委員長 | 谷村 孝彦君 |
副委員長 | 小山くにひこ君 |
副委員長 | 山口 拓君 |
理事 | 鈴木 章浩君 |
理事 | 東村 邦浩君 |
理事 | 森村 隆行君 |
米川大二郎君 | |
とくとめ道信君 | |
中嶋 義雄君 | |
宇田川聡史君 | |
三宅しげき君 | |
尾崎 大介君 | |
大山とも子君 |
欠席委員 なし
出席説明員警視庁 | 警視総監 | 緒方 禎己君 |
副総監犯罪抑止対策本部長事務取扱 人身安全関連事案総合対策本部長事務取扱 サイバーセキュリティ対策本部長事務取扱警務部長事務取扱 | 田中 俊恵君 | |
総務部長 | 久田 誠君 | |
交通部長 | 大窪 雅彦君 | |
公安部長 | 土屋 暁胤君 | |
生活安全部長 | 佐野 裕子君 | |
総務部参事官企画課長事務取扱 | 山口 博君 | |
総務部会計課長 | 羽田 保義君 | |
東京消防庁 | 消防総監 | 吉田 義実君 |
次長 | 岡本 透君 | |
理事兼安全推進部長事務取扱 | 市川 博三君 | |
企画調整部長 | 瀬崎 幸吾君 | |
人事部長 | 川田 進君 | |
防災部長 | 福永 輝繁君 | |
救急部長 | 門倉 徹君 | |
予防部長 | 加藤 雅広君 | |
企画調整部企画課長 | 佐藤 宏紀君 | |
企画調整部財務課長 | 野崎 孝幸君 |
本日の会議に付した事件
警視庁関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和六年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為
警視庁所管分
付託議案の審査(質疑)
・第百十三号議案 東京都公安委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
・第百十四号議案 警視庁の設置に関する条例の一部を改正する条例
・第百十五号議案 警視庁関係手数料条例の一部を改正する条例
・地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した検察官が公訴を取り消した刑事事件に係る国家賠償請求事件の控訴提起に関する報告及び承認について
東京消防庁関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和六年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為
東京消防庁所管分
付託議案の審査(質疑)
・第百十六号議案 東京消防庁職員定数条例の一部を改正する条例
・第百十七号議案 東京都消防関係手数料条例の一部を改正する条例
・第百十八号議案 火災予防条例の一部を改正する条例
・第百四十五号議案 特別区の消防団員等の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
○谷村委員長 ただいまから警察・消防委員会を開会いたします。
初めに、予算の調査について申し上げます。
令和六年度予算については、予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
公文の写しはお手元に配布してあります。
朗読は省略いたします。
令和六年三月十四日
東京都議会議長 宇田川聡史
(公印省略)
警察・消防委員長 谷村 孝彦殿
予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
このことについて、三月十四日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月二十一日(木)午後五時
(別紙1)
警察・消防委員会
第一号議案 令和六年度東京都一般会計予算中
歳出
繰越明許費
債務負担行為 警察・消防委員会所管分
(別紙2省略)
○谷村委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、警視庁及び東京消防庁関係の予算の調査並びに付託議案の審査を行います。
これより警視庁関係に入ります。
予算の調査及び付託議案の審査を行います。
第一号議案、令和六年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為、警視庁所管分、第百十三号議案から第百十五号議案まで及び地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した検察官が公訴を取り消した刑事事件に係る国家賠償請求事件の控訴提起に関する報告及び承認についてを一括して議題といたします。
本案及び本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○久田総務部長 去る二月十六日に当委員会からお求めのありました自転車専用通行帯の整備計画と整備状況の推移、都内における電動キックボードの交通事故件数とその内訳につきましては、お手元の資料のとおりでございます。
よろしくお願いいたします。
○谷村委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○大山委員 昨年十二月二十七日、東京地裁は、大川原化工機事件の国家賠償請求事件で、警視庁公安部の警察官による逮捕及び取調べ並びに検察官による勾留請求及び公訴提起が違法であると認定し、被告の国と東京都に対して、約一億六千二百万円の支払いを命じる判決を出しました。
東京都は、この判決に対して控訴しました。本来なら、控訴する前に議会の議決が必要ですが、議会が開かれていない時期だったので、都は専決処分をしました。専決処分したら、その後の議会に報告、承認を求めなければなりませんから、今回の議案となりました。
つまり、控訴したことについて承認するのか、不承認かということです。ですから、控訴した理由をきちんと議会に報告し、納得できるようにすることが警視庁のやることです。
だからこそ私は、控訴から五十日以内に提出することになっている控訴理由書を、出したらくださいねといってありました。審査する上での警視庁の最低限の資料であり、責任ではないでしょうか。
ところが、いまだに出していません。本来なら、いわれなくても各委員に提出するべきものではないでしょうか。審査するための前提を欠いているといわざるを得ないことを、まず厳しく指摘しておきます。
しかし、控訴理由書を読まずに質疑するわけにいきませんから、私は手に入れて読みました。
まず伺いますが、都が控訴した理由は何ですか。
○田中副総監 本件の国賠訴訟におきましては、噴霧乾燥器の規制対象該当性に係る捜査並びに原告の一名の方に対する取調べ及び弁解録取書作成に関する一審の判断に重大な事実誤認等があると考えられることから、上級審の判断を仰ぐことといたしました。
○大山委員 東京都に関わる争点は、逮捕の適法性と取調べの適法性です。
逮捕の適法性については、警視庁公安部は、噴霧乾燥器の測定口は構造上、熱風が流れにくく温度が上がりにくいという供述を聞いていました。原告は、噴霧乾燥器の構造を熟知しており、温度が上がりにくくなる理由を具体的にその箇所を示して説明をしていました。
再実験結果は、ペスト菌等を殺菌できる七十五度を大きく下回る五十三度から五十九度程度であり、これを受けた検察側は、再実験を行ったが有罪立証はできず、公訴を取り消すに至りました。
つまり、警視庁公安部が通常要求される捜査を遂行すれば、本件噴霧乾燥器が殺菌できないことが明らかになる証拠を得ることができていたので、警視庁公安部の判断は合理的根拠が客観的に欠如していることは明らかで、にもかかわらず逮捕したことは違法となりました。
取調べについては、一つは偽計を用いた取調べとなっています。偽計、これ何だろうなと思いまして辞書を引きますと、計略を巡らして人をだますことです。つまり、殺菌の意味を明確にせず、菌が一部でも死滅すれば殺菌と誤解させた上で認めさせる供述調書の作成をしむけたということで、偽計を用いた取調べとして違法ということになりました。
さらに、欺罔手段を用いた取調べということですが、これも難しい言葉ですが、つまりはだまして、本人に分からないように警視庁の都合のいいようにしたということです。
具体的には、弁解録取書を作成するとき、被疑者の申出どおり修正したように装って、署名、押印させたということです。それが直ちに破棄されたとしても、違法の評価は免れません。
一審判決の認定は、特段不合理なところはありません。上訴することは当事者に認められる権利ではありますが、はっきり違法性を指摘されたのに、これ以上引き延ばすことはありません。
本会議で警視総監は、本件の刑事訴訟において、公訴が取消しになったことを真摯に受け止めておりますと答弁しています。つまり、もともとの刑事事件は冤罪だったということを認めているということですか。
○土屋公安部長 お答えいたします。
本件の刑事訴訟においては、公訴は取消しとなっており、これは結果として立証は尽くせていなかったということであると認識しており、真摯に受け止めております。
捜査が法と証拠に基づき緻密かつ適正に行われるべきことは当然であり、今回の件を契機といたしまして、部内教養等をさらに強化しているところです。
具体的には、公安部に捜査指導官を置き、証拠の吟味等を強化するとともに、幹部の研修を充実させ、指揮能力の向上を図るなどしており、緻密かつ適正な捜査を引き続き推進していく所存でございます。
○大山委員 冤罪だったとは答弁されないわけです。
何が起こったのか事実をきちんと把握もしないで、公安部に捜査指導官を置き、証拠の吟味等を強化するとともに、幹部の研修を充実させ、指揮能力の向上を図る、そういうことをいっても、解決になるわけないじゃありませんか。
公訴が取消しになったことを真摯に受け止めているなら、まずは大川原社長をはじめ、被害者に謝罪はしたんですか。
○土屋公安部長 訴訟係属中でもございますので、お答えは差し控えますが、いずれにしても、本件の刑事事件において、公訴は取消しとなったことを真摯に受け止めております。
○大山委員 公訴が取消しになったことを真摯に受け止めているということですけれども、被害者に謝罪したのかも答えられないというのはどういうことなんでしょうか。
私は、今回の刑事事件の被害者の一人であります大川原化工機の大川原社長に直接お会いして、お話を伺ってきました。
社長さんは、我々がこういうことになってから、冤罪というものが身近にあると感じた、そうおっしゃっていました。十一か月間も拘束され、そのうちのお一人は、がんであることが分かったにもかかわらず、入院もさせず拘束し、亡くなってしまいました。どんなに無念だったでしょうか。
大川原化工機は、従業員約九十名の中小企業です。創業四十年余の歴史と、噴霧乾燥器の国内シェア七割を誇る機械メーカーです。この会社の信用にも大きな傷をつけたことになります。
冤罪はあってはならないことですが、今回の冤罪がどうして起こってしまったのか、きちんと検証することなしに再発防止はできません。どのように検証するつもりですか。
○土屋公安部長 本件の国賠訴訟は係属中であり、今後、上級審での審理に対応する過程で、本件捜査に係る事実関係について、さらに確認、整理していくこととなります。
○大山委員 有名な袴田冤罪事件の再審公判は、五月に結審予定になっています。袴田巌さんが逮捕されたのは一九六六年、三十歳のときです。
二〇一四年、静岡地方裁判所は、DNA鑑定とみそ漬け実験報告書が無罪をいい渡すべきことが明らかな新たな証拠であると認めて、再審開始を決定しました。
その中で、五点の衣類は警察による捏造の疑いがあるとの異例の言及を行いました。さらに、死刑の執行を停止するとともに、死刑のための拘置についても、これを継続することは耐え難いほどの正義に反するとして執行を停止しました。
これにより、袴田さんは四十七年ぶりにやっと身体拘束を解かれ、自宅に帰ることができました。袴田さん本人はもとより、家族の人生をも踏みにじったということです。
冤罪事件はこれだけではありません。二〇〇七年以降でも、二〇〇七年二件、二〇一〇年三件、二〇一一年一件、二〇一二年二件、二〇一五年、二〇一六年、二〇一九年、二〇二〇年と発覚しているんです。私も、こんなに多いのかと改めて驚きました。
大川原社長は、裁判のとき、現役の警察官が証言をしてくれたり、社長が勾留されているときに内部告発の手紙が会社に届いたり、警視庁公安部の中にはおかしいと思っている人が何人かいるにもかかわらず、組織内で無理やり潰されていることがおかしいと思う、それは是正しなければならない、現役の捜査員が捏造と証言していることに、そこへの検証がされていない、証言した人の思い違いとしている、真相を明らかにしたいですとおっしゃっていました。
私も、そのとおりだと思います。現場で実際に捜査に携わっていた捜査員が、裁判所で捏造だと証言したのは、本当に勇気が要ることだったと思います。しかも二人です。
また、社長が勾留されているときに、内部告発の手紙も大川原化工機の本社に届けられています。つまり、捜査をしている捜査員自体に、この捜査がおかしいと思っている人が何人もいたということです。
この現実について、どう認識していますか。
○土屋公安部長 訴訟係属中でございますので、お答えは差し控えさせていただきますが、いずれにいたしましても、本件捜査に係る事実関係については、今後、上級審での審理に対応する過程で、さらに確認、整理していくこととなります。
今回の件を契機といたしまして、部内教養等をさらに強化しているところであり、緻密かつ適正な捜査を引き続き推進していく所存でございます。
○大山委員 裁判所で、まあ、捏造ですねと証言したのは警視庁公安部の現役捜査員です。同じ日に同じく事件に関わっていた警部補も捜査の問題を証言しています。この二人の現役捜査員は、捜査開始当初から逮捕、起訴に至るまで、捜査員らが何をおかしいと感じ、そうした疑問がどう潰されていったのか、二人は詳細に証言しています。
例えば、殺菌についての解釈について、経産省は公安部の解釈に同意していませんでしたが、経産省の見解が変化しました。ガサに入るのはいいと思う、経産省の態度が変わったことの説明は、公安部長が動いたからいけると証言しています。公安部長が動いたからいけるということがメモに書いてあったんですねと聞かれて、はいと証言しています。
また、逮捕されるべきでない人が逮捕され、十一か月間も身柄拘束されることは決してあってはならないことだと思います。捜査を担当した立場として、誰がどうしていれば、この事態を防ぐことができたと考えますかと聞かれて、幹部が捏造しても、さらに上の立場の人間が防げていた可能性があり、警視庁の通報窓口に捜査員から通報があったのですから、警視総監が承認した事件であっても、通報は通報で真摯に受け止めていれば、ここまでひどくなかったと思いますと証言しました。さらに、立ち止まる機会は何度かあっただろうということですかと聞かれ、はいと答えています。
もう一人の現役捜査員は、実験の時点で温度が上がらないところがあることを大川原の従業員から指摘があったけれど、検証のために再度実験するべきと思って捜査幹部にいったら、従業員の言い訳だ、信じる必要はないと幹部が答えたとの証言です。
今紹介したものは、証言のごく一部です。まずは、何が起こっていたのか明らかにするしかありません。構造的な問題について、きちんと究明しなければ、解決にはなりません。
警視庁に通報窓口があって、捜査の問題点を内部通報で指摘されていたようですが、内部通報にはどのように対応することになっているんですか。
○田中副総監 個別の内部通報につきましては、その有無も含め、事柄の性質上、公にしないこととしておりますが、一般論として申し上げれば、警視庁では内部通報処理要綱に基づき、内部通報を受け付け、適切に対応しております。
○大山委員 内部通報処理要綱に基づき適切にといいますけれども、具体的にはどう対応しているんでしょうか。捜査の問題点について指摘されたら、捜査に関わっている、携わっている人たちで問題提起されたことについて、自分たちの捜査はどうなのか、指摘されていることについて議論しないといけないのではありませんか。
指摘されたことについてどうなのか、事実の確認や検証などはするのですか。
○田中副総監 一般論として申し上げれば、通報があれば、内容に応じて必要な調査を行い、事実関係に即して適切に対応することとしております。
○大山委員 大川原社長は、まさに人質司法だ、拘束しないと証拠隠滅や逃亡をするからということなら分かるけれども、我々の場合は、逮捕される前に、一回三、四時間ずつ任意の取調べをされ、四、五回やって調書をつくって、そして四十回ぐらい調べられた。社員も五十名弱で合計二百九十回、任意の聴取に応じた。資料なども全部出してきたにもかかわらず拘束された。拘束されていた十一か月間、食事は本当に冷や飯だった。しかも、五分ぐらいで食べなければならない。自分はベテランの人がいたので冷や飯を温かく食べる方法を教えてもらったけれども、島田さんと亡くなった相嶋さんは冷たいまま、ずっとおなかの調子が悪いままだったらしい。まさに罪を認めないと出さないという人質司法だと話していました。
警視庁自身、一連の捜査過程の事実を把握し、そして、第三者も入れて検証することを求めます。
専決処分は不承認であることを表明して、質問を終わります。
○谷村委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○谷村委員長 異議なしと認め、予算案及び付託議案に対する質疑は終了いたしました。
以上で警視庁関係を終了します。
○谷村委員長 これより東京消防庁関係に入ります。
予算の調査及び付託議案の審査を行います。
第一号議案、令和六年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為、東京消防庁所管分、第百十六号議案から第百十八号議案まで及び第百四十五号議案を一括して議題といたします。
本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○岡本次長 過日の委員会で要求のございました資料につきましては、お手元の警察・消防委員会要求資料のとおりでございます。
内訳といたしましては、救急活動時間(過去五年)、消防署所数と救急資格者数等の推移(過去十年)、救急隊数と救急資格者数(消防署別過去五年)、医療機関への受入れ照会回数四回以上の事案(過去三年)、デイタイム救急隊配置署、救急隊が配置されていない署所一覧の計六点でございます。
どうぞよろしくお願いいたします。
○谷村委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
○大山委員 まず、救急体制について質問をします。
コロナのときには受入先を探すのも大変で、一度出動したら救急隊がずっと帰ってこられないんですなど、地元の消防署長さんたちもおっしゃっていて、本当に大変だったと思います。
救急のときは、一刻も早く現地に到着することが命を救うためには重要なんですと、出場から現着の時間を短縮しようと、実際、二〇一四年度は七分五十四秒だったのが、二〇一八年には七分〇二秒まで短縮しています。
資料1で、二〇一九年から二三年までの救急活動時間を出していただきました。入電から現着というのは、一一九番通報を受けてから現場に到着するまでの時間ということです。括弧内には、出場から現着ということで書いていただいています。
この五年間で徐々に延びていますけれども、原因はどう分析していますか。
○門倉救急部長 救急出場件数が増加等した影響で、近隣の救急隊が出場中となり、遠方の救急隊が出場してくるなどの要因により、現場に到着するまでの時間が延伸しているものでございます。
○大山委員 確かに、救急出場件数、教えていただきましたけれども、二〇一九年度の八十二万件から、今年度、二〇二三年度は九十一万件と九万件増えています。その時期、出場から現着までの時間は六分三十五秒から九分五十四秒と延びました。
出場から現着の時間が短縮していた時期の救急出場件数は、二〇一四年度が七十五万七千件、一九年度は八十二万件ですから六万三千件増えました。救急出場件数は、確かに二〇一九年度から今年度までの五年間の方が増え方は大きいです。
救急隊の出場から現着の時間を短縮するためには、なるべく近くの消防署から現地に行けることが重要だということですね。
救急隊を配置している箇所の数を見ると、時間が短縮していた二〇一四年度からの五年間で、救急隊配置署所は九か所増えています。一方、二〇一九年度からの五年間で増えたのは六か所です。
資料6では、救急隊が配置されていない署所一覧というのも出していただいています。救急出場件数の増え方に比べて、救急車を配置できる署所の増え方が少ないということでしょうか。
予特の資料で出していただいている主な消防力現有数の年度別推移というのがあります。署所やポンプ車、化学車、はしご車、救急車、照明電源車、水難救助車、消防艇、指揮隊車などのそれぞれの消防力配備の基準と現有数が一表になっています。
この中の消防力配備の基準というのは、消防庁として必要だと考えている数ということでいいでしょうか。
○瀬崎企画調整部長 東京消防庁で定めている消防力配備の基準は、国が整備目標として示している消防力の整備指針に基づき、当庁管内の特性を加味し、必要と算定された消防力を配備基準として定めたものでございます。
○大山委員 国の整備指針に基づいて、東京の特性を加味して、必要と算定された数、つまり今の東京にはこれだけの消防力が必要ですよという数ですね。主な消防力現有数の推移を見ますと、救急車の現有数は配置基準を一貫して充足できていなくて、二〇二三年度は配備の基準三百十三台に対して二百七十四台で、充足率は八七・五%です。
一〇〇%充足できていないというのは、どのような理由でしょうか。
○瀬崎企画調整部長 東京消防庁では、国が示す消防力の整備指針等に基づき、二〇三〇年度までに救急隊三百十三隊を整備することを目標とし、計画的に救急隊の増隊を進めてきており、令和六年度は、通常の救急隊二隊とデイタイム救急隊四隊の整備を予定しております。
○大山委員 三百十三隊の目標になったのは、二〇一九年度です。それから十一年間かけて、この目標を達成する計画なんだということです。そして、来年度は、通常の救急隊を二隊とデイタイム救急隊四隊増やすということです。これは重要なことです。
救急車を増やすということは、救急資格者を増やさなければなりません。救急車一台を運用するには、伺ったところによりますと、一回に三人乗車して、二十四時間稼働が必要ですから、三交代で九人、あと一人プラスするから十人必要だということです。
今年度の現有数が二百七十四台ですから、あと七年で三十九台増やすということは、三百九十人の救急資格者の増員が必要です。救急車のドライバーも必要です。人を増やすだけでなくて、救急隊員の仮眠室なども必要ですし、救急車を止めておくスペースも必要です。
東京にとって必要な数と算定された消防力を充足させることができるよう、ぜひ積極的に、着実に予算化していただくことを求めておきます。
次に、安全推進部創設等、東京消防庁安全憲章をめぐって質問します。
消防庁は、二〇二二年度から安全推進部を創設して、二〇二三年三月七日に東京消防庁安全憲章を制定しました。安全憲章は、なかなかのものですよね。
我々の目指す安全は、全ての人命を守り抜くことである。だからこそ自らと仲間を大切に、それぞれが持てる力を発揮できるよう互いの階級や職責を超えて一致協力し、いかなるリスクにも対処できる組織となります。そして、一人一人の小さな一歩の積み重ねが生む確かな組織力をもって全ての業務を確実に遂行し、安全な東京の未来を築きます。そのために、一人一人が次のことを行いますとして、ルールができた意味を考え、行動します、互いに聞く耳を持ち、気づいたことは伝えます、進む勇気だけでなく、立ち止まる勇気を持ちます、誰にでもミスは起こり得ることと理解し、助け合います、気づきから学び、自らの成長と手順の改善を目指しますという、格調高く、自らと仲間を大切に、それぞれが持てる力を発揮できるよう互いの階級や職責を超えて一致協力し、互いに聞く耳を持ち、気づいたことは伝えますというように、民主的な組織が必要であるということを具体的に示していると思います。
二〇二二年度からの安全推進部の創設、二三年三月七日の東京消防庁安全憲章の制定、施行は、どのような背景があって、これらを創設したり、制定したんでしょうか。
○市川理事 二〇一九年に発生した重大事故を受け、職務上の安全対策について、組織横断的に取り組む体制を整備するため、安全推進部を創設し、組織として目指すべき安全の理想像となる東京消防庁安全憲章を制定いたしました。
○大山委員 二〇一九年は、一月に火災現場で殉職事故が発生し、私もお葬式に参加したことは忘れられません。さらに、十月には、災害派遣先でヘリコプターでの救助活動中に、救助した方を落下させてしまったことも起きました。消防庁の皆さんにとっては、本当にいかにショックだったのかとお察ししております。
それをそのままにせず、どう教訓にしていくか、安全について考えていくという姿勢は重要だと思っています。
安全推進部の創設や安全憲章の制定は、どのように調査研究したり、議論されたんでしょうか。外部の方々も含めた議論がされたのでしょうか。
○市川理事 航空運輸など、様々な業態における安全対策についてヒアリングを行うとともに、外部有識者の意見を踏まえて議論を行いました。特に、安全憲章については、全職員から募集した意見も反映し、制定いたしました。
○大山委員 消防庁のホームページを見ますと、安全への体制として、安全推進部の創設について書かれています。
最後のところに、外部からの視点として、当庁全体の安全文化の現状を客観的に把握し、対策を立てるために第三者機関から客観的かつ専門的な助言を得ながら、組織的な管理体制を強化し、安全を組織文化として根づかせますとなっています。
第三者機関というのは何を指しているんでしょうか。
○市川理事 職員に対して、安全に関する意識調査を行い、組織の安全文化を評価するとともに、学術的な観点から安全対策に対して多角的アドバイス等を行う学識経験者が参画した外部機関のことでございます。
○大山委員 外部の方々の意見も聞く、それから職員からも意見を聞いて反映させること、そして学術的な観点からの外部機関の皆さんから聞いて検討しているということは重要だと思っています。
昨年三月七日に報道発表した東京消防庁安全憲章の制定についての文書の中には、安全憲章と安全推進部の創設についての背景として、当庁には、あらゆる業務に通じて、全職員が共通して認識している安全理念等がなく、安全に対する考え方が統一されていませんでしたと、率直に自己分析をしているところから出発していることは重要で、このようなことができるのは、第三者と一緒に調査をし、自分たちの現状を分析したからこそではないでしょうか。
そんな中、ハラスメント相談件数は、二〇一九年度は四十二件で、その後減ってはきていますが、昨年度は十三件となりました。この件数はハラスメントの総数ではないわけですね。一部だということです。
また、精神疾患の原因が全て職場とはいいませんけれども、精神疾患を理由として三十日以上病気休暇を取得した職員数は増えています。二〇一八年度は三十九人でしたが、今年度は三月一日現在の速報値で九十四人ですから、六年間で二・四倍です。これは重く受け止めなければならないことだと思っています。
東京消防庁安全憲章に、互いに聞く耳を持ち、気づいたことは伝えますというように、民主的で働きがいのある、そして都民と、それから自らと、それから同僚、全ての人の命を守り抜ける組織として成長していくという、この消防庁、期待して、そして、ぜひ安全憲章、実践できる消防庁として、引き続きよろしくお願いをいたします。
以上です。
○谷村委員長 ほかにご発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○谷村委員長 異議なしと認め、予算案及び付託議案に対する質疑は終了いたしました。
以上で東京消防庁関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後一時四十分散会
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