平成十二年東京都議会会議録第十三号

○議長(渋谷守生君) 十二番福士敬子さん。
   〔十二番福士敬子君登壇〕

○十二番(福士敬子君) 日の出町二ツ塚での行政代執行による用地収用は、ごみ処分場建設のためとしては全国で最初の例となります。三月議会では、収用手続に焦点が当てられましたが、これほど問題を大きくした原因である地下水の安全対策には、ほとんど触れられませんでした。ここに処分される廃棄物に鉛やカドミウムが含まれていることは、計量証明書で明らかです。これは、厚さ一ミリ半のゴム製遮水シートを敷いただけで安全を保証するという、常識では考えられないことがなぜまかり通ったのか。それを抜きに事を進めることに、皆さんも、何の疑問も持たれないのでしょうか。
 これが遮水シートです。(実物を示す)鉛筆で穴があきます。後で知事にもお渡ししますが。
 処分組合の公表資料に基づく最近の分析では、強化された構造基準に従って、ウレタン製のシートが使われている二ツ塚処分場でも、平均的な東京の湧水の三・四倍に当たる八七九マイクロジーメンスという高い電気伝導度が記録されており、谷戸沢では十五倍の三九一七マイクロジーメンスに達しています。
 住民が求める安全性というのは、豊かな日の出の井戸水が、これまでどおりに飲めるのかということです。土地収用を手続に従って淡々と進めるという知事は、汚水が漏れていても、検出された有害物質が法令の基準を下回っていれば安全だとお考えなのでしょうか。処分場の安全性について、知事の認識をお尋ねします。
 そもそも問題がこじれたのは、処分組合が水質データを、一日三十万円の強制金を支払ってまで隠し続けたあげく、一転して、存在しないはずのデータを一部公開するというでたらめな態度に、住民が不信感を募らせたからです。今でも、処分場から飛散する焼却灰を湯気だといい張るなど、真実と向き合う姿勢はありません。住民の安全に責任のある都として、住民の求める調査をすべて公開で行うことが最善の解決策だと思いますが、これについてのお考えをお尋ねいたします。
 現在、処分場の建設に関連して、事業認定取り消し訴訟を初め数々の訴訟が起こされています。裁判の結果いかんによっては、行政代執行の根拠が失われかねません。早いものは、この十月中に判決が出るといわれているこの時期に、代執行を急ぐのはなぜなのかも伺って、質問を終わります。
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 福士敬子議員の一般質問にお答えいたします。
 日の出町のごみ処分場についてでありますが、谷戸沢及び二ツ塚処分場は、遮水シートや、浸出水処理設備など、法令で定める基準にすべて適合しております。
 加えて、広域処分組合が実施する水質調査などや、都が実施する周辺河川の水質調査の結果から見ても、周辺環境への影響はなく、当該処分場は適正に維持され、管理されていると報告を受けております。
 他の質問については、関係局長から答弁いたします。
   〔環境局長中野英則君登壇〕

○環境局長(中野英則君) 処分場の調査の公開についてですが、住民から開示請求のあった電気伝導度の常時観測データは、当時は広域処分組合に存在しなかった旨の最高裁判決が、既に下されております。その後、広域処分組合は、連続記録計を設置し、平成八年四月から、電気伝導度の常時観測データを公開してきております。
 また、地元自治会との公害防止協定に基づく処分場の地下水データ等についても、七年九月から公開しており、十年六月からは、地元住民も参加して、谷戸沢処分場周辺の環境調査も実施し、公開しております。
 今後とも、都は、処分場の適正な維持管理について指導してまいります。
   〔財務局長木内征司君登壇〕

○財務局長(木内征司君) 行政代執行の実施時期についてのご質問でございます。代執行については、その土地につき正当な権利を有する広域処分組合からの代執行請求書を、既に受理しております。そして、法律の定めるところの手続に要する期間等を総合的に勘案し、その代執行を十月に行うこととしたものでございます。
   〔十二番福士敬子君登壇〕

○十二番(福士敬子君) 私は、適合かどうかではなく、安全性を伺いました。ディーゼルエンジン規制では都民の命を優先された、知事のお考えを伺います。
 調査参加の住民は、第三と二十二自治会の方だけです。自治会代表だけを住民とするのは適切でないと思います。
 また、環境対策が議場でも論議されながら、強制収用を形式的に進めるのは安全上間違いだと思いますが、知事、いかがでしょうか。
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 詳細は、担当局長からご報告させます。
   〔環境局長中野英則君登壇〕

○環境局長(中野英則君) 処分場の安全性についてでありますが、谷戸沢及び二ツ塚処分場は、法令で定める遮水シートや浸出水処理設備等の構造上の基準と、浸出水処理水の水質測定等の維持管理上の基準にすべて適合しております。
 加えて、広域処分組合が地元自治会との公害防止協定に基づき実施する水質調査等や、都が実施する立入検査や周辺河川の水質調査の結果から見ても、周辺環境への影響はございません。
 このように、当該処分場は、適正に維持管理されている施設であると認識しております。

○議長(渋谷守生君) 以上をもって質問は終わりました。

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