平成十二年東京都議会会議録第二号

   午後一時開議

○議長(渋谷守生君) これより本日の会議を開きます。

○議長(渋谷守生君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(渋谷守生君) これより質問に入ります。
 百十三番川島忠一君。
   [百十三番川島忠一君登壇〕

○百十三番(川島忠一君) 私は、東京都議会自由民主党を代表して、都が直面している都政運営の重要課題について質問いたします。
 我が国経済は、戦後最悪という深刻な不況の中で、一昨年来、自由民主党が政府と協力し、全力で取り組んできたさまざまな景気対策の効果により、緩やかな改善が見られ、三年ぶりにプラス成長への転換が予測されるまでに至っております。
 我が会派は、この基調をさらに前進させ、日本経済が民需を中心として、平成十二年度後半には、景気が本格的な回復軌道に乗り、国民生活が明るく夢のある二十一世紀を迎えることを期待しております。
 しかし、現下の都政は、依然として過去に類を見ない厳しい環境にあることは、改めて申し上げるまでもありません。そのような中で、石原知事が誕生し、この一年間、知事は、新しい発想と強いリーダーシップで、職員の意識改革を進め、内部努力と事業の徹底的な見直しと施策の再構築とのバランスをとりながら、財政構造の転換を推進してまいりました。 厳しい職員給与の削減、前年度を上回る職員定数の削減などの内部努力とともに、事業の見直しでは、福祉施策の再構築に象徴されるように、財政再建に取り組む中で、単なる見直しではなく、低所得者等への配慮や区市町村の自主的な福祉施策に対する財政支援など、新たな行政需要、社会経済動向を的確に見据えながら、財政再建団体への転落を回避し、これからの都政が目指すべき道筋をつけられました。
 また、地方税財政制度の改善については、義務教育教職員給与費等国庫負担金の改善がなされました。この成果は、制度の改善に向けた第一歩にすぎませんが、知事は、さらなる制度改革を目指し、本定例会に、銀行業に対する外形標準課税を導入する条例を提案しております。
 この提案は、一自治体だけの問題ではなく、首都の知事として、また、全国自治体のリーダーとして、地方が活性化しなければ、中でも東京がよみがえらなければ、日本の再生はあり得ないとの不退転の決意をあらわしたものと思います。
 東京が行動を起こさなければ、日本の構造改革は進まないのであります。そのために、東京都の執行機関と議会が、両輪としての本来の役割を確実に果たすことにより、地方の自主権の確立を牽引し、このことがとりもなおさず都財政を再建し、一千二百万都民の皆さんの、真に豊かで安全な生活を実現させ、日本をよみがえらせる原点であると確信するものであります。
 しかし、都財政の再建への道は、その緒についたばかりであり、今回の外形標準課税導入に当たっての各界の反応を見るまでもなく、その道のりは非常に厳しく、困難なものでありましょう。
 この困難を乗り越え、見事に都財政の再建が成り、石原知事が植えた苗が花開くことが、都民のだれしもが期待するものであります。その成否は、就任二年目を迎える知事の手綱さばきが左右するといっても過言ではありません。
 そこで、まず知事に伺います。
 一千二百万都民、議会、職員との関係について、知事が就任して一年が経過しようとしている今、就任前と比較したとき、どのような感想をお持ちか、忌憚のない思いをお聞かせください。
 また、今後の都政の羅針盤として、二年目に向けての石原知事の力強い決意をお伺いいたします。
 平成十二年度予算は、知事が就任して初年度に当たる重要な予算であり、石原知事にとっても初めての予算編成であります。それは、何としても財政再建団体への転落だけは阻止しなければならないという、知事自身の強い決意と力量が求められた予算と推察されます。
 一方、我が会派は、昨年暮れ、「福祉施策の新たな展開」について、また、本年一月には、医療費助成制度の見直しについて、石原知事に緊急要望を行いました。これに対し、知事は、我々の主張、意見に真摯に耳を傾けられ、都民の生活実態を踏まえた強い思いを託した我が会派の要望を、都財政の危機的状況の中にあっても全面的に受けとめられ、本定例会への平成十二年度予算案の提案となりました。
 そこで、まず、平成十二年度予算編成に対する知事の基本的な考え方を伺います。
 また、知事は、今回の予算案を発表した記者会見の席上で、予算のできばえを相撲に例えて八勝七敗と述べているが、その真意は何か、伺います。
 次は、我が国の現下の社会経済状況の中で、最大の課題は景気対策であります。
 東京都においても、景気の回復は緊急の課題であります。個人消費はいまだに足踏み状態が続いており、雇用情勢も失業率が高水準で推移している状況の中では、中小企業対策や公共投資による景気刺激策が求められております。
 景気回復を確実なものとし、我が国経済を活性化させるためには、公共投資の効率と効果を最大限に発揮させる必要があります。とりわけ、首都東京を中心とした大都市地域に集中的に公共投資をしてこそ、限られた財源の有効活用につながるものであり、回復基調に乗りつつあるこの時機を逃してはならないと考えます。
 そこで、国の景気対策である経済新生対策については、どのような対応をしているのか伺います。
 また、十二年度当初予算案では、景気対策にどう取り組んでいられるのか、お尋ねします。
 先般、自治省は、平成十年度の都道府県決算を発表しました。それによると、普通会計全体で実質収支が二十年ぶりに赤字となり、とりわけ、一千億円を超える巨額の赤字を計上した都を初め、神奈川、愛知、大阪が十七年ぶりに実質収支で赤字に転落しております。
 ちなみに、十年度決算で生じた一千億円を超える赤字は、四千億円を超える都税の大幅な減収に伴う財源不足に対し、さまざまな財源対策を講じてもなお財源不足が生じたためのものと思いますが、これだけ巨額な赤字を短期間に解消できる見通しは立っているのでしょうか。
 現に、今年度の最終補正予算案は、景気対策や雇用対策のほかは、都税の減収見込みに合わせた一般財源の減額修正であり、実質収支の赤字解消策は何ら措置されていないのであります。
 そこで、十一年度決算では、十年度決算で生じた一千億円の赤字はどうなると見込んでいるのか、知事の所見を伺います。
 仮に、十一年度の執行において、効率的かつ効果的な事業運営や歳入の確保が図られたとしても、赤字一千億円の大方は翌年度に繰り越されると考えざるを得ません。
 今回の十二年度予算案では、施策の見直しや再構築によっても、なお不足する財源を確保するための臨時的な対策を講じておりますが、これも、もはや限界であり、新たな赤字解消策を講じるまでには至っておりません。
 都庁内からは、ひとまず予算が編成できたことをもって、安堵の機運も感じられるが、都財政がいまだに危機的な状況に置かれていることには変わりなく、財政再建までの道のりは、まだまだ長く険しいものであると考えているのは、私だけではないはずであります。ぜひ知事は、確実な財源確保により一層積極的に取り組まれることを、強く要望しておきます。
 次は、施策の見直しについてでありますが、財政再建団体への転落を回避することは、当面の条件整備にすぎません。都財政が強固な基盤を築き、都民の要望に柔軟にこたえられるような体制を整えるためには、財政構造改革を徹底的に進めなければなりません。
 さきの第三回都議会定例会において、我が党の代表質問で、知事が目指す財政の構造改革は何かについてただした際に、知事は、今までのような右肩上がりの経済成長が望めないという新たな状況の中で、時代に適合した財政体質をつくり上げることの必要性を説き、そのために都と民間、国及び区市町村との役割分担の明確化や、これまでの施策や執行体制の聖域なき見直し、さらに税財政制度の改善の実現などの財政構造改革に取り組むことが、強固で弾力的な財政体質を確立する道であると答弁しております。
 そうした中で今回の予算案では、福祉施策の見直しに当たって、単に予算を削ろうとするということにとどまらず、昨年十二月に行った我が会派の緊急要望を踏まえ、高齢者生活支援ヘルパー派遣制度の創設や心身障害者に対するホームヘルプサービスを充実するとともに、住民に身近な自治体である区市町村が、地域の実情に応じて、主体的、自主的に福祉施策を展開するための包括補助制度の創設などの再構築を図っております。
 十二年度予算においては、こうした福祉施策に限らず、他の分野も含めて、すべての施策について聖域なく見直しを行い、再構築を図ったとしておりますが、今回の施策の見直しにより、財政構造改革はどの程度進んだと認識しているのか、知事の所見を伺います。
 次に、本定例会に、使用料及び手数料の改定案として、四十条例が提案されております。一昨年の定例会に提案された改定案は、長引く不況下において、都民の暮らしに直結する大規模な改定であったこと、簡素で効率的な事業執行のための内部努力が不十分であったことなどを総合的に考慮して否決したものであります。
 もとより私どもは、都民への公平な税の還元という立場から、個別に行政サービスを受ける都民に相応の負担を求めるという、受益者負担の原則そのものを否定するわけではありません。
 特に、今日のように財源が逼迫し、財政の危機的な状況のもとにおいては、公平かつ効率的な税の配分や政策の選択が厳しく問われております。しかし、財政再建推進プランに基づく見直しとはいえ、都民生活に対する影響にも十分配慮しなければなりません。
 そこで、今回提案されている使用料、手数料の改定は、どのような考え方に基づいているのか、知事の所見を伺います。
 次に、税制についてですが、我が会派は、かねてより地方分権を推進するためには、地方団体がいわゆる三割自治から脱却して課税自主権を持ち、地域の自主性に基づいた財政運営を実現することが必要であるとして、都の姿勢をただしてまいりました。昨年の第一回定例会においても、我が会派は、財政再建計画は、当面の財源不足に対応するための方策と、中長期的視点に立って、税源の移譲や課税自主権の拡充などを総合的に考慮して策定されるべきものと考える、と主張しております。
 今回、知事が、課税自主権を行使し、大手銀行に対する外形標準課税の導入を行うとともに、あわせて新築住宅に対する固定資産税等の特別減免を行うこととしたことは、これまでの我が会派の主張にも沿うものであり、評価をしております。
 今回の知事がとった決断については、多数の都民からも、支持が寄せられております。その背景には、停滞した国政に対する不満や地方分権への期待があると考えますが、今回、課税自主権を行使し、東京から新たな税制を発信することの意義をどのように考えているのか、改めて知事のご所見をお伺いいたします。
 ところで、今回の外形標準課税については、大手銀行だけが対象とされている点などをめぐり、さまざまな議論が交わされております。しかしながら、税制の導入は、タイミングが重要であり、都の財政再建を図るためには、もう待つことはできないという切迫した状況の中で、今回の措置は、まさに知事の英断であったと考えております。
 そこで、知事を支持する多くの都民の声にこたえるためにも、今回、特に銀行業に対し外形標準課税を行うに至った基本的な考え方について、改めて知事の明快な答弁をお願いするとともに、実現に向けての知事の決意をお尋ねいたします。
 十二年度予算案は、財政再建の達成に向けて確実な第一歩を踏み出す予算と知事が発表しているように、都の財政再建に向けた取り組みに緒をつけたものであると考えられます。しかしながら、なお三千二百億円もの財源不足に対し、時限的に実施する職員給与の削減や減債基金への積み立てを一部見送るなどの臨時的な財源対策を講ぜざるを得なかったとのことであります。
 知事は、こうした財源対策を、サンタクロースからの贈り物と評しましたが、こうした贈り物をいつまでも当てにすることはできません。
 十二年度予算編成に向けて行ったさまざまな取り組みについては、今回の成果をもってよしとするのではなく、引き続き財政構造改革を進めなければならないと考えられますが、知事の決意を伺います。
 次に、行政改革について伺います。
 来るべき二十一世紀には、世界の人口の約半数が百万人以上の諸都市に集中するといわれています。こうした中で、時代のリーダーたるべき大都市の役割は、ますます大きくクローズアップされてきております。
 世界有数の大都市である我が東京を、今後とも持続的に発展させ、ますます魅力ある都市としていくためには、よりよい大都市行政、大都市経営を推進していくことが強く求められています。我が会派は、このことにこたえる新たな自治の形を創造し、都から全国に発信していくことが、自治体のリーダーたる都の責務であると考えます。
 そのためには、我が会派は、かねてより、財政再建を含む今日的な改革には速やかに対応するとともに、東京の将来像を見据えた中長期的な視点での改革、いわば、都政百年の計のグランドデザインを描いていくことが、極めて重要であると主張してきたところであります。そして、特に中長期的改革については、腰を据えて十分な議論を重ね、都民、議会等の理解を得て進めなければならないものと考えます。
 先日行われた施政方針演説の中で、知事は、都政の抜本的改革の姿を示す都政改革ビジョンの策定に着手したと述べられました。今後、具体的にどのように取り組んでいくのか、知事の所見を伺います。
 次に、組織について伺います。
 組織は、行政が進める施策や事業を最も効果的、効率的に実施できるという観点から編成すべきものです。したがって、今後、都がどういう施策を展開していくのかを明らかにした上で、中長期的な観点から検討すべきことだと思います。
 もちろん、財政再建が至上命題となっている都政においては、まず、何よりも簡素で効率的な執行体制を確保することが重要です。こうした当面の課題については、中長期的などといわず、精力的に検討を進める必要があります。
 知事は、今後、どのように組織改革を進めていくのか、基本的な考え方を伺います。
 ところで、行政改革を進める上で、監理団体のあり方も、また大きな課題であると考えます。
 我が会派は、これまでも監理団体については、見直すべきところは見直し、厳しく対応することはして、一方で、監理団体が行ってきたこれまでの実績をきちんと評価した上で団体を育成し、活用するといった視点を持つことが大切であると主張してきたところであります。
 今回、団体改革の第一歩となる総点検のための基本指針が発表されましたが、この基本指針はどのような考え方に基づいて策定したのか、また、団体改革にとってどのような意義があるのか、伺います。
 さらに、この基本指針の中では、団体が取り組むべき基本的方向が多岐にわたって具体的に示されており、内容としては評価できます。しかしながら、改革を実行しようとすると、ややもすると総論賛成、各論反対になりがちです。結果として個別団体の確実な改革につながらなければ、意味がありません。団体改革を確実に行うためには、何が重要であり、そのためには今後どう取り組んでいくのか、伺います。
 次に、福祉の改革について伺います。
 我が会派は、社会経済状況の変化とともに、施策を見直す福祉改革は必要であると考えます。同時に、福祉改革は、何よりも都民の立場に立ち、都民が将来にわたり安心して自立した生活ができるために行われるものでなければなりません。
 昨年十二月、十二年度予算編成に向けて、我が会派は、都民の生活実態を踏まえた福祉施策の見直しを行うべきであり、負担増のレベルは、先行きの生活について安心感が感じられる内容であることが何よりも必要という立場から、医療費助成制度の一部負担の軽減や手当制度へ導入される所得制限限度額の緩和などを、緊急要望として石原知事に対し要請を行ったことは、既に述べたところであります。
 このたびの施策の見直しが、新たな福祉施策の充実に充てるための積極的なものであるべきことはもとより、今後の都民の福祉の全体的な向上につながってこそ、福祉改革に資するものと考えるものであります。石原知事の目指す今後の福祉改革の基本的な考え方と、その目指すものは何か、まずご所見を伺います。
 あわせて、このたびの施策の見直し及び新たな施策の展開について、どのようにみずからを総括し、評価しておられるのか、知事のご所見を伺います。
 これから福祉は大きく変わります。サービスの担い手の中心は、行政から民間に移り、利用者は、自己の選択と責任のもとで、契約によりサービスの提供を受けることになります。
 そこで問題となるのは、今後、東京都が、少子高齢社会に向けて福祉改革を推進していくために、どのような役割を果たしていくのかという点であります。
 都が果たすべき第一の役割は、民間企業や非営利団体等、多様なサービスの提供主体の参入を促進し、サービスを質、量ともに拡充するとともに、利用者が安心してサービスを選択し、利用できるような仕組みを構築することであります。
 第二に、地域での助け合いのネットワークともいうべき仕組みをつくることであります。従来のコミュニティが希薄化している大都市東京の社会状況にあっては、住民同士やボランティアによる支え合いのネットワークをいかにして構築していくか、これが活力ある少子高齢社会をつくっていくためのかなめになっていくと考えます。
 第三の役割は、サービス提供を支える人材を育成、確保することであります。今後、サービスの利用者の相談に総合的に応じ、一人一人に必要とされる新たなサービスを開拓したり、コーディネートしていくためには、その人材に、福祉を含め専門的な知識が求められるのであります。
 これらの課題について、都がみずからの役割を責任を持って実行していくことが、福祉改革推進には不可欠と考えます。
 知事は、福祉改革を推進していくに当たり、都の役割をどう考え、今後どのような課題にどう取り組まれるのか、ご所見を伺います。
 また、福祉改革を推進していくためには、福祉改革ビジョンを実現していくための新たな取り組み方針を早期に示すべきと考えますが、所見を伺います。
 福祉改革の実現には、区市町村主体の地域福祉の推進が不可欠であります。平成十二年度予算案において、さきにも述べた我が会派の緊急要望に基づき、区市町村が地域の実情に応じて主体的、自主的に福祉施策を展開していくための包括補助制度が創設されました。それは、子育て世帯や障害者の在宅サービス事業など、増大する福祉ニーズに区市町村が自主的かつ柔軟に対応し、地域福祉の基盤整備等を早期に確立できるようにする必要があるからであります。
 このような観点から、包括補助制度の対象として、東京都として実施すべき重要な施策を区市町村に普及、促進するための事業とともに、区市町村が地域の実情に応じて選択して実施する事業や、区市町村が独自の創意工夫で取り組む先駆的な事業などを積極的に取り上げ、区市町村の活力を高める制度とすることが福祉改革ビジョンを推進していく上でぜひとも必要と考えますが、所見を伺います。
 次に、高齢者施策についてお尋ねします。
 介護保険がいよいよ実施されるなど、高齢者施策は、まさに大きな変革期を迎えています。
 日本の経済成長が、かつてのような高い水準で推移することは当面望み得ない状況にあることも相まって、都民の間に不安感が広がっています。このような都民生活を覆う閉塞感を打ち破り、高齢者を初め、すべての都民の皆さんに真の安心と希望の持てる展望を一刻も早く示すことが、我々に課せられた最も緊急かつ重要な責務であります。
 我が会派は、こうした立場から、早急に都民に対して高齢社会のビジョンを示すよう提案しました。都は、この提案を受けて、昨年の暮れに二十一世紀高齢社会ビジョンを発表したところです。
 そこでまず、都は、二十一世紀の東京の高齢社会とはどのような社会であるべきと考えているのか、知事の基本的な認識を伺いま
す。
 次に、区市町村主体の高齢者を対象とした地域福祉の推進についてであります。
 都民が安心と満足を得られる高齢者福祉を推進するためには、より一層地域特性に応じた区市町村主体の地域福祉を進め、きめ細かい多様なサービスを総合的に展開する必要があり、そのため、緊急要望で予算措置を知事にお願いしたところであります。
 区市町村が保険者となる介護保険の実施を契機に、都と区市町村の役割分担をさらに明確化し、区市町村が主体的に地域の実情に応じたサービスを展開できるように支援する仕組みを確立するよう要望いたします。
 さて、介護保険制度の実施まで、あと一カ月。要介護認定やケアプランの作成をどうするかなど、都民の関心は、より具体的になるとともに、一層高まってきております。
 申すまでもなく、介護保険は、保険方式を基礎とした、いわゆる共助の仕組みで高齢者の介護を支える制度であり、二十一世紀の新たな社会保障の先駆けとしても、その果たすべき役割、使命は重要なものがあります。
 保険者となる区市町村も、今、保険料の最終決定、要介護認定に続くケアプランの届け出、受理等、懸命に準備に取り組んでいます。都民が安心して介護保険を利用できるようにするためにも、都としての制度実施に向けた準備状況と直前の取り組みについて伺います。
 また、利用者がサービスを選択する介護保険のもとでは、特別養護老人ホームの経営も大きく変わり、それぞれの施設がサービスの質を競い合い、利用者に選ばれる施設とならなければなりません。加えて、これからは基本的に介護報酬の範囲内で施設を運営していくこととなり、安定的な施設運営を図るための経営改善が不可欠となります。
 これらは、第一義的には、経営者自身が努力すべき問題であることはいうまでもありません。しかし、施設運営の激変を緩和するとともに、利用者にとって安心と満足の得られるサービス基盤を整備する観点から、都として、介護保険への円滑な移行のための必要な支援を行うべきと考えます。
 予算案では、特別養護老人ホーム経営支援事業として百億円が計上されていますが、具体的にどのような支援策を講じるお考えか、伺います。
 次に、産業振興について伺います。
 首相の委嘱による二十一世紀日本の構想懇談会報告書では、日本が直面する時代的な危機に対し、現状を変えずに済むようなぜいたくな選択はないと指摘しています。また、戦後の日本の成功モデルが、その機能を果たし終え、それへの過信が日本の活力をそぐ結果となっているとも主張しています。
 また、多くの民間機関が、二十一世紀を動かす原動力は個人の先駆性、創意工夫、使命感などであるとし、公共、公益に個人が積極的に参加する新しい公の確立が必要であるとの認識を示しています。私も、一人一人の潜在的な能力を最大限に引き出すことが、生きがいと経済社会の活性化に不可欠であると考えます。
 産業振興ビジョンの中間のまとめでは、商店街や中小企業、NPOなどにより展開されている産業活性化の取り組みが紹介されました。日本の経済、社会システムが時代の急速な変化に適応できずにいる中で、現状を変革しようとする情熱を持った人々が、リスクに果敢に立ち向かい、最初の一歩を踏み出していることを知りました。東京に集積するすぐれた人材が、知恵と力を結集して、新たな時代の価値観や仕組みを生み出し始めているのです。まさに二十一世紀の新しい社会づくりが、この東京で始まっていることを実感しました。
 知事は、こうした新たな動きをどう評価され、行政施策にどう生かしていくつもりなのか、お伺いいたします。
 また、中間のまとめでは、行政の重要な役割は、創意ある民間の産業活動の支援とコーディネートであるとの論点が示されており、この考え方に私も同感です。東京都は、ビジョン策定に当たり、こうした機能をみずから体現したものと考えます。
 時代が要請する方向は、行政の支援、コーディネート機能の強化であり、この機能を産業労働行政の中に定着させることが適切であると考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 今回のビジョンづくりでは、短期間に多くの政策提案が寄せられました。政策を都民から募るという東京都の新しい取り組みに、都民が予想を超えて呼応してくれた結果であると思います。
 中間のまとめでは、こうした都民からの政策提案や活性化事例をもとに、産業政策にかかわる十の論点が示されています。
 そこで、これらをより具体的なビジョンへと発展させるために、ことし七月の最終報告に向けてどのようにビジョンづくりを進めていくおつもりか、伺います。
 次に、信用組合問題について伺います。
 信用組合業界にとって長年の懸案でありました旧二信用組合及びコスモ信用組合問題については、その解決に向け、預金保険法等の改正法案が今国会に提案されております。国会での審議を経た上で、債権回収事務の一元化と二次損失などへの対応が、国の責任で速やかに行われることを期待するものであります。
 信用組合の検査、監督事務は、この四月から国に移管されることになっておりますが、我が会派としましては、信用組合が、今後とも中小零細企業に対する資金の円滑化を通して、健全な姿で地域経済の安定に寄与していくことを強く望むものであります。
 さて、ペイオフの実施は一年延期される予定ですが、その理由として、信用組合の経営基盤の弱さが指摘されました。このため、信用組合におきましては、ペイオフまでの与えられた時間を利用して、さらなる経営のスリム化や再編、提携などを通して、効率的かつ安定した金融機関となるよう最大限の努力をすることが求められております。
 国におきましても、地域経済の安定に重要な役割を果たしている信用組合の経営基盤強化を重点課題の一つととらえ、信用組合に対して公的資金を活用した資本増強ができるよう制度改正に取り組んでいますが、その使途は再編、合併の場合などに限定されており、地域の信用組合すべてが身近に活用できるというものではありません。
 このため、健全化に取り組む信用組合の経営努力を支援していくための、よりきめ細かな施策もぜひ必要と考えております。
 知事は、施政方針の中で、信用組合の経営基盤強化のための施策を検討していくことを述べられましたが、改めてその趣旨を伺います。
 次に、東京は、政治、経済、文化といった多様な要素が集積し、世界の発展に大きな役割を果たしてきましたが、慢性的な交通渋滞、国際空港の容量不足、オフィスビルの老朽化による都心部の機能低下など、さまざまな危機的状況に直面しています。
 首都東京は、日本の心臓であり、東京の問題は日本全体の問題であります。経済波及効果の高い東京圏に集中的な投資を実施し、魅力ある国際都市として東京を再構築すれば、日本全体の国際競争力の強化や経済の活性化につながることは明らかです。
 そこで、まず都市再生推進懇談会についてお伺いします。
 二月二日に開催された第一回の懇談会では、東京圏の現状と都市再生の課題について話し合われたと聞いていますが、懇談会の委員である知事の東京の都市再生に向けてのご所見をお伺いします。
 次に、東京圏の社会資本整備の重要な柱の一つである公共交通網の整備についてお伺いします。
 鉄道等公共交通網の整備は、通勤混雑の緩和や都市構造の再編促進はもとより、都市環境の改善にも寄与するなど極めて重要であり、我が会派はこうした認識に立ち、公共交通網の整備促進に取り組んでまいりました。
 去る一月に、今後の東京圏の鉄道整備の基本計画である運輸政策審議会答申が発表されました。今回の答申には、地下鉄八、十一号線、都営浅草線の東京駅乗り入れなど、都が要望した路線がおおむね位置づけられており、我が会派は一定の評価をしているところであります。
 知事は常々、日本の牽引力となる東京の活力や魅力を高めるため、交通需要マネジメントの視点を重視した都市交通対策を推進すると主張されています。こうした観点から、知事は今回の答申をどのように評価しているのか、ご所見をお伺いします。
 また、今回の答申に位置づけられた路線の整備を促進するためには、事業主体や財源の確保など、解決すべきさまざまな課題があることも承知していますが、今回の答申を受け、都は今後どのように鉄道網の整備に取り組んでいくのか、ご所見をお伺いします。
 次に、東京の都市再生にとって重要な課題である航空政策についてお伺いします。
 成田空港では、昨年十二月に平行滑走路の計画変更が認可され、平成五年以来、六年ぶりに滑走路工事が再開されました。首都圏の空港機能の充実を求めている我が会派としても大変喜ばしいことと受けとめており、関係者のこれまでのご努力に心から敬意を表したいと思っております。
 しかしながら、暫定滑走路が平成十四年に完成しても、四千メートル級の滑走路が一本しかない状況は変わらず、首都圏全体の需要にこたえられないのは明らかであります。暫定滑走路では短過ぎてジャンボ機が使用できず、中型機での行き先は、国内や近距離の国外に限られているといわれています。このため、今後、羽田空港の国際化や首都圏第三空港の候補地選定など、成田問題によりおくれた首都圏の空港整備計画について、国は真剣に取り組まざるを得ません。
 こうした中、首都圏における今後の航空需要に的確に対応していくために、都は自治体の立場からどのように取り組んでいく考えか、知事のご所見をお伺いします。
 また、航空需要への対応という点では、新たな空港構想などについての議論が、今後本格化していくものと思われます。これについて都はどのように対応していく考えか、あわせて知事の所見をお伺いします。
 次に、震災対策について伺います。
 本年一月に発表された都の防災に関する世論調査を見ると、阪神・淡路大震災から五年が経過する中で、都民の防災に対する危機意識が弱まっているとしか思えません。しかし、日本は地震列島であり、東京においても、いつ大地震が発生してもおかしくはありません。いざ大地震が起こったときに、いかに都民の人的、物的被害を最小限にとどめるかが、何よりも重要であります。そのためには、地域の自主防災組織はもとより、警察、消防、自衛隊等の防災関係機関との密接な連携による迅速な初動対応の良否が被害の大小を決定する大きな要素であるといっても過言ではありません。
 その際、阪神・淡路大震災の教訓からいっても、自衛隊の果たす役割は大きいといわなければなりません。知事は、本定例会での所信表明において、陸、海、空の三自衛隊が統合して参加する、本年九月三日の総合防災訓練の実施について言及されました。そこでまず、本年の総合防災訓練実施が持つ意義を知事はどのように認識しておられるのか、所見をお伺いいたします。
 総合防災訓練は、より実践的な形で行われることによって、都民に安心感を持ってもらうことと、都民の防災意識、対応能力の一層の向上につながるものでなければならないと考えています。本年の訓練が陸、海、空の三自衛隊が統合した形で防災訓練に参加するとなると、これまで実施してきた訓練と比較して、かなり大規模なものになることが予想されます。
 そこで次に、今回の総合防災訓練は、従来の訓練といかなる点が異なり、どのような特徴を持っているのか、お伺いいたします。
 次に、震災対策にかかわる今後の取り組みについてお伺いします。
 震災対策の取り組みに当たっては、都民と最も身近に接している区市町村と密接に連携、協力して施策の推進を図っていくことが求められます。本年四月一日からの地方分権推進一括法の施行による新たな都と区市町村との役割分担を踏まえて、今後どのように震災対策に取り組んでいくのか、所見を伺います。
 次は、臨海地域の開発整備について伺います。
 二十一世紀の都市づくりを見据え、首都圏の物流の円滑化を考えるとき、東京臨海地域は、三環状道路とのつながりや、千葉、神奈川とを結ぶ湾岸軸など、首都圏を視野に置いた広域道路ネットワークのかなめとなる地域であり、まさに陸・海・空の交通の要衝であります。
 この重要なエリアの新たな幹線道路となる東京港臨海道路の整備や、放射三四号線、環状二号線の延伸は、単に臨海地域の発展だけではなく、首都圏全体の発展に貢献する極めて意義の大きい事業であり、着実に整備を進めるべきと考えます。とりわけ東京湾岸域を東西に結びつける東京港臨海道路は、物流効率化に大きく寄与する重要な路線であり、一日も早い路線全体の完成が待たれているところであります。今日の厳しい財政事情の中にあっても、東京港臨海道路は着実に整備を進めるべきであり、その推進に当たっては、事業手法の工夫や国費の拡充など、これまでの枠組みを超えた前向きな取り組みを行っていくべきと考えますが、知事の所見をお伺いします。
 次に、臨海部副都心開発について伺います。
 若者を初め多くの来訪者でにぎわっている臨海副都心は、流行と情報の発信拠点として人気を博しています。臨海副都心開発は、停滞傾向にある首都東京の活力と創造力を生み出し、我が国経済をも牽引する原動力となる事業であり、今後とも着実に進めていかなければならない事業であります。
 そもそも臨海副都心開発は、開発利益の還元方式により税金投入を極力抑制した仕組みになっており、全体事業費約二兆四千億円のうち、一般財源の負担額は一六%の約三千九百億円に抑えられています。その一方で、臨海副都心開発による全産業への経済波及効果は、約十八兆円に上ると推計されています。長引く景気低迷や首都東京の活力の低下という現状を打開する上で、臨海副都心開発が果たす役割の大きさがうかがい知れます。
 さらに、臨海副都心開発には、事業者の企業活動や来訪者の消費活動などを通して都税等の税収増をもたらす効果があり、この地域の開発がさらに進展すれば、税収も一層増大することが期待されます。
 そこで伺いますが、臨海副都心開発に伴う税収は、開発期間中にどの程度見込むことができるのでしょうか、また、都税収入額の累計が一般財源投入額の三千九百億円に達するのはいつごろになるのでしょうか、お答え願います。
 次に、有明北地区の埋立事業についてでありますが、有明北の埋め立てについては、昨年八月に免許が出願され、既に地元区からの了承も得て、ことし一月の着工に向け最終の準備段階に入っています。有明北地区では、昨年十二月に「ゆりかもめ」の延伸工事が始まるなど、新しいまちづくりに向けた動きが徐々に見えるようになってきており、地元のよいまちづくりをしたいという期待も高まっています。
 ところで、この埋立事業は一般会計ではなく、埋立会計という独立した企業会計で行われ、それに要した費用は埋立地を処分して回収するものであり、都民の税金を投入して行う事業ではありません。その一方で、この埋め立てにより、本来であれば一般会計で整備される公園緑地や道路が約八ヘクタールも生み出されると聞いています。都民に負担をかけないで都民に喜ばれる公共施設を整備するわけですから、厳しい都財政下でも着実に事業を進めていくべきであります。
 新しくできる大規模な公園緑地や道路は、環境や産業など多様な価値が考えられますが、土地の価格だけで見た場合、どのくらいの価値になるか、また、この埋立事業で新たにつくり出される土地全体の資産価値はどれくらいになるのでしょうか、お答え願います。
 次に、有明北地区の環境面についてですが、今回埋め立てされる水域は、長年貯木場として利用され、つい五、六年前まで原木が水面を占めていたところであり、千葉県の三番瀬などの自然の干潟とは根本的に異なります。既に都では環境影響評価手続も終え、護岸も水生生物に十分配慮した構造にすることになっていると聞いています。また、現在は民有地に囲まれて、陸上からは都民が立ち入りできない状況にありますが、埋立後は、水際線に親水公園をつくり、今よりはるかに多くの都民に親しまれる水辺空間になるとのことです。
 しかし、一部に、有明北地区をハゼの聖地であるとして、東京港でハゼを釣る場はここしかないという議論があるようですので、再度確認をしたいと思います。東京港の中で主なハゼの生息地にはどのようなところがあり、それらの地区のハゼの生息状況はどうなっているのか、お答えを願います。
 有明北地区は、都心から約五キロメートルというこの上ない立地条件にあり、東京に働く多くの人々の悲願である職住近接を実現する貴重な場となるとともに、新しい時代を切り開いていくニュービジネスをはぐくむ場となることも期待されます。この事業は、まさに東京の活力を再生し、東京の牽引力を再び力強いものとする極めて重要な事業といえます。二十一世紀の東京にとって、このように意義のある有明北地区の埋立事業を引き続き積極的に進めるべきと考えますが、この事業に取り組む知事の決意をお伺いします。
 次に、環境問題について伺います。
 我々には快適さや便利さをもたらした二十世紀の社会経済システムは、大量生産、大量消費、大量廃棄を前提とするものでありました。しかし、こうしたシステムにおいては、環境や資源の面で、将来の安全で質の高い生活の維持と健全な経済、産業活動の進展が制約されることは明白であります。このため、二十一世紀に向けて現在のシステムを転換し、環境や資源制約への対応をあらゆる面に組み込んでいくことが急務となっています。
 こうした中で、政府においては、今国会に循環型社会基本法案(仮称)を提出し、廃棄物・リサイクル対策をより具体化して、強力に循環型社会の形成を進めようとしております。
 一方、都においては、時を同じくして、環境保全局、清掃局を統合して、新しく環境局が設置されます。環境局においては、東京の社会経済の仕組みを何よりも環境を優先する仕組みに変える施策を大胆に進めること、石原知事の言葉でいえば、東京からの環境革命を巻き起こすことが期待されるところであります。知事は、環境局を新設し、今後、環境問題の解決に向けてどのように取り組んでいくのか、その展望と決意を伺います。
 さて、先日発表されたディーゼル車規制の検討案は、国、自動車メーカー、運送業界など多くの関係者の議論を巻き起こしております。ディーゼル車規制は、権限を持つ国がもっと積極的に取り組むべき課題でありますが、何よりも都民の健康を守るためには、大気汚染を改善する施策を国に先駆けて講じることが必要であります。今後、関係者の意見を踏まえ、その理解と協力を得られるよう十分な検討を行うよう要望いたします。
 現在、究極の低公害車といわれる燃料電池自動車の開発競争は世界的に加速化していますが、二十一世紀には、自動車自体も低公害車への進化を余儀なくされることは確実であります。低公害車については、まだ本格的な普及段階にあるとはいえない状況ですが、環境保全や省エネルギーの観点から、天然ガス自動車など実用性が高い低公害車の普及は重要であります。しかし、その普及のためには、燃料供給施設の整備が不可欠であります。今後、都は、低公害車の燃料供給施設を環境改善のためのインフラと位置づけ、重点的に整備を進めるべきと考えますが、都はどのように取り組んでいく考えなのか、所見を伺います。
 交通渋滞が東京の都市機能を低下させ、都市環境を悪化させています。渋滞による経済的な損失は年間四兆九千億円ともいわれており、東京の経済効率を悪化させています。都市環境の面でも、二酸化窒素や二酸化炭素などの排出量の多くは自動車からのものです。また、SPM、浮遊粒子状物質はディーゼル車からのものがほとんどです。都民の健康を守る立場から、交通渋滞を緩和していくことは東京都が取り組むべき重要な都市政策であると考えます。
 先ごろ、この交通問題の行政と都民、事業者が取り組んでいく行動計画として、TDM、交通需要マネジメント東京行動プランが策定されました。これは道路整備や公共交通機関整備のみならず、自動車の使い方を工夫したり、公共交通を利用することにより自動車交通量を少なくして、都市機能と環境を向上させていこうという取り組みといわれていますが、その内容や考え方についてお尋ねします。
 まず第一に、交通需要マネジメントの手法には、自動車の移動量を抑制するものが含まれているので、都市活動や都民生活を不便にするのではないかと懸念する声もあり、一方では、道路や交通機関整備を進めていけば十分ではないかという声もあります。この点について、知事の交通需要マネジメントの基本的な考え方について伺います。
 次に、交通需要マネジメント施策を実施していくためには、特に違法駐車対策やロードプライシングなどは幅広い世論の合意が必要と考えますが、どのように進めていくのか伺います。
 さて、新たな環境局にとっての最重要課題の一つに、産業廃棄物の問題を初めとする廃棄物・リサイクル対策が挙げられます。本通常国会には、廃棄物処理法改正案のほか、緊急の課題である廃棄物・リサイクル対策の基本的枠組み法案としての循環型社会基本法案や個別リサイクル法案の制定、改正が提出される予定と聞いております。
 しかし、家電リサイクル法で、廃家電の引き取り場所は市町村単位ごとに設置される見込みがないことが象徴しているように、現在の廃棄物処理法の考え方に基づき廃棄物の問題を市町村ごとに解決しようとしても、限界があることは明らかになってきております。これからは広域的視点で廃棄物を資源として循環させる仕組みをつくっていかなければなりません。
 我が会派は、昨年の第三回定例会の一般質問において、清掃事業の区移管後に、都が広域的自治体としてどのように廃棄物行政に取り組んでいくかを尋ねましたが、これは待ったなしの廃棄物・リサイクル対策に対する都の姿勢をただしたものであります。
 また、産業廃棄物の最終処分の大半を他県に依存していることからも、都が広域的自治体としてどれだけの成果を上げることができるのかは、他の自治体からも大いに注目をされているはずであります。
 例えば、産業廃棄物の最終処分場の状況を見ますと、不法投棄や野焼きなどの不適正な処理が社会問題化したこともあり、全国的に見ても最終処分場の立地が極めて困難になっています。その結果、今年度末には、全国の最終処分場の残余年数は一・六年になると推計されており、早急に有効な対策を講じなければ、都から排出される産業廃棄物の行き場も失われるおそれがあります。
 このように、廃棄物・リサイクル対策が待ったなしの状況である以上、特に産業廃棄物対策については、移管後、都として新たな取り組みを行うべきと考えますが、ご所見をお伺いします。
 次に、環境型社会基本法の政府案は、これまで個別の法によりそれぞれ対応してきた廃棄物対策とリサイクル対策の双方を対象としております。また、再生資源利用促進法の改正案では、製品の長寿命化や再使用に配慮した製品の設計を促進する等により、発生抑制、再使用対策を推進することなどが検討されております。都としても、今後、府県としての廃棄物・リサイクル対策を検討する際には、生産、流通段階にさかのぼった対策もあわせて議論すべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、都は廃棄物の発生抑制、資源化の促進、適正処理の確保のための広域的なシステムづくりが都の役割であるとしております。こうした広域的なシステムづくりが具体的な成果を上げるためには、数値目標を設定した上で進捗状況を把握し、事業を担っている区市町村や事業者に対して、都は目標達成に向けた指導、助言をしていくといった計画的な取り組みが必要であります。国は、平成二十二年に廃棄物の最終処分量を半減させるという目標を設定し、計画的な廃棄物対策に取り組むこととしていますが、都も適切な目標設定をするなど、計画的な取り組みを早急に行うべきと考えますが、ご所見を伺います。
 次に、多摩・島しょ地域の振興についてお伺いします。
 多摩には将来に向けて大きな発展の可能性があるわけですが、その可能性を引き出すために、今取り組むべき重要な課題についてお伺いします。
 まず第一は、牽引力としての産業の振興であります。多摩地域には、研究開発型企業を初め、大学、研究機関が数多く集積しています。こうした特性を生かし、経済の活力を高め、地域を発展させていくためには、その原動力ともなる産業が重要と考えます。今後、多摩地域の産業をどのように振興していくのか、お伺いをいたします。
 次に、昨年七月、国は新たに食料・農業・農村基本法を制定し、その中で都市農業の振興を明記するなど、東京の農業振興にとっても重要な法整備が進められました。都としては、こうした国の動きに適切に対応するとともに、東京の特性に合った、都独自の振興策を打ち出していく必要があります。東京の農林水産業は、大消費地を背景に有利な立地条件にあります。したがって、今後の農林水産業は、このメリットを最大限に活用して、都民のニーズに的確に対応しながら、その振興を図っていくことが重要であると考えますが、所見をお伺いします。
 次に、島しょ地域についてお尋ねします。
 島しょ地域は、島ならではの自然や歴史、植物など、多彩な観光資源を有しており、都民に身近な安らぎと憩いの場として魅力を秘めている地域であると思います。各島とも近年は、見る観光でなく、マリンレジャーやネーチャーウォッチング、自然観察など、いろいろ工夫を凝らして努力しています。しかしながら、観光客は長期的な減少傾向にあり、なかなか歯どめがかからない状況が続いています。島の観光が元気を取り戻すことは、島しょ地域の活性化のみならず、東京の観光魅力を高めることにつながるものと考えますが、知事は島しょ地域における今後の観光振興策をどのように考えておられるのか、ご所見を伺います。
 また、島しょ地域への観光客誘致のために、東京コンベンション・ビジターズビューローが具体的にどのように取り組んでいくのか、お伺いします。
 次に、島しょ地域の下水道整備についてであります。
 島の下水道の整備は、島民の日常生活にとって欠くことのできないものであると同時に、島を訪れる観光客に快適なサービスを提供するためにも重要な環境整備でありますが、区部や多摩地域に比べ、立ちおくれています。平成三年の廃棄物処理法の改正により、し尿や汚泥の直接投棄や埋め立てが禁止されるなど、島しょ町村では早急な下水道整備が求められています。都は、平成九年には東京都下水処理施設整備構想を策定し、島しょ地域における整備のあり方を決めていますが、下水道整備には、東京都の支援が必要不可欠であると考えます。島しょ地域の下水道整備について、東京都としてどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。
 次に、教育問題について伺います。
 現在、教育についてはさまざまな課題が山積している状況にあります。この現状を打破するため、国を挙げて改革に取り組む時期に来ていると認識しております。その中で、知事が心の東京革命を提唱し、社会全体で子どもの健全育成を目指していることは大変意義深いものであると考えます。社会全体での子どもの健全育成を図るためには、学校、家庭、地域が連携をとる必要があります。とりわけ学校においては、家庭や地域との垣根を低くし、開かれた学校を目指すとともに、家庭や地域との連携をとるための情報発信の役割が強く求められております。
 そして、学校がその期待にこたえていくためには、教育は人なりというように、直接児童生徒の教育に当たる教員の人材育成、意識改革が必要不可欠であると考えます。都教育委員会においても、新たな管理職任用制度や研修体制の確立、人事考課制度の導入など、教員の人材育成を目指して制度の改正を行っていると聞いております。しかし、幾ら制度の形だけ整えても、それだけでは効果がなく、校長のリーダーシップのもと、教職員が連携して課題解決に取り組む体制が学校において確立されることが肝要であります。制度も活用されてこそ意味あるものとなるのであります。
 例えば、人事考課制度を例にとっても、制度が活用されなければ、これまでの勤務評定と同様に骨抜きの制度となってしまうことは明らかであります。
 そこで、教員の人材育成についてお尋ねしますが、山積する教育課題の解決に向けて、教員の資質、能力の向上は重要であり、そのためには、教員一人一人が常に研修、研さんに努める必要があると考えます。しかしながら、これまで教員の一部には、研修と称して、自分の興味本位の研究をしている者もいると聞いております。教員がみずからの資質、能力を向上させ、組織の一員として学校全体の教育力を高めるためには、本来の趣旨に即した、真に必要な研修を実施すべきと考えますが、その方策について伺います。
 次に、人事考課制度では、教員としての能力や意欲、一年間の職務実績が総合的に評価されます。教員の人材育成を効果的に行うためには、この業績評価を活用した計画的な研修を実施し、教員の資質や職務遂行能力を一層向上させるべきであると考えますが、所見を伺います。
 現在、教育庁の各部で対応している教員研修を、人材育成の観点から一元的に管理し、企画、実施からその評価に至るまでを所管する研修センターのようなものが必要であると考えますが、いかがでしょうか。
 人事考課の円滑な実施を図るためにも、学校における校長のリーダーシップの確立が重要であると考えます。今後、どのような管理職をどのように確保し、育成していこうとしているのか、伺います。
 人事考課制度の導入につきましては、一部反対もあると聞いていますが、制度の趣旨を十分活用して実施すべきであると考えます。学校にこの制度を円滑に導入し、これを定着させるために、今後、どのような手順や方法をもって導入を進めていくのか、また、どのような姿勢で制度の定着に臨むのか、教育長の決意を伺います。
 以上をもって、私の東京都議会自由民主党を代表しての質問を終わりますが、本定例会冒頭の施政方針で、石原知事は、今日の日本は、混迷の世紀末というべき危機的状況に直面し、首都東京にはその本質が最も顕著にあらわれていると同時に、危機を克服するための巨大な潜在的エネルギーが存在している、との認識を示されました。
 東京が沈没することは、日本が破滅することであります。これは、うぬぼれでも、おごりでもありません。まさに今こそ、そのエネルギーを燃焼させ、東京を再生させ、日本をよみがえらせる非常に重要な分岐点であります。
 我が東京都議会自由民主党は、今回の知事の外形標準課税の導入に当たっての対応でも明らかなように、あくまでも一千二百万都民の立場に立ち、豊かで安全な生活を守り、全国自治体のリーダーとして、地方主権を名実ともに確立するために、協力すべきは全面的に知事に協力し、その一翼を担っていく覚悟であります。
 さて、ことしは、時期は別として、衆議院選挙が行われます。この日本の進むべき方向を左右する極めて重要な時期であることを考えたとき、今以上の政治的安定を、都民はもとより、全国民の願うところであることは当然であります。
 我が自由民主党は、現在の閉塞状態にある日本の経済を回復させ、二十一世紀にふさわしい新しい日本の構築のために、その勝利に向けて全力で取り組んでいくことをここに強く申し上げ、東京都議会自由民主党の代表質問といたします。
 ありがとうございました。(拍手)
   [知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 川島忠一議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、就任以来ほぼ一年たって、都民、議会、職員との関係について、就任前と比較してどのような感想かというご質問ですが、都民とのかかわりについては、今日の非常に盛んなメディアを通じて、特にテレビのようなオーディオビジュアルな手段を通じて、いろいろ都が抱えている問題に非常に深いご理解をいただいていると思っております。これからも、知事としてグッドコミュニケーターたらんとしておりますが、ひとつまた都民の方々に、もっとさらなる関心を東京について持っていただきたいと思います。
 次に、議会でございますが、ああいう形の選挙でありましたので、いろいろごたごたありましたけれども、お互いに、都民、国民に選ばれた政治家ですから、議員とのかかわりは非常によくなっております。なかんずく自民党の関係は大変結構だと思います。
 それから職員についてでありますけれども、いろいろ私、不安がございましたが、しかしやっぱり入ってみて、いろんなことがわかってきましたが、いろいろ可能性を秘めた行政体だなと、特にいろいろ人材がいるなという感じが改めていたします。特に若い方々から非常にいい意見をいただいておりまして、これをもっともっと活用していく、そういう、それこそしなやかな行政に変えていかなくちゃならぬと自覚しております。
 先般も、いろいろ問題の多い外郭団体についてどうするかということで、都の中堅幹部、幹部の若手の方からいろいろ意見が出ました。これについての専門委員をお願いしている、樋口廣太郎さんを座長とする、オリックスの宮内君とか丸紅の鳥海君とか、そういった経営の専門家が、この間、都から出ました、外郭団体のこれからの自己検討というものを含めての素案を見て、非常に感心してくれました。とても、これは国と比べてもはるかに進んでいると、東京の方がよっぽどやる気があるというお褒めをいただきましたので、これもついでに披瀝させていただきたいと思います。
 次いで、就任二年目についての決意についてでありますけれども、現在の都政運営に当たって、財政再建をなし遂げることが最も重要であることはいうまでもございません。同時に、東京を混迷からさらに再生へとよみがえらせるための足がかりを、できるだけ早く、何としても築いていかなければならないと思っております。
 このために、十二年度の都政運営の基本指針として、制度変革に向けた首都東京からの挑戦、二つ目は、東京の再生に向けた長期戦略のビジョンづくり、三番目は、二十一世紀の都政を創造するためのしなやかな行政体質の構築というものを掲げて、全力を挙げて取り組んでいきたいと思っています。
 また、私は、ことしを東京発の地方主権元年と位置づけて、自治体がみずからの責任で主体的に施策を展開する時代への確かな第一歩を、都議会や都民の皆さんとともに踏み出していきたいと思っております。
 次いで、平成十二年度予算編成に対する基本的な考えなどについてでありますが、十二年度予算は、都財政の構造改革を推進する中で、財政再建の達成に向けて確実な第一歩を踏み出す予算と位置づけ、第一に、財政再建推進プランに基づき、みずから厳しい内部努力を実施するとともに、すべての施策について聖域なく見直すこと、第二に、社会経済状況の変化を踏まえ、施策の再構築を図りつつ、新たな行政需要にも的確に対応すること、の二つを基本として編成いたしました。
 こうして編成した十二年度予算においては、全庁挙げて財政構造改革に向けての取り組みを行うことにより、何とか財政再建団体への転落は回避できる見通しともなりました。しかし、これとて、減債基金への積み立ての一部計上見送りなど、臨時的な財源対策を講じた結果であり、財政構造改革を進める上で積み残した課題はまだまだ多いと心得ております。
 こうしたことから、十二年度予算を公表した際、今回は辛うじて瀬戸際で踏みとどまることもできましたが、財政再建の目標を達成するまでにはまだまだ険しい道のりが残されているという意味で、八勝七敗という表現をいたしました。
 特に、二百億円の復活財源についても、ある党からは、全部使わずに、先のことのために百億円残せと、そういう非常にありがたいご意見もございましたけれども、何しろ泣く子と政党には勝てませんので、一応全部使うことにいたします。
 次いで、景気対策への対応についてでありますが、ご指摘のとおり、景気の回復は、国、地方を通じての焦眉の課題であると認識しており、十一年度の最終補正予算において、国の経済新生対策の実施に伴う第二次補正予算などに合わせて、経済の活性化や貸し渋り対策などに可能な限りの対応を図ったところであります。経済の活性化対策として一千八百億円程度、また、貸し渋り対策としては二兆二千億円程度の事業規模を想定しており、景気回復へ着実に寄与するものと期待しております。
 また、十二年度予算においては、都の危機的状況のもとに、投資的経費を抑制する中にあっても、建築、土木コストの縮減を図るとともに、国庫支出金の確保に努め、補助事業の占める割合を高めるなどして、公共工事の事業量の確保に努めてまいります。
 さらに、効果的な職業訓練の実施や、中高年齢者を重点に就業促進を図るとともに、経営革新や起業、創業を支援するなど、雇用対策、中小企業対策にも重点的に取り組んでまいっております。
 さらに、十一年度の決算見込みについてでありますが、予算の執行に当たっては、収入の確保を図るとともに、経費の節減や効率的執行に努めているものの、十一年度予算においては、十年度に行った公営企業に対する一千億円の支払い繰り延べを解消するための措置を講ずることができなかったため、前年度と同様に、翌年度に支払いを繰り延べせざるを得ない状況にあります。
 こうしたことから、十一年度においても赤字決算は避けられないと考えております。
 財政構造改革についてでありますが、すべての施策及び実施体制について、単に十二年度にとどまらず、将来のあり方を踏まえつつ、あらゆる角度から精査、点検を行ってまいりました。
 こうした観点から財政構造改革を進めた結果、十二年度予算では、財政再建推進プランで掲げた目標額の約三〇%に当たる千九百四十億円の財源を確保いたしました。
 今後、より強力に財政構造改革に取り組んでいく必要があることはいうまでもございませんが、十二年度予算で、財政再建に向けての確実な第一歩を踏み出せたかと思っております。
 使用料、手数料の改定についてでありますが、受益者負担の適正化の見地から、事業運営に直接必要な経費を原価として利用者の負担とすることにより、住民間の負担の公平を確保することを基本といたしております。
 料額の設定に当たっては、国や他団体、類似施設の料額等を勘案するとともに、原価計算において、都みずからの経営努力を織り込んだ上、改定倍率は一・五倍を限度とするなど、適切な都民負担への配慮を行っております。
 銀行業に対する外形標準課税の意義についてでありますが、真の地方分権確立のためには、自治体が、現行制度の中でみずから財源確保に知恵を絞り、その責任で主体的に施策を展開することが不可欠であります。
 一千二百万都民を抱える首都東京が、課税自主権を行使することによって、その責務を先導的に果たすことは、都の財源確保にとどまらず、停滞する国政の本質を変える最初の引き金として意義があるものと思っております。
 次に、銀行業に対して外形標準課税を行う理由についてでありますが、これは、巷間いわれているように、私は別に銀行が憎いわけでもございません。何よりも初めに東京都の財政危機ありきでありまして、これをどう克服するかということで独自の税源を考えたわけであります。
 銀行に対してなぜ外形標準課税を行うかという理由でありますが、これは、銀行業は十分な収益を得、既に二千億円を超える配当も行っておるにもかかわらず、不良債権処理の結果、都道府県の行政サービスの対価としての事業税をほとんど負担しておらず、また、そうした状況が今後急に好転することは見込まれないこと。そして、銀行業の税収は、バブル期には二千二百億円、現在は百億円程度と、極めて乱高下した不安定なものでありまして、応益課税としての事業税の機能を喪失していることなど、銀行特有の事業の状況を踏まえ、地方税法の規定に基づいて行うものであります。
 そもそも内部努力は、東京都は都なりにしてまいりましたが、銀行を眺めますと、役員の数はべらぼうに多い。他の企業に比べて非常に給料が高い。それから、歳費をカットした例もない。そういう点でも、これは銀行独特の事業の状況と判断いたしました。今回の都の案について、ぜひ都議会のご協力をいただきたいと思っております。
 財政構造改革の推進についてでありますが、景気が安定した回復軌道に乗り、都税の増収が図られるまでには、まだまだ時間がかかると思います。歳出の中には、構造的要因によって確実にふえていく経費や、公債費のように急増が見込まれる経費がありまして、今後も厳しい状況が続きます。
 こうした状況の中、都財政の再建をなし遂げるためには、今後さらなる取り組みが必要であり、財政再建推進プランの目標の達成に向け、引き続き都議会並びに都民のご理解を得ながら、財政構造改革に全力を挙げて取り組んでいく決意であります。
 次に、都政改革ビジョンの策定についてでありますが、都政改革ビジョンは、二十一世紀の都政の創造に向けた抜本的な改革の姿を示すものであります。
 まず、都庁の行政体質を改善するために、直ちに取り組むべき行財政システムの具体的な改革の内容を、平成十二年中に明らかにしたいと思っております。
 次いで、東京をめぐる自治制度の抜本的改革を視野に入れた都政のあるべき姿を描き、現行の法制度上の制約も検証した制度改革への提言を行い、新たな自治体像を構築していきたいと思っております。
 策定に当たっては、都議会を初め都民各層と十分議論を尽くしてまいりたいと思っております。
 次いで、組織改革についてでありますが、東京構想二〇〇〇で示される東京が目指すべき将来像を踏まえ、中長期的な視点に立って、抜本的な検討を行っていきたいと思っております。まず、大きなフレームをつくるということ。
 しかしながら、トップマネジメントのあり方を初め、東京を取り巻くさまざまな危機を克服するための体制整備や、組織の簡素、効率化に向けた徹底的な見直しなど、早期に対応すべき課題については先行して検討を進め、実施してまいります。
 次いで、福祉改革の基本的な考え方でございますが、福祉改革は、これまでの行政が決定する福祉から、都民がみずから選択し利用する福祉へと転換する大きな流れの中で、これを実現するに足りるサービスの質と量を確保するとともに、それを支える仕組みと基盤をつくるために行うものでございます。
 世界に例を見ない速さで進む少子化、高齢化社会の中にあって、社会の活力を維持していくためには、自立した個人が創意を生かし、リスクへの挑戦と成果が評価され得るような社会を築き上げることが大切だと思います。
 同時に、さまざまな理由によって福祉サービスが必要になった場合には、家族、地域社会、民間、行政などの社会的連帯によって、しっかりとしたセーフティーネットが用意されることが必要だと思います。
 福祉改革は、そうした、活力に満ち、しかも安心して暮らせる社会を目指す改革であると考えております。
 さて、今回の福祉施策の見直しなどについてでありますが、それをどう総括し、評価するかについて。
 施策の見直しに当たっては、都議会各会派の皆様からいただいた具体的な提案、区市町村や関係団体からの要望や都民の声などを十分考慮して、それを踏まえて、私としての判断をいたしました。
 その結果、昭和四十年代に骨格ができた都の福祉施策について、社会経済状況の変化や国の施策の充実などを踏まえ、負担の公平、介護保険制度との整合性の確保などの観点から、経済給付的事業を見直す一方、新たに策定した福祉改革ビジョン及び二十一世紀高齢社会ビジョンに基づき、在宅サービスを中心とする福祉サービスの格段の充実を図ることといたしました。
 今回の取り組みは、福祉改革に向け一歩を踏み出す重要な意義を持つものと考えております。
 次いで、福祉改革における都の役割などをどう認識するかについてでありますが、具体的な福祉サービスは、自助に次いでの共助、基本的には、地域としての区市町村によって担われるべきものであります。
 都は、公助として、広域自治体として、区市町村の取り組みを公助として支援する立場から、サービスを質量ともに拡充するとともに、利用者が安心してサービスを選択し、利用できるような仕組みを構築することが必要であります。
 そのために、サービス提供主体の参入促進と利用者保護、支え合いのネットワークをつくり、人材の育成、確保など、特にサービス提供の仕組みづくりや基盤強化の面の課題について、必要な役割を果たしていかなくてはならないと思っております。
 さらに、二十一世紀の東京の高齢社会についてであります。
 我が国は、世界に誇れる長寿国となりました。二十一世紀においては、この本格的な高齢社会を、若者も高齢者もともに、本当に喜び合えるような社会とすべきであります。
 高齢者については、介護が必要な方も、ひとり暮らしなどの支援が必要な方も、元気な方も、だれもが真に安心できて、満ち足りた気持ちを持って、地域で生き生きと暮らせる社会を実現していくことが必要であると思います。
 自立した生活の支援や、だれもが暮らしやすいまちづくりなどを進めるとともに、元気で経験豊かな高齢者の能力を生かす地域地域での仕組みづくりなどに努め、都市型高齢社会のモデルをこの東京でつくっていきたいと思っております。
 産業の新たな動きをどのように行政施策に生かしていくのかについてでありますが、現在の日本全体の閉塞状況の中においても、渋谷のビット・バレーなど、東京のあちこちで、地域の中から、自立、自発的に産業を活性化していこうとする若い芽が出ていることは、もう十分承知しております。
 現況を変革し、東京が再生するためには、こうした意欲と情熱を持つ人々による新しい動きこそが重要であると思っております。
 都は、こうした動きに期待し、それをコーディネートすることによって、全都、全産業の活性化の一助としたいと思っております。
 こうした新たな動きが、二十一世紀の我が国の経済社会を変革する流れになることを強く期待している次第でございます。
 信用組合の経営基盤強化策についてでありますが、破綻した信用組合について、都の要望を踏まえた法改正がなされる見通しとなったため、これまで実施してきた、コスモ信用組合の債権回収業務に関連する経費の支援について、平成十二年度予算案への計上を見送りました。
 ご指摘のように、地域経済の安定に重要な役割を果たしている信用組合の経営基盤強化は、中小企業振興の上からも非常に重要な課題と考えております。このため、法改正など国の動きを見きわめた上で、信用組合の経営基盤強化のため効果的と思われる施策を、十二年度を目途に検討してまいりたいと思っております。
 次いで、東京の都市再生についてでありますが、先般も、都市再生推進懇談会なるものを官邸で催して、私も委員の一人で出ましたが、余りあれは参考になることは何もなかった。やっぱり東京で我々が議論している域を出ませんでした。
 いずれにしろ、企業が国境を越えて都市を選ぶような時代に、国際社会における日本、そして、その首都たる東京の地位の低下が、残念ながら顕在化してきております。首都の機能を担う東京圏に集中的に投資を行い、東京を引き続きアジアを代表するグローバルプレーヤーたる都市としていくことが、我が国の経済社会の発展には不可欠であると思います。
 そのためには、効率的な都市活動を支える広域的な交通ネットワークの整備がまず必要であります。
 同時に、戦略的な都市づくりへの取り組みが重要であり、東京の新たな都市構造を示して、職、住のほか、娯楽や文化など多様な機能集積のメリットを生かした、魅力のある国際都市を目指し、東京の再生を図っていきたいと思っております。
 次いで、運輸政策審議会答申についてでありますが、都はかねてから、首都機能を担う交通体系の強化や渋滞緩和、都市環境改善のための交通需要マネジメントの推進などにより、東京の再構築に取り組んでまいりました。
 今回の答申では、鉄道の混雑緩和、都市機能の再編、空港へのアクセス機能の強化などを基本的な考えとしております。また、鉄道等の公共交通機関は、交通需要マネジメントの観点から積極的な役割を果たす、としてもおります。
 こうした考えは、都の都市政策にも即したものであり、有意義であると評価しております。
 次いで、鉄道網整備に対する今後の取り組みについてでありますが、答申路線の実現には、事業主体の確立、膨大な事業費の確保、事業採算性の向上など、さまざまな問題がございます。このため、今後、国や地方自治体及び事業者などとともに、これらの諸課題の解決に努め、答申路線の実現に向け取り組んでいきたいと思っております。
 次いで、航空需要に対する都の取り組みについてでありますが、先般もアメリカの議会筋で、首都東京の国際的な空路のアクセスがいかにも貧弱であるというのは、これは日本の構えている非関税障壁であると、とんちんかんなような、うがったような意見がございましたが、それぐらい、確かに私たち、国際的な空路については問題を抱えております。
 首都圏の空港は、海外主要都市の空港との比較において、処理容量が絶対的に不足しております。伸び続ける国内需要や海外からの路線新設、増便要求に的確にこたえ、東京はもとより日本全体の活性化、国際競争力の向上を図ることが極めて重要であると思っております。
 このため都は、首都圏全体を視野に置き、空港機能の充実や、空港への交通アクセス強化等に取り組む航空政策基本方針を年内に取りまとめる予定でございます。これに基づいて国に積極的に働きかけるなど、政策の実現に向けて、渾身、努力をしてまいりたいと思っております。
 さて、新たな空港構想などへの対応についてでありますが、首都圏における今後の航空需要の伸びに対応するため、国では、来年度から新たな空港について複数の候補地を抽出し、その比較検討を行う予定と聞いております。
 このような情勢を踏まえ、都としては、羽田空港の有効活用などによる空港容量の拡大策を含め、二十一世紀を通じての首都圏の航空需要に対応できる空港のあり方について、関係自治体とともに検討するよう、国に働きかけてまいるつもりでございます。
 次いで、本年九月三日に実施する総合防災訓練の意義についてでありますが、今回の訓練は、陸、海、空三軍を統合して参加することによって総合的な機動力を最大限に生かし、警察、消防などの活動と一体になって、迅速な救出、救護等の初動体制の確保を図るものでありまして、単に東京のためだけではなく、この一つのフォーマットが他の大都市にも適用できるものであると私は思います。こうした体制をとることによって、発災時に一人でも多くの都民を助けることにつながると確信しております。
 さらに、このような訓練を実施することは、日本の首都東京としての危機管理能力を内外に示すものであり、その意義は極めて大きいと考えております。
 東京港臨海道路についてであります。
 本路線は、東京湾岸域を東西に結びつけ、東京臨海地域の発展や湾岸物流の効率化に大きく寄与し、他の広域幹線道路とともに、首都圏の道路ネットワークを形成する重要な路線であります。
 現在、城南島から中央防波堤地区間について整備を進めているところでありますが、ご指摘のとおり、路線全体の完成が必要であると認識しております。
 今後の整備スケジュールや事業手法については、現在策定を行っている東京臨海地域開発整備ビジョンの中で検討してまいるつもりでございます。
 次いで、有明北地区埋立事業でありますが、この事業は、水と緑の豊かな潤いがありまして、住、商、業の多様な機能を備えた活力あふれるまちづくりを進めるために、また、東京全体の交通ネットワークの向上に寄与する広域幹線道路の延伸にも欠かせないものであります。
 また、この事業は、懇談会や都議会の特別委員会などの議論を踏まえ、平成九年に見直しを行い、地元地権者や区の合意を得て進めているものでありまして、環境面にも十分配慮した事業計画となっております。
 有明北地区埋立事業は、臨海副都心の発展のみならず、東京の新しい名所の造形としても東京の活性化にも資するものであり、二十一世紀を見据え、着実に事業を推進してまいります。
 環境問題の解決に向けた展望と決意についてでありますが、私は、知事に就任以来、環境問題は、もはや利便性との五分五分のトレードオフで済む段階をはるかに超えているという認識を披瀝してまいりました。
 自動車排出ガスによる大気汚染や有害化学物質問題に端的に示されるように、我々が直面する環境の危機は、まさに都民の健康の危機であり、東京の将来世代の危機でもあります。また、ヒートアイランド化の進行、産業廃棄物問題の深刻化など、東京の持続可能な発展を脅かしかねない事態にも進んでまいっております。
 私は、これらの危機を打開するために、新たに環境局を設置して、生産、流通、消費、廃棄の各段階における環境配慮の徹底を図り、東京からの環境革命を全面展開していく決意でございます。
 次いで、低公害車の燃料供給施設の整備でありますが、低公害車の普及を図るためには、都内のどこでも燃料の補給ができるよう、燃料供給施設の設備が不可欠であります。その計画的な整備が急がれております。
 東京では、排ガスがクリーンな天然ガス車の普及を一層促進するため、天然ガススタンドを計画的に整備することとして、平成十二年度には、新たに民間における五カ所の整備に対し助成を行うことといたしました。特に、中小事業者に対しては、助成に加え、自己負担をさらに軽減できる低利融資の道も開きました。
 今後とも、国や関係機関と連携して、低公害車の燃料供給施設の整備を図ってまいりたいと思います。
 次いで、都の交通需要マネジメントについてでありますが、東京の交通渋滞は、都市活動の低下や都民の健康に重大な影響を及ぼすなど、非常に危機的な状況にあります。
 自動車交通問題に対処するためには、自動車の効率的な利用、発生量の抑制や公共交通の利便性の向上などによって、効率のよい移動ができるまちを形成していかなくてはなりません。
 これからは、道路や公共交通機関の整備といった容量の拡大というこれまでの施策のみならず、被害者が一方では加害者でもあるという視点に立って、自動車利用、すなわち交通需要の調整に踏み込んで取り組んでいく必要があると思っております。
 最後に、島しょ地域の今後の観光振興策についてでありますが、東京の島しょについては、すばらしい海域が広がるとともに、緑豊かな自然や温泉、火山など、観光資源も実に豊富にございます。行ったことのない人にはわかりませんが、まさに真珠の首飾りのような列島でございます。
 東京は、こうした島しょを抱え、これはほかの大都市、ロンドンやニューヨークやそういったものにない、すばらしい観光資源を埋蔵しておりますが、なかなかこれが多くの方々の目に触れることもなしに見送られる。海も非常に険しい海でもございますけれども……。
 島しょの観光振興は、地域の活性化のみならず、すなわち、東京の魅力を高めることにもなります。私は、以前からいっているんですけれども、首都移転などとばかなことをいっていますが、首相官邸をせっかく取りかえているわけですから、ついでに、アメリカのキャンプデービッドのように、首相が国賓を遇するために伊豆の大島あたりにキャンプデービッドのようなアネックスをつくったら、さぞかしこれは大いなるキャンペーンになると思いますので……。しかし、川島さん、大いに頑張りましょう、一緒に。
 今後とも、島しょ地域の方々や関係団体と一緒になって、これらの観光資源を最大限に活用するとともに、空港の整備を初めアクセスの充実を図るなどして、島しょ地域の観光振興に取り組んでいきたいと思っております。
 一つの案として、例えば、有名な作家を何人か、とにかく東京都が招待して、島に行っていただく。そこで、どれぐらいかかるか知りませんけども、小説も書いてもらう。そういった一つの宣伝媒体もあると思いますので、これからひとつみんなで知恵を出して、すばらしい島しょの観光資源というものを世界に披瀝していきたいと思っております。
 なお、その他の質問については、東京都技監及び関係局長から答弁いたします。
   [東京都技監成戸寿彦君登壇〕

○東京都技監(成戸寿彦君) 島しょ地域の下水道整備についてお答えいたします。
 島しょ地域における下水道など汚水処理施設の整備は、島民の生活環境の改善や観光資源でもある海域の水質保全を図る上から、重要な施策であると認識いたしております。
 都といたしましても、平成九年に策定した東京都下水処理施設整備構想に基づき、公共下水道、農業集落排水、漁業集落排水など、それぞれの地域に適した整備事業が実施できるよう、島しょの町村を指導するとともに、財政的支援を行っているところでございます。
 今後とも、島しょ地域の下水道整備を一層進めるため、技術的指導や国庫補助金の確保など、適切な支援に努めてまいります。
   [総務局長横山洋吉君登壇〕

○総務局長(横山洋吉君) 四点の質問にお答えを申し上げます。
 まず、監理団体改革のための基本指針策定の考え方と意義についてでございますが、この指針は、団体の設立趣旨等にまでさかのぼって見直すことや、自律的経営を促進させること、さらに、経営の透明性の向上を図ることを基本的な考え方として策定したものでございます。
 今後、団体経営の原点に立ち返りまして、すべての団体が危機意識を持って経営改善計画を策定するよう、基本的な取り組みの方向を示しますとともに、都が総点検を行う上での基礎となるものでございます。
 次に、監理団体改革への今後の取り組みについてでございますが、改革を確実に進めていくためには、何よりも団体みずからが改革意識を持って経営改善に取り組むことが重要でございます。
 そのため、この基本指針に基づきまして、各団体が実効性ある経営改善計画を策定しますとともに、都においては、専門家の意見も取り入れながら、個別団体の点検を行いまして、本年秋には、個別団体の総点検結果を公表することとしております。
 これらの結果を平成十三年度の予算編成に反映させるなど、速やかに実行することによりまして、団体改革を確かなものとしてまいります。
 次に、今回の総合防災訓練の従来と異なる点や特徴についてでございますが、大地震発生直後には、できるだけ早く、救出、救護や応急医療に必要な人員と資器材等を被災地に投入し、迅速な活動を行うことによりまして、被害を最小限にとどめることが重要であると認識しております。
 こうした観点から、今回の訓練は、市街地を中心に広範囲にわたり、大規模に実施したいと考えております。
 訓練の特徴としましては、陸、海、空統合運用の自衛隊と、警察、消防を初めとしました関係防災機関との連携を図った実践的な訓練を目指しております。
 最後に、区市町村との役割分担を踏まえた震災対策にかかわる今後の取り組みについてでございますが、地震による被害を少しでも軽減するためには、みずからの身の安全はみずからが守る、こういう考え方に基づいた都民及び地域の自主的な防災への取り組みを強化していくことが不可欠でございます。
 そのためには、都民と最も身近に接している区市町村による地域住民への普及啓発や防災訓練の実施などが、これまで以上に重要となってまいります。
 今後、都としましては、広域的立場から震災対策を推進しますとともに、区市町村との連携を強化してまいります。
   [高齢者施策推進室長福祉局長兼務神藤信之君登壇〕

○高齢者施策推進室長福祉局長兼務(神藤信之君) 福祉の改革及び高齢者福祉に関してのご質問にお答えします。
 まず、福祉改革ビジョンの実現のための取り組み方針についてです。
 このビジョンは、福祉改革の実現に向け戦略を提示し、施策展開の指針として策定するものでございます。今後は、これを着実に推進していく必要があります。
 そのためには、どれだけの質と量のサービスを、いつまでに提供できるようにするのか、さらにそれを実現するためには、どういう手だてを講ずるかなどの点について方針を定めることが必要です。
 今後は、ご指摘の福祉改革ビジョンの実現に向けた取り組み方針をできるだけ早期に策定してまいります。
 次に、福祉改革ビジョンで示した包括補助制度についてでございます。
 福祉改革は、サービス提供を担う区市町村が福祉サービスの質、量の向上に主体的に取り組んでいただくことで初めて実現できるものと認識しております。
 今回の包括補助制度の創設は、こうした趣旨から、区市町村を支援することを目的とするものでございます。
 ご提案いただいたように、区市町村が地域の実情に応じて創意工夫を発揮できるような仕組みとし、積極的、先駆的に福祉改革に取り組む区市町村を応援する制度として実を上げられるものにしていきます。
 次に、介護保険制度実施への準備状況と直前の取り組みについてでございます。
 先般、国から介護報酬が示され、これで制度の内容がすべて明らかになったところでございます。
 区市町村での要介護認定は、一月末現在、既に十五万五千人の都民の方が申請し、その結果通知を受けた方から、順次具体的な介護サービス計画の作成を行っているところです。
 また、サービスを提供する側では、民間事業者などの参入意欲も旺盛で、全般的にはサービス量はほぼ確保されると見込んでおります。
 都は、四月の制度スタートに向け、介護保険事業支援計画の策定や、大詰めを迎えているさまざまな実務上の準備に、区市町村ともども、全力を挙げて取り組んでいるところでございます。
 最後に、特別養護老人ホーム等経営支援事業についてでございます。
 特別養護老人ホームが、これまでの措置制度から介護報酬による経営に円滑に移行し、利用者サービスの維持向上を図ることが必要であり、このため、百億円の予算を計上したところでございます。
 具体的な支援策といたしましては、経営者及び職員の意識改革や情報の公開など、これまで以上にサービスを向上させるための助成、また、介護保険制度に円滑に移行する取り組みへの助成、さらには、経営の継続が困難に陥る施設への支援などが主な内容でございます。このことによりまして、特別養護老人ホームが介護保険制度へ円滑に移行できるものと考えております。
   [労働経済局長大関東支夫君登壇〕

○労働経済局長(大関東支夫君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、産業の活性化のために、行政のコーディネート機能を定着させるべきではないかとのお尋ねでございますが、東京の産業の活力を高めるためには、中小企業、商店街、地域住民など、それぞれの持つ能力を存分に発揮していくことが重要でございます。
 このため、都は、産業労働行政を進める中におきまして、区市町村とも連携を図りながら、こうした意欲ある中小企業などの能力を引き出し、コーディネートする機能をさらに強化し、定着してまいります。
 次に、産業振興ビジョンの最終報告に向けた取り組みについてでございますが、中間のまとめで触れましたように、現下の厳しい経済状況下におきましても、元気に活躍している産業、商店街等は数多く見られるわけでございます。
 最終報告におきましては、こうした民間の元気な成功事例をさらにくみ上げ、そのノウハウを可能な限り普遍的なものといたしまして、全都、全産業に広げられるような仕組みを考えてまいります。
 また、深刻な雇用危機を打開し、産業全体の活性化を図るためには、新たな産業を創出する必要がありますので、その具体策につきましても構築してまいります。
 次に、今後の多摩地域の産業振興についてでございますが、豊かな緑と良好な住宅地に恵まれ、技術力にすぐれた研究開発型企業や大学等が集積しております多摩地域は、市場への近接性や情報の豊富さなど有利な特性を持っております。
 都は、これまでもこうした特性を踏まえ、産・学・公の連携の強化や工業集積地域活性化支援事業などによりまして、研究開発や交流促進等を支援してまいりました。
 今後、さらに多摩地域の特性を生かし、創業の促進や中小・ベンチャー企業への支援等により新産業を育成し、雇用の創出と経済の活性化を実現するため、まちづくりと一体となったバランスのとれた産業振興を目指してまいります。
 次に、大消費地である東京に立地する有利性を生かした農林水産業の振興についてでございますが、東京の農林水産業は、新鮮、安全な生産物を身近に手に入れられることから、都民にとって魅力のあるものとなっており、このことが同時に、生産者にとりまし
てもメリットともなっているわけでございます。
 このため、都では、従来から、農産物直売施設や水産物流通センターの設置を進めるとともに、有機農産物など消費者の求める付加価値の高い農林水産物の生産を支援してまいりました。
 今後、こうした有利性を生かし、生産者、消費者の双方にとりまして、東京の農林水産業がさらに魅力あるものとなるよう努めてまいります。
   [港湾局長浪越勝海君登壇〕

○港湾局長(浪越勝海君) 臨海地域の開発整備についての三点のご質問にお答えいたします。
 まず、臨海副都心開発に伴います税収についてでございますが、私ども港湾局の行った試算によりますと、臨海副都心開発に着手した昭和六十三年度から、まちがおおむね完成する平成二十七年度までの国税及び都税の収入見込み額は約二兆四千六百億円でございまして、このうち、都税収入は約七千五百億円となっております。
 また、この試算によりますと、お話のありました都税収入額の累計が一般財源支出額の三千九百億円に達するのは平成二十年度の見込みでございます。したがいまして、一般財源の支出が終了する平成二十七年度の七年前までに、これに相応する税収が得られることになります。このように、臨海副都心開発には、大変大きな税収効果があるものと考えられます。
 次に、有明北埋立事業の公園緑地等の資産価値についてでございますが、埋め立てで生み出される親水公園や幹線道路約八ヘクタールを、仮に平成十一年の有明北地区の基準地価三十八万五千円で試算しますと、土地の価値は約三百十億円となります。
 また、公園道路を含む全体では約三十五ヘクタールの土地が創出され、その価値は約千三百五十億円となります。なお、今後、埋め立てが終わり、都心とのアクセスが改善され、まちづくりが進む中で、この地区の地価は格段の上昇が見込まれることから、将来における価値はより一層大きくなると考えられます。
 最後に、マハゼの生息地と生息状況についてでございますが、マハゼは東京港のほぼ全域において生息する魚であり、春に比較的深い水域でふ化したマハゼは、秋ごろにかけて比較的浅い水域で成長していきます。夏から秋にかけての釣りシーズンには、大井ふ頭中央海浜公園、お台場海浜公園などで釣りを楽しむ多くの都民に親しまれております。二月から三月にかけての産卵期には比較的深い水域に移動し、巣穴を掘って産卵をし、ほとんどがここで一生を終えることとなります。
 環境影響評価に当たっての調査結果では、有明北地区の巣穴の密度は十平方メートル当たり〇・三二から〇・四八個であり、一方、多摩川河口域は十八・二個、羽田沖は三・〇から五・七五個、お台場周辺は一・二から三・〇五となっており、有明北地区は多摩川河口域に比べると、五十分の一程度しかございません。このように、有明北地区がマハゼの唯一の生息地ということではないことは無論、聖地といえるような実態にはないと考えます。
 なお、埋め立てに当たっては、現在の水域約五十四ヘクタールのうち三分の一強を残すとともに、ハゼのえさとなるカニ等の生息に配慮した護岸や干潟機能を持った緩傾斜の護岸、潮入りを設置するなど、水生生物に対する環境対策を十分行っていくこととしております。
   [政策報道室長柿沼伸二君登壇〕

○政策報道室長(柿沼伸二君) 違法駐車対策やロードプライシングへの世論の合意形成についてのお尋ねでございますが、交通需要マネジメントは、東京の交通渋滞や環境悪化を解決していくための新しい取り組みでございまして、その実施には、都民の理解と協力が不可欠であると考えております。
 このため、インターネットの活用など、さまざまな広報活動を引き続き行うとともに、ロードプライシングに向けたアンケート調査や試行の実施、あるいは駐車対策での社会実験、その他のモデル事業、それから、違法駐車防止のキャンペーンの展開など、都民の理解を深めるよう努力をしていきたいと思っております。
   [清掃局長安樂進君登壇〕

○清掃局長(安樂進君) 廃棄物に関します三点の質問にお答えをいたします。
 初めに、清掃事業の区移管を機に、新たな廃棄物行政に取り組むべきではないかとのお尋ねでございますが、産業廃棄物につきましては、不法投棄などが住民の強い反発を受け、処理施設の建設が大変困難になっておりますが、処理施設が建設できないために不適正処理がさらに増加するという悪循環に陥っております。
 このような状況に対応するため、国は、廃棄物処理法の改正案を三月中に国会へ上程する予定になっております。現時点で確定的内容は明らかではありませんが、今回の改正案では、廃棄物が最後まで適正に処理されたかどうかの確認事務を事業者に課すとともに、都道府県が関与して民間の産業廃棄物処理施設の整備を促進する方策が講ぜられることとなっております。
 このような法改正を受けまして、都は、事業者の処理責任の徹底を図るとともに、民間事業者が適正な処理を行うための環境づくりや、排出量が多く、リサイクルの進んでいない建設廃棄物の処理施設の整備を促進するため、都の保有する適地を実験的に民間事業者に貸与するなど、効果的な方策を検討してまいります。
 次に、生産、流通段階にさかのぼった廃棄物対策を議論すべきとのお尋ねでございます。
 廃棄物についてのこれまでの法律の体系は、どちらかというと、ごみとして廃棄された段階での対策に重点が置かれておりましたが、今回、改正が予定されている法律案では、廃棄物を資源として活用していく方向に重点を移すとともに、ご指摘のように、生産、流通の段階にさかのぼった廃棄物対策が打ち出されております。
 例えば長持ちする製品やリサイクルしやすい製品の開発、製造を義務づけたり、修理体制の整備や部品の再利用、あるいは製造業者みずからが分別回収することを義務づけるなど、生産や流通の各段階でごみを減らすための方策が盛り込まれております。
 これらの方策を実施していくためには、区市町村の区域を超えて行われている生産、流通活動を対象にした総合的、広域的な施策が必要であり、広域行政を担う都の役割がますます重要になっております。
 このため、法改正を受けて、今後の都の施策をできるだけ早く具体化してまいります。
 次に、廃棄物対策のために目標数値の設定や計画的な取り組みを行うべきとのお尋ねでございます。
 都は、これまでも区部の一般廃棄物や都内の産業廃棄物につきましては、減量目標等を策定してまいりましたが、今後、さらにごみの減量やリサイクルを進めるためには、大量の物資が集積し、消費されている首都圏の特性を反映した数値目標の設定が不可欠でございます。しかしながら、目標設定の根拠となる都内の資源循環の実態の把握は、これまで必ずしも十分ではありませんでした。
 そこで、生産、流通から廃棄に至る資源循環の過程を定量的に把握し、実態に即した目標を設定するため、調査経費を十二年度予算案に計上したところであります。これにより、今後は確かな数値目標に基づく計画的な廃棄物・リサイクル対策を進めてまいります。
   [生活文化局長今沢時雄君登壇〕

○生活文化局長(今沢時雄君) 島しょ地域における東京コンベンション・ビジターズビューローの取り組みについてのご質問にお答えいたします。
 同ビューローでは、これまでも多摩・島しょ地域の観光情報誌の発行でありますとか、首都圏での観光展への出展、島しょ地域への観光ツアーなどの事業を行ってまいりましたが、今後は、これらの事業に加えまして、運輸、旅行業界とタイアップ、また、地域との協力のもとに、インターネットなどによる内外への情報発信の強化、サーフィンあるいはダイビングなどの海洋や自然に触れる観光ツアーの企画、さらには各島の特産物づくりや伝統文化の体験ツアーの開発などによりまして、観光客誘致を図っていくこととしておりますが、都といたしましても、効果がさらに上がるよう指導してまいります。
   [教育長中島元彦君登壇〕

○教育長(中島元彦君) 五点のご質問にお答えをいたします。
 まず、教育職員の資質、能力の向上を図るための研修についてでございます。
 ご指摘のように、教育職員は、学校教育を担う組織の一員としての自覚を持ち、教育活動の充実のため、日々自己研さんに努める必要がございます。都教育委員会は、これまで初任者研修や教職経験に応じた研修などを実施し、教育職員の資質、能力の向上に努めてきました。
 今後は、教育職員のライフステージに応じた研修体系の整備拡充を図るとともに、各学校においても、個々の教育職員の育成課題に応じた研修を行うことにより、学校全体の教育力の向上が図れるようモデル案を示すなど、その充実に向けて取り組んでまいります。
 次に、業績評価を活用した研修についてでございますが、教育職員の人材育成を効果的に行うため、今後導入する人事考課制度に基づく自己申告や業績評価を活用して、指導力を向上させる研修や、キャリアに応じた研修など、能力開発型の研修を新たに設け、教育職員の資質や職務遂行能力の向上を図ってまいります。
 次に、研修センターについてでございますが、都教育委員会は、人材育成の観点から、教育職員の研修を一元的に管理するとともに、ライフステージに応じた研修体系を整備拡充するために、都立教育研究所などを再編整備し、研修センターを開設するための検討を重ねてまいりました。
 平成十二年度には、その開設のための準備組織を設置し、早期開設を目指して準備を進めてまいります。
 次に、教育管理職の育成についてでございますが、これからの教育管理職には、豊かな教育理念と教育愛を持ち、人間性豊かな教育者としての資質に加え、社会の動向と将来を見据えた洞察力を持って、教員の意識改革を図り、教育改革を断行する強いリーダーシップを備えた行動力のある経営者としての資質をあわせ持つことが求められております。
 このため、平成十二年度から、管理職候補期間中におけるジョブローテーションの導入や研修の充実など、計画的な人材育成に重点を置いた新たな管理職任用制度により、すぐれた識見と強い指導力を備えた人材の育成、確保に努めてまいります。
 最後に、人事考課制度の円滑な導入についてでございますが、ご指摘のとおり、教育職員の中には人事考課制度の導入について反対している者が一部見受けられますが、この制度は、教育職員の資質、能力の開発向上及び学校組織の活性化を目指すものでございまして、教育改革を推進するために最優先で取り組まなければならないものと考えております。
 このため、校長、教頭対象の評価者訓練を鋭意進めるとともに、人事考課制度の目的や趣旨について、教育職員及び都民に対する周知の徹底を図り、断固として制度を実効あるものとする決意で取り組んでまいります。

○議長(渋谷守生君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時九分休憩

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