委員長 | 高倉 良生君 |
副委員長 | 山口 拓君 |
副委員長 | 増子ひろき君 |
理事 | 東村 邦浩君 |
理事 | 宇田川聡史君 |
理事 | 尾崎 大介君 |
田の上いくこ君 | |
とくとめ道信君 | |
石川 良一君 | |
中嶋 義雄君 | |
三宅しげき君 | |
高島なおき君 | |
酒井 大史君 | |
和泉なおみ君 |
欠席委員 なし
出席説明員警視庁 | 警視総監 | 小島 裕史君 |
総務部長 | 若田 英君 | |
交通部長 | 今村 剛君 | |
総務部参事官企画課長事務取扱 | 武田 宗洋君 | |
総務部会計課長 | 山口 博君 | |
東京消防庁 | 消防総監 | 清水 洋文君 |
次長 | 吉田 義実君 | |
企画調整部長 | 岡本 透君 | |
人事部長 | 川田 進君 | |
警防部長 | 市川 博三君 | |
防災部長 | 福永 輝繁君 | |
救急部長 | 門倉 徹君 | |
企画調整部企画課長 | 古賀 崇司君 | |
企画調整部財務課長 | 浅見 匡哉君 |
本日の会議に付した事件
警視庁関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和五年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為
警視庁所管分
付託議案の審査(質疑)
・第七十号議案 警視庁の設置に関する条例の一部を改正する条例
・第七十一号議案 警視庁関係手数料条例の一部を改正する条例
・第七十二号議案 東京都高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に係る信号機等の基準に関する条例の一部を改正する条例
東京消防庁関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和五年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為
東京消防庁所管分
付託議案の審査(質疑)
・第七十三号議案 東京消防庁職員定数条例の一部を改正する条例
○高倉委員長 ただいまから警察・消防委員会を開会いたします。
初めに、予算の調査について申し上げます。
令和五年度予算については、予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
公文の写しはお手元に配布してあります。
朗読は省略いたします。
令和五年三月九日
東京都議会議長 三宅しげき
(公印省略)
警察・消防委員長 高倉 良生殿
予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
このことについて、三月九日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月十六日(木)午後五時
(別紙1)
警察・消防委員会
第一号議案 令和五年度東京都一般会計予算中
歳出
繰越明許費
債務負担行為 警察・消防委員会所管分
(別紙2省略)
○高倉委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、警視庁及び東京消防庁関係の予算の調査並びに付託議案の審査を行います。
これより警視庁関係に入ります。
予算の調査及び付託議案の審査を行います。
第一号議案、令和五年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為、警視庁所管分、第七十号議案、第七十一号議案及び第七十二号議案を一括して議題といたします。
本案につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○若田総務部長 去る二月十日に当委員会からお求めのありました自転車ナビマーク、自転車ナビライン及び自転車専用通行帯の整備計画と整備状況の推移、平成三十年に一部改正がなされた東京都青少年の健全な育成に関する条例における自画撮り被害として立件した検挙件数、職務質問に関する苦情の受理件数及び同件数のうち人種又は国籍に関して差別との文言が含まれている件数、令和三年及び令和四年中の都内における電動キックボードの交通事故件数とその内訳、また、人身事故のうち重傷、死亡事故件数とその態様につきましては、お手元の資料のとおりでございます。
よろしくお願いいたします。
○高倉委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
○とくとめ委員 警察庁による電動キックボードの制限を大幅に緩和する改定道路交通法が昨年の四月に成立して、いよいよ三か月後の今年の七月から、施行が目前に迫っています。この中で焦点になっている電動キックボードの普及、利用問題を中心にして質問します。
電動キックボードは、従来の道路交通法では原付バイクと位置づけられて運転免許証、ヘルメット着用が必要でした。改定道路交通法は、最高時速二十キロ以下の車体を対象にして運転免許証を不要にします。ただし、十六歳未満は運転禁止だということです。歩道での走行も条件を一定満たせば解禁になり、頭部保護のためのヘルメット着用は、義務だったものが任意の努力義務に変わりました。
電動キックボードは、普及の拡大に伴い、普及が先行しているヨーロッパでは事故が多発して、脳損傷などの重大な事故が増加し、規制強化に転換する国が少なくありません。
日本では、大幅な規制緩和が進められ、事故が急増しつつあります。規制強化こそ求められているのに、あまりにも危険過ぎるという声も上がっています。
警察庁は、二〇二一年、交通違反と事故の増加を懸念して、悪質で危険な違反の積極的な取締りを指示していました。国民生活センターは、二〇二二年に、電動キックボードが公道を走るには保安装置が必須だとする注意喚起を行っています。
規制緩和の動きが加速しつつあるのです。道交法改定案は昨年の通常国会に提案をされて、普及を推進したいという業者団体が政権与党にも過剰な規制を緩めるように、こういう働きかけがあったということがマスコミでも報道されていますけれども、歩行者と接触リスクの高い歩道での事実上キックボード走行を合法化するような動きのある中で、違反を繰り返す人たちに運転させない仕組みの免許制度も不要にするなど、事故やトラブルの増加を助長することになりかねません。
こうしたことから、日本共産党は道路交通法改定には反対しました。しかし、七月から電動キックボードの規制緩和が具体化、実施される中で、あくまでも都民の交通安全の環境、緩和の拡充を求め、不適切な電動キックボードの販売規制や違反行為をなくしていくようしっかりと求めて、質問を行います。
最初の質問ですけれども、電動キックボードの利用者が増加する中、一部利用者による歩道通行などの違法走行とともに交通事故も増加していることが報道されています。二〇二〇年から二〇二三年までの四年間、電動キックボードによる交通事故の件数と主な事故原因について伺います。
○今村交通部長 都内における電動キックボードが関与した交通事故の発生件数については、令和二年が三件、令和三年が六十八件、令和四年が百四十一件となっています。
主な事故原因としては、安全不確認やハンドル、ブレーキの不適切な操作が挙げられます。
○とくとめ委員 三年間で合計二百十二件の交通事故の発生が起きておりますけれども、決して少ないとはいえないと思います。事故原因についても、初歩的な原因が多いわけで、これに今回の新しい道路交通法の改定に伴う電動キックボードが取り入れられると、さらに大きな事故が広がるものと思います。
そこで、二つ目の質問ですけれども、これまで実施してきた電動キックボードに関する交通安全対策と交通違反の取締り件数について伺います。
○今村交通部長 警視庁では、交通安全対策といたしまして、シェアリング事業者や販売店等を招致しての交通事故防止連絡会議や、事業者、飲食店等と連携した各種キャンペーンを開催したほか、ホームページやツイッターなどを活用した情報発信により、交通ルール遵守の呼びかけを行ってまいりました。
また、悪質危険な行為の取締り、街頭における指導警告を強化しております。電動キックボード利用者に関する交通違反取締り件数は、令和三年が十二件、令和四年が千六百六十三件となっています。
○とくとめ委員 この二〇二一年と二〇二二年、二年間で千六百七十五件と、この事故件数を多く見るか少なく見るかというのはあると思いますけれども、今のままこの規制緩和が進むならば、さらに大きな事故件数が広がることが予想されます。
そこで、三番目の質問ですけれども、電動キックボードが車道の左側の自転車通行ラインの上を走行しながら私の通行中の自転車を追い抜いていったり、車道左側の車道のナビマーク周辺を相当のスピードで走行して追い抜いていく、そういう姿を最近何度も見ました。
そこで、電動キックボードが車道を通行する際の通行方法について伺います。
○今村交通部長 電動キックボードのうち車体の長さが百九十センチメートル、幅が六十センチメートル以下であること、最高速度が時速二十キロメートル以下であること等の基準を満たすものは、改正道路交通法の規定により、新たに特定小型原動機付自転車と定義され、自転車と同様の交通ルールが適用されることとなります。
具体的には、特定小型原動機付自転車は、原則として車道の左寄りを走行することとなりますが、自転車専用通行帯や自転車道が設置されている場合には、それらの場所を通行することも可能となります。
○とくとめ委員 狭い歩道通行でも、あるいは通行面積が必ずしも拡大されていない、そういう道路でも、条件つきで可能となることで歩行者や自転車との接触がこれまで以上に懸念をされています。
こうした問題にはどのように対応して安全を確保することになっているんでしょうか、伺います。
○今村交通部長 改正道路交通法により新たな車両区分となる特定小型原動機付自転車のうち、最高速度表示灯を点滅させること、最高速度が時速六キロメートル以下であることなどの条件を満たすものは特例特定小型原動機付自転車と規定され、道路標識等により普通自転車が通行可能な歩道を通行することができることとなります。
当庁では、歩道における歩行者等の安全を確保するため、改正法の施行に向けて特定小型原動機付自転車に関する交通ルール周知のための広報啓発を強化するとともに、改正法施行後は違法な歩道通行を行う者の指導取締りを徹底してまいります。
○とくとめ委員 幅員の狭い歩道や車道上の通行空間が現状では十分に確保されていないという下で、電動キックボードと自動車、それから自転車、歩行者との通行エリアの共存を図る、交通の安全を確保するために警視庁はどのように取り組んでいかれるのかについて伺いたいと思います。
○今村交通部長 特定小型原動機付自転車については、自転車と同様の交通ルールが適用されることから、自転車の通行環境の整備は、特定小型原動機付自転車の通行環境の整備にも資するものであります。
当庁ではこれまでも、道路管理者と連携して自転車専用通行帯の新設や自転車ナビマークの設置など、自転車の通行環境の整備を進めてまいりましたが、今後も限られた道路環境の中で様々な交通参加者の安全が確保されるよう、こうした取組を推進してまいります。
○とくとめ委員 歩道をキックボードが通行する際には最高時速六キロと決められています。皆さん、六キロ、想像できますか。歩くのは一時間で五キロです。ですから、もうほとんど歩く時間と同じぐらいのスピードでしか歩道は通れないというふうになっています。無理して通ろうと思ったら、時速は六キロに抑えなければなりません。私は自転車で走っていますから、しょっちゅう五キロぐらいとかそういうのはやっていますけれども、バランスが取れなくて人にぶつかったり接触したりして、かえって事故を起こすことになるのではないかというのが私の実感なんです。
ところが、今度の提案では、障害者が自分の車椅子、車輪は四つですよね、それで歩道を通っているからそれと同じようにといわれるけれども、障害者が使っている車椅子の四輪車は倒れません。止まっても、時速が二キロ、三キロあっても倒れません。
でも、自転車は、五キロだったら真っすぐにバランスを維持することも容易じゃないと思うんですね。乗ってみて分かります。この方針が出てから、私はしょっちゅうそういうスペースでやってみましたけど、時速六キロというのは本当に不安定な状況になります。
そういう安定性が本当に保てるのかと、それが実証実験で確認をされているのかどうかということを非常に心配をします。逆に周辺を歩行中の高齢者や子供の通行人、自転車利用者との接触、衝突などの危険性を高めるのではないかというふうに思っていますけれども、実証実験がちゃんとやられたのかどうか。ぜひ大丈夫だと確認が取れるところまでこの実証実験を積み重ねていただきたいというふうに思います。
現実問題として、こうやって規制緩和が進んでいけば、ルールやモラルのゆがみと一緒にいろんな事故や問題点が出てくると思いますので、それはぜひチェックしていただきたいと思います。
六番目の質問ですけれども、今年の七月、あと三か月あまり後から道交法施行に向けて、警視庁が取り組んでいる電動キックボード利用の交通安全対策というのはどういうものになっているのかを伺いたいと思います。
○今村交通部長 当庁では、現在、関係事業者等と連携したキャンペーンなどを通じて、電動キックボードの利用者に対する交通ルールの周知に取り組んでおりますが、さらに改正法により販売事業者などに利用者等に対する交通安全教育の努力義務が課されるところ、その支援を行ってまいります。
また、改正道路交通法の関係法令公布後は、その内容を踏まえ、警視庁ホームページや各種キャンペーンを通じて、新たな交通ルールに関する情報発信にさらに取り組んでまいります。
○とくとめ委員 今も答弁でありましたように、関係する組織、機関、それから東京都の道路管理者など関係者が本当に総力を挙げて対応しなければ、使う人の中には、自分はいいだろうと思っても、周辺に子供たちとか高齢者とかそういう方がいれば、接触したり衝突したりすることによって、さらに事故が拡大する可能性あると思います。
そこで質問ですけれども、交通ルールの周知などの各種対策を効果的に進めていくためには関係機関との連絡が必要不可欠だと思いますけれども、警視庁としてはこういう対策、対応はどのように考えていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
○今村交通部長 当庁では、東京都や国、事業者団体、交通安全関係団体等と連携した新たな交通ルールの周知をはじめ、全ての交通参加者の安全を確保するための各種対策に取り組んでまいります。
○とくとめ委員 それでは、質問の最後に、七月からの改正道路交通法施行の具体化で電動キックボードの本格的な利用拡大に当たって、警視庁への要請、意見を述べさせてもらいたいと思います。
電動キックボードの普及拡大の鍵を握る改正道路交通法の国会審議においてどういう議論がされたのか、ぜひ皆さんも知っていただきたいと思います。
電動キックボード等の安全利用に懸念を表明する二十七項目の様々な意見が衆参の委員会の場所で寄せられました。
例えば、電動キックボードの普及に当たっての交通安全教育について、手軽で便利な乗り物であることから、この電動キックボード販売業者あるいは貸出しを行うシェアリング業者が、免許証を必要としないとなっている以上、交通安全教育は努力義務ではなくて義務とすべきではないかという意見が寄せられています。
さらには、ヘルメット着用について、着用義務も緩和されているけれども、海外での事故において、脳の損傷など深刻な事例が少なくなく、改定法律では、自転車についてはヘルメット着用の努力義務が加わる一方で、重大事故、危険性などが次々と広がる不安が紹介をされています。
危険な運転が急増している電動キックボードについては努力義務に緩和するというのに、より安全運転を徹底するという実効ある仕組みはどのように取るつもりなのかという意見もあります。
さらに、電動キックボードが歩道通行できるようについても、諸外国ではむしろ歩道通行を認めている国はほとんどありません。にもかかわらず、なぜ日本だけが逆に歩道通行を認めるのかという意見、私の実感でも、そういう歩道や自転車の通行の通りが整備をされている、量的にも広がったという実感はありません。
こうした厳しい施行に当たっての留意すべき意見は、衆参両院の内閣委員会での審議を通じて、九項目の内容が両院とも附帯決議で上がっています。
例えば、電動キックボードの運転には運転免許が十六歳以上の者にはなくてもいいと認めることの重大性への批判です。十六歳以上だったらなくてもいいと、十六歳以下は乗ってはいけないとなっています。驚くべき規制緩和だと思います。
乗車用ヘルメット着用促進に向けた効果的な啓発活動に取り組むこともいわれています。電動キックボード等及び自転車による事故が頻発している、そういうことを踏まえれば、ヘルメットは着用を義務づけるべきだと、そういう意見もあります。
電動キックボードの普及については、規制緩和どころか世界各地での規制緩和による事故の実態、道路交通法の一部改正に対する国会審議での厳しい留意すべき意見などから見て、規制緩和ではなく、規制の強化こそが今必要ではないかということを痛感します。
紹介した多数の意見、提案などは、今後の電動キックボードの普及活用の具体化に生かすべきものは非常に多いと思います。これはどこにあるのかというと警察庁の資料の中にあって公表されています。つまり、そのぐらいいろんな意見があるということなんですね。新しいチャンスであるけれども、本当に安心・安全なチャンスになり得るのかというのはそう簡単ではないということを、私は実感をいたしました。
ぜひ、今後の具体化、交通安全環境の改善、もちろんルール違反に対しては取締りを厳しくやるということは必要だと思いますけれども、自転車の安心・安全をルールだけで幾ら強調しても、そのルールを守るだけの環境が整っていないというところが私は日本の一番の弱点だと思うんですね。
何と、今ヨーロッパなどでは規制緩和から規制強化に動いていますけれども、規制強化の中身ってほとんど今まで日本がやってきたそういう規制強化に戻っているんですね。それが実態だと思うんですよ。法律は通っている、だからそこから簡単に立ち戻るわけにいかないという気持ちもあるかもしれませんけど、私どもは、警視庁の皆さんも含めて、関係者がやっぱりこういう新しい法律ができたからといって事故がどんどん起きてもいいというふうには絶対しないで、安心・安全の交通環境をつくって、東京都民が事故に遭わないような、そういうまちづくりが必要だと思っています。
今日ではありませんけど、小島警視総監もこの前の都議会の挨拶の中でもこのことをかなり強調されていました。法律でこう変わるから少しゆっくりというんじゃなくて、やっぱり厳しい目で見なければいけない実例がヨーロッパでは広がっていると、そういうことをよく考えて、先ほど紹介した二十七人かな、二十七人の意見、それから九項目、この附帯決議に上がったものは、現場で私たちがいろいろ活動する際に非常に大事な提案がのっているというふうに思います。
ぜひこういう意見を生かしていただいて事故が広がらないように、東京都の安全なまちづくりができるように、私も頑張る決意申し上げて、質問を終わります。ありがとうございました。
○高倉委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高倉委員長 異議なしと認め、予算案及び付託議案に対する質疑は終了いたしました。
以上で警視庁関係を終わります。
○高倉委員長 これより東京消防庁関係に入ります。
予算の調査及び付託議案の審査を行います。
第一号議案、令和五年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為、東京消防庁所管分及び第七十三号議案を一括して議題といたします。
本案につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○吉田次長 過日の委員会で要求のございました資料につきましては、お手元の警察・消防委員会要求資料のとおりでございます。
内訳といたしましては、救急活動時間(過去五年)、消防署所数と救急資格者数等の推移(過去十年)、救急隊数と救急資格者数(消防署別過去五年)、医療機関への受入れ照会回数四回以上の事案(過去三年)、デイタイム救急隊配置署、救急隊が配置されていない署所一覧、令和五年度に廃車する予定の救急車両の台数、以上の計七点でございます。
どうぞよろしくお願いいたします。
○高倉委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
○和泉委員 よろしくお願いします。
私はこの間、東京消防庁内におけるハラスメント対応やそれに伴うメンタルヘルスなどの問題について繰り返し質疑を行ってきました。消防庁の職務に夢を持って入庁した職員がハラスメントによって長期間にわたって休職しなければならなかったり、退職を余儀なくされたりする状況は絶対に見過ごすことはできないし、本人の事情による退職ならともかく、ハラスメントによる休職、退職は東京消防庁にとっても大きな損失だと考えるからです。
もちろん東京消防庁も同様に考えているからこそ、この間様々な対策の強化を図ってこられたのだと認識しています。苛酷な災害の現場、救急の現場で働く皆さんがやりがいを持って働き続けられる職場づくりのためにハラスメントの解消に向けて共に考える立場から、引き続きこの問題を取り上げていきたいと思っています。
総務省消防庁は、消防本部におけるハラスメント等の対応に関してワーキンググループを設置し、その検討結果も公表してハラスメント等への対策を推進しています。総務省消防庁ハラスメント等相談窓口の通報から東京消防庁が受理した件数の過去三年の実績と、東京都ハラスメント等相談窓口の通報から東京消防庁が受理した件数、また、それに対して具体的にどのような対応を行ってきたのかについて伺います。
○川田人事部長 過去三年において、東京消防庁が総務省消防庁ハラスメント等相談窓口から情報提供を受けたものは十一件、東京都ハラスメント等相談窓口から情報提供を受けたものは二件でございます。
速やかに事実確認を行ったところ、いずれもハラスメントの認定には至りませんでしたが、必要に応じて人事配置を配慮するなどの対応を図っております。
○和泉委員 ハラスメントの認定に至らない場合でも人事配置の配慮などを行ったとの答弁でした。職員の休職や退職に至る前に未然に対策として取り組んだ、その取組は大事だというふうに思います。
この間、年度当初で職員の定数が不足した状態が長く続いてきましたが、今年度は定数どおりの現員でスタートしています。一方で、令和四年四月一日現在における病気による休職者は、精神疾患も含めて三十九名います。また、休職まで至らなくても精神疾患で三十日以上病気休暇を取得した人も、令和四年十一月一日現在で四十八人います。
出勤はしているけれども制限が必要だという方はどうでしょうか。健康上の理由で現場に従事できない職員の数、夜間業務に従事することができない職員の数について、それぞれ伺います。
○川田人事部長 令和四年十二月末時点において心身の故障により災害現場活動が困難な職員数は百九十七名、深夜業務及び災害現場活動のいずれもが困難な職員数は百六十三名でございます。
○和泉委員 やはり相当数が勤務の制限が必要な状態だといえます。もちろん精神疾患の原因がハラスメントとは限りません。業務自体が強い緊張を強いられ、苛酷な災害現場、救急現場はかなりのストレスがかかる職種だと思います。だからこそ、その上ハラスメントなどのストレス要因があってはならない。
私がいうまでもありませんが、災害現場などでの高度な連携が求められる職種であるからこそ、職員同士が縦の関係でも横の関係でも相互理解と信頼の強い結びつきをもって支え合い励まし合いながら任務に当たる職場風土の構築が必要です。総務省消防庁のハラスメント対応における技術的助言もそこを基本に据えて実践していただきたいというふうに思います。
昨年の事務事業質疑で、私は精神疾患の原因について調査を行うべきだと質問しました。東京消防庁は、原因は複合的であり特定するのは困難だという趣旨の答弁を行いました。また、全職員にストレスチェックを行ってストレスへの気づきを促すなど職員のメンタルヘルス不調の未然防止を図っているとも答弁しました。
全職員に対して行われているストレスチェックの実施について確認した結果を消防庁は把握しているんでしょうか、伺います。
○川田人事部長 ストレスチェックの職員個人の結果については、労働安全衛生法により、医師などの実施者から職員本人のみに通知されることとなっております。このストレスチェックの結果、医師による面接指導が必要とされた職員が希望により面接指導を受けた際は、その医師からの意見を踏まえ、必要に応じて就業上の措置を行っております。
また、当庁全体の集団分析結果をメンタルヘルスに関する各施策に反映するとともに、各所属においても所属ごとの集団分析結果を踏まえた職場環境改善の取組を行っております。
○和泉委員 それぞれの取組は重要だと思います。ただ、ストレスチェック制度の実施マニュアルによれば、ストレスチェックはメンタルヘルス不調の未然防止の段階である一次予防を強化するため、定期的に労働者のストレスの状況について検査を行い、本人にその結果を通知して自らのストレスの状況について気づきを促し、個々の労働者のストレスを低減させるとともに、検査結果を集団ごとに集計、分析し、職場におけるストレス要因を評価し、職場環境の改善につなげることで、ストレスの要因そのものを低減するよう努めることを事業者に求めるものとされています。
ですから、東京消防庁が繰り返し答弁されている精神疾患の要因は様々で当庁において特定することは困難、こういう立場ではストレスチェック制度が本来求めていることに応えていないということになります。
さらに、労働安全衛生法、安衛法によって職員本人にのみ通知されることとなっていると答弁されましたけれども、安衛法は本人の同意がなければ職場に検査結果を提供できないというふうにはなっていますが、事業者に提供してはならないとはされていません。実施マニュアルはこの点について、衛生委員会の調査審議によってストレスチェックの結果を事業者に提供しない取扱いとすることも可能といっています。つまり、これは本人の同意を得れば事業者に結果を提供することも可能だということです。
ストレスチェック制度は職場におけるストレス要因を評価し、職場環境を改善することでストレスの要因そのものを低減するよう事業者に求めるものなのですから、その結果を事業者が分析し対策を講じられるよう結果が提供されるのはある意味当然のことと思います。
東京消防庁がこのマニュアルに従って制度本来の目的と役割に沿うようストレスチェック制度を活用することを求めておきます。
続いて、第八波でも深刻な状況だった救急の現場について伺います。
第八波のさなかであった昨年十二月に救急車の横転事故が発生しました。十七時間連続勤務だった職員の居眠り運転が原因と報じられましたが、署を出てから十七時間署に戻ることなく七か所の救急現場を回り、受入れの病院もなかなか見つからない中で極度の緊張状態が続いた後、搬送を終え安堵したところで一気に疲れが出たのだろうと思うと、本当に胸が痛みます。
私は、昨年の予算案質疑でも救急隊の逼迫の状況について質問しましたが、救急隊はそれ以前から第八波に至るまで、程度の差はあれどもこのような状況が断続的に続いてきたということです。救急隊の皆さんの心身の状態が本当に心配です。いただいた資料4では、医療機関への受入れ照会回数四回以上の事案は、第八波の昨年十二月が最も多くなっています。
東京消防庁は、医療機関の受入れ困難事例解消のためにどう取り組んでいるんでしょうか。また、医療機関の担当所管である福祉保健局にはどのような働きかけを行ったんでしょうか、伺います。
○門倉救急部長 第八波において、医療機関の受入れ状況が悪化したことを受け、病院端末装置を通じて各医療機関に救急部長名で傷病者の積極的な受入れ等を促す緊急メッセージを送信したほか、各消防署幹部が管内医療機関を直接訪問し救急搬送の逼迫状況について説明することで受入れ状況の改善を求めました。
さらに、福祉保健局に対しては、搬送困難事案数を改善するため、救急医療の東京ルールにおける受入れ調整強化について申入れを行いました。
○和泉委員 今後コロナが第五類になったとしてもウイルスそのものが変わるわけではありませんから、今後も感染の波は繰り返すことになるでしょう。そのような中で医療提供体制の抜本的な強化がなければ、どんなに救急隊を増やしても搬送先が見つからずにまち中に滞留する救急車が増えるだけということになりかねません。引き続き福祉保健局との協議を行って現場の声をしっかり届けていただきたいと思います。
資料2では、救急隊が配置されていない消防署が昨年四月一日時点で四十五か所あります。そこで、東京消防庁における救急隊の整備目標数とその達成の見通し、また、消防署所への救急隊配置の考え方について伺います。
○岡本企画調整部長 東京消防庁では、国が示す消防力の整備指針に基づき救急需要及び人口推移の予測により、救急隊三百十三隊の整備を令和十二年までの目標としております。また、救急隊配置の考え方につきましては、市街地が全都的に連続している当庁の管轄区域の特性を考慮し、行政区域等の単位ではなく救急需要や救急隊の活動状況等を踏まえて配置することとしており、計画的な増隊に努めております。
○和泉委員 令和十二年まで救急隊三百十三隊の整備を救急需要や救急活動等を踏まえて目指していくという答弁でしたが、ぜひ、計画の前倒しも含めて進めていただきたいというふうに思います。
また、救急隊一隊当たりの人数を増やしてしっかり休養が取れる、無理のないローテーションを取ることも有用ではないでしょうか。デイタイム救急隊の増隊とともにぜひ検討していただきたいと思います。
続いて、消防団に配備される資機材について伺います。
令和二年度の消防団に対する知事の諮問は、水災時において消防団員が効果的に活動する方策はいかにあるべきかというものでした。東部低地帯に暮らす私の地元葛飾では、二〇一九年、令和元年の台風十九号で荒川があわや越水かという事態に直面し、その直後のこの諮問に地元の消防団運営委員会でも積極的な議論が展開されました。
令和二年度の諮問により増強された消防団の資機材の配備状況と今後の新たな資機材配備の予定について伺います。
○福永防災部長 特別区内の各消防団運営委員会からの答申を踏まえまして、今年度は、浸水区域において安全かつ衛生的に活動するため胴付長靴を、また、分団本部施設における長時間活動に備え寝袋をそれぞれ全分団に整備いたしました。さらに、来年度は、全分団を対象に水災時での排水活動や震災時等に河川などの自然水利から取水を可能とするフローティングストレーナーを五か年計画で順次整備してまいります。
○和泉委員 答申を踏まえた資機材の配備が順次行われるとの答弁ですので、ぜひ遅滞なく進めていただくようお願いします。
また、それ以外にも現在各分団に一つ配置されている強力ライト、これを各班に配置できるよう増やしてほしい、耐水紙の現場手帳やフローティングロープ、水深棒、防水用トランジスタメガホンなどを配置してほしい、こういった声も上がっています。
人員不足が深刻な消防団の団員確保策とともに、少しでも消防団員の効果的な活動の支えとなるような資機材の配置を改めて求めて、質問を終わります。
○田の上委員 三・一一、東日本大震災から十二年であります。
災害時は消防署から多くの消防隊員が出動し、消防署内の人員が少なくなることが予想されます。大地震でけが人が多数出た場合、基礎自治体は地元医師会の協力を仰いでトリアージ体制を整備するなど大変忙しくなります。ところが、住民は近所に消防署が近くにあったら駆け込んでくる可能性があると考えます。
そこで、大規模な震災時において住民等が消防署にけが人等を搬送してきた場合、どのような対応を取るのか伺います。
○市川警防部長 東京消防庁では、震災発生時の事前計画に基づき勤務時間外の職員に非常招集命令を発令し人員を確保することとしております。また、住民が消防署に傷病者を搬送してきた場合は救急資格を有する職員等により消防署等に開設した仮救護所において応急処置を行い、医療機関への搬送が必要と判断した場合には臨時に編成した部隊等により災害拠点病院等に搬送することとしております。
○田の上委員 応急処置や医療機関への搬送まで計画に基づき行うというご答弁をいただきました。
勤務時間外の職員に非常招集命令を発令して人員を確保するとのことですが、居住地により、消防署まで到着することが難しい場合や職員も被災する可能性があります。
例えば、地域で看護師や看護師資格のある方など医療従事者の協力を得て、近隣からすぐに駆けつけられる仕組みを構築してはどうかと考えます。地元に密着した消防署の活動を進めて、震災などの災害時にも柔軟に対応ができるよう今後のご検討をお願いいたします。
次の質問です。
島しょ地域の救急搬送は福祉保健局が担っていると聞いています。急患を輸送する場合は福祉保健局と東京消防庁との協定に基づいて消防庁のヘリが対応していますが、一方、小笠原諸島については海上自衛隊や海上保安庁が対応しています。
仮に父島で緊急搬送が必要な患者を搬送する場合、父島から二百七十キロ離れた硫黄島からヘリが出て父島まで迎えに行きます。次に父島で患者を乗せて再び硫黄島まで二百七十キロを戻ります。今度は飛行機に乗せ換えて東京まで約千二百キロ飛んで、最後に病院へ搬送するということになります。
容体が悪い患者が約千七百キロを超える移動に耐えられるのかどうか疑問です。伊豆諸島で常備消防を配備しているのは大島、八丈島、三宅島のみであり、小笠原については小笠原独自の防災対策に頼らざるを得ないのが現状です。
東京消防庁では、AW189という型式のヘリコプターを所有しており、その航続距離は約千二百キロと聞いております。東京から小笠原父島までの距離とほぼ同じ距離であります。機体の性能だけ見れば八丈島と父島の間約九百三十キロの運航というのは可能と考えますので、島しょ地域全体の消防、救急搬送をカバーできるのではないかと考えております。また、八丈島は二次医療圏としての町立八丈病院があり、そこで対応できない重篤な患者などの場合は東京消防庁のヘリで広尾病院に搬送しています。
そこで伺います。
小笠原諸島の救急搬送対応のため、八丈島に東京消防庁のヘリを配備できないものかと考えますが、ご見解を伺います。
○岡本企画調整部長 八丈島から小笠原諸島までヘリコプターで運航するには、不測の事態に対応するため、往復に要する約千四百キロメートルを飛行できる機体が必要となります。当庁が保有する機体の最大航続距離は約千二百キロメートルであり、現状消防用として導入可能なヘリコプターで八丈島と小笠原諸島間の往復に対応できるものはないと認識しております。
また、当庁の管轄外である八丈島に消防ヘリを配備する場合には、インフラの整備や消防事務の制度的な整理などの課題があると認識しております。
○田の上委員 ご答弁をいただきました。
天候不良で片道の途中で給油なしで引き返す場合の危険性もあり航続距離の課題があるというふうに認識をしております。現在飛行場が整備されていない小笠原諸島ではヘリコプターしか対応ができないと思われますが、今後はティルトローターの開発が進んでいくと思います。行政が先行して活用することを検討するべきと考えております。
また、東京消防庁の管轄など様々な課題があることも理解をいたしますが、救える命を救うために、都庁全体、東京都の課題として今後検討を進めていただきたいと要望をいたします。
二〇二〇年に、都が父島の空港整備を検討する協議会の中で、垂直離着陸が可能なティルトローター機の採用案を示し、小池知事も島民の命を守るために必要な航空路を確保する有効な策だと述べたとされています。私はまさにこの小笠原の救急搬送に最優先で使うべきだと考えております。
意見を述べまして、質問を終わります。ありがとうございます。
○高倉委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高倉委員長 異議なしと認め、予算案及び付託議案に対する質疑は終了いたしました。
以上で東京消防庁関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後一時五十一分散会
Copyright © 1999
Tokyo Metropolitan Assembly All Rights Reserved.