平成十二年東京都議会会議録第九号

○副議長(五十嵐正君) 六十六番近藤やよいさん。
   〔六十六番近藤やよい君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○六十六番(近藤やよい君) 予算特別委員会の総括質疑の中で、私は、都庁のIT化について質問をいたしました。今回は、それに引き続き、知事や関係局長のさらなるご見解を伺いたいと存じます。
 都庁のIT化の第一歩として、現在のTAIMS三千台をインターネット接続する件につきまして、知事は、補正を組むなり、その辺のことは当然即刻やるべきだと答弁され、また、財務局長はしかるべく対応しますとお答えになり、都庁IT化に向けて、一気に弾みがついたと実感しております。そこで、この件について、その後の進捗状況と、いつごろ、どのような接続方式になるのか、伺います。
 都庁のIT化については、インターネットの接続時期ばかりが大げさに取り上げられているように見受けられますが、インターネットの接続は、このたびの知事発言の中にもありましたように、IT化の第一ステップにすぎないのであります。そこで、今後発表される情報化推進計画の中では、具体的にどのように都民サービスを向上させるのかを明らかにすると同時に、業務のIT化により職員をどの程度削減するのかという目標値を明らかにし、IT化をあくまでも行政改革の視点からとらえ、今後都が進むべき道筋を示してもらいたいと考えます。
 国は既に電子政府への移行を閣議決定しておりますが、知事は、このたび知事発言の中で、初めて電子都庁という言葉をお使いになりました。そこで伺いますが、知事のおっしゃる電子都庁とはどのような都庁なのか、また、電子都庁化により、いつまでに、どのような成果を上げるおつもりなのか、伺います。
 都庁のIT化がおくれた原因の一つは、現在のシステムの維持管理に係る固定的ともいえる膨大な経費にあり、これがお荷物となって、インターネットなどの、当時としては最新技術の導入がおくれたことは、総務局長も予算特別委員会の質疑の中で認められました。
 この既存システムの再構築は、もちろん現在も着実に行われているところではありますが、一体どの程度までのダウンサイジング化を目標としていらっしゃるのでしょうか。IT化がいかに重要かつ急務であるとはいっても、既存システムに係る経費をできる限り削り、それで浮いた経費を新しいシステムに振り向けていかなければ、都の現在の財政状態をかんがみたとき、無条件の予算の上乗せは困難と考えるからです。
 このような意味合いから、既存システムを徹底的かつ確実に見直すことが重要なのですが、これを実行するためには、各局の事務事業の見直しを含めて、かなり踏み込んだ改革が不可欠となります。
 そこで、このような側面を含んだ都庁のIT化を、現在の総務局の立場で推し進めることに無理はないのかとの疑問から、都庁のIT化をどの部署が担うのかという質問を同じく予算特別委員会で行ったところ、政策報道室長は、都庁のIT化に一気に進めるよう頑張りたいと答弁され、また、総務局長は、総務局が中心となって進めてまいりますとお答えになりました。
 この後の知事の発言は大変に印象深いものでありました。総務局長は自負を持ってああいうお答えをしたが、東京都の組織そのものも改編を強いられておりますし、しかるべき専門の部門をつくって、内外の需要に対応できるような組織をつくっていきたいと思っておりますと、総務局長とは違った趣旨の発言をなされたからです。
 庁内向けのIT化は総務局が担当し、都庁の外に向かったIT化は政策報道室が担当することになっている、決してIT化に向けて庁内の足並みがそろっていないわけではないという説明もありましたが、このような、内だとか外だとか、紋切り型の旧態然とした体制では、とても電子都庁が実現できるとは思えません。
 庁内に向かった技術面の指導については、総務局のシステム管理課が今後も当面担当するとしても、都庁全体として局を超えた費用対効果を算出し、形式主義にとらわれないリエンジニアリングを実行して初めて、知事のおっしゃる本当の意味での電子都庁が実現すると考えます。
 一日も早く従来の発想から脱しなければ、莫大な経費をコンピューターシステムの構築に投入しながら、インターネットなどの新しい潮流に乗り損ね、行政の情報化指標では全国最下位のお墨つきをもらうという過ちを再度繰り返さない保証はありません。
 それを避けるには、各部局が自己責任でIT化に取り組む姿勢を持つことはいうまでもないことですが、少しでも早く、知事が予算特別委員会で答弁なさった、しかるべき専門部門を設置し、庁内に向けたIT化と同時に、都民そして世界に向けたIT化を統一的に推し進めていくことが何よりも大切ではないでしょうか。
 しかるべき専門部門は、いつごろをめどにどのような形で設置されるおつもりなのか、また、トップの意識次第といわれる都庁のIT化に向けて発揮される知事のリーダーシップについてお伺いいたします。
 次に、医療系廃棄物について何点か伺います。
 医療系廃棄物を完全に処理しようとすれば、一キログラム当たり三百円から三百五十円のコストがかかるという全国産業廃棄物連合会の調査結果があります。一方で、第一回定例会の一般質問でも指摘されたように、平成十一年度の都立病院における感染性廃棄物の処理委託状況を見ると、その契約単価は一リットル当たり最高でも四十五円であり、これは、キログラム換算しても、全国産業廃棄物連合会の調査結果による一キログラム当たり三百円から三百五十円という単価のわずか半額程度にすぎません。
 もちろん、適正な入札制度のもと、処分業者が決定されていることは疑うべくもありませんが、このように低い契約価格が不適正処理につながるおそれがないのかどうか、常に不安がつきまといます。都立病院と契約している事業者が民間の医療機関と契約する際にも、同じような低い契約単価で契約しているのかどうかなどの実態調査も必要です。
 そこで、都がみずから、医療系廃棄物を適正マニュアルどおりに処理した場合、キロ当たり一体幾らくらいかかるのかを、ある程度の幅を持たせて明らかにするべきであると考えます。排出事業者が、自分のところから出た廃棄物が適正に処理されているのかどうかを判断できる一応の目安となる価格を示すことにより、不必要な不安をぬぐうこともできると考えますが、ご見解を伺います。
 都立病院の低い契約単価の原因の一つは、契約単価がキロではなく、リットルで計算されていることにあると考えることもできます。つまり、実際に回収された廃棄物の重量そのもので支払い価格が計算されるのではなく、医療廃棄物回収専用容器一本当たり幾らで計算されているため、このとき容器がすべて満杯の状態で業者に回収されるわけではありませんので、業者としては最終的には採算が合うという話も聞いています。
 都立病院は、単に一般の排出事業者というだけではなくて、公立病院として民間病院の模範となるべき役割があり、医療廃棄物の適正処理について積極的に取り組むべき立場にあります。
 そこで、契約単価の見直しや処理量が明確に把握できる従量単価契約方式への移行など、より適正な契約内容の見直しに取り組むべきであると考えますが、お考えを伺います。
 医療廃棄物を含む大量の廃棄物がフィリピンへ違法輸出された事件について、都は、廃棄物処理法第十九条第一項に基づき立入調査を行いました。都は、立入調査に当たり、各事業者をチェックするための項目を詳細に検討されたと伺っております。本調査の結果は七月下旬ごろ発表されると聞いておりますが、排出事業者である医療機関が、みずから契約している業者の優劣を判断する基準として、またとない指標となると思われますので、都は、立入調査の際の調査項目については、すべて公開してもらいたいと思いますが、都のお考えを伺います。
 本調査結果は、事業者の実態を把握する上で貴重な資料となることは間違いないところですが、このたび、東京都医師会が自主的に排出事業者たる医療機関に対して、適切な処理業者を選択するのに必要な情報を提供するため、業者判定のためのチェックリストを作成中であると聞いています。これは、排出事業者である医療機関が、契約事業者の優劣を判断する情報を何も持たないために生じるさまざまな問題に対処するため、自主的に作成されるものであります。
 そこで、都も、他の産業廃棄物業界に対して同様なチェックリストを作成し、適正業者を判断する基準を明らかにしてはどうでしょうか。ご見解を伺います。
 収集運搬処分業者の指導教育については、五年ごとの資格更新の際、役員などの会社の代表者が受講することが義務づけられていますが、肝心の実際に現場で収集運搬処分に当たる従業員には講習の受講は義務づけられておりません。そこで、特に危険性の高い感染性の医療系廃棄物の場合には、現場従業員に対しても講習を義務づけるような指導を業者に対して行うべきであると考えますが、ご見解を伺います。
 都は、最終処分量の約八〇%を他県に依存しているだけでなく、都内で排出される産業廃棄物が不適正処理されるケースが後を絶たない現状下にあって、不適正処理の事実や、それを行った業者などの情報収集について、関係各県との連携を現在どのようにとられているのでしょうか。また、今後どのようにして連携を強めていくおつもりなのかをお伺いして、次の質問に移ります。
 野菜に含まれている硝酸塩の問題についてです。
 都は、昭和五十一年以来、野菜類に含まれる硝酸塩の濃度調査を行っています。この調査は、同年六月に東京都公害研究所が公表した調査結果により、新聞などに、発がんに結びつく硝酸塩、市販野菜に高濃度と取り上げられたことがきっかけで開始されたと考えられます。過去二十五年間にわたって、都が野菜類に含まれる硝酸塩の濃度について調査を続けてきた経緯及びその理由と、どのような野菜類の硝酸塩濃度が高いのかなどの調査結果、また、今後も調査を継続されるのかどうかについてお答えをお願いします。
 野菜類に含まれる硝酸塩の害については、窒素肥料成分に含まれる硝酸塩そのものの毒性は低いものの、摂取された硝酸イオンが消化器系システムの中で亜硝酸イオンに還元され、強い毒性を発揮すると考えられております。そして、亜硝酸イオンは、胃の中でジメチルアミンと化学反応を起こし、発がん性物質であるニトロソアミン類を生成します。
 とはいえ、野菜類に含まれる硝酸イオンと発がん性の関連については、よほど特殊な事情でもない限り相関関係は認められない、また、野菜に含まれるビタミンCなどがニトロソアミン類の生成を抑制する作用があるという指摘もあります。またその一方で、国際ガン研究機関IARCは、ニトロソアミンを、人に対して発がん性を示す可能性が高い二Aランクに分類しているのも事実であります。
 このように、人体に対する硝酸塩摂取の影響は、今のところ明らかにされておりませんし、ダイオキシンなど、より高い発がん性を有する物質の存在が明らかになったこともあり、昨今は、硝酸塩の含有量の問題が表面化することも少なくなりました。しかしながら、今のところ、日本では、野菜類に含まれる硝酸塩のイオン濃度の上限値は決められておりませんが、ドイツ、スイスでは参考値が、オランダ、オーストリア、ロシアでは制限値がそれぞれ定められているのであります。
 これらの国々の数字と東京都の調査結果の数字とを比較してみますと、その種類によっては、オランダ等の制限値を大きく超える硝酸塩濃度を含む野菜類が都内に流通し、それを都民が日常摂取しているということがわかります。この事実について、都はどのように受けとめておられるのでしょうか、ご見解を伺います。
 また、都は、生産指導者としての立場から、野菜類に含まれる高濃度の硝酸塩の問題をどのように考え、実際に都内の野菜類の生産者に対してどのような対策を講じておられるのか、お伺いいたします。
 大手スーパー量販店は、独自に調査機関を持ち、既に取引産地に対して硝酸塩濃度の低い野菜類の生産を指示するなど、高まる消費者の健康志向を意識した商品の開発に積極的に取り組み、他店との商品の差別化を図っています。こうした流れの影響を受けるのは、結局、独自の調査機関などを持たない小規模な小売店です。
 ただ単に漫然と二十五年間、野菜類に含まれる硝酸塩濃度を調査し、毎年判で押したような調査報告書を作成するのに終始したのでは、都は、公的な試験研究所機関としての役割を全うしているとはいえません。
 そこで、都は、都立衛生研究所の使命をどのように認識し、都民のためにその研究をどう役立てていくおつもりなのか、伺います。
 野菜類の硝酸塩含有量調査については、ほかの研究機関や国とも連携して、調査結果を活用し、含有量の多い野菜類と土壌との相関関係をみずから明らかにしたり、余りにも濃度が高い野菜類については、産地ごとに継続的な調査を行うなど、調査そのものの有効性を高める努力をする必要があると考えますが、ご所見を伺い、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 近藤やよい議員の一般質問にお答えいたします。
 先般の予算委員会で、近藤議員から、都庁のITシステムの立ちおくれというか、それがほとんど皆無に近いというご指摘をいただきまして、愕然といたしましたが、確かに日本の都道府県の中で東京が最低位であるというのは、これは本当に信じられない状況でありますけれども、その克服に一生懸命努力したいと思って、都庁を電子化する推進を目下図っておりますが、東京から世界に新しいメッセージを発信していくためにも、まず都庁にITを導入して、首都にふさわしい基本的な情報装備を行うことが焦眉の問題であると心得ております。
 先般、CLOの発行にも伴いまして、今までなかった東京に関する中小企業のデータベースもつくりましたが、これに対して外国のベンチャーボンドなんか非常に関心を持たれておりますけれども、そういうデータを持ちながら、内外から関心を持つ人が都庁にアプローチができない、一々足を運ばなかったら、その資料に目を通せないというのは非常に不便というか、ばかげた話でありまして、そういう状況もございますから、鋭意、できるだけ早く、一つの東京にふさわしいシステムというものをつくり上げていきたいと思っております。
 電子都庁を実現していくために、都行政の全般にわたるIT化の施策を総合的かつ一体的に展開できる推進体制について、目下、ばらばらではなしに、一元化して、積極的に効率的に推進していくための組織について検討しているところでございます。
 その他の質問については関係局長から答弁いたします。
   〔総務局長横山洋吉君登壇〕

○総務局長(横山洋吉君) 都庁IT化に関します三点の質問にお答え申し上げます。
 まず、TAIMSとインターネットとの接続についてでございますが、お話しの予算特別委員会の質疑以降、作業を早めまして、現在、プロバイダーとの契約準備の段階に至っております。この接続によりまして、本庁内の個人及び組織のパソコン約三千台から、インターネットの電子メール交換とホームページ閲覧の利用が可能となります。
 時期ですが、本年十月には、安全性を十分に検証した上で、運用を開始する予定でございます。
 次に、電子都庁についてでございますが、電子都庁とは、行政のあらゆる分野への情報通信、技術の成果の活用と、これにあわせた旧来の制度、慣行の見直しによりまして、都民サービスの向上と行政運営の質的向上を目指すものであると認識いたしております。
 今後は、まず、電子都庁の基礎となります電子認証基盤を構築しまして、行政情報所在案内などの情報提供や施設の利用予約手続の電子化など、都民サービスの向上につながるIT化を順次具体化してまいります。
 次に、既存システムの再構築についてでございますが、都の主なシステムとしましては、現在、財務会計、税務情報などの基幹システムが稼働いたしております。
 システムの運用経費につきましては、情報化推進計画に基づきダウンサイジングやスリム化を行いまして、平成八年度以降の五年間で約四十四億円の経費縮減を図ってきたところでございます。
 今後とも、有効性に乏しい業務システムは、縮小や統合にまで踏み込んで見直しを行いまして、なお一層の経費縮減に努めてまいります。
   〔環境局長齋藤哲哉君登壇〕

○環境局長(齋藤哲哉君) 医療系廃棄物につきまして、五点の質問をいただきました。順次お答えいたします。
 まず、医療系廃棄物の適正な処理料金についてのお尋ねでございますが、排出事業者が、どのくらいの料金が適正な処理料金であるかを知っておくことは、産業廃棄物処理業者を選定する際に大変重要なことであります。その把握はなかなか難しいところがございます。実態としては、経営努力や業者間の競争関係などもあり、処理業者間で幅のある料金になっております。
 実際に取引されているさまざまな処理料金のおおよその状況を知ることができれば、排出事業者である医療機関は、その処理業者が適正な処理料金を設定しているかどうか、また、適正処理のできる業者であるかどうかの判断の目安とすることができるのはご指摘のとおりでございます。
 このため、現在、都は、収集運搬業者、処分業者別の処理料金の実態調査を都内及び近県を対象に行っており、調査がまとまり次第、これを広く提供していきたいと考えております。
 次に、都が実施しました立入調査のすべての調査項目を公開すべきとのお尋ねでございますが、今回の調査は、廃棄物の違法輸出事件を機に、改めて医療系廃棄物の処理状況を再点検するとともに、今後の適正処理の指導に活用していくためのものでございます。したがって、調査結果は、すべての項目について広く公表するとともに、医療機関には、産業廃棄物の収集運搬業者、処分業者の情報も含めて送付する予定でございます。
 第三に、都は、適正処理業者選定のためのチェックリストを作成すべきとのお尋ねでございます。
 東京都医師会が、医療系廃棄物を適正に処理する業者を選定するためのチェックリストを作成中と聞いておりますが、医療機関に限らず、本来は、建設業界など各業界ごとに、その実情に応じたチェックリストを作成していくことが望ましいと考えます。
 しかし、取り組みがそこまで至っていない業界もあり、都としては、適正な処理業者の選定に必要な情報項目や情報の収集先、選定上の留意点などを網羅したチェックリストの基準を作成し、各業界に対して参考に供したいと考えております。
 今後、都としては、排出事業者が、このチェックリスト基準を活用して適正な処理業者を選定できるように、処理業者に情報公開を働きかけてまいります。
 第四に、現場従業員に対する講習の義務づけの指導についてでございます。
 産業廃棄物処理業の許可等に際しては、会社の代表者に法定の講習会の受講が義務づけられております。とりわけ、感染性廃棄物などについては、その重要性から一層厳しい講習が行われております。しかし、適正処理のためには、ご指摘のように、直接業務に携わる現場の従業員に対する講習が不可欠でございます。このため、都では、従来から、処理業の許可や許可の更新に際して、また立入調査等の機会をとらえて、処理業者に対して、従業員の教育、研修等を行うように指導してまいりました。
 今後は、処理業者に社員教育のためのマニュアルづくりを指導するなど、処理業者に対する指導を一層徹底してまいります。
 最後に、他県との連携についてのお尋ねでございます。
 都は、これまでも、広域的に移動する産業廃棄物について、不適正処理の防止に対応するために、七都県市との連携体制をとってまいりました。しかし、昨年発生したニッソーによる廃棄物の違法輸出事件のような、七都県市では対応できない重大な事件を見ますと、広域的な自治体間の連携や、時期を逸することのない迅速かつ的確な対応がますます重要となっております。
 このため、都は、個別事件ごとに迅速かつ的確に対応するため、七都県市のほか、関東甲信越地区などの県市と新たな組織をつくり、より広域的な連携を図るべく協議を行ってまいります。
   〔衛生局長今村皓一君登壇〕

○衛生局長(今村皓一君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、都立病院における医療廃棄物についてでございます。
 都立病院では、これまでも、法に定める処理確認に加え、東京ルールに沿って、中間処理施設等の現地確認やマニフェストによる最終処分の確認を行うなど、適正処理に努めてきたところであります。
 しかし、医療廃棄物の不適正な処理が大きな社会問題となっていることから、より一層の適正処理に向け、廃棄物の重量計測を試行して、その結果を検証するなど、適切な契約方法を考えてまいります。
 次に、硝酸塩の問題について三点のご質問がございました。
 まず、野菜に含まれる硝酸塩の実態調査についてでございますが、ご指摘のとおり、硝酸塩は、発がん性のあるニトロソ化合物生成への関与が疑われているため、国も慎重に対応すべきものとしており、都は、市場の動向などに合わせて対象品目等を随時見直しながら、調査を継続し、また都民にも公表してまいりました。
 これまでの調査では、葉茎菜類、主として葉や茎を食べる野菜でございますが、ゼロから一万六〇〇〇ppm、根菜類、主として根を食べる野菜でございますが、ゼロから九八〇〇ppmと含有量が比較的多く、キノコ類あるいは柑橘類等は少ない傾向が認められております。
 都といたしましては、これらのデータの収集が有効と考えており、今後も、市場に流通する野菜類の含有量調査を実施してまいりたいと考えております。
 次に、都民が硝酸塩を含む野菜類を摂取していることについてでございますが、これまでの調査において、品目によっては高い検出値の認められたものもございますが、野菜中の硝酸塩が及ぼす健康への影響については、吸収や代謝の違いもあり、ご指摘のとおり、評価が定まっていないものが事実でございます。
 また、健康影響に係る調査手法についても、国際的にはいまだ確立されたものはございません。しかしながら、野菜栽培生産者への情報提供により、硝酸塩の使用を抑制していくためにも、引き続きこれらの調査を適切に実施していくことが必要だと考えております。
 また、都立衛生研究所の役割と調査結果の活用方法についてでございますが、都立衛生研究所の使命は、都民の健康を守るために、保健衛生行政を科学的、技術的側面から支えることにより、化学物質保健対策など、多様化する行政ニーズに適切に対応することであると認識しております。
 今後、都といたしましては、ご指摘の点を踏まえ、関係の研究機関との連携を深めつつ、調査方法やこれまでの調査結果の活用方法等について工夫をしてまいります。
   〔労働経済局長大関東支夫君登壇〕

○労働経済局長(大関東支夫君) 野菜の生産者に対する硝酸塩にかかわる指導についてでございますけれども、ご案内のとおり、肥料というのは、窒素、燐酸、カリの三要素から成っているわけでございます。このうち、窒素肥料を過剰に使用いたしますと、野菜類に含まれます硝酸塩を増加させる原因になるということはわかっているわけでございます。
 このため、都は、肥料の標準的な使用量を定めました施肥基準というのがあるわけですが、これを見直しまして、窒素肥料の使用量を低減させるように生産者を指導してまいったところでございます。特に、化学肥料の過剰な使用につきましては、硝酸塩を増加させるおそれが強いということから、平成六年度に東京都環境保全型農業推進基本方針を策定いたしまして、使用量の二〇%削減や堆肥による土づくり等を進めてきたわけでございます。
 今後とも、化学肥料の一層の削減と有機肥料の利用拡大に向けまして、適切な指導に努めてまいります。

○議長(渋谷守生君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時三十一分休憩

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