行責任者証」の呈示を拒否した事実はありません。
質問事項
四の11 行政代執行において、人に対する実力の行使は許されるのか、所見を伺う。
また、その法的根拠も併せて伺う。
回答
行政代執行において、行政庁が妨害行為を排除するにやむをえない最小限度で実力を用いることは、代執行に随伴するものとして認められています。
なお、「文書質問趣意書」で指摘されているような、「報道関係者を逮捕する」と拡声器で叫んだ事実はありません。
質問事項
四の12 十月十一日、執行責任者の指揮のもと、ガードマンをして地権者らを取り囲み、実力行使によって敷地内から排除しようとしていた行為は、許されるものか。収用にあたり、ガードマンが住民の体に手をかけた責任はどこにあると考え、その根拠はどこにあるか、併せて伺う。
回答
本代執行において、ガードマンは、作業エリアの確保や身体に対する危害の発生を警戒し、その防止に当たりました。
質問事項
四の13 アルバイト警備員を盾にして、パワーショベルを意図的に住民に近づけて工事を行ったことを、危険と思わなかったか、伺う。
回答
本代執行に必要な作業は、危険のないよう進めました。
質問事項
四の14 重機の作業に対して、何度も危険を訴えていた住民の声を無視して、危険な工事を強行したのは、誰の指示によるものか。
また、法的な根拠と正当性をどこに求めているのか、併せて伺う。
回答
本代執行は、土地収用法及び行政代執行法に基づいて実施したもので、執行責任者の指揮下で行いました。
質問事項
四の15 政策報道室の職員が、収用の日に現地にいた事実はあるか。また、何の目的でいたのか、併せて伺う。
回答
政策報道室報道課の職員は、現地での報道対応のため二ツ塚処分場に出張しました。
質問事項
四の16 携帯ビデオ・カメラを用いて撮影している都の職員がいたが、そのようなビデオ・カメラは何台用意していたのか。
回答
都が撮影に用いた携帯ビデオカメラは、一台です。
質問事項
四の17 据え置き式のビデオ・カメラは、何台用意していたのか。
また、これらによる映像記録はどこが保管し、何に用いるのか、伺う。
回答
都は、据え置き式のビデオカメラを使用しておりません。
なお、都が携帯ビデオカメラで撮影した映像は、記録として保管しています。
質問事項
四の18 代執行の執行補助者として、代執行の請求をなした土地収用法上の起業者たる三多摩地域廃棄物広域処分組合を使用したと聞いているが、それは事実か。
回答
事実です。
質問事項
四の19 地権者と対立関係にある処分組合を執行補助者として使うことに法的問題はないか。
また、代執行を執り行う行政庁である都の中立性を損なうことにならないか、併せて伺う。
回答
土地収用法第百二条の二第二項は、「都道府県知事は、自ら義務者のなすべき行為をし、又は第三者をしてこれをさせることができる。」と規定し、第三者には起業者である処分組合も該当することから、法的な問題はありません。
質問事項
四の20 都は、行政代執行法でいう「他の手段」の有無について、いつ、どのような会議で、何を検討したのか。地権者との話し合いの場を設けるなど、任意に明け渡しを受ける努力を行ったのか。
また、「不履行を放置すること」が、どのような「公益」に「著しく」反すると判断したのか、併せて伺う。
回答
都は、法に定める手続である「戒告書」及び「代執行令書」を発布し、任意の明け渡しが可能な相当の期間を設けました。
また、不履行を放置することにより、ごみ処分場の整備が不可能となり、多摩地区住民の生活基盤の一つであるごみ処理システム全体が機能しなくなるなど、「公益」に「著しく」反すると判断しました。
質問事項
四の21 現在においても、地権者と処分組合などとの裁判が継続中であり、代執行して物件を移転した対象土地は、何ら改変されることなく推移している。この現状をみると、代執行を急ぐ必要性はどこにあったのか、伺う。
回答
本代執行は、代執行請求書を受理したのち、法の定める手続に要する期間等を総合的に勘案し、実施しました。
質問事項
四の22 代執行の背景となった谷戸沢処分場について、都は直接に安全性を確認したのか。また、それはいつのことか、併せて伺う。
回答
平成四年五月に都は処分場への立入検査を行うとともに、六月には処分場周辺の水質環境調査を実施しました。また、広域処分組合、日の出町、日本環境学会でも水質調査を実施しました。都はこれら一連の調査をもとに検討を行った結果、谷戸沢処分場は周辺環境に対して特段の影響を及ぼしておらず適正に維持管理されている施設であると認識しています。
その後、広域処分組合では都の指導に基づき、地下水集排水管からの排水も浸出水処理施設で処理した後に下水道に放流することや、モニタリング井戸を増設し周辺地下水の監視体制を強化する等、処分場のより一層の安全性の確保を図ってきました。
以後も、都は定期的に、立入検査の実施や維持管理状況報告書の徴収を行うとともに、周辺河川や井戸水の水質調査を行っています。
質問事項
四の23 都は、住民運動を行政の中でどのように認識し、位置付けているのか、伺う。
回答
代執行庁には、土地収用法に基づき代執行を実行すべき義務があります。
本代執行は、行政代執行法の手続により実施したものです。
質問事項
四の24 都は、「循環型社会形成推進基本法」に基づき、地方公共団体として、どのような政策、施策を立案、準備をしているのか、所見を伺う。
回答
都は、従来から、循環型社会の構築を目指して、新聞古紙や家電製品などの円滑なリサイクルや処理のしくみづくりに取り組んできました。
今後も、「循環型杜会形成推進基本法」の趣旨を踏まえて、都民、事業者や区市町村との連携を図り、資源循環のしくみづくりや廃棄物の適正処理の確保に向けた取組を進めていきます。
なお、今後の廃棄物・リサイクル施策のあり方については、現在、廃棄物審議会に諮問しているところです。
質問事項
五 電子都庁の実現(IT化)について
1 都における電子申請受付及び審査の電子化に関し、どんな全体計画があり、初年度の電子化に関する予算要求によって、全体計画の内どの部分が実現するか伺う。
回答
IT活用による都民サービス向上を目的として、現在、平成十二年度末を目途に電子都庁推進計画を策定中であり、昨年十二月には、中間のまとめを発表しました。
電子申請については、この計画に基づき、平成十三年度に申請書類等のダウンロードサービスの拡充やインターネットによる相談受付窓口の創設を行うとともに、申請に係る関係規程や事務作業を見直し、電子申請システムの基本構想を策定することとしています。
その上で、平成十四年度にオンラインによるサービスを開始する予定です。
質問事項
五の2 今後、何年度までに、どの程度の電子申請受付及び審査の電子化を行う予定か、実施計画を伺う。
回答
現在、都におけるすべての申請・届出手続について、手続のプロセス、添付書類、実績件数等に関する調査に着手しています。これら調査結果を踏まえ、電子認証などの技術的課題を考慮しながら、業務プロセスの簡素化など業務改革を進め、システム構築を行っていく予定です。
平成十五年度から、事前の相談や資料の持参等が必要で、電子化が困難な手続を除き、本格的にサービスを開始する予定です。
これに先立って、平成十四年度には、技術的課題が軽易なものについて、開始したいと考えています。
質問事項
五の3 電子申請の受付や都庁内部でのペーパーレス化を行うに当たり、改正が必要となる法令の改正手続の進捗状況について、何年度までに完了する予定か伺う。
回答
電子申請等に係る規程類の改正については、昨年のインターネット接続の時期に併せて、既に、文書事務に関する手続を定める文書管理規則を改正し、通信回線を利用した申請等の収受や電磁的な方法による事案の決定を可能とする内容としました。
今後は、文書管理のほか契約制度や会計制度に係る関係規程を改正するとともに、個々の事業における申請手続や様式、添付資料等について定めている規程についても、関連する法令の改正動向も考慮しながら、電子申請等のサービス開始時期に併せて、平成十五年度までに順次改正していく予定です。
質問事項
五の4 都庁の電子化を行う場合、セキュリティの問題から、情報の性格によって処理を行うサーバを分けることを予定しているか。また、複数のサーバを予定している場合、各サーバで扱う情報をどのように分類するのか。さらに、各サーバ間のネットワーク接続は、どんな構成になるのか、全体計画について伺う。
回答
サーバなど電子都庁のシステムについては、情報の性格や業務の種類を検証したうえで、セキュリティや効率性に十分配慮して導入すべきものと考えます。
計画を具体化する過程において、こうした考えに基づき安全で使いやすいサーバ構成となるよう調整していきます。
質問事項
五の5 初年度の予算要求で実現される部分が、ネットワークインフラ全体計画のどの部分に該当するのか伺う。
回答
中間のまとめでは、ネットワーク整備として、増加が見込まれる電子都庁の業務量及び通信量に見合うようにネットワークを大容量化することを計画しています。
初年度は、本庁舎内に一人一台のTAIMS端末を展開するとともに、ネットワークの拡充に向けて基本計画を策定します。
質問事項
五の6 それぞれの情報に対する職員・電子申請の関係者・一般都民等、情報にアクセスを行う者のアクセス権は、どのように設定されるのか伺う。
回答
電子都庁で扱う情報は、都民の個人情報や確定前の業務情報等、セキュリティ確保を必要とする多くの情報があります。
システム構築にあたっては、アクセス権の設定を含め、これらが漏洩や改ざんされることのないよう、個人情報の保護やセキュリティ対策には万全の措置を講じていきます。
質問事項
五の7 都庁のIT化にあたっては、どんな項目が達成目標として定められ、その達成率をどのような指標で表すのか伺う。
回答
中間のまとめにおいては、都民サービスの向上、行政手続の簡素・効率化を図るため、平成十五年度を目途に電子申請、電子入札等のシステムを開発・運用し、電子都庁としての基盤的システムを構築することを目標に掲げています。
こうしたシステムの開発・運用状況を明らかにしながら、その達成状況を示していきます。
質問事項
五の8 都庁職員の情報リテラシー教育について、どのようなスケジュールで職員教育を行うのか伺う。
回答
電子都庁の推進には、システムやネットワークの整備だけでなく、パソコンを利用・活用できる職員の育成が重要です。
東京都では、従来から、誰もがパソコン操作ができるように、操作研修を実施してきました。
今後は、こうした研修とともに、ネットワークユーザーとしての基礎知識や、セキュリティ管理等について習得できる研修を計画的に毎年度実施する等、電子都庁を担う職員の情報リテラシー教育を充実していく予定です。
質問事項
五の9 効果的な情報リテラシー教育に、e-Learningのような電子的な学習システムの導入を検討しているか、否かについて伺う。また、電子的な学習システムを用いない場合、どんな教育システムを用いるのか、併せて伺う。
回答
e-Learningでは、わざわざ研修場所に行かなくても、基本的・定型的なパソコン操作などについて、個々の事情に合わせた学習が可能です。
今後、技術動向やパソコンの配備状況を考慮しながら、検討をしていきます。
また、職員の情報リテラシー向上策として、現在、ネットワーク上に電子会議方式の情報データベースを整備し、職員間でパソコン操作等の情報交換を行い、大きな効果を発揮していますが、こうしたネットワークを活用した手法も充実していく予定です。
質問事項
六 東京都総合環境アセスメント試行と放射五号線について
1 本アセスメントにおいては、交通量を一日四万八千台と見積もっているが、現交通量、甲州街道他からの流入交通量、現在自動車を使用していない人たちの道路整備による自動車使用、道路整備に伴い沿道が開発されることによる新たな需要等をどの様に見積もっているのか伺う。
回答
総合環境アセスメントは、計画の早い段階において複数案の相対評価を行うものであることから、調査方法は、「東京都総合環境アセスメント制度試行のための環境配慮技術指針」において、既存の文献や資料を用いて行うこととなっております。
このため、予測交通量は、道路構造令による一日一車線当たりの最大容量一万二千台の四車線分、四万八千台と見込んでおります。
質問事項
六の2 精度の高いアセスメントを行う際には、周辺の開発計画を考慮しなければいけない。正確な交通量予測を行うために、今後、アセスメントを行うにあたって、区と連携を密にして用途地域や開発計画などに関する情報を得る体制を整備すべきと考えるが、いかがか。
回答
今後引き続き行われる条例アセスメントにおいては、最新の知見に基づく交通需要予測手法により、予測を行う予定であります。
なお、この予測に際しては、区とも更に連携をとりながら地域特性を十分把握するよう努めてまいります。
質問事項
六の3 「植物、動物」「生態系」「緑、水辺」の調査項目に関して実地調査は行われたのか。また、行われた場合の調査時期と期間についても伺う。
回答
総合環境アセスメントは、「東京都総合環境アセスメント制度試行のための環境配慮技術指針」に基づき実施しており、杉並区が平成十年三月に実地調査結果を公表した「杉並区自然環境調査報告書(第三次)」などの既存の文献等をもとに調査しております。
なお、本試行に引き続く条例アセスメントの際には、改めて実地調査を行ってまいります。
質問事項
六の4 玉川上水と重複する道路予定地には、どのような種類の植生及び動物がどの程度見られるか、定量的な結果を伺う。
回答
先の報告書によりますと、植生については、ケヤキ、ヒノキなどの樹木や、ススキ、クズなどの草本植物が約二百十種、動物については、ヤモリ、スズメなど約三十種が記載されております。
質問事項
六の5 代替として緑地帯を整備する場合は、量だけでなく質も考慮する必要がある。本アセスメントでは、植生の質について、どのような評価を行ったのか。また、代替として、緑地帯を整備する場合、緑地帯にどの程度まで同一種類の植物を整備できるか、併せて伺う。
回答
玉川上水の有する植生環境は質・量ともに重要と考えております。そのため、複数案の作成に当たり、保存や移植などに加え、新たな緑を創出するための緑地空間を十分確保するように配慮しております。
緑地帯の具体的な整備内容については、玉川上水の環境に留意し、今後、専門家や地元自治体などの意見を参考にしながら検討を進めてまいります。
質問事項
六の6 史跡・文化財に関する現況調査の結果について伺う。
ア 放射五号線と玉川上水が重なる部分のうち、当時の素掘りの状況をとどめている部分の割合は、どの程度あり、また、その場所はどこか。
回答
東京都環境保全局(現環境局)が、平成三年十二月に公表した「玉川上水崩落調査報告書」によりますと、放射五号線と玉川上水が重複する約一・三キロメートルのうち、岩崎橋、兵庫橋、牟礼橋周辺を除く、約一キロメートルの部分が素掘りの状態であり、その割合は、約八割です。
質問事項
六の6のイ 重点的に保存すべきポイントは、どこか。また、計画案は、保存ポイントに影響を与えない形になっているか伺う。
回答
放射五号線と玉川上水が重なる部分の整備に当たっては、玉川上水の特性を踏まえ、水と緑の自然豊かな憩いの空間の創出が重要と考えております。
計画案のうち、A、B案については、玉川上水を保全した上で、緑と水辺と遊歩道が一体となった憩いの空間を確保するものであり、C案については、両側に遊歩道を含め十五メートル幅の環境施設帯を設け、身近でより豊かな緑と水辺が一体となった憩いの空間を新たに創出するものです。
質問事項
七 「監理団体改革実施計画」における財団法人東京女性財団と株式会社東京スタジアムについて
1 「基本指針」は、監理団体改革に先立って合理的な判断指標を表明し、もって改革の公平性に資することを目的に作成されたものと理解するが、所見を伺う。
回答
「監理団体総点検のための基本指針」を策定した目的は、都及び各団体が総点検を行うに当たって、
・団体の設立趣旨にまでさかのぼって見直すこと。
・自律的経営を促進させること。
・経営の透明性の向上を図ること。
という基本的考え方のもとに、点検項目ごとに基本的な取組の方向を示すことにより、団体改革を確実に進めることにあります。
質問事項
七の2 「実施計画」においては、「基本指針に沿った見直し」とは無関係に「設立趣旨にさかのぼった見直し」が行われており、合理的で公平な根拠がないと考えるが、見解を伺う。
回答
今回の改革では、まず、団体そのものの必要性や活用のメリットを検証するなど、団体の設立趣旨にまでさかのぼった抜本的な見直しを行いました。
その上で、平成十五年度までの経営改善計画期間において、自律的経営の促進と経営の透明性の向上を図るため、基本指針に沿った具体的な改善事項に計画的に取り組むこととしたものです。
質問事項
七の3 「実施計画」では、「東京女性財団の廃止」とあるが、独立法人である財団の決定を待たずに都が「廃止」と言い切る根拠は、この時点でどこにあったのか。また、ないとしたら記述が不明確ではないのか。所見を伺う。
回答
財団の解散については、寄附行為に基づき、理事会及び評議員会において決し、かつ主務官庁の許可を得て、解散することになります。
「実施計画」については、監理団体の指導監督の立場から都としての方針を示したものです。
質問事項
七の4 東京女性財団が、東京都の直営に近い組織・経営状況である原因は人事と資金の両面において、自主運営を促す努力を怠った都にある。
会議室の貸し賃を運用させ、段階的に固有職員の比率を増やすなどして、自立を促すことに問題はないはずで
ある。
「基本指針」に沿ってこれをしないのはなぜか。所見を伺う。
回答
女性財団に対しては、これまでも、監理団体経営評価において、財務面、事業面及び組織面で一層の努力を必要とするとの指摘があり、都はそのための改善を促してきました。
しかしながら、今般の監理団体総点検のゼロベースでの見直しの中で、自立的な経営体として存続することが困難だと判断しました。
質問事項
七の5 東京女性財団を廃止するとしながら、「基本指針に沿った改善事項」に記述がない。「基本指針1」で「取り組む」とした「評価結果に基づいた統廃合計画の検討」が行われたのであれば、なぜ記述がないのか。この事項を欠くということは、「基本指針に沿った見直し」をせずに、「設立趣旨にさかのぼった見直し」のみで廃止をきめたのか、所見を伺う。
回答
「基本指針1」では、平成九年度から実施してきた経営評価制度について、評価結果が団体の経営改善に十分に結びついていないなどの問題点があることから、制度を実効性あるものとするために、点数制や評価指標のウエイト付けなど、今後取り組むべき基本的方向を示しました。今回の実施計画では、この指針に基づき、団体ごとに次年度の経営目標を年度末に設定し、その達成度について評価するしくみに改めました。
この新しい経営評価制度は、平成十三年度から実施するものであり、現在、各団体において、経営目標の設定について検討しています。したがって、今回の統廃合計画は、直接、新しい経営評価制度に基づいたものではありません。
東京女性財団については、ゼロベースでの見直しの中で、自立的な経営体として存続することが困難だと判断し、直営により普及啓発等を継続することとしました。
現下の重要課題である企業などにおける参画促進や家庭内等における暴力などには、本庁とウィメンズプラザが一体となって、行政機関として責任を持って対応する必要があることから、直営化がもっとも適切と判断したものです。
質問事項
七の6 「基本指針1」で「取り組む」とした「評価指標」の「点数制」を実施した結果を全ての監理団体について明らかにされたい。
回答
点数制による、新しい経営評価制度は、平成十三年度の事業活動から対象とするものです。その結果は、平成十四年度に明らかにいたします。
質間事項
七の7 「基本指針1」で「取り組む」とした「評価指標」の「ウェイト付け」を実施した結果を全ての監理団体について明らかにされたい。
回答
評価指標のウエイト付けに基づく、新しい経営評価制度は、平成十三年度の事業活動から対象とするものです。その結果は、平成十四年度に明らかにいたします。
質問事項
七の8 建設の面からも、経営の面からも、計画も予定も変わっているにもかかわらず、「予定どおり進捗している」とされている「実施計画」における株式会社東京スタジアムの記述は誤りである。訂正すべきだが、所見を伺う。
回答
東京スタジアムは、平成十二年三月、「当面、陸上競技用トラックを整備しない」とする方針を決定し、その方針どおり建設を進めてきたものです。
「監理団体改革実施計画」は、十二年十一月に策定されたものであり、その記述内容に、御指摘のような誤りがあるとは考えていません。
質問事項
八 竣工した「東京スタジアム」と第三セクター「株式会社東京スタジアム」について
1 買い取りを決定した政策会議において、陸上トラックを欠く点において、建設計画書と異なる仕様となった東京スタジアムを買い取ることは、明らかになっていたのか。
また、なぜ、仕様変更が明らかになった時点で報告がなかったのか、所見を伺う。
回答
東京スタジアムを東京都が買い入れることについては、平成十一年九月に開催された政策会議において決定しました。
また、陸上競技用トラックを、当面、整備しないという方針が決定されたのは、平成十二年三月であり、建設・住宅委員会の委員各位には、建設計画の変更の方向性が明らかになった三月二十一日に、文書で報告をさせていただきました。
質問事項
八の2 陸上トラックの設置を中止したのは、九九年十月から年末にかけてのことだが、翌年三月まで議会に何も知らせなかったのはなぜか。
また、三月についても、定例会会期中には何も説明せず、委員会終了後に各議員に紙一枚の簡略な通告をしたのはなぜか。併せて伺う。
回答
陸上競技用トラックを、当面、整備しないという方針が決定されたのは、平成十二年三月です。
また、建設・住宅委員会が開催された三月十七日の時点では、建設計画の変更について、地元市等との調整を行っている最中であり、建設・住宅委員会の委員各位に報告する段階には至っていませんでした。
なお、建設・住宅委員会の委員各位には、変更の方向性が明らかになった定例会会期中の三月二十一日に文書で報告させていただきました。
質問事項
八の3 陸上トラックの整備を中止して、球技専用競技場とすることの意思決定は、実際にはいつの政策会議に諮られたのか。
その際、陸上トラックの整備とその費用について、どんな話し合いが行われたのか。
仕様変更の責任の所在はどこにあるという認識だったのか。併せて伺う。
回答
陸上競技用トラックを、当面、整備しないという方針については、会社が、補助競技場の整備を凍結するという都の方針を踏まえ、都と協議のうえ、競技場の効率的利用等の観点から決定したものであり、政策会議には諮っていません。
なお、陸上競技用のトラックは、当面、整備しないこととしましたが、陸上競技に必要な基本施設は、あらかじめ確保・整備されています。
質問事項
八の4 株式会社東京スタジアムの定款には、「総合陸上競技場の建設・運営」が掲げてある。陸上トラックを整備しないまま開場することは、経営方針の変更であり、スタジアム建築の仕様変更である。この問題は、どう株主総会に諮られ決定されたのか。
それは、当然議会に報告されるべきであるが、行われなかったのはどんな認識、理由によるものか、伺う。
回答
陸上競技用のトラックを、当面、整備しないという方針は、株式会社東京スタジアムが、平成十二年三月に、都と協議のうえ決定したものであり、平成十二年六月十五日に開催された会社の株主総会において報告されています。
また、変更の方針については、建設・住宅委員会の委員各位に、平成十二年三月二十一日付の文書で報告したところです。
質問事項
八の5 株主総会ではどう協議され、定款とのねじれを今後どう治癒していくのか、系統だった報告がなされないまま、買い取り議案が上程されるのは手続き上も問題である。所見を伺う。
また、買い取る建築物の詳細を説明した資料もないまま決議することになるが、「武蔵野の森競技場基本計画書」と異なるものを買い取ることができる根拠についても、併せて伺う。
回答
陸上競技用のトラックを、当面、整備しないという方針は、株式会社東京スタジアムが都と協議のうえ決定し、株主総会に報告されています。
定款とのねじれという御指摘ですが、現在、陸上競技用トラックが整備されていないことをもって、定款に反するとは考えていません。
また、「武蔵野の森競技場基本計画」は、武蔵野の森競技場建設検討委員会の議論を踏まえて会社が策定したものであり、都が買い入れる内容を拘束するものではありません。
質問事項
八の6 都は昨年、当会派の質問に対し、金額の内訳はなく、一括で取り扱っていると答弁したが、そうであれば、この仕様変更は二百四十八億円を超える案件の内容変更にほかならない。
「武蔵野の森競技場基本計画書」の仕様変更について、議会に諮らないでよいことの根拠を伺う。
回答
「武蔵野の森競技場基本計画」は、武蔵野の森競技場建設検討委員会の議論を踏まえて会社が策定したものであり、都議会の議決を経て決定されたものではありません。
なお、陸上競技用のトラックを、当面、整備しないという方針は、平成十二年三月二十一日付の文書で、建設・住宅委員会の委員各位に報告しています。
質問事項
八の7 買い取りの対象は、東京スタジアムのどの部分にあたるのか、基本計画書に示された個々の構造物ごとに内訳の金額を伺う。
また、今回設計変更されたフィールド部分について、当初の計画との金額の増減がわかるよう示されたい。
回答
平成十二年度第四回定例会に提出した東京スタジアムの買入れについての議案は、競技場及び商業施設を対象としたものです。
これらの建設工事は、一括発注をしているため、それぞれの建設費について区分しておりません。
また、フィールド部分の設計変更については、会社の積算によると、トラック舗装を行わなくなったこと等による減額分と、天然芝及び人工芝を増設したこと等による増額分は、ほぼ同額となっております。
質問事項
八の8 陸上トラックが未整備である限り、買い取りにおける公金投入の反対給付は、不完全の状態が継続するということを意味するのか。
それとも、都は球技専用競技場に仕様変更されたものを買い取ったことになるのか。法的な関係を定款の目的との整合性にも言及し、見解を伺う。
また、その関係を担保する手続きが、どんな文書なのか、なければどんな手続きをする予定なのか、併せて伺う。
回答
平成十二年第四回定例会に提出した議案は、その時点でのスタジアムを買い入れることを内容とするものです。
なお、東京スタジアムは、陸上競技に必要な基本施設をあらかじめ整備しており、将来、陸上競技場を整備する場合には、必要最小限の費用で対応することが可能な仕様となっております。
質問事項
八の9 九九年九月の決定において、買い取りの条件として、今後の追加的な経済支援を行わないことを都民に約束したと理解しているが、如何か。
回答
平成十一年九月に、東京スタジアムを買い取ることとする建設・運営方針の変更を行った後、同年十月に、都と会社との間で取り交わした確認書においては、「会社はその努力と責任においてスタジアムの運営を行い、都は運営費に対する支援を行わないものとする。」としています。
したがって、運営費でないものについては、今後の協議に委ねられることになります。
質問事項
八の10 都は、スタジアムを買い取るにあたり、将来、確実に発生する陸上トラック整備のための改修費用の負担関係が明確でない事態を、どんな理由で許容しているのか、伺う。
回答
現時点では、東京都での国体の開催が決まっていませんので、陸上競技用トラックの整備について、具体的な検討を行う状況にはありません。
質問事項
八の11 陸上トラックの改修費用を概ねいくらと見積もっているのか、伺う。
その金額は、株式会社東京スタジアムの売上高に占める割合として、重大な影響を及ぼす金額と考えるが、その認識はあるのか。併せて伺う。
回答
現時点では、東京都での国体の開催が決まっていませんので、陸上競技用トラックの整備について、具体的な検討を行う状況にはありません。
質問事項
八の12 改修費用は、本来誰が負担すべきものと考えているのか、伺う。
また、関係各市に負担が及ぶ可能性があるのか。「将来的な都の財政負担」を「明確」にすべきだが、併せて伺う。
回答
現時点では、東京都での国体の開催が決まっていませんので、具体的な検討を行う状況にはありません。
質問事項
八の13 都が関係市に交付した「確認書」における「運営の支援」とは、何をもって「運営」とし、どのような形態の「支援」を意味するのか。その定義と適用範囲について、伺う。
回答
都と株式会社東京スタジアムとの間で、平成十一年十月に取り交わした確認書は、会社の努力と責任において、独立採算による運営を行うことを明確にしたものです。
具体的に何をもって「運営」とするかは、この考え方に沿って判断していくことになります。
また、同確認書における「支援」の形態としては、東京都の補助金等が考えられます。
質問事項
八の14 陸上トラックの改修費用を、都が負担することがこの「運営の支援」に当たるか否か、見解を伺う。
また、委員会で発言のあった、都が発行した文書の意味を、「都と会社の間で」協議するとは、どういうことか。
さらに、「確認書」を受け取った関係各市は、「運営の支援」がそういう意味であることを承知しているのか。
そして、改修費用が、「運営の支援」に当たるか否かについて、関係市に連絡すべきであるが、併せて見解を伺う。
回答
現時点では、東京都での国体の開催が決まっていませんので、陸上競技用トラックの整備について、具体的な検討を行う状況にはありません。
平成十一年十月二十六日に、都と会社との間で取り交わした確認書は、会社の努力と責任において、独立採算による運営を行うことを明確にしたものであり、具体的に何をもって「運営」とするかは、この考え方に沿って、都と会社で協議し、判断していくことになります。
このことについては、地元市に説明しており、その趣旨を理解していただいているものと考えています。
また、陸上競技用トラックについては、整備を行う段階で地元市にも説明をしたいと考えています。
質問事項
八の15 土地、建物など、主要な営業財産のほとんどを都が提供し、もはや第三セクターといえない会社に経営を独占させる理由は何か、伺う。
また、良い企画を持ち込んだ企業、大きなイベントを持ち込んだ企業に運営を任せるなど、競争があってこその民間活力であると考えるが、このような抜本的改革をしないのはなぜか、併せて伺う。
回答
東京スタジアムは、広く都民の利用に供するという要請に応えるとともに、都が直接運営するよりも、効率的かつ弾力的な運営を行えるよう、株式会社東京スタジアムが運営することとしたものです。
現在、会社では、民間企業からの派遣社員を受け入れるなど、積極的な経営に取り組んでいますが、今後とも、他の同種の企業とも競争できるよう、一層の体制整備に努めているところです。
質問事項
八の16 開業初年度の赤字が、昨年十一月の建設・住宅委員会では四千万円、本年十二月の委員会では四億一千六百万円と、発言が下方修正されている。どこが変わったのか、勘定科目をあげながら、相殺せず詳細がわかるように、差額の内訳を明らかにされたい。
また、この二つの試算がいつ作成されたのか、併せて伺う。
回答
平成十一年十一月の建設・住宅委員会でお示しした収支見込みは、同年の八月に試算したものであり、十二年十二月の建設・住宅委員会に提出した収支見込みは、その後の状況変化を踏まえて、見直しを行ったものです。
収入については、初年度は東京スタジアムの周知度が十分ではないことなどから、その見直しを行い、競技場使用料収入を、三億六千二百万円から三億五千五百万円としました。また、売店等収入についても、三億円から二億八千百万円としました。この結果、収入合計は八億五千五百万円から八億三千二百万円となりました。
一方、費用については、修繕費を新たに会社の負担にすることとしたため、二億四千万円の増加となりました。また、備品等の償却については、精査した結果、九千百万円から一億三千八百万円としました。
営業外費用では、施設利用権の権利金償却費を、新たに計上することにしたため、二億四千万円の増加となりました。また、開業費償却については、開業準備費用の抑制により、九千二百万円から六千百万円に縮減しました。この結果、費用合計は八億九千三百万円から十二億一千六百万円となりました。
全体の損益収支の比較では、三千五百万円の損失から四億一千六百万円の損失へと修正しました。
質問事項
八の17 三億七千万円を超える下方修正に至った株式会社東京スタジアム社長の責任は重大である。すでに生じているこの経営責任に対して、都はどのように副知事である社長に責任を問うのか。
回答
会社は、その設立から開業に至るまでの間は、一般的に収入がありません。
このため、当社においても、開業時には約二十億円の累積損失が発生する見込みとなっていますが、経営責任の問題はありません。
質問事項
八の18 第一種公認競技場であることの条件が、教育庁所管の補助競技場と、第三セクターのスタジアムとに跨っているかたちになっているが、東京スタジアムとその周辺整備との関係は、どのように整理されているのか、伺う。
また、このような足並みがそろわない事態を回避すべく、何らかの文書でルールを定めるなど、構造的な齟齬を克服する仕組みが必要だが、併せて所見を伺う。
回答
東京スタジアムの建設とその周辺の補助競技場等の整備は、「調布基地跡地利用計画」に位置付けられています。
東京スタジアムは、平成十二年十月に竣工しましたが、補助競技場については、都の財政状況にかんがみ、当面その整備を行わないものです。
また、東京スタジアムの整備・運営については、関係局が連携を図っており、御指摘のような齟そ齬ごがあるとは考えていません。
提出者 藤田十四三
質問事項
一 自治省が発表した外形標準課税案について
二 東京都税制調査会の最終答申について
三 国への要望活動について
第四回定例会に「地方主権の確立に向けて」次の文書質問を提出し、知事並びに関係局長の誠意ある回答を求めます。
一 自治省が発表した外形標準課税案について
二 東京都税制調査会の最終答申について
三 国への要望活動について
一 自治省が発表した外形標準課税案について
自治省は十一月二十一日、法人事業税への外形標準課税の導入案(全国一斉・全業種が対象)を発表した。
外形課税の導入は地方税制に係る懸案の最たるものであった。本来地方税は、さまざまな行政サービスに対する応益課税が原則であるのに、都道府県の基幹税である法人事業税が所得に課税する応能制とされているため、景気の変動によって大幅な税収の増減が生じたり、法人全体の三分の二を占める赤字法人が課税を免れるなど、地方の堅実な財政運営を阻害する主要因となってきたのである。
今回、自治省がこの長年の懸案解決に向けて動いたのは、都が銀行に対して都独自の外形課税を導入したからであろう。自治省案の二〇〇二年度からの導入は、自民党税調の慎重論から難しい状況ではあるが、私は「流れ」はできたとうけとめている。都道府県によってはまさに悲願達成といいたいところであろうが、とても手放しでは喜べないというのが私の認識である。以下、まずその理由を述べる。
第一に、自治省案では、新制度による法人事業税収入の総額は全国で約四兆円と試算されているが、これは過去十年間の平均を一〇%程度下回る額である。つまり、税収の水準が、現在の景気低迷による低レベルに固定されてしまうことを危ぶむ。
第二に、全国一斉の外形課税導入に併せて、都が独自課税の根拠とした地方税法の条文が改正されてしまうことを問題視する。これによって、都の銀行課税は継続が不可能となり、銀行の税負担も都制度の十分の一にまで軽減されてしまう。これは、明らかな課税自主権の制約であり、分権の流れに逆行するばかりか自治省からみれば「勝手なことをした」ととれる都に対する懲罰的な意図すら感じる。
私は、銀行課税を審議した今年の第一回都議会定例会において、このような国の反応を二つながら「当然想定し得るリスク」であると考え、知事に質した。そのときの知事の答弁は、
〔1〕全般的な外形課税の導入は勘案すべき課題が多く、今回の措置が停滞する国の議論にあるインパクトを与えることはあっても、近い将来実現することはあり得ないと思う。
〔2〕国がこれに腹を立てて、この地方分権法もつくった時代に、頭に来たからと言って地方税法を改正し、自治体の権限を剥奪するほど愚かじゃないと思う。
というものであった。
今回、図らずも私の懸念が現実味を帯びてきた。そこで二点尋ねる。
1 第一に、本会議で、「(もし国がそのような愚かな行為に出たときは)都庁に籠城してでも戦おうではないか」とも発言された知事の、現在の心境を伺いたい。
2 第二に、今回の自治省案は都にとって無条件に賛成できるものではない筈だが、自治省案の内容を分析・評価した上で早急に都の見解をとりまとめ、国に対して、知事自ら行動を起こすべきと考えるがいかがか。
二 東京都税制調査会の最終答申について
知事の諮問を受けて「地方主権の時代にふさわしい地方税制及び国・地方を通じた税制全体のあり方」等を検討していた東京都税制調査会は十一月三十日、知事に対し最終答申を行った。
これまで税調と言えば政府及び自民党主導のもので、国からの移転財源が文字どおり「命綱」となっている地方自治体が、自ら税制調査会をつくって国にもの申すことなど考えられないことであった。そうした中で、今回の都税調の試みは勇気ある行動、意義ある取組として、私は高く評価したい。五月の発足からわずか半年にして答申をまとめあげられた委員各位のご努力にまずもって敬意を表するにやぶさかでない。
ひるがえってみるに、今回の答申に当り、「四つの新税」のみが大きく取り上げられ、あたかもそれがすべてであるかのように報道されていることは残念である。都税調の意義や答申のより重要な点を、都民にもっとよく知ってもらう努力をすべきであろう。
次に、この答申に対する私の所見を述べる。端的に言えば、委員各位の努力は多とするが、いささか「拙速」であると言わざるを得ない。調査会は、多岐に亘る、地方税財政制度の根幹に触れる重要課題を精力的に論じているが、総じて表面的・観念的で、迫力や説得力が伝わってこないのは何故か。思うに、答申に、具体的なデータに基づく緻密な理論の構築過程がほとんど見られないことに起因しているのではないか。
厳しい言い方をお許し頂ければ、答申は「世間一般で言われていること、既に誰かが主張してきたことを都合良く寄せ集めたもの」という印象を強く受ける。これでは国に対して論戦を挑む力とはなるまい。
新税の提案も唐突で違和感が残る。各々それなりの理屈付けがあるが、税の本質論にまでさかのぼった理論構築が乏しい。まず増税ありきでは都民は納得しない。税はその還元と一体で論じられるべきものである。
勿論、討議時間が不足もあろうが、結論を言えば、税制論を通じて都や地方の行財政運営そのものを論じようとしたところに些か無理があったのではないかというのが私の所見である。そこで画期的な取組が今始まったところであり、その意義は限りなく大きいことをみすえ、今回の答申で幕を引くことなく、今後更なる検討を継続すべきであると提案するがいかがか。
三 国への要望活動について
都は今年から、従来の「国に対する要望」を「国に対する提案要求」と改め、都が国と対等な立場に立って、堂々と国に意見を述べる姿勢を明確にした。また仄聞するに、本年七月の全国知事会議においても、政府への要望を中心としたこれまでの取組から、主体的な政策提言を行う団体へ脱皮すべきなど、知事会の活動スタイルの見直しを求める意見が相次いだと聞く。
地方分権法が施行され、国と地方とが新たな時代―権限と財源の地方への移譲によって役割分担を明確にし、地方主権の確立を目指して、相互信頼に基づく新たな協力関係を構築する時代―に入ろうとしている今、都の姿勢は、まさに時宜を得たものであろう。
しかしながら、今年の夏・冬の提案要求を見るとき、私の目には「変わったのはスタイルだけ」としか映らないという率直な思いを述べざるを得ない。
東京都といえども、さまざまな面で国に依存せざるを得ない状況が長く続いてきた経過と事実を見るに、分権法が施行され新たな権限が移譲されたからと言って、直ちに、これまでの国に対する意識を根本から変えるというのは難しいことであることは承知しているが、望むべくは今年の提案要求から、変革の兆しや今後の方向を示すベクトルを読みとらせるべきではなかったのか。
議論を深めるという建設的提言の願いをこめて、私が「この際改善すべき」と考えている点を、今年の提案要求からいくつか具体的に挙げてそれぞれ見解をお聞きしたい。
第一に、提案要求の件数が多すぎはしないか。今年夏の提案要求書はA4判で三七〇ページに及ぶものとなり、項目数も百九テーマで優に四百件を超えている。これだけ件数が多いと都が真に展開したい主張がぼやけてしまうばかりか、国の対応も、実際上「ただ受け取るだけ」となってしまう懸念はないか。
第二に、提案要求の内容・主張が妥当であるか否かの検証を念入りに行ったのか。「〇〇事業に関して必要な条件整備を図られたい」などの要求の多発は、要求のもつ重要性にもかかわらずややもすると具体性のない形式的なものとうけとられる危惧はないのか。国の関与や国庫補助制度の創設を求める要求と併行して当該事業に係る都の主体的な取組方針をより明確にした方が国庫補助金の増額や補助率の引上げ等を求める要求がより説得力をもつのではないか。
第三に、個々の要求相互の整合性は検討されたのか。冬の提案要求では、一方で、「国庫支出金や地方交付税を縮減して地方への税源移譲を」という提案を最重点で行いながら、他方で、都の事業に対する国庫補助金の増額要求を多数行うなど、一見して個々の要求に相互矛盾が起きているようにとれる点は整理が不可欠ではないか。
東京都が目指す地方主権の確立のためには、先に述べた『国と地方との新たな時代』の構築を基本とした国との関係整理が最重要のファクターである。従って、私は、これまでの政策報道室の労を多とし、取組みの実が一層挙がることを期待しつつ、「国に対する提案要求」を次のような観点に立った抜本的な見直しを行うべきと提案するがそれぞれ所見をうかがいたい。
1 都として、知事名をもって国に提案要求する事項は、その重要性、緊急性等を厳しく精査し、全体として現在の十分の一程度までに圧縮すると共に単なる国庫補助金の増額要望などは行わない。
2 提案要求の内容については次の点に十分配慮したものとする。
ア 形式論は極力排除し、具体的に都の主張を論じる。
イ 当該事案について、まず都の取組姿勢を明確にし、都の取組を阻害する要因を明らかにしたうえで、その改善を提案要求する姿勢を確立する。
ウ 提案要求の実現によって、都民にどのようなメリットが生じるのか、分かりやすく説明する。
3 政策報道室の戦略的・機動的取組みを次のように格段と強化する。
ア 国に対する提案要求はトップマネジメント機能の実行であると明確に位置づける。
イ 夏・冬二回要望するという従来の取組みを始め、夏期に集中すると共に事業所管局との調整を終えた後は、政策報道室の責任において、適時適切に戦略的・機動的な活動を継続して行う。
ウ 都議会各会派との連携を一層強化し、提案要求の実現を目指す。
エ 政策報道室の責任において、毎年、取組み結果等の総括をきちんと行い、継続・一貫した取組みを行う。
質問事項
一 自治省が発表した外形標準課税案について
1 自治省が発表した法人事業税への外形標準課税案では、都が独自課税の根拠とした地方税法の条文が改正され、都の銀行課税の継続が不可能となる。平成十二年第一回定例会で、「(もし国がそのような愚かな行為に出たときは)都庁に籠城してでも戦おうではないか」と発言された知事の、現在の心境を伺う
回答
全般的な外形標準課税については、自治省案は発表されたものの、平成十三年度の税制改正においては先送りされました。
こうした国の動きを見る限り、近い将来、これが実現する見込みは微妙と考えていますが、当然のことながら、自治と分権の流れに逆行するような法律改正が現実のものとして検討されるような場合には、都議会の御協力をいただきながら、国と徹底的に戦う所存です。
質問事項
一の2 今回の自治省案は、都にとって無条件に賛成できるものではないはずだが、自治省案の内容を分析・評価した上で、早急に都の見解を取りまとめ、国に対して、知事自ら行動を起こすべきと考えるが、所見を伺う。
回答
今回の自治省案は、現在の経済状況等を勘案すると、多くの課題を抱えていると思います。
とりわけ、銀行業については、税負担が著しく低いものとなり、適正な課税が確保できないなど問題があると考えています。
都は、地方税法第七十二条の十九の改正の対象から銀行業を除外するよう、自治省に対し、現在、強く申し入れています。
質問事項
二 東京都税制調査会の最終答申について
地方自治体が自ら税制調査会をつくって、国にもの申すという画期的な取組が始まったところであり、その意義は限りなく大きいことを見据え、今回の答申で幕を引くことなく、今後さらなる検討を継続するべきであると提案する。見解を伺う。
回答
東京都税制調査会に対しては、引き続き、国と地方の税財政制度のあり方について、地方の立場に立った検討をお願いするつもりです。
なお、答申の内容を広く都民・国民に理解していただけるよう、主税局のホームページにその全文を掲載しております。さらに、税源移譲の仕組み等についてわかりやすく図解した一般向けのパンフレットを十万部作成し、東京都の各窓口等において配布するほか、都内各区市町村へも窓口等での配布を依頼しました。
質問事項
三 国への要望活動について
1 「国に対する提案要求」について、都として、知事名を持って国に提案要求する事項は、その重要性、緊急性等を厳しく精査し、全体として現在の十分の一程度までに圧縮するとともに、単なる国庫補助金の増額要望などは行わないものとすべきである。所見を伺う。
回答
都は、市町村業務も行っていることから多くの事務事業を所管しており、「夏の提案要求」は百九項目となっています。特に重要性、緊急性のある三項目を最重点事項に選定し、私自らが総理大臣等に直接働きかけています。また、重要な課題三十八項目を重点事項に選定し、副知事等が関係省庁に対する活動を行っています。今後とも内容を十分精査し、効果的な活動となるよう努めていきます。
なお、地方分権一括法が施行されたものの、税財源の移譲が中長期的課題とされている現段階においては、国庫補助金の増額要求はやむをえないものと考えていますが、引き続き、地方主権確立のために、税財源の移譲を強く働きかけていきます。
質問事項
三の2 提案要求の内容については、次の点に十分配慮したものとすべきである。
ア 形式論は極力廃止し、具体的に都の主張を論じる。
回答
都の主張がより具体的なものとなるよう、今後とも努めていきます。
質問事項
三の2のイ 当該提案について、まず都の取組姿勢を明確にし、都の取組を阻害する要因を明らかにした上で、その改善を提案要求する姿勢を確立する。
回答
現在も「提案要求理由」及び「具体的な提案要求内容」を明記していますが、さらに都の姿勢が明らかになるよう工夫していきます。
質問事項
三の2のウ 提案要求の実現によって、都民にどのようなメリットが生じるのか、分かりやすく説明する。
回答
提案要求の実現により生ずるメリットが、都民に分かりやすいように工夫するとともに、ホームページの掲載内容を改善します。
質問事項
三の3 政策報道室の戦略的・機動的取組を次のように格段と強化すべきである。所見を伺う。
ア 国に対する提案要求は、トップマネジメント機能の実行であると明確に位置付ける。
回答
国に対する提案要求は、トップマネジメントの重要な機能の一つであり、今後とも、その強化に努めていきます。
質問事項
三の3のイ 夏・冬二回要望するという従来の取組を改め、夏季に集中するとともに、事業所管局との調整を終えた後は、政策報道室の責任において、適宜適切に戦略的・機動的な活動を継続して行う。
回答
夏(六月)の提案要求は国の施策全般を対象とし、冬(十月)は主として概算要求に盛り込まれた事項の実現を求めるものであります。この時期以外にも、関係大臣や国会議員等に様々な働きかけを行っており、今後とも戦略的、機動的な活動に努めていきます。
質問事項
三の3のウ 都議会各派との連携を一層強化し、提案要求の実現を目指す。
回答
今年度から都議会に対する協力要請を、より実質的な連携がなされるよう改善したところであり、さらに連携強化に努めていきます。
質問事項
三の3のエ 政策報道室の責任において、毎年、取組結果等の総括をきちんと行い、継続・一貫した取組を行う。
回答
毎年度末に提案要求活動の総括を行っていますが、さらに精査を加えて次期活動に反映し、取組を継続していきます。
提出者 三原將嗣
質問事項
一 保育行政について
一 保育行政について
保育行政について質問します。
1 女性の社会進出が著しい今日、特に働く母親の立場から保育所の増設が強く求められていることは、待機児が東京において約七千七百人といわれていることからも、言をまちません。
従って、認可保育所に入れない乳児・幼児はいわゆる認可外保育所に入所することとなりますが、都内にはこれらの施設が約千三百ヶ所あるといわれています。この内、特にベビーホテルといわれる施設の約百二十ヶ所は、東京都が、指導監督要綱で年一回報告を求め、立入調査をしていますが、改善を要する施設が多く、防災、安全、保育従事者等に問題があるとの報告も出ています。
これらの象徴的なことが神奈川県大和市で発生した、保育施設での事件であります。児童福祉法では業務停止や閉鎖命令すら出せるとしています。
しかし立入調査の前提となる施設の所在が不明確で、届出なしで経営している施設を把握する必要があります。要綱でも知事は把握に努めるとしか定めておりませんので、その届出は経営者の自由にまかせているのが現状です。
そこで十三大都市の主管課長会等でも施設の届出を義務づけるよう法律の改正を国に要望しているようですが、他人事のような要望活動ではなく、東京都独自に条例又は規則を制定し保育施設の設置者が届出ることを義務づけるべきだと思います。
一部には、義務化は規制緩和の社会風潮に逆行するとの意見もあるようですが、緩和するのは基準の内容であって、幼児の生命・身体を預る施設を届出ることは義務化されて当然であると思います。
ただちに着手すべきですが見解を伺います。
2 次に国の保育所規制緩和をさらにふみこんで福祉局は都独自の認証保育所制度を検討しておられますが、その細部を早く公表され、都内の認可外保育施設が認証を受けやすくし、劣悪なベビーホテル等が減少するよう努力すべきだと思います。
3 同時に認証を受けた保育所をはじめ、認可外保育施設が保護者の保育ニーズにそうようなサービスを適切に実施し、かつその経営内容等の情報が公開されるような制度を確立すべきであると思うが見解を伺います。
以上
質問事項
一 保育行政について
1 いわゆる認可外保育施設については、児童福祉法に基づく立入調査ができるよう、東京都独自に条例又は規則を制定し、施設設置の届出を義務付けるべきである。見解を伺う。
回答
東京都は、昭和五十七年から児童福祉法第五十九条に基づき、認可外保育施設に対する指導監督要綱を策定し、企業内保育所を含め、ベビーホテル等の認可外保育施設に対する計画的な立入調査を実施し、保育内容が適正に行われるよう指導しています。
また、その結果は、認可外保育施設立入り調査結果報告書として区市町村等に提供しています。
条例化による届出制については、認可外保育施設の位置付けや、実効性担保の方法など総合的な視点からの慎重な検討が必要と考えています。
今後、新規施設の把握については、区市町村の協力を得ながら、設置者に対し、より適正なサービスが担保できるよう指導監督を行っていきます。
質問事項
一の2 都が検討している「認証保育所制度」の細部を早く公表し、また、その基準は都内の認可外保育施設が認証を受けやすいものとすべきである。所見を伺う。
回答
東京都は、女性の就労形態やライフスタイルの変化に伴い、多様化している保育ニーズに柔軟に対応するため、大都市の特性に着目した東京都独自の認証基準による新しい保育所の仕組みとして、一定の保育水準を確保した認証保育所の創設を検討しています。
認証を受けやすいものとするため、具体的に運営要綱に盛り込む内容については、現行の保育室制度も踏まえながら、保育サービスの内容、職員配置、面積基準等、細部について検討していきます。
質問事項
一の3 認証保育所をはじめ、認可外保育施設が保護者の保育ニーズに沿うようなサービスを適切に実施できるよう、その経営内容等の情報が公開されるような制度を確立すべきである。見解を伺う。
回答
都では、認可保育所において、保育サービスの経営内容や運営状況等が、利用者本位の仕組みとなるよう、区市町村と連携して、サービス評価システムの構築を検討し、モデル実施した調査結果を情報提供することとしています。
また、新たに創設する認証保育所についても、適切な保育水準を維持し、質の高い保育サービスの提供が、継続的に確保できるよう、保育所運営方針、保育内容などの情報提供を行い、利用者が選択できる仕組みとなるよう補助要綱の中で担保していく考えです。
認可外保育施設についても、区市町村と連携して、きめ細かな指導監督に努め、保育サービス評価について、検討課題として認識しております。
提出者 和田宗春
質問事項
一 都立高校改革推進計画(第一次、第二次実施計画)の課題について
二 硫黄島の宿泊施設の建設について
三 痴漢犯罪対策について
一 都立高校改革推進計画(第一次、第二次実施計画)の課題について
東京都においては昭和三十年代から四十年代にかけて、いわゆる「団塊の世代」の異常ともいえる進学率の上昇にはじまり、六十年代前半のベビーブームによる生徒増が図られてきている。
この事態をうけて都立高校と私立高校は協調して、生徒を受け入れている。
とくに私立高校は都立高校の生徒収容数が不可能な時に都教委の要請に答えたという経緯から、今日まで私学の経常費補助等の運動を強く進めてきているところである。今日、議会内外を問わず都立高校無用論が議論されていることも現実である。
その根拠として、1、あまりにも教育費と生徒一人当りの公費支出が多額であること、2、一般的に生徒の素行、学力が私立高と比較して問題がある、3、少子化のおり、私学の経営を公立が圧迫するべきではない等といわれてきている。私はその対応策として「都立高校改革推進計画」が策定されてきたものと考えている。都教委は平成九年九月に計画策定し、九年度から十一年度までの計画期間を「第一次実施計画」として推進してきている。
1 そこで以下、横山教育長に質問する。
ア 平成十二年度またそれ以前に開校している飛鳥高校、桐ヶ丘高校、墨田川高校の学校運営は平常に行なわれているのか。
イ 人事考課制度の実績はどのように報告されているのか。
ウ 地域開放された都立高という点から、年度間行事の地域への案内は行なわれているのか。
エ 三校とも立地は変更なく制度のみの変更であることから、従来の同窓会との継続を教育庁が強く指導すべきであると考えるがどうか。
2 つぎに平成十三年度開設予定校の準備について質問する。
ア 世田谷地区チャレンジスクール、科学技術高校は複数校の統合である。世田谷地区チャレンジスクールは代々木高校の三部と定時制、烏山工業高校と明正高校の定時制、科学技術高校は江東工業高校、科学工業高校の統合である。
それぞれが先輩、諸先生からの伝統を引き継いで今日に至っている。それだけに各校の責任者、同窓会、教育庁等の関係者が相互理解をしなければ発展的な開設は困難である。
単一高校が名称、制度変更するだけでも大きな問題となる。それにもかかわらず複数校が一つになるということで今年度までの事前の調整、打ち合せは相当に精力が費やされたものと思料する。新二高校については具体的にどのような困難と克服策が講じられたのか。
イ また開校を間近にして教育諸条件を整えるうえで、備品等施設の充足は順調に進んでいるのか。
二 硫黄島の宿泊施設の建設について
硫黄島における遺骨収集についてはかねてから質問を続けてきている。硫黄島の遺骨収集が終わらなければ、東京の戦後は終わらない、という認識だからである。
さて昭和二十七年から始まった遺骨収集は平成十一年までで八千余柱であり、二万人以上も亡くなられている実態からすれば寒々しい限りである。行政はさらに力を入れていくべきであることは、言を待たない。
さらに帰島促進協議会の方々の声は、一方で高齢化していく会員と遅々として進まない遺骨収集のはざまのなかで悶々としている。
ところが今年九月の小笠原村議会の総務委員会で次のような報告がなされている。
委員・・硫黄島宿泊施設の見通しがついたようでございますが、どの程度の規模、とこれをどのように管理運営していくのか。
村長・・旧硫黄島民の方々とも協議を重ねながら進めてきた経緯でございますが、規模的に四十人程度、二段ベッド形式で泊まれるような施設ということでご理解をいただきたいと思います。その中には、私は村の連絡事務所的な施設もあわせてお願いをしてきましたので、その部分についても入ろうかと思います。今後の運営の仕方、維持管理等運営の仕方でございますが、私の希望としては、先ほども申し上げましたように、四百人、五百人という方々が住んでいらっしゃる。
そこで行政が何らかかわりを持たないということも非常におかしな話だろうと思いますし、できれば十日とかあるいは二週間というサイクルで、交代で職員を派遣したいなというように考えております。
このように村議会では報告されている。
それから三ヵ月が経っているが、関係局長に質問する。
1 平成十二年度十二月に予定されていた遺骨収集の結果はどうか。
2 宿泊施設について小笠原村と東京防衛施設局との話し合いがここまで進んできているが、確認しているのか。
3 建設に関連して都としての応援、援助をどのように考えているのか。
三 痴漢犯罪対策について
十二月一日、都内において痴漢犯罪シンポジウムが開かれ、えん罪を主張する男性、作家、女性団体責任者がパネラーとなった。その際都内の女子中高校生の四百二十名のアンケートが公表された。実に七一%が痴漢犯罪の被害にあい、そのうち六五%が何の抵抗もなくおびえていたということである。
六十名の参加者がありマスメディアも取り上げていた。
その後十二月八日には京王電鉄が週末、終電近くに最後尾を女性専用車輌として運行を開始している。
利用者の反応をみて、平常時にもラッシュ時に採用する意向のようである。
初日の八日には多数の女性利用者もあり、おおむね好評である。
十二月十三日、簡裁の有罪を不服としてえん罪の訴えをしていた男性の高裁判決が棄却となった。どちらにしても男女ともに被害者といえる。
そこで寺内交通局長に質問する。
1 最近の痴漢犯罪についての世論の動きをどう把握しているのか。
2 都営地下鉄に女性専用車輌を導入するとした際、どのような手続きが考えられるのか。
質問事項
一 都立高校改革推進計画の課題について
1 第一次実施計画について
ア 平成十二年度以前に開校している飛鳥高校、桐ヶ丘高校、墨田川高校の学校運営は平常に行われているか、伺う。
回答
お尋ねの三校については、いずれも都立高校の特色化、活性化を進める上での、新しいタイプの都立高校です。普通科単位制高校又は総合学科高校として、多様な選択科目を設置し、生徒による選択の幅を拡大するなど、それぞれの学校において、個々の生徒の進路希望や個性に応じて、特色ある教育活動を展開しています。
このような各校の特色に注目して入学し、個々の進路希望や個性の実現に向けて勉学に取り組む生徒も多く見られる状況であり、地域や保護者からも高い期待が寄せられています。いずれも設置の趣旨にのっとり、適切な学校運営を行っているところです。
質問事項
一の1のイ 人事考課制度の実績は、どのように報告されているのか、伺う。
回答
本年度より実施している人事考課は、教育職員が学校経営方針に基づき自ら職務上の目標を設定し、校長・教頭が教育職員との面接を行った上で、達成状況を自己評価する自己申告と管理者が教育職員の職務遂行上の能力等や職務実績を評価する業績評価から構成されています。
自己申告の提出率については、七月の当初申告時において、
桐ヶ丘高校 一〇〇・〇%
飛鳥高校 九八・五%
墨田川高校 九七・〇%
となっています。
(全都立高校の平均提出率九六・〇%)
また、管理職が、教育職員の指導状況を適切に把握するために実施する授業観察の十一月末の実施率は、三校とも一〇〇・〇%を達成しています。
(全都立高校の平均実施率九七・〇%)
なお、業績評価につきましては、毎年度一回、三月三十一日を基準日として実施することになっています。
質問事項
一の1のウ 地域開放された都立校という点から年度間行事の地域への案内は行われているのか、伺う。
回答
年間行事については、各学校や地域の実態を踏まえ、入学式、卒業式、文化祭、体育祭等、それぞれの行事の目的や趣旨に応じて、地域に情報提供するとともに、関係者へ案内をお送りしているところです。
今後とも、入学式、卒業式等の年間行事については、学校の教育活動をより一層理解していただくため、地域の自治会、関係行政機関、都議会議員等、地域の方々に積極的に御案内するよう指導していきます。
質問事項
一の1のエ 三校とも、立地は変更なく制度のみの変更であることから、従来の同窓会との継続を、教育庁が強く指導すべきと考えるが、所見を伺う。
回答
発展的統合・改編により設置した都立高校における同窓会の在り方については、関係者が十分協議し決定することが望ましいと考えます。新たな同窓会が設立される場合には、学校から、従前からの同窓会に対して十分説明し、理解を求めるとともに、新たな同窓会に対しても、学校の設置経緯・伝統を十分に説明し、理解してもらうようにしていきます。
また、統合・改編後の学校においては、その設置経緯を、学校沿革史や学校要覧に記載するとともに、対象校の諸資料、記念品等を展示する資料室(メモリアルルーム)を設置します。
質問事項
一の2 平成十三年度開設予定校の準備について
ア 複数校が一つになる世田谷チャレンジスクール及び科学技術高校の二校について、具体的にどのような困難と克服策が講じられたのか、伺う。
回答
世田谷泉高校については、平成九年七月、都立高校改革推進計画第一次実施計画の適正配置計画案を都教育委員会から該当校に提示した後、学校長から、同窓会、PTA、教職員等の学校関係者に対して計画案を説明しました。
また、科学技術高校については、平成七年十月、学校長から学校関係者に適正配置計画案を説明するとともに、都教育委員会から学校関係者に対する説明会を開催しました。
いずれの場合においても、学校関係者からは、該当校となったことへの疑問や、在校生の教育条件についての不安が表明されました。しかしながら、都立高校の課題と都立高校改革の意義についての説明や、在校生の教育条件の確保に努めた結果、学校関係者から理解を得、新しい学校に対する期待の声もいただいているところです。
質問事項
一の2のイ 開校を間近に控え、教育諸条件を整えるうえで、備品等施設の充足は順調に進んでいるのか、伺う。
回答
お尋ねの二校については、開校までに十分な準備をするために、開校の二年前に当たる平成十一年四月にそれぞれ開設準備室を設置し、開設準備担当校長及び教職員を配置して、施設整備、初度調弁及び教職員の確保等を進めてきました。都財政が極めて厳しい折りではありますが、新しいタイプの学校として、特色ある教育活動を十分に行えるよう、今後とも教育諸条件の整備に万全を期していきます。
質問事項
二 硫黄島の宿泊施設について
1 平成十二年十二月に予定されていた遺骨収集の結果を伺う。
回答
平成十二年十一月二十二日から十二月二十二日までの日程で実施された平成十二年度第二次硫黄島戦没者遺骨収集において収集された遺骨は十五柱です。
なお、これまで硫黄島で収集された遺骨の総数は八千二百四十二柱です。
質問事項
二の2 宿泊施設の規模、性格について、小笠原村と東京防衛施設局との話し合いが進んできているが、確認しているのか、所見を伺う。
回答
小笠原村は硫黄島旧島民墓参のための宿泊施設建設を平成十三年度中に硫黄島村有地内に予定しており、現在、東京防衛施設局及び防衛庁に対して、同施設建設に当たっての資材・人員等の輸送支援の協力要請を行っているところであります。
現在、防衛庁からは、資材・人員等の輸送支援時期、内容及び施設規模(四十人程度)も含めて、調整中であると聞いております。
質問事項
二の3 施設建設に関連して、都として応援、援助をどのように考えているのか、所見を伺う。
回答
都は硫黄島旧島民対策として、ふるさとに帰れない旧島民のため、硫黄島墓参を昭和五十四年度から年二回、船舶と自衛隊機により実施してきており、平成元年度からは自衛隊機による日帰り墓参事業を実施しているところです。
こうした、都の墓参についても、できる限り宿泊施設を利用するなどの滞在時間の長い、ゆとりある墓参が実現できるよう、今後とも防衛庁に要望を行っていきます。
また、小笠原村が予定している硫黄島宿泊施設の建設につきましては、都としても、今後、国及び村の動向を十分に見極めながら適切に対処してまいりたい。
質問事項
三 電車内における痴漢対策について
1 最近の痴漢犯罪についての、世論の動きをどう把握しているのか、伺う。
回答
最近、痴漢犯罪についての関心が高まっており、シンポジウムが開催され、また、京王電鉄で年末の忘年会シーズンには、週末終電近くの臨時電車の一両に女性専用車両を設置し試行したことなど、様々な痴漢犯罪対策の動きがあることについて承知しております。
質問事項
三の2 都営地下鉄に女性専用車両を導入するとした際、どのような手続きが考えられるか、伺う。
回答
都営地下鉄線で女性専用車両の導入を計画する場合の手続でありますが、
1 お客様の意向の把握
2 相互直通運転を行っている路線では、相互直通各社との調整
3 ホーム上での案内が必要となるため、人員の確保
4 車内及び駅自動案内放送の改修
5 お客様への周知徹底
等が必要と考えられます。
提出者 坂口こうじ
質問事項
一 東京都人権施策推進指針について
一 東京都人権施策推進指針について
一九九三年(平成五年)に、ウィーンにおいて世界人権会議が開催され、人権が普遍的であり、国際的な課題であることが確認され、国連においても、一九九五年(平成七年)から二〇〇四年(平成十六年)までを「人権教育のための国連十年」とし、行動計画を策定しました。
他方、わが国においても、日本国憲法の基本的人権の保障を具体化するため、国内の行動計画を策定し、あらゆる場を通じて人権教育を推進すること、人権にかかわりの深い特定の職業に従事する者に対する取組を強化すること等を明らかにし、それを受け、東京都人権施策推進指針が策定されたことは評価するものであります。
1 そこで、まず第一に、「東京都人権施策推進指針」は、どのような認識で作成され、どのような特徴があるのか伺います。
2 第二に、国の人権擁護推進審議会が十一月「人権救済制度の在り方に関する中間の取りまとめ」を公表しました。この中で人権救済制度としてどのような内容を提言しているのか伺います。
3 第三に、都の人権施策推進指針では、人権の侵害に対してどのような救済制度を考えているのか。また国の人権救済制度と都の救済保護制度とはどのような関係にあるのか伺います。
4 次に、差別や人権侵害を受けている当事者団体から出されている個別の課題について伺います。
「支援・助成」のなかで「社会的弱者・少数者」の自立支援の対策が述べられていますが、第一に、「社会的弱者・少数者」とは具体的に誰をさしているのか明らかにしていただきたい。女性、子ども、高齢者、障害者、同和問題、アイヌの人々、外国人、在日韓国・朝鮮人、HIV感染者等、犯罪被害者やその家族、同性愛者、路上生活者などが含まれると考えられますが、そのような理解でよいか伺います。
5 第二に、「社会的弱者・少数者の自立支援」について、バリアフリー、自立支援事業、法律制度利用等があげられ、特定の人権課題が施策の対象とされていますが、自立や生活支援が必要な人権課題は、基本的に「社会的弱者・少数者」の対象となる人々全般に必要と考えられますがどうか伺います。
6 第三に、「基本理念」をふまえ「人権施策がめざす東京の方向」に示されている「社会に参画し、その個性と能力を十分に発揮できる東京」を実現していくためには、差別の撤廃、機会の平等はもとより、個別人権課題の実態に応じて、就労・住環境・生活・医療・福祉・教育等総合的で、きめ細かな対策が必要と考えられますがどうか伺います。
7 次に「指針」の推進に関して第一に、「都民、NPO、企業等の参画」で人権施策を進めていくとされていますが、差別や人権侵害を受けている当事者団体等の意見を充分聞き、その協力や、参画を得ながら推進すべきと考えますがどうか伺います。
8 第二に、「社会的弱者・少数者」などが、直面している多様な課題に、個別具体的に対応し、解決していくためには、複数局にまたがる総合的な対策が必要であります。この総合的な対応調整の窓口は当面、総務局人権部であると考えられますがどうか伺います。
9 第三に、「人権教育」に関して、骨子の段階では明記されていた「性同一性障害のある人々」や「犯罪被害者やその家族」が、この「指針」では明記の対象から外れていますが、これらの人々についても「個別で具体的な視点からのアプローチ」として人権教育の対象となると考えられますがどうか。また「同性愛者」についても同様と考えて良いか伺います。
10 最後に、「人権の世紀」と呼ばれる二十一世紀を目前にして、人権教育及び啓発に関する法律の制定や、人権擁護推進審議会の中間のまとめの公表など、国も人権問題に積極的に取り組みはじめています。多くの人権問題を抱える東京都にとっても人権施策の推進は重要な課題であります。人権施策推進に対する知事の決意を伺い私の質問を終ります。
質問事項
一 東京都人権施策推進指針について
1 東京都人権施策推進指針は、どのような認識で作成され、どのような特徴があるのか、伺う。
回答
都は、多様化・複雑化する東京における人権問題の現状等に鑑み、人権施策推進のあり方専門懇談会を設置し、平成十一年十二月に「東京都の今後の人権施策のあり方について」提言を受けました。
平成十二年六月に指針骨子をまとめ、都民の意見を伺ったうえで、このたび東京都人権施策推進指針を策定しました。
指針は、人間の存在や尊厳が脅かされることなく、自らを律する自立した個人が、権利行使に伴う責任を自覚し、共存と共感で相互に支え合い、都民が世界に誇れる東京をつくることを人権施策の基本理念とし、その実現に向けて、救済・保護、啓発・教育、支援・助成の三つの観点から総合的に人権施策を推進することを特徴としています。
質問事項
一の2 国の「人権救済制度の在り方に関する中間の取りまとめ」の中で、人権救済制度として、どのような内容を提言しているのか、伺う。
回答
国の人権擁護推進審議会が、平成十二年十一月に公表した「人権救済制度の在り方に関する中間取りまとめ」の概要ですが、人権救済制度につきましては、被害者の視点から、簡易・迅速で利用しやすく、柔軟な救済を可能とする裁判外紛争処理の機関として、政府から一定の独立性のある委員会を組織する必要があるとしています。この委員会は、あらゆる人権侵害を対象とする総合的な相談、あっせん、指導、調停、仲裁及び勧告・公表等を行うこととされています。
なお、委員会の事務局は、法務省人権擁護局及び法務局・地方法務局の改組などにより整備を図る必要があるとされています。
質問事項
一の3 都の人権施策推進指針では、人権の侵害に対してどのような救済制度を考えているのか。また、国の人権救済制度と都の救済保護制度とは、どのような関係にあるのか、併せて伺う。
回答
都の人権施策推進指針における救済制度ですが、指針では、民間を含む相談機関及び保護機関等が連携・協働し、現に人権侵害が行われていたり、行われる恐れがある状況に的確かつ迅速に対応するため、ネットワークを構築することとしています。
また、この仕組みが十分に機能するよう、「トータルコーディネート部門」を設置し、専門的な助言や情報提供等を通じて各機関を支援します。
次に、国との関係ですが、指針では、人権施策の推進に当たって、国との連携を図ることとしています。一方、国の人権擁護推進審議会「中間取りまとめ」では、都道府県等と緊密な連携協力関係を構築していく必要があるとされています。
今後とも、国の動向に注視しながら、救済・保護の充実に努めていきます。
質問事項
一の4 指針の「支援・助成」のなかの「社会的弱者・少数者」とは、女性、子ども、高齢者、障害者、同和問題、アイヌの人々、外国人、在日韓国・朝鮮人、HIV感染者等、犯罪被害者やその家族、同性愛者、路上生活者などが含まれると考えるが、具体的に誰をさすのか、伺う。
回答
指針では、社会的に弱い立場にあって、人権を侵害されやすい状況にある人々を「社会的弱者・少数者」としています。
御指摘の人々は、一般的にはここでいう「社会的弱者・少数者」に含まれると認識しています。
質問事項
一の5 自立や生活支援が必要な人権課題は、基本的に「社会的弱者・少数者」の対象となる人々全般に必要と考えるが、所見を伺う。
回答
これまで、都は、女性や子ども、障害者、同和問題などの人権問題を解決するために、それぞれの課題ごとに、その問題が抱える固有の経過と状況を踏まえて施策を講じてきました。
今後、個人の自律・自立性を基本として、個人の力を強化するという指針の考え方に基づいて、社会的な気運の醸成や都民・企業等の意欲を生かすための基盤づくりなど、総合的な取組を展開してまいります。また、すでに施策を講じている課題については、これまでの成果を踏まえ、指針の基本理念に沿って、それぞれの施策体系のもとで必要な施策を実施していきます。
質問事項
一の6 「人権施策がめざす東京の方向」に示されている「社会に参画し、その個性と能力を十分に発揮できる東京」を実現するためには、差別の撤廃、機会の平等はもとより、個別人権課題の実態に応じ、きめ細かな対策が必要と考えるが、所見を伺う。
回答
東京を、活力があり人々が安心して暮らせる都市とするうえで、さまざまな人々が機会の平等を基礎として、社会参画ができ、持てる力を最大限に発揮できるようにすることが重要であると考えています。
都は、それぞれの問題が抱える固有の経過と状況を踏まえて、施策を講じてきています。今後も各施策体系のもとで、指針の基本理念に沿って、必要な施策を実施していきます。
さらに、課題が複雑に絡み合ったり、これまでの施策や手法で対応できない問題については、救済・保護、啓発・教育、支援・助成の三つの観点から総合的に人権施策を推進していきます。
質問事項
一の7 「都民、NPO、企業等の参画」で、人権施策を進めていくとされているが、差別や人権侵害を受けている当事者団体等の意見を充分聞き、その協力や、参画を得ながら推進すべきと考えるが、所見を伺う。
回答
さまざまな人権問題を解決するためには、都民・NPO・企業などの意見を幅広く聴くとともに、都民の共通の理解を得ながら施策を推進することが大切であると考えています。
このような認識のもと、民間と行政との適切な役割分担を図り、都民・NPO・企業などとの新しいパートナーシップをつくっていきます。
質問事項
一の8 「社会的弱者・少数者」などが直面している多様な課題を解決していくため、複数局にまたがる総合的な対策が必要だが、この窓口は、当面、総務局人権部と考えてよいか、伺う。
回答
人権に関する問題は多岐にわたっており、その解決に当たっての考え方は多様です。
都は、これまでそれぞれ固有の経過と状況を踏まえ、公平性に配慮し、主体的に施策を実施してきました。
指針では、すでに施策を講じている課題については、この指針の基本理念に沿って、それぞれの施策体系のもとで、それぞれの所管部局が必要な施策を実施することを基本としています。さらに、課題が複雑に絡み合ったり、これまでの施策や手法で対応できない問題については、救済・保護、啓発・教育、支援・助成の三つの観点から総合的に人権施策を推進していくこととしています。
こうした考え方のもとに、人権部が人権施策の総合的な調整を行っていきます。
質問事項
一の9 「指針」の記述対象からはずれている「性同一性障害のある人々」や「犯罪被害者やその家族」についても「個別的で具体的な視点からのアプローチ」として、人権教育の対象になると考えるが、所見を伺う。また、「同性愛者」についても、同様と考えてよいか。併せて、伺う。
回答
人権施策推進指針では、「犯罪被害者やその家族」については、精神面、経済面等での被害、「性同一性障害のある人々」については、偏見やいやがらせなどの問題があり、「同性愛者」をめぐっても、さまざまな問題が提起されていると指摘しています。
これまで学校では、「性同一性障害」や「同性愛」に関しては、性教育を進める中で、発達段階に応じて関連する内容の指導を行っています。
また、「性同一性障害」と「犯罪被害者」については、社会教育関係者への研修、都民への人権学習公開講座などで取り上げたところです。
都教育委員会は、今後、人権施策推進指針に基づきその具体化を図る中で、これらの課題についても、その教育のあり方について検討していきます。
質問事項
一の10 多くの人権問題を抱える都にとって、人権施策の推進は重要な課題である。人権施策推進に対する知事の決意を伺う。
回答
人間の存在や尊厳が脅かされることなく、自らを律する自立した個人が、権利行使に伴う責任を自覚し、共存と共感で相互に支え合い、都民が世界に誇れる東京をつくる上で、さまざまな人権問題に対応し、基本的な人権の尊重を基礎とした社会ルールを確立することは重要です。
こうした指針の基本的な考え方に立って、人間の存在と尊厳を守り、都民が安心して暮らせる東京の実現に向け、人権施策を推進してまいります。
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