平成十二年東京都議会会議録第四号

○副議長(五十嵐正君) 二十二番三宅茂樹君。
   [二十二番三宅茂樹君登壇〕
   [副議長退席、議長着席〕

○二十二番(三宅茂樹君) まず初めに、地域医療の充実について質問いたします。
 先般、知事は、三百六十五日、二十四時間、患者の受け入れを行う救急医療体制の構築を目指し、そのために医療従事者に意識改革を訴えると言明されました。このことは、多くの都民の不満と不安の暗雲を吹き飛ばす神風になるものと、一患者の立場からも心から賛意を表明いたします。いつでも身近なところで必要な医療が受けられることを、都民のだれもが望んでいます。住みなれた地域で安心して暮らすことができるようにするためには、救急医療を初めとする医療体制及び地域医療の充実が不可欠であると考えますが、医療従事者の意識をどう改革されたいのかを含め、知事の所見をお伺いいたします。
 ところで、平成十年十一月に都が実施した保健医療に関する世論調査では、持病や特定の病気でかかりつけている医師や病院を持っている人は、全体の四七・二%、このうち診療所の医師についてはさらに約半数であり、かかりつけ医の定着状況は必ずしも十分でないのが実態であります。かかりつけ医の定着の状況や各医療機関が持つ医療機能を詳細に把握した上、さらなる地域医療体制整備の取り組みを強化すべきと考えますが、所見を伺います。
 また、かかりつけ歯科医の定着促進も極めて重要な課題です。かかりつけ歯科医は多くの都民が持っていると思われますが、高齢者や障害者などについて、適切な治療ができる歯科診療所は大変限られているため、現在、歯科医療連携推進事業に取り組んでいると承知はしております。今後ともさらなる取り組みの充実を図るべきと考えますが、所見を伺います。
 また、平成十年度の調査では、四五%を超えているとされている医薬分業の進展に伴い、地域医療システムを有効に機能させていくためには、医療機関と薬局の連携を深めるとともに、地域において、医薬品に関する情報の提供や相談窓口となるかかりつけ薬局が今後ますます重要となると考えますが、都はどのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
 次に、福祉のまちづくりについて質問いたします。
 国では、高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律案、いわゆるバリアフリー法案が、国民の期待のもとに今国会に提出されております。これに対し、東京都では、平成七年に福祉のまちづくり条例を制定し、平成八年九月には全面施行いたしております。この条例により、都内のバリアフリー化が始動したと評価するところでありますが、まだまだ十分といえる水準にないことは明らかです。
 そこで、現在東京都では、福祉のまちづくりについて整備基準等の見直しを進めているとのことですが、福祉のまちづくりについての知事の所見をお伺いします。
 次に、都民にとって重要な生活基盤であるマンションなどの共同住宅が条例上の一般都市施設の対象となっていないという問題について質問をいたします。
 敷地の有効利用の観点から、東京の共同住宅は高層化し、住宅戸数は増加していますが、そこに住まう人々は年々高齢化するため、共同住宅の入り口の段差の解消やエレベーターの設置などバリアフリー化がなされなければ、高齢者や障害者にとって暮らしにくい住宅となってしまうことは必然です。今後、本格的な高齢社会を迎えるに当たり、共同住宅を条例上の一般都市施設に入れ、だれもが安全かつ円滑に利用できるように、そのバリアフリー化を促進することが必要と考えますが、ご所見を伺います。
 さらに、現在、都民の利用頻度の高いコンビニエンスストアやファミリーレストランなどの店舗で、床面積が五百平方メートル以下のものについて届け出義務がありません。零細規模の事業者の負担を考慮しつつ、五百平方メートル以下のものであっても、一定規模以上の施設については整備が進むよう努めるべきと考えますが、今後どのように対応するのかをお伺いします。
 また、少子社会の中で、子育て環境の整備が課題となっており、大規模な物品販売店などのトイレ内のベビーシートやベビーチェアなどの設置について検討していくべきと考えますが、ご所見をお伺いします。
 次に、都市緑化についてお伺いします。
 東京の緑は年々減少し、CO2加や地球温暖化は依然として加速度的に進行しています。阪神大震災の例を見るまでもなく、都市の中にこそ、防災対策上緑が必要であり、レクリエーションの場としても、また知事が発言している魅力ある国際都市を実現する上でも緑は必要です。さらに、緑はCO2着し、ヒートアイランド現象を緩和するなど、安全で快適な都市生活を送る上で重要な役割を果たしております。このように多面的に重要な働きをしている都市緑化の推進にどのように取り組んでいくのか、改めて知事の基本的な考え方をお伺いします。
 また、先般、石神井公園の銀行運動場の買収に関して、銀行救済につながるとの考え方もありますが、一方では、都会の中の貴重な緑や自然を残した遊休地を都民のものとする千載一遇の機会ととらえることもできます。他の都立公園でも同様なケースがあると聞いておりますが、都の財政状況が厳しい折、当面、借り受けるなどの方法をとり、都民に積極的に開放すべきであると考えますが、所見をお伺いし、次の質問へ移ります。
 平成十年度以降実施されております元気を出せ商店街事業は、まさしくこの事業の目的とする地域と一体となったイベントなどが行われ、地元住民から喝采を浴びております。我が党の強い要望により、平成十二年度も予算に計上されましたが、都は、この事業のこれまでの実績を踏まえてどのように評価しているか、お尋ねします。
 元気を出せ商店街事業は、十年度が六百九十二、十一年度九百六商店街と大幅な広がりを見せており、十二年度はさらに拡大するものと思われます。これは、この事業が商店街の活性化に大いに役立つことが実証され、実施した商店街のみならず、近隣の商店街への波及が考えられるからです。提案された十二年度予算に計上されている七億円は、前年度予算と比べれば二億円の増額となっておりますが、十一年度の実施状況や新規参入を勘案すると、予算が不足するのではないかと懸念されるところです。
 そこで伺いますが、十二年度の元気を出せ商店街事業の実施に当たって、これまで同様に各地域の実情に沿った事業を幅広く対象とするとともに、それぞれの商店街が元気いっぱい、安心してこの事業に取り組めるよう、都の明快な答弁を期待してやみません。
 次に、昨年十一月に発表された東京都産業振興ビジョン中間のまとめで示された、東京の産業、雇用の危機の一つに挙げられた商店街の衰退について質問いたします。
 このビジョンの記述に、商店街は地域にとって欠くことのできない存在とありますが、まずは、知事に、本心からそう思っていらっしゃるのかどうかをお尋ねいたします。
 商店街衰退の状況は、ついこの間までは、空き店舗ばかりのシャッター通りといわれた商店街が、今やその姿さえ変えたマンション通りになりつつあるという厳しい現実があります。居住専用地域に比べ格段に緩やかな建築規制を利用し、テナントのつかない店舗にするよりは採算性が期待できるということから、商店街の通りに面した一階部分を店舗にせず、建築当初から駐車場や玄関にしてしまう居住専用の建物が、商店街のメーンストリートに続々と建ち始めています。商業地域に商業を目的としない建物がつくられ、そのことがますます商店街の衰退を加速させている状況に対し、一階部分は店舗にするよう誘導するべきと思いますが、都市計画としてどのような対処方法があるのか、お尋ねいたします。
 商店街の中でも、とりわけ衰退が激しいのは、町中にある近隣商店街であります。今や都内において、生鮮三品を扱うお店は、歩いていける地域の商店街の中に、その姿を見ることはほとんどなくなりました。
 知事は、先日、またきょうの答弁でもご発言されておりますけれども、大気汚染防止の観点から、都内の自動車通行量の制限策を発表されました。しかし、もう一歩進めて、都民が日常生活の中で、自動車への依存を必要最低限にできるまちづくりを推進すべきと考えます。なるべく自動車を使わずに、徒歩で買い物ができる近隣商店街の再生を明確に都市政策に組み込まれてはいかがでしょうか。商店街のサバイバル対策は、もはや産業政策の中でのみ位置づけるのではなく、都市計画の中で、まちづくりの一環としてとらえる必要があることを痛感するものですが、ご所見を伺います。
 さて、商店街の衰退には大型小売店舗が大きく関与していることは周知のとおりです。本年六月から施行される大規模小売店舗立地法は、まさしく、ただいま申し上げた都市計画や社会環境などの見地から、大型店出店の調整を目的とした従来の経済的規制にかわる社会的規制の法律です。都は、この大型店立地法の運用主体として、全国の地方自治体の範となる独自の運用体制を整備すべきと考えます。
 そこで重要なことは、先ほども申し上げましたが、運用体制整備を進めるに当たり、従来の労働経済局では責任ある対処はし得ないのであり、二十一世紀のあるべき東京の都市像を前提に、全庁的な取り組みや審議機関を設置すべきと考えますが、ご所見を伺います。
 東京が輝くためには、地域社会が生き生きとするよう、商店街活性化を重点施策として、現在策定中の東京の新しい都市づくりビジョンにはもとより、東京構想二〇〇〇の中にも明確に掲げることを強く要望して、次の質問に移ります。
 小田急線の連続立体交差事業は、梅ヶ丘から喜多見間が事業中であり、平成十二年度に七カ所の踏切が取り除かれる予定と聞いております。早期事業完了に向け、着実に事業が進められておりますが、その一方で、東北沢から梅ケ丘間は、昭和三十九年に都市計画決定され、三十六年の間、地元世田谷区及び地域住民からの早期整備への強い要望があるにもかかわらず、いまだに事業化されず、地元住民のいら立ちは募るばかりです。このように、下北沢周辺地区の整備に長い間手を触れずに来たことなど、都の都市計画行政の実態について知事はどう思われるのかを、まずお尋ねいたします。
 東北沢-梅ケ丘間の鉄道整備は、複々線化事業と連続立体交差事業とを、同時期に一体的に行わなければ大変な社会問題になると懸念いたしますが、都の明快な答弁を求めます。
 次に、連続立体交差事業の実現には、下北沢駅を初めとする沿線まちづくりの推進が不可欠であります。下北沢駅周辺の住民が主体となった下北沢まちづくり懇談会が、今年度末にまちづくり構想図を策定する予定と聞き及んでおり、これをもとに、今後、世田谷区が具体的な沿線まちづくり計画を作成していくと思われます。下北沢駅周辺はもとより、世田谷代田駅や東北沢駅周辺を含めたまちづくりの取り組みに対し、都はどのように対応しているのか、お伺いいたします。
 世田谷区の広域生活拠点として位置づけられている下北沢地区にアクセスする都市計画道路補助五四号線の整備が重要な課題であり、この計画道路は現道もないため、鉄道整備と一体的な整備が必須であると考えますが、都の所見をお伺いします。
 本事業の緊急性や重要性、さらに世田谷区及び地元住民の積極的なまちづくりへの取り組み状況を踏まえ、都として、整備方針の取りまとめを、石原都政の名に恥じぬよう、猛スピードで推進し、早期事業化に向け、目をみはるほど積極的に取り組むべきと思います。
 こうした取り組みに向けて必要となる予算を平成十二年度には確保しているのか、お尋ねします。
 最後に、三十六年間耐え忍んできた住民の皆さんは、決断とスピードを身上とする石原知事なら、この小田急問題を一挙に解決してくれるだろう、そして、石原知事が下北沢周辺のご視察に来られることを熱望していることをこの場でお伝えいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
   [知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 三宅茂樹議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、救急医療等の医療体制についてでありますが、医療は、警察や消防と同様に、等質に三百六十五日、二十四時間稼働して、いかなる症状にも直ちに対応できることが必要であると思っております。私が目指す救急医療体制なるものは、ドラマかもしれませんけれども、アメリカの割と人気のありますTVドラマシリーズの「ER」のごとき、ああいう体制が東京じゅうに張りめぐらされれば、都民の満足もいただけると思っております。
 このためには、まず都立病院の改革はもちろんのこと、関係団体等の協力も得ながら、医療従事者の意識改革を図ることが不可欠であり、今後まずそれを精力的に進めていきたいと思っております。
 さらに、医療制度の改善等について国にも働きかけるなど、真に都民の立場に立った医療体制をぜひとも早急に整備していきたいと思っております。お医者さんの数も技術も、病院の数も極めて潤沢にあると思いますが、しかしなお、都民のいらいらというか、不安が一向に解消されない。これは非常に残念なことで、私も公約の中で申しましたが、ことしこそ、その着手に積極的に取り組んでいきたいと思っております。
 次いで、福祉のまちづくりについてでありますが、福祉のまちづくりは、何といっても、その地域地域の自治体が、新しい時代のニーズにこたえた意識を持ち、体制をつくっていくことが必要だと思います。高齢者や障害者などが自立した社会生活が営めるような地域福祉の基盤を形成する上で、何といっても、まず自助、そして限られた地域社会の共助、そして最後に行政の公助という積み立てだと思いますけれども、その真ん中の共助の問題が非常に重要だと思っております。
 バリアフリーの理念の浸透や、福祉用具等の急速な技術進歩などによって、福祉のまちづくりが一層早く推進されることが求められていると認識しております。
 このような状況を踏まえ、都民、事業者、行政がそれぞれの責務を果たし、協働して施策を推進していくためには、その共通の目標となります、既にあるわけでありますが、整備基準等を、この際時代の流れに沿って見直し、改定していくことも必要だと思っております。
 次いで、都市緑化の推進についてでありますが、神様の配慮か何か知りませんけれども、とにかく人間、動物と緑、植物の呼吸の循環というんでしょうか、それが対照的に違うというのは、まさに天の配剤でありまして、そういう意味で、緑というものは、私たちの生活環境の中で欠かすことのできない大きな大きな要因であると思います。そのバランスがいささか狂ってきているというのが現実でありますけれども、ご指摘のように、ヒートアイランド現象の緩和や、さらに防災機能の強化のためにも、潤いと風格のある都市を実現していくためにも、緑というものは欠かすことができない。
 このため、東京が抱える問題を緑の面から総合的にとらえ直し、本年じゅうを目途に緑の東京計画を策定し、その中で、問題解決に向けた基本方針、具体的方針、ビル緑化などの具体的な対応策を明らかにしてまいりたいと思っております。
 今後とも、区市町村と連携し、広く都民や民間企業の協力を得ながら、都市緑化にかかわるきめの細かい取り組みを着実に進めていきたいと思っております。
 次いで、商店街でありますが、私はやっぱり、商店街というのは、地域住民の消費生活を支えているだけではなくて、顔見知りのおじさん、おばさんとの会話を通じて、人情の交流、それによって地域文化の創造や継承もあるでしょうし、住民相互の触れ合いや、ある場合には地域の教育やしつけの場所としても、地域社会の中で重要な役割として果たしてまいりました。
 ただ、今日、大型店舗の進出によって、何といっても、品ぞろえの格差であるとか、便宜さとか、そういうことがハンディで淘汰されているのが現況でありますが、経営者の高齢化や後継者難などによる商店街の衰退というのは、本当に残念で、見るに見かねるものがございます。
 私は、かねてから、議員のときからも提唱していたんですけれども、例えば、イトーヨーカ堂のような、ああいう非常に精密な、地域地域、店舗店舗の分析をして、時間に応じてどういう商品が売れ、どれが売れないか、そういう分析をまず東京都の各区商連がやり、それを東京都にあります都商連が束ねてコンピューターにかけて分析して、どの地域にどういう品物が実は出回っていない、そういう東京における流通というんでしょうか、ディストリビューションの分析を一度し直すことで、それがすべてとはいいませんけれども、必ず商店街の活性化につながるんじゃないか。どうもそういう意欲があんまりありませんで、何とかしろ何とかしろというだけで、自助努力が、商店街側にも、特に都商連にない。これは私はあえて申し上げさせていただきますが、そういう発想を、選ばれた議員だけではなくて、現場の人たちがすることで、商店街の活性化もあり得ると私は思います。
 次いで、小田急線に限らず、電車の立体化の問題でありますけれども、私は現場をよく知りませんが、大体、世田谷区も大田区もどこもみんな同じような問題を抱えているわけでありますが、立体交差事業は、地域分断の解消や交通渋滞の緩和のみならず、安全で快適なまちづくりを実現するためにも絶対に必要なことでありまして、非常に数多い要望箇所がございますが、その中から順番を決めて行っているわけであります。
 小田急線についても、沿線のまちづくりと一体的に進めるための合意状況や財政状況等を勘案して、狛江地区及び経堂地区より順次事業化を図ってきたようであります。
 下北沢付近の立体化についても、地元区のまちづくりの検討状況などを踏まえつつ取り組んでまいるつもりでございますが、先般も都技監に話したんです。立体化というと、高架化高架化ということになっているけれども、これはやっぱり企業の負担部分が、企業にとってはやっかいな問題で、なかなか向こう側も腰を上げにくい。だから、思い切って、経費も安く済むだろうから、何かその部分だけちょっと違った方式で地下化できないか。その部分だけ、交通の速度も変えて、私はその方が早いし、お金もかからずに済むような気がするんですけれども、そのためには、ある限られた時間、周りの住民の同意を得て、高架のかわりに地下化すると、そういったこともちょっと、せっかく東京に、多分技術があるんだろうから、あるならそれを駆使して、新しい立体化の方式というのをプロパーで考えたらどうだということで宿題を出しました。
 回答があるかどうわかりませんけれども、これもやっぱり周囲の方々の協力も要ると、理解もあると思いますが、そういうことを一つの宿題として、都として受けとめていきたいと思います。
 その他の質問については、関係局長から答弁いたします。
   [東京都技監成戸寿彦君登壇〕

○東京都技監(成戸寿彦君) 都市計画に関します五点のご質問にお答えいたします。
 まず、商店街の衰退防止のための手法についてでございますが、商店街としての連続性やにぎわい形成のため、ご指摘いただきましたような建物の一階部分を店舗に限定することは、効果的な方法の一つでありまして、そのための都市計画手法といたしましては、地区計画制度が考えられます。
 この地区計画制度は、区市町村が都市計画として決定いたしますとともに、条例により具体的な建築規制を行うものでございます。地区計画の策定に当たりましては、地元の自治体と商店街などが協力いたしまして合意形成を図っていくことが不可欠でありまして、都といたしましても、商店街の再生を目指し、技術的支援に努めてまいります。
 次に、産業政策とまちづくりについてでございますが、東京を魅力と活力に満ちた国際都市としていくためには、豊かで暮らしやすい住環境のほか、商業等のさまざまな機能が整っていることが不可欠であります。そのためには、地域の中心として期待されております商店街におきましても、活気に満ちた商業活動が行われるよう、きめ細かく施策を展開していくことが重要でございます。
 ご指摘いただきました産業政策などの分野と連携してまちづくりを進めていくことは、これからの都市づくりの重要なテーマの一つと考えておりまして、現在策定いたしております東京の新しい都市づくりビジョンにおきましても、都の役割を含め、今後の方向を示してまいります。
 三点目は、複々線化事業と連続立体交差事業の一体的な整備についてでございますが、鉄道の立体化による地域分断の解消や交通渋滞の緩和及び複々線化による混雑緩和や、目的地により早く到達するといういわゆる速達性の向上を早期に実現する観点から、下北沢駅付近につきましても、連続立体交差事業と複々線化事業を一体的に進めていくことが必要であるというふうに考えております。
 四点目は、小田急線東北沢から梅ケ丘間のまちづくりについてでございますが、鉄道整備と駅周辺のまちづくりを一体的に進めることは、沿線地域全体の活性化等を図る上で重要であると認識しております。
 沿線のまちづくりは、地元区が主体的に取り組む必要がありますことから、都区及び鉄道事業者から成る検討会で、下北沢駅を初めとする三駅周辺のまちづくりについて意見交換をいたしているところであります。
 今後とも、地元区と連携を図りながら、積極的にまちづくりの具体化を促進してまいります。
 最後は、下北沢駅付近の補助五四号線の整備についてでございますが、鉄道の立体化に関連いたしまして、これと交差する道路を一体的に整備することは、道路ネットワークの充実や地域の利便性向上など、総合的なまちづくりを進める上で効果が大きいと考えております。したがいまして、補助五四号線につきましても、下北沢駅付近の立体化と一体的に整備することが必要であると考えております。
   [衛生局長今村皓一君登壇〕

○衛生局長(今村皓一君) 地域医療システムに関する三点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、地域医療体制の整備の取り組みについてでございます。
 都は、これまで、区市町村や医師会等関係団体とともに、都民が身近でふだん着のままで安心して受診できるかかりつけ医の定着と、それを支援する医療機関の機能連携を推進し、地域医療体制の構築に努めてまいりました。
 今後は、地域の医療状況を詳細に把握するため、医療機能等実態調査を実施するほか、二次保健医療圏ごとに設置する地域医療システム化推進協議会の運営を通じて、各地域の特性に合わせた医療提供の仕組みづくりを進めるなど、地域医療提供体制の一層の充実に努めてまいります。
 次に、歯科医療連携推進事業の充実についてでございます。
 都では、今年度より、障害者や在宅の要介護者などの方々が、身近な地域で適切な歯科医療を受けられるよう、かかりつけ歯科医の定着を図るとともに、それを支援する専門歯科医療機関との機能連携を図る歯科医療連携推進事業を開始いたしております。
 平成十二年度は、当初計画の八地区を十四地区に拡充して実施するなど、本事業を着実に推進し、かかりつけ歯科医の定着と歯科医療連携システムの整備を図ってまいります。
 次に、かかりつけ薬局の取り組みについてでございます。
 都では、薬局への指導や薬剤師への研修等を通じて、都民の一人一人が身近な地域の中で気軽に相談をしたり、安心して利用できるかかりつけ薬局の育成、定着を図っております。
 また、昨年十一月に医薬分業に関する協議会を設置し、医師会、歯科医師会、薬剤師会等の関係機関との連携を進めているところであります。
 今後とも、医療機関と薬局の連携を一層推進し、都民に信頼されるかかりつけ薬局の育成、定着を図ってまいります。
   [高齢者施策推進室長福祉局長兼務神藤信之君登壇〕

○高齢者施策推進室長福祉局長兼務(神藤信之君) 福祉のまちづくりに関する二点のご質問にお答えします。
 まず、福祉のまちづくり条例における共同住宅のバリアフリー化についてでございます。
 マンション等の共同住宅におきまして、共用部分の出入り口や廊下等がバリアフリー化されることは、高齢者や障害者を初め、だれもが利用しやすくなることから、都民にとって重要なことと認識しております。
 ご指摘の、共同住宅を、整備基準への適合を求められる一般都市施設の対象とすることにつきましては、専門家等により構成される福祉のまちづくり推進協議会に提案し、ご審議をしていただきたいと思っております。
 次に、物品販売店等に対する届け出義務の範囲拡大などについてのお尋ねでございます。
 地域のコンビニエンスストアなどは、高齢者や障害者にとっても便利で身近なものであり、バリアフリー化の必要性が高いと思っております。また、子育て環境の整備の観点から、デパートや病院等のトイレ内にベビーチェア等を設置することは重要なことでございます。
 ご指摘の点も踏まえ、先ほど申し上げました福祉のまちづくり推進協議会に提案し、整備基準等の改正についてご審議をお願いしたいと思っております。
   [建設局長古川公毅君登壇〕

○建設局長(古川公毅君) 都市緑化と連続立体交差について二点お答えいたします。
 まず、銀行の運動場などを借り受け、都民に開放すべきであるとのご提案についてですが、都立石神井公園の計画区域内にある銀行運動場のうち、取得済みの約一・八ヘクタールにつきましては、昨年十月に開園し、野球場として多くの都民に利用されています。また、当該運動場の残余地及び都立公園計画区域内にある他の銀行運動場の一部については、既に平日、地元に開放している事例もあります。
 そこで、今後、地元区と連携を図りながら、都民へのさらなる開放に向けて努力してまいります。
 次に、小田急線東北沢から梅ヶ丘間の連続立体交差事業の予算確保についてですが、当該区間については、早期事業化に向けて、これまで地元区、鉄道事業者等との関係機関と調整を図ってきました。
 平成十二年度には、構造形式や施工方法など、連続立体交差事業に関する調査、設計を行うため、必要な予算を計上しておりますので、よろしくご審議をお願いいたします。
   [労働経済局長大関東支夫君登壇〕

○労働経済局長(大関東支夫君) 商店街にかかわる三点のご質問にお答えいたします。
 まず、元気を出せ商店街事業の評価についてのお尋ねでございますが、本事業は、景気の先行きがいまだ不透明な中で、消費の低迷、大型店の出店、空き店舗の発生などによりまして影響を受けております商店街を支援するため、緊急的に実施した事業でございます。
 この事業に取り組んだ商店街からは、売り上げが増加した、あるいは商店街のにぎわいを取り戻せた、あるいは近隣住民とのコミュニケーションが深まったなどの評価が寄せられ、所期の成果を上げているものと考えております。
 次に、元気を出せ商店街事業の取り組みについてでございますが、本事業は、現下の厳しい経済情勢にかんがみ、商店街の意欲ある取り組みを支援するため、平成十二年度においても、引き続き実施を予定しているものでございます。この事業の実施によりまして、商店街みずからが、地域と一体となってイベントなどの事業に取り組むことにより、活力を取り戻し、地域経済の活性化が図られることを期待しております。
 今後、東京都といたしましては、これまでの実施状況を踏まえ、地元区市町村と有機的に連携し、事業の効果的な実施に努めてまいります。
 次に、大規模小売店舗立地法の施行に向けた取り組みについてでございますが、現在、法の運用開始を目前に控え、体制の整備や規定類の制定、説明会の開催など、準備に万全を期しているところでございます。
 この大店立地法の運用の中で最も重要なことは、調整手続でありますので、審議会を設置し、高度な知見に基づく意見を聞きながら、法を的確に運用してまいります。
 また、運用手続につきましては、要綱を制定いたしまして、この中で区市町村の役割を明確に位置づけるとともに、環境保全局や都市計画局等、庁内関係局による協議会を設置いたしまして、出店調整手続の円滑化と事務処理の効率化を図ってまいります。

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