平成十一年東京都議会会議録第十八号

○議長(渋谷守生君) 十七番藤井一君。
   [十七番藤井一君登壇]
   [議長退席、副議長着席]

○十七番(藤井一君) まず初めに、介護保険問題について伺います。
 来年四月から実施されます介護保険制度を前に、都内の区市町村では要介護認定のための作業が着々と進んでおります。
 一方、十月に発表された都の試算によると、来年度、在宅サービスのうち、デイサービスやショートステイのサービスを利用したいという希望者に対し、実際にサービスを受けられるのは、その半分にも満たないことが明らかになりました。また、ホームヘルパーが各家庭を回る訪問介護については、希望の九割程度であります。このままでは、来年度、まさに保険あって介護なしとならざるを得ません。
 そこで伺います。
 第一に、都は、在宅サービスの柱となるデイサービスやショートステイサービスの供給を早急に拡大すべきであります。具体的にどのように進めるか、伺います。
 第二に、官民ともに、在宅介護の柱となるホームヘルパーの質と量を確保することが重要であります。そのために都はどのように取り組むのか、伺います。
 第三に、介護保険制度では、今までホームヘルパーやデイサービスなどの福祉サービスを受けていた高齢者が、要介護認定で自立と判定された場合、サービスを受けられなくなります。そのため、日常生活に支障がある高齢者や、家に閉じこもりがちになる高齢者がふえることが予想されます。
 これに対応するため、国と都においては、生活支援ヘルパーや生きがい対応デイサービスなどが検討されていますが、これらのサービスを受ける低所得者については、利用者負担を軽減すべきと考えます。所見を伺います。
 次に、痴呆性高齢者グループホームについて伺います。
 第一に、徘回や奇異行動などで家族介護などが大変な痴呆性高齢者に対する知事の認識と今後の対応について伺います。
 第二に、痴呆性高齢者グループホームの設置促進についてであります。介護保険のサービスメニューの一つであるグループホームは、現在、都内に世田谷区と足立区の二カ所しかありません。そのため、早急に整備する必要があります。特に都内の場合、土地の確保が困難なことや比較的費用が安く済むことから、一般の民家を改修して整備を進めることが有効であると考えます。
 そこで都は、都独自の補助制度を積極的に活用して、痴呆性高齢者グループホームの設置を促進すべきであります。所見を伺います。
 第三に、事業者への指導強化策についてであります。グループホームの特色は、特養ホームのようにスケジュールというものがありません。入居者は個室に住み、各自の好きなときに食事をしたり入浴をします。また、自分たちで食事をつくったり、洗濯などの共同作業を通して、他人から褒められたり、感謝されたりすることにより、自己の実現を図り、人間らしい尊厳ある暮らしを送ることができます。
 介護保険の導入により、グループホームを開設したいという事業者が数多くいるといわれますが、これらの事業者の中には、このようなグループホームの理念や特性について十分理解していない場合があると聞いております。
 そこで都は、痴呆性高齢者グループホームの開設を希望する事業者に対する指導を強化する必要があると考えますが、所見を伺います。
 次に、都営住宅のエレベーター設置について伺います。
 都は、既存の中層都営住宅にエレベーター設置を着実に進めていますが、設置対象が四階以上で、廊下がつながっている住宅に限られています。そのため、いわゆる階段室型の都営住宅にはエレベーターが全く設置されていません。また、廊下型の住宅でも、日影の問題やスペースの不足により、エレベーター設置ができない都営住宅が約六百棟あります。
 そこで伺います。
 第一に、階段室型の都営住宅へのエレベーター設置についてであります。本年八月、建設省は、既存の階段室型の公営住宅でも、一基当たり六百万円以下のコストでコンパクトなエレベーターを設置できる開発提案を、民間から募集することを明らかにいたしました。
 そこで都は、今後国と連携して、階段室型の都営住宅にもエレベーターを設置できるように積極的に取り組むべきと考えますが、所見を伺います。
 第二に、日影規制への対策についてであります。現在、既存の中層都営住宅で、エレベーターを設置したくても日影規制の基準に当てはまらないため、設置できない住宅が約二百棟あります。そこで、例えば五階建て住宅であれば、四階までのエレベーターを設置して日影規制の基準をクリアするなど、柔軟に対応すべきであります。所見を伺います。
 第三に、既存の高層都営住宅のエレベーターは、昭和三十年代から設置されたもので、車いす用のスイッチボタンや視覚障害者への案内装置がないなど、障害者には使いにくいものもあると聞いております。都は、その改善について取り組んでいるようですが、高齢化の急速な進展もあり、早急に改善すべきと考えます。今後の対応について伺います。
 次に、中小企業対策について伺います。
 大田区を初めとする城南地域は、機械工業を中心に、すぐれた技術を有する中小企業が集積しており、東京の産業の拠点であります。しかし、近年、製造拠点の海外移転やアジア諸国の追い上げ等により、中小企業は受注減や単価の切り下げを強いられ、厳しい経営環境に陥っております。また、人材不足や後継者難などの問題にも直面しており、東京の産業基盤を支える中小企業の支援策が急務であります。
 そこで伺います。
 第一に、大田区の産業情報ネットワークについてであります。先月、都は、東京都産業振興ビジョン中間のまとめを発表いたしました。その中に、大田区のすぐれた技術や製品情報を国内外に発信するとともに、受発注の拡大を図る大田区の産業情報ネットワークを構築する提案が盛り込まれております。
 そこで、中小企業の技術力と世界に向けた情報ネットワークについて、このことについて造詣の深い知事はどのように考えているのか、伺います。
 第二に、産業情報ネットワークを創設するに当たっては、インターネットを活用し、全国規模の製造業のデータベースを整備した大田「オーネット」と連携し、都が積極的に支援すべきと考えます。所見を伺います。
 第三に、都立技術専門校及び都立工業高校の実習用機器の整備についてであります。工業系の学校で学ぶ生徒は、将来の物づくりに携わる大事な人材であり、これらの生徒が実習で学ぶ技術は、即社会で通用する最新のものでなくてはなりません。
 しかしながら、現状は、旧式の機器で実習を行っている技術専門校や都立工業高校があります。例えば、都立大田技術専門校で使っている工業モデルのCAD・CAM機器は平成二年製であり、技術の進歩に立ちおくれています。
 そこで、大田区及びその周辺にある技術専門校や都立工業高校が実践的な訓練を行えるよう、都は最新の工業技術に対応できる機器を整備すべきと考えます。所見を伺います。
 第四に、技術専門校や都立工業高校を卒業した生徒が、就職先がなく苦労をしております。大田区のある工業経営者は、技術専門校等はどんな人材が育っているのか、交流がないため地元企業にはわからないと語っていました。このように、専門校や都立工業高校と地元企業との交流が十分に行われているとはいえません。
 そこで都は、今後、専門校や都立工業高校と地元企業との日常的な交流を活発に行い、就職先の拡大や職業観の育成を図るべきと考えます。関係局長の所見を伺います。
 次に、働く女性の仕事と育児の両立を支援するファミリー・サポート・センター事業について伺います。
 ファミリー・サポート・センターは、主として子どもを預けたいお母さんを利用会員として登録し、反対に、預かってもよいという方を提供会員として登録して、預かった時間に応じて、当事者同士で料金を支払う有償ボランティアの拠点であります。具体的には、保育園や幼稚園の開始前や終了後に子どもを預かったり、子どもが軽度の病気のときや母親の出産、急病のときに子どもを預かるもので、この事業は、核家族化が進む東京において、働く女性を地域で支える重要な子育て支援策であります。
 そこで伺います。
 第一に、都におけるファミリー・サポート・センターの概要と、国、都の支援策について伺います。
 第二に、現在、ファミリー・サポート・センターは都内九区三市で実施されていますが、まだ実施されていない区市に対して、都はファミリー・サポート・センターについてのニーズの把握、分析を早急に行うべきと考えます。所見を伺います。
 第三に、子育てのための有効な支援策として、ファミリー・サポート・センター事業を全区市に設置すべきであります。都は具体的にどのように設置促進に取り組むのか、所見を伺います。
 次に、京浜急行の連続立体交差事業について伺います。
 京浜急行線は、環八や第一京浜など都内の主要幹線道路と平面交差しており、道路交通の大きなボトルネックとなっております。特に、環八と京急本線が交差する踏切では、ピーク時には一時間に十五分間しかあかない、まさにあかずの踏切となっております。そのため、京急の高架化は地元大田区民の長年の悲願であり、一日も早い完成が待たれております。この地元の熱い要望を受けた東京都と大田区の努力により、京浜急行線の連続立体交差事業は本年三月に都市計画決定され、ようやくスタートしたところであります。
 そこで伺います。
 第一に、最近、小田急小田原線の成城学園前駅から登戸駅間の連続立体交差事業が完了しましたが、その踏切解消による事業効果は、年間で約七十五億円という調査結果が出されました。そこで、京浜急行線を初めとする都内の連続立体交差事業は、ボトルネックを解消し、東京の再生に大きく寄与するものと考えますが、この事業を推進する知事の決意を伺います。
 第二に、京浜急行連続立体事業は、最も渋滞の激しい環八区間の一部立体化を平成十七年度に完了させる計画であると聞いております。地元要望の強い環八区間を早期に完成させるよう取り組むべきと考えます。所見を伺います。
 第三に、この事業は、用地測量や用地取得など地元との折衝の進みぐあいに大きく影響されると考えます。今後、この事業を円滑に推進するため、都は具体的にどのように取り組むのか、伺います。
 第四に、羽田空港の国際化を推進する上で、東京圏から空港へのアクセス整備が重要であります。特に、東急蒲田駅と京急蒲田駅をつなぐ仮称蒲々線は、区部の南北をつなぎ、羽田空港へのアクセスが大変便利になり、東京の利便性向上につながるものと考えます。そこで、この蒲々線を実現するために、都としてどのように取り組むのか、伺います。
 最後に、昨日の我が党の代表質問に対し、都は、羽田空港の国際化の実現を十分念頭に置き、国や地元大田区と空港の新しい運用に関する協議を積極的に進めていくと答弁いたしました。羽田空港の国際化を進めるためには、交通アクセスの整備や空港跡地開発など多くの課題がありますが、知事の強力なリーダーシップによって、羽田空港の国際化を推進するよう強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
 以上です。(拍手)
   [知事石原慎太郎君登壇]

○知事(石原慎太郎君) 藤井一議員の一般質問にお答えいたします。
 痴呆性高齢者についてでありますが、私の知人の家にも一人、高齢の痴呆性のおばあちゃんがおられまして、特に、違う地域で小料理屋さんやっている家庭なもんですから大変で、もう時々家出をして徘回し、そのうちにおばあちゃんの手ではあかないかぎをかけたりなんかしておりましたが、本当にご家族の方々にとって大変な負担になっているということは、もう身近な友人の家庭ですから痛感いたしております。
 急速な高齢化に伴い、痴呆性高齢者がますます増加し、その対応がますます重要な問題になってきております。
 そのために、今後とも、グループホームなどの基盤整備、痴呆ケアの専門的な人材の養成、総合的研究など区市町村と連携して取り組み、ご本人と家族が住みなれた地域で安心して暮らし続けられるようにいたしたいと思っております。
 次いで、中小企業の持つ技術力と世界に向けた情報ネットワークについてでありますが、大田区に限らず、東京には非常に高レベルの技術力を持った中小企業が多数存在しておりまして、こういった企業こそ東京の産業の中核であり、また日本の産業の中核ともなっておりますが、また同時に、東京再生の主役であると認識しております。
 しかし、すぐれた技術でありましても、内外に十分知られていないうらみがございまして、そのために、中小企業のデータベースに基づいてすぐれた技術情報が発信され、海外等からの問い合わせに対応していくことがなかなかできにくい状態でありますが、今回、新しい債券市場の組み立てのためにも、立ち上げのためにも、上場以前の、中小企業のデータベースというものが必要でありまして、調べてみますと、その会社の役員の構成がどういうふうになっているか、親戚が何人いるとか、そういうことばかりでありまして、肝心の技術についての分析、データというのは非常に不足しておりますが、これはやはり新しい市場の立ち上げのためにも、そういうデータの作成と管理を東京都こそが行っていきたいと思っております。
 次いで、連続立体交差事業についてであります。これは大田区に限らず、こういう事業は、東京の道路交通のボトルネックとなっている多数の踏切を同時に除去することによって渋滞や地域分断を解消し、都民生活と都市活動を飛躍的に向上させるための極めて整備効果の高い事業と心得ております。
 私自身も大田区に住んでおりまして、羽田に向かう途中、あかずの踏切でついに立ち往生して、飛行機を逃したこともございますが、いずれにしろ都市機能というものの回復のためにも、これからこういう事業に集中的に取り組んでいきたいと思っております。
 これまでも二百カ所以上の踏切を除去し、現在、京浜急行を初めJR中央線や小田急線などで、効果的、重点的な事業を進めております。
 今後とも、地元区市や鉄道事業者と連携し、活力のある東京の再生に向けて、積極的にこの事業を推進するつもりでございます。
 他の質問については、都技監及び関係局長から答弁いたします。
   [東京都技監成戸寿彦君登壇]

○東京都技監(成戸寿彦君) 東急目蒲線と京急空港線を結ぶ、いわゆる蒲々線に対する都の取り組みでございますが、ご指摘のように、都といたしましても、羽田空港へのアクセスの向上は極めて重要なことであると認識をいたしております。
 現在、運輸省では都市鉄道調査といたしまして、東急目蒲線と京急空港線の接続について検討をいたしておりまして、都も鉄道事業者とともに、この調査に参画しているところであります。
 今後、この調査結果などを踏まえ、都として必要な対応をしてまいります。
   [高齢者施策推進室長福祉局長兼務神藤信之君登壇]

○高齢者施策推進室長福祉局長兼務(神藤信之君) 介護保険に関します五点のご質問にお答えします。
 最初に、デイサービスやショートステイの供給拡大についてのお尋ねでございます。
 都は、これまでも特別養護老人ホームとの併設、余裕教室の活用などにより、デイサービスの施設整備を促進してまいりました。
 また、ショートステイについても、特別養護老人ホームへの併設、診療所の転用により、その整備促進に取り組んできたところでございます。
 今後は、介護保険事業支援計画に基づき、区市町村と連携して計画的な整備を進めるとともに、介護保険施設の空きベッドの活用などにより、供給の拡大を図ってまいります。
 次に、ホームヘルパーの量と質の確保についてのお尋ねでございますが、都はこれまでも、区市町村と協力してホームヘルパーの養成に努めてきました。
 今後とも、ヘルパーの計画的養成を図るとともに、NPO団体等の介護保険事業者への参入を促進し、サービスの量を確保してまいります。
 また、苦情対応の仕組みづくりを進めること、適正な事業運営の指針となる指定事業者向けのサービスガイドラインの今年度中の作成、第三者によるサービス評価の検討を進めるなど、サービスの質の一層の向上を図ってまいります。
 次に、利用者負担の考え方についてでございますが、介護保険対象外の高齢者が生活支援ヘルパーや生きがい対応型デイサービスを利用した場合の負担につきましては、介護保険制度と同率程度の負担とすることが基本と考えられますが、低所得者の負担軽減につきましては、国の動向をも踏まえ検討してまいります。
 次に、痴呆性高齢者グループホームの設置促進についてでございます。
 都は、平成十年度から区市町村に対する都独自の整備費補助制度を創設し、民家等を活用したグループホームの整備を進めてきました。
 グループホームは介護保険のサービスの一つであり、さらに充実を図る必要があることから、今後とも、区市町村を支援して積極的に整備を進めてまいります。
 次に、痴呆性高齢者グループホームの開設を希望する事業者に対する指導についてでございます。
 都では、数多くの事業者からの設置相談を受けておりますが、「痴呆性高齢者グループホーム開設の手引」の改訂版を作成しまして、理念や関係法令などのほか、運営全般のあり方をわかりやすく説明しているところでございます。
 引き続き区市町村と連携を図りながら、痴呆の方が地域の中で安心して共同生活を送ることができるグループホームが設置されるよう、事業者への適正な指導に努めてまいります。
   [住宅局長戸井昌蔵君登壇]

○住宅局長(戸井昌蔵君) 都営住宅のエレベーターについての三点のご質問にお答えいたします。
 まず、既存の階段室型の都営住宅へのエレベーター設置についてでございます。
 ご指摘のとおり、現在、建設省の助言に基づきまして、都道府県等で構成いたします協議会におきまして、階段室型の住棟に設置可能なエレベーターの開発提案を公募中でございます。
 今後、都といたしましては、この開発提案を踏まえまして、国とも連携しながら設置の可能性について具体的に検討してまいります。
 次に、エレベーター設置の際の日影規制への対応についてでございます。
 お尋ねの、五階建ての住棟に四階までエレベーターを設置するということは、居住者の合意形成などの問題もございますけれども、日影規制などをクリアできて設置が可能となるケースもありますことから、今後、具体化に向けて鋭意検討してまいります。
 三点目は、エレベーターの改善についてでございます。
 既存の高層住宅のエレベーターの中には、ご指摘のとおり、身体障害者の方にとって使いにくいものもございます。このため、現在、都営住宅のバリアフリー化推進の一環といたしまして、福祉対応型エレベーターへの改善を進めているところでございます。
 未改善のエレベーターにつきましては、今後、できるだけ早期に改善できるよう努めてまいります。
   [労働経済局長大関東支夫君登壇]

○労働経済局長(大関東支夫君) 六点のご質問にお答えいたします。
 大田区の産業情報ネットワークの創設に対する支援についてのお尋ねでございますが、今回、産業振興ビジョンで提案されましたネットワークの創設は、大田区の製造業を中心とする産業集積の機能を飛躍させるものでございまして、産業の活性化にとって重要な役割を果たすと考えております。
 しかし、その構築に当たりましては、海外からの引き合いに対して、的確に処理できる語学力と、技術的素養を持った人材の確保などの課題があろうかと思っております。
 今後、提案者や区等と十分話し合いまして、その実現可能性、あるいはその支援のあり方、こういった点につきまして検討してまいりたいと思います。
 次に、都立技術専門校の実習用機器の整備についてのお尋ねでございますが、技術専門校におきましては、東京の産業を支える人材を育成していくには、技術革新に対応した機器の整備が大変重要でございます。
 これまでも、OA機器、ME機器などを段階的に整備してまいりましたが、ご指摘の大田技術専門校のCAD・CAMシステムに見られますように、急激な技術革新や産業構造の変化に追いついていけないものもございます。
 今後とも、必要な機器の整備を順次進め、企業が求める人材を社会に送り出せるよう、実践的な職業訓練に努めてまいります。
 次に、技術専門校と地元企業との日常的な交流についてのお尋ねでございますが、技術専門校で、地元企業と日常的な交流を行い、企業ニーズに即した訓練を実施することは、就職先の拡大を図る上からも極めて重要であろうと考えております。
 このため、これまでも事業主団体等で構成する協議会での意見を訓練内容に反映するとともに、企業等の施設を利用した実習などにも参加させていただいております。
 今後、これらに加え、職業意識の育成や企業理解の促進を図るための就業体験を今年度中にスタートさせ、地元企業との連携を深めることにより、就職先の拡大を図ってまいります。
 次に、ファミリー・サポート・センターの概要と、国及び都の支援策についてのお尋ねでございますが、ファミリー・サポート・センターは、働く女性を初め、子どもを持つ勤労者の仕事と育児の両立を支援するため、地域の中で相互に助け合う制度でございまして、区市が設置するものでございます。
 都といたしましては、働きながら子どもを育てる女性などへの支援策として、この事業は重要であろうと考えております。
 このため、国による二分の一の補助に加えて、ファミリー・サポート・センターの運営経費の四分の一を区市に補助するほか、関係職員等に対する研修を実施するなどの支援を行っているところでございます。
 次に、ファミリー・サポート・センターのニーズの把握等についてのお尋ねでございますが、この事業の実施に当たりましては、設置主体である区市が、住民のファミリー・サポート・センターの利用についての意向や、希望するサービス内容などの調査を行っているところでございます。
 都といたしましては、これまでも、調査を実施していない区市に対しまして、調査を行うよう働きかけてまいりましたが、今後、さらに強く働きかけるとともに、区市と協力して、その結果の分析を行うなど、より的確なニーズの把握に努めてまいります。
 また、ファミリー・サポート・センターの設置促進についてのお尋ねがございました。
 都におきましては、この事業を少子化対策の重点事業の一つに位置づけておりまして、区市に対する説明会を開催するとともに、個別の相談に応じるなど、計画的な設置促進に努めております。
 今後とも、多くの区市にファミリー・サポート・センターが設置されますよう、積極的に取り組んでまいります。
   [教育長中島元彦君登壇]

○教育長(中島元彦君) 都立工業高校に関する二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、実習用機器の整備についてでございますが、都教育委員会は、産業社会の進展に伴う教育内容と教育方法の改善のため、国の産業教育設備基準の充足を図るとともに、情報処理機器等の更新を行うなど、計画的に取り組んできております。
 今後、ご指摘の地区における工業高校につきましては、羽田地区総合学科高校並びに大田地区単位制工業高校を開設する中で、先端技術機器等の導入に努め、その充実を図ってまいります。
 次に、地元企業との交流による就職先の拡大や職業観の育成についてでございますが、都立工業高校では、これまでも現場実習や工場見学及び社会人講師の活用などにより、地域の産業との連携、交流に努めてきたところでございます。
 都教育委員会といたしましては、平成十一年度に設置したインターンシップ推進委員会の検討を踏まえ、来年度以降、推進校を指定するなどいたしまして、地元企業などにおける生徒の就業体験の普及啓発に努め、就職先の確保や望ましい職業観の育成を一層図ってまいります。
   [建設局長古川公毅君登壇]

○建設局長(古川公毅君) 京浜急行線の連続立体交差事業における環八区間の取り組みについてですが、本事業は平成十一年三月に都市計画決定し、現在、詳細設計や用地測量を進めており、平成十二年度には事業認可を得て用地取得に着手いたします。
 財政状況が厳しい中ではありますが、事業対象となる二十八カ所の踏切のうち、特に渋滞の激しい環八など四カ所については、平成十七年度の踏切解消を目指し、重点的に事業を推進してまいります。
 円滑な事業推進の取り組みについてですが、本事業は、幹線道路である環八や第一京浜の交通の流れを確保しながら、商店や住宅が密集する市街地で実施する大規模な工事です。
 したがって、本事業を着実に推進するためには、地元区、鉄道事業者と緊密に連携し、関係住民の理解と協力を得ていくことが極めて重要です。
 とりわけ用地取得については、移転資金の貸し付けや代替地のあっせんなどの生活再建制度の活用、個別相談会の開催など、きめ細かく対応してまいります。

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