平成十二年東京都議会会議録第十二号

   午後四時三十二分開議

○副議長(五十嵐正君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 六十番曽雌久義君。
   〔六十番曽雌久義君登壇〕

○六十番(曽雌久義君) 私は、都議会公明党を代表して、当面する都政の重要課題について、知事並びに関係局長に質問をいたします。
 初めに、このたびの伊豆諸島災害において被災された皆様に心からお見舞い申し上げますとともに、一日も早く災害復興をなし遂げ、平常な生活に戻られる日が来ることをお祈り申し上げます。
 まず、三宅島火山活動及び新島・神津島近海地震について伺います。
 去る六月二十六日、三宅島雄山の噴火活動に端を発した伊豆諸島における火山噴火及び地震活動は、三宅島、新島、神津島を初め各島に多大な被害をもたらし、三カ月を経過した現在でもなお今後の推移を予測することが困難な状態にあり、過去に例を見ない異常事態が続いております。
 私も、公明党伊豆諸島災害対策本部の一員として、三宅島、新島、式根島、神津島に災害状況調査等のため、何回となく赴いたところであります。中でも三宅島の噴火活動は、おさまるどころか、激しさは一層増し、降り積もる火山灰による泥流や火砕流の傷跡があちらこちらに残り、目をおおうばかりの惨状となっているのであります。
 現在、都では、ライフラインの確保から避難島民へのきめ細かな対応など、総合的に取り組んでおり、不眠不休で対応されている都、村職員及び教職員、警察、消防職員を初めとする多くの関係者に、心から敬意を表するものであります。
 避難生活を余儀なくされた島民の方々にとって、最大の課題は、基幹産業である観光、漁業、農業などの再建とともに、その間の生活支援策であります。
 そこで伺います。第一に、被災者に対する都営交通及びバス共通カード等の発行についてであります。
 避難された島民の方々は、仮の住居を確保したとはいえ、多くの方は居住地外へ出ることもできずにいる現状にあります。東京都は、都営交通及びバス共通カードなどをお見舞いの意を込めてお送りできないでしょうか。また、JRで使っているイオカードの発行、電気、ガス、水道、下水道、プリペイド型携帯電話などについても、関係機関に協力方の要請をしてはどうかと考えます。
 第二に、中小企業災害復旧資金融資についてであります。
 我が党の提案により、融資額一千万円以内については、実質負担は無利子となったことは喜ばしい限りであります。しかし、中でも三宅島火山活動災害の長期化という特殊性を考えたとき、融資条件の一つである貸付期間についてどのような配慮がなされたのでしょうか。運転資金について見れば、据置期間一年を含む一年以上七年以内の返済は、余りにも現実を知らないものといわざるを得ません。少なくとも雄山の噴火がおさまり、終息宣言が出て、島民が島に戻り、島外避難前の生活・経済環境になった時点での判断が必要なのではないでしょうか。
 さらに、生活福祉資金についても、貸付期間の延長を含め、対策を講ずるべきであると考えますが、あわせて伺います。
 第三に、三宅島等復興宝くじについて提案いたします。
 我が党は、かねてより防災宝くじの発行を提案してきました。今回の三宅島等の状況を踏まえ、三宅島等復興宝くじを発行することによって島民の皆さんを励まし、復興への一助にしてはどうかと提案します。所見を伺います。
 第四に、伊豆諸島災害の復旧支援についてであります。
 災害復興を見据えて、都は、島しょ振興公社との協議を進め、島しょの振興を図るため、仮称「がんばろう!伊豆諸島」と銘打って支援フェスタを開催するなど、復興に向けて夢と希望を与える施策の展開を図るべきであります。同時に、災害復興のための諸施策を進める上で、財政のバックアップが不可欠であります。道路などの社会基盤の早期復旧や住民の生活再建等のため、必要な補正予算の編成に取りかかるべきであります。知事のご所見を伺います。
 第五に、三宅村特養ホームについてであります。
 島内唯一の特養ホーム「あじさいの里」で暮らしていた五十人のお年寄りは、在宅から避難した要介護高齢者二十二人と合わせ、都立の二施設を含む二十九施設に移り避難生活を送っておられます。こうしたお年寄りを激励するため、「あじさいの里」の職員が、避難先の巡回訪問を始めたと聞いております。みずからも避難生活を送っている職員の方々が、避難されている高齢者の精神的なケアを行うとともに、避難解除後の現地三宅島での特養ホーム再開に即対応できるようにするため、非常に大きな役割を果たすものと確信をいたします。
 ところが、介護保険制度では、介護報酬は、実際にサービスを提供した施設に支払われることから、三宅島の「あじさいの里」には一切の収入の道がなくなります。そこで伺います。
 福祉の仕事に従事する者として、立派な姿勢を持って活動する職員を評価するためにも、特養ホームを経営している社会福祉法人を支援するという意味から、都として全面的なバックアップをすべきであります。所見を伺います。
 第六に、三宅村避難者の要介護認定についてであります。
 都は既に、国に対する三宅島火山活動及び新島・神津島近海地震等に対する緊急提案要求において、災害に伴う介護認定処理の遅延に対する特別措置を求めるなど、これまでも三宅村における介護保険事業の運営に対し支援してきたことは、評価するものであります。
 しかし、災害の長期化によって、今後、要介護認定の更新事務に三宅村が対応できない事態に備え、引き続き安心して介護サービスが利用できるよう、万全の体制をとるべきであります。
 そこで、介護保険法第三十八条に基づいて、災害の渦中にある三宅村役場の負担を少しでも軽減し、要介護認定の事務を支援するため、都に介護認定審査会を置くことも検討しておくべきであります。所見を伺います。
 次に、伊豆諸島の地震災害に関連して、東京の災害対策について伺います。
 気象庁などは、伊豆諸島の地震が次の地域に移動することはないと否定的でありますが、東京では、関東大震災以来七十七年間大地震が起きていないことを考慮すれば、東京を直撃する大地震はいつ起きてもおかしくない状況にあります。そこで伺います。
 第一に、防災まちづくりの展開についてであります。
 都は、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、平成九年に防災都市づくり推進計画を策定し、計画期間をおおむね二十年間とし、二十五カ所の重点整備地域の整備方針とともに、緊急性の高い十一カ所の重点地区の整備計画を示したのであります。特に、重点地区では、土地区画整理事業や密集住宅地整備促進事業などを集中的に実施することが示され、現在、修復型事業、基盤整備事業が進められております。この木密地域は、東京構想二〇〇〇でも、センターエリアとして魅力的な都市空間として整備することを明言している地域であります。
 しかしながら、この密集地域は、狭小宅地が多く、権利関係が複雑であるために、建てかえを促進する都市計画上の整備手法を一層拡充するとともに、さらにPFIなど、民間活力の導入など新たな防災都市づくりの手法の開発が不可欠であります。所見を伺います。
 第二に、防潮堤施設の老朽化対策と耐震性強化についてであります。
 都民を高潮災害から守るという、防災上最も基本的な役割を担う海岸保全施設の老朽化対策及び耐震性強化策も重要な課題であります。現在二十三カ所ある東京港の水門や排水機場群は、昭和三十四年の伊勢湾台風による被災を契機に、昭和三十年代から四十年代に集中的に整備されたものですが、整備後三十年から四十年が経過し、老朽化が進むとともに、阪神・淡路大震災の経験を踏まえた設計となっていないことなどから、地震発生時の危険性が指摘をされております。大地震によって水門等が損壊し、そこに伊勢湾台風級の高潮が発生すると、区部の四割の地域が浸水被害を受けるといわれております。
 そこで、水門や排水機場については、早急に老朽化対策を講ずるとともに、耐震性強化対策を進めるべきであります。
 さらに、都は、指摘した事業の促進を図る見地から、財政措置の充実を国に対して積極的に求めるとともに、補助事業制度の創設を要請すべきと考えますが、所見を伺います。
 第三に、東京の水害対策についてであります。
 今回の東海大水害と同程度の集中豪雨に東京が見舞われたら、壊滅的な影響を受けることが懸念されております。建設省の荒川下流事務所の試算によれば、荒川が決壊して東京の下町が水につかれば、その被害額は二十四兆円に上ると試算しております。現に昨年からことしにかけて、八〇ミリ、一〇〇ミリという集中豪雨が都内各所で記録されており、一時間五〇ミリ対応の河川対策では、首都東京を守ることはできないのであります。
 国と連携し、荒川のスーパー堤防整備を初め抜本的な水害対策を確立すべきであります。地下空間浸水対策を含め明快な所見を伺います。
 次に、税収見通し及び来年度の予算編成について伺います。
 十一年度の普通会計決算によると、実質収入が二年連続の赤字に加え、経常収支比率も昭和五十三年度以来二十一年ぶりに一〇〇%を超えるなど、都財政はまさにがけっ縁に立たされており、財政再建こそ焦眉の急であります。
 来年度には、銀行業に対する外形標準課税の実施による一千百億円もの増収分を見込んだとしても、なお三千二百億円もの財源不足が見込まれるのであります。したがって、来年度予算編成にとどまらず、今後の予算編成において、十五年度までの各年度に見込まれている巨額の財源不足を具体的にどのように解消していくかが、最大の課題なのであります。財政再建に取り組む知事の決意及び方策について伺います。
 このように厳しい財政状況が続いている一方、今年度の七月末までの都税収入の実績を見ると、さきに発表されたGDPの二期連続プラス成長の影響とも関連して一応堅調に推移するなど、明るい材料も見られるのであります。
 直近の都税収入実績の状況及び今後の見通しについて伺います。
 また、このような税収増をもたらした要因と下支えをした業種はどのようなものなのか、あわせて伺います。
 来年度予算は、知事にとって二年目の予算であり、石原都政の今後のビジョンを示す上からも意義のある予算と考えますが、これから本格化する予算編成に向けた知事の基本的な考え方を伺います。
 次に、東京構想二〇〇〇中間のまとめについて伺います。
 二十一世紀を目前に控え、今後、都が取り組むべき政策の方向と具体的な施策を長期構想として示すことは、時宜を得たことと思います。ただ、今回の長期構想は、その性質上、総花的になる嫌いがあります。そこで、東京構想二〇〇〇において、知事が最も都民に発したいメッセージを一言で表現するとどのようになるのでしょうか、ご答弁ください。
 今回の構想において、都は、円熟シニアという概念を打ち出しています。この円熟シニアが社会の重要な担い手となり、元気な高齢社会が築かれることを期待するものですが、現実と構想の描く社会とは大きな隔たりがあるため、インパクトのある政策展開が必要であります。そこで、東京都が全国に先駆けて、例えば、七十歳定年の社会システムづくりを検討してはどうか、提案したいのであります。
 課題が多々あることは十分承知しておりますが、自立・自助の基盤となるのは、大多数の都民にとっては雇用、就労であります。NPOなどの社会参加や余暇時間の活用といっても、基盤となる雇用、就労を欠いては、すべてが絵にかいたもちになってしまいます。東京都が元気な高齢都市の構築に本気であるとのメッセージの第一は、現在の高齢者や未来の高齢者が、私たちは働ける、必要とされる場があるということではないでしょうか、知事のご所見を伺います。
 さらに、円熟シニアが知識、経験を生かした適職の開発、短時間勤務やSOHOといった多様な就業形態の整備、生きがい就業機会の拡大など、円熟シニアの社会参加を促進する総合的な仕組みをつくるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 また、構想では、高齢者概念の見直しに言及をしております。現在は六十五歳以上を高齢者としておりますが、この辺を考えておられるのかどうか、あわせて伺います。
 次に、都政改革ビジョンに関連して伺います。
 都は、平成十一年度から行政評価制度を試行しており、その結果を踏まえて、平成十三年度から本格実施するとしております。この行政評価の眼目は、評価した結果をどう次の改革につなげていくかが重要であります。今回の都政改革ビジョンⅠでは、文言こそ、予算編成や事務事業の見直しに効果的に結びつけ、となっていますが、具体的にどうするかについては、イメージすら明らかにされておりません。
 そこで伺いますが、これまで公表されている行政評価の試行結果から次のアクションにどうつながったのか、一次評価と二次評価が大きく食い違った場合の扱いはどうされるのか、評価結果の公表だけにとどまっていては効果半減であります。今後の本格実施では、アクションにつなげる仕組みをどう構築するつもりなのか伺います。
 また、監理団体については、我が党の強い主張で、ことしの二月の総点検のための基本指針に基づき、経営改善計画の策定と個別団体の点検を実施しているところであります。都政改革ビジョンⅠでは、ことしの秋には経営改善計画と総点検結果を取りまとめ、団体の統廃合や職員削減等を公表するとしております。監理団体は、まさに抜本的改革の実行段階に差しかかっております。この段階で必要なことは、改革の実が間違いなく上がるための推進体制であります。この点についてどう取り組むのか、見解を伺います。
 次に、国の公共事業見直しに関連した東京の社会資本の整備について伺います。
 先日、扇国土庁長官が極めて適切な指摘をしておりました。経済と政治が一体でなければ、首都といえない。十二・三兆円といわれる首都機能移転にかかるお金を東京に注ぎ込めば、国際都市としてふさわしくなる、まさに的を得た発言であります。首都機能移転という幻想にいつまでもしがみつき、十二兆三千億円という巨額な経費をつぎ込むのは、まさに愚行にほかなりません。例えば、先ほど申し上げた都内木密地域の防災都市づくりについて、その半分の財源を投下すれば、首都として再生することが可能となります。
 現在、国で行われている公共事業の見直しを行えば、総事業費で二兆三千億円にも及ぶ額が軽減されることになりますが、これが地方の同一地域のほかの公共事業に使われては、意味がありません。有益かつ効果的な形で投資される必要があります。そのために、今こそ都議会と行政が一体となって国の首都機能移転計画を転換させ、首都東京の再生のために全力を注ぐときだと考えます。
 そこで提案をいたします。首都機能移転の財源を、第一に、都市更新のための防災都市基盤づくり、第二に、新たな産業創出のためにIT関連等の情報基盤づくり、第三に、円熟シニアをバックアップする福祉基盤づくりなどに振り向け、東京の社会資本整備を進めていくべきであります。そのためには、我が党も最大限の協力を決意するものであります。知事の明快な見解を求めるものであります。
 次に、産業振興と商店街対策について伺います。
 東京の産業の現状は、例えば、工場数においては、昭和五十八年の約十万のピーク時から約三分の二に落ち込み、商店数も、昭和五十七年の約十六万から三万以上も減少していることに加え、企業の開業率が廃業率を下回る傾向が続くなど、深刻な実態があります。都がさきに行った産業振興ビジョンの策定には一定の評価をするものでありますが、知事は、このビジョンに対して、手法、内容ともに画期的なものであるとしつつ、東京の産業と地域を支える新たな行政の仕組みに向けての決意をあらわしたものと論究しておられます。
 そこで伺いますが、第一に、このビジョン策定に当たっては、多くの都民からの政策提案が寄せられた経緯がありますが、これをどのように評価されますか。また、都は、今後このビジョンを産業振興行政の中でどのように位置づけようとしているのか伺います。
 さらに、ビジョンでは、新たな産業政策を推進するための行政の機構改革が標榜されています。ちなみに、我が党では、かねてより、旧来の施策を根本的に見直し、二十一世紀に向けたリーディング産業の育成をも視野に入れた、労働経済行政のための機構改革の必要性を訴えてきたところであります。ビジョンで指摘された組織の機構改革はまさに喫緊の課題であり、例えば、段階的に産業政策部を設置し、産業振興施策の事業実施機能の充実を図るべきと考えますが、所見を伺います。
 第二に、商店街振興対策についてであります。
 商店街活性化への視点は、これまで、カラー舗装やアーケードなどハード事業に重きが置かれてきましたが、近年、インターネット取引やカード化事業など、いわゆるソフト面での多様化が進む傾向にあり、このことは、高齢化やライフスタイルの変化を背景に、さらに活発化していくことは明らかであります。都は、こうした商店街の多面的な自助努力に対しきめ細かな施策の展開を図るべきと考えます。同時に、商店街振興における区市町村の果たすべき役割は、その地域的密着性等から極めて重要であります。都は今後、区市町村が展開する施策に対し、効果的な支援を行う必要があります。
 商店街にとってIT化への取り組みが新たな課題となってきており、例えば、三鷹市の商店街におけるインターネットによる販売戦略への挑戦は、全国的な関心を呼んでいるところでもあります。都は今後、こうした挑戦意欲を持ちつつも、同時に、リスクの高い取り組みを進める商店街に対して適切な支援を行うべきと考えます。
 さらに、商店街のIT化事業は、活力ある商店街育成事業の助成対象となっていますが、実際には、人件費や建物の賃借料、あるいは維持管理経費等には充当できず、不便であるとの指摘があります。制度の内容改定をも含め、実態に即した効果的なものとすべきであると考えます。所見を伺います。
 なお、中小企業にとって、一昨年以来実施されてきた中小企業金融安定化特別保証制度は、大きな成果を上げるとともに、関係者からは高い評価を得ていますが、残念ながらこの制度は、来年三月末に期限切れとなります。このことを踏まえて、今臨時国会では、自公保の与党三党による新しい信用保証制度の枠組みづくりが検討されていると仄聞しております。
 都としても、例えば、無担保無保証の限度額、現行五千万円の恒久的引き上げや、災害、倒産等に対する特別保証の充実、さらに特別保証既利用者対策の充実等、信用保証制度の新たな施策の実施を国に強く要請すべきと考えます。明快な答弁を求めます。
 次に、ヒートアイランド対策について伺います。
 東京の気温は、この百年間で、一月は三・八度、八月は二・四度、年平均で二・九度も上昇しています。また、東京はこの夏、真夏日が六十七日と観測史上最高を記録しました。最近頻発しているスコールのような集中豪雨も関連しているのではないかともいわれています。地球温暖化とともに、ヒートアイランド現象対策が急務であります。手をこまねいていれば、生態系の変化のみならず、都民の生活も脅かされかねません。知事はこれらの問題についてどのような認識を持たれているのか、ご所見を伺います。
 ヒートアイランド現象対策として一番有効なのは、気化熱を奪う緑化の推進といわれています。しかし、東京は、緑が減少する一方で、ヒートアイランド現象に拍車をかけるばかりであります。都は、これまで掲げてきた緑の倍増計画が成果が上がらない今、今度は緑の東京計画中間のまとめを出し、緑率という指標を打ち出しました。しかし、緑の東京計画では、緑の倍増計画に全く触れていません。新しい計画、指標を出すなら、これまでの緑の倍増計画の総括をすべきであります。
 緑の倍増計画は目標を達成できたのか、緑の倍増計画と緑の東京計画とは何が違い、なぜ今、緑の東京計画を作成するのか、新たな指標である緑率を取り上げる理由は何なのか、以上四点について伺います。
 東京の緑をふやす唯一の有効な方法は、屋上緑化、壁面緑化であります。都は、数年前から我が党の提案を受け推進を約束しましたが、余り進んでいないようであります。机上の計画書をつくるより、強力な推進策、誘導策こそ必要であります。まず、公共の建築物から推進すべきであり、公共施設の進捗状況、今後の取り組みと民間への推進、誘導策について伺います。
 次に、ディーゼル車対策について伺います。
 ディーゼル車規制は、我が党の主張とも軌を一にするものであり、知事の熱意を高く評価するものであります。公害防止条例の改正に際しては、国の弱腰の姿勢に影響を受けることなく、都独自の規制を実施すべきであります。まず、知事の断固たる決意を伺います。
 実施に当たっては多くの課題があるのも事実であります。DPFの価格、技術的な問題、バス、運送会社などの経済的な負担増、都以外の車の扱い等が主なものであります。都はこれらの課題解決に鋭意努力をされていると思いますが、現状、見通しについて伺います。
 次に、都庁のIT化について伺います。
 都庁IT化は、行政は最大のサービス産業であるとの理念のもと、電子都庁化が進むことによって都民サービスが飛躍的に向上しなければなりません。その意味で、都が行っているインターネットを活用した一部書類の提供は評価しますが、本来は受け付け業務まで行うのがベターであります。本人確認、金銭の決済など、セキュリティーに課題はありますが、早急に実施に移すべきであります。
 また、都民の行政サービスの窓口は、その大半は区市町村の仕事であります。知事は、都庁のIT化に並々ならぬ情熱を傾けていることは評価しますが、その強いリーダーシップで、電子都庁、電子区市町村を強力に推進すべきであります。知事のご所見を伺います。
 十三年度予算に向けて、国はITを名目とした予算がメジロ押しになっています。しかし、IT革命を推進するには、おくれている情報基盤の充実にこそ使うべきであります。米国やその他の先進都市におくれているのは、光ファイバーのネットワーク化であります。東京がスピードが速く廉価な情報基盤を充実すれば、企業や若者が新しい創造を発信する町になり、東京の町が活性化することは間違いありません。情報基盤の充実こそ急ぐべきであります。所見を伺います。
 次に、教育問題について伺います。
 昨今、青少年にかかわる深刻な事件が相次ぎ、社会不安の一因となっております。さらに、不登校、いじめ、学級崩壊なども解決の兆しを見せず、教育をめぐる改革論議が盛んになっております。しかし、教育を最優先の国民的課題として位置づけるのは重要でありますが、いわば特効薬を求める余り、対症療法的な改革に終始するのでは、問題の本質を見失います。あくまでも明確な理念と展望に基づいた二十一世紀の教育のあり方を模索していくべきであります。また、その前提として、現在の子どもたちの問題は、結局は目的観、価値観を見失い、モラルを喪失した社会と大人の責任であり、まず、大人自身がみずからの生き方を見詰め直す必要があることを深く認識すべきであります。
 その上で、三つの基本的な方向性を明らかにしておきたいと思うのであります。
 第一点目は、教育を恒常的に審議する機関として、国あるいは自治体に政治的に中立な仮称教育センターを設置することです。その意味でも、現在の教育委員会もそのあり方の再検討が必要となってまいります。
 第二点目は、国家が教育内容の細部にまで関与する中央統制型の教育制度を改め、各学校現場の創意と工夫が生かせる多様なタイプの学校が創設される必要があります。
 第三点目は、子どもたちのバランスのとれた心身の成長を促すため、社会での実体験を通して人間性を養うことの重要性に着目すべきであります。明年は国際ボランティア年であり、社会全体でこうした意識を高めていく必要があります。
 以上の問題意識の上で、以下に具体的な提案を行います。
 石原知事も十月号の「中央公論」誌上で、沖縄ドリーム・プラネット・インターナショナル・スクールの校長である白井智子さんと対談をし、親や家庭の責任を強調するとともに、学校の理想型は松下村塾、僕だってそんな学校があったら入りたかったと述べ、学校改革への熱意の一端をのぞかせております。ここで申し上げるのは、まさにその学校改革であります。
 アメリカでは現在、チャータースクールという新種の公立学校が既に二千校以上誕生しております。チャーターとは特別認可の意味で、この認可を受ければ手づくりの公立校を開設でき、運営費も生徒数に応じて州政府から交付されます。設立されたチャータースクールは、州の規則に一切縛られず、自由に独自の教育活動を行うことができ、そのかわり教育結果に責任が問われ、責任が果たされないと閉校となります。
 このチャータースクールの第一号は、ミネソタ州セントポール東部地区にあるシティー・アカデミーです。この地区は人種もさまざまで困難家庭も多く、子どもたちは危機に立たされていたといいます。そのような状況の中、普通の公立校に勤務していた教師二人が、ドロップアウトし続ける子どもたちを救おうと、セントポール市の地区レクリエーションセンターの一部を間借りして開校したそうであります。現在、このスクールには十三歳以上の子どもたち百人が学び、進学率は九〇%に上っております。
 その他にも、日本でいえば幼稚園児から小学校高学年までが学ぶ学校、小学生から中学生までの学習障害児、LD児が学ぶ学校、病弱で通学できない子どもたちをインターネットで教育する学校、大学進学準備に特化した学校などがあり、また、普通の公立校からチャータースクールに転換した学校も数多く存在しております。その成果についても、学習障害を持つ子どもたちが二、三年で普通校に復帰できた例などが報告をされております。
 我が党は、このチャータースクールを参考にして学校改革に取り組むことはできないのか、提案したいのであります。文部省でもこの例に倣って、学校現場の主体性を生かした新たな教育システムを模索できる新・研究開発校制度を発足させたと聞いております。東京都こそ、チャータースクールに見られるような先進的取り組みに真っ先に着手すべきでありますが、石原知事の見解はいかがでしょうか、お伺いいたします。
 さらに、チャレンジスクールについても提案をいたします。本年度開校された桐ヶ丘高校は大変な人気を呼び、入試は約七倍という高率になりました。今後は、十三年度の世田谷区を初め、十八年度までには五校のチャレンジスクールがそろいます。そうした将来まで視野に入れて、提案の第一点目は、各学校の単位の互換を可能にすべきであるということであります。
 既設の桐ヶ丘高校は、福祉系列、情報ビジネス系列が特徴的であり、来年度開設の世田谷泉高校は、パソコン、電子工作、機械工作などの技術系列に特徴があります。両校の単位互換を認め、生徒が自由に学び、通える環境をつくることは、チャレンジスクールの意味合いをより効果的にすると思います。教育長の見解を伺います。
 また、チャレンジスクールでは、不登校にも対応できる個別学習プログラムを組むことになっていますが、そこで、ぜひともパソコンを活用すべきと訴えるものであります。三鷹市では、不登校の児童にパソコンを貸与し、メールやパソコン通信で担任、クラスメートと交信を交わし、不登校を乗り越えることができた事例があります。また、パソコンは、生徒一人一人の個性、能力に応じた教育を行うのに最適な道具であり、さらに幅広く活用すべきであります。いかにお考えか、答弁を求めるものであります。
 次に、介護保険について伺います。
 第一に、区市町村への支援についてであります。
 介護保険における六十五歳以上の方の保険料徴収が、この十月から始まります。多くの区市町村においては保険料の相談等で多忙をきわめていますが、介護保険がうまくいくか否かは、区市町村が保険料の徴収を通じて、住民にこの制度を正しく理解していただくことが、その分かれ道ではないでしょうか。都は、黒子役になって、保険料徴収についても多面的な支援を行うべきと考えます。区市町村支援についての基本的な考え方も含め、所見を伺います。
 第二に、被保険者の要望把握と国への要望についてであります。
 三年後には介護保険事業支援計画の改定、五年後には制度自体の見直しが予定をされております。これらに今から備えるとともに、区市町村やNPOなどを含めた介護サービス提供事業者等と力を合わせ、東京の介護保険をはぐくんでいかなければなりません。本制度の主人公である被保険者の声はもちろんのこと、関係者の要望や意見を十分に把握し、積極的に国に対し要望すべきであります。所見を伺います。
 次に、精神障害者の福祉施策についてであります。
 我が党は、精神障害者が地域の中で暮らし、社会的に活動することを担保する施策の一つとして、精神障害者の社会復帰施設の計画的整備とともに、都営交通無料乗車証の交付を強く訴えてきたところであります。都は、我が党の提案、要望を受け、乗車証発行事業の円滑な実施に向け、関係条例を今議会に提案しているところであります。精神障害者の自立と社会参加の一層の促進を図ることにつながるものと、大いに期待をするものであります。そこで伺います。
 第一に、乗車証の発行手数料千円は、なぜ徴収をするのか、その基本的な考え方を示していただきたい。
 第二に、発行手数料の収入は、精神障害者の社会復帰施策の充実に向けるべきであります。現在、共同作業所を初めとする社会復帰施設の整備とサービスの質の確保が課題となっており、これらの施設は厳しい状況のもと、運営に苦慮していると聞いております。発行手数料は、ぜひともこうした状況を踏まえ、共同作業所の運営費補助の充実など、サービスの向上にとって必要な補助内容の充実に充てるべきであります。
 第三に、精神障害者保健福祉手帳の福祉支援メニューの充実についてであります。都営交通乗車証の発行事業が今回制度化されたことは一歩前進ではありますが、他の障害者の方にはJRや私鉄の利用についても割引制度があり、障害の種類によって、いまだ格差が生じております。この際、他の障害者と同様な交通利用支援について国などに強く要望し、手帳制度の支援メニューの充実を図るべきであります。
 第四に、精神障害者の社会復帰施策の充実についてであります。地域の中で相談や支援を総合的に実施する精神障害者地域生活支援センターや、精神障害者の居住の場であるグループホーム、そして小規模作業所である共同作業所などは、今後一層地域の中に整備していくことが求められております。平成十一年の精神保健福祉法の改正は、社会的入院の解消を図り、精神障害者が地域の中で自立した社会生活を送ることを重要な課題として位置づけたのであります。都は、こうした法改正の趣旨を踏まえ、地域における精神障害者の社会復帰を促進し、居宅生活を支援するための施策を拡充すべきであります。
 以上、四点について伺います。
 最後に、羽田空港の国際化について伺います。
 本年三月、運輸省は、羽田空港の国内線が離着陸していない深夜及び早朝に限って、国際チャーター便やビジネス機の乗り入れを行う方針を発表いたしました。その後、九月には、大田区民がハワイで行われるアロハフェスティバルに参加するため、羽田―ホノルル間の国際チャーター便が運輸省から認可され、また、全日空が韓国のアシアナ航空と、関西空港経由で羽田―ソウル間を年内にも共同運航することが決まるなど、羽田の国際化が一歩一歩進んでおります。そこで何点か伺います。
 第一に、羽田空港の国際化に対する都の認識についてであります。
 本年の第二回定例会で、知事は我が党の質問に対し、羽田空港の国際化をみずから国に働きかけると答弁をされました。国が考えている国際チャーター便等の対応は、我が党の主張する羽田空港の国際化ではありません。韓国・ソウルとのシャトル便を初め、国際定期便が飛んでこそ、羽田空港の国際化といえます。そこで、羽田空港の国際化についての認識と今後の取り組みについて、知事のご所見を伺うものであります。
 第二に、羽田空港跡地についてであります。
 去る八月、運輸省から当面の空港範囲と跡地の範囲が示され、跡地面積は、これまでいわれてまいりました約二百ヘクタールから、三分の一の約七十七ヘクタールとのことであります。これに対し地元大田区は、これまでの跡地の面積等に関する過去の経緯から見て、とても納得できないとしており、確かに地元の活性化にかける思いから考えますと、理解できないわけではありません。跡地利用について関係機関の合意ができないとなると、国際化にとってもマイナスであります。そこで、都は国と大田区の間に入って、跡地について早急に調整を図るべきと考えますが、所見を伺います。
 第三に、首都圏の空港の容量拡大についてであります。
 現在、成田空港は滑走路が一本であり、三十三カ国のエアラインが乗り入れを待っております。平成十四年には二本目の滑走路が完成しますが、いずれ受け入れが満杯になる時期が来るといわれており、そのため、運輸省は第七次空港整備計画の中で、首都圏第三空港の事業に着手することを盛り込みました。現在、首都圏湾奥新空港構想や羽田空港の埋め立て拡張など、種々論議がありますが、都は首都圏第三空港についてどのように考えているのか、所見を伺います。
 以上で私の代表質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 曽雌久義議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、災害関連の補正予算の編成についてでありますが、三宅島を初めとする伊豆諸島の災害関連の対策については、喫緊の課題でありまして、都としても万全の体制を整え、島の復旧と再生に全力を尽くす決意であります。
 ただ、三宅島では噴火が現在も終息しておりません。災害対策も、日々進行中の状況にあります。具体的な対応については、災害状況等の動向を踏まえながら、ある時点でめどをつけた上で、補正予算を含め、必要な財政措置を講じていくつもりでございます。
 次いで、財政再建に取り組む決意についてでありますが、都財政は依然として厳しい状況にありまして、財政再建に向けた道のりは、まだ非常に遠く険しいといわざるを得ません。財政再建推進プランの最終年度であります十五年度に向けて、さらなる財政構造改革の推進が不可欠であると思いますし、初心を忘れることなく、不退転の決意で取り組んでいきたいと思っております。
 次いで、来年度予算編成に向けた基本的な考え方についてでありますが、財政再建二年目の予算であります十三年度予算においては、十二年度における取り組みを踏まえつつ、財政再建推進プランの前半の到達点として、財政再建への歩みを一層強固で確実なものとする必要があると思います。
 先般申しましたが、隠れた借金がたくさんございまして、とにかくそのための厳しい内部努力はもとより、施策の見直し、再構築、さらには税財政制度の改善などに積極的に取り組み、財政構造の改革の推進に向けて全力で取り組んでまいります。
 既に発足しました都の税調も、いろいろ今、案を練っております。そういうものをあわせて財政の再建を目指したいと思いますが、こうした財政構造改革を進める中で、現在、都政の課題であります東京構想二〇〇〇などに示す、新しい東京の生活像や都市像の実現に努めていきたいと思っております。
 次いで、東京構想二〇〇〇において、都民にどのようなメッセージを発したいかということでありますが、東京構想では、東京が大都市としての集積のメリットをもっと活用して、世界に誇り得る政治、経済、文化活動を展開し、今以上に活力と魅力にあふれた都市になっていくことを目標として描いております。
 先般も、世界でも唯一東京にしかないあの秋葉原の町を唐津教授と一緒に訪れて、現地の方々といろいろ話をしましたが、ああいったものをもう少し整備することで、とにかく世界に一つしかない町でありますから、東京の魅力の一つとして育て、一言でいえばエキサイティングな千客万来の世界都市をつくっていきたいと思っております。
 次いで、円熟シニアの雇用、就労の確保についてでありますが、まさにご説のとおりでありまして、これからの高齢社会において、円熟シニアがこれまでの知識や経験を生かして活躍ができますよう、就労の場を確保することが重要だと思います。
 そのため、能力主義を前提としながらも、求人の際の年齢制限を極力緩和することや、短時間労働などの就業形態の多様化も進めまして、就労機会の拡大を図りまして、年齢にとらわれずに多くの方々が働くことのできる社会を実現していきたいと思っております。
 次いで、東京の社会資本整備についてでありますが、国で行われております公共事業の見直しによって捻出される財源で、今日的課題に対応した社会資本整備を進めていきたいと思っております。
 また、おっしゃるとおり、首都機能移転に壮大なむだ遣いをするよりも、その額の半分でも、交通のボトルネックの解消やセンター・コアの再生、あるいは非常に危険な木造住宅密集市街地の整備などに投入するならば、東京は必ず我が国の首都として立派に再生できるものと思います。
 今後とも、あらゆる機会をとらえて、国費の重点的、集中的投入や地方の税財源の充実を積極的に国に求め、東京の都市基盤整備を進めていきたいと思っております。
 次いで、産業振興ビジョン策定手法の評価についてでありますが、今回の産業振興ビジョンは、行政内部の検討だけではなく、中小企業家や商店街など広範囲な都民と知恵をお互いに出し合いながら策定いたしました。ビジョンの策定手法は、ITを活用して都民と広く活発な意見交換を行い、政策形成に直接都民の提案を反映させた、今までにない取り組みであったと考えております。
 次いで、産業振興行政におけるビジョンの位置づけについてでありますが、今回の産業振興ビジョンは、都民と行政がそれぞれ力を出し合い、産業構造の転換と雇用の創出の道筋を示し、東京の牽引力であります産業の活性化を図ることを目指して策定いたしました。このビジョンは、民間、行政を含めた、これからの産業振興の基本戦略となるものと考えております。
 今後、ビジョンで示した基本方向と政策目標に沿って、従来の行政主導型の産業振興を根本的に見直し、民間主導の取り組みを適切に支援していくことによって、東京の再生を図っていきたいと思っております。
 次いで、ヒートアイランド現象についてでありますが、先般も、災害地の三宅、神津、新島を回って帰ってきましたときに、今まで見なかった風景として、東京に近づいていくヘリコプターから見ますと、東京の真上にとにかく入道雲がそそり立っているという、今までなかった気象の現象を見ました。それがまた集中豪雨になったり、いろんな災害を東京にもたらしているわけでありますけれども、とにかくこのヒートアイランド現象は、近代都市の利便性、快適性を支える、そのために使われる多量なエネルギーの消費によって生み出されたものであります。また、際限のない都市の拡大によって、豊かな緑が失われてきたことも、こうした都市気象の変化に大きな拍車をかけてまいりました。
 ヒートアイランド現象の深刻化は、これまでの都市生活や都市文明のあり方に対する重大な警鐘として受けとめなくてはならないと思います。
 今後の都市づくり、都市活動におけるエネルギー消費の抑制など、環境配慮を徹底して、持続的発展の可能な東京を実現していきたいと思っております。
 何といっても、おっしゃるとおり、緑は決め手でありまして、ほとんどコンクートに塗り込められた東京に、どうやって緑をよみがえらせていくか。屋上を使うということは、一つの案かもしれませんが、先般、これはあくまでも科学の素人としての発想かもしれませんけれども、技術大学でしたか、都立大学へ行きまして、あそこで独特の実験、研究をやっていまして、遺伝子を組みかえることで、余り雨が降らなくても非常に繁茂していく緑の研究をやっている研究者がいましたが、そういったものも、まさに、成功すれば、東京にとって非常に活用のできる技術でありまして、それが東京の直轄の大学でされているということも意味深いものだと思いますし、ああいったものも大いに助成して、とにかく、東京にできるだけ茂った緑をよみがえらすということを、多角的に考えていきたいと思っております。
 それから、ディーゼル車規制に対する決意についてでありますが、ディーゼル車対策は、国民の健康にかかわる問題でありまして、本来は国が責任を持って進めるべきものでございます。
 先般も、都市再生会議で官邸で総理にも申しましたが、尼崎では尼崎市が敗訴いたしまして、しかも、四三号線の限った区分についての責任が問われて、有罪の判決がおりましたが、これは他人事ではございませんで、東京もそういう訴訟が起こっておりますけれども、これはあくまでも国の責任でありまして、私がもし尼崎の市長なら、速やかに国を告訴する。つまり、国の行政の不作為の責任があるということを、総理にも申しました。
 いずれにしろ、就任早々でありますけれども、本来なら、この大都会東京がこういうふうに大気が汚染されないように、国もいろいろ多角的に配慮すべきものを、ほとんどしてこなかった。それを受けて、東京は東京なりの苦労をしているわけでありますけれども、国が示した考え方は、ディーゼル微粒子除去装置、DPFの装着義務の見送りや、使用過程車に対する使用制限までの執行猶予を短縮しないという点など、これまでの東京都の主張とも大きな隔たりがありまして、全く不十分といわざるを得ません。
 私は、使用過程車に対して都独自の排出基準を設定し、これを満たさない車両の走行を規制するなど、都民の健康を守る立場から、断固とした措置を講じていきたいと思っております。
 加えて、先般発表いたしましたが、主税局が頑張って、とにかく踏み込んだ形で、ディーゼル車、ディーゼルエンジンのために動いている、非常に不良な、悪質な石油というものを、脱税の摘発も兼ねて、都自身がとにかく警視庁の協力で行う。これも私はある意味で画期的なことだと思いますし、都民の支持も得ると思いますが、これがさらに国を刺激して、国が、国民の生命を守るために、積極的にもっともっと踏み込んで乗り出してくれることを期待もしている次第であります。
 次いで、電子都庁の推進についてでありますが、今日、社会全体のIT化が進展する中で、都政運営全般にITを取り入れることは、都民サービスの向上を図る上からも急務と認識しております。インターネットの利用などによって、単なる情報提供にとどまらず、各種申請手続についても、IT化の視点から、積極的な改善を早急に図ってまいります。
 総合的な行政サービスの向上を図るためには、区市町村を含めたIT化が重要でありまして、今後、ネットワークの推進など、連携、協力を図っていきたいと思っております。
 次いで学校改革についてでありますが、米国で発足しましたチャータースクールが、新たな公立学校の選択肢として成果を上げている、既存の学校にもいい影響を与えると聞いております。
 日本でも、教育改革国民会議などで、現行の画一的な教育制度や学校運営の改革の必要性が議論されていることも承知しておりまして、いずれにしろ、どんどん時代が変わっているわけで、それに沿った、新しい発想での新しい教育というものが行われなければ、子どもたちが救われないと思いますし、今後も、多様な教育ニーズに対応するために、こうした公立学校運営の手法も含めて、現行制度にとらわれない教育システムの創設が必要と思いますし、東京都も率先して、そういう試みに足を踏み込んでいきたいと思っております。
 次いで、羽田の空港の国際化でありますが、東京のみならず日本全体の活性化にとって、羽田空港に国際定期便が就航することは不可欠であります。そのためには、国が一刻も早く決断すべき問題がいろいろございます。
 私も、今月十二日に、提案要求の最重点事項として、内閣、総理に、羽田空港の国際化を直接申し込みました。今後とも、機会をとらえて国に対して強く働きかけていきたいと思っておりますが、先般、航空問題の参与で迎えております棚橋参与に、実は突っ込んだ形で、大手三社の社長たちの羽田並びに首都周辺の空港に関する所見というものをただしました。いろんな啓示的なものがございましたが、それを踏まえて、実は今、東京も一つの画期的な案というものを具体的に考えておりますので、いずれ時期が来ましたら、また皆さんにご相談し、議会の力もかりながら、国にその実現を迫っていきたいと思っております。
 それを兼ねまして、首都圏の第三空港に対する考え方でありますけれども、いずれにしろ、東京に限らず、この東京首都圏においては、一刻も早い空港容量の拡大が不可欠であります。
 国でも、本日ようやく検討委員会を立ち上げて、羽田空港の再拡張も含めて、首都圏第三空港の候補地の検討を始めましたが、都としても、この検討委員会を通じて、羽田の空港の現在の機能に支障がなく、アクセスの利便性も高い候補地が、どういう形ですか、とにかく一刻も早く選定されることを望みますし、働きかけていくつもりでありますけれども、しかし、既にある施設というものを、さらにどういうふうに活用するかというのは、発想の問題でありまして、ここでちょっと詳しく申せませんが、ある画期的な発想で、東京都なりの案を国にぶつけていこうと思っております。
 なお、その他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) チャレンジスクールに関します二点の質問にお答え申し上げます。
 まず、チャレンジスクールにおける各学校の単位互換についてでございますが、チャレンジスクール同士が学校間連携を行いまして、生徒が、興味、関心に応じて、曜日ごとに双方の学校の科目を履修し、単位互換できるようにしますことは、科目選択の幅を広げるだけではなくて、生徒同士の相互交流が図れるなどの効果が期待できると考えております。
 チャレンジスクール同士の単位互換以外にも、チャレンジスクールにおける多様な科目の履修機会を、周辺の定時制高校生に提供し、定時制課程の三年間での履修を可能にするということも考えられます。
 今後、開設科目が出そろい、互換制度が実施可能となります十四年度を目途に取り組んでまいります。
 次に、不登校生徒に対するパソコンの活用についてでございますが、チャレンジスクールである都立桐ヶ丘高校では、小人数編成による学習指導を行いますとともに、教育相談を充実させることや、不登校の生徒に対して個別の指導計画を立て、個々の生徒の実態に応じて家庭での学習を支援することなどを行っております。
 こうしたチャレンジスクールに限らず、お話の不登校生徒に対するパソコンの活用につきましては、インターネットの電子メールによる教育相談や個別の学習指導などを行うことが考えられますことから、今後、インターネットの整備状況を勘案し、不登校生徒に対するパソコンの幅広い活用を図ってまいります。
   〔総務局長大関東支夫君登壇〕

○総務局長(大関東支夫君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、噴火や地震災害に伴う、関係機関への協力方の要請についてでございますけれども、既に、都営住宅等の入居者等に対しましては、住宅の使用料、あるいは水道、ガス等の各種料金の免除あるいは割引、あるいは納期限の延長措置などが、関係機関の協力によりましてとられてきております。
 こうした中におきましても、島外避難した村民が都会で避難生活を送る際には、お話のように、村の都内事務所あるいは親戚、知人等を訪ねることなどで、島内に比べますと、交通費等諸経費の負担がかさむことも考えられます。
 今後、村民の避難生活の状況を調査、把握の上、支援のあり方につきまして、村と協議してまいりたいと思います。
 次に、伊豆諸島の復興に向けて、夢と希望を与える施策の展開を図るべきではないかとのお尋ねでございますが、今回の一連の災害により、直接被害に遭った島々では、観光や農漁業などの島の基幹産業が大きな打撃を受けており、とりわけ観光では、その影響が伊豆諸島全体に及んでおるわけでございます。
 このため、都といたしましては、道路等の生活基盤の応急、復旧対策に全力を挙げるとともに、今後、総合的な産業復興対策の一つとして、東京都島しょ振興公社を初め関係機関とも十分連携し、お話のような、伊豆諸島の人々が将来に希望を持って立ち向かえるよう、活力ある島づくりに向けたキャンペーンを実施するなど、工夫を凝らした施策を展開してまいります。
 次に、行政評価の評価結果を次のアクションにつなげる仕組みについてお尋ねがございました。
 行政評価の試行結果につきましては、関連部署と連携し、事務事業の見直しや予算編成にできる限り反映させるよう努めてまいりました。
 お話のように、本格実施において、一次評価と二次評価に相違が出た場合には、事務事業の見直しや予算編成に反映させる際、十分調整を図ってまいります。また、評価時点での公表にとどまらず、評価結果の事務事業の見直し等への反映状況を調査し、公表するなど、次のアクションにつながる実効ある仕組みを構築してまいります。
 次に、監理団体改革の推進体制についてでございますが、今回の改革は、団体の統廃合計画などの都の取り組みとあわせて、団体みずからが、平成十二年度から十五年度までの経営改善計画を策定することにより、都と団体が一体となって改革を進めるものでございます。
 改革の実行に当たりましては、何よりもまず、当事者である団体みずからが危機意識を持って、改革を確実に推進する責任ある体制を構築することが重要であると考えております。
 さらに、都として改革の進行管理を行っていく仕組みをつくり、改革を実効性あるものにしていきたいと考えております。
   〔労働経済局長浪越勝海君登壇〕

○労働経済局長(浪越勝海君) 七点のご質問にお答えいたします。
 まず、災害復旧資金融資の貸付条件等についてでございますが、このたびの災害復旧資金は、議会側からの要望もあり、融資を受ける方の一層の負担軽減を図るため、金利負担を実質ゼロ%とし、受け付け期間についても、十三年三月末まで延長する措置を講じたところでございます。
 返済猶予措置については、三宅島の災害が発生した時点で既存の制度融資を受けている方をも含めて、状況に応じて弾力的に取り扱うよう、金融機関等に申し入れを行いました。これに加えて、災害が長期、深刻化してきたため、九月に再度、金融機関等に要請したところでございます。
 今後とも、長期化している災害により影響を受けた中小企業の方々の実態を考慮し、島の経済復興に寄与できるよう、適切に対応してまいります。
 次に、産業振興対策の事業実施機能の充実についてのお尋ねでございますが、IT革命や少子化など、激しい環境変化に対応し、東京の産業活性化を達成するためには、ビジョンに示した産業振興策を推進することが重要であります。そのためには、これまでの行政のあり方を見直し、産業を振興し、雇用を創出していく行政組織への改革が不可欠であると考えております。
 したがって、産業振興を図るために、政策形成機能と総合調整機能が効果的に発揮できるよう、簡素で効率的な組織体制の整備に向けて早急に取り組んでまいります。
 第三に、商店街の多面的な自助努力に対する、きめ細かな施策の展開についてでございます。
 お話のとおり、商店街が対応しなければならない新たな課題は、ますます複雑化、多様化の様相を呈しております。したがって、こうした課題への商店街のチャレンジに対し、行政として側面から支援していくことは、商店街の振興はもとより、地域経済の活性化を図る上でも大変重要なものと考えております。
 都としては、商店街が行うインターネット取引やエコマネーなど、ソフト事業等への新たな取り組みに対しても、多面的な支援が行えるよう努めてまいります。
 次に、区市町村が展開する施策に対する効果的な支援についてですが、商店街の振興に当たっては、地域の実情に精通し、商店街とのかかわりが強い、基礎的自治体である区市町村の果たす役割は、ますます重要となっています。このたびの、二十一世紀商店街づくり振興プランの中間のまとめにおいても、区市町村の役割の重要性が位置づけられております。
 このため、今後、都としては、区市町村が主体的に実施する商店街振興策への取り組みについて、効果的な支援方策を早急に検討してまいります。
 次に、挑戦意欲を持ちつつ、リスクの高い取り組みを進める商店街に対する支援についてでありますが、都内商店街においては、インターネットを活用した商品販売や宅配サービスなど、IT化への意欲的な取り組みが活発化してきております。
 都は、こうした取り組みが促進されるよう、商店街の意欲的な事業提案に対して、活力ある商店街育成事業などにより支援してまいります。また、東京都商店街振興組合連合会がITを活用して実施している、空き店舗マッチングシステムの推進を図っているところです。
 今後、IT関連人材の育成や研修事業などにも取り組み、商店街の活性化と地域活力の再生に向け、積極的に支援してまいります。
 次に、商店街のIT化事業の支援についてでありますが、商店街のIT化の促進は、取引先や消費者ニーズを把握した販売戦略への活用やコスト削減など、競争に勝ち残っていくための有効な手段であると認識しております。
 都は現在、商店街が行うITの導入を支援するため、活力ある商店街育成事業等の積極的な活用を図り、成果を得ているところです。
 今後は、IT化の促進のため、専門家派遣など、効果的な支援策が講じられるよう検討を進め、新たな商店街の活性化を積極的に推進してまいります。
 最後に、信用保証制度についてでございますが、お話のように、中小企業金融安定化特別保証制度は、貸し渋りに悩む中小企業の資金調達の円滑化に一定の役割を果たしてきましたが、現在のところ、来年三月をもって終了することとなっております。まだ詳細については承知しておりませんが、現在開かれている臨時国会において、同制度にかわる新たな金融対策として、これまでの一般保証制度の拡充について検討がなされると聞いております。
 都としては、ご指摘の趣旨も踏まえ、今後とも中小企業にとって充実した信用保証制度となるよう、国に強く要請するなど、適切な対応を図ってまいります。
   〔財務局長木内征司君登壇〕

○財務局長(木内征司君) 災害復興に関連しての宝くじについてのご質問にお答え申し上げます。
 宝くじを通じまして、三宅島などにおける災害の復興に対する都民の関心と理解を深めていくという提案については、傾聴に値するご意見であるというふうに考えております。
 しかし、災害復興については、基本的には、臨時的収入であるところの宝くじ収入に依拠するのではなく、確実性のある財源を確保して、適時適切な財政措置を講ずることで対応していくべきであるというふうに考えております。
 宝くじの収益金につきましては、貴重な財源として、今後ともその有効活用に努めてまいります。
   〔福祉局長高齢者施策推進室長兼務前川燿男君登壇〕

○福祉局長高齢者施策推進室長兼務(前川燿男君) 四点のご質問にお答えいたします。
 最初に、三宅村の特別養護老人ホームを経営する社会福祉法人に対する支援についてでございますが、お話のとおり、「あじさいの里」の職員が、高齢者の避難先の特別養護老人ホームを訪ねまして、一人一人を励まし、きめ細かく相談に応じるとともに、帰島に備えての健康チェックなどを行っていることは、福祉に従事する者として称賛に値するものと考えております。
 現在、「あじさいの里」は、国に対し、災害に伴う休業手当等の助成を申請したと聞いておりますが、都としても、島唯一の特別養護老人ホームが、引き続きその役割を十分果たせるよう、必要な支援策を早急に講じてまいる所存でございます。
 次に、三宅村の要介護認定事務の支援についてでありますが、全島避難という極めて厳しい状況にもかかわらず、三宅村においては、九月末の要介護認定の更新が円滑に実施できるよう、避難先における高齢者の生活状況の把握等に努力をされていると聞いております。
 都としては、三宅村の要介護認定事務について、できる限り支援する考えであり、既に、都内の区市町村等に対して、居宅介護支援事業者等の紹介などの協力要請を行いました。
 今後とも、三宅村からの要請があった場合には、都に介護認定審査会を設置すべきとのご提案も含め、積極的に対応していく考えでございます。
 介護保険に関する区市町村支援についてでございますが、介護保険制度における都の役割は、保険者である区市町村に対する広域的な観点からの指導や援助はもとより、さまざまな政策手法を駆使して、要介護高齢者等が安心して利用できる良質な介護サービスの実現を図ることであると考えております。
 このような基本的考え方に基づき、六十五歳以上の第一号被保険者からの保険料徴収につきましても、あらかじめテレビ等の提供番組を活用して、保険料の仕組みを広報したり、周知用ポスターを作成し、区市町村等へ配布するなど、さまざまな支援策を実施いたしております。今後とも、区市町村が介護保険事業を健全かつ円滑に運営できるよう必要な支援策を講じてまいりたいと存じます。
 最後に、介護保険の見直しに向けた取り組みについてでございますが、本年度から実施された介護保険制度は、おおむね順調に滑り出したと認識をいたしておりますが、ご指摘のありましたとおり、今後、関係者の意見を十分に踏まえて、この制度を、都民にとって、より使いやすくわかりやすいものとしていくことが重要であると考えております。このため、被保険者である都民の意見はもとより、サービス提供事業者等の要望を聴取するとともに、区市町村等の運営実態を調査して、五年後の見直しを待たずに改善案を取りまとめ、国に対して積極的に提案していきたいと存じます。
   〔都市計画局長山下保博君登壇〕

○都市計画局長(山下保博君) 二つのご質問にお答えいたします。
 まず、新たな防災都市づくり手法についてでございますが、木造密集地域の防災都市づくりを一層促進していくためには、修復型事業を中心とした現行制度の拡充を図るとともに、民間の積極的な参加を促進するなどの新たな整備手法を導入していく必要がございます。このため、国に対しましてこれらの施策を要望しているところでございますが、都といたしましては、ご提案の趣旨も踏まえまして、都市づくりビジョンの中間のまとめにおいて示されている、不燃化を進めるための新たな方策や民間活力の導入につきましても、その具体化や実現方策などの検討を行ってまいります。
 次に、羽田空港の沖合移転跡地についてでございますが、都は、跡地の範囲を決めるに際しましては、羽田空港の国際化に支障のない範囲で確定させるべきであるというふうに考えております。このような観点から、国と大田区が相互に理解できるよう、三者協議会の事務局として、さまざまな形で話し合いの場を持つなど、積極的に調整を進めてまいります。
   〔港湾局長齋藤哲哉君登壇〕

○港湾局長(齋藤哲哉君) 震災、高潮対策についてお答えを申し上げます。
 まず、水門、排水機場の老朽化対策及び耐震性の強化についてでございます。これらの施設は高潮対策のかなめの施設であり、都民の生命と財産を守るという重要な使命を担っていることから、非常時に備え、その維持管理に万全を期しております。しかし、東京港の水門、排水機場は、そのほとんどが整備後三十年以上を経過しており、地盤の液状化のおそれもあるため、最新の知見に基づき、ご指摘のとおり、老朽化対策とあわせて大規模地震にも耐え得る施設に早急に改修していく必要があると認識しております。
 次に、水門、排水機場改修の財源確保についてでございますが、改修には約四百五十億円の事業費が必要と見込まれるため、事業の推進のためには国庫補助の拡充による財源確保が不可欠と考えております。このため、平成十三年度の国の予算編成に向けて、従来の高潮対策事業の補助制度とは別に、新たな補助制度として、大都市港湾における海岸緊急防災対策事業の創設を国に対し強力に働きかけております。
 今後は、ご指摘の点を踏まえ、さらに東京都と同様の課題を抱えている名古屋や大阪等の大都市と連携し、新たな補助制度の実現に向けて積極的に取り組んでまいります。
   〔建設局長古川公毅君登壇〕

○建設局長(古川公毅君) 東京の水害対策についてですが、国は、荒川などの大河川において、二百年に一回程度の降雨に対処する計画に基づき河川整備を実施しており、都は、亀戸・大島・小松川地区のまちづくりに合わせたスーパー堤防を初め、沿川区とともに国に協力し、その推進に努めてまいります。
 都が管理する河川については、昨年発表した水循環マスタープランを踏まえ、環七地下調節池など、治水施設の整備を図るとともに、流域における透水性鋪装の実施など、総合的な治水対策を展開してまいります。また、ソフト対策として、本年六月から区、市ごとの浸水実績図の公表や、地下鉄、地下街等の管理者に対して、雨量情報の提供等の局地的集中豪雨時の地下空間浸水対策を実施しております。
 今後、さらに洪水時の避難誘導のため、浸水情報、避難情報等をわかりやすく図示したハザードマップの作成、公表などの対策を、国や区市町村等関係機関と連携し、緊急に進めてまいります。
   〔主税局長大塚俊郎君登壇〕

○主税局長(大塚俊郎君) まず、直近の都税収入の実績と今後の見通しについてでございますが、八月末の都税収入実績は、前年同期比一〇・八%、一千七百七十一億円の増となっております。今後の見通しでございますけれども、大きなウエートを占める十一月末の法人二税の申告状況、これを見きわめる必要がございます。現時点では確たることを申し上げることはできませんが、いずれにいたしましても、当初予算額を相当程度上回ることが想定をされます。
 次に、税収増の要因と下支えをした業種についてでございますが、税収増は、企業収益の一定の回復を背景に、法人二税が前年同期比約一千五百億円の増収となっていることなどによるものでございまして、その下支えをしているのは、情報技術、いわゆるIT関連の業種等でございます。
   〔政策報道室長安樂進君登壇〕

○政策報道室長(安樂進君) 三点についてお答えいたします。
 まず、東京構想にいう円熟シニアの社会参加を促進する取り組みについてでありますが、円熟シニアが知識や経験を生かし社会の重要な担い手となるためには、SOHOや短時間勤務など、さまざまな働き方のできる環境を整える必要があります。また、NPO、ボランティア活動等多様な活動の場が用意されている必要もございます。そのため、就労や社会参加などに関する情報の提供やあっせんなどを総合的に行うことのできる仕組みを具体的に検討し、東京構想に盛り込みます。
 次に、高齢者という概念の見直しについてでありますが、七十歳から七十四歳までの人々の約八割が、自分は元気であると自覚しており、また、介護の必要性が高まるのは七十五歳以上であるという統計的な事実からいたしますと、六十五歳以上を一律に高齢者ととらえるのは、現状に合わなくなっていると思います。また、二〇一五年には六十五歳以上の人口が全体の四分の一を占めると予想される状況におきましては、これらの人々が年齢にとらわれず活躍できる社会の実現がぜひとも必要であります。こうしたことから、東京構想においては、元気な高齢者を、現役世代である五十代シニアの延長、すなわち円熟シニアととらえることといたしました。
 次に、情報通信基盤の充実についてでありますが、東京が国際都市として活力を維持していくためには、世界的なIT革命の進展に対応して、光ファイバー網など高速の情報通信基盤を構築し、かつ通信料金を低廉化していくことが不可欠と考えております。このため、下水道や地下鉄などの既存の都市施設を有効活用して、電気通信事業者による光ファイバーの敷設を促進したり、あるいはケーブルテレビの光ファイバー化などを支援してまいります。これらの施策によりまして、事業者間の競争、通信料金の低廉化を促し、都民がIT革命の成果を広く享受できるよう環境を整えてまいります。
   〔環境局長中野英則君登壇〕

○環境局長(中野英則君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、緑の倍増計画と緑の東京計画についてでありますが、緑の倍増計画は、二十一世紀初頭において、既成の市街地の樹木本数を、五十八年度の一億本から二億本に、また、都民一人当たりの公園面積を、同じく三平方メートルから六平方メートルにすることを目標としております。平成十一年度までの実績では、樹木本数が推計値で約一億七千万本、一人当たりの公園面積が約五・三平方メートルで、おおむね目標値に近づいており、一定の成果があったと考えております。
 また、緑の倍増計画は、都市地域における身近な緑の倍増などを目標として、快適な東京を実現するための計画であります。これに対しまして、緑の東京計画は、緑が持つ都市環境の改善などの機能に着目し、ヒートアイランド現象への対応など、東京が抱える課題に、都市づくりなどとの連携を図りながら、緑の面からこたえていくことを目的としております。
 さらに、緑被率が、緑に覆われた面積のみを示すのに対しまして、緑率は緑と同等の機能を有する河川や公園内の広場などの面積を含みまして、政策の効果を適切に反映できる指標として新たに設定したものでございます。
 次に、屋上等緑化の公共施設の進捗状況、民間への推進策などについてでありますが、都施設の屋上等の緑化につきましては、平成十年度の時点では、都営住宅、清掃工場など三十三施設、約一万二千六百平方メートルの実績となっております。また、本年四月から、屋上等の緑化指導を開始しており、六月までに対象となった公共施設は五施設、約六百平方メートル、民間施設は二十九施設、約三千四百平方メートルとなっております。
 今後は、自然環境保全審議会の答申を踏まえ、届け出義務の条例化を検討するとともに、設計者、建設業者等の関係者による推進会議を設けるなど、屋上等の緑化を積極的に推進してまいります。
 次に、ディーゼル車規制を実施する上での課題についてでありますが、ディーゼル微粒子除去装置、いわゆるDPFにつきましては、これまで都としても性能試験等を行ってまいりましたが、この秋からも都バスで新たにDPFの実走行試験を開始いたします。一方、メーカーも、さらなる性能の向上や装着方法の改良に努めており、今後技術的課題の解決や価格の低廉化が期待されるところであります。さらに、国は、十三年度にDPFの装着に対する補助制度を創設することを検討しております。都としては、こうした動向を勘案しながら、支援策も含め検討し、規制の実効性を上げてまいります。
   〔衛生局長今村皓一君登壇〕

○衛生局長(今村皓一君) 精神障害者対策について四点のご質問にお答えいたします。
 まず、精神障害者都営交通乗車証の発行手数料についてでございますが、この事業は、ご指摘のとおり、精神障害者の自立と社会参加を一層促進することを目的といたしまして、個人の自立、自助を基本とし、自助、共助、公助のシステム構築の一環として実施するものでございます。このような福祉サービスの利用と負担のバランスの適正化を図る観点から、二年間有効の乗車証につきまして、発行事務に要する費用を手数料として千円納めていただくことを基本としております。
 次に、手数料収入による社会復帰施設の補助内容の充実についてでございますが、精神障害者の社会復帰施設は、利用者のニーズを踏まえた、よりきめ細かなサービスを提供していくことが重要であると認識しております。今後とも、ご指摘の点を踏まえ、社会復帰施設におけるサービスの質の向上に努めてまいります。
 次に、精神障害者保健福祉手帳の支援メニューの充実についてでございますが、精神障害者以外の障害者に対しましては、JR等の料金半額割引制度が、国の通知に基づきまして、交通事業者によって実施されております。精神障害者についても、他の障害者と同様の取り扱いとなるよう、引き続き国に対して提案してまいります。
 終わりに、精神障害者の社会復帰施策の充実についてでございますが、社会復帰を促進し、居宅生活を支援することは、精神障害者の自立と社会参加にとって不可欠のことでございます。このため、都といたしましては、在宅福祉サービスであるホームヘルプサービスや、地域生活支援センターなどの支援事業を順次開始するとともに、各種施策の充実を図ってきたところであります。今回の精神障害者都営交通乗車証事業も、こうした福祉施策充実の一環として実施するものであります。昨年の法改正の趣旨を踏まえ、今後とも地域生活支援のための施策の充実に努めてまいります。

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