平成十二年東京都議会会議録第九号

○議長(渋谷守生君) 七番町田てるよし君。
   〔七番町田てるよし君登壇〕

○七番(町田てるよし君) 石原知事は、心の東京革命を打ち出し、その中で、「子どもたちが社会を生きていく上での基本的な心得さえも失いつつある」「わかりきったことをしていないということが現在の危機であり」「今のまま何も手を打たないでいては」「社会の将来は、危ういものとなってしまいます。」こう述べているわけですね。
 そして、この心の東京革命では、いわゆる幼児期のしつけと体験が今の子どもに必要であると、こういっておるんですけれども、石原知事は、この心の東京革命で、子どもたちがどのような人間に育つことを期待しておるのか、まずご所見をお伺いしたいと思います。
 間もなく発表されます、心の東京革命行動プランの中でも、体験が必要であるということが叫ばれております。平成十七年に開設が予定されております多摩地域のユース・プラザにおきましても、野外活動型で、特に体験学習を重視した運営をしていきたいということですが、この多摩地域のユース・プラザ、青少年の健全育成のためにどのような機能を持ったものなのか、お答え願いたいと思います。
 昨日、都議会自民党の代表質疑の中で、松本総務会長が、いわゆる平成十五年に開設する区部のユース・プラザ、平成十七年に開設する多摩地域のユース・プラザについて、その建設手法としてPFIを導入したらということの提案があったかとも思います。
 私は、このユース・プラザ、特に、宿泊を伴う施設でもありますから、利用者にとって魅力ある施設運営が必要かなと思います。そういった意味では、あわせて運営についてもPFIの手法の導入を検討してみることが必要だと思いますが、ご所見をお伺いしたいと思います。
 実は、この多摩地域のユース・プラザが予定されております高陵高校の場所なんですが、大変自然環境に恵まれて、特に、学校施設の周辺が、ちょうど緑の帯状の形の丘陵地帯になっておるんですね。そして、校門を入って玄関までのアプローチの広場が、何と白いタイルが敷き詰められておりまして、玄関は、円形の窓を利用した建物になっておりまして、一見しますとリゾートホテルを思わせるような校舎なんですね。ですから、こういったものが利用されてユース・プラザになる、今から大変楽しみであるんですけれども、このユース・プラザの利用に当たっての交通機関というものをどのようにお考えなのか、お示しいただきたいと思います。
 特に、このユース・プラザは、青年の家の再編ということで進められ、現在、青年の家はともすると特定の人たちの利用の観があるわけでありますけれども、やはりフリーの利用を含めた中で、今後新たに建設されるユース・プラザについても、特に地元の利用とか、あるいは地元のいろいろな団体、子ども会、町会、老人会、こういった団体を含めた利用をどのように考えておるのか、お聞かせ願いたいと思います。
 次に、あの第二次大戦後、国連の世界人権宣言で、すべての権利について男女平等である、いわゆる人権に対する新しい歴史が始まったわけであります。
 私は、男性と女性というものはそれぞれの特性を持っておると、こう認識しているわけでありますけれども、特に女性の固有のものとしては出産機能というものがあると思います。これは、人間社会を存続していくために不可欠なものでもございますし、特に、活力ある社会、そして今後の社会を維持していくために必要なものであります。この母体と乳幼児を守る母子医療の責任と役割というものが、私はあると思います。
 そうした中、知事は、この少子化時代の中、いわゆる母子医療についてどういったご見解をお持ちか、お答え願いたいと思います。
 都立八王子小児病院の移転改築が進められております。現状は、大変狭隘な施設でもあります。今度は、交通便のよい、高尾駅から歩いて五分、そして都道の町田街道に接するところが予定地とされております。この八王子小児病院につきましては、小児病院あり方検討委員会で、昨年度一年間をかけて、あり方というものが出されたわけでありますが、今後の進捗状況につきまして、どのように進めていくのか、お聞かせ願いたいと思います。
 なお、今回の第二回定例会でも各会派の代表質疑で取り上げられておりました、都立病院改革懇談会が設置をされるということでございます。この都立病院改革懇談会で、都立八王子小児病院の移転改築問題が改めて議論をされるのかどうなのか、お答え願いたいと思います。
 かつて、若き石原慎太郎が知事選に挑み、惜敗をいたしました。そのとき、我々の挑戦を再び受けるであろうと語ったのが、私は今でも印象的であります。時はめぐり、現在、東京都知事として、トップとはこうあるべきだ、まさにカリスマ性すら持って、リーダーシップを発揮しております。お見事という限りでございます。しかし、ともすると、その知事人気を使って、役人が、自分たちの都合で物事を進めてくる危険がある。あくまでも東京都政は都民のためであるという原点を忘れることなく都政を進めていただきますことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 町田てるよし議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、心の東京革命の推進に当たって、私が、子どもたちがどういう人間に育つことを期待しているかということでございますが、これはもう簡単でございまして、人間社会の中で普通に生きていく、普通の人間になってもらいたいと思う。それは、言葉をかえていいますと、やはり人間が人間社会の中で普通に生きていくための必要条件をきちっと備えた人間、さらにいいかえましたら、やはり暑さにはちょっと耐えて汗も流す、寒さには震えながらちょっと耐えるとか、あるいは、つらい仕事をやって、頑張ってやって、それが成就したら晴れ晴れ笑うとか、そういう、いってみると我慢性といいますか、耐性と申しますけれども、そういう、あるばねというものを持った人間に育ってもらいたいと思っております。そういう人間ならば、社会の中に出て人と協調する、あるいは人を思いやる、あるいは人のために奉仕をするという心の備えができてくるんじゃないかと思うんです。
 今度の心の東京革命の推進を通じまして、子どもたちがそういう意味で普通な、しかし、実は豊かな人間関係を築いていけるような、そういう社会人として育っていただきたいと思っております。
 心の東京革命は、決して心の問題だけではございませんで、場合によったら、何というんでしょうか、肉体に対するある種の規制というものも必要じゃないかと思う。それは、しかるということも含めて、子どもたちに我慢をさせるということでありますが、ノーベル賞をもらった動物行動学者のコンラド・ローレンツが、子どものときに肉体的なつらい思いを味わったことのないような子どもは、必ず大人になると不幸になるといっておりますが、私は、これは至言だと思います。それは、いいかえますと、大脳生理学的に脳幹というものがきちっと育った、強い脳幹を持った、つまり、寒さにも耐えられる、暑さにも耐えられる、つらい仕事にも耐えられる、そういうフレキシビリティーのある人間のことをいっているわけでありまして、そういうものを私たちはもう一回、これからの私たちの後継者として育てていきたいなと思っております。
 次いで、母子医療の役割についてでありますけれども、二十一世紀の東京を活力のある社会としていくためには、少子化対策というのは非常に重要な問題でありまして、この少子化の時代に、子どもはもともと宝物でありますが、ましてや、もう少子化になりますと、本当に非常に大事な宝物であります。それを、母、子とも一緒に守るという、出産や子育てに応じて、決して不安を与えないような措置が、そういう環境の整備が行政としても必要だと思っております。
 そのためにも、母と子どもの生命と健康を守る母子医療の果たす役割は大きゅうございまして、今後とも、周産期母子医療センターの整備など、施策の充実に努めていきたいと思っております。
 他の質問については、関係局長から答弁いたします。
   〔教育長中島元彦君登壇〕

○教育長(中島元彦君) 多摩地域ユース・プラザに関する四点のご質問にお答えを申し上げます。
 まず、機能についてでございますが、多摩地域ユース・プラザは、青少年の自立と社会性の発達を支援していく機能を担うため、周辺の環境を生かした野外活動を通して、現在の青少年に不足している自然体験などの直接体験や、異なった年齢の人々との交流ができる機会と場を提供するものでございます。このため、多様な文化・学習活動のための活動室のほか、炊さん、キャンプファイアなどの施設の設置をする計画でございます。
 次に、利用者が魅力を感ずる運営についてでございますが、これまでの運営手法にこだわらず、利用者の意向を反映した事業の企画や弾力的な運営など、柔軟なサービスを提供するとともに、経費の節減も念頭に置き、PFI手法を含めて幅広く検討し、多くの若者が気軽に利用できる、魅力のある施設となるよう努めてまいります。
 次に、利用者の交通機関についてでございますが、公共交通機関によるアクセスは、JR中央線及び京王線の高尾駅からのバスの利用となります。また、将来は圏央道の開通が予定されており、車での利便性の向上が見込まれるところでございます。
 最後に、近隣の住民や地元の子ども会等の利用についてでございます。
 多摩地域ユース・プラザは、青少年の社会教育施設でございますが、施設の有効活用を図るため、利用状況を常にオープンにし、あきのある場合には予約なしでの利用も可能とするなど、気軽に利用できる運営を図っていく考えでございます。
   〔衛生局長今村皓一君登壇〕

○衛生局長(今村皓一君) 都立八王子小児病院の移転改築についてでございますが、移転改築計画につきましては、既に、都立八王子小児病院のあり方検討委員会において、地域周産期母子医療センターとして整備していくことが決定されております。
 これを踏まえて、本年二月、局内に都立八王子小児病院建設検討委員会を設置いたしまして、移転改築の基本構想についてただいま検討を行っているところでございます。
 次に、八王子小児病院の移転改築計画と都立病院改革懇談会との関係でございますが、この懇談会では、都立病院の役割と担うべき医療機能を見直した上で、都立病院全体の再編整備などについて、八王子小児病院のこれまでの経緯も踏まえて検討していただく予定でございます。

○議長(渋谷守生君) 以上をもって質問は終わりました。

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