平成十二年東京都議会会議録第二号

   午後三時三十三分開議

○副議長(五十嵐正君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百二十七番秋田かくお君。
   [百二十七番秋田かくお君登壇〕

○百二十七番(秋田かくお君) 私は、日本共産党都議団を代表して、石原知事に質問いたします。
 まず、知事が今定例会に提案した大銀行への外形標準課税導入の問題であります。
 我が党は、既に、知事の大銀行への課税の方針に賛意を表明いたしました。それは、知事の提案が、大銀行に対する不当な優遇税制を是正するために、地方自治体としてとり得る有効かつ適切な措置であるからであります。
 大銀行は、政府の超低金利政策のもとで、十七行だけで二兆五千億円を超える業務利益を上げている上、膨大な公的資金を受けています。ところが、税金はほとんど納めていないのであります。こんなことになっているのは、不良債権の処理費用を、損失として所得から差し引いてやるという政府の優遇税制があるからであります。
 大銀行の不良債権は、バブル時代に乱脈の限りを尽くしたツケであり、その処理費用を税金計算で全額差し引いてやる必要はありません。一般企業では、乱脈な交際費などは、税金計算上、費用として差し引かないルールとなっているのであります。政府や銀行協会などは、銀行だけ課税するのは不公平などといっておりますが、税金逃れをしている大銀行に適正な課税を行わないことこそ不公平だといわなくてはなりません。
 我が党は、都の正当な課税自主権行使に対する政府の妨害を排して、税金課税を実現することこそ都民の願いにこたえる道であると確信するものであります。
 同時に、今回の問題は、外形標準課税を日本の法人課税の基本に取り入れることとは全く別の問題であります。我が党は、従来から、すべての企業に対し一律に外形標準課税を導入することには明確に反対であります。企業が生み出した付加価値などに課税する外形標準課税は、不況や下請いじめに苦しみ、赤字に陥っている多くの中小企業からも税金をむしり取ろうとするものであります。また、自治省や地方財政関係の学者、東京税理士会などの試算によっても、この導入により、大企業ほど税負担が軽くなること、都の税収も、ふえるどころか減収することが明らかになっています。
 自民党税制調査会は、都の方針を逆手にとり、法人事業税そのものを外形標準課税に一気に変え、全業種に適用する動きを強めており、一部マスコミにも、それを煽動するかのような論調があらわれています。しかし、そのような問題のすりかえは断じて許されません。
 知事は、テレビのニュース番組に出演した中で、ほかの企業、業種に外形標準課税を拡大するつもりがあるかどうかを問われ、ないと述べました。当然の態度だと思います。改めて伺います。都として中小企業にまで外形標準課税を拡大しないという態度を表明すべきだと思いますが、知事の見解を伺います。
 なお、都の税収確保の点で、あわせて重要なことは、都の税収の中心を占める大企業に対する法人事業税の空洞化を是正することであります。税収の根幹である法人事業税の税率は、この間の政府による大企業向け法人減税に連動して大幅に引き下げられてきました。それまで一二%だった標準税率は、九八年に一一%となり、昨年もさらに九・六%まで引き下げられました。減税による都の減収は、昨年の引き下げ分だけで二千億円に上っています。しかも、政府は、税収分の六割程度の交付金を補てんのため都に交付しただけで、あとは借金で賄えというのであります。
 日本の法人税の実効税率は国際的に見ても決して高いものではなく、我が党は当然、大企業向け法人税減税に反対いたしました。知事、政府の相次ぐ大企業減税により、地方財政にも重大な影響を与える法人関係税の空洞化が起こっている、このことについてどう考えていますか。知事の認識を伺います。
 また、我が党は、こうした道理のない大企業減税に対して、都が課税自主権を行使して適切な税収を確保すべきと考え、今定例会に、大企業に対する法人事業税の超過課税を引き上げる条例案を提案いたします。議員各位のご賛同を呼びかけるものであります。
 さて、都政運営の基本問題についてであります。
 今、都政に、そして全国の自治体に問われている肝心な問題は、愛知万博など、国際的にも批判を浴びている開発第一主義から抜け出し、税金の使い方、都政運営の基本方向を、福祉、暮らし優先へと切りかえるのかどうかということであります。石原知事が初めて提案した来年度予算案は、こうした都民の願いにこたえているでしょうか。残念ながらその内容は、かけがえのない都民福祉をばっさり切り捨てる一方、臨海副都心開発などの大型公共事業には一兆円もつぎ込むという、都民の願いとは反対のものになっているのであります。これは、豪華都庁舎建設など、大型開発優先で行き詰まったこれまでの自民党型の都政の方向を引き継ぐばかりか、逆立ちした税金の使い方を一層進めるものといわなくてはなりません。
 私は、都政運営の基本方向を、開発先にありきで、環境や事業の採算も省みない開発第一主義からの脱却、都民の福祉、暮らしを守る仕事を最優先にという、自治体として当たり前の立場に立ち返らせることこそ、今求められている本物の都政改革の方向であると確信するものであります。
 私は、こうした立場から、以下、具体的に質問します。
 まず、今定例会の最大の焦点である福祉切り捨てについてであります。
 知事が示した切り捨て案は、シルバーパス全面有料化、老人医療費助成、マル福と老人福祉手当は廃止、さらに、ひとり親家庭医療費助成の自己負担、児童育成手当の所得制限強化、乳幼児医療費助成の入院給食代、その上、重度障害者手当や、障害者福祉手当、医療費助成の軒並み削減であります。これらの福祉事業は、どれも、行政の支えを最も必要としている人たちの命と生活の支えとして、なくてはならないものばかりです。なぜそれをねらい撃ちにして削減するのか、命綱を切らないで、こうした切実な声が多くの都民から上がっているのであります。
 知事、都民広場をまっすぐに見てください。高齢者や障害者、若いお母さんたちの訴えに真摯に耳を傾けてください。昨年十二月の第四回定例会の初日は、およそ六百人が都民広場で座り込みを行いました。今定例会の初日は、その六倍を超える三千八百人が、都政史上初めての人間の鎖で、およそ一キロにわたって都庁を囲みました。まさに命の叫びであります。
 例えば、重度障害の子どもを在宅で育てているお母さん方から、次のような声が寄せられています。よく聞いてください。
 一生医療にかかわらなければ生きられない障害者にとって、医療費自己負担導入は身を切られる思いです。呼吸器や酸素など、大きなコストがかかる重症障害児の場合、収入がある程度あっても、医療費助成と手当の両方がなくては生活は成り立ちません。障害児を抱えた家庭には、人並みの生活さえ許されないのでしょうか。行政に甘えているのではありません。障害児を抱えては、働きたくても働けないのです。福祉は私たちの支えです。障害を持っていても頑張っている子どもたち、家庭を助けてください。
 こうした手紙が、何通も知事の手元にも届いているはずです。知事、お読みになりましたでしょうか。そこに刻み込まれた切実な声をどのように受けとめていますか。お答えください。
 今回の福祉の抜本的な見直しは、生存権、生活権保障の切り捨てであり、自治体として絶対にやってはならないことです。ここでは、以下四つの問題に絞って知事の認識をただすものであります。
 第一は、シルバーパスの全面有料化です。
 住民税非課税の人は一律千円ですが、住民税非課税というのは、低所得のために住民税が免除されており、それより少し所得が下がると生活保護基準という所得層であります。だから、今までヘルパー派遣など、福祉サービスの利用料はすべて無料です。若い世代との負担の公平を図るなどといいますが、東京の高齢者の実に三分の二が、こうした低所得層に置かれていること自体が大問題であり、経済的支援を強めることこそ必要であります。
 しかも、条例案を見ると、費用負担の額は知事が定める規則にゆだねるとされており、一度有料化されたら、知事の裁量で、議会にかけることなく次々値上げできる道が開かれています。六千円という当初の案を千円にしたからいいというものではありません。知事に伺いますが、議会の同意を得ることなく勝手に値上げをやらないと約束できるのですか。
 また、住民税を払っている人は二万五百十円とされていますが、これでは、二十三区の場合で、都民税が一千円、区民税が三千円の均等割のみに住民税が軽減されている人まで、シルバーパスのために税よりはるかに重い負担を負うことになります。今まで無料パスを受けていた人のうち実に八万五千人が、若干の経過措置の後、二万五百十円の負担となるのです。これでは、お金がなくて買えない人が続出することは明らかではありませんか。
 そもそも老人福祉法は、老人は、多年にわたり社会の進展に寄与してきた者として、敬愛されるとともに、生きがいを持てる健全で安らかな生活を保障されるものとする。老人は、社会的活動に参加する機会を与えられるものとすると定めています。シルバーパスは、こうした高齢者の生活と社会参加の権利保障と、敬老の理念を、都として独自に具体化したものであります。だからこそ、これほど多くの都民が無料制度継続の声を上げ、七割を超える議員が現行無料制度の継続、拡充を公約したのであります。無料制度の継続こそシルバーパスの本来のあり方であると考えますが、知事の見解を伺います。
 第二に、マル福の廃止です。
 日本の医療保険制度は、定年退職により所得が落ち込む一方で医療の必要は高くなるときに、社会保険から国保に移り、医療費の負担は逆に重くなる構造になっています。マル福は、こうした矛盾を和らげるための先進的制度であります。また、国の審議会では、介護保険に合わせて老人医療費助成も六十五歳から始めるよう検討する必要があるとの意見も出されています。六年間の経過措置があるといいますが、そもそも廃止する理由などないではありませんか。なぜマル福を廃止するのですか。
 東京都歯科医師会は、知事の福祉見直し案発表の直後に、不況の波は人々の生活に深刻な影響を及ぼしており、とりわけ老人、心身障害者など弱者へのしわ寄せは大きなものがあります。このような時期に福祉事業の後退とも受け取られる施策を策定することは、人々の日常生活に極めて大きな不安を与えるとして、会長名で東京都福祉局に医療費助成事業の存続を要望しました。重く受けとめるべきであります。
 都の試算でも、マル福を廃止した場合、患者負担は月平均、現在の二千百四十八円から七千七百十円に、三・六倍にはね上がります。医療機関が行った調査でも、外来で平均三・六倍、入院は七倍で、金額にすると、入院の場合、月に平均十万円も負担がふえるとの結果であります。一昨年九月の医療費値上げで負担が二倍にされた社会保険本人は、医者にかかる受診率が落ち込んだまま、いまだに回復していません。知事、医療費の負担増は高齢者の受診抑制を招き、早期診療、早期治療に逆行するものではありませんか。答弁を求めます。
 第三に、老人福祉手当の廃止であります。
 介護保険の目的と重複するから、三年間で廃止するとしていますが、とんでもない話です。保険料と利用料で大変な負担増になることは、既に明らかであります。しかも、介護保険は、例えば、要介護五の認定で上限三十六万八千円のサービス給付を受けられる資格がある場合でも、利用料の一割負担が条件ですから、一万円の利用料しか払えない人は、十万円のサービスしか受けることができません。知事は、施政方針で、介護保険制度がスタートし、サービスの提供が措置から契約に変わるといいましたが、契約というのは、サービスはお金で買うということであります。そのときに、老人福祉手当をなくしてしまったら、まさにお金の切れ目がサービスの切れ目となるではありませんか。
 ある新聞にも、介護保険の一割の自己負担が払えず、サービスから締め出される人が少なくないだろう。低所得者向けに、介護保険スタート以降こそ手当が必要だという、都内の特別養護老人ホーム施設長の声が紹介されています。実際に江戸川区は、都の動向にかかわらず一年間は継続するとしています。練馬区は、新たな手当制度の創設を決めています。こうした動きは全国各地に広がっているのであります。知事、都民に対して責任を持った対応をしようとするなら、老人福祉手当は、少なくとも介護保険実施後の状況を具体的に調査し、状況を見きわめた上で今後の方向を検討すべきであります。見解を伺います。
 第四に、障害者施策の切り捨てです。
 障害者の医療費助成も重度障害手当も、所得制限が四人家族で四百六十一万円となります。月収にすればおよそ三十万円前後です。普通の家庭でも楽ではないと思いますが、重度障害児がいれば、栄養チューブを初め数々の医療器具、栄養補助食品、体温調節のための冷暖房費などなど、毎月確実に多額の費用がかかります。ところが、重度障害児の親は、養護学校に通っている場合も、多くは一日じゅう付き添い、学校で待機しており、働くに働けないのが実態であります。知事はご存じでしょうか。その上、医療費助成も手当もばっさり切られたら、本当に家庭が立ち行かなくなる場合がある。とりわけ医療費助成のカットは、重度障害児の命にかかわる問題です。こんな実態を無視した障害者施策の機械的見直しは再検討すべきであります。答弁を求めます。
 さて、以上、具体的に取り上げた四つの問題に加えて、ひとり親家庭医療費助成と児童育成手当、乳幼児医療助成費の自己負担や切り下げ、さらに特別養護老人ホーム都加算事業の廃止を含め、今回の福祉の見直し案が全部実施されたら、直接影響を受ける都民だけで百八十万人、一年間で一千億円に及ぶ大規模な削減となります。規模も内容も、都政史上かつてないものであります。石原知事は、今回の改革は新世紀を見据えた福祉社会を実現していくためのものだ、在宅サービスを中心に充実したなどといいますが、事実は全く違います。
 来年度の福祉関係の予算案を見ると、国民健康保険への補助金カットなども含め、主な切り捨てだけで六百三十七億円に及びますが、新規事業は二百三十億円にすぎません。しかも、その中の新たな包括補助制度のうち三十億円は、使い道も決まらないまま、予算の枠だけ確保されている異常な形であります。
 そこで伺いますが、これらの包括補助は、今後永続的に発展、充実させていくと約束できるのでしょうか。明確な答弁を求めます。
 また、在宅サービス重点といいながら、難病患者や精神障害者のヘルパー派遣事業は、今年度予算に比べ実に八割以上の大幅削減であります。とりわけ、難病患者のヘルパー派遣は、一昨年に難病医療費助成を大きな反対を押し切って有料化したときに、これからは在宅サービスを充実させると約束したものであります。それがわずか二年でほごにされたのであります。在宅サービス重点というなら、難病患者や精神障害者のヘルパー派遣の充実こそ必要ではないでしょうか。お答えください。
 同時に、在宅サービス充実のために今必要なことは、介護保険制度の欠陥を補うための都独自の対応を、全力で進めることであります。以下、緊急課題の三点について提案をいたします。
 一つは、保険料、利用料の減免を独自に行う自治体への支援です。
 狛江市は、低所得者の保険料、利用料を全額助成することを決めました。また、三鷹市は、所得税非課税世帯の訪問介護の利用料を無料にするとしています。保険料、利用料が払えないために必要な介護サービスが受けられないという事態を招かないよう、こうした自治体の取り組みへの都としての支援が必要であります。
 第二は、介護保険だけでは現行サービス水準から後退する人への対応であります。
 我が党は、昨年の第四回定例会でこの問題を提起しましたが、その後、足立区が独自の調査を実施した結果が明らかになりました。それによると、介護保険の対象となる一千五百九十一人のうち三百十七人、およそ二〇%が現行サービス水準より後退すると推計されています。そして、サービスが後退しないように、区独自に対応を行った場合、二億六千二百万円の財源が必要と試算されています。必要なことは、やはり都の財政支援であります。
 第三に、介護予防と寝たきりゼロを目指す本格的な取り組みであります。
 そのために、脳梗塞や骨折で入院してから在宅までの一貫したリハビリテーションの体制づくりは急務であります。多摩地域は、拠点となる医療施設が不足しています。墨田区内に都立リハビリテーション病院がありますが、多摩地域にも都立リハビリテーション病院が必要であります。
 以上、三点について見解を伺います。
 今回の福祉切り捨てによる影響は、都立学校授業料や公社住宅家賃を初めとする公共料金値上げ、私学助成削減などの影響と何重にも重なり合い、机の上での推計をはるかに超える深刻な事態となる心配があることも、重大な問題であります。
 とりわけ、都営住宅家賃免除制度の廃止による負担増は、一世帯当たり年間十万円に及びます。現在免除を受けている人には制度が継続されるとしていますが、年収八十万円以下程度、単身世帯で四十三平米以下などの厳しい条件のため八割が排除され、しかも五年間限りの措置であります。
 七十四歳の女性は、遺族年金と国民年金を合わせて一カ月八万円、生活費も最小限に抑えて何とかやってきました、免除制度がなくなることは、私にとって生死にかかわる問題ですと話していました。そこにシルバーパスの一千円や介護保険料、国の老人医療費値上げの負担増が重なるのです。都営住宅家賃免除制度の廃止と老人福祉手当の廃止、介護保険の保険料、利用料で年間およそ百三十万円の負担増、それを考えると夜も眠れない、生きていかれないという人もいます。
 都営住宅家賃免除制度は、生活に困っている世帯のために必要な制度であり、だからこそ、これまで財源対策として見直しがされたことは一度もありません。現在免除を受けている四万世帯のうち、大半が高齢者、障害者世帯のひとり親家庭であります。不況や年金改悪のもとで、収入が少なくて、毎日の生活に苦しんでいる人たちになぜ重たい負担を押しつけるのですか、お答えをいただきたい。
 最後に、やり方のひどさであります。最たるものが老人福祉手当廃止条例の、ことし四月一日施行です。老人福祉手当の廃止案が都民に初めて示されたのは昨年十二月末で、条例案が提出され、施行日が明らかになったのが、つい先日の二月十六日であります。それからわずか四十日程度で、老人福祉手当を三年間で廃止する条例を決めて施行するというのですから、乱暴きわまりない話であります。
 そもそも三月三十日に初めて都議会で議決されるものを、区市町村はどうやって四月一日から対処するのですか。そんなやり方をするというのは、知事、区市町村の自治権を一体どう考えているのですか。
 知事は、国の医療保険改革については、政府に対し、改革によって実現される仕組みや費用負担などについて、時間的な余裕を持って具体的に示し、国民的な議論を進め、国民負担がふえることに懸念を抱く国民や地方公共団体等の十分な理解を得る必要があると要望しております。
 知事がみずから進める福祉の見直しは、まだ多くの都民が、内容そのものを知らされていないのが実態であります。これほど抜本的なものであるだけに、なおのこと時間的な余裕と、都民的な議論と、負担増に懸念を抱く都民や区市町村の十分な理解が必要であると考えるものですが、所見を伺います。
 さて、今回のかつてない福祉見直しについて、都議会各会派及び議員が、公約と東京の福祉に対してどういう姿勢で臨むのかが厳しく問われています。
 シルバーパスについては、都議会議員の七二%が、三年前の都議選で明確に現行無料制度の継続、拡充を公約して当選しました。また、昨年の一斉地方選挙の基本政策で、都独自事業である老人医療費助成制度の所得制限の緩和、及び一部負担金の軽減に努めますと公約した政党もあります。公約を守るかどうかは、政党と政治家の根本にかかわる問題であります。しかも、都民の命と暮らしにかかわる重大な問題であることを、私は改めて率直に指摘しておくものであります。
 次に、福祉を軒並み切り捨てる一方で、開発第一主義に立った大型開発の浪費は温存、拡大している問題です。
 知事は、財政難だから都民も我慢しろといいます。しかし、それならまず、財政難になった原因をはっきりさせるのが当然の責任です。今日の都の財政難は、福祉や教育にお金を使ったからではなく、豪華都庁舎建設、臨海副都心開発など、大型開発に熱中してきたからであることは明白であります。八〇年代には二兆円に満たなかった都の借金が今日七兆円を上回る状況になっているのは、バブルに踊って大型公共事業に税金や貯金をつぎ込み、それでも足りずに、毎年一兆円前後もの借金を続けてきたからであります。その元利払いが財政を圧迫しています。三千億円以上あった埋立事業会計の蓄えも、臨海開発につぎ込まれて、底をつきました。
 知事は、第四回定例会で、財政難の要因についての我が党の質問に対し、要因のすべてを公共事業のみに求めるのは適切ではないと述べましたが、そのようなあいまいな答弁で逃げるべきではありません。大型公共事業を膨張させたことが財政難の中心的原因と認めるのか認めないのか、明確にすべきであります。答弁を求めます。
 重大なことは、石原知事が初めて提案した来年度予算案でも、財政難の原因である大型公共事業の浪費が温存、拡大されていることであります。来年度予算案は、福祉切り捨ての一方で、臨海開発に六百億円、住民の反対の強い幹線道路建設に一千億円、北新宿や環状二号線地区などの大型再開発に七百億円などをつぎ込むとしています。
 投資的経費は減らしたといいますが、同時に発表された最終補正予算案を合わせると、公共事業関係の予算は今年度予算と同じ水準であり、首都高公団への無利子貸付などを含めると、一兆円を超える規模になるのであります。その財源である都債発行も、合わせて六千数百億円に上り、今年度を上回っています。要するに、本来は来年度予算に盛り込む経費を今年度補正予算に前倒しして組んだだけであり、福祉削って浪費削らずという、逆立ちした来年度の予算案の実態が明らかになるのを避けたというのが真実なのであります。
 知事、これでどうして投資的経費は減らしたといえるのですか。明確な答弁を求めます。
 このままの水準で投資型経費と都債発行を続ければ、借金総額は、一般会計だけで八年後には十兆円にも達することになるのであります。これでは、財政再建どころか、借金返済が都財政をますます圧迫し、さらに都民に犠牲が押しつけられるという悪循環にも陥りかねません。
 知事、都財政の構造改革というなら、このような大型公共事業優先、借金拡大の都財政運営こそ、大もとから切りかえる道に踏み出すべきではありませんか。また、借金減少への道に踏み出す意思があるかないか、あわせて明確な答弁を求めます。
 知事は、いまだに赤字再建団体に転落したら大変などといっていますが、大型公共事業の浪費にしっかりメスを入れるとともに、大企業の適切な課税などを行えば、転落などするはずはないし、福祉、暮らしを守りながら財政の立て直しを進めることは十分にできます。
 次に、都政が二十世紀型の開発至上主義から脱却する上で避けて通ることができない臨海副都心開発について伺います。
 臨海副都心開発は、もともと都民とは無縁なところで、バブルに踊り、総事業費八兆円もかけてオフィス中心の企業都市をつくる目的で計画されたという点でも、計画から建設まですべてゼネコンと大銀行など大企業中心に進められたという点でも、まさに開発第一主義の典型です。しかも、バブルの崩壊を通じてその破綻が明らかになったのに、都民の願いにこたえる計画の見直しは、今日までまともに行われていません。
 三年前の青島前都政のときに基本計画の見直しが行われましたが、その内容は、企業都市づくりの基本方向が継続されただけでなく、土地の無償提供など、今日の都財政投入の道を開いたのです。この見直しによっても、土地利用は進まず、その後も第一次公募企業の中から辞退者が生まれ、第二次公募については、いまだに一社も契約に至らず、第三セクタービルも新たに破綻するなど、事態は一層深刻な方向に向かっているのであります。
 知事は、施政方針演説で、来年度予算案について、すべての施策を見直すことを基本としたといいましたが、臨海開発だけは予算もふえ、新たに有明北地区の埋め立てや、国際展示場の駐車場建設など、資金投入が行われるなど、聖域扱いとなっているのであります。臨海開発にはこれまで三兆円以上も都財政が投入されましたが、今後これにとどまらず、二兆円近くも財政援助が必要とされているのです。
 知事は、危機突破・戦略プランで臨海再整備指針の策定を表明し、あわせて臨海副都心を含めた新たな開発整備ビジョンの策定を指示されましたが、今必要なことは、臨海開発の破綻の現実とその原因を徹底して明らかにするとともに、都財政の際限ない投入の蛇口をしっかりと締めることではありませんか。
 知事、破綻の被害を最小限にとどめるためにも、開発計画の再見直しは、来年を待たずに直ちに始めることが必要です。その際、庁内のプロジェクトにゆだねるのではなくて、情報をすべて公開し、都民参加の再検討委員会を立ち上げて、徹底的な議論を尽くすことが問題解決の本筋であると思いますが、知事の所見を伺います。
 同様に、都民的議論が求められているのが、石原知事が二月二十四日に運輸省に申請書を提出した有明旧貯木場の埋め立て問題です。
 今、吉野川可動堰や愛知万博など、公共事業と自然環境の問題が大きな関心を呼んでいます。この二つの開発計画は、住民投票と国際世論という違いはあれ、いずれも開発優先にノーの答えを出したものですが、有明貯木場の埋立申請の問題も、同様に公共事業を優先するのか、自然環境を守るのかを問われる大きな問題となっています。
 昨年十二月の第四回定例会で我が党はこの問題を取り上げ、知事の姿勢をただしましたが、その後月刊「つり人」で三回連続の特集が組まれたり、新聞でも特集が組まれるなど、大きな関心を呼んでいます。
 また、こうした中で、三月七日には、東京釣り記者会や月刊、週刊の釣りの雑誌社などが後援する、有明貯木場の埋立反対海上デモが計画され、十一日にはシンポジウムも予定されるなど、都民の埋め立てに対する反対の声は急速に広がりつつあります。
 石原知事は、前議会で、ハゼはどこかに移るでしょうと答弁されましたが、この水域がハゼの生息地であるだけでなく、産卵場所でもあることは、港湾局が埋立計画に当たって行った環境調査でも確認されています。とりわけ重要なことは、関係者が江戸前の自然と文化を守れと叫んでいるように、「十六万坪」の呼び名で親しまれているこの有明地区が、東京湾の最も奥に位置し、都心の目と鼻の先に位置していることです。このような都市に近接したところに自然のハゼが生息していること自体が、貴重なものなのであります。
 開発のためならば自然が犠牲になるのは当たり前といわんばかりの知事の発言は、環境保護の視点と大きくかけ離れたものではありませんか。知事、有明北地区をハゼが生息する海として残すことがなぜできないのですか。都民が納得いく回答を求めます。
 また、当初の開発の目的である住宅建設が、都営住宅を初め公共住宅の撤退の中で、事実上破綻したもとで、それでも埋め立てなければならない理由はありません。私は二十八日に運輸省と環境庁を訪ね、このような埋め立てを許可しないように申し入れを行いましたが、運輸省はこれに対して、国は独自に一つ一つよく調査して結論を出すと、慎重な姿勢を示していました。さらに、この埋め立てと区画整理に、今わかっているだけでも千三百億円もの巨額の資金が投入されることも、到底都民の納得が得られるものではありません。
 先日、環境庁は、千葉県の三番瀬の埋め立てについて、埋め立ての必要性に説得力がないとの見解を発表し、周辺の遊休地活用の検討を求めましたが、そもそも九一年に環境庁がまとめた東京湾水域環境懇談会の報告は、東京湾の今後の望ましい水域環境像として、東京湾を将来にわたって利用できる豊かな環境資源として次世代に引き継ぐと表明し、さらに、なぎさ環境の保全、再生方策として、今後、臨海部における新たな空間需要に対しては、この未利用地の有効利用により対応し、開発空間確保のための埋め立ては抑止することを基本とすべきであると、明確に述べているのであります。
 知事、臨海副都心地域ですら未利用地が半分も残されているではありませんか。都民に親しまれている貴重な自然環境を破壊してまで埋め立てを強行しなければならない理由は見当たりません。少なくとも今日の時点に立って、埋め立ての是非について改めて関係者の意見を聞き、都民参加で再検討するのが良識ある判断だと思いますが、どうですか。見解を伺います。
 開発至上主義の転換が求められているもののもう一つが、知事が、国際競争力とか、東京の活力を取り戻すなどとして華々しく打ち上げている、いわば東京改造計画ともいうべき都市開発の問題です。
 この問題でも、知事は、首都圏規模でのメガロポリス構想を提起し、施政方針では、東京圏の広域的な連携の視点を踏まえ、都市像や都市構造のあり方を提起するとした、東京の新しい都市ビジョンを策定すると表明されました。このビジョンの基本的考え方は、集中のメリットなどといって都心部を中心に大規模な再開発を進め、そのための外環道を初めとする三本の環状道路などの広域的なインフラ整備を進めようとするものであります。
 既に、区部では、八六年に区内全域で計画的な再開発が必要な地域として定められて以来、開発が進められ、バブルの引き金となったことは、記憶に新しいところであります。現在、再開発を促進する地区だけでも三百十四カ所、面積で一万ヘクタールに及び、これに誘導地区を加えると、六百四十三カ所が再開発の対象として挙げられているのであります。オフィス面積で見ても、この十五年間に二倍にふえ、就業人口も五十九万人増加しています。
 また、都心部の再生の一環として知事も提案をしている、大手町・丸の内・有楽町地区の再開発は、これまでの高さや容積の規模を取り払い、丸の内では現在のビルを二百メートル級の超高層ビルに建てかえるもので、就業人口の点でも、自動車の流入の点でも、大規模な都市集中を呼び起こすもので、都心への集中と過密を促進するものにほかなりません。
 このような都市ビジョンを進めるならば、都心部へのさらなる業務機能の集中が進み、都民を苦しめる住民の追い出しや産業の空洞化、大気汚染などの公害、遠距離通勤地獄、高家賃などをもたらすことにしかなりません。
 同時に、今、区部で今後整備が必要とされている都市計画道路は、総延長で七百キロ以上、事業費では二十兆円を超えるものとされています。このうち、九二年から着手された前期事業化分だけで、総事業費で八兆円とされているのです。このように、大規模な都市開発は、いずれ道路や交通機関、上下水道などインフラ整備を必要とし、都財政への大きな負担を避けがたいものとすることも、直視しなければなりません。
 知事のいう都市開発は、国際競争力とか東京の活力などというものの、その内容は、都市問題を激化させ、バブル崩壊とともに破綻したかつての開発と同じものといわざるを得ません。今、こうした開発至上主義から脱却することこそ、求められているのではありませんか。見解を伺います。
 次に、東京の自動車公害についてです。
 ことしに入って、長年の間争われてきた尼崎の公害裁判が結審し、国の道路管理者の責任を問うとともに、住民の差しとめ請求を認めるという画期的な判決が出されました。この点について知事は、施政方針演説で、国の責任を認めた画期的なものとされ、改めて行政の迅速な対応がいかに重要であるかを認識しましたと、この問題についての認識を表明されました。
 西淀川、川崎に続く自動車公害に関する裁判で相次いで原告が勝利し、道路管理者の国や自治体の責任が明らかにされましたが、この太い流れはだれも押しとどめることはできないものであります。
 また、東京都が被告となっている東京公害裁判は、来年結審が予定されており、まさに今度は東京都が問われるものであります。
 そうした中で、知事は、交通需要マネジメント東京行動プランを発表し、自動車対策の一定の方向を打ち出すとともに、ディーゼル車対策として、自動車排ガスの中でとりわけ危険な浮遊粒子状物質、すなわち、SPM対策としてDPFという除去装置の義務づけを提案しました。
 そこで、何点か絞って伺います。
 確かに知事が提案されたDPF装置は、浮遊粒子状物質の除去に役立つものですが、問題は、高額な装置を経営力の乏しい中小業者にも機械的に適用することの問題です。装置自体は大量普及によって価格も下げられるわけですから、当面、中小業者への助成を実施し、誘導すること、また、ガソリン車への買いかえを促進するための税制を含めた措置が必要です。乗用車についても同様の措置が必要と考えますが、所見を伺います。
 同時に、公害患者や専門家から指摘されているのは、現在のDPFでは、ぜんそくなど一番健康に被害を与える二・〇マイクロメーター以下などの超微小粒子はフィルターにひっかからず、除去されないという問題です。
 この点では、知事が当初いわれていた、軽油の中の硫黄分を除くことや、黒煙の発生を抑えるための芳香族炭化水素を除去することが、より根本的解決につながります。既にヨーロッパでは、硫黄分が五〇ppm以下の軽油が当たり前になっています。
 知事、硫黄分と芳香族炭化水素を除去した軽油の開発が急がれていると思いますが、具体的な行動に立ち上がる考えはないのですか。答弁を求めます。
 もう一つ尼崎裁判に学ぶべきは、道路管理者としての責務を果たすということであります。
 その点では、東京裁判についていたずらに争うのではなく、率直に責任を認め、自動車公害の抑制と公害患者の救済に全力を尽くすのが本来ではありませんか。
 私どもは、現地の尼崎に行き、原告訴訟団の話を聞いてきました。その際強調されたことは、判決が、身体権、すなわち生命、身体を脅かされない人格的利益に基づく人格的請求権を認めたことの重要性であり、公共性は、この身体権よりまさるものではないという画期的な判決であったということです。
 したがって、東京都の道路行政についても、改めて基本的に見直すことが迫られているのであります。今でさえ環境基準を大幅に上回っている目黒区大橋地区を抜ける首都高速中央環状新宿線や、住宅地を貫通する外環道路、高尾の自然を破壊する圏央道など、いわゆる三環状道路について、この判決の立場に立って都民参加で見直すことが、東京都の責任ある態度であると考えますが、見解を求めます。
 また、この判決を画期的だと評価するのであれば、大気汚染健康被害医療費助成に一部負担を導入するなどは、到底提案できるはずがありません。
 知事、一部負担の導入はやめ、公害患者の切実な願いにこたえて、年齢制限の撤廃を目指し、当面、二十歳未満まで引き上げることこそ自治体の責任ではありませんか。答弁を求めるものであります。
 最後に、憲法と平和の問題について伺います。
 ことしは二十世紀最後の年であります。二十世紀は、人類にとって二度にわたる筆舌に尽くしがたい戦争を引き起こした世紀であるとともに、そこから教訓を酌み取り、平和と民族独立、基本的人権などの点で歴史を大きく前進させた世紀でもありました。
 我が国においては、アジアと世界の諸国民に多大な被害を与えたあの侵略戦争の痛切な反省と決意に立って日本国憲法を制定し、戦後日本のよって立つべき立脚点としてきたのであります。
 この憲法の諸原則は、今日いよいよ輝きを増しています。とりわけ憲法前文と九条に示された戦争放棄、恒久平和の原則は、世界的にも先駆的なものであり、二十一世紀を目前に控えた今、世界的にも注目が寄せられています。昨年、オランダのハーグで行われた平和市民会議は、各国議会は日本の憲法九条のように戦争放棄宣言を採択することを呼びかけました。
 しかるに、知事は、雑誌のインタビューで、第九条というのは話にならない、きばを抜かれたのが九条だよなどといい、だから現憲法は破棄した方がよいと公然と述べたのであります。これは、平和を願う都民への重大な挑戦であり、都知事としてあるまじき発言であります。
 知事、問われているのは、あなたが個人としてどのような思想を持つかではなく、都民の代表である知事としての発言はどうあるべきかということです。
 憲法第九十九条では、天皇や国務大臣を初め公務員は「憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」と規定しています。都知事となったからは、この憲法尊重擁護の義務を守り、節度と責任ある発言に徹するべきではありませんか。答弁を求めます。
 首都における平和の最重要課題の一つが、米軍横田基地の問題であります。
 知事は、横田基地の問題で、アメリカに行って次期大統領候補に会って話し合ってくることを記者会見で表明しました。それが実現されるなら一歩前進ですが、問題は、何を要請するかであります。
 私は、知事が、都民の願いを踏まえ、次の三つの内容で要請するよう提案するものであります。
 第一は、横田基地の撤去であります。
 先日発表された米国防報告は、日本との軍事同盟関係がアジアの安全保障のかなめだとして、今後十五年から二十年、東アジア・太平洋地域に米軍十万人体制を維持すると述べています。これは、二十一世紀の奥深くまで横田基地などを維持し続けるという立場の表明にほかなりません。基地永続化につながりかねない軍民共用使用などではなく、今こそ返還をきっぱり求めるべきです。
 第二は、米空母艦載機の離発着訓練の中止であります。
 今月の十五日から三日間、東京都と周辺市町連絡協議会の再三の中止要請にもかかわらず、夜間のみという通告を超えて昼間も訓練を行い、高校受験期の子どもたちなどに多大な被害をもたらしました。住宅地での低空飛行訓練やNLPは、アメリカ国内では認められていません。厚木基地周辺住民の分も含めて、NLP即時中止の緊急かつ切実な願いを突きつけるべきであります。
 第三は、思いやり予算の強要をやめさせることであります。
 今、アメリカは、思いやり予算を取り決めた特別協定の期限切れである来年三月を控え、その継続を要求し、日本に猛烈な圧力をかけています。思いやり予算を継続することは、米軍が横田に居座り続けることと一体のものであり、この不当な要求はやめるよう迫るべきであります。
 以上三点について明確な答弁を求めて、私の質問を終わります。
 なお、答弁によっては再質問を留保いたします。(拍手)
   [知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 秋田かくお議員の代表質問にお答えいたします。
 今回の都の外形標準課税の対象についてでありますが、銀行業に特有の事業の状況に着目したためであり、都独自に銀行業以外に拡大することは考えておりません。
 また、対象を資金量五兆円以上の銀行業に限定することとし、中小金融機関に対する配慮を行ったところでございます。
 次いで、福祉施策の見直しについてでありますが、福祉施策のあり方については、ご紹介いただいたお手紙とも異なる意見もたくさんございまして、さまざまな声をいただいております。
 それらを踏まえた上で、私は、活力に満ち、安心して暮らせる東京を築くためには、昭和四十年代に骨格ができ、その後、抜本的に見直されることのなかった都の福祉施策について見直し、在宅サービスを中心とする福祉サービスを充実し、新しい時代に適合する福祉施策の展開を図ることが必要であると決意いたしました。
 現行制度のまま施策を継続した場合、増大するニーズに十分こたえられないばかりか、社会の活力を損なうことにもなりかねず、将来に大きな禍根を残すこととなると思います。
 福祉改革に向けて、今回の見直しは重要な意義を持つものであり、ぜひとも実施したいと思っております。
 シルバーパスの利用者負担額についてでありますが、バスの負担額については、従来から規則で定めてきました。
 負担額を改定するに当たっては、バス事業を取り巻く状況の変化、利用実態等を総合的に判断していきますが、いずれにしても、今後、都議会における予算審議を経て決定されるのであります。
 シルバーパスの見直しについてでありますが、今回の見直しは、制度を存続させるためにこそ見直すものでありまして、その内容は、都民の方々に十分ご理解いただける範囲と考えております。
 見直しにより負担いただいた財源については、コミュニティバスの導入や高齢者の……(発言する者あり)ちょっと聞きなさい、ちゃんと。見直しにより負担いただいた財源については、コミュニティバスの導入や高齢者の雇用の確保などに充てるものであり、高齢者の社会参加の支援策が質、量ともに充実される見込みでございます。
 マル福の廃止についてでありますが、本制度は、高齢者の保健、福祉の向上を図るため、昭和四十四年に先駆的に実施し、現在に至っております。
 この間、年金制度や医療保険制度が充実されたこと、そしてまた、若年世代との間に負担の不公平が生じていること、また、高齢者への医療費の助成が、国の老人保健への負担分を含め七百五十二億円と、高齢者福祉予算の約三分の一を占めるようになり、新たな施策の展開を困難にしていることなどの課題が生じていることから見直すことにいたしました。
 医療費の負担増は、受診抑制を招き、早期発見、早期治療に逆行するとお尋ねですが、老人医療費助成制度の見直しに当たっては、現在の制度対象者には引き続き助成を行い、六十四歳の方は平成十四年七月から、六十三歳の方は平成十六年七月から助成の対象とし、これらの方々が国の老人保健法の対象となる平成十九年六月まで制度を維持することといたしました。
 老人福祉手当制度の見直しでありますが、老人福祉手当は、在宅での介護サービスが不十分な昭和四十年代に、特別養護老人ホームなどの施設入所者に比べ受けられるサービスに格差があることから創設され、年々増額されてきました。
 現在は、当時に比べ、在宅サービスが大幅に充実されていることに加え、四月から実施される介護保険制度により、介護が必要な高齢者には必要なサービスを提供する仕組みができることなどから見直しを行うことといたしました。
 障害者施策の見直しについてでありますが、これは、社会経済状況の変化や国の施策の充実を踏まえ、負担の公平などの観点から、低所得者に配慮しつつ、所得基準の適正化など必要な見直しを行ったものでございます。
 老人福祉手当制度の見直しの時期についてでありますが、老人福祉手当は、介護保険制度と政策目的が重複することから見直し、その施行日を、介護保険制度の施行日である平成十二年四月一日といたしました。
 見直しに当たっては、これまで、所管局を通じ、区市町村に対して見直しの趣旨と内容について十分説明し、理解を賜ってきています。
 福祉施策の見直しへの都民合意についてでありますが、見直し内容の決定に当たっては、都議会でのご議論、都議会各会派の皆様からいただいた具体的な提案、区市町村や関係団体からの要望や都民の声などを十分に考慮し、低所得者への配慮や激変緩和のための経過措置などを講じることといたしました。同時に、新たに策定した福祉改革ビジョンなどに基づき、福祉サービスの格段の充実を図ることにいたしました。
 今回の取り組みは、こうした経緯を経て実施するものであり、必ずや都民の理解を得られるものと確信しております。
 財政危機の要因についてでありますが、都は、景気が後退し、都税収入が大幅に減少する中、都民要望にこたえ、公共投資を中心に、喫緊の課題である景気対策を行うと同時に、経常経費についても、都民サービスの水準を確保するため、基金等の財政の対応力を活用しつつ、歳出水準の維持に努めてまいりました。
 その後も都税収入は依然として回復せず、また、歳出面においても、投資的経費は財政状況に応じ大幅に減少したものの、経常経費の見直しは十分とはいいがたい状況にあります。
 こうしたことから、現在危機的な財政状況が続いているものであって、その要因のすべてを公共事業のみに求めるのは、いかにも短絡的で、正確な認識とはいいがたいと思います。
 投資的経費の予算計上についてでありますが、十一年度最終補正予算については、いまだ本格的回復に至っていない経済情勢に時機を失うことなく対応するため、国の経済新生対策の実施に伴う第二次補正予算などにあわせて、経済の活性化や貸し渋り対策などに取り組んだものであり、ご指摘は全く当たらないと考えております。
 財政運営の方向性についてでありますが、財政構造改革を推進するためには、経常経費、投資的経費を問わず、都の行うすべての施策について聖域のない見直しを行う必要がございます。
 投資的経費については、事業の重点化を一層進めることなどにより、都の財政力で対応可能な範囲に抑制したところでございまして、都債についても、世代間の負担の公平性に配慮しつつ、将来の財政負担の軽減を図るため、大幅な減額を行いました。
 臨海副都心開発についてでありますが、現行の臨海副都心まちづくり推進計画は、学識経験者や都民などで構成された懇談会での検討や、都民からの意見、さらには都議会における臨海副都心開発特別委員会での精力的な議論などを踏まえて、平成九年に策定されたものと聞いております。
 現在、臨海副都心は、道路、公園等の地域内都市基盤の約八割が完成し、施設の建築工事が進みつつあるとともに、多くの来訪者でにぎわっており、まさに東京の新しい名所となっております。
 臨海副都心開発は、首都東京の活力と創造力を生み出す新しい重要な事業であり、今後とも一層発展させる方向で着実に推進してまいります。
 有明北地区をハゼが生息する海として残すことについてでありますが、マハゼは、東京湾のほぼ全域において生息する魚でありまして、成長に伴って移動しており、貯木場であった有明北地域が唯一の生息地ということでは決してございません。
 また、産卵場所としての機能も、東京港の他の水域と比べて高くないことが、環境影響評価の中で明らかにされております。
 以上のことから、東京港全体から見れば、マハゼは十分生息していけるものと考えております。
 なお、埋め立てに当たっては、現在の水域の三分の一強を残すとともに、ハゼのえさともなるカニ等の生息に配慮した新たなタイプの護岸を整備する等、水生生物に対する環境対策を十分に行うこととしております。
 有明貯木場の埋め立てを都民参加で再検討すべきということでありますが、現行の埋立計画は、都民も参加した懇談会や都議会の特別委員会の十分な論議も踏まえ、平成九年に埋め立ての規模縮小などの変更をして決定したものであります。
 これを受けて、港湾計画の変更や環境影響評価の手続を順次行うとともに、地元地権者や区の合意を得て埋立免許手続を進めてまいっております。
 このように、既に都民の声を十分踏まえた論議を行って既に策定した計画であり、ご指摘のように再検討を行う考えはございません。
 この事業は、住・商・業の多様な機能を備えた活力あふれるまちづくりを進めるために、また、東京全体の交通ネットワークの整備のためにも欠かせないものであり、計画どおり着実に推進してまいります。
 都市開発についてでありますが、国際的な都市間競争が激化して、少子高齢化が進む中で、首都東京を引き続きアジアを代表するグローバルプレーヤーたる都市としていくことが、我が国経済社会の発展に不可欠であると思います。
 このため、道路、鉄道など都市基盤施設の効率的、重点的整備を進めるとともに、民間活力を活用しながら、都心部の機能更新や臨海地域の再編整備など、戦略的な都市づくりを展開していくことが重要だと思います。
 こうした取り組みにより、東京が持つ潜在的なエネルギーを引き出しつつ、魅力のある国際都市を目指して、東京の再生を図っていくつもりでございます。
 次いで、硫黄分等を除去した軽油の開発についてでありますが、私もかねてから申してきましたように、今後、ディーゼル車の排ガス対策を一層強化していくためには、硫黄分や芳香族炭化水素の引き下げ等、軽油そのものの品質向上が必要であります。
 都は、昨年既に、国に対して軽油引取税を蔵出し課税方式に改めるよう緊急要望もいたしましたし、国及び非常に政治力のある石油連盟に対しては、硫黄分引き下げの早期実施を要求しましたし、都としてそれに係るコストの計算もしております。それほどの負担には決してなりません。
 今後も、軽油の品質向上が早期に実現されるよう、関係機関に強く働きかけてまいるつもりでございます。
 三環状道路の整備の見直しについてでありますが、自動車公害の防止については、ディーゼル車を初めとする自動車の排出ガス規制など発生源対策とともに、交通渋滞を緩和させる道路ネットワークの整備が必要であります。
 特に、三環状の整備は、都心部に流入する通過交通を迂回、分散させ、自動車交通の円滑化や環境負荷の低減を図る上で不可欠であります。
 今後とも、都民の理解を得ながら、首都圏の均衡ある発展に向けて積極的に三環状の整備促進を図っていくつもりでございます。
 憲法の尊重擁護でありますが、私は、憲法がうたっている基本的人権、平和、あるいは環境というものについては全く異存がございません。この精神を遵守することは必要でありますが、それをうたっている、外国人がつくり、二晩で翻訳した非常に醜悪な日本語には、私は全く感心をいたしません。
 例えばこういう文章がありますな。全世界の国民が恐怖と欠乏から免れ――これ日本語じゃないですよ。(発言する者あり)どこが間違っていますか。(発言する者あり)そうです。これは、私は、晩年の白洲次郎さんにかわいがられまして、吉田茂の側近中の側近で、担当渉外やった人ですけれども、あの人は、おれはむしろ日本語より英語の方がうまいと。あの人はケンブリッジの卒業生で、その人が、二晩でおれたちが訳したこんな日本語の文章が正しいわけはない、いずれ独立をかち得たら、日本人はさっさと直すだろうと思ったけれども、どういうわけか知らぬが、いまだに直さない、ばかだねえ日本人はといってましたな。私は、それが本当の見識だと思う。
 あなた方の先輩は、この日本国憲法を採択した国会で反対していたじゃないですか。熱烈に反対したじゃないですか。特に九条は絶対反対だったじゃないですか。いつ変わったんですか。いつ、あなた方は。(発言する者多し)
 横田基地の返還を米側に求めることについてでありますが、横田基地についての都の最終目標は、あくまで返還であり、今後とも、都民や都議会と協力しながら、国に対して返還を求めてまいります。
 返還までの対策として、首都圏の航空需要や地元の振興に資するためにも、横田の軍民の共同利用の促進について、内外の世論を形成、喚起しながら、国への働きかけを強化してまいります。
 NLPの即時中止を求めることについてでありますが、周辺住民の平穏で安全な生活を妨げる米空母艦載機の着陸訓練については、都は従来から、横田基地と厚木基地における訓練の全面中止を国や米軍に要請してまいりました。
 今回の訓練についても、中止を要請し、実施に対しては既に強く抗議も行っております。今後もこれを続けます。
 それから、思いやり予算、これは変な名前でありますが、これは金丸さんがいい出した話でありますけれども、ここらの考え方は、私は、従来の自民党の政府とちょっと違いまして、ドイツや韓国では、つまり、米国に使用料を求めるぐらいの態度で臨んで条件交渉をしてきた。日本の場合はなぜか、ばかばかしい話ですけれども、つまり、アメリカの世界戦略遂行、これは必要であります、日本にとっても必要なことでありますけれども、その協力の中で、膨大な基地を提供し、施設を、便宜も図っている日本が、それプラスお金を出すということはちょっと面妖な話でありまして、これは私は納得できません。
 私は、個人的にも、今までこういう予算の形成に反対してまいりましたが、私は、米軍の世界戦略の遂行に、基地を提供するだけでなくて、それに、例えば、日本とアメリカの同じランクの将校の生活条件が格段に違う、その保障を、日本の国民の財産を使って、税金を使って行うというこういう協力は、果たして日米両方がいっているイコールパートナーシップにふさわしいかどうかということに非常に疑義を持っております。
 なお、その他の質問については、関係局長から答弁いたします。
   [主税局長大塚俊郎君登壇〕

○主税局長(大塚俊郎君) 法人関係税の減税についてでございますけれども、平成十年度及び平成十一年度の減税は、大法人のみならず、全法人を対象として、法人課税の税率を国際的な水準に引き下げることを目的に行われたものであります。
 その結果、国、地方を合わせて、平年度ベースで、平成十年度は約四千億円、平成十一年度は約二兆五千億円の減税が行われました。
 平成十一年度につきましては、その補てん措置として地方特例交付金が創設されましたが、これらの減税が地方財政に一定の影響を与えたことは否定できません。
   [高齢者施策推進室長福祉局長兼務神藤信之君登壇〕

○高齢者施策推進室長福祉局長兼務(神藤信之君) 三点のご質問にお答えします。
 まず、福祉改革ビジョンで示した包括補助制度についてでございます。
 福祉改革は、サービス提供を担う区市町村が、福祉サービスの質、量の向上に主体的に取り組んでいただくことで初めて実現できるものと認識しております。
 こうした趣旨から、新たに設ける福祉改革推進補助事業につきましては、区市町村の先導的、先駆的取り組みを支援する制度としていきたいと考えております。
 次に、介護保険制度に関しまして、保険料、利用料の減免を独自に行う自治体への支援についてでございますが、介護保険法では、保険者は、条例で定めるところにより、保険料を減免することができ、また、利用料については、負担が著しく高額にならないよう、高額介護サービス費支給などの仕組みが用意されております。したがいまして、保険者である区市町村が、地域の実情に応じて保険料を減免し、または独自に利用料の助成措置を講じることは、みずからの判断と責任において行うべきものと考えます。
 次に、同じく区市町村への財政支援についてでございますが、介護保険制度では、都は、広域自治体として総給付費の八分の一の負担と、財政安定化基金への拠出など現行制度を上回る経費の財政負担をすることになります。
 地域の実情に応じた区市町村の独自の対応は、そのための財政負担を含め、保険者としての判断と責任において行うべきものと考えます。
   [衛生局長今村皓一君登壇〕

○衛生局長(今村皓一君) 医療関係の三点の質問にお答えいたします。
 まず、難病患者や精神障害者に対するホームヘルプ事業についてのお尋ねでございます。
 これらの事業は、在宅の難病患者等の療養や自立を支援するため、区市町村を実施主体としてホームヘルパーを派遣しているものであり、事業開始以来、毎年、都はホームヘルパーの養成研修を行うとともに、区市町村と連携し、実施地区の拡大に努めてまいりました。
 ご指摘の平成十二年度予算案については、これまでの実績を踏まえ、必要な額を計上したものであり、今後とも、区市町村の取り組みを積極的に支援し、実施地区の拡大を図ってまいります。
 次に、多摩地区におけるリハビリテーション病院についてのお尋ねでございます。
 都は、これまで、東京都リハビリテーション病院の設置、都立病院における専門病床の整備、民間病院に対する整備費補助などを行い、リハビリテーション医療の充実に努めてまいりました。
 一方、介護保険制度の実施などにより、リハビリテーション医療を取り巻く環境は大きく変化しており、今後設置する東京都リハビリテーション協議会において、実態調査を踏まえた幅広い検討を行い、多摩地域を含めたリハビリテーション医療体制の整備を図ってまいります。
 次に、大気汚染医療費助成制度についてのお尋ねでございます。
 都の医療費助成制度は、発育途上にある年少者に適切な受療の機会を提供することを目的としており、引き続き現行制度を維持してまいります。
 また、他の医療費助成制度との均衡等の観点から、入院中の食事代の負担をお願いしたものでございます。
 今後、大気汚染の原因者の責任を明確にした上で、原因者責任と適正な負担のあり方や救済すべき対象の範囲と認定の方法など、制度全般にわたる総合的な見直しを検討してまいります。
   [住宅局長戸井昌蔵君登壇〕

○住宅局長(戸井昌蔵君) 都営住宅家賃の減免制度の見直しについてお答えいたします。
 今回の見直しは、受益者負担の観点から、応益性や負担能力を正しく反映させるとともに、適正な維持管理を行うことを目的としているものでございます。
 検討に当たりましては、居住者の生活実態を十分考慮するとともに、都民や学識経験者の意見も参考にいたしまして、案を取りまとめたものでございます。
   [環境保全局長齋藤哲哉君登壇〕

○環境保全局長(齋藤哲哉君) ディーゼル車対策におけるDPF装置の導入やガソリン車等への代替の誘導措置についての質問にお答えいたします。
 DPF装置につきましては、今後の普及の拡大によって、より低廉な価格になると考えておりまして、ディーゼル車からガソリン車等への代替を奨励する融資あっせんとあわせまして、新たに中小事業者向けの融資枠を設定することとしております。
 また、乗用車を含むディーゼル車排ガス対策を一層強化していくために、今後とも、国に対して軽油の優遇税制の改正などを強く要望してまいります。

○副議長(五十嵐正君) 百二十七番秋田かくお君。
   [百二十七番秋田かくお君登壇〕

○百二十七番(秋田かくお君) 三点について再質問いたします。
 第一に、知事は、シルバーパスについて、制度を存続させるためにこそ見直すのだと、こう答えられました。しかし、仮に非課税の人七十万人に千円のパスを押しつけて、こういうことをやめても無料を維持するとしたら、都の収入が減る分は七億円です。都の予算は六兆円ですから、七億円の収入が減るからといって、どうしてシルバーパスの制度が存続できないのか、都民にわかるようにもう一度答えていただきたい。
 第二に、有明北地区が、東京港に残された貴重な江戸前ハゼの生息地であり、釣り場であることは厳然たる事実であります。巣穴が少ないといったり、産卵場所が少ないといったり、意図的に特定の時期だけを比較した結果にすぎないのであります。知事は、有明北地区がハゼの唯一の生息地ではなくて、東京湾全体から見れば十分生息していけるなどと埋め立てを合理化しました。しかし、ほかにもあるから、この自然はつぶしてもよいという知事のそのような考え方こそ、自然破壊の危機をもたらすものとして、今、世界でも日本でも批判されている中心点です。元環境庁長官として、こうした考え方を断ち切る決断をすべきではありませんか。もう一度明確にお答えをいただきたい。
 第三は、憲法問題について、私が聞きもしないことを答えましたが、私が聞いたのは、知事が、憲法尊重擁護の義務を守るのか守らないのかを聞いたのであります。雑誌で知事の憲法発言は、九条を否定し、憲法の破棄を求めたもので、あり方を議論したなどという生易しいものではありません。憲法の擁護尊重の義務に反するのは明らかです。
 また、行政権力を行使する公務員が憲法尊重擁護の義務を負うのは、近代国家の大原則です。憲法尊重擁護の義務を守るのか、もう一度はっきりとお答えいただきたい。
   [知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) シルバーパスなるものは、高齢者に対する一つの優遇の措置でありまして、便宜供与でありまして、それそのものをすべて廃止するわけではない。ですから、それを存続するために幾分のご負担を願う。そして、負担いただいた財源については、先ほど申しましたように、他の手段であるコミュニティバスの導入や、あるいはそのいろいろ手続をする高齢者の雇用の確保などに回すものでありまして、私は、単にシルバーパスを運用するだけじゃなしに、これをこういう形へ変えることで、もっと幅の広い高齢者に対する支援の対策になると思っております。
 それから、共産党にかくも多くのハゼの支持者がいるとは知りませんでしたが(笑声)私はいろいろデータをとったわけで、決して環境破壊にならないと確信を持って、あそこの一部埋め立てをするわけであります。
 それから、憲法は、あなた、文章を守るんじゃない。その理念を守ればいい、理念を。それを表現するために、拙劣な文章をなるたけ変えろといっているんですよ。大体、あなた方の先輩は、そういうことで反対したじゃないですか。自分の党の歴史を忘れないで物を考えなさいよ。(発言する者あり)

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