平成十二年東京都議会会議録第四号

○議長(渋谷守生君) 六十二番白井常信君。
   [六十二番白井常信君登壇〕
   [議長退席、副議長着席〕

○六十二番(白井常信君) 私は、都政にかかわる何点かの重要な問題について、知事並びに関係局長に伺います。
 まず、東京の産業再生について伺います。
 知事は、施政方針において、東京の産業再生のために、思い切った施策の転換が必要だと述べておられます。一方、国においても、三十六年ぶりの中小企業基本法の改正やTLO法の創設など、遅まきながら産業構造の変革を目指しております。
 そこで、私は、東京の産業構造変革のキーワードである高度情報関連産業の知的インフラの整備等について伺います。
 我が国のコンピューター産業におけるハード部門は、アメリカと肩を並べられるが、ソフト部門は十年以上のおくれをとっており、今や北欧、インドにさえおくれをとり、ますますその差が開きつつあるとさえいわれております。かつての一時期、この分野においても日本が世界をリードしていた時代もありましたが、今やそのポジションは完全に逆転され、情報産業分野においては、アメリカの従属的存在にならざるを得ないのが実態であります。
 そのような状況の中で、先日、私は、岐阜県大垣市にあるソフトピアジャパンという施設を見学し、若き学者の方々と懇談してまいりました。
 ソフトピアジャパンは、昭和六十四年、現在の梶原知事が提案され、就任と同時に発足したプロジェクトであります。その内容は、研究開発、人材育成、ニュービジネスの創造、情報発信の四つの中核的機能から構成されており、今や我が国の国際的ソフトウエア研究開発の中核拠点となっております。まさに産・官・学が一体となり、マルチメディアやVRのソフトコンプレックス、つまり岐阜県版シリコンバレーを形成する、極めて先見性に満ちたものであります。参画する多くの人たちからは、あふれんばかりの熱気が感じられ、大いに感銘を受けました。
 その経過を見ると、岐阜県が通産省等の支援を受けてコア機能をつくり、研究開発では周辺の大学や海外の大学と提携し、有能な人材育成のために国際情報アカデミーを創設しており、また、ニュービジネス創出のため、インキュベートルームを三年から五年間無料で貸し出しをし、情報発信基地としては、十七カ国に駐在員を置き、世界的な規模で対応しているのであります。岐阜県の年間予算は八千七百億、東京の約十分の一でありますが、その一割にも当たる約八百億を投資しているのであります。
 東京が変われば日本が変わると知事は述べておられますが、私も、今日まで一貫して東京の産業の変革を主張してまいりました。日本の産業をリードし、アジアにおける情報の発信基地としての機能を確立するため、東京は今こそ、高度情報産業発展のために目の覚めるような具体的な対応を図るべきであります。この国際的ソフトウエアの研究開発と東京都の役割について、知事の率直な所見を伺います。
 次に、高度情報関連事業の創出のためには、インキュベート事業の中核拠点をつくるべきであると考えるものであります。
 一般的なベンチャー産業育成の場合もそうでありますが、高度情報関連事業創出のためには、なおさらインキュベート事業の拠点が不可欠であります。それは、知事もご存じのとおり、知事が芥川賞をとり、デビューした二十四歳前後の柔軟な、若く、そして、一見何を考えているのかわからないような若者の火を吐くようなコミュニケーションの中から、とんでもない発想と発明が生まれるのであります。
 現在の東京の現状は、岐阜県の例を引くまでもなく、その機能、内容、スケールともに、話にならないほど貧弱であります。また、今後、労働経済局を中心として考えておられる、例えば、都内の都所有の空き室の活用や、多摩に予定している中小企業振興センターを活用してのインキュベート事業などは、スケールの小さな小手先の対応としかいえないのであります。
 確かに、今日の都財政等、厳しい状況にあることは十分承知しておりますが、民間の力を活用するなど、新しい発想の転換によってこそでき得るものであり、これまでの都庁の各局中心の積み上げ方式の施策では不可能であり、これは、石原知事でなければなし得ないものと確信いたしております。ご所見を伺います。
 なお、この際、現在、通産省が支援し、埼玉、東京、中でも都立大学を初め二十一の大学がある八王子を中心とした多摩南部、そして神奈川に至る産・官・学の連携によるベルトラインを首都圏のシリコンバレーにしていこうとするTAMA産業活性化協議会、会長は都立大学の教授でありますが、それとの連携を図るべきであります。その中心拠点には、例えば八王子に都市基盤整備公団が所有している五十万坪のリサーチパーク用地を活用するとか、または中央道の八王子インター地区に現存する都有地二十ヘクタールなどが候補地として最適と考えますが、あわせて知事のご所見を伺います。
 次に、同種の事業に必要な人材育成についてであります。
 岐阜県のソフトピアジャパンでは、国際情報アカデミーという大学院クラスの人材育成の場を設置し、多くの人材を輩出しております。過日、知事は都立四大学の統廃合を含む見直しを提案されましたが、その見直しに合わせて、マルチメディアソフト製作の人材を育成する教育機関の併設など、情報産業や情報文化の担い手となる人材の育成を図っていくべきと考えますが、知事のご所見を伺います。
 次に、ディーゼル対策について伺います。
 ディーゼルエンジンから排出される黒煙など粒子状物質は、人体ばかりでなく、自然の生態系にも悪影響を及ぼしており、これに対する公害防止対策は喫緊の課題となっております。その意味からも、石原知事がディーゼル公害排除に立ち上がられたことを高く評価するものであります。
 そこで、ディーゼル対策について何点か伺います。
 第一に、自動車公害対策の基本は、自動車排出ガスの規制であります。従来我が国では、粒子状物質についてはどのような規制が行われ、行政的対応はどうだったのか、また、海外における規制状況についてもあわせて伺います。
 第二に、先日、都が発表したディーゼル車の排ガス対策では、全ディーゼル車にDPFの装着を義務づける内容となっております。都が装着を求めるDPFの性能はどの程度のものなのか、また、それ以外に方法はないのか、普及に入る以上は、粒子状物質の除去性能や装置の耐久性が一定の水準に達していることを明確にする必要があります。この点について、都のご所見を伺います。
 第三に、DPF装着を義務づけるとなると、価格の低廉化は必須であります。一方、一台がパスすれば十台がパスするといった、ざる法的現行の車検制度を根本的に改めない限り、完璧を期することは不可能であります。この点、かつて運輸大臣と環境庁長官を歴任され、実態を熟知されている知事は、メーカーや国に対して、今後どのような働きかけをされるおつもりか、あるべき今後の姿を含め、ご所見を伺います。
 次に、多摩都市モノレールが立川北から多摩センター間で開通し、当初予定の第一期、第二期工事区間十六キロメートルが開通いたしました。
 都では、この開通に伴い、立川にあった道路モノレール建設事務所を閉鎖し、新交通建設事務所にその機能を移すとのことであります。この発表を多摩都民の目から見ますと、モノレール事業はもうこれで終わりになるのではと映っているわけであります。この点、まず今後の都の取り組みをどうされるのか、多摩都市モノレールは、むしろ本庁に窓口を設けるべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、本年一月の運輸政策審議会答申において、多摩都市モノレールの八王子及び町田への延伸が位置づけられました。多摩都民にとっては一歩前進といえるわけでありますが、まずその内容を伺います。
 さらに、さきの定例議会で、我が党より、上北台-箱根ヶ崎間の整備は、採算性等の関係から難点があるため、八王子線や町田線との同時整備を進めてはどうかと提案し、都もその必要性を認めました。
 次期整備路線である上北台-箱根ヶ崎、及び導入空間整備路線である多摩センター-八王子、多摩センター-町田の二路線について、それぞれ導入空間の整備状況及び今後の整備見通しはどうなっているのか、伺います。
 多摩都市モノレールは、知事がその未来性を高く評価されている多摩地域のまさに動脈ともいえる輸送網であり、全線を開通してこそ真価を発揮すると考えます。知事の今後の取り組みについて伺います。
 次に、都民のための医療ネットワークづくりについて伺います。
 医療改革は、知事も今後の都政の重要な課題と位置づけており、国においても、先日、医療法改正について医療審議会が答申を出され、これからの医療提供体制の改革が進められようとしております。
 しかし、これまでの医療改革議論は、医療を提供する側からの視点が先行し過ぎるように思われます。患者の大病院志向が常々問題となっておりますが、それは患者だけの意識の問題ではなく、医療機関自体、医療行政自体にも問題があるといわざるを得ません。そこで伺います。
 第一に、現時点での医療情報の提供はどうなっているのか。
 第二に、医療情報提供の先進的な実例、その内容をお示しください。
 第三に、インターネットなど情報通信技術の目覚ましい進展と家庭への普及を考えると、都としても、率先して新たな医療情報提供システムを展開する必要があります。今後の取り組み方針を伺います。
 最後に、住宅供給公社に関連して伺います。
 平成十二年二月発行の「都公社だより」には、家賃改定が必要となりましたので、検討を進めていますという記事が掲載されました。この「公社だより」を見た居住者が――この文中、値上げの内容ということが三回も出ております。したがって、公社の窓口に問い合わせたところ、別に値上げを検討しているわけではありませんという返事だったといいます。では、なぜ住民に不安を与えるような広報活動をするのか、理解に苦しむものであります。
 打ち続く不況の中で、都民は大変な不安を抱え、リストラの波に耐えております。そうした都民感情を考えれば、住宅供給公社の血のにじむような行政改革によってむだを省き、家賃の引き下げを図ることこそ重要であります。その点、今回の「都公社だより」の表現は、余りにも不適切であり、住民感情を忘れたものといわざるを得ません。明快なご見解を求めます。
 また、こうした状況を踏まえ、公社の家賃改定について、都は公社をどのように指導していくのか、所見を伺います。
 以上をもって私の質問を終わります。答弁によっては再質問をさせていただきます。(拍手)
   [知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 白井常信議員の一般質問にお答えいたします。
 国際的ソフトウエアの研究開発と東京都の役割についてでありますが、ご指摘のとおり、このところ私自身も、日本のソフトを含む先端技術面での著しい立ちおくれには切歯扼腕してまいりました。
 いささか我が事になりますけれども、先般、かつて商務アタッシェとして日本を随分いじめたトリプレットという男がアメリカに戻りまして、「レッドドラゴン・ライジング」、隣の赤い中国が非常に危険な存在になっているという本を送ってくれました。その中に、であるが、なお、アメリカは、軍事面では先端技術も含めて圧倒的優位があるということの中に、アメリカが今日そういう地位を築けたのは、私が「『NO』と言える日本」の中で、アメリカは日本を無視した世界戦略は展開できないぞということを書いたあの一行に発奮して、アメリカは危機感を持ち、湾岸戦争でそれを痛感したので、あっという間に日本を追い越したと。もう十年以上の技術的な格差があるということを豪語しておりましたが、やはり必要なことは、都にしろ国にしろ、こういった国家にとっての致命的な問題についての現状認識と危機感だと私は思います。
 東京都も、それを踏まえて、そういう危機感を踏まえて、こういった面にこれから力を尽くしていきたいと思っておりますが、情報技術が進展する中で世界に通用するソフトウエアの研究開発を進めていくことは、東京のみならず、日本の産業にとって重要な課題であると強く認識しております。
 ですから、都としては、これまでもソフトウエアの開発にすぐれた創造力と意欲を持って取り組んできた企業に対して、創業の場の提供や資金面の支援等も積極的に行ってまいりました。
 今後も、ソフトウエア研究開発を促進するために、これらに加えて人材育成やインキュベート、つまり卵のふ化ですね、その可能性をふ化させる経営、市場開拓などの多様な機能をネットワーク化して、総合的かつ広域的な支援の充実に努めていきたいと思っております。
 次に、新しい発想の転換による卵のふ化、インキュベート事業の拠点の整備についてでありますが、高度情報関連産業の創出には、この卵をふ化させる機能を充実することが重要であると思います。
 現に、第二のシリコンバレーといわれておりますワシントンに近い、あのダラス空港のすぐ近くの、場所はバージニア州になっておりますが、そこでも、州の知事が決断しまして、全く無料で、こういうベンチャービジネスをやっている連中に場所を提供しまして、一切お金も取らず、ただ、営業が営利を上げてきたならば、その一〇%を配当しろということで、非常に大きな成果を上げていると聞きます。
 東京のように、そういった可能性が集積している地域では、決して岐阜県に負けずに、思い切ったそういう措置を多角的にすることが、都のためだけじゃなしに、国のために必要だと思っております。
 八王子を初めとする多摩地域にも、こうした考え方に基づいて、ご指摘のTAMA産業活性化協議会や大学等との連携を通じて、民間が大いに力を発揮できるような支援の充実に努めていきたいと思っております。
 次に、今後の都立の大学における情報産業や情報文化の担い手となる人材の養成についてでありますが、教育改革を推進するためにも、都立の大学で、今のあり方、いささか陳腐になっておりますし、思い切った改革を行う。その改革の一つとして、産業界への研究成果の還元や情報提供など、産・学・公連携を今まで以上に積極的に進めていきたいと思っております。
 その中でも、大学の教育、研究資源を活用して、これを広く民間にも開放して活用して、マルチメディア時代にふさわしい情報産業や情報文化の担い手となる人材の養成を検討していきたいと思っております。アメリカのシリコンバレーの背後には、スタンフォードという大学が歴然として、また隠然として影響を与えておりまして、これは非常にうらやましい連携だと思います。
 次いで、このDPFの価格低廉化などについての国やメーカーへの働きかけについてでありますが、先日、DPFの装着義務づけなど、ディーゼル車規制の検討案をお示しいたしました。メーカーに対しては、都の認定基準を早期に明らかにするなどによって、できるだけ早く、低価で効果的なDPFの開発供給の一層の促進を求めていきたいと思っております。DPFの普及拡大などのディーゼル車対策については、本来は、これは国がもっと多角的にすべき問題であります。そういう問題に対して、国はいかにも怠慢で鈍感であったということは否めないと思います。このため、国に対して、軽油にかかわる税制の改正や軽油の低硫黄化などを強く要望するとともに、DPFの装着も着実に進めていきたいと思っております。
 それから、ご指摘のように、現行の車検制度というのは非常におかしいところがありまして、ディーゼルに関すれば、とにかく東京の空気を、要するにきれいにするということが究極の目的でありますから、それに非常に悪い影響を与えている自動車を多数持っている、そういう業者の車検が、十台のうち一台通れば、あと軒並みに九台通っちゃう、この方式そのものがおかしな話でありまして、こういった車検制度というものを国の責任で、車が社会的に非常に大きな影響を与えている、この歴史的な変化というものをとらえた制度に改革するように、都の責任においても強く国に要望していきたいと思っております。
 他の質問については局長がお答えいたします。
   [東京都技監成戸寿彦君登壇〕

○東京都技監(成戸寿彦君) 都市計画に関します二点のご質問にお答えいたします。
 まず、運輸政策審議会答申における多摩都市モノレールの位置づけについてでございますが、多摩都市モノレールにつきましては、答申における路線の新設、複々線化等の整備計画の中で、上北台から箱根ヶ崎間が平成二十七年までに整備着手することが適当である路線として、また、多摩センターから八王子間及び多摩センターから町田間が今後整備について検討すべき路線として位置づけられております。
 次に、多摩都市モノレール次期整備路線の導入空間の整備状況及び今後の見通しについてでございますが、上北台から箱根ヶ崎間につきましては、事業化に合わせて新青梅街道を拡幅し、導入空間を確保する必要がございます。八王子ルートにつきましては延長約十七キロメートルのうち約六一%、町田ルートにつきましては延長十三キロメートルのうち約四七%におきまして、導入空間が確保されております。
 これら次期整備路線の三ルートの整備につきましては、多摩都市モノレール株式会社の厳しい経営状況、都と市の連携及び財政状況など、種々の課題を踏まえながら検討してまいります。
   [環境保全局長齋藤哲哉君登壇〕

○環境保全局長(齋藤哲哉君) ディーゼル車対策に関する二点のお尋ねにお答えを申し上げます。
 まず、日本や外国における粒子状物質の自動車排出ガス規制の状況についてでございますが、日本における粒子状物質の規制は、ディーゼル車に対しては平成五年から導入され、平成九年から強化が図られてきたところでございます。今後十年ほどの間にも、二段階で強化されることになっております。
 日本と欧米の規制基準につきましては、測定方法に違いがあるため、単純に比較はできませんが、欧米においては粒子状物質についての関心が高いため、規制は日本より厳しくなっております。また、窒素酸化物につきましては、逆に日本の方が欧米に比べて厳しくなっているといわれております。
 次に、都が求めるDPFの性能の明確化についてのお尋ねでございますが、粒子状物質の低減効果を確実なものとするためには、DPFの除去性能等が一定の水準に達していることが重要でございます。このため、都は現在、学識経験者や自動車メーカー等の意見も聞き、認定基準の検討を進めているところでございまして、この基準を、来年度早期に明らかにしてまいりたいと考えております。これにより、DPFの開発が広く行われることを期待しております。

○副議長(五十嵐正君) 知事の答弁漏れがありました。
 知事石原慎太郎君。
   [知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 失礼しました。多摩都市モノレールについてお答えするのを忘れていました。
 この事業は、多摩地域の都市間の連携強化や交通利便性の向上が図られるなど、私も先般、開通式に参りまして試乗いたしましたが、多摩地域のこれからの自立と発展に大きく貢献するものと認識しております。
 ただ、次期整備路線の上北台から箱根ケ崎間、多摩センターから八王子間及び多摩センターから町田間以外は、運輸政策審議会の答申に盛り込まれていなかったことから、沿線の後背地の人口の問題もあるんでしょうけれども、いずれにしろ当面は、次期整備路線について、開業路線の採算性、多摩都市モノレール株式会社の経営状況、地元まちづくりの動向等を勘案しながら、整備のあり方を考えていきたいと思っております。
   [建設局長古川公毅君登壇〕

○建設局長(古川公毅君) 多摩都市モノレールの延伸にかかわる今後の執行体制についてですが、多摩都市モノレールを初めとする新交通事業は、これまで各建設事務所において分散して実施していましたが、執行体制の一元化を図るため、本年四月より、新交通建設事務所を設置することといたしました。多摩都市モノレールの箱根ヶ崎、八王子及び町田方面への延伸の検討は本庁を窓口として進め、現地調査等については新事務所において、本庁の指導のもとで実施いたします。
   [衛生局長今村皓一君登壇〕

○衛生局長(今村皓一君) 医療情報に関する三点のご質問にお答え申し上げます。
 都における医療情報提供の現状についてでございますが、現在、東京都保健医療情報センターにおいて、三百六十五日、二十四時間の電話による医療機関案内を行うとともに、平日の午前九時から午後八時までは、保健医療の専門相談員が相談や問い合わせに応じております。また、保健所や総合精神保健福祉センター等においては、精神障害や難病などの専門的な相談等に応じております。さらに、区市町村や地区医師会等の相談窓口においては、かかりつけ医についての相談や医療機関案内を実施しております。
 次に、医療情報提供の先進的な実例についてでございますが、新宿区や江戸川区、田無市などでは、地区医師会が中心となり、診療情報、検査や検診の結果及び入院患者受け入れ体制等の医療情報の提供を行うため、パソコンを活用した医療機関の連携ネットワークを構築するなどの取り組みを進めております。
 また、横浜市では、市医師会と協力いたしまして、地理情報システムを活用した医療機関情報を市民に提供する病診連携管理システムの運用を開始するなど、各自治体によりさまざまな取り組みが行われていると聞いております。
 最後に、新たな医療情報システムの取り組みについてでございますが、ご指摘のとおり、都民がみずからの意思で医療機関を選択し、安心して治療を受けるためには、適切な医療情報の提供が不可欠であります。そのため、平成十二年度予算案に、情報システム構築のための調査費と概要設計の経費を計上してございます。今後、医師会等関係団体と協力し、先進的な医療情報提供の取り組みなどを参考にしながら、インターネットの活用を含め、都民への医療情報の提供に向けシステムづくりに取り組んでまいります。
   [住宅局長戸井昌蔵君登壇〕

○住宅局長(戸井昌蔵君) 東京都住宅供給公社についての二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、公社が居住者を対象に発行しております「都公社だより」の家賃改定に関する記事についてでございますが、すべての住宅の家賃を値上げするかのような誤解を招きかねない表現となっていたことのご指摘につきましては、局としても真摯に受けとめ、居住者の十分な理解が得られる適切な広報活動、例えば、「都公社だより」の大幅な前倒し発行などを速やかに行うよう、既に公社を指導したところでございます。
 次は、公社の家賃改定に対する都の指導についてでございます。
 公社の一般賃貸住宅の家賃は、市場家賃に比べ著しく安い住宅がある一方、高い家賃の住宅もありまして、そのアンバランスを是正する必要が生じております。また、現行の家賃収入では、住宅の維持管理に適切な対応ができない状況にもございます。このため、公社は現在、市場家賃の考え方を取り入れた家賃改定の基本方針やその内容について、学識経験者などから意見を聞きながら検討してございます。
 都といたしましては、公社に対して、人件費の削減など、より一層の内部改革を進めるとともに、家賃改定について居住者などの理解が得られるよう指導してまいります。

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