平成十二年東京都議会会議録第八号

   午後三時四十五分開議

○副議長(五十嵐正君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 七十九番曽根はじめ君。
   〔七十九番曽根はじめ君登壇〕

○七十九番(曽根はじめ君) 日本共産党都議団を代表して、石原知事に質問いたします。
 初めに、火山活動で避難生活を余儀なくされた三宅島の皆さん、神津島で地震の不安に脅かされている皆さんに心からお見舞い申し上げます。また、島民の安全確保と災害復旧に携わっておられる関係者の皆さんに敬意を表するものであります。
 三宅島、神津島での災害復旧には多くの課題があり、都の支援が求められています。我が党は、両島に直ちに調査団を派遣いたしました。現地では、都道の復旧を急いでほしい、夏のシーズンを目前に、観光客が見込めず、民宿などの営業が立ち行かないという切実な声が寄せられています。被害を受けた道路、港湾の復旧を初め、住宅、営業の再建、特別融資など災害救助法に基づく都の積極的な支援策が待たれています。こうした課題に知事はどう取り組んでいくのか、所見を伺います。
 さて、さきの総選挙では、自民、公明、保守の政権与党が合わせて六十五議席減らし、比例代表の得票では、野党の五七%に対し、与党三党で四二%、東京ブロックでは三三%にとどまるなど、自公保政権と自民党政治に国民の厳しい審判が下されました。これは、大銀行、ゼネコンべったりで、国民の暮らしや国と地方の財政を破綻寸前に追いやり、あらゆる面で行き詰まった自民党政治を切りかえたいという国民の切実な願いの反映です。
 我が党は、消費税増税反対など公約の実現とともに、都政でも、景気対策や暮らし、社会保障の充実、公共事業の見直しなど、都民の願いに真摯にこたえる都政を実現するために全力を尽くすものです。
 まず初めに、未曾有の不況から都民の暮らしと営業を守る問題についてです。
 政府は先月、経済成長率が〇・五%に回復したとして、景気は回復しつつあると発表しました。これほど都民生活の実態からかけ離れた話はありません。東京都が四月に発表した昨年の生計分析調査では、都民の消費支出は、一九七三年の調査開始以来最悪のマイナス三・七%を記録、さらに、若干上向いたとはいえ、完全失業率は南関東で五・〇%で最悪の状況です。暮らし、営業、雇用、どの指標も東京が最も深刻であります。今都政に求められているのは、この都民生活の危機を打開するためにあらゆる手だてを尽くすということです。
 ところが、知事は所信表明で、都民の暮らし、営業という現実に解決が迫られている問題に東京都としてどう立ち向かうのか、一言も言及しませんでした。景気をよくし、経済を立て直すには、日本経済の六割を占める個人消費をどうふやすのか、そのために家計をどう応援するのかが決定的です。
 そこで、まず、景気回復の上で個人消費が果たす役割について知事がどう認識されているのか、伺います。
 個人消費の問題を考えるときに避けて通れないのが消費税問題です。自公保政権は、選挙の間は隠しておいて、選挙後の政府税制調査会で税率の引き上げを答申させようとしていますが、とんでもありません。消費税がいかに個人消費と景気を冷え込ませるかは、前回の五%への引き上げが、温まりつつあった景気を一気に冷え込ませたことで実証済みです。個人消費を冷え込ませ、庶民大増税となる消費税の引き上げに、都知事としてきっぱりと反対の意思を表明すべきと思いますが、見解を伺います。
 日本共産党は、暮らし、家計を応援する二つの経済改革、すなわち公共事業に五十兆円、社会保障に二十兆円という税金の使い方を改め、社会保障と暮らしを予算の主役に据えること、さらには、雇用、中小企業など、暮らしと権利を守るルールの確立を提案しました。
 東京においても、日産村山工場、三菱製紙中川工場など大型のリストラ、工場閉鎖が相次いでいます。国は先日、日産村山工場閉鎖の影響を受ける武蔵村山市、昭島市を、法に基づく緊急雇用対策地域に都内で初めて指定しましたが、それだけ深刻な事態になっているのであります。ヨーロッパでは大企業のリストラを規制するルールが確立しています。日本の企業も、現地ではそれらのルールに従っています。ヨーロッパでできることが、国内でできないはずがありません。
 知事、リストラを規制するための条例など、東京都としてルールをつくり、大企業に守らせることが必要とは思いませんか。答弁を求めます。
 フランスでは、不況になると、賃下げなしの時間短縮の実施で失業者の救済政策がとられています。逆に、日本では、不況になると首切りを進め、違法なサービス残業を横行させています。これではいつまでたっても景気は回復しません。サービス残業をなくし、その分の雇用をふやせば、都内だけでも六十二万人余りの仕事を生み出すことが可能です。
 知事は、法律に違反するサービス残業が野放しにされている現状についてどうお考えですか、お答えください。あわせて、都として、サービス残業をなくすために、国や経済界に積極的に働きかけることを要望しておきます。
 中小企業への支援も急がれています。我が党は、都内で六万軒の商店、工場などを訪問し、中小企業の置かれている現状をお聞きしました。共通して出された問題の一つが、大企業の横暴を野放しにし、地域経済を破壊する規制緩和を何とかしてほしい、中小企業、地元商店を守るルールを確立してほしいというものでした。六月の大店法廃止によって、このときとばかりに、ドン・キホーテなどディスカウント店が、地元商店、住民の反対を無視して出店する事例が相次いでいます。大店法にかわって制定された立地法は、環境面などから一定の規制を行うもので、その点では前進面もありますが、商業調整がなくなったこと、千平方メートル以下が対象外など抜け穴があり、わがまま勝手な進出が野放しになってしまいます。
 杉並など七区では、地元住民や商店などの要望に基づき、独自の条例や要綱を制定して対策を講じていますが、このような自主的な取り組みに対し、都が国の指示を受けて改善勧告などの圧力をかけようとしていることは、地方分権にも逆行する重大問題です。
 知事、区の自主的な条例などに干渉することは直ちにやめるべきです。むしろやるべきは、区市町村と協力して、地域経済を守るために全力を尽くすことではありませんか。見解を求めます。
 薬局、酒屋などの規制緩和も深刻です。国会でも薬剤師不在のチェーン店など問題となりましたが、地域経済への影響、消費者の安全上も、これらの規制緩和について再検討することを国に要望する考えはありませんか。答弁を求めます。
 中小企業の仕事確保についてです。
 これまで政府が景気対策と称して税金をつぎ込んできた大型公共事業が、結局、景気回復に役立たなかったことは明瞭です。大型開発中心では、大企業は潤っても、中小企業には役立ちません。住宅や福祉など生活密着型の場合は七、八割を中小企業が受注しているのに、例えば臨海副都心開発では、中小企業の受注はわずか七%にすぎません。このような浪費型の大型公共事業中心から生活密着型への転換こそが、中小企業の仕事をふやし、景気回復への近道となるのです。高齢者、障害者のための住宅改造やグループホーム、特別養護老人ホーム、ことし建設ゼロにしてしまった都営住宅の新規建設、公園、生活道路など生活密着型事業に切りかえるべきです。知事の答弁を求めます。
 次に、都政が全力を挙げて取り組むべき福祉、社会保障についてです。
 四月に介護保険が始まりましたが、我が党が指摘したとおり、深刻な問題が噴き出しています。従来のサービス水準が維持できなくなった人も少なくありません。利用料が高過ぎて払えず、必要なサービスが受けられない問題も切実です。都内のある介護支援事業所が利用者百七十九人について調べた結果、給付限度額をほぼ利用している人は六人のみで、九割以上の人がサービスの利用を控えていることがわかりました。平均では限度額のわずか三四%のサービスしか利用できていないのであります。他の調査でも同様の結果が出ています。森首相は、介護保険について、大きな混乱もなくスタートできたなどと国会で答弁しましたが、余りにも実態とかけ離れた認識であることは、実施から三カ月で一層明らかとなっています。
 安心して利用できる介護保険への改善は急務であります。ところが、石原知事は、所信表明で介護保険問題に一言も触れませんでした。都民が直面している大問題を一体どう考えているのですか。介護保険実施後の現状に対する知事の基本認識を伺うものであります。
 基盤整備のおくれや、実態に合わない介護認定など多くの問題がありますが、中でも緊急に取り組む必要がある最小限の改善策の第一は、低所得者に対する利用料負担の軽減をさらに広げることです。現状のホームヘルプサービスだけでなく、四月以降にサービスを開始した人も含めて、すべての在宅サービス利用料を、低所得者は三%とすることが必要です。第二に、十月から実施予定の高齢者からの保険料徴収は再検討することです。現状でも大変なのに、この上保険料徴収が始まれば、ますます深刻な事態になることは明白であります。
 以上二点について、政府にはっきり要請すべきです。見解を伺います。
 独自の利用料、保険料軽減を実施する区市町村への都の財政支援も重要です。我が党の調査では、利用料軽減の所得基準の独自制度が、世田谷区、武蔵野市、狛江市、奥多摩町を初め、都内の六区十一市一町に広がっています。狛江市は、低所得者への保険料の軽減も予定しています。介護保険実施後の現状を踏まえ、こうした貴重な努力に対し、都として支援に踏み切るときであります。いかがですか。
 また、利用料負担の現状や、給付限度額に対する実際のサービス利用状況、限度額までのサービスを利用していない場合の理由等について調査を行い、実態を把握することがぜひとも必要であります。所見を伺います。
 さて、石原知事は、介護保険を口実に都政史上かつてない福祉切り下げを推し進めました。老人医療費助成はこの七月から、老人福祉手当は八月支給分から段階的廃止に向けた削減が始まります。障害者手当は八月、障害者医療費助成は九月、シルバーパスと乳幼児医療費助成は十月、ひとり親家庭医療費助成は来年一月から、それぞれ切り捨てが始まります。
 我が党は、その影響が百八十万人の都民に及び、特別養護老人ホーム都加算補助の廃止も入れて一千億円に及ぶ削減となること、高齢者、障害者、ひとり親家庭など、行政の支援を必要とする人たちの命綱を切る大問題であることを明らかにしてまいりました。
 既に、特別養護老人ホーム都加算補助廃止の影響は、食事の質の低下、職員の削減でバス旅行やサークル活動ができなくなるなど、利用者サービスの後退を広範囲に招いています。障害者医療費助成では、HIV患者の方々から、法改正でせっかく障害認定の対象となったのに、都の障害者医療費助成は所得制限強化で受けられなくなる、だれが、いつ決めたのかと、怒りの声が寄せられています。
 今回の福祉見直しは切り下げではないなどという最大の論拠とされた包括補助制度の具体案が示されましたが、心配されたとおり、メニューの多くは、一年から三年限りの立ち上がり支援にとどまっています。これをもって、シルバーパスや医療費助成、福祉手当の切り下げや段階的廃止を是とすることなど到底できません。
 我が党は、一連の福祉見直しによる都民への影響を和らげ、従来の制度、水準に戻すとともに、充実を図るため全力を尽くしていくことを、改めて表明するものであります。
 少なくとも包括補助制度については、今後、区市町村と都民の要望を十分に聞いて、地域の実情に応じた支援を行うために役立つ制度として、充実、発展させるよう求めるものですが、いかがでしょうか。
 続いて、医療改革の問題であります。
 知事は、広尾、墨東、府中の三つの都立病院に、休日、夜間を含め、あらゆる症状に対応できる東京ER、総合救急診療科を設置すると発表しました。あわせて、民間との役割分担や地域性、医療機能の面から、都立病院全体の再編整備の検討を表明したのであります。
 我が党は、いつでも、だれでも、安心して診療を受けることができる都立病院への改革を一貫して提案してきました。同時に、地域医療支援の拠点としていくこと、救急、難病、福祉的医療を初め、不採算であっても都民に必要な医療を提供する、自治体病院として当然の使命を積極的に果たしていくことを強く求めてきたところであります。その立場から質問します。
 第一に、都立病院の休日、夜間を含めた救急医療体制の充実は、都民にとって歓迎すべきことです。しかし、そのためには、医師、看護婦などの十分な配置と予算が必要です。休日、夜間に患者さんが来ても何時間も待たされる、入院が必要でもベッドがあいていないというのでは、意味がありません。今回の計画は、その肝心の人と予算の裏づけがないのであります。
 都立病院に対する都財政からの補助金は、財政再建推進プランに基づく削減の方針が堅持されており、人員の大幅削減も続いています。このままで、休日、夜間にもあらゆる症状に対応できる救急医療体制など、整備できるはずがありません。
 知事、本気で都立病院の救急体制の改革をするというのなら、人員削減、予算削減一本やりの方針を切りかえ、必要な人員、予算は積極的につける方向への転換が必要であります。見解を伺います。
 医師や看護婦の当直、夜勤など、都立病院の医療体制が現状でも大変厳しいことは、余り知られていません。府中病院では、夜間、当直の医師が救急対応をし、翌日も続けて三十二時間連続勤務となっています。この問題を初め、労働基準法違反及び労働安全衛生法違反が労働基準監督署から指摘され、是正勧告を受けたのではないですか。こうした是正勧告等の現状と対応について、報告を求めるものであります。
 第二に、都立病院全体の再編整備の検討について、衛生局は記者会見で、ERの財源を生み出すためとの説明をしたと伝えられています。また、石原知事は、繰り返し、都立病院の売却などを公言してきました。しかも、今回の方針は、都立病院の現場の声を聞くこともなく、寝耳に水のトップダウンで発表されたものであります。
 このような経過を見ると、今回の計画は、アメリカの人気ドラマの名称をそのままかり、都民受けのよいERなるものを一部病院に設置するのと引きかえに、都立病院全体の統廃合や民営化まで視野に入れたリストラを推進しようとするものではないかとの心配が出てくるのも当然であります。
 都立病院は都民の財産であります。それを切り売りするような方向ではなく、いかに都民のために役立つものとしていくのか、そして、東京全体の医療水準を引き上げるために有効に活用していくのかという立場からの検討こそ必要であります。知事、いかがでしょうか。
 そのためにも、これから設置し、中長期的展望について検討するという都立病院改革懇談会は、都民への公開、都民参加、都民合意を確固たる原則とすべきであります。答弁を求めます。
 次に、都財政の立て直しと、そのため避けて通れない課題である公共事業のあり方の改革について質問します。
 今、日本は、国と地方合わせて六百四十五兆円、国民一人当たり五百十万円の借金を抱え、破局的ともいえる財政難に直面しています。その最大の原因が、国際的にも異常な公共事業の膨張にあることは、世界の常識となっています。日本の公共事業の予算は、GDP対比で欧米諸国の三倍から四倍です。欧米諸国では、公共事業の何倍も社会保障に充てているのに、日本では、公共事業には五十兆円、社会保障には二十兆円という、逆立ちした財政運営なのです。
 総選挙でも、この異常な公共事業、逆立ちした財政のあり方をどう改革するのかが問われました。マスコミも、例えば朝日新聞が、公共事業頼みをやめると題する社説を掲げて、先進国の中でずば抜けて多い公共事業費を徐々に減額していくしかないと書き、東京新聞も社説で、悪循環を断ち切るには、従来の土建国家型発想と決別する以外にないと指摘しました。
 知事は、選挙後の雑誌のインタビューで、自民党は、都会ではもう相手にされなくなった、いまだに公共事業ばらまき主義じゃねと述べています。しかも、選挙直後には、受託収賄容疑で中尾元建設大臣が逮捕され、公共事業をめぐる自民党政治の腐敗がまたしても明るみに出ました。今回の疑惑は、現職の建設大臣がその在任当時に事件を起こした点でも、政権与党中枢にかかわる疑惑である点でも、やみの暴力団につながる人物が深く介在しているという点でも、根が深い構造的な問題です。
 知事は、自民党政治のもとでの日本の公共事業が、世界的に見ても異常に膨張しており、今回のような汚職が繰り返されているという事実について、どのような認識を持っていますか。明快な答弁を求めます。
 問題は、都政もまた、国と一体となって、大型開発中心の公共事業にのめり込んできたことです。バブルに踊って都単独事業を異常膨張させたこと、バブル崩壊で税収が減った後も、年間一兆円に上る借金をして投資の規模を維持し続けたことが、今日の都の財政難の原因であることは、明白な事実です。知事も、本年の予算特別委員会で、公共事業の膨張が財政難の重要な原因の一つであることを認めました。大型開発中心の公共事業に根本からメスを入れること、これこそ、都財政の立て直しを進める上でのかなめ中のかなめの問題なのです。
 我が党は、都民の求める財政立て直しのために、次の四つの方向で都の公共事業のあり方を改革することを提案するものです。
 第一は、公共事業予算の全体を少なくともバブル前の水準に大幅に削減し、都債発行も減らして、借金減少の道に踏み出すことであります。
 都の投資的経費は、我が党や都民の批判を前に、ピーク時より削減されたとはいえ、今年度予算でもいまだに、バブル前の八四年の一・五倍に膨れ上がったままです。首都高速道路公団への出資など、経常的経費に含まれている経費も含めると、一般会計の公共事業関連経費は一兆円にも達します。そのための財源である都債発行は、約四千億円に上っており、この水準を続ければ、現在一般会計で七兆円の借金残高は、これからも、今後もふえ続けることになるのであります。超低金利の現在でも、借金の利子払いは年間二千五百億円にも達し、財政に深刻な打撃を与えています。さらに借金をふやし続けることは、まさに都財政破局の道であります。
 財務局が六月に発表した財政分析パンフレット「財政構造改革の推進に向けて」でも、投資的経費は依然として一般会計の伸びを上回る高い水準にあり、一層の削減が必要と述べています。
 知事、財政立て直しの立場から、投資型の経費の総額を削減し、借金残高を減少に転じさせる中長期の計画を明確にすべきではありませんか。答弁を求めます。
 第二は、バブルに踊り、都が、採算性も環境も無視して進め、破綻した大型公共事業は、勇気を持って根本的に見直すことです。その最大の問題は、臨海副都心開発です。
 そもそも臨海開発は、その出発点から異常ずくめの開発でした。都税収入の二倍の八兆円もの事業に乗り出したこと、当初四十ヘクタールの計画が、あの金丸信元副総理の介入で一気に十倍以上に膨れ上がったこと、臨海副都心建設株式会社に、ゼネコン、大銀行から社員が送り込まれ、計画から設計、建設まで、ゼネコン、大銀行癒着で進められたこと、共同溝建設などで設計変更が繰り返され、地下鉄のトンネル以上の豪華施設がつくられたことなど、その異常さは、挙げれば切りがありません。
 知事は、今指摘したような諸点に照らして、臨海副都心開発が、本来自治体として手を出すべきでなかった異常な計画だったとは思いませんか。答弁を求めます。
 しかも、七兆円の収入見込みに五兆五千億円もの大穴があくなど、その破綻は、今やだれの目にも明らかです。
 四年前に青島前知事のもとで決めた臨海副都心開発事業会計の長期収支は、予定どおりに企業が進出し、ことしから地価が毎年二ないし三%ずつ上がることを前提に、事業開始から四十八年後の二〇三七年には採算がとれるというものでした。
 しかし、一次公募で当選した企業からさえ撤退が相次ぎ、第二次公募でも、一企業・グループが契約しただけです。今後五年で、残る処分予定地の大部分、二十二区画に企業が進出、契約するという計画の見通しは、完全に崩れています。地価は低迷し続けています。我が党の試算では、五年後には、二千五百億円もの規模で長期試算の収支が合わなくなるのであります。
 知事は、就任から一年たちますが、この臨海会計の収支試算の現状について、どのような認識を持っていますか。明確な答弁をお願いします。
 都は、これまで、計画の破綻を、開発用地の無償提供や都民の税金投入で取り繕ってきましたが、それを繰り返すことはもはや許されません。
 この点で、当面する最大の問題は、都が来年度、二千五百億円もかけて有明の丘を買い取ろうとしていることです。ただで臨海開発に提供した都有地を、防災用地に使うことにしたからといって、なぜ巨額の税金を投入して買い戻さなくてはならないのか。臨海開発の破綻の穴埋め以外の何物でもないではありませんか。土地をそっくり都に返せばいいではありませんか。
 知事、こんなやり方は全く道理がなく、都民の理解は得られません。ましてや、こうした厳しい財政状況のもとでの税金での買い取りは、将来、都民に負担を押しつけるものであり、きっぱり中止するべきではありませんか。答弁を求めます。
 都が、臨海開発で一千三百億円も投じて新たに進めようとしている旧有明貯木場の埋立事業については、この間、この海域の自然の貴重さを示す新たな事実が明らかになりました。
 一つは、環境庁がレッドデータブックで絶滅危惧種に指定し、都も、保護上重要な野生生物種のうち最も高いAランクに指定し、保護を呼びかけている、エドハゼの生息が確認されたことです。四月に改定された環境庁のリストでは、汽水、淡水魚で絶滅のおそれのある種は七十六種に三倍増し、うち、半数がハゼ類です。環境庁の生物多様性の保全検討チームがこの六月にまとめた報告書は、我が国の野生生物の現状は危機的とし、絶滅のおそれのある種の保全とともに、新たにリストに掲載される種が多数生ずることのないよう、未然に防止するという観点からの施策が急務としています。
 また、テレビの報道でも、この水域が、浅い上に青潮の影響を受けにくく、ハゼとともに多種多様な稚魚の生育が確認されています。
 今、マハゼの生息は少ないとした、都の環境アセスメント調査に対し、実態と違う、不十分と批判が広がり、埋立反対の世論は国際的にも広がりつつあります。世論に耳をかさず、埋立認可を取ることだけに執着する都の姿勢は、不誠実のきわみです。
 有明北地区埋め立てを中止し、ハゼの危惧種を含めた魚介類の生息実態を再調査すべきです。答弁を求めます。
 公共事業の改革の第三は、破綻に直面している開発型の第三セクターについても全面的に総括し、事業の清算を含め、本格的なメスを入れることです。
 都は、さきに発表したバランスシートの中で、多摩ニュータウンで不動産事業に乗り出し、債務超過に陥っている多摩ニュータウン開発センターについて、投資の回収には三百年を要するなどとして、破綻認定し、破産・更生も含め、抜本的な対策を講じる必要があるとしました。これは当然です。
 しかし、問題は、この立場からすれば、一層深刻な債務超過に陥っている臨海開発関連のビル経営の第三セクターこそ、抜本的な見直しを行うべきだということであります。
 先日、一連の株主総会が開かれ、そこで発表された経営状況報告によれば、臨海関連五社の累積赤字は、百億円ふえて一千八十二億円に達し、臨海副都心建設、東京テレポート、竹芝地域開発の三社だけで七百九十三億円に上っています。民間企業ならもう完全に破産状態であります。しかも、都が都施設を入居させ、地代の大幅引き下げなど二百七十億円の財政投入を行っているのに、このありさまです。償却前黒字になったといいますが、その黒字の大半は、都の財政支援分です。これこそ、税金による救済そのものではありませんか。
 しかも、テナントもほぼ埋まっている上、今後、ビル賃料が大幅に上がる見通しはありません。このままでは、三社で四千億円もの借金がそっくり都民に振りかかりかねない非常事態です。自治体が乗り出すべきではなかった不動産事業の破綻に、これ以上、都民の税金をつぎ込み続けることは許されません。
 知事、この臨海開発三セクの現状について、どのような認識をお持ちですか。すべての情報、資料を都民に明らかにし、清算も含めた抜本的な処理を行うべきでありませんか。答弁を求めます。
 第四に、公共事業全体を生活密着型に転換するとともに、国や財界が主導する大型開発拡大の路線からきっぱり脱却することです。
 政府や財界は、国民の批判にもかかわらず、あくまでも公共事業にしがみつき、新たな拡大の道を進もうとしています。五全総では、東京湾や瀬戸内海にまたしても橋をかけるなど、驚くべき計画がメジロ押しです。
 石原知事は、所信表明で、都市づくりなど長期ビジョンづくりを強調していますが、その方向は、開発優先のこれまでの自民党型都政の方向をさらに進めるものでしかありません。例えば、さきに都が発表した東京の新しい都市づくりのあり方中間まとめや都市白書では、国際的都市間競争、金融都市競争に打ち勝つためには、山手線内をセンターコアとして国際ビジネス拠点づくりを進め、三環状道路を最優先で進めることなどが盛り込まれています。
 これでは、もともと欧米の都市に比べて人口や企業の密集度が何倍もの東京の都心地域に、さらに業務機能を集中させ、大気汚染や住環境問題、都財政の一層の破綻など、新たな矛盾を拡大するだけです。大都市に集中的な公共投資をなどと大型開発をあおる主張は、異常に膨張した公共事業を温存するものでしかありません。今求められているのは、都市でも地方でも、浪費的な公共事業の膨張路線から抜け出すことではありませんか。見解を伺います。
 関連して、中央環状王子線建設に連動した工場進出の問題について伺います。
 王子線の王子ランプ付近では、高速道路開通後、これを利用する、一日二百五十五万部印刷の全国最大の新聞工場が住宅密集地に計画され、現在、アセスメントの手続に入っています。完成すれば、毎晩、深夜、未明に、四百台以上のトラックが狭い道路の住宅街にひしめくことになります。住民も地元区長もこぞって現計画の抜本見直しを求めています。
 知事、少なくとも本件のアセスに関し、特に深夜の自動車の騒音を現状より悪化させることのないよう、地元住民が要望している水上輸送も含めた、計画の抜本変更を求める意見を出すべきです。いかがですか。
 今回の事態は、知事が強調する三つの環状道路について、交通環境の改善どころか、新たな交通ラッシュと環境破壊を呼び込みかねないことを浮き彫りにしています。重大な環境悪化をもたらす道路計画は、きっぱり見直すべきであります。こうして公共事業の浪費に本格的なメスを入れることこそ、都財政立て直しの大道であり、この道を進めば、都民の福祉、暮らしを守りながら都財政を立て直すことは十分できます。
 ところが、財務局が六月に発行した都の財政分析パンフレット「財政構造改革の推進に向けて」は、来年度も四千三百億円の財源不足が出るなどと都民をおどし、人件費や市町村への支援、都立病院への補助など、またしても都民サービスに直結する分野に専ら切り込みの矛先を向けるものとなっています。これでは、都民の求める財政立て直しはできません。
 四千三百億円の財源不足というのは、銀行課税による一千億円の増収などを見込まず、借金返済を名目とした、二千億円近くも過大な減債基金の積み立て、バブル前の一・五倍も高い投資的経費などを前提としたものにすぎません。そのほか、我が党が提案している法人事業税の超過課税の拡大なども行えば、当面の予算のやりくりも十分できるし、財政再建団体に転落することはありません。誇大な財政危機宣伝はやめるべきであります。何よりも、危機の要因を冷静に分析しメスを入れること、どんなに財政が苦しくても、都民の福祉、暮らしは守り抜く立場を貫くべきであることを強調しておくものであります。
 次に、子どもと教育をめぐる問題について伺います。
 いじめ、不登校、学級崩壊など、子どもと教育をめぐって、状況はいよいよ深刻になっています。さらに、最近の相次ぐ少年犯罪は、人の命の大切さが少年たちにはぐくまれていないという深刻な現実を、私たち大人に見せつけました。
 知事の提唱する心の東京革命は、子どもを専ら指導、保護の対象とみなし、しつけや心の教育を強調しています。しかし、今、子どもの人格を尊重し、今日の子どもたちの深い苦しみに迫る掘り下げた分析と手厚い取り組みこそが必要なのではないでしょうか。
 我が党は、子どもと教育の危機の打開に向けて、学校教育の改革、道義ある社会の確立、退廃文化から子どもたちを守る社会の自己規律の確立という三つの提案を行い、国民的な討論を呼びかけてきました。
 まず、受験中心の詰め込みと競争の教育を改め、学校教育を、子どもの成長と発達を中心に置いたものに切りかえることは、いよいよ重要性を増しています。子どもたちの荒れの背景に、日本の過度に競争的な学校教育があることは、各方面から指摘されています。
 一昨年、国連子どもの権利委員会が、日本の教育について、高度に競争的な教育制度になっており、それによる子どもの過度なストレスや登校拒否を予防する措置をとることと、厳しい内容の勧告を行ったことについて、昨年の第二回定例会でただしましたが、知事は、この勧告に耳を傾ける姿勢を見せませんでした。しかし、知事が会長を務める青少年問題協議会答申は、この勧告について、日本の教育の抱える重要な問題にかかわる指摘であると述べています。
 文部省の学校教育に関する調査では、自分が不安に感じる原因について、授業がわからないことと、進路、進学の二つが重い比重を占めています。中高生で、勉強が嫌い、これが半数近くに及び、粗暴犯や凶悪犯などの少年に多いという総務庁の調査もあります。受験中心の競争教育が子どもたちをいかに追い詰めているか、そのストレスが、さまざまな少年問題の重要な原因の一つであることは明らかではないでしょうか。
 知事、日本の教育の異常さを指摘した国連の勧告を正面から受けとめる必要があると思いますが、改めて見解を伺います。
 国は、この国連勧告に何ら具体的な措置をとらないばかりか、教育条件の改善さえ怠り、広範な都民、国民の声となっている三十人学級の実現を先送りし、そのための責任と費用負担を都道府県に押しつける方向を打ち出しました。
 知事、子どもたち一人一人がよく勉強がわかるように、また、先生ともっと触れ合えるように、三十人以下学級の実現が望ましいと考えますが、見解を伺います。
 都としても、三十人学級の早期実現を求める多くの都民と共同して、国にその実現を働きかけるとともに、段階的にその実現へ向けて都独自に踏み出すべきと思いますが、あわせて見解を伺います。
 年々増加している不登校や保健室登校の児童生徒への対応も、抜本的に強める必要があります。スクールカウンセラーを引き続き配置することや、昨年の都の学校保健審議会答申でも指摘されている、養護教員の複数配置が急がれます。都として、要求のあるところすべてに、スクールカウンセラーや養護教員の複数配置ができるようにするべきではないでしょうか。答弁をお願いします。
 また、中野区や狛江市などのように、全小中学校の図書室に司書や専任職員を配置し、子どもたちの読解力や情操を培う面で成果を上げている区市がふえています。都として、区市町村が学校図書室に司書や職員を専任で配置することに財政的な支援を行うべきではないでしょうか。見解を伺います。
 次に、子どもたちを、暴力やポルノなど有害情報からガードするために、テレビや雑誌その他の文化、メディアで自主的なルールを確立することについてです。
 さきに紹介した国連子どもの権利委員会も、暴力やポルノなどが子どもの世界に入り込むのを防ぐ有効な手だてをとることと、日本の著しい立ちおくれに、厳しい勧告を行っています。総務庁が発表した青少年と暴力についての調査でも、身近な大人からの暴力を受けた体験とともに、メディアの暴力シーンが非行経験に明らかな因果関係が認められると指摘されています。
 日本でも、業界の自主規制とともに、よい番組には激励を、悪い番組には抗議をなどと、親や都民と番組制作者、放送者との意見交換など、市民参加の自主的な取り組みが始まっていますが、本格的にはこれからです。日本一のメディアの発信地である東京で、都としてメディア関係者と父母や都民の自主的交流を支援するとともに、各業界の主体的な自己規律づくりを促す啓発や情報提供を行ってはどうか、答弁を求めます。
 さらに、メディア時代に備えて、既にイギリス、カナダなどで社会的な取り組みとして進められている、子どもたち自身に情報の意図を客観的、批判的にとらえる能力、コミュニケーションに参加する技能と能力といった、いわゆるメディアリテラシーを育てていくことが重要です。都として、学校教育や生涯教育の中で、メディアリテラシー教育の実施に向けて必要な検討や調査研究を開始するべきではないかと考えますが、見解を伺います。
 この問題の最後に、日の丸・君が代問題をきっかけに、国立市の学校現場で不当な介入や圧力が加えられている問題について伺います。
 市内の小中学校では、児童約三十人が校長に土下座を要求、との四月五日の新聞報道をきっかけに、一部の勢力が六十三台の街宣車を市内に結集させ、また、国立二小の卒業生が通っている中学校には、右翼が、二小の子どもは出てこいなどと押しかけ、一部では授業を中止し、子どもを早く帰した学校もあるほどです。
 しかし、土下座の事実問題についていえば、四月十四日の各会計決算特別委員会で、教育庁側は、校長が土下座をしたというのは間違いと答弁しているとおり、事実ではなかったことが確認されています。しかし、異常な事態はその後もエスカレートし、五月以降、最近に至るまで、子どもを誘拐して埋めるなどと書かれた脅迫文が幾つもの学校に送りつけられる事態が発生しています。この東京で子どもたちに対するこんなひどい攻撃がかつてあったでしょうか。
 知事、日の丸や君が代についての立場はどうあれ、おどしや暴力を背景に、子どもと教育の現場に圧力をかけるなどということは、民主主義の社会では絶対に許されない行為と考えますが、知事の所見を伺います。
 日本共産党は、一刻も早く正常な学校生活を取り戻すために、地元自治体とともに東京都がこうしたおどしや暴力から子どもを守るために全力を尽くすことを厳しく要求するとともに、今回の問題の根本にある、法制化をきっかけに強まった学校現場へ日の丸・君が代の問答無用の押しつけをきっぱりやめることを強く要求するものです。
 最後に、知事が去る四月九日に、陸上自衛隊の記念式典で行ったいわゆる三国人・治安出動発言についてただすものです。
 さきに我が党は、知事発言の重大性にかんがみ、地方自治法第百一条に基づく臨時都議会開催の請求を各会派に呼びかけたところであります。その後、知事は、みずからの発言について記者会見やテレビ出演によって釈明を繰り返すとともに、公明党、民主党に対してそれぞれ見解なるものを明らかにしました。しかし、それらでは発言の撤回や謝罪は行われておらず、到底内外の批判にこたえるものとなっていないことは明らかです。
 知事は、三国人という言葉は外国人という意味で使ったとしていますが、知事のこの言葉に対する理解がどうであろうと、この言葉が朝鮮、台湾など、終戦まで日本が占領支配していたアジア諸国出身で、日本国内に居住する人たちに対する差別的呼称として用いられてきたことは、歴史的事実であります。知事がこの言葉を使ったということは、いわば首都の顔としての民主主義と歴史への認識が問われることなのであり、そのことについての反省と自覚が問われているのです。したがって、こうした言葉を知事が今後は使わないという態度を表明するだけでは不十分なのであります。
 改めて求めます。さきの三国人発言については撤回し、関係者に謝罪すべきであると思いますが、答弁を求めます。
 知事発言のもう一つ重大な内容は、在日外国人を危険視し、大災害の際には大きな騒擾事件を起こすと勝手に想定し、自衛隊の治安出動に言及したことにあります。不法入国した多くの三国人、外国人が非常に凶悪な犯罪を繰り返している、こういう状況で大きな災害が起きたときには大きな騒擾事件すら想定される、と述べたことは、一部の外国人による犯罪と例え、不法入国していると条件をつけたにせよ、外国人一般にまで広げて犯罪集団扱いする予断と偏見に満ちた発言であり、人権の点で許されるものでないことは自明のことです。
 ところが知事は、この点について、公明党、民主党への見解でも全く触れず、記者会見などではかえって正当化し、開き直ってきています。しかし、知事が事例として挙げたロサンゼルス大地震の例は事実誤認があることが明らかになりましたし、阪神大震災のときも、外国人による騒擾事件や暴動などは発生しなかったではありませんか。世界史的に見ても、大規模災害時に騒擾が起きたことはほとんどないと多くの人たちによって指摘されています。
 知事、二十一世紀に向かう国際都市の責任者である知事に求められているのは、こうした予断に満ちた排外主義ではなく、さまざまな人種、民族との共生の思想をどう育てていくかということではないですか、答弁を求めます。
 重大な問題は、知事がこの在日外国人による騒擾事件という想定を根拠にして、災害の救援だけではなく、治安の維持を大きな目的として出動を願うと述べて、自衛隊の治安出動にまで言及したことです。大規模災害が発生した場合、自衛隊も含めて、あらゆる災害対応能力を結集するのは当然のことです。しかし、自衛隊法八十三条で規定されている自衛隊の災害派遣と治安出動とは根本的に違うものです。災害対応の第一義的な権限は、法的にも自治体にあります。しかし、治安出動は、一たん知事が要請すれば、権限は総理大臣に移ります。そして武器、武力の行使が前提となります。だからこそ防衛庁も国会答弁で、災害派遣と治安出動を峻別し、都知事がどういおうと、政府に治安出動の意図はないと答えているのです。
 にもかかわらず、知事が都の巨費を投じて行う防災訓練を自衛隊の治安出動訓練の場にしようとするのは、自治体の首長としてあるまじき逸脱であり、許せるものではありません。
 知事はその後、記者会見で、九月三日の防災訓練について、治安維持の要素ももちろん入ってくる、いきなり大がかりな最悪の事態を想定するわけにはいかない、最初は小学校のレベルから始めて毎年積み上げていくと述べています。これはあくまで治安出動に固執していくことを意味するものです。
 知事、さきの所信表明で、九月三日の訓練について、総理大臣を責任者とする陸・海・空三軍が初めて統合して加わるなど極めて実践的な訓練と述べましたが、これで九月三日の訓練は治安出動訓練ではないと断言できるのかどうか、明快にお答えいただきたい。
 国もその意図を否定する自衛隊の治安出動を毎年積み上げて、軍事プレゼンスの発揚を図ろうという訓練は、災害対策の点でも誤りであり、中止すべきです。訓練というなら、都がこれまで関係自治体や都民とともに積み上げてきた防災の日の各地域における初動対応のレベルアップを図る訓練こそ充実させるべきです。
 また、防災対策という点では、都は、おくれている直下型地震の予知体制の強化、消防力の拡充、全都で二隊しかない消防救助機動部隊の増強などを急ぐべきです。
 以上、答弁を求めて、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 曽根はじめ議員の代表質問にお答えいたします。
 三宅村及び神津島村への災害救助法の適用についてでありますが、三宅島火山活動については、都は、三宅村が災害対策本部を設置した六月二十六日、また、神津島での地震災害についても、災害の発生した七月一日付で災害救助法を適用し、同法が予定しているさまざまな救助を行うことといたしました。都としては、こうした制度を最大限に活用し、被災された住民の方々の生活支援など積極的に進めてまいるつもりであります。
 次いで、景気回復の上での個人消費の果たす役割についてでありますが、個人消費は、都内総生産の約三分の一を占めるなど、経済活動における比重は非常に大きく、その拡大を図ることは、景気回復にとっても極めて重要であると心得ております。個人消費の本格的な回復を図るには、まず第一に国の責任において、国民の抱える年金、医療、雇用など、将来への不安を解消することも必要であります。都としては、何よりも新たな産業を育成して産業の活性化を図り、雇用の場を確保することなどによって、個人の消費を充実していきたいと思っております。
 また、私のかねての論でございますが、不思議なことに、今回の選挙でこれ、一向に論点にはなりませんでしたけれども、果たしてアメリカの金融戦略に巻き込まれるまま、日本がこの無金利のままで通すべきかべからざるか、つまり、一向に金利を生まない預金をだれが使うものでもありません。私は、やはりこの金利の問題について、国はもうちょっと積極的な討論をすべきだと心得ております。卵が先か、鳥が先かの論になりますけれども、日銀は、この間あるところで速水さんに会いましたら、もうたまりかねて、金利は上げるというつもりであるそうでありますが、果たして大蔵省がアメリカの意向を排してこれをどうしますか。私は、これは都の関係でございませんけれども、しかし、やはり大事な国政で金利の問題が一向に論じられないということは、非常に都知事としても不満を抱いております。
 次いで消費税についてでありますが、現在、政府税調、税制調査会においても議論を重ねているようでありまして、方向性についてはともかく、具体的に物がいえる状況にはまだございません。この国の歳出歳入の行き先を見通した消費税についての私自身の考え方がないわけではありませんけれども、まずは国と地方の税源配分の問題を含め、先般立ち上げたばかりの東京都税制調査会の提言に期待したいと思っております。
 中小企業の仕事の確保についてでありますが、公共事業については、これまでも生活、福祉関連事業など含め、事業の緊急性や必要性を考慮しつつ都市基盤の整備を進めてまいりました。また、これらの契約に当たっては、コスト縮減の観点を踏まえつつ、分離分割発注や共同企業体方式の活用など、中小企業の受注機会の増大に努めてまいりました。
 今後とも、こうした観点に留意しつつ、着実に公共事業の実施を図っていきたいと思っております。
 介護保険制度実施後の現況についてでありますが、区市町村など関係者の懸命の努力によって、さしたる大きな混乱もなく制度は一応スタートし、国民の理解も深まりつつあると認識しております。これからも、介護サービス基盤の整備やサービスの質の向上などに努め、さらにこの制度をよりよいものとしていきたいと思っております。
 ドイツは既に発進しております。ドイツでもいろいろな事例が考えられておりますが、そうしたものも参考にしながら、都における介護保険の制度の運営をよりよきものに収れんしたいと思っております。
 都立病院の再編整備でありますが、都立病院が果たすべき役割や医療機能については、時代のニーズや医療環境の変化を見据えながら検証していくことこそ、真の意味で都民のために役に立つ都立病院に結びつくものと考えております。このため、都立病院改革懇談会において今後の都立病院の担うべき役割や医療機能を明らかにした上で、地域特性などにも配慮しつつ、都立病院全体の再編整備についても検討していただきたいと思っております。
 投資的経費についてでありますが、財政機構改革を推進するためには、経常経費、投資的経費を問わず、都の行うすべての施策について聖域のない見直しを行う必要があると思っております。投資的経費については、事業の必要性、緊急性を考慮しながら、限られた財源を重点的、効率的に配分するとともに、その財源としての都債については、世代間の負担の公平性に配慮しつつ、適正な活用を図っていきたいと思っております。
 臨海副都心開発についてでありますが、私は就任して一年でありますけれども、これは既に私の就任以前に船が出ておるわけでありまして、いろいろの問題がありますけれども、総体的に眺めて、臨海副都心開発は、首都東京の活力と創造力を新規に生み出し、都民生活を支える新しいまちを創造する重要な事業であると認識しております。
 平成十年度までの投資額は約一兆四千億。これによって道路、公園等の地域内都市基盤の約八割は完成しております。また、国際研究交流大学村や企業本社ビルの建設工事が行われ、新しいまちの形成が一応着実に進んでおります。さらに、昨年一年間の来訪者は三千万人を超え、東京の新しい名所としても都民に大いに親しまれております。
 今後とも、臨海副都心が東京活性化のリーディングエリアを担う地域としてさらに大きく発展していくよう、事業を着実に推進していきたいと思っております。
 次いで、公共事業全体についての認識でありますが、東京における空港、鉄道、道路などの都市基盤施設は、次の世代に引き継ぐ財産となり得るものでありまして、その着実な整備は、産業活性化や国際競争力の向上を図るとともに、生活基盤の質を高める上で重要であります。そのため、厳しい財政状況の中、限りある財源を投資効果の高い事業に重点的に配分して、その整備に努めてきたつもりであります。
 現在の公共事業のあり方についてはさまざまな議論があることは十分承知しておりますが、社会資本の蓄積や財政制度が異なる諸外国と単純に公共事業量の総額だけで比較することは必ずしも適切ではないと思いますし、また、公共事業そのものが汚職の温床であるという主張には、とてもくみすることはできません。
 次いで、臨海副都心開発事業計画の長期収支についてでありますが、よくご存じでありながら、あえて質問していらっしゃると思うんですけれども、臨海副都心開発は、開発利益の還元方式に基づいて、起債等により道路等の都市基盤施設を先行的に整備して、その後の土地運用収入等で借入金を返済していく事業であります。例えばレインボーブリッジは八百七十億かかりましたが、これは都民の税金によってではなくて、開発者負担の会計によって建設をいたしました。
 この事業は、まちの完成までに長期間を要するために、事業の収支についても長期的な視点でとらえる必要があります。今後は、臨海高速鉄道の大崎延伸を初めとする交通機関の充実や、景気の回復による地価の上昇が見込まれると思いますし、こうした中で土地処分を適時適切に行うなど、さまざまな工夫を加えることによって、長期収支は均衡するものと期待しております。
 次いで臨海関係第三セクター三社についてでありますが、三社は、これまで地域開発の先導役として大事な役割を担ってまいりました。しかし、余り予見性に富んでいるとはいえない国に乗せられて、随分危うい投資をした結果になってしまいましたが、いずれにしろ平成十年度から経営安定化策を実施し、三社の事業を集約化するなど、経営改善に取り組んでおります。
 なお、情報公開については、既にことし四月より各社の要綱に基づいて実施しております。
 今後とも、経営安定化策を着実に実施し、徹底した経営改善を図っていきたいと思っております。
 大都市への公共投資についてでありますが、東京を初めとする大都市は、慢性的な道路渋滞の解消、防災都市づくりの推進、さらには社会資本ストックの老朽化による維持更新需要など、多くの問題を抱えております。したがって、大都市における社会資本整備のために公共投資の重点化を図ることは必要と考えており、ご指摘の点は全く当たらないと思います。
 また、喫緊の課題である景気対策という観点からも、大都市への公共投資は効果的でもあると考えております。もっともそれだけが景気対策のすべてではございません。
 次いで、国連の児童の権利に関する委員会の勧告についてでありますが、画一的な知識の詰め込みは避けるべきですけれども、必要な競争もやはり学校では必要だと思います。子どもの能力、適性に応じた教育を実施し、個性や創造性を担う人材を育成するために、東京から発信する新しい教育改革を日本に普遍していきたいと思っております。
 正義感や倫理観、思いやりの心をはぐくみ、人が生きていく上での当然の心得を伝えていくために、心の東京革命を多くの方々のご協力を得て推進していきたいと思っております。
 次いで、三十人以下学級についてでありますが、学校のきめの細かい指導力の方策には、一学級の児童生徒数のみで議論するのは適切でないと思います。教科によっては、理解度に応じた少人数指導を実施するために、教員の弾力的な配備も考えましょうが、また、物によってはもっとより多くのクラスといいますか、編制して効果を上げる授業もあると思います。
 次いで、国立の問題でありますけれども、いかにも教育の場にふさわしからぬグロテスクな出来事が起こったわけで、卒業証書授与式に絡む行事において国旗を掲揚し、国歌を斉唱することは、私は当然のことと思います。公立学校の教育は、法に基づき、あくまでも中立公正に行われるべきと思います。
 次いで、三国人発言についてでありますが、私の発言の真意や考え方については、これまでさまざまな機会に明らかにしており、大多数の都民の方々にはご理解をいただいております。
 なお、差別的な意図が毛頭ないことは、私の発言全体の文脈を理解してもらえば明らかであり、あるメディアの意図的に歪曲された報道によって発言が誤解されたことは、極めて不本意であります。
 次いで、国際都市の知事に求められる責務についてでありますが、都民の生命、財産を守る立場にある者として、あらゆる事態を十全に想定して万全を期することは、都民に対する当然の責務であり、排外主義者というのは全くの見当違いであります。
 今後とも、外国人も含めた、だれもが住みやすい都市をつくるために、国際的な魅力を備えた東京を築いていきたいと思っております。
 九月三日の訓練の性格についてでありますが、今回の訓練は、大規模な地震災害を想定し、自衛隊、警察、消防等の防災関係機関が、地元自治体や地域の自主防衛組織等々と連携しつつ、応急対策活動を実施するものでありまして、治安出動が決して主目的ではございません。あくまでも災害対策の訓練であります。
 次いで、九月三日の訓練についてでありますけれども、これは共産党さんらしい被害妄想だと思いますが、これを重ねることで何ら危険というか、物騒な目的を想定しているわけでもありませんし、東京を襲う大地震からより多くの都民の生命と財産を守るためには、可能な限りの多くの人員や資機材を投入し、迅速な初動体制の確保を図ることがあくまでも重要だと思います。
 今回の三宅島火山活動や神津島、新島方面の地震災害に対し、陸・海・空三軍は総合的な機動力を発揮し、最大規模の(発言する者あり)軍は軍だ。最大規模の災害救助活動を行いました。
 災害救助には、警察や消防等の活動に加え、自衛隊の持つ総合的な機動力を最大限に生かすことが不可欠であり、また、その行使は、国民に対する責任の行使とも心得ております。よって、練習を中止する考えは全くございません。
 なお、その他の質問については関係局長から答弁いたします。
   〔労働経済局長大関東支夫君登壇〕

○労働経済局長(大関東支夫君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、リストラ解雇を規制するためのルールづくりについてのお尋ねでございますが、企業において大量の離職者が出る場合には、現行の雇用対策法で、事前に公共職業安定所に届け出ることが義務づけられております。また、整理解雇につきましては、その必要性や解雇を避けるために努力することなどの、いわゆる整理解雇の四要件を満たさなければならないとの判例も確立されておるわけでございます。
 東京都といたしましては、これらの法や判例の内容が遵守されるよう広く啓発に努めてまいります。
 次に、違法なサービス残業についてのお尋ねでございますが、就業規則で定められた労働に対する対価が適正に支払われるべきことは当然でございます。昨今、働き方の多様化とともに、フレックスタイム制などを導入している企業が増加しておりますが、先般、国は、不適正な時間管理をしていた企業に対しまして、時間外手当の支払いを勧告いたしました。
 今後、都といたしましても、東京労働局とも連携を図り、適正に雇用管理が行われるよう一層の普及啓発に努めてまいります。
 次に、大型店立地に関する区市町村の条例、要綱の制定についてのお尋ねでございますが、現在、幾つかの区市町村におきまして、大店立地法に関連して、独自の条例や要綱を制定する動きが見られるわけでございます。都といたしましては、これらの条例や要綱が、大店立地法の趣旨を踏まえ、その規定を逸脱することなく、適正に制定、運用されるよう注視し、必要に応じ調整を行ってまいりました。
 今後とも、大店立地法の適正かつ円滑な運用が図られるよう、区市町村との十分な調整に努めてまいります。
 次に、薬局、酒屋などの規制緩和についてのお尋ねでございますが、現在、国の行政改革推進本部の規制改革委員会におきまして、各種の規制緩和の推進を図るとともに、公正な取引環境の整備や新たな社会的規制のあり方などにつきまして検討が進められていると聞いております。
 都といたしましては、こうした国の動向を注視してまいります。
   〔高齢者施策推進室長福祉局長兼務神藤信之君登壇〕

○高齢者施策推進室長福祉局長兼務(神藤信之君) まず、介護保険に関しますご質問にお答えします。
 最初に、すべての在宅サービス利用料を低所得者は三%にすべきとのお尋ねでございますが、介護保険制度では、サービスを利用する人としない人との公平の観点から、かかった費用の一割を利用者が負担する仕組みとなっております。しかし、ホームヘルプサービスにつきましては、利用者の多くがこれまで負担が無料であったことから、一割の負担を三%に軽減する特別対策がとられたところでございます。
 したがいまして、これはあくまで激変緩和の観点に立った経過的措置であるというふうに考えております。
 また、保険料徴収を再検討すべきとのお尋ねでございますが、介護保険制度では、保険料と公費で運営される仕組みとなっておりまして、四十歳から六十四歳の第二号被保険者につきましては、既に四月から保険料を負担していただいているところでございます。
 高齢者の保険料につきましては、高齢者に新たな負担になれていただくために、四月から半年間は徴収せず、その後一年間は半額とする特別措置がとられたものと理解しているものでございます。
 次に、独自の利用料、保険料軽減を実施する区市町村への財政支援についてのお尋ねでございますが、介護保険制度では、利用料負担が著しく高額にならないよう、高額介護サービス費支給の仕組みが用意されており、さらに特別対策におきまして、ホームヘルプサービスの利用料を三%に軽減するなどの措置がとられたところでございます。
 また、保険者は、条例で定めるところにより、保険料を減免することができることとなっております。したがいまして、保険者である区市町村が地域の実情に応じて独自に実施する措置は、介護保険制度の趣旨も踏まえ、その是非や方法について十分検討し、みずからの判断と責任において行うべきものと考えております。
 次に、介護保険制度の実態調査についてのお尋ねでございますが、介護保険制度を円滑、安定的に運営するため、区市町村は、被保険者の状況、サービス受給状況、保険料収納状況について、東京都に対しまして、介護保険事業状況報告をいただけることになっております。したがいまして、都といたしましては、これらの情報を集約するなどしまして、区市町村の状況把握に努めているところでございます。
 最後に、福祉に関する包括補助制度についてでございますが、新たに設けられた福祉改革推進事業及び高齢者いきいき事業等は、在宅サービスを中心とした地域の福祉基盤を早期に整備するため、区市町村の主体的な取り組みを積極的に支援する包括的な補助制度でございます。現在、本事業の実施に向け、各区市町村から地域の実情に即した独創的な提案が数多く寄せられております。
 今後とも、十二年度予算の着実な執行を図ることにより、制度の成果を上げるべく積極的に取り組んでまいります。
   〔衛生局長今村皓一君登壇〕

○衛生局長(今村皓一君) 医療改革の三点についてお答え申し上げます。
 まず、都立病院の救急体制整備に係る人員、予算の確保についてでございます。
 救急体制を充実させていくためには、救急医療スタッフや関連予算の確保が重要であることは認識しております。したがって、今後、医師を初めとする救急専門スタッフの育成や臨床研修医制度の拡充などを図るとともに、現下の厳しい都財政にも配慮して、さまざまな工夫を行いながら、効率的な執行体制を確保してまいります。
 次に、都立府中病院に対する是正勧告等の現状と対応についてでございますが、医師の宿日直時の勤務などについて、所管の労働基準監督署から是正勧告を受けましたが、現在、患者サービスの低下を招かないことを大前提としつつ、総合初期診療科を設置して当直医師の負担軽減を図るなど、当直勤務の適正化に向けて、創意工夫を図りながら是正に努めているところであります。
 次に、都立病院改革懇談会についてでございますが、懇談会での検討に当たっては、学識経験者を初め、医療に関係するさまざまな方々の参画を得て、幅広い観点から議論していただくこととしております。また、懇談会の公開の方法についても配慮してまいりたいと考えております。
   〔財務局長木内征司君登壇〕

○財務局長(木内征司君) 臨海副都心にございます有明の丘についての質問にお答えいたします。
 一般的に、公営企業会計に属する土地を一般会計において使用する場合には、会計間の負担区分の原則により、有償となります。また、現行の計画において、有明の丘は広域的な防災拠点として整備することとされておりますが、今後、事業内容について、厳しい財政状況などを勘案しつつ、慎重に検討する必要があると考えております。
   〔港湾局長浪越勝海君登壇〕

○港湾局長(浪越勝海君) 有明北地区の埋め立てについてのお尋ねでございますが、有明北地区埋立事業に当たっての環境調査は、平成八年、九年度に、東京都環境影響調査技術指針に従いまして、春夏秋冬の四季にわたり適切に実施したものでありまして、現時点で改めて調査を行う考えはございません。
 なお、ご指摘のありました点のうち、エドハゼは、東京都環境局や水産試験場の調査結果によれば、東京湾内の干潟部等で例年確認されており、例えば平成十年度の環境局の調査結果によりますと、葛西人工なぎさでは三十種約七千七百個体のうち、エドハゼは約千六百個体が、城南大橋では四十種約八千個体のうち、エドハゼは二千二百個体と、それぞれ捕獲された種類のうち、いずれも二番目に多く確認されております。また、その他の稚魚についても、葛西沖人工なぎさ、お台場海浜公園、城南大橋でも確認されてございます。
 埋立事業の実施に当たっては、ハゼなどの生息に適した環境である旧防波堤周辺は保全するとともに、近自然型パネルを設置した護岸や干潟機能を持った緩傾斜型護岸を整備するなど、水生生物の生息環境に十分配慮することとしており、着実に事業を推進してまいります。
   〔環境局長齋藤哲哉君登壇〕

○環境局長(齋藤哲哉君) 北区堀船地区に予定されております新聞印刷工場等の建設事業に係る環境影響評価についてでございます。
 平成十一年十二月、環境影響評価条例に基づく環境影響評価書案が事業者から提出され、条例に基づく環境アセスメントの手続を行っております。この件につきましては、深夜から早朝にかけ、新聞配送用のトラックが運行される事業計画となっておりまして、騒音、振動を懸念する地元住民の声が強く、それへの十分な対応を求める地元区長の意見も寄せられております。
 現在、環境影響評価審議会において、こうした要望や意見を踏まえ審議を行っており、今後、審議会の答申に基づき、知事としての審査意見書を作成してまいります。
   〔教育長中島元彦君登壇〕

○教育長(中島元彦君) 四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、三十人以下学級の実施についてでございますが、文部省の方針では、本年度中に策定する予定の第七次教職員配置改善計画におきまして、少人数による学習集団が設定できるように、教職員定数の改善を行うこととしております。
 都教育委員会といたしましては、この計画の趣旨や関係法令の改正を踏まえ、平成十三年度以降の学級編制や教職員配置について検討してまいります。
 次に、スクールカウンセラーの配置と養護教諭の複数配置についてでございますが、スクールカウンセラーは平成七年度から配置を開始し、現在、不登校生徒の多い中学校を中心に、都の事業として百二十校、文部省の事業として百三十二校の、合わせて二百五十二校まで拡充してまいりました。今後の配置につきましては、スクールカウンセラーの確保や国の動向を見据えながら検討いたします。
 また、養護教諭の複数配置につきましては、現在策定予定の国の新しい改善計画を踏まえて対応する考えでございます。
 次に、司書や専任職員を配置するための財政的支援についてでございますが、都教育委員会は、学校図書館法改正の趣旨を踏まえて、平成十年度から計画的に司書教諭を養成してきております。平成十五年度には、十二学級以上のすべての学校に司書教諭の有資格者を配置する計画でございまして、司書などの専任の職員を配置するための財政的支援は考えておりません。
 次に、メディアリテラシー教育の実施に向けての取り組みについてでございますが、メディアリテラシー教育は、学校教育では情報活用能力の育成として取り組んでおりまして、高度情報通信社会の中で不可欠なものであると認識をしております。
 都教育委員会は、子どもの情報活用能力の育成を図るために、指導者である教員の情報リテラシーの向上を図る研修を今年度から行っており、また、マルチメディアを活用し、子どものコミュニケーション能力の育成を目指して、研究指定校において平成八年度から実践的な研究を継続して行っております。
 今後は、これらの事業の進捗状況や指定校の成果を踏まえ、情報教育の一層の充実を図ってまいります。
   〔生活文化局長今沢時雄君登壇〕

○生活文化局長(今沢時雄君) 青少年の健全育成に関するメディアへの対応についてお答えいたします。
 都といたしましては、東京都青少年の健全な育成に関する条例に関する不健全図書の指定に際しまして、自主規制団体の意見を聞くほか、関係業界に自主規制を促すとともに、情報交換の場を設けるなどいたしまして、健全育成への配慮を要請してきております。
 また、メディアを中心とした社会環境の変化と青少年の健全育成につきましては、この五月に東京都青少年問題協議会に検討を依頼したところでございまして、この審議結果を踏まえまして、健全育成条例を改正するなど適切に対応してまいります。
   〔総務局長横山洋吉君登壇〕

○総務局長(横山洋吉君) 二点のご質問にお答えします。
 まず、防災訓練における各地域の初動対応のレベルアップについてでございますが、例年、防災の日を中心に、各区市町村とともに地域の自主防災組織等を主体とした避難、初期消火等の初動対応訓練が実施されまして、年々レベルアップが図られてきたところでございます。今回の訓練でも、地元自治体の協力のもとに、こうした自主防災組織等が警察、消防等に加え、自衛隊とも連携し、さらに実践的な初動対応能力の向上を図ろうとするものでございます。
 次に、直下型地震の予知体制についてでございますが、地震予知につきましては、国の地震調査推進本部が平成十一年三月にまとめた長期計画の中で、観測体制が整備されている東海地震を除き、現在の科学技術の水準では一般的には困難であるとの見解が示されております。
 しかしながら、都としましては、科学技術の進歩を踏まえ、相模トラフ沿いを震源域とする海溝型巨大地震及び首都圏直下の地震の調査研究を推進するため、国に対して観測体制の強化と首都圏直下地震の調査研究の強化を提案要求しているところでございます。
   〔消防総監池田春雄君登壇〕

○消防総監(池田春雄君) 東京消防庁では、これまで厳しい財政状況の中、消化活動や救助・救急活動を強化するため、消防救助機動部隊の創設を初め、ヘリコプターや道路啓開などの重機、遠距離大量送水装備、ポンプつき十トン級水槽などの特殊車両を整備するとともに、消防署所の新設やポンプ車、救急車、はしご車等についても増強してきたところであります。
 今後とも、市街地の進展や消防行政需要の推移などを的確に把握しながら、火災や地震などの災害から都民の生命、身体、財産を守るため、総合的な消防力の増強に努めてまいります。

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