平成十二年東京都議会会議録第八号

○副議長(五十嵐正君) 六十一番石川芳昭君。
   〔六十一番石川芳昭君登壇〕

○六十一番(石川芳昭君) 私は都議会公明党を代表して、都政の緊急課題について、知事並びに関係局長に質問いたします。
 初めに、都議会公明党は、謹んで皇太后陛下の崩御を悼み、ご遺徳をしのび、衷心より哀悼の意を表します。
 さらに、伊豆諸島の火山活動及び地震によって亡くなられた方のご冥福をお祈りし、被害に遭われた島民の皆様に、心よりお見舞いを申し上げます。
 まず、三宅島火山活動について伺います。
 我が党は、二十六日、直ちに東京都本部に三宅島噴火緊急対策本部を、翌二十七日、党本部に三宅島噴火災害対策本部を設置し、引き続き、伊豆諸島噴火緊急対策本部として現地との連絡、情報収集に当たるとともに、二十七日、知事あてに三宅島の緊急事態に関する申し入れを行い、今後の対応に当たっては、島民の安全を第一に対処をと求めたところであります。また、現地に代表を派遣し、避難所を訪れ、避難島民の要望、意見、避難状況の把握及び現地災害対策本部の活動状況等について、つぶさに調査をしてきたところであります。
 住民避難が手際よく進んだ理由の一つとして、東京都が本年十一月に予定している全島民参加の災害訓練に向けて準備を重ねていたことと、避難所や食料確保、医療チーム派遣のマニュアルが作成され、初めての本格的な実践だったことなどが挙げられています。
 しかしながら、村役場職員が臨時火山情報を知ったのは自宅のテレビであり、役場に届いた三宅島測候所からのファクスであったこと、また、誤った情報が伝わり、村が防災無線で津波警報の情報を流して訂正する一幕や、情報提供に若干の混乱があったことも事実であります。三宅島の噴火の間隔はここ百年、次第に短くなっており、昭和初期の三回は二十一年から二十二年周期という極めて規則的な活動を繰り返しており、予断を許さない状況が続いているのであります。
 そこで伺います。
 第一に、知事は噴火のおそれがあるという情報を受け、急遽副知事を派遣し、現地で指揮に当たらせるなど、機敏なリーダーシップを発揮されました。知事のこの対応に敬意を表するものであります。今回の災害対応について、みずからも三宅島現地に行かれた知事ご自身の所見を伺います。
 第二に、噴火という最悪の事態は幸いにも回避されましたが、できる限りの防止策を講ずるのが危機管理の基本であることを忘れず、今回の教訓を生かし、今後の対策に生かすべきであります。
 第三に、災害対策本部の一員として活動した各局における反省点、改善点を取りまと
め、さらに万全の体制整備を図るべきであります。
 第四に、避難勧告が全面解除されたとはいえ、島内では地盤の隆起などにより、今日なお、阿古、伊ヶ谷、伊豆地区において千世帯で断水が続いている状況にあるなど、今なお不自由な生活を余儀なくされております。都がいち早く貸付限度額五千万円の災害復旧資金融資の実施を決めたことは評価しますが、金利一・八%については負担感が重く、無利子を含め再検討すべきであります。
 第五に、災害弱者、とりわけ特別養護老人ホーム、アジサイの里入所者五十名の勤労福祉会館への避難の際、最低限必要な介護は行われたのでしょうか。私どもは、介護の手が足りなかったと聞いております。ホームヘルパーの資格を持つ方の中からボランティアを募り、いわば国境なき医師団のホームヘルパーの東京版を組織し、緊急時に備えておくべきであります。
 以上、五点について伺います。
 次に、都政の最重要課題である財政再建問題についてであります。
 都の来年度の財政状況は、四千三百億円の財源不足が見込まれ、一千百億円もの銀行業に対する外形標準課税の増収分を含めたにせよ、それでも三千二百億円の財源不足が予測されます。都は既に、土地開発基金の廃止、減債基金積み立ての一部見送りなどといった臨時的な財源対策を実施済みであり、残された手法は、新たな財源をどのように確保し、現下の財源不足の穴埋めをしていくかが至上命題の一つであります。
 そこでまず、これから始まる来年度予算編成作業に向け、都としての現時点での収支見通しを踏まえた財政構造改革の推進に向けての知事の基本的な考えを伺います。
 また、財政再建に関して、都が導入した銀行業に対する外形標準課税は、都における安定的な税収確保と税負担の公平性確保とを目的としておりますが、これのみでは、都の税収構造の不安定性は依然として解消されてはおりません。そこで、都税収入の確保を図るためにも、今何よりも求められているのは税源の移譲の問題でありますが、この問題についての取り組みについて伺います。
 さらに、都を初め地方公共団体にとっての課題は、財源調整措置などの税財政制度の課題であります。例えば、国直轄事業負担金制度についても、現行制度上、地方の事情など全く考慮しないで国が一方的に箇所づけを行い、しかも、積算内訳すら明らかにしないまま地方に一方的に財政負担を負わせる事例については、直ちに改善を求めるべきです。この制度で、都は十年度ベースで四百億円を超す負担を強いられております。このほか、東京都は大使館などの固定資産税等の減収を余儀なくされております。
 現行の地方税財源制度における問題点を、この際早急に洗い出し、国直轄事業負担金制度の改善を含め、税財政制度の改革を図るべきと考えますが、今後の具体的な取り組みについて伺います。
 次に、中小企業及びベンチャー企業の支援についてであります。
 都は、さきに、創業者やベンチャー支援の一環として、都の保有する空きスペースの無料提供制度を実施する方針を示し、このことは今定例会の知事発言でも明らかにされています。廃業率が創業率を上回る傾向が長期間続く中で、この支援策には大きな期待が寄せられています。そこで、この制度の具体的な実施方針と時期、さらに規模についてお尋ねいたします。
 また、創業、ベンチャー企業の支援においては、資金調達の円滑化が重要な課題であります。都は、今年度新たに中小企業等投資事業有限責任組合を設立し、必要な事業を行うとしています。そこで、この組合の特徴と投資対象分野を具体的にどのように考えているのか、また、組合の設立と具体的な投資はいつ開始されるのか、あわせて伺います。
 次に、商店街の振興についてであります。
 都内には約二千九百の商店街がありますが、六月に都が発表した小売業に関する中小企業経営白書によれば、三年前より売上高が減少したものが八割近くを占め、さらに、後継者難などで廃業予定の小売業が三割を超えるという調査結果には極めて深刻なものがあります。
 この際、商店街の衰退を防ぐとともに、活性化を図るために、時代に即した新たな施策の展開を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。平成十二年度には、二十一世紀商店街づくり振興プラン策定の予算が計上され、策定検討のための委員会が五月に設置されていますが、検討される概要と進捗状況等について伺います。
 また、若手の商店経営者との意見交換の場でよく言及されるのが、IT化時代に即応した商店街のあり方という課題であります。商店街が一体化してのホームページ開設による個性と特徴ある店舗の周知紹介やイベント情報の提供、あるいは商店街独自の情報システム化によって商品の全国販売を目指すなど、全国の生産地や業者とのネットワークの構築を模索するEコマースの展開などであります。都は、これらを可能とするための人材の育成、講習会の開催、マニュアルの提供など、側面的支援を講ずるべきと考えます。
 さらに、情報通信機器の活用は販売促進に極めて重要と考えられます。都は、この具体化を図る商店街に対し、きめ細かな対応と支援をするべきと考えますが、あわせて所見を伺います。
 次に、東京産業交流展の開催についてであります。
 さまざまな業種、業態が一堂に会し、多様な交流を通じ、販路の拡大や技術の交流を行うとともに、人材の確保という領域にまで幅広いビジネスチャンスの拡大を目指す東京産業交流展は、これによる取引などの経済波及効果だけでも、第一回が約七億三千万円、第二回が約九億円に上り、参加企業の活性化と意欲の喚起には大きな効果があったといわれています。もとより、この事業に関連して雇用、就業機会が創出されたことも事実であります。
 都は、産業振興施策の中で、この交流展が果たしてきた役割をどのように認識しているのかお尋ねします。あわせて、都が厳しい財政状況にあることは認識しつつ、産業交流展を継続していくことの重要性にかんがみ、この際、ぜひ第三回の実現を図られるよう強く要望するものであります。
 次に、福祉改革ビジョンについて伺います。
 都は、昨年十二月、福祉改革ビジョンを策定し、行政が決定する福祉から、都民がみずから選択し、利用する福祉への転換の道筋を明らかにしました。平成十二年度の福祉予算は、このビジョン実現に向けた初年度の予算として編成され、施策見直しによって生み出された財源を上回る事業の増加を実現したのであります。
 しかしながら、福祉改革ビジョンを完全に達成するためには、現在のサービス水準を短期間に、質、量ともに十分なレベルアップを図らなければなりません。そのためには、まず事業計画を策定するとともに、そしてその計画実行のための方針書を早期にまとめ、これに基づき直ちに行動を開始し、都民福祉の向上に努めるべきであります。知事の所見を伺います。
 第二に、福祉改革ビジョンの都民への周知についてであります。
 これまでも都は、福祉についてのリーフレットを七十万部発行し、また、四百六十万部発行する「広報東京都」を通じてさまざまな広報活動を図ってきたことは承知しておりますが、広報の仕方に工夫が必要であります。都政を定期的に広報するテレビ番組、インターネットを通じたホームページの活用等なども含め、福祉改革ビジョンの実行によって、どこがどのようによくなるのか、目に見えて実感できる形で都民に明らかにすべきであります。所見を伺います。
 第三に、福祉サービスの苦情対応の仕組みについてであります。
 今回の社会福祉事業法の抜本改正において、国及び地方公共団体は、福祉サービスを提供する体制の確保や福祉サービスの適切な利用の推進に関する施策を行う責務があることを明らかにしており、真に利用者本位の福祉制度を確立するためには、情報提供、利用者援助、苦情の解決などの新しい仕組みづくりを急がなければなりません。
 利用者にとって、どの事業者が質のよいサービスが提供できるのか、極めて関心があるところであります。事業者がみずからサービスの質について評価を行うとのことでありますが、むしろ第三者の客観的な目でサービス評価を行い、公表することが必要不可欠であります。同様のことは、在宅サービスの充実がより求められていることを考えれば、早急に通所施設などの在宅サービスにも拡大すべきと考えます。所見を伺います。
 次に、介護保険制度について伺います。
 介護保険がスタートしてから三カ月が経過しました。この間、認定のあり方、サービス供給や利用者負担の問題が改めて浮き彫りになり、我が党が指摘してきたとおり、この制度が十分に理解されないままスタートした感が否めません。
 現実には、介護サービスの利用者及び提供者双方にとって満足のいくサービスができない実情にあり、一日も早く安心してサービスを利用できるようにすることが不可欠であります。
 そこで何点か伺います。
 第一に、サービスを提供する民間事業者の質の確保についてであります。
 都は、悪質な事業者に対応するため、介護保険実施にあわせ、四月から事業者の指導検査体制の強化を図ったとしておりますが、一度や二度現場を見た程度では、適切な指導、検査はできないと考えます。どのような考え方で実施するつもりなのか、具体的にお伺いします。
 第二に、介護予防の取り組みについて伺います。
 都内の要介護認定の申請者は二十万人を超えていますが、そのうち自立と判定された方は三・七%、約七千人にもなります。こうした要介護者だけではなく、介護保険の対象とならない方々を地域の中で支える施策が重要であります。国が行った特別対策では、介護予防や生活支援事業などの充実が図られておりますが、都の取り組み状況について伺います。
 また、介護予防については、現行制度のままでは、デイサービスやショートステイなどの施設利用ができず、ひとり暮らしの高齢者にとっては孤独感が大きくなり、痴呆症の原因にもなるといわれています。我が党が主張している生きがいデイサービスなど、施設利用を含め、早急に介護予防策の充実を図るべきと考えますが、所見を伺います。
 第三に、介護保険制度は、従来の仕組みを抜本的に変える大事業であります。国では、よりよい介護保険に育てる会を設置し、制度の充実に努めています。都のレベルにおいても、介護保険制度の充実を図るためには、関係者の意見のみではなく、サービスを利用する立場の人に十分配慮した検討会を設置することが有効と考えますが、所見を伺います。
 次に、医療改革について伺います。
 知事は、今日の医療における課題として、透明性、信頼性、効率性の三つの不足を挙げ、これを克服するための改革の方針として、開かれた医療、安心できる医療、むだのない医療を実現すると述べております。今や、医療改革の問題は医療機関の努力だけに期待するのではなく、行政が明確な方針を示し、総合的な改革に取り組んでいくことが必要であり、知事が打ち出した東京発の医療改革はまさに時宜を得たものであります。
 そこで伺います。
 第一に、医療改革の中で、知事が目指す将来像の一つに挙げている患者中心の医療とはどのような医療なのか、所見を伺います。
 第二に、今回の医療改革における注目すべき取り組みの一つである患者の声相談窓口の設置についてであります。
 行政がこのような取り組みを本格的に行うのは、恐らく都が初めてではないでしょうか。患者の声相談窓口では具体的にどのようなことをするのか、また、患者の声を行政としてどのように活用していくのか、所見を伺います。
 第三に、東京ERについてであります。
 東京の医療の将来像として、三百六十五日二十四時間の安心を保障する医療が挙げられ、あらゆる救急患者に対応できる総合救急診療科、いわゆる東京ERを広尾、墨東、府中の都立三病院に整備することを明らかにしております。この東京ERでは、どのような考え方で診療体制を整備していくのか、所見を伺います。
 第四に、都立病院の役割や病院の再編整備についてであります。
 医療を取り巻く社会環境が大きく変化していく中で、都立病院も変革を求められていることは、我が党も十分承知しております。しかしながら、都立病院は、一般の医療機関では取り組みにくい難病医療、周産期医療、感染症医療、あるいは小児医療などにおいて大きな役割を果たしていることも事実であります。都立病院の改革を進めるに当たり、知事は東京の医療における都立病院の役割をどのように認識されているのか。
 また、都立病院の再編整備の検討をする都立病院改革懇談会の設置に当たっては、幅広い分野から委員を選考し、さまざまな視点から議論を深めていくことが重要であります。都立病院改革懇談会においては、どのようなスタンスで再編整備を議論するのか、あわせて所見を伺います。
 なお、この際、都民の立場に立った行政評価を行い、検討過程を広く都民に情報を公開し、意見を聞きながら進行していくといった手法を駆使していくことが、都民から信頼される医療体制の構築に不可欠であることを申し添えておきます。
 次に、エイズ対策について伺います。
 我が国のエイズ患者、HIV感染者は平成十一年、過去最高の八百三十人に上り、全国的に増加し続けており、東京都においても過去最多の三百十五人で、平成十年度の約一・五倍となっており、感染の広がりが懸念されております。
 このような状況の中で、エイズ治療については、東京都がエイズ対策基本方針を策定した平成四年当時に比べ、ここ二、三年の間にHIV薬が次々に開発され、治療方法が飛躍的に進歩し、HIV感染者が社会生活を続けられる期間が長くなるとともに、取り組むべきは、偏見や差別を受けることなく医療機関で受診できる体制づくりであります。
 そこで伺います。
 第一に、エイズ診療体制について、都は、HIV感染者治療の中核となるエイズ診療協力病院の指定を進めていますが、HIV感染者が増加している状況を見ると、協力病院と歯科診療所を含めた一般医療機関とのネットワーク化を図るべきであります。
 第二に、感染拡大防止の観点から、衛生局のホームページの活用などの普及啓発により、積極的に取り組むべきであります。
 第三に、エイズ・ピア・エデュケーションの実施に取り組むべきであります。
 HIV感染者が増加し続け、とりわけ二十代が感染者の三分の一以上を占めている状況から、青少年に対する普及啓発は極めて重要であります。厚生省の研究事業で実施している、同世代が一緒になってエイズの問題を考えるエイズ・ピア・エデュケーションの手法を取り入れ、青少年がエイズを含む感染症からみずからを守る力を育て、適切な行動がとれるようにすべきであります。
 以上、三点について所見を伺います。
 次に、東京の都市づくりのあり方に関連して伺います。
 知事は、本定例会の発言で、環状メガロポリス構造とも呼ぶべき新しい東京の都市構造を目指して、二十一世紀に向けた東京の都市づくりを積極的に展開すると述べています。
 この環状メガロポリス構造は、都市計画審議会に設置された都市づくり調査特別委員会が五月末に取りまとめた中間のまとめを踏まえたものと受けとめていますが、この新しい都市構造を受けて、これまで二十年間、東京が目指してきた多心型都市づくりを都としてどのように転換していくのか、知事の所見を伺います。
 第二に、この中間のまとめでは、都市づくりの基本的な取り組み姿勢として三つの事項を提起し、その一つとして主体性のある都市づくりを挙げ、都市づくりにおいて都が果たす役割について述べています。
 地方分権の大きな流れに沿って、まちづくりの主体として区市町村が重視されるようになるとともに、身近なまちづくりについて、住民みずからが主体的に参加しようとする動きが広がっている状況の中で、都は、今後の都市づくりにおいてどのような役割を担っていくべきと考えているのか伺います。
 第三に、東京が目指すべき新しい都市構造を構築するためには、戦略的取り組みを明らかにし、その実現を強力に図る必要があるとして、ゾーン区分に即した十三の戦略と機能別、分野別の戦略を示しております。
 これまでの都市づくりを振り返ってみると、まだまだ大きな課題が残されているように思えるのですが、さらに新たな戦略を進めるとなると、従来の制度や整備手法で推進できるか危惧されます。このため、今後の都市づくりを推進するに当たっては、従来の制度や仕組みにとらわれない取り組みが必要と考えますが、都として今後どのように対応していくのか、お伺いします。
 第四に、さきの通常国会においては、我が党が取り組んできた循環型社会形成推進基本法は、民主党が反対したものの、時代の要請に基づき成立いたしました。この法律は、ごみの発生を抑制することを最優先し、生産者に対し製品の一部の回収責任を求めるなど、大量消費社会から循環型社会への転換を目指していく基本理念を定めた法律であります。あわせて、廃棄物処理法や再生資源利用促進法の改正、建設資材リサイクル法など関連法の整備も行われました。これによって、環境立国といわれていたドイツを超えた法整備が確立されました。これらの法律を礎に、西暦二〇〇〇年を循環型社会元年としていかなくてはなりません。
 東京都は、二十一世紀の都の廃棄物・リサイクル対策に向けて、どのような取り組みを行っていくのか、知事の積極的な答弁を伺います。
 環境問題と関連して、臨海地域における環境保全についてであります。
 東京臨海地域は、二十一世紀の東京及び首都圏の発展を支える重要なエリアであり、臨海副都心開発を初め、現在計画されている各種の開発整備事業を今後とも着実に進め、都民生活の向上と東京の経済の再生を積極的に図っていく必要があります。一方で、臨海地域は、都民が憩い、親しむことのできる貴重な空間でもあり、水辺環境の回復、保全策を講じていくことも、行政の重要な責務であると考えます。
 環境に配慮した水辺空間の創出は、今後も防潮堤や護岸など既存施設の改修に当たっても積極的に行っていくべきであります。このため、都は厳しい財政状況を勘案し、国に対し新たな国庫補助制度の創設を求めるなど、創意工夫を凝らした新たな取り組みを行うべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、心の東京革命について伺います。
 最近、少年犯罪の低年齢化、学級崩壊やいじめなど、これらの現象は単にキレる子どもなどという言葉では片づけられない、日本の将来社会をも脅かす深刻な問題であります。
 こうした中で、知事が提唱した心の東京革命は、まさしくこのような問題に対し本格的な取り組みを始めたものであり、知事のリーダーシップを大いに期待するものであります。昨年発表した推進に向けた取り組み方向素案は、都民の反響として、賛意を示すものが多かったとも聞いております。
 間もなく発表する行動プランは、現在の危機的状況を敢然と打破するインパクトのあるものと期待するものですが、心の東京革命にかける知事の決意と、広範な都民が具体的に行動を起こし実践していくための具体策をどう考えておられるか、伺います。
 第二に、家庭、学校、地域を挙げて取り組むことが重要であり、そのことは大人たちの責務であると考えますが、その推進に当たっては、何よりも教育行政を担う都教育委員会の積極的な取り組みが必要であると考えます。子どもを取り巻く環境についてどのように認識し、さらに、これまで学校現場などの教育関係者への働きかけと、これに対し関係者の方々はどのように受けとめておられるのか、教育長に伺います。
 第三に、子どもの健全育成については、従前からさまざまな施策を展開してきておりますが、その努力にもかかわらず、一向に改善されていない状況であります。心の東京革命を推進するためには、家庭や学校などがそれぞれの役割を十分認識して行動することが必要であります。しつけは、まず家庭の責任であり、学校に任せきりにしたり責任を転嫁することは言語道断であります。学校も、毅然とした態度で家庭や子どもたちに接するべきであります。教育長の所見を伺います。
 次に、教育問題について伺います。
 卒業式で国旗掲揚をめぐり、生徒が校長に国旗をおろさせ、土下座を求める問題が起きた東京都国立市立第二小学校で、都教職員組合国立地区協議会に所属する教員らが、平成八年から四年間にわたり教室の一つを不法に占有し、組合の活動拠点としていたことが判明したのであります。
 我が党の調査によれば、教職員組合の約十人が三階の教室の一つを占有し、毎週二、三回の割合で平日の午後二時半から六時まで日常的に組合活動に使用し、教室のかぎは組合員が持ち歩き、校長ですら中に入れない状態で、室内にはコンピューターなどが備えられ、国旗・国歌に反対するのぼり等が置かれ、さらに電気代、光熱費などはすべて学校側が負担しておりました。
 学校の教室を外部の団体が利用する場合、公有財産の規則に従い、正式に届け出が必要でありますが、組合側はこうした手続を一切とらずに使用していたのであります。同校には空き教室は一切なく、パソコンルームや教育相談室に使用したい意向を持っており、校長は教室を明け渡すよう再三求めておりましたが、組合側はこれに応じず、拒否していたのであります。
 そこで伺います。
 第一に、東京都教育委員会として、教育財産が組合活動という目的外使用されてきた状況について、法に照らして適法なのかどうか、その判断をまず伺います。
 第二に、同校の事例は国立第二小学校に限らず、ほかにも教育施設が不正使用されている実例があると報告されておりますが、その現状と都教委の対処について伺います。
 なお、この際、都内の教育施設の総点検を実施すべきであります。所見を伺います。
 第三に、職員が勤務時間中に給与を受けながら行うことのできる組合活動についてであります。
 公務員は、勤務時間中に職員団体の業務に従事することは原則として禁止されています。しかしながら、地方公務員法が職員の団結権を保障し、その交渉権を尊重すべきものとしているところから、例外的に職務専念義務を免除して、勤務時間中に職員団体のための業務に従事することを認めているのであります。
 国立第二小学校における勤務時間内の組合活動は、同組合の発行している支部ニュースなどを見ても明らかなように、日の丸反対、君が代反対、日米ガイドライン反対などの議論の経過に照らして、職務専念義務を免除されている組合活動の範囲をはるかに逸脱した政治活動そのものであります。また、手続的にも大いに疑義のあるところであります。
 都教委として、勤務時間内組合活動に対しては、今後厳正にチェックすべきであると考えますが、その基本認識と是正策を伺います。さらに、あわせて今回の事件について、東京の教育改革を進める立場から、石原知事の所見と今後の再発防止策について伺います。
 次に、多発する外国人による犯罪について伺います。
 東京が国際都市として発展する以上、外国人の往来は当然のこととして歓迎されることでありますが、その一方で、昨今、都民の生命、財産や安全を脅かす外国人による犯罪が新聞紙上をにぎわしており、その対策は急務であります。
 最近では、身の代金目的の誘拐や強盗のほかに、ピッキングといわれる特殊な工具を使ってかぎをあける新手の窃盗事件が相次いでおり、昨年一年間では六千件を超え、これは五年前の八十倍にも上る驚異的な発生件数であります。こうした従来には考えられない手口や犯罪の凶悪化によって、警視庁の対応には相当の苦労が伴っているものと推察しております。
 そこで、都民生活の安全を守る視点から伺います。
 第一に、最近の外国人による犯罪の特徴的な傾向と検挙状況。第二に、不法滞在者による犯罪が多発しているといわれていますが、不法滞在者に対する取り締まりにどう対処されているのか。第三に、薬物犯罪にも外国人が深くかかわっていますが、これは青少年の生命をむしばむ最も憎むべき犯罪であり、どのような対策をとっているのか。以上三点についてお尋ねするとともに、こうした外国人による犯罪に対する警視庁の今後の具体的な取り組みと知事の所見を伺います。
 最後に、東京外郭環状道路について伺います。
 東京の交通渋滞の大きな原因の一つに、通過交通の多さが挙げられます。例えば、区部を通過する交通が一日約三十五万台にも上るといわれており、都心部を中心とする交通渋滞の解消を図っていくためには、これらの交通を迂回、分散させる広域的な環状道路の整備が不可欠であります。
 東京外郭環状道路、いわゆる外環は、いまだ練馬区の大泉でとまったままであり、このため、幹線道路や生活道路に車があふれ、深刻な事態となっています。
 さて、知事は昨年十月、練馬区内と武蔵野市内の外環の現地視察を行い、さらに、十二月の第四回都議会定例会の所信表明で、外環については地域環境の保全やまちづくりの観点から、自動車専用部の地下化を基本として計画の具体化に取り組むと発言されておりますが、改めて知事の外環整備に対する基本姿勢を伺います。
 第二に、私は、知事の発言を契機に外環の計画が進展することを強く望むものでありますが、その後、外環計画の具体化に向けて都はどのような取り組みをしてきたのか、また、今後どのようなことに重点を置いて取り組んでいくのか、あわせて伺います。
 第三に、外環の地下化を基本とするということは、今後地元との合意形成を図る上で極めて重要であると考えますが、同時に、外環を地下にしたときの地上部のまちづくりをどうしていくのかということも、地元の合意を得ていく上で大変重要なことであると考えますが、都はどのように取り組んでいくのかを伺い、私の代表質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 石川芳昭議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、三宅島への災害対応についてでありますが、何しろこの日本という国土は世界有数の火山帯、ファイアリングの上にあるものでありまして、こういった災害は本当に後を絶たないといううらみがございます。
 私は、現地を訪問して、避難されている方々の様子を見てまいりましたが、いずれにしろ被害に遭われた方々には、心からお見舞いを申し上げます。
 緊急火山情報を受けまして、人命を守ることを第一に、直ちに副知事を現地に派遣しまして、状況を見きわめた上で災害対策本部を設置し、万全も期しました。
 今回の災害対応では、自衛隊、海上保安庁、警視庁及び東京消防庁などと連携して、人員や物資の搬送、提供が極めて迅速、効果的に行われたと思っております。関係各位に心から感謝申し上げますが、引き続き発生しました神津島の地震に対しましても、三宅島同様に対処できたと思っております。
 今回の経験を踏まえて、今後とも危機管理意識を都庁全体で持ちまして、災害対策を強化していきたいと思っております。
 次いで、財政構造改革に向けた基本的な考え方についてでありますが、これは本当にご指摘のとおり、まだまだ来年度においても巨額の財源不足が見込まれておりまして、外形標準は何とか実現できると思いますが、それに加えての妙手がなかなかございません。本当にことしもまた四苦八苦しての予算編成になると思いますけれども、いずれにしろ財政再建に向けた道のりはまだまだ極めて遠いという実感を持っております。
 そのために、今後とも定数削減や、特に監理団体への財政支出の見直しなど厳しい内部努力を、議会の協力も受けて行っていきたいと思いますし、施策の見直しや財政制度の改善を図り、さらなる財政構造の改革の推進に向けて全力で取り組んでいきたいと思っております。
 次いで、財源移譲についてでありますが、現在の国の財政状況を見ますと、その早期の実現は決して容易ではございません。しかし、幾ら名文句でうたいましても、地方分権統一法、結構でありますが、繰り返して申しますけれども、地方税源の充実確保なしには、とても地方の主権など確立はできません。
 この問題については、先般立ち上げました東京都の税制調査会において、具体的な税源移譲のシナリオを提示していただきまして、それを国に取り次ぎ、かつ議会と力を合わせて、とにかく強引に実現をしたいと思っております。その際、またひとつ存分なご協力を賜りたいと思っておりますし、また、東京だけの問題ではございませんから、横の連帯をとりまして、全国の地方自治体と連携をとりながら、政府にいい意味での圧力をかけていかねばならぬと思っております。
 次いで、財政制度の改革に向けた取り組みについてでありますが、現行の地方税財政制度はさまざまな問題を抱えております。このために、今回の国の政策及び予算に対する提案要求においても、ご指摘の国の直轄事業負担金、これはまことに一方的なけしからぬ制度でありまして、国がどこで事業をやろうと結構でありますが、しかし、何の相談もなしに、ここでこれをやるから半分金出せみたいな話であって、こういう何というんですか、お上にすべて任せて後をくっついていくようなシステムというのは、やっぱり変えなくちゃいかぬと思いますけれども、こういう制度の改善等を最重点事項として取り上げ、東京都としても取り組みを開始いたしました。
 今後も、引き続き税財政制度の改善に向けて問題点を洗い出すとともに、都議会や都民の理解と協力を得ながら、改革のためのボール――デッドボールは投げるつもりはありませんが、ビーンボールぐらいは投げて国を動かしていきたいと思っております。
 次いで、福祉改革ビジョンの具体化でありますが、福祉改革は、措置から契約への転換という本質的な変革期にありまして、都民がみずから選択し利用する新しい福祉の実現を目指すものであります。そのための指針として、昨年十二月、福祉改革ビジョンを発表いたしました。
 福祉改革を一つの製品に例えますならば、ビジョンはいわば青写真でありまして、これを実行に移して製品をつくるためには、実は生産計画書というんでしょうか、そういうものが必要であります。
 そこで今後、年内を目途に、この生産計画書に当たる福祉改革推進プランを策定し、これに基づき、区市町村と緊密に連携しながら、新しい福祉の実現を東京から実現、成就していく努力をしたいと思っております。
 いろいろなご意見もありますが、バウチャー制とか、いろんなアイデアがありますけれども、またひとつ議会の方からも、何といっても現場に精通された議員諸兄でありますから、この制度の中で都民がどういう便、不便を味わっているかという、そういう情報も提供していただきまして、力を合わせて新しい福祉というものの実現を遂げていきたいと思っております。
 次いで、患者中心の医療についてでありますが、先ほど申しましたけれども、どうも日本の医療は、よらしむべし知らしむべからざるで、何か病院に入ったときから全部医者に命を預けて、そういう何か非常に心もとない体制というのが、陰に陽に通じているような気がいたします。
 医療は、患者や家族の悩みや痛みを理解して、直面する健康危機や不安を取り除くものであります。また、そのためにも、患者中心の医療とは、医療はサービス業であるという認識のもとに、患者自身が主体的に選択もできるサービスとして提供されるべきだと思っております。
 このためには、患者に十分な情報が提供されることが必要でありまして、自分が何の病気にかかったかわからないままで、医者にあてがわれる薬をやみくもに飲むというのはおかしな話でありますから、やはり患者が納得の上で治療方法を選択できるように、医療情報の開示やインフォームド・コンセントの推進を図るとともに、いつでも、だれでも、すぐに症状に応じた医療を受けられる体制を確保したいと思っております。
 次いで、都立病院の役割でありますけれども、都立病院はこれまで、一般医療機関では対応が非常に難しい特殊な病気、がんであるとか、リハビリテーション、あるいは伝染病などの専門医療及び救急医療などの行政的医療を都内全域に提供することを基本的な役割として運営をしてまいりました。
 また、地域の医療機関から紹介された患者の受け入れや救急病床の確保など、地域医療の支援にも努めてまいりました。
 そういうものを踏まえて、今後は、時代のニーズにこたえるべき医療環境の変化を見据えて、都立病院の役割や医療機能を検証して、都立病院の再編整備を行っていきたいと思っております。
 次いで、いわゆる多心型都市づくりの転換でありますが、これはわかるようでわかりにくい言葉で、実際に多心型の都市構造というものを今まで造成してまいりましたが、これは一応でき上がってまいりました。
 ただ、やっぱり東京を中心にした首都圏というものは、どんどんどんどん発展していますし、時代のいろんな要請もあります。ですから、既存の多心型都市構造というものを、何というんでしょうか、一つのさらに核にして、それを大きく取り囲む、そういったもっと広範囲な東京圏全体で首都機能を担い続けるためのそういう都市の構造、それに伴った業務機能だけではなくて、居住、物流、文化、観光など多様な機能を備えた魅力のある国際都市東京の再生を図っていくことが必要だと思っております。
 そのために、東京圏全体を視野に入れた、そのセンターコアとなるべき首都心しんというんでしょうか、それを形成して、それを包み込むような環状方向の地域連帯、つまり七都県市ーー私が再三申しておりますように、首都機能というものを分担している、東京に限らず、神奈川、千葉、埼玉、そこに存在する政令指定都市、そういったものを抱合した環状メガロポリスの構造というものを東京から目指していきたいと思っております。
 次いで、二十一世紀の東京都の廃棄物・リサイクル対策についてでありますが、多量生産、多量消費の社会は、多量の廃棄物を当然発生させるわけでありまして、エネルギーの浪費と環境への負担をますます増大させております。
 循環型社会形成推進法は、できたばかりでありますが、都が従来から求めてきたように、発生抑制を最優先とする基本原則を打ち出すとともに、事業者がみずから生産した製品を回収してリサイクルするという拡大生産者責任の考えを取り入れるなど、多量生産、多量消費社会の変革の道筋を示したものと受けとめております。
 既に東京の都下でも、八丈島のように、非常に限られた小島でありますが、あそこではデポジットシステムというものを採用して非常にうまくいっておりますが、あれはサイズの限られた島でありまして、本当は日本の社会全体がこれを取り入れて、こういう形でやはり循環型の社会というものを推進していく必要があると思っております。
 今回の一連の法整備を踏まえまして、東京都は生産、流通の段階にまでさかのぼった総合的な廃棄物・リサイクル対策を明らかにし、必要な場合には、廃棄物条例の改正を検討していきたいと思っております。
 次いで、環境に配慮した水辺空間の創出についてでありますが、東京臨海地域の開発整備においては、これまでも環境に十分配慮し、都民が憩い、親しめる水辺の空間の創出に努めてまいりました。
 今後の整備に当たっても、引き続き環境との調和を考えまして、その内容については、現在策定中の臨海地域の新たな整備方針の中で明らかにしたいと思っております。
 ご指摘の防潮堤や護岸の改修に当たっても、緩傾斜護岸など環境に配慮した整備を一層進める必要がありまして、新たな補助制度の創設を国に働きかけるなど、積極的な取り組みを行っていきたいと思っております。
 次いで、心の東京革命にかける決意と実践していくための具体策でありますが、心の東京革命を社会的な運動にしていくためには、都民を初め、学校や地域の各種団体などと一緒になった行動が必要であります。今後とも、継続的に取り組んでいきたいと思っております。
 行動プラン発表後、地域で子どもたちの育成に携わっている団体の方々を初め、広く都民の参加を呼びかけ、ことしの秋を目途に大規模な都民集会やシンポジウムを開催するほか、先ほど申しましたが、学校と地域が連携して行う職業体験を推進するなど、積極的に社会全体でムーブメントを展開していきたいと思っております。
 さきの予算委員会で公明党の議員からご発言がありまして、逆にこちらから、要するに関心がおありなら、ぜひ政党の方からも具体的に何をやるかということをひとつ建言していただきたいと、宿題を出させていただきましたので、間もなく解答があると思いますが、そういうものをみんな多岐にわたって考えて、やっぱり実際にやりやすいことからやっていくということが必要じゃないかと思うんです。
 例えば子どもを、他人の子どもをしかる癖をおとなが持つ、子どもにもしかられる癖をつけるということも私は必要じゃないかと思いますし、そういった私たちの生活の中にすぐ溶け込んで、日々生活の中のルーチンワークとして実際に行うことのできるような、そういう具体案をぜひ衆知を集めてつくっていきたいと思っております。
 それから、学校における違法な時間内組合活動についてでありますが、違法を省みない人間が教育をする資格は私はないと思います。社会の基本的なルールを守ることや、個性、創造性を伸ばしていけるような教育改革を進めてまいりたいと思いますが、教育改革に先頭に立って取り組まなくてはならない教員が、教室を組合事務室として不法に占有したり、ルールを外れて組合活動を行うことはとても許されないことであります。東京全体を調査いたしまして、こうした違法行為は断固として取り締まります。
 次いで、外国人犯罪についてでありますが、ことし二月の第一回都議会定例会での警視総監からの治安状況報告にあったように、最近、組織化された来日外国人犯罪の凶悪化傾向が顕著に認められております。また、国内の暴力団などと結びついて、銃や薬物の密輸、密売に関与していることも多々ございまして、多くの都民はこのような状況に対して不安を感じ、これらの取り締まりを強く望んでおります。
 都民生活の不安を除き、特に安全を確保することは、都知事としての基本的な責任であると認識しております。
 今後とも、日本人によるものか外国人によるものかにかかわらず、犯罪の防止に努め、これまで同様、世界の他の大都市に比べて、犯罪の少ない、安全で魅力のある首都東京を目指すことが肝要と思っております。
 ちなみに、関係者から聞きましたが、府中の刑務所のキャパシティーは二千人だそうでありまして、これは初犯の人は入らずに、犯罪を重ねたかなりたちの悪いというんでしょうか、犯罪者が収容されているようですが、この全員の二千人のうち四百人が外国人であるということは、私はこれはやっぱり一つの大きな重要な指数であると思います。
 次いで、外環整備に関する基本姿勢についてでありますが、東京の外郭環状道路は、不足している環状方向の道路を整備することによって、バランスのとれた広域的なネットワークを形成するものでありまして、これは東京だけではなしに、東京を中心にした、先ほど申しました大きな首都圏全体の発展にとって極めて重要というか、致命的な私は路線であると思います。
 その整備に当たっては、地域の生活に十分配慮するとともに、まちづくりとの調和を図っていくことが必要であると思います。多少金はかかるかもしれませんが、私は、これは必ず費用対効果で大きな大きなメリットをもたらす大事な事業だと心得ております。
 計画の早い段階から、地元区市や地域住民を初め幅広く意見を聞くなど、前例にとらわれない新しい取り組みを積極的に行います。早期に計画の具体化が図られるように努力したいと思っております。
 その他の質問については、警視総監、東京都技監及び関係局長から答弁いたします。
   〔警視総監野田健君登壇〕

○警視総監(野田健君) 最近の外国人犯罪に関するご質問にお答えいたします。
 警視庁では、本年一月から五月までに、二千八百五十件、千七百五十三人の来日外国人犯罪を検挙いたしました。これは、昨年の同時期と比較して、七十八件、三十一人の増加となっております。来日外国人犯罪の多発傾向が続いているという状況にあり、検挙した被疑者の内訳で見ますと、刑法犯が七百六十六人、特別法犯が九百八十七人という状況であります。
 特徴的な傾向としては、刑法犯のうち凶悪犯の検挙人員が四十六人と、八人、約二一%増加しております。その内訳も、議員からご指摘のあった、ピッキングと呼ばれる錠をあけるための特殊な工具を使用する形態の窃盗犯人グループが、犯行の途中で帰宅した被害者を縛り上げ金品を強奪するという強盗事件が連続発生したほか、新宿区歌舞伎町のディスコ店内におけるけん銃使用殺人未遂事件など、犯行の凶悪性が目立っております。
 また、ピッキング使用による窃盗はもとより、クレジットカード等の偽造、行使や、旅券、外国人登録証、運転免許証の偽造、覚せい剤等の薬物事犯、さらには変造外国通貨による自動販売機荒らしなど、国際犯罪組織を背景とし、犯罪行為によって莫大な収益を上げるために、罪種を問わず多種多様の犯罪が実行されており、その犯行手口もますます巧妙化しつつあることがうかがわれます。
 次に、不法滞在者の取り締まりについてであります。
 本年五月までに刑法犯で検挙した来日外国人七百六十六人の在留資格を見ますと、約二九%に当たる二百二十一人が不法残留の外国人ないし密入国等不法入国の外国人であります。国際犯罪組織を介して、これらの不法滞在者が各種犯罪の実行に加担している実態がうかがわれます。
 こうした情勢にかんがみまして、当庁では、蛇頭等の組織的密入国関連事犯の徹底捜査とあわせて、不法滞在者の取り締まりを進め、本年は五月までに、出入国管理及び難民認定法違反で八百九人を検挙いたしました。
 また、このほかにも、法務省入国管理局との合同摘発を初め、関係機関との連携のもと、六月末までに、昨年同期の約三倍に当たる五百八十三人の不法滞在者を摘発したところであります。
 次に、薬物犯罪についてであります。
 警視庁では、覚せい剤や麻薬等の薬物乱用は治安の根幹を揺るがしかねない問題であるとの認識のもとに、総力を挙げてこの種事犯の取り締まりに当たっているところであり
ます。
 昨年は、全国で過去十年分の押収量に匹敵する約二千キログラム、そのうち警視庁が五百キログラム強の覚せい剤を押収したところであります。他方で、これらの大量押収にもかかわりませず、末端価格が著しく上昇するというようなことがないという実態から、国内の薬物市場の巨大さがうかがわれるところであります。これらの密輸入には、国際犯罪組織が当然に関与しているほか、国内での販売に関しても、こうした組織や暴力団と結びついた外国人の関与が確認されております。
 当庁では、末端乱用者の大量検挙及び密輸・密売組織の根源に迫る捜査を強力に展開するとともに、薬物乱用防止教室の開催を初め、青少年層を中心とした薬物の需要根絶に向けた啓発活動等の諸対策を推進しているところであります。
 以上申し上げましたとおり、近年における外国人犯罪、国際組織犯罪の実態にかんがみますと、国際犯罪組織の壊滅を期した徹底取り締まりが、東京はもとより、我が国及び国際社会における当面の最重要の治安課題であると認識しております。
 警視庁といたしましては、平成九年以来強力に推進してまいりました国際組織犯罪特別対策のこれまでの成果を踏まえ、警察官増員の国への働きかけや外国人留置人増加に伴う留置施設の拡充等、取り締まり体制、施設及び装備資器材の一層の充実を図るとともに、引き続き全国警察及び関係各機関・団体、さらには外国治安機関等との連携のもとに、捜査及び諸対策に取り組んでまいりたいと考えております。
   〔東京都技監成戸寿彦君登壇〕

○東京都技監(成戸寿彦君) 都市計画に関します四点のご質問にお答えいたします。
 初めに、今後の都市づくりにおける都の役割についてでございますが、地方分権の時代を迎えて、まちづくりにおける区市町村の役割がますます重要となっていることはご指摘のとおりであります。
 こうした地域のまちづくりを支える上からも、東京のような大都市では、広域的視点に立った都市づくり政策を展開していくことが不可欠であると考えております。
 このため、都といたしましては、まず、都民と共有できる都市づくりビジョンを示すこと、また、その実現に向けて戦略的な都市づくりの取り組みを総合的に調整していくこと、さらに、根幹となる基盤施設を整備し、サービスを提供していくことなどの役割を担っていくべきであると考えております。
 次に、従来の制度や仕組みにとらわれない都市づくりの取り組みについてでございますが、中間のまとめでは、今後の都市づくりの推進に当たって、都は地域の立場に立った主体性を発揮して、従来の制度や仕組みにとらわれない変革的な取り組みを行っていく必要があるというふうにいたしております。
 都といたしましては、このような考え方を踏まえ、政策誘導型の都市づくりを展開する上で、例えば民間部門の積極的な参加と連携を促進するための既存制度の見直しでありますとか、新たな仕組みの創設、こういったことを積極的な検討を行ってまいりたいと考えております。
 外環に関するご質問が二点ございました。
 具体化に向けての取り組みについてでございますが、計画の具体化に当たりましては、地元との合意形成に努めることが重要であると考えております。そのため、まず、知事が現地視察をいたしました際に要望書等を受けた地元の団体に呼びかけを行いまして、昭和四十一年の都市計画決定以来初めての話し合いをことしの四月に開催いたしました。
 今後とも、地元団体との話し合いを精力的に行い、引き続き合意形成に努めてまいりたいと考えております。
 また、地下化を前提とした外環の基本的な構造につきまして、検討のたたき台となる案をできるだけ早く提案できるよう努力するなど、国と連携して計画の具体化に取り組んでまいります。
 最後に、外環地上部のまちづくりに対する取り組みについてでございますが、外環は、住宅地や商店街などの既成市街地を通過し、また、沿線には緑豊かな公園でありますとか崖線などがありますことから、その整備に当たりましては、地域環境との調和やまちづくりなどに十分配慮していく必要があると考えております。
 今後、地下化を前提とした外環の基本的な構造について、さらに話し合いをしていく必要がございますが、地上部のあり方を初めとするまちづくりにつきましては、地元区市などとも十分に調整を図ってまいります。
   〔総務局長横山洋吉君登壇〕

○総務局長(横山洋吉君) 災害対策にかかわります二点の質問にお答えします。
 まず、三宅島における今回の災害対策活動の教訓を生かした今後の対策についてでございますが、三宅島火山活動に際しまして、都は災害対策本部及び現地対策本部を設置しまして、三宅村や関係機関との連携協力に努め、情報収集、救援のための人員や物資の搬送・提供及び避難所支援など迅速な対応に全力を尽くしてまいりました。
 今後、今回の教訓を生かしまして、情報連絡、初動対応、地元自治体及び関係機関との連携等の改善につきまして、現在改定作業中の地域防災計画に反映しますとともに、防災訓練の実施などを通じ、災害対策の一層の充実を図ってまいります。
 次に、各局における改善点の取りまとめについてですが、今回の火山活動に対しまして、関係各局は、災害対策本部のもとに一体となって食料・生活物資の搬送・提供、医療活動及び給水活動など迅速に現地の支援活動を行ってまいりました。
 今後、各局が実施した具体的な支援内容、方法及び局間調整のあり方などについて検証しまして、火山活動対応等の総括を行い、その上で現体制における改善事項を取りまとめ、より一層の応急活動体制の充実強化を図ってまいります。
   〔労働経済局長大関東支夫君登壇〕

○労働経済局長(大関東支夫君) 九点のご質問にお答えいたします。
 まず、三宅島の火山活動に伴う中小企業災害復旧資金融資の実施についてでございます。
 東京都は、三宅島の火山活動の長期化予想により、中小企業者の事業活動に多大な影響が生ずるおそれがあるということから、中小企業者の不安を解消するために、制度融資の中で最も低金利である災害復旧資金融資を適用することとしたわけでございます。
 今後とも、現地の商工会や関係機関との連携を強化し、被災地における実情把握に努め、被災した中小企業者に対して的確な支援策を講じてまいります。
 次に、今回の空き庁舎の提供についてでございます。
 新たに業を起こすに当たりましては、資金面、オフィスの確保、あるいはマネジメントの面で大変苦労しているのが現状でございます。
 都といたしましては、空き庁舎を活用して無料でオフィスを提供し、あわせて資金面の相談やマネジメント等の支援を行い、一層の創業の促進とベンチャー企業の育成を図っていくこととし、今回、旧繊維工業試験場江東分場を活用し、十から二十平方メートルのオフィスを二十室程度提供することといたしました。
 現在、内部を改装中でございますが、今月中には入居企業の募集を開始し、外部委員を含む審査会を経て、九月を目途に開設してまいります。
 次に、中小企業等投資事業有限責任組合についてでございます。
 今回、都が国や民間と連携して設立を予定している有限責任組合の特徴は、創業初期段階の企業に重点を置いて投資すること、また、投資対象企業の健全な成長発展を図るため、組合が積極的に経営面に関与していく点にございます。
 都といたしましても、試験研究機関などの機能を活用して企業を支援してまいります。
 また、投資対象についてでございますが、今後成長が見込まれる情報通信、バイオ、福祉、環境などの有望分野を中心とする予定でございますが、近年の民間ベンチャーキャピタルなどに見られるような特定の投資分野に偏らないようにしてまいりたいと考えております。
 次に、有限責任組合の設立時期と企業への投資を開始する時期についてでございますが、現在、本年八月末を期限として業務執行組合員の募集を行っており、この応募状況を見きわめながら組合員の選定を行い、できるだけ早い時期に国や民間と連携を図り、組合を設立する考えでございます。
 また、投資の開始につきましては、組合の設立後、条件が整い次第、年内にも実行されるよう努めてまいります。
 次に、新たな商店街振興施策の展開についてでございます。
 長引く景気の低迷の中で、空き店舗の増加、経営者の高齢化や後継者不足など、商店街が対応すべき課題は深刻さを増してきております。
 商店街は、地域経済やコミュニティにおける中核的な存在であり、都としては、その活性化を図るため、活力ある商店街育成事業など、さまざまな施策を実施してまいりました。
 今後とも、商店街の活性化を図る意欲的な取り組みに対し、より効果的な支援を行うため、二十一世紀にふさわしい新たな施策を検討し、区市町村とも十分な連携を図りながら、商店街の活性化に努めてまいります。
 次に、二十一世紀商店街づくり振興プランの策定についてでございます。
 この振興プランを策定するため、まちづくり、情報通信技術、イベントなどの各分野の専門家のほか、NPOの代表者も加えた計十一名で構成する戦略委員会を設置し、五月に第一回委員会を開催したところでありまして、現在、精力的に検討を進めております。
 今後、地域のコミュニティにおいて商店街が取り組むべき戦略的活動や、商店街振興における区市町村の役割と都の支援のあり方などについて検討を進め、本年度内に結論を得たいと考えております。
 次に、商店街の情報技術革新への対応についてでございます。
 今日、急速に進む情報技術革新、いわゆるIT革命への対応のおくれが商店街の活力の衰退を招く一因ともなっており、商店街の活性化を図るためには、情報通信技術の活用を進めることが不可欠であると認識しております。このため、今後、区市町村や公共機関との連携を密にして、講習会の開催やノウハウ及びマニュアルの提供を行うなど、情報通信技術を活用できる人材の育成を図ってまいります。
 次に、商店街における情報通信機器の活用に対する支援についてでございます。
 インターネットなどの電子媒体による広報宣伝活動を展開していくことは、集客力を高め、販売促進を図る上で、今後効果的な手段となり得るものと認識しております。
 現在、都としては、商店街が情報通信機器の活用を図る具体的な取り組みについて、活力ある商店街育成事業により助成対象としております。また、今後策定予定の二十一世紀商店街づくり振興プランの中でも、その活用のあり方と効果的な支援策について検討してまいります。
 最後に、産業交流展が果たしてきた役割についてでございますが、現在の厳しい景気、雇用環境のもとで中小企業のすぐれた技術や製品を広く紹介し、新たなビジネスチャンスをつくっていくことは、産業の活性化と雇用の創出を実現する上で大変重要なことと考えております。
 そうした中で都は、産業交流展を過去二回開催し、昨年は四百六十九企業が出展、入場者も四万人以上となり、経済波及効果は約九億円と推計されており、有意義な成果を上げたと考えております。
 また、出展した企業のアンケートでも、その八割近くが継続を希望しており、中小企業からも業績の回復や雇用創出に役立っているとして一定の評価を得られたものと認識しております。
   〔高齢者施策推進室長福祉局長兼務神藤信之君登壇〕

○高齢者施策推進室長福祉局長兼務(神藤信之君) 最初に、災害要援護者への介護支援についてのご質問でございます。
 都は、寝たきり等の高齢者や障害者などの方々への災害対策推進のための指針を本年一月に作成し、区市町村に対して、災害時に備えた体制づくりを働きかけております。また、民間ボランティア団体等におきましては、災害時における、ボランティアによるさまざまな救援活動を行うためのネットワークづくりを進めているところでございます。
 しかし、ご指摘のように、災害発生直後の介護分野における緊急対応など、なお一層強化する必要があるため、ボランティアとの協働を含め、区市町村や関係団体と協力し、介護支援体制の整備について具体的に検討してまいります。
 次に、福祉改革に関してでございます。
 まず第一は、福祉施策の効果的な広報についてでございますが、都は現在、全力を挙げて福祉改革に取り組んでいるところであり、福祉施策に関する情報を積極的に広報することは、都民の理解と協力を得る上でもますます重要になっていると認識しております。
 したがいまして、これまで実施しております印刷物等による情報提供に加え、今後は、ご提案のテレビやインターネットなど多様な媒体を一層活用することによりまして、福祉の現状と将来について都民によく知っていただけるよう一層努力してまいります。
 次に、福祉サービスに対する評価事業についてでございますが、都民が選択し利用する福祉への転換を実現するためには、第三者によるサービス評価を、既に実施している入所施設に加えて、在宅福祉についても実施することが急務であると考えております。
 現在、外部の専門家などによる検討委員会で、保育所や障害者のための在宅サービスの評価方法や評価基準などの検討を行っておりますが、ご指摘を踏まえて、今年度から幾つかの区市町村においてモデル事業を実施できるよう準備を進めてまいります。
 今後とも、在宅サービス分野におけるサービス評価システムの確立と定着に積極的に取り組んでまいります。
 次に、介護保険に関しまして三点のお尋ねにお答えします。
 まず、事業者に対する指導検査についてでございますが、介護保険制度の実施に伴い、良質なサービスの提供と利用者保護の観点から、在宅サービスと施設サービスについて検査体制の充実強化を図りました。この体制のもと、事業者の育成を図ること、また、不正があった事業者等に対して、指定取り消し等を含めた厳正な措置をとることを方針に指導しているところでございます。
 今後とも、現地での実地指導を基本に、面接指導や講習会方式の集団指導等を実施するとともに、苦情等に対しては、保険者である区市町村や国民健康保険団体連合会などと十分に連携し、機動的に対処することにより、適正なサービス水準の確保を図ってまいります。
 次に、介護予防や生活支援事業などの都の取り組み状況についてでございますが、国は、自立の方々を対象とした生きがいデーなどの介護予防・生活支援事業を設けたところでございます。都は、高齢者いきいき事業を柔軟な包括事業として創設し、住宅のバリアフリー化や日常生活用具の給付など、国の補助ではカバーし得ない事業を対象とし、自立の方々にも対応を図っているところでございます。
 これらの事業は、区市町村からの反響も高く、期待度の高さがうかがわれる状況であり、ご指摘の趣旨を踏まえて、介護保険制度とともに高齢者福祉施策の重要な柱として育ててまいります。
 最後に、介護保険制度の充実のための検討会でございますが、介護保険制度においては、都は、財政面や制度運営面で区市町村を支援するなど、広域的な立場から制度を支えることになります。この役割を適切に果たし、制度の充実を図るためには、保険者である区市町村を初め、利用者である都民、サービス提供事業者などからの多様なご意見を伺うことが重要と認識しております。
 都は、これまでも利用者保護の仕組みづくりの検討委員会等を運営してきたところでございますが、さらにご提案についても有効な方法と考えられるので、今後具体的に検討してまいります。
   〔衛生局長今村皓一君登壇〕

○衛生局長(今村皓一君) まず、医療改革について三点のご質問にお答えします。
 初めに、患者の声相談窓口についてでございます。
 患者への情報不足や相次ぐ医療事故などにより、医療への信頼が揺らいでいる現状を踏まえ、行政として医療の信頼性を確保、向上させるため、積極的に取り組むものでございます。
 この窓口は、患者や家族が持つ都内の医療機関に対するさまざまな苦情や相談を受けとめる専門相談窓口であり、必要に応じて関係機関に関する情報提供を行うとともに、患者の声を病院等の指導にも反映させるなど、真に患者の立場に立った医療の質の向上を図るため、広く都民に広報をしながら活用を図ってまいりたいと考えております。
 次に、東京ERの診療体制についてでございますが、入院を必要としない軽度の救急患者から生命の危機を伴う重症の救急患者に至るまで、いつでも、だれでも、どんな症状にも適切に対応できる総合救急診療科を、救命救急センターを有する都立の三病院に整備するものであります。
 また、こうした取り組みを通じまして、現在の専門分化した医療だけでなく、総合的な視野を備えた医療従事者を育成して、医療サービスに対する意識改革を目指すものであります。
 次に、都立病院改革懇談会での検討についてでございますが、都民の医療ニーズの動向や少子高齢化など、医療を取り巻く環境の変化、民間医療機関との役割分担や連携のあり方などについて、ご指摘のように、都民の意見を反映させながら、幅広い観点から議論していただきたいと考えております。こうした議論の上で、今後の都立病院の担うべき役割や医療機能を明らかにするとともに、地域特性などにも配慮した都立病院全体の再編整備についてご提言していただく予定でございます。
 続けて、エイズ対策について三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、エイズ診療体制についてでございますが、都では、エイズ診療において総合的かつ高度な医療を提供する協力病院を五十三病院確保し、相互の連携を進めてまいりましたが、HIV感染者の増加に伴い、新たな医療体制を整備していく必要がございます。このため、今後は、HIV感染者が必要とする医療を身近な地域で安心して受けられるよう、ご指摘の点を踏まえ、エイズ診療協力病院と一般医療機関との連携を進めるとともに、患者、感染者からの要望の強い歯科診療所についてもネットワークづくりに取り組んでまいります。
 次に、感染拡大防止のための普及啓発についてであります。
 都では、これまでも啓発用ポスターやパンフレットの作成・配布、東京都エイズ予防月間におけるキャンペーンなどを実施してまいりました。今年度はさらに、正しい知識の普及が特に必要な青少年や、情報の入手が困難な外国人などに配慮しながら、衛生局ホームページを活用した情報の提供や、HIV抗体検査体制をわかりやすく周知するためのマップの作成・配布など、感染拡大防止のためにより効果的な普及啓発活動を実施してまいります。
 最後に、エイズ・ピア・エデュケーションの実施についてでございます。
 ご指摘のとおり、エイズの知識や教育技法に関する研修を受けたピア・エデュケーターが同世代の仲間と一緒にエイズのことを考える、この手法につきましては、有力な方策の一つであると認識しており、今後施策の具体化を図ってまいりたいと考えております。
   〔教育長中島元彦君登壇〕

○教育長(中島元彦君) 五点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、子どもを取り巻く環境についての認識と心の東京革命に対する教育関係者の受けとめ方についてでございますが、現代は、金銭的、物質的価値や権利意識の優先など、自己中心的な生き方が蔓延し、子どもは人として社会生活を行うためのルールを身につけにくい環境にあると認識しております。
 都教育委員会が、心の東京革命取り組み方向素案について、教育関係者を対象に行ったアンケート調査では、行政の取り組みに約九割の賛意がございました。また、具体的な取り組みとしては、職場体験やボランティア活動などの社会体験学習の推進、家庭でのしつけの徹底、親と子がともに学ぶ場の充実などを求める意見が多くございました。
 次に、心の東京革命の取り組みについてでございますが、心の東京革命は、学校が親や地域の人々に呼びかけ、大人がそれぞれの役割を果たすことでその成果を上げることができるものと考えております。そのためには、学校が地域に開かれるとともに、教員が子どもの教育やしつけについて親や地域の人々に積極的に働きかけるよう、意識を改革することが必要でございます。
 都教育委員会は、トライ&チャレンジふれあい月間や道徳授業公開講座を実施することを通じて、学校が親や地域の人々と協力し、子どもの社会性や道徳性をはぐくむ活動を推進してまいりました。今後とも、区市町村教育委員会と連携し、各学校の取り組みを積極的に支援するとともに、その活動を通じて教員の意識改革を図ってまいります。
 次に、国立市立第二小学校における教育財産の目的外使用についてでございます。
 ご指摘のように、国立市立第二小学校におきましては、正規の手続をとらずに職員団体が教室を占用し、校長が明け渡しを求めても容易に応じない状況がございましたが、本年六月になって明け渡しをさせたところでございます。
 学校施設の目的外使用の許可につきましては、施設の管理者である国立市教育委員会が判断することでございますが、都教育委員会といたしましては、このような使用の実態は、目的外使用として到底認めがたいものであると認識をしております。
 次に、教育施設の不正使用の現状と対処についてでございます。
 都立学校におきましては、昨年度行った調査の結果では、職員団体による教室等の不正使用の事例は見られませんでした。しかし、区市町村立学校におきましては、国立市の他の小学校でも不正使用が行われ、明け渡しをさせた事例が明らかになったところでございまして、今後このようなことが繰り返されることのないよう、職員団体による目的外使用の実態について、区市町村教育委員会を通じて調査を行ってまいります。
 次に、勤務時間内の組合活動に対する基本認識と是正策についてでございますが、都におきましては、勤務時間中に給与を受けながら行うことのできる職員団体活動について、職員団体のための職員の行為の制限の特例に関する条例に基づきまして、その範囲と手続を定め、これに基づく場合のみ認めることとしております。
 現在、国立市教育委員会を通じて、国立市立第二小学校における勤務時間内の職員団体活動の実態について調査を行っており、時間内の職員団体活動について、仮に条例で定める範囲を逸脱したり、正規の手続がとられていない場合があれば、厳正に対処いたします。

○副議長(五十嵐正君) この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
   午後六時三十二分休憩

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