平成十二年東京都議会会議録第九号

○議長(渋谷守生君) 十七番藤井一君。
   〔十七番藤井一君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○十七番(藤井一君) 質問に入る前に、今回の地震災害で被害を受けられました、三宅島、神津島の皆様に心からお見舞いを申し上げます。
 また、一日も早く復興されますようお祈り申し上げます。
 まず初めに、介護保険制度について伺います。
 介護保険がスタートして三カ月が過ぎました。この間、介護保険の基盤整備が不足していることや、年々ふえ続けている痴呆を一次判定システムが的確にとらえ切れていないこと、介護認定の不正が発生するなど、介護保険制度の問題点が次々に明らかになりつつあります。
 そこで、何点か伺います。
 第一に、介護保険認定調査の信頼性確保についてであります。
 介護保険が都民に信頼され、制度を安定的に運営するためには、要介護認定が適切に行われることが不可欠であります。とりわけ、認定のための調査は、要介護認定を行う際の基礎となるものであり、公平かつ公正に実施されなくてはなりません。
 しかしながら、東大阪市では、調査書を作成する調査員と、主治医の意見書の作成者が同一人物であったという事例が報告されており、また、小田原市内の施設では、調査書の記載内容が、故意に症状を重く記載していた疑いが発覚するなど、認定調査に関する不正が発生しております。
 このような事件の発生は、特に調査委託のあり方を見直す必要性を物語っているといっても過言ではありません。
 そこで、介護認定の信頼性を確保するため、調査委託体制の整備について、その対応を伺います。
 第二に、介護認定基準の改善についてであります。
 我が党が実施した介護保険実態調査によれば、現行の介護認定基準については、痴呆性高齢者の要介護度が実態よりも低く出る傾向があることが明らかになりました。
 そこで、自宅で暮らす痴呆の高齢者にどのような介護が必要なのか、実態調査を行い、改善策を検討する必要があると考えます。また、実態に合わせて適切な要介護認定とするよう、都は、基準の見直しを国に働きかけるべきであります。所見を伺います。
 第三に、主治医の意見書回収についてであります。
 介護保険では、要介護認定を、申請日から三十日以内に行うことが原則となっております。しかし、実施主体である区市町村では、特に大病院などで、主治医の意見書の提出がおくれがちとなり、三十日以内という原則が守れなくなっているのが現状であります。各自治体でも、当該の病院に催促してもなかなか改善されず、困っております。このことは、申請者の利益を守るという観点からも、早急に改善する必要があります。
 そこで、都は、主治医の意見書回収が速やかに行われるよう対応すべきであると考えます。所見を伺います。
 次に、痴呆性高齢者のグループホーム事業について伺います。
 高齢化が進展する中で、痴呆性高齢者のグループホーム事業の取り組みが行われていますが、土地代や家賃が高いことなどが大きな障害となり、なかなか設置が進まないのが現状であります。
 こうした中で、本年四月、厚生省と建設省が、痴呆性の高齢者グループホーム事業を既存の公営住宅を活用して実施できるよう、省令を改正し、施行したと聞いております。
 そこで、伺います。
 第一に、都民共有の貴重な財産である都営住宅を有効に活用して、介護保険のサービスメニューである痴呆性高齢者のグループホームを早急に整備することが重要と考えます。そこで、各関係局が連携を密に協議し、グループホームの設置促進を図るための検討の場を設置すべきと考えます。
 第二に、今回改正された厚生省、建設省の省令では、既存の都営住宅を活用して痴呆性高齢者のグループホームを設置することができるとなっております。一方、痴呆性高齢者グループホームは、共同生活が基本であり、隣接した複数の住戸が必要であるとともに、ふろや食堂などの共同室との往来が可能でなくてはなりません。そのため、都は、このようなグループホームの特性を踏まえ、既存の都営住宅を改造、改修できるよう、弾力的に対応すべきであります。
 第三に、近年、都営住宅の建てかえ事業が進んでいますが、この建てかえの際に一階部分に痴呆性高齢者グループホームを併設するよう、積極的に取り組むべきであると考えます。そのため、今後都は、グループホームの実施主体である区市町村に対して、土地を無償で提供するなど、必要な支援策を講ずべきであります。
 以上の三点について、前向きな答弁を求めます。
 次に、東京都住宅供給公社の建てかえ事業について伺います。
 都住宅供給公社では、平成三年度から老朽化した公社住宅の建てかえ事業を実施し、これまで九カ所の建てかえを行っております。私の地元大田区でも、昨年四月、仲六郷住宅二百世帯と東蒲田住宅二百二十三世帯の公社住宅が選定住宅に指定されました。
 先日、私は、両方の公社住宅入居者の方々と懇談をいたしました。その際、入居者の方から、建てかえにより家賃が高くなり払えなくなるのではないかとか、建てかえ住宅に選定されると全く修理してもらえないのではないか、また、選定住宅になっても具体的な建設計画がわからない等々の不安と不満を抱えている方が多数おりました。
 そこで、何点かお伺いいたします。
 第一に、建てかえ後の公社家賃が以前の家賃と比べてどのぐらいになるのか、具体的な例でお示しいただきたい。
 第二に、建てかえ後の住宅に戻り入居する居住者に適用される家賃減額措置とはどういう内容か、また、それによって居住者の負担額はどうなるのか、伺います。
 第三に、公社は、建てかえ選定住宅に決定した場合、原則として計画修繕はやらないこととなっております。しかし、建てかえ前の住宅で漏水や破損など日常生活をする上で支障がある場合、必要な修繕を行うべきと考えますが、実際はどのように対応しているのか、伺います。
 第四に、建てかえ選定住宅に指定された入居者に対して、公社は、建てかえ計画、家賃減額措置制度、修繕のあり方等々十分に説明を行い、不安と不満を解消するよう努めるべきと考えます。今後、都は公社に対してどのように指導するのか、伺います。
 第五に、高齢低所得者への家賃減額措置制度の存続についてであります。
 現在、公社では、高齢低所得の入居者に対して家賃減額措置を実施していますが、この制度は東京都からの補助金で成り立っております。これにより、わずかな年金収入だけに頼る高齢者でも、現在は安心して居住できるわけであります。ところが、もし都が財政難を理由に補助金を打ち切り、この家賃減額制度が廃止される事態となれば、多数の高齢者が公社住宅に住めなくなり、路頭に迷うことになってしまいます。その意味から、都は、弱い立場にある高齢低所得者への家賃減額制度を維持すべきと考えます。所管局長の所見を伺います。
 次に、大田区の埋立地整備について伺います。
 大田区には、京浜島、城南島、昭和島等、多くの埋立地があります。これらの埋立地では、港湾関連の運輸業や倉庫業、公害型産業等の事業所が多数立地し、多くの人々が働いております。しかし、これらの地域には住民が住んでいないため、店舗、銀行、飲食施設等の生活利便施設が極めて少ない状況であります。例えば、城南島には六千人を超える人々が働いているとのことですが、この地区にはいまだに店舗、銀行、飲食施設は一つもありません。勤労者にとって、働く場所は一日の大半を過ごす重要な生活の場であります。
 そこで第一に、港湾管理者である都は、埋立地の生活利便施設の整備に積極的に対応すべきと考えます。所見を伺います。
 第二に、これらの埋立地の間には、京浜運河や平和島運河など、大小の運河が走っています。こうした運河は、水運として利用されているほか、地元の人々が水と緑に親しめる貴重な空間となっております。
 これまで都は、防潮堤整備の一環として、直立護岸の一部を親水性のある緩傾斜護岸に改修するなどの事業を行ってまいりましたが、こうした地域特性を十分に踏まえ、運河沿いのエリアを多くの都民が憩い親しめる魅力ある水辺空間にするため、さらに創意工夫を凝らした護岸整備を着実に進めるべきであると考えます。今後の整備の考え方と取り組みについて伺います。
 第三に、羽田沖合展開における浅場造成事業についてであります。
 羽田沖は水深が浅く、東京湾内でも魚介類の多い、自然環境の豊かな水域であったことから、都は、水生生物の育成しやすい環境を保全するため、埋立地の沿岸に水深の浅い場所を造成する事業を進め、現在、約五キロメートルにわたる人工なぎさを見ることができます。この事業の結果、漁業関係者からは、この沿岸地域の自然環境が確実に改善してきているとの声が聞かれるようになった反面、一部で、造成した浅場の砂が流失しているとの危惧の声も上がっています。効果を上げ始めたこの事業の成果を確実なものとするためにも、この浅場を安定した状態に保つため、突堤を設けるなど、新たな対策を早急に講ずべきと考えます。所見を伺います。
 次に、羽田空港の国際化について伺います。
 本年三月、運輸省は、羽田空港を夜間、早朝を含めた低利用時間帯を活用して国際化する検討に着手しました。これは、成田空港が使われていない午後十一時から午前六時までの時間帯などを活用して羽田空港を国際化するというもので、ことしの夏にも、国際チャーター便や国際ビジネス便の就航について一定の結論が出される予定と聞いております。そのため、国は、羽田空港有効活用検討委員会を設置し、羽田空港の国際化について検討を開始しております。
 先ごろこの検討委員会において、今月九日から十一日に開催される日米財界人会議に伴う国際ビジネス機の受け入れを検討した際、アメリカ側出席者の多くがビジネスジェットでの来日を希望し、成田空港の発着枠を超えたため、羽田空港の活用を考えていたようであります。しかしながら、千葉県側が、これまでの地元合意の発着枠や時間を超えて成田空港ですべてのビジネス機を受け入れると決定したため、羽田空港へのビジネス機乗り入れが見送られてしまいました。
 東京都内で開催される日米財界人会議の会場に近い羽田空港は、朝の到着や夜の出発など使われていない多くの発着枠があり、このような状況を考えると、今回の国の決定は到底納得いくものではありません。
 そこでまず、知事は、今回の決定をどのように受けとめ、国に対してどのように対応されるのか、お伺いいたします。
 第二に、このような状況では、地元から強い要望のある国際チャーター便の取り扱いについても懸念を持たざるを得ません。そこで、国内便は羽田、国際便は成田という運用の形態を見直し、将来羽田空港も国際便を受け入れられるよう、知事が国に直接働きかけ、リーダーシップを発揮すべきと考えます。知事のご決意を伺います。
 第三に、羽田空港の国際化が実現すると、それに伴い、交通量が増大することが予想されます。鉄道については京浜急行や東京モノレールなどが整備されていますが、幹線道路については、まだまだ十分とはいえない状況にあります。特に、羽田空港から川崎、横浜方面に向かう車両については、大田区の狭い区道を抜けて産業道路に入る車両がふえることにより、交通渋滞や排ガスなど、環境悪化が予想されます。そこで、都は、国と連携して、空港周辺の幹線道路の整備を早急に進めるべきと考えます。
 以上の所見を求めて、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 藤井一議員の一般質問にお答えいたします。
 日米財界人会議に伴うビジネスジェットの受け入れについてでありますが、千葉県は千葉県の、いろいろ危惧も、思惑もあったのでありましょうけれども、しかし、今回の措置によっても、成田空港が国際定期便のみならず、ビジネスジェットの需要にも十分対応できない状況は変わらないわけでありまして、せっかくあります羽田を、しかも、あそこは騒音の問題も一応クリアされて、夜間も使用できる二十四時間の空港でありますから、これを活用しないわけはないと思いますが、しかし、どうも今まで成田の問題で千葉県にいろいろ負担もかけ、そういった思惑もあって、今回はこういう措置になったと思いますけれども、しかしなお、私は、やはり羽田という大事なキャパシティーというものを、単に東京とか千葉県とかいうことじゃなしに、国家全体のために活用していくことは必要だと思います。ゆえにも、都としても、既に羽田空港の国際化を国に最重点事項として提案要求しておりますが、今後とも、この全面的な実現に向けて取り組みを強化していくつもりでございます。
 羽田空港の運用形態の見直しでありますけれども、東京の仮想競争相手でありますニューヨークに比べますと、残念ながら相手は交通の利便性の高い三つの空港を既に持っておりまして、それぞれに国際線、国内線が乗り入れております。東京圏においても、空港間の適切な機能分担によって羽田空港の国際化を実現することが、首都圏全体の活性化に不可欠であると思っております。ゆえにも、羽田空港の国際便受け入れについて、私が先頭に立って、早期に実現するように国に働きかけるつもりでございます。
 他の質問については、関係局長から答弁いたします。
   〔高齢者施策推進室長福祉局長兼務神藤信之君登壇〕

○高齢者施策推進室長福祉局長兼務(神藤信之君) 最初に、介護保険についての三点のご質問にお答えします。
 まず、介護保険における調査の委託体制でございますが、要介護認定の調査は、施設利用者につきましてはほとんどの区市町村が委託し、在宅の高齢者につきましても四十六区市町村が委託しており、調査委託体制の整備が重要となっております。このため、区市町村では、一定の質が確保された事業者への委託や、認定更新時には基本的に別の事業者に変更するなどの取り組みをするところもございます。
 今後とも、認定調査の信頼性を確保するために、区市町村に委託方法などの具体的な情報を提供するとともに、必要に応じて職員が認定調査を行う体制を整えるよう働きかけてまいります。
 次に、痴呆性高齢者の要介護認定基準の見直しでございますが、都内の区市町村におきましては、「かかりつけ医のための痴呆の手引き」の活用などを通じ、要介護認定は、認定基準に基づき、適正に行われているものと考えております。しかし、痴呆の方の要介護認定が難しいという各方面の意見があることも承知しております。
 国におきましても、近々認定調査における調査項目について検討を開始すると聞いておりますが、都としても、要介護認定の実施状況を踏まえ、区市町村と連携して、国の検討に対し、必要な働きかけを行ってまいりま
す。
 次に、主治医意見書についてのお尋ねでございますが、ご指摘のとおり、主治医意見書が迅速に提出されることは、要介護認定にとって重要でございます。しかし、かかりつけ医制度が必ずしも十分に定着していない状況のもとで、申請者が総合病院の勤務医に意見書の作成を依頼する結果、主治医意見書がおくれる例も多数あると聞いております。
 このため、区市町村の行うかかりつけ医定着促進への取り組みを高齢者いきいき事業により支援するとともに、今年度行う主治医研修の機会に、意見書の迅速な提出について理解と協力を求めるなど、区市町村の適切な要介護認定の実施を支援してまいります。
 最後に、痴呆性高齢者グループホームを都営住宅に設置することでございますが、都はこれまで、国の制度とは別に、既存の一般住宅の改修等により痴呆性高齢者グループホームの設置に努めており、現在八カ所が開設しており、さらに、今年度じゅうに十二カ所程度整備の予定でございます。
 ご指摘の既存の都営住宅への設置につきましては、構造上の課題等もありますが、今後、関係局で鋭意検討してまいります。
   〔住宅局長戸井昌蔵君登壇〕

○住宅局長(戸井昌蔵君) 住宅行政に関します七点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、痴呆性高齢者のグループホーム事業についてでございます。
 一点目は、都営住宅を活用したこの事業への取り組みについてでございます。
 痴呆性高齢者のグループホーム事業につきましては、ご指摘のように、今年度から制度的に公営住宅を活用できるようになったところでございます。住宅局といたしましては、この事業に都営住宅が利用できるよう、対応が可能な空き家住宅の確保を図るなど、その実現に向けて努力をしてまいります。
 なお、住宅の改修など解決すべき課題もございますが、これらにつきましては、福祉部門と連携を図りながら、積極的に検討してまいります。
 二点目は、都営住宅の建てかえの際の併設についてであります。
 都はこれまで、都営住宅の建てかえに際し必要となる地元区市町村の関連施設の整備につきまして、地域開発要綱を定め、支援を行ってきたところでございます。今後の都営住宅の整備に当たりましては、福祉施策との連携が重要であると考えておりまして、本年五月に要綱を改正し、その対象となる福祉施設などを拡充したところでございます。お尋ねの、区市町村が設置する痴呆性高齢者グループホームも新たに対象といたしまして、用地を無償貸付することとしたところでございます。
 今後とも、都営住宅の建てかえに当たりましては、地域開発要綱に基づきまして、積極的に対応してまいります。
 次は、東京都住宅供給公社の建てかえ事業に関する五点のご質問にお答えいたします。
 まず、公社の一般賃貸住宅の建てかえ後の家賃についてでありますが、平成十一年三月に建てかえが完了いたしましたトミンハイム南大井五丁目の例でお示しいたしますと、建てかえ前の戸当たり面積約三十平方メートルの住宅の家賃は二万四千八百八十円でありましたが、建てかえ後の戸当たり面積約四十一から六十平方メートルの住宅の家賃は、九万千五百円から十四万七百円となりました。
 次に、戻り入居する世帯に適用されます家賃減額措置についてでございます。
 段階的に本来家賃に近づける激変緩和措置と、それから高齢低所得世帯等を対象にした特別減額措置の二つの制度がございます。先ほどのトミンハイム南大井五丁目を例にとりますと、この制度を適用いたしますと、初年度の負担額は、各住戸の規模などに応じまして、二万八千円から四万三千百円となります。
 次に、建てかえ選定の住宅の修繕についてでございます。
 外壁塗装などの大規模修繕は確かに停止しておりますけれども、ご指摘の漏水や破損などの修繕は、現在でも実施をいたしております。公社におきましては、今後とも、居住者の日常生活に支障を来さないよう、必要な修繕は実施することとしております。
 次に、建てかえ選定住宅の居住者への説明についてでございます。
 公社は、まず、すべての居住者を対象に、「都公社だより」によりまして、建てかえ事業のあらましについて周知を図っております。次の段階に、建てかえ住宅として選定された住宅の居住者には、その旨個別に文書で通知するとともに、事業化を決定した段階では説明会を開催するなどいたしまして、建てかえ計画などを詳しく説明しているところでございます。
 建てかえ事業を円滑に推進していくためには、居住者の理解と協力が不可欠でありますことから、今後とも、居住者に対する説明につきましては適切に行うよう、公社を指導してまいります。
 最後に、高齢低所得世帯等への家賃減額制度についてでございます。
 建てかえ事業の実施に当たりましては、高齢低所得世帯等への十分な配慮が必要であると認識しております。このため都は、これまで高齢低所得世帯等に対する公社の家賃減額措置を財政的に支援するとともに、都営住宅への住みかえに協力してきているところでございます。
 今後とも、公社の建てかえ事業を円滑に推進するため、都といたしましても適切に対応してまいります。
   〔港湾局長浪越勝海君登壇〕

○港湾局長(浪越勝海君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、埋立地の生活利便施設の整備についてでございますが、港湾管理者である東京都は、港湾法に基づきまして、港湾労働者などの福利厚生を増進するための施設を設置し、または管理することとされております。
 このため、東京都はこれまで、宿泊所、休憩所、食堂や売店を備えたサービスセンターなどの福利厚生施設を設置してまいりました。城南島においても、こうした施設の設置の必要性については十分認識しており、国に対して国庫補助制度の創設を働きかけるなど、福利厚生施設の整備に積極的に取り組んでまいります。
 次に、親水性のある護岸の整備についてでございますが、水辺に親しめ、快適で魅力的な空間を創造できるよう、緩傾斜護岸や水際の散策路など、可能な限り環境に配慮した整備を行うこととしております。
 港南地区での緩傾斜護岸整備の取り組みにつきましては、これまで、勝島運河や平和島運河など四・一キロメートルの整備が完了しており、今後、さらに一・一キロメートルの整備を予定しているところでございます。具体的には、ガスミオ運河において、平成十四年度の完成を目指して鋭意整備を進めており、また、今年度から、新たに海老取運河においても直立護岸を緩傾斜護岸として整備していくこととしております。
 今後とも、都民が憩い親しめる、地域特性を生かした水辺空間の創出に努めてまいります。
 最後に、羽田沖浅場造成事業についてでございますが、これまで浅場の造成を進めた結果、自然環境の向上が図られており、船釣りなどを楽しむ場としても、将来の利用が期待されているところでございます。しかし、造成した浅場の一部について、波浪や潮流などの影響により砂の流出が見られるので、今後、専門的な知見も加え、ご指摘のように、新たに砂の流出防止対策を行うなど、安定した浅場となるよう取り組んでまいります。
   〔建設局長古川公毅君登壇〕

○建設局長(古川公毅君) 羽田空港周辺の幹線道路の整備についてですが、環八は、既に大鳥居交差点で京急空港線の地下化により踏切を除却し、本年三月、産業道路から第一京浜まで四車線整備が完了しました。さらに、京急蒲田駅付近の連続立体交差化を本年度内に着手する予定です。
 産業道路は、多摩川から呑川までの約二キロについて、大師橋のかけかえ及び道路拡幅工事を実施しております。
 第一京浜は、環八以南について、国が六郷橋のかけかえに伴う取りつけ道路工事を行っており、また、環八との立体化を検討しております。
 引き続き、羽田空港周辺の幹線道路について、財政状況を踏まえつつ、国とも連携を図りながら、早期整備に努めてまいります。

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