平成十二年東京都議会会議録第八号

   午後一時二分開議

○議長(渋谷守生君) これより本日の会議を開きます。

○議長(渋谷守生君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(渋谷守生君) これより質問に入ります。
 百十一番松本文明君。
   〔百十一番松本文明君登壇〕

○百十一番(松本文明君) 謹んで申し上げます。
 皇太后陛下におかれましては、国民の祈りもむなしく、去る六月十六日、崩御あらせられました。
 戦前戦後の激動の時代を通して、昭和天皇を支えられ、常に清明にして、国民ひとしく敬慕申し上げているところであり、まことに哀悼痛惜のきわみでございます。
 ここに謹んで、改めて皇太后陛下の永と遠わのご冥福を心よりご祈念申し上げます。
 去る六月二十六日夕刻、三宅島の皆様は、突然の火山活動の兆しによって、避難生活を余儀なくされました。幸い事態は、鎮静化の方向に向かっておりますが、その後、神津島、新島方面で地震が頻発し、死亡者が出るまでの痛ましい災害となりました。それぞれの島民の皆様が受けられました苦痛ははかり知れません。心からお見舞いを申し上げます。
 我が党におきましては、党本部に野中幹事長、都連に石川会長、東京都議会自由民主党では川島忠一幹事長を本部長に、それぞれ災害対策本部を設けているところでありますが、引き続き事態の推移を注意深く見守り、今後の支援体制に万遺漏なきを期してまいります。
 東京都議会自由民主党を代表して、都政が抱えている重要課題について質問いたします。
 過日の衆議院議員選挙におきましては、我が党は、東京地域でまことに厳しい結果をいただきました。この都民の審判を厳粛に受けとめ、今後の活動の糧としてまいります。
 しかしながら、引き続き、比較第一党として、衆議院で最も多くの支持をいただきました。このことは、我が党が、これまで、景気回復や、思いやりの心を育てる教育などを最重点課題として、国民生活向上のために懸命に取り組んできたことに対する、国民の評価であると判断しております。
 私たち、東京都議会自由民主党は、東京を中心とした都市政策の充実を、党本部はもちろん、政府に強く提言しながら、東京自民党の再建に渾身の努力を傾けてまいります。
 さて、十一年度の国民総生産が三年ぶりにプラスに転じるなど、景気は、我が党が力を入れてきたことなどにより上向きつつあると報じられておりますが、それが税収増となって都財政に反映されるには、相当のタイムラグを覚悟しなければなりません。
 先日、財務局は、十一年度決算も前年度に引き続き大幅な赤字であることを明らかにしました。また、来年度以降も巨額の財源不足が見込まれております。
 今、都政の急務は、過去に例を見ない厳しい財政状況をどう克服するのか、その道筋を都民に明示して、その先にある輝かしい希望を共有することであります。
 そのために、我が東京都議会自由民主党は、議会の立場から、ソフト、ハード両面の諸施策を大きくリニューアルして、元気な東京を取り戻すべく一層努力いたします。そして、東京発の活力を全国にお届けし、都民の期待にこたえていく決意であります。
 まず、首都移転問題について伺います。
 首都移転については、東京都議会は、早くから反対の意思を表明してまいりました。東京のあらゆる地域から、町会を中心に、反対署名が数十万規模で集まっております。昨年十二月に開催された首都移転に断固反対する国民大集会には、全国から各界各層の国民が一万人以上集結して、反対の意思を明確に表明したところであります。
 にもかかわらず、国会においては、去る五月十八日、首都移転を促進する決議が行われました。それによりますと、現在三カ所ある移転先候補地を、今後二年をめどに一カ所に絞り込むというのであります。
 これを受けて、六月七日には、移転先候補地の一つである三重・畿央地域の地元である三重県、滋賀県、奈良県を初め、京都府、大阪府の知事も参加して、三重畿央新都推進協議会の設立発起人会が開かれました。そこでは、関西の行政、経済界などが一致結束するとともに、西日本地域を巻き込んだ体制で首都機能移転実現を図っていくことを決めたというのであります。他の地域でも既に同様の動きが出ています。
 首都移転が、日本の将来と国民の幸せのために、どのようなメリットとデメリットを持っているのか、何らの調査も、検証も、説明も、議論さえもないままに、急速に既成事実のみが事務的に積み上げられようとしております。
 このような動きに、いいようのない強い怒りを覚えるのでありますが、都としてはどう対応されようとしているのか、知事の所信を伺います。
 次に、東京構想二〇〇〇について伺います。
 私たちは、何としても、東京と日本に低く厚く垂れ込めている閉塞感を打ち破らなければなりません。そのためには、都政と都民が共有できる、新しい時代に向かっての夢と目標が必要であります。夢と目標に確信が持てるならば、どんな困難にも協力して打ちかつことができると信じます。その夢と目標を都民に提示し、実現に向けてのプロセスを明らかにするのが、東京構想二〇〇〇の策定意義と認識しております。したがって、その内容は、知事のおっしゃっているとおり、五十年先を見据えたグランドデザインが可能な限りかき込まれたものでなければなりません。そのためには、都議会はもちろん、広範な都民の意見の反映が欠かせないことであります。
 そこで、政策報道室長、どのような日程で、どのような手法で策定作業が進んでいるのか、ご説明を願います。
 また、この東京構想二〇〇〇では、政策指標を全般的に導入することになっています。政策指標につきましては、過日、アメリカのオレゴン州の行政指標、オレゴン・ベンチマークスの話を、キッツハーバー州知事から伺いました。この指標は、戦略計画、オレゴン・シャインズの進捗状況をはかるために導入されたわけですが、市民やマスコミの関心を引き、また、議会での政策の審議にもメリットがあったと聞いております。
 そこで、東京構想二〇〇〇で政策指標を取り入れる意義とねらいについて、政策報道室長のお考えを伺います。
 また、この東京構想二〇〇〇の策定とともに、具体的な施策、事業のうち、重点的に取り組むべきものについて、三カ年程度の実施計画、推進プランを作成するとも聞いています。
 しかし、そもそも、この東京構想二〇〇〇は、五十年先を見据えて、十五年後の東京のあるべき姿を描こうとするものであります。当然、高邁な東京の理想が現実味を帯びて語られなければなりません。この構想をスタート台につけるために、まずはすべての施策を見直し、財政再建にめどをつけることこそが重要であります。
 とりあえず、きょうを生きるための施策と、あすの夢や理想を同じテーブルで語ることによって、構想そのものが矮小化されたり、そのステータスを失うようなことのないよう、十分な注意が必要と考えます。ましてや、今までどおりの行政手法による三カ年計画や、十分な財政的裏づけのない三カ年計画などは全く論外であります。
 したがって、東京構想二〇〇〇の実施計画を策定するのであれば、厳しい財政状況を踏まえて、財政再建推進プランとの整合性を図るべきと考えますが、政策報道室長の所見を伺います。
 次に、都立の大学改革について伺います。
 教育の中でも、大学教育について近年話題になることが多く、特に、大学生の学力低下については、多くの識者が指摘するところであります。
 また、大学の経営は、少子高齢化の影響で厳しくなっており、私立大学では、学部等の再編整備や補習教育など、学生確保のためにさまざまな改革が進められています。
 国立大学については、独立行政法人化することが決まり、現在、合併や連携を初めとする経営努力や、学生教育の見直しなど、大学改革の内容を詰めているところと聞いています。先日の新聞報道では、国では、公立大学についても独立行政法人化を検討しているということであります。
 また、産業活性化の切り札として、大学の研究開発力と産業界を結ぶ、産・学連携が進められています。
 知事は、五月には都立大学や都立科学技術大学を視察されたということでありますが、かねてより、知事は、都立の四大学の改革について、束ねてドラスチックな改革を進めるとおっしゃっています。また、入りやすく出にくい大学にするともおっしゃっています。
 そこで、知事、今後、都立の大学改革をどのように進めていくのか、もう少し都民にわかりやすく、具体的に、知事の教育論も交えて、ご答弁を願いたい。
 次に、震災対策についてでありますが、去る六月二十六日からの三宅島の火山活動と、七月二日からの神津島、新島方面の地震について、今日までの経過と被害状況、都の対応について、改めて総務局長の報告を求めます。
 また、今後の対応予測と、過去の経験等が今回の対応にどのように生かされたのか、今回の対応が将来にどう生かされるのか、あわせてお伺いいたします。
 三宅島から知事が帰られた翌日の記者会見を拝見いたしました。都の職員が、あろうことか、被災者の皆さんに、知事様歓迎のための練習をさせた。避難地の庭先を掃き清めさせた。知事は、小役人、こっぱ役人、ばか役人のすることはこの程度と、口をきわめてののしられ、怒りをあらわにしておられました。
 私も、テレビを見た都民も、全く同感であります。知事、頑張れ、そんな思いを抱いたのであります。きのうは、三宅島の小役人はもう首になりましたか、こういう有権者からの問い合わせもありました。都政への信頼は、あの日の記者会見で地に落ちてしまいました。
 しかし、事実は違うようです。総務局長、正確なご報告を願います。
 災害発生時には、正確な情報をできるだけ多くの関係者が共有することによって、正しい判断が下されなければなりません。関東大震災の折、間違った流言によって多くの命が失われたことを思えば、今回のことは、ゆるがせにはできません。多くの関係者がいたにもかかわらず、災害対策本部長のトップの知事には正確な情報は伝わらなかった。情報の真意をだれも確認しなかった。結果として、知事は、悪意に満ちたデマを信じ、懸命に働いている都の職員を、テレビの前で、マスコミの前で口汚くののしり、都政への信用を大きく傷つけたのであります。
 知事、情報管理は危機管理の基本であります。反省を求め、今後の対応を伺います。
 さて、大地震が発生したときに、一人でも多くの都民の命と財産を守るためには、地域の自主防災組織はもとより、警察、消防、自衛隊等が緊密に連携し、迅速な初動対応を図ることが大切です。そのためには、平素から、防災訓練の実施等、十分な備えをしておかなければなりません。
 知事は、先般、「ビッグレスキュー東京二〇〇〇 首都を救え 」と題して実施する、今年度の総合防災訓練の骨格を明らかにされました。これによれば、十カ所の会場で、自衛隊を初め警察、消防等の大規模な参加を得て、実践的な訓練を実施するとのことであります。
 改めて、このビッグレスキュー東京二〇〇〇に対する知事の基本的な考え方をお伺いいたします。
 次に、東京都震災予防条例の改正についてでありますが、現行の条例の課題については、一体どういうことが認識されているのか、どのような視点から改正されようとしているのか、知事のご所見を伺います。
 次に、防災対策に関連して、臨海副都心の整備について伺います。
 臨海副都心は、液状化対策を施した共同溝に地域内のライフラインが収容されているなど、安全なまちとしてつくられている上に、災害時にも孤立せず、周辺地域との連絡や他地域への支援活動を迅速に行うことが可能な立地特性を持っています。
 臨海副都心は、こうした好条件に加えて、有明の丘などのまとまった土地を有しており、そこでは、災害時、後方医療施設として機能する病院が、平成十六年春をめどに開業する予定であります。また、国際展示場に隣接し、緊急物資の一時保管や荷さばき、避難場所としても活用可能であります。さらに、他地域で災害があった場合には、後方支援基地として、広域防災拠点の機能を担うことが期待されるわけですが、こうした機能を十分に発揮させるためには、緊急物資の輸送路となるアクセス道路や、海上輸送基地など、周辺部の整備も一体的に実施することが必要と考えます。
 都財政が大変厳しい状況にある中、こうした整備を可能とする新たな国庫補助制度の創設について、国に強く働きかけ、国の財源の確保を図り、臨海副都心を広域的な防災拠点として、整備を着実に進めていくべきと考えますが、港湾局長の所見を伺います。
 次に、火災や震災時に重要な存在となる、特別区の消防団について伺います。
 消防団は、日ごろから、消火ポンプの扱いや水防方法、救命救護等、災害発生時に必要な能力と技術を習得し、高めるべく、規律正しく訓練に励んでいる組織であります。
 また、団員各位におかれましては、その町に暮らす人々ですから、町の状況はもちろん、そこに住む人々の暮らしぶり、避難場所や貯水槽、消火栓や消火器、土のうのありかなど、災害発生時に必要な知識を十分備えていらっしゃる方々であり、まさしく地域自主防災の中核を担っていただく方々であります。
 ところが、団員の活動の拠点である、各消防団の分団格納庫の状況を見ますと、何と五平米程度の極端に狭いもの、老朽化の著しいものがほとんどで、とても地域の防災活動拠点とはいいがたい状況にあります。また、火災などで緊急出動をする際のポンプ搬送車は、いまだに人力車であります。明治、大正の時代ならともかく、平成の、国際都市東京の自主消防装備としては、古色蒼然に過ぎるといわざるを得ません。
 士気旺盛な消防団活動に触れ、一方でこうした現実を見るとき、知事のいわれる地域自主防災組織への呼びかけが、むなしく、時に腹立たしくさえ聞こえてまいります。
 早急に近代化を強く要望するものでありますが、消防総監の強い決意に満ちた答弁を求めます。
 次に、地方分権の推進について伺います。
 この四月から地方分権一括法が施行されました。機関委任事務制度の廃止などの改革が行われました。しかし、最も肝心な国から地方への税財源の移譲が先送りされるなど、いまだ多くの課題があり、引き続き国に対して働きかけていくことが必要であります。
 また、地方自治体みずからが積極的に分権改革を進めていくことも肝要であります。その意味で、都が、独自の取り組みとして、区市町村の自主性、自立性の一層の向上を図ることを目的に第二次東京都地方分権推進計画を策定されることを高く評価するものであります。
 この第二次計画は、今年九月に策定するとのことですが、先般、その中間のまとめが公表されました。まず、権限移譲などの分権を進めるに当たっては、都と区市町村が、それぞれ、どのような役割を担っていくかが重要であります。
 都が担うべき役割について、どのようにご認識をしていらっしゃるのか、知事のご所見を伺います。
 次に、区市町村の自立性、自主性の向上を図るためには、その権限を拡充していくことが不可欠です。そして、区市町村行政がどのような分野で充実していくかは、住民にとって大きな関心事であります。
 第二次計画の中間のまとめでは、都から区市町村へ、千百項目を超える大幅な権限移譲を提案していますが、この計画によって、区市町村行政はどのような部分で大きく変わるのか、総務局長の具体的説明を求めます。
 また、これだけの大幅な権限移譲は、区市町村行政に大きな影響を及ぼすものです。これを具体的に進めるためには、その手順や区市町村に対する支援が重要となります。
 今後、区市町村に対する権限移譲を具体的にどのように進めていくのか、総務局長に伺います。
 次に、多摩地域の問題についてお伺いします。
 多摩地域は、かつての急激な人口増加に伴う都市化に社会資本の整備が追いつかず、ある程度社会資本が整っていた特別区と比べて、いろいろな面で格差があるといわれてきました。
 しかし、先日発表されました多摩の現状分析報告書によりますと、格差問題については、かなりの部分で解消されている一方で、社会経済状況の変化などによって新たな行政課題が発生していると報告されています。これら多摩地域の変貌や発展の可能性を踏まえ、これまでとは違う新たな発想による、二十一世紀の羅針盤となる振興策の必要性が高まってまいりました。
 知事は、今年の第一回定例会の施政方針において、多摩地域を大きな可能性を秘めた地域として、地域の個性や独自性を生かした多摩の将来像を今年度に策定すると明言されました。我が党も、今回の多摩の将来像には、大きな期待を持っているところであります。
 そこで、この多摩の将来像はどのような考え方で策定されようとしているのか、知事のご所見をお伺いいたします。
 次に、市町村における新築住宅にかかわる固定資産税、都市計画税の減免措置についてお伺いいたします。
 都は、石原知事の大英断によって、二十三区の区域における減免措置を行うことを決定し、既に本年一月二日以降新築された住宅から適用されているところであります。このことは、景気回復の刺激策として、また、良質な住宅ストックの形成に資するものとして極めて意義のあることであります。
 同時に、この目的を踏まえれば、都民すべての期待にこたえるべきであり、市町村においても減免を行うことができるよう配慮すべきであることはいうまでもありません。都議会も、第一回定例会で決議をしたところであります。
 一方、市町村の現状は、住民の要望にこたえ、減免措置を行いたくても、財政状況が極めて厳しく、また、都が財政支援をいまだに明確にしないことなどもあって、減免措置を決定した市町村は今のところありません。
 今回の減免措置は、課税権を持つ市町村が判断すべき課題であるという考え方もわかりますが、しかし、景気対策などを目的とする広域的な政策であるならば、市町村が早期に判断し実施できるよう、都として、直ちに財政支援を行うことを明らかにすべきであります。知事のご所見を伺います。
 財政、税制について伺います。
 知事は、就任早々、財政再建に取り組む決意を表明され、昨年七月には財政再建推進プランを策定されました。
 聖域なき施策の見直しを旗印に、その実行のためには、まず、都みずからが厳しい内部努力を行う必要があるとの観点から、全国で最も厳しい職員の給与削減を断行されました。十二年度予算も、歳入、歳出の両面にわたる徹底した見直しを行うことで、一般会計で六兆円を割る超緊縮型の予算を編成されました。銀行業等への外形標準課税の導入など、あとう限りの知恵も絞られました。
 にもかかわらず、冒頭でも触れましたが、財務局は、十一年度の決算は前年度に引き続き大幅な赤字となり、その金額は、実に八百八十一億円になることを先日明らかにいたしました。また、経常収支比率は、昭和五十三年以来、再び警戒水準である一〇〇%を超える見込みであります。
 このような財政状況について、知事の率直なご感想をお聞かせください。
 また、十三年度以降、外形標準課税の増収分を考慮しても、引き続き巨額の財源不足が見込まれます。この巨額の財源不足を解消するためには、内部努力はもちろんのこと、引き続き施策の再構築や税財政制度の改善等、財政構造改革に積極的に取り組んでいく必要があります。
 財政構造改革にかける知事のご決意を改めて伺っておきます。
 次に、東京都版税調について伺います。
 このたび、東京都税制調査会が設置され、六月一日に第一回会合が開かれました。東京都に税制調査会がなかったこと自体が不思議なことでありまして、遅きに失した感は否めませんが、まずは石原知事のご英断に、心から感謝と敬意を表する次第であります。ありがとうございました。
 この都税調では、今後三年間審議を行って、地方税制度や国と地方の税源配分に関する提言を行うとされています。この四月より地方分権一括法が施行され、地方に事務事業が大幅に移管されましたが、もとからの自治体の財源不足に加えて、今回の事務事業処理に必要な財源についても、全く見通しが立っておりません。国は、自治というものをどう考えているのか、本当に許せない思いであります。
 このように、山積する地方税制度の課題に対して、都税調が実効性ある取り組みを進められること、今まで時間ばかりかけて結論を先送りしてきた人々の目がぱっちり覚めるような、鮮やかな提言を大いに期待しております。都税調に対する知事の基本的なお考えを、改めて伺います。
 また、通常、年末に行われている政府の税制調査会の答申に先駆けて、都税調は提言をまとめる予定とされています。政府の税制調査会に東京都の税調がいかにして大きな影響を与え、地方税財政制度の改善に結びつけていくのか、今後、まさに東京都版税調の真価が問われていくことは間違いありません。
 都税調の検討対象は、都の税制のみならず、地方税制全般にまで及ぶものであり、その提言は、全国の自治体にも大きな影響を与えるものと考えます。
 そこでお尋ねしますが、知事は、この東京都版税調の提言をどう活用されようとしているのか、他自治体とどういう連携を考えていらっしゃるのか、ご所見を伺います。
 次に、知事が提唱されている心の東京革命について伺います。
 子どもの育成は、いずれの時代にあっても、社会が存続、発展していく上で最も重要なテーマであります。とりわけ、少子化社会の進展する現状において、次代を担う子どもたちに寄せられる期待はますます大きくなってきています。
 しかし、最近は、ご存じのように少年による凶悪犯罪が続発し、大きな社会問題となっています。問題の根幹には、子どもたちの心の荒廃と社会性の欠如があると思えてなりません。国においても、子どもたちの心の荒廃について取り組みを始めております。知事が国に先駆けて心の東京革命を推進されることは、時宜を得たものと高く評価します。
 知事は、これまでも、施政方針などで二十一世紀を担う子どもたちの育成について触れていらっしゃいますが、改めて知事のご認識を伺います。
 あわせて、心の東京革命行動プラン策定後の具体的な展開について、知事の説明を求めます。
 なお、公教育がゆがめられている事案が最近起きています。これについて、あす、我が党の議員から事実の究明を図るために質問をいたします。誠意あるご答弁を、きょうから期待しておきます。
 次に、都民サービスの充実の観点から、旅券窓口の土、日開庁について伺います。
 パスポートは、海外旅行が一般化した今日、都民の三人に一人が所持していますが、今後とも増加し、運転免許証並みに、二人に一人が持つ日が来ることもそう遠くはないと思われます。
 さて、都民がパスポートを取得するための窓口は都内に四カ所ありますが、ここには、年間延ベ百六十万人を超える都民が申請手続と交付のために訪れております。まさしく旅券窓口は、多くの都民にとって最も身近な東京都の窓口であります。
 最近、他府県や区市町村などでは、窓口の夜間延長や土、日開庁などのサービスを行い、住民から好評を得ています。また、二十四時間営業のコンビニエンスストアでは、公共料金の支払いばかりでなく、旅行代金の支払いもできるようになるなど、官民を問わず、次々とサービスが拡大されています。都も、こうした動きにもっと敏感になるべきであります。
 都民の方々からも、忙しくて、パスポートの申請と交付のために二日も仕事を休めない、仕事や学校を休まずに取りに行けるように、土、日も窓口を開いてほしいという切実な要望を聞きます。都民の期待にこたえて、早急に、土、日の旅券交付など思い切った窓口サービスの拡大を図るべきと考えますが、生活文化局長の所見を伺います。
 都市ビジョン及び都市計画について伺います。
 私は、首都移転問題に毅然と対決し、都としてこの問題を早期に解決するためにも、二十一世紀においても引き続き首都機能を担い続けるにふさわしい東京圏の姿や、その中心である東京の都市づくりの道筋を明確に示していくことは大変重要なことであると考えております。
 先般、五月三十一日には、東京都都市計画審議会、都市づくり調査特別委員会から、「社会経済情勢の変化を踏まえた、東京の新しい都市づくりのあり方」に関する中間のまとめが報告されております。
 都は今後、五十年先の東京を見据えた都市づくりビジョンを策定するとしているわけですが、東京都技監、なぜ今、新しい都市づくりへの取り組みが必要なのか、都民にわかりやすくご説明を願います。
 また、これまでの都市づくりでは、一体、何が欠けておって、どのような課題が残されていると考えていらっしゃるのか、あわせてお伺いいたします。
 一方、東京をめぐる社会経済情勢が大きく変化する中で、これまでの多心型都市構造に対して、二十一世紀にふさわしい新たな都市構造の考え方が必要ではないかとの意見も寄せられております。中間のまとめではどのような考え方を示しているのか、都技監に、あわせて答弁を求めるものであります。
 知事は、この中間のまとめをどのように受けとめ、今後の東京の都市づくりを進めていく考えでいらっしゃるのか、基本的な認識を伺っておきます。
 ところで、去る五月に都市計画法が改正されました。都道府県が都市の将来像を示す、都市計画マスタープランの策定を義務づけられたと聞いています。
 そこで、東京都技監、このマスタープランは、どのような役割を持ち、また、どのように策定していくお考えであるのか、お伺いします。
 また、都市計画マスタープランにおいては、土地利用や都市基盤整備の方針はもとより、用途地域等の具体的な都市計画のあり方も示されるものと思います。そこで、このマスタープランの策定とあわせた用途地域の見直しが必要と思われますが、都技監の所見を伺います。
 次に、羽田空港問題についてであります。
 羽田空港の国際化は、東京がグローバリゼーションの時代に世界の都市間競争に打ち勝つために、絶対に実現しなければならない課題であります。そのためには、成田空港が抱える諸問題との調整、解決も、また重要な課題であると考えます。
 先ごろ、千葉県の成田空港対策協議会は、羽田空港の国際化に対し、冷静な論議を求める声明を満場一致で採択したと報道されております。これまで強硬な反対論ばかりを主張してきた千葉県側からこのような論議が起こることは、まことに歓迎すべき好ましいものであります。
 我が党は、かねてより、羽田空港の国際化のために、都が積極的な活動を行うべきであると訴えてまいりました。いみじくも去る六月上旬、都は、羽田空港の国際化に関して国に要望書を提出したとのことでありますが、この時期に要望を行った理由について、まず知事に伺っておきます。
 また、新聞報道によりますと、成田空港の利便性向上に対しても、都として協力していく考えを表明したと報ぜられております。東京都技監、都の協力とは具体的には一体何であるのか、お伺いをいたします。
 次に、自動車公害対策について伺います。
 昨年八月以来、国や全国の自治体に先駆けて都が開始したディーゼル車排出ガス対策への取り組みは、自動車メーカーや石油メーカーが、新長期規制の前倒しや低硫黄軽油の早期供給を表明するなど、産業界の積極的な取り組みを引き出したばかりでなく、国においても、排ガス対策の強化についての検討が開始されるなど、都が産業界を引っ張って、国を引っ張って、問題解決の道筋をつける大きな成果を挙げています。
 当初は、「ディーゼル車ノー」という極めて強烈なキャッチフレーズから、トラック業界などのユーザーをターゲットにしているとの印象がありましたが、さまざまな議論を通して、この問題は、特定業界が背負う課題ではなく、社会全体で取り組むべき課題であるという認識が広がりつつあります。また、規制の効果を考えても、ひとり東京都だけが規制を実施するのではなく、より広域的な地域での実施が好ましいことはいうまでもありません。
 既にお隣の埼玉県においても、埼玉県知事みずからがディーゼル車対策のための条例制定を表明するなど、都の提案は、近隣自治体への広がりも見せております。また、関西の自治体でも対策を立てる動きが出ていると聞いております。
 都は、六月二十六日に開催された国の中央環境審議会の場で、これまでの都のディーゼル車規制の方針を集約した提案を行ったと伺っております。
 そこで、都は、ディーゼル車排出ガス対策を、東京だけにとどまらず、より広い地域で実現していくために、他の自治体と連携して取り組みを進めていくべきと考えますが、知事のご所見を伺います。
 また、浮遊粒子状物質を削減するためには、既に使用過程にある車の対策に加えて、ディーゼル車をCNG車、LPG車、ガソリン車等に転換していくことが抜本的な対策ともいえます。しかしながら、これらの車を普及させていくには、まずスタンドが足りない、価格が高い、生産台数が少ないなど多くの課題が横たわっています。
 さきの運輸政策審議会小委員会からの中間報告では、二十一世紀初頭における環境自動車の開発、普及の方向性を、乗用車、トラックなどの車種別に提示しております。今後の自動車メーカーの技術開発の指針になることが期待されておりますが、しかしそうはいいましても、東京の大気汚染が現在の待ったなしの状況にあることを考えれば、十年後の新車開発にすべてをゆだねることは到底できません。
 ディーゼル車NO作戦では、代替可能なディーゼル車からガソリン車等への代替義務づけを提案していますが、これは、単に条例で規制すれば済む問題ではありません。その規制が多くの人にとって受け入れやすい状況となるよう、どのように整備していくのか、都の施策形成能力が問われているところでもあります。
 そこで、粒子状物質はもちろん、窒素酸化物においても、低公害であることが広く認知されているにもかかわらず普及が進まないCNG車についてどのように取り組んでいくおつもりか、環境局長の所見を伺います。
 次に、産業廃棄物問題について伺います。
 さきの通常国会では、ごみの発生を抑制することを最優先し、生産者に対し製品の一部の回収責任を求めるなど、大量廃棄社会から循環型社会への転換を目指して、循環型社会形成推進基本法が成立しました。
 都は、先日、廃棄物審議会を設置し、産業廃棄物処理計画の策定について諮問しました。そこで、この計画の策定に当たりましても、単に廃棄物になった後の処理のことだけではなく、生産、流通の段階にさかのぼって、廃棄物の発生抑制を進めるための計画とするべきであります。知事のご所見をお伺いいたします。
 次に、福祉行政についてであります。
 今、福祉制度は大きく変わろうとしています。高齢者の分野では介護保険制度が始まりましたが、子ども家庭や障害者の分野でも大きな制度改革が進んでおります。本年の五月には、社会福祉事業法が施行以来初めて抜本的に改正され、法律名も社会福祉法に変わりました。このことによって、福祉制度全般にわたって、都民みずからが選択し、利用する福祉制度に転換していく流れが確実なものとなりました。
 今後、多様なサービスの提供主体の参入を促進し、選択に足りる十分なサービス量を確保するとともに、利用者の満足度が得られるよう、質的にも高いサービスが提供されることが重要になります。
 特に平成十五年からは、障害者等の福祉サービスについても、行政が決定する措置から、利用者が選択して利用する制度へと大きく転換することとなります。
 そこで問題となるのは、実施までわずか三年しかないということであります。さらに、その二年後には、介護保険制度と統合がなされると思います。その間に急速に条件整備を行っていくことが、今、地方自治体に求められているのであります。これにどうこたえるかが現在の福祉行政の重要な課題であり、昨年末、知事が福祉改革ビジョンを策定したのは、まさにこのような状況にこたえるためだと考えます。この実現に向け、どう取り組んでいかれるのか、知事のご所見とご決意を伺います。
 次に、福祉改革ビジョンの実現に向けてであります。
 都はもとより、区市町村においても、厳しい財政状況下において、障害者や子育て家庭に対する福祉サービスの向上はなかなか進みません。福祉改革は、まさにこれからが正念場であります。福祉改革に全力を挙げておられる福祉局長は、今後この改革にどのように取り組んでいくべきとお考えになっていらっしゃるのか、ご所見を伺います。
 高齢者福祉についてお尋ねします。
 本年四月に介護保険制度がスタートしました。これからの急速な高齢化の進行を思うとき、この介護保険制度の趣旨を大切に育てていくことが、今、政治と行政に求められております。
 今、各区市町村は、競い合って、二十一世紀の地方自治を切り開き、高齢者福祉の充実に意欲的に取り組んでいます。都民も、身近な自治体のこうした動きに対し、熱い期待を寄せています。また、実際に、地域のニーズを掘り起こし、独自の施策に積極的に取り組もうという意欲的な自治体も多数出てきています。
 知事は、介護保険制度がスタートして三カ月が経過した現時点での状況をどのように認識しておられるのか、また、二十一世紀に向け、老後生活を安心して送れる高齢社会を実現するために、今後どのように取り組もうとされているのか、ご決意をお聞かせ願います。
 十二年度予算において、我々の強い要望に基づき、包括補助制度「がんばろう!東京福祉」事業が創設されたところであります。我が党がこの制度創設の要望をしたのは、子ども家庭、障害者、高齢者など施策の対象者ごとに、そして地域ごとに状況が大きく異なる現状を踏まえて、区市町村が自主的、積極的に福祉に取り組むことを力強く応援することこそが都の責務だと考えたからであります。
 区市町村の取り組みも前向きと聞いています。ぜひこの「がんばろう!東京福祉」事業を一層充実させていただきたいと考えますが、福祉局長のご所見を伺います。
 また、これからの高齢社会を展望し、知事が提唱される都市型高齢社会のモデルを東京に実現するためには、区市町村主体の地域福祉の推進とともに、高齢者の知識や経験の活用による福祉の推進も大きな課題であります。
 そこで、改めて地域での支え合いが広がるよう、高齢者のパワーが発揮されるための施策の充実が重要です。知事の所見を伺います。
 次に、六月二日に知事が発表された医療改革について伺います。
 医療は、すべての都民が安心して生活していくために欠かせない、いわば生活インフラともいうべきサービスであります。しかしながら、医療に対する信頼という点では、今日ほど危機的な状況に見舞われている時代もありません。毎日のように報道される医療事故のニュースを見ても、日本の医療は、技術的には高水準ではあるけれども、制度やシステム面で解決すべき多くの課題があると考えるのであります。
 石原知事が、ことしの第一回定例会における施政方針演説や六月二日の記者会見などで、医療改革に取り組んでいきたいと盛んにいわれているのも、そうした今日の医療の抱えるさまざまな課題に都みずからが取り組むことによって、日本の医療のあり方を変えていこうという強い意欲のあらわれであると受けとめております。こうした知事の意欲は、我が党としても大いに評価し、期待するものであります。
 そこで、医療改革について幾つかお尋ねします。
 まず、今日の医療についてどのような課題があるとお考えなのか、知事の基本的認識を伺います。
 さらに、東京都民は一体どのような医療を望んでいるとお考えなのか、東京の医療のあるべき将来像についても伺います。
 また、今回の医療改革では、東京発の医療改革と、その実現のための核として、都立病院の改革に取り組むと伺っておりますが、知事、一体いつごろをめどにこの改革を実現されようとしているのか、伺います。
 知事は、かねてより、三百六十五日二十四時間の安心を保障する医療体制の構築について言及されておられますが、その中核となるのは、救急医療の充実であります。
 都は、これまで、民間医療機関や区市町村の協力のもとに、初期、二次、三次救急という区分に基づく救急医療体制を整備してきました。このシステムは、都、区市町村、民間との適切な役割分担を踏まえた効率的な体制であると評価しています。今回の医療改革では、この初期、二次、三次の三層構造の救急医療体制を都としてさらにどのようにされようとしているのか、衛生局長の答弁を求めます。
 そして、今回取り組む救急医療の充実策の一つとして、都立病院の東京ERが大きく注目を集めています。ERとは、アメリカのテレビドラマにもなっていますけれども、エマージェンシールーム、総合救急診療科という救急医療の専門部門であります。これを、広尾病院、墨東病院、府中病院の都立三病院に整備していくというものであります。
 しかし、この三病院は、これまでも、生命危機を伴う、命の危機を伴う救急患者を受け入れる救急救命センター、いわゆるERとして機能していたはずであります。今回さらに東京ERとして整備するねらいは何なのか、現行の救急医療体制の中でどのように位置づけられるのか、知事の説明を求めます。
 現代は、チーム医療で患者に対応しております。そこで、知事が目指しておられる三百六十五日二十四時間の安心を実現しようとすれば、医師はもちろん、看護婦、検査技師等の十分な人員を配置する必要に迫られます。目標とする安心の医療を実現するため、都立病院として十分な医療スタッフを確保する決意はおありでしょうか。衛生局長の答弁を求めます。
 また、救急医療をより良質なものにするために、地域医師会を含む病院と診療所の連携をどのようにしていけばよいとお考えでしょうか。衛生局長のご見解を伺います。
 都立病院改革の重要なもう一つの取り組みは、都立病院の再編整備です。老人医療センターも含め、都立病院全体の再編整備を視野に入れて、都立病院改革懇談会を発足させると伺っています。都立病院関係の懇談会としては、平成元年から三年に行われたあすの都立病院を考える懇談会以来であること、また、今回は、改革や再編整備を目指すものということで、その議論の内容には大変注目いたしております。
 そこで、この懇談会では、都立病院の再編整備に向け、どのような内容の議論をお考えになっているのか、衛生局長に伺います。
 産業及び雇用対策について伺います。
 知事は、昨年四月に就任するや否や、相次いでニュース性の高い施策を発表されました。債券市場の構築、中小企業データベースの構築、中小企業等投資事業有限責任組合の設立などなどであります。また、今月にも産業振興ビジョンが発表されると聞いています。いずれも時宜を得た積極果敢な行動であり、我が党は高く評価すると同時に、その効果があらわれる日を一日千秋の思いで待っております。
 そこで、知事は、最近の東京の産業、とりわけ中小企業の現状をどのように見ておられるのか、また、都としての有効な応援施策をどう構築し、実現されようとしていらっしゃるのか、改めて伺います。
 過日の新聞にショッキングなニュースが出ていました。東京の小売業は、三店に一店が廃業予定だというのであります。東京の小売業の大半を占める商店街は、かねてより、巨大スーパーの進出や少子高齢化の時代背景の中で、店主の高齢化や後継者難の問題を抱え、その将来が危惧されてきました。
 商店街ににぎわいがあることは、都のまちづくりや地域の活性化の点からも必要不可欠なことであります。我が党も、これまで、元気を出せ商店街の施策などを柱に対策を講じてきたところでありますが、この際、東京の商店街の将来と活性化について知事のお考えを伺います。
 さて、先ほどちょっと話題にしました、知事の具体的な公約の一つでもありました債券市場についてです。
 ことし三月に発行したCLO、ローン担保証券には、予想以上に多くの企業、千七百社が参加し、七百億円もの新たな資金が優秀な中小企業に供給されました。中小企業に直接金融への足がかりをつくっていただく意味からも、非常に意義深いことであったと高く評価しています。
 今後できるだけ数多くの企業が直接金融への道を開き、東京の産業をさらに振興していくためには、今回発行したCLOの評価はどうであったのか、きちんと検証する必要があります。検証はなされたのか、なされたのであれば、その結果を、労働経済局長、ご報告いただきます。
 また、第一回発行の検証を踏まえて、今後この制度をどのようにしていくつもりでしょうか。労経局長にお答えを願います。
 次に、雇用問題です。
 景気が回復しつつある中にあっても、完全失業率は戦後最悪の水準を維持し、深刻な雇用不安は続いています。その中にあって、特に高齢者には極めて厳しい状況が続いております。
 今後、都としても、中長期的な観点から、高齢者にふさわしい多様な働き方や職域の拡大を図っていく努力が必要と考えます。労経局長の所見を伺います。
 次に、ユース・プラザについて伺います。
 教育庁は、五月二十六日、多摩地域ユース・プラザ基本構想を発表しました。また、昨年、区部におけるユース・プラザの基本計画も発表されております。
 ユース・プラザは、老朽化が著しく、利用率も低下している七つの青年の家を廃止して、新しく、時代のニーズに対応できる青少年社会教育施設として、多摩と区部の二カ所に設置されるものであります。
 都教育委員会は、都有地の活用を前提にユース・プラザ建設地の選定に当たっており、多摩地域ユース・プラザについては都立八王子高陵高校閉校後の跡地を、区部ユース・プラザについては都立夢の島総合体育館敷地内を建設予定地とすると聞いています。このことは、財政状況を勘案した工夫であり、評価したいと考えますが、宿泊施設の建設や改修など、この財政難の折、経費負担面で課題があると考えております。
 ところで、昨年九月、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律、通称PFI推進法が施行されました。これに関しては、我が党の藤沢政務調査会長が、さきの予算特別委員会で既に積極的な活用を提言しております。
 そこで、教育長に伺います。
 さきに策定された青年の家再編・整備計画に基づくユース・プラザの建設計画、事業手法はどのようになっているのか、また、PFI手法は、多摩地域ユース・プラザ建設の有力な手法と考えますが、ご見解を伺います。
 区部ユース・プラザについても同様と考えますが、あわせてご所見を伺います。
 次に、選挙事務の改善についてであります。
 選挙は、選挙管理委員を初め、たくさんの関係者に支えられて実施されてまいりました。適正かつ公正な選挙が実施されているのは、立会人等を務めていただく都民や、公示前から何カ月にもわたる多くの職員の労力の提供によるものであります。中でも投票日には、昼夜二十四時間労働の後、そのまま翌日の朝からそれぞれの職務に従事している状況もあると聞いております。職員の負担も大きく、選挙事務経費も多大となります。
 さて、海外に目を転ずると、アメリカ合衆国では、十一月のエレクションデー一日で、大統領選挙、上院議員選挙など数十種類の選挙が同時に行われますが、一部の州では、電子投票機により開票作業の迅速化が図られています。オランダ、ベルギーなどのヨーロッパ諸国でも、電子投票機の導入により、極めて短時間で集計が可能になったと聞いております。
 今日、国際社会では、IT革命が急速に進み、選挙事務も例外ではありません。都民の投票の利便性を拡大しつつ、従事職員の負担を軽減するためには、電子投票制度の導入は不可欠の課題と考えます。
 そこで伺いますが、電子投票機を導入するとどのような効果が期待できるのか、選管事務局長にご説明を願います。
 次に、現行法では、自書式により投票が義務づけられているなど、その実現に向けて克服すべきことが多くあると思います。選管事務局長、どのような課題があるのか、具体的な答弁を求めます。
 我が党は、現在さまざまな問題があるとはいえ、今日の情報関連機器の技術進歩の著しいスピードを考えれば、近い将来、必ず克服できるものと考えています。また、その際、先進的な海外の事例から学ぶところも多いと考えます。都においても、電子投票制度の導入に向けて調査研究を進めていると聞いています。選管事務局長、取り組み状況はどうなっているのでしょうか、お答えください。
 最後に重ねて申し上げます。
 都財政の再建はいまだ始まったばかりであります。大幅な実質赤字を抱え、財政の弾力性を示す十一年度決算における経常収支比率も、警戒水準を超える見込みであります。引き続き極めて厳しい状況、さらに今後、膨大な公債費の償還、職員給与の問題、高齢人口の増加等に伴う財政負担が生じ、これからがまさに正念場であります。
 この巨額の財源不足を賄うには、さらなる内部努力はもちろん、引き続き施策の再構築や税財政制度の改善に積極的に取り組んでいかなければなりません。銀行業等への外形標準課税の導入や、一部の企業収益が増加したことなど、都財政にとっての一部明るい材料が、多くの都民や都庁内部に、何とかなりそうだという楽観的ムードを生んでいるとすれば、それは大きな誤りであります。
 また、分権法が施行されても、肝心の財源が伴わない分権では、全く意味がありません。地方税制度や国と地方の税源配分を大きく変えなければならない時期にあることは、だれにもわかっていることであります。今問われているのは、まさに勇気と決断であります。今後の都税調の画期的、歴史的な提言を重ねて期待をいたします。
 冒頭にも申し上げましたが、今回の衆議院議員選挙では、東京で実に厳しい審判を受けました。このことは、都市政策に対する都民の警鐘と批判と受けとめております。我が党は、より一層都民にわかりやすい都市政策を明確に示しつつ、都民の信託と期待にこたえていく決意を改めて表明し、明快な答弁を求め、私の代表質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 松本文明議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、首都移転問題でございますが、先般の国の特別委員会の決議は、本当に一言の議論もなしに決まったようでありますけれども、都としても、解散前のアリバイづくりと考えておりますが、もとより手をこまねいているわけではございません。
 候補地の動きもありまして、来るべき候補地と東京都の比較考量などに向けての、東京の圧倒的な優位性を示すことを着実に準備してまいります。
 また、東京を二十一世紀の首都にふさわしい都市としていくことを、東京構想二〇〇〇等で全国にもアピールしていきたいと思っております。
 今年度の国への提案要求においても、首都移転反対は最重点事項として、近々、私みずからも国に出向いて、直接要求するつもりでございます。また、国の特別委員会等への働きかけももっと強めていきたいと思っております。
 今後とも、東京都だけではなくて、周囲の七都県市等とともに、都議会も含め、地方の議会も含めて、連携を強めながら、移転が白紙撤回されるまで反対運動を展開していくつもりでございます。
 次いで、都立大学の改革についてでありますが、その質問に加えて、私の教育論ということでございますけれども、これは話すと長くなりますが、私は、やはり日本の教育というのは、出だしから戦後間違ったと思います。
 それは、ドイツと日本が、降伏したときの事情がはるかに違いまして、ドイツの場合には、降伏をしながら三つ条件をつけました。それは、一つは、ドイツ国民の子弟の教育はドイツ自身がやる、新しい憲法はドイツ自身がつくる、降伏はするが、次の日からも国軍はきちっと残すということでありましたが、日本は、ポツダム宣言を受諾しまして、これを、マッカーサーが、ミズーリ号の調印式の翌日に全くとんでもないうそをつきまして、日本は無条件降伏をしたといい切って、私たち愕然としたわけでありますが、これは決して無条件降伏ではなしに、ポツダム宣言の受諾は、あくまでも無条件で日本軍の武装解除をするということだけでありましたけれども、それをマッカーサーがそういいかえたわけであります。
 その結果、つまり憲法は押しつけられ、日本の教育は彼らの手によって改ざんされ、そしてまた軍隊というのは廃止されて、警察予備軍から今日の自衛隊になってきたわけでありますけれども、その過程で、日本の戦後の教育というものに、実は日本人自身の主体性がどこにも込められてなかったということは、まさにざんきでありました。
 その後、反体制を標榜する、非常にこっけいなイデオロギーを信奉するやからが日本の教育を壟断いたしまして、今日このていたらくになりました。
 でありますから、東京にはそういう問題が一番先鋭的にあらわれておりますので、何とか東京都の大学も中学も高校も小学校も含めて、つまり、東京からの新しい教育改革のヌーベルバーグを起こしていきたいと思っております。
 ご質問の大学の改革でありますけれども、ともかくも、一応大学は日本の教育の最終ターミナルでありますから、これを直すことで、遡行して、小学校までいろいろないい影響を与えることができるんじゃないかと思っておりますが、いずれにしろ、日本の教育全般、つまり、過去に、西欧に追いつき追い越せという国家の近代化の悲願というものを実現するために、ごく限られた人材、つまり、官僚、軍人、エンジニア、あるいは社会的な技術者であります弁護士、お医者さん、そういった人たちだけを集中的に育てる教育が続いて、それは一応成功いたしましたけれども、戦後もそれがなお続いているということに実は大きな誤謬がありまして、これはまさに歴史の推移にラグを構えて、ギャップを構えて、その教育を受ける若者たちの本当の需要を満たしていないといううらみがございます。
 そういうことで、今後東京から、大学も含めて、新しい教育の方法といいましょうか、目的といいましょうか、価値観というものを確認し直して、個々人が持っております能力、創造力を十全に引き出すような、そして、そういう人たちが新しい発想で次代を担って切り開いていく、そういう人材を育てる教育というものを、大学の改革も含めて行っていきたいと思います。
 先般、都立大学の幹部の教授たちに会いました。その中のある人たちが、かつて私たちと違うイデオロギーを標榜してどういう活動をされたかというのは、私十分承知しておりますが、もうそのことは問わない。あなた方も、それなりに間違った観念を抱いて物事をよくしようと思った努力は、それは多とするから、そのエネルギーを、今度は、そういう立場を超えて、観念の立場を超えて、現実に大学をドラスチックに変えることで時代の要望にこたえる、自分たちが教えている子弟を満足させる、そういう改革に努力をしてほしい、協力してほしいということを申しました。
 ある人たちは苦笑いしてうなずいておりました。ある人はそっぽを向いておりましたが、これはやはり協力せざるを得ないと思いますし、これで直らなきゃ、私はもっとドラスチックなことをやろうと思っておりますから、いずれにしろ、国がのろのろし、一向に実が上がりませんので、みんなで知恵を出し合って、東京からとにかく大きな引き金を、教育についても引いていきたいと思っております。
 次いで、三宅島の私の訪問に関しての、あれはデマだったんでしょうか、しかし、事実は事実としてあって、だれかが知事歓迎の拍手の練習をさせたようでありますけれども、それが東京の支庁の職員であったかどうかは存じませんが、彼が否定するなら、ある人がそれなりの好意で、何か仄聞しますと、議席を持った地方の政治家だったようでありますけれども、そこのところはつまびらかにいたしませんが、いずれにしろ、大事なことは、事前も事後も、災害に見舞われた方々に対する十全なサービス対処というものを都がするということでありまして、それが行われれば、私はもう余計なことを申すつもりはございません。
 次いで、(「だめだよ、知事らしくないよ、その答弁は」と呼ぶ者あり)いや、まだ事実関係わかっていませんからね。(「情報管理の問題でしょう」と呼ぶ者あり)それじゃ、もう一回事実関係を確かにして、ですから私は、要するにぬれぎぬを着せられた支庁のスタッフの名誉もあるでしょうから、それは、後日、もうちょっときちっと確認をした上で、きちっといたします。それについての詳細な報告を受けておりませんから、その段階できちっといたします。
 次いで、ビッグレスキュー東京二〇〇〇についてでありますが、これは、台湾の例も見ましても、あるいはアメリカの西海岸でのいろいろな災害のときの状況を見ましても、アメリカの場合は要するにステーツアーミー、州軍でありますが、台湾の場合には国軍が出て、見事な援助をいたしました。それから、反例として、神戸の震災のときに、政府が非常に判断を誤ったといいましょうか、遅れて、自衛隊の出動が遅れたために、要らざるーー人命が結果として失われた。
 そういうものを踏まえまして、東京を襲うかもしれない直下型の大地震から一人でも多く都民の生命を守るためには、これはやはり警察や消防だけでは賄い切れない。ゆえに、私は、陸・海・空の三軍というものに協力していただいて、援助の体制をとろうと思っておりますし、先般、三宅島の災害を視察に参りました。あのときもやはり、これはちょっと驚くほど多くの艦船が三宅島の周辺に張りついておりまして、合計二十三隻だったそうでありますけれども、あれはやっぱり、島で不安をかこっている方々から見れば、周囲にどこを見ても軍艦があり、保安庁の船があり、いざというときはとにかくこれで即座に退避できるぞという、そういう安心感を与えたと思います。これまた一種の、何といいましょうか、抑止力にもなると思いますし、そういうことで、こういう(発言する者あり)抑止じゃないですか、不安に対する抑止じゃないですか。
 こうした基本認識に立って、今回は、銀座などの十カ所の会場で、地域住民や関係防災機関と連携して、陸・海・空三軍の統合運用の、大規模に参加して、危機対応能力を最大限に発揮した訓練を行うことといたしております。
 ちょっと風邪引いているので、お聞き苦しいかと思いますが……。東京都震災予防条例の改正についてでありますが、これは先ほどちょっとつけ焼き刃で勉強いたしましたけれども、昔の条例というのは非常に古くて、つまり今般の大きな震災で、家屋の中での被害というのは、自分で買い込んだ家財、道具等がひっくり返ったりおっこちてきてするけがが非常に多いようでありますが、これは東京都がそこまでカバーできる問題じゃない。そういうものに備えて、一つの家具なら家具の据え方というものも、やっぱりそれぞれの都民が、各家庭で考えていただかなくてはいけないことであります。
 これは要するに、みずからを、まずみずからが守るということでありまして、そういうものも想定して、制定後二十八年が経過して、都市構造や社会状況が大きく変化して、その中で、震災対策を進めていく上でも、今の条例にはちょっと限界が生じております。ということで、こういったものを改正して、条例にものっとって、個々人の努力、自助努力もありますが、いずれにしろ、総合的に震災対策を一層充実強化するため、これまでの行政主導の考え方から、都民、事業者及び行政がその責任と役割をそれぞれ分かち合って明らかにし、それが互いに有機的に連携を図ることで犠牲を最小限に食いとめるという、そういう努力をしたいと思っております。
 次いで、都が区市町村との関係において担うべき役割についてでありますが、地方分権は、住民に身近な行政は、住民に身近な地方自治体の判断と責任で行うという理念を基本にして進めていくべきものと心得ております。その基礎的自治体である区市町村の権限を拡充していくことが必要であります。
 こうした観点から、都は、今後、都道府県を単位とした規制や広域幹線道路の建設など広域にわたるものや、区市町村に関する連絡調整などの分野に重心を移していくことが必要であると認識しております。
 次いで、多摩の将来像策定についてでありますが、後でも述べますけれども、東京の対抗馬の有力な一つであるニューヨークなどを眺めましても、いわゆるニューヨークというものは、決して象徴的に、マンハッタン島だけでできているわけではありませんで、あそこを外れればもっと違った状況の市街がございます。私は、それは非常に東京の二十三区と多摩とのかかわりに似ていると思いますし、そういうものを踏まえて、多摩の将来像の策定について考えていきたいと思っております。
 今までもるる申しましたが、社会的、経済的状況の変化で、多摩の意味合いというのは随分変わってきました。また、それに付随して新たな行政課題が生じてもおりますし、今まで想定しなかった地域発展の可能性も高まっております。
 こうした状況の中で、多摩の将来像については、現在策定中であります東京構想二〇〇〇や都市づくりビジョンとの整合性を図りながら、多摩地域の豊かな可能性を時代の流れに沿って開発し、地域の特性を生かすという視点に立って、ソフト、ハードも含めまして、おおむね十五年ぐらい後に完成し、かつまたそれが向こう半世紀は通用する、そういう多摩の将来像というものを想定し、また造形、造成していきたいと思っております。
 次いで、市町村における固定資産税等の減免措置に係る財政支援でありますが、二十三区から外れた市町村の要望は痛いようによくわかります。しかし、財政上の問題もありますけれども、いずれにしろ、ご指摘のように、課税権というものは各自治体が持っているわけであります。しかしながら、一方では、今回の減免措置が景気対策のために行ったものであることでありまして、市町村への財政支援について、都議会でも強い決議がされていることでありますし、これを十分考慮する必要があると認識しております。
 東京都としましては、都内市町村の固定資産税等の減免措置に対する財政支援については、市町村の財政運営や課税自主権に配慮しながら、しかし前向きに十分検討していきたいと思っております。
 財政状況についてでありますけれども、就任以来、財政再建を都政の最重要課題の一つと位置づけてまいりました。現に、給与削減を初めとする内部努力も、また聖域なき施策の見直しなどもやってまいりました。
 しかし、なお状況は決して楽観を許しません。まだまだ財政再建も緒についたばかりでありまして、現在の景気動向や今後の歳出増加要因を考え合わせますと、私は、政府がいっているほど景気がよくなってきている実感はございませんが、仮にそうとしても、おっしゃったように、これは要するに税収という形であらわれてくるにはタイムラグがございますし、その間、次の予算の編成もしなくてはいけません。
 来年は皆さんの選挙もありますし、なかなか厳しいご注文もあると思いますが、これはお互い、やっぱり最後は国のため、東京都のためやっているわけでありますから、ひとつ皆さんの方からも、財政はそっちでやってこいといわれずに、こうしたらどうだという案もありましたら、お知恵も出していただいて、みんなで協力して納得のいく政策を講じて、土俵を割らないように、都としても頑張っていきたいと思っております。(発言する者あり)そっち見てほしいか。そうか、それではこっち見て話そうか。(笑声)
 財政構造改革における決意についてでありますが、厳しい都財政の現況を考えれば、財政再建に向けた道のりは、まだまだはるかに遠く険しいといわざるを得ません。繰り返して申しますが、そのため、今後さらなる財政構造改革の推進が不可欠であると考えておりまして、初心を忘れることなく、不退転の決意で取り組んでいきたいと思います。
 次いで、東京都税制調査会に対する基本的な考えでありますけれども、危機的状況にある東京をよみがえらせるためには、現行の中央集権的な行政システムを根底から変革していくことが不可欠であります。これは何も東京だけじゃなしに、地方の時代といわれながら中央集権にさらされて圧迫されている地方自治体にとっては同じことでありますけれども、国は、地方税源の充実確保という地方主権のかなめとなる問題を中長期という形で先送りしてしまいまして、全く当てになりません。
 こうした状況の中で、地方の立場から税制改革の道筋をつけるべく、東京都の独自の税制調査会を設置いたしました。これは決して東京のためだけではなしに、必ず日本の他の地方自治体のためにもなると思っております。
 国の税調は決して地方の立場で物を考えておりませんし、東京都の税制調査会では、この地方主権の時代にふさわしい税財政制度について、これは地方自治体の権限を越えたものでも、国が裁量しているものにも、なお私たちは口を挟む権利はございますから、はっきり物をいっていきたいと思っています。
 そして、この調査会には、都議会議員だけではなくて、経済人などさまざまな分野で活動していらっしゃる方々に参加いただいておりますが、提言そのものが、要するに東京からの強力なメッセージの発信になると考えております。
 先般、ある機会に、国の税調の会長の、知己であります加藤寛さんと話をしました。加藤寛さんは、非常に国の税調の会長として東京都の税調に期待している、どんどんボールを投げ込んでほしいということをいっていました。あれはリップサービスじゃないと思いますので、そういう意味でも、国の税調が始まるより前に、私たち地方の立場でいろんなボールを国の税調に投げ込んでいきたいと思っております。
 また、私としましても、この提言を踏まえて、都独自に実施できるものについて、早急にその実現を図るとともに、制度改正が必要なものについては、都議会の協力をいただいて、全国自治体とも連携を図りながら、国を動かすべく努力をしていきたいと思っております。
 次いで、二十一世紀を担う子どもたちの育成についてでありますが、今後の日本社会の発展のためには、まず何よりも、社会の一員として必要とされる、本当の人間らしい心を持った子どもを真っ当な人間として育てていく必要があると思います。
 それにはやはり、社会人としての先輩であります、人間としての先輩であります親や大人が責任を持って、家庭、学校、地域及び社会においても、子どもたちに社会人としての基本的な心得を随時教えていくことが必要であると思います。それがまた、大人の子どもに対する責任であるとも思います。心の東京革命の推進を通じて、子どもたちが社会の基本的ルールを守り、豊かな人間関係が築けるように育成していきたいと思っております。
 先般、ある新聞で読みましたが、フランスのルジャンドルという思想家が、本当は子どもが大人に求めているものは、何がよくて何が悪いかということを、何が黒か白かということをだれかが強くはっきりとさせてくれることだと。私はそのとおりであると思います。それを私たちがいささか怠ってきたのではないかという反省もございます。若い世代がモラルをなくしたというのは彼らのせいではない、むしろ若者は破壊されているのだ、若者が崩壊しているのは、大人が背負い切れなくなった重荷を彼らに負わせた結果だと彼もいっておりますけれども、私たちはこれは含蓄のある言葉として、これからの子どもたちのしつけ、教育、つまり本当の心というものをはぐくんでいくための一つの大きなよすがになる言葉ではないかと思っております。
 次いで、心の東京革命行動プラン策定後の展開でありますが、この取り組みを社会的な運動にしていくためには、都民を初め学校や地域の関係団体と一体となった行動が不可欠であります。
 行動プラン発表後は、子ども会やPTA、ボーイスカウトあるいは宗教団体、地域地域での子どもたちの育成に携わっているいろいろな団体の方々を初め、広く都民にも参加を呼びかけまして展開していきたいと思っております。
 ことしの秋を目途に、大規模な都民集会やシンポジウムを開催するほか、学校と地域が連携して行うーーこれは兵庫で非常に成功している例が多うございますが、企業はチャンスを与えて、登校拒否しているような子どもたち、落ちこぼれそうな子どもたちに、教室ではなくて現実の職場でいろんな体験をさせることで、例えばお客さんに本当に頭を深く下げて、ありがとうございますという、つまりそのあいさつというものが与える、人間としての基本的な快感というんでしょうか、そういったものをつかませる努力を、兵庫県は随所でやって成功しているようでありますけれども、こういったものを東京でも取り入れて、積極的に社会全体で心の東京革命の行動プランを実施、展開していきたいと思っております。
 次いで、今後の都市づくりの進め方についてでありますが、国際的な都市間競争の時代にありまして、人や情報や資金が世界じゅうから集まるニューヨークは、東京のまたとない好敵手であります。
 彼我を比べてみますと、東京が明らかにまさっているところもありますし、明らかに劣っているところもありますし、ニューヨークが兼ね備えていない大都市としての機能、魅力というものを東京は持っております。同時に足りないものもございます。例えば、東京とニューヨークの空のアクセス、つまり飛行場というものを比べてみましても、相手は超音速旅客機時代のその対応のために九本もの滑走路がありますが、東京ははるかに、それに比べて劣っている。
 そういった、これからの国際都市にふさわしい機能を互いに比べながら、やっぱり刺激を受けて、東京の整備、発展というものを心がけていきたいと思っておりますけれども、今回の中間のまとめでも、今後の都市づくりを目標に、世界をリードする魅力とにぎわいのある国際都市東京の創造を心がけたいと思っております。
 私は、ニューヨークに負けない魅力と活力にあふれた国際都市としての東京たり得ると信じておりますし、五十年先を見据えた東京の都市づくりを、皆さんと一緒に知恵を出し合いながら積極的に進めて、都市の機能を担う東京圏全体の発展を図り、そこからまた日本に大きなてこ入れをしていきたいと思っております。
 次いで、羽田空港の国際化の要望についてでありますが、これは私も運輸省におりましたので、いろいろ中の事情を知っていますけれども、国の官庁というのは、いろいろな障害がありますと非常に神経質になりまして、いうべきことをなかなかいわない。いろんな形で慎重過ぎるほどタイミングをとって、やっと物事が進み出したようでありますが、東京のみならず、日本全体の活性化のために、首都圏における国際空港機能の充実は不可欠でありまして、これがなかったら、日本のどこへ首都機能を移そうと、SSTの飛んでこない首都なんかあり得ないわけでありますから。ということで、有力な拠点であります羽田空港の一刻も早い国際化を要望してまいりました。
 成田空港では、暫定平行滑走路の整備がようやく進められ、国においても、本年三月から、羽田空港の有効活用方策として国際航空需要への対応について検討が始まりました。もっと具体的な要望もしておりますけれども、先般、アメリカの議会筋から、日本の首都東京の空からのアプローチが非常に不便で、なってないのは、日本が意識して構えている非関税障壁であるという非常にありがたい非難がございました。このことを逆手にとって、私たちはこういう問題を解決していかなくてはいけないと思いますけれども、いずれにしろ、こういった状況の下で、羽田空港の国際化を早急に進めるよう、改めて何度も国に要望してまいるつもりであります。
 次いで、ディーゼル車排出ガス対策に関する他の自治体との連携についてでありますが、これは本当に東京だけやってもしようがないことで、他県から流れ込んでくる車がたくさんございますし、本当は国が全部大きな網をかけて対処しなくてはいけない問題なんです。
 私は、選挙の始まる大分前に、小渕前総理にいろいろ、口幅ったいいい方ですが、レクチャーもしまして、それで、これはあなたの一存で決心すれば全国民が助かることだから、ひとつやってほしいと。医者に花粉症を治してやるようなーー総理大臣があることを命令して、軽油の税法を変えるとか、あるいは一方的に業界の値段を上げることは許しても、なおとにかく条件に、ヨーロッパ並みに、軽油が含んでいるとされる硫黄分を十分の一に下げる、そういうものを一方的に政府が命令すれば、全国民が助かることだから、あなたは名政治家と同時に名医になりますぞという話をしたら、あの人はすぐ返事しないんですけれども、数日して電話がかかってきまして、わかった、あれやりますといって、ほっとして、私はやっと馬を川端まで連れてきて水飲ませるところまで来たなと思ったら、水飲む前に馬が倒れちゃいまして、まことに小渕さんにとっても痛ましいし、これは都民にとっても、国民にとっても痛ましい、東京にとっては非常にありがたい決心をしてくれた総理大臣だったんですけれども、まことに残念でございます。今度の方はどういう判断をされるかよくわかりませんが、まあこれからやってみますけれども……。
 いずれにしろ、ディーゼル車対策は大都市に共通する課題でありまして、今後とも、東京の首都圏を構成している七都県市や政令指定都市とも協力して、国に強く働きかけていきたいと思っております。
 肺がんの死亡率、死亡者の中のーー要するに粒子状物質による肺がんの死亡率というのは全国平均九%、繰り返して申しますが、東京は非常に高くて一六%、隣の千葉県は、何とがん死亡者の一八%がディーゼルガスの粉じんに起因しているということがわかっているわけで、現に大阪では、四三号線をめぐる尼崎の裁判で、きちっと地域を特定して裁判が行われて自治体が負けた。私はこれはやっぱり非常に大事なことで、同じ悩みを抱える東京都は非常にそれを敏感に感じますけれども、どういう人たちが構成しているか知りませんが、国の政府は割と鈍感で、それを支えているつもりの国の役人も非常に鈍い。ですから、これは東京だけでじたばたしてもなりませんが、できるだけ多くの大都市圏と語らって、全国民のために解決していきたい問題だと心得ております。
 次いで、産業廃棄物処理計画についてでありますが、文明発展のあしき副産物としての産業廃棄物、この多量発生は、その最終処分場の逼迫などが問題になって、非常にみんな懊悩しております。限りのある資源の有効利用も大きな課題でありまして、例えば一部のごみをリサイクルするためのデポジット方式などもいわれておりますけれども、役所同士の対立がありまして、国が大きな決定をするまでになかなかいかない、そういううらみがございます。
 いずれにしろ、今後はますます生産、流通にさかのぼった発生抑制が重要だと思います。多量生産、多量消費を基調とする社会構造から、生産段階より製品の長寿命化を図るなどの産業構造に転換していくこと、また、修理して長期使用するなど、そういうものを消費したり、使う人、つまり国民、市民が自身のライフスタイルというものを勘案して変革していくことが必要だとも思います。結局、みんなが加害者であり被害者であるわけでありますから。
 また、資源の有効利用と環境負荷の低減を図るためにも、新しい産業廃棄物処理計画では、発生抑制の取り組みを大きな柱の一つとするように審議会で検討していただいております。
 次いで、福祉改革の取り組みについてでありますが、福祉改革は、措置から契約への転換という本質的な変換期にありまして、都民がみずから選択し利用する新しい福祉の実現を目指すものでございます。私は、そのための指針として、昨年十二月に東京都の福祉改革ビジョンを発表いたしました。三年という限られた期限内に、ビジョンに示した内容を実現することはなかなか難しゅうございますが、何としてもやり遂げなければならない政策課題だと思っております。
 そのために、今後、年内を目途に、ビジョン実践のための福祉改革推進プランーー仮称でありますけれども、それを策定し、これに基づいて、区市町村と緊密に連携しながら、新しい福祉の実現に取り組んでいきたいと思っております。
 次いで、介護保険制度でありますが、スタートしたばかりでありますけれども、私も過日、足立区の状況を視察してまいりました。あそこは、ある意味で非常に都内でも進んだ、完備した施設があるところでありまして、あれをもってすべてとするわけになかなかいかないと思いますが、区市町村を初めとする関係者の努力によって、余り大きな混乱もなくスタートし、都民の理解も深まりつつあると認識しております。これからも介護サービスの基盤の整備やサービスの質の向上などに努めて、さらにこの制度をよりよいものとしていきたいと思っております。
 都は、介護保険の実施を契機に、超高齢社会に備えて福祉改革の第一歩を踏み出しました。新たな時代にふさわしいシステムを構築し、区市町村や民間などとともに、すべての高齢者が安心して暮らせる活力のある高齢社会を築いていきたいと思っております。
 次いで、地域の支え合いと、そういう作業の中の高齢者の活用についてでありますが、高齢者という言葉は、私はどうもよくわからない。私も、現今の概念だと、六十五を過ぎましたから高齢者のようでありますけれども、その実感もございません。
 ある人にいわせますと、高齢者というのは、きんさん、ぎんさんじゃありませんが、百何十歳でいる人からずうっととって、大体高齢者の、上の一〇%を高齢者というべきだと。私もなかなかそれはいいアイデアだと思いますし、それで仕切りますと、大体七十五歳以上が本当の高齢者で、この中にも何人かおられますが、六十五歳を過ぎた元気な高齢者は高齢新人類と呼ぶべきだそうでありまして、大変私は共感もいたします。
 ですから、その高齢新人類ですね、つまり可処分時間と可処分所得を、特に時間をたくさん抱えていらっしゃる、そういう見識のある、経験のある高齢者にもっともっと活躍してもらいたいと思うし、例えば非常に問題の多い小学校、中学校に、学生たち、生徒から見ればおじいちゃん、おばあちゃんがやってきて、いすを並べて一緒に先生の授業を受ける。それもとてもいい経験になるし、このごろの先生は頼りないから、生徒たちは先生に相談するかわりに、一緒に勉強しているおじいちゃん、おばあちゃんに相談するかもしれない。先生も案外、自分が教えているはずの生徒を頼りにするかもしれない。私はそういうコミュニケーションが世代を超えてあったらいいと思いますので、そんなことも、先般の心の東京革命じゃございませんけれども、そういう中に組み込んでいきたいと思っております。
 いずれにしろ、高齢者は豊富な経験や知識を持ちまして、時間も多く、コミュニティ活性化のキーパーソンとも思われます。今後、子どもの教育や高齢者の介護、地域社会の安全などの面で高齢者に大いに活躍していただき、地域の支え合いが一層進むように、区市町村とともに、こういった問題、具体的に啓発し合って取り組んでいきたいと思っております。
 さて、医療改革の基本的認識についてでありますが、私は、日本の医療というのは、どうも国の政治の本質をそのまま反映して、患者にとりますと、よらしむべし、知らしむべからざるという、そういう性格をいまだに備えている気がしてなりません。
 いずれにしろ、患者への情報提供の不足や医療機関の情報の不足など、非常に透明性というものが足りない。そして、初期救急や小児救急などの救急医療体制がまことに不十分であります。
 そしてまた、医療事故の発生、とにかく点滴にクレゾールを入れるようなばかなことをするわけでありますから、これはもう、こうなってくると本当に情報はおのずと漏れましょうし、信頼性が欠如していって、非常に危ういところに差しかかっているという気持ちを否めません。
 医療資源の地域偏在や硬直した病床規制、あるいは画一的で出来高払いの診療報酬制度などの効率性の不足など、いろいろな問題があると思います。
 これを克服していくためにも、東京からの医療改革を行っていきたいと思っております。
 私の周りにもいろいろ、医師でありながら、現行の日本の医療を非常に批判をしている方も多うございますし、いずれにしろ、いろいろな問題がありまして、例えば、初めて外部監査を入れまして、都立の病院というものを監査してもらいましたら、もう経理として話にならない。てにをはが欠けていて、全くどうにもならない。経営感覚なんていうものの以前の問題で、例えば売掛金が放置されていたり、そういった問題が枚挙にいとまがございませんが、それはそれ、また、これはこれで、いろいろな欠点というものを私たち指摘しながら、それを埋めていく努力を東京からの医療改革として行っていきたいと思っております。
 次いで、東京の医療のあるべき将来像でありますが、医療を受けるとき、だれでも多かれ少なかれ、病院に行くんですからちょっと不安がある。そういう不安に直面している弱い立場の方ですから、やはりお医者さんたちは、医療従事者を含めて、そうした患者の切迫した状況というものを人間的に敏感に感じ合ってあげるということが必要だと思いますし、何か自分たちが非常に選ばれた特別な技術者である、そういううぬぼれというのは全く意味がないし、こっけいだし、有害だと私は思います。
 私が考えます東京の医療の将来像は、繰り返して申したことでありますけれども、いつでもだれでもすぐに症状に応じた適切な医療が受けられる三百六十五日二十四時間の安心、つまり、警察や消防に対する私たちの依頼心というものが、やはり病院に対しても持てるということが必要じゃないかと思っております。
 いずれにしろ、患者が主体的に医療サービスを選択できる患者中心の医療を東京から提供していきたいと思っております。
 次いで、都立病院の改革の実現時期についてでありますが、まず、短期的な取り組みとして、救命救急センターを有する広尾、墨東、府中の都立三病院に東京ERをーー最初はこの答弁の用紙には三年と書いてあった。三年じゃ長過ぎるからだめだ、二年にしろと。私の責任で二年でやりますが、二年以内を目途として整備いたします。
 また、小児救急の充実や患者の権利章典の制定などについても早期に実現していきたいと思っております。
 次いで、都立病院の再編整備についてでありますが、早急に識者を集めて都立病院改革懇談会を設置して、地域性や医療機能の面からも検討し、来年夏に予定しております懇談会の報告を踏まえて、老人医療センターを含む都立病院全体の再編整備に着手したいと思っております。
 次いで、東京ERについてでありますが、このERの意味はよくご存じと思いますけれども、いずれにしろ、さっきご指摘のように、特に緊急医療というのはやっかいなケースが多うございますから、内科なら内科プロパーの専門医だけでは対処できないケースが多い。つまり、チームによる対処が必要とされてきますけれども、チームだけに人が多い、そうなってくると人がなかなか集まらないといううらみがありますが、これは、何とか克服するためにーー私、かねてイスラエルとの親善協会の会長をしておりまして、あの中東戦争が何度も起こったとき、イスラエルが予備役というものを実にうまく編成して、瞬時に有事のときにはきちっとした軍隊ができる、そういうリザーブシステムをつくっておりましたが、あんなものなども参考になるのかなあという気がしないでもございませんし、やはりいろいろ皆さんから知恵を出していただきまして、一たんのときに速やかにお医者さんが集まる、チームができる、そういう体制をとにかく東京からつくっていきたいと思っております。
 次いで、東京の産業の現状認識と都としての有効な施策展開のあり方についてでありますが、ご承知のように、東京には日本の高度成長を支えてきた、特殊技術や世界一の物づくり技術というものがたくさんございます。
 例えば、大田区には、わずか従業員三十三人ですけれども、アメリカが新しいロケット、新しい宇宙船を飛ばすときに、試作品の最初の一号の、要するにロケットならロケットの先端部分、これは非常に微妙な流体力学で完璧なものをつくらなくちゃいけないんですが、それを手作業でつくり出す、そういう立派な企業があります。
 あるいは、今日、世界じゅうを普遍している携帯電話の小型リチウム電池のケースの開発などは、これはたしか佃島でしたか、墨田区でしたか、とにかく従業員六人の会社がやってきた。
 あるいは、自動車後部の反射板の金属製造などは、これはまあまあの会社ですけれども、二百人足らずの企業がやっておりましたり、それから、世界じゅうの一流のトランク、スーツケースなどの大小袋物についているかぎは、日乃本錠前という、これは板橋でしたか、非常にすぐれた小さな企業がやっている。
 こういうものを実は熟知して評価しているのは、残念なことに日本人じゃなくて、隣の中国人とアメリカ人でありまして、先般もペンタゴンの国防次官補ですか補代理かをトップにする調査団が来て、日本に一週間近くいて、綿密に物を調べていきましたが、これの引き金になったのは、例のソニーのベストセラーでありますプレイステーション2の、あの今までわずか六十四メガビットであったマイクロチップを、今度百二十八メガビットにした。アメリカの国防体制に使われているのはわずか三十二メガビットでありまして、こういったものがアメリカを瞠目させる。中国は中国で、日本のそういった技術を本当に欲しがっている。
 そういった技術を持つ企業というものがたくさんあるわけで、こうした認識というものを国の方が持っていないというのは残念なことでありますが、こういったものが日本の経済の再生に余り役立たずに埋もれているというのも、非常に無念であります。
 都としては、施策展開の方向として、すぐれた物づくり技術や、あるいは、世界に冠たるアニメーション、キャラクターのそういうイメージをつくっているアーチストたちなどの振興も図るとともに、ITを一層活用することによって、産業構造の転換を促進し、雇用吸収力に富む産業を多数創出していきたいと思っております。
 現に、先般、大関局長が視察に行きました。ダレス空港のすぐ横の、バージニアに入りますが、あそこであの州がやっている、あいている建物を無料提供して、ベンチャーを志している――あそこは主にソフトとバイオのようでありますけれども、日本の場合にはもっと多岐にわたると思いますが、そういった方々に小さなオフィスをただで提供して、二、三年とにかく勝手に使ってもらう。もうかったら、とにかく株はこっちが少し持たしてもらうという形で、バージニアは非常に大きな収益を得ているようでありますけれども、先般、建物を選びまして、これは、台東区にあります、もとの繊維工業試験場、これをインキュベーターの基地にしまして、今、二十五ほどの部屋に仕切って、そういうベンチャーの鋭意な若い人たちに提供しようと思っておりますが、こういったものが、日本の経済全体まで持ち上げ、国の収入になり、そして新しい雇用を創出していくことを期待しております。
 それからもう一つ、ついでに申し上げますと、大田区にあります大田区の中小企業向けの施設に、この間、唐津一先生にもサジェスチョンをいただきまして、日本は、外国が新しいものをつくろうとするとき、そのモデルをまずつくるということが非常にうまくて早い。そういう技術は向こうにないんです。
 ですから、例えばアメリカならアメリカから依頼があったときに、新しいロケットのモデルを、アメリカじゃなしに日本でつくってやるとか、その他この他、そういう最初のモデルをつくる、そういう施設、機能というものを、あれは何といいましたか、大田区にありますあの施設の中に設けたいと思います。
 もう一つ、日本の名所、東京の名所の一つは、別にお台場でもどこでもない。これは圧倒的に人気のあるのは秋葉原でありまして、秋葉原は、もっともっと整備されると、もっと求心力を持つと思いますが、この間、ある人から指摘されましたけれども、あそこに倉庫がないんですね、展示する倉庫が。これは、空き地に東京都がつくって、そこに展示も兼ねた品物の品ぞろえをするということも必要だと思いますので、一度見に参りまして、あの秋葉原をもっと有機的な一つのセンターのまちとして再整備することも考えております。
 最後に、商店街の将来とその活性化でありますが、都内小売業に関する今回の都の調査によりますと、長引く景気の低迷の中で、八割もの企業が、三年前に比べて売り上げが減少して、廃業予定も三割を超えるというような厳しい結果が出ておりますが、私は、あえていわせていただくと、商店街もちょっと努力が足りないと思うんです。
 私は、随分いろいろなサジェスチョンを代議士のころからしてきたんですけれども、イトーヨーカ堂とか非常に流通で成功しているところのノウハウもかりてきて、商店街全体、東京全体で、要するに、まちによって、時間によって商品のニーズのばらつきがあるんだけれども、それをきちっとコンピューターにおさめて、有効な流通、ディストリビューションをやったらどうだというけれども、全然動かない。もういいあきてやめましたが、そういう努力も、都議の皆さんが促進されて、やはり自助努力をしませんと、何とかしてくれ、してくれだけじゃ、やはりだめだと思うんですね、自分で知恵を出さないと。
 いずれにしろ、都内の商店街は、こうした厳しい状況を克服して、売り上げを回復させ、地域コミュニティの核として機能、役割を十分に発揮することは、地域経済の活性化を図る上でも重要な課題だと心得ておりますが、こちらもできるだけいろいろ努力しますけれども、やはり商店街も、場所によって違いますが、意欲のないところはもう寝ているだけで、あるところは若い人たちが頑張って試みをする、そういうことが私はやはり自助努力として必要じゃないかと思っております。
 いずれにしろ、そういうものを勘案して、新たに二十一世紀商店街づくりの振興プランを策定しまして、都としても、商店街の活性化を図るための具体的な施策を展開していきたいと思っております。
 なお、その他の質問については、都技監並びに関係局長から答弁いたします。
   〔東京都技監成戸寿彦君登壇〕

○東京都技監(成戸寿彦君) 都市計画に関します六点のご質問にお答えいたします。
 まず、新しい都市づくりへの取り組みについてでございますが、東京は、少子高齢化によりまして、二十一世紀初頭には人口が減少に転じ、成熟した都市型社会に移行するとともに、情報通信技術が進み、社会の仕組み自体も大きく変わることが予想されております。また、環境問題への対応や、国際的な都市間競争が激化する中で、東京の活力向上も一層重要となってまいります。
 今後の都市づくりは、このような社会経済情勢の変化を踏まえ、目的や目標をより明確にした政策誘導型の都市づくりへ転換することが必要であるというふうに考えております。
 次に、これまでの都市づくりの課題などについてでございますが、これまでの都市づくりにおきましては、広域的な視点に立ったビジョンのもとに東京の都市づくりを展開することでありますとか、産業、文化、観光などソフト分野との連携を図ることなどが必ずしも十分でなかったというふうに考えております。
 また、環状道路などの広域都市基盤や木造住宅密集地域の整備、都心居住の推進などが、主要な課題として残されているものと認識いたしております。
 さらに、中間のまとめで示されました都市構造の考え方についてでございますが、これまで、都は、都心への業務機能の過度の集中を抑制することを主眼にいたしまして、多心型都市づくりを推進してまいりました。しかしながら、人口が減少に向かい、都市への集中圧力が低下する中で、東京圏全体で首都機能を担い続けるとともに、業務のみならず、居住、産業、防災等、多様な都市機能が十分発揮される魅力のある国際都市として東京を再生していく必要があるとしております。
 そのため、中間のまとめでは、東京圏全体を視野に入れた、環状方向の地域連携と拠点ネットワークの強化を図ることのできる都市構造を目指して、東京の都市づくりを推進すべきであるとしております。
 四点目は、都市計画マスタープランについてでございます。
 これは、平成十三年度に策定する都市づくりビジョンを踏まえまして、東京の目指すべき都市像を、新たに創設されました法定の都市計画として位置づけるものでございます。
 具体的に申し上げますと、土地利用、道路、公園等の都市施設及び市街地開発事業などに関する主要な都市計画の方針を一体的かつ総合的に定めるものでございまして、これにより個別の都市計画を適切に誘導する役割を持つものでございます。
 本マスタープランは、改正都市計画法の施行後三年以内に策定することが義務づけられておりますので、今後、広く都民の声を反映させますとともに、区市町村との連携を図りながら策定してまいります。
 五点目は、用途地域の見直しについてでございますが、用途地域は、合理的かつ健全な土地利用を誘導するための最も基本となる都市計画制度でございます。
 東京の目指すべき都市像の実現に向けて、今後策定していく都市計画マスタープランの中で、新たな都市計画の目標に基づく土地利用の方針を示すこととしておりまして、本マスタープランの策定スケジュールに合わせて、用途地域等の見直しを行っていきたいと考えております。
 最後に、成田空港の利便性に対します都の協力の具体的な内容についてでございます。
 成田空港は、羽田空港とともに、首都圏における空港機能を担う重要な空港でありまして、その空港利便性の向上に対し、都としても可能な限りの協力をしたいと考えております。
 具体的には、今後検討すべき課題となりますが、例えて申し上げますと、ことしの一月の運輸政策審議会答申において、空港利便性向上に資する路線として位置づけられております都営浅草線の東京駅接着が考えられます。
   〔政策報道室長柿沼伸二君登壇〕

○政策報道室長(柿沼伸二君) 東京構想二〇〇〇にかかわります三点のご質問にお答えを申し上げます。
 まず、策定作業等についてでございますが、本構想は、国家全体がよって立つべき座標軸を喪失した中で、いち早く東京を危機からよみがえらせ、二十一世紀に誇れる都市をつくり出していくために、先生のお言葉をおかりすれば、新しい時代に向かっての夢と目標ともいえる東京の将来像を明らかにするとともに、これを実現するための施策展開の道筋を総合的、体系的に示していくものでございます。本年十一月をめどに策定をしたい、このように考えております。
 本構想の策定に当たりましては、八月末に中間のまとめを公表いたしまして、都民や都議会の皆様を初め、各方面の幅広いご意見をいただきながら策定をいたしてまいります。
 次に、東京構想二〇〇〇で政策指標を取り入れる意義についてでございますが、一つには、都民の生活実態に即し、都政の目指す方向や成果をわかりやすく説明することによりまして、積極的に都民への説明責任を果たし、都庁内外での政策論議を高めることにあると思います。
 そして二つには、施策、事業の結果を、都民の生活をいかに改善できたかという視点から評価することによりまして、都政に成果重視の流れをつくるとともに、職員の意識改革を図ることに意義があるものと考えております。
 三つ目は、東京構想二〇〇〇の推進プランと財政再建推進プランの整合性についてでございます。
 三カ年の実施計画であります推進プランは、構想で描く十五年後の東京のビジョンを現実のものとしていくための第一歩として策定するものでございます。重点的、戦略的に取り組む必要のある施策、事業について、事業量、事業費も含めて具体的にお示ししていきたいと考えております。
 なお、この推進プランの策定に当たりましては、厳しい財政状況を踏まえまして、施策の再編や事業の重点化等によりまして、財政再建推進プランとの整合性を十分図りつつ策定してまいります。
   〔総務局長横山洋吉君登壇〕

○総務局長(横山洋吉君) 四点の質問にお答え申し上げます。
 まず、三宅島の火山活動及び神津島、新島方面の地震についてでございますが、まず、今日までの経過と被害状況について申し上げますと、三宅島の火山活動は、六月二十六日十九時三十三分、気象庁の緊急火山情報発表以来、火山性地震が多発し、一時は噴火の危険が伝えられました。その後、六月二十九日、火山噴火予知連絡会から、噴火の可能性はほとんどないが、なおしばらく西方海域での地震活動が活発に続くとの発表が行われまして、現在まで余震が続いている状況でございます。
 なお、この火山性地震によりまして、島内各地で道路、水道などの施設に被害が発生いたしております。
 一方、七月一日十六時二分に神津島で震度六弱、新島で震度五弱の地震が発生しまして、神津島では死者が一名出たほか、両島でがけ崩れ等の被害が多く生じております。それ以降も余震が多発しておりまして、引き続き注意深く監視を必要とする状況となっております。
 このような災害状況に対する都の対応でございますが、都は、三宅島火山活動に対しまして、災害対策本部及び現地災害対策本部を設置しまして、神津島、新島方面の地震に対しましては、災害即応態勢をしいて対応してまいりました。
 こうした態勢のもとで、都は、自衛隊、海上保安庁、警視庁及び東京消防庁などの関係機関と、早期の段階から密接な連携を図り、救援のための人員や物資の搬送、提供及び現地支援活動を実施しまして、現在、給水活動、道路、水道の復旧など、復旧活動に取り組んでいるところでございます。
 次に、今後の対応態勢でございますが、両島では現在でも余震活動が続いておりまして、余震が終息するまでは、引き続き注意深く現地の状況を監視し、不測の事態に即座に対応できる態勢を継続していくことが必要でございます。
 そのため、二十四時間職員が常駐します情報連絡態勢をしきまして、情報の収集及び連絡に努めております。
 次に、過去の経験が今回の対応にどのように生かされたかという点でございますが、三宅島は、昭和五十八年に阿古地区で三百棟を超える住宅が溶岩流で埋没、焼失する大きな火山災害を経験しております。
 このことから、都では、火山活動による被害防止のため、観測・監視体制の確立、防災訓練の実施などの予防対策とともに、最悪の事態を想定した適切な避難誘導態勢の確立などの応急対策を地域防災計画に盛り込んでおります。今回の対応に十分生かされたものと考えております。
 最後に、今回の対応の将来への活用についてでございますが、今後、今回実施した具体的な支援内容、方法や地元自治体及び関係機関との連携等について総括を行いまして、改善すべき事項を取りまとめ、現在改定作業中の地域防災計画に反映させまして、災害対策の一層の充実を図ってまいります。
 次に、知事の三宅島現地視察時のお尋ねでございますが、避難されている方々が歓迎の意を表したり清掃をしたという事実はございましたが、こうした行為に支庁の職員や三宅村職員が関与したり指示をしたという事実はないという報告を現地から受けております。
 次に、地方分権計画による区市町村行政への影響についてでございますが、この計画は、法令に基づく都の事務のうち、東京の地域特性などから、区市町村が行うことが望ましい権限について移讓の提案を行うものでございまして、まちづくりや保健衛生などの行政分野が中心となっております。
 この計画によりまして、例えば、建築確認や開発許可などを市町村が行うことで、住民ニーズをより反映させたまちづくりが期待できること、また、保健所政令市となることによりまして、福祉と十分連携のとれた総合的な保健施策などを行うことが可能になるものと考えております。
 最後に、今後の権限移讓の進め方でございますが、第二次計画は、今回公表しました中間のまとめに対する都民や区市町村などの意見を踏まえた上で、九月を目途に策定する予定でございます。
 計画策定後は、区市町村と十分な協議、調整を行った上で、順次権限移讓を進めてまいります。
 また、区市町村への権限移讓に際しましては、専門知識、ノウハウの提供、都職員の派遣などの支援策や、移管当初における新たな施設の設置などに対する財政支援を行うことが必要であると考えております。
   〔港湾局長浪越勝海君登壇〕

○港湾局長(浪越勝海君) 広域防災拠点の整備についてのお尋ねでございますが、臨海副都心は、災害に強い基盤整備がなされているとともに、災害時には水陸両面の交通アクセスを利用できることなど、広域防災拠点としてもすぐれた可能性を持つ地域でございます。
 この地域を、首都圏を視野に入れた広域的な防災拠点として機能させていくためには、ご指摘のとおり、有明の丘及びその周辺地域の基盤整備を一体的に進めていく必要があります。
 このため、アクセス道路、防潮護岸、ヘリコプター緊急離着陸場等の整備を一体的に実施できるような補助制度の創設を国に対し強く働きかけていくとともに、その着実な整備に全力を尽くしてまいります。
   〔消防総監池田春雄君登壇〕

○消防総監(池田春雄君) 特別区の消防団についてでありますが、消防団の分団格納庫については、さまざまな規模や形態があることは十分認識しております。
 このため、当庁では、消防団と地域住民とが相互に連携を図るため、消防団員が誇りを持って活動できるよう、魅力ある消防団づくりに関する委員会を設置し、消防団本部や分団本部格納庫、可搬ポンプ等搬送車のあり方について検討してまいりました。
 委員会の検討結果では、消防団本部については、消防署の中に団本部室を設けることとし、分団本部格納庫については、消防庁舎などとの併設も含めまして、地域の防災活動拠点として十分なスペースのために、八十平方メートルを基本とすることや、給排水設備等を有した設備として充実を図るとともに、可搬ポンプ等搬送車に関しましても、さらにその整備を推進していく内容でありました。
 今後、本委員会の検討結果を踏まえ、消防団員が地域での防災リーダーとして活動できるよう、分団本部格納庫及び可搬ポンプ等搬送車の整備について、その早期実現に向け、計画的かつ着実に努力してまいります。
   〔生活文化局長今沢時雄君登壇〕

○生活文化局長(今沢時雄君) 旅券窓口でのサービス拡大についてお答えいたします。
 都ではこれまでも、交付時間の夜間延長、また交付に要する期間の短縮など、サービスの向上に努めております。お尋ねの土曜日や日曜日における窓口業務の実施につきましては、セキュリティーの確保でありますとか、あるいは人員体制の整備など、解決すべき課題も多々ございますが、ご指摘のように都民の要望も強いものがございますことから、平成十三年度実現を目途に積極的に検討を進めてまいります。
   〔環境局長齋藤哲哉君登壇〕

○環境局長(齋藤哲哉君) CNG車の普及策についてのお尋ねにお答えいたします。
 ディーゼル車からCNG車への転換を促す上で、スタンドが少なく車両価格が高いから買わない、車が売れないから多くつくらない、車がふえないからスタンドをふやさない、そういういわゆる三すくみの状況にあることが問題となっております。これを解消するために、東京都は、自動車ユーザー、自動車メーカー、燃料関連事業者とともに、新市場創造戦略会議を設置いたしました。この会議では、市場創造に大きな影響を持つ各事業者が、それぞれの立場から、CNG車等の購入、低価格化、スタンド増設等の取り組みを進めるために、都が事業者間を調整することといたしております。
 先月第一回会議を開催いたしましたが、ユーザーから価格が高いなどの意見が出される一方、メーカーからは、コストを引き下げるために部品の共有化を進めたいという提案もございました。
 今後とも、CNG車の普及拡大に向けて多くの事業者の協力を得られるよう、この会議を初めとして、さまざまな取り組みを進めてまいります。
   〔高齢者施策推進室長福祉局長兼務神藤信之君登壇〕

○高齢者施策推進室長福祉局長兼務(神藤信之君) 最初に福祉改革についてのお尋ねでございます。
 この改革は、都民がみずから選択し、利用できるよう、在宅サービスを中心とする福祉サービスの格段の充実を図るなど、新しい福祉を目指すものでございます。これまでの間実施してきました施策の見直しも、その礎を築くためのものであったと考えております。
 今日の厳しい財政状況の中にあって、短期間に福祉改革ビジョンを実現するためには、区市町村と互いに協力するとともに、サービスの供給主体である民間事業者等の活力を生かしながら取り組んでいく必要がございます。ご指摘のとおり、私もこれからが改革の正念場であるというふうに考えております。
 次に、福祉における包括補助制度「がんばろう!東京福祉」事業についてでございますが、限られた時間の中で福祉改革の実を上げ、早期に在宅福祉サービスを中心とした地域福祉の基盤整備を図るには、区市町村の主体的な取り組みが何としても必要でございます。都議会各派の皆様からいただいた要望に基づきまして創設した福祉改革推進事業及び高齢者いきいき事業等は、区市町村のこうした取り組みを積極的に支援することを目的とする包括的な補助制度でございます。現在、本事業の実施に向け、各区市町村からは地域に根差した独創的な提案が数多く寄せられているところでございます。
 今後、十二年度予算の着実な執行を図ることにより施策の成果を上げまして、十三年度以降につきましても、事業の一層の充実に向け取り組んでまいります。
   〔衛生局長今村皓一君登壇〕

○衛生局長(今村皓一君) 医療改革について、四点のご質問にお答えします。
 まず、救急医療体制の充実でございますが、救急医療については、警察や消防と同様に、三百六十五日二十四時間対応可能で、都民が利用しやすいシステムを構築していくことが必要であると考えております。
 都においては、平成十一年度から固定制の医療機関による休日・全夜間診療事業を開始するなど、救急医療体制の整備に努めてきたところでございますが、患者の症状に応じた、よりきめ細やかな対応という点では、救急医療の三層構造をさらに充実していく必要がございます。このため、小児救急も含め、初期救急を中心にさらに強化を図り、救急医療全体のレベルアップに努めてまいります。
 次に、都立病院の医療スタッフの確保についてでございます。
 三百六十五日二十四時間の安心の実現のためには、医師や看護婦など、救急医療を支える人材の確保が重要であることはご指摘のとおりでございます。そこで、今後、医師を初めとする救急専門スタッフの育成や、臨床研修医制度の拡充などを図るとともに、現下の厳しい都財政にも配慮して、さまざまな創意工夫を図りながら、効率的な執行体制を確立してまいります。
 次に、救急医療における医療機能連携についてでございますが、増大する救急需要に適切かつ効果的に対応していくためには、病状の安定した患者を必要に応じて地域の医療機関へ紹介するなど、医療機能連携を推進していくことが重要であります。このため、地域医療システム化推進事業や、新たに医療機関情報システム化推進事業に取り組むなど、地域医療のシステム化や医療の情報化を図っておるところでございます。
 今後とも、救急医療をより効果的なものにするために、医療機能連携の強化に一層努めてまいります。
 次に、都立病院改革懇談会における検討内容についてでございますが、都民の医療ニーズの動向や少子高齢化など医療を取り巻く環境が変化する中で、常に適切な医療を効率的に提供していくことがますます重要な課題となっております。このような状況のもと、本懇談会では、望ましい行政と民間の役割分担、医療機関相互の連携など、幅広い視野に立ってご議論をしていただきたいと考えております。
 こうしたご議論を通じ、都立病院の担うべき役割や医療機能を見直すとともに、地域特性などにも配慮した上で、都立病院全体の再編整備について提言していただく予定でございます。
   〔労働経済局長大関東支夫君登壇〕

○労働経済局長(大関東支夫君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、ローン担保証券、いわゆるCLOに対する参加企業の評価についてでございますが、今回CLO発行に参加いたしました企業からのアンケート結果によりますと、まず、無担保借り入れが魅力である、このように答えた方が約四割と最も多くございます。次いで、三年期限一括返済という社債型の返済方法への評価が三割と続いてございます。そのほか、債券発行に興味があった、あるいは、借り入れ以外の資金調達を希望したということの答えがありまして、資金調達多様化への指向を挙げた企業が大変多くございました。また、東京都主導型だからという行政主導であることへの評価、これも約二割と高いものがございました。
 一方で、改善要望といたしましては、借入金利の抑制や、五千万円の借入限度額の引き上げ、これを求める声が多く寄せられております。
 次に、債券発行の今後の見通しについてのお尋ねでございますが、東京の産業を活性化させるため、中小企業対策の一つの大きな柱といたしまして、資金調達の多様化を支援し、継続的に債券を発行することが必要と考えております。現在、金融機関等との意見交換会や、先ほどのCLO参加企業からのアンケート結果などを踏まえまして、直接金融の要素をより多く取り入れた形での第二回債券発行に向けて検討を進めております。
 次に、高齢者の多様な働き方や職域拡大についてのお尋ねでございますが、景気低迷が長期化し、今後も少子高齢化が進む中で、中高年齢者の働く場を拡大していくことは不可欠でございます。都はこれまでも、職業訓練や実践セミナー等の就職支援に努めるとともに、事業主に対して、キャリアを生かした高齢者活用や受け皿づくりを働きかけてまいりました。
 今後さらに、中長期的視点に立って、環境や福祉を初め、成長や発展、期待できる産業の育成を図り、高齢者の雇用の場の拡大を進めるとともに、高齢者の創業等を支援することにより、高齢者がより一層活躍できる仕組みや場を広げてまいりたいと考えております。
   〔教育長中島元彦君登壇〕

○教育長(中島元彦君) ユース・プラザ建設に関する二点のご質問にお答えを申し上げます。
 まず、建設計画についてでございますが、区部ユース・プラザは平成十五年度に、多摩ユース・プラザは十七年度に開館する予定でございます。その建設に係る事業手法は、既存施設を極力活用するとともに、民間活力の導入も含め、行財政改革の視点から最も効率的な手法を採用する考えでございます。
 ご提言の多摩地域ユース・プラザへのPFI手法の導入につきましては、法的な枠組みが整いましたことから、鋭意検討してまいります。
 次に、区部ユース・プラザの建設手法についてでございます。
 区部ユース・プラザは既に基本設計が完了しておりますが、ご提言のPFI手法を導入した場合の財政上の効果、工期への影響、リスクの負担などの具体的な調査を早急に行ってまいります。
   〔選挙管理委員会事務局長鳴川智久君登壇〕

○選挙管理委員会事務局長(鳴川智久君) 選挙事務の改善についての三点のご質問にお答えいたします。
 まず一点目の、電子投票機の導入により期待できる効果につきましては、選挙区内のいずれの投票所でも投票できるようになるので、投票率の向上に寄与すること、無効票や疑問票が減少するので民意が正確に反映されること、そして、開票事務の大幅な迅速化が図れるので、速やかに結果を報告できるとともに、従事職員の負担が軽減されることなどの効果が期待できます。
 二点目のご質問は、実現に向けての克服すべき課題でありますが、ご指摘のとおり、公職選挙法の改正に加えまして、システムの開発に当たりましては簡単な操作により投票人の意思が正確に反映されること、投票の秘密が確保されるとともに、ハッカーや事故等に対する十分なセキュリティー対策が必要であること、長期的には、機械等の導入による人件費等の削減効果が費用を上回る確実な見込みが得られることなどが課題として考えられます。
 最後に、都における取り組み状況についてのお尋ねでございますが、昨年九月、大学教授や民間技術者、区市選管職員等をメンバーとする電子投票制度検討研究会を設置いたしまして、主として技術的側面から、導入の効果、解決すべき課題等について検討を進めております。
 今後、主に法制面から検討している自治省の同様の研究会とも連携を図りながら、中間答申を年内に取りまとめるよう努めてまいります。

○議長(渋谷守生君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時十九分休憩

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