平成十二年東京都議会会議録第二号

○副議長(五十嵐正君) 百七番中山秀雄君。
   [百七番中山秀雄君登壇〕

○百七番(中山秀雄君) 私は、都議会公明党を代表して、知事並びに関係局長に伺います。
 西暦二〇〇〇年という時代の転換期に立った今日、情報技術革新の急速な進展に象徴される時代、社会の絶え間のない変化によって、さまざまな制度や施策が、旧来の踏襲では済まされない状況に追い込まれております。そうした時代、社会の変化に確かな手ごたえを持って対応していくことこそが、新たな千年紀の未来を開く行政の責務として課せられているといっても過言ではありません。しかし、戦後五十年を経過したにもかかわらず、我が国の中央集権的な体質は、いまだに旧来の域を脱していないのが現状であり、地方分権一括法が成立したとはいえ、国と地方の対等関係は、不完全な税財源の移譲に見られるように、まさしく不平等な関係といわざるを得ないのであります。
 我が党は、草の根の党として、地域から国政の改革を訴え続けてきたところでありますが、それは石原知事が提唱する首都東京からの挑戦と軌を一にするところであり、今回の銀行に対する外形標準課税の導入は、財源確保策としてはもとより、むしろ真の地方分権確立へ一石を投じた快挙として意義深いものであります。
 グローバルに考え、ローカルに行動せよとは、J・ネイスビッツの言葉ですが、グローバリズムが進展する今日ほど、地域の持つ重要性はいやが上にも増しており、真の地方主権確立こそが、地域の発展と日本の再生といえるのではないでしょうか。
 そこで、知事のこれまでの提言等を評価しつつ、基本的な認識について伺いますが、まず地方主権元年を宣言した知事は、日本の首都としての東京の主権確立に今後どう取り組むのか、また、さきの施政方針で述べられた東京圏メガロポリス構想は、具体的には何を目指すのか、あわせて伺います。
 次に、財政問題であります。
 現在、都政の最大課題は、何としても財政再建団体への転落を回避することであり、全国の地方自治体の頂点に立つ東京都が財政再建団体へ転落したら、それは間違いなく地方自治の死滅をも意味すると思います。
 知事は、今回の予算案を、財政再建へ確実な第一歩を踏み出す予算とし、その性質を改革型の予算と位置づけました。五兆九千八百八十億円の一般会計予算は、対前年度比三千百億円、四・九%の減であり、経常経費は四年連続、投資的経費に至っては八年連続のマイナスとなりました。厳しい財政状況の中、予算編成に当たった当局の努力は多とするものの、懸念すべき問題は数多くあります。
 都は、改革型予算の裏づけとして、歳入歳出の徹底した見直しで千九百四十億円の財源を確保したとしております。その内容を見ると、内部努力が五百七十八億円で、財政再建推進プラン目標額に対して達成率は約三六%、施策の見直しが千百七十九億円で四九%、歳入確保が百十八億円で二一%、そして、税財政制度の改善が六十五億円で四%となっております。
 本格的な財政再建への第一歩をしるす予算として、これをどのように評価するかが問題であります。我が党は、施策の見直しに比べ、その他の達成率が低いことを懸念しており、したがって、内部努力については次の展開を見通しておく必要がありますが、都はどのように考えているのか伺います。
 さらに、税財政制度の改善に至っては、わずか四%しか達成されておりません。これについて財政再建推進プランでは、消費税の配分割合や国税と地方税の配分割合見直しなどを挙げていますが、これを今後いかなる戦略のもとで国に迫り、いつごろを目途に決着をつけていくのか、説明責任が問われるところであります。いずれにせよ、税財政制度の改善目標額千七百五十億円を棚上げにしたままでは、財政再建に黄色信号がともります。所見を伺います。
 また、歳入確保策にしても、予算案では、徴税努力と受益者負担の適正化の二点が挙げられているのみであります。果たしてこれ以外に工夫の余地はないのかどうか、知事を先頭に、主税局を初めとして、各局が都庁の総力を挙げて外形標準課税に匹敵するアイデアを求めたいと思います。
 例えば、臨海副都心部の大胆な活用、広範な都有施設を利用した収益拡大策の検討、民営化やアウトソーシングなどの手法の柔軟かつ大胆な導入等、多彩な人材を誇る都庁の知恵を結集すべきであります。所見を伺います。
 財源対策における臨時的措置については、三千二百四十二億円にも上る財源不足を、減債基金の一部計上見送り、退職手当債の計上、土地開発基金の廃止などの財源対策、さらに臨時的措置である職員給与の削減などで穴埋めをしていますが、こうした財源対策には、当然限界があるのも事実であります。今後、他に求め得る財源対策の余地が残されているのかどうか、残されているとしたら、どのようなメニューがあるのか、また、いつごろまでこうした手法が可能と考えているのか、見通しをお示しいただきたいのであります。
 一方、超緊縮予算の中にあっても、保健、福祉にかかわる予算の構成比が、過去最高の一一・五%になったことは評価いたします。我が党はかねてより、本格的な少子高齢化社会においては、保健、福祉の充実は、社会の基本構造の安定化をもたらし、結果的に経済社会の活力と都市のダイナミズムを根源的に支えるものであると主張してまいりました。財政再建が都政の喫緊の課題であるとしても、中長期的な展望を切り開くために、工夫を凝らして保健と福祉の充実を図っていくことが重要であります。
 また、八年連続して減少し、昭和六十二年度と同水準まで落ち込んだ投資的経費にしても、景気刺激効果の高い都市型公共事業、あるいは生活、福祉関連、防災関連などの公共事業に関しては、少ない予算の中でも着実に実施していくことが重要であります。これらの点について、改めて都の認識を伺います。
 いずれにしても、今後は、十三年度予算編成までを見通して、より根源的な財政構造改革の道筋、そしてさらなる行政改革の方向性を明らかにしていく必要があります。財政再建に向けての知事の決意を伺うものであります。
 次に、外形標準課税についてであります。
 今回、知事が銀行を対象とした外形標準課税の導入を提言したことは、大きなインパクトとなって広く国民的関心を呼び、都民からも賛同の声が寄せられております。我が党は、かねてから安定的な地方税収を確保する観点から、景気に左右されにくい外形標準課税の導入を、再三にわたりこの都議会の場においても主張してまいりました。この点からも、今回の標準課税方式の導入には賛意を表するものであります。
 しかしながら、関係者との十分な議論を経ているとはいいがたい状況にもありますので、課題を明確にする意味で何点か伺いま
す。
 第一に、銀行という特定業界に課税することに対して、不公平であるという意見が、反対の声を上げる中の多数を占めております。この点について、既に都の見解は述べられておりますが、改めて伺うとともに、五年間に限った理由と、五年後についてはどのような判断をするのか、明らかにしていただきたいのであります。
 第二に、損金算入される事業税は、他の自治体への交付税、法人住民税の減収をもたらすことになると懸念をする声も上がっておりますが、この影響をどう受けとめているのか、見解を伺います。
 第三に、公的資金を注入してバブル期の不良債権処理を図っている現在、今回の措置は、こうした国を挙げて取り組んでいる経済対策に水を差すとの意見もありますが、その影響についても伺います。
 第四に、外形標準課税が導入されると、税効果会計により四千三百億円も減収となると銀行側が試算しております。この影響をどのように考えているのか伺います。
 第五に、銀行に対して外形標準課税を課した場合と従来の所得による場合とでは、今後、各銀行間の課税額には差異があると思いますが、どのように推計されるか伺います。
 以上、今後、外形標準課税を導入するに当たって明らかにしておく課題であります。明快なる答弁をお願いいたします。
 次に、行政改革について伺います。
 我が党は、スリムで柔軟な行政体質を構築するため、今日まで具体的な調査に基づく数値を掲げ、さまざまな行政改革の提言を行ってまいりました。そこで伺います。
 第一は、監理団体の統廃合や役員報酬の見直し、都からの派遣職員の引き揚げなどを実施する方針と仄聞しておりますが、具体的に数値を示し、所見を伺います。
 第二は、このたび発表された外部監査報告書に関連してであります。
 報告書では、局並びに監理団体について何点かにわたり指摘をしております。すなわち、都立病院の人件費が多過ぎることなど、経営上の問題点を指摘した上で、医療行政の改革が必要であること、さらに、東京都住宅供給公社所有の土地の有効利用を図るべきことを含めた監理団体の経営管理についての指摘等が主な点でありますが、これら外部監査の指摘に対する具体的な対応について伺います。
 第三に、外部監査でも言及されている住宅供給公社のあり方についてであります。
 住宅供給公社は、事業化が困難と思われる用地を六十六万平米、帳簿価格にして四百五十四億円を抱え、保有コストが年間一億二千万円もかかっているという実態が示されております。しかも、それらの取得が、ほぼ昭和四十二年から平成三年にかけて行われたものであり、我が党のたびたびの指摘にもかかわらず、依然土地の有効利用は改善されておりません。民間企業では到底考えられないルーズな対応であります。
 また、公社の事業目的が良好な集団住宅供給であり、福祉の側面が都営住宅に比べ薄いこと、さらに、主たる業務の住宅の管理並びに窓口サービスに対して、都民からさまざまな苦情が寄せられていることなど、これは明らかに競争原理の欠如であります。この際、都の方針にも盛り込まれている民営化を、この住宅供給公社に当てはめてみることも検討すべき時期に来ているのではないでしょうか。率直な所見を伺うものであります。
 次に、中小企業対策及びベンチャー支援についてであります。
 昨年の第四回定例会で我が党が提案した、すぐれた発想力や高い技術力を持ちながらも、物的担保が不足し、資金調達に困難を来している中小企業への資金の円滑化を図るため、技術・事業革新等支援資金融資制度が創設されたことを評価する一方、この実施に当たっては、中小企業の技術力や将来性などを積極的に受けとめる審査方法が導入されることになり、画期的なものとして期待が集まっております。
 そこで、この新制度の実施に当たって、従来の保証審査と新制度下の技術力等の審査評価の運用の違い、さらに審査評価のあり方の具体的内容について伺います。
 ところで、今アメリカでは、毎年八十万件近い新たな企業が誕生し、著名なハーバード・ビジネススクールの卒業生の三割がベンチャー企業へ就職することが報告されております。こうした新規開業のうねりがアメリカ経済を支える要因の一つともいわれておりますが、残念なことに、我が国では依然として開業率が廃業率を下回る状況が続いております。
 この理由として、失敗時のリスク負担が大きく、創業のための経費が重圧となること等が挙げられておりますが、何より障害となっているのが、敗者復活のチャンスが皆無である現在の制度にあります。意欲的な挑戦を行うものの、創業して一たび破綻をすると、公的融資における過去の返済実績が問われたり、あるいは経営者本人が企業の保証人であることが原因で、融資と社会的信用力を使い果たし、再起のチャンスが大きく閉ざされてしまうのが実態であります。
 今後、新規創業の開業率を高めるとともに、中小企業を取り巻く環境を安定させるためにも、創業支援策や資金調達において、過去の経緯にとらわれない敗者復活ができる環境づくりを進めていくことが必要と考えます。見解を伺います。
 都は、深刻な受注不足で経営環境の厳しい下請中小企業を側面支援するため、先月、労働経済局長を先頭に、仕事掘り起こし隊を編成し、約二百五十社及び二十二の業界団体に対して発注拡大の要請行動を行ったと聞いております。行政の当事者が企業活動の現場に足を運び、積極的行動によって中小企業への支援を講ずる姿勢は評価されるものでありますが、訪問先各社あるいは団体の反応と成果はいかなるものであったでしょうか。
 また、要請の現場では、中小企業振興公社のデータベースを作成し、技術レベルや格付を明らかにし、要望にこたえたいなどの積極的な説明も行われたと聞いております。中小企業のデータベースづくりは、今後いかに具体的に進められるのか伺います。
 次に、中高年の雇用対策についてであります。
 さきに発表された完全失業率の実態は、今なお深刻であり、都として一層の積極的施策の展開が急務であります。本年四月以降、雇用安定行政の国への一元化が図られる中で、雇用の確保、拡大に対し、都は具体的にどう対応するのか伺います。
 この際、発想を転換し、新たな雇用吸収の場創出に向けた対策も必要であります。例えば、本格的な高齢社会においては、福祉、医療等の各分野における雇用吸収力は極めて大きなものがあります。こうした事業分野への中高年齢者の就業促進など、新たな雇用の場を都の主導によってつくり出すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、信用組合問題についてであります。
 まず、今国会において、預金保険法等の一部を改正する法律案が提案されており、この中には、東京都信用組合協会が有する旧二信組及びコスモ信用組合にかかわる債権を、整理回収機構に一元化するための内容が盛り込まれております。この問題が発生して既に五年有余になりますが、我が党は一貫して、その破綻処理には都民の税金を使うべきではなく、あくまでも国の責任で処理されるべきことを主張してまいりました。
 仄聞するところ、国は今後、都に対して、二次損失などへの拠出を求めていくとのことでありますが、昨年の都議会での我が党の代表質問に対して、知事は、都の財政負担は行わない旨の決意を明らかにしております。現在でもその決意に変わりはないのか、知事の明解な答弁を求めます。
 信用組合は、地域の経済活性化に重要な役割を果たしてきておりますが、景気の低迷が続く中、昨年度は六つの信用組合が、また今年度は九つの信用組合が経営破綻を来しております。地域経済の衰退をもたらすこうした現状に対して、今後、国の法改正を踏まえた上で、信用組合の経営基盤の強化策を積極的に講じていく必要があります。
 国際会計基準に沿った新たな会計制度や、金融監督庁の新しい検査マニュアルに対応できる経営基盤の強化や人材育成、あるいは情報化時代への取り組みを行うなどの前向きの経営努力を支援していくべきと考えます。知事の所見を伺います。
 次に、臨海副都心開発についてであります。
 生産性の誘発や雇用の創出という経済効果をもたらしてきた臨海副都心開発でありますが、今日の厳しい財政状況下にあっても、都民の共有財産として、より一層の効率的な事業の推進に努めるべきであります。
 国際研究交流大学村の建設が始まり、また、パレットタウンを初めとする商業施設が活況を呈するなど、まちづくりへの歩みは確かなものになりつつあります。そして、それをよく表現するものが来訪者数であります。平成十一年の年間来訪者数はどの程度であったのか、また、あわせて、現在の臨海副都心における就業人口、居住人口並びに建築施設の状況はどのようになっているのか、伺います。
 多くの商業施設等の中でも、とりわけ大きな集客効果と、臨海副都心の知名度アップに貢献しているのが、昨年開業したパレットタウンであります。これによってもたらされる生産誘発効果や雇用効果、また、土地賃貸収入並びに交通機関の収入等の経済効果はいかなるものであるか、お尋ねをいたします。
 また、四月には新たな大規模商業施設の開業も予定されており、今後、来訪者の一層の増加が予想されるところから、交通輸送力の強化を急がなくてはなりません。臨海高速鉄道の大崎延伸や「ゆりかもめ」の豊洲延伸など、これまでの計画の着実な実施に加えて、既存交通機関の輸送力の増強等を早急に実施すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、福祉施策の充実について伺います。
 我が党は、昨年十二月十五日、知事に対し、シルバーパスの存続など、福祉施策の見直しに関する緊急要望を行うとともに、平成十二年度予算要望の際にも、福祉の一律的な切り捨てを行わないよう強く要請してきたのであります。これに対して、十二月二十一日、知事は、我が党の主張を大筋で取り入れ、シルバーパスに関しては制度を存続し、住民税非課税世帯には、利用者負担として局案で年間六千円であったものを、発行手数料として千円に大幅縮小し、その徴収分は高齢者の新たな雇用対策に充当するという考えを明らかにしました。
 また、乳幼児医療費助成制度については、局案が現行の四歳未満であったものを、五歳未満まで助成対象を拡大する一方、未就学児までの拡大について引き続き検討することを約束したのであります。
 さらに、老人医療費助成制度、心身障害者医療費助成制度、重度心身障害者手当などについては、激変緩和措置や低所得者対策に十分配慮するとともに、重度障害者対策については、親亡き後の安心対策ビジョンが確立されることとなったのであります。
 特に、我が党が機会あるごとに主張してきた、精神障害者への都営交通無料乗車券の発行が、十二年度より実現することは、精神障害者の社会参加を進める上で大きな支えとなるもので、高く評価するものであります。
 このように、十二年度予算案では、厳しい財政状況の中でも、新たな施策の展開にかかわる福祉予算はほぼ倍増の見通しであります。都は、こうした事実をありのままに伝え、理解を図る努力をすべきであります。知事の所見を伺います。
 また、包括補助制度が創設されましたが、この運用については、単に補助金を交付するというのではなく、どう活用するかが、今後の福祉改革実現の大きなかぎであります。区市町村の創意工夫により、ビジョンに掲げられた事業に取り組み、地域福祉が飛躍的に進むよう、包括補助制度の運用を図るべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、障害者対策についてであります。
 第一は、障害者の就労支援についてであります。
 現在、東京の知的障害者の一般企業雇用率は何と一%にも満たない状況であり、その雇用促進が急がれるところであります。労働施策と福祉施策との連携により一般就労を促進し、雇用率アップを図るべきであります。
 また、障害者が、一般企業に勤めたり、または通所施設に通いながら、地域で自立した生活をしていくためには、地域の中で障害者の権利を守る仕組みづくりを急がなければなりません。とりわけ、判断能力が必ずしも十分ではない知的障害者の場合、親亡き後、一体だれが権利を守ってくれるのでしょうか。地域における権利擁護について、今後具体的な施策の展開を図るべきと考えます。
 第二は、障害者の入所施設の整備についてであります。
 在宅サービスの充実とともに、在宅での生活が困難となった重度の障害者にとって、入所施設は不可欠であり、その際、できるだけ身近な場所に整備される必要があります。しかし、依然として整備はおくれ、待機者も一向に減少しないことは、まことに残念なことであります。重度障害者の生活の場確保という観点からも、早期に入所施設の整備に取り組むべきであります。
 以上二点について、所見を伺います。
 次に、少子化対策について伺います。
 最近の急速な少子化の進行は、今後、我が国の社会経済や子どもの健全な育成に深刻な影響を与えることは明らかであります。
 我が党は、少子化を食いとめるため、いち早く、子育てを取り巻く諸課題に対して総合的に対応すべく、エンゼルプランの策定と、その着実な実現を目指すべきと主張してまいりました。
 そこで、急速に進む少子化について、知事はどのように認識をし、どう対処しようとしているのか、まず伺います。
 また、乳幼児医療費助成制度については、先ほども触れましたが、子育て家庭の経済的負担を軽減するという観点から、児童手当と同様、早期に就学前まで拡大すべきであります。
 さらに、子育てと就労の両立を支援する保育施策の充実も重要課題であります。待機児解消のため、ゼロ歳児保育や延長保育の施策の充実とともに、子どもが病気になったときの病後児保育については、制度としてはありながら、実施するところが少ないのが現状であります。実態に即した取り組みを行い、働く親の安心をかなえてあげるべきではないでしょうか。所見を伺います。
 次に、アレルギー性疾患対策について伺います。
 我が党は、二十一世紀を子どもの瞳が輝く世紀とするための課題の一つとして、アレルギー性疾患対策の前進を求める署名運動を、現在、全国で展開をしております。
 花粉症やぜんそく、アトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患に悩む人は、国民の三人に一人といわれ、しかも、その率は年々増加傾向にあります。また、先日、衛生局が発表したアレルギー性疾患に関する全都調査結果によると、都内の三歳児で何らかのアレルギー性疾患を持っている割合は四一・九%に上り、この問題の深刻さを浮き彫りにしております。国民病といわれるアレルギー性疾患対策は、一日の猶予も許されない緊急の課題となっているのであります。知事は、こうした現状をどのように認識しているのか、基本的な考えをまず伺います。
 アレルギー性疾患の発症メカニズムは、さまざまな要因が複雑に絡み合っていることもあり、いまだに明確ではなく、根本的な治療法が確立されておりません。したがって、治療は多くの場合、対症療法にとどまっているのが現状であります。アレルギー性疾患を予防し、この病気に悩む都民の負担を軽減していくためには、身近なところでの相談体制の充実や適切な情報提供が必要であります。
 そのためには、昨年衛生局が発行し好評を博した「アレルギー疾患ガイドブック」などを有効活用し、保健所や保健センターなどの相談従事職員の専門能力向上のため、研修の取り組みを強化するとともに、区市町村における専門相談の充実を働きかけるべきと考えます。
 また、都は、平成十年、アレルギー性疾患対策検討委員会を設置し、予防、治療、研究の各分野にわたる総合的、体系的な施策の推進策を検討しております。中でも、東京都医学研究機構を初めとして、アトピー性疾患や花粉症治療の基礎研究を進めており、その成果に期待するところが大であります。根本的な治療法の確立に欠かせない研究費の大幅増額や研究体制の整備、専門医の養成など、積極的にアレルギー性疾患全体の研究に取り組むべきであります。
 以上三点について、都の積極的な答弁を伺います。
 次に、介護保険制度についてであります。
 さまざまな問題が指摘されている介護保険制度が四月から施行されます。我が党は、介護報酬や保険料などもほぼ決定し、各自治体で準備作業が本格化している現在、改めて各自治体に対してアンケート調査を実施いたしました。設問は、一、国に対する現時点での要望、二、都に対する要望、三、各自治体にとっての当面の課題の三点に絞りました。
 国に対する要望では、何といっても財政支援の強化が第一であり、国庫負担金、調整交付金の適切な運用を求める声が多く寄せられ、次いで低所得者対策であり、一次判定ソフトの信頼性への不安が挙げられました。
 都に対する要望では、まず第一に介護基盤整備の促進と財政支援であり、それと同等に、介護認定の対象外となった人たちへの保険外サービスの充実でありました。
 さらに、自治体にとっての当面の課題については、制度実施までにケアプランの作成が間に合うのか不安視する声や、制度の理解促進と広報活動が十分であるかどうか、あるいは、基盤整備への見通しを危惧する回答が多く、制度の円滑な実施に対する不安が改めて指摘されておりました。
 この結果からもわかるように、かねてより懸念されてきた課題等に対して、現実には全く有効な手だてが施されてこなかったことが明らかであり、都は早急に具体策を講ずべきであります。そこで伺います。
 まず第一に、介護保険法では五年後の見直し規定が盛り込まれておりますが、これだけ数多くの懸念材料が明らかになっている以上、速やかに、国にも働きかけて、現状で指摘されている問題をすべて見直しをしていくべきであります。特に、財源のあり方、利用者の負担軽減について抜本的に改善を図るべきであります。
 第二に、介護基盤整備に関する地域格差の解消については、区市町村、島しょ部など、改めて都の立場から広域的に調整を行うべきと考えます。
 第三に、一次判定ソフトの信頼性にはやはり大きな問題が存在しており、果たして八十五項目の調査表だけでは、実態が正確に掌握できるのか、また、調査員によっては調査表への記述にばらつきが出るのではないかとの懸念とともに、痴呆症についても、介護認定の不備や受け入れ施設の未整備等に対して改善を求める回答が寄せられております。こうした都内各自治体の声に対して、都はどのように対応するつもりなのか。
 第四に、現在の介護認定申請者数十五万五千人のうち、一月現在でいまだに認定を受けていない人は七万三千人も残っており、制度実施まで残すところあと一カ月という短期間に、ケアプランの作成が間に合い、果たして利用者に満足のいくサービスが提供できるのか、また、民間の介護サービスを提供する指定事業者に対する信頼性についても、サービス水準の質的確保や利用者保護の立場からの監視体制の整備が必要であります。これら現場からの不安に対して、都はいかにこたえていくのか。
 以上四点について、具体的にお答えを願います。
 次に、ハッカー事件に関連して伺います。
 コンピューター二〇〇〇年問題が騒がれた割に大きな事故も起こらず、関係者がほっと息をつく間もなく、一月の終わりごろから二月の初めにかけて、運輸省、総務庁、科学技術庁など国の中央省庁を中心に、ホームページが外部の何者かによって改ざんされる事件が発生しました。いわゆるハッカー事件であります。外部の人間がホームページを改ざんすることは、そのコンピューターシステムに入り込めたことであり、ホームページのみならず、国の重要データまで盗まれるか改ざんされる可能性もあり、国のセキュリティーにとって大問題であります。
 しかし、その直後、今度は都の老人総合研究所のホームページも改ざんされていたのであります。都も、都民への情報提供の手段として、都庁本体を初め、各局、外郭団体など数十に上るホームページを開設しております。そこで、何点か伺います。
 第一に、ハッカーは今後ますます技術的能力を上げてくることは間違いありません。米国国防省のコンピューターは、わずか十六歳の少年ハッカーによって侵入され、世界じゅうで驚きの声が上がったほどであります。こうしたことがいつ都庁にも襲いかかってくるかわかりません。これを機会に、早急に庁内に対策委員会をつくり、内外とものセキュリティー、データの管理について再検討すべきであります。知事の所見を伺います。
 第二に、ホームページの管理体制についてであります。
 都のホームページは、都民生活と深くかかわる情報提供を行っております。しかし、老人総合研究所の例で判明したように、現行のセキュリティーでは、ハッカーにとって改ざんは比較的容易であります。改ざんされて間違った情報が流れては、都民生活に混乱を来すことは明らかであり、早急に改善すべきであります。
 第三に、民間への指導についてであります。
 金融機関を初めあらゆる業種が、情報伝達の手段としてインターネットを活用しております。現在では、自宅のパソコンからの送金や、車、本などの購入も可能となって、生活の利便性は飛躍的に向上し、利用範囲の拡大は確実であります。この際、インターネット犯罪の急増から都民生活を守るため、都は、民間のセキュリティーに対して運営指針などを作成し、指導を急ぐべきであります。所見を伺います。
 次に、ディーゼル車規制についてであります。
 知事は、東京からの環境革命の一つとして、ディーゼル車規制を打ち出し、大きな反響を呼んでいます。東京の大気汚染の最大要因はディーゼル車であることは明らかであり、幹線道路沿いを中心にした環境悪化は深刻であります。経済効率などの理由から、ディーゼル車は、増加することはあっても減少することは考えられない現状からすれば、ディーゼル車規制はタイムリーであり、望ましい方向であることはいうまでもありません。
 予定されている構想は、ディーゼル微粒子除去装置、DPFを、二〇〇四年四月以降、排出ガス規制の古い車両から段階的に装着し、二〇〇六年からは全車両を規制の対象とするというものであります。しかし、具体的な実施となると多くの課題があることも事実であります。そこで何点か伺います。
 第一に、DPFの性能と価格についてであります。
 DPFは技術的に困難な課題を抱えており、自動車メーカーの中には、実用化可能な商品の開発を疑問視している向きもあります。ヨーロッパでは、DPFに見切りをつけ、軽油の質向上などへの方向転換もいわれております。現在、実用化に向けて都とメーカーが鋭意努力をされているようですが、いまだ試行の段階であり、価格も百万円前後というだけで不明確な上、他社の車両には装着に困難が伴うなど、さまざまな課題がいわれております。でき得れば商品開発が進み、ユーザーが選択できる環境が望ましいことはいうまでもありません。したがって、研究段階にあるDPFの装着義務づけは、時期尚早ともいえるのではないかと考えます。
 第二に、一台の車両に百万円前後もの価格とするなら、中小零細企業の経費的負担は余りにも大き過ぎるという懸念の声も上がっております。都が装着を義務づけるのであれば、助成策を含めた強力な誘導策などを考慮すべきで、そうした都の積極的な取り組みが望まれます。
 第三に、都が装着の義務づけをするなら、まず都みずからが先行して範を示し、都バス、庁有車の装着への計画を都民の前に明らかにすべきであります。
 以上三点について見解を伺います。
 また、知事は、都内への流入車両を規制する趣旨から、ロードプライシング構想についても提唱され、この問題についても都民の間でさまざまな反響が起きております。これによって、渋滞の解消、ひいては大気汚染の減少などに効果があることは予測されますが、対象地域の設定や徴収料金によっては、都民生活に大きな影響が出ることも事実であります。
 知事は、早ければ二〇〇三年からの導入を視野に入れているようですが、制度の導入には、克服すべき多くの課題があります。したがって、まず、対象地域、料金の設定、料金徴収の方法などを明らかにした上で、都民の合意形成を図らなくてはならないと考えます。知事の今後の取り組みについて伺います。
 なお、ディーゼル車規制と関連する課題として、今後、大気汚染の原因者ともいうべき自動車メーカーの責任を明確にし、抜本的発生源対策を講ずることは当然のことでありますが、それにとどまらず、実態調査や健康影響調査など総合的な取り組みを期待するものであります。
 その中の一つの重要な施策として、医療費助成制度があります。
 東京都の大気汚染医療費助成条例は、昭和四十七年十月に、国の公害健康被害補償制度の対象外とされた地域住民のため、とりわけ大気汚染の影響を受けやすく、かつ成長期にある年少者の受診促進と早期の治療、回復をねらいとして制定されました。特に、国が公害健康被害補償法を改正し、指定地域を解除した昭和六十三年以降は、都独自の救済措置として、その役割を果たしてまいりました。
 ただ、大気汚染にかかわる健康被害の救済の問題については、現在、各地で公害裁判が進行中であり、救済対象をどの範囲にするかが議論されております。また、因果関係の解明を目的とする各種疫学調査が各地で行われております。したがって、我が党としては、国に対して、公害健康被害対策のあり方の検討や疫学調査の推進を働きかけるとともに、都としては、今後できるだけ早い時期に、原因者の責任と適正負担のあり方、さらには対象者の範囲や認定方法など、制度全般にわたる総合的な見直しを行うことを求めるものであります。所見を伺います。
 次に、震災対策についてであります。
 阪神・淡路大震災で六千五百人ものとうとい人命が失われたことについて、震災犠牲者聞き取り調査の結果では、最初の三十分ぐらいまでの間に、四千人もの人々が、建物の倒壊による圧死や窒息が原因で亡くなっていると報告されております。最大の問題は、木造老朽家屋の脆弱性にあったことが判明をしており、昭和五十五年の建築基準法改正による新耐震基準設計による建物は被害が少なく、耐震建てかえが震災対策の重要な決め手であることが確認されております。そこで伺います。
 第一に、民間建築物の耐震診断、耐震改修についてであります。
 阪神・淡路大震災の教訓から、建築物の耐震改修促進法が平成七年に成立し、東京の区市でも民間建築物への助成制度が創設されましたが、今日では地震に対する危機意識が希薄になってきたことに加え、自己負担が重過ぎることもあって、耐震診断、耐震改修は進んでいない実情にあります。耐震診断、耐震改修の促進を図る手だてを検討すべきであります。
 例えば、知事は今回、良質な住宅の取得を税制面から支援するため、新築住宅にかかわる固定資産税、都市計画税の減免を提案しているところでありますが、耐震性のある建物建設についても、税制面からの誘導策を検討すべきであります。
 第二に、震災の際に一時避難場所となる小中高校の耐震診断、耐震改修についてであります。
 都内の二千三百二十六校の中で、昨年十二月現在、耐震改修はもちろんのこと、耐震診断すら全く実施していない学校が、全体の三分の一に当たる七百三十校もあります。確かに小中学校の施設整備は区市町村でありますが、関係区市と連携をとり、早急に実施すべきであります。
 第三に、震災予防条例の改正に関連してであります。
 二十八年ぶりに条例改正が行われると仄聞いたしますが、住民の責務として、家屋の耐震診断や家具の転倒防止等を明記するとともに、デパート、劇場など、不特定多数の人が出入りする建築物を管理所有する事業者に対し、顧客の安全確保の責務を明記すべきであります。
 第四に、震災時の自衛隊との連携強化についてであります。
 阪神・淡路大震災の最大の教訓は、救援部隊である自衛隊の能力を引き出せなかったことであります。したがって、震災後、自衛隊と自治体が平素から連携して共同訓練を行うことが、国の防災基本計画に盛り込まれたのであります。
 都は、ことし九月、自衛隊や国の関係省庁と連携した訓練を行うこととしておりますが、時宜を得たものと評価するものであります。
 しかるに、不可解なことは、一部の政党の中に、この自衛隊との総合防災訓練に反対し、しかも、このことを知事に対する予算復活要望の中で申し入れているという事実であります。自衛隊の災害時の出動は、あくまでも自衛隊の責務の一つである、住民の生命、財産を守るとうとい平和への貢献活動であります。
 阪神・淡路大震災の被害拡大の原因の一つは、自衛隊の出動要請をちゅうちょした当時の総理大臣の判断のおくれにあったことは、苦い歴史の教訓として総括されておりますが、同じ過ちを繰り返すつもりでしょうか、理解に苦しむところであります。
 いずれにせよ、迫りくる首都圏を直撃する地震から都民の生命と財産を守るため、平素から、警視庁、東京消防庁はもちろんのこと、自衛隊との連携強化を図る体制をつくり上げるべきであります。
 以上、四点について明快なる所見を伺います。
 次に、教育問題について伺います。
 学級崩壊、教員の不祥事、いじめ、不登校、薬物問題など、学校並びに教育を取り巻く問題は幾度となく指摘されてまいりました。そして、それらの問題の解決に不可欠な要素の一つが、校長のリーダーシップであるといわれております。
 折しも都立高校では、平成十二年度から、学校の実態や地域の実情に合わせた特色ある学校づくりを推進するため、総合的な学習の時間の導入など、新しい教育課程への移行が始まると聞いております。さらに、開かれた学校づくりのため、学校運営連絡協議会の設置校を大幅にふやす方針が示され、ますます校長の指導力、学校経営能力が問われることになります。
 過日、文部省は、校長職にすぐれた人材を確保するため、学校教育法施行規則を改正し、平成十二年度からは、教員免許を持たない人でも校長職につくことができるように制度を改善したところであります。教育改革をさらに推進し、都立高校の校長に幅広く人材を求めるために、積極的に民間からの人材登用に取り組むべきと考えますが、所見を伺います。
 また、校長に民間人を登用して学校改革に成果が上がれば、それは他の学校にも必ず波及効果を及ぼし、教職員全体の意識改革にもつながっていくと期待できます。その意味でも早期の実現が望まれますが、その時期並びにどのような学校から導入すべきと考えているのか、見解をお示しいただきたいと思います。
 次に、都営住宅の減免制度の見直しについて伺います。
 我が党は、昨年秋、都内各地で都営住宅家賃減免制度の存続を求める署名運動を展開し、約二十二万三千人の署名を石原知事に提出し、要望活動を行いました。これに対し、住宅局の見直し案の発表では、従来、全額免除から一万八千円まで十段階に分かれていた減免額を、本来家賃の一〇%から七五%減額までの六段階に改定され、その結果、家賃の全額免除は廃止されることになり、その影響は約四万世帯に及ぶものと推計されます。そこで我が党は、去る一月二十一日、既減免者のうちで高齢者や障害者などの社会的に弱い立場の世帯に対して、免除の継続を含む一層の配慮を行うことなど、全額免除の存続を求めることを趣旨とした緊急要望を知事に行ったのであります。
 こうした点を踏まえて、我が党の強い要望に対して、都は、今回の見直しに当たってはどのような取り組みを行ったのか、知事の基本姿勢を伺います。
 最後に、東京圏鉄道整備計画について伺います。
 本年一月、運輸大臣の諮問機関である運輸政策審議会から、東京圏の鉄道整備計画が答申されました。この計画は、二〇一五年を目標年次として、新設及び複々線化など新規に十八路線を整備推進するとしております。特に長期的な計画として、千葉に隣接した葛西臨海公園から赤羽、田園調布、羽田空港を結ぶ区部周辺部環状交通、いわゆるエイトライナーとメトロセブン計画が今回の答申に盛り込まれたことは大きな意義があり、関係者の努力を評価いたします。
 計画では、全体の投資規模は七・二兆円となっておりますが、答申の中に、鉄道事業者は大規模な投資に消極的であり、また、国、地方公共団体も財政事情が厳しく、公的支援の拡大は容易ではない状況であると分析しております。都財政も厳しい状況の中で、今回発表された東京圏の鉄道整備計画に対する知事の認識と計画推進に向けた決意を伺います。
 また、羽田空港アクセス整備については、将来国際化されると空港利用者が激増し、現状の交通アクセスではとても対応することは不可能であります。そのため、京浜急行蒲田駅と東急蒲田駅を結ぶ路線の設置により、JR蒲田駅から羽田空港までつなぐことや、途中で切れている既存の鉄道を上手に連結し、都市交通のネットワーク化を図るなど、都は羽田空港の国際化に対応できる交通アクセスを積極的に整備すべきと考えます。
 以上の所見を伺いまして、私の質問を終わります。(拍手)
   [知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 中山秀雄議員の代表質問にお答えいたします。
 地方主権の確立に向けた首都東京としての今後の取り組みについてでございますが、私がことしを東京発の地方主権元年と位置づけた真意は、東京の持つ本来の力をもっと生かし、首都東京から改革に向けたメッセージを発信していく意思表示ということでございます。
 このため、東京都が主体性を発揮して、あらゆる面で、国政をも先導する挑戦的な取り組みを積極的に展開していくとともに、環境基準等ありますけれども、いろいろな制約がもう古くなって、それを打破していきたいと思っております。地方分権一括法なるものができましたが、実質的にほとんど無内容でありまして、あれが今日の国と地方のかかわりというものを象徴していると思います。
 私は、都議会を初め都民の皆さんと一丸となって、地方主権の時代への確かな第一歩を踏み出していきたいと思っております。
 次いで、東京圏メガロポリス構想についてでございますが、この構想は――国が進めようとしております首都機能移転に反対して、東京圏が引き続き隣県の埼玉、神奈川、千葉、そして三つの政令指定都市と連携を図り、それぞれ分担をして、従来と同じように首都機能を担っていくべきだと主張いたしましたし、この間の首都圏サミットですか、七都県市のサミットでも皆さんのご同意を受けたわけでございます。
 この中で、広域的な連携を強化する幹線道路を含むインフラ整備など、二十一世紀の首都機能を十全に発揮するための地域づくり戦略を示していきたいと思っております。このことによって、東京圏全体の力で日本を牽引するとともに、ひいてはアジア地域や世界を先導していきたいとも思っております。
 次いで、内部努力の見通しについてでありますが、都民の理解を得て財政再建を進めていくためには、繰り返して申しましたが、何よりも都みずからの身を切るような内部努力が必要であると強く認識しております。ゆえに、十二年度予算において、都政史上かつてない職員給与の削減をいたしましたし、二千人を超える職員定数の削減など実施することといたしました。
 今後とも、さらに職員定数の削減や監理団体の抜本的な見直しなど、徹底して内部努力として推進し、財政再建推進プランでお示しした目標の達成に取り組んでいきたいと思っております。
 次いで、税財政制度の改善でありますが、財政構造改革を進めるに当たりまして、地方への税源の移譲など税財政制度の改善は、地方主権に不可欠な、自主・自立的な財政運営のための不可欠な要件であります。これはぜひとも実現しなくてはならない課題であると思います。
 そして、ご指摘のとおり、その早期実現が現段階ではなかなか容易ならざるものであることも承知しておりますが、今回の外形標準課税導入などをきっかけとして、国と地方を通じた税財政制度の改善に向けての議論が活発になることを期待しております。
 今後とも、都議会との連携をさらに強化して、地方税財政制度の抜本的な改革が早期に実現されるよう、国に対して粘り強く働きかけてまいりたいと思っております。
 それから、非常に大事な点でございますけれども、歳入確保に向けた知恵の結集をしろということでありますが、これはなかなか、いうに易しく難しい問題で、東京はいろいろな力を持っておりますけれども、それを使おうとすると、既存の国の法律の障害などがございます。いずれにしろ、歳入の確保のためには、徴税努力や使用料、手数料の見直しなどの方策に加えて、新規の財源の探求など、恒久的な財源確保のための大胆で柔軟な取り組みが求められる、当然でございます。
 そこで私は、かねて、カジノであるとか後楽園の競輪の復活であるとかということを提唱してまいりましたが、これはいろいろなバリアがございまして、今のところ緒についておりませんが、いずれにしろ、これからもとにかく東京都でできるだけ多くの実入りを上げる、自給自足するということで、ご指摘のように、新規の歳入の確保についての努力をしていきたいと思っております。
 今後、財政構造改革を推進するに当たりまして、都庁の内外の知恵を結集して、お話のあった例示なども参考にしながら、歳入の確保について全庁を挙げて取り組んでいきたいと思っております。
 お聞き及びかもしれませんが、ソフトバンクの孫君と、それからアメリカのビル・ゲイツ、そして東京電力が組んで、新しい情報会社を発足させるようであります。東京も東電の大株主でありますけれども、この間も総理に話しましたが、こういう外国の資本が多く入った情報会社が東京だけでも千百万、メガロポリスということになりますと三千数百万の人口のヒンターランドを市場として開拓していくことは、ある意味では国家の安全保障にもかかわってくる問題でありまして、私は、やはり東京にそういう会社一つだけではなしに、複数の会社があって競争することが望ましいと思っておりますが、そういう会社を競争させてかすりを取るだけじゃなくて、東京も下水道とか警察の信号のネットワークとかございますから、そういうものを活用して、このIT革命の時代でありますので、東京自身が新しい会社をつくってもいいぐらいだ。これについて研究を、ある機関に今命じておりますけれども、また議会の筋のいろいろなご意見を伺いまして、ご指摘のとおり、新規の歳入の確保というものに多角的に取り組んでいきたいと思っております。
 今後とり得る臨時的な財源対策の見通しについてでありますが、財政再建推進プランでは、財源不足については十五年度までに解消していくことを目標としておりまして、計画期間中に生じる財源不足については、臨時的な財源対策を講じる必要がございます。
 十二年度予算においては、減債基金の一部計上見送り、その他の施策で三千二百億円にも上る財源対策を実施せざるを得ませんでした。こうした対策にも限度がございまして、十三年度以降の余地はまさに非常に少ないといわざるを得ません。外形標準課税も、そういうものを踏まえて実施することを決心いたしましたが、したがって、今後の財政構造改革への取り組みを可能な限り前倒しして実施し、財源不足額の圧縮に努めてまいりたいと思っております。
 次いで、投資的経費に対する認識についてでありますが、投資的経費については、ご指摘のとおり、都市型公共事業、あるいは生活・福祉関連、防災関連などを含めて、投資効果の高い事業を重点に都市基盤整備を進める必要があると思います。
 十二年度予算においては、投資的経費を抑制する中にあって、こうした観点から財源を重点的に配分するとともに、建築・土木コストの縮減や国庫支出金の確保を図ることによって、総体としての事業量の維持に努めたいと思っておりまして、今後も、その着実な実施に万全を期してまいりたいと思っております。
 次いで、財政再建に向けての決意についてでありますが、景気が安定した回復軌道に乗り、都税の増収が回復してくるまでには、まだまだ時間が要るような気がいたします。歳出の中には、構造的要因によって確実にふえていく経費や、公債費のように急増が見込まれる経費がございまして、今後もまだまだ厳しい状況が続いてまいります。
 こうした状況の中で都財政の再建をなし遂げるには、今後さらなる取り組みが必要でありまして、財政再建推進プランの目標の達成に向け、引き続き都議会並びに都民の皆様のご理解を得ながら、財政構造改革に全力を挙げて取り組んでいきたいと思っております。
 次いで、銀行業に対する外形標準課税についてでありますが、銀行業を対象としたのは、銀行業は十分な収益を得ているにもかかわらず、既に二千億の配当もしておりますし、今期は三兆の純利が上がるという見込みであるのに、いろいろなサービスを都から受けながら、事業税をほとんど負担しておりません。また、そうした状況が今後急に好転するとも見込まれないこと、そして銀行業の税収が極めて不安定でありまして、先ほど申しましたが、非常に乱高下いたしまして、応益課税としての法人事業税の機能を喪失している。そういったものを勘案しまして、今日の銀行業特有の事業の状況、ありていに申しましたら、世間にも不公正にしか見えないこの状況を踏まえたものであります。
 また、五年間の措置としたのは、実現できるかどうかわかりませんが、国における外形標準課税の動向、これは国は中長期といっておりますが、十年以上かかるんじゃないですか、できても。都の財政再建推進プランの計画期限等を考慮したものでありまして、五年後の課税のあり方については、その時点において都議会の判断をいただきたいと思っております。
 いろいろご意見があるでしょうが、ひとつこの問題については、とにかくこの議会で議員の皆さんの議論を尽くしていただきたいと思います。
 それから、銀行業に対する外形標準課税の導入が経済に与える影響についてでありますが、外形標準課税による増収目途額は一千百億円程度でありまして、大手銀行にとって決して過重な負担ではないと思います。いろいろ計算もいたしました。
 また、大手銀行には十兆円を超える公的資金が投入されて、例のBIS規制の自己資本比率も高まっております。また、それに与える今回の課税措置の影響は、わずか〇・一%出ません。また、金融システムの安全ネットもいろいろ整備されておりまして、この程度の負担を求めることで、金融システム全体が不安定になるとは到底考えられません。したがって、今回の措置が、総額十八兆円の経済新生対策に水を差して、五百兆円の国内総生産に大きな影響を与えるとは全く考えておりません。
 次いで、旧二信用組合、コスモ信用組合に関して国が都に求めている財政負担についてでありますが、これまで都は、債権回収業務の一元化及び二次損失への対応について、国の責任で根本的な解決がなされるよう強く要望してまいりました。この問題は、国の責任において速やかに解決されるべきものであり、都が二次損失についての新たな財政負担を負うことは、到底都民の理解を得られるものではないと考えております。
 また、信用組合の経営基盤強化策でありますが、破綻した信用組合について、都の要望を踏まえた法改正がなされる見通しとなったために、これまで実施してきたコスモ信用組合の債権回収業務に関連する経費の支援については、平成十二年度予算案への計上は見送りました。しかし、地域経済の安定に重要な役割を果たしている信用組合の経営基盤強化は、中小企業振興の上からも重要な課題と考えております。
 このため、法改正など国の動きを見きわめた上で、ご提案の支援策も含め、信用組合の経営基盤強化のため効果的と思われる施策を複合的に検討してまいりたいと思います。
 次いで、今回の福祉改革についての事実経過を述べよとのことでありますが、まず、見直しの内容の決定に当たっては、都議会各会派の皆様からいただいた具体的な提案、区市町村や関係団体からの要望や都民の声などを十分に考慮し、低所得者への配慮や激変緩和のための経過措置などを講じることといたしました。あくまでも、その話し合いの中で、時代の大きな流れと社会の変化というものを冷静に、歴史的に認識した上で、こういった配慮をしたわけであります。同時に、新たに策定した福祉改革ビジョンなどに基づき、平成十二年度における「福祉施策の新たな展開」に係る予算を大幅に増額もいたしました。
 今回の取り組みは、こうした経緯を経て、昭和四十年代に骨格ができ、その後抜本的に見直されることのなかった東京都の福祉施策を今見直し、他方、在宅サービスを中心とする福祉サービスを飛躍的に充実することにしたものでございまして、決して福祉の後退といわれるものではない、必ずや都民の理解を得られるものと確信しております。
 少子化についてでございますが、合計特殊出生率が全国でも最も低い東京において、少子化対策は、今後の社会の活力維持や子どもの健全育成にとって重要な課題であると認識しております。都としても、安心して子どもを産んで育てることのできるような環境整備に向けて、全庁挙げて取り組んでまいります。
 今後とも、子育てを社会で支える意識の醸成を初め、子育てと仕事の両立のための零歳児保育や延長保育の充実、さらには、来年度から私立幼稚園における早朝預かり保育を実施するなど、子育て家庭が抱えるさまざまなニーズに実効のある施策を推進していきたいと思っております。
 しかし、少子化は決して子育ての問題だけではございません。当然これが到来した後、日本の労働人口というのをどういうふうに確保するかということだって、特に東京のような場所では、不法入国してそこらじゅうで犯罪をしている外国人ではなくて、正式に、要するに状況を設けて、移民というものをこれから図る時期が来るのではないでしょうか。またそのときに、各家庭における、学校における教育の質も変わってくるでしょうし、教育の総量は決して減らない。ですから、ある意味では、新しい教育を施せば、私は、東京において新しい時代の新しい教育の効果が上がってくると思いますし、そろそろそういう準備も、私たちこの都議会で考えて、していく必要がある。国に任せておくといつになるかわかりませんから、それをみんなでやりたいと思っております。
 それから、アレルギー疾患対策についてでありますが、今のお話で、子どもの四十数%がアレルギー症状を持っているというのは本当に慄然といたしましたが、ご指摘のとおり、これは本当に食物もそうですし、大気の汚染もそうですし、そういった私たちの日常環境がもたらす複合的な影響が、こういうアレルギーの症状というものを蔓延させている。
 昔は花粉症というのがあったかどうか調べますと、昔はなかったんですな。やはり大気が汚染されてきて、そういったものとの相乗効果で、天気予報に出るみたいに花粉情報まで必要になる時代になった。やはりこれは一種の文明病でありまして、ご指摘のように原因がよくわからぬところに問題があるのですが、いずれにしても、これまで東京都は、予防、治療、研究の各分野においてアレルギー疾患対策を進めてまいりました。平成十年八月に東京都アレルギー性疾患対策検討委員会を設置し、総合的な対策の検討を行っております。
 今後とも、委員会における検討内容を踏まえ、区市町村との適切な役割分担を図りながら、相談体制の充実や根本的治療法の確立に向けた研究など、アレルギーに対する対策を着実に進めていきたいと思っております。
 次いで、介護保険制度の抜本的見直しについてでありますが、現在、都は、介護保険制度を四月から円滑にスタートさせるために、区市町村と一体となって大詰めの準備に全力を挙げて取り組んでおります。都としては、制度実施後の状況を十分見きわめて、保険者である区市町村と連携しながら、現場での体験を踏まえて国へ働きかけるなど、介護保険制度が都民に心から信頼されるものとなるように努力していきたいと思っております。
 次いで、DPFの装着義務づけについてでありますが、都民の命と健康を守るためには、浮遊粒子状物質による大気汚染を早期に改善しなくてはなりません。そのためには、特に現在使用中のディーゼル車からの排出を削減することが急務であります。現段階で普及できる有効な技術としてはDPFがありますが、これは非常に高い、また完璧なものでもない。この技術をこれからもっと有効に活用することが選択の一つであると思います。
 また現状では、価格の点、いろいろ問題がございますけれども、これらの課題を解決するためにも、早期に、まずDPF装着の義務づけの方向を明らかにすることが必要であると思います。そういうニーズが行政的にございませんと、業者の方も技術的な開発をしませんし、加えて、今後国に対して、軽油に係る税制の改正、要するに軽油の脱硫というものをもっと徹底して求めていく、そういう要望を強くしていきたいと思っております。
 また、メーカーに対しては、都の認定基準を平成十二年度早期に明らかにすることなどによって一層の開発供給努力を促すなど、より低廉で効果的なDPFの供給等の課題を解決し、ディーゼル車規制を実現する決意でございます。
 ただ、これは非常に皮肉なもので、国がしっかりして、税制を変えるなり、あるいは石油精製業界に脱硫を強く促せば、高度な技術を要するDPFまで待たなくても、ヨーロッパで使っているCRPなるもので用は足りるのでしょうか、そういう矛盾がございますが、いずれにしろ、要は、要するに都民の生命の問題であります。肺がんで亡くなる方の九%が全国平均で浮遊物質にある。しかも東京は肺がんで亡くなる方の一六%、隣の千葉県は何と一九%の方々が、肺がんで亡くなる方々のそういう大きな比率が、これが起因して亡くなっているというのは、これはもうとても都だけではなく国が看過すべき問題ではない。私はそれを強く総理にも申し上げてきましたが、これからまたいろいろ、ひとつ皆さんとはかり合って、まずやっぱり政府をその気で動かしませんと、もう選挙も近いことですから、そういう努力をしていきたいと思っております。
 さらに、自衛隊との連携強化についてでありますが、先般、阪神大震災の十倍のエネルギーが動いたという台中部の地震を見てまいりましたけれども、やはり初動の速度が非常に速い。日本の場合には、とにかく四十時間近くかかった。向こうは三時間で軍隊が現場に急行して対処をした。先ほどおっしゃったように、人間が倒壊した家屋の下に埋められていても、二十四時間は何とかもつそうでありますけれども、それを過ぎると非常に死亡率は高くなる。
 これは、どうして日本人、今まで地方の行政担当者がこういう際に自衛隊の、軍隊の出動というものを要請しなかったか、わけがわからないんですが、この間、参与に迎えました志方さんの話を聞きましても、かつて積丹半島でトンネルの大きな崩落があったときに、名前をいって申しわけないけれど、北海道の知事が一番気にしたことは、県道か国道かと。それで国道だと聞いたら、それじゃ国でやらなきゃいかぬなということですが、さっさとこういうときに軍隊が出動すれば、ああいう岩盤を除去する、そういう演習は十分しているわけでありますから、もっともっと早い措置ができたのに、なぜか地方自治体がこういった惨事に対処するに軍隊との連携を拒むんでしょうか、遠慮するんでしょうか、非常に奇異な現象が戦後五十年、日本に培われたといっても、これはやっぱり東京から直していかなきゃいけないと、そう思っております。
 本年九月三日には、迅速な救出、救護等の初動体制を確保するために、陸、海、空統合運用の三軍が大規模に参加する、より実践的な訓練を市街地を中心に東京の広範囲で実施する予定でございます。これを機に、さらに相互の情報連絡体制の充実など自衛隊との連携を強化していきたいと思っております。
 次に、都営住宅家賃の減免制度の見直しについてであります。
 減免制度の見直しに当たっては、居住者の生活実態を十分考慮するとともに、都民や学識経験者の意見も参考にしながら、幅広く検討し案をまとめました。
 新たな制度は、住宅の応益性や負担能力をより正確に反映したものとなっているつもりでございます。
 ご指摘の高齢者や障害者等の弱い立場の世帯に対しては十分に配慮を加えるとともに、特に生活に困窮する既減免者などについては、一定要件のもとに免除を継続することにいたしました。
 最後に、運輸政策審議会答申についてでありますが、今回の答申は、鉄道の混雑緩和、空港等へのアクセス機能の強化、交通サービスのバリアフリー化等の推進を基本的な考えとしております。
 こうした考えに基づいた答申は、都市機能の再編促進や都民生活の充実のみならず、国際都市としての東京の魅力向上や交通需要マネジメントの推進の観点からも、大変有意義なものであると認識しております。
 一方、答申路線の実現には、事業主体の確立、膨大な事業費の確保、事業採算性の向上などさまざまな課題があるとも認識しております。
 このため、今後、国や地元自治体及び事業者などとともにこれらの諸課題の解決に努め、答申路線の実現に向けて取り組んでいきたいと思っております。
 なお、他の質問については技監及び関係局長から答弁いたします。――用紙がずれていまして、失礼いたしました。
 ロードプライシングについてでありますが、東京の自動車交通問題に対応するためには、ぜひともこれは実現しなくちゃいけないと思います。日本で初めて導入する制度でありますので、いろいろ課題がありまして、東京のどのゾーンに仕切って線を引くかということを今検討中であります。大体目鼻がついてきましたけれど、本当はもうちょっと広げたいんですが、金もかかる、手間もかかると。その中でも、ご指摘のような基本的な課題については具体的な検討をさらに重ねて行い、これを都民や事業者の方々に明らかにしていくことによって、十分な理解をいただきながらご協力も賜りたいと思います。
   [東京都技監成戸寿彦君登壇〕

○東京都技監(成戸寿彦君) 都市計画に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、民間建築物の耐震診断などについてでございますが、建築物の耐震性の確保は、震災対策上、重要な課題でございます。
 民間建築物の耐震診断、耐震改修につきましては、本来その所有者等の責任において行われるべきでございますが、都といたしましても、耐震診断講習会の開催、耐震診断技術者の育成等の支援策を実施してきたところでございます。
 今後とも、民間建築物への助成を行っております区市町村と連携し、計画的かつ総合的に建築物の耐震診断、耐震改修の促進を図りますとともに、国に対しましても税制上の優遇措置を要望するなど、建築物の耐震性の向上に努めてまいります。
 次に、運輸政策審議会答申における羽田空港アクセスについてでございますが、ご指摘いただきましたように、羽田空港へのアクセス機能を強化することは、羽田空港の国際化への対応や利用者の利便性向上等を図る上で極めて重要でございまして、重点的に取り組むべき課題の一つであると認識をいたしております。
 今回の答申におきましても、羽田空港へのアクセス機能を強化することを基本的な考えの一つといたしておりまして、そのための路線も複数位置づけられております。これらの路線の実現には多くの課題がございますが、既存の鉄道の活用などを含め、その整備方策について、今後、関係機関とともに検討してまいります。
   [主税局長大塚俊郎君登壇〕

○主税局長(大塚俊郎君) 三点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、銀行業に対する外形標準課税がほかの自治体に与える影響でございますけれども、対象となる銀行の多くが多額の繰越欠損を抱え、事業税の負担をしていないため、ほかの自治体への実際の影響はわずかであります。
 法人二税の減収見込み額は五年間で百七十億円程度、年平均にすれば三十五億円程度で、平成十二年度、法人二税の収入見込み総額六兆一千億円に対して、極めてわずかなウエートでしかございません。
 また、法人税の減収に伴う地方交付税の減収見込み額は、五年間で二百三十億円程度、一方、平成十二年度地方財政計画による地方交付税総額は、単年度二十一兆四千億円で、いずれにしてもその影響は小さいものと考えております。
 次に、税効果会計の影響についてでございますけれども、外形標準課税の導入によりまして、会計上、繰り延べ税金資産が減少し、最終利益が減少いたしますが、公認会計士協会の実務指針によりますれば、今期そのような事態が生ずることはなく、来期一回に限り、せいぜい自己資本比率を〇・一%程度低下させるだけの軽微なものでございます。
 最後に、外形標準課税と現行所得課税との比較についてでございますけれども、現行所得課税のもとでは、ほとんどの銀行が多額の繰越欠損を抱えているため、今後数年間、納税が期待できません。
 しかしながら、不良債権処理額が比較的少ない一部の銀行につきましては、数年の間に現行所得課税より外形標準課税の方が税額が下回ることが想定されます。ご指摘のとおり各銀行の財務内容に応じて、各銀行間で差異が生ずることになります。
   [総務局長横山洋吉君登壇〕

○総務局長(横山洋吉君) 四点の質問にお答え申し上げます。
 まず、監理団体改革の具体的な数値についてでございますが、今年度におきましては、役員報酬等の引き下げを図るとともに、東京都映画協会等二団体を廃止することといたしております。また、都議会での議論を踏まえまして、都派遣職員を計画的に削減するため、平成十二年度は新規委託分を除き三百三十五人を削減することとしたところでございます。
 引き続き、今回定めました監理団体総点検のための基本指針に基づきまして、全団体において早急に経営改善計画を策定しますとともに、都におきましても個別団体の総点検を行うこととしております。
 今後の団体改革の具体的な数値につきましては、本年秋に予定しております総点検結果を踏まえまして明らかにしてまいります。
 次に、ハッカー対策及び情報セキュリティーについてでございますが、最近のハッカーによります国や東京都の関連団体の公的なホームページに対する不正な行為は、看過できるものではございません。ご指摘のとおり、東京都においても重大な課題になっていると認識いたしております。
 こうした外部からの不正な侵入に対する情報セキュリティー対策を急ぐ必要がございますため、今月一日に全庁的なインターネット・セキュリティ検討会を設置したところでございます。今後、この検討結果を踏まえまして、東京都の総合的なセキュリティー対策の確立を図ってまいります。
 次に、ホームページのセキュリティーについてでございますが、都民に対する情報提供の手段としまして、ホームページの存在はますます重要なものとなっておりまして、セキュリティー対策の強化が必要だと認識いたしております。ただいま述べましたインターネット・セキュリティ検討会の中で、当面、内部での情報管理の徹底を各局に対して呼びかけるほか、ホームページのセキュリティーについて自己点検を行うよう指示したところでございます。
 なお、年度末までには、技術的側面からの検討をまとめてまいりたいと考えております。
 最後に、東京都震災予防条例の改正についてでございますが、地震による建物倒壊や家具の転倒による被害を少しでも減少させるために、条例改正に当たりましては、みずからの生命はみずからで守る、こういった自己責任原則を基本的な考え方にいたしまして、都民や事業者の具体的責務を明らかにしてまいりたいと考えております。
 条例に盛り込む責務の内容につきましては、今後、本年三月に設置いたします事業者、ライフライン機関、区市町村及び都で構成します検討会議や有識者などのご意見を踏まえ、ご指摘の点も踏まえまして、検討してまいります。
   [衛生局長今村皓一君登壇〕

○衛生局長(今村皓一君) 医療関係の四点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、包括外部監査の結果に対する具体的な対応についてであります。
 都立病院に関しましては、医薬品や未収金の管理、診療録の記載方法などについての指摘や、病院の収支状況などについての意見をいただいております。衛生局としては、これらの指摘、意見を真摯に受けとめ、直ちに各病院に対応を指示するとともに、課題に応じた検討組織を設けるなど改善に向け具体的な取り組みを開始いたしました。
 今後、都立病院の改革を検討する中で、職員の意識の向上を図り、医療事故防止に向けての取り組みを強化するなど患者中心の医療を推進するとともに、より一層効率的な経営に努めてまいります。
 次に、アレルギー疾患の相談業務に従事する職員についてのお尋ねでございます。
 今年度は、ただいま、お褒めにあずかりました「アレルギー疾患ガイドブック」を活用いたしまして、初めて区市町村職員も対象とした講習会を開催するなど、その専門的知識の向上を図っております。今後とも専門研修の拡充を図るとともに、区市町村や保健所において相談業務の中心的役割を果たす専門相談員制度の導入を新たに検討するなど、相談指導体制の一層の充実に取り組んでまいります。
 次に、アレルギー疾患に関する研究についてのお尋ねでございます。
 ご指摘のように、アレルギー疾患は原因が多岐にわたり、発症メカニズムが必ずしも明らかになっていないため、総合的な研究への取り組みが不可欠であると考えております。
 平成八年度から取り組んでいるアトピー性疾患治療の基礎研究におきましては、これまで治療薬の開発に資するモデルマウスの作製や原因遺伝子の解明など、さまざまな研究成果を上げてまいりました。今後とも国との連携も図りながら、アレルギー疾患全般にわたる研究に取り組むなど根本的治療の確立に努めてまいります。
 最後に、大気汚染医療費助成制度についてのお尋ねでございます。
 都の医療費助成制度は、ご指摘のとおり公害健康被害の補償等に関する法律のような健康被害に対する原因者負担に基づく補償制度とは異なっておりまして、ぜんそく等に罹患した発育途上にある年少者に、行政として適切な受療の機会を提供することで、発作予防や症状の軽減を図ることを目的としたものであり、引き続き現行制度を維持してまいります。
 今後、ただいまのご提言の趣旨に沿いまして、大気汚染の原因者の責任を明確にした上で、原因者責任と適正な負担のあり方や、救済すべき対象の範囲と認定の方法など制度全般にわたる総合的な見直しを検討してまいります。
   [住宅局長戸井昌蔵君登壇〕

○住宅局長(戸井昌蔵君) 東京都住宅供給公社に関する二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、外部監査で指摘された公社用地の有効利用についてでございます。
 公社が事業化に至らない用地を長期に保有することは、経営を圧迫する要因の一つでありますので、既に公社でも区市町村や民間への用地売却等を進めているところでございます。
 今回、外部監査で有効利用を求められました各用地につきましても、関係局や地元区市町村等関係機関と調整を図っておりますが、売却を含め的確な処理を進めるよう都として公社を指導してまいりたいと考えております。
 次は、公社の今後のあり方についてでございます。
 公社は、これまで中堅所得層向け住宅の供給を推進してまいりましたが、今後は賃貸住宅の建てかえを進めるとともに、分譲住宅からは原則として撤退し、都市の居住環境の整備など民間企業では対応が困難な業務へシフトしていくこととしております。
 これらの事業を円滑に行うため、今回の監理団体総点検のための基本指針及び外部監査の指摘も踏まえ、都いたしましては、経営の透明性を高めるための会計基準の見直し、支社ごとの予算管理などを通じた競争性の導入、そして民間の人材の活用等による窓口サービスの向上などを進めるよう適切に指導をしてまいります。
   [労働経済局長大関東支夫君登壇〕

○労働経済局長(大関東支夫君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、技術・事業革新等支援資金融資制度の審査評価のあり方と従来の保証審査との違いについてのお尋ねでございますが、これまでの融資制度の審査では、財務内容や物的担保の有無あるいは経営者の人物評価などを中心に審査してきたところでございます。
 新たな制度におきましては、これに加えまして技術力をベースとした新たな評価の仕組みを取り入れることとし、企業の将来性に着目し、技術力の高さ、事業計画の実現性や製品の市場性等を評価項目に加えた総合的な保証審査を行うこととしております。
 この評価結果に基づき、現行五千万円までの無担保融資の限度額を一千ないし二千万円引き上げるなどして、融資の増額に結びつけてまいります。
 次に、創業支援施策等において、過去の失敗にとらわれない敗者復活ができる環境づくりをすべきじゃないかとのお尋ねがございました。
 新規創業を活発にするためには、ご指摘のように、事業失敗時の大きなリスク負担や高額な創業経費返済の重圧等を軽減し敗者復活がしやすい環境を整備していくことは、必要なことと考えております。このため、過去の貴重な経験を生かし再チャレンジする意欲ある起業家に対しまして、技術、経営面の支援をするとともに直接金融の活用を図るなどして、再挑戦しやすい環境づくりに努めてまいります。
 次に、下請企業への発注拡大のための仕事掘り起こし隊の要請結果等についてのお尋ねがございました。
 閉塞状況下で苦しんでおります下請企業の販路拡大に少しでも役立つことはないかという思いから、幹部職員が中心となって二百七十社ほどの企業、団体を訪問し、発注拡大の要請を行ったところでございます。
 成果といえるほどの数字がお示しできないのは残念でございますが、訪問先の企業では、行政みずからが要請に赴いたことにつきまして評価をいただき、その席上で下請企業への発注をいただいたところもございます。
 また、発注元企業の団体では、会報に要請内容が記載されるなど発注拡大の要請行動を前向きに受けとめていただいたところもあり、一定の成果は得られたものと考えております。
 次に、中小企業データベースの整備についてのお尋ねでございますが、都内中小企業の情報を世界に向け発信し、取引の活性化等を図っていくためには、技術力を含めた中小企業のデータベースの整備が極めて重要であると考えております。
 このため、平成十二年度には試験研究機関等の保有する技術情報や債券市場のデータベース等のネットワークを構築し、中小企業振興公社の情報システムを核といたしまして、データベースの整備を図ってまいります。
 次に、国一元化後の都の雇用対策についてのお尋ねでございますが、これまでも都は独自の施策として、高齢者や障害者等の就職が困難な人々への就業対策を実施してきたところでございます。こうした対策は、国一元化後にありましても地域社会と密接に関係することから、都が果たさなければならない重要な役割であると認識しております。
 このため、都といたしましては、専管部門を新たに設置し、国と緊密な連携を図りながら、地域の実情に即した就業対策を推進してまいります。また、依然として厳しい雇用情勢を打開するため、緊急雇用対策に取り組むなどして新たな雇用の場の確保にも努めてまいります。
 次に、都の主導による中高年齢者の雇用の場を創出すべきではないかとのことでございますが、中高年齢者を取り巻く厳しい雇用情勢につきましては、十分承知しているところでございます。
 ご指摘の福祉、医療等の分野は、豊かな対人的な経験を必要とすることが多いこともありますので、中高年齢者の職場といたしまして大変適した分野であると考えております。こうした分野は、今後の成長や新たなビジネスチャンスが期待されることもありまして、都といたしましては、創業支援融資、TOKYO起業塾、それから低廉なオフィスの提供等の支援を行うことにより新たな雇用の場の創出を図ってまいります。
   [港湾局長浪越勝海君登壇〕

○港湾局長(浪越勝海君) 臨海副都心開発に関する三点のご質問にお答えいたします。
 まず、臨海副都心開発の状況についてでございますが、平成十一年の年間来訪者数は約三千百五十万人であり、前年に比べ六百五十万人増加いたしました。
 平成十一年十二月一日時点における就業人口は、対前年比三千人増の約二万五千人、居住人口は約三千人でございます。
 建築施設の整備状況については、今年度、パレットタウン、有明ワシントンホテルが完成いたしました。今後、アクアシティお台場、台場I街区住宅、東京港湾合同庁舎、国際研究交流大学村など、延べ面積が一万平方メートルを超える大規模施設に限っても計十三棟が平成十二年度末にかけて続々と完成する予定でありまして、臨海副都心は、ますますにぎわいあるまちとして、東京の新しい名所として発展していくものと考えています。
 次に、パレットタウン開業に伴う効果についてでございますが、私ども港湾局の試算では、パレットタウンの建設投資に伴う一時的経済波及効果といたしまして、生産誘発効果が約一千億円、雇用誘発効果が約五千七百人と見込んでおります。
 また、継続的効果としては、消費活動に伴う生産誘発効果が年間約九百億円、雇用誘発効果が年間約五千七百人と試算されておるほか、土地賃貸料収入が年間約七億三千万円、「ゆりかもめ」及び臨海高速鉄道の乗客増に伴う運賃収入が年間約三十億円増と見込まれます。
 そのほか、企業活動等に伴う税収増や各種メディアに取り上げられることによる臨海副都心全体のPR効果など、広範に及ぶ効果があると考えております。
 最後に、臨海副都心の交通対策についてでございますが、臨海副都心を着実に発展させていくためには、臨海高速鉄道の大崎延伸や「ゆりかもめ」の豊洲延伸を計画どおり実現していくことはもとより、ご指摘のとおり新たな施設の開業等に伴う既存交通機関の充実といった当面の交通対策が重要であると考えます。
 既に輸送力の大きい海上バスにつきましては、昨年末より日の出ふ頭と台場とを結ぶ航路の大幅な増便が実現したところでございますが、さらに現在、関連する交通機関等と協議を進めておりまして、本年三月下旬を目途に「ゆりかもめ」のダイヤ改正が行われ、平日で二十六便、休日で五十八便の増便が実施されるほか、都バスの輸送力増強も図られることになっています。
 また、臨時駐車場の増設、誘導サインの充実等も進めていく予定でございます。
   [高齢者施策推進室長福祉局長兼務神藤信之君登壇〕

○高齢者施策推進室長福祉局長兼務(神藤信之君) 最初に、福祉に関するご質問にお答えします。
 まず、福祉改革ビジョンで示した包括補助制度についてでございます。
 福祉改革は、サービス提供を担う区市町村が福祉サービスの質と量の向上に主体的に取り組んでいくことで、初めて実現できるものと認識しています。
 今回創設する福祉改革推進補助事業をどのように活用していくかは、改革を進める上で重要な意義を持っております。本制度を地域の実情に応じて創意工夫を発揮できるような仕組みとし、積極的、先駆的に福祉改革に取り組む区市町村を応援する制度として実を上げられるものとしていきます。
 次に、障害者の就労支援についてでございます。
 障害者の一般企業への就労を促進し雇用率の向上を図ることは、障害者の自立のために重要であると認識しています。しかしながら、ご指摘のとおり現在、法定雇用率に達しない民間企業が多く、希望しても一般企業に就労できない障害者が多数いるというのが実情でございます。
 そのため、福祉改革ビジョンにおいて、区市町村障害者就労援助モデル事業を平成十二年度から開始することとし、労働行政など関係部門と十分に連携を図りながら、身近な地域で一般企業への就労を目指す障害者を応援するため、職場開拓や職場定着支援、生活支援等を行うこととしました。
 今後とも、事業の積極的な推進に努めていきます。
 次に、地域における権利擁護施策についてです。
 障害者、特に知的障害者の権利を守り、地域での自立を支える仕組みをつくることは、障害者の親の不安を少しでも軽くするという面からも重要であると認識しています。
 都は、昨年十月、福祉サービス利用や日常金銭管理の支援を行う地域福祉権利擁護事業を開始したところです。今後はさらに、新たな成年後見制度の効果的な活用、福祉サービスへのアクセスや苦情解決の仕組みなど、総合的な支援システムの確立に取り組み、区市町村と連携しながら、障害者が地域で安心して生活できるよう支援していきます。
 次に、知的障害者の入所施設の整備についてです。
 知的障害者更生施設の建設は、用地確保の問題、建設予定地の地元住民の理解がなかなか得られないことなどにより、ご指摘のとおり、整備がおくれている状況にございます。
 都は、福祉改革ビジョンにおいて、住みなれた地域の中で、障害者が自分のライフスタイルに合った住まい方を選べるよう、居住の場の整備を進めることとしております。
 今後、地域における重度知的障害者の新たな居住の場としての重度生活寮の設置を進めるとともに、入所施設の建設促進に向けた具体的な取り組み方針を定め、区市町村等と十分連携して、平成十八年度までに待機者の解消ができるよう努めていきます。
 次に、乳幼児医療費助成制度の対象児童についてでございます。
 今回の福祉改革における取り組みの中で、少子化対策の充実の観点から、現在四歳未満としている対象年齢を、来年度、五歳未満に一歳拡大することとしました。
 就学前までの年齢拡大につきましては、財政状況や区市町村の実情を踏まえ検討していく課題であると考えております。
 次に、病後の児童の保育についてですが、病気回復期の乳幼児の保育は、子育てと仕事の両立にとって重要なことであると認識しております。
 これまでの国の事業は、実施場所が診療所や乳児院に限定されていたことなどから、実績が伸びない状況にありました。都が要望してきた保育所での事業実施が来年度から補助の対象となり、本事業の推進が期待されるところです。
 都としては、平成十二年度予算案で、実施箇所を四カ所から二十カ所へと大幅に拡大しております。今後とも、ニーズの高い病後児保育の拡充を図り、安心して働けるよう、区市町村を支援していきます。
 次に、介護保険制度に関するご質問にお答えします。
 まず、介護基盤の広域的な調整についてですが、入所施設の整備状況については、ご指摘のとおり、区市町村によって異なりますが、在宅サービスはもちろんのこと、施設サービスについても、できるだけ身近な地域で利用できることが望ましいと考えております。
 このような考え方に基づき、都は、保険者である区市町村と一層連携し、整備の必要な地域を優先的に補助対象とするなど、都内における均衡のとれた介護サービス基盤の整備を支援していきます。
 次に、要介護認定についてですが、都はこれまでも、公平、公正な要介護認定とするため、認定調査員や介護認定審査会委員が、共通の理解、尺度のもとに要介護認定に当たることができるよう、研修の充実に努めてきました。また、認定に当たり、特に痴呆の診断が重要かつ難しいことから、主治医が意見書を作成するときの判断に資するための「痴呆の手引き」を、都として独自に作成し、医師に活用していただいているところです。
 さらに、お話のような懸念もあることから、要介護認定の信頼性をより確保するために、今般、区市町村へ、要介護認定の実施状況を十分把握し、その点検を行うよう緊急に依頼したところでございます。
 次に、痴呆性高齢者の受け入れ体制ですが、従来、痴呆性高齢者は、特別養護老人ホームや老人保健施設などで受け入れているほか、在宅の方にはデイサービスを提供してきたところでございます。
 今後は、在宅サービスの一つであるグループホームの整備に重点を置くこととし、国の補助制度に加え、民家活用型等に対する都単独の補助制度を活用することにより、整備量の飛躍的拡大に区市町村とともに取り組んでいきます。加えて、サービスの質の向上を図るため、痴呆ケアに当たる人材の養成にも積極的に努めていきます。
 次に、制度実施までに満足のいくサービスが提供できるのかとのお尋ねでございますが、現在、区市町村において要介護認定の作業が急ピッチで進んでおります。また、都は、円滑に介護サービス計画が作成できるよう、指定事業者や区市町村に対し、介護報酬の内容やサービスごとの利用限度額の管理方法などについて精力的に周知を図っており、四月のスタートまでにはサービスを提供できる体制が整うものと考えております。
 最後に、監視体制の必要性についてでございますが、介護保険制度では、多様な事業者が新規に参入してくることから、事業者情報の提供、相談、苦情への対応、サービスの評価、事業者に対する指導など、利用者保護の仕組みが求められます。
 これまで、都は、東京都介護サービス情報提供システムによる情報提供、区市町村の苦情・相談窓口の設置、独自のモデル契約書や事業者向けのガイドラインの作成、第三者サービス評価制度の検討などに積極的に取り組んできたところです。さらに、新たに指導検査体制の増強を図り、介護保険が真に利用者本位の制度となるよう努めてまいります。
  [政策報道室長柿沼伸二君登壇〕

○政策報道室長(柿沼伸二君) インターネット犯罪に対する民間のセキュリティー確保についてのお尋ねでございますが、インターネット犯罪等への対策は、一国だけでは済まないボーダーレスな問題でありますことから、現在、米国、EU、日本による協議が行われているところでございます。また、インターネットの技術革新が急速に進んでおりますことから、そのセキュリティー確保につきましては、関係業界の自主的な取り組みが基本であると私どもは考えております。
 東京都といたしましては、国や民間の動向を十分に踏まえながら、中小企業や消費者等に対するセキュリティー意識の啓発を図るための具体的な対応に努めてまいりたいと思います。
  [環境保全局長齋藤哲哉君登壇〕

○環境保全局長(齋藤哲哉君) ディーゼル車対策について、二点についてお答え申し上げます。
 まず、DPFの装着義務づけのための誘導策などを考慮した都の取り組みについてのお尋ねでございます。
 ディーゼル車の規制に当たっては、規制開始前に一定の準備期間を設け、DPFの装着を促進することとしております。
 DPFの価格につきましては、ご指摘のとおり、現段階では高価でございますが、今後、規制を行うことにより、DPFの需要が拡大され、その結果、量産により低廉化が図れるものと考えております。
 都としましては、平成十二年度に、新たに中小事業者向けのDPF装着資金の融資あっせん制度を導入することとしております。また同時に、各メーカーに対しても、価格を一層下げる努力を強く求めてまいります。
 次に、都バスや庁有車へのDPF装着の計画についてでありますが、事業者等への普及を促し、低廉なDPFの普及を図るために、規制の実施に先駆けて、都が所有するディーゼル車にDPFを導入していく必要がございます。
 このため、平成十二年度は、知事部局、警視庁、消防庁が所有する装着可能な全車両、四百六十八台にDPFを装着することとしております。都バスにつきましては、今年度末までに十三台のバスにDPFを装着することになりますが、来年度以降につきましては、ディーゼル車規制の実施に合わせて計画的に取り組んでまいります。
  [教育長中島元彦君登壇〕

○教育長(中島元彦君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、小中高校の耐震診断、耐震改修についてでございますが、都立の学校については、既に全校で耐震診断を実施しており、改築、耐震補強を計画的に行っております。
 小中学校の施設整備につきましては、原則として設置者である区市町村がその経費を負担することとなっております。国は、教育水準の向上のため、学校施設整備について助成を行っておりますが、平成七年に、特に耐震性の向上を促進するため、地震防災対策特別措置法を定めて、施設整備補助率等の特例措置を講じております。
 都教育委員会は、今後とも、国の助成制度を十分活用し、設置者が計画的に対応するよう、周知の徹底に努めるとともに、施設整備補助率等の特例措置を継続するよう、国に要望してまいります。
 次に、都立高校校長への民間からの登用についてでございます。
 都立高校の改革をさらに推進していくためには、校長が、社会の動向を見据えて、開かれた学校づくりを進めるとともに、すぐれたリーダーシップのもと、学校職員の能力を最大限引き出し、組織的、機動的な学校運営を行う必要があります。
 このたび、学校教育法施行規則が改正され、民間企業等で培った経営感覚や組織運営の能力を学校経営に生かす法的な条件が整ったことから、都教育委員会は、民間からの校長登用に取り組んでいく所存でございます。
 次に、民間から校長を登用する高校と、その時期についてでございます。
 民間で培った経営能力等を学校経営に最大限生かすため、社会の変化に柔軟に対応し、弾力的で特色ある教育を実践する新しいタイプの高校に登用することが適切であると考えております。
 今後、処遇など採用の条件を検討するとともに、開設を予定している高校の中で対象校を選定し、その開設準備の段階から配置したいと考えております。

○副議長(五十嵐正君) この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
   午後六時五十分休憩

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