平成十一年東京都議会会議録第十八号

○議長(渋谷守生君) 六十一番石川芳昭君。
   [六十一番石川芳昭登壇]
   [議長退席、副議長着席]

○六十一番(石川芳昭君) 初めに、男女共同参画社会の取り組みについて伺います。
 本年六月、男女共同参画社会基本法が成立し、国や地方自治体では具体的な取り組みが活発化しております。都においても本年八月、都女性問題協議会が、男女平等参画基本条例に関する報告書をまとめ、知事に提出しました。この報告書を受けて、知事は、来年の第一回都議会定例会に条例案を提出する予定と伺っております。
 そこで、第一に、都が平成十年三月に策定した男女平等推進のための東京都行動計画において、都の審議会等における女性委員の任用促進について掲げています。この女性委員の任用は、女性の社会における参画状況を示す大きな指標の一つといわれており、積極的に進めるべきと考えますが、都の目標と現在の達成状況を伺います。
 第二に、条例案に織り込むべき事項について伺います。
 都が全国に先駆けて制定する条例には、国の基本法で明文化されなかった観点も視野に入れて、セクシュアルハラスメントや、夫から妻への暴力の禁止の規定などをぜひとも盛り込むべきと考えますが、見解を伺います。
 第三に、男女平等施策の推進体制についてお尋ねします。
 男女平等は、生活文化局を初め、女性の保護については福祉局、働く女性の問題については労働経済局、男女平等教育については教育庁と、都庁の中の多数の部局にかかわってきます。男女平等参画を有効に推進していくためには、都庁が一体となって総合的に取り組んでいく必要があると考えますが、所見を伺います。
 次に、住宅問題について伺います。
 国においては、住宅・都市整備公団を廃止し、分譲住宅業務から撤退する一方で、賃貸住宅事業を継続するという都市基盤整備公団が本年十月一日に設立されました。
 この間、国会においては、賃貸住宅供給についても、都市開発に伴って実施する家賃決定のルールも、これまでの建物の償却費や地価、修繕費などをもとに算定する原価主義の家賃改定ルールから、民間賃貸住宅市場における家賃を基本とする家賃にするなどを内容とする都市基盤整備公団法案の審議が行われました。
 そこで問題になりましたのが、公団賃貸住宅に居住されている約七十三万戸の皆さんが、自分たちがこのまま住み続けられるだろうかと大きな不安を抱いていることでした。そのため、私たち公明党は、この不安を解消して、安心して住み続けられる公団住宅にしなければならないとの考えから法案審議に臨みました。
 そこで初めに、この法案の採決の際に附帯決議がなされていますが、家賃に関する部分について伺います。
 第二は、都市基盤整備公団は、改定の方針を決定し、去る十月二十七日、公団賃貸住宅の家賃の見直しについてプレス発表を行っていますが、この主な内容について伺います。
 第三に、同法第三十三条第四項に、第一項または第二項の規定にかかわらず、居住者が高齢者、身体障害者その他の特に居住安定を図る必要がある者で、これらの規定による家賃を支払うことが困難であると認められる者である場合、または賃貸住宅に災害その他の事由が生じた場合においては家賃を減免することができると明記されていますが、公団は、この項についてどのように実施するのか、その内容を伺います。
 第四に、同法の施行は、公団居住者の立場を守ることがより明確にされた点で、私どもは一定の評価をするものであります。そこで、こうした流れを踏まえて、公社賃貸住宅についても同様な措置をとるよう検討し、約六万二千戸の公社居住者が安心して住み続けられるように改善すべきでありますが、所見を伺います。
 次に、近年、賃貸住宅の退去時における原状回復について、その範囲や費用負担をめぐってトラブルが急増し、大きな問題となっています。このため、建設省は平成十年三月に原状回復をめぐるトラブルとガイドラインを策定し、関係機関とともに啓発に努めておりますが、この実情は不十分であります。中でも、今日の経済状況下で、都民住宅を短期間で退去するケースでトラブルが目立っております。
 そこで、建設省のガイドラインなどを参考にして、例えば必要事項を織り込んだパンフレットを作成し、既設居住者と都民住宅入居説明会の際に、この問題に対する周知、啓発を図るべきと考えます。所見を伺います。
 次に、近年、都民の日常生活の中で発生するさまざまな態様の不安や迷惑行為は増加傾向にあり、都民の平穏な日常生活が脅かされているといっても過言ではありません。すなわち、特定の異性に執拗につきまとい面談を強要する、いわゆるストーカー行為、電話または文書を使って悪質な方法で行う嫌がらせ行為、二十四時間ストア、コンビニや深夜公園などに不良青少年グループがたむろし、そこに来た人に行う粗暴行為、各家庭を訪問して、拒否してもすぐに退去しない、注文もしていない品物を勝手に送りつけて、その対価を要求するなどの押し売り行為などなど、これらは新しい社会問題として顕在化してまいりました。
 警察庁がストーカー被害者等からの相談件数の統計をとり始めたのは平成九年からで、各都道府県警に寄せられたのは、平成九年、十年とも六千件余りといわれ、だれにも相談できずに苦しんでいる潜在的な被害者はもっと多いと見られています。こうした行為で被害に遭っている都民が安心して平穏な日常生活が送れるよう、必要な環境整備を一日も早く確立することが急務と考えるのは、私一人ではないと思います。
 鹿児島県では、平成十一年第二回定例会で、公衆に不安等を覚えさせる行為の防止に関する条例が可決され、被害に苦しんでいる人々にとって念願の宝刀と期待されていると聞いております。
 そこで、知事は、こうした社会現象についてどのように認識され、都民の平穏な日常生活を脅かす事態をなくするために、今何が必要と考えているか、所見を伺います。
 次に、良好なまちづくりに関連して、まず、西武池袋線の連続立体化事業について伺います。
 その第一は、現在工事が進められている練馬駅から練馬高野台駅を含む約五・四キロメートルの複々線連続立体交差事業の現在の進捗状況と今後のスケジュールについて伺います。
 第二は、西武池袋線の混雑緩和の観点から、事業中箇所に引き続いて、石神井公園駅付近までの複々線化等、輸送力増強の早期実現が非常に重要と考えますが、現在の取り組みについて伺います。
 第三は、石神井公園駅付近から大泉学園駅間は数多くの踏切を抱え、市街地が分断されているため、この区間の立体化が強く望まれているところであります。現在の検討状況と早期事業化に向けた今後の取り組みについて所見を伺います。
 次に、練馬区内の川越街道から環七に抜ける放射三五号線と放射第三六号線の整備促進について伺います。
 この道路は、新大宮バイパスと連結する都市の骨格を形成する幹線道路で、道路交通の円滑化とともに、地域の健全な発展のため早期整備が期待されています。こうした中、都は、十二月七日、放射三五号線の川越街道から平和台駅前間について、環境影響評価調査計画書の公示、縦覧というアセス手続を開始しました。
 そこで第一に、この区間の道路構造と事業化に向けたスケジュールを明らかにしていただきたい。
 第二に、道路本来の効果を発揮するためには、平和台駅から環七間の放射三六号線も引き続き整備し、ネットワークを構築することが重要であります。この区間の取り組みについて伺います。
 第三に、都は、安全性の向上や地域の活性化を望む住民の声にこたえるために、財政難ではありますが、当該道路の早期整備を図る必要があると考えます。所見を伺います。
 次に、都民に安定的に安全な生鮮食料品等を供給する市場は、都民生活にとって極めて重要な役割を担っています。過密な地域内にあっても、その役割をきちんと果たしていくためには、常に必要な施設整備をきめ細かく行っていく必要があります。そこで、淀橋市場の路上駐車問題についてであります。
 相変わらず市場周辺には関係者の車が路上駐車をしていて、交通に大きな支障を来しております。現場はどのようなものかを明らかにし、市場として、これに対する対応と解決策を伺います。
 第二に、淀橋市場杉並分場、練馬分場の統合、整備についてであります。この問題は、極めて長い間の懸案事項と承知していますが、これまでの経緯と、計画が進まない問題はどこにあるのか明らかにしていただきたい。
 さらに、市場関係者の多くは、杉並、練馬両分場の老朽化もそのまま放置され、営業活動に支障を来していることなどから、一刻も早い整備を望んでいます。市場は、関係者との調整を進めて整備を推進すべきであると考えますが、決意のほどを伺います。
 最後に、地方分権は、国から都道府県へ、都道府県から市町村へと進めていかなければならないことは当然であります。都においても、区市町村は地域住民のための分権を強く望んでおり、区長会、市長会等からもさまざまな要望が出されております。とりわけ新しい都区財調制度の構築に当たっては、特別区の立場を最大限に考慮すべきと考えますが、特別区の要望についてどのように取り組まれるのか所見を伺いまして、私の質問を終わります。(拍手)
   [知事石原慎太郎君登壇]

○知事(石原慎太郎君) 石川芳昭議員の一般質問にお答えいたします。
 ストーカーなど不穏な行為に対する認識についてでありますが、ご指摘のように、いわゆるストーカーなど、都民の平穏な日常生活を脅かすさまざまな迷惑行為が最近多発、増加していることについては十分承知しております。
 東京が大都会ゆえに、非常にこのごろ多発、増発している傾向でございますが、このような行為から都民生活を守るためには、条例の整備も視野に入れ、広く検討することが必要であると考えております。
 次いで、都区財政調整制度への取り組みについてでありますが、東京都は、来年四月の都区制度改革に向けて新しい都区財政調整制度を構築するため、これまで、都区間の財源配分にかかわるさまざまな課題について特別区と協議を行ってまいりました。現在、都区間において、移管経費の算定方法などについて鋭意協議を重ねております。
 都としては、特別区の立場も十分考慮しながら、来月中までの合意を目指し、今後全力を挙げて取り組んでまいりたいと思っております。
 なお、その他の質問については、都技監及び関係局長から答弁いたします。
   [東京都技監成戸寿彦君登壇]

○東京都技監(成戸寿彦君) 西武池袋線の石神井公園駅付近までの輸送力増強についてでございますが、通勤混雑の緩和や、目的地に早く到達する速達性の向上を図るとともに、交通渋滞や地域分断を解消する観点から、お尋ねの区間の複々線化は、連続立体交差事業と一体的に進めていくことといたしております。
 また、西武鉄道では、事業中箇所の複々線化の効果を早期に発揮させるため、引き上げ線の暫定整備に着手したところでございます。これによりまして運行本数を増発し、当面の輸送力の増強を図ることといたしております。
   [生活文化局長今沢時雄君登壇]

○生活文化局長(今沢時雄君) 男女平等参画についてのご質問にお答えいたします。
 まず、都の審議会等における女性委員の任用についてでございます。
 都は、男女平等推進のための東京都行動計画におきまして、平成八年度から十二年度までの五年間で、女性委員の任用比率を三〇%以上とすることを目標としておりますが、平成十一年四月現在の任用比率は二三・五%となっております。今後とも、目標の達成に向けまして、より一層、女性委員の任用を積極的に促進してまいります。
 次に、男女平等参画に関する条例についてでございます。
 男女平等参画社会の実現を図るため、条例案の作成に当たりましては、男女平等参画の基本理念、都民、事業者、行政の責務、男女平等参画社会実現に向けた都民、事業者を含めた総合的な計画の策定及び民間事業者における平等参画の促進などを柱といたしまして検討を進めているところでございます。
 次に、施策の推進体制についてでございます。
 都はこれまで、四次にわたりまして男女平等推進のための東京都行動計画を策定いたしまして、関係局が一体となって男女平等施策を展開してきたところでございます。
 ご指摘のとおり、こうした施策を効果的に推進してまいりますためには、関係各局が総合的に取り組むことが重要でございます。今後とも連携、協力を一層密にしながら、男女平等参画社会の実現に向けまして努めてまいります。
   [住宅局長戸井昌蔵君登壇]

○住宅局長(戸井昌蔵君) 住宅問題に関する五点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、都市基盤整備公団法案に対する附帯決議のうち、家賃に関する部分についてでございますが、議事録によりますと、新公団は、賃貸住宅の家賃の設定及び変更に当たっては、居住者にとって過大な負担とならないよう十分な配慮に努めること、特に低所得の高齢者等に対する家賃の減免や、建てかえに伴う急激な家賃の上昇の抑制については十分に配慮することとなっております。
 次に、公団の賃貸住宅の家賃の見直しに関するプレス発表の主な内容についてでございます。
 賃貸住宅の家賃制度につきましては、従来の原価を基準とした家賃から、いわゆる市場家賃の額を基準とした家賃に変更することとしています。その結果、管理戸数約七十四万戸のうち、継続居住者の家賃の見直しにつきましては、引き下げや傾斜家賃の廃止となる住宅は約十三万戸、据え置きの住宅は約十九万戸、引き上げとなる住宅は約四十二万戸と試算しています。
 また、引き上げ額が一定額を超える住宅につきましては、激変緩和の措置を講ずることとしています。
 次に、公団の家賃の減免についてでございます。
 生活保護世帯並びに収入分位二五%以下の高齢者世帯、母子世帯、心身障害者世帯の継続家賃につきましては、改定後の家賃を、現行家賃を限度に近傍同種の家賃と公営住宅並みの家賃の中間水準まで減額することとしておりますが、今回に限り、一律現行家賃で据え置くと聞いております。
 次は、東京都住宅公社の賃貸住宅の家賃についても、公団と同様な措置をとるべきとのお尋ねでございます。
 公社が今後家賃改定を行うに当たりましては、社会経済情勢の変化や公団のこのような動向を踏まえる必要があるため、現在、調査検討していると聞いております。
 最後のご質問は、都民住宅における退去時のトラブル防止についてでございます。
 東京都は従来から、都民住宅を管理する指定法人等に対しまして、入居説明会などにおいて十分な説明をするよう指導をしております。今後はさらに、退去時の費用負担区分等について、建設省のガイドラインに準じて作成した冊子を入居者に配布させるなど、トラブルが生じないよう指導に努めてまいります。
 また、入居者に対しましては、啓発のためのパンフレットなどを作成するとともに、原状回復に関する相談窓口についても周知してまいります。
   [建設局長古川公毅君登壇]

○建設局長(古川公毅君) 西武池袋線連続立体交差事業の進捗状況と今後のスケジュールについてですが、本事業は、交通渋滞や地域分断を解消し、安全で快適なまちづくりに寄与する重要な事業です。現在までに、桜台駅から練馬高野台駅間約五・四キロのうち、約四・四キロの高架化が完了しており、踏切十九カ所のうち、既に十八カ所を除去しています。今後、残り約一キロ区間の高架化を進め、平成十四年度末までに完了する予定です。
 石神井公園駅付近から大泉学園駅間の連続立体化についてですが、本路線の事業化に当たっては、事業区間、関連する道路及び沿線のまちづくりなど、調整すべき課題があります。これらの課題を解決するため、都では、当該区間について、平成九年度より構造形式等の基本的な調査を実施し、現在、外環など交差する道路との整合を図るよう調整しています。また、練馬区では、平成十一年度より、石神井公園駅周辺のまちづくりを進めるため、地区再生計画策定調査などを実施しています。
 今後、国、地元区など関係機関と協議を進め、これらの課題を解決し、早期事業化に向けて努力してまいります。
 放射三五号線の川越街道から平和台駅までの区間についてですが、本区間は、幅員四十から五十メートルの四車線道路であり、沿道環境に配慮した緑豊かな広幅員の歩道などを設置するとともに、環八との交差部は、円滑な交通を確保するため立体化を予定しています。また、このたび環境影響評価調査計画書を公示、縦覧したところですが、事業化までの今後のスケジュールは、環境影響評価手続に約二年、測量、概略設計などに約二年を要すると考えています。
 放射三六号線の平和台駅から環七までの区間の取り組みについてですが、本区間についても、さきに述べました川越街道から平和台駅間の区間に引き続き、地元の理解と協力を得ながら、環境影響評価の手続に入るよう努めてまいります。
 放射三五及び三六号線の早期整備に向けた取り組みについてですが、本路線は、区部北西部の道路ネットワークを形成し、交通の円滑化を図るとともに、住宅地に進入する通過交通を排除するなど、安全で快適な都市生活を実現する極めて重要な幹線道路です。今後とも、国費等の財源確保を図りながら早期整備に努めてまいります。
   [中央卸売市場長大矢實君登壇]

○中央卸売市場長(大矢實君) 淀橋市場に関する二問のご質問にお答えを申し上げます。
 淀橋市場における路上駐車問題についてでございますが、淀橋市場は、取扱量に比べて敷地が狭隘なため、特に市場に出入りする大型車両が道路に駐車をし、通行人や一般車両の交通に支障を来す状況となってございます。このため、大型車両が円滑に市場内に入ることができるよう、動線の改善を図るためのスロープ工事を今年度中に実施してまいります。
 また、卸売業者に対しまして、荷の搬入ができるだけ集中しないよう、産地と調整を図ることを要請するとともに、警備員を重点的に配置をし、車両整理に努めているところでございます。
 次に、杉並分場、練馬分場の統合整備についてのお尋ねでございますが、第五次東京都卸売市場整備計画において、杉並分場を練馬分場に統合して整備を図ることとし、そのため、練馬分場に隣接する用地を取得しているところでございます。
 杉並分場との統合に当たっては、関係業者の間で、限られた敷地での運営方法や施設整備に関して意見の調整がついていないことなどから、具体的な整備に至っていない現状でございます。
 現在、整備のための基本構想の策定に向けて調査を実施しておるところでございまして、その結果を踏まえまして、市場関係者との調整を積極的に進めてまいります。

ページ先頭に戻る