平成十二年東京都議会会議録第二号

○議長(渋谷守生君) 九十八番山崎泰君。
   [九十八番山崎泰君登壇〕

○九十八番(山崎泰君) 私は、都議会無所属クラブを代表し、都政の重要課題について質問いたします。
 東京から政治を変えたいとの思いで、あえて既成の枠にとらわれることなく、真に都民の立場に立った都政改革を目指してきた我が会派にとって、国政の本質を変える最初の引き金を東京からとの知事の強いメッセージには、大いに共感を覚えるものであります。
 混迷を続ける国政を見るとき、首都問題、都市外交、税制、行革、環境、教育初め、さまざまな分野で、東京がこの国を変えていく牽引車、先駆者たらんことの責務を強く感ずるのであります。
 そこでまず、首都移転問題についてであります。
 国家百年の大計にかかわる天下の重大事が、国民的関心の高まらぬまま、何か公共事業の地方配分的な発想の延長で、さもばらまきのように移転先候補地の名前が決まってしまうことに、この国の大いなる危惧を感ずるのであります。今後は、議論の場が国会に移り、都としても、平成二年の国会等の移転に関する決議から続く一連の流れを断ち切るべく、次のアクションを起こさねばなりません。
 よもや国が、外形標準課税の仕返しに、首都移転という愚もなかろうとは思いますが、とにかく行動あるのみであります。次なる行動について、知事の所見を伺います。
 加えて、首都東京の将来のあるべき姿をみずから描き、東京から日本を再生していくことを、都民、国民に目に見える形で提示していくことも、首都移転阻止の大きな力になるに違いありません。東京構想二〇〇〇等において、そのビジョンを早急に示すべきと考えます。知事の所見を伺います。
 次に、首都外交についてであります。
 都議会の海外視察が見送られ、財政難を理由に海外駐在事務所閉鎖という現状ではありますが、東京のなし得る都市外交の役割は、首都ゆえに大きいことも忘れてはなりません。私自身、五年前には、ソウルとピョンヤンを同じ年に訪問し、昨年は台北市に出かけ、馬英九市長と、国交がないからこそ、緊張のときだからこそ、国ではできない首都外交をとの思いを確認してきたところであります。
 翻って、知事は、昨秋の台湾視察、今春のダライ・ラマ氏との会見、さらには横田基地問題で訪米する意向を示されるなど、知事として活発な外交を展開しているように見受けられます。外交は国だけにあらずと公言され、恐らく東京から国の外交をも動かそうという石原知事。知事は、日本外交の問題点をどうとらえ、そして、都知事としてどのような自治体外交を展開しようとしているのか、伺います。
 また、施政方針にあるアジア大都市ネットワーク構築も、多様な都市問題解決に向けた連携、協力という意味では、賛同するものであります。しかし、その一方で、知事の一連の発言を聞いていると、例えば二十年以上にわたって築き上げてきた北京市との友好関係を、いたずらに刺激することもないのではという、議会として良識ある判断も働くのであります。
 アジア大都市ネットワークの構築は、北京市もメンバーに加えてのことと思いますが、今後どのように展開していくおつもりか、知事の所見を伺います。
 次に、税制についてであります。
 シャウプ勧告により、昭和二十五年、地方税制の骨格が形づくられて以来、多少の変動はあれども、平成のバブル崩壊まで、経済も土地も右肩上がりの推移を続けてまいりました。地方税たる法人事業税や固定資産税もそれを前提としてきたがため、平成三年以降、社会経済が右肩上がりに転じたにもかかわらず、いつか経済も土地も上がるだろうと首をすくめ、税制はそのまま変えずに来たがゆえに、さまざまな弊害が生じてきたのであります。
 我が会派は、景気の動向に左右されやすい税収構造そのものが、都財政の構造的問題と早くから指摘し、法人事業税の外形標準課税についても関心を持って見てまいりました。しかし、中小赤字法人に配慮し、少なくとも景気低迷下での導入にはあくまでも慎重であるべきと、石原知事にも申してきたところであります。
 銀行業に対する外形標準課税導入の条例案提案を受けた翌日、我が会派としては、最も懸念される以下の二点が確認されれば、自治体の課税自主権を確立し、一刻も早い財政再建を目指すべき立場からも、基本的に知事の企図に賛同する旨、発表したところであります。
 第一に、平成九年度ベースで、中小零細法人など都内事業者の六八・八%にも及ぶ赤字法人への外形標準課税導入に及ばないことであります。この点、確認を込めて知事に改めて伺います。
 第二に、将来的な税制改正においても、景気低迷下での全業種、全企業一律の外形標準課税導入という事態に至らぬよう、都としても十二分に配慮すべきであります。知事のお考えをお聞かせください。
 私どもの懸念どおり、外形標準課税は全業種、全企業で一律にという議論が急速に広がっています。あのとき都がいい出したからというスケープゴートに使われかねない状況ですらあります。
 かかる論議の起こりは、当然ながら、税の公平、中立性であります。この点、地方税法第七十二条の二十二第九項に照らし、銀行業の業務粗利益の三%という税率、千百億円という税収の公平性、妥当性について見解をお示しください。
 将来的には、当該特例条例の存続する五年以内に、他業種まで含めた地方税法改正も考えられるところであります。そのときは、今回の特例条例も国の制度に吸収されることになるのか。また、五年後以降の取り扱いについて、知事のお考えを伺います。
 地方税財政に一石を投じた余波のごとく、都にはさまざまな批判、懸念の声が寄せられております。その声に謙虚に耳を傾けるべきこそ我々に求められ、最後はそれが理解につながると思うのであります。
 第一に、行政サービスの受益に着目し、外形標準課税として増収となる以上、都が銀行へ提供する行政サービスについても、答えを出しておくべきとも考えます。所見を伺います。
 第二に、都も財政難を招き、構造的改革を先送りしてきた点は、厳に自戒しなければなりません。今回の千百億円によって、よもや行政改革、歳出削減、歳入確保努力等に緩みが出てはなりません。公的資金を受けず、丸の内本店まで売却をした東京三菱銀行からは、都も都庁舎を売るぐらいの覚悟をとの声も聞こえてきます。さらなる行財政改革に挑む知事の決意をお聞かせ願いたい。
 第三に、東京の国際競争力を高めようという今、金融市場としての国際的評価に対する影響を懸念する声も聞こえます。現に、ニューヨークタイムズ紙は、これがニューヨークでなら、銀行はこぞって逃げ出すとの記事が載ったそうであります。かかる懸念をどう払拭していくのか、あわせてお聞かせください。
 さらに、固定資産税についてであります。
 一月二十八日、知事への復活予算要望の席上、我が会派は固定資産税軽減を提案しました。地方税でありながら、土地の価格も考慮せず、全国一律に標準税率、評価額が決まってしまう矛盾を指摘したのであります。
 今回、知事が外形標準課税と同時に、新築住宅の固定資産税等減免を発表されたこと、評価するものであります。しかし、知事、一歩進んで現行の固定資産税制全体にも、ぜひとも目を向けていただきたい。標準税率より下げた場合の地方税法上の起債制限などは、十分承知しております。さきの財政委員会でも、固定資産税軽減に向けた国への働きかけが趣旨採択されたところであります。知事には強い問題意識で、ぜひとも自治省にこの問題、働きかけていただきたい。知事の所見を伺います。
 次に、行財政改革についてであります。
 昨年末、平成十二年度予算案に関する会派要望において、財政再建推進プランで掲げた数値目標達成に向けた実質的初年度であることを十二分に踏まえ、より一層思い切った内部努力、資産の見直し、官民の役割分担等々を推進するよう、知事に要望したところであります。
 国は、国債、地方債を合わせ、借金残高六百四十五兆円、国民一人当たり五百万円、予算における国債依存度三八%、何と一国の総理が世界一の借金王といってはばからない状態であります。国の野方図に比べれば、都の方がよっぽど健全ともいいたくなりますが、まず知事は、かかる国の財政運営についてどう思われているか、伺います。
 財政規律という言葉が、今ほど重く感ずることもない。都が国に先んじて範を示すときとも考えます。税収が回復すれば問題は解決するだろうという甘い姿勢、余りにも借入金に頼り過ぎ、借入金と自主財源とを混同したかのような歳出歳入構造。都として、厳に反省すべき点ともいえます。
 都債発行額三千九百八十六億円と、前年比三〇・四%の減という予算案は、私どもの主張にも沿い、評価をいたします。今後も、公共事業など、それを利用する将来の都民にも負担を求めるという、そもそも都債の考え方を改めてでも、都債の依存体質から脱することが財政再建には不可欠とも考えます。知事の所見を伺います。
 さらには、知事は、そもそもなぜ行政改革を行うのか、行革によって何を目指そうとしているのかについても、この際、お尋ねしておきたいのであります。
 企業は、厳しいリストラを通じて、自身のスリム化、社員の意識改革、そして健全経営の母体を確立し、ひいては企業の市場価値、社会での存在価値を高めようとする。都もまた、財政再建のためのみ行革を行うのではなく、東京の価値そのものを高め、ひいては自治体を取り巻く制度を変えていくぐらいの視野を持ってもよいと思うのであります。石原行革はそこまで視野に入れたものなのか、基本姿勢を伺います。
 次に、行政評価制度並びに資産アセスメント制度導入についてであります。
 都の行うべき政策や事務事業、都の持つべき資産そのものを、いま一度総ざらいして検証し直すべきと主張してきた我が会派は、導入を大いに評価するものでありますが、より実効性を増すためにも、何点か確認をしたいと思います。
 第一、両制度によって得られた評価結果を予算にどう反映をさせていくのか、伺います。
 第二、両制度はともに一次評価を各所管局が行い、二次評価は、行政評価は総務局、資産評価は財務局が行うという、いわば二重の網をかけております。一次評価、二次評価はそれぞれどのような視点で行われ、評価に相違が出た場合、どのように調整していくのか、伺います。
 第三、行政評価制度において、都民生活に具体的にどのような効果がもたらされるかを示す、いわゆるアウトカム指標をわかりやすく示せるかどうか、今後どのように指標設定をしていくのか、あわせて伺います。
 さらに、監理団体改革についてであります。
 十一年度補正予算案提示を受けて、はたと目についたのが多摩都市モノレール。事業の重要性は十二分に認めつつも、本来の十二年度予算要求分百六十億円を全額前倒しして都が貸し付け、それも中身は運転資金というのでは、やはり経営の先行きに不安を感じざるを得ません。都は、各団体に経営改善計画を策定させるため、監理団体総点検のための基本方針を示したところであります。今回、補正に係る多摩都市モノレールなどを含めて、都としてどのように経営改善を求めていくのか、なぜ今までの経営改善が不十分であったのか、伺います。
 次に、ディーゼル車規制についてであります。
 粒子状物質対策では、欧米におくれをとっているといわれる中、国に先んじて全面規制をとの知事の決意も理解をいたします。しかし、ディーゼル車ノーというだけでは能がなく、規制のみならず誘導にこそ力点を置くことを提案するものであります。
 第一に、ディーゼル微粒子除去装置、DPF装着義務づけについては、技術面、コスト面で乗り越えなければならないハードルもあります。技術開発も、ひとり企業、業界の努力と片づけてしまうことなく、都も、国とも連携して取り組むべきと考えます。所見を伺います。
 コスト面でも、基本的にはユーザー負担としつつも、ガソリン車への転換やDPF導入等には一定の助成措置も検討すべきと考えます。あわせて所見を伺います。
 第二に、天然ガス車など低公害車への代替で課題なのが、天然ガス車等の充てん所、いわゆるスタンドが十分でないため、普及が進まないことであります。公有地等の活用を含め、代替に向けたインフラ整備を推進すべきと考えます。所見を伺います。
 第三に、環境、健康のためとはいえ、最終的には都民の負担増を伴う以上、自治体の長として、理解を得る努力は欠かせないと考えます。そのためにも、DPF装着によって、どの程度の大気汚染改善効果があるのか示した方がよいと考えます。所見を伺います。
 次に、関連して、TDM、交通需要マネジメント東京行動プランについてであります。
 重点施策の中でもロードプライシングが話題となっております。昨年の日経地域情報によると、賦課金の許容額の平均は、全国レベルで二百八十六円、南関東では三百四円という調査結果です。首都高は七百円ゆえ、今回導入される課金は、その中間かとの感もします。課されるべき金額のイメージは、どの程度のものを想定しているのか、伺います。
 課金時間は午前七時から午後七時とのことですが、この際、混雑の状況により、時間帯によって課金額を変動させ、流入量を誘導し、より都市交通政策に資するよう提案します。知事の所見を伺います。
 次に、教育についてであります。
 施政方針における、進んで公に貢献する志を持つ若者を育てていこうとの知事の思い、大いに賛同するものであります。地域にありて地域を知らず、一番小さな公である自分の住む地域に愛着や関心のない者が、都、国、国際社会といった大きな公に貢献する志を持つようになるとは考えられません。子どもたちが誇りと愛着を持ち、胸を張って首都東京をふるさと東京として語り、志を持って公に尽くすためにも、自分の住む地域に愛着を持たせるよう、学校、家庭、地域社会が三位一体となって意図的に導くことも必要と考えます。現行の学習指導要領においても、郷土の文化や伝統を大切にする心を育て、地域の人々とのつながりを深める地域活動などの体験学習を重視すべきと考えます。現在、都教育委員会ではどのような取り組みをされているのか、教育長の所見を伺います。
 また、学習指導要領が新しくなる中で、都教育委員会は、我が郷土東京を愛する心の育成を図っていくため、今後新たにどのように学校を指導していく考えか、お示しを願います。
 自国の文化を十二分に理解した上で、二十一世紀を生きる子どもたちには、ぜひとも国際社会での活躍を大いに願うものであります。この点、国際共通語としての英語を活用する力を持っているか否かは、ひとり個人のみならず、国の将来にもかかわる問題と認識をいたしております。
 先月、「二十一世紀日本の構想」懇談会が、長期的には英語を第二公用語化することも視野に入れた国民的論議が必要との報告を出したところであります。日本のよさを発信し、国際社会に貢献する国づくりという点からも、英語の第二公用語化の動きをぜひ推進したいと考えます。この点について、知事の率直なお考えをお聞かせをください。
 また、都は、英語教員の採用、研修にTOEIC等を取り入れるなど、指導能力向上を目指すべきと考えますが、あわせて所見を伺います。
 さらに、今大きな問題となっている少子化対策を、大人の範囲でだけとらえずに、学校教育の中で子育て理解授業として推進していくことも、また重要と考えます。中央教育審議会でも、すべての高校での保育体験実習が検討されております。都が率先して、まず都立高校全体において保育体験実習を実施してはどうか、所見を伺います。
 次に、医療改革についてであります。
 知事は、さきの施政方針の中で、医療改革の柱の一つとして、三百六十五日、二十四時間稼働の救急医療体制の確立を掲げています。知事が思い描く救急医療体制及び救急病院とはどのようなものか、お聞かせをください。
 東京都における救急医療体制に関しては、官民協力のもと、全国的に見ても高い水準にあるとの評価のあることは十分承知しております。しかし、小児科医の不足が主たる原因となり、小児の救急医療は必ずしも十分でなく、子を持つ親としても大変不安になるところであります。小児救急の現状と今後の対策をお示しいただきたいと思います。
 最後に、障害者対策についてであります。
 先日、障害を持つ皆さんと語り合った折、障害者は、健常者以上に、所得のためのみならず、生きがい、社会参加のために働くんだとの意義を強調され、与えられる福祉から、消費者として、そして納税者として認められる福祉にと、みずからを奮い立たせて自立されようとする姿に、改めて深く感ずるものがありました。
 一般民間企業における法定雇用率は一・八%であります。しかし、達成できない企業は、過去最高の五五・三%。東京都における障害者の就労実態は、授産施設や福祉作業所も含め、身体障害者約三割、知的障害者六割弱、精神障害者三割弱という実態であります。福祉の構造改革としても、やはり障害者の就労支援事業に早急に取り組むべきと考えます。知事の所見を伺います。
 関連して、大いに気になるのが心身障害者の医療費助成制度に関する見直しであります。今回、所得基準の引き下げについて、二十歳以上の障害者本人に適用される所得基準と同一の基準が二十歳未満の障害児を持つ保護者にも適用される案が示されております。今回の見直しで助成対象から外されることになる多くの保護者から、不安の声が数多く寄せられております。
 果たして生活実態はどうだろうか、よもや受診抑制ということにならなければいいが、かような疑問を確認すべく都に実態報告を求めましたが、障害児を持つ保護者の収入分布、実態調査等々は行っていないというのでは、議会の判断材料としては甚だ乏しいといわざるを得ません。障害を持たない子の親の身であるだけに、障害児を持つ親御さんの声には深く耳を、施策には慎重であらねばとも考えるのであります。
 そもそも所得制限を二十歳以上と二十歳未満で同一にした理由は何か。また、二十歳未満の障害児を持つ保護者に関して、収入状況把握も十分とはいえないまま設定した所得基準は果たして妥当なのか、あわせて伺いま
す。
 都議会無所属クラブは、世紀をまたぐ任期の重さを忘れることなく、今後とも都政の諸課題に真摯に取り組んでいくことを表明し、代表質問を終わります。(拍手)
   [知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 山崎泰議員の代表質問にお答えいたします。
 首都移転反対の次なる行動についてでありますが、あの千駄ケ谷の体育館における大集会を終えただけで別にほっとしているわけでもございません。国会等移転審議会の答申は、候補地のまさにばらまきといった形で終わりましたが、今後の議論は国会に移ったところであります。次の総選挙の結果いかんでどういう扱いになるかわかりませんが、いずれにしろ、この問題は、ご指摘のとおり、東京だけでなく日本の将来を左右するものと認識しております。今後、国等の動向の把握に一層努めるとともに、都議会の皆様や七都県市とも連携し、移転が白紙撤回されるまで、あらゆる機会をとらえて、国民にこの問題の危うさについてキャンペーンをし、これを阻止する努力を続けていくつもりでございます。
 次いで、首都東京の将来ビジョンについてでありますが、おっしゃるとおり、首都移転を阻止するためにも、反対運動とともに、東京の将来のビジョンというものを、できるだけイメージとしても明確に示すことが必要と思います。本年末を目途に策定中の東京構想二〇〇〇において、東京圏などの広域的な連帯の視点を踏まえて、五十年後を視野に入れたダイナミックな大メガロポリスのビジョンを示し、二十一世紀においても東京が日本の首都として、また、アジアを代表するグローバルプレーヤーとして存続していくことを明らかにしたいと思います。これまで以上に隣接県などとの連携を図り、東京メガロポリス構想を策定して、東京圏全体の力で日本を牽引していくということを国民に示していきたいと思います。
 自治体外交についてでありますが、どうも本来、日本の外交というのは自主性を欠きまして、アメリカをうかがい、北京をうかがい、何か戦略に欠け、その場しのぎで、自分の主体性が一向に感じられません。そういう状況の中で、私は日本の外交に強い不満を持ってまいりましたが、知事となった今、それじゃ二十年来続いてきた北京との友好をどうするのかとおっしゃいますけれども、私は余り北京に友好を感じませんな。(笑声)あの共産政権が、このごろは沖縄をも、もともと中国の領土なんというばかなことをいい出している。尖閣はもとよりですよ。こういう、しかもチベットで数百万、百五十万の人を殺して、この間の、教祖がヒマラヤを越えてインドまで逃げていくあの実態を見ても、私は、彼らがかつてソビエトを非難した社会主義帝国主義というものは、彼らが存続して、これはやっぱり、日本とアメリカの新しいガイドラインが示すように、アジアの将来にとって非常に危険な存在になってきたということを共通認識しているわけでしょう。
 私は、ですから、北京との友好を拒絶いたしませんが、それにはそれに適した役者がいるでしょうから、その人たちにお任せしまして、私は私なりの、つまり外交の価値観でもって、東京というものを、北京にも、台湾にも、アジアにも、世界にもプレゼントしていきたいと思っております。
 特に、イデオロギーを超えた都市外交というのは必要だと思いますが、特に地理的、経済的にかかわりの深い、また価値観にも共通性の見られるアジア地域を重視した、東京の活性化に、東京の外交とつなげていく必要があると思います。
 次いで、アジア大都市ネットワークについてでありますが、アジア大都市ネットワークは、アジアの代表的な都市が連携、協力してアジア地域の成長、発展を目指すものでありまして、今後、環境問題への対応、文化の発信や、文化産業の育成、都市づくりに関する技術、人材交流など、実質的な事業展開のあり方を協議するため、準備会議を早急に開催したいと思っております。参加都市やテーマ等については、さまざまな角度から現在検討中であります。
 次いで、今回の都の外形標準課税の対象についてでありますが、銀行業に特有の事業の状況について着目したためでありまして、銀行業以外に拡大することは考えておりません。また、対象を資金量五兆円以上の銀行に限定することとしまして、中小金融機関に対する配慮も行ったわけであります。
 次いで、法律による新しい制度を創設して行う全般的な外形標準課税についての質問でありますが、これについては、景気の動向及び中小法人への負担の配慮など、十分な検討が必要であると思います。
 いろいろ情報をとってみましても、国はとてもやる気がないし、やれないんじゃないかと思います。国が全般的な外形標準課税を導入した場合についてでありますけれども、法律改正があった場合には、基本的にその内容を尊重する姿勢には変わりありません。最終的には、法律の具体的改正内容を見た上で判断することになるでしょう。
 また、五年後の課税のあり方については、その時点において、あくまでも都議会の判断をいただくものであります。
 行財政改革の推進についてでありますが、おっしゃるとおり、まだまだとても財政的にはのんびりできるような状況ではございません。都の財政は、その構造改革に向けて、ただ第一歩を踏み出したばかりでありまして、十三年度以降も巨額の財源不足が見込まれるなど、なお厳しい状況が続いてまいります。
 したがって、今回、銀行業等に対する外形標準課税を導入する中に、引き続き、徹底した内部努力も続け、施策の見直しや歳入確保など、さらなる財政構造改革への取り組みが必要であり、都議会並びに都民のご理解を得ながら、行財政改革に全力を挙げて取り組んでいきたいと思っております。
 固定資産税についてのお問い合わせですが、私は総理大臣じゃありませんから、現行の固定資産税がさまざまな問題を抱えておることは承知しておりますけれども、これを都知事の立場でどうしろこうしろという――要望はいたしますが、やっぱり、他の税源の兼ね合いからいっても、国も国で非常に苦しいところにあると思います。しかし、都は、かねてより、固定資産税負担の均衡化、適正化などを図るよう、国に要望してまいりました。平成十二年度の税制改革においては、商業地等にかかわる税負担の上限が引き下げられるなど、一定の改善が図られることになりましたが、今後とも国に対して、万民が納得できる固定資産税制全体の改善について、都民を代表して強く要望していきたいと思っております。
 国の財政運営についてでありますが、国の十二年度予算については、我が国経済を民需中心の本格的な景気回復軌道につなげていくため、経済運営に万全を期すとの観点に立っての予算編成を行っており、相変わらずの過食な、私にいわせると、どうも非常に危うい気がいたしますが、財政構造改革については、当面先送りされているものと認識しております。
 都としては、東京を混迷から再生へとよみがえらせるための足がかりを着実に築くために、財政再建をなし遂げ、財政の構造改革を進めることが必要であるとの基本的な考え方に基づいて、非常にタイトな平成十二年度予算の編成を行ったところでありますが、まだまだこれによって財政再建のめどがついたとは、とてもいえません。
 次いで、都債発行についてでありますが、もともと都債は、社会資本整備を促進するための貴重な財源であり、世代間の負担の公平を図るという役割も有しております。ご指摘のとおり、今日、財政構造改革を推進する中にあって、都債の発行抑制に努め、将来の財政負担を軽減することこそが必要であると考えております。
 行政改革についてでありますが、仄聞しますと、あの大ロンドン市のお役人は、延べて百五十人だそうで、市民がみんなその顔をよく知っているそうですけれども、そこまではなかなか難しいでしょうが、しかし、世間がやっている努力は、私は内部努力して、人員の整理も含めて、財布も含めて、しなくてはならないと思います。
 二十一世紀の都政を創造するために、しなやかな行政体質を構築することが行革の最終点でありますけれども、この際、まず都庁の行政体質の改善に向けて、行財政システムの改革を行うとともに、中長期的な視点に立って、東京をめぐる自治制度改革の姿を初めとする新しい都政のあり方のスキームを考えて、提示していきたいと思っております。
 それで、行政改革を進める上での視点についてでありますが、東京構想二〇〇〇は仮称でありますけれども、それで示す東京が目指すべき中長期的な都市像、生活像を踏まえ、できれば五十年後につながるような――しかし、やはり二十年というものが現実的なタイムスパンだと思いますけれども、そういった東京をめぐる自治制度の抜本的な改革を視野に入れた都政のあるべき姿を描き、現行の法制度上の制約も検証した制度改革への提言を行い、新たな自治体像というものを何とかつくっていきたいと思っております。
 行政主体の財政的なあり方というのは、いうのは簡単でございますけれども、その的確なイメージというものをなかなか造形しにくいのですが、やっぱりそれは一番合理的な、一番冷静な経営をしている民間のそういう企業なり組織というものと同じ、つまり世間並みの努力をすることで、初めてでき上がってくるものだと私は思います。
 それから、DPF開発に関する国との連携についてでありますが、これは、別に国がそれほど技術を持っているわけでもない。それはやっぱり自動車をつくっているメーカーのそれぞれの技術によるところが多いと思いますけれども、いずれにしろ、その自動車のメーカーも掌握しているのは国でありまして、私は、やっぱり今日の大気汚染に関する状況というものに対して、国政をどういう人たちが形成しているか知りませんけれども、田舎の空気のきれいなところから来ている人が多いみたいだから、やっぱり都会から出ている国会議員に反発してもらって、国政全体が危機感を持ってもらいたい。これに対して私は、国政は従来まことに怠慢であり、鈍感でしかなかったと思います。
 そういう点で、やっぱり都民の命と健康を守るために、この浮遊粒子状物質に対する対処だけではなくて、国は、もっと突っ込んだ、つまり文明の状況というものを把握した上での危機感を持って、都も含めた、国全体にリーダーシップを発揮してもらいたい。それがかなわないなら、せめて、東京が率先してじたばたしないわけにいかぬと思いますけれども、現にばたばた人が死んでいるわけでありますから、これはやっぱり、もっと年がたてば、もっと大きな恨みとなって行政に返ってくると思いますし、そういう歴史観というものをひとつ国政に持たしめることが、東京のできる国とのかかわりの中のDPF開発に関する大きな引き金になると思います。
 こういう観点からも、国に対して、DPFという機械だけではなくて、軽油の税制の改善、あるいは、やればできる脱硫化というものを、もっと業界にノルマを課して規制するみたいな、そういう強い姿勢をひとつ期待するわけであります。
 それから、ロードプライシングにおける時間帯別変動課金制度のご提案でありますが、今、具体的に考えておりますけれども、東京も非常に膨大な地域でありまして、町の構造が非常にちぐはぐで、どこに線を仕切っても、抜け道がたくさんあったんじゃしようがないんです。ですから、どこら辺でどういう線を仕切るか、今、苦労しておりますが、一応原案ができましたら議会にお諮りいたしまして、都民を代表する議員の皆さんのご意見をいただきたいと思っております。
 それから、英語の第二公用語化でありますが、私は反対ですな。何も外国語を第二公用語にすることはない。もう少し英語の教育を徹底してうまくやれば、日本人はもっと英語がうまくなると思うので、明らかに異質なランゲージをわざわざ日本の第二公用語化するというのは、使える人は使ったらいいんで、その使う人がもうちょっとうまくなりゃいいんで、そういうプロセスの問題だと思いますから、これをわざわざ第二公用語化することは、私は物書きでもあるし、日本語を愛する人間として、あんまりぞっといたしません。(「余り英語使わない方がいいよ」と呼ぶ者あり)そうだね。本当だよ。(笑声)
 それから、救急医療体制などについてでありますが、先ほども申しましたけれども、とにかくお医者さんは、警察官や消防官と同じなんですよ。人の生命を預かる。しかも、消防は、あるいは警察は、命を賭して火の中に飛び込んでいったり、凶悪な犯人に立ち向かっていくんだけど、お医者さんはメスを使って手術するだけでありまして、身の危険はないんです。土曜、日曜、何かいろんなことをしていらっしゃるんでしょうけど、やっぱり自覚を持って、例えば日曜日に急患が発生したら、病院に入ったらちゃんと手術して(発言する者あり)――あ、そこにいらっしゃいますか。(笑声)そういう体制をつくりたいと思っております。いずれにしろ、スタッフが患者の痛みや家族の不安を理解して、適切に対応できる病院でなくてはならないと思っております。今後、医療の改革を進める中でも、救急医療の体制について強化していきたい。アメリカのテレビドラマシリーズにあります「ER」ですか、あれは表面の問題かもしれませんけれども、ああいう病院が東京にたくさんできれば、大変結構と思います。
 次いで、障害を持つ人の就労支援事業についてでありますが、障害者の自立のために一般企業への就労を促進することが必要であると、これは認識しております。そのため、平成十二年度から、身近な地域で一般企業への就労を目指す障害者を応援して、新たな作業を開始することにいたしました。今後は、実施主体である区市町村に対して、その取り組みを積極的に支援してまいります。
 他の質問については、関係局長から答弁いたします。
   [主税局長大塚俊郎君登壇〕

○主税局長(大塚俊郎君) 三点のご質問にお答えを申し上げます。
 まず、今回の都の外形標準課税の税率等についてでありますけれども、銀行業の事業税収が、バブルを挟んで極めて不安定な形で推移をしていることから、バブル発生前、バブル期、バブル崩壊後のいずれの時期をも含んだ過去十五年間の税収実績等を考慮して三%としたものでありまして、公平、妥当なものであります。
 次に、銀行業の受益と負担の関係についてでありますが、もともと法人事業税は、地方団体と法人との間の一般的な受益と負担の関係に基づいて課税される普通税であり、都道府県の行政サービスの対価として支払われるべきものであります。銀行業につきましては、課税対象行店舗の約三割、従業者の四割強が東京に集中し、警察、防災、道路、上下水道などの行政サービスを享受しているにもかかわらず、現在、事業税をほとんど納めておらず、また、今後数年間程度にわたっても、構造的に、事業規模に見合った納税が全く期待できないという特殊な事業の状況にあります。こうした状況を踏まえ、今回、銀行業の行政サービスの受益に着目し、外形標準による税負担をお願いするものであります。
 最後に、東京の国際的評価への影響についてでございますけれども、今回の都の案により大手銀行等に求める税負担額は、今期の業務純益約三兆円、あるいは、不良債権処理見込み額約三兆円と比べて低額なものでございまして、銀行業にとって決して過重な負担とはいえません。
 新聞報道によりますと、米国の格付会社ムーディーズは、外形標準課税による負担額は驚くに値する金額ではない、邦銀の格付に影響はないとの見解を示しております。ま
た、二月九日付の「ニューヨークタイムス」紙も、銀行が年間一千億ドル、約十一兆円も償却しているのに比べれば、十億ドル、一千百億円がどれほどの金だというのだとしております。今回の措置によって、金融市場としての東京に対する国際的な信頼は損なわれないものと考えております。
   [総務局長横山洋吉君登壇〕

○総務局長(横山洋吉君) 三点の質問にお答え申し上げます。
 まず、行政評価制度などの評価結果の活用についてでございますが、本年度の行政評価の試行におきましては、評価結果を予算編成や事務事業の見直しに可能な限り反映させたところでございます。今後とも関係部署とも連携し、行政評価や資産アセスメントの評価結果を予算編成や事務事業の見直しに一層活用してまいります。
 次に、評価のプロセスについてでございますが、行政評価では、所管局が自己点検の観点から一次評価を実施しまして、二次評価は、できる限り客観的な評価と施策全体の中での事業の検証を行うため、総務局が実施することといたしております。
 また、資産アセスメント制度は、所管局が有効性、効率性などに着目して一次評価を行いまして、二次評価は、営繕技術的判断を加えまして、財務局が全庁的な観点で行うものでございます。この一次評価と二次評価で相違がある場合は、予算編成や事業の見直しに反映させる際に、十分調整を行っていくことといたしております。
 最後に、監理団体の経営改善についてでございますが、監理団体改革を確実に進めていくためには、何よりも団体みずからが、これまでにも増して危機意識を持ち、経営改善に取り組むことが重要であると考えております。ご指摘の多摩都市モノレールにつきましては、地域の交通機関として公共的、公益的事業になっているのでございますが、会社経営としましては、安定した収入の確保と徹底した経費節減が大きな課題でございます。今後、団体ごとに抱える課題克服に向けまして、経営努力を強く促し、これが確実に反映される経営改善計画を策定するよう、所管局を通じて指導をしてまいります。
   [政策報道室長柿沼伸二君登壇〕

○政策報道室長(柿沼伸二君) 二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、行政評価制度の指標設定についてでございますが、行政評価制度を実施するに当たりましては、都民生活に与える質的な効果に着目した東京都政策指標を基本的な指標と位置づけることといたしております。
 現在策定中の東京構想二〇〇〇におきましては、政策全般にわたって政策指標を設定する予定でございますが、その際には、都民生活の質的な効果を的確にあらわし、都民の生活実態に即したわかりやすい指標の設定に努めまして、成果重視の行政活動の流れを確立したい、このように考えております。
 次に、ロードプライシングの課金額についてでございますが、お話にございました調査なども十分参考にしながら、今後、都として、都民、事業者、関係業界等への調査等を行いまして、対象地域、対象車種、あるいは課金時間帯などともに総合的に検討していきたいと思っております。
   [環境保全局長齋藤哲哉君登壇〕

○環境保全局長(齋藤哲哉君) 三点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、ガソリン車への転換やDPF導入等に関する助成措置についてのお尋ねでございます。都は、今回公表しましたディーゼル車規制の検討案の中で、代替車への転換やDPFの普及拡大が円滑に進むよう、規制開始前に一定の準備期間を設けるとともに、規制の実施を段階的に行うというふうにしております。平成十二年度には、新たにDPF装着資金の融資あっせん制度を創設することとしておりまして、ディーゼル車からガソリン車等への代替を奨励する融資あっせん制度の活用も含め、規制実施に向けた効果的な誘導が行えるように努めてまいります。
 次に、低公害車への代替に向けたインフラ整備の推進についてでございますが、ディーゼル車から天然ガス車などの低公害車への代替を進めるためには、天然ガス充てん所など燃料供給施設の整備が必要でございます。これまで一般車両用の燃料供給施設はガソリンスタンドなどと併設して整備が進められておりますが、まだ十分とはいえない状況にございます。
 そこで都は、平成十二年度、新たに民間における五カ所の整備に対して、国の制度に上乗せする形で助成を行うことといたしました。今後、適地の選定に当たりましては、公有地等の活用を含め、さまざまな方策を検討しながら、国や関係機関と連携して、天然ガス充てん所など燃料供給施設の整備を図ってまいります。
 次に、DPF装置による大気汚染改善効果についてでございます。これまで都が行いました性能試験によりますと、DPFを貨物車に装着した場合、粒子状物質の排出量をおおむね八〇%程度削減できるということを確認しております。今後、DPF装置を柱としたディーゼル車規制が行われますと、平成十七年度には、年間二千六百トンの粒子状物質の削減が見込まれます。この量は、平成六年度の粒子状物質の排出総量の約六割の削減に相当いたします。粒子状物質による大気汚染の早期改善を目指し、ディーゼル車規制を着実に実施できるよう努めてまいります。
   [教育長中島元彦君登壇〕

○教育長(中島元彦君) 四点のご質問にお答えをいたします。
 郷土を愛する心を育てたり、地域活動などの体験活動を重視する教育についてでございますが、これまでも各小中学校におきまして、地域の人材を社会科の授業の講師にお願いするなど、地域に根差した学習を推進してまいりました。現在、道徳の授業の公開を進めており、児童生徒と地域の人々がともに考える活動などを通して、郷土を愛する心をはぐくむ教育活動を実践しております。
 また、新たに、心の東京革命の一環として、トライ&チャレンジふれあい月間を設定し、児童生徒が地域の清掃、高齢者との交流、地域の伝統文化に関する体験学習などに取り組んでおります。
 次に、東京を愛する心を育てるための今後の取り組みについてでございますが、新学習指導要領において、各学校の創意工夫による教育活動が一層展開できるよう、総合的な学習の時間が創設されました。この時間では、国際理解、福祉などのほか、地域の自然、歴史や文化等を取り上げた学習をすることが可能となっております。都教育委員会は、新学習指導要領の趣旨に基づき、児童生徒の地域への帰属意識や郷土への愛情を育てるための体験的な教育活動が一層充実するよう、区市町村教育委員会と連携しながら、実践事例等の情報提供や、学校訪問を行うなど、積極的に取り組んでまいります。
 次に、TOEIC、すなわち国際コミュニケーション英語能力テストなどを取り入れた英語教員の指導能力の向上についてでございますが、都教育委員会は、これまで、高度の英語表現能力などを有する者を対象にした、英語科教員採用候補者の特別選考のほか、初任者研修、専門研修、英語担当教員海外派遣研修などを実施して、実践的な指導能力や指導技術の向上を図っております。
 今後、英語科教員の採用に当たっては、指導能力の向上のため、TOEICや実用英語技能検定などを考慮した選考方法を検討するとともに、現職の教員に対しては、英語によるコミュニケーション能力の向上を図る研修の充実、改善に努めてまいります。
 次に、都立高校における保育体験実習の実施についてでございますが、少子化が進む中、子育ての重要性を教育の中に明確に位置づけ、男女が協力して子育てを行うことの意義を学習することは重要であると認識をしております。既に都立高校では、必修の家庭科の中で、乳幼児の保育について全員が一定時間数の学習をしておりますが、今後は、家庭科だけにとどまらず、ボランティア活動、インターンシップ、就業体験などを通じて、すべての都立高校が保育体験実習の機会を設けるよう努力してまいります。
   [衛生局長今村皓一君登壇〕

○衛生局長(今村皓一君) 小児救急の現状と今後の対策についてのお尋ねでございます。
 小児救急医療については、現在、身近な地域における初期救急を初め、休日・全夜間診療事業や乳幼児特殊救急医療事業を実施しておりますが、ご指摘のように、小児科医の絶対数そのものが不足しており、小児救急医療にとっては、その確保が最も重要な課題の一つであると認識しております。
 今後とも、医師会等関係機関の協力を得て、各医療機関の連携をより一層強化するとともに、小児救急を担う医療機関の体系をより緻密にしていくなど、より適切な小児救急医療体制の整備に努めてまいります。
   [高齢者施策推進室長福祉局長兼務神藤信之君登壇〕

○高齢者施策推進室長福祉局長兼務(神藤信之君) 障害者医療費助成制度の見直しについてのお尋ねでございますが、まず、所得基準につきましては、扶養家族のない方で年収四百九十二万円程度、扶養家族三人の方で年収六百三十五万円程度と定めました。また、一部負担の導入につきましては、老人保健制度において高齢者が負担する水準に準じて定め、その際、低所得者の方につきましては、外来、入院とも診療にかかわる負担は、これまでどおりなしとし、入院時の食事代のみの負担をお願いしました。
 今回の施策の見直しは、昭和四十年代に骨格ができた都の福祉施策について、社会経済状況の変化や国の施策の充実を踏まえ、負担の公平などの観点から行うものでございます。同時に、新たな施策展開のための福祉改革ビジョンを策定したものでございます。
 なお、二十歳以上の本人所得と二十歳未満の障害児の保護者所得とを同一基準にしているのは、これまでの制度と同様の取り扱いをしているものでございます。都民の皆さんには、安心いただける見直し内容であると考えております。

○六十七番(鈴木一光君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこの程度にとどめ、散会されることを望みます。

○議長(渋谷守生君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   [「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(渋谷守生君) ご異議なしと認め、さよう決定いたします。
 明日は、午後一時より会議を開きます。
 念のため申し上げます。
 ただいまご着席の方々には改めてご通知いたしませんから、さようご了承願います。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後九時二十六分散会

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