平成十二年東京都議会会議録第七号

平成十二年六月二十八日(水曜日)
 出席議員(百二十一名)
一番織田 拓郎君
二番中嶋 義雄君
三番服部ゆくお君
四番真鍋よしゆき君
五番吉住  弘君
六番松原 忠義君
七番町田てるよし君
九番大西由紀子君
十番竹下 友康君
十一番馬場 裕子君
十二番福士 敬子君
十三番山本  信君
十四番くぼた 光君
十六番木内 良明君
十七番藤井  一君
十八番東野 秀平君
十九番原   環君
二十番中西 一善君
二十一番田代ひろし君
二十二番三宅 茂樹君
二十三番川井しげお君
二十四番いなば真一君
二十六番藤田十四三君
二十七番大河原雅子君
二十八番沢西きよお君
二十九番西条 庄治君
三十番土屋たかゆき君
三十一番田中 智子君
三十二番浅川 修一君
三十三番清水ひで子君
三十四番吉田 信夫君
三十五番かち佳代子君
三十六番鈴木貫太郎君
三十七番森田 安孝君
三十八番谷口 卓三君
三十九番今井 悦豊君
四十一番高島なおき君
四十二番吉野 利明君
四十三番倉林 辰雄君
四十四番遠藤  衛君
四十五番野田 和男君
四十六番樺山 卓司君
四十七番宮崎  章君
四十八番野村 有信君
四十九番藤田 愛子君
五十番田島 和明君
五十一番寺山 智雄君
五十二番林  知二君
五十三番和田 宗春君
五十四番藤岡 智明君
五十五番古館 和憲君
五十六番小竹ひろ子君
五十七番小松 恭子君
五十八番前沢 延浩君
五十九番大木田 守君
六十番曽雌 久義君
六十一番石川 芳昭君
六十二番白井 常信君
六十三番前島信次郎君
六十四番比留間敏夫君
六十五番新藤 義彦君
六十六番近藤やよい君
六十七番鈴木 一光君
六十八番小礒  明君
六十九番羽曽部 力君
七十番古賀 俊昭君
七十一番山崎 孝明君
七十二番山本賢太郎君
七十三番白井  威君
七十四番藤川 隆則君
七十五番坂口こうじ君
七十七番小林 正則君
七十八番大山とも子君
七十九番曽根はじめ君
八十番たぞえ民夫君
八十一番松村 友昭君
八十二番丸茂 勇夫君
八十三番五十嵐 正君
八十四番石井 義修君
八十五番萩谷 勝彦君
八十六番桜井良之助君
八十七番田村 市郎君
八十八番佐藤 裕彦君
八十九番三原 將嗣君
九十番星野 篤功君
九十一番大西 英男君
九十二番花川与惣太君
九十三番井口 秀男君
九十四番立石 晴康君
九十五番清原錬太郎君
九十六番小山 敏雄君
九十七番大山  均君
九十八番山崎  泰君
九十九番尾崎 正一君
百番嶋田  実君
百一番東ひろたか君
百二番野村 友子君
百三番池田 梅夫君
百四番村松みえ子君
百五番植木こうじ君
百六番土持 正豊君
百七番中山 秀雄君
百八番橋本辰二郎君
百九番藤井 富雄君
百十番桜井  武君
百十一番松本 文明君
百十二番藤沢 志光君
百十三番川島 忠一君
百十四番矢部  一君
百十五番内田  茂君
百十七番三田 敏哉君
百十八番渋谷 守生君
百十九番田中 晃三君
百二十番奥山 則男君
百二十一番三浦 政勝君
百二十二番河合秀二郎君
百二十三番田中  良君
百二十四番西田ミヨ子君
百二十五番渡辺 康信君
百二十六番木村 陽治君
百二十七番秋田かくお君

 欠席議員(なし)
 欠員
八番  十五番  二十五番
四十番 七十六番 百十六番

 出席説明員
知事石原慎太郎君
副知事福永 正通君
出納長佐々木克己君
東京都技監都市計画局長兼務成戸 寿彦君
政策報道室長柿沼 伸二君
総務局長横山 洋吉君
財務局長木内 征司君
警視総監野田  健君
主税局長大塚 俊郎君
生活文化局長今沢 時雄君
環境局長齋藤 哲哉君
高齢者施策推進室長福祉局長兼務神藤 信之君
衛生局長今村 皓一君
労働経済局長大関東支夫君
住宅局長戸井 昌蔵君
建設局長古川 公毅君
消防総監池田 春雄君
教育長中島 元彦君
港湾局長浪越 勝海君
交通局長横溝 清俊君
水道局長赤川 正和君
下水道局長鈴木  章君
都立大学事務局長土肥 謙二君
多摩都市整備本部長久保田康治君
中央卸売市場長大矢  實君
選挙管理委員会事務局長鳴川 智久君
人事委員会事務局長中山 弘子君
地方労働委員会事務局長歩田 勲夫君
監査事務局長石綿 昌男君
収用委員会事務局長斉藤 好平君

六月二十八日議事日程第一号
第一 皇太后陛下に対する弔詞の奉呈について
第二 第二百七号議案
東京都情報公開条例の一部を改正する条例
第三 第二百八号議案
特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第四 第二百九号議案
公立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
第五 第二百十号議案
職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第六 第二百十一号議案
東京都統計調査条例の一部を改正する条例
第七 第二百十二号議案
学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第八 第二百十三号議案
社会福祉協議会の行う事業の補助に関する条例の一部を改正する条例
第九 第二百十四号議案
東京都女性福祉資金貸付条例の一部を改正する条例
第十 第二百十五号議案
東京都看護婦等修学資金貸与条例の一部を改正する条例
第十一 第二百十六号議案
東京都労働経済局関係手数料条例の一部を改正する条例
第十二 第二百十七号議案
東京都貸切自動車条例の一部を改正する条例
第十三 第二百十八号議案
警視庁の設置に関する条例の一部を改正する条例
第十四 第二百十九号議案
警視庁の警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する条例の一部を改正する条例
第十五 第二百二十号議案
特別区の消防団員等の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
第十六 第二百二十一号議案
特別区の消防団員に係る退職報償金に関する条例の一部を改正する条例
第十七 第二百二十二号議案
都営住宅十二H―一〇一東(扇一丁目第三)工事請負契約
第十八 第二百二十三号議案
東京消防庁足立消防署庁舎改築工事請負契約
第十九 第二百二十四号議案
都立大崎高等学校(十二)人工地盤建設工事請負契約
第二十 第二百二十五号議案
汐留地区区街三号線地下構造物築造工事(その二)請負契約
第二十一 第二百二十六号議案
神田川・環状七号線地下調節池(第二期)妙正寺川発進立抗工事(その二)請負契約
第二十二 第二百二十七号議案
平成十二年度東京港臨海道路城南島側沈埋トンネル建設工事請負契約
第二十三 第二百二十八号議案
平成十二年度大島空港拡張整備工事請負契約
第二十四 第二百二十九号議案
部隊運用装置の製造請負契約
第二十五 第二百三十号議案
首都高速道路公団の基本計画の変更の協議について
第二十六 第二百三十一号議案
東京都道路公社が行う八王子中央有料道路事業の変更に対する同意について
第二十七 第二百三十二号議案
ヘリコプターの買入れについて
第二十八 第二百三十三号議案
交通事故に伴う損害賠償の和解について
第二十九 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した東京都都税条例の一部を改正する条例の報告及び承認について

   午後一時一分開会・開議

○議長(渋谷守生君) ただいまから平成十二年第二回東京都議会定例会を開会いたします。
 これより本日の会議を開きます。

○議長(渋谷守生君) 謹んで申し上げます。
 皇太后陛下におかせられましては、六月十六日午後四時四十六分に崩御あそばされました。まことに哀悼痛惜のきわみであります。
 この悲報に接し、都議会議長として、直ちに弔意を表する記帳をしてまいりました。
 ここに、改めて皇太后陛下の永と遠わのご冥福を心よりご祈念申し上げます。

○議長(渋谷守生君) まず、会議録署名議員の指名を行います。
 会議録署名議員は、会議規則第百二十四条の規定により、議長において
   十一番  馬場 裕子さん 及び
   七十一番 山崎 孝明君
を指名いたします。

○議長(渋谷守生君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

○議事部長(會田紳次君) 平成十二年六月二十一日付東京都告示第八百十九号をもって、知事より本定例会を招集したとの通知がありました。
 また、同日付で、本定例会に提出するため、議案二十七件の送付がありました。
 次に、地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した東京都都税条例の一部を改正する条例の報告及び承認について、依頼がありました。
 次に、知事より、平成十二年第一回定例会の会議において同意を得た東京都収用委員会委員、東京都収用委員会予備委員及び東京都固定資産評価審査委員会委員の任命について、発令したとの通知がありました。
 次に、知事より、東京都組織条例の一部改正に基づく組織の改正による東京都議会説明員の変更について、地方自治法第百二十一条及び会議規則第四十二条の規定に基づき通知がありました。
 次に、知事より、東京都議会説明員について、副知事青山やすしは、三宅島現地災害対策本部長として、機動的かつ迅速な応急対策の指揮に当たるため、本日の本会議を欠席するとの通知がありました。
 次に、知事より、平成十一年度東京都一般会計予算外五件の明許繰越について、平成十一年度東京都一般会計予算外一件の事故繰越について及び平成十一年度東京都中央卸売市場会計予算外七件の繰り越しについて、それぞれ報告がありました。
 次に、地方自治法第百八十条第一項の規定による議会の指定議決に基づく専決処分について、報告が二件ありました。
 内容は、訴えの提起、損害賠償額の決定及び和解に関する報告について及び警視庁の設置に関する条例の一部を改正する条例の報告についてであります。
 次に、監査委員より、平成十一年度第三回工事監査、平成十一年度財政援助団体等監査(その二)例月出納検査及び平成十一年度随時監査の結果について、それぞれ報告がありました。
 最後に、特別区に執行委任した事務に関する監査結果の報告が、新宿区外十九区より二十三件提出されました。

○議長(渋谷守生君) この際、平成十二年四月二十九日付をもちまして藍綬褒章を受章されました方をご紹介いたします。
   藤沢 志光君
 ここに謹んで敬意を表します。
   〔拍手〕

○議長(渋谷守生君) 次に、閉会中の議員の辞職及び退職について申し上げます。
 去る六月十二日付をもって、西多摩選出島田久君より、議員を辞職したい旨、届け出がありました。
 本件は、地方自治法第百二十六条ただし書きの規定により、議長において、同日付をもって辞職を許可いたしました。
 また、去る六月十三日、品川区選出内藤尚君及び練馬区選出菅原一秀君は、公職選挙法第九十条の規定によりそれぞれ退職者となりました。

○議長(渋谷守生君) 次に、文書質問に対する答弁書について申し上げます。
 平成十二年第一回定例会に提出されました大西由紀子さん、和田宗春君及び花川与惣太君の文書質問に対する答弁書は、質問趣意書とともに送付いたしておきました。ご了承願います。
   〔文書質問趣意書及び答弁書は本号末尾に掲載〕

○議長(渋谷守生君) 次に、先般の組織改正に伴い、異動のありました説明員をご紹介いたします。
 環境局長齋藤哲哉君。
   〔理事者あいさつ〕

○議長(渋谷守生君) 以上をもって説明員の紹介は終わりました。

○議長(渋谷守生君) 次に、閉会中の地方分権推進特別委員の選任について申し上げます。
 菅原一秀君の退職に伴い、同委員に欠員が生じましたので、委員会条例第五条第四項の規定により、議長において、去る六月十三日付をもって大西英男君を指名いたしました。
 お諮りいたします。
 本件は、議長指名のとおり承認することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(渋谷守生君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、議長指名のとおり承認することに決定いたしました。

○議長(渋谷守生君) 会期についてお諮りいたします。
 今回の定例会の会期は、本日から七月十二日までの十五日間といたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(渋谷守生君) ご異議なしと認めます。よって、会期は十五日間と決定いたしました。

○六十七番(鈴木一光君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日は、質問に先立ち議事に入り、日程第一を先議されることを望みます。

○議長(渋谷守生君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(渋谷守生君) ご異議なしと認めます。よって、質問に先立ち議事に入り、日程第一を先議することに決定いたしました。

○議長(渋谷守生君) 日程第一、皇太后陛下に対する弔詞の奉呈についてを議題といたします。

○六十七番(鈴木一光君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本件は、二十三人の委員をもって構成する弔詞起草特別委員会を設置し、案文を起草されることを望みます。

○議長(渋谷守生君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(渋谷守生君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、二十三人の委員をもって構成する弔詞起草特別委員会を設置し、案文を起草することに決定いたしました。
 委員は、委員会条例第五条第一項の規定により、議長から、お手元に配布の名簿のとおり指名いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(渋谷守生君) ご異議なしと認めます。よって、委員は、お手元に配布の名簿のとおり選任することに決定いたしました。

   弔詞起草特別委員名簿
大西由紀子君 木内 良明君 森田 安孝君
和田 宗春君 古館 和憲君 大西 英男君
山崎  泰君 村松みえ子君 植木こうじ君
土持 正豊君 中山 秀雄君 松本 文明君
藤沢 志光君 川島 忠一君 矢部  一君
内田  茂君 三田 敏哉君 田中 晃三君
奥山 則男君 河合秀二郎君 田中  良君
渡辺 康信君 木村 陽治君

○議長(渋谷守生君) これより直ちに、議会運営委員会室に委員会を招集いたします。委員におかれましては速やかに起草を終了し、報告されるよう希望いたします。
 委員会開会のため、暫時休憩いたします。
   午後一時十分休憩

   午後一時四十九分開議

○議長(渋谷守生君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 弔詞起草特別委員長の報告を求めます。
 弔詞起草特別委員長奥山則男君。
   〔百二十番奥山則男君登壇〕

○百二十番(奥山則男君) 皇太后陛下の崩御につき、奉呈すべき弔詞の起草特別委員会の経過並びに結果についてご報告申し上げます。
 先ほど議長より指名せられました私ども二十三名の委員は、直ちに委員会を開催し、委員長の互選を行いましたところ、不肖私が委員長の重責を担うことになりました。
 つきましては、委員一同、終始敬けんなる態度をもちまして奉悼文の起草に当たりましたところ、成案を得ましたので、ここに案文を朗読いたします。
    奉悼文
  皇太后陛下におかせられましては
  にわかに崩御あらせられました
  このたびの悲報に接し 都民は斉しく
  大きな悲しみにつつまれております
  陛下のご慈愛ご仁徳に見守られ
  東京は世界中から信頼され
  親しまれる世界有数の大都市として
  今日の繁栄を築いてまいりました
  国民の幸福を願って 日夜思いをいたされ ご労苦を重ねてこられた
  陛下の御心に深く感謝し
  ここに都民の至誠をこめ
  東京都議会の議決をもって
  恭しく哀悼の意を捧げます
   平成十二年六月二十八日
東京都議会議長 渋谷 守生
 以上、謹んでご報告申し上げます。
 何とぞ満場のご賛成を心からお願い申し上げまして、報告を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。

○議長(渋谷守生君) 以上をもって弔詞起草特別委員長の報告は終わりました。

○議長(渋谷守生君) これより採決を行います。
 本件は、特に敬意を表するため、起立により採決いたします。
 ただいまの委員長報告のとおり決定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔総員起立〕

○議長(渋谷守生君) 起立総員と認めます。よって、本件は、委員長報告のとおり決定いたしました。
 なお、本件は、議長において、速やかに皇室へ奉呈の手続をとりますので、さようご了承願います。

○議長(渋谷守生君) この際、知事より発言の申し出がありますので、これを許します。
 知事石原慎太郎君。
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 平成十二年第二回都議会定例会の開会に当たり、私の都政運営に対する所信を申し述べ、都議会並びに都民の皆様のご理解とご協力を得たいと思います。
 去る六月十六日、ご回復を切望する国民の願いもむなしく、皇太后陛下が崩御あそばされました。
 私は、直ちに、奉悼文を奉呈し、哀悼の意をささげてまいりました。皇居の位置する首都東京の知事として、ひときわ胸に迫るものがあります。
 皇太后陛下におかせられましては、昭和天皇とご一緒に、幾たびか都内の施設をご視察いただき、多くの励ましのお言葉を賜りました。皇太后陛下のご生涯は、二十世紀そのものであり、これでいよいよ二十世紀が終わりを告げたという気がしてなりません。
 皇太后陛下のご崩御を悼み、千二百万都民を代表して、衷心より哀悼の意を表します。
 一方、三宅島では、一昨日夜から火山活動が始まり、予断を許さない状態が続いております。火山性地震や地殻変動など噴火を予兆させる活動が断続的に発生しており、多くの方々が避難生活を余儀なくされております。
 不安の絶えない島民の皆様には、心よりお見舞いを申し上げます。
 私は、警報に接し、直ちに副知事を島へ派遣し、現地での指揮に当たらせるとともに、災害対策本部を設置し、救援物資の搬送、医療チームの派遣など、現段階でとり得るあらゆる措置を講じております。また、大きな機動力を有する自衛隊に対し、災害派遣要請を行い、三宅村には災害救助法を適用いたしました。
 このまま何事もなく終息に向かうことを願ってやみませんが、万一、噴火が発生した場合には、島民の安全確保に万全を期すとともに、被害を最小限に食いとめられるよう、三宅村を初め、国、警察、消防など関係機関と緊密に連携をとりながら、全力を尽くして対応してまいります。皆様のご協力を心からお願いいたします。
 一向に進まない政治改革、世界に取り残された経済構造の転換、崩れつつある安全神話、心の荒廃など、昨今の日本の状況は、まさに世紀末的な現象を呈しており、時代の先行きには不透明感が広がっております。
 国民が今真に求めているのは、この閉塞的な状況をどう打開し、新しい日本をどのように創造するか、来るべき二十一世紀に向けた力強いメッセージであります。
 このたびの総選挙は、本来なら、立ちはだかる難問を前に、これからの我が国をどう存立させていくか、その理念と政策について活発な論争を行う絶好の機会でありました。しかし、残念ながら国政の場においては、政党は危機意識のないまま、これまでと同様、目先の利益だけを訴えていたとの印象をぬぐい切れません。
 大きな節目となるべき選挙でありながら投票率が伸び悩んだのは、将来を託するに足る選択肢を見つけることのできなかった、国民の失望と怒りのあらわれであります。
 政治家に課せられた役割は、時代を透徹した高い志を持つとともに、民意を正確に把握し、政治に反映させることであります。私は、総選挙で示された政治状況を他山の石として、国民のだれもが感じている危機を乗り越えるための明確な方針と具体的な政策を打ち出し、日本の改革につながる東京の改革に議会とともに取り組んでまいりたいと思っております。
 私は、就任以来、東京が直面するさまざまな危機に対して警鐘を鳴らし、危機克服に向けた政策を展開してまいりました。内側から腐食するさびのような構造的危機への対応が、二十一世紀の東京にとって最大の課題です。また同時に、今回の三宅島火山活動のように、待ったなしで襲う災害など突発的な危機に対して、あらゆる事態を想定し、十全の備えをしておくこと、すなわち危機管理も、私の知事としての使命であります。
 直下型の大地震は、いつ発生しても不思議ではない時期に来ております。阪神・淡路大震災は、迅速な初動対応とともに、地域の助け合いや、復興を円滑に進めるルールづくりがいかに重要であるかを、雄弁に物語っております。
 しかしながら、制定以来四半世紀が経過した震災予防条例は、行政の主導による予防対策が中心であり、今日の複雑な社会環境の中では、限界を露呈しております。また、復興に関する国の制度も、巨大都市東京の実態に即したものとはいえません。
 私は、これからの震災対策を、都民、事業者及び行政が連携して取り組む、応急・復興事業も含めた総合的な対策に転換してまいります。
 震災予防条例については、年内に初めての抜本的改正を行い、新たに、都民、事業者の役割の強化、助け合いの仕組みづくり、救出・救助の活動拠点の事前指定など、法律の不備を補う都独自の制度を導入いたします。
 東京の復興を迅速に進めるには、国の制度についても、非常時に有効に機能するよう検討されるべきであります。有識者の意見を聞きながら、本年秋を目途に、新たな私権の制限を含む法的課題を取りまとめ、国に対して問題提起してまいります。
 万一、東京に大震災が発生した場合は、総力を結集して非常事態に対処する必要があります。危機対応能力を最大限発揮するためには、日ごろの備えと訓練が何よりも重要であります。
 来る九月三日、大都市東京を舞台に「ビッグレスキュー東京二〇〇〇 首都を救え 」と命名した、都政史上、日本史上最大規模の総合防災訓練を実施いたします。
 今回は、警察、消防などのほか、総理大臣を責任者とする陸・海・空三軍が初めて統合して加わるなど(発言する者あり)軍は軍だ。国もかつてない規模で参加し、関係機関が相互に連携を強めながら、極めて実践的に訓練を行います。また、災害時に一人でも多くの生命を救出できるよう、多数の負傷者の中から治療の優先順位づけを行うトリアージを、このたびの訓練で本格的に取り入れてまいります。
 私は、これらの体験、知見を重ねることが都民の防災意識の高揚につながり、安全確保に高い効果を上げるものと確信しております。
 次に、都政の将来を見据えて定めるべき、戦略的課題への取り組み状況について申し上げます。
 国家全体がよって立つべき座標軸を喪失した今こそ、東京が再生に向けた長期戦略を打ち出し、将来の展望を明示する必要があります。危機の先にあるべき東京の姿は、だれもが創造力を発揮できるとともに、安心して生活でき、先駆的な文明のメッセージを発信できる都市であります。
 私は、いち早く東京を危機からよみがえらせ、二十一世紀に誇れる都市をつくり出していくため、東京構想二〇〇〇を十一月を目途に策定いたします。八月末には中間のまとめを行い、十五年後の東京の将来像を、単に都市像や生活像のみならず、新しい社会の姿やこれからの行政像も含めて取りまとめます。
 想像を絶するスピードで社会が変化するこの時代、十五年先を展望することは、これまでの一世紀分の変化を見通す眼力が要求されます。知事として東京の行く末を託された私は、この困難な作業にチャレンジしたいと思います。
 東京の全体像を描くには、都市づくりや都市構造の理念を明確にしておく必要があります。十三年度に策定を予定している東京の新しい都市づくりビジョンの基本となる考え方を、東京構想に盛り込んでまいります。
 国際的な都市間競争が激化し、人や企業が都市を選ぶ時代を迎えている中で、東京にとっては、世界の中枢に位置する都市として、揺るぎない存在感を示し続けることが極めて重要なテーマであります。私は、国際都市東京の魅力を高めることを都市づくりの基本目標として、業務機能のみならず、居住、物流、文化、観光などのさまざまな機能に着目して、東京の魅力を高め、活力あふれる都市にしてまいります。
 また、これらの機能を持つ都市が総体として力を発揮するためには、センターコアとなる首都心しんを形成するとともに、環状方向の地域連携を含めたネットワーク化を図ることが重要であります。この東京圏全体を視野に入れた、環状メガロポリス構造とも呼ぶべき新しい東京の都市構造を目指して、二十一世紀に向けた都市づくりを積極的に展開いたします。
 東京湾岸に広がる臨海地域は、大きな潜在力、魅力を備えており、東京再生のためのリーディングエリアとして、新しい仕事を育てる新産業空間や、職住近接の生活空間を築いていくことが求められております。現在、新たな整備方針を策定中であり、九月に、骨子となる部分を中間のまとめとして明らかにいたします。
 世界全体が時間的、空間的に狭小になっていく中で、東京がアジアを代表するグローバルプレーヤーとしての役割を担っていくためには、増大する国際線の航空需要に十分こたえていく必要があります。
 羽田空港の国際化に関しては、国も、ようやく重い腰を上げ、検討に着手いたしました。私は、当面の対応策として、夜間早朝枠を活用した国際チャーター便や国際ビジネス機の就航など、具体的な活用方法を運輸大臣に強く提案いたしました。さらに、将来を見据え、首都圏新空港を国策として早期に事業化するよう、国に強く働きかけてまいります。
 横田飛行場に関しては、先月、第二回横田基地の民間利用を考える会を開催いたしました。今後とも、国内外の世論を喚起するための行動を展開してまいります。
 三千三百万の人口と七都県市から成る東京圏が、地域全体で首都機能を担いながら発展していくには、共同で取り組むべきこれからの政策について明らかにするとともに、国と連携することが不可欠です。私は、国が開催した第二回都市再生推進懇談会において、七都県市と国が構成メンバーとなる常設の協議機関を新規に設置するよう、提案いたしました。
 これまで私は、都議会を初め多くの方々と協力しながら、首都の移転に断固反対であることを再三再四、力説してまいりました。しかし、衆議院の国会等移転特別委員会では、先月、こうした運動、世論を全く無視し、二年後を目途に移転先候補地を絞り込むという、愚にもつかぬ決議を採択いたしました。この決議は、一言の議論も交わすことなく採決するなど、手続面でも極めて乱暴なものであります。選挙を前にして、委員会活動を記録に残すための、国民を愚弄したアリバイづくりでしかありません。
 これ以上不毛な議論にエネルギーを浪費するより、東京圏のおくれている社会資本整備に国を挙げて力を注ぐことが我が国の将来にどれだけ有意義であるかは、火を見るよりも明らかであります。
 重ねて訴えます。首都移転は、国家全体のためにも、一刻も早く白紙撤回されるべきであります。
 次に、強くしなやかな行財政体質の確立に向けた取り組みについて申し上げます。
 瀕死の都財政を引き継いだ私は、就任以来、財政再建を都政の最重要課題の一つと位置づけ、給与削減を初めとする内部努力や聖域なき施策の見直しなど、かつてない厳しい取り組みを行ったつもりであります。
 しかし、近く発表する予定の十一年度一般会計決算では、十年度の大幅な赤字をほとんど解消できず、その額は九百億円にもなる見込みであります。財政の弾力性や健全性をあらわす経常収支比率については、昭和五十三年度以来、二十一年ぶりに一〇〇%を超えることが確実な状況であります。さらに来年度は、引き続き四千三百億円もの巨額の財源不足が生じる見込みであります。今後急増する公債費などの要因を考え合わせると、東京は、財政再建団体に転落するかどうか、まさに徳俵の上に足をかけた瀬戸際の状況がいまだ続くことを覚悟しなくてはなりません。
 都議会並びに都民の皆様のご理解を得ながら、財政再建推進プランに基づき、今後とも積極的に構造改革に取り組み、緒についたばかりである財政再建の達成に向け、全力を傾けてまいります。
 今、都庁職員に最も不足しているのは、サービス精神や徹底したコスト意識など、鋭敏なる経営感覚であります。私は、経営とは何かを職員全員に体得させる必要を痛感しております。
 写真美術館は、日本で唯一の写真、映像専門の美術館として、貴重な作品、資料を多数収蔵しております。しかし、膨大な経費を投入する一方で、入館者は一向にふえず、採算を度外視した運営が続いておりました。私は、すぐれた感覚と大胆な発想を備えた民間経営者に館長就任を依頼し、写真美術館の再生を託しました。
 都バスにおける広告料収入の増加策も、最近手がけた取り組みの一つであります。条例改正など必要な措置を講じた上で、路線バスの車体全面に広告を掲載いたしました。これにより、今年度は約五億円の収入の増加を見込んでおります。ちょっと料金が安過ぎたので、来年から値上げしようと思っていますけれども。
 だれもが使いやすい地下鉄となるよう、出入り口表示の改善にも取り組んでおります。既に都営と営団地下鉄では、統一案内標識の設置を進めておりますが、さらに、この秋には、現在公募中の動くサインを設置し、一層のサービスアップにつなげてまいります。
 民間の資金やノウハウを活用するPFIについては、昨年、地方自治体として初めて、金町浄水場の常用発電設備に導入いたしました。今後、都庁全体でPFIの導入に積極的に取り組んでまいります。
 私は、引き続き、つめに火をともすような努力もいとわず、都政経営の改善に努めるとともに、職員の意識改革を徹底したいと思っております。
 時代の変化を先取りし、柔軟で機敏な都政運営を実現するためには、職員一人一人が旧来の殼を打ち破るだけではなく、行政システムそのものも一新しなければなりません。
 私は、抜本的な体質改善に向け、執行体制や仕事の進め方など直ちに取り組むべき改革を「都政改革ビジョンⅠ」として年内に取りまとめます。まず、八月末に中間のまとめを策定し、現在の行財政システムの課題を整理し、改革の方向を明らかにいたします。
 とりわけおくれているのは、情報技術を活用した都民サービスの向上と事務の効率化であります。現在都庁で使用しているパソコンの多くが外部と結ばれていないため、デジタルネットワークの時代を迎えようとする中で、社会の潮流から都庁は取り残されております。議会からの強いご指摘もあり、電子都庁の実現に向けた第一ステップとして、本年秋に、約三千台のパソコンをインターネットに接続し、都民や関係機関との双方向の情報伝達に活用いたします。
 次に、国政の変革にもつながる、東京からの新たなメッセージの発信について申し上げます。
 明治以来行われてきた日本の教育は、欧米に追いつき追い越せというこれまでの国家目的にとっては、有効に機能してはまいりました。しかし、近代文明が幕を閉じ、新しい文明の入り口に差しかかっている今、もはや歴史的にそごを来している現在の教育システムを根本から変えていかなくてはなりません。
 すなわち、すべての分野に一通り精通した、いわゆる官僚に表象されるような全天候型の人材を画一的に育成しようとするのではなく、その人しか持ち得ないような能力、創造力を引き出す教育が、これからの情報社会を勝ち抜き、二十一世紀の我が国を支える礎として求められております。
 私は、新しい大学のモデルを東京から発信することにより、日本の大学から日本のすべての教育を変えていく引き金としたいと考え、都立の四大学の改革に着手いたしました。
 具体的な内容は今後明らかにしてまいりますが、大学がいたずらな象牙の塔となることなく、教育者間にも健全な競争原理が働くように改めるとともに、独立採算制をも視野に入れ、経営面の改革に取り組んでいきたいと思っております。また、学生にとっては、生きた学問を修得する場となるためにも、入学がしやすく卒業しにくい大学を目指していきたいと思っております。
 日本の医療に対しては、患者への情報提供の不足や相次ぐ医療事故などから、かつてないほど国民に不信感が蔓延しております。今、国民のだれもが医療行政の抜本的な体質改善を希求しております。
 私は、今回、東京の医療の将来像として、三百六十五日二十四時間の安心を保障する医療、患者中心の医療を掲げ、日本の医療改革の突破口となる東京発の医療改革を開始いたしました。
 まず、広尾、墨東、府中の三都立病院に、二年以内を目途として、休日、夜間を含め、あらゆる症状に対応できる東京エマージェンシールーム、東京ERを設置いたします。また、民間との役割分担のあり方などを踏まえ、地域性、医療機能の面から、老人医療センターをあわせた都立病院全体を再編整備いたします。このため、近く都立病院改革懇談会を設置し、中長期的な展望も含めた考え方を取りまとめてまいります。
 四月に施行された地方分権一括法は、何よりも大切な地方税源の充実確保を、中長期的な課題として先送りしてしまいました。私は、国がみずから改革する力を失っているのであれば、首都東京が持つ発信力を生かし、進んで新しい税制を提言していきたいと思っております。
 このため、都議会の代表の参加も得て、東京都税制調査会を過日発足させ、地方分権の時代にふさわしい税制全体の望ましいあり方について諮問いたしました。国、地方間の税源配分や政策税制など、四つの分野について審議をお願いしております。十一月を目途に最初の提言を受け、都議会を初め他の地方自治体とも連携を密にしながら、制度変革のうねりを巻き起こしてまいりたいと思います。皆様のご支援を心からお願いいたします。
 真の地方主権を確立していくためには、国の動きを座して待つのではなく、東京が独自に取り組むことのできる改革を率先して実行し、全国に範を示す必要があります。
 先日公表した第二次東京都地方分権推進計画、中間のまとめは、都道府県として初めて、区市町村への権限移譲が可能な千項目を超える事務をリストアップし、人的、財政的な支援の考え方も盛り込むなど、先駆的な内容になっております。
 今後、九月に策定する計画をもとに関係機関と協議し、区市町村への分権を進めてまいります。
 私は、昭和四十二年以来、抜本的な改正が行われていない土地収用法の見直しを建設大臣に強く提言し、国も直ちに検討を開始いたしました。
 適正な手続を経て合意されているにもかかわらず、事業開始後にわずかな土地を取得した多数当事者が、収用手続の段階で公共事業の進捗を大幅におくらせている例が多々あります。
 今後、こうした事態を招くことなく、速やかに社会資本整備が進むよう、新たな土地収用のルールづくりを促進いたします。
 次に、これまで植えてきた政策の苗を大きく育てるための展開について申し上げます。
 頻発する未成年者の凶悪犯罪は、青少年問題の深刻化を象徴しております。また、犯罪に至らないまでも、我慢ができない自己中心的な考え方や、社会ルールから外れた行動をとる子どもたちがふえております。我々大人自身が、子どもの人格形成に向けた責任を自覚し、健全に彼らを育てる社会環境をつくっていくことが何よりも重要であります。
 私は、心の東京革命を社会全体で取り組む運動にしていくため、地域で活動する団体などで構成する心の東京革命推進会議を四月に設置し、運動の母体としていくことにいたしました。
 来月策定する心の東京革命・行動プランにおいても、地元企業と連携した職業体験など具体的に取り組み例を示し、地域や関係団体と一体となった行動を展開してまいります。
 また、メディアによる情報のはんらんが、青少年の意識や行動にさまざまな影響を与えています。有害な情報について効果的な規制を行うとともに、青少年自身の情報に対する主体性、自律性を高めていくことが重要であります。
 今年度中に青少年の健全な育成に関する条例を改正し、健全なメディア環境づくりに向け、社会全体へ働きかけてまいります。
 今日の日本は、待ったなしの経済構造改革が求められていますが、米国競争力評議会によれば、技術革新指数がOECD加盟国中第一位となるなど、日本は科学技術の面では依然として世界最高水準にあります。産業の活性化を図るためには、こうした誇るべき技術や人材がその能力を十全に発揮できるよう、支援していく必要があります。
 七月に策定する産業振興ビジョンは、情報ネットワークを活用した広範な議論を通じ、都民、事業者などのすぐれた提案を具体的政策へと結実させるものです。既に、二百件に及ぶ提言の中から、先端技術や地域の資源を生かした産業再生の芽が育ち始めております。私は、これらのチャレンジ・プロジェクトが自立的発展を遂げ、危機的な産業・雇用情勢の打開の糸口となることを期待しております。
 産業の育成にとりわけ重要な、創業者やベンチャー企業の支援策の一つとして、都の空き庁舎を無料で提供する制度を新設することにいたしました。まず、旧繊維工業試験場江東分場を活用し、実施してまいります。
 東京は、政治、経済だけでなく、文化を発展させるさまざまな要素が凝縮する都市であります。しかし、歴史的に蓄積され、また新たに生まれつつある東京の都市文化は、必ずしも広く世界に認識されてはおりません。これからの東京に求められるのは、独自の文化情報を発信するとともに、多様な文化の交流拠点となり、世界じゅうの人々を引きつける、都市としての魅力を高めていくことであります。
 近く発表する文化政策に関する基本方針、中間のまとめでは、文化による都市戦略の方向性や行政の支援領域など、文化政策の基本的方向を示すとともに、都立文化施設の再編のあり方を明らかにいたします。今後、広く各方面から意見を聞いた上で、十月を目途に、世界に誇り得る芸術文化都市づくりの基本方針を策定いたします。
 先月オープンしたトーキョーワンダーウォールは、小さくはあっても、新しい文化政策の一つの試みでございます。ここから、国際的な評価を受けるような新進芸術家が世界に飛躍していくことを心から期待しております。
 東京における人権の問題は多様化、複雑化し、プライバシーや遺伝子などの領域において新たな課題が生じております。また、不当な差別に見られるような一方的な人権侵害だけでなく、それぞれの人権を根拠とした主張が激しく衝突する問題も起きております。こうした人権状況に対応して、人間の存在と尊厳を守り、活力と安心、そして国際的な魅力を備えた東京を築いていく必要があります。
 本年秋に、人権施策推進のための指針を策定し、基本的人権が尊重される東京を実現するための確かな道しるべといたしてまいります。
 経済的なかかわりが深く、価値観にも共通性が見られるアジアは、我が国にとって最も重要な地域であります。アジア地域が相互に結びつきを強めながら発展していくためには、各国をリードする大都市が、環境対策や文化、産業の振興など、共通の課題に連携して取り組む必要があります。
 私は、かねて提起していたアジア大都市ネットワークの構築に向け、第一歩を踏み出します。八月に、アジア各地域を代表する都市であるデリー、クアラルンプール、ソウル及び東京が共同提唱都市首長会議を開催し、ネットワークの理念や取り組むべきテーマについて協議いたします。
 この会議を起点として、具体的な案件についてのネットワークの構築を図り、二十一世紀をリードする極の一つとして、アジア地域の発展を目指してまいりたいと思います。
 都政に身を投じてから、早くも一年余が経過いたしました。この間、私は、自己決定能力を喪失しつつあるこの国の中で、新しい政治のありようをつくり上げるために、東京から日本を変えるような引き金を引くことを基本姿勢として、変革につなげるメッセージをも発信してまいりました。ディーゼル車NO作戦、外形標準課税、中小企業のためのローン担保証券(CLO)の発行などは、東京発の新しい政治スタイルが国を動かした一つの証左でもあります。
 しかし、こうした過程を通じて、国の対応は非常に鈍いことを改めて認識いたしました。今後も、都議会の皆様のご協力をいただきながら、改革のための強いボールを国に対して投げ込んでまいります。
 また、私は、これまで四十数カ所の現場を直接見て回りました。目で確かめ、肌で感じることで、都政には多くの難問が待ち受けていることをますます強く覚悟させられた一年でもありました。これからも現場主義を貫き、職員や関係者との対話を通じて新鮮な発想を掘り起こすとともに、課題の発見に努めてまいります。
 人間が成長するためにはライバルが必要であるように、都市の発展にとっても、互いに競い合う相手が求められてしかるべきだと思います。人、物、情報、資金が世界じゅうから集まる都市ニューヨークは、またとない好敵手であります。今後、ニューヨークを政策上のライバルとみなしーー一方的でありますけれども、常に念頭に置きながら、日本の首都東京のレベルアップに努めてまいります。
 二年目を迎え、私の責任はますます重くなります。これまで植えた政策の苗を大きく育てていくとともに、今後も改革の手を緩めることなく、先頭に立って新たな政策の苗を植え続けてまいりたいと思っております。
 議会の皆様、都民の皆様の一層のご理解とご協力を心からお願い申し上げます。
 なお、本定例会には、情報公開条例の一部改正など条例案十五件、契約案八件など、合わせて二十八件を提案しております。よろしくご審議をお願い申し上げます。
 以上をもって私の発言を終わります。ありがとうございました。(拍手)

○議長(渋谷守生君) 以上をもって知事の発言は終わりました。

○六十七番(鈴木一光君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議は、この程度をもって散会し、明二十九日から七月四日まで六日間、議案調査のため休会されることを望みます。

○議長(渋谷守生君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(渋谷守生君) ご異議なしと認めます。よって、本日の会議はこの程度をもって散会し、明二十九日から七月四日まで六日間、議案調査のため休会することに決定いたしました。
 なお、次回の会議は、七月五日午後一時に開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後二時二十三分散会


文書質問趣意書及び答弁書

一二財主議第二四九号
平成十二年六月十五日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 渋谷 守生殿
   文書質問に対する答弁書の送付について
 平成十二年第一回東京都議会定例会における左記議員の文書質問に対する答弁書を別紙のとおり送付します。
     記
大西由紀子議員
和田宗春議員
花川与惣太議員

平成十二年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 大西由紀子

質問事項
一 小松川市街地再開発事業と公園について

一 小松川市街地再開発事業と公園について
  小松川市街地再開発事業の推進にあたっては、そのまちづくり課題のため市民による「小松川まちづくり協議会」が結成されており、様々な事業が市民参加で進められていると聞いています。
  再開発事業の一環として、三丁目の街区公園建設がありますが、この公園については、都が建設し管理を区に移管するもので、地元住民の要望を聞きながら建設していくこととなっております。もともと、江戸川区では、従来公園づくりについては、「アイデア検討会」という名称で、市民参加のワークショップを取り入れ、市民参加で、児童公園を作っております。
  しかし、三丁目の街区公園の素案の検討については、実際「まちづくり協議会」に話しがなされず、近隣の自治会を対象に、話し合いの呼びかけがなされ、集まった人だけの意見を聞くだけだったと聞きます。
  都としては、説明会を二回程度を予定したにもかかわらず、自治会の関心のためか、二回目の開催が出来なかったようで、関心のある区民にとっては、不満のある案の決定プロセスであったように考えます。
  以上踏まえ以下のように質問致します。
 1 再開発事業の推進にあたって、公園建設などについては「まちづくり」の観点から市民参加で進めていくという、都の従来の基本的立場は、現行でも変わらないのかどうか伺います。
 2 二丁目の街区公園建設にあたっては、三丁目街区公園の教訓を生かし、参加型の素案づくりのためには、どのような具体策を考えているのか、伺います。
 3 二丁目公園の事業実施については、地元の要望を受けて着実に進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
 以上

平成十二年第一回都議会定例会
大西由紀子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 小松川市街地再開発事業と公園について
  1 再開発事業の推進にあたり、公園建設などについては「まちづくり」の観点から市民参加で進めていくという、都の従来の基本的立場は、現在でも変わらないか、伺う。

回答
  市街地再開発事業を進めるに当たっては、地域住民の理解と協力が重要と考えております。
  公園の整備においては、これまでも地元区と連携し、近隣の自治会や小学校等、地元住民の意見や要望を聞きながら実施してきましたが、今後とも地元の区及び住民の方々と話し合いながら進めてまいります。

質問事項
 一の2 二丁目の街区公園建設にあたっては、三丁目街区公園の教訓を生かし参加型の素案づくりのためには、どのような具体策を考えているのか、伺う。

回答
  小松川三丁目の街区公園整備に当たっては、江戸川区の意向を踏まえ、近隣の五自治会や小松川第二小学校に呼びかけ、説明会を行い、要望等を聞きながら整備したものです。
  小松川二丁目の街区公園の整備に当たっては、現在、整備主体等について将来管理者である江戸川区と協議しているところであり、今後、具体的な素案づくりの方法等についても十分協議してまいります。

質問事項
 一の3 二丁目公園の事業実施については、地元の要望を受けて着実に進めていくべきと考えるが、見解を伺う。

回答
  小松川二丁目の街区公園の整備については、将来管理者である江戸川区と早期に協議・調整を進めてまいります。

平成十二年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 和田宗春

質問事項
 一 東京都の職業訓練のあり方について
 二 東京都区部の下水道事業の現状と将来について
 三 新河岸東処理場(左岸施設)の上部土地等の活用について

一 東京都の職業訓練のあり方について
  産業構造の変化に伴う経済不況の長期化や、雇用形態の流動化など、勤労者にとって厳しい社会環境となっている。働く者が、安定した雇用を確保するためには、技術革新に対応した、技術・技能を身に付けることが不可欠となっている。学生時代に学んだ知識や技術で、一生同じ会社同じ職種に勤め続けることが出来るという時代は過ぎ去りつつある。
  高い失業率が定着するのではないかと予想されているこれからの社会においては、働く者が生涯に渡って、技術や技能を学ぶことが求められる。雇用のミスマッチを解消し、失業なき労働移動を実現するためにも、職業訓練をはじめとする職業能力開発行政は、今までとは比較にならないほど重要性を増すものと考えられる。
  そこで、都の職業能力開発行政の中核をなす「都立技術専門校」について、三点について、大関労働経済局長にお伺いした
い。
 1 まず第一に、平成十二年度には、中高年離職者を対象に国の緊急雇用対策をうけて、昨年度より四百人多い千人規模で実施する予定であるが、時宜を得たものと評価したい。ところで、「緊急」とはどういう意味であるのか。状況が落ち着けばやめてしまうというものであろうか。今日の雇用失業の情況は、、暫くすれば消滅するというような性格のものではない。私は、高齢社会に向かって、中高年の離職者、求職者の再就職を支援するための職業訓練は、「緊急」ではなく平常的な労働経済対策として、今後ますます重要になると考えるが如何か。
 2 次に、都内には、民間の専門学校や各種学校など、職業技術や技能を学ぶ教育機関が多数立地しており、多くの都民は授業料などを自分で負担して学んでいる。一方、都立技術専門校における公共職業訓練は、都民の税金で運営されている。授業料も無料である。したがって、真に訓練の必要な人を入校させ、就職するために必要な技能をしっかりと身に付けさせ、確実に就労に結び付けていくことが重要である。そのためには、まず多くの入校希望者の中から、どのようにして入校者を選抜するかが重要になる。現在、都では「筆記による学科試験」と「面接」により選抜している。学科は「国語」と「数学」で中学校卒業程度の学力が必要ということだ。技術や技能を、しかも短時間で学ぶことになるので、ある程度の基礎学力がなければということは理解出来るが、すべての科目について同じ試験問題で実施しているため、適切とは思えない例も見受けられる。たとえば、ホームヘルパーの資格を取得するための「介護福祉科」の受験生に、機械操作や自動車整備を学ぶ者と同じように、ルートの計算をさせる必要があるのだろうか。また、確かに現在の中学校では教えているかもしれないが、介護福祉科の受験者には、三十代、四十代の都民が多く、若い人たちとこうした問題で競争させられるのは、公平といえるだろうか。私は、介護労働を目指すものにとってもっとも大切なのは、福祉に対する情熱、人間愛、そして健康ではないだろうかと思う。東京都は、就労への高い意欲を持ち、都が税金で学ばせるによりふさわしい人を選抜できるよう、訓練科目により、あるいは年齢により特徴を持たせる等きめ細かな工夫をすべきと考えるが如何か。
 3 第三に、十三年度四月に、大江戸線飯田橋駅の真上に開校予定の「お茶の水技術専門校」についてである。都財政の厳しき折にもかかわらず、当初予定どうりその建設費を予算計上したことに敬意を表したい。ところで、この校の立替計画は、はじめに計画が検討されてから十年近くの年月が経過しているということである。十年という年月は、東京の産業経済の様相を、また雇用環境を様変わりさせたことは、誰もが周知のとおりである。しかも、新お茶の水校は、印刷・出版系の科目を集めるとのことである。印刷技術は、十年前と全く別の技術といっても良いほどの変りようであり、しかも今日でも年々変化しつつある。まさか十年前に立てたプランのままに具体化するとは思わないが、最新の施設設備や技術を集めたものでなければ、業界が求める人材を育てることは出来ないであろう。そこで、新お茶の水校は、二十一世紀の最初の年に開設されるにふさわしい科目構成と運営上の工夫が求められるが、どのような計画となっているのか。また、飯田橋駅前にあり、お茶の水校という名称はまぎらわしいが、わかりやすい名称に変更する予定はないのか。
二 東京都区部の下水道事業の現状と将来について
  東京都区部の下水道は、平成六年度に一〇〇%の普及を果たした。しかし、下水道には基本的に三つの役割がある。それは、
 1 汚水の排除、処理による生活環境の改善
 2 雨水の排除による浸水の防除
 3 公共用水域の水質保全
 である。
  区部下水道の一〇〇%普及は1の生活環境の改善が達成されたにすぎず、まだ道遠しの感がある。
  一方、少し古い計画であるが、都は平成四年七月に下水道普及達成後の展望として「第二世代下水道マスタープラン」を策定している。将来の下水道はこの理念を踏まえて、都民から要求される最低限の整備水準を満たす事業と機能の高水準化や多目的利用などを図る事業を進めていかなければならない。
  一世紀以上の月日をかけて整備してきて、区部の平成八年度末の下水道は、その普及面積において、五万五千九百ヘクタール、普及人口八百五万人、管渠延長において一万四千九百キロメートル・ポンプ所八十箇所、処理場は十二箇所となっている。このような現在の東京都の下水道事業の有する基幹施設の能力は他都市に比較して低位である事は事実である。平成八年には神田川に鮎の大群が溯上するように改善されてきてはいるが、まだまだ都の努力が必要である。そこで、以下三点について、伺う。
 1 まず、未だ解決されない未整備の課題が残されていると思うが、主なものにはどのような課題があるのか、伺う。
 2 第二点として、下水道普及対策と施設能力の増強について、伺う。
   今、八百万世帯の都民の内、約二万人が下水道の恩恵にあずかれずにいる。また、都市化が進んできたために、道路冠水、床下浸水が逆に増えている事情もあり、分流式下水道地区の雨水整備が遅れている。さらに、生活の多様化によって、流入汚水量が増加している。以上のような、下水道事情を改善するために、どのような対策を考えているのか、伺う。
 3 最後に、老朽化した管渠などの施設の計画的、対策的、経済的な再構築について、伺う。
   耐用年数が五十年を経過した管渠の割合を見ると、台東区で九一%、千代田区で八四%、中央区で七七%、北区にあっても二〇%が古い管を使用している。耐用年数が五十年を超した管渠は二千キロメートルであり、先に述べたように、都心部の八〇%以上が耐用年数を超過している。管渠の損傷による道路陥没が年間二千件にものぼる。ポンプなどの四〇%が耐用年数を過ぎている。老朽化した施設は関東大震災クラスの地震にはまったく対応できない。これらの老朽化現象をどのように解消していこうとしているのか、伺う。
三 新河岸東処理場(左岸施設)の上部土地等の活用について
  新河岸東処理場は、新河岸処理区の汚水増量に対応するために、既設の処理場を補完する施設として建設されている。新河岸処理区は、練馬区、板橋区の大部分と杉並区、北区、豊島区、中野区、新宿区の一部地域の汚水処理に対応する。その処理区面積は一万四百七十ヘクタールで、全体計画水量は一日に最大限百十二万立方メートルである。処理場の開業は平成十三年に予定されている。昭和六十二年二月から都によって建設事業が進められてきた。そして、処理1/2系列の建設工事が、平成十年度末に完成している。上部利用の公園についても1/2の暫定整備によって区民に開放することとされている。
  そこで、以下四点にわたり、伺う。
 1 平成十二年度より十四年度までに、同処理場の上部に北区で野球場等の運動施設のある公園が整備される予定であるが、公園利用者の駐車場空間を同処理場の構内、例えば汚泥貯蓄槽北側のオープンスペースを公園利用者の駐車場として開放できないか、伺う。
 2 第一・第二沈殿池の南側半分の施設整備については、現在のところ整備日程等は明らかにされていない。当初計画では公務員住宅側から上部公園を経由して、埼京線浮間舟渡駅までのアクセスルートが示されていた。北区では、アクセスルートの確保を早期に要望しているが、都の考えを明らかにするべきと考えるが、見解を伺う。
 3 新河岸東処理場は高度処理場として臭気については万全の措置を講じていると考えるが、周辺地域、公園利用者から悪臭、健康被害などの苦情の出ないような対処をどのように考えているのか、伺う。
 4 新河岸東処理場では、汚水を高度処理して新河岸に放流する計画である。その再生水を利用する必要がある高度処理水を覆蓋上部公園の散水等の利用に供し、処理水の清潔性を証明するべきである。その際の処理水の費用は下水道局負担として北区周辺住民の協力に謝意を表すべきであるが、その方針は可能であるか。また、地域が要望した場合、循環型社会の形成のために下水の熱利用を生かした地域冷暖房システムの採用はできないか、伺う。

平成十二年第一回都議会定例会
和田宗春議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 都の職業訓練のあり方について
  1 都では、国の緊急雇用対策を受け、平成十二年度は千人規模での実施となる予定だが、高齢社会に向かい、中高年の離職者、求職者の再就職を支援するための職業訓練は「緊急」ではなく平常的な労働経済対策として、今後ますます重要になると考えるが、如何か。

回答
  都立技術専門校においては、産業界の求める技能者を養成するとともに、離転職者の再就職を支援する公共職業訓練を実施しております。
  さらに、最近の厳しい雇用失業情勢の下で、特に再就職の難しい中高年向けの職業訓練を緊急雇用対策として位置付け、年間定員枠を大幅に拡大いたしました。
  ご指摘のように、産業構造や雇用環境の変化に伴い、中高年の離転職は、自発、非自発を問わず、今後増加することが予想されます。
  このため、現在実施している緊急雇用対策の成果を十分に見極め、中高年の再就職を支援する職業訓練を、これからの公共職業訓練における中心的な事業の一つとして、その充実に努めてまいります。

質問事項
 一の2 都は、専門校における入校選考に際し、就労への高い意欲を持ち、都が税金で学ばせるによりふさわしい人物を選抜できるよう、訓練科目あるいは年齢により、特徴をもたせる等きめ細かな工夫をすべきと考えるが如何か。

回答
  技術専門校の職業訓練は、基礎的な受講能力を有し、就労意欲などにあふれた人が受講できることが重要と考えます。
  このため、入校選考に当たっては、筆記試験によって受講能力を検証するとともに、就職への意欲、訓練への熱意、職業訓練の必要性等を判定する面接を重視するなど、適切な選考となるよう努めております。
  今後とも、公共職業訓練の受講者として、よりふさわしい人を選考できるよう、一層の工夫を重ねてまいります。

質問事項
 一の3 新お茶の水校は、二十一世紀の最初の年に開設されるにふさわしい科目構成と運営上の工夫が求められるが、どのような計画となっているか。また、飯田橋駅前にあり、お茶の水校という名称はまぎらわしいが、分かりやすい名称に変更する予定はないか、伺う。

回答
  平成十三年四月に開校する新「お茶の水」技術専門校は、パソコングラフィック科、DTP編集科などの印刷・出版系の科目五科に、介護サービス科、医療事務科を加えた計七科の訓練を予定しています。
  事業の展開に当たっては、企業からのオーダーメイド訓練を拡充するとともに、業界団体とのカリキュラムの共同開発やインターンシップなどの企業委託訓練等に積極的に取り組むなど、急速な技術革新に対応した柔軟な運営に努めてまいります。
  なお、技術専門校の名称については、都民にとって分かりやすい名称とするよう、今後検討してまいります。

質問事項
 二 東京都区部の下水道事業の現状と将来について
  1 未だ解決されない未整備の課題が残されているが、主なものにはどのような課題があるのか、伺う。

回答
  下水道事業の取り組むべき課題としては、老朽化した施設の機能向上を図る再構築事業、浸水被害を軽減させるための雨水整備事業、隅田川や東京湾などの水辺環境を向上させるための処理水の高度処理化や合流式下水道の改善事業、循環型社会に貢献するための汚泥の資源化の促進などが挙げられます。

質問事項
 二の2 八百万都民のうち、約二万人が下水道の恩恵にあずかっていない。
    また、都市化の進展に伴い、道路冠水等が増加し、分流式下水道地区の雨水整備が遅れ、さらに、生活の多様化により、流入汚水量が増加している。これらの下水道事情の改善のため、どのような対策を考えているのか、伺う。

回答
  普及困難地区については、今後も区画整理事業など他の公共事業と調整を図りながら整備をしていきます。また、分流地区については、引き続き雨水排水施設の整備を計画的に進めていきます。
  一方、下水道の整備済み区域においても、都市化の進展による雨水流出量の増大に伴い、浸水被害が発生していることから、現在、幹線管渠やポンプ所、雨水調整池などの施設整備を図っております。また、特に、浸水危険度の高い地区を対象に新たに緊急重点雨水対策(雨水整備クイックプラン)を策定し地元区など、関係機関の協力も得ながら対策を進めていきます。

質問事項
 二の3 都心部の管渠のうち、八〇%以上が耐用年数を超過し、ポンプなどの四〇%が耐用年数を過ぎている。これらの老朽化現象をどのように解消していくのか、伺う。

回答
  管渠については、老朽化の調査を行い、既設管渠をできるだけ活用しながら計画的、経済的に再構築を行い、併せて汚水量や雨水流出量に対する能力不足の解消を図ります。また、処理場、ポンプ所の機械・電気設備については、耐用年数、機能の低下、陳腐化などを総合的に勘案した上で計画的に再構築を行っていきます。

質問事項
 三 新河岸東処理場(左岸施設)の上部土地等の活用について
  1 同処理場の上部に、運動施設のある公園が整備される予定だが、同処理場の構内、例えば汚泥貯蓄槽北側を公園利用者の駐車場として開放できないか、伺う。

回答
  新河岸東処理場の水処理施設の上部は、運動施設のある公園として整備する方向で北区を始めとする関係区と協議しています。
  また、公園利用者の駐車場については、今後、必要性も含めて検討していきます。

質問事項
 三の2 当初、埼京線浮間舟渡駅までのアクセスルートが示されていた、第一・第二沈殿池の南側半分の施設整備について、その日程等が明らかにされていない。都の考えを明らかにすべきだが、伺う。

回答
  左岸側水処理施設の南側半分については、流入水量の伸びに合わせて順次建設する予定です。
  また、埼京線浮間舟渡駅までのアクセスルートについては、今後関係区と費用負担を含めて協議していきます。

質問事項
 三の3 新河岸東処理場は、高度処理場として、臭気については万全の措置を講じていると考えるが、周辺地域や公園利用者から、悪臭等による苦情のでないようどう対処していくのか、伺う。

回答
  臭気対策については、臭気の発生が予想される施設を二重に覆うなどの構造とし、さらに臭気そのものを除去する最新の脱臭装置を設置します。これにより、下水から発生する臭気が施設の外に拡散しないように努めます。

質問事項
 三の4 新河岸東処理場において高度処理された再生水を覆蓋上部公園の散水等に利用し、その際の処理水の費用を、下水道局負担とすべきだが、所見を伺う。また、地域が要望した場合、下水の熱利用を生かした地域冷暖房システムの採用はできないか、併せて伺う。

回答
  再生水の利用については、公園整備計画等を考慮し、今後関係区と調整を図っていきます。
  また、処理場外への熱供給については、供給先までの距離や熱の利用量を勘案した採算性など、克服しなければならない課題が多くあります。

平成十二年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 花川与惣太

質問事項
 一 北区における、東京都関連の重要事業と課題について
  1 十条地区のまちづくりについて
  2 北区西ヶ原の東京外国語大学移転跡地の利用について
  3 首都高速道路王子線の建設に伴う環境対策について
  4 新公共交通システム「エイトライナー」及び「メトロセブン」の促進について
  5 介護保険の実施について
  6 清掃事業の移管について
  7 キリンビール東京工場跡地K21プロジェクトについて
  8 都市計画道路の整備について
  9 JR王子駅(ホームの大改造)並びに駅舎の改造、整備について

一 北区における、東京都関連の重要事業と課題について
  景気はようやく回復のきざしが見え始めているものの、その足取りは緩やかで力強さが感じられない状況です。
  この様な中での、平成十二年度都予算が緊縮された予算とならざるを得ないことは理解しております。
  しかしながら、バランスある東京の発展と住民サービスの一定のレベルの確保は必要であります。
  北区における東京都関連予算については、その執行において解決がせまられている多くの課題も生じております。
  これまで、議会での質疑や文書等様々な形で要望してきましたが、改めて、理事者各位の積極的な対応と今後の見通しについて伺います。
 1 十条地区のまちづくりについて
   東京都は、阪神・淡路大震災の貴重な教訓を踏まえ、東京を災害に強いまちにするため、平成九年三月に「防災都市づくり推進計画・整備計画」を策定した。この中で、北区では、十条地区九十五ヘクタールが「重点地区」に指定され、さらに平成十一年五月には「防災生活圏促進事業」の承認を受けた。
   北区としては現在、「北区まちづくり公社」等を活用して、十条地区の新しい防災都市づくりに向けて、住民説明会や現地調査等、鋭意努力しているところである。
   しかし、区としての取組には限界もあり、早期まちづくりの推進にあたっては、東京都の積極的な関与と支援が不可欠である。
   以下、十条地区のまちづくりについてお伺いしたい。
  ア 埼京線の立体交差化について
    平成九年十一月に東京都が策定した「生活都市東京の創造重点計画」の中で、JR埼京線の立体交差化について「事業準備中路線」に位置づけられている。
    埼京線の立体化は、防災、住環境、商店街の活性化、交通安全対策等、まちづくりの面からはもとより、ラッシュ時の混雑緩和、輸送力増強の観点からも早急に事業実現に取組むべきと考えるが、現況について問う。
  イ JR十条駅西口の「再開発事業」について
    北区議会は、平成八年度に東京都再開発部から「再開発事業実施のための調査に入る」との説明を受け、これを了承した。東京都が地元の調査に入って、早五年目を迎える。
    北区は、十条駅西口地区の再開発事業の早期実現のため、まちづくり用地を買収するとともに、十条まちづくり担当部を組織するなど支援を行っている。財政事情が切迫している中であるが、都は十条駅西口地区の再開発について、今後どのように取り組む考えか。
  ウ 密集住宅市街地整備促進事業及び防災生活圏促進事業について
    十条地区の一部に取り入れている密集事業は、一定の要件にあった建て替えについて助成することになっているが、補助要件の拡大等を検討すべきと考えるがどうか。
    また、防災生活圏促進事業について、平成十二年度の支援は予算的にどうなっているのか。
  エ 道路ネットワークとしての都市計画道路の整備について
    地区内の都市計画道路は、補助七三号線、補助八三号線、補助八五号線及び補助八七号線がある。
    現在、区施工中の補助八七号線を除き他の三路線はいずれも未着工である。道路ネットワーク及び非常時の避難、消防、救助支援活動等、防災的観点、さらにまちづくりの根幹である都市施設として、早急に整備完成を目指す必要がある。現況の取り組について問う。
  オ 延焼遮断帯及び避難道路の整備について
    環状七号線の沿道整備事業及び都市防災不燃化促進事業は、建築物の耐震化・不燃化をはかり、延焼遮断帯としての機能を強化し、避難路の確保のためにも、一層推進をはかるべきと考えるが、問う。
 2 北区西ヶ原の東京外国語大学移転跡地の利用について
   東京外国語大学(敷地約四万五千平方メートル)は、政府機関地方移転対象機関として、平成十四年度までに府中市に移転する。
   この跡地については、北区と東京都が「跡地利用計画検討連絡会」において協議・調整中と伺っているが、北区は本年二月、西ヶ原三~四丁目地区の住民を対象に、同地区のまちづくり及び外語大移転跡地の利用に関するアンケートを実施し、近くその結果が明らかになる筈である。
   この住民の意向及び地区の考え等も十分に配慮のうえ、最善の跡地利用計画を打ち出していただきたい。
 3 首都高速道路王子線の建設に伴う環境対策について
   都市高速王子線は、昭和四十五年の首都圏整備計画で位置づけをされた首都高速中央環状線の一部を形成する道路で、平成十八年度完成予定となっている。
   昭和六十一年の環境影響評価書では、供用開始時の交通量を一日あたり、五万八千台と予測している。それに先立つ見解書についての意見として、北区長は都知事あてに、事業者に対し、見解書に示された環境保全に係わる事項を遵守させるとともに、具体的方策の示されていない事項についても、意見や要望に積極的に対処し、関係地域住民の理解と協力を得るよう指導することを求めている。
   以前にも取り上げられているが、次の点について現況がどうなっているか問う。
  ア 飛鳥山トンネル出口から溝田橋までの道路にシェルター等の設置。
  イ トンネル出口から溝田橋までの防音壁の嵩上げ。
  ウ 常設の環境測定装置の設置。
  エ 排ガスの浄化設備の設置。
 4 新公共交通システム「エイトライナー」及び「メトロセブン」の促進について
   羽田空港から環状八号線沿いに北区の赤羽に至る「エイトライナー」及び葛西臨海公園から環状七号線沿いに赤羽に至る「メトロセブン」の導入は、山の手線、武蔵野線に次ぐ第三の大環状鉄道として、東京の都市構造再編と地域のまちづくりを進めるうえで極めて重要な事業である。
   このため、両路線の早期実現に向けて、関係各区で構成する「エイトライナー促進協議会」(大田、世田谷、杉並、練馬、板橋、北区)と「メトロセブン促進協議会」(江戸川、葛飾、足立区)は平成十一年八月に合同促進大会を開き、運輸大臣はじめ関係当局に陳情してきたところである。
   この結果、本年一月開かれた運輸政策審議会において、両路線が「B今後整備について検討すべき路線」とされた。
   この両路線は、沿線関係九区、五百万区民の熱い願いなので、都側も早期実現に向けて今後も特段の努力を求めるものである。
 5 介護保険の実施について
   介護保険の実施にあたって、痴呆性高齢者対策の質・量にわたる福祉施策の充実強化と、指定居宅介護支援事業の量の確保と質の向上を要望する。
  ア 痴呆性高齢者のためのグループホームの建設促進と、そのための民間への財政援助及び特別区に対する適切な財政措置が必要と考えるがどうか。
  イ 介護支援専門員の養成と、指定居宅介護支援事業者が適切な介護サービス計画の作成が行うことができるよう、質・量の充実を図っていただきたい。
 6 清掃事業の移管について
   清掃事業の移管は、一昨年の暮れ、東京都から最終提案である移管後の運営形態、職員の身分取扱い等について特別区側が受入れることとし、大きく動き出した。そこで次の諸点について伺う。
  ア 職員費等において不足が生じた場合、都がその不足分は別途措置することとなっている。現実に各区とも五億円から十億円もの不足が見込まれるという話も耳にしている。具体的に、いつの時点でどのように対応するのか伺う。
  イ 事業執行に支障をきたす場合には、都の責任で協議に応じることとなっているが、このことは、どのように担保されるのか伺う。
  ウ 東京ルールⅠの導入にみられるように各区に違いが出てきているが、清掃事業とリサイクル事業について財源措置は公平になされているのか。
    少なくとも先進的な取組をしている区が財政的に不利益を被るようなことがあってはならないと思うがいかがか。
 7 キリンビール東京工場跡地K21プロジェクトについて
   北区堀船の印刷関連施設建設事業については、現在、環境影響評価の手続が行われており、事業者による評価書案の説明会には多数の住民が参加して、その関心の高さを示した。さらに北区では窒素酸化物及びSPM(浮遊粒子状物質)について環境基準をクリアーできておらず、環境問題についての区民の不安が極めて高い。
   北区長は本年二月、こうした地域住民の重大関心事を背景に、都知事あての評価書案に対する意見では「地域住民の良好な生活環境と健康を守るうえで、環境保全については、十分に配慮する必要がある」とし、大気汚染、騒音、振動、景観等に詳細な要望を述べている。
   また、三月に入って荒川区長が同様の都知事あてに、評価書案についての意見を提出しているが、車両が区内の狭小道路を通過しないよう計画の変更をもとめる厳しい内容となっている。
   そこでこの問題の解決に向けて東京都の対応を問う。
  ア 環境影響評価書案に対する北区長の意見と、それに対する事業者の見解書が折り合わなかった場合、東京都はどのように調整をはかるのか。
  イ この問題の解決にあたっては、開発事業者と近隣住民との合意形成が不可欠と考えるが、その合意形成に向けた、東京都はどのような対応をしようとしているのか伺う。
 8 都市計画道路の整備について
   都市計画道路は、便利で快適な生活環境を確保するとともに、災害時の安全確保などの観点からも、重要な役割を担う都市基盤施設である。
   しかし、北区における都市計画道路の整備率は未だに五〇%弱であり、二十三区の平均に比べても低い水準にある。
   とりわけ、補助七三号線など、以下の都市計画道路は重要な役割を果たすもので、整備促進が望まれており、現況の取組などについて伺う。
  ア 補助七三号線について
    本路線については、かねてより整備促進を要望していたものであるが、昨年は地元説明会を開催するとともに、現況測量が実施されたことにまずは感謝申し上げたい。
    いよいよ、赤羽高架下事業や補助八六号線が完成することから、本事業の早期完成について地元の期待は益々高まっている。
    事業の重要性などに鑑み、地元では積極的に協力する気運が生まれており、地元住民の方々の中には用地を譲渡するために、生活再建について検討をするので相談をしたいとの話もある。
    こうした、地元住民の期待に応えるために、引き続き円滑に事業を推進すべきと考え、今後の予定について伺う。
  イ 補助八八号線について
    本路線についても、かねてより、整備促進を要望してきたところであるか、補助七三号線同様、咋年に地元説明会を開催するとともに、現況測量などが実施されたことに感謝申し上げたい。
    本路線は、豊島団地から王子駅へのバス路線となっているが、幅員が狭いことから、慢性的な渋滞が発生するとともに、環境悪化を招いている。
    したがって、事業化に向け、地元では積極的に協力しようと言う気運が生まれており、補助七三号線同様、用地を譲渡することを前提に、地元住民の方々から生活再建についての相談を受ける状況となっている。
    こうした、地元住民の期待に応えるために、引き続き円滑に事業を推進すべきと考え、今後の予定について伺う。
  ウ 補助九一号線について
    北区の堀船地区においては、旧キリンビール東京工場の移転に伴い、株式会社読売新聞、株式会社日刊スポーツ印刷社、日本製紙株式会社が進出する大規模な再開発計画が具体的に進展している。
    また、隣接する荒川区側ではリクルートの大規模マンション建設が進んでいる。
    しかし、当該地区の道路状況は著しく悪く、工事車両、企業活動に伴い発生する交通量に対応する事が困難な状況と考えられ、地元住民は大変心配している。
    したがって、足立区宮城一丁目から、北区西ヶ原二丁目の本郷通りまでの間、約一・六キロメートルについて、整備促進が望まれる。
    特に、足立区側では隣接する江北橋付近の補助九一号線の整備が進捗しており、また、環状五号の二(明治通り)交差点部分については、接続する補助九〇号線の事業も進捗していることから、上記路線のうち宮城一、二丁目から、環状五号の二(明治通り)付近までを整備する事により、道路ネットワークの形成が進展し、非常に大きな効果が期待できる。
    この機会に進出企業の計画と併せて本路線を早期に整備すべきと考え、取り組みについて伺う。
 9 JR王子駅(ホームの大改造)並びに駅舎の改造、整備について
  ア JR京浜東北線王子駅は、都内唯一残る路面電車(都電)、地下鉄南北線、バス各路線が連結し、地区交通要路の拠点として益々利用度を高めている。
    また南北線の延長計画(埼玉、目黒)も着々と進められ、今後は更に幅広く、効率的な発展が期待されている。しかしながら、その中心拠点となる王子駅は旧来のままであり、特に中央口、南口の環境は極めて暗い状態にある。駅舎、ホーム全体の構造についても、身障者や高齢者のための設備はいまだ不十分であり、通勤・通学者や弱者に対する配慮は劣悪ともいえる状況にある。
    身体障害者や高齢者のための設備については、去る三月二十一日、二階運輸大臣、八代英太郵政大臣がJR赤羽駅のバリアフリー(障害排除)化を視察し、障害者や高齢者のための社会参加の重要な手段としての必要性を認めている。
    また、今後新設される駅にはエレベーター等の設置を義務付ける「交通バリアフリー法案」を国会に提出している。
    戦後、王子地区は大工場の町から住宅地へ、また、飛鳥山公園、石神井親水公園、各資料館、博物館や北とぴあの建設により自然あふれる歴史と文化・教育の町へと変貌してきている。
    付近には学校が多く駅のホームは朝夕は大混雑している(桜丘女子高校・成徳学園・順天高校・武蔵野高校・飛鳥高校・駿台学園・阿部学院・滝野川女子学園・聖学院)等このような状況からもJR王子駅の駅舎、ホーム及び諸施設等の改造は急務である。
    また、間もなく首都高速王子線も、飛鳥山地下~石神井川上部中心に運行されることとなっている。
  イ なお、北区の南玄関口、田端駅の改築整備も推進されたい。
    以上につき、関係各位の見解・関連計画等につきお尋ねします。

平成十二年第一回都議会定例会
花川与惣太議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 北区における、東京都関連の重要事業と課題について
  1 十条地区のまちづくりについて
   ア 埼京線の立体交差化について
     埼京線の立体交差化は、防災、住環境、商店街の活性化、交通安全対策等まちづくりの面からはもとより、ラッシュ時の混雑緩和、輸送力増強の観点からも早急に事業実現に取組むべきと考えるが、現況について伺う。

回答
  JR埼京線十条駅付近の立体交差化は、交通渋滞の解消、交通安全の確保等を図るとともに、分断されているまちの一体化を進めることにより、地域の活性化や非常時の避難道路の確保、救援活動の円滑化などの防災都市づくりに寄与します。
  都としては、周辺のまちづくりの進捗や都財政の状況など、種々の課題を踏まえながら、立体交差化について総合的に検討してまいります。

質問事項
 一の1のイ JR十条駅西口の「再開発事業」について
     財政事情が切迫している中、都は十条駅西口地区の再開発について今後どのように取り組むのか、伺う。

回答
  十条駅西口地区については、補助七三号線の整備とともに、駅周辺の土地の高度利用や防災性の向上を図ることなどが重要であると認識しています。
  今後とも、関連事業との調整や都財政の状況など、種々の課題を踏まえながら、地元区と緊密に連携し、地元住民の協力を得ながら、災害に強いまちづくりに取り組んでまいります。

質問事項
 一の1のウ 密集住宅市街地整備促進事業及び防災生活圏促進事業について
     十条地区に一部取り入れている密集事業の、建て替え補助要件の拡大等を検討すべきと考えるが、如何か。また、防災生活圏促進事業について、平成十二年度の支援は予算的にどうなっているか、併せて伺う。

回答
  災害に強いまちづくりを推進するためには、老朽木造住宅等を建て替え不燃化することが重要です。
  ご指摘の補助要件の拡大等については、当該地区においては防災再開発促進地区を指定しておりますので、密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律に基づき、共同建替等の補助において用途・階数要件がなくなります。
  また、防災街区整備地区計画を策定することにより、防災道路周辺における建て替えにおいて敷地面積要件が撤廃されます。今後、これらの制度の活用について事業主体の北区とも連携を図り、老朽木造住宅等の建て替えを進めて行きます。
  次に、当該地区に関わる防災生活圏促進事業については、防災まちづくり活動費に対する補助額として、平成十二年度に二百二十万円余を計上しております。

質問事項
 一の1のエ 道路ネットワークとしての都市計画道路の整備について
     地区内の都市計画道路(補助七三号線、補助八三号線、補助八五号線、補助八七号線)のうち、区施行中の補助八七号線を除く三路線は、未着工である。道路ネットワーク及び防災的観点、まちづくりの根幹である都市施設として、早急に整備完成を目指す必要があるが、現況の取組を伺う。

回答
  これらの都市計画道路は、都市機能の確保、都市防災の強化及び地域環境の保全等の見地から重要な役割を担うものであり、防災都市づくり推進計画<整備計画>においても、延焼遮断帯や避難経路として、位置付けられております。
  今後、ご指摘の路線については、都区連携して十条地区の防災まちづくりを進める中で、整備を図ってまいります。

質問事項
 一の1のオ 延焼遮断帯及び避難道路の整備について
     環状七号線の沿道整備事業及び都市防災不燃化促進事業は、延焼遮断帯としての機能を強化し、避難路の確保のためにも、一層推進を図るべきだが、如何か。

回答
  十条地区を含む北区内の環状七号線については、平成元年四月に北区が沿道地区計画を定めました。この計画を受け、都は耐火構造の緩衝建築物の建築費等の一部負担など沿道整備事業を行っております。
  また、この沿道地区においては延焼遮断機能の強化、避難路の安全性の確保を図るため、平成元年度から都市防災不燃化促進事業を実施しており、不燃化率七〇パーセントの目標達成に向け、平成十五年度まで事業を延伸したところです。
  今後とも、沿道整備事業及び都市防災不燃化促進事業の一層の推進に努めてまいります。

質問事項
 一の2 北区西ヶ原の東京外国語大学移転跡地の利用について
    北区と都が協議中の移転跡地の利用については、近くその結果が明らかになる住民アンケートの結果など、住民の意向及び地区の考え方等も十分配慮したうえ、最善の跡地利用計画を打ち出すべきであるが、如何か。

回答
  東京外国語大学移転跡地について、都は、地元区とともに、その利用計画の検討を進めてきたところですが、この一環として、北区は平成十一年度に「東京外国語大学移転跡地土地利用転換調査」を行っています。
  この調査の中で、ご指摘の住民アンケートを行っており、その結果が近々取りまとめられると聞いております。
  これらの結果も参考にし、跡地利用計画を地元区とともに検討してまいります。

質問事項
 一の3 首都高速道路王子線の建設に伴う環境対策について
    以前にも取り上げられているが、次の点について現状がどうなっているか問う。
   ア 飛鳥山トンネル出口から溝田橋までの道路にシェルター等の設置。

回答
  当該トンネル出口付近では、集中排気方式による強制換気や防音壁の設置などの対策を採ることとしています。このことにより、本路線の環境影響評価において、周辺環境に対する影響は少ないと予測されております。
  しかし、本区間は急こう配区間であり、地元住民からの環境対策への強い要望も出ていることから、周辺の土地利用状況を踏まえながら防音壁の高さなどについて検討するよう首都高速道路公団に要請しており、引き続き、同公団において検討を行っているところです。

質問事項
 一の3のイ トンネル出口から溝田橋までの防音壁の嵩上げ。

回答
  本区間については急こう配区間となっていることや、地元住民からの環境対策への強い要望も出ていることから、周辺の土地利用状況を踏まえながら防音壁の高さなどについて検討するよう首都高速道路公団に要請しており、引き続き、同公団において検討を行っているところです。

質問事項
 一の3のウ 常設の環境測定装置の設置。

回答
  常設の環境測定装置の設置については、現在、首都高速道路公団において関係機関と設置位置や装置の維持管理、測定データの運用管理等の調整を行っているところです。

質問事項
 一の3のエ 排ガスの浄化設備の設置。

回答
  王子線の換気所には、既設の他の換気所と同様に、除じん装置を設置し、排気ガス中の粉じんをできる限り除去した後、換気塔より上空高く排出することとしています。
  なお、排気ガスを浄化する技術については、建設省や首都高速道路公団等が実験を行っており、今後、道路における実用化の可能性が認められた場合には、都市高速道路への導入を検討するよう首都高速道路公団に対して要請してまいります。

質問事項
 一の4 新公共交通システム「エイトライナー」及び「メトロセブン」の促進について
    両路線は、沿線九区、五百万区民の熱い願いである。都は、早期実現に向けて今後も特段の努力をすべきだが、伺う。

回答
  本路線は、事業主体の確立、膨大な事業費の確保、事業採算性の向上、沿線まちづくりとの整合など、多くの克服すべき課題があることなどから、先の運輸政策審議会答申「東京圏における高速鉄道を中心とする交通網の整備に関する基本計画について(答申第十八号)」において「今後整備について検討すべき路線」と位置付けられました。
  本路線の整備に当たっては、国の支援をはじめ、関係区等の積極的な取組が不可欠であります。
  このため、今後とも、国と連絡調整を深めるとともに、関係区との連絡会を通じて、協議、調整を進めてまいりたいと考えています。

質問事項
 一の5 介護保険の実施について
    ア 痴呆性高齢者のためのグループホームの建設促進と、そのための民間への財政援助及び特別区に対する適切な財政措置が必要だが、如何か。

回答
  痴呆性高齢者グループホームの設置促進については、都は、平成十年度から区市町村に対する都独自の整備費補助制度を創設し、民家等を活用したグループホームの整備を進めてきたところであり、今後とも区市町村を支援して、整備を進めていきます。
  なお、国の施設整備費補助の対象は、特別養護老人ホームなどに併設が要件となっていることから、併設要件の緩和を図るとともに、民家改造型についても補助対象とするよう、引き続き国に対して要望していきます。

質問事項
 一の5のイ 介護支援専門員の養成と、指定居宅介護支援事業者が、適切な介護サービス計画の作成が行えるよう、質・量の充実を図るべきだが、伺う。

回答
  介護保険の実施に当たり、介護支援専門員については一万一千百六十三人(平成十二年三月三十一日現在)を養成したところです。
  今年度も引き続き「介護支援専門員実務研修受講試験」の合格者に対し養成のための研修を行うほか、区市町村と連携して現任研修を実施するなどして介護支援専門員の資質の向上に努め、質・量の充実を図ってまいります。
  また、指定居宅介護支援事業者については、介護報酬の内容やサービスごとの利用限度額の管理方法などについて、区市町村等を通じて周知を図り、適切な介護サービス計画が作成できるよう努めてまいります。

質問事項
 一の6 清掃事業の移管について
    ア 職員費等において不足が生じた場合、都がその不足分は別途措置することとなっているが、具体的に、いつの時点でどのように対応するのか伺う。

回答
  今回、清掃事業を特別区に移管するにあたり、職員費については、今後、六年間の平均職員数を基礎に、標準単価により、財調で適正に算定しております。
  この職員費について、財調措置では不足が生じた場合には、別途、交付金で措置することとしております。
  この交付金の具体的な交付の時期や方法については、現在検討しているところですが、各区における清掃事業に支障をきたすことのないよう適切に対応してまいります。

質問事項
 一の6のイ 事業執行に支障をきたす場合には、都の責任で協議に応じることとなっているが、このことはどのように担保されるのか、伺う。

回答
  二月十日に開催された都区協議会において、都区制度改革後の課題として、清掃事業等について、大きな制度改正やどうしても対応できない事態が発生した場合には、配分割合の変更について協議を行うことを、都区双方で確認したところです。
  今後、都としては、この確認に基づき、清掃事業の執行に支障をきたす恐れがある場合には、区側と協議を行っていくことを考えています。

質問事項
 一の6のウ 東京ルールⅠの導入にみられるように、各区に違いが出てきているが清掃事業とリサイクル事業について、財源措置は公平になされているのか、伺う。また、少なくとも先進的な取組みをしている区が、財政的に不利益を被るようなことがあってはならないと考えるが、併せて伺う。

回答
  清掃事業移管に伴い、東京ルールⅠを含むリサイクル事業に要する経費については、清掃事業経費の中で、ごみの収集運搬等にかかる経費と共に、財調措置しているところです。
  なお、集団回収や分別回収など、標準算定になじまないものについては、各区の実態を反映したものとなるよう、態容補正により算入しています。

質問事項
 一の7 キリンビール東京工場跡地K21プロジェクトについて
    ア 環境影響評価案に対する北区長の意見と、それに対する事業者の見解書が折り合わなかった場合、都はどのように調整を図るのか、伺う。

回答
  都の環境影響評価制度は、環境に著しい影響を及ぼすおそれのある事業を実施する際、事業が環境に与える影響について事前に調査し、予測・評価を行い、都民や関係自治体の意見を聴きながら、環境影響をできるだけ少なくするための制度です。
  北区長は、本事業に対し交通環境の悪化に強い懸念を表明するとともに、環境影響評価について厳正かつ慎重に実施するよう要望しています。
  都としては、これらの意見、要望を踏まえ、極力環境影響の軽減が図られるよう、適切に対応していきます。

質問事項
 一の7のイ この問題の解決にあたり、開発事業者と近隣住民との合意形成が不可欠だが、都はどのような対応をしようとしているのか、伺う。

回答
  環境に著しい影響を及ぼすおそれのある事業を実施する際には、ご指摘のように近隣住民との合意形成が極めて重要であると考えます。
  このため、都としては、環境影響を受けるおそれのある都民及び関係自治体の意見について、誠意をもって対応するよう、事業者を指導していきます。

質問事項
 一の8 都市計画遣路の整備について
    ア 補助七三号線について
      補助七三号線の事業化について、地元は積極的に協力しようという機運が生まれており、こうした地元住民の期待に応えるため、引き続き円滑に事業を推進すべき。

回答
  補助七三号線の赤羽駅付近から補助七三・八三号線分岐までの約〇・六キロについては、昨年度現況測量を実施し、今年度は用地測量を予定しております。
  引き続き、関係住民の理解と協力を得ながら、事業化に向けて検討してまいります。

質問事項
 一の8のイ 補助八八号線について
     補助八八号線の事業化について、地元は積極的に協力しようという機運が生まれており、こうした地元住民の期待に応えるため、引き続き円滑に事業を推進すべき。

回答
  補助八八号線のうち補助八五号線から補助九三号線までの約〇・八キロについては、昨年度現況測量を実施し、今年度は用地測量を予定しております。
  引き続き、関係住民の理解と協力を得ながら、事業化に向けて検討してまいります。

質問事項
 一の8のウ 補助九一号線について
     補助九一号線、延長約一・六キロについては、進出企業の計画と合わせ、整備すべきである。

回答
  補助九一号線、延長約一・六キロのうち、環状五の二号線(明治通り)から足立区境までの〇・七キロの区間については、地元区と連携し、事業化に向けて関係住民の理解と協力を得るよう努力してまいります。
  また、環状五の二号線から放射一〇号線(本郷通り)までの区間については、環状五の二号線から足立区境までの区間の進捗状況を見ながら、JR東日本と調整を図ってまいります。

質問事項
 一の9 JR王子駅(ホームの大改造)並びに駅舎の改造、整備について
    ア JR王子駅は、地区交通要路の拠点として、その利用度は高いが、駅中央口・南口の環境や、駅舎・ホーム全体の構造は、通勤・通学者や弱者に対する配慮がなく、劣悪な状況にある。また、付近には公園や学校等が多く、駅舎・ホーム及び諸施設等の改造は急務であるが、如何か。

回答
  JR王子駅について、今のところJR東日本では、大規模改良に関する計画を持っていませんが、いわゆる交通バリアフリー法案が成立するなど、高齢者や障害者を含む利用者の安全かつ円滑な移動の確保は不可欠であると考えます。
  当面、JR東日本では、平成十三年度にエスカレーターを整備する予定であると聞いています。
  今後、駅の安全性や、乗り換えなどの利便性の向上が、さらに図られるよう、都としても、まちづくりの主体である地元区と連携を図り、駅周辺のまちづくりの動向を踏まえ、機会を捉えて鉄道事業者に働きかけていきます。

質問事項
 一の9のイ 北区の南玄関口、田端駅の改築整備も推進されたいが、如何か。

回答
  JR田端駅についても、王子駅と同様な状況にありますが、今後、駅の安全性や、乗り換えなどの利便性の向上が、さらに図られるよう、都としても、まちづくりの主体である地元区と連携を図り、駅周辺のまちづくりの動向を踏まえ、機会を捉えて鉄道事業者に働きかけていきます。

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